説明

梱包装置

【課題】狭い積み卸しスペースで、パレットの任意の方向で物品を容易に積み卸しすることができ、かつ積み卸し時にスロープ形成用の別部材を準備する備える必要がないものとする。
【解決手段】キャスター2付きの画像形成装置1を積載するパレット20と、天蓋部材11と、パレット20と天蓋部材11との間に配置され複数の支柱35−1〜35−4とを備える梱包装置10において、少なくとも支柱30−1をパレット20に取り外し可能に配置すると共に、支柱30−1を長手方向がパレット20の辺25に沿うよう配置したとき、パレットの接地面21と、パレット20が配置された床面Gと、の間の画像形成装置1積み卸しに用いるスロープを形成可能に構成した。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は梱包装置に係り、特に物品を積載するパレットと、パレットの上方に配置される天蓋部材と、パレットと前記天蓋部材との間に配置されて天蓋部材を支える複数の支柱と、を備える梱包装置に関する。
【背景技術】
【0002】
原稿読取装置等、複写機周辺機器製品の半完成品、完成品を工場あるいはユーザーの元へ輸送する際、輸送時の衝撃、振動から製品の機能および品質を維持するため、梱包装置が使用される。このような梱包装置として、製品を目的地へ輸送した後に工場へ戻し、再度使用できる循環使用型のものがある。
【0003】
また、このような梱包装置として、キャスター付きの物品を積み卸しするためのスロープを形成する部材を備えるものがある。
【0004】
特許文献1は、梱包対象となる物品を搭載可能なパレットと、物品をパレット上で固定する部材を不動状態に維持するための物品固定用部材を用いた梱包装置において、物品の積み卸しに際して、支柱の間に設けた面板をスロープ板として用いるものを開示する。
【0005】
また、特許文献2は、支柱部材をパレットに着脱可能とし、この支柱部材をパレットから取り外して一端をパレットの縁に乗せて、画像形成装置をパレット上に載せ、あるいはパレット上から下ろすための傾斜路を構成する部材として用い得るものを開示する。支柱部材を傾斜路として用いる場合、2対の支柱部材を互いに反対方向に向けて対向させた状態で配置し、2方向から画像形成装置を積み下ろし得るようにする。
【0006】
さらに、特許文献3は、パレットへ取り付けられ、複写機が配置され移動される傾斜台をパレットに収納可能とし、傾斜台の傾斜面部に傾斜台のパレットへの接触面から突出し、パレットの上面にまでいたる突出覆板部を備えるものを開示する。パレットにはパレットの前記傾斜台との接合部に傾斜面とパレットの傾斜面までいたる板状部材を設け、板状部材は、蓋部のパレットへの取付部材を兼ねている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、特許文献1に記載のも梱包装置は、2方向でしか積み卸しができず、小規模オフィスへの搬入性が低い他、側板面の長手方向をパレットの外側に向けて一定の勾配となるよう配置するため、積み卸しに広いスペースが必要であるという問題がある。また、荷重を側面板で担うため、重量の大きい物品の積み卸しでは側面板がたわんだり破損したりするおそれがある。
【0008】
また、特許文献2に記載の梱包装置は、物品の積み卸し時、支柱部材の長手方向をパレットの外側に向けて配置するため、広いスペースが必要となる。
【0009】
さらに、特許文献3に記載の梱包装置は、積み卸し時、傾斜台の長手方向をパレットの外側に向けて配置するため、広いスペースが必要となる他、別部材として傾斜台を備える必要があり、梱包装置の構成部材が増えてしまうという問題がある。
【0010】
本発明は上述の点にかんがみてなされたものであり、パレット周囲の任意方向の狭い積み卸しスペースで容易に積み卸しをすることができ、かつ積み卸し時にスロープ形成用の別部材を準備する備える必要がない梱包装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明に係る梱包装置は、物品を積載するパレットと、前記パレットの上方に配置される天蓋部材と、前記パレットおよび前記天蓋部材の間に配置され前記天蓋部材を支える複数の支柱とを備える梱包装置において、前記複数の支柱のうち少なくとも1つの支柱を前記パレットに取り外し可能に配置すると共に、この取り外した支柱をその長手方向が前記パレットの辺部に沿うよう配置したとき、前記パレットの積載面と、から前記パレットが配置された床面と、の間の前記物品の積み降ろしに用いるスロープを形成可能に構成したことを特徴とする。
【発明の効果】
【0012】
本発明によれば、パレット周囲の任意方向の狭い積み卸しスペースで容易に積み卸しをすることができ、かつ積み卸し時にスロープ形成用の別部材を準備する備える必要がないという効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【図1】実施形態1に係る梱包装置を示す斜視図である。
【図2】同じく梱包装置を示すものであり、(a)は支柱を示す斜視図、(b)はパレットを示す斜視図である。
【図3】実施形態2に係る梱包装置の支柱を示す斜視図である。
【図4】実施形態3に係る梱包装置を示すものであり、(a)は梱包装置を示す斜視図、(b)は支柱を示す斜視図である。
【図5】同梱包装置を示すものであり、(a)積み卸し時の状態を示す斜視図、(b)は(a)中矢印A方向からの端面図である。
【図6】実施形態4に係る梱包装置を示すものであり、(a)は積み卸し時の状態を示す部分斜視図、(b)は(a)中のB部の拡大斜視図、(c)は他の方向からの斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
本発明を実施するための形態(以下では単に実施形態と記載する)に係る梱包装置について説明する。以下の実施形態では、物品としてキャスター付きの画像形成装置を例として説明するが、物品はこれに限らない。なお本発明は以下に説明する実施形態に限定されるものではなく、多くの変形が本発明の技術的思想内で当分野において通常の知識を有する者により可能である。例えば、以下の実施形態では、支柱がパレットの四隅に位置している例のみ図示して説明しているが、本発明はこれに限定されず、例えばパレットの辺縁部の隅、角でない部位に配する構成なども可能である。
【0015】
以下実施形態1に係る梱包装置について説明する。この梱包装置は、物品として、キャスター付きの画像形成装置を積載する。図1は実施形態1に係る梱包装置を示す斜視図である。
【0016】
実施形態1に係る梱包装置10は、画像形成装置1が積載されるパレット20と、パレット20の上方に配置される天蓋部材11とを備える。また梱包装置10は、パレット20と天蓋部材11との間に配置され天蓋部材11を支える4本の支柱30−1、30−2、30―3、30−4を備える。この支柱30−1、30−2、30―3、30−4は断面三角形状である。また、画像形成装置1は、キャスター2を備え、容易に移動できる。
【0017】
パレット20は、木、スチール、アルミニウムなどの金属、あるいは合成樹脂で構成されており、辺が寸法Wの正方形状をなしている。またパレット20は、物品を搭載する正方形の接地面21を備え、接地面21の下部にパレットの積み卸し用のフォーク挿入穴22、22を備える。
【0018】
4本の支柱30−1、30−2、30―3、30−4は、同一の構成を備えるため、1本の支柱30−1について説明する。図2は実施形態1に係る梱包装置を示すものであり、(a)は支柱を示す斜視図、(b)はパレットを示す斜視図である。
【0019】
支柱30−1は断面直角三角形状の柱部材であり、断面形状の斜辺に対応する斜面31、同じく短辺に対応する立ち上り面32、同じく長辺に対応する底面33を備えている。各支柱30−1、30−2、30―3、30−4は、例えばアルミニウム製の押し出し形成部材である。また、パレット20には、接地面21の四隅に各支柱30−1、30−2、30―3、30−4の断面形状に相当する直角三角形状の取付穴23−1、23−2、23−3、23−4が開設してある。
【0020】
実施形態1に係る梱包装置10では、支柱30−1をパレット20から取り外し、パレット20の4辺のうちの一辺25に沿って配置し、斜面31で物品をパレット20から積み卸しに使用するスロープを形成する。なお、支柱30−1、30−2、30―3、30−4は、スチール製の板金製部材、合成樹脂製部材等とすることができる、
【0021】
支柱30−1、30−2、30―3、30−4を取付穴23−1、23−2、23−3、23−4に上方から挿入して、パレット20に取り外し可能に設置する。この例では、支柱30−1、30−2、30―3、30−4の高さ寸法(h)はパレット20の辺25の幅寸法(W)と同じに形成し、立ち上り面32の幅寸法(w)を、接地面21の床面Gからの高さ寸法(h)と同じに形成する。
【0022】
また、各支柱30−1、30−2、30―3、30−4には、物品保持用のパッド40−1、40−2、40−3、40−4を配置する。パッド40−1は、例えば発泡樹脂製であり、図2(a)に示すように、直角に組み合わせた2本の腕部41、42と、腕部41、42の外側に形成された面43に立ち上がり形成した凸部44を備える。パッド40−1の凸部44を支柱30−1の斜面31に開設した穴部34に挿入して支柱30−1に取り付ける。
【0023】
4本の支柱30−1、30−2、30―3、30−4に4つのパッド40−1、40−2、40−3、40−4を取り付けることにより、画像形成装置1の四隅の角部が保持され、画像形成装置1がパレット20上で移動するのを防止する。
【0024】
実施形態1に係る梱包装置10では、画像形成装置1の積み卸しをするとき、パレット20の任意の辺25に支柱30−1の長手方向を沿わせて配置する。このとき、底面33を床面に、立ち上り面32をパレット20に接触するようにする。この状態で、キャスター2を接地面21、斜面31、床面Gを転がすことにより物品を接地面21から床面Gに容易に降ろすことができる。また、画像形成装置1を床面Gからパレット20の接地面21に搭載する際も斜面31上でキャスター2を転がすことで行える。
【0025】
穴部34を斜面31の長手方向に長く、傾斜方向に短い長穴とすることが好ましい。穴部34を長穴にすると、斜面31上でキャスター2を回転移動させるときキャスター2が穴部34を簡単に越えることができる。なお、画像形成装置1をパレット20に積むときも同様に支柱30−1を使用することができる。また、支柱30−1に限らず、他の支柱30−2、30−3、30−4を使用することができる。
【0026】
実施形態1に係る梱包装置10によれば、特別にスロープを形成する部材を使用することなく、支柱30−1をパレット20の辺25に配置し、スロープを形成することができ、パレット20から任意の方向にスロープを形成して画像形成装置を積み卸しすることができる。そして、積み卸し時に支柱30−1を、その長手方向をパレット20の辺25に沿わせて配置するので、スロープ配置のためのスペースが狭くても足りる。
【0027】
<実施形態2>
次に実施形態2に係る梱包装置について説明する。図3は実施形態2に係る梱包装置の支柱を示す斜視図である。実施形態2に係る梱包装置では、支柱35の長手方向の両端には、斜面31より上方に飛び出る案内突起としてつば部37を配置している。実施形態2に係る梱包装置によれば、画像形成装置1のキャスター2が支柱35の斜面31から外れることを防止でき、安全かつ容易に画像形成装置1の積み卸しを行うことができる。
<実施形態3>
次に実施形態3に係る梱包装置について説明する。図4は実施形態3に係る梱包装置を示すものであり、(a)は梱包装置を示す斜視図、(b)は支柱を示す斜視図、図5は実施形態4に係る梱包装置を示すものであり、(a)積み卸し時の状態を示す斜視図、(b)は(a)中矢印A方向からの端面図である。
【0028】
実施形態3に係る梱包装置50は、支柱として2種類の構造のものをそれぞれ2本備える。第1の支柱71、72は、図5に示すように断面形状を不等辺台形としたものである。また、第2の支柱73、74は、断面形状を直角3角形とした2本の支柱部材75、76を、支柱の長手方向を分割面として組み合わせたものである。実施形態3では、支柱部材75と支柱部材75とを組み合わせると、全体の断面形状が4角形となる。
【0029】
第1の支柱71および支柱部材75、76の形状および寸法は、図5に示すように、第1の支柱71および支柱部材75、76を組み合わせたとき、パレット60の接地面61から床面Gにいたるスロープをなす直角3角形となるように適宜選択する。すなわち、図5(b)に示すように、断面形状において、第1の支柱72の平行2面の短辺部72aを支柱部材75の短辺部75aと同寸法、第1の支柱72の平行2面の長辺部72bを支柱部材76の長辺部76bと同寸法とする。さらに、支柱部材76の斜辺部76aをパレット60の高さ寸法Hと同寸法とする。
【0030】
実施形態3に係る梱包装置50では、パレット60の対応箇所には、第1の支柱71、72に対応する不等辺台形の取付穴64、65を形成し、第2の支柱73、74に対応する四角形状の取付穴66、67を形成する。
【0031】
実施形態3に係る梱包装置50では、物品の積み卸しをするとき、パレット60の4辺のうちの1辺に第1の支柱72と支柱部材75、76を組み合わせ、スロープを形成したもの(図5(a)、(b)参照)を配置する。この状態で、画像形成装置1のキャスター2が接地面21、斜面31、床面Gを転がることにより、画像形成装置1をパレット60の接地面61と、床面Gとの間で容易に積み卸しすることができる。
【0032】
実施形態3に係る梱包装置50によれば、特別にスロープを形成する部材を使用することなく第1の支柱72および支柱部材75、76を組み合わせてパレット60の辺に配置し、積み卸し用のスロープを形成することができる。また、このスロープは、パレット60の任意の方向に設けることができるので、画像形成装置を所望の方向で容易に積み卸しすることができ、さらにスロープ配置のためのスペースが狭くても足りる。
【0033】
さらに、実施形態3に係る梱包装置50によれば、支柱の断面形状に鋭角の部分を設けずにすみ、支柱に接触しても相手を傷付けることがない。さらに、支柱の幅を広くしなくても緩やかなスロープを形成することができる。そして、分割後の支柱部材の断面が細くなったとしても、2本の支柱部材を結合して構成した支柱の断面を太く、かつ角部を鈍角として、支柱の強度を所望のものとできる。
【0034】
<実施形態4>
次に実施形態4に係る梱包装置について説明する。図6は実施形態4に係る梱包装置を示すものであり、(a)は積み卸し時の状態を示す部分斜視図、(b)は(a)中のB部の拡大斜視図、(c)は他の方向からの斜視図である。
【0035】
実施形態4に係る梱包装置80は、支柱72の短辺部72aにかぎ状突起82を、支柱部材75に開口部81を形成したものである。開口部81は、かぎ状突起82がはまり込んでスライドすることにより、支柱72と支柱部材75とを固定するものとしている。支柱部材75、76のその他の構成は、実施形態3に係る梱包装置50と同じである。実施形態4に係る梱包装置80によれば、スロープを構成する支柱72と支柱部材75とを連結でき、スロープが分離しにくくなり、積み卸しの作業性が向上する。なお、支柱72の長辺部72bと、支柱部材75の長辺部72bとの間にも同様の構造を形成することができる。
【符号の説明】
【0036】
1 画像形成装置(物品)
2 キャスター
10 梱包装置
11 天蓋部材
20 パレット
21 接地面
22 フォーク挿入穴
23−1、23−2、23−3、23−4 取付穴
25 辺
30−1、30−2、30−3、30−4 支柱
31 斜面
32 立ち上り面
33 底面
34 穴部
35 支柱
37 つば部
40−1、40−2、40−3、40−4 パッド
41、42 腕部
43 面
44 凸部
50 梱包装置
60 パレット
61 接地面
64、65 取付穴
66、67 取付穴
71、72 第1の支柱
72a 短辺部
72b 長辺部
73、74 第2の支柱
75、76 支柱部材
75a 短辺部
76a 斜辺部
76b 長辺部
80 梱包装置
81 開口部
82 かぎ状突起
【先行技術文献】
【特許文献】
【0037】
【特許文献1】特開2004−203463公報
【特許文献2】特許第4064171号公報
【特許文献3】特許第4614071号公報

【特許請求の範囲】
【請求項1】
物品を積載するパレットと、前記パレットの上方に配置される天蓋部材と、前記パレットおよび前記天蓋部材の間に配置され前記天蓋部材を支える複数の支柱と、を備える梱包装置において、
前記複数の支柱のうち少なくとも1つの支柱を前記パレットに取り外し可能に配置すると共に、この取り外した支柱をその長手方向が前記パレットの辺部に沿うよう配置したとき、前記パレットの積載面と、前記パレットが配置された床面と、の間の前記物品の積み降ろしに用いるスロープを形成可能に構成したことを特徴とする梱包装置。
【請求項2】
前記支柱はその断面形状が非等脚台形または3角形であることを特徴とする請求項1に記載の梱包装置。
【請求項3】
断面の形状が支柱が複数の異なる断面形状をなすことを特徴とする請求項1または請求項2に記載の梱包装置。
【請求項4】
前記支柱が長手方向に沿って分割面を備える複数の支柱部材で構成し、分割された複数の支柱部材を組み合わせて前記スロープを形成することを特徴とする請求項1から請求項3までのいずれかに記載の梱包装置。
【請求項5】
前記支柱部材には、それぞれの支柱部材を組み合わせるとき、各支柱部材を連結する連結部を形成したことを特徴とする請求項4に記載の梱包装置。
【請求項6】
前記支柱の長手方向の両端部には、前記スロープを形成する面から飛び出しており、前記キャスターが前記スロープから外れるのを防止する案内突起を形成したことを特徴とする請求項1から請求項5までのいずれかに記載の梱包装置。
【請求項7】
前記支柱には、搭載する物品に接触して、物品のパレット上で保持するパッドを配置していることを特徴とする請求項1から請求項6までのいずれかに記載の梱包装置。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate


【公開番号】特開2013−103760(P2013−103760A)
【公開日】平成25年5月30日(2013.5.30)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−251146(P2011−251146)
【出願日】平成23年11月16日(2011.11.16)
【出願人】(000006747)株式会社リコー (37,907)
【Fターム(参考)】