説明

根菜類収穫機

【課題】
選別搬送コンベアの搬送終端部を上昇させると自動的に収容袋の弛みを解消できる、余分な動作を省略可能な根菜類収穫機を提供する。
【解決手段】
機体フレーム1の左右一側に作物を圃場から引き抜いて後上方に搬送する引抜搬送装置24を設け、引抜搬送装置24から作物を引き継いで左右一側から左右他側に搬送する選別搬送装置87を設け、選別搬送装置87の搬送終端部に昇降アーム94の基部を上下回動自在に取り付け、昇降アーム94の自由端部に回動軸95を回動自在に支持し、回動軸95に、回動軸95の軸心に対して交わる方向にアーム95aと吊下部材96とを一体に設け、アーム95aの自由端部と選別搬送装置87の搬送終端部の上方に配置した機体上の定位置との間に、アーム95aを定位置側へ向けて引っ張る引張部材98を設けて構成とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、作物を圃場から引き抜き、手作業で作物を選別して収容袋で収穫する根菜類収穫機に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来の根菜類収穫機としては、選別搬送コンベアの搬送終端部側に収容袋を吊り下げるハンガーを設け、このハンガーで収容袋の上部を開口して支持する技術が存在する。(特許文献1)
【特許文献1】特許第4239920号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
しかしながら、特許文献1に記載された根菜類収穫機では、収容袋を吊り下げるハンガーは選別搬送コンベアの上下動に連動して上下動するため、選別搬送コンベアを下げると収容袋が縮んで収容袋全体に弛みが生じ、この弛みの分作物の収容スペースが減ってしまうので、定期的に機体の走行や選別搬送コンベアの駆動を停止させてから選別搬送コンベアを上昇させ、収容袋を吊り上げて収容スペースを確保しなければならず、その間作物の収穫作業や収穫した作物の選別作業が停止してしまい、作業能率が低下してしまう問題がある。
【0004】
本発明は、この問題を解消しようとするものである。
【課題を解決するための手段】
【0005】
請求項1記載の発明は、機体フレーム(1)の左右一側に作物を圃場から引き抜いて後上方に搬送する引抜搬送装置(24)を設け、該引抜搬送装置(24)から作物を引き継いで左右一側から左右他側に搬送する選別搬送装置(87)を設け、該選別搬送装置(87)の搬送終端部を上下動自在に構成し、選別搬送装置(87)の搬送終端部に作物を収容する収容部材を開口状態で吊り下げる吊下部材(96)を設け、前記選別搬送装置(87)の搬送終端部側の機体フレーム(1)上に前記収容部材を載置する回収部(114)を設け、前記選別搬送装置(87)の搬送終端部の上昇に連動して前記吊下部材(96)が上昇すると共に該吊下部材(96)の傾斜角度が小さくなる構成としたことを特徴とする根菜類収穫機とした。
【0006】
請求項2記載の発明は、前記選別搬送装置(87)の搬送終端部に昇降アーム(94)の基部を上下回動自在に取り付け、該昇降アーム(94)の自由端部に回動軸(95)を回動自在に支持し、該回動軸(95)に、回動軸(95)の軸心に対して交わる方向にアーム(95a)と吊下部材(96)とを一体に設け、該アーム(95a)の自由端部と選別搬送装置(87)の搬送終端部の上方に配置した機体上の定位置との間に、前記アーム(95a)を定位置側へ向けて引っ張る引張部材(98)を設けたことを特徴とする請求項1記載の根菜類収穫機とした。
【発明の効果】
【0007】
請求項1記載の発明によれば、選別搬送装置(87)の搬送終端部の上昇に連動して吊下部材(96)の傾斜角度が小さくなることによって吊下部材(96)の傾斜下り側が上昇するので、選別搬送装置(87)の搬送終端部の上昇に伴い収容部材の左右一側に偏倚して堆積した作物がこの収容部材の左右一側から溢れ出ることを防止でき、落下の衝撃で作物が傷付くことが防止され、商品価値が向上する。
【0008】
また、吊下部材(96)の傾斜角度が小さくなり吊下部材(96)の傾斜下り側が上昇すると、収容部材の傾斜下り側が上方に吊り上げられるので、選別搬送装置(87)の搬送終端部を上昇させるだけで収容部材の傾斜下り側に生じる弛みを取ることができ、従来のように収容部材の収容スペースを確保するために機体の走行や選別搬送装置(87)の駆動を停止させ、選別搬送装置(87)の搬送終端部側を上下動させて収容部材の弛みを取る必要がなく、作業能率が向上する。
【0009】
請求項2記載の発明によれば、請求項1記載の発明の効果に加えて、回動軸(95)に設けたアーム(95a)が引張部材(98)によって機体上に設定した定位置に向かって引っ張られると、この回動軸(95)とアーム(95a)と定位置とが一直線に並ぼうとする力が働くが、この引っ張る力と吊下部材(96)が自重で水平姿勢に戻ろうとして回転軸(95)を回転させようとする力とが吊り合い、選別搬送装置(87)の搬送終端部の上昇位置に対して吊下部材(96)をバランスの取れた姿勢で保持することができる。
【0010】
また、選別搬送装置(87)の搬送終端部を上昇させると、引張部材(98)の引っ張る力が弱まり吊下部材(96)が自重により回動軸(95)を回転させようとする力よりも引張部材(98)がアーム(95a)を定位置側に引っ張る力が小さくなるので、回動軸(95)が回転して吊下部材(96)の傾斜角度が小さくなり吊下部材(96)の傾斜下り側が上昇することとなるので、収容部材(97)の傾斜下り側の弛みを取ることができる。
【0011】
これによって、従来のように収容スペースを確保するために機体の走行や選別搬送装置(87)の駆動を停止させ、選別搬送装置(87)の搬送終端部側を上下動させて収容部材(97)の弛みを解消する必要がなく、作業能率が向上する。
【0012】
また、吊下部材(96)の傾斜姿勢制御を、制御装置やモータ等を用いる電子制御方式とする場合と比較して略同等の効果を発揮できるものでありながら、高価な制御装置やモータを用いる必要がないので、製造コストを低く抑えることができ、安価に提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【図1】根菜類収穫機の左側面図
【図2】根菜類収穫機の右側面図
【図3】根菜類収穫機の平面図
【図4】根菜類収穫機の背面図
【図5】根菜類収穫機の背面図の動作例
【図6】根菜類収穫機の背面図の動作例
【図7】根菜類収穫機の要部平面図
【図8】(a)加工前の搬送プレートの平面図 (b)加工後の搬送プレートの平面図 (c)加工後の搬送プレートの右側面図
【図9】複数の搬送プレートを並べた要部平面図
【図10】複数の搬送プレートを並べた要部側面図
【図11】複数の搬送プレートを異なる配置で並べた要部平面図
【図12】茎葉切断部の側面図
【図13】茎葉切断部の平面図
【図14】茎葉切断部の肩揃え装置の要部平面図
【図15】(a)肩揃え装置の搬送体の平面図 (b)肩揃え装置の搬送体の側面図 (c)肩揃え装置の搬送体の正面図
【図16】肩揃え装置の側面断面図
【図17】積み降ろし機構の平面図
【図18】積み降ろし機構の側面図
【図19】根菜類収穫機の別実施例の要部平面図
【図20】根菜類収穫機の別実施例の要部平面図
【図21】根菜類収穫機の別実施例の要部背面図
【図22】根菜類収穫機の別実施例の要部平面図
【図23】(a)別実施例の搬送ラグを設けた搬送プレートの右側面図 (b)別実施例の搬送ラグを設けた搬送プレートの正面図 (c)別実施例の搬送ラグを設けた搬送プレートの背面図
【図24】根菜類収穫機の別実施例の要部背面図
【発明を実施するための最良の形態】
【0014】
本発明の実施の形態について説明する。
図1〜図18に示すように、実施例の一つとして示す根菜類収穫機の一種である人参収穫機は、機体を走行させる走行部Aと、操縦者が搭乗する操縦部Bと、機体左右一側で圃場から人参を引き抜いて機体後上側に搬送する収穫部Cと、該収穫部Cから人参を引き継いで機体後方に搬送しながら茎葉部を切断する茎葉切断部Dと、茎葉切断部Dから落下する人参を受けて人参に残った茎葉部を処理する残葉処理部Eと、残葉処理部Eから人参を引き継いで人参を機体左右一側から左右他側へと搬送し、搬送中の人参を補助作業者が選別する選別搬送部Fと、該選別搬送部Fから排出される人参を収容する収容部Gとから構成される。
【0015】
なお、本件においては、平面図において、機体の進行方向に対して左側を機体左右一側、機体の進行方向に対して右側を機体左右他側と称する。以下、各部の詳細を具体的に記載する。
【0016】
まず、走行部Aの構成について説明する。
図1〜図6で示すように、機体フレーム1の下方に機体前部側の左右駆動スプロケット2,2と機体後部側の左右従動輪3,3と、該左右駆動スプロケット2,2と左右従動輪3,3との間に取り付けた複数の転輪4,4・・・の周りに左右ベルト5,5を巻き掛けて左右のクローラ6L,6Rを構成する。そして、該左右クローラ6L,6Rの左右駆動スプロケット2,2を、エンジン7の動力が伝動されるミッションケース8から左右両側に延出させた左右ドライブシャフト9,9に取り付け、一定の左右間隔を設けて左右クローラ6L,6Rを該機体フレーム1に取り付ける。
【0017】
次に、操縦部Bの構成について説明する。
図1〜図6で示すように、前記機体フレーム1の右側上部に操縦部フレーム10を取り付け、該操縦部フレーム10には操縦座席11を取り付けると共に、機体前側に操縦パネル12を取り付ける。そして、該操縦パネル12に機体の前後進及び走行速度を切り換える変速操作レバー13を取り付けると共に、機体の左右旋回操作及び収穫部Cの作業高さを操作する昇降操作レバー14を取り付ける。
【0018】
上記構成により、変速操作レバー13や昇降操作レバー14のような、1本で複数の操作を行える操縦部材を設けることによって、機体の操縦が容易になるため操縦者の作業を軽減することができる。
【0019】
次に、収穫部Cの構成について説明する。
図1〜図6で示すように、左右引抜フレーム15,15の機体前側に左右従動プーリ16,16を回転自在に装着し、機体後側に左右駆動プーリ17,17を装着し、該左右従動プーリ16,16と左右駆動プーリ17,17との間に人参を引き抜き機体後部へと搬送する左右挟持搬送ベルト18,18を巻き掛けると共に、複数のテンションローラ19…によって該左右挟持搬送ベルト18,18を張圧し、左右挟持搬送ベルト18,18の機体内側面を互いに圧接させて人参の引抜搬送経路Rを構成する。そして、前記機体フレーム1の上方に左右横軸21を回動支点として上下方向に回動自在な回動フレーム20を取り付け、該回動フレーム20の後端部に前記左右駆動プーリ17,17に駆動力を伝動する伝動ケース22を、回動支点Xを中心として上下回動自在に取り付ける。また、前記機体フレーム1と回動フレーム20とを昇降シリンダ23で連結し、該昇降シリンダ23を操縦部Bで操作可能に取り付けて引抜搬送装置24を構成する。
【0020】
また、該引抜搬送装置24の前方に人参の茎葉部を引き起こす縦引起し装置25と、該縦引起し装置25が引起した茎葉部を掬い上げる横引起し装置26と、該横引起し装置26の前部に設ける分草杆27と、ハンドル29を回すと上下伸縮する伸縮ロッド30の下端部に引抜搬送装置24の下り過ぎを防止する回転自在なゲージ輪31と、前記エンジン7の駆動力で回転するシャフト32の回転によって振動する振動フレーム33に取り付けた人参の左右の土を振動によって解す左右振動ソイラ34,34とを設ける。
【0021】
そして、前記引抜搬送通路Rの下方に引抜搬送装置24で搬送中の人参のひげ根を切断する尻尾切装置35を取り付けて、収穫部Cを構成する。
上記構成により、機体前側に分草杆27を備える横引起し装置26と、縦引起し装置25を設けることによって、圃場に倒伏した人参の茎葉を掻き上げながら収穫作業ができ、収穫する人参の視認性が向上するので引き抜き位置が合わせやすく、作物の抜き残しが減少するため作業能率が向上する。
【0022】
また、人参に左右振動ソイラ34,34等が接触して傷つくことを防止できるので、人参の商品価値が向上する。
そして、ハンドル29を回すと上下伸縮する伸縮ロッド30の下端部にゲージ輪31を設けたことによって、ゲージ輪31を圃場面に接地させるとそれ以上引抜搬送装置24が下降しなくなるので、操縦者の操縦ミスや予期せぬ地面の凹凸によって引抜搬送装置24の下端部が圃場面に接触して破損することが防止される。
【0023】
そして、機体フレーム9と左右横軸21を回動支点として上下方向に回動自在な回動フレーム20とを昇降シリンダ23で連結し、昇降シリンダ23を操縦部Bの昇降操作レバー14を操作することによって伸縮させる構成としたことによって、昇降操作レバー14の操作により収穫部C全体の上下高さを調節することができるので、収穫部Cの引抜搬送始端部の位置を上下方向に調節しするとともに圃場に植生する人参の適切な引き抜き高さに合わせて引抜搬送始端部の位置調節を行え、人参の抜き残しが防止されるので作業能率が向上する。
【0024】
また、旋回時に収穫部Cを上昇させておくと、収穫部Cの下端部が圃場に接触しにくくなるため、旋回動作がスムーズに行われて作業能率が向上する。
次に、茎葉切断部Dについて説明する。
【0025】
図1〜図6及び図12〜図16で示すように、前記伝動ケース22に駆動力を伝道する左右の伝動軸36,36を取り付け、該左右の伝動軸36,36の上部に左右伝動ケース37,37を取り付けると共に、該左右の伝動ケース37,37内に複数のギアを噛み合わせて構成する左右の第1ギアユニット38,38を機体前側に向かって取り付ける。また、前記伝動ケース22内部の左右の伝動軸36,36に左右の第2ギアユニット39,39を機体後側に向かって取り付け、該左右の第2ギアユニット39,39の後端部に左右の第1出力軸40,40を機体上方に向けて軸着する。
【0026】
そして、前記の左右第1ギアユニット38,38の前端部に左右の第2出力軸41,41を機体下方に向けて軸着し、該左右の第2出力軸41,41に左右の位置揃え駆動スプロケット42,42を軸着する。さらに、前記左右伝動ケース37,37の前下部に側面視L字型の左右の位置揃えフレーム43,43を取り付け、該位置揃えフレーム43,43に機体左右方向の孔部44,44を形成し、該孔部44,44に左右の位置揃え従動スプロケット45,45を軸着した左右回転軸46,46を取り付ける。また、該位置揃え従動スプロケット45,45と位置揃え駆動スプロケット42,42との前後間で且つ位置揃え駆動スプロケット42,42よりも機体内側位置に左右の位置揃えテンションスプロケット47,47を回転自在に取り付ける。さらに、該位置揃えテンションスプロケット47,47と位置揃え駆動スプロケット42,42と位置揃え従動スプロケット45,45とに左右の位置揃えチェーン48,48を無端状に巻回する。
【0027】
なお、前記位置揃え駆動スプロケット42,42は、位置揃え従動スプロケット45,45及び位置揃えテンションスプロケット47,47よりも小径のものを用いてもよい。
そして、前記伝動ケース37,37に左右の受け板49,49を前後方向に位置調節可能に取り付け、該受け板49,49と位置揃えフレーム43,43との間に、前記位置揃え従動スプロケット45,45を張圧して位置揃えチェーン48,48に生じる弛みを吸収させる左右の張圧バネ50,50を取り付ける。該張圧バネ50,50は、受け板49,49を前後に移動させることにより、位置揃え従動スプロケット47,47にかかる張圧力を変更することができ、人参の種類や生育状態、茎葉部の平均的な太さに応じて変更することで、様々な作業条件に対応することができる。
【0028】
また、前記左右の位置揃えフレーム43,43に機体左右方向の孔部44,44を形成、該孔部44,44に位置揃え従動スプロケット45,45の回転軸46,46を貫通させて設けたことにより、位置揃え従動スプロケット45,45を左右方向に移動させて位置調節することができるので、非作業時及び茎葉部が通過中でない、あるいは径の小さい茎葉部が通過する際は、位置揃え従動スプロケット47,47は張圧バネ50,50に押圧されて前側で且つ機体内側方向に向かって押圧され、大径の茎葉部が通過する際には位置揃え従動スプロケット47,47は機体外側方向に向かって押圧される構成となり、大径の茎葉部が噛み込まれることを防止でき、噛み込まれた茎葉部を取り除く必要が無く作業能率が向上する。
【0029】
加えて、位置揃え装置54L,54Rの搬送始端側から搬送終端側までの左右間隔が、大径の茎葉部が通過して負荷がかかったときのみ略直線状となるので、それ以外の場合には位置揃え装置の左右間隔を搬送始端側から搬送終端側に向かって広がる構成となり、位置揃え装置54L,54Rの左右間隔を通過する人参が左右方向にふらつくことを防止でき、人参の茎葉部の切断位置揃えが適正に行なわれる。
【0030】
さらに、大径の茎葉部が位置揃え装置54L,54Rの左右間を通過できず、人参の茎葉部の切断位置が上がり過ぎ、根部に茎葉部が残ることを防止でき、後処理でこの茎葉部を取り除く作業が不要となり、作業能率が向上すると共に、人参が持ち上げられ過ぎ、根部を後述する茎葉切断装置61に切断されてしまうことを防止できるので、人参が傷付くことが無く、商品価値が向上する。
【0031】
そして、前記位置揃えチェーン48,48を構成する複数のリンク48a…に、位置揃えチェーン48,48の上部と下部と茎葉部の接触面を覆う正面視コの字型のガイドカバー51…を取り付け、位置揃えガイド体52を構成する。
【0032】
なお、図15(a)〜(c)で示すように、該ガイドカバー51…は、平面視において前後一側方を凸状のR部51a、前後他側方を凹状のR部51bを形成し、茎葉部との接触面に前後他側方に、後続のガイドカバー51の前後一側方の凸状のR部51a上に向かって突出する突出部51cを形成する。直線部では前方のガイドカバー51の凹状のR部51bに後続のガイドカバー51の凸状のR部51aが入り込み、この後続の凸状のR部を前方の突出部51cが覆うことによって、ガイドカバー51同士の間隔部を覆うことができるので、ガイドカバー51同士の間隔部に人参の茎葉部が噛み込まれることが防止され、機体を停止させて噛み込まれた茎葉部を取り除く必要が無く、作業能率が向上する。
【0033】
また、ガイドカバー51は凸状のR部51aと凹状のR部51bを有し、リンク48aに1つずつ取り付けられていることにより、ガイドカバー51同士は干渉し合うことが無く位置揃えチェーン48,48の移動に追従することができるので、位置揃え装置54L,54Rの移動がスムーズになり、作業能率が向上する。
【0034】
加えて、位置揃えチェーン48,48が円弧軌跡で移動する際、突出部51cを有することにより、ガイドカバー51同士の間に大きな間隔部が生じないため、この間隔部に人参の茎葉部が噛み込まれることを防止でき、機体を停止させて噛み込まれた茎葉部を取り除く必要が無く、作業能率が向上する。
【0035】
なお、位置揃えガイド体52は、複数のガイドカバー51…ではなく、位置揃えチェーン48の上面と下面と茎葉部との接触面を覆う、断面形状コの字型としてもよい。
そして、前記位置揃えチェーン48,48の巻回域内で且つ位置揃え従動スプロケット45,45と位置揃えテンションスプロケット47,47との間に、位置揃えチェーン48,48を巻回域内から茎葉部接触面に向かって押圧する左右のテンションプレート53L,53Rを機体左右方向に位置調節自在に取り付けることにより、左右の位置揃え装置54L,54Rが引抜搬送装置24の搬送方向後側の下方位置に構成される。
【0036】
該テンションプレート53L,53Rは、前記伝動ケース37,37に長穴を形成して取付軸53a,53aをボルト等着脱可能な部材で位置調節に取り付け、該取付軸53a,53aの端部に板体53b,53bを溶着して構成する。
【0037】
なお、テンションプレート53L,53Rは、左右の位置揃え装置54L,54Rに略平行位置に設けてもよいが、機体外側の位置揃え装置53Rの前側にテンションプレート52Rを設ける場合、機体内側の位置揃え装置53Lのテンションプレート52Lは位置揃え装置53Rのテンションプレート52Rよりも機体後側に設けると、大径の茎葉部が位置揃え装置54L,54Rの左右間を通過する際、テンションプレート52Lまたはテンションプレート52Rの無い側に位置揃えチェーン48及び位置揃えガイド体52が移動するので、人参の茎葉部の径が大きくても位置揃え装置54L,54Rに噛み込まれることを防止でき、機体を停止させて噛み込まれた茎葉部を取り除く必要がなく、作業能率が向上する。
【0038】
加えて、テンションプレート53L,53Rの張力は、前記張圧バネ50,50の張力よりも弱く設定すると、大径の茎葉部が通過して負荷がかかると位置揃えチェーン48,48が適正な位置まで撓んで退避することができ、54L,54Rに噛み込まれることを防止でき、機体を停止させて噛み込まれた茎葉部を取り除く必要がなく、作業能率が向上する。
【0039】
そして、前記位置揃え駆動スプロケット42,42の近傍で且つ位置揃えガイド体52,52の外側位置で伝動ケース37,37に長穴を形成し、この長穴に位置揃えガイド体52,52の表面に付着した茎葉部の切れ端や泥等を落とす左右のスクレーパ55,55を位置揃えガイド体52,52の軌跡に沿って位置調節時際に取り付ける。
【0040】
なお、スクレーパ55,55は、後下り傾斜姿勢で配置することにより、茎葉部の切れ端や泥を下方に落下させやすくなる。
そして、前記左右第1ギアユニット38,38の位置揃え装置54L,54Rの後方位置に左右の切断刃回転軸56,56を軸着し、該切断刃回転軸56,56に左右のベアリング57,57を回転自在に取り付ける。そして、前記左右のベアリング57,57に左右の支持プレート59,59を取り付け、該支持プレート59,59に左右の茎葉切断刃60,60を取り付けて、茎葉切断装置61が構成される。
【0041】
また、前記左右第1出力軸40,40に左右茎葉搬送駆動プーリ62,62を軸着し、前記左右第1ギアユニット38,38よりも機体前側で且つ位置揃え装置54L,54Rの上方に左右茎葉搬送従動プーリ63,63を回転自在に取り付ける。そして、該左右茎葉搬送駆動プーリ62,62と左右茎葉搬送従動プーリ63,63とに左右排葉搬送ベルト64,64を無端状に巻回することによって、前記引抜搬送装置24から人参の茎葉部を引き継いで機体後方に排出する排葉搬送装置65が、前記左右の伝動ケース37,37の上部外周で且つ引抜搬送装置24の搬送終端部側の下方に構成される。
【0042】
さらに、前記左右第1出力軸40,40の上端部に左右残葉搬送駆動プーリ66,66を軸着し、前記伝動ケース37,37の上方に左右残葉搬送従動プーリ67,67を回転自在に取り付けるとともに、該左右残葉搬送駆動プーリ66,66と左右残葉搬送従動プーリ67,67との前後間に複数の左右の残葉搬送テンションプーリ68,68…を取り付ける。そして、前記左右残葉搬送駆動プーリ66,66と左右残葉搬送従動プーリ67,67と左右残葉搬送テンションプーリ68,68…とに左右残葉搬送ベルト69,69を無端状に巻回することによって、茎葉の上部を挟持して機体後方に搬送する残葉搬送装置70が、前記排葉搬送装置65の上方に構成される。
【0043】
上記排葉搬送装置65と残葉搬送装置70の終端部から茎葉切断装置61によって切断された茎葉を圃場に排出する排葉シュータ71を設けて、茎葉切断部Dを構成する。
上記構成により、左右の位置揃え駆動スプロケット42,42が、茎葉部が通過する位置揃え装置54L,54Rの左右間隔部から離間する位置に配置されることにより、位置揃え駆動スプロケット42,42や第2出力軸41,41に茎葉部が絡み付いて位置揃え装置54L,54Rを停止させてしまうことを防止できるので、収穫作業が中断されず、作業能率が向上する。
【0044】
また、位置揃え駆動スプロケット42,42を位置揃え従動スプロケット45,45及び位置揃えテンションスプロケット47,47よりも小径としたことにより、位置揃え駆動スプロケット42,42がいっそう位置揃え装置54L,54Rの左右間隔部から離間するので、位置揃え駆動スプロケット42,42や第2出力軸41,41に茎葉部が絡み付くことをいっそう防止でき、作業能率がさらに向上する。
【0045】
そして、位置揃え従動スプロケット45,45を張圧する左右の張圧バネ50,50を設けたことにより、位置揃え装置54L,54Rに茎葉部が接触する際に左右の位置揃えチェーン48,48に生じる弛みを吸収させることができ、位置揃えチェーン48,48がすぐに張り状態に戻るため、径の異なる茎葉部が連続して通過するときでも位置揃え装置54L,54Rが確実に人参の茎葉部を受けることができ、人参の茎葉部の切断位置が適正に揃えられて茎葉部が適正に切断され、後工程で茎葉部を除去する必要が無く、作業能率が向上する。
【0046】
また、左右の受け板49,49を前後方向に移動させることで張圧バネ50,50の張力が調節されることにより、人参の生育状況や品種による茎葉部の径の差異、あるいは天候や土質等、作業場所の作業条件に合わせて張力を適正に変更できるので、人参の茎葉切断位置の位置揃えを適正に行い茎葉部を確実に切断することにより、後工程で人参に残る茎葉部を取り除く必要がなくなり、作業能率が向上する。
【0047】
さらに、左右の位置揃えフレーム43,43に機体左右方向の孔部44,44を形成し、この孔部44,44に位置揃え従動スプロケット45,45を軸着した回転軸46,46を移動自在に設けたことにより、負荷がかからない状態では、張圧バネ50,50に張圧された位置揃え従動スプロケット45,45は茎葉部の搬送経路寄りに移動するので、小径の茎葉部が通過する際に位置揃え装置54L,54Rが茎葉部を受けて人参の茎葉部の切断位置を適正に揃えることができ、後工程で人参に残る茎葉部を取り除く必要がなくなり、作業能率が向上する。
【0048】
また、大径の茎葉部が通過する際、左右の位置揃え装置54L,54Rに大きな負荷がかかると、位置揃え従動スプロケット45,45は孔部44,44に沿って茎葉部の移動経路から離間する方向に移動するので、位置揃え装置54L,54Rの前側の左右間隔が広くなり、茎葉部が位置揃え装置54L,54Rの間隔部に噛み込まれることを防止でき、機体を止めて噛み込まれた茎葉部を取り除く必要が無く、作業能率が向上する。
【0049】
なお、人参の茎葉部が須らく大径であることが収穫作業前にわかっている場合には、位置揃え従動スプロケット45,45を左右の位置揃え装置54L,54Rの左右間から離間する方向に移動させ、位置揃え装置54L,54Rの搬送方向上手側の左右間隔を広くしておくと、位置揃え装置54L,54Rが茎葉部を噛み込むことを防止でき、噛み込んだ茎葉部を取り除く作業が必要なく、作業能率が向上する。
【0050】
そして、位置揃えチェーン48,48を構成する複数のリンク48a…毎にガイドカバー51…を取り付けて位置揃えガイド体52を構成したことにより、任意の箇所のガイドカバー51を自在に着脱できるので、一部のガイドカバー51が損傷しても、新しいガイドカバー51に取り替えるだけで適正な位置揃え性能が維持され、茎葉部が適正に切断されるので、作業能率が向上する。
【0051】
また、位置揃えガイド体52全体を取り替える必要がないので、コストダウンを図ることができる。
さらに、ガイドカバー51の着脱は、工具を必要とせず手作業で行なえるので、交換作業を容易に行なうことができる。
【0052】
そして、ガイドカバー51が位置揃えチェーン48の上面と下面と茎葉部との接触面を覆う正面視コの字形状としたことにより、ガイドカバー51と位置揃えチェーン48との間に空間部が生じないので、ガイドカバー51と位置揃えチェーン48との間で茎葉部を挟み込んでしまい、人参が適正な切断位置に揃えられず茎葉部が切り残されることを防止でき、後工程で茎葉部を除去する作業が必要なく、作業能率が向上するとともに、人参の根部が切断されることを防止でき、人参の商品価値が向上する。
【0053】
また、ガイドカバー51に凸上のR部51aと凹状のR部51bとを形成し、後続のガイドカバー51の凸状のR部51aを前側のガイドカバー51の凹状のR部51bに近接させて位置揃えチェーン48に取り付けることにより、位置揃えチェーン48が位置揃え従動スプロケット45などの周囲を円弧軌道で移動する際、ガイドカバー51…は追従して移動できるので、位置揃え装置54L,54Rは一定の周速で動作するため、茎葉部を受けて人参の茎葉部の切断位置を適正に揃えることができ、後工程で人参に残る茎葉部を取り除く必要がなくなり、作業能率が向上する。
【0054】
さらに、凸状のR部51a上に向かって突出する突出部51cを設けたことにより、位置揃えチェーン48が位置揃え従動スプロケット45などの周囲を円弧軌道で移動する際、ガイドカバー51…同士の前後間に生じる空間部をこの突出部51cが覆うため、ガイドカバー51…同士の前後間の空間部で茎葉部を挟み込んでしまい、人参が適正な切断位置に揃えられず茎葉部が切り残されることを防止でき、後工程で茎葉部を除去する作業が必要なく、作業能率が向上するとともに、人参の根部が切断されることを防止でき、人参の商品価値が向上する。
【0055】
そして、位置揃えチェーン48,48の巻回域内に左右のテンションプレート53L,53Rを設けたことにより、位置揃えチェーン48,48を巻回域内から押圧するため、大径の茎葉部が通過する際、テンションプレート53Lまたはテンションプレート53Rが押圧していない部分の位置揃えチェーン48,48は位置揃え駆動スプロケット42,42の方向へ退避できるので、茎葉部が位置揃え装置54L,54Rの左右間に噛み込まれることが無く、機体を止めて噛み込まれた茎葉部を取り除く必要が無く、作業能率が向上する。
【0056】
また、位置揃え駆動スプロケット42,42の外周を移動する位置揃えガイド体52,52に付着した茎葉部の破片や泥等の夾雑物を擦り落とす左右のスクレーパ55,55を設けたことによって、茎葉部の移動経路から離れて位置で位置揃えガイド体52,52に付着した夾雑物を除去することができるので、茎葉部の破片が位置揃え装置54L,54Rの各部に絡み付くことが防止され、機体を止めて絡み付いた茎葉部の破片を取り除く必要が無く作業能率が向上すると共に、泥の塊が人参の根部を傷つけることが防止され、人参の商品価値が向上する。
【0057】
さらに、スクレーパ55,55は長穴に沿って取り付け位置を変更することができるので、収穫作業を行う圃場の人参の茎葉部の径の平均に合わせて最適な位置にスクレーパ55,55を設定し、確実に茎葉部の破片や泥等の夾雑物を位置揃えガイド体52,52から除去することにより、上記の効果がさらに向上する。
【0058】
そして、茎葉切断装置61で人参から切断された排葉(切断された茎葉部)を圃場に排出する排葉シュータ71が、既掘り側(人参を収穫し終えた側)に茎葉を排出するように下方傾斜姿勢に設けられていることによって、排出された茎葉が未掘り側(人参を収穫していない側)の人参の上に落下し、排葉が左右挟持搬送ベルト19,19や左右従動プーリ17,17等に絡み付いて収穫部Cを停止させて収穫作業を妨げることが防止できるので、作業能率が向上すると共に、人参の上に落下した排葉が収穫する人参の視認性を妨げることを防止できる。
【0059】
次に、残葉処理部Eについて説明する。
図1〜図7で示すように、前記茎葉切断装置61の下方に前後残葉処理フレーム72,72を設け、該残葉処理フレーム72,72の機体左右一側の前後間に第1残葉処理ローラ73aを回転自在に取り付ける。また、前記残葉処理フレーム72,72の機体左右他側の前後間で且つ第1残葉処理ローラ73aよりも下方位置に第2残葉処理ローラ73bを回転自在に取り付ける。そして、該第1残葉処理ローラ73aと第2残葉処理ローラ73bとにゴムやウレタン等の弾性体で構成する残葉処理ベルト74を無端状に巻回する。さらに、該残葉処理ベルト74の上部に人参の根部に残った残葉を残葉処理ベルト74と共に挟み込んで回転して切除する残葉処理ローラ75を取り付けて、茎葉切断部Dから引き継いだ人参の残葉を処理しながら機体外側方向から左右内側方向に搬送する残葉処理コンベア76を構成することにより、残葉処理部Eが構成される。
【0060】
なお、該残葉処理コンベア76は、機体左右一側から左右他側に向けて2〜5度程度傾斜している。
これにより、落下した人参は残葉処理ベルト74の駆動と傾斜による移動により移動するので、残葉処理コンベア76上で人参の移動が停止することがなく、手作業で停止した人参を動かす必要がなく、作業能率が向上する。また、残葉処理コンベア76が若干(約2〜5度)傾斜していることにより、機体が圃場の状態等により機体左右一側方向に傾斜しても残葉処理コンベア76は地面に対して略水平状態となるに留まるので、人参が残葉処理コンベア76上に停滞したり、残葉処理コンベア76の搬送方向とは逆方向に移動することがなく、こうした人参を手作業で搬送経路に戻す必要がなく、作業能率が向上する。
【0061】
上記構成により、残葉処理コンベア76を構成する残葉処理ローラ75が、茎葉切断装置61で切り残された人参の残葉を千切り取るため、収穫作業後に人手で残葉を切除する作業を省略することができ、作業能率が向上する。
【0062】
また、残葉処理コンベア76を構成する残葉処理ベルト74をゴムやウレタン等の弾性体で構成したことによって、茎葉切断装置61で茎葉部を切除されて人参が落下しても残葉処理ベルト74が落下の衝撃を軽減するので、落下の衝撃で人参が傷付くことが防止され、人参の品質が向上する。
【0063】
次に、選別搬送部Fについて説明する。
図2〜図11で示すように、前記残葉処理コンベア76よりも機体前側で且つ下方位置に前後の第1搬送フレーム77,77を前後方向に所定間隔を開けて配置し、該第1搬送フレーム77,77の機体内側端部(機体左右他側端部)で且つ外側に前後の第2搬送フレーム78,78を前後方向に所定間隔を空けて且つ搬送終端部側が上下回動自在に配置する。そして、該第1搬送フレーム77,77の機体左右一側端部に前後の駆動スプロケット79,79を夫々回転自在に取り付け、第1搬送フレーム77,77の機体左右他側端部に前後の中継スプロケット80,80を夫々回転自在に且つ駆動スプロケット79,79よりも下方位置に取り付けると共に、第2搬送フレーム78,78の機体左右他側端部に前後の従動スプロケット81,81を夫々回転自在に取り付ける。また、該駆動スプロケット79,79と中継スプロケット80,80と従動スプロケット81,81とに前後の伝動チェーン82,82を夫々無端状に巻回し、前記中継スプロケット80,80の上部に伝動チェーン82,82を張圧する前後のテンションスプロケット83,83を前記第1搬送フレーム77,77で且つ伝動チェーン82,82に接触する位置に回転自在に取り付ける。
【0064】
さらに、該伝動チェーン82,82に人参を載せて搬送する複数の搬送プレート84…を回動自在に取り付けると共に、該搬送プレート84の搬送方向上手側端部(左右一側端部)が後続の搬送プレート84の搬送方向下手側端部(左右他側端部)にオーバーラップするように配置する。
【0065】
該搬送プレート84は、図8(a)(b)(c)で示すように、一枚の長方形の板体の長辺の一側を、前記前後の伝動チェーン82,82の上方を塞ぐと共に搬送プレート84…同士が互いにオーバーラップし合う短辺側の両端部84a,84aを残して切断面が略直線状となる切抜部84bを形成し、さらに板体の端部を残して平面視H型に切り抜いて空間部84cを形成し、該空間部84cを形成する際に切り残した前後の凸部84d,84dに伝動チェーン82,82の取付穴にピン等を介して取り付けるための孔を形成し、該凸部84d,84dを空間部84cに向けて折り曲げて形成する。図8(a)において、斜線を付した部分が、加工の際に除外される部分である。
【0066】
なお、複数の搬送プレート84…は、図9、図10で示すように、全ての切抜部84bが左右一側方向または左右他側方向に向くように伝動チェーン82,82に取り付けると、該切抜部84bから人参の茎葉部の切れ端や泥等の夾雑物を圃場に落下させることができ、夾雑物が機体や収容袋 に残らないので収穫作業後の掃除が容易になり、メンテナンス性が向上する。そして、人参の茎葉部や泥は圃場に還元されるので、地力が向上し、次に育成する作物の品質が向上する。
【0067】
また、図11で示すように、切抜部84bの向きを左右一側、左右他側、左右一側、左右他側…と交互に配置することにより、切抜部84b同士が隣接して大きな落下空間84eが構成されるので、この落下空間84eから夾雑物だけでなく成長不良による極小サイズの人参や収穫の際に折れた人参の欠片等も圃場に排出することができ、商品価値の無い人参を圃場に還元させて地力の向上を図ることができると共に、後工程の選別作業、特に選別装置を用いる場合に誤選別を減らすことができ、人参を正確な等級に選別して出荷することができ、商品価値をいっそう向上させることができる。
【0068】
さらに、搬送プレート84…は、表面をゴム等の軟質部材でコーティングすると、残葉処理コンベア76から引き継ぐ際の人参の落下の衝撃を軽減でき、人参が傷つくことが防止されて商品価値が向上する。
【0069】
そして、前記複数の搬送プレート84…のうち、数個おきにゴムや塩化ビニル等の弾性体で構成する搬送ラグ85…を取り付ける。また、前記第2搬送フレーム78,78の左右間に支持プレート86を取り付け、該支持プレート86と機体フレーム1との間に選別搬送コンベア87の搬送終端部側を上下動させる昇降シリンダ88を伸縮自在に取り付けて、機体左右一側から左右他側に亘って人参を搬送する選別搬送コンベア87を構成する。さらに、該選別搬送コンベア87の搬送終端部の下部に、選別搬送コンベア87の搬送終端部から排出される人参を滑らせて移動させる、ゴム板や塩ビ板等の軟質部材で構成する排出シュータ89を端部が下方に垂れ下がる姿勢で取り付ける。
【0070】
なお、選別搬送コンベア87の搬送終端部側の下部に駆動モータ115を設け、該駆動モータ115の駆動軸にカムローラ116を軸着し、該カムローラ116を排出シュータ89の基部側の下部に接触する構成とすると、排出シュータ89が間欠的に機体左右方向に揺動するので、人参が収容袋97に一箇所に片寄って落ちることを防止でき、積み重なった人参が崩れてぶつかり合い、傷付いて商品価値が低下することが防止される。
【0071】
また、昇降シリンダ88は電動式でも油圧式でも空圧式でもよく、手動で伸縮操作するものでもよい。駆動モータ115は電動モータでも油圧モータでもよい。
そして、前記機体フレーム1の機体左右他側の後部で且つ選別搬送コンベア87よりも機体後側に、前記選別搬送コンベア87で搬送中の人参の選別作業や選別搬送コンベア87の操作を行なう補助作業者が搭乗する搭乗ステップ90を配置し、該搭乗ステップ90上で且つ選別搬送コンベア88の中継スプロケット80,80を配置した近傍位置に補助作業座席91を取り付ける。
【0072】
さらに、前記昇降シリンダ88を伸縮操作して選別搬送コンベア87の搬送終端部側を上下動させる上昇ペダル92aと下降ペダル92bとを該搭乗ステップ90上で且つ補助作業座席91に着座した補助作業者が足で踏んで操作できる位置に配置することによって、選別搬送部Fが構成される。
【0073】
なお、上昇ペダル92aと下降ペダル92bは、機体前後方向向き、あるいは機体左右方向向きの回動支点を中心として、前後または左右の一方を踏むと選別搬送コンベア87の搬送終端部側が上昇し、前後または左右の他方を踏むと選別搬送コンベア87の搬送終端部側が下降する昇降ペダル(図示せず)としてもよい。
【0074】
上記構成によれば、駆動スプロケット79,79よりも中継スプロケット80,80を下方に配置したことにより、選別搬送コンベア87のうち駆動スプロケット79,79から中継スプロケット80,80を配置した区間は、機体内側方向(機体左右他側方向)に約2〜5度傾斜して、残葉処理コンベア76と略平行姿勢とすることにより、人参が残葉処理コンベア76の何処から落下しても残葉処理コンベア76と選別搬送コンベア87の搬送始端部との落差が略同じなので、落下の衝撃で人参が傷付くことが防止でき、商品価値が向上する。
【0075】
また、搬送プレート84…の両端部84a,84aが前後の伝動チェーン82,82の上方を覆う構成としたことにより、人参と共に選別搬送コンベア87に送られた茎葉部の切れ端や泥等の夾雑物が伝動チェーン82,82に落下して接触することを防止でき、伝動チェーン82,82が夾雑物を噛み込んで停止したり外れたりして作業が停止することが防止され、作業能率が向上する。
【0076】
そして、伝動チェーン82,82の上方に夾雑物の侵入を阻止するカバー部材を設ける必要がなく、部品点数を削減でき、メンテナンス性の向上やコストダウンが図られる。
さらに、搬送プレート84…の切抜部84bの切断面を略直線状としたことによって、軍手等を身に付けた補助作業者が選別作業中に切抜部84bに手を近付けても軍手が引っ掛かって巻き込まれにくくなるので、作業の安全性が向上する。
【0077】
この切抜部84bの切断面をR形状とすると人参が切抜部84bに接触しても傷付きにくいが、上述のように軍手等を身に付けた状態で手が触れると軍手等が巻き込まれることがあり、補助作業者が手を怪我するおそれや、巻き込まれた軍手等が選別搬送コンベア87を停止させるおそれがあるため、上述のように略直線状の切断面としている。この場合でも、搬送プレート84全体、もしくは切抜部84bの周囲をゴム等の弾性素材で被覆すれば、人参が切抜部84bに接触しても傷付くことを防止できる。
【0078】
なお、この切抜部84bや空間部84cは、レーザー等で板体を溶断する、プレス機で板体を型抜く等の方法で形成すると切断面にバリや凹凸が生じにくく、いっそう人参の傷付きを防止できる。
【0079】
そして、搬送プレート84…に数個おきに搬送ラグ85…を設けたことにより、選別搬送コンベア87の傾斜角度を大きくした際、この搬送ラグ85で人参が選別搬送コンベア87の下方(搬送方向上手側)に向かって転げ落ちることを防止でき、落下の衝撃で人参が傷付くことを防止でき、商品価値が向上する。
【0080】
また、同じ人参が選別搬送コンベア87に長時間乗り続けることを防止でき、作業能率が向上する。
さらに、搬送ラグ85を弾性体で構成したことにより、人参が残葉処理コンベア76から選別搬送コンベア87に送られる際に、搬送ラグ85に接触しても傷付くことが防止でき、人参の商品価値が向上する。
【0081】
なお、搬送ラグ85は、金属板や樹脂板等の比較的硬質な素材を芯材85aとし、この芯材85aをゴム板や塩ビ板等の弾性板85bで被覆して構成すると、選別搬送コンベア87の傾斜部で人参が搬送ラグ85に接触したとき、搬送ラグ85が折れ曲がり過ぎて人参を転げ落としてしまうことがなく、いっそう人参が傷付くことを防止でき、商品価値を向上させることができる。
【0082】
また、搬送プレート84が選別搬送コンベア87の非搬送作用側に移動するとこの搬送ラグ85の上端部が下を向くので、搬送ラグ85を上端部が選別搬送コンベア87の底板(図示せず)に接触する長さにすると、選別搬送コンベア87の底板に付着した茎葉部の切れ端や泥等の夾雑物を削ぎ落とすスクレーパとして作用させることができ、選別搬送コンベア87の内部に夾雑物が溜まることが防止され、メンテナンス性が向上する。
【0083】
そして、昇降シリンダ88を操作する上昇ペダル92aと下降ペダル92bとを補助作業座席91に着座した補助作業者の足が届く位置に設けたことにより、補助作業者は補助作業座席91に着座したまま選別搬送コンベア87の搬送終端部側を上下動させることができ、作業能率が向上するとともに作業者の労力が軽減される。
【0084】
また、上昇ペダル92aと下降ペダル92bとを設けたことにより、補助作業者は選別搬送コンベア87の上下動を足だけで操作することができ、手を搬送中の人参の選別作業に集中させられるので選別精度が向上すると共に、手を選別搬送コンベア87の構成部材で挟んだり切ったりすることが防止でき、作業の安全性が向上する。
【0085】
次に、収容部Gの構成について説明する。
図2〜図7及び図17、図18で示すように、前記選別搬送コンベア87の前後の第2搬送フレーム78,78の搬送方向下手側(左右他側部)の左右間で且つ前後の伝動チェーン82,82の巻回域内に回動軸93を機体前後方向に貫通させて取り付ける。また、該回動軸93の前後両端で且つ第2搬送フレーム78,78よりも外側に前後のスイングアーム94,94の基部を上下回動自在に取り付け、該スイングアーム94,94の左右他側端部にハンガーシャフト95を回動自在に貫通させて一体に連結する。そして、該ハンガーシャフト95の搬送方向両端部(機体左右両端部)に人参を収容する収容袋(フレキシブルコンテナバッグ)97を、上側開口部が平面視で略四角形となるように吊り下げる前後の吊下ハンガー96,96をそれぞれ固定して取り付ける。
【0086】
なお、前記第2搬送フレーム78,78には、前後のスイングアーム94,94の下部に接触して、一定高さ以下にスイングアーム94,94が下ることを防止する前後のストッパS,Sを取り付ける。これにより、スイングアーム94,94が下がり過ぎ、収容袋97を吊り下げる吊下ハンガー96,96が右下り傾斜姿勢となることを防止でき、収容袋が搬送終端部側(機体左右他側部)に向かって傾き、収容した人参が機外にこぼれ落ちることが防止され、人参が傷つかず商品価値が向上する。
【0087】
さらに、前記ハンガーシャフト95のうち、機体前側のスイングアーム94と吊下ハンガー96との間で且つハンガーシャフト95の軸心に対して直交する方向に平面視D字形のアーム95aを固着し、該アーム95aに選別搬送コンベア87の搬送終端部側の上下動に合わせて吊下ハンガー96,96を引っ張る引張ワイヤ98の一側端部に設けた第1フック99を引っ掛けて取り付ける。そして、前記操縦部フレーム10の後部で且つ機体左右他側に上下一対の回転体を備えた滑車100を取り付け、該滑車100の回転体の上下間に前記引張ワイヤ98を通過させ、該引張ワイヤ98の他側端部に引張ワイヤ98を機体左右一側方向に張圧する張圧スプリング101の一側端部を取り付ける。また、前記操縦部フレーム10の後部で且つ機体左右一側に第2フック102を取り付け、該第2フック102に張圧スプリング101の他側端部を引っ掛けることで、吊下機構103を構成する。
【0088】
なお、該回動軸93の両端部は、六角形・八角形・スプライン加工等を施すと、ハンガーシャフト95の前後中央位置よりも機体前側の偏った位置に設けたアーム95aに第1フック99を介して引張ワイヤ98を取り付けても、引張ワイヤ98の張圧力でスイングアーム94,94が回動し過ぎることがないので、ハンガーシャフト95に強い捻じれる力がかかることを防止でき、ハンガーシャフト95が歪んだり折れたりすることが防止される。
【0089】
そして、前記機体フレーム1の機体左右他側後部に前後支持プレート104,104を機体左右方向に取り付け、該前後支持プレート104,104の機体外側端部に載置部フレーム105を、左右回動軸105aを回動支点として機体左右方向に回動自在に取り付ける。そして、該載置部フレーム105の後下部に上下回動軸106aを設け、該上下回動軸106aの上部に前後の吊下ハンガー96,96に吊り下げられる収容袋97の底部を載置支持する載置台107を上下回動自在に取り付ける。
【0090】
また、前記載置部フレーム105の後側の左右他側端部に後側支持プレート108を設け、前記上下回動軸106aの左右他側端部に回動プレート109の下端部を機体前後方向に回動自在に軸着するとともに、該回動プレート109の上部と後側支持プレート108の上部との間に伸縮自在な伸縮ロッド110を取り付ける。さらに、該伸縮ロッド110の機体後側の端部に伸縮ロッド110を伸縮させる操作ハンドル111を取り付けるとともに、前記載置台107の左右両側及び後側に収容袋97の落下を防止する落下防止板112を取り付ける。そして、該落下防止板112の機体左右他側に、前記引張ワイヤ98の第1フック99を引っ掛ける載置部アーム113を取り付けて積み下ろし機構114を構成する。該積み降ろし機構114と吊下機構103とから、収容部Gが構成される。
【0091】
なお、伸縮ロッド110は一方の棒材の表面に螺子溝を刻み、他方の中空の棒材の内面に螺子溝を刻み、互いの棒体の螺子溝を合わせて操作ハンドル111で回転させて伸縮する構成としているが、電動シリンダや油圧シリンダに置き換えてもよく、その場合は操作ハンドル111をスイッチやレバーに置き換えてもよい。
【0092】
次いで、上記収容部Gの動作について説明する。
人参の収穫作業開始時には、前記選別搬送コンベア87の搬送終端部から収容袋97までの人参の落下距離を最小限にするため、該選別搬送コンベア87を最下位置まで下降させる。
【0093】
この動作により、前記前後のスイングアーム94,94の機体左右他側端部が上昇すると共に、引張ワイヤ98でハンガーシャフト95のアーム95aが引っ張られてハンガーシャフト95が機体左右他側方向に回動し、これに伴い該ハンガーシャフト95の前後両端部に固定される吊下ハンガー96,96の機体左右他側端部が上昇して機体左右一側部が下降した右上り傾斜姿勢となる。
【0094】
また、該吊下ハンガー96,96の機体左右他側部が機体左右一側部よりも上方に位置する傾斜姿勢となることにより、吊下ハンガー96,96に吊り下げられた収容袋(フレキシブルコンテナバッグ)97の、選別搬送コンベア87の搬送終端部側から人参が排出される搬送始端部側(機体左右一側部)が弛んで上下長さが短くなり、搬送終端部側(機体左右他側部)は殆ど弛みが生じず上下長さが長くなるので、背面視での収容袋97の上側開口部は右上り傾斜姿勢となる。このとき、前記排出シュータ89は、収容袋97の機体左右一側部の内側に端部を垂れ下がらせて入り込ませておく。
【0095】
そして、収穫作業が進行し、収容袋97に収容された人参が一定量を超えると、補助作業者が上昇ペダル92aを足踏み操作し、昇降シリンダ88を伸ばして選別搬送コンベア87の搬送終端部側を上昇させる。
【0096】
この動作により、前記スイングアーム94,94の機体左右他側端部が選別搬送コンベア87の上昇量に反比例して下降すると共に、前記引張ワイヤ98がハンガーシャフト95のアーム95aが引っ張られて、ハンガーシャフト95が搬送始端部側(機体左右一側方向)に回動するので、吊下ハンガー96,96や収容袋97の上側開口部の傾斜角度が小さくなる。
【0097】
これに伴い、収容袋97の機体左右一側部が上方に吊り上げられ、収容袋97の機体左右一側部の上側の弛みが解消されると共に収容袋97の機体左右一側部の上下長さが長くなり、収容袋97の機体左右一側の上下長さと機体左右他側部の上下長さの差が小さくなる。
【0098】
なお、この動作による選別搬送コンベア87の搬送終端部と収容袋97との落差の変化は殆どなく、また排出シュータ89の端部は、収容袋97の内部に垂れ下がって入り込んでいる。
【0099】
そして、収穫作業がさらに進行し、収容袋97に収容された人参が再び一定量を超えると、選別搬送コンベア87の搬送終端部を圃場面に対して略水平となる高さまで上昇させる。
【0100】
この動作により、前記スイングアーム94,94は機体左右他側部が機体左右一側部よりも若干上方に位置する右上り傾斜となり、前記引張ワイヤ98がハンガーシャフト95のアーム95aを引っ張るので、ハンガーシャフト95が搬送始端部側(機体左右一側方向)に回動し、前記吊下ハンガー96,96や収容袋97の上側開口部は圃場面に対して略水平姿勢となる。
【0101】
これに伴い、収容袋97の機体左右一側部の弛みが全て解消され、機体左右一側と機体左右他側の上下高さが略同じ高さとなる。なお、この状態でも選別搬送コンベア87の搬送終端部と収容袋97との落差の変化は殆どない。
【0102】
そして、収容袋97の収容量が一杯になると、機体や引抜搬送装置24、選別搬送コンベア87等を停止させ、収容袋97の上部のフックを吊下ハンガー96,96から取り外し、積み下ろし機構114の操作ハンドル111を操作して、載置台107を前方または後方に下降させる。これにより、人参が収容された収容袋97は自重で載置台107を滑り降りるので、収容袋97を機体前側に降ろしたときは機体を後退させ、収容袋97を機体後側に降ろしたときは機体を前進させることにより、約200kgの人参を収容した収容袋97が収容部Gから降ろされて圃場に設置される。
【0103】
上記構成及び動作により、収容袋97の機体左右他側部には弛みが生じないため、人参の収容量の増加に合わせて選別搬送コンベア87の搬送終端部を上昇させるだけで収容袋97の機体左右一側部の弛みを取ることができ、収穫作業を中断する必要が無くなり、作業能率が向上する。
【0104】
また、選別搬送コンベア87の搬送終端部と収容袋97の機体左右一側部との落差が常に略一定であるので、落下の衝撃で人参が傷付くことを防止でき、人参の商品価値が向上する。
【0105】
そして、滑車100を通過させて引張ワイヤ98を設けたことにより、ハンガーアーム95が回動して引張ワイヤ98が動いても前後方向にずれることが防止されるので、選別搬送コンベア87の上下動に合わせて吊下機構103を上方に引き上げることができ、収容袋97と選別搬送コンベア87との落差が大幅に変化したり人参が収容袋97から投げ出されることが防止され、落下の衝撃で人参が傷付くことがなく、商品価値が向上する。
【0106】
さらに、引張ワイヤ98の一側端部の第1フック99を、ハンガーシャフト95の機体前側の吊下ハンガー96とスイングアーム94との間に固着したアーム95aに引っ掛け、引張ワイヤ98の他側端部を操縦フレーム10の後部に設けた第2フック102に張圧スプリング101を介して引っ掛けたことにより、引張ワイヤ98は選別搬送コンベア87よりも機体前側に位置するので、選別搬送コンベア87よりも機体後側の搭乗ステップ90に搭乗して、あるいは補助作業座席91に着座して作業を行う補助作業者を引張ワイヤ98が邪魔することが無く、作業能率が向上する。
【0107】
また、排出シュータ89の端部を収容袋97の内側に垂れ下がらせたことにより、排出シュータ89と収容袋97との間の人参が落下し得る空間部がなくなるので、選別搬送コンベア87から排出される人参が落下することを防止でき、人参の商品価値が向上する。
【0108】
なお、この排出シュータ89の機体前後方向の幅は、選別搬送コンベア87の機体前後方向の幅と略同じにすると、上記の人参の落下防止効果がいっそう向上する。
そして、収穫作業中は載置台107を機体左右他側に回動して収容袋97の底部を支持できるとともに、作業終了後は機体左右一側に載置台107を回動させて折り畳むことができるので、機体の左右幅がコンパクトになり、機体を軽トラック等の搬送手段に載置しやすくできると共に、倉庫等の収容場所にスペースを取り過ぎることなく収容することができる。
【0109】
なお、作業終了時に載置台107を折り畳む際、載置台107に設けた載置台アーム113に引張ワイヤ98の一側端部の第1フック99を引っ掛けておくと、選別搬送コンベア87の搬送終端部側の上昇を利用して載置台107を機体左右一側に回動させて折り畳むことができ、作業者の労力が軽減される。
【0110】
また、操作ハンドル111を操作して伸縮ロッド110を伸縮させ、載置台107を上下に回動させられるため、載置台107を下方に傾斜させて人参を満載した収容袋97を下方に移動させた後、機体を後進させることによって収容袋97を圃場に移動させることができるので、操縦者や補助作業者の労力が軽減されると共に作業能率が向上する。
【0111】
なお、収容部Gの載置部フレーム105を前後逆方向に取り付け、他の構成部品を上記構成例とは前後方向反対向きに設けることによって、載置台107を機体後側に下方傾斜させ、人参を満載した収容袋97を下方に移動させた後、機体を前進させることによって収容袋97を圃場に移動させることができるので、操縦者や補助作業者の労力が軽減されると共に、機体を後進させる必要がなくなるのでいっそう作業能率が向上する。
【0112】
以下、本件人参の収穫機の別実施例を説明する。
図19で示すように、操縦部Bの操縦フレーム10と選別搬送部Fの選別搬送コンベア87との間に中空の支持ポール117を設け、該支持ポール117の、吊下機構103の回動軸93よりも上部に孔を開けた取付ステー118を溶着する。そして、該取付ステー118の孔に引張ワイヤ119の一側端部を取り付け、該引張ワイヤ119の他側端部をアーム95aに取り付ける。前記牽引ワイヤ119は、選別搬送コンベア87を最下降させたときに最も張力が強まり、収穫作業時の最上昇位置に上昇させたときに最も張力が弱まる。
【0113】
そして、図20、図21で示すように、前記支持ポール117の中空部に、操縦座席11または補助作業座席91のいずれか一方、あるいは両方の上方を遮蔽して直射日光や雨等から操縦者、補助作業者、その他作業用の道具等を保護するパラソル120を設けてもよい。
【0114】
上記構成により、支持ポール117とハンガーシャフト95とを引張ワイヤ119で連結するので、吊下機構103の部品点数を削減することができ、コストダウンやメンテナンス性の向上が図られる。
【0115】
また、支持ポール117を操縦フレーム10と選別搬送コンベア87との間に設けたことにより、デッドスペースの有効活用ができると共に、選別搬送コンベア87よりも機体後側の搭乗ステップ90に搭乗して作業を行う補助作業者を支持ポール117や引張ワイヤ119が邪魔することが無く、作業能率が向上する。
【0116】
そして、パラソル120を設けることによって、作業者と補助作業者は強烈な直射日光や雨(雪)などを浴びることなく収穫作業をすることができ、急激な発汗による疲労や雨に濡れることによる不快感が軽減され、作業能率が向上すると共に作業者の労力が軽減される。
【0117】
さらに、天候に左右されず収穫作業を行うことができるので、適切な時期に人参を収穫することができ、人参の商品価値が向上する。
図22で示すように、機体前側の第1搬送フレーム77の搬送方向下手側(機体左右他側端部側)に第1支持アーム121を取り付け、機体前側の第2搬送フレーム78外側で且つ吊下機構103の回動軸93の機体前側端部に第2支持アーム122を回動自在に且つ上部が回動軸93よりも上方となる位置に取り付ける。そして、該第1支持アーム121にハンドル124を操作することによって長さ調節自在なターンロッド123の一側端部を取り付け、第2支持アーム122にターンロッド123の他側端部の二又の長穴部123aを取り付ける構成としてもよい。
【0118】
上記構成により、ターンロッド123の他側端部を長穴部123aとしたことにより、収容袋97の人参の収容量に応じて選別搬送コンベア87を上下動させると、第2支持アーム122が前後のスイングアーム94,94の上下動に応じて上下回動することができるので、部品点数の削減が図られ、製造コストが低下するとともにメンテナンス性が向上する。
【0119】
そして、ハンドル124を操作してターンロッド123の長さを変更することにより、収穫する人参の品種や泥が人参に付着しやすいか否か等の作業条件に合わせて収容袋97の機体左右一側部の弛みを調節することができ、収容袋97の機体左右一側部が弛み過ぎて収容袋97の容量を無駄にすることが防止され、収容袋97の限界収容量よりも収容量が少ない状態で機体から降ろすことが無く、作業能率が向上するとともに使用する収容袋97の数を減らすことができ、収穫作業後に回収する手間や収容袋97を掃除する手間がかからず、作業者の労力が軽減される。
【0120】
逆に、収容袋97を張り詰めさせ過ぎてしまい、人参の重量を受けて上下方向に強い張力を受けることにより、収容袋97が傷むことを防止でき、収容袋97を長期間使用することができると共に、収穫作業中、あるいは後工程での回収作業中や積載作業中、洗浄作業中に収容袋97が破損し、収容していた人参が落下することを防止でき、落下の衝撃で人参が傷付くことが防止され、人参の商品価値が向上する。
【0121】
さらに、第2支持アーム122の上部を回動軸93よりも上方に位置させたことにより、ターンロッド123が引っ張られて力が分散されるので、第2支持アーム122やターンロッド123の耐久力が向上する。
【0122】
図23(a)(b)(c)で示すように、搬送ラグ85を、機体前側端部から後側端部に向かうほど上下高さが低くなる、不等辺台形状あるいは直角三角形状の芯材85cと、該芯材85cをゴム板や塩ビ板等の弾性板85bで被覆する構成としてもよい。
【0123】
上記構成により、残葉処理コンベア76から人参が送られる際、人参が搬送ラグ85上に落ちても、残葉処理コンベア76に近い側の芯材85cの上下高さが低いので、弾性板85bが大きく変形でき、落下の衝撃で人参が割れることが防止され、人参の商品価値が向上する。
【0124】
また、選別搬送コンベア87の傾斜部で人参が搬送ラグ85に接触したとき、搬送ラグ85が折れ曲がり過ぎて人参を転げ落としてしまうことがなく、いっそう人参が傷付くことを防止でき、商品価値を向上させることができる。
【0125】
図24で示すように、前後のスイングアーム94,94の端部から機体左右他側方向に向かって前後の延長アーム124,124を、機体左右一側部よりも機体左右他側部が下方に位置する右下り傾斜姿勢で取り付け、該延長アーム124,124のどちらか一方の機体左右他側端部に、引張部材125に引っ掛けて積み降ろし機構114の機体左右他側端部を上方に吊り上げる牽引スプリング126を取り付ける。
【0126】
そして、積み降ろし機構114を構成する前後の支持プレート104,104の支点部に、積み降ろし機構114にかかる荷重に応じて積み降ろし機構114の機体左右外側端部を下降させるトルクスプリング127を取り付けてダンパ構成とし、積み降ろし機構114が圃場面に対して略水平となると積み降ろし機構114をロックするロック装置128,128を設ける構成としてもよい。
【0127】
上記構成により、収穫作業開始時の選別搬送コンベア87が最下位置にあるときから、積み降ろし機構114の機体左右他側端部が上方に持ち上がった姿勢となるので、収容袋97の機体左右他側部にいっそう弛みが生じにくくなるので、人参の収容量の増加に合わせて選別搬送コンベア87の搬送終端部を上昇させるだけで収容袋97の機体左右一側部の弛みを取ることができ、収穫作業を中断する必要が無くなり、作業能率が向上する。
【0128】
また、積み降ろし機構114が右上り傾斜姿勢であるので、選別搬送コンベア87の搬送終端部と収容袋97の機体左右一側部との落差が小さくなり、落下の衝撃で人参が傷付くことをいっそう防止でき、人参の商品価値が向上する。
【0129】
そして、載置台積み降ろし機構114はダンパ機構により収容袋97に収容された人参の重量が増加するにつれて自動的に下がるので、人手で載置台107を操作する必要がなく、作業能率が向上すると共に作業者の労力が軽減される。
【0130】
さらに、載置台107が下降し切るとロック装置128,128を設けたことにより、ロック装置128,128を解除するまで積み降ろし機構114が動かないので、人参の満載された収容袋97を下方に降ろす際、積み降ろし機構114が動いて収容袋97を倒してしまうことが防止でき、倒れた衝撃で人参が傷付くことが防止されて人参の商品価値が向上すると共に、人参を拾い集める必要が無く、作業者の労力が軽減される。
【0131】
なお、積み降ろし機構114の周辺または補助作業座席の近傍にロック装置128,128を解除するロック解除レバー129を設けておくと、ロック解除を手早く行なえるので、作業能率が向上する。
【符号の説明】
【0132】
1 機体フレーム
24 引抜搬送装置
87 選別搬送コンベア(選別搬送装置)
89 排出シュータ(案内部材)
91 補助作業座席
94 スイングアーム(昇降アーム)
95 ハンガーシャフト(回動軸)
95a アーム
96 吊下ハンガー(吊下部材)
98 引張ワイヤ(引張部材)
114 積み降ろし機構(回収部)


【特許請求の範囲】
【請求項1】
機体フレーム(1)の左右一側に作物を圃場から引き抜いて後上方に搬送する引抜搬送装置(24)を設け、該引抜搬送装置(24)から作物を引き継いで左右一側から左右他側に搬送する選別搬送装置(87)を設け、該選別搬送装置(87)の搬送終端部を上下動自在に構成し、選別搬送装置(87)の搬送終端部に作物を収容する収容部材を開口状態で吊り下げる吊下部材(96)を設け、前記選別搬送装置(87)の搬送終端部側の機体フレーム(1)上に前記収容部材を載置する回収部(114)を設け、前記選別搬送装置(87)の搬送終端部の上昇に連動して前記吊下部材(96)が上昇すると共に該吊下部材(96)の傾斜角度が小さくなる構成としたことを特徴とする根菜類収穫機。
【請求項2】
前記選別搬送装置(87)の搬送終端部に昇降アーム(94)の基部を上下回動自在に取り付け、該昇降アーム(94)の自由端部に回動軸(95)を回動自在に支持し、該回動軸(95)に、回動軸(95)の軸心に対して交わる方向にアーム(95a)と吊下部材(96)とを一体に設け、該アーム(95a)の自由端部と選別搬送装置(87)の搬送終端部の上方に配置した機体上の定位置との間に、前記アーム(95a)を定位置側へ向けて引っ張る引張部材(98)を設けたことを特徴とする請求項1記載の根菜類収穫機。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【図22】
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【図23】
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【図24】
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