説明

格納式平面構造、及びそのような構造を含む人工衛星

【課題】 格納式平面構造、及びそのような構造を含む人工衛星を提供する。
【解決手段】 それぞれ展開手段が装備されている、n−1個の継手(EPK_A1、EPK_A2、・・・、EPK_An−1)により、端部間で接続されたn本の主要ロッド(EPK_TP1、EPK_TP2、・・・、EPK_TPn)の、N組の主要組立品(EP1、EP2、・・・、EPK、・・・、EPN)につながれた広げ得る膜(MD)と、n−1個の継手(EIK_A1、EIK_A2、・・・、EIK_An−1)により、端部間で接続された、前記主要ロッドよりも嵩張らない、n本の中間ロッド(EIK_TI1、EIK_TI2、・・・、EIK_TIn)の、少なくとも1組の中間組立品(EI1、EI2、・・・、EIK、・・・、EIN)とを含む格納式平面構造(SPE)。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は格納式平面構造、及びそのような構造を含む人工衛星に関する。
【背景技術】
【0002】
ソーラーセイル又は大きな日よけのような、特に宇宙における、大きな平面構造の展開は益々広まっている。
【0003】
宇宙において大寸法を有する平面構造を展開することは、宇宙船の打ち上げは打ち上げの際にコンパクトであるという条件を伴うため、極めて拘束が多く、そして展開された時の膜の表面積が大きければ大きい程、打ち上げ時には一層劇的な制約を包含する。
【0004】
本発明はとりわけ宇宙の用途に関係する。それに対する理由は、それが格納されるか又は折り畳まれる構成を有するとき、その低減された体積が、打ち上げの間に課されるコンパクトさの制約に特に適応するためである。反対に、その能動的な又は展開される構成は、人工衛星が宇宙において運転可能なとき、使用できることを許す。
【0005】
宇宙用途の分野において、日よけタイプの格納式構造は、継手により端部間で接続されたロッドの組立品が装備されているものとして知られる。
【0006】
そのような構造は、少なくとも2つ以上の複数のロッドに対する大寸法の膜には適合せず、その理由はこれらの膜には最低限の張力が必要なためである。衛星の展開中の破れに対するあらゆるリスクを避けるため、膜要素は、たるみを示さなければならず、すなわち張力の作用するそれらの表面積は、それらの展開表面積よりも大きくなければならないが、しかしこのたるみは少なくとも部分的にソーラーセイル及び、とりわけ日よけの用途のために修復されなければならない。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明の1つの目的は、人工衛星が展開されるとき、膜の破れに関してリスクが制限された、格納式平面構造を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の1つの態様において、それぞれが展開手段を装備されているn−1個の継手により、端部間で接続されたn本の主要ロッドのN組の主要組立品につながれた、広げ得る1枚の膜と、n−1個の継手により端部間で接続された、前記主要ロッドよりも嵩張らないn本の中間ロッドの、少なくとも1組の中間組立品とを含む、格納式平面構造が提供される。
【0009】
そのような構造は、その展開中に膜が破れるリスクを制限し、一方で同時に、展開が終了したとき、膜要素の十分な張力を確保する。
【0010】
1つの実施形態において、前記中間ロッドは前記主要ロッドよりも軽い。
【0011】
中間ロッドは、それらの軽さのために利用が非常に簡単である。
【0012】
1つの実施形態において、中間組立品の前記中間ロッド同士を接続する前記継手には、それぞれ展開手段が装備されている。
【0013】
従って、これらの中間ロッドは、主要ロッドの展開中に幾つかの硬いポイントに遭遇した場合、主要ロッドの展開においても助力することができる。
【0014】
1つの実施形態において、前記展開手段の少なくとも一部分は受動的であり、例えば圧縮ばね又はカルペンティエル(Carpentier)継手を含む。
【0015】
受動的展開手段の使用は、電動機式の能動的手段の使用よりも、経済的に有利で技術的に単純であり、このタイプの展開が大抵の場合に単発で、格納がその後に続かず、このタイプの展開可能な構造を対象とする用途が、一度限り展開される構造のみを必要とするという点において十分である。
【0016】
1つの変形として、又は組合せにおいて、前記展開手段の少なくとも一部分はアクチュエータ又は言い換えれば制御される装置を備え、それに供給されたエネルギーを、自動化されたシステムにおける任務の実行のために有用な仕事へと、この場合にはアクチュエータが装備されている継手によって接続される2本のロッドの展開へと変換する。
【0017】
例えば、Nは3以上であり得る。
【0018】
本発明の別の態様によれば、衛星であって、前述のような構造が、圧縮ばね又はカルペンティエル(Carpentier)継手のような展開手段が装備されている継手を用いて、前記ロッドの組立品の少なくとも一部分用のベースとして、前記衛星の支持要素上へ固定されたやり方で取り付けられている衛星が提供される。
【0019】
そのような衛星は、従って展開時に大きな表面積を有する格納式平面構造を装着し得、それが展開された時に膜の破れのリスクを大幅に制限し、そして現在の打ち上げロケットに適合したコンパクトさを可能にする。
【0020】
1つの実施形態において、前記構造のロッドの組立品は、前記構造が折り畳まれるか格納されているとき、前記支持要素の表面と実質的に直角である。
【0021】
従って、そのコンパクトさは打ち上げ用に最適化される。
【0022】
本発明は、制限されない例のために記述され、添付図により例証される幾つかの実施形態を学ぶことによって、より良く理解されるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0023】
【図1】本発明の1つの態様による格納式平面構造の一例を図式的に説明している。
【図2a−2d】衛星に属する、図1による格納式平面構造の展開を断面図で図式的に説明している。
【発明を実施するための形態】
【0024】
全ての図において、同じ参照記号を有する要素は同様である。
【0025】
図1は、それぞれ展開要素が装備されている、n−1個の継手EPK_A1、EPK_A2、・・・、EPK_An−1により、端部間で接続されたn本の主要ロッドEPK_TP1、EPK_TP2、・・・、EPK_TPnの、N組の主要組立品EP1、EP2、・・・、EPK、・・・、EPNにつながれた、例えばマイラー、カプトン、又はカーボン織り繊維で作られた広げ得る膜MDを含む、格納式平面構造SPEの一例を図式的に示す。格納式平面構造SPEは、n−1個の継手EIK_A1、EIK_A2、・・・、EIK_An−1により、端部間で接続された、主要ロッドよりも嵩張らない、n本の中間ロッドEIK_TI1、EIK_TI2、・・・、EIK_TInの、少なくとも1組の中間組立品EI1、EI2、・・・、EIK、・・・、EINもまた含む。
【0026】
図1の例において、主要組立品EPKの数Nは6(EP1、EP2、EP3、EP4、EP5、及びEP6)に等しく選ばれ、中間組立品EIKの数は6(EI1、EI2、EI3、EI4、EI5、及びEI6)に等しく選ばれ、そして主要組立品EPKと中間組立品EIK当りのロッド数nは3に等しく選ばれる。
【0027】
中間ロッドEIK_TI1、EIK_TI2、・・・、EIK_TInは主要ロッドEPK_TP1、EPK_TP2、・・・、EPK_TPnよりも軽い。従って、広げ得る膜MDが破れるリスク無しに、そして低減された質量及び費用で、十分な張力がMDに加えられる。
【0028】
この場合、中間組立品EI1、EI2、・・・、EIK、・・・、EINの中間ロッドEIK_TI1、EIK_TI2、・・・、EIK_TInを接続する継手EIK_A1、EIK_A2、・・・、EIK_An−1には、それぞれ展開要素が装備されている。
【0029】
展開要素の少なくとも一部分は受動的であり、例えば圧縮ばね又はカルペンティエル(Carpentier)継手を含み得る。受動要素の使用は、それらが接続するロッドの展開を生じる外部要素によって供給される力を必要としない。運動の調整手段は、太陽発電機において既に使用されている従来のタイプ(1つのロッド組立品用又は全てのロッド組立品用の、場合によっては電動機−ブレーキである遠心調整器)であり、本特許出願においては考慮されていない。1回以上の格納が必要と考えられる場合、圧縮ばね又はカルペンティエル(Carpentier)継手は電動機により置き換えられるべきである。
【0030】
1つの変形として、又は組合せにおいて、展開要素の少なくとも一部分はアクチュエータを備え得る。そのような実施形態は図に例証されていない。
【0031】
大きな構造に対して、Nは3以上であり得る。
【0032】
このタイプの構造は、衛星の支持要素SUP上において、展開要素が装備されている継手EPK_A0、EIK_A0を用いて、ロッドの組立品EPK、EIKの少なくとも一部分のためのベースとして、前記衛星の支持要素SUP上へ固定されたやり方で取り付けられるのに、完全に適合している。
【0033】
打ち上げ中に衛星の構造SPEが格納されているとき、構造SPEのロッドの1つの組立品EP1、EP2、・・・、EPK、・・・、EPN、EI1、EI2、・・・、EIK、・・・、又はEINは、支持要素SUPの表面に対して実質的に直角である。
【0034】
図2a、2b、2c及び2dにおいて、衛星の支持要素SUPの表面上へ取り付けられた格納式平面構造SPEの展開の、断面の概略図が示されている。記述されている例において、これは図1による構造SPE(N=6及びn=3)である。
【0035】
最初に、打ち上げの間、格納式平面構造SPEは折り畳まれている。図2aにおいては、例えば2つの直径上で対向する主要組立品EP1とEP4の断面が示されている。
【0036】
これらの主要組立品の各々は、その3本の主要ロッドEPK_TP1、EPK_TP2、及びEPK_TP3を備え、それらは継手EPK_A1及びEPK_A2を用いてアコーディオン状に折り畳まれ、そしてそれらの継手EPK_A0を用いて支持体SUP上へ回転可能なやり方で取り付けられている。
【0037】
一旦軌道に乗ると、図2a、2b、2c、及び2dに例証されるように、平面構造の展開が行なわれる。まず最初に、アコーディオン状に折り畳まれた複数の組立品が、広げ得る膜MDの第一の環状部分を展開するようなやり方で、支持体SUPに固定されたそれらの継手の周りを実質的に90°の回転を行なうことにより開く。構造SPEはそのとき、図2bにおける状態に従って、断面で見られるように構成される。
【0038】
それに続いて、広げ得る膜MDの第二の環状部分を展開するようなやり方で、組立品EPKの第二と第三のロッドEPK_TP2及びEPK_TP3により、180°の回転がそれらの継手EPK_A1の周りに外側へ向かって行なわれる。構造SPEはそのとき、図2cにおける状態に従って、断面で見られるように構成される。
【0039】
最後に、広げ得る膜MDの第三の環状部分を展開するようなやり方で、組立品EPKの第三のロッドEPK_TP3により、180°の回転がそれらの継手EPK_A2の周りに外側へ向かって行なわれる。構造SPEはそのとき、図2dにおける状態に従って、断面で見られるように完全に展開される。
【0040】
勿論、この展開の間に中間組立品は同様のやり方で展開される。ロッドの組立品は必ずしも全てがベースとして支持体SUPにつながれる必要はなく、必ずしもそれらの全てが支持体SUP上へ回転可能なやり方で取り付けられた継手を備える必要はない。
【0041】
全ての継手は、圧縮ばね或いはカルペンティエル(Carpentier)継手のような受動的展開手段、及び/又はアクチュエータのような能動的展開手段によって展開され得る。
【符号の説明】
【0042】
EPK(EP1〜EPN) 主要組立品
EIK(EI1〜EIN) 中間組立品
EPK_TP1 主要ロッド
EPK_TP2 主要ロッド
EPK_TP3 主要ロッド
EPK_TPn 主要ロッド
EIK_TI1 中間ロッド
EIK_TI2 中間ロッド
EIK_TIn 中間ロッド
EIK_A0 展開要素が装備されている継手
EPK_A1 継手
EPK_A2 継手
EPK_An−1 継手
EIK_A0 展開要素が装備されている継手
EIK_A1 継手
EIK_A2 継手
EIK_An−1 継手
SUP 支持要素
SPE 格納式平面構造

【特許請求の範囲】
【請求項1】
格納式平面構造(SPE)であって、
それぞれ展開手段が装備されている、n−1個の継手(EPK_A1、EPK_A2、・・・、EPK_An−1)により、端部間で接続されたn本の主要ロッド(EPK_TP1、EPK_TP2、・・・、EPK_TPn)の、N組の主要組立品(EP1、EP2、・・・、EPK、・・・、EPN)につながれた広げ得る膜(MD)と、n−1個の継手(EIK_A1、EIK_A2、・・・、EIK_An−1)により、端部間で接続された、前記主要ロッドよりも嵩張らない、n本の中間ロッド(EIK_TI1、EIK_TI2、・・・、EIK_TIn)の、少なくとも1組の中間組立品(EI1、EI2、・・・、EIK、・・・、EIN)と
を含む、格納式平面構造(SPE)。
【請求項2】
前記中間ロッド(EIK_TI1、EIK_TI2、・・・、 EIK_TIn)が、前記主要ロッド(EPK_TP1、EPK_TP2、・・・、EPK_TPn)よりも軽い、請求項1に記載の格納式平面構造(SPE)。
【請求項3】
中間組立品(EI1、EI2、・・・、EIK、・・・、EIN)の前記中間ロッド(EIK_TI1、EIK_TI2、・・・、 EIK_TIn)を接続する、前記継手(EIK_A1、EIK_A2、・・・、EIK_An−1)に、それぞれ展開手段が装備されている、請求項1〜2のいずれか一項に記載の格納式平面構造(SPE)。
【請求項4】
前記展開手段の少なくとも一部分が受動的である、請求項1〜3のいずれか一項に記載の格納式平面構造(SPE)。
【請求項5】
受動的展開手段が、圧縮ばね又はカルペンティエル(Carpentier)継手を含む、請求項4に記載の格納式平面構造(SPE)。
【請求項6】
前記展開手段の少なくとも一部分がアクチュエータを含む、請求項1〜5のいずれか一項に記載の格納式平面構造(SPE)。
【請求項7】
Nが3以上である、請求項1〜6のいずれか一項に記載の格納式平面構造(SPE)。
【請求項8】
人工衛星であって、展開手段が装備されている継手を用いて、前記ロッドの組立品の少なくとも一部分用のベースとして、前記衛星の支持要素(SUP)上へ固定されたやり方で取り付けられている、請求項1〜7のいずれか一項に記載の格納式平面構造(SPE)を備える人工衛星。
【請求項9】
前記構造(SPE)が折り畳まれているとき、前記構造のロッドの組立品(EP1、EP2、・・・、EPK、・・・、EPN、EI1、EI2、・・・、EIK、・・・、EIN)が前記支持要素(SUP)の表面と実質的に直角である、請求項8に記載の人工衛星。

【図1】
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【図2a−2d】
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【公開番号】特開2012−192917(P2012−192917A)
【公開日】平成24年10月11日(2012.10.11)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−57394(P2012−57394)
【出願日】平成24年3月14日(2012.3.14)
【出願人】(505157485)テールズ (231)