説明

梁受け回転ピース

【課題】切梁の端部と火打ち梁の端部を腹起しの側面部に任意の角度で接合することができ、また腹起しに作用する大きな土圧に十分かつ安全に対処できる梁受け回転ピースを提供する。
【解決手段】腹起し2の側面部に取り付けられる下部ピース7と切梁3または火打ち梁5,6の端部に取り付けられる上部ピース8とから構成する。下部ピース7は複数のボルト孔11を有する下部ベース部9と、下部ベース部9の上面に突設され、上端部に腹起し2の軸直角方向と平行な線を中心軸とする円弧状の当接面部12を有する下部梁受け部10を備えて構成する。上部ピース8は複数のボルト孔19を有する上部ベース部17と、上部ベース部17の下面に突設され、下端部に腹起し2の軸直角方向と平行な線を中心軸とする円弧状の凹曲面状に形成され、かつ円弧状の当接面部12が回転自在に内接嵌合する嵌合凹部20を有する上部梁受け部18を備えて構成する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、切梁の端部と火打ち梁の端部を腹起しの側面部に接合するための梁受け回転ピースに関し、地盤の崩落や土砂の流出等を防止する山止め支保工において、切梁の端部と火打ち梁の端部を腹起しの側面部に任意の角度で接合することができ、かつ腹起しに作用する大きな土圧に十分かつ安全に対処することができる。
【背景技術】
【0002】
一般に、地下構造物や埋設物などの施工に際しては、施工中、掘削の側面を保護して周囲地盤の崩壊や土砂の流出等を防止するため、多数のシートパイル等からなる山止め壁が仮設され、山止め壁の内側には腹起し、切梁、火打ち梁などからなる山止め支保工が仮設される。
【0003】
通常、腹起しは山止め壁の内側に水平に添え付けられ、切梁は腹起しの側面部に端部を直角に突き付けて水平に架け渡され、かつアジャストジャッキや油圧ジャッキ等によって腹起しに強く押し付けられる。
【0004】
また、腹起しと切梁間に火打ち梁が架け渡され、通常、火打ち梁は、腹起し側と切梁側にそれぞれ30度〜60度の火打角度で設置されるが、腹起しの断面設計に際し、特に腹起しの設計用スパン(有効スパン)を決定する上で有利になる等の理由により腹起し側60度、切梁側30度の火打角度、あるいは腹起し側、切梁側共に45度の火打ち角度で設置されることが多い。
【0005】
また、火打ち角度が60度、45度および30度の場合、現場施工の省力化、効率アップ等の理由により、火打ち梁の両端は腹起しと切梁にそれぞれ60度用火打ピースと30度用火打ピース、腹起し側、切梁側共に45度用火打ちピースを介してボルト接合される。
【0006】
そして、これ以外の火打ち角度で接合する場合は、例えば図6(a)〜(c)に図示するように、腹起し30側に火打ち梁31を受ける火打ち受けボックスや火打ち受けピース等の火打ち受け部材32を取り付け、火打ち梁31の端部と火打ち受け部材32との間に袋詰めにしたコンクリート33を充填することにより角度調整を行っている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】実公平5−16284号公報
【特許文献2】実公平7−12429号公報
【特許文献3】特開2006−138125号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
しかし、30度、45度および60度用火打ち受けピースによる接合は、これ以外の火打ち角度で接合できないだけでなく、角度調整が自由にできないという課題があった。
【0009】
また、火打ち受けボックスと袋詰めコンクリートによる接合は、強度上の信頼性に劣るだけでなく、施工効率が落ちる等の課題があった。
【0010】
本発明は、以上の課題を解決するためになされたもので、切梁と火打ち梁の端部を腹起しの側面部に任意の角度で接合でき、かつ腹起しに作用する土圧に十分かつ安全に対処できる梁受け回転ピースを提供することを目的とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0011】
請求項1記載の梁受け回転ピースは、腹起しの側面部に切梁または火打ち梁の端部を任意の角度で接合するための梁受け回転ピースであって、前記腹起しの側面部に取り付けられる下部ピースと、前記切梁または火打ち梁の端部に取り付けられる上部ピースとから構成され、前記下部ピースは複数のボルト孔を有する下部ベース部と当該下部ベース部の上面に突設され、前記腹起しの軸直角方向と平行な線を中心軸とする円弧状の当接面部を有する下部梁受け部を備え、前記上部ピースは複数のボルト孔を有する上部ベース部と、当該上部ベース部の下面に突設され、前記腹起しの軸直角方向と平行な線を中心軸に凹曲面状をなし、かつ前記円弧状の当接面部が回転自在に内接嵌合する嵌合凹部を有する上部梁受け部を備えて構成されてなることを特徴とするものである。
【0012】
本発明は、腹起しの側面部に切梁の端部を直角に接合できない場合や、腹起しの側面部に火打ち梁の端部を30度、45度または60度用の火打ちピースで接合できない場合でも、切梁または火打ち梁の端部を腹起しの側面部に任意の角度で接合することができ、また腹起しに作用する大きな土圧に十分かつ安全に対処できるようにしたものである。
【0013】
本発明によれば、下部ピースの下部梁受け部に形成された当接面部と上部ピースの上部梁受け部に形成された嵌合凹部が回転自在に内接嵌合することで、腹起しの側面部に切梁の端部を直角以外の角度でも接合することができ、また、腹起しの側面部に火打ち梁の端部を30度、45度または60度以外の任意の角度でも容易に接合することができる。
【0014】
さらに、下部梁受け部の当接面部と上部梁受け部の嵌合凹部が回転自在に内接嵌合し、かつ双方が面接触する支圧構造により軸圧縮に対する強度がきわめて大きく、このため腹起しに作用する大きな土圧に対しても十分かつ安全に対処することができる。
【0015】
なお、下部ピースと上部ピースは、いずれも鋳造または複数のプレートを溶接することにより容易に製作することができ、特に鋳造は量産に適し、溶接による製作は必要に応じて製作する場合に必要な数だけ廉価に製作することができる。
【0016】
請求項2記載の梁受け回転ピースは、請求項1記載の梁受け回転ピースにおいて、前記下部ピースの下部梁受け部の当接面部の円弧と、その円弧の中心とで形成される扇形を二分する対称軸が、前記腹起しの軸方向と直角な方向に対し片側に偏って傾斜しており、下部ピースの前記対称軸と反対の側に前記切梁または火打ち梁からの軸力に抵抗させるための補強リブが形成されていることを特徴とするものである(図1(b))。
【0017】
図1(b)において、イは下部ピースの下部梁受け部の当接面部の円弧、ロは円弧イの中心、ハは円弧イと円弧イの中心ロとで形成される扇形、ニは切梁または火打ち梁からの軸力に抵抗する補強リブ、そして、Lは扇形ハを二分する対称軸である。
【0018】
本発明は、特に腹起しの側面部に傾斜して接合される切梁と火打ち梁に作用する大きな軸力に備えたものであり、特に切り梁または火打ち梁が接合された梁受け部の反対側に補強リブが切梁または火打ち梁に対向して形成されていることで、腹起しに作用する土圧をより強固に保持することができる。
【0019】
補強リブは、下部ベース部および梁受け部と一体に形成されてよく、またリブ材を溶接などによって後付けすることにより形成することもできる。なお、切梁または火打ち梁の向きが反対になるときは、これに合わせて下部ピースの向きを反対向きに変えればよい。
【0020】
請求項3記載の梁受け回転ピースは、請求項2記載の梁受け回転ピースにおいて、前記腹起しの軸方向に対する前記対称軸の傾斜角が60〜75°であることを特徴とするものである(図1参照)。
【0021】
腹起しの軸方向に対する対称軸Lの傾斜角αが、この範囲で切梁または火打ち梁が腹起しに接合されていれば、切梁または火打ち梁を介して作用する大よその軸力に対して補強リブを有効に作用させることができる。また、切梁または火打ち梁を腹起しに対し傾斜させた状態にだけでなく、直角にも接合することができる。
【0022】
なお、腹起しの軸方向に対する前記対称軸Xの傾斜角αが60°で、切梁などを30〜90°の角度で受けることができ、また、傾斜角αが67.5°で、切梁などを30〜105°の角度で受けることができる。さらに、傾斜角αが75°では、切梁などを30〜120°の角度で受けることができる。
【0023】
請求項4記載の梁受け回転ピースは、請求項1〜3のいずれかひとつに記載の梁受け回転ピースにおいて、下部ピースの下部梁受け部および上部ピースの上部梁受け部のいずれか一方または両方に、前記腹起しの軸直角方向の両側に補強リブが形成されていることを特徴とするものである。
【0024】
本発明は、特に切梁または火打ち梁を介して作用する軸圧縮による下部梁受け部および上部梁受け部の座屈破壊に備えたものであり、この場合の補強リブはリブ材を溶接などによって後付けすることにより容易に形成することができる。
【0025】
請求項5記載の梁受け回転ピースは、請求項1〜4のいずれかひとつに記載の梁受け回転ピースにおいて、下部ピースの下部ベース部に複数のボルト孔が腹起しの軸方向に複数列に形成され、かつ各列のボルト孔の間隔が列毎に異なっていることを特徴とするものである。
【0026】
下部ピースを取り付ける腹起しには、径とボルト孔の間隔の異なるものが多種存在することから、下部ベース部のボルト孔をいわゆる、「千鳥配置」とすることにより、径とボルト孔の間隔の異なる腹起しにも一種類の下部ピースで対応できるようにしたものである。
【発明の効果】
【0027】
本発明は、下部ピースの下部梁受け部に形成された当接面部と上部ピースの上部梁受け部に形成された嵌合凹部が回転自在に内接嵌合することで、腹起しの側面部に切梁の端部を直角以外の任意の角度に容易に接合することができ、また、腹起しの側面部に火打ち梁の端部を30度、45度または60度以外の任意の角度で容易に接合することができる。
【0028】
また、下部梁受け部の当接面部と上部梁受け部の嵌合凹部が回転自在に内接嵌合し、かつ双方が面接触する支圧構造により軸圧縮力に対する強度がきわめて大きく、このため腹起しに作用する大きな土圧に対して十分かつ安全に対処することができる。
【0029】
さらに、切梁または火打ち梁が腹起しの側面部に傾斜して接合される場合でも、これらの梁が接合された梁受け部の反対側に補強リブが形成されていることで、腹起しに作用する土圧をより強固にかつ安全に保持することができる。
【図面の簡単な説明】
【0030】
【図1】腹起しと切梁および火打ち梁との接合部を示し、(a)は腹起しの側面部に切梁と火打ち梁の端部が梁受け回転ピースによって、それぞれ60度、30度、75度の角度で接合された状態を示す平面図、(b)は切梁または火打ち梁と補強リブとの相対的位置関係を示す説明図である。
【図2】腹起しの側面部に火打ち梁の端部が梁受け回転ピースによって、60度の角度で接合された状態を示す平面図である。
【図3】梁受け回転ピースによる腹起しと火打ち梁との接合部を示し、(a)は平面図、(b)は(a)におけるイ−イ線断面図である。
【図4】下部ピースを示し、(a)は平面図、(b)は背面図、(c)は左側面図である。
【図5】上部ピースを示し、(a)は平面図、(b)は底面図、(c)は左側面図、(d)は(c)におけるロ−ロ線断面図である。
【図6】(a),(b)は、腹起しの側面部に切梁と火打ち梁を接合する方法の従来例を示す斜視図、(c)はその平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0031】
図1〜図5は、本発明の一実施形態を示し、図1において、多数のシートパイル等からなる山止め壁1の内側に複数の腹起し2が設置され、当該腹起し2の側面部に切梁3の端部が梁受け回転ピース4を介し、60度の角度で接合されている。
【0032】
また、切梁3の両側に火打ち梁5と火打ち梁6が設置され、それぞれ腹起し2の側面部に梁受け回転ピース4を介し、火打ち梁5は30度の角度で、火打ち梁6は75度の角度でそれぞれ腹起し2の側面部に接合されている。
【0033】
なお、図2においては、切梁3の端部は腹起し2の側面部に梁受け回転ピースを介さないで直接直角に接合され、火打ち梁5と火打ち梁6の端部は腹起し2の側面部に、共に梁受け回転ピース4を介し、60度の火打ち角度で接合されている。
【0034】
梁受け回転ピース4は、腹起し2の側面部に取り付けられた下部ピース7と、切梁3、火打ち梁5および火打ち梁6の各梁の端部にそれぞれ取り付けられた上部ピース8とから構成されている。なお、図3は、腹起し2の側面部に火打ち梁5の端部が梁受け回転ピース4を介して接合された状態を図示したものである。
【0035】
下部ピース7は、腹起し2の軸方向を長辺とする長方形板状の下部ベース部9の上面中央に腹起し2の軸方向を長辺とする平面矩形状の下部梁受け部10を備えて形成されている(図4参照)。
【0036】
下部ベース部9には複数のボルト孔11が形成されている。ボルト孔11は、下部梁受け部10の両側に腹起し2の軸方向に所定間隔おきに形成されている。
【0037】
なお、ボルト孔11の位置、径および間隔は、多種存在する既存の腹起し材に取り付け可能なように形成されている。例えば、ボルト孔11は、下部梁受け部10の両側にそれぞれ腹起し2の軸方向に2列にかつ外側の列のボルト孔11のピッチは広めに、内側の列のボルト孔11のピッチは外側の列より小さく形成されており(図省略)、いわゆる千鳥配置になっている。
【0038】
また、下部梁受け部10の上端部には腹起し2の軸直角方向と平行な線を中心軸とする側面視円形状の当接面部12が形成され、また下部梁受け部10の両側面部にねじ孔10aが形成されている。
【0039】
さらに、下部ベース9には第一補強リブ13または第一補強リブ13および第二補強リブ14が下部梁受け部10と腹起し2の軸方向に隣接し、かつ下部ベース部9および下部梁受け部10と一体に形成されている。
【0040】
第一補強リブ13と第二補強リブ14は、下部梁受け部10および当接面部12と同一平面内で互いに一体に形成され、かつ下部梁受け部10を腹起し2の軸方向に挟んで、切梁3、火打ち梁5および火打ち梁6の各梁の端部とそれぞれ対向するように形成されている。
【0041】
すなわち、第一補強リブ13と第二補強リブ14は、切梁3、火打ち梁5および火打ち梁6の各梁の材軸のほぼ延長線上に下部梁受け部10を介在して設置されている。
【0042】
第一補強リブ13と第二補強リブ14がこのように形成されていることで、腹起し2の側面部に斜めに接合された切梁3、火打ち梁5および火打ち梁6の各梁に作用する大きな軸圧縮力に対してもきわめて有効に抵抗することができる。
【0043】
なお、第一補強リブ13と第二補強リブ14は、下部梁受け部10と一体的に形成されてもよく、また第二補強リブ14のようにリブ材を溶接などによって後付けして形成されてもよい。また、場合によっては第二補強リブ14を省略してもよい。
【0044】
さらに、下部梁受け部10の両側に複数の第三補強リブ15が対称に、かつ下部ベース部9および下部梁受け部10と一体に形成されている。
【0045】
第三補強リブ15は、切梁3、火打ち梁5および火打ち梁6の各梁に作用する大きな軸圧縮力による下部梁受け部10の座屈破壊に対処することができる。
【0046】
このように形成された下部ピース7は、下部ベース部9のボルト孔11と腹起し2に形成されたボルト孔2aを貫通する複数の取付ボルト16によって腹起し2の側面部に取り付けられている。
【0047】
上部ピース8は、方形板状の上部ベース部17の下面中央に腹起し2の軸方向を長辺とする平面矩形状の上部梁受け部18を備えて形成されている(図5参照)。
【0048】
上部ベース部17には、複数のボルト孔19が上部梁受け部18の各コーナ部付近に位置して形成されている。
【0049】
上部梁受け部18の下端部には腹起し2の軸直角方向と平行な線を中心軸とし、下部梁受け部10の当接面部12の半径とほぼ同じ内径で凹曲面状をなす嵌合凹部20が形成されている。
【0050】
また、嵌合凹部20の腹起し2の軸直角方向の両側にガイドプレート21がそれぞれ取り付けられ、当該ガイドプレート21の腹起し2の軸直角方向側に補強リブ22が対称に取り付けられている。補強リブ22はガイドプレート21および上部ベース部17に溶接などによって一体に取り付けられている。
【0051】
このように構成された上部ピース8は、切梁3、火打ち梁5および火打ち梁6の各梁の端部に調整ジャッキ23を介し、上部ベース部17のボルト孔19を貫通する複数の取付けボルト24によって取り付けられている。なお、図3では、火打ち梁5の端部に上部ピース8が取り付けられている。
【0052】
また、上部梁受け部18の嵌合凹部20と下部梁受け部10の当接面部12がその円周方向に回転自在に内接嵌合され、かつ切梁3、火打ち梁5および火打ち梁6の各梁が設置された位置にフィットするように、調整ジャッキ23を操作することにより各梁の長さが調整されている。
【0053】
以上の構成により、下部ピース7の下部梁受け部10に形成された当接面部12と上部ピース8の梁受け部18に形成された嵌合凹部20が内接嵌合し、その円周方向に回転自在であることにより、切梁3、火打ち梁5および火打ち梁6の各梁の端部は梁受け回転ピース4を介して腹起し2の側面部に任意の角度で接合することができる。
【0054】
なお、実施例では、下部ピース7に第一補強リブ13と第二補強リブ14が形成されていることにより、下部ピース7と上部ピース8は、当接面部12と嵌合凹部20が内接嵌合した状態で30°〜75°の範囲で接合し、腹起し2の軸方向に対する対称軸Lの傾斜角αは、67.5°になっている(図1参照)。
【0055】
また、下部ピース7の当接面部12と上部ピース8の嵌合凹部20が内接嵌合し、双方の面と面が面接触する支圧構造により軸圧縮力に対する強度がきわめて大きく、このため大きな土圧を支持する切梁3、火打ち梁5および火打ち梁6の各梁の腹起し2側の端部を腹起し2の側面部に強固に接合することができ、これにより腹起し2に作用する大きな土圧に十分かつ安全に対処することができる。
【0056】
このような構成において、次に、切梁3と火打ち梁5および火打ち梁6の設置手順を説明する。
【0057】
(1)最初に、切梁3、火打ち梁5および火打ち梁6の各梁の端部に梁受け回転ピース4の下部ピース7と上部ピース8を取り付ける。
【0058】
上部ピース8は、各梁の端部に調整ジャッキ23と共に上部ベース部17のボルト孔19を貫通する複数の取付ボルト24によって各梁の端部に取り付ける。
【0059】
また、下部ピース7は下部梁受け部10の当接面部12を上部ピース8の嵌合凹部20に内接嵌合し、ガイドプレート21に形成されたボルト孔21aを貫通し、下部梁受け部10の両側面部に形成されたねじ孔10aに螺合される連結ねじ25によって上部ピース8に取り付ける。
【0060】
(2)次に、梁受け回転ピース4を取り付けた切梁3を腹起し2の内側に吊り込み、下部ピース7の下部ベース部9を腹起し2の側面部に添え付ける。そして、下部ベース部9のボルト孔11と腹起し2に形成されたボルト孔2aを貫通する複数の取付ボルト16によって下部ピース7を腹起し2の側面部にボルト止めする。そして、切梁3が設置された位置にフィットするように、調整ジャッキ23を操作して切梁3の長さを調整する。
【0061】
(3)次に、梁受け回転ピース4を取り付けた火打ち梁5と火打ち梁6を切梁3の両側に順に吊り込む。そして、火打ち梁5と火打ち梁6の切梁3側の端部を切梁3の側面部にそれぞれ接合ピース26を介してボルト接合する。
【0062】
(4)次に、火打ち梁5と火打ち梁6の腹起し2側の端部を、切梁3の腹起し2側の端部と同様にして腹起し2の側面部に接合する。そして、火打ち梁5と火打ち梁6がそれぞれ設置された位置にフィットするように調整ジャッキ23を操作して火打ち梁5と火打ち梁6の長さを調整する。以上の施工手順により切梁3と火打ち梁5および6の設置は完了する。
【産業上の利用可能性】
【0063】
本発明は、切梁と火打ち梁の端部を腹起しの側面部に任意の角度で接合することができ、また腹起しに作用する大きな土圧に十分かつ安全に対処することができる。
【符号の説明】
【0064】
1 山止め壁
2 腹起し
2a ボルト孔
3 切梁
4 梁受け回転ピース
5 火打ち梁
6 火打ち梁
7 下部ピース
8 上部ピース
9 下部ベース部
10 下部梁受け部
11 ボルト孔
12 当接面部
13 第一補強リブ
14 第二補強リブ
15 第三補強リブ
16 取付ボルト
17 上部ベース部
18 上部梁受け部
19 ボルト孔
20 嵌合凹部
21 ガイドプレート
22 補強リブ
23 調整ジャッキ
24 取付ボルト
25 連結ねじ
26 接合ピース

【特許請求の範囲】
【請求項1】
腹起しの側面部に切梁または火打ち梁の端部を任意の角度で接合するための梁受け回転ピースであって、前記腹起しの側面部に取り付けられる下部ピースと、前記切梁または火打ち梁の端部に取り付けられる上部ピースとから構成され、前記下部ピースは複数のボルト孔を有する下部ベース部と当該下部ベース部の上面に突設され、前記腹起しの軸直角方向と平行な線を中心軸とする円弧状の当接面部を有する下部梁受け部を備え、前記上部ピースは複数のボルト孔を有する上部ベース部と、当該上部ベース部の下面に突設され、前記腹起しの軸直角方向と平行な線を中心軸に凹曲面状をなし、かつ前記円弧状の当接面部が回転自在に内接嵌合する嵌合凹部を有する上部梁受け部を備えて構成されてなることを特徴とする梁受け回転ピース。
【請求項2】
請求項1記載の梁受け回転ピースにおいて、前記下部ピースの下部梁受け部の当接面部の円弧と、その円弧の中心とで形成される扇形を二分する対称軸が、前記腹起しの軸方向と直角な方向に対し片側に偏って傾斜しており、下部ピースの前記対称軸と反対の側に前記切梁または火打ち梁からの軸力に抵抗させるための補強リブが形成されていることを特徴とする梁受け回転ピース。
【請求項3】
請求項2記載の梁受け回転ピースにおいて、前記腹起しの軸方向に対する前記対称軸の傾斜角が60〜75°であることを特徴とする梁受け回転ピース。
【請求項4】
請求項1〜3のいずれかひとつに記載の梁受け回転ピースにおいて、下部ピースの下部梁受け部および上部ピースの上部梁受け部のいずれか一方または両方に、前記腹起しの軸直角方向の両側に補強リブが形成されていることを特徴とする梁受け回転ピース。
【請求項5】
請求項1〜4のいずれかひとつに記載の梁受け回転ピースにおいて、下部ピースの下部ベース部に複数のボルト孔が腹起しの軸方向に複数列に形成され、かつ各列のボルト孔の間隔が列毎に異なっていることを特徴とする梁受け回転ピース。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2013−72264(P2013−72264A)
【公開日】平成25年4月22日(2013.4.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−214299(P2011−214299)
【出願日】平成23年9月29日(2011.9.29)
【出願人】(000179915)ジェコス株式会社 (27)