説明

根菜類収穫機

【課題】根菜類収穫作業の最終工程である収容容器への収容作業において、作業能率の向上及び作業者の労力軽減を図る根菜類収穫機を提供することである。
【解決手段】作物を引き抜き搬送する引抜搬送装置24と、引抜搬送装置24から作物を引き継ぎ搬送する搬送コンベア92と、搬送コンベア92により搬送される作物を収容するコンテナ107を載置し、該コンテナ107を送り出す送出ローラ102を備えた受け台100と、受け台100から送り出されたコンテナ107を貯留する貯留台104と、貯留台104上のコンテナ107を移送する移送装置114と、貯留台104上のコンテナ107を持ち上げて上下動可能な上下動機構を有するリフト装置106とを設けた根菜類収穫機である。リフト装置106により、作物が収容されたコンテナ107を持ち上げて次に作物が収容されるコンテナ107上に積載でき、多段積みのコンテナ107を移送できる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、作物を圃場から引き抜いて収穫する、根菜類収穫機に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、引抜搬送装置で作物を圃場から引き抜き、茎葉処理装置で茎葉を除去し、茎葉が除去された作物を搬送コンベアで搬送し、搬送コンベアから排出される作物を受け台に載置した収容容器(コンテナ)で回収し、作物を満杯に収容したコンテナを貯留台に貯留する根菜類収穫機の技術が存在する。
【0003】
そして、作物が満載されたコンテナを受け台から貯留台に移動させる際に、作業能率が低下することを防止するために、下記特許文献1には、コンテナ移送装置とコンテナ収容台との間にコンテナ移送装置側からコンテナ収容台側へのコンテナの移動を許容し、逆方向へのコンテナの移動は抑止する戻り規制部材を設けた構成が開示されている。
【0004】
また、下記特許文献2によれば、コンテナ送り用電動式のキャリアを選別搬送機と同様の電源により、走行装置や収穫装置の動力源から独立した動力供給系によって駆動される構成とすることで、選別搬送機を一時的に停止してコンテナ送り用電動式のキャリアを一時的に稼動することによっても走行装置等の負荷変動を招くことなく随時稼動及び停止が可能となる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2008−54624号公報
【特許文献2】特許第3700691号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
上記特許文献1に記載された根菜類収穫機では、コンテナの移動をスムーズにすることができる。また、特許文献2に記載された根菜類収穫機では、走行速度と対応して野菜の安定した引き抜きが可能となり、原動機の全動力により高負荷状態まで幅広く安定して野菜の収穫作業が可能になると共に選別搬送機を走行収穫速度から独立して安定駆動できる。
【0007】
根菜類収穫作業の最終工程であるコンテナ収容作業において、コンテナには大量の収穫した根菜が収容され、その移動には移送コンベアなどの移送手段が設けられているものの、コンテナを一つ一つ移送コンベア等に並べて移送する必要がある。また、多くのコンテナを移送するためにコンテナを上下に複数個積載する場合は、作業者が根菜類収穫機の走行を止めて積み上げ作業を行う必要があり、作業能率の低下は免れない。また、作業者の労力も増大する。
【0008】
本発明は、根菜類収穫作業の最終工程である収容容器への収容作業において、作業能率の向上及び作業者の労力軽減を図る根菜類収穫機を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
請求項1記載の発明は、圃場から作物を引き抜き搬送する引抜搬送装置(24)と、前記引抜搬送装置(24)の下方に設けられ、引抜搬送装置(24)から作物を引き継いで搬送する搬送装置(92)と、該搬送装置(92)の搬送終端部に設けられ、搬送装置(92)により搬送される作物を収容する収容容器(107)を載置すると共に、載置した収容容器(107)を送り出す送出回転体(102)を備えた受け台(100)と、該受け台(100)に隣接して設けられ、受け台(100)から送り出された収容容器(107)を貯留する貯留台(104)と、該貯留台(104)上の収容容器(107)を移送する移送装置(114)と、前記貯留台(104)に設けられ、貯留台(104)上の収容容器(107)を保持する保持部材(112)と該保持部材(112)を上下動可能な上下動機構(128,130,134,142,152,154)とを有するリフト装置(106)とを設けた根菜類収穫機である。
【0010】
請求項2記載の発明は、前記リフト装置(106)の保持部材(112)は、断面L字型又はT字型であって、L字又はT字の角部に収容容器(107)の側壁下端部を支持する爪部(112a)を有する請求項1記載の根菜類収穫機である。
【0011】
請求項3記載の発明は、前記リフト装置(106)の保持部材(112)は収容容器(107)の移送方向の前後に一対設けられ、該前後の保持部材(112,112)がそれぞれ前後方向に移動可能な前後間隔変更機構(138,140,144,148)を有する請求項2記載の根菜類収穫機である。
【0012】
請求項4記載の発明は、前記移送装置(114)は、収容容器(107)の移送方向の始端部に、移送方向に向かって左右一対設けた始端部側回転体(165,165)と、収容容器(107)の移送方向の終端部に、移送方向に向かって左右一対設けた終端部側回転体(166,166)と、前記始端部側回転体(165,165)と終端部側回転体(166,166)との間にそれぞれ巻回した左右一対のチェーン(167,167)と、収容容器(107)の移送方向に複数配置され、前記左右一対のチェーン(167,167)に接触して回転し収容容器(107)を移送すると共に、該収容容器(107)の移送方向にのみ回転可能とするワンウェイクラッチを有する移送回転体(170)とを備えた請求項1から3のいずれか1項に記載の根菜類収穫機である。
【発明の効果】
【0013】
請求項1記載の発明によれば、貯留台(104)に隣接する受け台(100)に送出回転体(102)を設けたことにより、作業者は受け台(100)に載置された収容容器(107)を貯留台(104)側に軽く押すだけで移動させることができるので、収容作業の作業能率が向上すると共に、作業者の労力が軽減される。
【0014】
そして、貯留台(104)上の収容容器(107)を保持する保持部材(112)と該保持部材(112)を上下動可能な上下動機構(128,130,134,142,152,154)とを有するリフト装置(106)を設けたことで、作物が収容された収容容器(107)を上方に持ち上げて次に作物が収容される収容容器(107)の上に積載することができるので、貯留台(104)に複数段ずつ収容容器(107)を貯留することができる。そして、移送装置(114)によって多段積みの収容容器(107)を移送できる。したがって、収容容器(107)を機体から降ろす回数が激減し、移送効率が向上するので、作業者の労力と作業時間が軽減される。
【0015】
請求項2記載の発明によれば、請求項1記載の発明の効果に加えて、リフト装置(106)の保持部材(112)の爪部(112a)により収容容器(107)の側壁下端部をしっかりと支持することで、収容容器(107)が保持部材(112)から落下することを防止して安全性を確保できる。また、収穫した作物の落下を防止できるので、落下の衝撃で作物が傷つくことが防止され、作物の商品価値が向上する。
【0016】
請求項3記載の発明によれば、請求項2記載の発明の効果に加えて、前後間隔変更機構(138,140,144,148)により前後一対の保持部材(112)が各々前後方向に移動可能であるため、リフト装置(106)の保持部材(112)が上方に位置する収容容器(107)を保持した状態から保持部材(112)の前後間隔を広げることによって収容容器(107)の保持状態を解除して上段の収容容器(107)を下段の収容容器(107)上に積載することができる。したがって、容易に収容容器(107)の多段積みを達成することができ、作業能率が向上する。
【0017】
請求項4記載の発明によれば、請求項1から3のいずれか1項に記載の発明の効果に加えて、左右の移送始端部側回転体(165,165)と左右の移送終端部側回転体(166,166)との間にそれぞれ巻回した左右一対のチェーン(167,167)に接触して回転し、収容容器(107)の移送方向にのみ回転可能とするワンウェイクラッチを備えた移送回転体(170)によって収容容器(107)が移送されるので、移送物の重量が増加する多段積みの場合でも、収容容器(107)を確実に移送することができ、作業能率が向上する。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【図1】本実施形態の根菜類収穫機の側面図である。
【図2】図1の根菜類収穫機の平面図である。
【図3】図1の根菜類収穫機の残葉処理コンベアの平面図である。
【図4】図1の根菜類収穫機の引継シュータと選別搬送コンベアの平面図である。
【図5】図1の根菜類収穫機の収容部G付近の側面図である。
【図6】図1の根菜類収穫機の収容部G付近の平面図である。
【図7】図1の根菜類収穫機のリフト装置のシリンダが縮んでいるときの正面図である。
【図8】図1の根菜類収穫機のリフト装置のシリンダが伸びているときの正面図である。
【図9】図1の根菜類収穫機の制御装置のブロック図である。
【図10】図1の根菜類収穫機のリフト装置の側面図である(L字型)。
【図11】図1の根菜類収穫機のリフト装置の側面図である(T字型)。
【図12】図1の根菜類収穫機のリフト装置の平面図である。
【図13】リフト装置の保持部材の斜視図である。
【図14】リフト装置の保持部材の前後にストッパを設けた場合の貯留台付近の簡略側面図である。
【図15】リフト装置の保持部材の形状を変えた場合の貯留台付近の簡略側面図である。
【図16】補助載置台を設けた場合の収容部G付近の側面図である。
【図17】コンテナ移送装置の詳細図である。図17(a)は部分平面図であり、図17(b)は部分正面図である。
【図18】根菜を選別搬送コンベアからコンテナに引き継ぐシュータ(エアーマット)の斜視図である。
【図19】選別搬送コンベアとエアーマットとコンテナの関係を示した背面図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
本発明の実施の形態について説明する。
図1には、本実施形態の根菜類収穫機の側面図を示し、図2には、図1の根菜類収穫機の平面図を示す。
本実施形態の根菜類収穫機は、機体を走行させる走行部Aと、操縦者が搭乗する操縦部Bと、機体左右一側で圃場から人参などの根菜を引き抜いて機体後上側に搬送する収穫部Cと、該収穫部Cから人参を引き継いで機体後方に搬送しながら茎葉部を切断する茎葉切断部Dと、茎葉切断部Dから落下する人参を受けて人参に残った茎葉部を処理する残葉処理部Eと、残葉処理部Eから人参を引き継いで人参を機体左右一側から左右他側へと搬送し、搬送中の人参を補助作業者が選別する選別搬送部Fと、該選別搬送部Fから排出される人参を収容する収容部Gとから構成される。
【0020】
なお、本明細書においては、根菜類収穫機の前進方向を向いて左右方向をそれぞれ左、右といい、前進方向を前、後進方向を後ろということにする。以下、各部の詳細を具体的に記載する。
【0021】
まず、走行部Aの構成について説明する。
図1、図2で示すように、機体フレーム1の下方に機体前部側の左右駆動スプロケット2,2と機体後部側の左右従動輪3,3と、該左右駆動スプロケット2,2と左右従動輪3,3との間に取り付けた複数の転輪4,4・・・の周りに左右ベルト5,5を巻き掛けて左右のクローラ6L,6Rを構成する。そして、該左右クローラ6L,6Rの左右駆動スプロケット2,2を、エンジンカバー7内のエンジンの動力が伝動されるミッションケース8から左右両側に延出させた左右ドライブシャフト9,9に取り付け、一定の左右間隔を設けて左右クローラ6L,6Rを該機体フレーム1に取り付ける。
【0022】
次に、操縦部Bの構成について説明する。
図1及び図2で示すように、前記機体フレーム1の右側上部に操縦部フレーム10を取り付け、該操縦部フレーム10には操縦座席11を取り付けると共に、機体前側に操縦パネル12を取り付ける。そして、該操縦パネル12に機体の前後進及び走行速度を切り換える変速操作レバー13を取り付けると共に、機体の左右旋回操作及び収穫部Cの作業高さを操作する昇降操作レバー14を取り付ける。
【0023】
上記構成により、変速操作レバー13や昇降操作レバー14のような、1本で複数の操作を行える操縦部材を設けることによって、機体の操縦が容易になるため操縦者の作業を軽減することができる。
【0024】
次に、収穫部Cの構成について説明する。
図1、図2で示すように、左右引抜フレーム15,15の機体前側に左右従動プーリ16,16を回転自在に装着し、機体後側に左右駆動プーリ17,17を装着し、該左右従動プーリ16,16と左右駆動プーリ17,17との間に人参を引き抜き機体後部へと搬送する左右挟持搬送ベルト18,18を巻き掛けると共に、複数のテンションローラ19…によって該左右挟持搬送ベルト18,18を張圧し、左右挟持搬送ベルト18,18の機体内側面を互いに圧接させて人参の引抜搬送経路を構成する。そして、前記機体フレーム1の上方に左右横軸21を回動支点として上下方向に回動自在な回動フレーム20を取り付け、該回動フレーム20の後端部に前記左右駆動プーリ17,17に駆動力を伝動する伝動ケース22を、回動支点Xを中心として上下回動自在に取り付ける。また、前記機体フレーム1と回動フレーム20とを昇降シリンダ23で連結し、該昇降シリンダ23を操縦部Bで操作可能に取り付けて引抜搬送装置24を構成する。
【0025】
また、該引抜搬送装置24の前方に人参の茎葉部を引き起こす縦引起し装置25を設け、該縦引起し装置25が引起した茎葉部を掬い上げる横引起し装置26を設けると共に、該横引起し装置26の前部に分草杆27を設ける。さらに、正逆転自在な駆動モータ29を作動させると上下伸縮する伸縮ロッド30の下端部に、引抜搬送装置24の下り過ぎを防止する回転自在なゲージ輪31を設け、前記エンジンの駆動力で回転するシャフト32の回転によって振動する振動フレーム33を設け、該振動フレーム33に、人参の左右の土を振動によって解す左右振動ソイラ34,34を設ける。
【0026】
そして、前記引抜搬送通路の下方に引抜搬送装置24で搬送中の人参の下部のひげ根を切断するひげ根切断装置35を取り付けて、収穫部Cを構成する。上記構成により、機体前側に分草杆27を備える横引起し装置26と、縦引起し装置25を設けることにより、圃場に倒伏した人参の茎葉を分草杆27で起こしてから、縦引起し装置25と横引起し装置26とで掻き上げながら人参の収穫作業をすることができ、収穫する人参の視認性が向上するので引き抜き位置が合わせやすく、作物の抜き残しが減少するため作業後に人手で抜き残された人参を引き抜く必要が無く、作業能率が向上すると共に作業者の労力が軽減される。
【0027】
また、人参に振動フレーム33や左右振動ソイラ34,34等が接触して傷つくことを防止できるので、人参の商品価値が向上する。
そして、上下伸縮する伸縮ロッド30の下端部にゲージ輪31を設けたことにより、ゲージ輪31を圃場面に接地させるとそれ以上引抜搬送装置24が下降しなくなるので、操縦者の操縦ミスや予期せぬ地面の凹凸によって引抜搬送装置24の下端部が圃場面に接触して破損することが防止される。
【0028】
そして、機体フレーム1と左右横軸21を回動支点として上下方向に回動自在な回動フレーム20とを昇降シリンダ23で連結し、昇降シリンダ23を操縦部Bの昇降操作レバー14を操作することによって伸縮させる構成としたことによって、昇降操作レバー14の操作により収穫部C全体の上下高さを調節することができるので、収穫部Cの引抜搬送始端部の位置を上下方向に調節できるとともに圃場に植生する人参の適切な引き抜き高さに合わせて引抜搬送始端部の位置調節を行え、人参の抜き残しが防止されるので作業能率が向上する。
【0029】
また、旋回時に収穫部Cを上昇させておくと、収穫部Cの下端部が圃場に接触しにくくなるため、旋回動作がスムーズに行われて作業能率が向上する。
さらに、引抜搬送装置24の搬送経路の下方にひげ根切断装置35を設けたことにより、収穫作業の後工程や収穫後の洗浄、選別作業の前にひげ根を取り除く作業が省略されるので、作業能率が向上すると共に、作業者の労力が軽減される。
【0030】
次に、茎葉切断部Dについて説明する。
左右の位置揃え装置54L,54Rが引抜搬送装置24の搬送方向後側の下方位置に構成されており、引抜搬送装置24によって上方に搬送される人参は、位置揃え装置54L,54Rによって茎葉部の切断位置揃えが適正に行なわれ、茎葉切断装置61の左右の茎葉切断刃60,60によって切断される。
【0031】
前記引抜搬送装置24から人参の茎葉部を引き継いで機体後方に排出する排葉搬送装置65が、引抜搬送装置24の搬送終端部側の下方に構成されており、また茎葉の上部を挟持して機体後方に搬送する残葉搬送装置70が、前記排葉搬送装置65の上方に構成されている。残葉搬送装置70は、図示しない伝動機構によって伝動ケース22から動力が伝達される左右残葉搬送駆動プーリ66,66と左右残葉搬送従動プーリ67,67との前後間に左右残葉搬送ベルト69,69を無端状に巻回することによって構成されており、人参の茎葉の上部を挟持して機体後方に搬送する。そして、排葉搬送装置65と残葉搬送装置70の終端部から茎葉切断装置61によって切断された茎葉を圃場に排出する排葉シュータ71を設けて、茎葉切断部Dを構成する。
【0032】
次に、残葉処理部Eについて説明する。図3には残葉処理コンベアの要部平面図を示す。
茎葉切断装置61の下方に前後の残葉処理フレーム72,72を設け、該前後の残葉処理フレーム72f,72rの機体外側(左右一側)の前後間に第1残葉処理ローラ73aを回転自在に取り付ける。また、前記残葉処理フレーム72f,72rの機体内側(左右他側)の前後間で且つ第1残葉処理ローラ73aよりも下方位置に第2残葉処理ローラ73bを回転自在に取り付ける。そして、該第1残葉処理ローラ73aと第2残葉処理ローラ73bにゴムやウレタン等の弾性体で構成する残葉処理ベルト74を無端状に巻回する。
【0033】
さらに、該残葉処理ベルト74の巻回域内で且つ機体上側に残葉処理プレート75を取り付け、該残葉処理プレート75の機体内側端部を下方に向かって折り曲げる。そして、機体後側の残葉処理フレーム72rの機体外側の端部寄りにエンジンの動力を伝動する伝動ギアボックス76を設け、機体前側の残葉処理フレーム72fの機体左右他側の端部寄りに支持アーム77aの基部を取り付ける。また、該支持アーム77aの端部に過負荷に応じて伸縮するスプリング77bの一側部を取り付け、該スプリング77bの他側部に平面視L字形状の支持プレート77cを取り付ける。そして、該支持プレート77cと前記ギアボックス76との間に、人参の根部に残った残葉を残葉処理プレート75と共に挟み込んで切除する残葉処理ローラ78を回転自在に取り付けて、茎葉切断部Dから引き継いだ人参の残葉を処理しながら機体外側方向から左右内側方向に搬送する残葉処理コンベア79を構成することにより、残葉処理部Eが構成される。
【0034】
次に、選別搬送部Fについて説明する。
前記残葉処理コンベア79よりも機体前側で且つ下方位置に、前後の第1搬送フレーム83,83を機体左右一側に向かって上方傾斜させて設け、該第1搬送フレーム83,83の機体内側端部(機体左右一側端部)で且つ内側に前後の第2搬送フレーム84,84を略直線状に取り付ける。
【0035】
そして、該第1搬送フレーム83,83の機体外側端部に前後の駆動スプロケット85,85を夫々回転自在に取り付け、第1搬送フレーム83,83の機体内側端部に前後の中継スプロケット86,86を夫々回転自在に取り付けると共に、第2搬送フレーム84,84の機体左右内側端部に前後の従動スプロケット87,87を夫々回転自在に取り付ける。
【0036】
また、該駆動スプロケット85,85と中継スプロケット86,86と従動スプロケット87,87とに前後の伝動チェーン88,88を夫々無端状に巻回する。さらに、該伝動チェーン88,88に人参を載せて搬送する複数の搬送プレート90…を回動自在に取り付け、該複数の搬送プレート90…のうち、数個おきに金属材や硬質の樹脂材をゴムや塩化ビニル等の弾性体で被覆して構成する搬送ラグ91…を取り付けることにより、機体左右一側から左右他側に亘って人参を搬送する選別搬送コンベア92が構成される。
【0037】
さらに、前記引抜搬送装置24の引抜搬送経路の下方で且つ選別搬送コンベア92の搬送始端部よりも機体外側に、引抜搬送装置24の搬送途中で落下する人参を受ける格子状の引継シュータ93を、機体内側方向に向かう傾斜姿勢で且つ上下方向に回動自在に取り付ける。そして、該引継シュータ93の内側端部を前記選別搬送コンベア92の搬送始端側の上部に近接させ、該引継シュータ93の内側端部が前記搬送ラグ91…が接触するたびに上下方向に回動する構成とする。そして、前記機体フレーム1の機体左右他側の後部で且つ選別搬送コンベア92よりも機体後側に、前記選別搬送コンベア92で搬送中の人参の選別作業や後述するコンテナ(収容容器)107の移動や設置を行なう補助作業者が搭乗する搭乗ステップ94を配置し、該搭乗ステップ94上で且つ選別搬送コンベア92の中継スプロケット86,86を配置した近傍位置に補助作業座席95を取り付けることによって、選別搬送部Fが構成される。
【0038】
次に、収容部Gの構成について説明する。
図5には、収容部G付近の側面図を示し、図6には収容部G付近の平面図を示す。
また、図7及び図8には、リフト装置106の正面図を示し、図10及び図11には、リフト装置106の側面図を示し、図12には、リフト装置106の平面図を示す。
【0039】
選別搬送コンベア92の搬送終端側にはコンテナ107を載置するための受け台100を設けている。受け台100の前方の貯留台104の下部には、前後一対の搬送ローラ110と、コンテナ107を挟んで持ち上げるリフト装置106の保持部材(下降した状態)112を設けている。コンテナ107は受け台100の送出ローラ(送出回転体)102により人手で、前方(搬送下手側)の貯留台104へ送られる。貯留台104に隣接する搬送上手側の受け台100に送出ローラ102を設けたことにより、作業者は受け台100に載置されたコンテナ107を貯留台104側に軽く押すだけで移動させることができるので、収容作業の作業能率が向上すると共に、作業者の労力が軽減される。
【0040】
そして、コンテナ107を多段積み可能とするためのリフト装置106は貯留台104に設けられており、このリフト装置106には、コンテナ107の側壁下端部を保持する正面視でL字型の前後一対のコンテナ保持部材112,112が設けられている。保持部材112,112のL字の下部112a,112aによりコンテナ107の前方下端部及び後方下端部を引っかけてコンテナ107を支持する。この部分を保持部材の爪部112a,112aという。
【0041】
図13には、リフト装置106の保持部材112の斜視図を示す。
コンテナ107を挟む保持部材112の爪部112aは断面L字型(図13(a))又はT字型(図13(b))であり、L字又はT字の角部にコンテナ107の下端部を支持することで、コンテナ107をしっかりと支持できる。したがって、コンテナ107が保持部材112から落下することを防止して安全性を確保できる。また、収穫した作物の落下を防止できるので、落下の衝撃で作物が傷つくことが防止され、作物の商品価値が向上する。
【0042】
なお、図10の側面図は保持部材112の下端部112aが断面L字型の場合を示し、図11の側面図は保持部材112の下端部112aが断面T字型の場合を示している。
【0043】
また、この前後一対のコンテナ保持部材112,112は、前後の保持部材112,112の間隔を変更可能な前後間隔変更機構を備えており、間隔を狭めてコンテナ107の前後を挟んで保持したり、間隔を広げて保持状態を解除して、挟んだコンテナ107を開放したりすることができる。更に、前後一対のコンテナ保持部材112,112は、コンテナ107を挟んで保持したまま上下動可能な上下動機構を備えている。これら前後間隔変更機構及び上下動機構については後述する。
【0044】
そして、前後間隔変更機構によって前後一対の保持部材112,112間にコンテナ107の前後を挟んで保持し、上下動機構によりコンテナ107を上方に持ち上げる。更に受け台100から貯留台104に送られるコンテナ107上に、先に持ち上げたコンテナ107を重ねて上下2段にした後、多段積みしたコンテナ107を貯留台104に隣接するコンテナ移送装置114に送って、更にコンテナ移送装置114により機体前側にコンテナ107を移送する。
【0045】
貯留台104にコンテナ107を持ち上げるリフト装置106を設けたことで、作物が収容されたコンテナ107を上方に持ち上げて次に作物が収容されるコンテナ107の上に積載することができるので、貯留台104に複数段ずつコンテナ107を貯留することができる。そして、コンテナ移送装置114によって多段積みのコンテナ107を移送できる。したがって、コンテナ107の2段積みが作業者の手を介さずに行えるので、1段積みで作業をするときよりも積み降ろし回数がおよそ半減し、作業能率と作業者の労力が軽減されると共に、手作業で2段積みする際に要する作業者の労力と作業時間が軽減される。
【0046】
また、貯留台104の下部には、前後一対の保持部材112,112の間に前後一対の搬送ローラ(回転体)110,110を設けている。貯留台104上のコンテナ107は搬送ローラ110,110によって前方(搬送下手側)のコンテナ移送装置114に容易に送ることができる。
【0047】
そして、前記保持部材112,112の爪部112a,112aの上端面が、前記受け台100に設けた送出ローラ102の上面よりも下方に位置し、且つ後述するコンテナ移送装置114の移送ローラ170の上端面よりも上方に位置するように下降状態の保持部材112,112を設けると、保持部材112,112の爪部112a,112aがコンテナ107の搬送を妨げることが防止され、コンテナ107を受け台100から貯留台104にスムーズに送ることができる。
【0048】
リフト装置106の詳しい構成について以下に説明する。
根菜類収穫機の左側に位置するエンジンカバー7及び操縦席11と根菜類収穫機の右側に位置する貯留台104及びコンテナ移送装置114との間に、平面視コの字型の前後一対の第1支持フレーム120,120と、該前後一対の第1支持フレーム120,120にそれぞれ隣接する平面視コの字型の前後一対の第2支持フレーム122,122を立設しており、これら第1支持フレーム120と第2支持フレーム122によってリフト装置106の骨格を形成している。各第1支持フレーム120の右側面と各第2支持フレーム122の左側面はそれぞれ固着しており、前後の支持フレーム120,122はそれぞれ一体的な構成である。
【0049】
そして、前後の第1支持フレーム120,120を連結する連結プレート124を第1支持フレーム120,120の下端部に設け、前後の第1支持フレーム120,120の内部空間には前後両端部に第1ベアリング126を軸着した第1支持シャフト128を設け、第1支持シャフト128に前後一対のスプロケット(滑車でも良い)130を回転自在に装着している。
第1ベアリング126は第1支持フレーム120内に設けた第1ベアリング溝127内を摺動可能である。
【0050】
また、前後の第2支持フレーム122,122の内部空間には前後両端部に第2ベアリング132を軸着した第2支持シャフト134を設け、該第2支持シャフト134に前後一対のボス136を前後方向に摺動可能に装着し、ボス136の下部に前後一対の正面視L字型の保持部材112,112を設けている。第2ベアリング132は第2支持フレーム122内に設けた第2ベアリング溝133内を摺動可能である。
【0051】
前後の保持部材112,112間には、回転することにより伸縮するターンバックル138を設け、ターンバックル138の伸縮によって前後の保持部材112,112間の間隔が変更可能である。ターンバックル138の構成として、具体的には前後の保持部材112,112にそれぞれ固着した前後一対の中空の移動ロッド138a,138aの内側にネジ溝を刻み、そのネジ溝に係合するネジ溝を刻んだ回転ロッド138bの両端を前後一対の移動ロッド138a,138a内に挿入して連結した構成とすればよい。
【0052】
前後一方の移動ロッド138aのネジ溝を右ネジとし、他方の移動ロッド138aのネジ溝を左ネジ(逆ネジ)とする。また、回転ロッド138bの前部と後部でネジ溝を異ならせて(一方が右ねじ、他方が左ねじ)、右ネジの移動ロッド138aには回転ロッド138bの右ネジ側端部を挿入し、左ネジの移動ロッド138aには回転ロッド138bの左ネジ側端部を挿入する。このような構成により、回転ロッド138bが回転すると、左右の移動ロッド138a,138aが内側又は外側に移動してターンバックル138が伸縮し、前後の保持部材112,112間の間隔が変更する。
【0053】
また、ターンバックル138の回転ロッド138bの回転機構は以下のようにすればよい。
従動スプロケット140をターンバックル138の回転ロッド138bの前後中央付近(右ねじと左ねじの切り替え部でねじ溝のない部分)に軸着し、更に、第2支持シャフト134の下部に正逆転モータ144を設け、正逆転モータ144の出力軸146には駆動スプロケット148を設ける。そして、ターンバックル138の回転ロッド138bに軸着した従動スプロケット140と駆動スプロケット148との間に伝動チェーン150を巻回し、正逆転モータ144の駆動によって駆動スプロケット148及び従動スプロケット140が回転すると、従動スプロケット140を軸着した回転ロッド138bが回転するため、ターンバックル138が伸縮し、前後の保持部材112,112間の間隔が変更する。
【0054】
これらターンバックル138,従動スプロケット140,正逆転モータ144,駆動スプロケット148などによりリフト装置106の保持部材112,112の前後間隔変更機構を構成している。
このように、リフト装置106の前後一対の保持部材112,112が各々前後方向に移動可能であるため、前後の保持部材112,112の間隔を変更することで、多少大きさの異なるコンテナ107にも対応できる。
【0055】
また、リフト装置106の保持部材112,112が上方に位置するコンテナ107を保持した状態から保持部材112,112の前後間隔を広げることによってコンテナ107の保持状態を解除して上段のコンテナ107を下段のコンテナ107上に積載することができる。したがって、容易にコンテナ107の多段積みを達成することができ、作業能率が向上する。
【0056】
更に、前後の第1支持フレーム120,120の左側(第2支持フレーム122,122とは反対側)に前後間に亘って第3支持シャフト142を第1支持フレーム120,120に固着して設けている。
【0057】
この第3支持シャフト142と第2支持シャフト134にそれぞれ上方に突出する突起142a,134aを設け、これら第3支持シャフト142の突起142aと第2支持シャフト134の突起134aにはコンテナ107を持ち上げるための持ち上げチェーン(ワイヤでも良い)152の両端部が連結している。この持ち上げチェーン152は、図10〜図12に示すように、第3支持シャフト142の突起142aと第1支持シャフト128のスプロケット130と第2支持シャフト134の突起134aに亘って設けている。
【0058】
更に、第1支持シャフト128の下部と連結プレート124との間に伸縮自在なシリンダ154を設けている。シリンダ154は公知のものでよく、油圧式、空気圧式又は電動式など問わない。
【0059】
図7には、シリンダ154が縮んでいるときのリフト装置106の状態を示し、図8には、シリンダ154が伸びているときのリフト装置106の状態を示す。また、図9には、図1の根菜類収穫機の制御装置(CPU)158のブロック図を示す。
シリンダ154が縮んでいるときは、第1支持シャフト128の両端の第1ベアリング126が第1ベアリング溝127内の下端部に位置し、第2支持シャフト134の両端の第2ベアリング133が第2ベアリング溝134内の下端部に位置している。そして、シリンダ154が伸びると、シリンダ154の伸縮に応じて上下動する第1支持シャフト128が上方に持ち上げられ、第1支持シャフト128のスプロケット130に巻回した持ち上げチェーン152も上方に引かれてスプロケット130が回転する。持ち上げチェーン152の一端部に連結する第3支持シャフト142は固定されているため、持ち上げチェーン152の他端部に連結する第2支持シャフト134が上方に持ち上げられる。この持ち上げ高さは、コンテナ107の高さと同等か少し高めとすればよい。
【0060】
第2支持シャフト134が持ち上げられることで、第2支持シャフト134の下部に装着したボス136,136の下部に取り付けられた保持部材112,112も上動する。これら第1支持シャフト128,スプロケット130,第2支持シャフト134,第3支持シャフト142,持ち上げチェーン152,シリンダ154などによりリフト装置106の保持部材112,112の上下動機構を構成している。
【0061】
リフト装置106のシリンダ154を伸張及び短縮させるためのシリンダスイッチ155と正逆転モータ144を駆動及び停止させるためのモータスイッチ145を設け、これらのスイッチを操作すると、シリンダ154や正逆転モータ144を駆動させる制御装置158を設けることで、コンテナ107を多段積みとする操作が容易になる。
【0062】
図14には、リフト装置106の保持部材112の前後にストッパを設けた場合の貯留台104付近の簡略側面図を示す。
また、受け台100の前方の貯留台104の下部には、コンテナ約1個分(根菜類収穫機に使うコンテナのサイズは、全国的に略同じである)の間隔のストッパ105を設け、そのストッパ105の前後間に搬送ローラ110と、コンテナ107を挟んで持ち上げるリフト装置106の保持部材(下降した状態)112を設けても良い。 ストッパ105により、搬送ローラ110上のコンテナ107が前後に移動することを防止できる。
【0063】
なお、ストッパ105があることで、コンテナ107を送り出す際に、コンテナ107とストッパ105が干渉することも考えられるが、ストッパ105の上面と搬送ローラ110の上面をほぼ同じ高さとすることで、あまり問題とはならない。
【0064】
図15には、リフト装置106の保持部材112の形状を変えた場合の貯留台104付近の簡略側面図を示す。
また、図15に示すように、リフト装置106の前後の保持部材112,112のうち、コンテナ移送装置114に近い前方(搬送下手側)の保持部材112は爪部112aを内側(コンテナ側)に傾けて、搬送ローラ110の上面よりも上方に突出する形状としても良い。搬送終端部側の保持部材112が搬送ローラ110の上面よりも上方に突出することで、貯留台104上のコンテナ107がコンテナ移送装置114に進まなくなり、リフト装置106にセットされる。
【0065】
また、リフト装置106の前後の保持部材112,112のうち、コンテナ移送装置114に近い前方の保持部材112の爪部112a上にコンテナ107の有無を検出する爪部センサー160を設けても良い。この爪部センサー160によりコンテナ107が保持部材112,112に保持されていることを感知すると、シリンダスイッチ155を操作しなくても、自動的にリフト装置106のシリンダ154が伸びてコンテナ107を上昇させるように制御装置158によって制御可能となり、作業性が向上する。
【0066】
そして、リフト装置106によって上昇状態のコンテナ107は、その下方にコンテナが受け台100から送られてくるまで、その位置で前後の保持部材112,112により保持された状態を保つ。
【0067】
なお、ストッパ105は、前後一対設けても良いが、搬送下手側(前方)の保持部材112の近傍にのみ設けても良い。受け台100からコンテナ107が送られるときに作業者がコンテナ107を前方に勢いよく押し出すため、搬送上手側(後方)にはコンテナ107が戻りにくい。したがって、ストッパ105は搬送下手側の保持部材112の近傍に設けるだけで、受け台100から送られてくるコンテナ107を前後の保持部材112,112の間に固定できる。
【0068】
また、ストッパ105にもコンテナ107の有無を検出するストッパセンサー161を設けると良い。ストッパセンサー161によりコンテナ107が貯留台104上に送られてきたことを感知すると(貯留台104上にコンテナ107がある)、シリンダスイッチ155やモータスイッチ145を操作しなくても、自動的にリフト装置106のシリンダ154が縮んでコンテナ107を下降させ、正逆転モータ144が駆動して前後の保持部材112,112が外側に拡がって保持したコンテナ107を下方のコンテナ107上に重ねるように制御装置158によって制御可能となる。したがって、作業性が向上する。
【0069】
そして、このようにコンテナ107を多段積みした後、リフト装置106のシリンダ154が再び伸張して前後の保持部材112,112は更に上昇し、上段のコンテナ107上面よりも上に上がる。
【0070】
前後の保持部材112,112が最上位置(第2支持シャフト134の第2ベアリング132が摺動可能な第2ベアリング溝133の上端位置)になると、多段積みしたコンテナ107は、前方のコンテナ移送装置114に人手により送られる。
【0071】
そして、コンテナ107が貯留台104からコンテナ移送装置114に送られて、ストッパセンサー161により貯留台104上にコンテナ107がないことが検出されると前後の保持部材112,112が下降して貯留台104上の元の位置に戻るように、制御装置158によってシリンダ154及び正逆転モータ144の駆動を制御する。そして、前後の保持部材112,112は、ストッパ105間に支持された元の状態に戻る。
【0072】
図16には、補助載置台を設けた場合の収容部G付近の側面図を示す。
受け台100の補助作業座席95に座る選別者側(後方)に補助載置台162を設けても良い。補助載置台162に送出回転体(送出ローラ)164を設けることで、選別者がコンテナ107を右手で前方に引けば、スムーズにコンテナ107を受け台100に送ることができる。
【0073】
空のコンテナ107を補助載置台162上に載置しておくことで、受け台100上のコンテナ107が一杯になった時など必要なときに、すぐに空のコンテナ107を受け台104上に載置可能なため、作業性に優れる。
また、受け台100の送出ローラ102や補助載置台162の送出ローラ164に一方向(前方側)にしか回転しないワンウェイクラッチ(図示せず)を設けると、受け台100や補助載置台162上のコンテナ107が揺動しにくく安定する。
【0074】
また、これらの送出ローラ102,164のコンテナ107と接触する作用面をゴム等の弾性体で覆うと、コンテナ107との抵抗が大きくなり、コンテナ107がより一層揺動しにくく安定する。なお、中身が入っていないコンテナ107は非常に軽いため、機体の振動や傾斜、強風等の影響を受けやすく、ある程度抵抗が掛かっていないと機外に落ちてしまうおそれがある。ゴム等の弾性体を使用することでコンテナ107を送り出すときの抵抗は確かに増すが、そこまで大きな力を要するものではならないので問題とはならない。
【0075】
そして、受け台100の高さを両側の補助載置台162と貯留台104の高さよりも少し高めにすると、補助載置台162上のコンテナ107は受け台100の方に移動せず、補助載置台162上に固定される。補助載置台162上には空のコンテナ107が載置されているため、重量が軽く、受け台100にコンテナ107を送る際に多少段差があっても選別者は容易に送ることができる。一方、人参を収容したコンテナ107は重いため、搬送下手側の貯留台104へ送るときは高さの高い受け台100から高さの低い貯留台104に送った方が、選別者の労力の負担は軽くなる。
【0076】
前述のリフト装置106によって貯留台104上に多段積みにされたコンテナ107,107は貯留台104に隣接するコンテナ移送装置114に送られ、コンテナ移送装置114により機体前側に移送される。
【0077】
図17には、コンテナ移送装置114の詳細図を示す。図17(a)には部分平面図を示し、図17(b)には部分正面図を示す。
コンテナ移送装置114は、前後に長手方向を有する左右一対のフレーム168,168と、左右のフレーム168,168の間に、移送始端部に設けた左右一対の従動回転体(従動スプロケット)165と、移送終端部に設けた左右一対の駆動回転体(駆動スプロケット)166と、左右の従動スプロケット165と左右の駆動スプロケット166との間にそれぞれ巻回した左右一対の移送チェーン167,167と、コンテナ107の移送方向にのみ回転するワンウェイクラッチ(図示せず)を備え、左右一対の移送チェーン167,167の間であってコンテナ107の移送方向に複数並列配置され、上側の移送チェーン167,167の下部に接触して回転し、コンテナ107を移送する移送ローラ(移送回転体)170とを備えている。
【0078】
移送ローラ170は左右のフレーム168,168に固着した移送ローラ支持軸170bに軸支され、左右両端の溝部(径の小さい部分)170aの上部に、上側の移送チェーン167,167の下部が接触している。
モータ171によって左右の駆動スプロケット166,166が駆動し、移送チェーン167,167及び従動スプロケット165,165の回転によって移送ローラ170はコンテナ107の移送方向(前側)に回転し、且つワンウェイクラッチによって一方向にしか回転しないため、移送物の重量が増加する多段積みの場合でも、コンテナ107を確実に移送することができ、作業能率が向上する。
【0079】
図18(a)及び(b)には、コンテナ107に載せるエアーマット175の斜視図を示す。図19には、選別搬送コンベア92とエアーマット175とコンテナ107の関係を示した背面図を示す。
選別搬送コンベア92から搬送される人参は、受け台100上のコンテナ107内に落下し、収容される。このときに落下の衝撃で人参が傷つくことを防止するために、選別搬送コンベア92の搬送終端下部に、該選別搬送コンベア92からコンテナ107に引き継ぐシュータとして、エアーマット175を設けると良い。選別搬送コンベア92の下部で且つ第2搬送フレーム84,84の前後間には底部フレーム(図示せず)があり、そこにエアーマット175の基部を固定する。
【0080】
エアーマット175は、コンプレッサ176(図9)などにより空気を内部に送入して膨らますことで簡単に用意できる。エアーマット175のクッション性により落下の際の衝撃を吸収して、人参の割れなどを防止することができる。
また、エアーマット175は、内部に空気がないときは縮んで渦巻き状に巻かれた状態であるが(巻いて癖を付けておけばよい)、空気を入れることによって伸張して膨らむような構成とすれば、コンテナ107内に入る人参の量に応じて伸縮自在であり、人参の落下位置を変えることができる。
【0081】
例えば、エアーマット175を蛇腹状に形成しておき、空気が入ると伸びていくような素材で構成することができる。したがって、可変性の高い素材に巻き癖をつけたり、可変性の高い素材を蛇腹状に形成すればよい。
【0082】
そして、例えば、図19(a)に示すように、コンテナ107内に人参イがないときは、エアーマット175内に空気を入れて伸張し、人参イがコンテナ107の選別搬送コンベア92から遠い側の端部に届くようにする。そして、図19(b)に示すように、人参イがコンテナ107内に入ってくると徐々に縮むようにして落下位置を変えて、コンテナ107の選別搬送コンベア92に近い側の端部に落下させる。このようにすることで、コンテナ107内に人参イが均等に入るようになる。したがって、コンテナ107内の空間を有効に利用できる。
【0083】
また、エアーマット175を使用しないときは縮んで丸まるため、コンパクトであり、スペースを取らない。そして、エアーマット175は下向きに丸まるため、選別搬送コンベア92から落下する人参の妨げにはならない。
また、受け台100上にコンテナ107の有無を検出する受け台センサー177などの検出手段を設け、空のコンテナ107が載置されると、受け台センサー177からの信号により制御装置158によってコンプレッサ176が駆動して自動的にエアーマット175内に空気が入るような構成とすれば、エアーマット175が一気に伸張し、便利である。また、作業性も良い。
【0084】
また、補助作業座席95に座る選別者の足元に、エアーマット175の伸縮操作用のペダル178(図9)を設け、ペダル178を踏むとコンプレッサ176が駆動するようにしても良い。エアーマット175の伸縮操作を足で可能とすることで、両手が自由に使えるため、選別作業の妨げとならず、作業性が向上する。
【0085】
なお、リフト装置106によらずに受け台100上にコンテナ107を2段に重ねて人参を収容する場合もある。選別搬送コンベア92の搬送終端部(従動スプロケット87側)が搬送始端部(駆動スプロケット85側)を支点として上方に回動するように選別搬送コンベア92の搬送終端部を支持するシリンダ(図示せず)やジャッキ(図示せず)を設け、これらの回動装置によって選別搬送コンベア92の搬送終端部を上げることで、上段のコンテナ107内に人参を搬入することができる。回動装置は、第2搬送フレーム84(図4)の従動スプロケット87近傍などに取り付ければよく、更に、同様の位置に選別搬送コンベア92の高さ位置を検出する選別搬送コンベアセンサー180を設ける。選別搬送コンベア92の第1搬送フレーム83と第2搬送フレーム84の境目の回動軸に、ポテンショメータ等を設けることで、上記選別搬送コンベアセンサー180とすることができる。
【0086】
そして、図19(c)に示すように、選別搬送コンベア92が最下位置(点線位置)のときと最上位置(実線位置)のときに選別搬送コンベアセンサー180からの信号により制御装置158によってコンプレッサ176が駆動して自動的にエアーマット175内に空気が入るような構成としても、エアーマット175が一気に伸張し、便利である。また、作業性も良い。
【0087】
また、エアーマット175を、図18(a)及び(b)に示すように、櫛形や格子形状としたり、長穴などを設けることで、隙間や穴から泥を落とすことができる。また、エアーマット175に格子形状などの加工を施さない場合に比べて、エアーマット175内に入れる空気の量を少なくすることができ、エアーマット175の伸縮時間も短縮できる。
【符号の説明】
【0088】
1 機体フレーム 2 駆動スプロケット
3 従動輪 4 転輪
5 ベルト 6 クローラ
7 エンジンカバー 8 ミッションケース
9 ドライブシャフト 10 操縦部フレーム
11 操縦座席 12 操縦パネル
13 変速操作レバー 14 昇降操作レバー
15 引抜フレーム 16 従動プーリ
17 駆動プーリ 18 挟持搬送ベルト
19 テンションローラ 20 回動フレーム
21 左右横軸 22 伝動ケース
23 昇降シリンダ 24 引抜搬送装置
25 縦引起し装置 26 横引起し装置
27 分草杆 29 駆動モータ
30 伸縮ロッド 31 ゲージ輪
32 シャフト 33 振動フレーム
34 振動ソイラ 35 ひげ根切断装置
54 位置揃え装置 60 茎葉切断刃
61 茎葉切断装置 65 排葉搬送装置
66 残葉搬送駆動プーリ 67 残葉搬送従動プーリ
69 残葉搬送ベルト 70 残葉搬送装置
71 排葉シュータ 72 残葉処理フレーム
73a 第1残葉処理ローラ 73b 第2残葉処理ローラ
74 残葉処理ベルト 75 残葉処理プレート
76 ギアボックス 77a 支持アーム
77b スプリング 77c 支持プレート
78 残葉処理ローラ 79 残葉処理コンベア
83 第1搬送フレーム 84 第2搬送フレーム
85 駆動スプロケット 86 中継スプロケット
87 従動スプロケット 88 伝動チェーン
90 搬送プレート 91 搬送ラグ
92 選別搬送コンベア 93 引継シュータ
94 ステップ 95 補助作業座席
100 受け台 102 送出ローラ
104 貯留台 105 ストッパ
106 リフト装置 107 コンテナ(収容容器)
110 搬送ローラ 112 保持部材
112a,112a 爪部 114 コンテナ移送装置
120 第1支持フレーム 122 第2支持フレーム
124 連結プレート 126 第1ベアリング
127 第1ベアリング溝 128 第1支持シャフト
130 スプロケット 132 第2ベアリング
133 第2ベアリング溝 134 第2支持シャフト
136 ボス 138 ターンバックル
138a 移動ロッド 138b 回転ロッド
140 従動スプロケット 142 第3支持シャフト
144 正逆転モータ 145 モータスイッチ
146 出力軸 148 駆動スプロケット
150 伝動チェーン 152 持ち上げチェーン
154 シリンダ 155 シリンダスイッチ
158 制御装置 160 爪部センサー
161 ストッパセンサー 162 補助載置台
164 送出ローラ 165 従動スプロケット
166 駆動スプロケット 167 移送チェーン
168 フレーム 170 移送ローラ
170a 溝部 170b 移送ローラ支持軸
175 エアーマット 176 コンプレッサ
177 受け台センサー 178 ペダル
180 選別搬送コンベアセンサー
A 走行部 B 操縦部
C 収穫部 D 茎葉切断部
E 残葉処理部 F 選別搬送部
G 収容部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
圃場から作物を引き抜き搬送する引抜搬送装置(24)と、
前記引抜搬送装置(24)の下方に設けられ、引抜搬送装置(24)から作物を引き継いで搬送する搬送装置(92)と、
該搬送装置(92)の搬送終端部に設けられ、搬送装置(92)により搬送される作物を収容する収容容器(107)を載置すると共に、載置した収容容器(107)を送り出す送出回転体(102)を備えた受け台(100)と、
該受け台(100)に隣接して設けられ、受け台(100)から送り出された収容容器(107)を貯留する貯留台(104)と、
該貯留台(104)上の収容容器(107)を移送する移送装置(114)と、
前記貯留台(104)に設けられ、貯留台(104)上の収容容器(107)を保持する保持部材(112)と該保持部材(112)を上下動可能な上下動機構(128,130,134,142,152,154)とを有するリフト装置(106)と
を設けたことを特徴とする根菜類収穫機。
【請求項2】
前記リフト装置(106)の保持部材(112)は、断面L字型又はT字型であって、L字又はT字の角部に収容容器(107)の側壁下端部を支持する爪部(112a)を有することを特徴とする請求項1記載の根菜類収穫機。
【請求項3】
前記リフト装置(106)の保持部材(112)は収容容器(107)の移送方向の前後に一対設けられ、該前後の保持部材(112,112)がそれぞれ前後方向に移動可能な前後間隔変更機構(138,140,144,148)を有することを特徴とする請求項2記載の根菜類収穫機。
【請求項4】
前記移送装置(114)は、
収容容器(107)の移送方向の始端部に、移送方向に向かって左右一対設けた始端部側回転体(165,165)と、
収容容器(107)の移送方向の終端部に、移送方向に向かって左右一対設けた終端部側回転体(166,166)と、
前記始端部側回転体(165,165)と終端部側回転体(166,166)との間にそれぞれ巻回した左右一対のチェーン(167,167)と、
収容容器(107)の移送方向に複数配置され、前記左右一対のチェーン(167,167)に接触して回転し収容容器(107)を移送すると共に、該収容容器(107)の移送方向にのみ回転可能とするワンウェイクラッチを有する移送回転体(170)と
を備えたことを特徴とする請求項1から3のいずれか1項に記載の根菜類収穫機。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【公開番号】特開2012−135220(P2012−135220A)
【公開日】平成24年7月19日(2012.7.19)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−287924(P2010−287924)
【出願日】平成22年12月24日(2010.12.24)
【出願人】(000000125)井関農機株式会社 (3,813)
【Fターム(参考)】