説明

栽培ルームの構造

【課題】建物内に、より多くの植物を鑑賞することが可能な栽培スペースを確保できるとともに、栽培する植物への照光効率を向上させることができる栽培ルームの構造を提供することを目的とする。
【解決手段】居室1に隣接して配設されるとともに、植物栽培用の容器11が配置され、植物が栽培される栽培ルーム10の構造において、天井10aに設けられるとともに、居室1内を照明する居室1用の照明手段よりも明るくなるように設定された照明手段12を備えており、居室1との境界には開口部10cが設けられており、この開口部10cはハーフミラー13によって覆われていることを特徴とする。これにより、ハーフミラーを介して、居室側から栽培ルーム内を透視できるとともに、栽培ルーム内では、天井からの照明光を、ハーフミラーによって反射させ、植物に対して多角的に照射することができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、住宅等の建物内において、居室に隣接して配設されるとともに、植物栽培用の容器が配置され、植物が栽培される栽培ルームの構造に関する。
【背景技術】
【0002】
玄関やバルコニー等に植物を飾ったり、庭に植物を植栽したりして、屋内側から、これを観賞することが一般になされている。
また、屋外だけでなく、プランターや鉢等の容器を建物内に配置し、この容器で植物を栽培し、これを鑑賞することが行われている(例えば、特許文献1参照)。このように建物内で植物を鑑賞することによって、自然を身近に感じることができる。しかも、屋外よりも生育環境を安定化できるので、種々の植物を栽培しやすくなる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2005−278611号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところが、近年、特に住宅等の建物の分野において緑化が推進されており、単にプランターや鉢等の容器を配置するだけでなく、より多くの植物を栽培するための栽培用スペースを建物内に確保したいという要望がある。
また、従来は、天井付近からの照明光を植物に照射することで建物内での植物の栽培を行っていたが、天井付近からの照明光だけでは、葉の重なり合い等を考慮していない等の問題があるため、植物に対して効率よく照光できない場合がある。
【0005】
本発明の課題は、建物内に、より多くの植物を鑑賞することが可能な栽培スペースを確保できるとともに、栽培する植物への照光効率を向上させることができる栽培ルームの構造を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
請求項1に記載の発明は、例えば図1〜図7に示すように、居室1(21)に隣接して配設されるとともに、植物栽培用の容器11(31)が配置され、植物が栽培される栽培ルーム10(30)の構造において、
天井10aに設けられるとともに、前記居室1(21)内を照明する居室1(21)用の照明手段(図示せず)よりも明るくなるように設定された照明手段12を備えており、
前記居室1(21)との境界には開口部10c(30c)が設けられており、この開口部10c(30c)はハーフミラー13によって覆われていることを特徴とする。
【0007】
請求項1に記載の発明によれば、天井10aに設けられるとともに、前記居室1(21)内を照明する居室1(21)用の照明手段よりも明るくなるように設定された照明手段12を備えており、前記居室1(21)との境界には開口部10c(30c)が設けられており、この開口部10c(30c)はハーフミラー13によって覆われているので、前記ハーフミラー13を介して、前記居室1(21)側から栽培ルーム10(30)内を透視することができるとともに、栽培ルーム10(30)内では、天井10aからの照明光を、前記ハーフミラー13によって反射させ、植物に対して多角的に照射することができる。これによって、建物内に、より多くの植物を鑑賞することが可能な栽培スペースを確保できるとともに、栽培する植物への照光効率を向上させることができる。
【0008】
請求項2に記載の発明は、例えば図1,図2,図7に示すように、請求項1に記載の栽培ルーム10(30)の構造において、
前記開口部10c(30c)には、この開口部10c(30c)を開閉する建具14(34)が設けられており、この建具14(34)に前記ハーフミラー13が組み込まれていることを特徴とする。
【0009】
請求項2に記載の発明によれば、前記開口部10c(30c)には、この開口部10c(30c)を開閉する建具14(34)が設けられており、この建具14(34)に前記ハーフミラー13が組み込まれているので、前記ハーフミラー13が組み込まれた建具14(34)によって開口部10c(30c)を開放・閉塞できるとともに、この開口部10c(30c)を介して居室1(21)と栽培ルーム10(30)とを行き来できる。これによって、例えば庭やバルコニー等の屋外にわざわざ出る必要がなく、建物内での植物の栽培がしやすくなる。
【0010】
請求項3に記載の発明は、例えば図1および図4に示すように、請求項1または2に記載の栽培ルーム10(30)の構造において、
前記天井10aと照明手段12との間には、この照明手段12に対峙する反射面15aを有するとともに該反射面15a側が凹面となるように湾曲形成された反射板15が設けられていることを特徴とする。
【0011】
請求項3に記載の発明によれば、前記天井10aと照明手段12との間には、この照明手段12に対峙する反射面15aを有するとともに該反射面15a側が凹面となるように湾曲形成された反射板15が設けられているので、前記照明手段12の上方への照光を、前記反射板15によって反射させることができるとともに、凹状の反射面15aによって、より多角的に照明光を植物に照射することができる。
【0012】
請求項4に記載の発明は、例えば図1および図4に示すように、請求項3に記載の栽培ルーム10(30)の構造において、
前記反射板15の反射面15aに、入射した照明光を電気エネルギーに変換する太陽電池パネル15bが取り付けられており、この太陽電池パネル15bは、前記照明手段12に接続されていることを特徴とする。
【0013】
請求項4に記載の発明によれば、前記反射板15の反射面15aに、入射した照明光を電気エネルギーに変換する太陽電池パネル15bが取り付けられており、この太陽電池パネル15bは、前記照明手段12に接続されているので、前記太陽電池パネル15bによって照明光を電気エネルギーに変換することができるとともに、この電気エネルギーを再び前記照明手段12に利用することができる。これによって、前記栽培ルーム10(30)内のエネルギー消費を抑えることができる。
【0014】
請求項5に記載の発明は、例えば図1および図3に示すように、請求項1〜4のいずれか一項に記載の栽培ルーム10(30)の構造において、
前記開口部10c(30c)に対向する側壁10d(30d)の前方に、前記開口部10c(30c)側の面が反射面16aとされた反射板16が設けられていることを特徴とする。
【0015】
請求項5に記載の発明によれば、前記開口部10c(30c)に対向する側壁10d(30d)の前方に、前記開口部10c(30c)側の面が反射面16aとされた反射板16が設けられているので、前記開口部10c(30c)に対向する側壁10d(30d)側からも照明光を反射させることができる。これによって、より一層多角的に照明光を植物に照射することができる。
【0016】
請求項6に記載の発明は、例えば図1および図3に示すように、請求項5に記載の栽培ルーム10(30)の構造において、
前記反射板16は、前記側壁10d(30d)から所定間隔離間して配置されており、
この反射板16には、栽培ルーム10(30)内の空気を吸い込むための吸気口16bと、栽培ルーム10d(30d)内へ空気を送り込む送風口16cとが形成されており、
この反射板16と前記側壁10d(30d)との間には、前記吸気口16bに装着された換気扇16dが設けられていることを特徴とする。
【0017】
請求項6に記載の発明によれば、前記反射板16は、前記側壁10d(30d)から所定間隔離間して配置されており、この反射板16には、栽培ルーム10(30)内の空気を吸い込むための吸気口16bと、栽培ルーム10d(30d)内へ空気を送り込む送風口16cとが形成されており、この反射板16と前記側壁10d(30d)との間には、前記吸気口16bに装着された換気扇16dが設けられているので、前記反射板16と側壁10d(30d)との間の隙間を利用して、栽培ルーム10(30)内の空気を循環させることができる。これによって、植物に対して風を当てることができるので、カビの発生を抑制することができ、カビに起因する植物の病気を防ぐことができる。
【0018】
請求項7に記載の発明は、例えば図5および図6に示すように、請求項1〜6のいずれか一項に記載の栽培ルーム10(30)の構造において、
天井高が、0.9〜1.4mに設定されていることを特徴とする。
【0019】
請求項7に記載の発明によれば、天井高が、0.9〜1.4mに設定されているので、人が栽培ルーム10(30)に入って、何とか作業ができる最低限の高さを確保できる。また、この栽培ルーム10(30)の上方に他の部屋を設けることができるので、建物内のスペースを効率的に利用できる。
また、天井高には限りがあるため、居室内で栽培する植物としては、背の高い植物よりも、ある程度の高さで成長が止まり、かつそれほど背の高くない植物や背の低い植物が好適とされている。それほど背の高くない植物や背の低い植物の場合、その育成用の照明手段12の設置高さとしては、通常の居室の天井高である2m以上の高さでは高すぎてしまうため、天井高が、0.9〜1.4mに設定された栽培ルーム10(30)であれば、居室内で栽培する植物にとって適切な高さに照明手段12を設けることができる。
【発明の効果】
【0020】
本発明によれば、天井に設けられるとともに、居室内を照明する居室用の照明手段よりも明るくなるように設定された照明手段を備えており、居室との境界には開口部が設けられており、この開口部はハーフミラーによって覆われているので、このハーフミラーを介して、居室側から栽培ルーム内を透視することができるとともに、栽培ルーム内では、天井からの照明光を、ハーフミラーによって反射させ、植物に対して多角的に照射することができる。これによって、建物内に、より多くの植物を鑑賞することが可能な栽培スペースを確保できるとともに、栽培する植物への照光効率を向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0021】
【図1】本発明の栽培ルームの構造の一例を示す側断面図である。
【図2】図1に示す栽培ルームの正面図である。
【図3】図1に示す栽培ルームの平面図である。
【図4】図1に示す栽培ルームに設けられた照明手段を示す拡大図である。
【図5】建物内部の居室および栽培ルーム付近の一例を示す概略側断面図である。
【図6】建物内部の居室および栽培ルーム付近の一例を示す概略側断面図である。
【図7】栽培ルームの他の一例を含む建物を示す平断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0022】
以下、図面を参照して本発明の実施の形態について説明する。
図1は本発明に係る栽培ルームの構造の一例を示す側断面図である。
図1において符号1は、居室を示す。この居室1は、例えばリビングルームやダイニングルーム、キッチン、個室等のように、居住者が日常的にいる部屋を指している。
そして、この居室1に隣接して、植物栽培用の容器11が配置され、植物が栽培される栽培ルーム10が建物内に配設されている。なお、本実施の形態において、前記容器11では、土を使わずに植物の根を水に浸すようにして植物を栽培する水耕栽培が行われている。また、前記容器11にはキャスター11aが取り付けられている。
【0023】
前記栽培ルーム10は、図1〜図3に示すように、建物の所定階の床2と天井10aとの間に設けられており、さらに、これら床2と天井10aとの間に、栽培ルーム10と外部とを分離する側壁10b,10d,10e,10fを立設することによって、一個の部屋として成り立つように構成されている。
また、この栽培ルーム10内の床2上に、この床2よりも一段高く、前記容器11が載置される載置用床10gが敷設されている。すなわち、前記容器11は、前記床2よりも一段高い位置に配置されていることになる。なお、この容器11を、前記居室1と栽培ルーム10との間で移動させる際は、持ち運び可能なスロープ状の装置(図示せず)を用いるようにしてもよい。
なお、前記床2は、基礎上に設置された複数の土台間に、縦横の框材を矩形状に組んでなる矩形枠の上面に面材を貼設してなる床パネルを架け渡すようにして設けることで構成されている。
【0024】
この栽培ルーム10は、前記床2の上方に中間床5を設けることによって、この中間床5と前記床2との間に設けられるものであり、その天井高は、0.9m〜1.4mに設定されている。また、この栽培ルーム10は外壁4に沿って配設されている。
前記天井10aは、前記中間床5の下面に野縁を介して天井板を取り付けることによって形成されている。
【0025】
また、前記居室1は、前記床2と、この床2の上方に設けられる天井3(または上階の床)との間に設けられており、これによって、この居室1の天井と前記栽培ルーム10の天井10aとは、図5および図6に示すように、異なる高さに設けられている。
なお、この居室1の天井高は、本実施の形態においては約2.4mに設定されている。
このように前記栽培ルーム10の天井高と居室1の天井高とに差異があるため、前記中間床5上に、図5に示すように下階と上階との間に位置する中間階の部屋6を設けるようにしてもよいし、図6に示すように、前記栽培ルーム10と同じ構成の栽培ルーム10Aを、前記栽培ルーム10と上下2段となるように設けてもよいものとする。
【0026】
また、前記居室1との境界、すなわち前記栽培ルーム10の居室側壁10bには、図1および図2に示すように、開口部10cが形成されている。また、この開口部10cはハーフミラー13によって覆われている。
このハーフミラー13は、鏡に張る金属の膜を通常より薄くしたり、板ガラスに錫や銀をめっきないし蒸着させたりして、半透明にしたものであり、入射光の一部を反射し、一部を透過させる性質を持つ。例えば照明をつけた明るい部屋と照明のない暗い部屋を、このハーフミラー13で仕切った場合、明るい部屋からハーフミラー13を見ても、暗い部屋から透過する弱い光に重なって、明るい部屋から反射した強い光が目に届くため、自分の居る部屋の様子が映った鏡のようにしか見えない。逆に暗い部屋からハーフミラー13を見た時は、暗い部屋から反射する弱い光に重なって、明るい部屋から透過してくる強い光が目に届くので、ハーフミラー越しに明るい部屋の様子が見える。なお、本実施の形態では市販のハーフミラーを用いることができる。
【0027】
さらに、前記開口部10cには、図1および図2に示すように、この開口部10cを開閉する建具14が設けられており、この建具14に前記ハーフミラー13が組み込まれている。
この建具14は、矩形状の建具枠内に前記ハーフミラー13を組み込むようにして形成されており、前記開口部10cの縁部に沿って門型に取り付けられた開口枠14aと載置用床10gとで形成される枠内に建て付けられている。また、本実施の形態においては4枚の建具14が用いられている。
なお、前記開口枠14aおよび載置用床10gには、前記建具14をスライドさせるためのレール等を適宜設けるようにする。
【0028】
また、栽培ルーム10の天井10aには、図1および図4に示すように、前記居室1内を照明する居室1用の照明手段(図示せず)よりも明るくなるように設定された照明手段12が設けられている。
この照明手段12は、本実施の形態においては、植物の成長に必要な光エネルギーを効率よく発生するように設計された円筒状の長尺な植物用蛍光灯が用いられており、図1および図4に示すように、前記居室側壁10bから、この居室側壁10bに対向する側壁10dに向かって、2本1組で、計4組分設けられている。なお、本実施の形態では市販の植物用蛍光灯を用いることができる。
【0029】
また、前記天井10aと照明手段12との間には、この照明手段12に対峙する反射面15aを有するとともに該反射面15a側が凹面となるように湾曲形成された反射板15が設けられている。
この反射板15は、例えばアルミニウム等の金属や、湾曲するように成形された樹脂等によって構成されており、例えば照明手段12側の凹面を鏡面仕上げとしたり、反射用金属膜等の反射物質をコーティングしたりすることによって前記反射面15aが設けられている。
【0030】
また、前記反射板15の反射面15aに、入射した照明光を電気エネルギーに変換する太陽電池パネル15bが取り付けられており、この太陽電池パネル15bは、前記照明手段12に接続されている。
なお、前記照明手段12の照明光のうち、前記反射面15aに向かって発せられた光の一部は、前記反射面15a自体と、太陽電池パネル15bの表面とで反射され照明に利用される。また、太陽電池パネル15bを透過する照明光は、その一部が吸収され光電変換されて電気エネルギーとなり、別の一部は太陽電池パネル15bの裏側の反射面15aで反射されて照明に利用される。
また、前記変換された電気エネルギーは、図示しない蓄電池に蓄電されている。そして、前記太陽電池パネル15は、この蓄電池を介して前記照明手段12に接続されている。
【0031】
また、図1および図3に示すように、前記開口部10cに対向する側壁10dの前方には、前記開口部10c側の面が反射面16aとされた反射板16が設けられている。
この反射板16は、例えばアルミニウム等の金属や、湾曲するように成形された樹脂等によって構成されており、例えば開口部10c側の面を鏡面仕上げとしたり、反射用金属膜等の反射物質をコーティングしたりすることによって前記反射面16aが設けられている。
【0032】
さらに、前記反射板16は、前記側壁10dから所定間隔離間して配置されており、この反射板16には、栽培ルーム10内の空気を吸い込むための吸気口16bと、栽培ルーム10d内へ空気を送り込む送風口16cとが形成されており、この反射板16と前記側壁10dとの間には、前記吸気口16bに装着された換気扇16dが設けられている。
この換気扇16dは、前記吸気口16bを介して栽培ルーム10の栽培スペースから、反射板16と前記側壁10dとの間のスペースに向かって空気を取り込むことができる。
また、前記吸気口16bおよび換気扇16dは、前記反射板16に対して少なくとも1セット設けられるようにする。また、前記送風口16cは、前記反射板16に対して1つでもよいし、反射板16の幅方向に沿って点在するように複数設けられるようにしてもよい。これにより、前記開口部10cに対向する側壁10d付近に、空気循環手段を設けることができ、栽培ルーム10内で空気の流れを発生させることができる。
【0033】
また、前記側壁10eには、図3に示すように、温度センサー17および除湿センサー18が設けられている。
前記温度センサー17は、栽培ルーム10内の温度が例えば18〜28℃となるように管理するためのものであり、前記除湿センサー18は、栽培ルーム10内の湿度が例えば50〜70%となるように管理するためのものである。なお、上述のように前記容器11では水耕栽培が行われているため、温度・湿度の管理はきわめて重要である。
このような温度センサー17および除湿センサー18は、前記側壁10eに設けるものとしたが、これに限られるものではなく、前記側壁10fに設けてもよく、前記栽培ルーム10内の温度・湿度の管理ができるのであれば設置場所は限定されない。
【0034】
なお、以上のような栽培ルーム10が、建物内のどの方角に配設されるかは特に限定されるものではないが、建物内の北側の日が当たりにくい場所でも、何ら支障なく植物を栽培できる。
また、居室1をキッチンとした場合、前記容器11では、ハーブや野菜等のような食材となる植物を栽培するようにしてもよい。
【0035】
(実施例)
次に、以上のような構成の栽培ルーム10とは異なる形態の栽培ルーム30を内部に配設した建物20について説明する。
この建物20は、図7に示すように、居室21と、玄関22と、これら居室21と玄関22とを連絡する廊下23と、この廊下23の途中に設けられるとともに居室21と栽培ルーム30の一面側に当接する階段24と、この階段24に隣り合うようにして設けられるとともに前記玄関22と栽培ルーム30とを連絡する通り土間25と、前記居室21と栽培ルーム30の他面側に位置し、屋外に設けられる屋外作業スペース26と、建物内において前記居室21および廊下23に隣接して配設される他の部屋27と、栽培ルーム30とを備えている。
【0036】
前記居室21は、土間である低床部21aと、この低床部21aよりも高い位置に設けられ土間である高床部21bとを有している。また、この居室21は、建物20の北側に配設されており、前記低床部21aおよび高床部21bが土間であることから、例えば夏季において、冷却効果の高い部屋とすることができる。
また、前記低床部21aは、前記玄関22、通り土間25、屋外作業スペース26および栽培ルーム30の床30gと略等しい床レベルとなるように設定されている。これにより、前記玄関22から通り土間25を介して栽培ルーム30に至るルートにおいても、栽培ルーム30から屋外作業スペース26に至るルートにおいても、栽培ルームから居室21に至るルートにおいても、容器31の移動が容易となる。
また、前記高床部21bは、平面視L字状に形成されており、前記廊下23および他の部屋27の床27aと略等しい床レベルとなるように設定されている。
さらに、この居室21の屋外作業スペース26側の壁には、この屋外作業スペース26と行き来するための屋外側出入口21cが設けられている。
【0037】
前記階段24の踊り場の下方には、図7に示すように、前記容器31を載置できるスペースが形成されている。
また、前記通り土間25には、この踊り場下方のスペースに対向するとともに屋外に面して窓25aが設けられており、この窓25aから光や風を取り込んで、該容器31に栽培された植物の生育を促すことができるようになっている。
【0038】
前記栽培ルーム30は、前記載置用床30gと天井(図示せず)との間に設けられており、さらに、これら床30gと天井との間に、栽培ルーム30と外部とを分離する側壁30b,30d,30e,30fを立設することによって、一個の部屋として成り立つように構成されている。
なお、本実施例の載置用床30gは、上述のように前記低床部21a、前記玄関22、通り土間25、屋外作業スペース26と略等しい床レベルとなっている。
また、前記側壁30eには、前記屋外作業スペース26と行き来するための屋外側出入口30hが設けられている。
また、前記側壁30fには、前記玄関22および通り土間25と行き来するための玄関側出入口30iが設けられている。
【0039】
そして、この栽培ルーム30と前記居室21との境界、すなわち前記栽培ルーム30の居室側壁30bには、開口部30cが形成されている。また、この開口部30cはハーフミラー(図示せず)によって覆われている。
さらに、前記開口部30cには、この開口部30cを開閉する建具34が設けられており、この建具34に前記ハーフミラーが組み込まれている。
【0040】
また、この栽培ルーム30の床面積は比較的広く取られており、開口部10cから栽培ルーム30を見た時に、前記容器31を前後2列に並べて載置できるようになっており、建物内に、一層多くの植物を鑑賞することが可能な栽培スペースを確保できるようになっている。
【0041】
なお、本実施例の栽培ルーム30に設けられる照明手段や反射板、空気循環手段、各種センサー等の各種設備は、図示はしないが、上述の栽培ルーム10と同様の構成のものが用いられており、説明を省略した部分においては、上述の栽培ルーム10と同様の効果を得ることが可能となっている。
【0042】
本実施の形態によれば、天井10aに設けられるとともに、前記居室1(21)内を照明する居室1(21)用の照明手段よりも明るくなるように設定された照明手段12を備えており、前記居室1(21)との境界には開口部10c(30c)が設けられており、この開口部10c(30c)はハーフミラー13によって覆われているので、前記ハーフミラー13を介して、前記居室1(21)側から栽培ルーム10(30)内を透視することができるとともに、栽培ルーム10(30)内では、天井10aからの照明光を、前記ハーフミラー13によって反射させ、植物に対して多角的に照射することができる。これによって、建物内に、より多くの植物を鑑賞することが可能な栽培スペースを確保できるとともに、栽培する植物への照光効率を向上させることができる。
【0043】
また、前記開口部10c(30c)には、この開口部10c(30c)を開閉する建具14(34)が設けられており、この建具14(34)に前記ハーフミラー13が組み込まれているので、前記ハーフミラー13が組み込まれた建具14(34)によって開口部10c(30c)を開放・閉塞できるとともに、この開口部10c(30c)を介して居室1(21)と栽培ルーム10(30)とを行き来できる。これによって、例えば庭やバルコニー等の屋外にわざわざ出る必要がなく、建物内での植物の栽培がしやすくなる。
【0044】
また、前記天井10aと照明手段12との間には、この照明手段12に対峙する反射面15aを有するとともに該反射面15a側が凹面となるように湾曲形成された反射板15が設けられているので、前記照明手段12の上方への照光を、前記反射板15によって反射させることができるとともに、凹状の反射面15aによって、より多角的に照明光を植物に照射することができる。
【0045】
また、前記反射板15の反射面15aに、入射した照明光を電気エネルギーに変換する太陽電池パネル15bが取り付けられており、この太陽電池パネル15bは、前記照明手段12に接続されているので、前記太陽電池パネル15bによって照明光を電気エネルギーに変換することができるとともに、この電気エネルギーを再び前記照明手段12に利用することができる。これによって、前記栽培ルーム10(30)内のエネルギー消費を抑えることができる。
【0046】
また、前記開口部10c(30c)に対向する側壁10d(30d)の前方に、前記開口部10c(30c)側の面が反射面16aとされた反射板16が設けられているので、前記開口部10c(30c)に対向する側壁10d(30d)側からも照明光を反射させることができる。これによって、より一層多角的に照明光を植物に照射することができる。
【0047】
また、前記反射板16は、前記側壁10d(30d)から所定間隔離間して配置されており、この反射板16には、栽培ルーム10(30)内の空気を吸い込むための吸気口16bと、栽培ルーム10d(30d)内へ空気を送り込む送風口16cとが形成されており、この反射板16と前記側壁10d(30d)との間には、前記吸気口16bに装着された換気扇16dが設けられているので、前記反射板16と側壁10d(30d)との間の隙間を利用して、栽培ルーム10(30)内の空気を循環させることができる。これによって、植物に対して風を当てることができるので、カビの発生を抑制することができ、カビに起因する植物の病気を防ぐことができる。
【0048】
また、天井高が、0.9〜1.4mに設定されているので、人が栽培ルーム10(30)に入って、何とか作業ができる最低限の高さを確保できる。また、この栽培ルーム10(30)の上方に他の部屋を設けることができるので、建物内のスペースを効率的に利用できる。
また、天井高には限りがあるため、居室内で栽培する植物としては、背の高い植物よりも、ある程度の高さで成長が止まり、かつそれほど背の高くない植物や背の低い植物が好適とされている。それほど背の高くない植物や背の低い植物の場合、その育成用の照明手段12の設置高さとしては、通常の居室の天井高である2m以上の高さでは高すぎてしまうため、天井高が、0.9〜1.4mに設定された栽培ルーム10(30)であれば、居室内で栽培する植物にとって適切な高さに照明手段12を設けることができる。
【符号の説明】
【0049】
1 居室
10 栽培ルーム
10a 天井
10c 開口部
11 容器
12 照明手段
13 ハーフミラー


【特許請求の範囲】
【請求項1】
居室に隣接して配設されるとともに、植物栽培用の容器が配置され、植物が栽培される栽培ルームの構造において、
天井に設けられるとともに、前記居室内を照明する居室用の照明手段よりも明るくなるように設定された照明手段を備えており、
前記居室との境界には開口部が設けられており、この開口部はハーフミラーによって覆われていることを特徴とする栽培ルームの構造。
【請求項2】
請求項1に記載の栽培ルームの構造において、
前記開口部には、この開口部を開閉する建具が設けられており、この建具に前記ハーフミラーが組み込まれていることを特徴とする栽培ルームの構造。
【請求項3】
請求項1または2に記載の栽培ルームの構造において、
前記天井と照明手段との間には、この照明手段に対峙する反射面を有するとともに該反射面側が凹面となるように湾曲形成された反射板が設けられていることを特徴とする栽培ルームの構造。
【請求項4】
請求項3に記載の栽培ルームの構造において、
前記反射板の反射面に、入射した照明光を電気エネルギーに変換する太陽電池パネルが取り付けられており、この太陽電池パネルは、前記照明手段に接続されていることを特徴とする栽培ルームの構造。
【請求項5】
請求項1〜4のいずれか一項に記載の栽培ルームの構造において、
前記開口部に対向する側壁の前方に、前記開口部側の面が反射面とされた反射板が設けられていることを特徴とする栽培ルームの構造。
【請求項6】
請求項5に記載の栽培ルームの構造において、
前記反射板は、前記側壁から所定間隔離間して配置されており、
この反射板には、栽培ルーム内の空気を吸い込むための吸気口と、栽培ルーム内へ空気を送り込む送風口とが形成されており、
この反射板と前記側壁との間には、前記吸気口に装着された換気扇が設けられていることを特徴とする栽培ルームの構造。
【請求項7】
請求項1〜6のいずれか一項に記載の栽培ルームの構造において、
天井高が、0.9〜1.4mに設定されていることを特徴とする栽培ルームの構造。



【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2011−250769(P2011−250769A)
【公開日】平成23年12月15日(2011.12.15)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−128492(P2010−128492)
【出願日】平成22年6月4日(2010.6.4)
【出願人】(307042385)ミサワホーム株式会社 (569)
【Fターム(参考)】