説明

梱包容器および梱包方法

【課題】内容物を収容している袋を容器内に収容している場合において、周囲環境に係わらず、袋の破損を防ぐことができる梱包容器および梱包方法を提供する。
【解決手段】粉末成形体Mを梱包する容器であって、粉末成形体Mを気密に封入する可撓性の封入容器3と、封入容器3を収容する保持容器4とからなり、保持容器4は、封入容器3の素材よりも強度が高く、その内容積が、封入容器3が膨張したときにおける最大体積よりも小さいものである。梱包容器4を保管したり運搬したりするときに、周囲の温度が上昇して封入容器3内の気体が膨張しても、封入容器3は保持容器4の内容積までしか膨張できないので、封入容器3が破損することを防ぐことができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、梱包容器および梱包方法に関する。
【背景技術】
【0002】
粉末を形成して得られる粉末成形体は、その形状や性質を維持することが重要である。
例えば、多管式反応器に使用される触媒等の場合、形状が損なわれたものが含まれている場合には反応器内における気体の流れが不均一になる可能性があるし、また、触媒が吸湿してしまった場合には反応性が低下するなどの問題が生じる可能性がある。
【0003】
そして、上記のごとき粉末成形体を保管したり運搬したりする場合において、保管等している間に吸湿等によって粉末成形体が変質することを防ぐために、防湿性素材によって形成された袋に、粉末成形体を気密に密封して保管運搬することが行われている(例えば、特許文献1)。
【0004】
しかるに、上記のごとき袋は、常温における粉末成形体の吸湿を防ぐ上では有効であるが、この袋を保管運搬する場所が高温になると、袋内の気体が膨張して体積が増加し、袋が破れてしまう可能性がある。袋が破れてしまえば、粉末成形体は外気に曝されるため、粉末成形体が吸湿して変質してしまう可能性がある。
【0005】
また、粉末成形体は、複数の小袋にそれぞれ秤量され小分けされた状態で、上記のごとき防湿性の容器内に収容されて保管運搬される場合がある。この場合には、容器を保管運搬する場所が高温になると、小袋を収容した容器は破損しなくても、小袋が膨張して破れてしまう可能性がある。すると、小袋が破れてその内部の粉末成形体が容器内に散乱するので、複数の小袋が破れた場合、粉末成形体を再度小袋に収容しなければならないし、その際粉末成形体を再秤量しなければならないので非常に手間がかかる。そして、散乱した粉末成形体が他の小袋を傷つけて、他の小袋も損傷してしまう可能性がある。
【0006】
さらに、小袋を収容する容器として金属製の缶を使用した場合には、缶内に散乱した粉末成形体が缶との摩擦によって摩耗してしまい、その形状が変わってしまう可能性もある。
【0007】
【特許文献1】特開2003−10695号
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本発明は上記事情に鑑み、内容物を収容している袋を容器内に収容している場合において、周囲環境に係わらず、袋の破損を防ぐことができる梱包容器および梱包方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
第1発明の梱包容器は、粉末成形体を梱包する容器であって、前記粉末成形体を気密に封入する可撓性の封入容器と、該封入容器を収容する保持容器とからなり、該保持容器は、前記封入容器の素材よりも強度が高く、その内容積が、前記封入容器が膨張したときにおける最大体積よりも小さいものであることを特徴とする。
第2発明の梱包容器は、第1発明において、前記封入容器内に収容される、通気性を有する内部容器を備えており、該内部容器内に前記粉末成形体が収容されることを特徴とする。
第3発明の梱包容器は、第2発明において、前記内部容器を複数備えており、各内部容器は、それぞれ秤量された前記粉末成形体が封入されるものであることを特徴とする。
第4発明の梱包容器は、第1、2または3発明において、前記封入容器は、防湿性を有しており、25℃における透湿度が、1.0g/m2・24h以下であることを特徴とする。
第5発明の梱包容器は、第1発明において、前記封入容器が、伸縮性を有することを特徴とする。
第6発明の梱包方法は、粉末成形体を梱包する梱包方法であって、前記粉末成形体を封入容器内に気密に封入し、前記粉末成形体が封入された前記封入容器を、該封入容器の素材よりも強度が高くかつ該封入容器が膨張したときにおける最大体積よりも内容積が小さい保持容器内に収容することを特徴とする。
第7発明の梱包方法は、第6発明において、前記粉末成形体を、通気性を有する内部容器に収容した状態で、前記封入容器内に気密に封入することを特徴とする。
第8発明の梱包方法は、第7発明において、複数の前記内部容器にそれぞれ前記粉末成形体を秤量して封入した後、複数の前記内部容器を前記封入容器内に気密に封入することを特徴とする。
第9発明の梱包方法は、第6発明において、前記封入容器内に乾燥気体を流しながら、該封入容器内に前記内部容器を気密に封入することを特徴とする。
第10発明の梱包方法は、第6、7、8または9発明において、前記封入容器として、25℃における透湿度が、1.0g/m2・24h以下となるように形成された防湿性の容器を使用することを特徴とする。
【発明の効果】
【0010】
第1発明によれば、梱包容器を保管したり運搬したりするときに、周囲の温度が上昇して封入容器内の気体が膨張しても、封入容器は保持容器の内容積までしか膨張できないので、封入容器が破損することを防ぐことができる。
第2発明によれば、梱包容器を保管したり運搬したりするときに、周囲の温度が上昇して内部容器内の気体が膨張しても、内部容器の通気性によって気体は封入容器内に排出されるので、内部容器が破損することを防ぐことができる。
第3発明によれば、内部容器に収容されている粉末成形体は秤量済みであるので、使用時に再度秤量する手間を省くことができる。そして、内部容器が破損することがないので、秤量した状態の粉末成形体を内部容器内に維持したまま確実に保管運搬等を行うことができる。
第4発明によれば、透湿度の低さによって、吸湿性を有する粉末成形体であっても長期間の保存に適用することができ、温度や湿度が比較的高い場所での保存に適用することができる。
第5発明によれば、封入容器内の気体が膨張していない状態では、封入容器の体積が小さく収縮するから嵩張らない。そして、膨張した状態に比べてコンパクトな状態で封入容器を保持容器内に収容することができる。
第6発明によれば、梱包容器を保管したり運搬したりするときに、周囲の温度が上昇して封入容器内の気体が膨張しても、封入容器は保持容器の内容積までしか膨張できないので、封入容器が破損することを防ぐことができる。
第7発明によれば、梱包容器を保管したり運搬したりするときに、周囲の温度が上昇して内部容器内の気体が膨張しても、内部容器の通気性によって気体は封入容器内に排出されるので、内部容器が破損することを防ぐことができる。
第8発明によれば、内部容器に収容されている粉末成形体は秤量済みであるので、使用時に再度秤量する手間を省くことができる。そして、内部容器が破損することがないので、内部容器に粉末成形体を秤量した状態を維持したまま確実に保管運搬等を行うことができる。
第9発明によれば、封入容器内の湿度を低下させることができるので、吸湿性を有する粉末成形体でも、長期間保存することができる。
第10発明によれば、透湿度の低さによって、吸湿性を有する粉末成形体であっても長期間の保存に適用することができ、温度や湿度が比較的高い場所での保存に適用することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0011】
つぎに、本発明の実施形態を図面に基づき説明する。
図1は(A)は本実施形態の梱包用器1の概略説明図であり、(B)は封入容器3が膨張している状況の概略説明図である。図2は(A)は本実施形態の梱包用器1における封入容器3として、伸縮性を有する容器を使用した場合の概略説明図であり、(B)は本実施形態の梱包用器1の運搬または保管状況の概略説明図であり、(C)は封入される粉末成形体Mの概略説明図である。
【0012】
図1において、符号1は本実施形態の梱包容器を示している。この梱包容器1は、粉末成形体Mを収容する内部容器2と、この内部容器2を収容する封入容器3と、この封入容器3を収容する保持容器4とから構成されている。
【0013】
まず、内部容器2は、その内部に粉末成形体Mを収容する容器であって、その内部と外部との間を連通する複数の貫通孔が形成されたシート等の部材によって形成されている。この内部容器2に形成されている複数の貫通孔は、いずれも粉末成形体Mが通過できない程度の大きさに形成されている。例えば、図2(C)に示すように、粉末成形体Mの大きさが、直径D、長さLの円柱状である場合には、各貫通孔の直径は、粉末成形体Mの直径Dよりも短くかつ長さLよりも短くなるように形成されている。
つまり、内部容器2は通気性を有しつつ、粉末成形体Mが外部に漏れないように形成されているのである。
【0014】
なお、内部容器2には、定形性を有する箱や缶、不定形な袋、可撓制を有する袋(ビニール袋など)を使用することができるが、通気性を有しつつ粉末成形体Mが外部に漏れないように保持できるものであれば、とくに限定されない。
【0015】
つぎに、封入容器3を説明する。
封入容器3は、例えば、ビニール袋等であり、気密性と可撓性を有する素材によって形成されたものである。この封入容器3は、一つまたは複数の内部容器2をその内部に収容でき、しかも、その表面に撓んだ部分、例えば、ひだ状になった皺などが形成される程度の大きさを有しているが、その理由は後述する。
【0016】
なお、封入容器3は、必ずしも上記のごとき袋である必要はなく、気密性と可撓性を有する素材によって形成された容器であれば、とくに限定されない。
【0017】
つぎに、保持容器4を説明する。
保持容器4は、蓋4aと本体部4bとからなる容器であって、前記封入容器3をその内部に収容するためのものである。この保持容器4は、前記封入容器3の素材よりも強度が高い容器である。つまり、保持容器4は、前記封入容器3の素材よりも強度が高い素材、例えば、金属やプラスチックス等の素材によって形成された剛性の高い容器である。例えば、保持容器4は、金属やプラスチックス等によって形成されたペール缶などの容器である。
そして、保持容器4は、その蓋4aをその本体部4bに取り付けたときの内容積が、前記封入容器3が破れる直前まで膨張したときにおける体積(以下、破裂限界体積という)よりも小さくなるように形成されている。
【0018】
以上のように構成されているので、粉末成形体Mを本実施形態の梱包容器1に収容して保管運搬した場合、粉末成形体Mは、気密性を有する封入容器3内に収容されかつ保持容器4内にも収容されているので、外気と触れることを防ぐことができる。よって、気密に保管運搬する必要がある粉末成形体Mであっても、保管運搬中における粉末成形体Mの変質や劣化を防ぐことができる。
【0019】
なお、蓋4aと本体部4bとを固定するときに、気密性を有する耐熱テープを使用して両者の隙間を完全に塞いでしまうようすれば、保持容器4内への外気の侵入することをより確実に防ぐことができ、粉末成形体Mの保存性を高くすることができるが、蓋4aと本体部4bとを固定する方法はとくに限定されない。
さらになお、保持容器4の蓋4aの内面と本体部4bの内底面にエアクッション4cを設けておけば、封入容器3および内部容器2を介して、間接的に粉末成形体Mと保持容器4とが擦れたり衝突したりしても、粉末成形体Mが摩耗や衝撃等により損傷する可能性を低くできる。すると、保管運搬において、粉末成形体Mの変質や劣化だけでなく、粉末成形体Mが破損したり形状が変化したりすることも防ぐことができるので、好適である。
【0020】
また、粉末成形体Mは、内部容器2内に収容された状態で封入容器3内に収容されている。このため、封入容器3内に複数の内部容器2を収容した状態で保管運搬する場合には、各内部容器2内にそれぞれ秤量された状態で粉末成形体Mを封入することができる。すると、内部容器2に封入する粉末成形体Mの重量を、使用時に必要となる粉末成形体Mの重量と一致させておけば、梱包容器1から粉末成形体Mを取り出して使用する時に、粉末成形体Mを秤量する手間を省くことができる。
例えば、粉末成形体Mが多管式反応器に使用される触媒等の場合、反応器に設けられている複数の反応管にそれぞれ決まった量の粉末成形体Mを投入する必要がある。かかる場合において、内部容器2に封入する粉末成形体Mの重量を、各反応管に投入する粉末成形体Mの重量と一致させておく。すると、内部容器2内の粉末成形体Mを全て各反応管に投入すれば、所定の量の粉末成形体Mを各反応管に投入できる。つまり、各反応管に対して粉末成形体Mを投入するときに、粉末成形体Mを秤量する作業が不要となるので、粉末成形体Mの投入作業を短くすることができる。
【0021】
なお、上記例では、内部容器2内に粉末成形体Mを収容してから封入容器3内に封入するようにしているが、使用時に粉末成形体Mの秤量を行う場合等には内部容器2を設けなくてもよい。しかし、内部容器2を設けておけば、梱包容器1から内部容器2だけを取り出して内部容器2だけを使用場所まで運搬することができるし、また、粉末成形体Mを使用する装置等に対して内部容器2から粉末成形体Mを投入することもできる。すると、重い保持容器4や嵩張る封入容器3に比べて内部容器2は取り扱いが容易であるから、使用場所における粉末成形体Mの運搬作業や粉末成形体Mの投入作業等を容易にすることができるので、好適である。
【0022】
ここで、本実施形態の梱包容器1では、封入容器3が内部容器2(つまり、粉末成形体M)を気密に封入しているから、粉末成形体Mを収容した梱包容器1の保管運搬中に周囲の温度が上昇すると、封入容器3内の気体の温度も上昇し、温度上昇に伴って封入容器3内の気体が膨張する。気体が膨張すると、封入容器3はその撓んでいた部分が膨らむように膨張していくが(図1(A)、(B))、封入容器3が破裂限界体積まで膨張してしまうと、封入容器3は破損するおそれがある。
しかし、本実施形態の梱包容器1では、封入容器3が、該封入容器3の素材よりも強度が高い保持容器4内に収容されており、しかも、保持容器4はその内容積が破裂限界体積よりも小さい。したがって、封入容器3は、撓んでいた部分が膨らんで保持容器4の内容積まで膨張すると、周囲の温度がどれだけ上昇してもそれ以上に膨張することができない。つまり、封入容器3は、破裂限界体積まで膨張できないから、破損しない。
一方、封入容器3内の気体の圧力は保持容器4によって支持されるが、保持容器4は剛性の高い容器である。そして、保持容器4は、梱包容器1の保管運搬中における周囲の温度の上昇に起因して封入容器3内の気圧が上昇しても、その程度の気圧では破損しない強度を有するように形成されている。
このため、粉末成形体Mを収容した梱包容器1の保管運搬中に周囲の温度が上昇しても、封入容器3および保持容器4は破損しない。すると、周囲の温度が上昇しても、粉末成形体Mを封入容器3および保持容器4の内部を気密に保持でき、粉末成形体Mが外気と接触することを防ぐことができるから、温度や湿度が比較的高い場所でも粉末成形体Mを保管運搬等することができる。
【0023】
なお、保持容器4の蓋4aと本体部4bは、封入容器3が保持容器4の内容積まで膨張した後における封入容器3内の気体の圧力を受けても、両者が外れないように固定されているのはいうまでもない。
【0024】
また、本実施形態の梱包容器1では、封入容器3内に収容されている内部容器2が通気性を有している。すると、梱包容器1の保管運搬中に周囲の温度が上昇して内部容器2内の気体が膨張しても、内部容器2の通気性によって、内部容器2内の気体は封入容器3内に排出される。つまり、内部容器2は、その中の気体が膨張しても、内部容器2自体は膨張せず破損することはない。
したがって、本実施形態の梱包容器1は、封入容器3内に複数の内部容器2を収容した状態で保管運搬する場合においても、各内部容器2に粉末成形体Mを秤量した状態を維持したまま、確実に粉末成形体Mを保管運搬等することができる。
【0025】
上記の例では、本実施形態の梱包容器1により気密に保管する粉末成形体Mを梱包する場合を説明した。しかし、吸湿によって変質劣化する性質の粉末成形体Mを梱包する場合には、本実施形態の梱包容器1の封入容器3として、気密性と可撓性に加えて、防湿性を有する素材を使用することが好ましい。
かかる場合において、封入容器3の防湿性は、内部容器2内の湿度をある程度の期間低く保つことができ、内部容器2内の粉末成形体Mの変質や劣化を抑えることができるようになっていればよい。例えば、粉末成形体Mがメタクリル酸製造用触媒である場合には、25℃における透湿度が、1.0g/m2・24h以下となるように形成されていれば、メタクリル酸製造用触媒を、例えば、1年以上の長期間保存することも可能となるし、温度や湿度が比較的高い場所でも保存することが可能となる。
【0026】
なお、上記例では、封入容器3が一重の場合を説明しているが、封入容器3は二重になっていてもよい。この場合には、封入容器3内の気密性や透湿防止効果を高くすることができるという利点がある。
【0027】
また、図2(B)に示すように、多数の梱包容器1を保管運搬するときには、梱包容器1を複数個重ねた上にパレットPを置いて、さらにそのパレットPの上に梱包容器1を複数個重ねた状況で保管運搬される場合がある。かかる状態で保管運搬される場合には、保持容器4は、封入容器3内の気体の圧力を支持できるだけでなく、上方からの荷重によって変形したり潰れたりしない程度の強度に形成されていることが好ましい。
例えば、梱包容器1が、その上面における外周縁にのみ荷重が加わるように積み重ねられる場合であれば、最下層に位置する保持容器4の本体部4bの上端縁に加わる静荷重に対して、本体部4bが潰れたりしない程度の強度を有していることが好ましい。具体的には、粉末成形体Mを収容した梱包容器1の重量が約50Kg、パレットPが約30Kgであって、図2(B)のように梱包容器1が4段積み重ねられる場合であれば、保持容器4の本体部4bの上端縁に加わる静荷重に対する強度が50Kg/m以上であることが好ましい。つまり、保持容器4の本体部4bは、その上端縁に対して単位長さあたり50Kg程度かそれ以下の静荷重が加わっても、潰れたりしない程度の強度を有していることが好ましい。
【0028】
つぎに、本実施形態の梱包用器1に粉末成形体Mを封入する作業を説明する。
まず、複数の内部容器2内に、粉末成形体Mを秤量して充填し封をする。
内部容器2はもともと通気性を有しているので、粉末成形体Mが漏れないように封をすればよいのであるが、例えば、内部容器2が複数の貫通孔を有するビニール袋等の樹脂製の容器であれば、封をヒートシールによって行えば、連続的に作業を行うことができるから、作業性が向上する。
【0029】
つぎに、保持容器4の本体部4b内に封入容器3を配置し、配置された封入容器3内に所定の数の内部容器2を入れる。そして、必要な量の内部容器2を入れ終わると、封入容器3を気密に密封する。このとき、封入容器3の表面に撓んだ部分が形成されるように封をする(図1(A)参照)。
なお、封入容器3にビニール袋等の樹脂製の容器を使用する場合には、封をヒートシールによって行えば、容易かつ確実に気密性の高い封を行うことができる。また、封をヒートシールによって行えば、内部容器2の場合と同様に、連続的に作業を行うことができ作業性が向上するので、好適である。
【0030】
そして、保持容器4の本体部4bに蓋4aを取り付けて、その本体部4bと蓋4aを固定すると、梱包容器1による粉末成形体Mの梱包が終了する。
【0031】
なお、封入容器3内の粉末成形体Mは外部と気密に遮断されているが、内部容器2を封入容器3内に入れるときに、ある程度の気体は封入容器3内に入ってしまう。すると、粉末成形体Mが吸湿性を有するものの場合には、封入容器3内に封入されている気体中の水分により粉末成形体Mが吸湿して変質したり劣化したりする可能性は否定できない。
そこで、内部容器2を封入容器3内に入れるときに、封入容器3内に乾燥気体を流しながら作業を行うことが好ましい。すると、封入容器3内の湿度を低下させることができるので、吸湿性を有する粉末成形体Mが長期間保存することができ、保存中において粉末成形体Mが吸湿して変質劣化することをより確実に防ぐことができる。
【0032】
また、上記の実施形態では、封入容器3が可撓性を有するものである場合を説明したが、封入容器3には、ゴム袋のように伸縮性を有する容器を使用することも可能である。
封入容器3が伸縮性を有する容器の場合には、封入容器3内の気体が膨張したときに容器自体が伸張するので、内部容器2をその内部に収容した状態において、その表面に撓んだ部分ができる大きさのものを使用しなくてもよくなる(図2(A)参照)。すると、封入容器3内の気体が膨張していない状態では、封入容器3の体積が小さく収縮しており嵩張らないので、膨張した状態に比べてコンパクトな状態で封入容器3を保持容器4内に収容することができる。
【産業上の利用可能性】
【0033】
本発明の梱包容器は、多管式反応器に使用される触媒等のように吸湿性を有する粉末成形体等であって、気密に封入された状態で保管運搬される物質の梱包容器に適している。
【図面の簡単な説明】
【0034】
【図1】(A)は本実施形態の梱包用器1の概略説明図であり、(B)は封入容器3が膨張している状況の概略説明図である。
【図2】(A)は本実施形態の梱包用器1における封入容器3として、伸縮性を有する容器を使用した場合の概略説明図であり、(B)は本実施形態の梱包用器1の運搬または保管状況の概略説明図であり、(C)は封入される粉末成形体Mの概略説明図である。
【符号の説明】
【0035】
1 梱包容器
2 内部容器
3 封入容器
4 保持容器
M 粉末成形体

【特許請求の範囲】
【請求項1】
粉末成形体を梱包する容器であって、
前記粉末成形体を気密に封入する可撓性の封入容器と、
該封入容器を収容する保持容器とからなり、
該保持容器は、
前記封入容器の素材よりも強度が高く、
その内容積が、前記封入容器が膨張したときにおける最大体積よりも小さいものである
ことを特徴とする梱包容器。
【請求項2】
前記封入容器内に収容される、通気性を有する内部容器を備えており、
該内部容器内に前記粉末成形体が収容される
ことを特徴とする請求項1記載の梱包容器。
【請求項3】
前記内部容器を複数備えており、
各内部容器は、
それぞれ秤量された前記粉末成形体が封入されるものである
ことを特徴とする請求項2記載の梱包容器。
【請求項4】
前記封入容器は、防湿性を有しており、
25℃における透湿度が、1.0g/m2・24h以下である
ことを特徴とする請求項1、2または3記載の梱包容器。
【請求項5】
前記封入容器が、伸縮性を有する
ことを特徴とする請求項1記載の梱包容器。
【請求項6】
粉末成形体を梱包する梱包方法であって、
前記粉末成形体を封入容器内に気密に封入し、
前記粉末成形体が封入された前記封入容器を、該封入容器の素材よりも強度が高くかつ該封入容器が膨張したときにおける最大体積よりも内容積が小さい保持容器内に収容する
ことを特徴とする梱包容器。
【請求項7】
前記粉末成形体を、通気性を有する内部容器に収容した状態で、前記封入容器内に気密に封入する
ことを特徴とする請求項6記載の梱包容器。
【請求項8】
複数の前記内部容器にそれぞれ前記粉末成形体を秤量して封入した後、複数の前記内部容器を前記封入容器内に気密に封入する
ことを特徴とする請求項7記載の梱包容器。
【請求項9】
前記封入容器内に乾燥気体を流しながら、該封入容器内に前記内部容器を気密に封入する
ことを特徴とする請求項6記載の梱包容器。
【請求項10】
前記封入容器として、25℃における透湿度が、1.0g/m2・24h以下となるように形成された防湿性の容器を使用する
ことを特徴とする請求項6、7、8または9記載の梱包容器。

【図1】
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【図2】
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【公開番号】特開2009−149331(P2009−149331A)
【公開日】平成21年7月9日(2009.7.9)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−328154(P2007−328154)
【出願日】平成19年12月20日(2007.12.20)
【出願人】(000002093)住友化学株式会社 (8,981)
【Fターム(参考)】