説明

根菜類収穫機

【課題】収穫するべき根菜作物の茎葉部の低い位置を挟持して引き抜きを確保するとともに、植生株の周囲の土が盛り上がっていたり、圃場に石が露出していても、土や石の噛み込みを防止することができる野菜収穫機を提供する。
【解決手段】根菜類収穫機は、支持機台(2)と、その片側端位置で圃場作物を引き抜く引抜搬送装置(4)と、内外側の引起装置(3a,3b)とを備えて構成され、上記内外側の引起装置(3a,3b)は、支持機台(2)に対して所定の高さ範囲を昇降可能に支持し、その内側位置の圃場面に追従して転動する内側転輪(14)によって一体に支持するとともに、支持機台(2)に対する高さを検出するレベルセンサ(16)を備え、このレベルセンサ(16)の検出高さに合わせて、引抜搬送装置(4)の始端部(4a)の高さを制御部により昇降制御するものである。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、挟持搬送装置の先端に引起装置を備えてニンジン等の根菜作物を収穫走行する根菜類収穫機に関するものである。
【背景技術】
【0002】
特許文献1に示すように、挟持搬送装置の先端に引起装置を備えてニンジン等の根菜作物を収穫走行する根菜類収穫機が知られている。この根菜類収穫機は、先端に引起装置を備えた挟持搬送装置の上下高さを調節し、圃場に植生する根菜類の茎葉部を挟持して引き抜き収穫するものである。また、電動・油圧等のシリンダの伸縮により上下位置を調節可能なゲージ輪を設け、挟持搬送装置の下方移動を制限する技術(特許文献2)がある。
上記ゲージ輪により挟持搬送装置の最低地上高を確保しつつ、茎葉部の低い位置を挟持してニンジン等の根菜作物を収穫走行することができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2003−310030号公報
【特許文献2】特開2006−238754号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、特許文献1及び2記載の発明では、挟持搬送装置の高さを根菜類に対して適切に設定していても、根菜類の周囲の土が盛り上がっていたり、圃場に埋まっていた石が露出していたりすると、挟持搬送始端部が土や石を噛み込んでしまうという問題があった。
【0005】
本発明の目的は、収穫するべき根菜作物の茎葉部の低い位置を挟持して引き抜きを確保するとともに、植生株の周囲の土が盛り上がっていたり、圃場に石が露出していても、土や石の噛み込みを防止することができる野菜収穫機を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
請求項1に係る発明は、圃場を走行可能な走行車体(2)に圃場作物の茎葉部を挟持して引き抜き後上方に移送する引抜搬送装置(4)を設け、該引抜搬送装置(4)の搬送始端部(4a)側に作物の茎葉部を引き起こす内側の引起し装置(3a)と外側の引起し装置(3b)を設けた根菜類収穫機において、該内側の引起装置(3a)と外側の引起し装置(3b)を上下方向に昇降可能に構成し、該内側の引起し装置(3a)と外側の引起し装置(3b)を機体内側の圃場面に追従して転動する第1転輪(14)で支持し、該第1転輪(14)に第1転輪(14)の走行車体(2)に対する高さを検出する検知部材(16)を設け、該検知部材(16)の検出結果に合わせて引抜搬送装置(4)の搬送始端部(4a)の高さを昇降制御する構成としたことを特徴とする根菜類収穫機。
【0007】
上記引抜搬送装置(4)は、走行車体(2)に搬送始端部(4a)側が昇降制御可能に支持され、該引抜搬送装置(4)は作物の茎葉部を挟持して引き抜くと共に引き抜いた作物を後ろ上がりに移送し、該引抜搬送装置(4)の搬送始端部(4a)の内側の引起し装置(3a)と外側の引起し装置(3b)は圃場面に追従して転動する第1転輪内側(14)により圃場面の凹凸に追従して一体に支持されつつ作物の茎葉部の内側及び外側を引き起こし、検知部材(16)の検出結果に合わせて制御部が引抜搬送装置(4)の搬送始端部(4a)の高さを昇降制御する。
【0008】
請求項2に係る発明は、請求項1の構成において、前記内側の引起し装置(3a)の下部に機体内側の圃場面に追従して転動する第1転輪(14)を設け、前記外側の引起し装置(3b)の下部に外側の圃場面に追従して転動する第2転輪(15)を設け、該第2転輪(15)の外側に隣接条の作物の茎葉部を機体後部方向に案内する案内部材(15a)を設けたことを特徴とする請求項1記載の根菜類収穫機とした。
上記第1転輪(14)と第2転輪(15)を設けたことにより、第1転輪(14)または第2転輪(15)のどちらか一方、あるいは両方で圃場面の凹凸を検出でき、内側の引起し装置(3a)と外側の引起し装置(3b)が圃場面に追従して上下動し、引抜搬送装置(4)の搬送始端部(4a)の高さが昇降制御される。
また、第2転輪(15)の外側に案内部材(15a)を設けたことにより、隣接条から垂れ下がる作物の茎葉部を機体後部方向に案内でき、第2転輪(15)に作物の茎葉部が絡み付いてくることが防止される。
【0009】
請求項3に係る発明は、請求項2の構成において、前記第1転輪(14)と第2転輪(15)に内側の引起し装置(3a)と外側の引起し装置(3b)の上下高さを駆動力で調節可能な位置調節部材(17,17)をそれぞれ設け、前記走行車体(2)の旋回操作と引抜搬送装置(4)の昇降操作を行なう操作レバー(8a)を設け、該操作レバー(8a)に位置調節部材(17,17)をそれぞれ操作する第1調節操作部材(18L)と第2調節操作部材(18R)を設けたことを特徴とする請求項2記載の根菜類収穫機とした。
前記第1転輪(14)と第2転輪(15)をそれぞれに設けた位置調節部材(17,17)によって個別に支持高さが調節可能な構成とし、位置調節部材(17,17)を調節操作する操作レバー(8a)の両側位置に位置調節部材(17,17)をそれぞれ操作する第1調節操作部材(18L)と第2調節操作部材(18R)を設けたことにより、位置調節部材(17,17)それぞれ独立して操作して第1転輪(14)と第2転輪(15)の支持高さを調節できる。
【0010】
請求項4に係る発明は、請求項3の構成において、前記第2転輪(15)を操作する第2調節操作部材(18R)は、圃場面に接する所定高さ位置まで第2転輪(15)を下降させる下限操作部材(18a)と、第2転輪(15)が圃場面から所定高さ上方に移動する位置まで上昇させる上限操作部材(18b)とで構成したことを特徴とする請求項3記載の根菜類収穫機とした。
第2転輪(15)の上下位置を下限操作部材(18a)または上限操作部材(18b)で圃場面に接触する高さ、または圃場面から上方に退避する高さに容易に変更することができる。
【発明の効果】
【0011】
請求項1記載の発明の効果は、内側の引起し装置(3a)と外側の引起し装置(3b)を圃場面の凹凸に追従して追従して転動する第1転輪(14)を設けたことにより、圃場面に大きな凹凸があっても内側の引起し装置(3a)と外側の引起し装置(3b)とが作物の茎葉部を引き起こす高さが適切な高さに揃えられるので、作物の茎葉部を確実に引抜搬送装置(4)の搬送始端部(4a)に案内して引き抜くことができる。
また、第1転輪(14)に第1転輪(14)の上下動を検出する検知部材(16)を設けを設け、この検出結果に基づいて引抜搬送装置(4)の搬送始端部(4a)を昇降させる構成としたことにより、引抜搬送装置(4)の搬送始端部が圃場面に進入して土や石を噛み込んでしまうことを防止できるので、土や石の噛み込みによる引抜搬送装置(4)の停止や故障が抑えられると共に、収穫作業能率が向上する。
【0012】
請求項2記載の発明の効果は、請求項1記載の発明の効果に加え、内側の引起し装置(3a)に第1転輪(14)を設け、外側の引起し装置(3b)に第2転輪(15)を設けたことにより、圃場の凹凸を第1転輪(14)と第2転輪(15)のいずれか一方、または両方で検出することができるので、内側の引起し装置(3a)と外側の引起し装置(3b)の高さを左右別個に茎葉部の引き起こしに最適な高さに合わせられ、確実に作物の茎葉部を引抜搬送装置(4)の搬送始端部(4a)に案内して引き抜くことができる。
また、第2転輪(15)の外側に案内部材(15a)を設けたことにより、隣接条から垂れ下がる作物の茎葉部を機体後部方向に案内できるので、第2転輪(15)に作物の茎葉部が絡み付いてちぎれることが防止され、隣接条に移動して作物の引抜を行なう際に、茎葉部が短く引抜搬送装置(4)で挟持されなくなることが防止され、作物の収穫作業が円滑に行なわれる。
【0013】
請求項3記載の発明の効果は、請求項2記載の発明の効果に加え、第1転輪(14)と第2転輪(15)をそれぞれ位置調節部材(17,17)に設け、一対の位置調節部材(17,17)を第1調節操作部材(18L)と第2調節操作部材(18R)でそれぞれ独立して上下高さを調節可能に構成したことにより、圃場面の高さが左右で異なる場合や、第1転輪(14)と第2転輪(15)のどちらか一方で圃場高さの検出を行なう場合に第1転輪(14)及び第2転輪(15)の上下高さを容易に調節することができるので、圃場の凹凸を確実に検出することができ、引抜搬送装置(4)の引き抜き位置をより正確に合わせることができる。
また、第1転輪(14)または第2転輪(15)の上下位置が低過ぎて、未収穫の作物にぶつかって傷つけてしまうことを防止できるので、作物の商品価値が維持される。
【0014】
請求項4記載の発明の効果は、請求項3記載の発明の効果に加え、第2転輪(15)の上下位置を下限操作部材(18a)または上限操作部材(18b)で圃場面に接触する高さ、または圃場面から上方に退避する高さに容易に変更することができるので、作業者は他の操作に集中することが可能となり、作業能率と安全性が向上する。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【図1】本発明に係る野菜収穫機の側面図
【図2】図1の野菜収穫機の平面図
【図3】引起装置の要部拡大側面図および平面図
【図4】図3の引起装置の要部拡大側面図および平面図引起装置の拡大平面図
【図5】4条植の収穫状態を示す畝の横断面図
【図6】引起装置の詳細構成の正面図(a)と側面図(b)
【図7】分草杆の拡大側面図
【図8】左右の分草杆の拡大正面図(a)とその側面図(b)
【発明を実施するための形態】
【0016】
上記技術思想に基づいて具体的に構成された実施の形態について以下に図面を参照しつつ説明する。
図1、図2は、それぞれ、本発明に係る野菜収穫機の側面図および平面図である。
野菜収穫機1は、左右のクローラ2a、2aによる走行部によって走行可能に支持された走行車体である支持機台2の片側端(図例は機体の左側端)の先端位置で根菜作物の茎葉部を引起す周回ラグ機構による内外側の引起装置3a,3b、引き起こされた茎葉部を挟持して引抜き搬送する対向配置の周回ベルトによる挟持ベルト機構を後ろ上がりに傾斜配置した引抜搬送装置4、その後部に搬送された根菜作物の茎葉部を後送しつつ切断する挟持ベルト機構と円板カッタによる茎葉切断装置5等が搭載され、また、残葉処理と選別作業のための選別部6、選別された野菜をコンテナに収容するための収容部7、各作業装置の稼動操作と機体走行のための操縦部8等が配置される。
【0017】
内外側の引起装置3a,3bは、引抜搬送装置4の始端位置を挟んで内側に横引起装置3a、外側に縦引起装置3bを配置する。横引起装置3aは、作物の茎葉部を掻き込む方向の周回動作で作物の内側位置の茎葉部を引き起こすように構成し、縦引起装置3bは、外側方への張り出しを抑えて機体の進行方向の周回動作で作物の外側位置の茎葉部を引き起こすように構成し、横引起装置3aの前方に分草杆9を配置する。
【0018】
引抜搬送装置4は、後端部の伝動支軸に軸支され、その始端部4aの高さ位置を昇降制御可能に構成され、始端部4aの下方にはソイラ4bを備える。操縦部8には、支持機台2の走行方向の左右調節と、引抜搬送装置4の始端部の高さの上下調節とをワンレバーでそれぞれ操作、すなわち、左右方向に倒すと機体の左右旋回、前後に倒すと昇降シリンダを伸縮させて引抜搬送装置4を上下動させるためのパワステレバーと呼称される多方向(4方向)操作レバー8aを備える。
【0019】
内外側の引起装置3a,3bは、要部拡大側面図および平面図をそれぞれ図3、図4に示すように、それぞれに対応して第1支持部材、第2支持部材を介して一体フレーム12に取付け、分草杆9も同様に一体フレーム12に取付け、左右の平行リンク13,13を介して引起装置3a,3bの姿勢を維持したまま昇降動作可能に支持機台2にフリーフローティング状に軸支するとともに、一体フレーム12の下部の内外側位置に第1と第2の転輪14,15を設け、これらを第1のゲージ輪および第2のゲージ輪として圃場面に追従可能に支持する。一体フレーム12は、横引起装置3aと縦引起装置3b夫々の支持部材を引抜搬送装置4の搬送経路を妨げない位置で連結し、連動して上下動可能に構成する。外側転輪15には、引起した茎葉が垂れてきても入り込まないように、あるは、圃場面に垂れたままの茎葉を巻き込まないように、前面から中程にかけて覆うようにガードカバー状の覆い部材である外側案内部材15aを一体に上下動可能に設ける。この外側案内部材15aの後半部には、転輪の周囲に茎葉が絡み付くことを防止しつつ、外側に接する圃場作物を傷めないように機体後部に案内するバーによるナローガイドを取付けると良い。
【0020】
平行リンク13,13には、その傾斜によって支持機台2に対する引起装置3a,3bの高さ位置を接触・光・近接センサ等の感知部材によって検出する検知部材であるレベルセンサ16を設け、このレベルセンサ16の検出信号を受ける制御部により引起装置3a,3bの検出高さに合わせて、引抜搬送装置4の始端高さを昇降制御を行う。例えば、感知部材のオン、オフに応じて引抜搬送装置4を昇降させるように制御部を構成する。
【0021】
この場合において、反応遅れがあると対応しきれなくなり、また、引起こしが早すぎて茎葉部を持ち上げ損なうという事態を避けるために、機体の前後方向位置に関して内外側の転輪14,15の位置と内外側の引起装置3a,3bの位置とを一致させ、圃場の凹凸や露出した石の検出感度を上げてタイミングを合わせる必要がある。また、実収穫のニンジン等が土を被って見辛くならないように、内外側の転輪14,15が土を飛ばさないように構成する。
【0022】
内外側転輪14,15は、正逆転可能な第1駆動体および第2駆動体である油圧シリンダや電動スクリューによって長さ調節する位置調節部材である脚長調節部17,17によって引起装置3a,3bの支持高さを調節可能に構成し、脚長調節部17,17をそれぞれ長さ調節操作するためのレバー、スイッチ、ボタン等の調節部材である第1と第2の調節操作部材18L,18Rによる脚長操作部18を設ける。この脚長操作部18は、操縦部8周辺のコンパクト化と、且つ作業者の片手操作を確保できるように、4方向操作レバー8aと近接して配置し、転輪配置と対応して4方向操作レバー8aの両側位置に分けて配置する。このように配置することで、内外側転輪14,15の上下動を間違えることが防止され、引抜搬送装置4が土や石を誤って挟持することや、外側転輪15が作物を踏んでしまうことが防止される。
【0023】
また、外側転輪15の脚長操作部18には、外側転輪15の動作をワンタッチ操作で切替えるためのスイッチ、ボタン等による自動操作部材、すなわち、圃場面に接する所定高さ位置まで転輪15を下降させる下限操作部材である下限操作具18aと、転輪が圃場面から浮上する所定高さ位置まで上昇させる上限操作部材である上限操作具18bを併設する。既収穫側の内側転輪14についても同様に構成することができる。この上下限操作具18a,18bが作用している間は、ランプ点灯やブザー音等で報知する。
【0024】
上記構成による野菜収穫機1は、引抜搬送装置4が支持機台2に対して昇降制御可能に始端が支持されて圃場作物の茎葉部を挟持することにより後ろ上がりに引抜き移送し、この引抜搬送装置4の始端部4aの引起装置3a,3bは、圃場面に追従して転動する内外側の転輪14,15により圃場面の凹凸に追従して支持されつつ圃場作物の茎葉部の内外両側を引き起こし、そのレベルセンサ16の検出高さに合わせて制御部が引抜搬送装置4の始端高さが昇降制御される。
【0025】
両転輪14,15は、内外側位置の圃場面の高い方に追従し、そのいずれかが畝幅の外側方に外れても、内外の引起装置3a,3bが一体に圃場面に追従支持される。したがって、多条植えの畝幅の側縁条の収穫走行の際に一方の転輪か畝幅の外側方に外れても、他方を使用して引起搬送装置4による収穫作業を支障なく継続することができる。
【0026】
通常の場合は、内側方に設けた第1転輪14のみを使用し、例えば、4条植の収穫状態を示す畝の横断面図を図5の左半に示すように、畝端以外(2〜4条目)の作物を収穫するときは外側転輪15を上昇させておくことにより、未収穫の作物を踏むことを防止できるので、作物が傷付くことが無く、作物の商品価値を向上することができ、このとき、転輪14が圃場の凹凸(土の盛り上がりや陥没・石の突出等)を通過すると、縦・横引起装置3a,3bが上昇して取付部材に設けた感知部材が引抜搬送装置4から近接(あるいは接触)してON(またはOFF)になり、圃場の凹凸を検知すると昇降部材を伸縮させて引抜搬送装置4の搬送始端側を上下動させることができる。したがって、引抜搬送装置4が土の盛り上がりや石を挟持してしまうことが防止でき、引抜搬送装置の停止や故障が防止され、作業能率を向上することができる。
【0027】
また、図5の右半に示すように、畝端の作物を収穫するときに外側転輪15を畝溝に設置させることができるので、畝溝の凹凸に対応して引抜搬送装置4の搬送始端側が上下動して引抜搬送装置4が土の盛り上がりや石を挟持する事態を回避できる。
【0028】
また、内外側転輪14,15の脚長調節用の脚長操作部18によりそれぞれ個別に支持高さが調節でき、かつ、4方向操作レバー8aの両側位置に分けて対応配置したことから、内外側の調節操作と対応する側の転輪によって支持高さが調節される。したがって、畝幅端の収穫に際しても、圃場の状態や土質等の作業条件に対応するために、内外側の転輪を混乱無く特定して確実に操作することができる。外側転輪15を使用するべく脚長操作部18によって脚長調節部17を操作することにより、同転輪15の上下位置を圃場の状態や土質等の作業条件に応じて変更することができるので、圃場条件に応じた作業によって能率を向上することができる。
【0029】
さらに、外側転輪15に覆い部材15aを設けたことにより、圃場に垂れ下がっている茎葉や引抜搬送装置に挟持された状態で垂れ下がる茎葉が転輪に絡み付くことを防止できるので、同転輪15が回らなくなることがなく、圃場の凹凸の検出が適切に行なわれる。なお、この覆い部材15aは、転輪よりも僅かに大きい孔部を形成した楕円形の底板と、転輪の円弧に沿って且つ同転輪には接触しない円弧状のカバー部分から構成し、これを塩ビ等透明な素材で作っておくと、中の転輪の状態を観察でき、茎葉の絡み付きが起こってもすぐに気付くことができる。
【0030】
また、2つの操作具18a,18bにより外側転輪15の接地と浮上にワンタッチで動作切替えできるので、畝幅端の収穫の前後において、煩雑な高さ調節操作を要することなく、簡易なワンタッチ操作で外側転輪を自在に取扱うことができるので、作業者は他の操作に集中することができ、操作性や作業能率が向上する。
【0031】
(引起装置)
内外側の引起装置3a,3bの詳細構成については、その正面図(a)と側面図(b)を図6に示すように、相対移動可能に、基本的には、外側の縦引起装置3bを固定し、内側の横引起装置3aを上下移動可能に構成することにより、圃場適応性を向上することができる。それぞれの駆動が1箇所の場合は、ユニバーサルシャフト等のドライブシャフト31で連結構成することにより、伝動系の構成を簡易化することができる。
【0032】
横引起装置3aはレバー32で上下調節可能に構成し、茎葉の邪魔にならないように、背面カバー33内にレバー32を設け、その前後方向の傾動操作で高さ位置を調節する。縦引起装置3bも同様にレバーで高さ位置を有段調節可能に構成してもよく、そのレバーは茎葉の邪魔にならないように、縦引起装置3bの外側に設ける。
【0033】
(分草杆)
また、分草杆9の拡大側面図を図7に示すように、株元の照明として分草杆9のステー9aあるいは分草杆9の内側にLED等の光源41を設け、反射光を逃がさないように分草杆9の内面9bをリフレクタ等の鏡面状に形成し、分草杆9自体が発光して株元を照らし、オペレータに知らせるように、先端部9cを透明材料で構成する。
【0034】
また、左右の分草杆51,52は、拡大正面図(a)とその側面図(b)を図8に示すように、未収穫側の傾斜を緩くして茎葉が滑り落ちやすくするように、左側に設けた上分草ガイド51aの対地角度θが、右側に設けた上分草ガイド52aより略同じかそれより小さく構成する。左側の分草杆51には、下分草ガイド51bを設け、支持フレーム53の上下の位置に配置する。下分草ガイド51bは、垂れ葉を引抜搬送装置4まで案内するように、分草杆51の本体部から引抜搬送装置4の挟持ベルト先端部4aに配置する。また、上分草ガイド51aは、茎葉部を引抜搬送装置4まで案内するように、分草杆51の本体部から引抜搬送装置4にかけてオーバーラップする範囲に設ける。
【0035】
左の分草杆51は、左側のフレーム53,右の分草杆52は、右側のフレーム54から支持し、収穫対象物の堀取ラインを横切らないようにすることで、茎葉の長さに無関係に収穫動作することが可能となる。左側の支持フレーム53は、側面視で引抜搬送装置4の挟持ベルトを横切るようにすることで、構成を簡易化することができる。支持フレーム先端部は、挟持ベルト元端部近傍より前方に設け、ベルト先端部近傍に空間を確保することで、支持フレーム先端部での茎押しを解消することができる。
【符号の説明】
【0036】
1 野菜収穫機
2 支持機台(走行車体)
3a 内側引起装置
3b 外側引起装置
4 引抜搬送装置
4a 始端部
8 操縦部
8a 操作レバー(パワステレバー)
12 一体フレーム
13 平行リンク
14 内側転輪(第1転輪)
15 外側転輪(第2転輪)
15a 外側案内部材
16 レベルセンサ(検知部材)
17 脚長調節部(位置調節部材)
18 脚長操作部
18a 下位操作具(下限操作部材)
18b 上位操作具(上限操作部材)
18L 第1調節操作部材
18R 第2調節操作部材

【特許請求の範囲】
【請求項1】
圃場を走行可能な走行車体(2)に圃場作物の茎葉部を挟持して引き抜き後上方に移送する引抜搬送装置(4)を設け、該引抜搬送装置(4)の搬送始端部(4a)側に作物の茎葉部を引き起こす内側の引起し装置(3a)と外側の引起し装置(3b)を設けた根菜類収穫機において、
該内側の引起装置(3a)と外側の引起し装置(3b)を上下方向に昇降可能に構成し、該内側の引起し装置(3a)と外側の引起し装置(3b)を機体内側の圃場面に追従して転動する第1転輪(14)で支持し、該第1転輪(14)に第1転輪(14)の走行車体(2)に対する高さを検出する検知部材(16)を設け、該検知部材(16)の検出結果に合わせて引抜搬送装置(4)の搬送始端部(4a)の高さを昇降制御する構成としたことを特徴とする根菜類収穫機。
【請求項2】
前記内側の引起し装置(3a)の下部に機体内側の圃場面に追従して転動する第1転輪(14)を設け、前記外側の引起し装置(3b)の下部に外側の圃場面に追従して転動する第2転輪(15)を設け、該第2転輪(15)の外側に隣接条の作物の茎葉部を機体後部方向に案内する案内部材(15a)を設けたことを特徴とする請求項1記載の根菜類収穫機。
【請求項3】
前記第1転輪(14)と第2転輪(15)に内側の引起し装置(3a)と外側の引起し装置(3b)の上下高さを駆動力で調節可能な位置調節部材(17,17)をそれぞれ設け、前記走行車体(2)の旋回操作と引抜搬送装置(4)の昇降操作を行なう操作レバー(8a)を設け、該操作レバー(8a)に位置調節部材(17,17)をそれぞれ操作する第1調節操作部材(18L)と第2調節操作部材(18R)を設けたことを特徴とする請求項2記載の根菜類収穫機。
【請求項4】
前記第2転輪(15)を操作する第2調節操作部材(18R)は、圃場面に接する所定高さ位置まで第2転輪(15)を下降させる下限操作部材(18a)と、第2転輪(15)が圃場面から所定高さ上方に移動する位置まで上昇させる上限操作部材(18b)とで構成したことを特徴とする請求項3記載の根菜類収穫機。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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