説明

根菜類収穫機

【課題】
収容袋を圃場に降ろす際、機体外側に離間する方向に降ろすことのできる根菜類収穫機を提供する。
【解決手段】
機体の左右一側に作物を圃場から引き抜いて後上方に搬送する引抜搬送装置24を設け、引抜搬送装置24から作物を引き継いで左右一側から左右他側に搬送する選別搬送装置87を設け、選別搬送装置87の搬送終端側に作物を収容する収容部材97を設け、選別搬送装置87の搬送終端側の下方に収容部材97を支持すると共に圃場に移動させる載置部材117を設けた根菜類収穫機において、載置部材117を回動させる回動支持部材112を機体左右他側ほど上方に向かう上方傾斜姿勢で機体の左右他側に配置し、回動部材112に収容部材97の底部を支持する支持部材115を圃場面に対して略水平姿勢で設けて構成する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、作物を圃場から引き抜き収穫する根菜類収穫機に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来の根菜類収穫機としては、選別された作物を収容袋で回収し、収容袋を支持する載置台を傾斜させて機体から降ろす技術が存在する。(特許文献1)
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特許第4247578号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、特許文献1に記載された根菜類収穫機では、作業者が搭乗する操縦部に載置台や収容袋が接触しないように、載置台が機体フレームから離間して配置されているため、収容袋を載置する載置台の重心位置と機体左右方向の中央部の距離が遠くなり、機体の重量バランスが載置台側に偏り、機体の進行方向が右寄りになったり、旋回後の作物の収穫開始位置がずれてしまったりする問題がある。
【0005】
また、載置台を操縦部と略平行姿勢に設けていることにより、収容袋が収容した作物によって膨らんでいると、載置台を離間させているにもかかわらず収容袋が操縦部に接触してしまい、接触の衝撃や、収容袋の損傷により作物が収容袋から落下し、落下の衝撃で作物が傷付いてしまい、商品価値が低下する問題がある。
【0006】
さらに、圃場に降りた収容袋は載置台の前方に位置するため、作物の収穫作業を再開するためには収容袋を回避して収穫作業を行う条に戻らねばならず、収穫開始位置がずれて作物が圃場から引き抜かれず、作業者が手作業で収穫する必要があり、作業者の費やす労力が増加する問題や、移動の際に機体が未収穫の作物に接触して作物を傷つけてしまい、作物の収穫量が減少してしまうという問題がある。
【0007】
本発明は、この問題を解消しようとするものである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
請求項1記載の発明は、機体の左右一側に作物を圃場から引き抜いて後上方に搬送する引抜搬送装置(24)を設け、該引抜搬送装置(24)から作物を引き継いで左右一側から左右他側に搬送する選別搬送装置(87)を設け、該選別搬送装置(87)の搬送終端側に作物を収容する収容部材(97)を設け、前記選別搬送装置(87)の搬送終端側の下方に収容部材(97)を支持すると共に圃場に移動させる載置部材(117)を設けた根菜類収穫機において、該載置部材(117)を回動支点させる回動支持部材(112)を機体左右他側ほど上方に向かう上方傾斜姿勢で機体の左右他側に配置し、該回動部材(112)に収容部材(97)の底部を支持する支持部材(115)を圃場面に対して略水平姿勢で設けたことを特徴とする根菜類収穫機とした。
【0009】
請求項2記載の発明は、前記回動支持部材(112)を機体の左右他側に設ける第1回動支持部材(112a)と、該第1回動支持部材(112a)に連結する第2回動支持部材(112b)で構成し、前記第1回動支持部材(112a)を圃場面に対して略水平姿勢で配置し、該第2回動支持部材(112b)を機体左右他側ほど上方に向かう上方傾斜姿勢で配置し、該第1回動支持部材(112a)と第2回動支持部材(112b)に支持部材(115)を構成する第1支持部材(115a)と第2支持部材(115b)をそれぞれ圃場面に対して略水平姿勢で設けたことを特徴とする請求項1記載の根菜類収穫機とした。
【0010】
請求項3記載の発明は、前記第1支持部材(115a)の前側で且つ左右一側に前側ほど機体から離間する形状の切欠部(115n)を形成し、前記第2支持部材(115b)の前側で且つ左右他側に前側ほど機体から離間する形状の突出部(115m)を設けたことを特徴とする請求項2記載の根菜類収穫機とした。
【0011】
請求項4記載の発明は、前記第1回動支持部材(112a)を機体左右他側ほど下方に向かう傾斜姿勢で配置したことを特徴とする請求項2または3記載の根菜類収穫機とした。
【0012】
請求項5記載の発明は、前記第1回動支持部材(112a)と第2回動支持部材(112b)を圃場面に対して略水平姿勢の第3回動支持部材(112c)で連結し、該第3回動支持部材(112c)に第3支持部材(115c)を圃場面に対して略水平姿勢で設けたことを特徴とする請求項2から4のいずれか1項に記載の根菜類収穫機とした。
【発明の効果】
【0013】
請求項1記載の発明によれば、回動支持部材(112)を左右他側ほど上方に位置する上方傾斜姿勢とし、回動支持部材(112)に収容部材(97)の底部を支持する支持部材(115)の基部を圃場面に対して略水平姿勢に設けたことにより、回動支持部材(112)を回動支点として支持部材(115)を下方回動させると支持部材(115)の前端部側が機体から離間する左右他側に移動するため、収容部材(97)を機体から離間する方向に容易に移動させることができ、作業能率が向上する。
【0014】
また、収容部材(97)を機体に接触させることなく載置部材(117)から圃場に移動させることができるので、接触の衝撃で収容部材(97)から作物が落下して傷付くことが防止され、作物の商品価値が向上する。
【0015】
そして、収容部材(97)が機体から左右他側に離間した位置に排出されることにより、収容部材(97)を降ろしてから作物の収穫作業に戻る際に、収容部材(97)を回避するための機体の移動距離が短くなるため、作業能率が向上すると共に、移動の際に機体が未収穫の作物に接触することを防止できるので、作物が傷付くことが防止され、作物の商品価値が向上する。
【0016】
請求項2記載の発明によれば、請求項1記載の発明の効果に加えて、略水平姿勢の第1回動支持部材(112a)と上方傾斜姿勢の第2回動支持部材(112b)に第1支持部材(115a)と第2支持部材(115b)を略水平姿勢で設けたことにより、第1回動支持部材(112a)及び第2回動支持部材(112b)を回動支点として第1支持部材(115a)と第2支持部材(115b)を下降移動させると、第2回動支持部材(112b)の前端部側が機体から離間する方向に移動するため、載置部材(117)の前側の左右間隔を広くすることができるので、収容部材(97)が載置部材(117)の前端部に詰まって動かなくなることが防止され、作業能率が向上する。
【0017】
また、収容部材(97)を機体から離間する方向に容易に移動させることができるので、作業能率が向上する。
そして、収容部材(97)を降ろしてから作物の収穫作業に戻る際に、収容部材(97)を回避するための機体の移動距離が短くなるため、作業能率が向上すると共に、移動の際に機体が未収穫の作物に接触することを防止できるので、作物が傷付くことが防止され、作物の商品価値が向上する。
【0018】
請求項3記載の発明によれば、請求項2記載の発明の効果に加えて、第1支持部材(115a)に前側ほど機体から離間する形状の切欠部(115n)を形成し、第2支持部材(115b)に前側ほど機体から離間する形状の突出部(115m)を形成したことにより、載置部材(117)の前側が機体から離間するため、収容部材(97)をいっそう機体から離間する位置に移動させることができるので、収容部材(97)を降ろしてから作物の収穫作業に戻る際に、収容部材(97)を回避するための機体の移動距離がいっそう短くなるため、作業能率が向上する。
【0019】
また、収容部材(97)が機体からいっそう離間することにより、収容部材(97)が機体に接触した衝撃で作物が落下して傷付くことを防止できるので、作物の商品価値が向上する。
【0020】
請求項4記載の発明によれば、請求項2または3に記載の発明の効果に加えて、第1回動支持部材(112a)を下方傾斜姿勢で配置したことにより、第1支持部材(115a)を下方回動させると第1支持部材(115a)の前端部が機体に接近する方向に移動し、第1支持部材(115a)と第2支持部材(115b)との間に空間部が生じるため、収容部材(97)が載置部材(117)上に停滞することを防止できるので、確実に収容部材(97)が圃場に排出されて作業能率が向上する。
【0021】
請求項5記載の発明によれば、請求項2から4のいずれか1項に記載の発明の効果に加えて、第1回動支持部材(112a)と第2回動支持部材(112b)との間に略水平姿勢の第3回動支持部材(112c)を設け、第3回動支持部材(112c)に第3支持部材(115c)を設けたことにより、第1支持部材(115a)と第3支持部材(115c)、及び第2支持部材(115b)と第3支持部材(115c)の間にそれぞれ空間部が生じるため、収容部材(97)が載置部材(117)上に停滞することを防止できるので、確実に収容部材(97)が圃場に排出されて作業能率が向上する。
【0022】
また、第3支持部材(115c)は収容部材(97)が圃場に排出されるまで収容部材(97)の底部を支持するため、排出途中の収容部材(97)が空間部から下方に落下することを防止できるので、作物が落下の衝撃で傷付くことが防止され、作物の商品価値が向上する。
【図面の簡単な説明】
【0023】
【図1】根菜類収穫機の側面図
【図2】根菜類収穫機の平面図
【図3】選別搬送部の背面図
【図4】選別搬送部の平面図
【図5】選別搬送コンベアの要部背面図
【図6】選別搬送部の背面図
【図7】茎葉切断部の側面図
【図8】茎葉切断部の平面図
【図9】茎葉切断部の肩揃え装置の要部平面図
【図10】(a)肩揃え装置の搬送体の平面図、(b)肩揃え装置の搬送体の側面図、(c)肩揃え装置の搬送体の正面図
【図11】肩揃え装置の側面断面図
【図12】載置排出部の平面図
【図13】載置排出部の側面図
【図14】載置排出部の背面図
【図15】載置排出部の要部拡大背面図
【図16】載置排出部の別構成例の平面図
【図17】載置排出部の別構成例の側面図
【図18】載置排出部の別構成例の背面図
【図19】載置排出部の別構成例の平面図
【図20】載置排出部の別構成例の側面図
【図21】載置排出部の別構成例の背面図
【図22】載置排出部の別構成例の平面図
【図23】載置排出部の別構成例の側面図
【図24】載置排出部の別構成例の背面図
【図25】載置排出部の別構成例の載置排出部の要部拡大背面図
【図26】載置排出部の別構成例の平面図
【図27】載置排出部の別構成例の側面図
【図28】載置排出部の別構成例の背面図
【発明を実施するための最良の形態】
【0024】
本発明の実施の形態について説明する。
図1〜図15に示すように、実施例の一つとして示す根菜類収穫機の一種である人参収穫機は、機体を走行させる走行部Aと、操縦者が搭乗する操縦部Bと、機体左右一側で圃場から人参を引き抜いて機体後上側に搬送する収穫部Cと、該収穫部Cから人参を引き継いで機体後方に搬送しながら茎葉部を切断する茎葉切断部Dと、茎葉切断部Dから落下する人参を受けて人参に残った茎葉部を処理する残葉処理部Eと、残葉処理部Eから人参を引き継いで人参を機体左右一側から左右他側へと搬送し、搬送中の人参を補助作業者が選別する選別搬送部Fと、該選別搬送部Fから排出される人参の収容部材を配置する収容部Gと、収容部材の底部を載置すると共に圃場に移動させる載置排出部Hから構成される。
【0025】
なお、本件においては、平面図において、機体の進行方向に対して左側を機体左右一側、機体の進行方向に対して右側を機体左右他側と称する。以下、各部の詳細を具体的に記載する。
【0026】
まず、走行部Aの構成について説明する。
図1、図2で示すように、機体フレーム1の下方に機体前部側の左右駆動スプロケット2,2と機体後部側の左右従動輪3,3と、該左右駆動スプロケット2,2と左右従動輪3,3との間に取り付けた複数の転輪4,4・・・の周りに左右ベルト5,5を巻き掛けて左右のクローラ6L,6Rを構成する。そして、該左右クローラ6L,6Rの左右駆動スプロケット2,2を、エンジン7の動力が伝動されるミッションケース8から左右両側に延出させた左右ドライブシャフト9,9に取り付け、一定の左右間隔を設けて左右クローラ6L,6Rを該機体フレーム1に取り付ける。
【0027】
次に、操縦部Bの構成について説明する。
図1、図2で示すように、前記機体フレーム1の右側上部に操縦部フレーム10を取り付け、該操縦部フレーム10には操縦座席11を取り付けると共に、機体前側に操縦パネル12を取り付ける。そして、該操縦パネル12に機体の前後進及び走行速度を切り換える変速操作レバー13を取り付けると共に、機体の左右旋回操作及び収穫部Cの作業高さを操作する昇降操作レバー14を取り付ける。
【0028】
また、前記操縦部フレーム10の機体左右他側(機体右側)にエンジン7を冷却するラジエータ(図示省略)を保護すると共に冷却風を取り込むラジエータカバー10aを着脱自在に取り付けることにより。操縦部Bが構成される。
【0029】
上記構成により、変速操作レバー13や昇降操作レバー14のような、1本で複数の操作を行える操縦部材を設けることによって、機体の操縦が容易になるため操縦者の作業を軽減することができる。
【0030】
次に、収穫部Cの構成について説明する。
図1、図2で示すように、左右引抜フレーム15,15の機体前側に左右従動プーリ16,16を回転自在に装着し、機体後側に左右駆動プーリ17,17を装着し、該左右従動プーリ16,16と左右駆動プーリ17,17との間に人参を引き抜き機体後部へと搬送する左右挟持搬送ベルト18,18を巻き掛けると共に、複数のテンションローラ19…によって該左右挟持搬送ベルト18,18を張圧し、左右挟持搬送ベルト18,18の機体内側面を互いに圧接させて人参の引抜搬送経路Rを構成する。そして、前記機体フレーム1の上方に左右横軸21を回動支点として上下方向に回動自在な回動フレーム20を取り付け、該回動フレーム20の後端部に前記左右駆動プーリ17,17に駆動力を伝動する伝動ケース22を、回動支点Xを中心として上下回動自在に取り付ける。また、前記機体フレーム1と回動フレーム20とを昇降シリンダ23で連結し、該昇降シリンダ23を操縦部Bで操作可能に取り付けて引抜搬送装置24を構成する。
【0031】
また、該引抜搬送装置24の前方に人参の茎葉部を引き起こす縦引起し装置25と、該縦引起し装置25が引起した茎葉部を掬い上げる横引起し装置26と、該横引起し装置26の前部に設ける分草杆27と、ハンドル29を回すと上下伸縮する伸縮ロッド30の下端部に引抜搬送装置24の下り過ぎを防止する回転自在なゲージ輪31と、前記エンジン7の駆動力で回転するシャフト32の回転によって振動する振動フレーム33に取り付けた人参の左右の土を振動によって解す左右振動ソイラ34,34とを設ける。
【0032】
そして、前記引抜搬送通路Rの下方に引抜搬送装置24で搬送中の人参のひげ根を切断する尻尾切装置35を取り付けて、収穫部Cを構成する。
上記構成により、機体前側に分草杆27を備える横引起し装置26と、縦引起し装置25を設けることによって、圃場に倒伏した人参の茎葉を掻き上げながら収穫作業ができ、収穫する人参の視認性が向上するので引き抜き位置が合わせやすく、作物の抜き残しが減少するため作業能率が向上する。
【0033】
また、人参に左右振動ソイラ34,34等が接触して傷つくことを防止できるので、人参の商品価値が向上する。
そして、ハンドル29を回すと上下伸縮する伸縮ロッド30の下端部にゲージ輪31を設けたことによって、ゲージ輪31を圃場面に接地させるとそれ以上引抜搬送装置24が下降しなくなるので、操縦者の操縦ミスや予期せぬ地面の凹凸によって引抜搬送装置24の下端部が圃場面に接触して破損することが防止される。
【0034】
そして、機体フレーム9と左右横軸21を回動支点として上下方向に回動自在な回動フレーム20とを昇降シリンダ23で連結し、昇降シリンダ23を操縦部Bの昇降操作レバー14を操作することによって伸縮させる構成としたことによって、昇降操作レバー14の操作により収穫部C全体の上下高さを調節することができるので、収穫部Cの引抜搬送始端部の位置を上下方向に調節しするとともに圃場に植生する人参の適切な引き抜き高さに合わせて引抜搬送始端部の位置調節を行え、人参の抜き残しが防止されるので作業能率が向上する。
【0035】
また、旋回時に収穫部Cを上昇させておくと、収穫部Cの下端部が圃場に接触しにくくなるため、旋回動作がスムーズに行われて作業能率が向上する。
次に、茎葉切断部Dについて説明する。
【0036】
図1及び図7〜図11で示すように、前記伝動ケース22に駆動力を伝道する左右の伝動軸36,36を取り付け、該左右の伝動軸36,36の上部に左右伝動ケース37,37を取り付けると共に、該左右の伝動ケース37,37内に複数のギアを噛み合わせて構成する左右の第1ギアユニット38,38を機体前側に向かって取り付ける。また、前記伝動ケース22内部の左右の伝動軸36,36に左右の第2ギアユニット39,39を機体後側に向かって取り付け、該左右の第2ギアユニット39,39の後端部に左右の第1出力軸40,40を機体上方に向けて軸着する。
【0037】
そして、前記の左右第1ギアユニット38,38の前端部に左右の第2出力軸41,41を機体下方に向けて軸着し、該左右の第2出力軸41,41に左右の位置揃え駆動スプロケット42,42を軸着する。さらに、前記左右伝動ケース37,37の前下部に側面視L字型の左右の位置揃えフレーム43,43を取り付け、該位置揃えフレーム43,43に機体左右方向の孔部44,44を形成し、該孔部44,44に左右の位置揃え従動スプロケット45,45を軸着した左右回転軸46,46を取り付ける。また、該位置揃え従動スプロケット45,45と位置揃え駆動スプロケット42,42との前後間で且つ位置揃え駆動スプロケット42,42よりも機体内側位置に左右の位置揃えテンションスプロケット47,47を回転自在に取り付ける。さらに、該位置揃えテンションスプロケット47,47と位置揃え駆動スプロケット42,42と位置揃え従動スプロケット45,45とに左右の位置揃えチェーン48,48を無端状に巻回する。
【0038】
なお、前記位置揃え駆動スプロケット42,42は、位置揃え従動スプロケット45,45及び位置揃えテンションスプロケット47,47よりも小径のものを用いてもよい。
そして、前記伝動ケース37,37に左右の受け板49,49を前後方向に位置調節可能に取り付け、該受け板49,49と位置揃えフレーム43,43との間に、前記位置揃え従動スプロケット45,45を張圧して位置揃えチェーン48,48に生じる弛みを吸収させる左右の張圧バネ50,50を取り付ける。該張圧バネ50,50は、受け板49,49を前後に移動させることにより、位置揃え従動スプロケット47,47にかかる張圧力を変更することができ、人参の種類や生育状態、茎葉部の平均的な太さに応じて変更することで、様々な作業条件に対応することができる。
【0039】
また、前記左右の位置揃えフレーム43,43に機体左右方向の孔部44,44を形成、該孔部44,44に位置揃え従動スプロケット45,45の回転軸46,46を貫通させて設けたことにより、位置揃え従動スプロケット45,45を左右方向に移動させて位置調節することができるので、非作業時及び茎葉部が通過中でない、あるいは径の小さい茎葉部が通過する際は、位置揃え従動スプロケット47,47は張圧バネ50,50に押圧されて前側で且つ機体内側方向に向かって押圧され、大径の茎葉部が通過する際には位置揃え従動スプロケット47,47は機体外側方向に向かって押圧される構成となり、大径の茎葉部が噛み込まれることを防止でき、噛み込まれた茎葉部を取り除く必要が無く作業能率が向上する。
【0040】
加えて、位置揃え装置54L,54Rの搬送始端側から搬送終端側までの左右間隔が、大径の茎葉部が通過して負荷がかかったときのみ略直線状となるので、それ以外の場合には位置揃え装置の左右間隔を搬送始端側から搬送終端側に向かって広がる構成となり、位置揃え装置54L,54Rの左右間隔を通過する人参が左右方向にふらつくことを防止でき、人参の茎葉部の切断位置揃えが適正に行なわれる。
【0041】
さらに、大径の茎葉部が位置揃え装置54L,54Rの左右間を通過できず、人参の茎葉部の切断位置が上がり過ぎ、根部に茎葉部が残ることを防止でき、後処理でこの茎葉部を取り除く作業が不要となり、作業能率が向上すると共に、人参が持ち上げられ過ぎ、根部を後述する茎葉切断装置61に切断されてしまうことを防止できるので、人参が傷付くことが無く、商品価値が向上する。
【0042】
そして、前記位置揃えチェーン48,48を構成する複数のリンク48a…に、位置揃えチェーン48,48の上部と下部と茎葉部の接触面を覆う正面視コの字型のガイドカバー51…を取り付け、位置揃えガイド体52を構成する。
【0043】
なお、図10(a)〜(c)で示すように、該ガイドカバー51…は、平面視において前後一側方を凸状のR部51a、前後他側方を凹状のR部51bを形成し、茎葉部との接触面に前後他側方に、後続のガイドカバー51の前後一側方の凸状のR部51a上に向かって突出する突出部51cを形成する。直線部では前方のガイドカバー51の凹状のR部51bに後続のガイドカバー51の凸状のR部51aが入り込み、この後続の凸状のR部を前方の突出部51cが覆うことによって、ガイドカバー51同士の間隔部を覆うことができるので、ガイドカバー51同士の間隔部に人参の茎葉部が噛み込まれることが防止され、機体を停止させて噛み込まれた茎葉部を取り除く必要が無く、作業能率が向上する。
【0044】
また、ガイドカバー51は凸状のR部51aと凹状のR部51bを有し、リンク48aに1つずつ取り付けられていることにより、ガイドカバー51同士は干渉し合うことが無く位置揃えチェーン48,48の移動に追従することができるので、位置揃え装置54L,54Rの移動がスムーズになり、作業能率が向上する。
【0045】
加えて、位置揃えチェーン48,48が円弧軌跡で移動する際、突出部51cを有することにより、ガイドカバー51同士の間に大きな間隔部が生じないため、この間隔部に人参の茎葉部が噛み込まれることを防止でき、機体を停止させて噛み込まれた茎葉部を取り除く必要が無く、作業能率が向上する。
【0046】
なお、位置揃えガイド体52は、複数のガイドカバー51…ではなく、位置揃えチェーン48の上面と下面と茎葉部との接触面を覆う、断面形状コの字型としてもよい。
そして、前記位置揃えチェーン48,48の巻回域内で且つ位置揃え従動スプロケット45,45と位置揃えテンションスプロケット47,47との間に、位置揃えチェーン48,48を巻回域内から茎葉部接触面に向かって押圧する左右のテンションプレート53L,53Rを機体左右方向に位置調節自在に取り付けることにより、左右の位置揃え装置54L,54Rが引抜搬送装置24の搬送方向後側の下方位置に構成される。
【0047】
該テンションプレート53L,53Rは、前記伝動ケース37,37に長穴を形成して取付軸53a,53aをボルト等着脱可能な部材で位置調節に取り付け、該取付軸53a,53aの端部に板体53b,53bを溶着して構成する。
【0048】
なお、テンションプレート53L,53Rは、左右の位置揃え装置54L,54Rに略平行位置に設けてもよいが、機体外側の位置揃え装置53Rの前側にテンションプレート52Rを設ける場合、機体内側の位置揃え装置53Lのテンションプレート52Lは位置揃え装置53Rのテンションプレート52Rよりも機体後側に設けると、大径の茎葉部が位置揃え装置54L,54Rの左右間を通過する際、テンションプレート52Lまたはテンションプレート52Rの無い側に位置揃えチェーン48及び位置揃えガイド体52が移動するので、人参の茎葉部の径が大きくても位置揃え装置54L,54Rに噛み込まれることを防止でき、機体を停止させて噛み込まれた茎葉部を取り除く必要がなく、作業能率が向上する。
【0049】
加えて、テンションプレート53L,53Rの張力は、前記張圧バネ50,50の張力よりも弱く設定すると、大径の茎葉部が通過して負荷がかかると位置揃えチェーン48,48が適正な位置まで撓んで退避することができ、54L,54Rに噛み込まれることを防止でき、機体を停止させて噛み込まれた茎葉部を取り除く必要がなく、作業能率が向上する。
【0050】
そして、前記位置揃え駆動スプロケット42,42の近傍で且つ位置揃えガイド体52,52の外側位置で伝動ケース37,37に長穴を形成し、この長穴に位置揃えガイド体52,52の表面に付着した茎葉部の切れ端や泥等を落とす左右のスクレーパ55,55を位置揃えガイド体52,52の軌跡に沿って位置調節時際に取り付ける。
【0051】
なお、スクレーパ55,55は、後下り傾斜姿勢で配置することにより、茎葉部の切れ端や泥を下方に落下させやすくなる。
そして、前記左右第1ギアユニット38,38の位置揃え装置54L,54Rの後方位置に左右の切断刃回転軸56,56を軸着し、該切断刃回転軸56,56に左右のベアリング57,57を回転自在に取り付ける。そして、前記左右のベアリング57,57に左右の支持プレート59,59を取り付け、該支持プレート59,59に左右の茎葉切断刃60,60を取り付けて、茎葉切断装置61が構成される。
【0052】
また、前記左右第1出力軸40,40に左右茎葉搬送駆動プーリ62,62を軸着し、前記左右第1ギアユニット38,38よりも機体前側で且つ位置揃え装置54L,54Rの上方に左右茎葉搬送従動プーリ63,63を回転自在に取り付ける。そして、該左右茎葉搬送駆動プーリ62,62と左右茎葉搬送従動プーリ63,63とに左右排葉搬送ベルト64,64を無端状に巻回することによって、前記引抜搬送装置24から人参の茎葉部を引き継いで機体後方に排出する排葉搬送装置65が、前記左右の伝動ケース37,37の上部外周で且つ引抜搬送装置24の搬送終端側の下方に構成される。
【0053】
さらに、前記左右第1出力軸40,40の上端部に左右残葉搬送駆動プーリ66,66を軸着し、前記伝動ケース37,37の上方に左右残葉搬送従動プーリ67,67を回転自在に取り付けるとともに、該左右残葉搬送駆動プーリ66,66と左右残葉搬送従動プーリ67,67との前後間に複数の左右の残葉搬送テンションプーリ68,68…を取り付ける。そして、前記左右残葉搬送駆動プーリ66,66と左右残葉搬送従動プーリ67,67と左右残葉搬送テンションプーリ68,68…とに左右残葉搬送ベルト69,69を無端状に巻回することによって、茎葉の上部を挟持して機体後方に搬送する残葉搬送装置70が、前記排葉搬送装置65の上方に構成される。
【0054】
上記排葉搬送装置65と残葉搬送装置70の終端部から茎葉切断装置61によって切断された茎葉を圃場に排出する排葉シュータ71を設けて、茎葉切断部Dを構成する。
上記構成により、左右の位置揃え駆動スプロケット42,42が、茎葉部が通過する位置揃え装置54L,54Rの左右間隔部から離間する位置に配置されることにより、位置揃え駆動スプロケット42,42や第2出力軸41,41に茎葉部が絡み付いて位置揃え装置54L,54Rを停止させてしまうことを防止できるので、収穫作業が中断されず、作業能率が向上する。
【0055】
また、位置揃え駆動スプロケット42,42を位置揃え従動スプロケット45,45及び位置揃えテンションスプロケット47,47よりも小径としたことにより、位置揃え駆動スプロケット42,42がいっそう位置揃え装置54L,54Rの左右間隔部から離間するので、位置揃え駆動スプロケット42,42や第2出力軸41,41に茎葉部が絡み付くことをいっそう防止でき、作業能率がさらに向上する。
【0056】
そして、位置揃え従動スプロケット45,45を張圧する左右の張圧バネ50,50を設けたことにより、位置揃え装置54L,54Rに茎葉部が接触する際に左右の位置揃えチェーン48,48に生じる弛みを吸収させることができ、位置揃えチェーン48,48がすぐに張り状態に戻るため、径の異なる茎葉部が連続して通過するときでも位置揃え装置54L,54Rが確実に人参の茎葉部を受けることができ、人参の茎葉部の切断位置が適正に揃えられて茎葉部が適正に切断され、後工程で茎葉部を除去する必要が無く、作業能率が向上する。
【0057】
また、左右の受け板49,49を前後方向に移動させることで張圧バネ50,50の張力が調節されることにより、人参の生育状況や品種による茎葉部の径の差異、あるいは天候や土質等、作業場所の作業条件に合わせて張力を適正に変更できるので、人参の茎葉切断位置の位置揃えを適正に行い茎葉部を確実に切断することにより、後工程で人参に残る茎葉部を取り除く必要がなくなり、作業能率が向上する。
【0058】
さらに、左右の位置揃えフレーム43,43に機体左右方向の孔部44,44を形成し、この孔部44,44に位置揃え従動スプロケット45,45を軸着した回転軸46,46を移動自在に設けたことにより、負荷がかからない状態では、張圧バネ50,50に張圧された位置揃え従動スプロケット45,45は茎葉部の搬送経路寄りに移動するので、小径の茎葉部が通過する際に位置揃え装置54L,54Rが茎葉部を受けて人参の茎葉部の切断位置を適正に揃えることができ、後工程で人参に残る茎葉部を取り除く必要がなくなり、作業能率が向上する。
【0059】
また、大径の茎葉部が通過する際、左右の位置揃え装置54L,54Rに大きな負荷がかかると、位置揃え従動スプロケット45,45は孔部44,44に沿って茎葉部の移動経路から離間する方向に移動するので、位置揃え装置54L,54Rの前側の左右間隔が広くなり、茎葉部が位置揃え装置54L,54Rの間隔部に噛み込まれることを防止でき、機体を止めて噛み込まれた茎葉部を取り除く必要が無く、作業能率が向上する。
【0060】
なお、人参の茎葉部が須らく大径であることが収穫作業前にわかっている場合には、位置揃え従動スプロケット45,45を左右の位置揃え装置54L,54Rの左右間から離間する方向に移動させ、位置揃え装置54L,54Rの搬送方向上手側の左右間隔を広くしておくと、位置揃え装置54L,54Rが茎葉部を噛み込むことを防止でき、噛み込んだ茎葉部を取り除く作業が必要なく、作業能率が向上する。
【0061】
そして、位置揃えチェーン48,48を構成する複数のリンク48a…毎にガイドカバー51…を取り付けて位置揃えガイド体52を構成したことにより、任意の箇所のガイドカバー51を自在に着脱できるので、一部のガイドカバー51が損傷しても、新しいガイドカバー51に取り替えるだけで適正な位置揃え性能が維持され、茎葉部が適正に切断されるので、作業能率が向上する。
【0062】
また、位置揃えガイド体52全体を取り替える必要がないので、コストダウンを図ることができる。
さらに、ガイドカバー51の着脱は、工具を必要とせず手作業で行なえるので、交換作業を容易に行なうことができる。
【0063】
そして、ガイドカバー51が位置揃えチェーン48の上面と下面と茎葉部との接触面を覆う正面視コの字形状としたことにより、ガイドカバー51と位置揃えチェーン48との間に空間部が生じないので、ガイドカバー51と位置揃えチェーン48との間で茎葉部を挟み込んでしまい、人参が適正な切断位置に揃えられず茎葉部が切り残されることを防止でき、後工程で茎葉部を除去する作業が必要なく、作業能率が向上するとともに、人参の根部が切断されることを防止でき、人参の商品価値が向上する。
【0064】
また、ガイドカバー51に凸上のR部51aと凹状のR部51bとを形成し、後続のガイドカバー51の凸状のR部51aを前側のガイドカバー51の凹状のR部51bに近接させて位置揃えチェーン48に取り付けることにより、位置揃えチェーン48が位置揃え従動スプロケット45などの周囲を円弧軌道で移動する際、ガイドカバー51…は追従して移動できるので、位置揃え装置54L,54Rは一定の周速で動作するため、茎葉部を受けて人参の茎葉部の切断位置を適正に揃えることができ、後工程で人参に残る茎葉部を取り除く必要がなくなり、作業能率が向上する。
【0065】
さらに、凸状のR部51a上に向かって突出する突出部51cを設けたことにより、位置揃えチェーン48が位置揃え従動スプロケット45などの周囲を円弧軌道で移動する際、ガイドカバー51…同士の前後間に生じる空間部をこの突出部51cが覆うため、ガイドカバー51…同士の前後間の空間部で茎葉部を挟み込んでしまい、人参が適正な切断位置に揃えられず茎葉部が切り残されることを防止でき、後工程で茎葉部を除去する作業が必要なく、作業能率が向上するとともに、人参の根部が切断されることを防止でき、人参の商品価値が向上する。
【0066】
そして、位置揃えチェーン48,48の巻回域内に左右のテンションプレート53L,53Rを設けたことにより、位置揃えチェーン48,48を巻回域内から押圧するため、大径の茎葉部が通過する際、テンションプレート53Lまたはテンションプレート53Rが押圧していない部分の位置揃えチェーン48,48は位置揃え駆動スプロケット42,42の方向へ退避できるので、茎葉部が位置揃え装置54L,54Rの左右間に噛み込まれることが無く、機体を止めて噛み込まれた茎葉部を取り除く必要が無く、作業能率が向上する。
【0067】
また、位置揃え駆動スプロケット42,42の外周を移動する位置揃えガイド体52,52に付着した茎葉部の破片や泥等の夾雑物を擦り落とす左右のスクレーパ55,55を設けたことによって、茎葉部の移動経路から離れて位置で位置揃えガイド体52,52に付着した夾雑物を除去することができるので、茎葉部の破片が位置揃え装置54L,54Rの各部に絡み付くことが防止され、機体を止めて絡み付いた茎葉部の破片を取り除く必要が無く作業能率が向上すると共に、泥の塊が人参の根部を傷つけることが防止され、人参の商品価値が向上する。
【0068】
さらに、スクレーパ55,55は長穴に沿って取り付け位置を変更することができるので、収穫作業を行う圃場の人参の茎葉部の径の平均に合わせて最適な位置にスクレーパ55,55を設定し、確実に茎葉部の破片や泥等の夾雑物を位置揃えガイド体52,52から除去することにより、上記の効果がさらに向上する。
【0069】
そして、茎葉切断装置61で人参から切断された排葉(切断された茎葉部)を圃場に排出する排葉シュータ71が、既掘り側(人参を収穫し終えた側)に茎葉を排出するように下方傾斜姿勢に設けられていることによって、排出された茎葉が未掘り側(人参を収穫していない側)の人参の上に落下し、排葉が左右挟持搬送ベルト19,19や左右従動プーリ17,17等に絡み付いて収穫部Cを停止させて収穫作業を妨げることが防止できるので、作業能率が向上すると共に、人参の上に落下した排葉が収穫する人参の視認性を妨げることを防止できる。
【0070】
次に、残葉処理部Eについて説明する。
図1、図7で示すように、前記茎葉切断装置61の下方に前後残葉処理フレーム72,72を設け、該残葉処理フレーム72,72の機体左右一側の前後間に第1残葉処理ローラ73aを回転自在に取り付ける。また、前記残葉処理フレーム72,72の機体左右他側の前後間で且つ第1残葉処理ローラ73aよりも下方位置に第2残葉処理ローラ73bを回転自在に取り付ける。そして、該第1残葉処理ローラ73aと第2残葉処理ローラ73bとにゴムやウレタン等の弾性体で構成する残葉処理ベルト74を無端状に巻回する。さらに、該残葉処理ベルト74の上部に人参の根部に残った残葉を残葉処理ベルト74と共に挟み込んで回転して切除する残葉処理ローラ75を取り付けて、茎葉切断部Dから引き継いだ人参の残葉を処理しながら機体外側方向から左右内側方向に搬送する残葉処理コンベア76を構成することにより、残葉処理部Eが構成される。
【0071】
なお、該残葉処理コンベア76は、機体左右一側から左右他側に向けて2〜5度程度傾斜している。
これにより、落下した人参は残葉処理ベルト74の駆動と傾斜による移動により移動するので、残葉処理コンベア76上で人参の移動が停止することがなく、手作業で停止した人参を動かす必要がなく、作業能率が向上する。また、残葉処理コンベア76が若干(約2〜5度)傾斜していることにより、機体が圃場の状態等により機体左右一側方向に傾斜しても残葉処理コンベア76は地面に対して略水平状態となるに留まるので、人参が残葉処理コンベア76上に停滞したり、残葉処理コンベア76の搬送方向とは逆方向に移動することがなく、こうした人参を手作業で搬送経路に戻す必要がなく、作業能率が向上する。
【0072】
上記構成により、残葉処理コンベア76を構成する残葉処理ローラ75が、茎葉切断装置61で切り残された人参の残葉を千切り取るため、収穫作業後に人手で残葉を切除する作業を省略することができ、作業能率が向上する。
【0073】
また、残葉処理コンベア76を構成する残葉処理ベルト74をゴムやウレタン等の弾性体で構成したことによって、茎葉切断装置61で茎葉部を切除されて人参が落下しても残葉処理ベルト74が落下の衝撃を軽減するので、落下の衝撃で人参が傷付くことが防止され、人参の品質が向上する。
【0074】
次に、選別搬送部Fについて説明する。
図2〜図6で示すように、前記残葉処理コンベア76よりも機体前側で且つ下方位置に前後の第1搬送フレーム77,77を前後方向に所定間隔を開けて配置し、該第1搬送フレーム77,77の機体内側端部(機体左右他側端部)で且つ外側に前後の第2搬送フレーム78,78を前後方向に所定間隔を空けて且つ搬送終端部側が上下回動自在に配置する。そして、該第1搬送フレーム77,77の機体左右一側端部に前後の駆動スプロケット79,79を夫々回転自在に取り付け、第1搬送フレーム77,77の機体左右他側端部に前後の中継スプロケット80,80を夫々回転自在に且つ駆動スプロケット79,79よりも下方位置に取り付けると共に、第2搬送フレーム78,78の機体左右他側端部に前後の従動スプロケット81,81を夫々回転自在に取り付ける。
【0075】
また、該駆動スプロケット79,79と中継スプロケット80,80と従動スプロケット81,81とに前後の伝動チェーン82,82を夫々無端状に巻回し、前記中継スプロケット80,80の上部に伝動チェーン82,82を張圧する前後のテンションスプロケット(図示省略)を前記第1搬送フレーム77,77で且つ伝動チェーン82,82に接触する位置に回転自在に取り付ける。
【0076】
さらに、該伝動チェーン82,82に人参を載せて搬送するプラスチック等合成樹脂またはゴムで構成する複数の搬送バー84…を回転自在に取り付ける。
そして、前記第2搬送フレーム78,78の左右間に支持プレート86を取り付け、該支持プレート86と機体フレーム1との間に選別搬送コンベア87の搬送終端部側を上下動させる昇降シリンダ88を伸縮自在に取り付けて、機体左右一側から左右他側に亘って人参を搬送する選別搬送コンベア87を構成する。さらに、該選別搬送コンベア87の搬送終端部の下部に、選別搬送コンベア87の搬送終端部から排出される人参を滑らせて移動させる、ゴム板や塩ビ板等の軟質部材で構成する排出シュータ89を端部が下方に垂れ下がる姿勢で取り付ける。
【0077】
なお、昇降シリンダ88は電動式でも油圧式でも空圧式でもよく、手動で伸縮操作するものでもよい。
そして、前記機体フレーム1の機体左右他側の後部で且つ選別搬送コンベア87よりも機体後側に、前記選別搬送コンベア87で搬送中の人参の選別作業や選別搬送コンベア87の操作を行なう補助作業者が搭乗する搭乗ステップ90を配置し、該搭乗ステップ90上で且つ選別搬送コンベア88の中継スプロケット80,80を配置した近傍位置に補助作業座席91を取り付ける。
【0078】
さらに、前記昇降シリンダ88を伸縮操作して選別搬送コンベア87の搬送終端部側を上下動させる上昇踏みペダル92aと下降踏みペダル92bとを選別搬送コンベア87の搬送経路の下方に配置する。
【0079】
そして、該搭乗ステップ90上で且つ補助作業座席91に着座した補助作業者が足で踏んで操作できる位置に配置することによって、選別搬送部Fが構成される。
上記構成によれば、駆動スプロケット79,79よりも中継スプロケット80,80を下方に配置したことにより、選別搬送コンベア87のうち駆動スプロケット79,79から中継スプロケット80,80を配置した区間は、機体内側方向(機体左右他側方向)に約2〜5度傾斜して、残葉処理コンベア76と略平行姿勢とすることにより、人参が残葉処理コンベア76の何処から落下しても残葉処理コンベア76と選別搬送コンベア87の搬送始端部との落差が略同じなので、落下の衝撃で人参が傷付くことが防止でき、商品価値が向上する。
【0080】
また、昇降シリンダ88を操作する上昇踏みペダル92aと下降踏みペダル92bを補助作業座席91に着座した補助作業者の足が届く位置に設けたことにより、補助作業者は補助作業座席91に着座したまま選別搬送コンベア87の搬送終端部側を上下動させることができ、作業能率が向上するとともに作業者の労力が軽減される。
【0081】
さらに、上昇踏みペダル92aと下降踏みペダル92bを設けたことにより、補助作業者は選別搬送コンベア87の上下動を足だけで操作することができ、手を搬送中の人参の選別作業に集中させられるので選別精度が向上すると共に、手を選別搬送コンベア87の構成部材で挟んだり切ったりすることが防止でき、作業の安全性が向上する。
【0082】
次に、収容部Gの構成について説明する。
図2〜図6で示すように、前記選別搬送コンベア87の前後の第2搬送フレーム78,78の搬送方向下手側(左右他側部)に回動シャフト93を機体前後方向に貫通させて取り付け、該回動シャフト93の前後両端側で且つ第2搬送フレーム78,78の外側に夫々摩擦抵抗体94,94を軸着する。
【0083】
該摩擦抵抗体94,94は皿バネやスプリングワッシャ、ゴムリング等、強い摩擦抵抗を有する部材であればどのようなものを用いてもよい。
また、前記回動シャフト93の前後両端部に前後のハンガーアーム95,95の基部側を摩擦抵抗体94,94よりも前後方向外側に設け、第2搬送フレーム78,78とハンガーアーム95,95との間に挟み込んだ摩擦抵抗体94,94の摩擦抵抗によりハンガーアーム95,95が上方または下方に抵抗力以上の移動力がかかったときのみ上方または下方に移動可能に構成する。
【0084】
そして、前記ハンガーアーム95,95の端部側に前後方向に亘って選別搬送コンベア87の機体前後端部よりも前後方向に突出するハンガーフレーム96を取り付け、該ハンガーフレーム96の前後両端部に人参を収容する収容袋(フレキシブルコンテナバッグ)97を前後左右の4点を引っ掛けて吊り下げ支持する前後一対の吊下げハンガー98,98を左右方向に回動自在に取り付ける。さらに、該吊下げハンガー98,98の機体外側端部に上方向きの逆U字型(∩型)の外側吊下げ体99a,99aを夫々溶着すると共に、機体内側端部を下方向きのU字型の内側吊下げ体99b,99bを溶着し、該外側吊下げ体99a,99aと内側吊下げ体99b,99bに収容袋97を吊り下げる吊下げフック99f,99f,99f,99fを上下移動自在に取り付ける。
【0085】
なお、外側吊下げ体99a,99a及び内側吊下げ体99b,99bを溶着する代わりに、吊下げハンガー98,98の機体外側端部を逆U字型(∩型)に折り曲げ、機体内側端部をU字型に折り曲げて、吊下げフック99f,99f,99f,99fを上下方向に移動自在に取付可能な構成としてもよい。
【0086】
該吊下げハンガー98,98は、吊り下げる収容袋97の上側開口部が平面視で略四角形となるように、収容袋97の4箇所の角部を前後の外側吊下げ体99a,99a及び前後の内側吊下げ体99b,99bで吊り下げる。
【0087】
そして、前記第2搬送フレーム78,78の搬送終端部の前後外側で且つ回動シャフト93の取付位置よりも機体外側方向に前後のハンガーアーム95,95を受け止めて下方回動を規制する下限規制突起100,100を取り付ける。さらに、機体前側の第2搬送フレーム78の外側で機体前側の下限規制突起100よりも上方且つ回動シャフト93寄りの位置に、機体前側のハンガーアーム95を受け止めて上方回動を規制する上限規制突起101を取り付ける。
【0088】
また、前記回動シャフト93の機体後側もしくは前後両側に雌ネジを刻んだ孔部(図示せず)を形成し、該孔部にねじ込む雄ネジ(図示せず)を刻んだ調節ノブ102を挿し込み、該調節ノブ102を回転させて摩擦抵抗体94,94を間に挟んだ第2選別フレーム78,78とハンガーアーム95,95との前後間隔を変更することにより、摩擦抵抗力が変化する構成とする。
【0089】
上記調節ノブ102を回動シャフト93の機体後側端部に設けると補助作業座席91に搭乗した補助作業者が操作し易く、回動シャフト93の機体前側端部に設けると操縦座席11に搭乗した作業者が操作し易くなり、摩擦抵抗体94,94の摩擦抵抗力の調節が容易となる。
【0090】
さらに、前記回動シャフト93よりも選別搬送コンベア87の搬送終端側で且つ機体後側の第2搬送フレーム78の下側に前後方向に摺動自在なスライド軸103を設け、該スライド軸103に機体前側方向に張圧力をかけるスプリング104を軸着する。そして、該スプリング104の機体前側端部に選別搬送コンベア87の下部に入り込む収容袋97の機体内側の前後中間部を吊り下げて弛みを防止する補助フック105を設け、前記スライド軸103の後側端部で且つ第2フレーム78の外側に補助作業者が手で掴んでスライド軸103を前後摺動させるスライドノブ106を取り付ける。
【0091】
なお、前記スライド軸103は非操作時に選別搬送コンベア87の機体後端部から前後中間部と同じか若干機体前側まで亘って設けると、補助フック105の位置を合わせ易くなる。また、スライド軸103を機体前側から後側に向かって設けてもよく、この場合操縦座席11に搭乗する作業者がスライド軸103の操作を行なうことができる。
【0092】
そして、図6で示すように、選別搬送コンベア87の下方で且つ回動シャフト93よりも選別搬送コンベア87の搬送方向上手側に、収容袋97の機体内側の吊り帯97iを引っ掛ける吊り帯フック107を取り付け、前記ハンガーフレーム96の上部に機体外側の吊り帯97oを引っ掛ける吊り帯ピン108を機体上方に向けて配置することにより、収容袋吊下げ装置85が構成される。
【0093】
該機体内外側の吊り帯97i,97oは、人参を収容した収容袋97をフォークリフトやホイストに引っ掛けて吊り下げるための部材である。
収容袋吊下げ装置85と回収台118とにより、収容部Gが構成される。
【0094】
次に、上記収容部Gの動作について説明する。
人参の収穫作業開始時には、前記選別搬送コンベア87の搬送終端部から収容袋97までの人参の落下距離を最小限にするため、該選別搬送コンベア87を最下位置まで下降させる。また、前後の吊下げハンガー98,98の外側吊下げ体99a,99aと内側吊下げ体99b,99bに設けた吊下げフック99f,99f,99f,99fに収容袋97の四隅を引っ掛けて、上側開口部を平面視で略四角形状とする。
【0095】
そして、前後のハンガーアーム95,95を上限規制突起101に接触するまで上方回動させ、前後の吊下げハンガー98,98を機体内側端部から機体外側端部に向かって上方に傾斜する姿勢とする。吊下げハンガー98,98が機体外側方向に向かって上方に傾斜する姿勢となることにより、吊り下げられている収容袋97も機体内側端部から機体外側端部に向かって上方に傾斜する上り傾斜姿勢となる。
【0096】
このとき、吊り下げられた収容袋97のうち、選別搬送コンベア87の搬送終端部側から人参が排出される機体内側は弛むため上下長さが短くなり、機体外側は殆ど弛みが生じないため上下長さが長くなる。
【0097】
なお、収容袋97は、布材や合成繊維等で柔軟に構成したものとする。
また、前記収容袋97の機体内側端部に排出シュータ89の機体外側端部を入り込ませ、収容袋97の機体内側端部を選別搬送コンベア87の搬送終端側の下方に入り込ませ、収容袋97の前後方向略中心部に形成した吊り孔(図示せず)に補助フック105を引っ掛ける。さらに、収容袋Bの機体内側の吊り帯97iを吊り帯フック107に引っ掛けると共に、機体外側の吊り帯97oをハンガーフレーム96上の吊り帯ピン108に引っ掛ける。
【0098】
前記ハンガーアーム95,95は摩擦抵抗体94,94の摩擦抵抗力により、作業者が設定した傾斜姿勢で保持されるが、放置すると勝手に下方回動し始める場合には調節ノブ102を回転させて、第2搬送フレーム78,78とハンガーアーム95,95との間に配置された摩擦抵抗体94,94の摩擦抵抗力を調節する。調節ノブ102を締め方向に回転させると摩擦抵抗体94,94の接触面積・接触圧が増加して摩擦抵抗力が強くなり、ハンガーアーム95,95が勝手に移動することが防止される。なお、緩め方向に回転させると摩擦抵抗体94,94の接触面積・接触圧が減少して、摩擦抵抗力が弱くなる。
【0099】
また、収穫作業が進行し、収容袋97に収容された人参が一定量を超えると、補助作業者が上昇踏みペダル92aを足踏み操作し、昇降シリンダ88を伸ばして選別搬送コンベア87の搬送終端部側を上昇させる。
【0100】
選別搬送コンベア87が上昇している間は、前記ハンガーアーム95,95が下降しようとする力が摩擦抵抗体96,96の摩擦抵抗力を上回るため、ハンガーアーム95,95が下降する。ハンガーアーム95,95の下降は、収容袋97に人参の収容スペースを確保すべく選別搬送コンベア87を上昇させている間のみ発生する。
【0101】
ハンガーアーム95,95が下方回動することにより、吊下げハンガー98,98がハンガーフレーム96を支点として回動し、吊下げハンガー98.98の機体外側が下方に回動すると共に、機体内側が上方に回動する。収容袋97の機体外側は設置の段階で上方に位置しているので殆ど位置の変化はないが、機体内側は吊下げハンガー98,98の移動により、上方に引き上げられる。これにより、収容袋97の機体内側に生じていた弛みが上昇量に応じて解消される。
【0102】
なお、この動作による選別搬送コンベア87の搬送終端部と収容袋97との落差の変化は殆どなく、また排出シュータ89の端部は、収容袋97の内部に垂れ下がって入り込んでいるため、収容袋97からはみ出すことがない。
【0103】
また、収穫作業が進行し、収容袋97に収容された人参が一定量を超える度に選別搬送コンベア87の搬送終端部を上昇させ、ハンガーアーム95,95を下方回動させると共に、収容袋97の機体内側を上方に引き上げて、収容袋97内の人参の収容スペースを確保すると共に、機体内側に偏る人参の山を崩していく。
【0104】
そして、選別搬送コンベア87を上方に回動させ、吊下げハンガー98,98が略水平姿勢になると、収容袋97の機体内側の弛みが解消され、機体内側と外側の上下高さが略同じになる。この状態となると、収容袋97には約200kgの人参が収容されているため、作業者は機体の走行を停止して収容袋97を機外に下ろす。
【0105】
このとき、ハンガーアーム95,95が下限規制突起100,100に接触する構成とする。
しかしながら、あと数メートルで圃場内の人参を全て収穫できる場合等、収容袋97を交換すると手間が多くなる場合には、収容袋97の上部開口部を閉じる蓋部を吊下げハンガー98,98の外側吊下げ体99a,99aに引っ掛け、収容袋97の機体外側から左右方向中央部の近傍までの上下高さを長くしてやると、数メートル(数kg)分の人参であれば収容可能となり、収容袋97の交換の手間が省け、作業能率が向上する。
【0106】
なお、この状態でも選別搬送コンベア87の搬送終端部と収容袋97との落差の変化は殆どない。
そして、収容袋97の収容量が一杯になると、機体や引抜搬送装置24、選別搬送コンベア87等を停止させ、吊下げフック99f,99f,99f,99fから収容袋97取り外すと共に、スライドノブ106を機体後方に引っ張り、補助フック105を収容袋97から取り外す。補助フック105はスプリング104の張圧力によって、スライドノブ106から手を離すと選別搬送コンベア87、及び装着時の収容袋97の前後方向略中央部に自動的に復帰する。
【0107】
また、載置バケット117を前方または後方に下降させることにより、人参が収容された収容袋97は自重で載置台112を滑り降りるので、収容袋97を機体前側に降ろしたときは機体を後退させ、収容袋97を機体後側に降ろしたときは機体を前進させることにより、約200kgの人参を収容した収容袋97が収容部Gから降ろされて圃場に設置される。
【0108】
そして、収穫作業が終了すると、ハンガーアーム95,95を再び上限規制突起101に接触させ、選別搬送コンベア87を最上位置まで上方回動させる。
上記構成及び動作により、収容袋97の機体外側には作業の開始から交換時まで殆ど弛みが生じないため、弛みに人参が入り込んで収容袋97の収容量を減らしてしまうことが防止され、収容袋97の交換の頻度が減り、作業能率が交換すると共に、作業者の労力が軽減される。
【0109】
従来の収容袋の取り付け方では、機体内外両側に弛みが生じるため、この弛みに人参が入り込み、収容袋が持ち上げられても弛みが取れなくなり、一回の収容量が減少し、収容袋の交換頻度が高くなっていた。
【0110】
また、収容袋に生じた弛みを選別搬送コンベアを上下動させて解消し、収容スペースを確保することはできたが、弛みを取る度に作業者は選別搬送コンベアを操作せねばならず、作業能率を低下させていた。特に選別を行う補助作業者の場合、操作中の選別精度が低下していた。
【0111】
そして、選別搬送コンベア87の搬送終端部と収容袋97の機体左右一側部との落差が常に略一定であるので、落下の衝撃で人参が傷付くことを防止でき、人参の商品価値が向上する。
【0112】
さらに、通常はハンガーアーム95,95の回動を摩擦抵抗体96,96によって規制し、選別搬送コンベア87を上昇させている間のみハンガーアーム95,95が下方回動する構成としたことにより、収容袋97の人参の収容量の変化に合わせて選別搬送コンベア87を操作すると連動して吊下げハンガー98,98の機体内側を上方に移動させることができるので、収容袋97の収容量を自動的に増大させられると共に、収容袋97の機体内側の弛みが自動的に解消されるので、弛みを取るために選別搬送コンベア87を上下動させる必要がなく、作業能率が格段に向上する。
【0113】
また、ハンガーアーム95,95の上方傾斜姿勢の限度を決める上限規制突起101を機体前側の第2搬送フレーム78に設けたことにより、作業者はハンガーアーム98,98をセットする位置がわかりやすく、収容袋97が満杯になるようにハンガーアーム95,95の位置を決めることができる。
【0114】
加えて、上限規制突起101が機体前側の第2搬送フレーム78にのみ設けられたことにより、上限規制突起101は選別搬送コンベア87で搬送中の人参の選別を行う補助作業者の作業範囲内に存在しないため、補助作業者が動作する際にぶつかったり衣服に引っ掛かったりすることが防止され、作業者の負担が軽減される。
【0115】
下限規制部材100,100は機体後側の第2搬送フレーム78にも設けられるが、設けられる位置は吊下げハンガー98,98の機体内側端部が位置しており、しかも通常選別作業を終えている領域であるため、補助作業者の動作に干渉することはないので、問題はない。
【0116】
なお、作業者がハンガーアーム95,95を上段規制突起101に接触させ忘れることを防止するために、後側の第2搬送フレーム78に注意書きを記しておくと、設定忘れが防止できる。
【0117】
そして、吊下げハンガー98,98の機体外側端部に外側吊下げ体99a,99aを上方に向けて設け、機体内側端部に内側吊下げ体99b,99bを設けたことにより、機体内側の吊下げフック99f,99fが機体外側の吊下げフック99f,99fよりも下方に位置するので、収容袋97を設置した際に収容袋97の機体外側と機体内側の上下高さの差が大きくなるので、収容袋97の機体外側からいっそう人参がこぼれにくくなる。
【0118】
また、吊下げハンガー98の左右両端部を折り曲げて外側吊下げ体99a及び内側吊下げ体99bを形成すると、一本の棒材で構成することができるので、コストダウンを図ることができる。
【0119】
そして、収容袋97の機体内側に設けた吊り帯97iを選別搬送コンベア87下の吊り帯フック107に引っ掛けると共に、機体外側に設けた吊り帯97oをハンガーフレーム96上の吊り帯ピン108に引っ掛けることにより、収容袋97を吊り帯97i,97oが引っ張るので、収容袋97に生じる弛みを軽減することができる。
【0120】
さらに、収容袋97の前後方向略中央部の孔部に補助フック105を引っ掛けることにより、収容袋97の機体内側の前後方向略中央部に生じる弛みを小さくすることができるので、人参が機体内側の弛みに入り込みにくく、収容スペースが十分に確保できる。
【0121】
そして、スライドノブ106を機体後方に引っ張ると、スライド軸103が機体後方に摺動して補助フック105が収容袋97から外れるので、人参で満杯になった収容袋97と選別搬送コンベア87の搬送終端部の下方との間に生じる狭いスペースに手を進入させなくても補助フック105を外すことができるので、作業能率が向上すると共に、作業者の労力が軽減される。
【0122】
また、ハンガーアーム95,95を上限規制突起101に接触させ、選別搬送コンベア87を最上位置まで回動させると、吊下げハンガーが98,98が回動して吊下げハンガー98,98の機体外側端部が機体フレーム1の端部よりも内側に位置するので、機体フレーム1からはみ出した吊下げハンガー98,98が壁等にぶつかることがなく、機体の破損が防止される。
【0123】
また、排出シュータ89の端部を収容袋97の内側に垂れ下がらせたことにより、排出シュータ89と収容袋97との間の人参が落下し得る空間部がなくなるので、選別搬送コンベア87から排出される人参が落下することを防止でき、人参の商品価値が向上する。
【0124】
なお、この排出シュータ89の機体前後方向の幅は、選別搬送コンベア87の機体前後方向の幅と略同じにすると、上記の人参の落下防止効果がいっそう向上する。
次に、載置排出部Hの構成について説明する。
【0125】
図2及び図12〜図15で示すように、前記機体フレーム1の機体左右他側後部に、機体前後方向の折畳み回動軸(図示省略)を貫通させて取り付けた折畳み支持フレーム109を設け、該折畳み支持フレーム109の機体後端部側に載置フレーム110を、前記折畳み回動軸110aを回動支点として機体左右方向に回動自在に取り付ける。
【0126】
そして、前記載置フレーム110の機体前側で且つ後述する載置バケット よりも機体後側に、該載置バケット117を回動させる第1排出回動軸112aを前記載置フレーム110と略平行姿勢、即ち圃場面に対して略水平姿勢となるように設け、該第1排出回動軸112aの一側端部を機体フレーム1に軸着する。また、前記第1排出回動軸112aの他側端部を中空の回動支持ジョイント111の一側端部に軸着し、該回動支持ジョイント111の他側端部に、機体左右他側ほど上方に位置する上方傾斜姿勢で第2排出回動軸112bを軸着する。前記第1排出回動軸112aと第2排出回動軸112bを連結したものを、載置バケット117の排出回動軸112とする。
【0127】
さらに、前記第1排出回動軸112aの一側端部に前記吊下ハンガー98,98に吊り下げられる収容袋97の左右一側を保持する機体前後方向の左載置側壁113aを設け、該左載置側壁113aの後端部に収容袋97の後側を保持して後方への落下を防止する機体左右方向の左載置後壁114aを設ける。そして、該左載置後壁114aの左右長さ及び左載置側壁113aの前後長さと略同じ長さを有する平板を、収容袋97の底部を支持する左受板115aとして装着する。
【0128】
また、前記第2排出回動軸112bの他側端部に収容袋97の左右他側を保持して機体左右他側に落下することを防止する機体前後方向の右載置側壁113bを設け、該右載置側壁113bの後端部に収容袋97の後側を保持して後方への落下を防止する機体左右方向の右載置後壁114bを設ける。さらに、該右載置後壁114bの左右長さ及び右載置側壁113bの前後長さと略同じ長さを有する平板を、収容袋97の底部を支持する右受板115bとして装着する。該左受板115aと右受板115bを合わせて、収容袋97の底部を支持する受板115とする。
【0129】
上記により、人参を収容する収容袋97の底部を支持すると共に、第1排出回動軸112a及び第2排出回動軸112bを回動支点として下方回動させると収容袋97を機体から離間する方向の圃場に下ろすことのできる載置バケット117が構成される。
【0130】
なお、前記左右の受板115a,115bの左右幅を合わせると、前記ハンガーアーム95,95の左右幅よりも長くなる構成すると、収容袋97が収容された人参によって膨らんでも、収容袋97が左右の受板115a,115bの左右幅内に収まって、左右の載置側壁113a,113bから収容袋97がはみ出すことを防止できるので、左右の受台115a,115bからはみ出した収容袋97が操縦部Bのラジエータカバー10a等に接触して破損することが防止され、収容袋97の損失が無くなると共に、破損箇所から人参が落下して傷付き、商品価値が低下することが防止される。
【0131】
そして、前記載置フレーム110の機体左右他側端部に、圃場面に対して垂直姿勢の操作支持プレート118を設け、前記第2排出回動軸112bの機体左右他側端部に、該第2排出回動軸112bを回動支点として機体前後方向に回動可能に回動プレート119の下端部を軸着する。該回動プレート119の上側には、前後方向に長い孔部119aを形成する。
【0132】
そして、該回動プレート119に形成した孔部119aと、操作支持プレート118の上部との間に、一方の棒材の表面に螺子溝を刻み、他方の中空の棒材の内面に螺子溝を刻み、互いの棒体の螺子溝を合わせて構成する螺子ロッド120を設け、該螺子ロッド120の後側端部に螺子ロッド120を回転させて伸縮させる操作モータ121を取り付けることにより、載置排出部Hが構成される。
【0133】
なお、該操作モータ121を操作するスイッチやレバー等の操作部材121aは、前記操縦パネル12に設けると操縦者が補助作業者の指示に従って操作し易くなると共に、操作支持プレート118に設けると補助作業者が収容袋97を降ろしながら操作しやすくなり、作業能率が向上する。
【0134】
また、螺子ロッド120は、電動シリンダや油圧シリンダ等の伸縮部材に置き換えてもよい。
前記載置バケット117は、左受板115aの回動支点となる第1排出回動軸115aの回動支点となる第1排出回動軸112aを圃場面と略平行姿勢に配置し、右受板115bの回動支点となる第2排出回動軸112bを機体左右他側ほど上方に位置する上方傾斜姿勢に配置し、載置バケット117を最大限上方回動させると圃場面を基準として左右の受板115a,115bが共に略平行姿勢となる構成とすると共に、載置バケット117を下方に回動させると、左受板115aの前端部は下降しても機体フレーム1との間隔は変化せず、右受板115bの前側端部は下降するほど機体フレーム1から機体左右他側に離間していく構成とする。
【0135】
上記のように構成したことにより、収穫作業中は載置バケット117を機体左右他側に回動させて収容袋97の底部を支持できるとともに、作業終了後は機体左右一側に載置バケット117を回動させて折り畳むことができるので、機体の左右幅がコンパクトになり、機体を軽トラック等の搬送手段に載置しやすくできると共に、倉庫等の収容場所にスペースを取り過ぎることなく収容することができる。
【0136】
また、第2排出回動軸112bを機体左右他側ほど上方に位置する上方傾斜姿勢で配置し、載置バケット117を最大限上方回動させると右受板115bが圃場面に対して略平行姿勢となる構成とすると共に、載置バケット117を下方回動させると、載置バケット117のうち右受板115bの前側端部が下降するほど機体フレーム1から機体左右他側に離間していく構成としたことにより、収容袋97を機体から離間する方向、特に操縦部Bの機体左右外側に突出するラジエータカバー10aから離間する方向に降ろすことができるので、圃場に降ろしている収容袋97がラジエータカバー10a等に接触することが防止され、収容袋97とラジエータカバー10aが接触した衝撃や、接触により収容袋97が破れて収容した人参が落下してしまうことがなく、作業者が人参を拾い集める必要が無くなる。
【0137】
特に、収容袋97が破損した場合、代わりの収容袋97やコンテナ等を用意し、破損した収容袋97に収容されている人参を移送しなければならず、作業者や補助作業者は多大な労力を費さねばならず、しかも予備の収容袋97が足りなくなり、圃場内の人参の収穫作業を完了できなくなるおそれがあるが、本願の構成とすることにより、この問題を解決することができる。
【0138】
また、収容袋97から人参が落下することを防止すると、落下の衝撃で人参が傷付くことを防止できるので、人参の商品価値が向上する。
さらに、圃場に降ろした収容袋97は、載置バケット117の外側端部よりもさらに機体左右他側に排出されるため、収容袋97を降ろして人参の引抜収穫作業に戻る際、圃場に載置した収容袋97を回避するために機体を離間させる距離を短くすることができるので、作業能率が向上すると共に、隣接条に植生している未収穫の人参を踏み潰してしまうことが防止され、人参の収穫量及び商品価値が向上する。
【0139】
なお、収容袋97を機体前側に向かって圃場に降ろし、引抜収穫作業に復帰する際は、まず機体を後進させて収容袋97を載置バケット117から確実に離れさせ、次に機体を前進させ、機体左右他側の端部に位置する載置バケット117が接触しない位置に退避して前進し、収容袋97に接触するおそれが無くなると、人参の収穫条に戻る操作を行なう。
【0140】
また、収容袋97を機体から離間する方向に排出可能に構成したことにより、載置フレーム110が機体左右他側に突出する長さを短くしても圃場に降ろす収容袋97が操縦部Bのラジエータカバー10a等に接触しない構成となり、載置排出部Hの重心を機体左右方向の中心部に近付けることができるので、機体の重量バランスが安定して直進性や操縦性が向上し、人参の引抜の精度が向上するとともに作業能率が向上する。
【0141】
しかも、機体の左右幅が短くなるため、機体をコンパクトに構成することができるので、機体の収納が容易となるとともに、旋回時に載置排出部Hが畦や壁等に接触しにくくなり、作業能率が向上する。
【0142】
そして、左右の載置側壁113a,113b及び左右の載置後壁114a,114bを左右の受板115a,115bの外縁上部にそれぞれ設けたことにより、収容袋97内の人参の偏りや機体の揺れがあっても収容袋97が載置バケット117から落下することを防止できるので、落下の衝撃で人参が傷付くことが防止され、人参の商品価値が維持されると共に、左右の受板115a,115bが収容袋97の下部を支持することによって軽減されていた収容袋97の多大な重量が、吊下げハンガー98,98やハンガーアーム95,95等にかかって破損させることを防止できるので、耐久性が向上する。
【0143】
さらに、載置バケット117を上下回動させる螺子ロッド120の伸縮を、操作部材121aを作業者が操作して操作モータ121を駆動させて行なう構成としたことにより、作業者は載置バケット117の上下回動に力を費やす必要がなくなるので、作業能率が向上すると共に作業者の労力が軽減される。
【0144】
なお、図15で示すように、前記左受板115aと右受板115bの接近し合う端部のうち、どちらかを背面視でS字型に屈曲させて支持部115sを形成し、該支持部115sで左受板115aまたは右受板115bの端部を受け止める構成とする。
【0145】
上記構成により、左受板115a及び右受板115bが共に勝手に下方回動することを防止できるので、収容袋97が作業中に圃場に落下することが防止され、落下した収容袋97や人参を拾い集める必要がなく、作業能率が向上すると共に、落下の衝撃で人参が傷付くことが防止され、人参の商品価値が向上する。
【0146】
また、収容袋97が落下しなかった場合、収容袋97は吊下げハンガー98,98によって宙吊りにされるが、このとき下方及び側方から人参の収容された収容袋97の重量が支持されなくなるため、吊下げハンガー98,98やハンガーアーム95,95に負荷がかかり、破損する可能性があるが、左受板115a及び右受板115bが勝手に下方回動しないことにより、吊下げハンガー98,98やハンガーアーム95,95が破損することが防止される。
【0147】
さらに、左受板115aと右受板115bとがオーバーラップすることにより、オーバーラップ部が梁効果を持つため、左受板115aと右受板115bの対荷重性能を向上させることができ、収容袋97の重量により破損することが防止される。
【0148】
これに加えて、図14で示すように、左受板115aと右受板115bの前後端部及び前後方向略中央部の底面に、左右の受板115a,115bを補強する左右の補強バー116a1,116a2,116a3、116b1,11b2,11b3を夫々設ける構成とすると、左受板115aと右受板115bの対荷重性能がさらに向上する。
【0149】
なお、本件の載置排出部Hは、次のように構成してもよい。
図16〜図18で示すように、載置フレーム110の機体前側で且つ後述する載置バケット117よりも機体後側に、該載置バケット117を回動させる第1排出回動軸112aの一側端部を機体左右他側ほど下方に位置する下方傾斜姿勢で配置する。また、該第1排出回動軸112aの他側端部を中空の回動支持ジョイント111の一側端部に軸着し、該回動支持ジョイント111の他側端部に、機体左右他側ほど上方に位置する上方傾斜姿勢で第2排出回動軸112bを軸着する。
【0150】
このとき、背面視で第1排出回動軸112aと第2排出回動軸112bは、V字型に配置される。前記第1排出回動軸112aと第2排出回動軸112bを連結したものを、載置バケット117の排出回動軸112とする。
【0151】
そして、前記下方傾斜姿勢の第1排出回動軸112aの一側端部に、吊下ハンガー98,98に吊り下げられる収容袋97の左右一側を保持する機体前後方向の左載置側壁113aを設け、該左載置側壁113aの後端部に収容袋97の後側を保持して後方への落下を防止する機体左右方向の左載置後壁114aを設ける。さらに、該左載置後壁114aの左右長さ及び左載置側壁113aの前後長さと略同じ長さを有する平板を、収容袋97の底部を支持する左受板115aとして装着する。
【0152】
また、前記第2排出回動軸112bの他側端部に収容袋97の左右他側を保持して機体左右他側に落下することを防止する機体前後方向の右載置側壁113bを設け、該右載置側壁113bの後端部に収容袋97の後側を保持して後方への落下を防止する機体左右方向の右載置後壁114bを設ける。さらに、該右載置後壁114bの左右長さ及び右載置側壁113bの前後長さと略同じ長さを有する平板を、収容袋97の底部を支持する右受板115bとして装着する。該左受板115aと右受板115bを合わせて、収容袋97の底部を支持する受板115とする。
【0153】
上記により、人参を収容する収容袋97の底部を支持すると共に、第1排出回動軸112a及び第2排出回動軸112bを回動支点として下方回動させると収容袋97を機体から離間する方向の圃場に下ろすことのできる載置バケット117が構成される。
【0154】
そして該載置バケット117に、操作支持プレート118、孔部119aを形成した回動プレート119、螺子ロッド120操作モータ121を取り付ける。
上記構成としたことにより、第1排出回動軸112aを回動支点として左受板115aを下方回動させると共に、第2排出回動軸112bを回動支点として右受板115bを下方回動させると、左受板115aの前端部は機体に接近する方向に移動し、右受板115bの前端部は機体から離間する方向に移動するため、収容袋97は前方に移動するほど左右の受板115a,115bと接触する面積が減少するため、載置バケット117上で収容袋97の移動が停滞することを防止できるため、作業能率が向上する。
【0155】
なお、第1排出回動軸112aの傾斜角度は、第2排出回動軸112bの傾斜角度よりも小さく、圃場面に対して略水平姿勢(0度)より大きくすると、右受板115bが機体から離間する方向に移動する距離よりも、左受板115aが機体寄りに移動する距離を短くすることができるので、収容袋97が従来通り載置バケット117の真正面に降ろされることや、機体寄りに収容袋97が降ろされることが防止され、収容袋97を圃場に降ろした後、収穫作業に復帰するまでの移動距離が短くなり、作業能率が向上する。
【0156】
さらに、収容袋97が機体フレーム1やラジエータカバー10a等に接触して破損することが防止され、収容袋97の損失が無くなると共に、破損箇所から人参が落下して傷付き、商品価値が低下することが防止される。
【0157】
なお、左右の受板115a,115b同士が最接近する端部には、圃場に移動する収容袋97の底部が傷つくことを防止すべく、円弧状(R形状)の被覆部材(図示省略)を設けるとよい。
【0158】
また、図19〜図21に示すように、左受板115aの機体左右一側で且つ前側端部に、平面視で機体後側から前側に向かうほど機体から離間する切欠部115nを形成し、右受板115bの機体左右他側で且つ前側端部に、平面視で機体後側から前側に向かうほど機体から離間する突出部115mを形成してもよい。
【0159】
上記構成のように、切欠部115nを左受板115aの機体左右一側で且つ前側端部に形成したことにより、左受板115aを下方回動させた際、左受板115aの前端部が機体フレーム1やラジエータカバー10aに接触することを防止できるので、機体が傷付くことがなく、耐久性が向上する。
【0160】
また、載置バケット117の下降が妨げられることを防止できるので、収容袋97を円滑に圃場に降ろすことができるので、作業能率が向上する。
そして、突出部115mを右受板115bの機体左右一側で且つ前側端部に形成したことにより、切欠部115nを形成して左受板115aの前端側の面積が減った分を、右側板115bに形成した突出部115mで補うことができるので、収容袋97を圃場に降ろす際に載置バケット117の前端側に引っ掛かって止まってしまうことが防止され、作業能率が向上する。
【0161】
さらに、左側板115aに切欠部115nを形成し、右側板115bに突出部115mを形成したことにより、載置バケット117の前側端部が機体から離間する形状に構成されるため、収容袋97を機体から離間する方向にいっそう降ろしやすくすることができるので、収容袋97を圃場に降ろした後、人参の収穫作業に戻るための移動距離が短くなるため、作業能率が向上する。
【0162】
あるいは、図22〜図25で示すように、下方傾斜姿勢の第1排出回動軸112aと上方傾斜姿勢の第2排出回動軸112bとの左右間に、圃場面に対して略水平姿勢の第3排出回動軸112cを設け、該第3排出回動軸112cと第1排出回動軸112a、及び第3排出回動軸112cと第2排出回動軸112bをそれぞれ回動支持ジョイント111で連結する。前記第1排出回動軸112aと第2排出回動軸112bと第3排出回動軸112cを連結したものを、載置バケット117の排出回動軸112とする。
【0163】
そして、前記第1排出回動軸112aの一側端部に、吊下ハンガー98,98に吊り下げられる収容袋97の左右一側を保持する機体前後方向の左載置側壁113aを設け、該左載置側壁113aの後端部に収容袋97の後側を保持して後方への落下を防止する機体左右方向の左載置後壁114aを設ける。さらに、該左載置後壁114aの左右長さ及び左載置側壁113aの前後長さと略同じ長さを有する平板を、収容袋97の底部を支持する左受板115aとして装着する。
【0164】
また、前記第2排出回動軸112bの他側端部に収容袋97の左右他側を保持して機体左右他側に落下することを防止する機体前後方向の右載置側壁113bを設け、該右載置側壁113bの後端部に収容袋97の後側を保持して後方への落下を防止する機体左右方向の右載置後壁114bを設ける。さらに、該右載置後壁114bの左右長さ及び右載置側壁113bの前後長さと略同じ長さを有する平板を、収容袋97の底部を支持する右受板115bとして装着する。
【0165】
さらに、前記第3排出回動軸112cに収容袋97の後側を保持して後方への落下を防止する機体左右方向の中央載置後壁114cを設け、該中央載置後壁114cの左右長さ及び前記左右の載置側壁113a,113bと同じ前後長さを有する平板を、収容袋97の底部を支持する中央受板115cとして装着して、載置バケット117を構成する。該左受板115aと右受板115bと中央受板115cを合わせて、収容袋97の底部を支持する受板115とする。
【0166】
なお、第1排出回動軸112a、第2排出回動軸112b、第3排出回動軸114cは、背面視で凹字形状になるように連結して配置される。
そして、図25で示すように、前記左受板115aと右受板115bの接近し合う端部のうち、どちらかを背面視でL字型に屈曲させて支持部115sを形成し、該支持部115sで左受板115aまたは右受板115bの端部を受け止める構成とし、左右の受板115a,115bが重なり合った部分の上部に中央受板115cが重なって受け止められる構成とする。
【0167】
上記構成により、左受板115a及び右受板115bが共に勝手に下方回動することを防止できるので、収容袋97が作業中に圃場に落下することが防止され、落下した収容袋97や人参を拾い集める必要がなく、作業能率が向上すると共に、落下の衝撃で人参が傷付くことが防止され、人参の商品価値が向上する。
【0168】
また、収容袋97が落下しなかった場合、収容袋97は吊下げハンガー98,98によって宙吊りにされるが、このとき下方及び側方から人参の収容された収容袋97の重量が支持されなくなるため、吊下げハンガー98,98やハンガーアーム95,95に負荷がかかり、破損する可能性があるが、左受板115a及び右受板115bが勝手に下方回動しないことにより、吊下げハンガー98,98やハンガーアーム95,95が破損することが防止される。
【0169】
さらに、左受板115aと右受板115bがオーバーラップし合うと共に、このオーバーラップ部の上部に中央受板115cが重なることにより、オーバーラップ部が強い梁効果を持つため、左受板115aと右受板115bと中央受板115cの、ひいては載置バケット117の対荷重性能を向上させることができ、収容袋97の重量により載置バケット117が破損することを防止できる。
【0170】
そして、第1排出回動軸112aを下方傾斜姿勢で設け、第2排出回動軸112bを上方傾斜姿勢で設けると共に、第3排出回動軸112cを圃場面に対して略水平姿勢で設けたことにより、左右及び中央の受板115a,115b,115cを下方回動させると、左受板115aの前端部は下降するほど機体に向かって移動し、右受板115bの前端部は下降するほど機体から離間する方向に移動すると共に、中央受板115cは機体に対して平行の位相を保って下降するので、収容袋97の底部を支持しながら圃場に降ろすことができ、降車途中で収容袋97が下方や左受板115aと中央受板115cの間、及び右受板115bと中央受板115cの間に落下することが防止され、収容袋97や収容した人参が傷付くことが防止される。
【0171】
そして、収容袋97が機体フレーム1やラジエータカバー10a等に接触して破損することが防止され、収容袋97の損失が無くなると共に、破損箇所から人参が落下して傷付き、商品価値が低下することが防止される。
【0172】
また、収容袋97を確実に機体から離間する位置に降ろすことができるので、収容袋97の降車及び交換作業を終えてから、人参の収穫作業に戻る際の移動距離を短くすることができるので、作業能率が向上する。
【0173】
なお、第1排出回動軸112aの下方傾斜角度は、第2排出回動軸112bの上方傾斜角度よりも小さく、且つ第3排出回動軸112cの水平姿勢よりも大きな角度とすると、右受板115bが機体から離間する方向に移動する距離よりも、左受板115aが機体寄りに移動する距離を短くすることができるので、収容袋97が従来通り載置バケット117の真正面に降ろされることや、機体寄りに収容袋97が降ろされることが防止され、収容袋97を圃場に降ろした後、収穫作業に復帰するまでの移動距離が短くなり、作業能率が向上する。
【0174】
さらに、収容袋97が機体フレーム1やラジエータカバー10a等に接触して破損することが防止され、収容袋97の損失が無くなると共に、破損箇所から人参が落下して傷付き、商品価値が低下することが防止される。
【0175】
あるいは、図26〜図28に示すように、機体フレーム1の機体左右他側下部にスライドレール122機構を機体左右方向に摺動自在に、且つ所定距離以上機体左右他側に移動すると下方に回動可能となるように配置し、該スライドレール122機構上に載置バケット117を設け、該載置バケット117の排出口を機体左右他側方向に向ける構成としてもよい。
【0176】
上記構成により、スライドレール機構122を所定距離以上機体左右他側に引き出すと、スライドレール機構122が下方回動して載置バケット117が機体左右他側に向かって下方傾斜姿勢となるので、収容袋97を機体左右他側の引抜収穫作業を終えた位置に移動させることができ、収容袋97の降車作業を終えて人参の引抜収穫作業に戻る際、そのまま直進すればよくなり、作業能率が大幅に向上する。
【0177】
また、収容袋97を移動させる際に機体を後進させる必要がなくなるので、作業能率がさらに向上する。
上記の図16〜図28に示す構成は、全て本実施例の載置排出部Hの構成となりうるものとする。
【符号の説明】
【0178】
24 引抜搬送装置
87 選別搬送装置
97 収容袋(収容部材)
112 排出回動軸(回動支持部材)
112a 第1排出回動軸(第1回動支持部材)
112b 第2排出回動軸(第2回動支持部材)
112c 第3排出回動軸(第3回動支持部材)
115 受板(支持部材)
115a 左受板(第1支持部材)
115b 右受板(第2支持部材)
115c 中央受板(第3支持部材)
115m 突出部
115n 切欠部
117 載置バケット(載置部材)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
機体の左右一側に作物を圃場から引き抜いて後上方に搬送する引抜搬送装置(24)を設け、該引抜搬送装置(24)から作物を引き継いで左右一側から左右他側に搬送する選別搬送装置(87)を設け、該選別搬送装置(87)の搬送終端側に作物を収容する収容部材(97)を設け、前記選別搬送装置(87)の搬送終端側の下方に収容部材(97)を支持すると共に圃場に移動させる載置部材(117)を設けた根菜類収穫機において、
該載置部材(117)を回動させる回動支持部材(112)を機体左右他側ほど上方に向かう上方傾斜姿勢で機体の左右他側に配置し、該回動部材(112)に収容部材(97)の底部を支持する支持部材(115)を圃場面に対して略水平姿勢で設けたことを特徴とする根菜類収穫機。
【請求項2】
前記回動支持部材(112)を機体の左右他側に設ける第1回動支持部材(112a)と該第1回動支持部材(112a)に連結する第2回動支持部材(112b)で構成し、前記第1回動支持部材(112a)を圃場面に対して略水平姿勢で配置し、該第2回動支持部材(112b)を機体左右他側ほど上方に向かう上方傾斜姿勢で配置し、該第1回動支持部材(112a)と第2回動支持部材(112b)に支持部材(115)を構成する第1支持部材(115a)と第2支持部材(115b)をそれぞれ圃場面に対して略水平姿勢で設けたことを特徴とする請求項1記載の根菜類収穫機。
【請求項3】
前記第1支持部材(115a)の前側で且つ左右一側に前側ほど機体から離間する形状の切欠部(115n)を形成し、前記第2支持部材(115b)の前側で且つ左右他側に前側ほど機体から離間する形状の突出部(115m)を設けたことを特徴とする請求項2記載の根菜類収穫機。
【請求項4】
前記第1回動支持部材(112a)を機体左右他側ほど下方に向かう傾斜姿勢で配置したことを特徴とする請求項2または3記載の根菜類収穫機。
【請求項5】
前記第1回動支持部材(112a)と第2回動支持部材(112b)を圃場面に対して略水平姿勢の第3回動支持部材(112c)で連結し、該第3回動支持部材(112c)に第3支持部材(115c)を圃場面に対して略水平姿勢で設けたことを特徴とする請求項2から4のいずれか1項に記載の根菜類収穫機。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【図22】
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【図23】
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【図24】
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【図25】
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【図26】
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【図27】
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【図28】
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