説明

梅干し

【課題】斬新な梅干しとする。
【解決手段】まず、慶弔用のまんじゅう表面に付されている文字・絵柄などを梅干しAにも付す。その文字・絵柄には、記号等も含まれ、要は、従来の梅干し表面にはなかった模様aが表わせられておれば、それらの模様aも含まれる。つぎに、その模様aを付す梅干しAは、焼き印aをし得る程度の弾力を有するものとする。弾力がなければ、焼き印はし得ないからである。その弾力は、押し印がし得る程度を実験などにより適宜に選定する。その弾力の度合は、干し度合等を適宜に調整して適宜な値とする。この焼き印a付きの梅干しAは、従来になかった表面模様aを有するものとなるため、顧客の注意を惹き、このため、販売促進を図ることができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、表面に模様を施した梅干し、特に慶弔用の梅干し、及びその製造方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
梅干しは、昔から健康食品として親しまれており、その酸っぱさ(pH:2.0程度)の基であるクエン酸が、口から入った細菌に負けないように胃の粘膜を増強し、胃酸や唾液の分泌を盛んにして、食中毒の原因となる細菌の活動を抑えてくれる食中毒防止の効能を有し、また、梅干し独特の風味や香りを作り出しているベンズアルデヒドという成分が、殺菌や防腐効果を発揮するので、お弁当にいれるだけで細菌の繁殖能力を低下させる効能を有する。
さらに、クエン酸は、糖の代謝を活発にし、疲労物質の乳酸の蓄積を防ぎ、タンパク質・でんぷん・脂肪を効率よく燃焼させてエネルギーに代える働きがあるため、梅干しは、食することにより、疲労回復に役立つ効能を有する。
【0003】
また、梅干しには、クエン酸の他に、リンゴ酸、コハク酸、酒石酸、ピルビン酸などの酸が含まれており、それらの有機酸が、新陳代謝を促し、悪玉菌の働きを抑え、おなかの調子を良くしてくれるので、下痢や便秘を改善する効能を有する。
そのピルビン酸は、肝臓の機能を活性化させて高める作用があり、二日酔いの人、疲れが溜まっている人など、肝臓の機能が低下して体がだるくなっている人には、そのピルビン酸を含有する梅干しを食することにより肝機能を高め、その二日酔いや疲れを癒す効能がある。
【0004】
さらに、梅干しは、食べたときや見たときに唾液の出を活発にし、その唾液は、アミラーゼやカタラーゼなどの酵素が含まれており、そのカタラーゼには、過酸化水素を水と分子状酸素に分解して毒性を消す作用がある。このため、ガンや老化の原因を作っているのが、活性酸素の一つである過酸化水素とされており、その唾液のカタラーゼが過酸化水素を水と分子状酸素に分解して毒性を消す作用があるので、梅干しは、食することにより、ガンや老化を抑制する効能を有する。
また、その唾液には、糖を分解する成分の消化酵素プチアリンを含んでおり、そのプチアリンが、糖を胃で分解する前に分解を始めるので、胃への負担が軽くなり、消化を促進する効能を有する。
【0005】
さらに、カルシウムは体に必要なものであるため、海藻、牛乳、小魚などカルシウムを含んでいる食べ物をたくさん摂取する必要はあるが、カルシウムはそのままでは体内に吸収されにくいという性質がある。しかし、その摂取時、梅干しを食すると、梅干しに豊富に含まれているクエン酸と結びつくことでカルシウムが吸収されやすい効能がある。
また、今日の日本の肉食主体の食生活では、血液の酸性化が問題となっているが、梅干しは、アルカリ性食品なので、食することにより、含まれている有機物が、酸性の食品に含まれている酸化物を減少させて、血液をアルカリ性に保つ効能を有する。これにより、前記血液の酸性化の問題を解決し得る。
【0006】
さらに、梅干しは、上記のように、そのまま食しても新陳代謝を促す作用があるが、梅干しを焼くと、体を温める成分が生まれ、その体温の上昇により体中の細胞が活性化し、新陳代謝をアップさせ、脂肪の代謝もよくして脂肪を燃焼する効能を有する。この効能は、体に良いものを食べながらにして、ダイエットが出来るという効能もあることとなる。
【0007】
このように、梅干しは数々の効能を有しているため、昔から健康食品として重宝がられており、健康ブームの今日ではさらに需要が増している。
このため、その梅干しをより美味しく食するため、はちみつ梅干し、かつお梅干し、しそ漬梅干し等の他の食品を混ぜ合わせたり、種々の手順により食べやすくしたりする等の調理法が考案されている(特許文献1等参照)。
【特許文献1】特開2004−222599号公報
【0008】
また、梅干しは、一般的には、瓶に納めたり、箱に納めたりして販売されている。さらに、健康に良いものであるから、慶弔用のお返し品、特に慶事の引き出物として使用される機会も多くなっている。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
その従来の慶弔用のお返し品としての梅干しは、複数個の梅干しを縦横に並べてフィルムで密封し、そのパック梅干しを木箱等に納めたものが一般的である(実施例参照)。
そのような箱詰め梅干しの販売を促進するためには、他のものとの差別化が必要であるが、従来では、その差別化は、箱の包装に工夫をして行っているのが実情である。包装の工夫では顧客へのアピール度が低く、さらなる差別化への工夫が望まれている。
【0010】
この発明は、顧客へのアピール度の高い差別化を簡易な手段によって行い得るようにすることを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
上記課題を達成するために、この発明は、まず、慶弔用のまんじゅう表面に付されている文字・絵柄などの模様を梅干しにも付すようにしたのである。その文字・絵柄には、記号等も含まれ、要は、従来の梅干し表面にはなかった模様が表わせられておれば、それらの模様も含まれる。
つぎに、この発明は、その模様を付す梅干しに、押し印をし得る程度の弾力を有するものを採用することとしたのである。弾力がなければ、押し印はし得ないからである。その弾力は、押し印がし得る程度を実験などにより適宜に選定する。また、その弾力の度合は、干し度合等を適宜に調整して適宜な値とする。
【発明の効果】
【0012】
この発明は、従来の梅干しにはなかった表面模様を有するものとなるため、顧客の注意を惹き、このため、販売促進を図ることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0013】
この発明の実施形態としては、従来の方法により得た梅干しから、押し印できる弾力を有する梅干しに選び出し、その梅干し表面に前記押し印を転写する等を採用する。
その押し印には焼き印等の種々の手段を採用でき、またその印影には、種々のものが考えられるが、慶弔文字又は絵柄等の模様とすれば、その目的が明確となってアピール度が増す。
【実施例】
【0014】
まず、従来と同様に、黄色く柔らかく香りの強い梅を水洗いして軽く水気を切り、その梅を漬け込む。20日程度経過し、梅酢液が出てくれば、その梅を天日干しして梅干しを得る。このとき、天日干しは、通常、2〜3日であるが、半日から1日長くして後述の押し印(焼き印)ができる弾力とする。また、その梅干しから、押し印ができる梅干しを選別する。例えば、表面に凹凸の無いもの、硬いもの等を選別する。
【0015】
その梅干しAの表面に、図2(a)〜同(c)に示すように、焼き印治具Bにより、焼き印aを行う。その際、梅干しAは弾力を有するため、同図(b)に示すように、梅干しAはその弾力をもってその焼き印治具Bの押し付けに伴って窪んで、図1に示すように、その表面に焼き印(模様)aが施される。焼き印治具Bの温度は、まんじゅう等への場合に比べて、水分が多い点から少し高めとする。
【0016】
その焼き印aには、同図に示すように、「福」等の使用目的等に応じた文字・図柄を適宜に採用する。
このようにして表面に焼き印aをした梅干しAは、例えば、図3〜図5に示すように、木箱Cに入れて販売する。図4では、各梅干しAが露出しているが、この各梅干しAを樹脂フィルムで密封することが、日持ちや衛生上等の面から好ましい。
この焼き印a付き梅干しAは、例えば、図6に示すように、皿Dに盛って食卓に出して食する。
【0017】
上記実施例は、慶事用のものであるが、この発明は、慶弔用に限らず、表面に種々の模様を描いた梅干しを得ることができ、それらの梅干しAを含むことは言うまでもない。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【図1】一実施例の斜視図
【図2】同実施例の製作説明図
【図3】同実施例の一包装態様図
【図4】同包装態様の蓋を除去した斜視図
【図5】図4の一部拡大正面図
【図6】同実施例の使用態様図
【符号の説明】
【0019】
A 梅干し
a 焼き印(押し印)
B 焼き印治具(押し印治具)
C 木箱
D 皿

【特許請求の範囲】
【請求項1】
弾力のある梅干し(A)に押し印(a)をした梅干し。
【請求項2】
上記押し印(a)が焼き印であることを特徴とする請求項1に記載の梅干し。
【請求項3】
上記押し印(a)が慶弔文字又は絵柄であることを特徴とする請求項1又は2に記載の慶弔用梅干し。
【請求項4】
押し印ができる程度の弾力を有する梅干し(A)を選び、その梅干し(A)に押し印をして、その梅干し(A)表面に前記押し印を転写して請求項1乃至3のいずれかに記載の梅干しを作る方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2007−215503(P2007−215503A)
【公開日】平成19年8月30日(2007.8.30)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−41068(P2006−41068)
【出願日】平成18年2月17日(2006.2.17)
【出願人】(506056837)
【Fターム(参考)】