説明

梱包装置

【課題】積載効率を上げることができ、物流の全体としての輸送効率の向上が図れる梱包装置を提供すること。
【解決手段】包装用天カバー15と包装用固定台12を上下方向に締結する包装タテバンド18と、包装支柱20と筐体1の縦四側面と横積み支柱22とを締結する包装ヨコバンド19とを有し、前記横積み支柱22は略円筒形状で、前記包装支柱20の断面積より大きく、側面長手方向にバンド締結溝を有することを特徴とする梱包装置で、ヒートポンプユニットなどを上面に載せるセット積載が可能となりため、積載効率が上がり、物流の全体としての輸送効率の向上が図れる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、給湯機等における貯湯タンクユニットの梱包装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来のこの種の梱包装置の構成図を図5に示す。
【0003】
図5において、製品1の張り出し部10と包装用固定台12の間に、張り出し部10を保護するベース保護16と、ベース保護16を配設した製品1側面と隣り合わせの左右両側面を含む3面以上を一体的に保護する側面保護カバー17を設けるとともに、側面保護カバー17には梱包作業時に包装用固定台12から脱落しないよう包装用固定台12と係合する係合片17Aを設けている。これによって、製品搬送時と製品落下時の損傷が防止され、また梱包と開梱作業の合理化とが図られると共に、材料をダンボール化することで、材料の回収リサイクルを可能にしている(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2004−51153号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、従来の貯湯式給湯機は、縦型で背が高いため、運搬車両では荷台に横積みして搬送することが多いが、横積みした貯湯式給湯機の上面に他の貨物を載せて運搬することは梱包内部が変形するとして禁止しているため、荷台の空きスペ−スが少なくなって積載効率が悪いという課題を有していた。
【0006】
本発明は、前記従来の課題を解決するもので、積載効率を上げることができ、物流の全体としての輸送効率の向上が図れる梱包装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
前記従来の課題を解決するために、本発明の梱包装置は、一側面に張り出し部を有した縦型略直方体の筐体と、この筐体の上面を覆う包装用天カバーと、前記筐体の底板に取り付けた包装用固定台と、この包装用固定台の上で前記筐体の縦四側面の稜に配した略円筒状の包装支柱と、前記張り出し部と隣接する側面を一体的に覆う側面保護カバーと、前記包装支柱のそれぞれの空間を支える横積み支柱とを備え、前記包装用天カバーと前記包装用固定台を上下方向に締結する包装タテバンドと、前記包装支柱と前記筐体の縦四側面と前記横積み支柱とを締結する包装ヨコバンドとを有し、前記横積み支柱は略円筒形状で、前記包装支柱の断面積より大きく、側面長手方向にバンド締結溝を有することを特徴とするものである。
【0008】
これにより、横積み時の上面に貨物を載せて衝撃を与えた時、応力は包装支柱の側面から腰折れする方向にかかるが、横積み支柱が支えとなって変形を防止、そして筐体にかかる応力は緩衝され、実際の物流の現場で起こりうる負荷では変形の不具合は発生しなくなる。従って、貯湯式給湯機とこれに関する他の部材や貨物、貯湯式給湯機の加熱手段であるヒートポンプユニットなどを上面に載せて横積みによるセット積載をすれば積載効率を上げることができ、物流の全体としての輸送効率の向上が図れる。
【0009】
また、側面保護カバーや後面保護カバーに確認用穴を設けるなどして、各物流拠点での
荷受時に目視あるいは触手によって筐体の異常有無が確認できるようにすれば、少なくともユーザ−に問題のある製品を届けるようなことをなくすことができる。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、積載効率を上げることができ、物流の全体としての輸送効率の向上が図れる梱包装置を提供できる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【図1】本発明の実施の形態1における貯湯式給湯機の梱包の構成図
【図2】同貯湯式給湯機の梱包の断面図
【図3】同貯湯式給湯機の梱包の外観図
【図4】同包装用天カバーを下から見た断面図
【図5】従来の貯湯式給湯機の梱包の構成図
【発明を実施するための形態】
【0012】
第1の発明は、側面に張り出し部を有した縦型略直方体の筐体と、この筐体の上面を覆う包装用天カバーと、前記筐体の底板に取り付けた包装用固定台と、この包装用固定台の上で前記筐体の縦四側面の稜に配した略円筒状の包装支柱と、前記張り出し部と隣接する側面を一体的に覆う側面保護カバーと、前記包装支柱のそれぞれの空間を支える横積み支柱とを備え、前記包装用天カバーと前記包装用固定台を上下方向に締結する包装タテバンドと、前記包装支柱と前記筐体の縦四側面と前記横積み支柱とを締結する包装ヨコバンドとを有し、前記横積み支柱は略円筒形状で、前記包装支柱の断面積より大きく、側面長手方向にバンド締結溝を有することを特徴とする梱包装置である。
【0013】
そして、横積み時の上面に貨物を載せて衝撃を与えた時、応力は包装支柱の側面から腰折れする方向にかかるが、横積み支柱が支えとなって変形を防止、そして筐体にかかる応力は緩衝され、実際の物流の現場で起こりうる負荷では変形の不具合は発生しなくなる。
【0014】
従って、貯湯式給湯機とこれに関する他の部材や貨物、貯湯式給湯機の加熱手段であるヒートポンプユニットなどを上面に載せて横積みによるセット積載をすれば積載効率を上げることができ、物流の全体としての輸送効率の向上が図れる。
【0015】
第2の発明は、前記横積み支柱が前記筐体と接触する面を、平面化したもので、この平面部を大きくすることで梱包側面の壁への衝突などの衝撃を緩衝することができる。
【0016】
第3の発明は、前記包装用固定台の前記包装支柱がセットさえる位置に、凹状嵌合部を設けたもので、横積み時の上面で包装用固定台から外れた位置に貨物を載せて衝撃を与えた時、包装支柱が凹状嵌合部で固定され、側面から筐体に直接応力がかからないようになり筐体の変形不具合が防止できる。
【0017】
第4の発明は、前記包装用天カバー内部に前記横積み支柱を設け、前記横積み支柱は前記包装用天カバ−と一体的に成形するもので、転倒事故など包装用天カバー近傍が何かに衝突した際においても筐体に直接応力がかからないようになり、筐体の変形が低減され内部の機能的な部品が故障することを防止できる。
【0018】
第5の発明は、前記側面保護カバーに手掛け穴と切り込みとを設け、前記切り込みは前記横積み支柱と嵌め合う形状とし、前記手掛け穴より前記横積み支柱に手が掛けられる構成としたもので、直立した貯湯式給湯機を持ち上げることができるようになっているだけでなく、梱包作業において包装ヨコバンド締結時に横積み支柱を所定位置に保持することができ、作業性が良好となる。
【0019】
以下、本発明の実施の形態について、図面を参照しながら説明する。なお、この実施の形態によって本発明が限定されるものではない。
【0020】
(実施の形態1)
図1は、本実施の形態における貯湯式給湯機の梱包の構成図であり、横積みされた状態を表している。図2は、本実施の形態における貯湯式給湯機の梱包の断面図である。
【0021】
図1において、貯湯式給湯機の筐体1は底板2に有する脚4により包装用固定台12に締結固定されている。20は略円筒状でかぎ括弧『状の断面形状をなした包装支柱であり、包装用固定台12の4つのコ−ナ−に有する凹状嵌合部12−1にセットするとともに張り出し部10を含む縦四側面6の縦陵部に配して筐体1を保護する緩衝材として設けており、包装支柱20の下端部が筐体1側へズレないよう配慮設計されている。16はベース保護であり包装支柱20と張り出し部10に密着し配管接続スペ−ス3近傍が変形することがないようにしている。
【0022】
筐体の上面1−1を覆う包装用天カバー15は包装支柱20によって支えられ上方の圧縮荷重から筐体1を保護している。17は側面保護カバーであり張り出し部10と隣接する側面を一体的に覆うことで、筐体1の傷つきなどを防止している。18は包装タテバンド、19は包装ヨコバンドであり、上下方向と側方向の双方より締結する梱包の構成としている。
【0023】
22は横積み支柱であり、断面は略円筒形状で側面長手方向に包装ヨコバンド19を通し筐体に沿って固定できるようバンド締結溝22−1を有した構造としている。断面は包装支柱20の断面積より大きくして包装ヨコバンド19による締結後に外れないようにするとともに、筐体1に接する側は広く平面化し梱包側面から受ける衝撃、例えば壁に衝突するなどの事故による衝撃など緩衝し不具合の発生を防止できる構造となっている。
【0024】
23はヒ−トポンプユニットであり、貯湯式給湯機の加熱手段として接続して使用するものであり、常に同時配送されている。また、貯湯式給湯機は縦型で背が高いため、運搬車両では荷台に横積みして搬送することが多く、荷台スペ−スの有効利用と積載効率向上のために、図のようにヒートポンプユニット23を上方より載せて運搬する場合がある。
【0025】
横積み支柱22および包装ヨコバンド19は、張り出し部10の下部近傍に配しており、ヒートポンプユニット23を載せ、勢いよく作業して衝撃を与えた時、応力は包装支柱20の側面から筐体1を圧縮する方向にかかるが、横積み支柱22および包装用固定台12の凹状嵌合部12−1が支えとなって変形を防止することができる。
【0026】
図2において、側面保護カバー17に手掛け穴17−1と切り込み17−2を有し、切り込み17−2は横積み支柱22と嵌め合う形状をなし、直下の手掛け穴17−1より手を入れると横積み支柱22に手が掛けられるように構成しており、包装ヨコバンド19と横積み支柱22は締結され貯湯式給湯機の筐体1の周囲を抱え込むようになっているため、人手による運搬においては荷扱い性に優れている。さらに梱包作業においては包装ヨコバンド19締結時に横積み支柱22を所定位置に保持することができ、作業性が良好となる。
【0027】
図3は、本実施の形態における貯湯式給湯機の梱包の外観図である。図4は包装用天カバー15を下から見た断面図である。
【0028】
包装用天カバー15内部に横積み支柱15−1を構成するため、材料である段ボ−ルを
複数回折込み固定し、包装支柱20の表面とダンボ−ル折込み部端面が突きあうように構成されており、側壁24に貯湯式給湯機が転倒して衝突し図の矢印の応力が発生した場合でも、包装支柱20の応力は横積み支柱15−1に支えられて緩衝され、筐体1にかかる応力は大幅に軽減され、外観で多少の変形があったとしても内部の機能的な部品が故障することはなくなる。
【0029】
さらに材料に段ボ−ルを使用できることから、材料の回収リサイクル性にも優れ、緩衝性能を両立させた梱包形態が実現できることになる。
【産業上の利用可能性】
【0030】
以上のように、本発明は貯湯式給湯機に限らず、直方体形状の重量物、たとえば冷蔵庫等の梱包においても適用できる。
【符号の説明】
【0031】
1 筐体
12 包装用固定台
15 包装用天カバー
17 側面保護カバー
18 包装タテバンド
19 包装ヨコバンド
20 包装支柱
22 横積み支柱

【特許請求の範囲】
【請求項1】
一側面に張り出し部を有した縦型略直方体の筐体と、この筐体の上面を覆う包装用天カバーと、前記筐体の底板に取り付けた包装用固定台と、この包装用固定台の上で前記筐体の縦四側面の稜に配した略円筒状の包装支柱と、前記張り出し部と隣接する側面を一体的に覆う側面保護カバーと、前記包装支柱のそれぞれの空間を支える横積み支柱とを備え、前記包装用天カバーと前記包装用固定台を上下方向に締結する包装タテバンドと、前記包装支柱と前記筐体の縦四側面と前記横積み支柱とを締結する包装ヨコバンドとを有し、前記横積み支柱は略円筒形状で、前記包装支柱の断面積より大きく、側面長手方向にバンド締結溝を有することを特徴とする梱包装置。
【請求項2】
前記横積み支柱が前記筐体と接触する面を、平面化する構成としたことを特徴とする請求項1に記載の梱包装置。
【請求項3】
前記包装用固定台の前記包装支柱がセットされる位置に、凹状嵌合部を設けたことを特徴とする請求項1または2に記載の梱包装置。
【請求項4】
前記包装用天カバー内部に前記横積み支柱を設け、前記横積み支柱は前記包装用天カバ−と一体的に成形する構成としたことを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載の梱包装置。
【請求項5】
前記側面保護カバーに手掛け穴と切り込みとを設け、前記切り込みは前記横積み支柱と嵌め合う形状で、前記手掛け穴より前記横積み支柱に手が掛けられる構成としたことを特徴とする請求項1〜4のいずれか1項に記載の梱包装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2012−6610(P2012−6610A)
【公開日】平成24年1月12日(2012.1.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−142319(P2010−142319)
【出願日】平成22年6月23日(2010.6.23)
【出願人】(000005821)パナソニック株式会社 (73,050)
【Fターム(参考)】