説明

案内路及び気送装置

【構成】 外管8に内管9を挿入して接続し、内管9の先端部の上下にV字溝23を設ける。気送子26はV字溝23の左右の突出部24に接触して徐々に前部を持ち上げ、内管9に乗り移る。
【効果】 内管と外管の接続部を気送子が滑らかに通過できる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、案内路とこれを用いた気送装置に関する。
【背景技術】
【0002】
気送装置では、管状の案内路に沿って気送子を気流で移動させ、弁などを制御することにより気送子の移動方向を切り替える。ところで複数の建物間を接続する気送装置に免震性を持たせるには、案内管の接続部を伸縮自在にする必要がある。この点に関し特許文献1(特開2000−109217)は、可撓性でかつ伸縮自在なジョイントにより、案内管を接続することを提案している。しかしながらこのようなジョイントは一般に高価である。
【特許文献1】特開2000−109217
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
この発明の課題は、複数の案内部材を伸縮自在に接続すると共に、接続部を被案内部材が滑らかに通過できるようにすることにある。
請求項3の発明での追加の課題は、気送装置の案内路を屈曲自在に固定管に接続することにある。
請求項4の発明での追加の課題は、気送装置の案内路での、接続部の伸縮をより容易にすることにある。
【課題を解決するための手段】
【0004】
この発明は、上下の案内部材を重ねることにより、前記各案内部材で構成される案内路を接続した案内路であって、
上側の案内部材の底部中央部に先端に向かって徐々に幅が広がるスリットを設けたことを特徴とする。
【0005】
またこの発明は、外管の先端に内管の先端を挿入すると共に、内管の外径と外管の内径とをほぼ等しくして、外管と内管とを接続した気送装置であって、
前記内管の上下の各中央部に、幅が内管の先端に向けて徐々に広がるV字状のスリットを設けたことを特徴とする。
【0006】
好ましくは、前記内管及び外管の少なくとも一方の管を、前記接続部に対する他端で、ジョイントで第3の管に接続すると共に、該ジョイントでは、前記少なくとも一方の管及び前記第3の管のいずれかをジョイント本体に固定すると共に、前記少なくとも一方の管及び前記第3の管の他方を、先端が半球状でかつ先端に開口を備えた中間パイプの基端に接続し、さらに前記ジョイント本体に、前記中間パイプの半球状の先端を揺動自在に支持する半球状の摺動凹部を設け、さらに前記一方の管及び前記第3の管の他方もしくは中間パイプを、ジョイントに脱落しないように取り付けるための手段を設ける。
また好ましくは、前記内管及び外管の一方を金属管と合成樹脂管との積層管で、他方を金属管で構成し、内管と外管との接続部で前記各金属管の間に前記合成樹脂管が位置するようにする。
【発明の効果】
【0007】
この発明では、上下の案内部材の接続部で、上側の案内部材の底部中央部に先端に向かって徐々に幅が広がるスリットを設ける。例えば気送装置の場合、外管の先端に内管の先端を挿入し、内管の上下の各中央部に、内管の先端に向けて幅が徐々に広がるV字状のスリットを設ける。ここで被案内部材の例えば気送子が、下側の案内部材の例えば外管から、上側の案内部材の例えば内管へ向けて移動すると、被案内部材はスリットの幅広の部分で上側の案内部材に接触する。これによって被案内部材の前部が僅かに持ち上げられ、被案内部材が上側の案内部材へ向けて移動するに連れて、スリットの幅が徐々に狭くなるので被案内部材の前部が徐々に上昇し、滑らかに上側の案内部材に乗り移る。また気送装置の場合、気送子が上下に振動することがあるので、内管の上部中央部にも、先端に向けて幅が徐々に広がるV字状のスリットを設ける。さらに被案内部材が上側の案内部材から下側の案内部材へ向けて移動する場合は、スリットに沿って移動する間に被案内部材の前部が徐々に下降し、滑らかに下側の案内部材に乗り移る。
【0008】
ここでスリットを、上側の案内部材の底部中央部でなく、例えば上側の案内部材の側部に設けると、被案内部材がスリットの左右の突出部に衝突することがある。仮にこのような衝突が生じないにせよ、被案内部材がスリットに沿って上側の案内部材へ移動する間に、被案内部材が底部中央から外れたスリットにより走行方向の左右に移動し、その結果、上側の案内部材上で被案内部材が振動する。上側の案内部材から下側の案内部材に移動する場合も同様に、下側の案内部材で被案内部材が振動する。これに対して、スリットが上側の案内部材の中央部にあれば、被案内部材は移動方向の左右に揺動せずに、滑らかに乗り移ることができる。
【0009】
この発明の気送装置では内管が外管に対して接続部で摺動できるので、内管あるいは外管の他方の端部を、屈曲自在にジョイントで第3の管に接続すると、気送装置に免震性を持たせることができる。内管あるいは外管を第3の管に屈曲自在に接続するジョイントでは、ジョイントに接続する一対の管の一方をジョイント本体に固定し、他方の管を中間パイプに接続する。中間パイプは先端が半球状で、ジョイント本体に設けた半球状の摺動凹部に対して中間パイプの先端を揺動させ、かつ中間パイプもしくはこれに接続した管がジョイントから脱落しないようにする。このようにすると、中間パイプの揺動により、鉛直方向にも水平方向にも屈曲自在に2つの管を接続できる。
【0010】
内管と外管とを摺動自在に接続する際に、これらを共に金属管で構成すると、金属と金属との接触により、長期間経過すると両者が互いに固着して、摺動不能になることが有ることが判明した。そこで例えば外管を合成樹脂管の外側に金属管を積層したもので構成し、内管を金属管で構成すると、内管と外管とが互いに固着しない。逆に内管を金属管の外側に合成樹脂管を積層したもので構成し、外管を金属管で構成しても、同様に固着が生じない。また内管も外管も金属管を備えているので、耐火性を付与できる。特に好ましくは、外管を金属管の内側に合成樹脂管を積層したものとし、火災時の合成樹脂管の損傷を最小にする。
【発明を実施するための最良の形態】
【0011】
以下に本発明を実施するための最適実施例を示す。
【実施例】
【0012】
図1〜図5に、実施例の気送装置2を示す。各図において4は固定気送管で、建屋などに固定され、6,7はジョイントである。8は外管、9は内管で、接続部5で内管9が外管8内に摺動自在に挿入されている。ジョイント6,7で、外管8や内管9は固定気送管4に対して、鉛直方向にも水平方向にも屈曲自在に接続されている。これらの結果、気送装置2は、固定気送管4,4間の距離や向きがシフトしても耐えることができ、免震性を備えている。
【0013】
図2にジョイント6の構造を示し、図1のジョイント7も構造は同様である。外管8の先端を中間パイプ10に取り付け、外管8もしくは中間パイプ10をピン12でジョイント6のアーム17に脱落不能に取り付ける。中間パイプ10の先端部は、半球状の摺動面13を備え、ジョイント本体14は摺動面13にフィットする半球状の摺動凹部16を備え、さらに中間パイプ10の先端部もしくは摺動凹部16をシール材などで被覆して、両者の隙間をシールする。そして固定気送管4はジョイント本体14に固着されている。またジョイント6のアーム17は、ピン18によりジョイント本体14に対し回動自在に取り付ける。なおジョイント本体14を固定気送管4に対し回動自在にすると、アーム17をジョイント本体14に対し回動自在にする必要がない。ジョイント6により、固定気送管4に対して、外管8を鉛直方向にも水平方向にも屈曲自在に取り付ける。なお内管9を固定気送管4に接続するジョイント7も構造や作用は同様である。
【0014】
図3〜図5に、内管9を外管8に取り付けた接続部5を示す。外管8は金属管20と合成樹脂管21との積層管から成り、内管9は金属管で構成されている。用いる金属の種類は例えばアルミニウムやステンレス,鋳鉄などとし、合成樹脂の種類は塩化ビニル、ポリプロピレンなどとする。なお内管9を金属管の外側を合成樹脂管で被覆した積層管とし、外管8の合成樹脂管21を省略しても良い。28は外管8の先端に固定したリングで、シール材29を備えて、外管8と内管9の隙間をシールする。ただし合成樹脂管21により、外管8と内管9の隙間が塞がれるので、リング28は設けなくても良い。
【0015】
内管9はその底部と上部の各々の中央部にV字溝23を備え、その幅は内管9の先端へ向けて徐々に拡開する。V字溝23は幅が内管の先端へ向けて徐々に拡開するスリットの例である。溝23は、案内路の長手方向に沿った中心線が、内管9の左右方向(長手方向に水平面内で直角な方向)の中心付近、好ましくは中心にあり、かつ幅が内管9の先端へ向かって徐々に増加するものである。26は気送子で、ここでは外管8から内管9へ移動する状態を示し、図4の鎖線27は気送子27が実線の状態から内管9側へ移動した際の状態を示す。
【0016】
V字溝23は内管9の先端部の上下に一対あり、内管9の先端部の左右の両側面には各々、内管9の先端へ向けて徐々に幅が狭くなる突出部24がある。気送子26はV字溝23の両側で、突出部24によって導かれながら内管9へと移動する。この間の気送子26の状態を図5に示す。図の左上では、気送子26は突出部24に接触しておらず、図5の右上で突出部24への接触が始まる。これによって、気送子26の前部が僅かに外管8の底部から持ち上げられる。なお気送子26が、図5の鎖線30のように内管の上部へ上昇している場合、上側のV字溝23で内管9へとガイドする。ただし内管9の上部で気送子26が内管9の先端と衝突しても、内管9の下部で衝突する場合よりも一般に穏やかな衝突となるので、上側のV字溝は設けなくても良い。
【0017】
気送子26が内管9側へさらに移動すると、V字溝23の幅が徐々に狭くなり、気送子26は突出部24にガイドされて、徐々にその前部が上昇する。気送子26の底部は、V字溝23の先端で、内管9の内面最下部と等しい高さまで上昇し、気送子26は内管9へ滑らかに乗り移る。
【0018】
これらのため、気送子26は外管8と内管9との間の段差を滑らかに乗り越える。またV字溝23が内管9の上下にあるので、気送子26が気流により外管8内の上部に沿って移動している場合も、滑らかに内管9へ乗り移る。さらにV字溝23は、内管9の上下の各々の中心部にあるので、乗り移る過程で気送子26の重心が左右にぶれない。
【0019】
気送子26が内管9から外管8へ移動する場合、V字溝23の左右両側の突出部24によって気送子26がガイドされながら、気送子26の前部の底部が徐々に内管9の内面最下部よりも低い高さとなる・そしてV字溝23の幅が広がるにつれて、気送子26の移動方向先端が徐々に下降して、V字溝23の先端で外管8の内面最下部と等しい高さとなり、外管8へと滑らかに乗り移る。
【0020】
発明者は実施例に至る過程で、図6の接続構造を検討した。図6において、40は外側の気送管、41は内側の気送管の突出部で、例えば左右一対のスリット42を内側の気送管の左右方向中心からずらして設ける。Gは気送子26の重心である。この場合、突出部41が気送管40の左右の中心に来ると、気送子26が突出部41に衝突する。仮に衝突が生じなくても、気送子26は片側の突出部41aのみによってガイドされ、重心Gの位置が左右に振れて、内側の気送管に滑らかに乗り移ることが難しい。
【0021】
実施例では気送装置2への応用を示したが、これに限るものではない。実施例を単なる案内路として用いる場合、内管や外管を例えば半円筒状に構成して上下に重ね、内管の下方にのみV字溝23を設け、その左右に突出部24,24を設けると良い。このようにしても内管は外管に対して長手方向に摺動自在で、かつ被案内部材は内管と外管との段差による衝撃無しで、内管とが外管とを乗り移ることができる。

【図面の簡単な説明】
【0022】
【図1】実施例の気送装置の要部平面図
【図2】実施例での可動ジョイントの平面図
【図3】実施例での気送管の接続部を示す水平方向断面図
【図4】実施例での気送管の接続部の鉛直面内長手方向断面図
【図5】複数の位置で、気送管の接続部の鉛直方向断面を示す図
【図6】従来例での気送管の接続部を模式的に示す鉛直方向断面図
【符号の説明】
【0023】
2 気送装置
4 固定気送管
5 接続部
6,7 ジョイント
8 外管
9 内管
10,11 中間パイプ
12,18 ピン
13 摺動面
14,15 ジョイント本体
16 摺動凹部
17 アーム
20 金属管
21 合成樹脂管
23 V字溝
24 突出部
26,27 気送子
28 リング
29 シール材
30 気送子
40 気送管
41 突出部
42 スリット
G 重心

【特許請求の範囲】
【請求項1】
上下の案内部材を重ねることにより、前記各案内部材で構成される案内路を接続した案内路であって、
上側の案内部材の底部中央部に先端に向かって徐々に幅が広がるスリットを設けたことを特徴とする、案内路。
【請求項2】
外管の先端に内管の先端を挿入すると共に、内管の外径と外管の内径とをほぼ等しくして、外管と内管とを接続した気送装置であって、
前記内管の上下の各中央部に、幅が内管の先端に向けて徐々に広がるV字状のスリットを設けたことを特徴とする、気送装置。
【請求項3】
前記内管及び外管の少なくとも一方の管を、前記接続部に対する他端で、ジョイントで第3の管に接続すると共に、
該ジョイントでは、前記少なくとも一方の管及び前記第3の管のいずれかをジョイント本体に固定すると共に、前記少なくとも一方の管及び前記第3の管の他方を、先端が半球状でかつ先端に開口を備えた中間パイプの基端に接続し、前記ジョイント本体に、前記中間パイプの半球状の先端を揺動自在に支持する半球状の摺動凹部を設け、さらに前記一方の管及び前記第3の管の他方もしくは中間パイプを、ジョイントに脱落しないように取り付けるための手段を設けたことを特徴とする、請求項2の気送装置。
【請求項4】
前記内管及び外管の一方を金属管と合成樹脂管との積層管で、他方を金属管で構成し、内管と外管との接続部で前記各金属管の間に前記合成樹脂管が位置するようにしたことを特徴とする、請求項2または3の気送装置。


【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2008−230824(P2008−230824A)
【公開日】平成20年10月2日(2008.10.2)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−75941(P2007−75941)
【出願日】平成19年3月23日(2007.3.23)
【出願人】(304011795)株式会社日本シューター (11)