格納装置およびその格納装置を備えた車両
【課題】
車両Tに搭載され、搭載物を荷箱T2上方の格納位置と荷箱T2側方の展開位置との間で積み降ろしすることができる格納装置Lに関して、幅広の搭載物を搭載した際に、格納装置L及び荷箱T2が破損することなく格納位置へ格納することができる格納装置Lを提供する。
【解決手段】
アーム2と支持部材5とを連結するピン42の位置が、収容部材6を含む支持部材5の重心より車両T内側に配置されるように構成することで、支持部材5が格納位置へ移動したときに、支持部材5の先端が車両Tの上面と接触する方向への回動を防ぐため、支持部材5と車両Tとが破損することを防止できる。
車両Tに搭載され、搭載物を荷箱T2上方の格納位置と荷箱T2側方の展開位置との間で積み降ろしすることができる格納装置Lに関して、幅広の搭載物を搭載した際に、格納装置L及び荷箱T2が破損することなく格納位置へ格納することができる格納装置Lを提供する。
【解決手段】
アーム2と支持部材5とを連結するピン42の位置が、収容部材6を含む支持部材5の重心より車両T内側に配置されるように構成することで、支持部材5が格納位置へ移動したときに、支持部材5の先端が車両Tの上面と接触する方向への回動を防ぐため、支持部材5と車両Tとが破損することを防止できる。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車両に搭載され、搭載物を荷箱上方の格納位置と荷箱側方の展開位置との間で積み降ろしすることができる格納装置に関し、特に、幅広の搭載物であったとしても、格納装置もしくは荷箱が破損することなく搭載物を格納位置で保持させることができる格納装置およびその格納装置を備えた車両である。
【背景技術】
【0002】
従来より、搭載物を荷箱上方の格納位置と荷箱側方の展開位置との間で積み降ろすことができる格納装置としては、例えば特許文献1に記載されているように、上アームおよび下アームからなる平行リンク機構によって、搭載物である梯子を積み降ろし可能とするものがある。
【0003】
この格納装置は、一端が車両の荷箱に回動可能に固定された上アームの他端に、支持部材がピンにより回動可能に連結されている。そして、この支持部材に梯子などの搭載物を搭載可能としている。これにより、支持部材とともに梯子を格納位置まで上昇させた際には、支持部材が荷箱上方にて倒伏するので、格納装置全体を含む車両の全高を低くでき、車両走行時に格納装置や梯子が路上の木や看板等に接触し破損することを防止できる。また、支持部材とともに梯子を展開位置まで下降させた際には、支持部材が荷箱側方で起立するので、このときの格納装置を含む車両の全幅を狭くでき、幅の限られた場所においても支持部材を車両側方へ下降させることが出来る。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2007−175350号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところが、上記格納装置では、幅の広い搭載物を支持部材に載せて格納位置まで上昇させると、搭載物を含む支持部材の重心がアームと支持部材とを連結するピンよりも車両内側に位置することがある。このとき、搭載物を含む支持部材の重心の位置がピンより車両内側に位置すると、支持部材にピンを中心として反時計回り(支持部材の車両内方側端部が荷箱の上面に向けて移動する方向)のモーメントが発生し、支持部材の車両内方側端部が荷箱上面に接触する。そして、この状態で車両を走行させると、車両走行時の振動により、支持部材の車両内方側端部が荷箱の上面に繰り返し衝突し、支持部材もしくは荷箱が破損するという問題がある。
【0006】
本発明はこのような格納装置の問題点に鑑み、幅広の搭載物を搭載した際に、格納装置及び荷箱が破損することなく荷箱の上方へ格納することができる格納装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記目的を達成するために、本発明の格納装置は、一端が車両に回動可能に取り付けられたアームと、前記アームの他端にピンにより回動可能に固定された支持部材とを有し、前記アームの回動により、前記支持部材を車両上方の格納位置と、車両側方の展開位置との間で移動可能とした格納装置において、前記ピンの位置が、搭載物を含む支持部材の重心の位置より車両内側に配置されるように構成されている。これにより、幅の広い搭載物を支持部材に載せたとしても、格納位置における搭載物を含む支持部材の重心は、アームと支持部材とを回動可能に連結するピンより車両外側に配置されるので、支持部材の先端が車両の上面と接触する方向へ回動することを防止され、車両走行時の振動により、支持部材と車両が繰り返し衝突し破損することを防止できる。
【0008】
また、本発明においては、前記支持部材が、展開位置において、車両側方を向く面が上方に傾斜するようにしてもよい。これにより、支持部材を車両側方に下降させた際に、搭載物を支持部材上に搭載しやすくなる。
【0009】
また、この発明の車両は、前記格納装置を備えるものである。これにより、格納装置の前記構成により、幅の広い搭載物を支持部材に載せたとしても、車両走行時の振動により、支持部材と車両が繰り返し衝突し破損することを防止できるので、車両および格納装置が破損することなく幅の広い搭載物を搬送することができるうえ、搭載物を車両上方に搭載する際および搭載物を車両側方の展開位置に移動させて作業を行う際の作業性および安全性を高めることができる。
【0010】
また、この発明の車両は、前記車両が運転室と荷箱とを有する車体を備えており、前記格納装置が前記荷箱に取り付けられるものである。これにより、車両への格納装置の取り付け取り外し作業を容易に行うことができる。
【0011】
また、前記搭載物は、被収容物を収容可能な収容部材であり、前記収容部材を車両側方の展開位置へ移動させるように本発明の車両を使用してもよい。これにより、本発明の車両を使用すれば、被収容物を車両に積み込む際および車両から降ろす際の作業性および安全性を高めることができる。
【発明の効果】
【0012】
本発明の格納装置およびその格納装置を備えた車両によれば、幅の広い搭載物を支持部材に載せて車両上方の格納位置まで位置させたときに、支持部材の車両内方側端部が車両と接触する方向へ回動することを防止するので、格納装置及び車両の破損を防止することができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【図1】本発明に係る格納装置を搭載した車両の側面図である。
【図2】格納装置のA‐A矢視図である。
【図3】格納装置のB矢視図である。
【図4】支持部材のC矢視図である。
【図5】支持部材のD矢視図である。
【図6】格納装置の動作を説明する図である。
【図7】本発明の格納装置の他の実施形態に関する図2相当図である。
【図8】他の実施形態の格納装置の動作を説明する図である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0014】
以下、本発明の実施形態について説明する。図1は、本発明に係る格納装置を搭載した車両の側面図である。図2は、格納装置のA‐A矢視図である。図3は、格納装置のB矢視図である。図4は、支持部材のC矢視図である。図5は、支持部材のD矢視図である。図6は、格納装置の動作を説明する図である。図7は、本発明の格納装置の他の実施形態に関する図2相当図である。図8は、他の実施形態の格納装置の動作を説明する図である。
【0015】
なお、本発明の実施形態においては、図1に示すボトルカーTの車長方向を前後方向、運転席T1側を前側とし、ボトルカーTの車幅方向(図1における紙面奥行き方向)を左右方向、ボトルカーTの高さ方向を上下方向と定義する。
【0016】
図1に示すように、本発明の格納装置Lは、自動販売機に補充するための缶ジュース等を搬送するボトルカーTに取り付けられて使用するものであり、荷箱T2に取り付けられる前後一対の取付部材1と、この取付部材1にそれぞれ取り付けられる前後一対の上アーム2と、この上アーム2と平行に配置された前後一対の下アーム3と、これら両アーム2、3を連結するリンク体4と、上アーム2に接続された支持部材5と、上アーム2の基端部に設けられた駆動装置7とを備えている。そして、支持部材5には搭載物である収容部材6が取り付けられている。また、上記ボトルカーTは、運転室T1と荷箱T2を有する車体を備えており、荷箱T2の内部には缶ジュースなどが搭載可能となっている。
【0017】
図2、3に示すように、取付部材1は板材で形成されており、ボトルカーTの正面から見て略台形形状のアーム取付部11と、前記アーム取付部11に対して略垂直となるように一体形成される荷箱取付部12とを有している。前記アーム取付部11は、上アーム2及び下アーム3を取り付けるための2つのアーム取付孔11a、11bを有している。前記荷箱取付部12は、荷箱T2にボルト止めされる。また、アーム取付部11には、上アーム2の下方回動を規制するための下ストッパ13が、荷箱取付部12には、上アーム2の上方回動を規制するための上ストッパ14がそれぞれ固定されている。
【0018】
図2、3に示すように、上アーム2は板材で形成されており、上アーム2の一端側には取付部材1に取り付けるための取付孔21を有している。そのため、取付部材1のアーム取付孔11aと上アーム2の取付孔21とにピン22が通されることで、上アーム2が取付部材に対して回動可能に取り付けられる。上アーム2の他端側にはリンク体4を接続するための接続孔23を有している。
【0019】
図2、3に示すように、下アーム3は板材で形成されており、湾曲している(図2参照)。この下アーム3の一端側には、取付部材1に取り付けるための取付孔31を有している。そのため、取付部材1のアーム取付孔11bと下アーム3の取付孔31とにピン32が通されることで、下アーム3が取付部材1に対して回動可能に取り付けられる。下アーム3の他端側にはリンク体4を接続するための接続孔33を有している。
【0020】
図2、3に示すように、リンク体4は略S字状の板材で形成されており(図2参照)、その一端部には上アーム2と接続するための第一シャフトピン41が固定され、その他端部には下アーム3と接続するための第二シャフトピン42が固定されている。なお、第一シャフトピン41、第二シャフトピン42の先端部には、ナットを螺合するためのネジ山が形成されている。この第一シャフトピン41を上アーム2の接続孔25に通し、第一シャフトピン41をナット43で止めることにより、リンク体4を上アーム2に対して回動可能に取り付けることができる。また、第二シャフトピン42を下アーム3の接続孔33に通し、第二シャフトピン42をナット44で止めることにより、リンク体4を下アーム3に対して回動可能に取り付けることができる。これにより、前後一対の上アーム2と前後一対の下アーム3とは、前後それぞれにおいて平行リンクを構成する。
【0021】
図2〜5に示すように、支持部材5は平行に配置された車両前後方向に延びる二本の角パイプ51と、この二本の角パイプ51間を連結する棒状のフラットバー52と、二本の角パイプ51の端部が固定される前後一対の側板53とにより構成される。側板53は五角形の板材(図4参照)であり、その一端側の上部と下部とに二本の角パイプ51がそれぞれ固定される。側板53の他端側上部には、上アーム2及びリンク体4に取り付けるための取付孔54を有しており、リンク体4の第一シャフトピン41を側板53の取付孔54に通すことで、支持部材5を上アーム2及びリンク体4に対して回動可能に取り付けることができる。側板53の上部および下部は折り曲げられており、特に、側板53の下部は折り曲げることで形成された傾斜面55となっている。この傾斜面55の左側端部は当接部55aとなっている。
【0022】
図2、3に示すように、支持部材5には、空き缶などの被収容物を収容可能とした搭載物である収容部材6が載せられている。収容部材6は、幅が広い収容容器61と、その収容容器61の四隅に固定され、収容容器61の開口面を塞ぐネット62により構成されている。そして、収容部材6内に空き缶などが入ったゴミ袋を収容する際は、ネット62を引っ張ることでネット62と収容容器61との間に出来た隙間をつくり、その隙間から収容容器61内部に投入する。
【0023】
図3に示すように、前後に配置された2本のピン22の一端には、それぞれ駆動装置7であるモータ71の出力軸72がカップリング73を介して連結されている。このモータ71は、取付部材1の荷箱取付部12に固定されている。そのため、モータ71の駆動によりピン22を介して上アーム2が回動し、それと共に下アーム3も回動する。これにより、支持部材5に取り付けられた収容部材6は、上アーム2の基端部のピン22を中心として、荷箱T2上方の格納位置と荷箱T2側方の展開位置との間で上昇及び下降する。
【0024】
図2に示すように、取付部材1のアーム取付部11には、下限検知装置81が固定されている。下限検知装置81は、収容部材6が展開位置となるときに下アーム3と接触可能としたリミットスイッチである。
【0025】
次に、本実施形態の特徴である、上アーム2の構造について詳細に説明する。上アーム2は、略直線状に伸びる上アーム基部91と、上アーム基部91に対して略垂直となるように形成された上アーム先部92とにより略T字状となるように形成されている。図2において上アーム先部92のうち車両内方に位置する一端部には、前記接続孔23が設けられている。前記上アーム先部92の他端部には、板状の当接部材93が固定されている。この当接部材93には、当接面93aが形成されており、この当接面93aは、支持部材5の側板53の当接部55aと当接可能に配置されている。
【0026】
次に、本実施形態の格納装置Lの動作である、支持部材5を荷箱側方の展開位置から荷箱上方の格納位置へ上昇させる動作及び格納位置から展開位置へ下降させる動作についてそれぞれ説明する。
上アーム基部91が下ストッパ13に接触し、収容部材6が荷箱T2側方の展開位置にあるときは、上アーム2及び下アーム3は斜め下方を向いており、リンク体4と支持部材5の角パイプ51とが接触することで、収容部材6が展開位置で地面に対して垂直となるように保たれる。なお、この展開位置では、上アーム2の当接部材93と支持部材5の当接部55aは離れた状態となっている。
【0027】
支持部材5を荷箱T2上方の格納位置へ上昇させる場合は、車体に設けられた図示しない上昇スイッチをオンにする。すると、車両前後に配置された2個のモータ71が共に正転駆動し、上アーム2と下アーム3とが上方へ回動され、それとともにリンク体4、支持部材5、収容部材6が上昇する。両アーム2、3が水平位置(図6において実線で示した位置)まで上昇すると、上アームの当接部材93が支持部材5の当接部55aに当接する。この状態でさらに上方に回動を続けると、支持部材5の角パイプ51とリンク体4とが離れ、支持部材5が第一シャフトピン41を中心として図6に示すように反時計回りに回動し、支持部材5及び収容部材6が両アーム2、3の回動にともない徐々に倒伏する。その後、両アーム2、3の回動を続け、支持部材5及び収容部材6とが格納位置まで上昇すると、モータ71の正転駆動が停止する。このとき、上アーム2と支持部材5とを連結するリンク体4の第一シャフトピン41が、車両内方へ位置するので、幅広の収容部材6を搭載したとしても、収容部材6を含む支持部材5の重心位置が第一シャフトピン41より車両外側に位置する。そのため、支持部材5および収容部材6が図6に示す第一シャフトピン41を中心に反時計回りに回転し、支持部材5の先端が荷箱T2上面に接触することがない。したがって、車両走行時に揺れが生じたとしても、支持部材5の先端が荷箱T2上面に繰り返し衝突し、支持部材5もしくは荷箱T2が破損することがない。また、本実施形態の格納装置Lを車両であるボトルカーTが備えるので、幅広の収容部材6を搭載したとしても、支持部材5等の格納装置Lもしくは荷箱T2等の車両が破損することなく収容部材6を搬送することができるうえ、格納装置Lにより、作業者がボトルカーT上に登ることなく荷箱T2側方の収容部材6を荷箱T2の上方に移動させて搭載することができるので、搭載物である収容部材6を車両に搭載する際の作業性および安全性を高めることができる。
【0028】
支持部材5を荷箱T2側方の展開位置へ下降させる場合は、車体に設けられた図示しない下降スイッチをオンする。すると、車両前後に配置された2個のモータ71が共に逆転駆動し、上アーム2と下アーム3とが上方へ回動され、倒伏した支持部材5及び収容部材6は両アーム2、3の回動にともない、起立しながら荷箱T2側方へせり出す。両アーム2、3が水平位置(図6において実線で示す位置)まで回動すると、支持部材5の角パイプ51とリンク体4が接触する。さらに両アーム2、3が回動すると、上アームの当接部材93と支持部材5の当接部55aとが離れる。このとき、支持部材5の角パイプ51とリンク体4とが接触しているため、支持部材5及び収容部材6は略垂直に起立した状態を保持したまま下降し、展開位置への下降を完了する。
そのため、本実施形態の格納装置Lを車両であるボトルカーTが備えることで、格納装置Lにより、作業者がボトルカーT上に登ることなく収容部材6を荷箱T2側方と荷箱T2上方との間で移動させることができるので、被収容物である空き缶を収容部材6に収容した後、収容部材6を荷箱T2上方に上昇させることで、空き缶などをボトルカーTに積み込む際、および空き缶等を収容した収容部材6を荷箱T2側方に下降させた後、収容部材6内の空き缶等を取り出すことで、空き缶などをボトルカーTから降ろす際の作業性および安全性を高めることができる。
【0029】
本実施の形態の格納装置Lの構成とすれば、搭載物である収容部材6を載せた支持部材5を格納位置へ上昇させた際に、上アーム2と支持部材5とを連結するリンク体4の第一シャフトピン41が、車両内方へ位置する。そのため、幅広の収容部材6を搭載したとしても、搭載物である収容部材6を含む支持部材5の重心位置が第一シャフトピン41より車両外側に位置し、車両走行中に、走行時の揺れにより支持部材5の先端と荷箱T2上面とが繰り返し衝突することによる支持部材5もしくは荷箱T2の破損を防止できる。
【0030】
また、本実施の形態のように、格納装置Lが車両であるボトルカーTの荷箱T2に取り付けられる構成とすれば、荷箱T2および格納装置LをボトルカーTのシャシに搭載する際に、事前に格納装置Lを荷箱T2に取り付けた後、一体となった荷箱T2と格納装置LをボトルカーTのシャシに搭載することができる。これにより、荷箱T2への格納装置Lの取り付け作業が、不安定なシャシ上ではなく、地面等の安定した場所で行うことができるので、格納装置Lの取り付け作業を容易に行うことができる。さらに、格納装置Lが荷箱T2に取り付けられる構成とすれば、荷箱T2などが搭載されることでスペースが限られるシャシに格納装置Lを取り付ける場合に比べて取り付けるためのスペースが確保しやすいので、既存のボトルカーTへの格納装置Lの取り付け、取り外しを容易に行うことができる。
【0031】
図7は、本発明の他の実施形態に係る格納装置Lの図2相当図である。この他の実施形態は、上記実施形態と以下の点で相違している。すなわち、取付部材1に下アーム3を取り付けるアーム取付孔11bの位置が前記実施形態に較べて下方に位置するとともに、下アーム3が長くしてある。そのため、支持部材5を荷箱T2側方の展開位置へ下降させる際に、水平位置(図8において実線で示す位置)近くにおいて、上アームの当接部材93と支持部材5の当接部55aとが離れたのち、下アーム3先端が上アーム2先端よりも車両側方へ張り出す。これにより、収容部材を上向きに傾斜させるように支持部材5が傾くため、収容部材6内に被収容物である空き缶等が入ったゴミ袋を入れる際に、ゴミ袋の自重が収容容器61にも作用し、ネット62に全て作用しないので、ネットが破れて収容部材内に空き缶等が収容できなくなることはない。
【0032】
なお、本発明は上記実施形態に限定されるものではない。上記実施形態では、上アーム2の形状はT字型となっているが、L字形でもよく、その他の形状であっても良い。つまり、上アーム2と支持部材5とを回動可能に連結する箇所が、車両内方へ配置されるように構成されていればよい。また、上記実施形態においては、上アーム2と下アーム3とからなる平行リンク機構を構成するアームとしたが、アームとしては平行リンク機構を構成しなくても良く、さらに、上アームのみとしてもよい。
【0033】
また、支持部材5の寸法や形状等は、本発明の目的を阻害しない限り、特に限定されないが、本発明においては、図2に示すように、上下方向の長さよりも左右方向の長さが長い形状の支持部材5とするのが好ましい。このような好ましい支持部材5を使用し、展開位置において車両側方を向く支持部材5の面が、上アーム2、下アーム3の回動により格納位置において上方を向くように構成することにより、展開位置にて支持部材5に搭載された収容部材6等の搭載物を取り扱う際には、左右方向の長さが嵩張らず、搭載物の取り扱い場所の適用範囲が広がり、搭載物の取り扱い性にも優れたものになる。また、格納位置にてボトルカー等の車両を運転する際にも、支持部材5の上下方向の長さが左右方向の長さよりも短くなるので、格納位置における格納装置Lの高さも低くでき、高さ制限等による運転の制約にも有利となる。
【0034】
また、上記実施形態においては、格納装置Lは車両を正面から見て右側側方のみに取り付る構成としたが、格納装置Lは車両を正面から見て左側側方に取り付けてもよく、さらに。左右両側に取り付けてもよい。
【0035】
また、上記実施形態においては、車両としてボトルカーを例示し、支持部材5及び空き缶等を収容する収容部材6を荷箱T2上方と荷箱T2側方との間で昇降させる構成としたが、本発明の格納装置Lは、他の車両にも適用することができ、したがって支持部材に搭載する搭載物も空き缶等を収容する収容部材6に限定されず、梯子等としてもよい。また、収容部材6に収容される被収容物は空き缶等が入ったゴミ袋以外に、工具や消耗部品としてもよい。さらに、収容部材6は、支持部材5に脱着可能に取り付けられてもよく、固定されていてもよい。また、上記実施形態においては、モータ71が駆動することにより格納装置Lが作動する構成となっているが、モータ71で動かす以外に、手動によって格納装置Lを動かすようにしてもよい。
【0036】
また、上記実施形態においては、収容部材6が展開位置となるときに下アーム3と接触可能とした下限検知装置81を設けたが、それ以外に、収容部材6が格納位置となるときに上アーム2と接触可能とした上限検知装置を設けても良い。さらに、これら検知装置は上アーム、下アームどちらと接触するようにしてもよく、さらにリミットスイッチ以外のセンサでもよい。また、上記実施形態に、格納位置に位置する上アーム2の回動を規制するロック装置を設けたりしてもよい。
【符号の説明】
【0037】
ボトルカー T
荷箱 T2
上アーム 2
下アーム 3
リンク体 4
第一シャフトピン 41
第二シャフトピン 42
支持部材 5
収容部材 6
駆動装置 7
上アーム基部 91
上アーム先部 92
【技術分野】
【0001】
本発明は、車両に搭載され、搭載物を荷箱上方の格納位置と荷箱側方の展開位置との間で積み降ろしすることができる格納装置に関し、特に、幅広の搭載物であったとしても、格納装置もしくは荷箱が破損することなく搭載物を格納位置で保持させることができる格納装置およびその格納装置を備えた車両である。
【背景技術】
【0002】
従来より、搭載物を荷箱上方の格納位置と荷箱側方の展開位置との間で積み降ろすことができる格納装置としては、例えば特許文献1に記載されているように、上アームおよび下アームからなる平行リンク機構によって、搭載物である梯子を積み降ろし可能とするものがある。
【0003】
この格納装置は、一端が車両の荷箱に回動可能に固定された上アームの他端に、支持部材がピンにより回動可能に連結されている。そして、この支持部材に梯子などの搭載物を搭載可能としている。これにより、支持部材とともに梯子を格納位置まで上昇させた際には、支持部材が荷箱上方にて倒伏するので、格納装置全体を含む車両の全高を低くでき、車両走行時に格納装置や梯子が路上の木や看板等に接触し破損することを防止できる。また、支持部材とともに梯子を展開位置まで下降させた際には、支持部材が荷箱側方で起立するので、このときの格納装置を含む車両の全幅を狭くでき、幅の限られた場所においても支持部材を車両側方へ下降させることが出来る。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2007−175350号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところが、上記格納装置では、幅の広い搭載物を支持部材に載せて格納位置まで上昇させると、搭載物を含む支持部材の重心がアームと支持部材とを連結するピンよりも車両内側に位置することがある。このとき、搭載物を含む支持部材の重心の位置がピンより車両内側に位置すると、支持部材にピンを中心として反時計回り(支持部材の車両内方側端部が荷箱の上面に向けて移動する方向)のモーメントが発生し、支持部材の車両内方側端部が荷箱上面に接触する。そして、この状態で車両を走行させると、車両走行時の振動により、支持部材の車両内方側端部が荷箱の上面に繰り返し衝突し、支持部材もしくは荷箱が破損するという問題がある。
【0006】
本発明はこのような格納装置の問題点に鑑み、幅広の搭載物を搭載した際に、格納装置及び荷箱が破損することなく荷箱の上方へ格納することができる格納装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記目的を達成するために、本発明の格納装置は、一端が車両に回動可能に取り付けられたアームと、前記アームの他端にピンにより回動可能に固定された支持部材とを有し、前記アームの回動により、前記支持部材を車両上方の格納位置と、車両側方の展開位置との間で移動可能とした格納装置において、前記ピンの位置が、搭載物を含む支持部材の重心の位置より車両内側に配置されるように構成されている。これにより、幅の広い搭載物を支持部材に載せたとしても、格納位置における搭載物を含む支持部材の重心は、アームと支持部材とを回動可能に連結するピンより車両外側に配置されるので、支持部材の先端が車両の上面と接触する方向へ回動することを防止され、車両走行時の振動により、支持部材と車両が繰り返し衝突し破損することを防止できる。
【0008】
また、本発明においては、前記支持部材が、展開位置において、車両側方を向く面が上方に傾斜するようにしてもよい。これにより、支持部材を車両側方に下降させた際に、搭載物を支持部材上に搭載しやすくなる。
【0009】
また、この発明の車両は、前記格納装置を備えるものである。これにより、格納装置の前記構成により、幅の広い搭載物を支持部材に載せたとしても、車両走行時の振動により、支持部材と車両が繰り返し衝突し破損することを防止できるので、車両および格納装置が破損することなく幅の広い搭載物を搬送することができるうえ、搭載物を車両上方に搭載する際および搭載物を車両側方の展開位置に移動させて作業を行う際の作業性および安全性を高めることができる。
【0010】
また、この発明の車両は、前記車両が運転室と荷箱とを有する車体を備えており、前記格納装置が前記荷箱に取り付けられるものである。これにより、車両への格納装置の取り付け取り外し作業を容易に行うことができる。
【0011】
また、前記搭載物は、被収容物を収容可能な収容部材であり、前記収容部材を車両側方の展開位置へ移動させるように本発明の車両を使用してもよい。これにより、本発明の車両を使用すれば、被収容物を車両に積み込む際および車両から降ろす際の作業性および安全性を高めることができる。
【発明の効果】
【0012】
本発明の格納装置およびその格納装置を備えた車両によれば、幅の広い搭載物を支持部材に載せて車両上方の格納位置まで位置させたときに、支持部材の車両内方側端部が車両と接触する方向へ回動することを防止するので、格納装置及び車両の破損を防止することができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【図1】本発明に係る格納装置を搭載した車両の側面図である。
【図2】格納装置のA‐A矢視図である。
【図3】格納装置のB矢視図である。
【図4】支持部材のC矢視図である。
【図5】支持部材のD矢視図である。
【図6】格納装置の動作を説明する図である。
【図7】本発明の格納装置の他の実施形態に関する図2相当図である。
【図8】他の実施形態の格納装置の動作を説明する図である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0014】
以下、本発明の実施形態について説明する。図1は、本発明に係る格納装置を搭載した車両の側面図である。図2は、格納装置のA‐A矢視図である。図3は、格納装置のB矢視図である。図4は、支持部材のC矢視図である。図5は、支持部材のD矢視図である。図6は、格納装置の動作を説明する図である。図7は、本発明の格納装置の他の実施形態に関する図2相当図である。図8は、他の実施形態の格納装置の動作を説明する図である。
【0015】
なお、本発明の実施形態においては、図1に示すボトルカーTの車長方向を前後方向、運転席T1側を前側とし、ボトルカーTの車幅方向(図1における紙面奥行き方向)を左右方向、ボトルカーTの高さ方向を上下方向と定義する。
【0016】
図1に示すように、本発明の格納装置Lは、自動販売機に補充するための缶ジュース等を搬送するボトルカーTに取り付けられて使用するものであり、荷箱T2に取り付けられる前後一対の取付部材1と、この取付部材1にそれぞれ取り付けられる前後一対の上アーム2と、この上アーム2と平行に配置された前後一対の下アーム3と、これら両アーム2、3を連結するリンク体4と、上アーム2に接続された支持部材5と、上アーム2の基端部に設けられた駆動装置7とを備えている。そして、支持部材5には搭載物である収容部材6が取り付けられている。また、上記ボトルカーTは、運転室T1と荷箱T2を有する車体を備えており、荷箱T2の内部には缶ジュースなどが搭載可能となっている。
【0017】
図2、3に示すように、取付部材1は板材で形成されており、ボトルカーTの正面から見て略台形形状のアーム取付部11と、前記アーム取付部11に対して略垂直となるように一体形成される荷箱取付部12とを有している。前記アーム取付部11は、上アーム2及び下アーム3を取り付けるための2つのアーム取付孔11a、11bを有している。前記荷箱取付部12は、荷箱T2にボルト止めされる。また、アーム取付部11には、上アーム2の下方回動を規制するための下ストッパ13が、荷箱取付部12には、上アーム2の上方回動を規制するための上ストッパ14がそれぞれ固定されている。
【0018】
図2、3に示すように、上アーム2は板材で形成されており、上アーム2の一端側には取付部材1に取り付けるための取付孔21を有している。そのため、取付部材1のアーム取付孔11aと上アーム2の取付孔21とにピン22が通されることで、上アーム2が取付部材に対して回動可能に取り付けられる。上アーム2の他端側にはリンク体4を接続するための接続孔23を有している。
【0019】
図2、3に示すように、下アーム3は板材で形成されており、湾曲している(図2参照)。この下アーム3の一端側には、取付部材1に取り付けるための取付孔31を有している。そのため、取付部材1のアーム取付孔11bと下アーム3の取付孔31とにピン32が通されることで、下アーム3が取付部材1に対して回動可能に取り付けられる。下アーム3の他端側にはリンク体4を接続するための接続孔33を有している。
【0020】
図2、3に示すように、リンク体4は略S字状の板材で形成されており(図2参照)、その一端部には上アーム2と接続するための第一シャフトピン41が固定され、その他端部には下アーム3と接続するための第二シャフトピン42が固定されている。なお、第一シャフトピン41、第二シャフトピン42の先端部には、ナットを螺合するためのネジ山が形成されている。この第一シャフトピン41を上アーム2の接続孔25に通し、第一シャフトピン41をナット43で止めることにより、リンク体4を上アーム2に対して回動可能に取り付けることができる。また、第二シャフトピン42を下アーム3の接続孔33に通し、第二シャフトピン42をナット44で止めることにより、リンク体4を下アーム3に対して回動可能に取り付けることができる。これにより、前後一対の上アーム2と前後一対の下アーム3とは、前後それぞれにおいて平行リンクを構成する。
【0021】
図2〜5に示すように、支持部材5は平行に配置された車両前後方向に延びる二本の角パイプ51と、この二本の角パイプ51間を連結する棒状のフラットバー52と、二本の角パイプ51の端部が固定される前後一対の側板53とにより構成される。側板53は五角形の板材(図4参照)であり、その一端側の上部と下部とに二本の角パイプ51がそれぞれ固定される。側板53の他端側上部には、上アーム2及びリンク体4に取り付けるための取付孔54を有しており、リンク体4の第一シャフトピン41を側板53の取付孔54に通すことで、支持部材5を上アーム2及びリンク体4に対して回動可能に取り付けることができる。側板53の上部および下部は折り曲げられており、特に、側板53の下部は折り曲げることで形成された傾斜面55となっている。この傾斜面55の左側端部は当接部55aとなっている。
【0022】
図2、3に示すように、支持部材5には、空き缶などの被収容物を収容可能とした搭載物である収容部材6が載せられている。収容部材6は、幅が広い収容容器61と、その収容容器61の四隅に固定され、収容容器61の開口面を塞ぐネット62により構成されている。そして、収容部材6内に空き缶などが入ったゴミ袋を収容する際は、ネット62を引っ張ることでネット62と収容容器61との間に出来た隙間をつくり、その隙間から収容容器61内部に投入する。
【0023】
図3に示すように、前後に配置された2本のピン22の一端には、それぞれ駆動装置7であるモータ71の出力軸72がカップリング73を介して連結されている。このモータ71は、取付部材1の荷箱取付部12に固定されている。そのため、モータ71の駆動によりピン22を介して上アーム2が回動し、それと共に下アーム3も回動する。これにより、支持部材5に取り付けられた収容部材6は、上アーム2の基端部のピン22を中心として、荷箱T2上方の格納位置と荷箱T2側方の展開位置との間で上昇及び下降する。
【0024】
図2に示すように、取付部材1のアーム取付部11には、下限検知装置81が固定されている。下限検知装置81は、収容部材6が展開位置となるときに下アーム3と接触可能としたリミットスイッチである。
【0025】
次に、本実施形態の特徴である、上アーム2の構造について詳細に説明する。上アーム2は、略直線状に伸びる上アーム基部91と、上アーム基部91に対して略垂直となるように形成された上アーム先部92とにより略T字状となるように形成されている。図2において上アーム先部92のうち車両内方に位置する一端部には、前記接続孔23が設けられている。前記上アーム先部92の他端部には、板状の当接部材93が固定されている。この当接部材93には、当接面93aが形成されており、この当接面93aは、支持部材5の側板53の当接部55aと当接可能に配置されている。
【0026】
次に、本実施形態の格納装置Lの動作である、支持部材5を荷箱側方の展開位置から荷箱上方の格納位置へ上昇させる動作及び格納位置から展開位置へ下降させる動作についてそれぞれ説明する。
上アーム基部91が下ストッパ13に接触し、収容部材6が荷箱T2側方の展開位置にあるときは、上アーム2及び下アーム3は斜め下方を向いており、リンク体4と支持部材5の角パイプ51とが接触することで、収容部材6が展開位置で地面に対して垂直となるように保たれる。なお、この展開位置では、上アーム2の当接部材93と支持部材5の当接部55aは離れた状態となっている。
【0027】
支持部材5を荷箱T2上方の格納位置へ上昇させる場合は、車体に設けられた図示しない上昇スイッチをオンにする。すると、車両前後に配置された2個のモータ71が共に正転駆動し、上アーム2と下アーム3とが上方へ回動され、それとともにリンク体4、支持部材5、収容部材6が上昇する。両アーム2、3が水平位置(図6において実線で示した位置)まで上昇すると、上アームの当接部材93が支持部材5の当接部55aに当接する。この状態でさらに上方に回動を続けると、支持部材5の角パイプ51とリンク体4とが離れ、支持部材5が第一シャフトピン41を中心として図6に示すように反時計回りに回動し、支持部材5及び収容部材6が両アーム2、3の回動にともない徐々に倒伏する。その後、両アーム2、3の回動を続け、支持部材5及び収容部材6とが格納位置まで上昇すると、モータ71の正転駆動が停止する。このとき、上アーム2と支持部材5とを連結するリンク体4の第一シャフトピン41が、車両内方へ位置するので、幅広の収容部材6を搭載したとしても、収容部材6を含む支持部材5の重心位置が第一シャフトピン41より車両外側に位置する。そのため、支持部材5および収容部材6が図6に示す第一シャフトピン41を中心に反時計回りに回転し、支持部材5の先端が荷箱T2上面に接触することがない。したがって、車両走行時に揺れが生じたとしても、支持部材5の先端が荷箱T2上面に繰り返し衝突し、支持部材5もしくは荷箱T2が破損することがない。また、本実施形態の格納装置Lを車両であるボトルカーTが備えるので、幅広の収容部材6を搭載したとしても、支持部材5等の格納装置Lもしくは荷箱T2等の車両が破損することなく収容部材6を搬送することができるうえ、格納装置Lにより、作業者がボトルカーT上に登ることなく荷箱T2側方の収容部材6を荷箱T2の上方に移動させて搭載することができるので、搭載物である収容部材6を車両に搭載する際の作業性および安全性を高めることができる。
【0028】
支持部材5を荷箱T2側方の展開位置へ下降させる場合は、車体に設けられた図示しない下降スイッチをオンする。すると、車両前後に配置された2個のモータ71が共に逆転駆動し、上アーム2と下アーム3とが上方へ回動され、倒伏した支持部材5及び収容部材6は両アーム2、3の回動にともない、起立しながら荷箱T2側方へせり出す。両アーム2、3が水平位置(図6において実線で示す位置)まで回動すると、支持部材5の角パイプ51とリンク体4が接触する。さらに両アーム2、3が回動すると、上アームの当接部材93と支持部材5の当接部55aとが離れる。このとき、支持部材5の角パイプ51とリンク体4とが接触しているため、支持部材5及び収容部材6は略垂直に起立した状態を保持したまま下降し、展開位置への下降を完了する。
そのため、本実施形態の格納装置Lを車両であるボトルカーTが備えることで、格納装置Lにより、作業者がボトルカーT上に登ることなく収容部材6を荷箱T2側方と荷箱T2上方との間で移動させることができるので、被収容物である空き缶を収容部材6に収容した後、収容部材6を荷箱T2上方に上昇させることで、空き缶などをボトルカーTに積み込む際、および空き缶等を収容した収容部材6を荷箱T2側方に下降させた後、収容部材6内の空き缶等を取り出すことで、空き缶などをボトルカーTから降ろす際の作業性および安全性を高めることができる。
【0029】
本実施の形態の格納装置Lの構成とすれば、搭載物である収容部材6を載せた支持部材5を格納位置へ上昇させた際に、上アーム2と支持部材5とを連結するリンク体4の第一シャフトピン41が、車両内方へ位置する。そのため、幅広の収容部材6を搭載したとしても、搭載物である収容部材6を含む支持部材5の重心位置が第一シャフトピン41より車両外側に位置し、車両走行中に、走行時の揺れにより支持部材5の先端と荷箱T2上面とが繰り返し衝突することによる支持部材5もしくは荷箱T2の破損を防止できる。
【0030】
また、本実施の形態のように、格納装置Lが車両であるボトルカーTの荷箱T2に取り付けられる構成とすれば、荷箱T2および格納装置LをボトルカーTのシャシに搭載する際に、事前に格納装置Lを荷箱T2に取り付けた後、一体となった荷箱T2と格納装置LをボトルカーTのシャシに搭載することができる。これにより、荷箱T2への格納装置Lの取り付け作業が、不安定なシャシ上ではなく、地面等の安定した場所で行うことができるので、格納装置Lの取り付け作業を容易に行うことができる。さらに、格納装置Lが荷箱T2に取り付けられる構成とすれば、荷箱T2などが搭載されることでスペースが限られるシャシに格納装置Lを取り付ける場合に比べて取り付けるためのスペースが確保しやすいので、既存のボトルカーTへの格納装置Lの取り付け、取り外しを容易に行うことができる。
【0031】
図7は、本発明の他の実施形態に係る格納装置Lの図2相当図である。この他の実施形態は、上記実施形態と以下の点で相違している。すなわち、取付部材1に下アーム3を取り付けるアーム取付孔11bの位置が前記実施形態に較べて下方に位置するとともに、下アーム3が長くしてある。そのため、支持部材5を荷箱T2側方の展開位置へ下降させる際に、水平位置(図8において実線で示す位置)近くにおいて、上アームの当接部材93と支持部材5の当接部55aとが離れたのち、下アーム3先端が上アーム2先端よりも車両側方へ張り出す。これにより、収容部材を上向きに傾斜させるように支持部材5が傾くため、収容部材6内に被収容物である空き缶等が入ったゴミ袋を入れる際に、ゴミ袋の自重が収容容器61にも作用し、ネット62に全て作用しないので、ネットが破れて収容部材内に空き缶等が収容できなくなることはない。
【0032】
なお、本発明は上記実施形態に限定されるものではない。上記実施形態では、上アーム2の形状はT字型となっているが、L字形でもよく、その他の形状であっても良い。つまり、上アーム2と支持部材5とを回動可能に連結する箇所が、車両内方へ配置されるように構成されていればよい。また、上記実施形態においては、上アーム2と下アーム3とからなる平行リンク機構を構成するアームとしたが、アームとしては平行リンク機構を構成しなくても良く、さらに、上アームのみとしてもよい。
【0033】
また、支持部材5の寸法や形状等は、本発明の目的を阻害しない限り、特に限定されないが、本発明においては、図2に示すように、上下方向の長さよりも左右方向の長さが長い形状の支持部材5とするのが好ましい。このような好ましい支持部材5を使用し、展開位置において車両側方を向く支持部材5の面が、上アーム2、下アーム3の回動により格納位置において上方を向くように構成することにより、展開位置にて支持部材5に搭載された収容部材6等の搭載物を取り扱う際には、左右方向の長さが嵩張らず、搭載物の取り扱い場所の適用範囲が広がり、搭載物の取り扱い性にも優れたものになる。また、格納位置にてボトルカー等の車両を運転する際にも、支持部材5の上下方向の長さが左右方向の長さよりも短くなるので、格納位置における格納装置Lの高さも低くでき、高さ制限等による運転の制約にも有利となる。
【0034】
また、上記実施形態においては、格納装置Lは車両を正面から見て右側側方のみに取り付る構成としたが、格納装置Lは車両を正面から見て左側側方に取り付けてもよく、さらに。左右両側に取り付けてもよい。
【0035】
また、上記実施形態においては、車両としてボトルカーを例示し、支持部材5及び空き缶等を収容する収容部材6を荷箱T2上方と荷箱T2側方との間で昇降させる構成としたが、本発明の格納装置Lは、他の車両にも適用することができ、したがって支持部材に搭載する搭載物も空き缶等を収容する収容部材6に限定されず、梯子等としてもよい。また、収容部材6に収容される被収容物は空き缶等が入ったゴミ袋以外に、工具や消耗部品としてもよい。さらに、収容部材6は、支持部材5に脱着可能に取り付けられてもよく、固定されていてもよい。また、上記実施形態においては、モータ71が駆動することにより格納装置Lが作動する構成となっているが、モータ71で動かす以外に、手動によって格納装置Lを動かすようにしてもよい。
【0036】
また、上記実施形態においては、収容部材6が展開位置となるときに下アーム3と接触可能とした下限検知装置81を設けたが、それ以外に、収容部材6が格納位置となるときに上アーム2と接触可能とした上限検知装置を設けても良い。さらに、これら検知装置は上アーム、下アームどちらと接触するようにしてもよく、さらにリミットスイッチ以外のセンサでもよい。また、上記実施形態に、格納位置に位置する上アーム2の回動を規制するロック装置を設けたりしてもよい。
【符号の説明】
【0037】
ボトルカー T
荷箱 T2
上アーム 2
下アーム 3
リンク体 4
第一シャフトピン 41
第二シャフトピン 42
支持部材 5
収容部材 6
駆動装置 7
上アーム基部 91
上アーム先部 92
【特許請求の範囲】
【請求項1】
一端が車両に固定されたアームと、
前記アームの他端にピンにより回動可能に固定された支持部材とを有し、
前記アームの回動により、前記支持部材を車両上方の格納位置と、車両側方の展開位置との間で移動可能とした格納装置において、
前記ピンの位置が、搭載物を含む支持部材の重心の位置より車両内側に配置されるようにした格納装置。
【請求項2】
前記支持部材が、展開位置において、車両側方を向く面が上方に傾斜する
ようにした請求項1に記載の格納装置。
【請求項3】
請求項1又は2に記載の格納装置を備える車両。
【請求項4】
前記車両が運転室と荷箱とを有する車体を備えており、
前記格納装置が前記荷箱に取り付けられていることを特徴とする請求項3に記載の車両。
【請求項5】
前記搭載物は、被収容物を収容可能な収容部材であり、
前記収容部材を車両側方の展開位置へ移動させる請求項3又は4に記載の車両の使用。
【請求項1】
一端が車両に固定されたアームと、
前記アームの他端にピンにより回動可能に固定された支持部材とを有し、
前記アームの回動により、前記支持部材を車両上方の格納位置と、車両側方の展開位置との間で移動可能とした格納装置において、
前記ピンの位置が、搭載物を含む支持部材の重心の位置より車両内側に配置されるようにした格納装置。
【請求項2】
前記支持部材が、展開位置において、車両側方を向く面が上方に傾斜する
ようにした請求項1に記載の格納装置。
【請求項3】
請求項1又は2に記載の格納装置を備える車両。
【請求項4】
前記車両が運転室と荷箱とを有する車体を備えており、
前記格納装置が前記荷箱に取り付けられていることを特徴とする請求項3に記載の車両。
【請求項5】
前記搭載物は、被収容物を収容可能な収容部材であり、
前記収容部材を車両側方の展開位置へ移動させる請求項3又は4に記載の車両の使用。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【公開番号】特開2013−91362(P2013−91362A)
【公開日】平成25年5月16日(2013.5.16)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−233465(P2011−233465)
【出願日】平成23年10月25日(2011.10.25)
【出願人】(000163095)極東開発工業株式会社 (215)
【出願人】(506329018)SGホールディングス株式会社 (7)
【公開日】平成25年5月16日(2013.5.16)
【国際特許分類】
【出願日】平成23年10月25日(2011.10.25)
【出願人】(000163095)極東開発工業株式会社 (215)
【出願人】(506329018)SGホールディングス株式会社 (7)
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