説明

案内軌条及び軌道系交通システム

【課題】案内軌条における方向変更部に案内輪が至る際に受ける衝撃を小さくする。
【解決手段】分岐部Bの進行方向の手前側の中央案内軌条20である手前直進部軌条20ssは、一対の案内輪18をアウト側に徐々に導き、イン側の案内輪18iをイン側案内面23siに近接させる誘導部60sを有する。誘導部60sは、手前直進部軌条20ssの分岐開始位置BC側のアウト側に設けられ、手前直進部軌条20ssのアウト側案内面23soの一部を成す誘導面61sを有している。誘導面61sは、分岐開始位置BCに近づくに連れてイン側案内面23siから次第に遠ざかっている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、案内軌条、及びこれを備えている軌道系交通システムに関する。更に詳しくは、車幅方向に並んで相互間隔が保持されている一対の案内部を備えている軌道系車両を、走行経路に沿うよう案内する案内軌条、及びこれを備えている軌道系交通システムに関する。
【背景技術】
【0002】
近年、バスや鉄道以外の新たな交通手段として、軌道系交通システムの一種である新交通システムが注目されている。このような新交通システム(Automated People Mover,Automated Transit Systems)としては、ゴムタイヤからなる走行輪を有する車両を走行路上で走行させるものが知られている。当該新交通システムでは、車両の進行方向を規定するために、案内軌条を具備している。
【0003】
この種の車両の案内軌条の方式としては、中央案内軌条方式と側方案内軌条方式とがある。中央案内軌条方式は、走行路の中央に配置されている中央案内軌条により、車両を走行経路に沿うよう案内する方式である。車両には、この中央案内軌条を挟み込む一対の案内輪が設けられている。車両は、一対の案内輪のうちいずれか一方が中央案内軌条に接触して、中央案内軌条からこの案内輪が走行路幅方向の力を受けることで、この中央案内軌条に沿った方向に走行することになる。側方案内軌条方式は、走行路の両側に配置されている一対の側方案内軌条により、車両を走行経路に沿うよう案内する方式である。車両には、一対の側方案内軌条にそれぞれ接触し得る一対の案内輪が設けられている。車両は、一対の案内輪のうちいずれか一方が、この一方側の側方案内軌条に接触して、この一方側の側方案内軌条からこの案内輪が走行路幅方向の力を受けることで、この側方案内軌条に沿った方向に走行することになる。
【0004】
ところで、いずれの方式でも、分岐の際には、直進部の案内軌条に対して、分岐部の案内軌条が一定の角度で折れ曲がっているため、案内輪は、分岐部の案内軌条に対して、この一定の角度で接触することになり、比較的大きな衝撃を受けることなる。
【0005】
そこで、例えば、以下の特許文献1に記載の技術では、分岐部の案内軌条を可撓材で形成することで、案内輪が受ける衝撃を緩和し、乗り心地の向上を図っている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特公平02−060801号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
案内軌条の一対の案内面の間隔は、いずれの方式でも、一対の案内輪のそれぞれが一対の案内面に常時接触することによる磨耗を抑えるという観点等から、一対の案内輪のそれぞれが常時接触し得ない間隔に設定されている。具体的には、中央案内軌条方式では、中央案内軌条の一対の案内面の間隔が、一対の案内輪間の隙間間隔より狭くなっている。
【0008】
このため、仮に、特許文献1に記載の技術のように、分岐部の案内軌条を可撓材で形成しても、案内輪と案内面との間に隙間がある関係上、分岐部の案内軌条に接触する際に案内輪は衝撃を受け、乗り心地の向上はあまり望めない、という問題点がある。
【0009】
そこで、本発明は、軌道系車両の案内部が分岐部を含む方向変更部に至る際に、案内部が受ける衝撃を抑え、乗り心地を向上させることができる案内軌条を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記問題点を解決するための発明に係る案内軌条は、
車幅方向に並んで相互間隔が保持されている一対の案内部を備えている軌道系車両を、走行経路に沿うよう案内するために、前記案内部が接触する案内面を有する案内軌条において、前記軌道系車両の進行方向を変える方向変更部の方向変更開始位置の進行方向の手前側に設けられ、走行路幅方向で方向変更側と反対側に前記一対の案内部を徐々に導き、前記方向変更部に設けられた前記方向変更側を向く前記案内面である変更部案内面に、前記一対の案内部のうちで対応する該案内部を、走行路幅方向で近接させる誘導部を有することを特徴とする。
【0011】
当該案内軌条では、方向変更開始位置の進行方向の手前側で、誘導部により、一対の案内部が走行路幅方向で方向変更側と反対側に徐々に導かれる。この結果、方向変更部を通過中に、この方向変更部に設けられている変更部案内面に接触する案内部が、方向変更開始位置に至るまでに、走行路幅方向で変更部案内面に近接させられる。よって、当該案内軌条では、当該案内部が、方向変更開始位置で、変更部案内面に接触する際の衝撃を小さくすることができる。
【0012】
なお、以上において、案内部とは、中央案内軌条式の場合には案内輪をいい、側方案内軌条式の場合には主案内輪及び分岐案内輪をいう。案内面とは、案内軌条中で、案内部(案内輪、又は主案内輪及び分岐案内輪)が接触する面をいう。方向変更部とは、分岐部や曲がり部をいう。方向変更開始位置とは、案内軌条が目的の方向に沿った方向に変わり始める位置をいう。方向変更側とは、走行路幅方向の一方側と他方側とのうち、方向変更部で軌道系車両の進行方向が変えられる側をいう。変更部案内面とは、方向変更部内で、案内部が接触して作用力(軌道系車両の遠心力)を受ける案内軌条の案内面をいう。
【0013】
ここで、前記案内軌条において、前記誘導部は、走行路幅方向に弾性変形可能な弾性体を有してもよい。また、前記誘導部は、前記案内面の一部を成す誘導面を形成する誘導面板を有し、前記弾性体は、前記誘導面板を走行路幅方向に変位可能に支持してもよい。
【0014】
当該案内軌条では、案内部が案内面の一部である誘導面に接触する際の衝撃を小さくすることができる。
【0015】
また、誘導面板を有する前記案内軌条において、前記誘導部は、走行路幅方向の前記誘導面板の振動を緩衝する緩衝器を有してもよい。
【0016】
当該案内軌条では、誘導面に案内部が接触した際の誘導面板の振動を短時間で収束させることができる。
【0017】
また、前記案内軌条において、前記一対の案内部の間に挟まれる中央案内軌条で、互いに相反する向きに向いている一対の案内面を有し、前記変更部案内面に対応する前記案内部が、前記一対の案内部のうちの前記方向変更側の案内部であり、前記誘導部は、前記一対の案内面のうちの前記反対側の案内面の一部を成す誘導面を有し、該誘導面は、前記一対の案内部を前記反対側に徐々に導いて、前記方向変更側の前記案内部を該方向変更側の前記案内面に近接させるよう、前記方向変更開始位置に近づくに連れて前記方向変更側の該案内面から次第に遠ざかっていてもよい。
【0018】
当該案内軌条が中央案内軌条であっても、方向変更側の案内部が、方向変更開始位置で、変更部案内面に接触する際の衝撃を小さくすることができる。
【0019】
また、前記中央案内軌条である前記案内軌条において、前記方向変更部が分岐部で、前記方向変更開始位置が分岐開始位置であり、前記中央案内軌条は、前記分岐開始位置の進行方向の手前側に配置されている手前部軌条と、該分岐開始位置から進行方向の先側に配置され、該手前部軌条から走行本線経路に沿った本線方向を向く本線案内位置、及び該本線方向と異なる方向の走行分岐線経路に沿った分岐方向を向く分岐案内位置に変位可能な分岐部軌条と、を有し、前記変更部案内面は、前記分岐部軌条の前記一対の案内面のうちの前記方向変更側の案内面であり、前記誘導部は、前記手前部軌条に設けられ、前記誘導面は、該手前部軌条の前記一対の案内面のうちの前記反対側の案内面の一部を成してもよい。
【0020】
また、前記中央案内軌条である前記案内軌条において、前記方向変更部が曲がり部で、前記方向変更開始位置が曲がり開始位置であり、前記中央案内軌条は、前記曲がり開始位置の進行方向の手前側に配置されている手前部軌条と、該曲がり開始位置から進行方向の先側に配置されている曲がり部軌条と、を有し、前記変更部案内面は、前記曲がり部軌条の前記一対の案内面のうちの前記方向変更側の案内面であり、前記誘導部は、前記手前部軌条に設けられ、前記誘導面は、該手前部軌条の前記一対の案内面のうちの前記反対側の案内面の一部を成してもよい。
【0021】
以上のように、方向変更部が分岐部でも曲がり部でも、方向変更側の案内部が、方向変更開始位置で、変更部案内面に接触する際の衝撃を小さくすることができる。
【0022】
また、前記案内軌条において、前記軌道系車両が走行する走行路の両側に設けられている側方案内軌条であり、前記軌道系車両の前記案内部が主案内輪と分岐案内輪とを有しており、前記方向変更部が分岐部であり、前記方向変更開始位置が分岐開始位置であり、前記側方案内軌条は、前記分岐開始位置の進行方向の手前側に配置されている手前部軌条と、該分岐開始位置から進行方向の先側に配置されている分岐部軌条と、を有し、前記手前部軌条は、前記一対の案内部の前記主案内輪それぞれが接触可能に、前記走行路幅方向で間隔を開けて配置されている一対の主案内軌条を有し、前記分岐部軌条は、前記一対の案内部の前記分岐案内輪それぞれが接触可能に、前記走行路幅方向で間隔を開けて配置され、該手前部軌条から走行本線経路に沿った本線方向を向く本線案内位置、及び該本線方向と異なる方向の走行分岐線経路に沿った分岐方向を向く分岐案内位置に変位可能な一対の可動分岐軌条を有し、前記変更部案内面は、前記分岐案内位置に位置している前記一対の可動分岐軌条のうち、前記方向変更側の前記可動分岐軌条の案内面であって、該方向変更側を向く分岐案内面であり、前記変更部案内面に対応する前記案内部は、前記一対の案内部のうち、前記方向変更側の案内部であり、前記誘導部は、前記一対の主案内軌条のうちの前記方向変更側の前記主案内軌条に設けられ、該主案内軌条の前記反対側の案内面の一部を成す誘導面を有し、該誘導面は、前記一対の案内部それぞれの主案内輪を前記反対側に徐々に導き、前記方向変更側の前記案内部の前記分岐案内輪を、走行路幅方向で、前記分岐案内位置での前記分岐案内面に近接させるよう、前記分岐部に近づくに連れて該反対側の該主案内軌条に次第に近づいていてもよい。
【0023】
当該案内軌条が側方案内軌条で、方向変更部が分岐部であっても、方向変更側の分岐案内輪が、方向変更開始位置で、変更部案内面に接触する際の衝撃を小さくすることができる。
【0024】
また、前記案内軌条において、前記軌道系車両が走行する走行路の両側に設けられている側方案内軌条であり、前記方向変更部が曲がり部であり、前記方向変更開始位置が曲がり開始位置であり、前記側方案内軌条は、前記曲がり開始位置の進行方向の手前側に配置されている手前部軌条と、該曲がり開始位置から進行方向の先側に配置されている曲がり部軌条と、を有し、前記手前部軌条及び前記曲がり部軌条は、いずれも、前記一対の案内部それぞれが接触可能に前記走行路幅方向で間隔を開けて配置されている一対の主案内軌条を有し、該一対の主案内軌条には、それぞれ、他方の主案内軌条側を向く前記案内面がそれぞれ形成され、前記変更部案内面は、前記曲がり部軌条における前記一対の主案内軌条のうちで、前記反対側の該主案内軌条の前記案内面であり、前記変更部案内面に対応する前記案内部は、前記一対の案内部のうち、前記反対側の案内部であり、前記誘導部は、前記手前部軌条における前記一対の主案内軌条のうちの前記方向変更側の該主案内軌条に設けられ、該主案内軌条の前記案内面の一部を成す誘導面を有し、該誘導面は、前記一対の案内部を前記反対側に徐々に導き、前記反対側の前記案内部を走行路幅方向で前記反対側の該主案内軌条の前記案内面に近接させるよう、前記曲がり部に近づくに連れて該反対側の該主案内
【0025】
当該案内軌条が側方案内軌条で、方向変更部が曲がり部であっても、案内部が、方向変更開始位置で、変更部案内面に接触する際の衝撃を小さくすることができる。
【0026】
また、方向変更部が分岐部である前記案内軌条において、前記本線方向に対する前記誘導面が延びている方向の角度は、該本線方向に対する前記分岐方向の角度よりも小さいことが好ましい。
【0027】
当該案内軌条では、方向変更側の案内輪が誘導面に接触する際の衝撃を小さくすることができる。
【発明の効果】
【0028】
本発明では、方向変更部を通過中に、この方向変更部に設けられている変更部案内面に接触する案内部が、方向変更開始位置に至るまでに、走行路幅方向で変更部案内面に近接させられる。よって、本発明によれば、当該案内部が、方向変更開始位置で、変更部案内面に接触する際の衝撃を小さくすることができ、乗り心地を向上させることができる。さらに、本発明によれば、案内軌条側が受ける衝撃も小さくなるため、案内軌条の故障等が減り、案内軌条の信頼性も向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0029】
【図1】本発明に係る第一実施形態における分岐部周りの走行設備(本線案内位置)の平面図である。
【図2】本発明に係る第一実施形態における分岐部周りの走行設備(分岐案内位置)の平面図である。
【図3】図1中のIII‐III線断面図である。
【図4】本発明に係る第一実施形態における直進部及び分岐部の中央案内軌条の平面図である。
【図5】本発明に係る第一実施形態における直進部及び曲がり部の中央案内軌条の平面図である。
【図6】本発明に係る第一実施形態における直進部及び分岐部の変形例の中央案内軌条の平面図である。
【図7】本発明に係る第一実施形態における軌道系車両の走行装置の平面図である。
【図8】図7におけるVIII矢視図である。
【図9】本発明に係る第二実施形態における分岐部周りの走行設備(本線案内位置)の平面図である。
【図10】図9におけるX−X線断面図である。
【図11】本発明に係る第二実施形態における分岐部周りの走行設備(分岐案内位置)の平面図である。
【図12】図11におけるXII−XII線断面図である。
【図13】本発明に係る第二実施形態における直進部及び曲がり部の側方案内軌条の平面図である。
【図14】本発明に係る第二実施形態における直進部及び分岐部の側方案内軌条の平面図である。
【図15】本発明に係る第二実施形態における軌道系車両の走行装置の正面図である。
【図16】本発明に係る第一変形例における案内軌条の平面図である。
【図17】本発明に係る第一変形例における案内軌条の要部斜視図である。
【図18】本発明に係る第二変形例における案内軌条の平面図である。
【図19】本発明に係る第三変形例における案内軌条の平面図である。
【図20】図19におけるXX矢視図である。
【図21】本発明に係る第三変形例の案内軌条における誘導部の変形例の正面図である。
【図22】本発明に係る第三変形例の案内軌条における誘導部の他の変形例の正面図である。
【発明を実施するための形態】
【0030】
以下、本発明に係る軌道系交通システム及びその案内軌条の各種実施形態について、図面を用いて説明する。
【0031】
「軌道系交通システムの第一実施形態」
まず、本発明に係る軌道系交通システムの第一実施形態について、図1〜図8を用いて説明する。
【0032】
本実施形態の軌道系交通システムは、中央案内軌条式の新交通システムであり、中央案内式の走行設備と、この走行設備の走行路上を走行する軌道系車両とを備えている。そこで、まず、図7及び図8を用いて、この走行設備を走行する軌道系車両について説明する。
【0033】
本実施形態の軌道系車両Vは、車体1と、この車体1の下部の前後のそれぞれに配置されている走行装置10と、を備えている。なお、以下の説明でのこの軌道系車両Vを単に車両Vと言うものとする。
【0034】
走行装置10は、左右一対の走行タイヤ3と、この一対の走行タイヤ3を連結する車軸5と、車軸5及び一対の走行タイヤ3を支える懸架装置(不図示)と、中央案内軌条20に沿った方向に走行タイヤ3を向かせる操舵案内装置11と、を備えている。なお、以下において、当該車両Vに関して、特に断りなく、単に、「上下方向」「前後方向」「左右方向(車幅方向)」としている場合、これらの方向は、当該軌道系車両が直進部における案内軌条に位置しているときの車体1を基準にした方向を示しているものとする。すなわち、「上下方向」とは案内軌条の延在方向に直交する断面において該案内軌条に対して垂直な方向を意味し、「前後方向」とは案内軌条の延在方向を意味し、さらに、「左右方向(車幅方向)」とは車両Vの幅方向を意味している。
【0035】
操舵案内装置11は、走行タイヤ3の操舵軸となるキングピン12と、懸架装置の車軸支持体(不図示)の下部に配置されているガイドフレーム13と、ガイドフレーム13を車体1の床面に垂直な旋回軸A回りに旋回可能に支持する旋回軸受け14と、ガイドフレーム13の旋回軸A回りの旋回に連動して、走行タイヤ3の操舵角を変える操舵リンク機構15と、中央案内軌条20を挟み込めるよう車幅方向(左右方向)に並んで対を成すと共に、ガイドフレーム13の前後方向に複数個並んでいる案内部としての案内輪18と、を備えている。
【0036】
ガイドフレーム13は、矩形の枠を成している。
【0037】
旋回軸受け14の旋回軸Aは、前述したように、車体1の床面に垂直な軸であって、車軸5の長手方向の中心、つまり、左右一対の走行タイヤ3の中間位置を通る軸である。旋回軸受け14は、上下方向において、懸架装置の車軸支持体(不図示)とガイドフレーム13との間に配置されている。この旋回軸受け14は、内輪と外輪とを有し、内輪と外輪とのうち、一方が車軸支持体の下部に固定され、他方がガイドフレーム13の上部に固定されている。このガイドフレーム13は、その前後方向及び左右方向の中心が旋回軸A上に位置している。
【0038】
操舵リンク機構15は、走行タイヤ3のキングピン12を基準として走行タイヤ3と一体的に揺動するステアリングアーム16と、このステアリングアーム16とガイドフレーム13とを連結するステアリングロッド17と、を有している。ステアリングロッド17の一方の端部は、ステアリングアーム16の端部とピン結合し、他方の端部は、ガイドフレーム13とピン結合している。
【0039】
案内輪18は、その外周部分が例えばウレタンゴム等の弾性体で形成されている。この案内輪18が接する中央案内軌条20の本体21は、H型鋼で形成されている。このH型鋼は、一対のフランジ22の外面が鉛直方向を向き、一対のフランジ22を連結するウェブ24が水平方向を向くように配置されて、軌条本体21を成している。この軌条本体21は、一対のフランジ22の面のうち、他方のフランジ22から遠い側の外面が案内面23を成している。なお、ここでは、H型鋼を軌条本体21に用いているが、本発明はこれに限定されるものでなく、互いに平行で且つ相反する方向を向いている一対の面があるものであれば、例えば、I型鋼や、鉄道レール等を用いてもよい。また、中央案内軌条20は、図7及び図8に示すように、軌条本体21のみで形成される部分もあるが、図4等を用いて後述するように、軌条本体21と誘導部60sとを有する部分もある。
【0040】
中央案内軌条20の一対の案内面23の間隔は、一対の案内輪18間の隙間間隔より狭くなっている。これは、一対の案内輪18のそれぞれが案内面23に常時接触することで、案内輪18が短期間に内に磨耗してしまうのを防ぐため、さらに、中央案内軌条20の継ぎ目等における案内面23の段差等により、案内輪18が小刻みに変位することによる乗り心地の悪化を防ぐため等である。
【0041】
次に、以上で説明した走行装置10の動作について簡単に説明する。車両Vが走行経路上の分岐部や曲がり部等の方向変更部に至ると、中央案内軌条20を基準として、走行路幅方向で方向変更側に位置している案内輪18が中央案内軌条20の案内面23に接触し、この中央案内軌条20から車幅方向の力を受ける。この力は、案内輪18からガイドフレーム13に伝わり、このガイドフレーム13を旋回軸A回りに旋回させる。ガイドフレーム13が旋回すると、この旋回に伴って、操舵リンク機構15のステアリングロッド17が変位し、この変位より、ステアリングアーム16及び走行タイヤ3がキングピン12を中心として回転する。つまり、走行タイヤ3が操舵される。
【0042】
次に、本実施形態の走行設備について説明する。
【0043】
本実施形態の走行設備は、図1に示すように、車両の左右一対の走行タイヤ3がそれぞれ走行する左右一対の走行路Rと、左右一対の走行路Rの中間に配置されている中央案内軌条20と、を備えている。走行設備は、車両Vが直進する直進部Sと、車両Vの走行経路が曲がっている曲がり部C(図5)と、車両Vの走行経路が分岐している分岐部Bとがある。直進部S、曲がり部C、分岐部Bには、それぞれ、前述の走行路R及び中央案内軌条20が設けられている。
【0044】
分岐部Bは、走行経路のうちの走行本線経路MLと、この走行本線経路MLの途中から分岐している走行分岐線経路BLとの交差部分に設けられている。走行設備は、さらに、この分岐部Bにおける走行路R及び中央案内軌条20の向きを変える分岐機構80を備えている。なお、以下では、説明を簡単にするため、走行本線経路MLは、直進部Sで構成されているものとする。
【0045】
分岐機構80は、図1〜図3に示すように、分岐部Bの中央案内軌条20(以下、分岐部軌条20bとする)及び走行路Rが上部に設けられているベース81と、分岐開始位置BCに設けられているベース旋回軸85を中心としてベース81を旋回させる転轍器82と、を備えている。転轍器82は、走行本線経路MLに沿った本線方向MRにベース81上の分岐部軌条20b及び分岐部走行路Rが向く本線案内位置(図1)と、走行分岐線経路BLに沿った分岐方向BRにベース81上の分岐部軌条20b及び分岐部走行路Rが向く分岐案内位置(図2)との間で、ベース旋回軸85を中心としてベース81を旋回させる。
【0046】
ベース旋回軸85は、直進部Sの中央案内軌条20(以下、直進部軌条20sとする)の方向変更側の案内面23siの延長線上であって、分岐が開始される前述の分岐開始位置BCに設けられている。ベース81は、本線案内位置では、このベース旋回軸85を基準にして、本線方向MRの進行方向の手前側及び先側に延びている。ベース81上の走行路Rは、このベース81の端から端まで、つまり、このベース81の進行方向先側端から進行方向手前側端まで設けられている。一方、ベース81上の分岐部軌条20bは、ベース旋回軸85の位置である分岐開始位置BCからベース81の進行方向先側端まで設けられている。なお、ベース81上であって、進行方向手前側端から分岐開始位置BCまでの間には、分岐部Bの進行方向の手前側に設けられている直進部Sの直進部軌条20sが延びている。この直進部軌条20sは、その端がベース旋回軸85で支えられているが、ベース81が旋回しても旋回することはない。
【0047】
ベース81及びこのベース81上の走行路Rは、その進行方向手前側端及び進行方向先側端の形状が分岐開始位置BCを中心とした円弧形状を成している。また、直進部Sの走行路Rも、その分岐部B側の端の形状が分岐開始位置BCを中心とした円弧形状を成している。
【0048】
転轍器82は、走行本線経路MLに対する走行路幅方向に延び、その先端がベース81に取り付けられているロッド84と、このロッド84を走行本線経路MLに対する走行路幅方向に移動させる駆動源83と、を有している。駆動源83としては、油圧シリンダや電磁シリンダ、電気モータ等が利用される。なお、ここでは、駆動源83の出力を一本のロッド84を介してベース81に伝えているが、駆動源83の出力を複数のギヤや複数のリンクを介してベース81に伝えるようにしてもよい。特に、駆動源として電気モータを利用する場合には、例えば、ラック及びピニオン等を用いて、駆動源の回転運動を直線運動に換える必要がある。
【0049】
図4に示すように、分岐開始位置BCの進行方向手前側に設けられている直進部Sの直進部軌条20s(以下、手前直進部軌条(手前部軌条)20ssとする)は、前述のH型鋼で形成されている軌条本体21と、この軌条本体21の進行方向の先側、つまり分岐開始位置BC側であって、走行路幅方向で方向変更側(以下、イン側とする)とは反対側(以下、アウト側とする)に設けられている誘導部60sとを有している。
【0050】
誘導部60sは、手前直進部軌条20ssの一対の案内面23si,23soのうち、アウト側の案内面23soの一部を成す誘導面61sと、分岐開始位置BCに近づくに連れて誘導面61sをイン側の案内面23siから徐々に遠ざける幅寄せ部62sを有している。このため、手前直進部軌条20ssの一対の案内面23si,23soの相互間の幅は、分岐開始位置BCに近づくに連れて徐々に大きくなっており、分岐開始位置BC近傍で最大幅になっている。この最大幅は、一対の案内輪18の隙間間隔Waと実質的に同じである。
【0051】
誘導部60sは、その誘導面61sが、軌条本体21のアウト側の案内面23soと連続するように形成されている。本線方向MRに対する誘導面61sが延びている方向の角度θsは、本線方向MRに対する分岐方向BRの角度θbよりも小さく、例えば、1°以下である。
【0052】
分岐部Bの中央案内軌条20である分岐部軌条20bは、前述のH型鋼で形成されている軌条本体21と、この軌条本体21の進行方向の手前側、つまり分岐開始位置BC側であって、アウト側に設けられている誘導部60bとを有している。
【0053】
この誘導部60bは、分岐部軌条20bの一対の案内面23bi,23boのうち、アウト側案内面23boの一部を成す誘導面61bと、分岐開始位置BCから遠ざかるに連れて誘導面61bをイン側案内面23biに徐々に近づける幅寄せ部62bを有している。このため、この分岐部軌条20bの一対の案内面23bi,23boの相互の幅は、分岐開始位置BCが最大幅で、分岐開始位置BCから遠ざかるに連れて徐々に小さくなっている。この最大幅も、手前直進部軌条20ssの一対の案内面23si,23soの最大幅と同じく、一対の案内輪18の隙間間隔Waと実質的に同じである。
【0054】
よって、分岐部軌条20bが本線案内位置の際には、この分岐部軌条20bの一対の案内面23bi,23boは、手前直進部軌条20ssの一対の案内面23si,23soに対して連続性を有している。但し、分岐部軌条20bが分岐案内位置の際には、手前直進部軌条20ssのイン側案内面23siの延長線上に位置しているベース旋回軸85(図1、2)を中心に、この分岐部軌条20bが旋回しているため、この分岐部軌条20bのイン側案内面(変更部案内面)23biと手前直進部軌条20ssのイン側案内面23siとの連続性は維持されているものの、分岐部軌条20bのアウト側案内面23boと手前直進部軌条20ssのアウト側案内面23soとは離れて、その連続性は維持されない。
【0055】
手前直進部軌条20ssの誘導部60s及び分岐部軌条20bの誘導部60bは、いずれも、鋼板を組み合わせたものか、L型鋼やH型鋼等を加工したもので形成されている。
【0056】
次に、分岐機構80のベース81が分岐案内位置に位置している際に、直進部Sから分岐部Bへ進入してくる車両Vの動作について説明する。
【0057】
手前直進部軌条20ssの誘導部60sの進行方向の手前側の位置では、一対の案内輪18は、この手前直進部軌条20ssの一対の案内面23si,23soのいずれにも接触していない状態であるか、一方の案内輪18のみが一方の案内面23に接触している状態である。
【0058】
仮に、一対の案内輪18が、手前直進部軌条20ssの一対の案内面23si,23soのいずれにも接触していない状態のまままで、本線方向MRに直進し、分岐案内位置の分岐部軌条20bに至ると、一対の案内輪18のうちのイン側案内輪18iがいきなり分岐部軌条20bのイン側案内面23biに接触し、イン側案内輪18iは、比較的大きな衝撃力を受ける。このため、このイン側案内輪18iが設けられているガイドフレーム13の旋回角度は、本線方向MRに対する分岐方向θbの角度よりも、瞬間的にかなり大きくなり、乗り心地が悪化する。
【0059】
一方、本実施形態では、一対の案内輪18が手前直進部軌条20ssの誘導部60sが設けられている領域に進入すると、この領域内では、アウト側案内面23soである誘導面61sが分岐開始位置BCに近づくに連れて、イン側案内面23siから徐々に遠ざかっているため、この領域内のいずれかの位置で、一対の案内輪18のうちのアウト側案内輪18oが誘導面61sに確実に接触する。この結果、アウト側案内輪18oは、分岐開始位置BCに近づくに連れて、徐々にイン側案内面23siから遠ざかる一方で、このアウト側案内輪18oと対を成すイン側案内輪18iは、徐々にイン側案内面23siに近づく。そして、一対の案内輪18が分岐開始位置BCに至ると、この分岐開始位置BCでの手前直進部軌条20ssの一対の案内面23の相互の幅は、前述したように、一対の案内輪18の隙間間隔Waと実質的に同じであるため、一対の案内輪18は、いずれも案内面23に実質的に接触した状態になる。
【0060】
手前直進部軌条20ssのイン側案内面23siと分岐部軌条20bのイン側案内面(変更部案内面)23biとは、前述したように、分岐部軌条20bが本線案内位置でも分岐案内位置でも、連続している。このため、手前直進部軌条20ssのイン側案内面23siに、分岐開始位置BCでイン側案内輪18iが接触していると、このイン側案内輪18iは、手前直進部軌条20ssのイン側案内面23siに接触した状態のまま、分岐部軌条20bのイン側案内面(変更部案内面)23biに接触することになる。
【0061】
よって、本実施形態では、分岐案内位置における分岐部軌条20bのイン側案内面23iに、イン側案内輪18iがいきなり接触することによる衝撃を和らげることができる。このため、このイン側案内輪18iが設けられているガイドフレーム23の旋回角度が瞬間的に大きくなることによる乗り心地の悪化を防ぐことができる。
【0062】
また、図5に示すように、曲がり部Cの進行方向の手前側に設けられている直進部Sの手前直進部軌条20ssも、前述のH型鋼で形成されている軌条本体21と、この軌条本体21の進行方向の先側、つまり曲がり開始位置BC側であって、アウト側に設けられている誘導部60sとを有している。
【0063】
この誘導部60sも、分岐部Bの進行方向の手前側に設けられている手前直進部軌条20ssの誘導部60sと同じで、手前直進部軌条20ssの一対の案内面23のうち、アウト側案内面23soの一部を成す誘導面61sと、曲がり開始位置BCに近づくに連れて誘導面61sをイン側案内面23siから徐々に遠ざける幅寄せ部62sと、を有している。なお、曲がり開始位置BCは、曲がり部Cの中央案内軌条20(以下、曲がり部軌条20cとする)と手前直進部軌条20ssとの接触位置である。
【0064】
また、曲がり部軌条20cも、分岐部軌条20bと同様、前述のH型鋼で形成されている軌条本体21と、この軌条本体21の進行方向の手前側、つまり曲がり開始位置BC側であって、アウト側に設けられている誘導部60cとを有している。
【0065】
この誘導部60cも、曲がり部軌条20cの一対の案内面23ci,23coのうち、アウト側案内面23coの一部を成す誘導面61cと、曲がり開始位置BCから遠ざかるに連れて誘導面61cをイン側案内面23ciに徐々に近づける幅寄せ部62cと、を有している。
【0066】
このように、曲がり部Cの進行方向の手前側に設けられている手前直進部軌条20ssにも誘導部60sを設けることにより、一対の案内輪18が曲がり開始位置BCに至る過程で、イン側案内輪18iが手前直進部軌条20ssのイン側案内面23siに実質的に接触することになり、曲がり部軌条20cのイン側案内面(変更部案内面)23ciに、イン側案内輪18iがいきなり接触することによる衝撃を和らげることができる。
【0067】
以上、本実施形態では、分岐部B及び曲がり部Cを含む方向変更部において、案内部である案内輪18がこの方向変更部の中央案内軌条20b,20cにいきなり接触することによる衝撃を和らげることができ、乗り心地を良くすることができる。
【0068】
なお、本実施形態では、図4に示すように、分岐部軌条20bの軌条本体21が直線状で、分岐案内位置での軌条本体21が走行分岐線経路BLに沿ってまっすぐ延びることになるため、分岐開始位置BCと、走行分岐線経路BLと走行本線経路MLとの交点IPの位置とが一致している。しかしながら、図6に示すように、分岐部軌条20bの軌条本体21が滑らかに湾曲しており、分岐案内位置での軌条本体21が、次第に走行分岐線経路BLに沿うように曲がっていくことになる場合には、分岐開始位置BCは、走行分岐線経路BLと走行本線経路MLとの交点である交点IPよりも進行方向の手前側に位置することになる。このように、分岐案内位置において、分岐部軌条20bの軌条本体21が走行分岐線経路BLに沿うように滑らかに湾曲していくものである場合、分岐開始位置BCにおける、直進部軌条20ssのイン側案内面23siと分岐部軌条20bのイン側案内面23biとの成す角度を小さくすることができ、案内輪18が受ける衝撃をより小さくすることができる。
【0069】
「軌道系交通システムの第二実施形態」
次に、本発明に係る軌道系交通システムの第二実施形態について、図9〜図15を用いて説明する。
【0070】
本実施形態の軌道系交通システムは、側方案内軌条式の新交通システムであり、側方案内式の走行設備と、この走行設備の走行路上を走行する軌道系車両とを備えている。そこで、まず、図14及び図15を用いて、この走行設備を走行する軌道系車両について説明する。
【0071】
本実施形態の軌道系車両Vaは、車体1と、この車体1の下部の前後のそれぞれに配置されている走行装置10aと、を備えている。なお、以下の説明でのこの軌道系車両Vaを単に車両Vaと言うものとする。
【0072】
走行装置10aは、左右一対の走行タイヤ3と、この一対の走行タイヤ3を連結する車軸5と、車軸5及び一対の走行タイヤ3を支える懸架装置(不図示)と、側方案内軌条に沿った方向に走行タイヤ3を向かせる操舵案内装置11aと、を備えている。
【0073】
操舵案内装置11aは、走行タイヤ3の操舵軸となるキングピン12と、このキングピン12を基準として走行タイヤ3と一体的に揺動するステアリングアーム16と、車幅方向に延びている案内横梁13bと、案内横梁13bの両端部に設けられている案内部Wと、車幅方向に案内横梁13bを変位可能に台車枠9に連結する前後進テコ板14a及び回動アーム14bと、左右一対の走行タイヤ3のうち一方の走行タイヤ3のステアリングアーム16の一方の端部と前後進テコ板14aとを連結するステアリングロッド17bと、一方の走行タイヤ3のステアリングアーム16の他方の端部と他方の走行タイヤ3のステアリングアーム16の端部とを連結する連結ロッド17cと、を備えている。
【0074】
ステアリングロッド17bの一方の端部は、前後進テコ板14aとピン結合され、他方の端部は、左右一対の走行タイヤ3のうち一方の走行タイヤ3のステアリングアーム16の一方の端部とピン結合されている。また、連結ロッド17cの両端部は、それぞれ、一対の走行タイヤ3の各ステアリングアーム16の端部とピン結合されている。
【0075】
案内部Wは、主案内輪18と分岐案内輪19とを有している。主案内輪18は、車体1の床面に対して垂直な軸回りに転動可能に、この案内横梁13bの端部の上側に、設けられている。また、分岐案内輪19は、車体1の床面に対して垂直な軸回りに転動可能に、この案内横梁13bの端部の下側に設けられている。これらの案内輪18,19は、いずれも、その外周部分が例えばウレタンゴム等の弾性体で形成されている。
【0076】
次に、本実施形態の走行設備について説明する。
【0077】
本実施形態の走行設備は、図9に示すように、車両Vaの左右一対の走行タイヤ3がそれぞれ走行する走行路Rと、走行路Rの両側に配置されている側方案内軌条Gと、を備えている。走行設備も、第一実施形態の走行設備と同様、車両Vaが直進する直進部Sと、車両Vaの走行経路が曲がる曲がり部C(図13)と、車両Vaの走行経路が分岐している分岐部Bとがある。直進部S、曲がり部C、分岐部Bには、それぞれ、前述の走行路R及び側方案内軌条Gが設けられている。
【0078】
分岐部Bは、走行経路のうちの走行本線経路MLと、この走行本線経路MLの途中から分岐する走行分岐線経路BLとの交差部分に設けられている。直進部S及び曲がり部C(図13)には、側方案内軌条Gとして、車両Vaの主案内輪18が接触する一対の主案内軌条30が設けられている。また、分岐部Bには、側方案内軌条Gとして、車両Vaの主案内輪18が接触する一対の主案内軌条30の他、車両Vaの分岐案内輪19が接触する一対の分岐案内軌条34,35とが設けられている。なお、以下では、説明を簡単にするため、走行本線経路MLは、直進部Sで構成されているものとする。
【0079】
直進部S、曲がり部C、分岐部Bにおける主案内軌条30は、走行路Rに沿って、この走行路Rの両側に設けられている。すなわち、主案内軌条30は、車両Vaの左右にそれぞれ存在し、対を成している。この主案内軌条30の軌条本体31は、図14及び図15に示すように、H型鋼で形成されている。このH型鋼は、一対のフランジ32の外面が鉛直方向を向き、一対のフランジ32を連結するウェブ34wが水平方向を向くように配置されて、軌条本体31を成している。この軌条本体31は、一対のフランジ32の面のうち、走行路Rを介して、この軌条本体31と対向している他の軌条本体31側の面が主案内面33を成している。なお、ここでは、H型鋼を軌条本体31に用いているが、本発明はこれに限定されるものでなく、I型鋼等を用いてもよい。
【0080】
対を成す主案内軌条30の軌条本体31のうち、一方の軌条本体31の主案内面33と他方の軌条本体31の主案内面33との間隔Wb(図15)は、一対の主案内輪18の外縁間隔Wcより広くなっている。これは、一対の主案内輪18のそれぞれが主案内面33に常時接触することで、主案内輪18が短期間に内に磨耗してしまうのを防ぐため、さらに、主案内軌条本体31の継ぎ目等における主案内面33の段差等により、主案内輪18が小刻みに変位することによる乗り心地の悪化を防ぐため等である。
【0081】
図13に示すように、曲がり部Cの進行方向の手前側の直進部Sに設けられている一対の主案内軌条30,30(以下、手前部軌条30si,30soとする)のうち、イン側手前部軌条30siは、前述のH型鋼で形成されている軌条本体31と、この軌条本体31の進行方向の先側、つまり曲がり開始位置BC側であって、そのアウト側に設けられている誘導部60sとを有している。一方、一対の手前部軌条30si,30soのうち、アウト側手前部軌条30soは、軌条本体31のみで形成されている。なお、曲がり開始位置BCは、曲がり部Cの主案内軌条30の進行方向手前側端の位置、つまり、曲がり部Cの主案内軌条30と直進部Sの主案内軌条30である手前部軌条30si,30soとの接触位置である。
【0082】
誘導部60sは、このイン側手前部軌条30siの主案内面33siの一部を成す誘導面61sと、曲がり開始位置BCに近づくに連れて誘導面61sを、アウト側手前部軌条30soに徐々に近づける幅寄せ部62sと、を有している。このため、一対の手前部軌条30si,30soのそれぞれの主案内面33si,33soの相互間の幅は、分岐開始位置BCに近づくに連れて徐々に小さくなっており、分岐開始位置BC近傍で最小幅になっている。この最小幅は、イン側の主案内輪18iの外周面の最もイン側の面と、アウト側の主案内輪18oの外周面の最もアウト側の面との間隔Wcと実質的に同じ幅である。
【0083】
誘導部60sは、その誘導面61sが、軌条本体31の主案内面33siと連続するように形成されている。この軌条本体31の主案内面33siに対する誘導面61sが延びている方向の角度は、例えば、1°以下である。
【0084】
曲がり部Cに設けられている一対の主案内軌条30(以下、曲がり部軌条30ci,30coとする)のうち、イン側曲がり部軌条30ciは、前述のH型鋼で形成されている軌条本体31と、この軌条本体31の進行方向手前側、つまり曲がり開始位置BC側であって、そのアウト側に設けられている誘導部60cとを有している。一方、曲がり部軌条30ci,30coのうち、アウト側曲がり部軌条30coは、軌条本体31のみで形成されている。
【0085】
この誘導部60cは、このイン側曲がり部軌条30ciの主案内面33iの一部を成す誘導面61cと、曲がり開始位置BCから遠ざかるに連れて誘導面61cをイン側に徐々に近づけ、このイン側曲がり部軌条30ciの軌条本体31の主案内面33iに連続させる幅寄せ部62cを有している。
【0086】
イン側手前部軌条30siの誘導部60s及び曲がり部軌条30ciの誘導部60cは、いずれも、鋼板を組み合わせたもの、L型鋼やH型鋼等を加工したものなどで形成されている。
【0087】
次に、曲がり部Cの進行方向の手前側の直進部Sから曲がり部Cに移る過程での車両Vaの動作について説明する。
【0088】
イン側手前部軌条30siの誘導部60sの進行方向手前側の位置では、図13に示すように、一対の主案内輪18は、一対の手前部軌条30si,30soの主案内面33si,33soのいずれにも接触していない状態であるか、一方の主案内輪18のみが一方の主案内面33に接触している状態である。
【0089】
仮に、一対の主案内輪18が、一対の手前部軌条30si,30soの主案内面33si,33soのいずれにも接触していない状態のまま直進し、曲がり部Cに至ると、一対の主案内輪18のうちのアウト側主案内輪18oが、アウト側曲がり部軌条30coの主案内面33coに対して、所定の角度でいきなり接触し、アウト側主案内輪18oは、比較的大きな衝撃力を受ける。このため、このアウト側主案内輪18oが設けられている操舵案内装置11aの案内横梁13bが車幅方向に瞬間的に大きく変位し、この変位より、前後進テコ板14aが変位して、ステアリングアーム16及び走行タイヤ3がキングピン12を中心として大きく回転する。このため、走行タイヤ3の操舵角は、瞬間的にかなり大きくなり、乗り心地が悪化する。
【0090】
一方、本実施形態では、一対の主案内輪18がイン側手前部軌条30siの誘導部60sが設けられている領域に進入すると、この領域内では、イン側手前部軌条30siの主案内面33iである誘導面61sが曲がり開始位置BCに近づくに連れて、アウト側手前部軌条30soに徐々に近づいているため、この領域内のいずれかの位置で、イン側主案内輪18iが誘導面61sに確実に接触する。この結果、一対の主案内輪18は、曲がり開始位置BCに近づくに連れて、徐々にアウト側に寄る。そして、一対の主案内輪18が曲がり開始位置BCに至ると、この曲がり開始位置BCでの一対の手前部軌条30si,31soのそれぞれの主案内面33si,33soの相互の幅が、イン側主案内輪18iの外周面の最もイン側の面と、アウト側主案内輪18oの外周面の最もアウト側の面との間隔Wbと実質的に同じ幅になっているため、一対の主案内輪18は、いずれも主案内面33に実質的に接触した状態になる。
【0091】
ところで、アウト側手前部軌条30soの主案内面33soとアウト側曲がり部軌条30coの主案内面(変更部案内面)33coとは、連続している。このため、アウト側手前部軌条30soの主案内面33soに、曲がり開始位置BCでアウト側主案内輪18oが接触していると、このアウト側主案内輪18oは、アウト側手前部軌条30soの主案内面33soに接触した状態から、その主案内面33soと連続している曲がり部軌条30coの主案内面(変更部案内面)33coに、スムーズに移行して、この主案内面33coに接触することになる。
【0092】
よって、本実施形態では、アウト側曲がり部軌条30coの主案内面(変更部案内面)33coに、アウト側主案内輪18oがいきなり所定の角度で接触することによる衝撃を和らげることができる。このため、走行タイヤ3の操舵角が瞬間的にかなり大きくなることによる乗り心地の悪化を防ぐことができる。
【0093】
次に、分岐部Bの案内軌条について説明する。
【0094】
分岐部Bには、前述したように、側方案内軌条Gとして、車両Vaの主案内輪18が接触する主案内軌条30の他、図9〜図12に示すように、車両Vaの分岐案内輪19が接触する分岐案内軌条(分岐部軌条)34,35とが設けられている。
【0095】
この分岐案内軌条34,35には、分岐部Bの走行路Rに対して相対移動しない固定分岐軌条34と、分岐部Bの走行路Rに対して相対移動する可動分岐軌条35とがある。可動分岐軌条35は、分岐部B中の主案内軌条30の下側であって、分岐部B中の進行方向手前側に配置され、固定分岐軌条34は、分岐部B中の主案内軌条30の下側であって、分岐部B中の進行方向先側に配置されている。固定分岐軌条34及び可動分岐軌条35は、いずれも、分岐部B中の走行分岐線経路BLにおいて、走行路幅方向の方向変更側(以下、イン側とする)に配置されているイン側の軌条34i,35iと、分岐部B中の走行本線経路MLにおいて、走行路幅方向のイン側とは反対側(以下、アウト側とする)に配置されているアウト側の軌条34io,35oとがある。
【0096】
分岐案内軌条34,35としての固定分岐軌条34及び可動分岐軌条35は、いずれも、型鋼で形成されている。この型鋼は、互いに直交する2つのフランジ36,37(図10)を有し、一方のフランジ36が鉛直方向を向き、他方のフランジ37が水平方向を向くよう配置されることで、固定分岐軌条34又は可動分岐軌条35を成している。イン側の可動分岐軌条35i及び固定分岐軌条34iで鉛直方向を向いている前記一方のフランジ36の面のうち、アウト側の分岐軌条から遠い側、つまりイン側の面は、イン側分岐案内輪19iが接触する分岐案内面38iを成す。また、アウト側の可動分岐軌条35o及び固定分岐軌条34oで鉛直方向を向いている前記一方のフランジ36の面のうち、イン側の分岐軌条から遠い側、つまりアウト側の面は、アウト側分岐案内輪19oが接触する直進案内面38oを成す。
【0097】
固定分岐軌条34i,34oの分岐案内面38iと直進案内面38oとの間隔、及び可動分岐軌条35i,35oの分岐案内面38iと直進案内面38oとの間隔は、車両Vaの一対の分岐案内輪19i,19oの相互間隔よりも広く、一対の分岐案内輪19i,19oの一方の分岐案内輪19が、分岐案内面38iと直進案内面38oとのうち一方の案内面38に接している際には、他方の分岐案内輪19は、他方の案内面38に接触しない。
【0098】
一対の可動分岐軌条35は、その進行方向先側端で、鉛直方向に延びる旋回軸95を中心として、旋回可能に設けられている。
【0099】
走行設備は、以上で説明した走行路R及び側方案内軌条Gの他、可動分岐軌条35を旋回させる分岐機構90を備えている。この分岐機構90は、一対の可動分岐軌条35の進行方向手前側端部を連結する連結ロッド91と、この連結ロッド91を移動させる転轍器92と、この転轍器92と連結ロッド91とを連結する駆動ロット93と、を有している。
【0100】
連結ロッド91の両端部は、一対の可動分岐軌条35の進行方向手前側端部と、緩衝部材を介してピン結合されている。駆動ロット93は、転轍器92の駆動により、走行路幅方向に移動可能に、この転轍器92に接続されている。この駆動ロット93の先端部は、連結ロッド91の走行路幅方向におけるほぼ中央部と、緩衝部材等を介してピン結合されている。
【0101】
転轍器92は、油圧シリンダや電磁シリンダ、電気モータ等で構成されている。なお、ここでは、転轍器92の出力を駆動ロット93及び連結ロッド91を介して、可動分岐軌条35に伝えているが、転轍器92の出力を複数のギヤや複数のリンクを介して可動分岐軌条35に伝えるようにしてもよい。
【0102】
一対の可動分岐軌条35は、この分岐機構90により、旋回軸95を中心として、分岐案内位置と本線案内位置との間で旋回する。ここで、可動分岐軌条35の分岐案内位置は、図11及び図14に示すように、イン側可動分岐軌条35iの分岐案内面38iの進行方向先側端が、イン側固定分岐軌条34iの分岐案内面38iの進行方向手前側端と、走行路幅方向で実質的に同じ位置に位置し、且つ、イン側可動分岐軌条35iの分岐案内面38iが、イン側固定分岐軌条34の進行方向の手前側における分岐案内面38iに沿う方向(分岐方向BR)を向く位置である。また、可動分岐軌条35の本線案内位置は、図9に示すように、アウト側可動分岐軌条35oの直進案内面38oの進行方向先側端が、アウト側固定分岐軌条34oの直進案内面38oの進行方向手前側端と、走行路幅方向で実質的に同じ位置に位置し、且つ、アウト側可動分岐軌条35oの直進案内面38oが、アウト側固定分岐軌条34oの直進案内面38oが延びている方向(本線方向MR)を向く位置である。
【0103】
図14に示すように、分岐部Bの進行方向手前側に設けられている直進部Sの一対の主案内軌条30,30(以下、手前部軌条30si,30soとする)のうち、イン側手前部軌条30siは、前述のH型鋼で形成されている軌条本体31と、この軌条本体31の進行方向の先側、つまり分岐開始位置BC側であって、そのアウト側に設けられている誘導部60sとを有している。一方、手前部軌条30si,30soのうち、アウト側手前部軌条30soは、軌条本体31のみで形成されている。なお、分岐開始位置BCは、手前部軌条30si,30soと分岐部Bの主案内軌条30,30(以下、分岐部主軌条30bi,30boとする)との接合位置、言い換えると可動分岐軌条35i,35oの進行方向手前側端の位置である。
【0104】
誘導部60sは、このイン側手前部軌条30siの主案内面33siの一部を成す誘導面61sと、分岐開始位置BCに近づくに連れて誘導面61sを、アウト側手前部軌条30soに徐々に近づける幅寄せ部62sと、を有している。このため、一対の手前部軌条30si,30soのそれぞれの主案内面33si,33soの相互の幅は、分岐開始位置BCに近づくに連れて徐々に小さくなっており、分岐開始位置BC近傍で最小幅になっている。
【0105】
誘導部60sは、その誘導面61sが、軌条本体31の主案内面33siと連続するように形成されている。本線方向MRに対する誘導面61sが延びている方向の角度は、本線方向MRに対する分岐方向BRの角度よりも小さく、例えば、1°以下である。
【0106】
分岐部Bの一対の主案内軌条である分岐部主軌条30bi,30boのうち、イン側分岐部主軌条30biは、前述のH型鋼で形成されている軌条本体31と、この軌条本体31の分岐開始位置BC側であって、そのアウト側に設けられている誘導部60bとを有している。一方、アウト側分岐部主軌条30boは、軌条本体31のみで形成されている。
【0107】
この誘導部60bは、このイン側分岐部主軌条30biの主案内面33biの一部を成す誘導面61bと、分岐開始位置BCから遠ざかるに連れて誘導面61bをイン側に徐々に近づけ、このイン側分岐部主軌条30biの軌条本体31の主案内面33biに連続させる幅寄せ部62bを有している。
【0108】
次に、分岐部Bの進行方向の手前側から分岐部Bに移る過程での車両Vaの動作について説明する。
【0109】
図9及び図10に示すように、車両が分岐部Bを直進する場合、言い換えると、車両Vaが走行本線経路MLから走行分岐線経路BLに移らず、走行本線経路ML上を走行する場合、車両Vaが分岐部Bに近づくと、転轍器92が駆動して、分岐部Bの一対の可動分岐軌条35が本線案内位置に位置して、分岐部Bのアウト側固定分岐軌条34o及びアウト側主案内軌条30boと平行になる。
【0110】
車両Vaが直進部Sから分岐部Bに進入すると、一対の分岐案内輪19i,19oのうち、イン側分岐案内輪19iは、イン側可動分岐軌条35iの分岐案内面38iよりもアウト側に位置し、分岐部Bの走行中、この分岐案内面38iに接触することはなく、この分岐案内面38iによる移動規制を受けることはない。また、一対の主案内輪18i,18oにのうち、イン側主案内輪18iは、イン側分岐部主軌条30biの主案内面33biよりもアウト側に位置し、分岐部Bの走行中、この主案内面33biに接触することはなく、この主案内面33biによる移動規制を受けることはない。
【0111】
一方、アウト側分岐案内輪19oは、車両Vaが直進部Sから分岐部Bに進入すると、その外周面のイン側面が、アウト側可動分岐軌条35oの直進案内面38oと近接する。また、アウト側主案内輪18oは、その外周面のアウト側面が、アウト側手前部軌条30soの延長線上に設けられている分岐部Bのアウト側分岐部主軌条30boの主案内面33boに近接する。すなわち、アウト側の分岐案内輪19oは、そのイン側に存在するアウト側の可動分岐軌条35oの直進案内面38oにより、イン側への移動が規制され、アウト側の主案内輪18oは、そのアウト側に存在するアウト側の分岐部主軌条30boの主案内面33boにより、アウト側への移動が規制される。
【0112】
このため、車両Vaは、本線案内位置に位置しているアウト側の可動分岐軌条35o、及び、分岐部Bのアウト側の分岐部主軌条30boが延びている本線方向MRに進行する。
【0113】
また、図11、図12、図14に示すように、車両Vaが走行本線経路MLから走行分岐線経路BLに移る場合、車両Vaが分岐部Bに近づくと、転轍器92が駆動して、分岐部Bの一対の可動分岐軌条35が分岐案内位置に位置して、その進行方向手前側端が分岐案内位置のときよりアウト側に位置し、イン側可動分岐軌条35iの分岐案内面38iが、イン側固定分岐軌条34の進行方向の手前側における分岐案内面38iに沿う方向(分岐方向BR)を向く。
【0114】
車両Vaが直進部Sから分岐部Bに進入すると、一対の分岐案内輪19i,19oのうち、アウト側の分岐案内輪19oは、アウト側の可動分岐軌条35oの直進案内面38oよりもイン側に位置し、分岐部Bの走行中、この直進案内面38oに接触することはなく、この直進案内面38oによる移動規制を受けることはない。また、一対の主案内輪18i,18oのうち、アウト側主案内輪18oは、アウト側分岐部主軌条30boの主案内面33boよりもイン側に位置し、分岐部Bの走行中、この主案内面33boに接触することはなく、この主案内面33boにより移動規制を受けることはない。
【0115】
一方、イン側の分岐案内輪19iは、車両が直進部Sから分岐部Bに進入すると、その外周面のアウト側面が、イン側可動分岐軌条35iの分岐案内面(変更部案内面)38iと近接する。また、イン側主案内輪18iは、その外周面のイン側面が、分岐部Bのイン側分岐部主軌条30biの主案内面33biに近接する。すなわち、イン側分岐案内輪19iは、そのアウト側に存在するイン側可動分岐軌条35iの分岐案内面38iにより、アウト側への移動が規制され、イン側主案内輪18iは、そのイン側に存在するイン側分岐部主軌条30biの主案内面33biにより、イン側への移動が規制される。
【0116】
よって、車両Vaが分岐部Bに進入すると、イン側分岐案内輪19iが、イン側可動分岐軌条35iの分岐案内面(変更部案内面)38iに接触して転動するか、イン側主案内輪18iが、イン側分岐部主軌条30biの主案内面33biに接触して転動する。このため、車両Vaが分岐部Bに進入すると、イン側分岐案内輪19i又はイン側主案内輪18が車幅方向の力を受けて、操舵案内装置11aの案内横梁13bが車幅方向に変位し、この変位より、前後進テコ板14aが変位して、ステアリングアーム16及び走行タイヤ3がキングピン12を中心として回転する。つまり、走行タイヤ3が操舵される。
【0117】
ここで、可動分岐軌条35が分岐案内位置に位置している際に、車両Vaが分岐部Bの進行方向の手前側の直進部Sから分岐部Bに移る過程での車両Vaの動作について、より詳細に説明する。
【0118】
可動分岐軌条35が分岐案内位置に位置している際、図14を用いて前述したように、イン側可動分岐軌条35iの分岐案内面38iの進入先側端は、イン側固定分岐軌条34iの分岐案内面38iの進行方向手前側端と、走行路幅方向で実質的に同じ位置に位置し、且つ、イン側可動分岐軌条35iの分岐案内面38iが、イン側固定分岐軌条34iの進行方向手前側における分岐案内面38iに沿う方向(分岐方向BR)を向く位置である。
【0119】
さらに、可動分岐軌条35が分岐案内位置に位置している際、イン側可動分岐軌条35iの分岐案内面38iの進行方向手前側端の位置は、走行路幅方向において、イン側手前部軌条30siで誘導部60sが設けられていない部分の主案内面33siの位置から、分岐案内輪19の外径寸法分よりも、アウト側に位置している。
【0120】
イン側手前部軌条30siの誘導部60sの進行方向手前側の位置では、一対の主案内輪18は、一対の手前部軌条30si,30soの主案内面33si,33soのいずれにも接触していない状態であるか、一方の主案内輪18のみが一方の主案内面33sに接触している状態である。
【0121】
仮に、一対の主案内輪18のいずれもが一対の手前部軌条30si,30soの軌条本体31,31の主案内面33si,33soに接触していない状態のままで、本線方向MRに直進し、分岐案内位置のイン側可動分岐軌条35iに至ると、主案内輪18も分岐案内輪19も、案内面にも接触していない状態で、イン側分岐案内輪19iが、いきなりイン側の可動分岐軌条35iの分岐案内面(変更部案内面)38iに接触し、イン側分岐案内輪19iは、比較的大きな衝撃力を受けるため、乗り心地が悪化する。
【0122】
一方、本実施形態では、一対の主案内輪18が、イン側手前部軌条30siの誘導部60sが設けられている領域に進入すると、この領域内では、イン側主案内面33siである誘導面61sが分岐開始位置BCに近づくに連れて、アウト側に徐々に向かっているため、この領域内のいずれかの位置で、イン側主案内輪18iが誘導面61sに確実に接触する。この結果、イン側主案内輪18iと共に、イン側分岐案内輪19iは、分岐開始位置BCに近づくに連れて、徐々にアウト側に向かい、イン側可動分岐軌条35iの分岐案内面38iに近づく。そして、一対の主案内輪18が分岐開始位置BCに至ると、イン側分岐案内輪19iは、イン側の可動分岐軌条35iの分岐案内面(変更部案内面)38iに実質的に接触した状態になる。
【0123】
よって、本実施形態では、車両Vaが分岐部Bの進行方向手前側から分岐部Bに移る過程で、イン側主案内輪18iとイン側分岐案内輪19iとのうちのいずれかが対応する案内面33si,38iに接触した状態になっている。このため、本実施形態では、イン側主案内輪18iもイン側分岐案内輪19iも、対応案内面に接触していない状態で、イン側分岐案内輪19iが、いきなりイン側可動分岐軌条35iの分岐案内面(変更部案内面)38iに接触することによる衝撃を和らげることができ、乗り心地の悪化を防ぐことができる。
【0124】
以上、本実施形態でも、第一実施形態と同様、分岐部B及び曲がり部Cを含む方向変更部において、案内輪18,19がこの方向変更部の案内軌条にいきなり接触することによる衝撃を和らげることができ、乗り心地を良くすることができる。
【0125】
次に、誘導部60sを有する案内軌条の変形例について説明する。
【0126】
「案内軌条の第一変形例」
まず、図16及び図17を用いて、案内軌条の第一変形例について説明する。
【0127】
本変形例の案内軌条は、図16に示すように、中央案内軌条20aであり、H型鋼で形成された軌条本体21と、板バネ71と、板バネ71の一方の端部を支持する支持軸75と、板バネ71の他方の端部が固定される受け台76と、有している。本変形例では、これら板バネ71、支持軸75、受け台76で誘導部70を構成している。
【0128】
軌条本体21を形成するH型鋼の一対のフランジ22a,22bのうち、一方のフランジ22aは、一部が切り欠かれている。この切り欠かれている部分中の進行方向手前側には、H型鋼のウェブ24に対して垂直でフランジ22aに対して平行に支持軸75が固定されている。また、一部が切り欠かれている側のフランジ22aの進行方向先側端部には、図17に示すように、受け台76が固定されている。この受け台76は、L型鋼で、互いに直交する2つのフランジ76a,76bのうち、一方のフランジ76aが軌条本体21のフランジ22aと対向し、他方のフランジ76bの端部が軌条本体21のフランジ22aに固定されている。この受け台76の一方のフランジ76aには、その厚み方向の一方の側から当該フランジ76aの厚み方向の中間位置まで切り欠いた切欠部77aと、その厚み方向の他方の側から当該フランジ76aの厚み方向の中間位置まで切り欠いた切欠部77bとが、軌条本体21のフランジ22aの高さ方向において交互に形成されている。
【0129】
板バネ71は、図16に示すように、その板厚方向に対して垂直な主面72が軌条本体21のフランジ22bと対向し、且つ主面72が軌条本体21のフランジ22aに対して所定角度で傾くよう、その進行方向手前側端部が支持軸75に取り付けられ、その進行方向先側端部が受け台76に取り付けられている。板バネ71の進行方向手前側端部は、その進行方向先側が支持軸75を中心として揺動可能に、支持軸75に巻き付けられている。また、図17に示すように、板バネ71の進行方向先側端部は、軌条本体21のフランジ22aの高さ方向における異なる位置で、板バネ71の長手方向に平行な複数の切れ目が入れられ。複数の切れ目で区画されている複数の分断片73が形成されている。複数の分断片73は、それぞれ、受け部76の各切欠部77a,77bに嵌め込まれている。
【0130】
弾性体である板バネ71の一対の主面72のうち、軌条本体21のフランジ22bから遠い側の主面72は、誘導面72sを形成している。この誘導面72sは、以上の各実施形態における誘導面と同様、軌条本体21のフランジ22aに対して所定角度を成し、板バネ71の支持軸75側の端部で軌条本体21の案内面23と実質的に連続している。この所定角度は、例えば、例えば、1°以下である。
【0131】
以上のように、本変形例では、誘導部70が板バネ71を有しているので、この誘導部70の誘導面72sに案内輪18が接触した際、誘導部70の板バネ71が弾性変形して、案内輪18が誘導面72sに接触した際の衝撃を緩和することができる。よって、鋼板や型鋼等で形成された高剛性の誘導部60sを有する以上の各実施形態の案内軌条よりも乗り心地を向上させることができる。
【0132】
なお、本変形例では、受け台76をL型鋼で形成しているが、この代わりに、他の型鋼や、複数の鋼板を組み合わせたものを用いてもよい。また、本変形例及び以下の各変形例では、軌条本体21をH型鋼で形成しているが、この代わりに、他の型鋼や、複数の鋼板を組み合わせたものを用いてもよい。
【0133】
「案内軌条の第二変形例」
次に、図18を用いて、案内軌条の第二変形例について説明する。
【0134】
本変形例の案内軌条も、中央案内軌条20dであり、H型鋼で形成された軌条本体21と、誘導部を構成する板バネ71bと、有している。
【0135】
軌条本体21を形成するH型鋼の一対のフランジ22a,22bのうち、一方のフランジ22aは、途中から進行方向先側端の位置まで切り欠かれている。この切り欠かれた部分に、板バネ71bが配置されている。この板バネ71bは、その板厚方向に対して垂直な主面72bが軌条本体21のフランジ22bと対向し、且つ主面72bが軌条本体21のフランジ22aに対して所定角度で傾くよう、その進行方向手前側端部が、軌条本体21の一方のフランジ22aに接合されている。一方、この板バネ71bの進行方向先側端部は、なんら支持されていない。すなわち、第一変形例では、板バネ71を両持ち支持しているが、本変形例では、板バネ71bを片持ち支持している。このため、本変形例の板バネ71bは、軌条本体21の一対のフランジ間方向(走行路幅方向)の弾性係数を、第一変形例の板バネ71の弾性係数よりも大きなものにしている。
【0136】
弾性体である板バネ71bの一対の主面72bのうち、軌条本体21のフランジ22aから遠い側の主面72bは、誘導面72sを形成している。この誘導面72sは、板バネ71bが自然状態の際、以上の各実施形態や第一変形例における誘導面と同様、軌条本体21のフランジ22に対して所定角度を成し、板バネ71bの端部で軌条本体21のフランジ22aである案内面23と連続している。この所定角度は、例えば、1°以下である。
【0137】
以上、本変形例でも、第一変形例と同様、誘導面72sに案内輪18が接触した際、弾性体である板バネ71bが弾性変形して、案内輪18に誘導面72sに接触した際の衝撃を緩和することができ、乗り心地を向上させることができる。また、本変形例では、第一変形例の案内軌条よりも構成を簡略化することができる。
【0138】
「案内軌条の第三変形例」
次に、図19を用いて、案内軌条の第三変形例について説明する。
【0139】
本変形例の案内軌条も、中央案内軌条20eであり、H型鋼で形成された軌条本体21と、鋼板(誘導面板)71cと、鋼板71cの一方の端部を支持する支持軸75と、鋼板71cの他方の端部を弾性支持する弾性体77と、を有している。本変形例では、これら鋼板71c、支持軸75、弾性体77とで誘導部70cを構成している。
【0140】
軌条本体21を形成するH型鋼の一対のフランジ22a,22bのうち、一方のフランジ22aは、途中からH型鋼の進行方向先側端の位置までの部分が切り欠かれている。この切り欠かれている部分中の進行方向手前側の部分には、H型鋼のウェブ24に対して垂直でフランジ22aに対して平行に支持軸75が固定されている。また、切り欠かれていないフランジ22bの進行方向先側で且つウェブ24側には、弾性体77の一方の端部が固定されている。
【0141】
鋼板71cは、その板厚方向に対して垂直な主面72cが軌条本体21のフランジ22bと対向し、且つ主面が軌条本体21のフランジ22aに対して所定角度で傾くよう、その進行方向手前側端部が支持軸75に取り付けられ、その進行方向先側端部が弾性体77の他方の端部に取り付けられている。鋼板71cの進行方向手前側端部は、その進行方向先側が支持軸75を中心として揺動可能に、支持軸75に巻き付けられている。
【0142】
鋼板71cの一対の主面72cのうち、軌条本体21のフランジ22から遠い側の主面72cは、誘導面72sを形成している。この誘導面72sは、弾性体77が自然長のときに、以上の各実施形態や第一変形例における誘導面72sと同様、軌条本体21のフランジ22aに対して所定角度を成し、その進行方向手前側端部で軌条本体21の案内面23と実質的に連続している。この所定角度は、例えば、例えば、1°以下である。
【0143】
以上のように、弾性体77と誘導面72sを形成する鋼板71cとで誘導部70cを形成しても、第一変形例と同様、誘導面72sに案内輪18が接触した際、弾性体77が弾性変形して、案内輪18が誘導面72sに接触した際の衝撃を緩和することができ、乗り心地を向上させることができる。また、本変形例では、弾性体77を交換することで、容易に誘導体の弾性係数を変えることができる。
【0144】
ここで、弾性体77としては、コイルバネを用いてもよいが、図20に示すように、ウレタンゴムや、6ナイロン等の樹脂を用いてもよい。また、図21に示すように、軌条本体21を形成するH型鋼の一対のフランジ22a,22bのいずれも切り欠かず、一方のフランジ22aの端部と鋼板71cとの間に、弾性体77として、前述のウレタンゴム等を配置してもよい。また、図22に示すように、軌条本体21のフランジ22bと鋼板71cとの間に、弾性体としてのコイルバネ77d等を配置すると共に、緩衝装置又は制震装置としてのダンパー78dを配置してもよい。このように、コイルバネ77d等と共にダンパー(緩衝器)78dを用いると、鋼板71cが案内輪18に接触した際に生じる振動を短時間で収束することができる。
【0145】
なお、以上の各変形例は、第一実施形態における中央案内軌条20を変形した例であるが、第二実施形態における側方案内軌条Gの主案内軌条30を同様に変形できることは言うまでもない。
【符号の説明】
【0146】
1:車体、3:走行タイヤ、18:案内輪(主案内輪)、19:分岐案内輪、20,20a,20d,20e:中央案内軌条、20b:分岐部軌条、20c:曲がり部軌条、20s:直進部軌条、20ss:手前直進部軌条(手前部軌条)、23:案内面、23bi:イン側案内面(変更部案内面)、30:主案内軌条(側方案内軌条)、30si,30so:手前部軌条、30ci,30co:曲がり部軌条、33:主案内面、34:固定分岐軌条、35:可動分岐軌条、38i:分岐案内面(変更部案内面)、60s,60b,60c,70,70c:誘導部、61s,61b,61c,72s:誘導面、71,71b:板バネ、77:弾性体、77d:コイルスプリング、78d:ダンパー

【特許請求の範囲】
【請求項1】
車幅方向に並んで相互間隔が保持されている一対の案内部を備えている軌道系車両を、走行経路に沿うよう案内するために、前記案内部が接触する案内面を有する案内軌条において、
前記軌道系車両の進行方向を変える方向変更部の方向変更開始位置の進行方向の手前側に設けられ、走行路幅方向で方向変更側と反対側に前記一対の案内部を徐々に導き、前記方向変更部に設けられた前記方向変更側を向く前記案内面である変更部案内面に、前記一対の案内部のうちで対応する該案内部を、走行路幅方向で近接させる誘導部を有する、
ことを特徴とする案内軌条。
【請求項2】
請求項1に記載の案内軌条において、
前記誘導部は、走行路幅方向に弾性変形可能な弾性体を有する、
ことを特徴とする案内軌条。
【請求項3】
請求項2に記載の案内軌条において、
前記誘導部は、前記案内面の一部を成す誘導面を形成する誘導面板を有し、
前記弾性体は、前記誘導面板を走行路幅方向に変位可能に支持する、
ことを特徴とする案内軌条。
【請求項4】
請求項3に記載の案内軌条において、
前記誘導部は、走行路幅方向の前記誘導面板の振動を緩衝する緩衝器を有する、
ことを特徴とする案内軌条。
【請求項5】
請求項1から4のいずれか一項に記載の案内軌条において、
前記一対の案内部の間に挟まれる中央案内軌条で、互いに相反する向きに向いている一対の案内面を有し、
前記変更部案内面に対応する前記案内部が、前記一対の案内部のうちの前記方向変更側の案内部であり、
前記誘導部は、前記一対の案内面のうちの前記反対側の案内面の一部を成す誘導面を有し、該誘導面は、前記一対の案内部を前記反対側に徐々に導いて、前記方向変更側の前記案内部を該方向変更側の前記案内面に近接させるよう、前記方向変更開始位置に近づくに連れて前記方向変更側の該案内面から次第に遠ざかっている、
ことを特徴とする案内軌条。
【請求項6】
請求項5に記載の案内軌条において、
前記方向変更部が分岐部で、前記方向変更開始位置が分岐開始位置であり、
前記中央案内軌条は、前記分岐開始位置の進行方向の手前側に配置されている手前部軌条と、該分岐開始位置から進行方向の先側に配置され、該手前部軌条から走行本線経路に沿った本線方向を向く本線案内位置、及び該本線方向と異なる方向の走行分岐線経路に沿った分岐方向を向く分岐案内位置に変位可能な分岐部軌条と、を有し、
前記変更部案内面は、前記分岐部軌条の前記一対の案内面のうちの前記方向変更側の案内面であり、
前記誘導部は、前記手前部軌条に設けられ、前記誘導面は、該手前部軌条の前記一対の案内面のうちの前記反対側の案内面の一部を成す、
ことを特徴とする案内軌条。
【請求項7】
請求項5に記載の案内軌条において、
前記方向変更部が曲がり部で、前記方向変更開始位置が曲がり開始位置であり、
前記中央案内軌条は、前記曲がり開始位置の進行方向の手前側に配置されている手前部軌条と、該曲がり開始位置から進行方向の先側に配置されている曲がり部軌条と、を有し、
前記変更部案内面は、前記曲がり部軌条の前記一対の案内面のうちの前記方向変更側の案内面であり、
前記誘導部は、前記手前部軌条に設けられ、前記誘導面は、該手前部軌条の前記一対の案内面のうちの前記反対側の案内面の一部を成す、
ことを特徴とする案内軌条。
【請求項8】
請求項1から4のいずれか一項に記載の案内軌条において、
前記軌道系車両が走行する走行路の両側に設けられている側方案内軌条であり、
前記軌道系車両の前記案内部が主案内輪と分岐案内輪とを有しており、
前記方向変更部が分岐部であり、前記方向変更開始位置が分岐開始位置であり、
前記側方案内軌条は、前記分岐開始位置の進行方向の手前側に配置されている手前部軌条と、該分岐開始位置から進行方向の先側に配置されている分岐部軌条と、を有し、
前記手前部軌条は、前記一対の案内部の前記主案内輪それぞれが接触可能に、前記走行路幅方向で間隔を開けて配置されている一対の主案内軌条を有し、
前記分岐部軌条は、前記一対の案内部の前記分岐案内輪それぞれが接触可能に、前記走行路幅方向で間隔を開けて配置され、該手前部軌条から走行本線経路に沿った本線方向を向く本線案内位置、及び該本線方向と異なる方向の走行分岐線経路に沿った分岐方向を向く分岐案内位置に変位可能な一対の可動分岐軌条を有し、
前記変更部案内面は、前記分岐案内位置に位置している前記一対の可動分岐軌条のうち、前記方向変更側の前記可動分岐軌条の案内面であって、該方向変更側を向く分岐案内面であり、
前記変更部案内面に対応する前記案内部は、前記一対の案内部のうち、前記方向変更側の案内部であり、
前記誘導部は、前記一対の主案内軌条のうちの前記方向変更側の前記主案内軌条に設けられ、該主案内軌条の前記反対側の案内面の一部を成す誘導面を有し、該誘導面は、前記一対の案内部それぞれの主案内輪を前記反対側に徐々に導き、前記方向変更側の前記案内部の前記分岐案内輪を、走行路幅方向で、前記分岐案内位置での前記分岐案内面に近接させるよう、前記分岐部に近づくに連れて該反対側の該主案内軌条に次第に近づいている、
ことを特徴とする案内軌条。
【請求項9】
請求項1から4のいずれか一項に記載の案内軌条において、
前記軌道系車両が走行する走行路の両側に設けられている側方案内軌条であり、
前記方向変更部が曲がり部であり、前記方向変更開始位置が曲がり開始位置であり、
前記側方案内軌条は、前記曲がり開始位置の進行方向の手前側に配置されている手前部軌条と、該曲がり開始位置から進行方向の先側に配置されている曲がり部軌条と、を有し、
前記手前部軌条及び前記曲がり部軌条は、いずれも、前記一対の案内部それぞれが接触可能に前記走行路幅方向で間隔を開けて配置されている一対の主案内軌条を有し、該一対の主案内軌条には、それぞれ、他方の主案内軌条側を向く前記案内面がそれぞれ形成され、
前記変更部案内面は、前記曲がり部軌条における前記一対の主案内軌条のうちで、前記反対側の該主案内軌条の前記案内面であり、
前記変更部案内面に対応する前記案内部は、前記一対の案内部のうち、前記反対側の案内部であり、
前記誘導部は、前記手前部軌条における前記一対の主案内軌条のうちの前記方向変更側の該主案内軌条に設けられ、該主案内軌条の前記案内面の一部を成す誘導面を有し、該誘導面は、前記一対の案内部を前記反対側に徐々に導き、前記反対側の前記案内部を走行路幅方向で前記反対側の該主案内軌条の前記案内面に近接させるよう、前記曲がり部に近づくに連れて該反対側の該主案内軌条に徐々に近づいている、
ことを特徴とする案内軌条。
【請求項10】
請求項6又は8に記載の案内軌条において、
前記本線方向に対する前記誘導面が延びている方向の角度は、該本線方向に対する前記分岐方向の角度よりも小さい、
ことを特徴とする案内軌条。
【請求項11】
請求項1から10のいずれか一項に記載の案内軌条と、
前記軌道系車両が走行する走行路と、
を備えていることを特徴とする軌道系交通システム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【図22】
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【公開番号】特開2012−172463(P2012−172463A)
【公開日】平成24年9月10日(2012.9.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−37242(P2011−37242)
【出願日】平成23年2月23日(2011.2.23)
【出願人】(000006208)三菱重工業株式会社 (10,378)