栽培施設の暖房装置
【課題】作物の冬期温室栽培では、ボイラー等による加熱暖房専用暖房装置の他で利用されている施設の排熱湯を利用して効率的に暖房制御し、ランニングコストの低減をしようとするものである。
【解決手段】当該栽培施設(1)暖房専用の専用暖房装置(2)と、他の施設に利用の排熱を利用して暖房する排熱暖房装置(3)とを備えた栽培施設において、この排熱暖房装置(3)を専用暖房装置(2)に優先して作動させることを特徴とする栽培施設の暖房装置の構成とする。
【解決手段】当該栽培施設(1)暖房専用の専用暖房装置(2)と、他の施設に利用の排熱を利用して暖房する排熱暖房装置(3)とを備えた栽培施設において、この排熱暖房装置(3)を専用暖房装置(2)に優先して作動させることを特徴とする栽培施設の暖房装置の構成とする。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、育苗や作物等の栽培施設を暖房する暖房装置に関し、排熱を利用して無駄の少い効率的な暖房を行わせるものである。
【背景技術】
【0002】
冬間等の必要時に温室にボイラーからの温水を供給して暖房する暖房装置を設ける栽培施設は周知である(例えば、特許文献1参照)。
【特許文献1】特開2004ー57150号公報(第5頁、図13)。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
作物の冬期温室栽培では、ボイラー等による加熱暖房形態が一般的であるが、常時専用のボイラー等による暖房装置を駆動することはランニングコスト高となり易い。そこで、この発明は、この温室暖房のための専用暖房装置の他で利用されている施設の排熱湯を利用して効率的に暖房制御しようとするものである。排熱湯としては、ごみ処理施設から発生する排熱湯や、温泉排熱湯、発電所、その他暖房設置による排熱湯等が挙げられる。
【課題を解決するための手段】
【0004】
請求項1に記載の発明は、当該栽培施設(1)暖房専用の専用暖房装置(2)と、他の施設に利用の排熱を利用して暖房する排熱暖房装置(3)とを備えた栽培施設において、この排熱暖房装置(3)を専用暖房装置(2)に優先して作動させることを特徴とする栽培施設の暖房装置の構成とする。栽培施設(1)内を暖房するときは、施設(1)内の目標を所定の低温域に維持されるときは、排熱暖房装置(3)によって優先的に暖房を行わせる。この施設(1)内の目標温度を高温域に維持するときは、この排熱暖房装置(3)による暖房作用を加えて専用暖房装置(2)による暖房作用を追加させて行わせる。
【発明の効果】
【0005】
請求項1に記載の発明は、栽培施設(1)内の暖房制御において、目標温度が低域であるときは排熱暖房装置(3)による暖房を優先して行わせ、目標温度が高域であるときは、これに専用暖房装置(2)を追加駆動することによって、高経費を要する専用暖房装置(2)の使用を少くして、暖房経費を低減することができる。又、この専用暖房装置(2)の入り切りによって制御できるために、制御が簡単、容易である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0006】
図面に基づいて、野菜を温室栽培するためのガラス張り等のハウス6を設け、このハウス6内に養液栽培形態の栽培床7を吊下床形態にして配置する。これら各栽培床7は短冊状の条列形態に形成されて多数平行状に配置され、ハウス6の床面8上方に作業性容易な適宜高さ位置に設置される。各栽培床7はベルト9によってハウス6の天井部の吊下竿10に吊下げられる。この床面8には、各栽培床7に沿うように温水を通す配管ライン11が敷設される。この配管ライン11は、各栽培床7に沿う往復暖房ライン12と、ハウス6の外壁部に沿う供給ライン13と、戻りライン14等を形成し、この供給ライン13と戻りライン14は、ボイラー15に連結される。そして、このボイラー15で所定温度に加温された温水が供給ライン13から各分岐の往復暖房ライン12に分配されて、この暖房ライン12からの放熱によって、ハウス6内、特に各栽培床7部の配置される部分を暖房すると共に、これによって冷えた低温水を戻りライン14を介してボイラー15へ戻して循環させることができる専用暖房装置2を構成する。
【0007】
前記栽培床7は、栽培トレイ18内に設けられて、トマト等の野菜Aを植栽することができる。このトレイ18は、前記ベルト9によって吊下げられたトレイ受19によって支持される。このトレイ受19の底部には、栽培床7から流下される排液を受けて一端側へ戻す排液樋20を形成し、この下側に沿っては該栽培床7に溶液を供給する給液パイプ21設ける。この給液パイプ21から給液ホース22、ノズル23を分岐させて、栽培床7の各野菜Aの根元部に供給する構成としている。
【0008】
又、前記ハウス6の床面8上、乃至床下には、図2のように往復ライン12に沿って温風ダクト26を敷設して、このダクト26には適宜間隔に噴風穴27を形成して、温風を上方の栽培トレイ18へ送風することができる。外壁沿いにはボイラー15等を有するボイラ室28部等から排熱湯を循環させる排熱湯管からなる供給ライン29と戻りライン30とが敷設される。この排熱湯管の各温風ダクト26端部には温風送風形態の温風機31を設けて、供給ライン29を供給される温湯の熱を熱風に変えて各温風ダクト26へ送風案内させることができ、この温風機31で冷却された低温の温水は戻りライン30を経てボイラ室28側へ戻される。このような供給ライン29は、ボイラ室28内において他の施設の排熱湯を導入して通すように連結している。この排熱湯の排熱を利用してハウス6内を排熱暖房する排熱暖房装置3を構成する。
【0009】
ハウス6内の暖房目標設定温度を低温域(例えば20度)と高温域(25度)とに設定して、暖房制御が行われる(図6)。低温域暖房の操作では、排熱暖房装置3のみによる暖房が行われる。供給ライン29からハウス6内へ送込まれた排熱温水は、各温風暖房機31のラジエータ32部を流れる間に温風機31がモータ34によって回転され、この回転による送風力によって温風として温風ダクト26に案内されて、噴風穴27から栽培トレイ18部へ向けて送られて暖房する。ハウス6内がこの低温域(20度)になると温風機31が自動停止される。又、高温域暖戻の操作では、排熱暖房装置3による暖房と共に、専用暖房装置2による暖房が行われる。即ち、ボイラ室28内のボイラー15によって加熱された温水が供給ライン13から往復暖房ライン12へ供給されて、この暖房ライン12の温湯の放熱によってハウス6内が高温域に暖房される。このように排熱暖房装置3と専用暖房装置2の両方によって迅速なハウス6暖房を行うことができる。このハウス6が高温域目標温度に達すると、ボイラー15が自動停止されてこの専用暖房装置2の暖房が停止される。又、排熱暖房機31による暖房をも自動停止するように構成することができる。
【0010】
前記排熱暖房装置3においては、各温風ダクト26の端部に設ける温風機31を、各機毎、乃至複数基毎に運転制御可能に構成することにより、ハウス6内の温度、乃至温席分布等に応じて、運転温風機31を増、減制御して、目標室温に暖房するように構成することも可能である。又、ボイラー15を複数基設けて、温風機31や温風ダクト26の使用基数に対応させるように構成することもできる。
【0011】
前記養栽培施設の暖房制御において、戻りライン30に排温水を使用する熱交換ユニット37と、熱交換後の水温を確認する水温センサ38、39を設け、各条件により熱交換ユニット37利用を制限することできるように構成する。熱交換ユニット37は、発電所や温泉等からポンプ40により排熱湯回路41を送られる排熱温水を利用して、戻りライン30から戻される低温水を加温する。熱交換ユニット37の能力よりも戻りライン30の水温が低いときは、この熱交換ユニット37によって加温する。この利用温水量は三方向弁からなる熱交換用混合弁40で制御する。又、必要水温が熱交換ユニット37の水温より低いときは、通常の通りボイラー15からの熱源をも利用して加温する。43はボイラ用三方向弁である。
【0012】
次に、主として図8に基づいて、前記養液栽培施設において、養液を送る給液ポンプ50の近く、及び未端における供給回路51の液圧力を感知して、水量が過少であることを警報するものである。養液供給回路51は給液ポンプ50の駆動で原水タンク52内の原水を各栽培床7の給液パイプ21へ送りながら、途中で肥料タンク53から肥料を供給混入させて、電磁弁54の開きによって給液させることができる。給液圧力を検出する圧力センサ55、56を供給回路51の給液ポンプ50に近い位置と、未端の給液パイプ21部とに設けることによって、給液が不足、又は多過ぎるときは警報器57で警報させる。給液ポンプ50が作動後、一定時間より検出開始し、ポンプ50停止により検出を停止するように制御する。
【0013】
次に、主として図9、図10に基づいて、ハウス6の内と外に、日射量を計測する日射計60、61を配置する。又、ハウス6内の天井には、遮光率、保温率共に同じカーテン62、63を二重形態に設ける。室外日射計61の日射量が一定の場合は、一方のカーテン62が閉じ、室内日射計60の日射量が一定値を越えると他方のカーテン63を閉じる。又、カーテン63は、カーテン62の閉鎖リミット値まで下らないと開かないようにする。ハウス6温室内の日射量を一定に保ことにより、作物の成育環境を良くすることができる。64はカーテンを開閉するコントローラである。
【0014】
又、図10のようにカーテン62と63は互いに反対側から移動して開閉する形態とすると共に、両カーテン62と63との間には適宜高さの通気間隔部65を形成しておく。このとき、両カーテン62、63共に遮光率100%の状態に作動した形態においても、カーテンは完全閉鎖の状態とはならない(例えば、閉鎖端部には略20%程度の開きを生ずる。)ため、この閉鎖端部の開度によってカーテン62、63の下部の温室部が、天上部と連通されているため、密閉による作物の生理障害を少くすることができる。
【0015】
次に、主として図11に基づいて、日射量に応じてハウスの保温カーテンの開閉度を変更制御する。日の出時刻から一定時間にわたって日射量の計測を行うことによって、この日射量が多いときは早く保温カーテンを開き始め、少いときは遅く開き始めるように制御する。日射量の多、少によって保温カーテンの開き始める時刻を早、遅に変えるものである。雨天時は日射量が殆んどないため、暖房を優先させることができる。
【0016】
又、保温カーテンは、図12のように外気温と温室内目標温度との差に応じて、開度の速度を変えるように制御することもできる。この開速度は、日の出後の外気温度と目標温度との差が、例えば5度以内の時は高速度Hで開き、15度以上の時は低速度Lで開かれる。又、これら途中から高変速Mに変速されることもできる。又、遮光カーテンを設ける形態では、日射量により開閉されるが、温室内の温度が高いときは、噴霧ノズル等による細霧冷房を併用することがある。このときは、日射量不足となり易いため、日射量が多い時の、細霧冷房を行うときは、遮光カーテンを開くように制御することができる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【図1】栽培施設一部の暖房配管ライン敷設平面図と、その一部の正面図。
【図2】温風ダクト敷設の平面図。
【図3】ハウスの側面図。
【図4】ハウスの正面図。
【図5】養液栽培床部の拡大側断面図。
【図6】栽培施設の排熱暖房制御のフローチャート。
【図7】一部別実施例を示す熱交換ユニット部の回路図。
【図8】一部別実施例を示す養液供給回路図。
【図9】別例を示すハウスの正面図と、カーテンの開閉制御ブロック図。
【図10】別例を示すカーテンの開閉状態を示す正面図。
【図11】保温カーテンの開制御のフローチャートと、その開度を示すグラフ。
【図12】保温カーテンの開速度制御のフローチャートと、その開速度グラフ。
【符号の説明】
【0018】
1 栽培施設
2 専用暖房装置
3 排熱暖房装置
【技術分野】
【0001】
この発明は、育苗や作物等の栽培施設を暖房する暖房装置に関し、排熱を利用して無駄の少い効率的な暖房を行わせるものである。
【背景技術】
【0002】
冬間等の必要時に温室にボイラーからの温水を供給して暖房する暖房装置を設ける栽培施設は周知である(例えば、特許文献1参照)。
【特許文献1】特開2004ー57150号公報(第5頁、図13)。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
作物の冬期温室栽培では、ボイラー等による加熱暖房形態が一般的であるが、常時専用のボイラー等による暖房装置を駆動することはランニングコスト高となり易い。そこで、この発明は、この温室暖房のための専用暖房装置の他で利用されている施設の排熱湯を利用して効率的に暖房制御しようとするものである。排熱湯としては、ごみ処理施設から発生する排熱湯や、温泉排熱湯、発電所、その他暖房設置による排熱湯等が挙げられる。
【課題を解決するための手段】
【0004】
請求項1に記載の発明は、当該栽培施設(1)暖房専用の専用暖房装置(2)と、他の施設に利用の排熱を利用して暖房する排熱暖房装置(3)とを備えた栽培施設において、この排熱暖房装置(3)を専用暖房装置(2)に優先して作動させることを特徴とする栽培施設の暖房装置の構成とする。栽培施設(1)内を暖房するときは、施設(1)内の目標を所定の低温域に維持されるときは、排熱暖房装置(3)によって優先的に暖房を行わせる。この施設(1)内の目標温度を高温域に維持するときは、この排熱暖房装置(3)による暖房作用を加えて専用暖房装置(2)による暖房作用を追加させて行わせる。
【発明の効果】
【0005】
請求項1に記載の発明は、栽培施設(1)内の暖房制御において、目標温度が低域であるときは排熱暖房装置(3)による暖房を優先して行わせ、目標温度が高域であるときは、これに専用暖房装置(2)を追加駆動することによって、高経費を要する専用暖房装置(2)の使用を少くして、暖房経費を低減することができる。又、この専用暖房装置(2)の入り切りによって制御できるために、制御が簡単、容易である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0006】
図面に基づいて、野菜を温室栽培するためのガラス張り等のハウス6を設け、このハウス6内に養液栽培形態の栽培床7を吊下床形態にして配置する。これら各栽培床7は短冊状の条列形態に形成されて多数平行状に配置され、ハウス6の床面8上方に作業性容易な適宜高さ位置に設置される。各栽培床7はベルト9によってハウス6の天井部の吊下竿10に吊下げられる。この床面8には、各栽培床7に沿うように温水を通す配管ライン11が敷設される。この配管ライン11は、各栽培床7に沿う往復暖房ライン12と、ハウス6の外壁部に沿う供給ライン13と、戻りライン14等を形成し、この供給ライン13と戻りライン14は、ボイラー15に連結される。そして、このボイラー15で所定温度に加温された温水が供給ライン13から各分岐の往復暖房ライン12に分配されて、この暖房ライン12からの放熱によって、ハウス6内、特に各栽培床7部の配置される部分を暖房すると共に、これによって冷えた低温水を戻りライン14を介してボイラー15へ戻して循環させることができる専用暖房装置2を構成する。
【0007】
前記栽培床7は、栽培トレイ18内に設けられて、トマト等の野菜Aを植栽することができる。このトレイ18は、前記ベルト9によって吊下げられたトレイ受19によって支持される。このトレイ受19の底部には、栽培床7から流下される排液を受けて一端側へ戻す排液樋20を形成し、この下側に沿っては該栽培床7に溶液を供給する給液パイプ21設ける。この給液パイプ21から給液ホース22、ノズル23を分岐させて、栽培床7の各野菜Aの根元部に供給する構成としている。
【0008】
又、前記ハウス6の床面8上、乃至床下には、図2のように往復ライン12に沿って温風ダクト26を敷設して、このダクト26には適宜間隔に噴風穴27を形成して、温風を上方の栽培トレイ18へ送風することができる。外壁沿いにはボイラー15等を有するボイラ室28部等から排熱湯を循環させる排熱湯管からなる供給ライン29と戻りライン30とが敷設される。この排熱湯管の各温風ダクト26端部には温風送風形態の温風機31を設けて、供給ライン29を供給される温湯の熱を熱風に変えて各温風ダクト26へ送風案内させることができ、この温風機31で冷却された低温の温水は戻りライン30を経てボイラ室28側へ戻される。このような供給ライン29は、ボイラ室28内において他の施設の排熱湯を導入して通すように連結している。この排熱湯の排熱を利用してハウス6内を排熱暖房する排熱暖房装置3を構成する。
【0009】
ハウス6内の暖房目標設定温度を低温域(例えば20度)と高温域(25度)とに設定して、暖房制御が行われる(図6)。低温域暖房の操作では、排熱暖房装置3のみによる暖房が行われる。供給ライン29からハウス6内へ送込まれた排熱温水は、各温風暖房機31のラジエータ32部を流れる間に温風機31がモータ34によって回転され、この回転による送風力によって温風として温風ダクト26に案内されて、噴風穴27から栽培トレイ18部へ向けて送られて暖房する。ハウス6内がこの低温域(20度)になると温風機31が自動停止される。又、高温域暖戻の操作では、排熱暖房装置3による暖房と共に、専用暖房装置2による暖房が行われる。即ち、ボイラ室28内のボイラー15によって加熱された温水が供給ライン13から往復暖房ライン12へ供給されて、この暖房ライン12の温湯の放熱によってハウス6内が高温域に暖房される。このように排熱暖房装置3と専用暖房装置2の両方によって迅速なハウス6暖房を行うことができる。このハウス6が高温域目標温度に達すると、ボイラー15が自動停止されてこの専用暖房装置2の暖房が停止される。又、排熱暖房機31による暖房をも自動停止するように構成することができる。
【0010】
前記排熱暖房装置3においては、各温風ダクト26の端部に設ける温風機31を、各機毎、乃至複数基毎に運転制御可能に構成することにより、ハウス6内の温度、乃至温席分布等に応じて、運転温風機31を増、減制御して、目標室温に暖房するように構成することも可能である。又、ボイラー15を複数基設けて、温風機31や温風ダクト26の使用基数に対応させるように構成することもできる。
【0011】
前記養栽培施設の暖房制御において、戻りライン30に排温水を使用する熱交換ユニット37と、熱交換後の水温を確認する水温センサ38、39を設け、各条件により熱交換ユニット37利用を制限することできるように構成する。熱交換ユニット37は、発電所や温泉等からポンプ40により排熱湯回路41を送られる排熱温水を利用して、戻りライン30から戻される低温水を加温する。熱交換ユニット37の能力よりも戻りライン30の水温が低いときは、この熱交換ユニット37によって加温する。この利用温水量は三方向弁からなる熱交換用混合弁40で制御する。又、必要水温が熱交換ユニット37の水温より低いときは、通常の通りボイラー15からの熱源をも利用して加温する。43はボイラ用三方向弁である。
【0012】
次に、主として図8に基づいて、前記養液栽培施設において、養液を送る給液ポンプ50の近く、及び未端における供給回路51の液圧力を感知して、水量が過少であることを警報するものである。養液供給回路51は給液ポンプ50の駆動で原水タンク52内の原水を各栽培床7の給液パイプ21へ送りながら、途中で肥料タンク53から肥料を供給混入させて、電磁弁54の開きによって給液させることができる。給液圧力を検出する圧力センサ55、56を供給回路51の給液ポンプ50に近い位置と、未端の給液パイプ21部とに設けることによって、給液が不足、又は多過ぎるときは警報器57で警報させる。給液ポンプ50が作動後、一定時間より検出開始し、ポンプ50停止により検出を停止するように制御する。
【0013】
次に、主として図9、図10に基づいて、ハウス6の内と外に、日射量を計測する日射計60、61を配置する。又、ハウス6内の天井には、遮光率、保温率共に同じカーテン62、63を二重形態に設ける。室外日射計61の日射量が一定の場合は、一方のカーテン62が閉じ、室内日射計60の日射量が一定値を越えると他方のカーテン63を閉じる。又、カーテン63は、カーテン62の閉鎖リミット値まで下らないと開かないようにする。ハウス6温室内の日射量を一定に保ことにより、作物の成育環境を良くすることができる。64はカーテンを開閉するコントローラである。
【0014】
又、図10のようにカーテン62と63は互いに反対側から移動して開閉する形態とすると共に、両カーテン62と63との間には適宜高さの通気間隔部65を形成しておく。このとき、両カーテン62、63共に遮光率100%の状態に作動した形態においても、カーテンは完全閉鎖の状態とはならない(例えば、閉鎖端部には略20%程度の開きを生ずる。)ため、この閉鎖端部の開度によってカーテン62、63の下部の温室部が、天上部と連通されているため、密閉による作物の生理障害を少くすることができる。
【0015】
次に、主として図11に基づいて、日射量に応じてハウスの保温カーテンの開閉度を変更制御する。日の出時刻から一定時間にわたって日射量の計測を行うことによって、この日射量が多いときは早く保温カーテンを開き始め、少いときは遅く開き始めるように制御する。日射量の多、少によって保温カーテンの開き始める時刻を早、遅に変えるものである。雨天時は日射量が殆んどないため、暖房を優先させることができる。
【0016】
又、保温カーテンは、図12のように外気温と温室内目標温度との差に応じて、開度の速度を変えるように制御することもできる。この開速度は、日の出後の外気温度と目標温度との差が、例えば5度以内の時は高速度Hで開き、15度以上の時は低速度Lで開かれる。又、これら途中から高変速Mに変速されることもできる。又、遮光カーテンを設ける形態では、日射量により開閉されるが、温室内の温度が高いときは、噴霧ノズル等による細霧冷房を併用することがある。このときは、日射量不足となり易いため、日射量が多い時の、細霧冷房を行うときは、遮光カーテンを開くように制御することができる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【図1】栽培施設一部の暖房配管ライン敷設平面図と、その一部の正面図。
【図2】温風ダクト敷設の平面図。
【図3】ハウスの側面図。
【図4】ハウスの正面図。
【図5】養液栽培床部の拡大側断面図。
【図6】栽培施設の排熱暖房制御のフローチャート。
【図7】一部別実施例を示す熱交換ユニット部の回路図。
【図8】一部別実施例を示す養液供給回路図。
【図9】別例を示すハウスの正面図と、カーテンの開閉制御ブロック図。
【図10】別例を示すカーテンの開閉状態を示す正面図。
【図11】保温カーテンの開制御のフローチャートと、その開度を示すグラフ。
【図12】保温カーテンの開速度制御のフローチャートと、その開速度グラフ。
【符号の説明】
【0018】
1 栽培施設
2 専用暖房装置
3 排熱暖房装置
【特許請求の範囲】
【請求項1】
当該栽培施設(1)暖房専用の専用暖房装置(2)と、他の施設に利用の排熱を利用して暖房する排熱暖房装置(3)とを備えた栽培施設において、この排熱暖房装置(3)を専用暖房装置(2)に優先して作動させることを特徴とする栽培施設の暖房装置。
【請求項1】
当該栽培施設(1)暖房専用の専用暖房装置(2)と、他の施設に利用の排熱を利用して暖房する排熱暖房装置(3)とを備えた栽培施設において、この排熱暖房装置(3)を専用暖房装置(2)に優先して作動させることを特徴とする栽培施設の暖房装置。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【公開番号】特開2006−204161(P2006−204161A)
【公開日】平成18年8月10日(2006.8.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−19339(P2005−19339)
【出願日】平成17年1月27日(2005.1.27)
【出願人】(000000125)井関農機株式会社 (3,813)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成18年8月10日(2006.8.10)
【国際特許分類】
【出願日】平成17年1月27日(2005.1.27)
【出願人】(000000125)井関農機株式会社 (3,813)
【Fターム(参考)】
[ Back to top ]