説明

棒材の計数方法

【課題】積層された棒材を正確に計数することができる棒材の計数方法を提供する。
【解決手段】積層された複数の棒材1につきその端面の画像11を含む検出画面2を得る検出画面取得ステップと、棒材1の端面の形状に応じた所望形状の画像をテンプレート画像として記憶するテンプレート画像記憶ステップと、検出画面2の各画素の輝度を検出し、検出された輝度のうち最大輝度に応じた所定の閾値を設定して当該閾値に基づいて検出画面を二値化した二値化画面4を得る二値化ステップと、二値化画面4中の各端面画像11についてテンプレート画像3の面積に対し所定範囲内の面積を有する端面画像11を特定して当該端面画像11の数を計数するとともに、当該端面画像11を検出画面2から消去する画像消去ステップとを備え、検出画面2中の全端面画像が消去されるまで二値化ステップと画像消去ステップを繰り返し、上記画像消去ステップで計数された画像数の積算値を、積層された棒材の本数とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は棒材の計数方法に関し、特に結束等によって積層されている複数の棒材の計数を正確に行うことができる棒材の計数方法に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には丸棒の計数方法が示されており、ここでは、搬送テーブル上に並べられた複数の丸棒に側方から光を照射し、撮影画像に含まれる丸棒側面からの反射光を複数の抽出感度で抽出して、各抽出感度で抽出された反射光の個数の最大値を丸棒の本数と判断している。これにより、丸棒に部分的な重なりがあっても正確な計数を行うことができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2010−003255
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかし、上記従来の方法では、結束された棒材のように、側方から見るとその殆どが重なっているような積層状態の棒材では正確な計数が困難であった。
【0005】
そこで、本発明はこのような課題を解決するもので、積層された棒材を正確に計数することができる棒材の計数方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決するために、本第1発明では、積層された複数の棒材(1)につきその端面の画像(11)を含む検出画面(2)を得る検出画面取得ステップ(ステップ101)と、前記棒材(1)の端面の形状に応じた所望形状の画像をテンプレート画像(3)として記憶するテンプレート画像記憶ステップ(ステップ102)と、前記検出画面(2)の各画素の輝度を検出し、検出された輝度のうち最大輝度に応じた所定の閾値を設定して当該閾値に基づいて前記検出画面(2)を二値化した二値化画面(4)を得る二値化ステップ(ステップ107)と、前記二値化画面(4)中の各端面画像(11)について前記テンプレート画像(3)の面積に対し所定範囲内の面積を有する端面画像(11)を特定して当該端面画像(11)の数を計数するとともに、当該端面画像(11)を前記検出画面(2)から消去する第1画像消去ステップ(ステップ110)とを備え、前記検出画面(2)中の全端面画像が消去されるまで前記二値化ステップと前記第1画像消去ステップを繰り返し、前記第1画像消去ステップで計数された画像数の積算値を、前記積層された棒材の本数とする。
【0007】
本第1発明においては、棒材の端面画像を計数することによって、積層された棒材の本数を正確に算出することができる。
【0008】
本第2発明では、前記テンプレート画像記憶ステップ(ステップ102)と前記二値化ステップ(ステップ107)の間に、前記検出画面(2)中の各端面画像(11)の輪郭形状を抽出して、当該輪郭形状が前記テンプレート画像(3)の輪郭形状と一定割合以上で一致する端面画像(11)を特定して当該端面画像の数を計数するとともに(ステップ104)、当該端面画像(11)を前記検出画面(2)から消去する第2画像消去ステップ(ステップ105)をさらに備え、当該第2画像消去ステップで計数された画像数を、前記積算値に加えた値を、前記積層された棒材の本数とする。
【発明の効果】
【0009】
以上のように、本発明の棒材の計数方法によれば、積層された棒材を正確に計数することができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【図1】積層された丸棒材を端面方向から見た斜視図である。
【図2】検出画面の正面図である。
【図3】テンプレート画像の正面図である。
【図4】端面画像を特定した状態を示す検出画面の正面図である。
【図5】特定された端面画像を消去した状態を示す検出画面の正面図である。
【図6】二値化画面の正面図である。
【図7】端面画像が全て消去された状態を示す検出画面の正面図である。
【図8】コンピュータの処理手順を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下に説明する実施形態はあくまで一例であり、本発明の要旨を逸脱しない範囲で当業者が行う種々の設計的改良も本発明の範囲に含まれる。図1は結束され積層された多数の丸棒材1をその端面方向から見たものであり、多数の丸棒材1が互いの側面を接して積層されている。本実施形態ではこのような積層状態にある丸棒材1に対し、その端面方向からハロゲンランプを照射し、この状態でCCDカメラによって、結束された丸棒材1を端面方向から撮影して、撮像信号をコンピュータに取り込む。
【0012】
コンピュータ内に取り込まれた撮像信号から得られるカラーの撮像画面は実質的に図1に示すものと同様であり、この撮像画面を白黒化して、図2に示すように、各丸棒1の端面画像11を囲むようにフレーミングした検出画面2を得る。以下、図8のフローチャートを参照しつつ、コンピュータ内で実行される画像処理手順を説明する。
【0013】
ステップ101で検出画面2を取得した後、ステップ102ではテンプレート画像を選択して記憶する。テンプレート画像の選択は以下のように行う。すなわち、検出画面2内の各端面画像11について輝度変化の大きいエッジを抽出し、このエッジ形状(輪郭形状)が円形に最も近い端面画像11をテンプレート画像とする。登録されたテンプレート画像3の一例を図3に示す。
【0014】
続いてステップ103では、検出画面2内の各端面画像11について輝度変化の大きいエッジ形状を抽出し、上記テンプレート画像3とエッジ形状が高スコア(例えば1000点満点中の500点以上)で一致する端面画像11を特定する(図4中の円で囲んだもの)。ステップ104では、特定された端面画像11の数を計数して(本実施形態では21個)これを第1計数値として記憶する。ステップ105では、上記第1計数値に関して特定された端面画像11を検出画面2から消去(マスク)する。これを図5に示す。
【0015】
ステップ106では、上記端面画像11が消去された検出画面2(図5)について各画素の輝度値(例えば0〜255)を確認し、各画素を昇順に並べて、全画素のうち所定位置(例えば最大輝度を示した画素の位置を100%として90%の位置)にある画素の輝度値を閾値として設定する。続くステップ107では、設定された閾値によって検出画面2とは別に当該検出画面2を二値化した二値化画面4を作成する。二値化画面4の一例を図6に示す。続いてステップ108では、二値化画面4中の各端面画像11について、欠落部分を補う、穴埋めする等によって形状を整え、端面画像11のうちテンプレート画像3の面積に対して所定範囲(例えば60〜110%)にあるものを特定する。ステップ109では、特定された端面画像11の数を計数してこれを第2計数値として記憶する。ステップ110では、第2計数値に関して特定された上記端面画像11を検出画面2から消去(マスク)する。
【0016】
図7に示すように検出画面2中の端面画像が全て消去されるまで、ステップ106からステップ110を繰り返し、その都度、ステップ109で計数された端面画像11の数を上記第2計数値に積算して新たな第2計数値とする。端面画像11が全て消去された否かは、例えばステップ106とステップ107の間にステップ111を設けて、ここで、ステップ106で閾値として設定された輝度値が前回設定された閾値よりも例えばその50%以下に急減した等によって全消去か否かを判定する。端面画像11が全て消去されたと判定されると、この時の第2計数値の値に上記第1計数値の値を積算してこの積算値を棒材1の本数とする。
【0017】
なお、上記実施形態において、ステップ103〜105を省略することもできる。また、テンプレート画像は必ずしも端面画像から選択する必要はなく、所望の形状を設定するようにしても良い。棒材としては丸棒材に限られないことはもちろんである。
【符号の説明】
【0018】
1…丸棒材(棒材)、11…端面画像、2…検出画面、3…テンプレート画像、4…二値化画面。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
積層された複数の棒材につきその端面の画像を含む検出画面を得る検出画面取得ステップと、前記棒材の端面の形状に応じた所望形状の画像をテンプレート画像として記憶するテンプレート画像記憶ステップと、前記検出画面の各画素の輝度を検出し、検出された輝度のうち最大輝度に応じた所定の閾値を設定して当該閾値に基づいて前記検出画面を二値化した二値化画面を得る二値化ステップと、前記二値化画面中の各端面画像について前記テンプレート画像の面積に対し所定範囲内の面積を有する端面画像を特定して当該端面画像の数を計数するとともに、当該端面画像を前記検出画面から消去する第1画像消去ステップとを備え、前記検出画面中の全端面画像が消去されるまで前記二値化ステップと前記画像消去ステップを繰り返し、前記画像消去ステップで計数された画像数の積算値を、前記積層された棒材の本数とする棒材の計数方法。
【請求項2】
前記テンプレート画像記憶ステップと前記二値化ステップの間に、前記検出画面中の各端面画像の輪郭形状を抽出して、当該輪郭形状が前記テンプレート画像の輪郭形状と一定割合以上で一致する端面画像を特定して当該端面画像の数を計数するとともに、当該端面画像を前記検出画面から消去する第2画像消去ステップをさらに備え、当該第2画像除去ステップで計数された画像数を、前記積算値に加えた値を、前記積層された棒材の本数とする請求項1に記載の棒材の計数方法。

【図8】
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【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2012−226676(P2012−226676A)
【公開日】平成24年11月15日(2012.11.15)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−95712(P2011−95712)
【出願日】平成23年4月22日(2011.4.22)
【出願人】(000003713)大同特殊鋼株式会社 (916)
【出願人】(000149505)大同マシナリー株式会社 (27)