説明

棒材供給機及び棒材加工システム

本発明の棒材供給機は、ガイドレール(30)の上方に位置する回転軸(64)によって揺動する揺動部材(66)を有する。通常、揺動部材(66)は、回転軸(64)からガイドレール(30)の上方を横切って材料棚(20)まで延びる上方位置近傍で待機する。揺動部材(66)を上方位置から、ガイドレール(30)に対して材料棚(20)から遠い側に位置する下方位置まで正転させる。その間に、揺動部材(66)が材料棚(20)から棒材を受取り、棒材をガイドレール(30)に補給する。棒材をガイドレール(30)から取出すときは、規制部材(108)によって揺動部材(66)への棒材の移動を規制し、揺動部材(66)を棒材のない状態で下方位置に移動させ、回転軸(64)と材料棚(20)との間に取出し空間(79)を作る。それにより、ガイドレールに補給した棒材をガイドレールから容易に除去することが可能になる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、棒材供給機に関し、更に詳細には、棒材取出し機構によって材料棚から取出された棒材を棒材加工機に給送する棒材供給機、及び、棒材供給機と棒材加工機とを組合せた棒材加工システムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、棒材取出し機構によって補給された棒材を棒材加工機に給送する棒材供給機が知られている。かかる棒材取出し機構には、例えば、棒材を棒材加工機に案内するためのガイドレールの上方に位置する回転軸に取付けられた割出板によって、材料棚から棒材を1本ずつ取出してガイドレールに補給する形式のものがある(例えば、特許文献1参照)。
以下、図10を参照しつつ、かかる棒材供給機を、特許文献1に記載されている棒材供給機を例にとって説明する。図10は、特許文献1に記載されている棒材供給機の部分的な断面図である。
【0003】
図10に示すように、棒材供給機200は、棒材Bを棒材加工機(図示せず)に案内するためのガイドレール202と、ガイドレール202の斜め上方に位置する、複数の棒材を載置するための材料棚204と、材料棚204から棒材Bを1本ずつ取出してガイドレール202に補給するための棒材取出し機構206とを有している。棒材取出し機構206は、ガイドレール202の上方に位置する回転軸208に、互いに離間して複数個取付けられた回転部材、即ち、円盤状の割出板210を有している。各割出板210の周囲には、種々の大きさの棒材Bの径に対応する大きさの凹部212が形成されている。割出板210は、回転軸208に対して解除可能に固定されており、加工すべき棒材Bの径に対応する凹部212aが材料棚204に整列する位置に、予め、固定しておく。すなわち、割出板210を解除した状態で、割出板210を加工すべき棒材Bの径に対応する凹部212aを材料棚204に整列する位置まで回転させ、その位置で固定しておく。また、図10では省略しているが、棒材供給機200には、更に、棒材Bを棒材加工機で加工している間の棒材Bの振れを防止するための複数の振止め装置(図示せず)が設けられている。
【0004】
割出板210の周囲に設けられた凹部212のうち、今回加工すべき棒材Bの径に対応した寸法の凹部212aがA1の位置、即ち、材料棚204と整列した位置にあるとき、材料棚204に1列に載置されている棒材Bのうちの1本が凹部212aに受取られる。回転軸208を矢印214の方向に回転させて、割出板210の凹部212aをA2の位置、即ち、凹部212aがガイドレール202に対向する下方位置に移動させると、凹部212a内の棒材Bが落下して、ガイドレール202に棒材Bが補給される。棒材Bの補給後、回転軸208を矢印216の方向に逆回転させ、割出板210の凹部212aを再びA1の位置に移動させると、次に補給すべき棒材Bが凹部212aに受取られ、それにより、次の棒材Bの補給に備える。
次いで、ガイドレール202に補給された棒材Bは、送り矢(図示せず)によってガイドレール202に沿って上流側から下流側に棒材加工機(図示せず)に給送される。詳細には、送り矢は、その先端部に設けられたフィンガーチャック(図示せず)によって棒材Bの後端部、即ち、上流側端部を把持する。送り矢は、棒材Bの先端部、即ち、下流側端部を棒材加工機の加工部まで給送した後、棒材加工機が棒材Bを所定の製品長さに切断するたびに、棒材Bをその製品長さだけ前進させる。棒材Bが所定の製品長さを切断することができない長さになるまで短くなったら、送り矢を棒材供給機200に引戻し、残材をガイドレール202から除去する。振止め装置の開閉運動は、割出板210の回転軸208と連動して行われる。割出板210の凹部212aがA1の位置にあるとき、振止め装置はガイドレール202内の棒材Bを把持する閉じ位置にあり、加工中の棒材Bの振れを防止する。また、割出板210の凹部212aがA2の位置にあるとき、振止め装置は解放状態になり、振止め装置が障害となることなく、ガイドレール202に棒材Bが補給される。
【0005】
【特許文献1】登録実用新案第3001964号公報(図2)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
第1に、従来の棒材供給機200においては、上述のように、棒材Bの種々の径に対応した寸法の凹部212を周囲に有する割出板210を有し、この割出板210を回転軸208にしっかりと固定させるための機構を設ける必要があった。従って、割出板210及びその周囲の構造が複雑且つ高価になっていた。また、加工すべき棒材Bの径が変わるごとに、棒材Bの径に対応する凹部の位置を設定し直す必要があり、しかも、複数の割出板210のすべてについて設定し直す必要があるので、段取りに時間を要した。
第2に、従来の棒材供給機200において、棒材Bが短くなる前に棒材Bをガイドレール202から除去することが必要になる場合がある。例えば、棒材Bが短くなる前に所定数量の製品が得られた場合や、棒材Bが不良で加工中の棒材Bの振れが著しく大きい場合等である。後者の場合には、棒材Bのほぼ全長、例えば、4mもの棒材Bをガイドレール202から除去することが必要になる。
棒材Bをガイドレール202から除去するには、先ず、棒材Bをガイドレール202の外に持上げる必要がある。棒材Bは重量物であり、また、ガイドレール202にの近くには、割出板210や材料棚204が設けられているので、それらの間に手を差し入れて、ガイドレール202内の棒材Bを手で持上げるのは非常に困難である。また、棒材Bをガイドレール202から除去するには、棒材Bをその長手方向に前後にうまく移動させながら、互いに隣接する割出板210等の間から抜取ることが考えられる。しかしながら、棒材Bが長い場合には、抜取りには手間がかかる。
【0007】
そこで、本発明の第1の目的は、上記の従来の装置のように、ガイドレールの上方に位置する回転軸によって回動される部材によって、棒材を材料棚から受取る棒材取出し機構を有する棒材供給機において、加工すべき棒材Bの径を切替える際の段取り時間をなくすことができる棒材供給機を提供することにある。
また、本発明の第2の目的は、上記の従来の装置のように、ガイドレールの上方に位置する回転軸によって回動される部材によって、棒材を材料棚から受取る棒材取出し機構を有する棒材供給機において、ガイドレールに補給した棒材をガイドレールから容易に除去することができる棒材供給機を提供することにある。
また、本発明の第3の目的は、このような棒材供給機と棒材加工機とを組合せた棒材加工システムを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記第1の目的を達成するために、本発明による棒材供給機は、棒材を棒材加工機に案内するためのガイドレールと、ガイドレールの斜め上方に位置する、複数の棒材を載置するための材料棚と、材料棚から棒材を1本ずつ取出してガイドレールに補給するための棒材取出し機構とを有し、棒材取出し機構は、ガイドレールの上方に位置する回転軸と、回転軸に取付けられ、材料棚から取出された棒材を受取るための回転部材とを有する、棒材を棒材加工機に給送する棒材供給機であって、回転部材は、回転軸から材料棚まで延びる、材料棚から取出された棒材を受取るための揺動部材であり、棒材取出し機構は、更に、材料棚から棒材を1本だけ押上げて揺動部材に供給する棒材押上げ手段と、コントローラとを有し、棒材をガイドレールに補給する通常モードにおいては、コントローラは、揺動部材を、ガイドレールの上方を横切って材料棚まで延びる上方位置から、ガイドレールに対して材料棚から遠い側に位置する下方位置まで、下方に正転させ、上方位置と下方位置の間のいずれかの位置において、棒材取出し機構によって取出された棒材を受取って、その棒材をガイドレールに補給した後、揺動部材を逆転させて上方位置近傍に戻して次の棒材の補給まで待機させることを特徴としている。
【0009】
このように構成された棒材供給機においては、通常モードにおいては、コントローラの制御によって、回転軸が回転されて揺動部材が上方位置から下方位置に揺動される。揺動部材は、上方位置において又は上方位置から下方位置に移動する間に、棒材押上げ手段によって取出された棒材を受取る。揺動部材を下方位置まで正転させると棒材がガイドレールの中に落下して、ガイドレールに棒材が補給される。次いで、揺動部材を下方位置から上方位置近傍まで揺動させ、待機させる。以降、同様の動作を繰り返すことによって棒材を1本ずつガイドレールに補給する。尚、本明細書においては、上方位置近傍には、上方位置が含まれるものとする。
揺動部材は、その上方位置において又は上方位置から下方位置に移動する間に、種々の径の棒材を受取ることができる。従って、従来の棒材供給機と比較して、割出板の凹部の設定位置を変更する手間が不要になり、加工すべき棒材の径を切替える際の段取り時間をなくすことができる。
【0010】
本発明の実施形態にかかる棒材供給機においては、好ましくは、材料棚は、棒材を支持する支持面を有し、揺動部材は、回転軸に対して材料棚の反対側にカム面を有し、棒材押上げ手段は、カム面近傍からガイドレールの下方を経て材料棚まで延びるリンク機構を有し、リンク機構の一端には、カム面に沿って運動するカムフォロアを有し、他端には、支持面から突出しない引込み位置と、支持面から突出して棒材を押上げる押上げ位置との間を移動可能な押上げ部材とを有し、カムフォロアは、揺動部材の揺動に伴ってカム面に沿って運動して、棒材押上げ部材を引込み位置と押上げ位置との間で移動させることを特徴としている。
【0011】
また、本発明においては、上記第2の目的を達成するために、棒材をガイドレールから除去するための空間を形成した。
即ち、上記第2の目的を達成するために、本発明による棒材供給機は、棒材を棒材加工機に案内するためのガイドレールと、ガイドレールの斜め上方に位置する、複数の棒材を載置するための材料棚と、材料棚から棒材を1本ずつ取出してガイドレールに補給するための棒材取出し機構とを有し、棒材取出し機構は、ガイドレールの上方に位置する回転軸と、回転軸に取付けられ、材料棚から取出された棒材を受取るための回転部材とを有する、棒材を棒材加工機に給送する棒材供給機であって、回転部材は、回転軸から材料棚まで延びる、材料棚から取出された棒材を受取るための揺動部材であり、棒材取出し機構は、更に、材料棚から棒材を1本だけ押上げて揺動部材に供給する棒材押上げ手段と、コントローラとを有し、棒材をガイドレールに補給する通常モードにおいては、コントローラは、揺動部材を、ガイドレールの上方を横切って材料棚まで延びる上方位置から、ガイドレールに対して材料棚から遠い側に位置する下方位置まで、下方に正転させ、上方位置と下方位置の間のいずれかの位置において、棒材取出し機構によって取出された棒材を受取って、その棒材をガイドレールに補給した後、揺動部材を逆転させて上方位置近傍に戻して次の棒材の補給まで待機させ、更に、ガイドレール内に存在する棒材を除去する際に、材料棚から揺動部材に棒材が移動するのを防止するための規制手段を有し、ガイドレール内に存在する棒材を除去する除去モードにおいては、規制手段によって揺動部材への棒材の移動が規制されている間、作業者による操作に応答して、コントローラは、揺動部材を棒材のない状態で下方位置又は更に正転させた位置に移動させ、それによって、回転軸と材料棚との間に、ガイドレールから棒材を取出すための取出し空間が形成されることを特徴としている。
【0012】
このように構成された棒材供給機においては、通常モードにおいては、コントローラの制御によって、回転軸が回転されて揺動部材が上方位置から下方位置に揺動される。揺動部材は、上方位置において又は上方位置から下方位置に移動する間に、棒材押上げ手段によって取出された棒材を受取る。揺動部材を下方位置まで正転させると棒材がガイドレールの中に落下して、ガイドレールに棒材が補給される。次いで、揺動部材を下方位置から上方位置近傍まで揺動させ、待機させる。以降、同様の動作を繰り返すことによって棒材を1本ずつガイドレールに補給する。尚、本明細書においては、上方位置近傍には、上方位置が含まれるものとする。
通常モードの間、ガイドレールに補給された棒材をガイドレールから除去する必要が生じることがある。その場合には、作業者による操作に応答して、通常モードを除去モードに切替える。除去モードにおいては、棒材をガイドレールから除去するために、棒材供給機のいくつかの装置をコントローラの制御によって制御する。詳細には、規制手段によって揺動部材への棒材の供給が規制されている間、揺動部材を上方位置近傍から下方位置又は更に正転させた位置に揺動させる。棒材の供給が規制されているため、揺動部材は、棒材のない状態で下方位置又は更に正転させた位置に移動され、ガイドレールの上方にある回転軸とガイドレールの斜め上方に位置する材料棚との間に、ガイドレールから棒材を取出すための取出し空間が形成される。
【0013】
通常モードにおいては、揺動部材が上方位置近傍に待機しているとき、揺動部材は回転軸から材料棚までガイドレールの上を横切って延びており、従って、回転軸と材料棚との間の空間は、揺動部材によって遮られている。このため、ガイドレールの棒材をかかる空間を通して除去することはできない。これに対して、除去モードにおいては、揺動部材を、ガイドレールに対して材料棚から遠い側に位置する下方位置に移動させることにより、障害物がなくなり、回転軸と材料棚との間に棒材を水平状態で取出すことができる取出し空間が形成される。その結果、ガイドレールの棒材を取出し空間を通して容易に除去することが可能になる。
【0014】
本発明の実施形態にかかる棒材供給機においては、好ましくは、材料棚は、棒材を支持する支持面を有し、揺動部材は、回転軸に対して材料棚の反対側にカム面を有し、棒材押上げ手段は、カム面近傍からガイドレールの下方を経て材料棚まで延びるリンク機構を有し、リンク機構の一端には、カム面に沿って運動するカムフォロアを有し、他端には、支持面から突出しない引込み位置と、支持面から突出して棒材を押上げる押上げ位置との間を移動可能な押上げ部材とを有し、カムフォロアは、揺動部材の揺動に伴ってカム面に沿って運動して、棒材押上げ部材を引込み位置と押上げ位置との間で移動させることを特徴としている。
この棒材供給機では、棒材押し上げ手段の引込み位置と押上げ位置との間の移動を、リンク機構のカムフォロアを揺動部材のカム面に沿って運動させることにより行っている。本発明の実施形態によれば、揺動部材の回転運動と棒材の材料棚からの取出しを同期させることができると共に、前記取出し空間を迂回するリンク機構を採用しているので、棒材の取出しの障害にならず、棒材をガイドレールから容易に除去することが可能である。
【0015】
更に、本発明の別の実施形態においては、好ましくは、ガイドレールは、同軸上に互いに離間して配置された複数のガイドレール部分を有し、互いに隣接するガイドレール部分の間には、ガイドレール内に存在する棒材を下方から取出し空間へ持上げるための棒材持上げ手段が設けられていることを特徴としている。
この棒材供給機では、棒材持上げ手段を用いることによって、ガイドレールから取出し空間への棒材、特に、重い棒材の移動が容易になる。棒材持上げ手段は、1つだけ設けられても良いし、複数設けられても良い。
【0016】
この実施形態において、好ましくは、棒材持上げ手段は、ガイドレール部分を横切る方向に延び、且つ、軸線がガイドレール部分の長手方向に配向された第1の枢軸を中心に枢動可能な持上げ部材と、この持上げ部材を、ガイドレールの内側底面と面一又はそれよりも下方の退避位置と内側底面よりも上方の持上げ位置との間で、第1の枢軸を中心に枢動させるための操作レバーと、操作レバーを持上げ部材を持上げ位置に維持するように係止する係止手段と、を有する。
この棒材供給機では、操作レバーによって、持上げ部材をガイドレールの内側底面と面一又はそれよりも下方の退避位置からそれよりも上方の持上げ位置まで第1の枢軸を中心に枢動させると、ガイドレール内の棒材が持上げ部材に支持されて、取出し空間に持上げられる。更に、操作レバーを係止手段によって、持上げ部材を持上げ位置に維持するように係止すると、棒材が取出し空間に持上げられたまま維持される。
作業者は、棒材が取出し空間に持上げられた後、操作レバーから手を離すことができるので、棒材を取出し空間を通して除去することが容易になる。
【0017】
この実施形態において、更に好ましくは、操作レバーは持上げ部材に対して、第1の枢軸を中心に反対側に延び、且つ、第1の枢軸の軸線に対して上下方向に配向された第2の枢軸によって枢着され、操作レバーは、持上げ部材が第1の枢軸を中心に退避位置から持上げ位置まで移動するときの第1の経路と、この第1の経路の終点から、持上げ部材を持上げ位置に維持したまま係止手段によって係止される係止位置まで、第2の枢軸を中心とする横方向の枢動を伴って移動するときの第2の経路に沿って移動可能であり、係止手段は、係止位置において操作レバーの上方を横切って延びる、操作レバーを係止するための当接面を有する。
この棒材供給機では、操作レバーが持上げ部材に対して第1の枢軸を中心に反対側に延びているので、操作レバーを上方から下方に第1の経路に沿って移動させることにより、持上げ部材を退避位置から持上げ位置まで移動させることができる。引続いて、操作レバーを、持上げ部材を持上げ位置に維持したまま係止手段によって係止される係止位置まで、第2の枢軸を中心とする横方向の枢動を伴う第2の経路に沿って移動させる。係止位置の操作レバーには、持上げ部材に支持されている棒材による下方から上方に向かう力が働いているので、操作レバーの上方を横切って延びる当接面により、操作レバーが自動的に係止され、持上げ部材が持上げ位置に維持される。
作業者は、操作レバーを第1の経路及び第2の経路に沿って移動させるだけで、操作レバーを係止位置に自動的に係止させることができるので、棒材を支持している持上げ部材を持上げ位置に持上げ、その位置に維持する一連の作業をスムーズ且つ容易に行うことができる。
【0018】
この実施形態において、更に好ましくは、棒材供給機は、側壁を有し、操作レバーは、持上げ部材から側壁を貫いて外方に延び、側壁には、第1の経路及び第2の経路に沿って、操作レバーが移動するための切欠きが形成されており、この切欠きが当接面を有する。
この棒材供給機では、操作レバーが側壁を貫いて外方に延び、操作レバーが移動するための切欠き及び操作レバーを係止させるための当接面が側壁に設けられているので、作業者は、側壁を取外すことなく、操作レバーを側壁の外方から容易に操作することができる。
【0019】
この実施形態において、更に好ましくは、操作レバーは、側壁の内側において持上げ部材に対して脱着自在に取付けられている。
この棒材供給機では、棒材をガイドレールに補給する通常モードのとき、側壁から外方に延びていると邪魔になる操作レバーを持上げ部材から取外すことができる。また、ガイドレール内に存在する棒材を除去する除去モードのとき、棒材持上げ装置を使用するために、操作レバーを持上げ部材に側壁の外側から容易に取付けることができる。
【0020】
また、本発明の上記第2の目的は、棒材を棒材加工機に案内するためのガイドレールと、ガイドレールの斜め上方に位置する、複数の棒材を載置するための材料棚と、材料棚から棒材を1本ずつ取出してガイドレールに補給するための棒材取出し機構とを有し、棒材取出し機構は、ガイドレールの上方に位置する回転軸と、回転軸に取付けられ、材料棚から取出された棒材を受取るための回転部材とを有する、棒材を棒材加工機に給送する棒材供給機であって、回転部材は、回転軸から材料棚まで延びる、材料棚から取出された棒材を受取るための揺動部材であり、棒材取出し機構は、更に、材料棚から棒材を1本だけ押上げて揺動部材に供給する押上げ位置と供給準備を行う引込み位置との間を移動可能な棒材押上げ手段と、コントローラとを有し、棒材をガイドレールに補給する通常モードにおいては、コントローラは、棒材押上げ手段を押上げ位置に移動させることによって棒材を揺動部材に移動させ、また、揺動部材を、ガイドレールの上方を横切って材料棚まで延びる上方位置から、ガイドレールに対して材料棚から遠い側に位置する下方位置まで、下方に正転させ、上方位置と下方位置の間のいずれかの位置において、棒材取出し機構によって取出された棒材を受取って、その棒材をガイドレールに補給した後、揺動部材を逆転させて前記上方位置近傍に戻して次の棒材の補給まで待機させ、ガイドレール内に存在する棒材を除去する除去モードにおいては、作業者による操作に応答して、コントローラは、棒材押上げ手段を引込み位置に維持し、また、揺動部材を棒材のない状態で下方位置又は更に正転させた位置に移動させ、それによって、回転軸と材料棚との間に、ガイドレールから棒材を取出すための取出し空間が形成されることを特徴とする棒材供給機によっても達成することができる。
【0021】
このように構成された棒材供給機は、通常モードにおいては、前に説明した本発明による棒材供給機と同様に動作する。除去モードにおいては、棒材をガイドレールから除去するために、棒材供給機のいくつかの装置をコントローラの制御によって制御する。詳細には、棒材押上げ手段を引込み位置に維持しておくと共に、揺動部材を上方位置近傍から下方位置に揺動させる。棒材押上げ手段が引込み位置にあるので、棒材が材料棚から取出されることはなく、揺動部材は、棒材のない状態で下方位置又は更に正転させた位置に移動させられる。揺動部材を下方位置又は更に正転させた位置に揺動させることにより、ガイドレールの上方にある回転軸とガイドレールの斜め上方に位置する材料棚との間に、ガイドレールから棒材を取出すための取出し空間が形成される。それにより、ガイドレール内の棒材を取出し空間を通して容易に除去することが可能になる。
【0022】
更に、上述した第2の目的を達成するための棒材供給機の実施形態においては、好ましくは、材料棚は、支持面を有する棚部材と、棒材が支持面の上に1列に載置されるように支持面の上方に設けられた棒材規制部と、取出し空間を横切って延びる、棒材規制部を支持するための支持構造部とを有し、支持構造部は、取出し空間から退避する位置に移動可能に設けられている、ことを特徴としている。
この棒材供給機によれば、支持構造部取出し空間から退避させることにより、取出し空間内の障害がなくなり、ガイドレールの棒材を取出し空間を通して容易に除去することが可能になる。
【0023】
更に、本発明の上記第3の目的は、コントローラを棒材加工機に設けても達成できる。
即ち、棒材を棒材加工機に案内するためのガイドレールと、ガイドレールの斜め上方に位置する、複数の棒材を載置するための材料棚と、材料棚から棒材を1本ずつ取出してガイドレールに補給するための棒材取出し機構とを有し、棒材取出し機構は、ガイドレールの上方に位置する回転軸と、回転軸に取付けられ、材料棚から取出された棒材を受取るための回転部材とを有する、棒材を棒材加工機に給送する棒材供給機と、棒材を加工する棒材加工機とを有する棒材加工システムであって、回転部材は、回転軸から材料棚まで延びる、材料棚から取出された棒材を受取るための揺動部材であり、棒材取出し機構は、更に、材料棚から棒材を1本だけ押上げて揺動部材に供給する棒材押上げ手段を有し、棒材加工機は、コントローラを有し、棒材をガイドレールに補給する通常モードにおいては、コントローラは、揺動部材を、ガイドレールの上方を横切って材料棚まで延びる上方位置から、ガイドレールに対して材料棚から遠い側に位置する下方位置まで、下方に正転させ、上方位置と下方位置の間のいずれかの位置において、棒材取出し機構によって取出された棒材を受取って、その棒材をガイドレールに補給した後、揺動部材を逆転させて上方位置近傍に戻して次の棒材の補給まで待機させることによっても達成される。
【0024】
更に、本発明の上記第3の目的は、コントローラを棒材加工機に設けても達成できる。
即ち、棒材を棒材加工機に案内するためのガイドレールと、ガイドレールの斜め上方に位置する、複数の棒材を載置するための材料棚と、材料棚から棒材を1本ずつ取出してガイドレールに補給するための棒材取出し機構とを有し、棒材取出し機構は、ガイドレールの上方に位置する回転軸と、回転軸に取付けられ、材料棚から取出された棒材を受取るための回転部材とを有する、棒材を棒材加工機に給送する棒材供給機と、棒材を加工する棒材加工機とを有する棒材加工システムであって、回転部材は、回転軸から材料棚まで延びる、材料棚から取出された棒材を受取るための揺動部材であり、棒材取出し機構は、更に、材料棚から棒材を1本だけ押上げて揺動部材に供給する棒材押上げ手段を有し、棒材加工機は、コントローラを有し、棒材をガイドレールに補給する通常モードにおいては、コントローラは、揺動部材を、ガイドレールの上方を横切って材料棚まで延びる上方位置から、ガイドレールに対して材料棚から遠い側に位置する下方位置まで、下方に正転させ、上方位置と下方位置の間のいずれかの位置において、棒材取出し機構によって取出された棒材を受取って、その棒材をガイドレールに補給した後、揺動部材を逆転させて上方位置近傍に戻して次の棒材の補給まで待機させ、棒材供給機は、更に、ガイドレール内に存在する棒材を除去する際に、材料棚から揺動部材に棒材が移動するのを防止するための規制手段を有し、ガイドレール内に存在する棒材を除去する除去モードにおいては、規制手段によって揺動部材への棒材の移動が規制されている間、作業者による操作に応答して、コントローラは、揺動部材を棒材のない状態で下方位置又は更に正転させた位置に移動させ、それによって、回転軸と材料棚との間に、ガイドレールから棒材を取出すための取出し空間が形成されることを特徴とする棒材加工システムによっても達成することができる。
【0025】
更に、本発明の上記第3の目的は、棒材を棒材加工機に案内するためのガイドレールと、ガイドレールの斜め上方に位置する、複数の棒材を載置するための材料棚と、材料棚から棒材を1本ずつ取出してガイドレールに補給するための棒材取出し機構とを有し、棒材取出し機構は、ガイドレールの上方に位置する回転軸と、回転軸に取付けられ、材料棚から取出された棒材を受取るための回転部材とを有する、棒材を棒材加工機に給送する棒材供給機と、棒材を加工する棒材加工機とを有する棒材加工システムであって、回転部材は、回転軸から材料棚まで延びる、材料棚から取出された棒材を受取るための揺動部材であり、棒材取出し機構は、更に、材料棚から棒材を1本だけ押上げて揺動部材に供給する押上げ位置と引込み位置との間を移動可能な棒材押上げ手段を有し、棒材加工機は、コントローラを有し、棒材をガイドレールに補給する通常モードにおいては、コントローラは、棒材押上げ手段を押上げ位置に移動させることによって棒材を揺動部材に移動させ、また、揺動部材を、ガイドレールの上方を横切って材料棚まで延びる上方位置から、ガイドレールに対して材料棚から遠い側に位置する下方位置まで、下方に正転させ、上方位置と下方位置の間のいずれかの位置において、棒材取出し機構によって取出された棒材を受取って、その棒材をガイドレールに補給した後、揺動部材を逆転させて上方位置近傍に戻して次の棒材の補給まで待機させ、ガイドレール内に存在する棒材を除去する除去モードにおいては、作業者による操作に応答して、コントローラは、棒材押上げ手段を引込み位置に維持し、また、揺動部材を棒材のない状態で下方位置又は更に正転させた位置に移動させ、それによって、回転軸と材料棚との間に、ガイドレールから棒材を取出すための取出し空間が形成されることを特徴とする棒材加工システムによっても達成することができる。
【0026】
更に、上述した第3の目的を達成するための棒材加工システムの実施形態においては、好ましくは、材料棚は、支持面を有する棚部材と、棒材が支持面の上に1列に載置されるように支持面の上方に設けられた棒材規制部と、取出し空間を横切って延びる、棒材規制部を支持するための支持構造部とを有し、支持構造部は、取出し空間から退避する位置に移動可能に設けられていることを特徴としている。
この棒材加工システムによれば、支持構造部取出し空間から退避させることにより、取出し空間内の障害がなくなり、ガイドレールの棒材を取出し空間を通して容易に除去することが可能になる。
【0027】
また、本発明において、上記第2の目的を達成するために、棒材をガイドレールから除去するための持上げ部材を棒材供給機に設けた。
即ち、本発明による棒材供給機は、棒材を棒材加工機に案内するためのガイドレール有する、棒材を棒材加工機に給送する棒材供給機であって、ガイドレールは、同軸上に互いに離間して配置された複数のガイドレール部分を有し、互いに隣接するガイドレール部分の間には、ガイドレール内に存在する棒材を取り出すため、棒材を下方からガイドレールの外へ持上げるための棒材持上げ手段が設けられていることを特徴としている。このように構成された棒材供給機では、棒材をガイドレールから除去する際の最初の工程、即ち、棒材をガイドレールからその外に持上げる工程が、持上げ手段を用いることによって容易になる。
【発明の効果】
【0028】
本発明により、ガイドレールの上方に位置する回転軸によって回動される部材によって、棒材を材料棚から受取る棒材取出し機構を有する棒材供給機において、加工すべき棒材の径を切替える際の段取り時間をなくすことができる。
また、本発明により、ガイドレールの上方に位置する回転軸によって回動される部材によって、棒材を材料棚から受取る棒材取出し機構を有する棒材供給機において、ガイドレールに補給した棒材をガイドレールから容易に除去することができる。
また、本発明により、このような棒材供給機と棒材加工機とを組合せた棒材加工システムを提供することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0029】
以下、図面を参照して、本発明による棒材加工システム及び棒材供給機の第1の実施形態を説明する。図1は、棒材加工機と、それに隣接して配置された本発明の第1の実施形態に係る棒材供給機とを含む棒材加工システムを概略的に示す正面図である。図2は、図1に示す線2−2に沿った横断面図である。
【0030】
図1に示すように、本実施形態における棒材加工システム1は、加工すべき棒材Bを長手方向軸線に沿って給送するために、棒材Bが給送される給送軸線1Aに沿って上流側即ち後側から下流側即ち前側に長手方向に延びている棒材供給機2と、棒材供給機の下流側に配置された棒材加工機4とを有する。
棒材加工機は4、例えば、主軸固定型のNC旋盤である。以下、棒材加工機4が主軸固定型のNC旋盤であるものとして説明する。このNC旋盤4は、主軸台4aと、主軸台4aの上方に配置された、給送軸線1Aに沿って延びる主軸4bと、主軸4bの下流側に配置された棒材を加工するための加工部4cとを有している。
【0031】
棒材供給機2は、支持フレーム6と、給送軸線1Aに沿って延び、支持フレーム6によって支持された、棒材BをNC旋盤4に案内するためのガイドレール8と、棒材Bを押しながらガイドレールに沿ってNC旋盤に向って給送する送り矢10と、棒材Bの一次送りを行うための一次送り部材12(図2参照)と、送り矢8を給送方向に前後移動させるための送り矢駆動装置14と、一次送り部材12を給送方向に前後移動させるための一次送り部材駆動装置(図示せず)と、棒材BをNC旋盤4内で加工している間、棒材Bを把持して振れを防止するための振れ止め装置16と、加工が済んでNC旋盤4から持ち帰ってきた棒材B(残材)を収容する残材棚18と、ガイドレール8の長手方向にみてガイドレール8の斜め上方に位置する、複数の棒材B(新材)を載置するための材料棚20と(図2参照)、材料棚20から棒材Bを1本ずつ取出してガイドレール8に補給するための棒材取出し機構22と、送り矢駆動装置14、振れ止め装置16、一次送り部材駆動装置(図示せず)及び棒材取出し機構22等の棒材供給機2に含まれる様々な装置の制御を行うコントローラ24と、を有している。
【0032】
まず、ガイドレール8について説明すると、ガイドレール8は、図1に示すように、同軸状に互いに離間して配置された複数のガイドレール部分8a、8bを有し、具体的には、支持フレーム6の下流側に給送軸線1Aと同軸上に配置された下流側ガイドレール部分8aと、支持フレーム6の上流側に配置された上流側ガイドレール部分8bとを有している。
下流側ガイドレール部分8aは、更に、複数の部分(本実施形態においては3つ)に分割されており、互いに隣接する下流側ガイドレール部分8aの間及び最も下流側のガイドレール部分8aの下流端前方に振れ止め装置16が設けられている。下流側ガイドレール8aは、上部に、棒材取出し機構22から取出された棒材Bを受入れる開口(図示せず)を持ち、その内部に棒材B及び送り矢10が移動する、横断面がU字形の内部空間(図示せず)が形成されている。
上流側ガイドレール部分8bは、図2に示すように、互いに並設された一次送り用ガイドレール部分28と、二次送り用ガイドレール部分30とを有する。一次送り用ガイドレール部分28は、その上部に棒材を受入れる開口を有し、その内部に一次送り部材12及び棒材Bが移動するU字形の内部空間28aが形成されている。一方、二次送り用ガイドレール部分30は、その内部に送り矢10が移動するU字形の内部空間30aを有している。上流側ガイドレール8bは、一次送り用ガイドレール部分28と下流側ガイドレール部分8aとが整列する一次送り側の位置(図示せず)と、二次送り用ガイドレール部分30と下流側ガイドレール8aとが整列する二次送り側の位置(図2参照)との間をリニアガイド装置(図示せず)及び駆動装置(図示せず)によって横方向に移動可能である。この駆動装置は、コントローラ24によって制御可能である。
【0033】
次に、送り矢10及び一次送り部材12について説明する。
送り矢10は、二次送り用ガイドレール部分30及び下流側ガイドレール部分8aの内部空間内を給送方向に前後移動して、棒材Bを押しながら棒材加工機4に給送するためのものである。送り矢10は、上流側に配置された本体部10aと、本体部10aの下流側に配置された、棒材Bの後端部を把持するためのフィンガーチャック10bとを有している。フィンガーチャック10bはチャックジョイント(図示せず)を介して、本体部10aに対して長手方向軸線まわりに回転可能に連結されている。本体部10aの後端部には、後述する送り矢駆動装置14の無端チェーン14bを取付けるための羽根部材10cが設けられている。
一次送り部材12は、一次送り用ガイドレール部分28の内部空間28a内を給送方向に前後移動して、一次送り用ガイドレール部分28内の棒材Bを下流側ガイドレール8aに沿って一次送り位置まで移動させるためのものである。一次送り部材12は、ブロック形状をなしている。
【0034】
次に、送り矢駆動装置14及び一次送り部材駆動装置(図示せず)について説明する。
送り矢駆動装置14は、送り矢10をガイドレール8内で給送軸線1Aに沿って前後移動させるためのものであり、コントローラ24によってON/OFFされることによって送り矢10が前後移動されたり、所定位置で停止されたりする。送り矢駆動装置14は、基本的には、サーボモータ(図示せず)と、サーボモータの出力軸に連結されたスプロケット等の伝動部14aと、伝動部に連結され且つ給送軸線とほぼ平行に走行する無端チェーン14bとを有し、この無端チェーン14bが、送り矢10の羽根部材10cに取付けられている。
一次送り部材駆動装置(図示せず)は、一次送り部材12を給送軸線1Aに沿って前後移動させるものである。一次送り部材駆動装置は、送り矢10を一次送り部材12に変更する以外、送り矢駆動装置14と同様の構成を有しているので、その説明を省略する。
【0035】
次に、図2を参照して、材料棚20について説明する。材料棚20は、互いにガイドレール8の長手方向に離間した複数の材料棚部分からなる。本実施形態では、材料棚20は、支持フレーム6に取付けられた材料棚支持部材36に支持され、棒材Bを支持する支持面38を備えた棚部材40と、棒材Bが支持面38の上に1列に載置されるように支持面38の上方に設けられた棒材規制部42と、棒材規制部42を支持するための支持構造部44とを有している。
棚部材40の支持面38は、ガイドレール8に向かって下方に傾斜している、すなわち、棒材Bの支持面38上における流れ方向下流側に向けて傾斜している。棚部材40のガイドレール8側の端部には、支持面38から上方に突出した、棒材Bが材料棚20から落下するのを防止するためのストッパ46が設けられている。ストッパ46の上面48も、ガイドレール8に向かって下方に傾斜している。更に、各材料棚部分は、ガイドレール8側の端部の上面48からガイドレール8の上部開口の近傍に向かって延びる、棒材Bをガイドレール8に向けて案内するための案内面50を有しており、本実施形態においては、この案内面50は材料棚支持部材36に形成されている。案内面50は、後述する回転軸64を中心とする円弧で形成されるのが良い。
【0036】
棒材規制部42は、下部に、支持面38の上方に且つほぼそれと平行に配置された、棒材Bが棚部材40の支持面38上に一列に整列するように棒材Bを抑えるための規制面52をもつ棒材規制部材54を有する。また、支持構造部44は、棚部材40の上方から、ガイドレール8の上方を横切って延び、基端が支持フレーム6に取付けられており、また、先端に棒材規制部材54が取付けられている。棒材規制部材54は、棚部材40の下流端部において、棒材Bを1本だけ取出せるように、棒材Bの径の分だけ棚部材40の支持面38よりも上流側で終端しており、これによって、棚部材40と棒材規制部材54との間に、棒材を取出すための開口58が形成されている。
棒材規制部材54は、規制部支持部材56によって、棚部材40から遠ざける方向に移動可能に支持されている。より具体的には、本実施形態においては、棒材規制部材54は、規制部支持部材56の枢着部60を中心に枢動可能に支持されており、クランプレバー等の締結部材62によって固定される。かくして、規制部支持部材56及び棒材規制部材54は、棚部材40上の棒材Bを抑える抑え位置(図2参照)と、棚部材40から遠ざかる方向に退避させた退避位置(図5参照)との間を枢動可能である。
【0037】
次に、図2を参照して、棒材取出し機構22について説明する。棒材取出し機構22は、ガイドレール8の上方に位置する回転軸64と、回転軸64に取付けられ材料棚20から取出された棒材を受取るための回転部材である揺動部材66と、材料棚20から棒材Bを1本だけ押上げて揺動部材66に供給する棒材押上げ装置68とを有する。
回転軸64は、棒材供給機2のほぼ全長にわたって延びている(図1参照)。回転軸64の後端部は、回転軸64を回転させるためのサーボモーター70の出力軸に連結されている。サーボモーター70の回転角度、従って、揺動部材66の回転位置は、コントローラによって制御可能である。
揺動部材66は、長手方向に互いに離間して回転軸64に固定されており、それぞれは、棚部材40に隣接して設けられている。
【0038】
以下、図2乃至図5を参照して、揺動部材66及び棒材押上げ装置68を詳細に説明する。図2は、揺動部材66の上方位置を示し、また、図3は、揺動部材66に棒材Bが材料棚20から供給される中間位置を示す、図2と同様の横断面図であり、更に、図4は、揺動部材66によって運ばれた棒材Bをガイドレール8に供給する下方位置を示す、図2と同様の横断面図である。更に、図5は、規制部支持部材56及び棒材規制部材54を退避位置に移動させた、図4と同様の横断面図である。
【0039】
揺動部材66は、回転軸64を中心として、次の棒材Bのガイドレール8への供給のため待機する上方位置と、棒材Bをガイドレール8に供給する下方位置との間で揺動可能に設けられており、上方位置から下方位置まで揺動する間の中間位置において、材料棚20から棒材Bを受取る。
【0040】
図2に示すように、揺動部材66は、棒材Bを材料棚20から受取るための棒材受け部74と、回転軸64に対して棒材受け部74、即ち、材料棚20とほぼ反対側に配置されたカム面76とを有している。棒材受け部74は、回転軸64を中心とした比較的大きい円弧からなる周面74aと、周面74aに連設された、回転軸64から径方向外方に向って延びる受け面74bと、受け面74bに連設された回転軸64を中心とした比較的小さい円弧を形成する逃がし面74cとを有している。周面74aは、上記の案内面50が、回転軸64を中心とする円弧で形成される場合には、それと相補形をなす、回転軸64を中心とした円弧状に形成されているのが好ましい。上方位置においては、揺動部材66は、回転軸64からガイドレール8の上方を横切って材料棚20の上方まで延びる位置にある。
【0041】
図3に示すように、揺動部材66が中間位置にあるとき、揺動部材66の受け面74bと材料棚20(より、具体的には、揺動部材66にストッパ46の上面48又は案内面50)とで略V字形をなす。また、周面74aは案内面50と部分的に対向し、受け面74bは材料棚20のストッパ46の上面48よりも下方に位置し、案内面50と受け面74bとの間には、材料棚20から取出された棒材Bを受取る空間が形成される。中間位置においても、揺動部材66は、回転軸64からガイドレール8の上方を横切って棚部材40の上方まで延びる位置にある。尚、図3は、揺動部材66が棒材Bを受取る中間位置の一例を示すものである。棒材がストッパ46の上面48上を転動する速度によって、揺動部材66が棒材を受取る位置は異なるから、揺動部材66が棒材Bを受取る位置は、必ずしも、図3に示す位置(上方位置から60°の位置)に限られず、上方位置と下方位置の間のいずれかの位置となる。
【0042】
図4に示すように、揺動部材66が下方位置にあるとき、受け面74bは、ガイドレール8に対して材料棚20から遠い側の位置において縦方向に延びる。この位置においては、揺動部材66がガイドレール8を越えた位置に退避している。このように、揺動部材66が下方位置にあり、また、既に説明した棒材規制部材54が退避位置にある状態においては、ガイドレール8の上方の回転軸64と材料棚20との間に障害物のない、ガイドレール8から棒材Bを取出すための取出し空間79が形成される。詳細には、揺動部材66が下方位置にあるとき、受け面74b及び逃がし面74cと材料棚20との間に上方に開いた空間が作られる。尚、本実施形態では、下方位置は、揺動部材66を上方位置から下方に120°回転させた位置としている。
【0043】
図5に示すように、揺動部材66が下方の位置にあるとき、規制部支持部材56及び棒材規制部材54を、抑え位置から退避位置に枢動させると、ガイドレール8から回転軸64と材料棚20との間を経て材料棚20の上方へと、棒材Bを取出すことができる、障害物のない通路(取出し空間)が作られる。
【0044】
図2に示すように、棒材押し上げ装置68は、カム面76近傍からガイドレール8の下方を経て材料棚20まで延びるリンク機構80を有する。リンク機構80の一端には、カム面76に沿って運動するカムフォロア88を有し、他端には、材料棚20の支持面38から突出しない引込み位置と、支持面38から突出して棒材Bを押上げる押上げ位置との間を移動可能な押上げ部材78とを有している。図2及び図3に示すように、概略的には、揺動部材66が上方位置から中間位置との間で揺動するとき、カムフォロア88は、カム面76に沿って運動可能であり、棒材押上げ部材78は、引込み位置と押上げ位置との間で移動可能である。
【0045】
リンク機構80を詳細に説明すると、リンク機構80は、カム面76に当接するカムフォロア88と、一方のアーム90aにカムフォロア88が取付けられ且つそこからほぼ下方に延びる第1の両アーム揺動部材90と、この第1の両アーム揺動部材90の他方のアーム90bに一方の端部92aが枢動可能に連結され且つそこからほぼ横方向に延びるリンク部材92と、一方のアーム94aが枢動可能に連結された第2の両アーム揺動部材94と、この第2の両アーム揺動部材94の他方のアーム94bが当接する下面84を有する棒材押上げ部材78とを有している。棒材押上げ部材78は、ストッパ46に当接している材料棚20の棒材Bを押上げることができるように棚部材40に取付けられている。棒材押上げ部材78は、ばね等の付勢部材82によって下方に、即ち、引込み位置に付勢されている。カムフォロア88が回転軸64から離れる方向に移動するとき、第1の両アーム揺動部材90の他方のアーム90bは、枢軸90cを中心に棚部材40に近づく方向に揺動可能であり、リンク部材92は、棚部材40の方に横方向に移動可能であり、第2の両アーム揺動部材94の他方のアーム94bは、棒材押上げ部材78を上方に押上げるように枢軸94cを中心に揺動可能である。
【0046】
図1及び図5を参照すれば、棒材供給機2は、更に、互いに隣接したガイドレール部分の間の空間に配置された、ガイドレール8内に存在する棒材Bを下方から取出し空間79へ持上げるための棒材持上げ装置100を有している。棒材持上げ装置100は、本実施形態では、上流側ガイドレール部分8bと下流側ガイドレール部分8aとの間に配置されている。棒材持上げ装置100は、枢軸102を中心にガイドレール8の内側底面よりも下方の位置とそれよりも上方の位置との間を枢動可能な持上げ部材104と、持上げ部材を枢軸102を中心に枢動させるように持上げ部材104に取付けられた操作レバー106とを有している。
【0047】
また、図5を参照すれば、ガイドレール8内に存在する棒材Bを除去する際、材料棚20から揺動部材66に棒材Bが移動するのを防止するための規制部材108が設けられている。本実施形態では、規制部材108は、棚部材40のストッパ46の上面48に形成された孔に取り外し可能に挿入されて取付けられるピン108である。ピン108は、棒材の取付け状態において上面48から上方に突出しており、それにより、棒材が材料棚20から揺動部材66に移動するのが防止される。
【0048】
次に、本発明の第1の実施形態である棒材供給機の動作を説明する。
図2に示すように、まず、作業者は、棒材規制部42を退避位置に移動させ、材料棚20に棒材B(新材)を1列に載置し、棒材規制部42を抑え位置に戻す。また、揺動部材66は、上方位置にある。このとき、揺動部材66は回転軸64から材料棚20までガイドレール8の上を横切って延びている。棒材押上げ部材78は、後述するように、リンク機構80によって引込み位置にある。
【0049】
棒材供給機2を作動させると、棒材Bをガイドレール8に補給する通常モードにおいては、コントローラ24の制御によって、棒材Bを棒材取出し機構22によって材料棚20から1本取出してガイドレール8に補給する。
【0050】
詳細には、まず、コントローラ24は、サーボモータ70を駆動し、揺動部材66を下方に揺動させるように回転軸64を回転させる。図3に示すように、揺動部材66を上方位置から、中間位置に向って下方に正転させる。中間位置においては、揺動部材66の受け面74bが材料棚20のストッパ46の上面48とほぼ整列した位置又はそれよりも下方に位置する。それと同時に、カムフォロア88がカム面76に沿って運動し、回転軸64から遠ざかる。それに応じて、第1の両アーム揺動部材90、リンク部材92及び第2の両アーム揺動部材94が移動して、棒材押し上げ部材78を付勢部材82の付勢力に抗して押上げ位置に押上げる。それにより、棚部材40上で最も下流側の棒材Bが1本だけ、ストッパ46の上面48の上に押上げられ、棒材Bは、上面48に沿って揺動部材まで転動して揺動部材66に供給され、揺動部材66は棒材Bを受取る。
次いで、図4に示すように、回転軸64を更に回転させ、揺動部材を中間位置から下方に揺動し、ガイドレール8を越えて下方位置まで正転させる。この位置において、揺動部材66の受け面74bは、ガイドレール8に対して材料棚20から遠い側の位置において縦方向に配向しており、棒材Bがガイドレール8に落下して補給される。より具体的には、揺動部材66に受取られた棒材Bは、揺動部材66の下方への揺動に従って、受け面74bに支持されながら案内面50に沿って下方に移動する。揺動部材66が下方位置まで揺動すると、揺動部材66の受け面74bはガイドレール8を越え、受け面74aと案内面50との間が開放し、棒材Bはガイドレール8の中に落下し、ガイドレール8に棒材Bが補給される。この揺動の間、カム面76bは、回転軸64から同径の輪郭に形成されており、棒材押上げ部材78も押上げ位置に維持される。
【0051】
棒材Bをガイドレール8に補給した後、図2に示すように、回転軸64を逆転させ、揺動部材66を下方位置から上方位置まで上方に揺動させ、次の棒材Bの補給までその位置で待機させる。カムフォロア88は、揺動部材66が下方に揺動するときとは逆方向にカム面76に沿って運動する。カムフォロア88がカム面76に沿って運動しているとき、カムフォロア88は回転軸64に近づき、それに応じて、第1の両アーム揺動部材90、リンク部材92及び第2の両アーム揺動部材94が移動して、第2の両アーム揺動部材94の他方のアーム94bを棚部材40から遠ざける。その際、棒材押上げ部材78は、付勢部材82によって引込み位置に引込められる。引き続いて、次の棒材Bが支持面38の上を転がり、ストッパ46に当接する。
【0052】
次いで、ガイドレール8に補給された棒材Bを送り矢10によってNC旋盤4まで給送する。ガイドレール8の初期位置においては、上流側ガイドレール部分8bの一次送り用ガイドレール部分28が給送軸線1A上に位置しており、下流側ガイドレール部分8aと同軸上に整列している。まず、棒材Bの一次送りを行う。棒材Bが材料棚20から既に説明した手順でガイドレール部分8a及び28の中に供給されたら、コントローラ24は、一次送り部材駆動装置(図示せず)を駆動して、一次送り部材駆動装置の無端チェーンに連結された一次送り部材12を下流方向に移動させる。棒材Bの後端を一次送り部材12で下流方向に押すことによって、棒材Bを一次送り位置まで移動させる。棒材Bの先端部は、クランプ(図示せず)によって把持され、棒材Bの長手方向への移動が規制される。
引き続き、コントローラ24によって上流側ガイドレール部分8bを給送軸線1Aに対して横方向に移動させ、下流側ガイドレール部分8aと二次送り用ガイドレール部分30とを整列させる。次いで、二次送りを行う。コントローラ24は、送り矢駆動装置14のサーボモーター(図示せず)を駆動して、送り矢駆動装置14の無端チェーン14bに連結された送り矢10を下流方向に移動させる。送り矢10を前進させ、下流側端部に設けられたフィンガーチャック10bの中に棒材Bの後端部が挿入されたら、クランプを解放する。それにより、クランプによって把持されていた棒材Bの先端部が解放される。
【0053】
送り矢10は、棒材Bの先端部、即ち、下流側端部をNC旋盤4の加工部4cまで給送する。棒材Bの加工中、振止め装置16が閉じてガイドレール8内の棒材Bを把持し、棒材Bの振れを防止する。振止め装置16の開閉は、揺動部材66の回転軸64と連動させて行っても良いし、別の駆動系を使用して行っても良い。棒材Bがこれ以上製品を作ることのできない長さになったら、送り矢10を棒材供給機2に戻し、上記クランプに残材を把持させる。送り矢10を更に後退させて、残材を送り矢10から取り外し、残材をガイドレール8の残材処理用窓(図示せず)から落下させて、残材棚18の中に収容する。以降、同様の動作を繰り返すことによって棒材Bを1本ずつガイドレール8に補給する。
【0054】
通常モードの間に、ガイドレール8に補給された棒材Bをガイドレール8から除去する必要が生じた場合には、作業者はコントローラ24を通常モードから除去モードに切替える。除去モードにおいては、棒材Bをガイドレール8から除去するために、棒材供給機2のいくつかの装置をコントローラ24の制御によって作動させる。
詳細には、先ず、作業者は、ピン108を棚部材40のストッパ46の上面48に設けられた孔に挿入する。引き続き、作業者によるコントローラ24の操作によって、揺動部材66を、上方位置から下方位置まで揺動させる。この間、棒材押上げ部材78が押上げ位置に移動することになり、棚部材40上で最も下流側の棒材が押上げられることになるが、ピン108によって、棒材Bが揺動部材66に移動するのが防止される。
揺動部材66が下方位置に移動すると、図5に示すように、ガイドレール8の上方にある回転軸64とガイドレール8の斜め上方に位置する材料棚20との間に障害物がなくなる。また、作業者は、更に、規制部支持部材56及び棒材規制部材54を退避位置に移動させる。それにより、棚部材40の上方にも障害物がなくなり、ガイドレール8の上方に棒材Bを取出すことにできる取出し空間79が作られる。
【0055】
この間、コントローラ24は、送り矢10を二次送り用ガイドレール部分30の中まで後退させる。作業者は、棒材Bの後端部をフィンガーチャック10bから外す。尚、棒材Bが長い場合には、棒材Bの先端部は主軸4bの中に挿入されたままである。このような場合には、引き続き、作業者は、コントローラ24の手動操作によって、上流側ガイドレール部分8bを横方向に移動させ、一次送り用ガイドレール部分28を下流側ガイドレール部分8aと整列させる。次いで、作業者は、棒材Bを一次送り用ガイドレール28の中に引き込み、棒材Bの先端部分を主軸4bから引き抜く。ガイドレール8内の棒材Bを手で持上げ、回転軸64と材料棚20との間から棒材Bを水平状態で取出す。
尚、棒材Bが比較的短く、送り矢10が二次送り用ガイドレール部分30に後退した状態において、棒材全体が主軸4bの外に引き出される場合においては、この状態で棒材Bをガイドレール8から取出すことができるから、上流側ガイドレール部分8bの移動は必要ない。
【0056】
棒材が重い場合には、作業者は、持上げ装置100を用いて、ガイドレール8内の棒材Bを取出し空間79に持上げても良い。作業者は、持上げ装置100の操作レバー106を操作して、持上げ部材104によって棒材Bを持上げ、棒材を取出す。
【0057】
図6は、本発明による棒材供給機の第2の実施形態を示し、図1の棒材供給機の線2−2における横断面図である。
図6を参照して、本発明による棒材供給機の第2の実施形態を説明する。図6に示す本発明の第2の実施形態である棒材供給機は、棒材押上げ装置の構成を除き、図2乃至図5に示す第1の実施形態にかかる棒材供給機と同様に構成されている。以下、棒材押上げ装置についてだけ説明し、第1の実施形態と同様な部分は同じ符号を用いることとし、詳細な説明は省略する。
【0058】
第2の実施形態に係る棒材押上げ装置においては、リンク機構80を省略し、その代わりに、揺動部材66と連動しない押し上げ部材駆動装置を設けている。図6に示すように、棒材押し上げ部材78の下方に、棒材押し上げ部材78を押上げ位置に移動させるための押上げ部材駆動装置130が設けられている。押し上げ部材駆動装置130は、伸び位置と引込み位置との間を移動可能なエアシリンダ等のアクチュエータ132と、一方のアーム134aがアクチュエータ132に枢動可能に取付けられた両アーム揺動部材134とを有している。両アーム揺動部材134は、枢軸134cを中心に揺動可能である。両アーム揺動部材134の他方のアーム134bは、押上げ部材78の下面84に当接可能であり、アクチュエータ132が伸び位置から引込み位置に移動するとき、押上げ部材を押上げるように揺動可能である。アクチュエータ132は、コントローラ24によって制御可能である。
【0059】
次に、本発明による第2の実施形態である棒材供給機の動作を説明する。第2の実施形態である棒材供給機の動作は、押上げ部材が、揺動部材と連動しないで、コントローラによって作動されること以外、第1の実施形態の棒材供給機の動作と共通である。従って、相違部分だけを説明し、共通部分についての説明を省略する。
揺動部材が上方位置から中間位置に向って下方に揺動するとき、コントローラ24によって、アクチュエータ132を引込み位置に移動させ、両アーム揺動部材134を介して棒材押上げ部材78を押上げ位置に押上げる。また、揺動部材66が中間位置から上方位置に上方に揺動するとき、コントローラ24によって、アクチュエータ132を伸び位置に移動させ、両アーム揺動部材134の他方のアーム134bを棒材押上げ部材78から遠ざける。棒材押上げ部材78は、ばね等の付勢部材82の付勢力によって引込み位置に移動する。棒材押し上げ部材78の押上げ及び引込みのタイミングは、例示であり、コントローラ24によって変更可能である。
【0060】
上記の第1の実施形態及び第2実施形態における制御、特に、棒材取出し機構22の制御は、従来の装置の割出板の制御と同じ制御であり、同じ制御プログラムを使用することができる。従って、新規制御プログラムの作成が不要である。従来の割出板を用いた棒材供給機においては、材料棚は本件実施形態にかかる材料棚20の棚部材40の高さより高く設置されている点で異なる(図10参照)。しかし、回転軸64の位置及び回転軸64の回転の制御は、割出板の制御と同じである。具体的には、揺動部材66の上記上方位置は、材料棚から棒材を割出板の凹部の中へ受取る回転位置(図10に示す位置)に相当する。また、揺動部材66の下方位置は、割出板によってガイドレールに棒材を投入する位置と同じである。上記の第1の実施形態及び第2の実施形態においては、割出板の代わりに上記の揺動部材66を採用し、棒材Bの除去モードにおいて、ガイドレール8の上方に障害物をなくし、棒材取出し空間79を形成するようにしたものである。そのため、揺動部材66は棒材Bを受け入れる凹部を有していないので、材料棚20の棚部材40を、上方位置(割出板においては棒材受取り位置に相当する)よりも低い、上記の上方位置に設置し、揺動部材66が上方位置から下方位置に移動する過程で、揺動部材66が材料棚20の棚部材40に向けて斜め下方に向いた位置に到達したとき、棒材Bを受取ることとした。
第1の実施の形態においては、揺動部材66に形成されたカム面76とリンク機構22を採用することにより、棒材取出し機構68は、回転軸64の回転運動、すなわち、揺動部材66の揺動運動によって作動されるので、上記割出板の制御プログラムを変更することなく、材料棚20から棒材取出し機構68によって棒材を取出し、揺動部材66によって、ガイドレール8に棒材を供給することができる。
【0061】
次に、図7乃至図9を参照して、本発明による棒材供給機の第3の実施形態を説明する。図7は、本発明による棒材供給機の第3の実施形態を示す、図1の棒材供給機の線5−5に沿った横断面図である。図8は、図7の矢印8−8の方向に見た、以下に説明する持上げ装置の拡大断面図である。また、図9は、図7の矢印9−9の方向に見た図である。
図7乃至図9に示す本発明の第3の実施形態である棒材供給機は、図2及び図5に示す第1の実施形態及び図6に示す第2の実施形態と異なる棒材持上げ装置を有している。棒材供給機のそれ以外の部分については、棒材押上げ装置は、図6を参照して説明した本発明による棒材供給機の第2の実施形態と同様に構成されており、残りの部分については、図2乃至図5に示した第1の実施形態にかかる棒材供給機と同様に構成されている。従って、以下の説明において、第1の実施形態及び第2の実施形態と同様な部分に同じ符号を用いることとし、その詳細な説明を省略する。以下、第1の実施形態及び第2の実施形態と異なる棒材持上げ装置について詳細に説明する。尚、図2乃至図6と図7とを比較すると、部材の形状が異なる部分が存在するが、技術思想として同様であるので、それらの説明は省略する。
【0062】
第3の実施形態に係る棒材持上げ装置150は、ガイドレール部分8bを横切る方向に延び、且つ、軸線がガイドレール部分8bの長手方向に配向された第1の枢軸152を中心に枢動可能な持上げ部材154と、この持上げ部材154を、ガイドレール30の内側底面30bよりも下方の退避位置154aと内側底面30bよりも上方の持上げ位置154bとの間で、第1の枢軸152を中心に枢動させるための操作レバー156と、持上げ部材154を持上げ位置154bに維持するように操作レバー156を係止する係止装置158とを有している。係止装置158は、本実施形態では、棒材供給機2の側壁160に構成されている。
【0063】
持上げ部材154は、本実施形態では、上流側ガイドレール部分8bと下流側ガイドレール部分8aとの間に且つ側壁160の内側に配置されている。更に、持上げ部材154は、互いに隣接した下流側ガイドレール部分8aの間に配置されていても良い。第1の枢軸152は、ガイドレール部分8bに対して材料棚20側において、棒材供給機2の支持構造体に取付けられている。持上げ部材154は、第1の枢軸152を中心に両側、即ち、ガイドレール8b側と材料棚20側に延びており、一方の側、即ち、ガイドレール8b側に、ガイドレール8b内の棒材を支持する支持部164を有し、他方の側、即ち、材料棚20側に、操作レバー156が取付けられる取付け部166を有している。持上げ部材154の支持部164は、それと支持構造体との間に延びるばね168によって下方に付勢されている。
本実施形態では、持上げ部材154は、縦長の矩形断面形状を有する板材で構成されている。取付け部166は、持上げ部材154の長手方向軸線に対して横方向に延び且つ上下方向に間隔をおいて互いに対向する2つの折り曲げ部170を有している。取付け部166には、2つの折り曲げ部170の間に延び且つ第1の枢軸152の軸線に対して上下方向に配向された第2の枢軸172と、2つの折り曲げ部170の間に嵌合し且つ第2の枢軸172を中心に、持上げ部材154の長手方向軸線に対して横方向に枢動可能な枢動ブラケット174が取付けられている。
【0064】
操作レバー156は、持上げ部材154から棒材供給機2の側壁160を貫いて外方に延びている。また、操作レバー156は、側壁160の内側において持上げ部材154に対して脱着自在に取付けられている。具体的には、図8に示すように、操作レバー156の基端部156aは、円形断面をなし、円周方向に延びる溝156bを有している。更に、枢動ブラケット174の端部174aは、操作レバー156の基端部156aに嵌合する孔176と、操作レバー156を枢動ブラケット174に取付けたときに操作レバー156の溝156bと整列し且つこの溝156bと協同して操作レバー156が孔176から抜けることを阻止する抜け防止部材178とを有している。抜け防止部材178は、例えば、操作レバー156が取付けられているときにばねによって溝156bに向かって付勢され、操作レバー156を取外すときに操作レバー156の基端部156aによってばねに抗して押し戻される球面を有する。
操作レバー156は、持上げ部材154に対して第1の枢軸152を中心に反対側に延びているので、持上げ部材154が下方の退避位置154aにあるとき、操作レバー156は上方位置156cにあり、持上げ部材154が上方の持上げ位置154bにあるとき、操作レバー156は下方位置156dにある(図7参照)。図9に示すように、操作レバー156は、持上げ部材154が第1の枢軸152を中心に退避位置154aから持上げ位置154bまで移動するとき、即ち、操作レバーが上方位置156cから下方位置156dまで移動するときの第1の経路と、第1の経路の終端から持上げ部材154を持上げ位置154bに維持したまま係止装置158によって係止される係止位置156eまで、第2の枢軸172を中心とする横方向の枢動を伴って移動するときの第2の経路に沿って移動可能である。操作レバー156の係止位置156eは、その下方位置156dに対して横方向に配置されている。
【0065】
係止装置158が構成された側壁160には、操作レバー156が移動するための第1の経路に沿う切欠き180aと、第2の経路に沿う切欠き180bとを有している。第1の経路に沿う切欠き180aは、操作レバー156が上方位置156cから下方位置156dに移動できるように上下方向に延びている。第2の経路に沿う切欠き180bは、第1の経路の下端から横方向に延び、それから上方に延び、操作レバー156を係止する係止位置156eで終端している。終端は、係止位置156eにおいて操作レバー156の上方を横切って延びる、操作レバーを係止するための当接面182を構成している。第1の経路及び第2の経路は全体として略J字形をなしている。
また、側壁160には、切欠きを覆う閉位置(図示せず)と、切欠きを露出させる開位置との間を、側壁160に沿って摺動可能なカバー184が設けられている。
【0066】
次に、本発明による第3の実施形態である棒材供給機の動作を説明する。第3の実施形態である棒材供給機の動作は、押上げ部材が、揺動部材と連動しないで、コントローラによって作動されること及び持上げ装置の動作以外、第1の実施形態の棒材供給機の動作と共通である。また、押し上げ部材の作動については、上述した第2の実施形態の棒材供給機の動作と共通である。従って、以下に、持上げ装置の動作についてだけを説明し、共通部分についての説明を省略する。
【0067】
ガイドレール30内に存在する棒材Bを除去する除去モードのとき、側壁160のカバー184を開位置に移動し、棒材持上げ装置150を使用するために、操作レバー156を持上げ部材154の枢動ブラケット174に側壁160の外側から取付ける。具体的には、操作レバー156の基端部156aを枢動ブラケット174の孔176に挿入し、抜け防止部材178を操作レバー158の溝158bに係合させることによって、操作レバー156が孔176から抜けないようにする。
次いで、操作レバー156を上方位置156cから下方位置156dに第1の経路に沿って移動させることにより、持上げ部材154を退避位置154aから持上げ位置154bまで第1の枢軸152を中心に枢動させる。それにより、ガイドレール30内の棒材Bが持上げ部材154の支持部164に支持されて、取出し空間79に向けて持上げられる。引続いて、持上げ部材154を持上げ位置154bに維持したまま、操作レバー156を係止装置158によって係止される係止位置156eまで、第2の枢軸172を中心とする横方向の枢動を伴う第2の経路に沿って移動させる。係止位置156eの操作レバー156には、持上げ部材154に支持されている棒材Bの重量によって上方に向かう力が働いているので、操作レバー156の上方を横切って延びる当接面182により、操作レバー156が自動的に係止され、持上げ部材154が持上げ位置154bに維持される。その結果、棒材Bが取出し空間79に持上げられたまま維持される。作業者は、棒材Bが取出し空間79に持上げられた後、操作レバー156から手を離し、棒材Bを取出し空間79を通して外部に除去することができる。
棒材Bをガイドレール30に補給する通常モードのとき、操作レバー156を第2の経路及び第1の経路に沿って移動させ、上方位置156cに戻す。ついで、操作レバー156を枢動ブラケット174から引き抜き、カバー184を閉位置に移動させる。
【0068】
以上、本発明の実施形態である棒材供給機を説明したけれども、本発明は、この実施形態に限定されることなく、特許請求の範囲に記載された発明の範囲内で種々の変更が可能であり、それらも本発明の範囲内に包含されるものであることはいうまでもない。
上記実施形態では、コントローラ24が棒材供給機2に設けられているが、制御は、棒材加工機4に設けられたコントローラによって行っても良い。
また、上記実施形態においては、揺動部材66は、上方位置(0°の位置)と下方位置(120°の位置)との間で往復運動するように構成されており、割出板の制御プログラムを変更することなく利用することができる点で有利である。揺動部材66は、動作の時間短縮の観点では、材料棚20の近傍に待機させる必要がある。一方、棒材Bを材料棚20から取出す観点においては、揺動部材66は、必ずしも上記の上方位置(0°の位置)において待機する必要はない。従って、揺動部材66の待機は、下方位置から逆転して戻った材料棚20の近傍の位置であれば、いずれの位置であってもよく、例えば、材料棚20の支持面38よりも低い位置で待機してもよい。この場合、第1の実施形態においては、棒材取出し機構68の棒材押上げ部材78の上下運動を制御するカム面76の輪郭は、揺動部材66の運動に合わせて材料棚20から棒材押上げ部材78が突出し、また、引っ込むように変更すればよい。また、第2の実施形態においては、棒材押上げ部材78の運動を行わせるアクチュエータ132の制御を揺動部材66の運動に合わせて行えばよい。
また、棒材の除去の際の揺動部材66の位置は、ガイドレール8の上方にない位置であれば、上記下方位置に限らず、それより更に正転させた位置であってもよい。更に、上記の実施形態においては、上方位置を0°の位置とし、棒材の受取り位置(上方位置)を60°の位置とし、また、棒材をガイドレール8に投入する下方位置を120°の位置としているが、相対位置関係は、必ずしも60°である必要はなく、適宜、変更することができる。
【0069】
また、上述の実施形態では、棒材規制部材54及び規制部支持部材56をガイドレール8の上方を横切るように上方から支持されているけれども、それらの部材を下方から支持し、規制部支持部材56の退避機構を省略しても良い。
また、上述の実施形態では、棒材持上げ装置100が1つだけ設けられているけれども、複数設けられても良い。
また、上述の実施形態では、規制部材108は、取り外し可能に設けられたピンであるが、規制部材108は、揺動部材66に棒材Bが移動するのを防止するための規制位置とその移動を妨げない非規制位置との間を往復可能な部材をアクチュエータによって作動させる機構としても良い。
【0070】
また、上述の第3の実施形態では、操作レバー156を第2の枢軸172を中心に横方向に枢動させることにより、操作レバー156を係止位置に移動させたが、操作レバー156を係止することができれば、第2の実施形態のように操作レバー156を第2の枢軸172を中心に枢動させなくても良い。例えば、操作レバー156を下方位置156dにおいて係止するための部材を採用しても良い。
また、上述の第3の実施形態では、第1の経路は第3の実施形態のように必ずしも直線状の経路である必要はなく、持上げ部材154を持上げ位置154bに持上げることができる任意の経路、例えば、斜め方向の経路又は曲線状の経路をとることができる。また、第2の経路も、操作レバー156を第1の経路から係止位置156eまで移動させることができれば、任意の経路をとることができる。従って、第3の実施形態では、第1の経路及び第2の経路を全体としてJ字形としたが、例えば、L字形としてもよい。更に、操作レバー156が第1の経路及び第2の経路を移動することができれば、側壁160の切欠き180a及び180bの形状も任意である。
また、上述の第3の実施形態において、持上げ部材154の退避位置154aを、ガイドレール30の内側底面30bよりも下方として説明したが、内側底面30bと面一であってもよい。
また、上記実施形態においては、棒材規制部材54及び規制部支持部材56を移動させて、棒材Bを除去したけれども、棒材持上げ装置100、150を用いてガイドレール内の棒材Bを持上げ、次いで、除去することができれば、棒材規制部材54及び規制部支持部材56を移動させないで、棒材Bを除去しても良い。
【図面の簡単な説明】
【0071】
【図1】棒材加工機に隣接して配置された本発明による棒材供給機の概略的な正面図である。
【図2】揺動部材が上方位置に位置する図1の棒材供給機の線2−2における横断面図である。
【図3】揺動部材が中間位置に位置する図1の棒材供給機の線2−2における横断面図である。
【図4】揺動部材が下方位置に位置する図1の棒材供給機の線2−2における横断面図である。
【図5】揺動部材が下方位置に位置する図1の棒材供給機の線5−5における横断面図である。
【図6】変形の棒材押上げ装置を示す、図1の棒材供給機の線2−2における横断面図である。
【図7】変形の棒材持上げ装置を示す、図1の棒材供給機の線5−5における横断面図である。
【図8】図7の矢印8−8の方向に見た、持上げ装置の拡大断面図である。
【図9】図7の矢印9−9の方向に見た図である。
【図10】従来技術の棒材供給機の横断面図である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
棒材を棒材加工機に案内するためのガイドレールと、該ガイドレールの斜め上方に位置する、複数の棒材を載置するための材料棚と、該材料棚から棒材を1本ずつ取出して前記ガイドレールに補給するための棒材取出し機構とを有し、該棒材取出し機構は、前記ガイドレールの上方に位置する回転軸と、該回転軸に取付けられ、前記材料棚から取出された棒材を受取るための回転部材とを有する、棒材を棒材加工機に給送する棒材供給機であって、
前記回転部材は、前記回転軸から前記材料棚まで延びる、前記材料棚から取出された棒材を受取るための揺動部材であり、前記棒材取出し機構は、更に、前記材料棚から棒材を1本だけ押上げて前記揺動部材に供給する棒材押上げ手段と、コントローラとを有し、
棒材を前記ガイドレールに補給する通常モードにおいては、前記コントローラは、前記揺動部材を、前記ガイドレールの上方を横切って前記材料棚まで延びる上方位置から、前記ガイドレールに対して前記材料棚から遠い側に位置する下方位置まで、下方に正転させ、前記上方位置と前記下方位置の間のいずれかの位置において、前記棒材取出し機構によって取出された棒材を受取って、その棒材を前記ガイドレールに補給した後、前記揺動部材を逆転させて、前記上方位置の近傍に戻して次の棒材の補給まで待機させることを特徴とする棒材供給機。
【請求項2】
前記材料棚は、棒材を支持する支持面を有し、前記揺動部材は、前記回転軸に対して材料棚の反対側にカム面を有し、前記棒材押上げ手段は、前記カム面近傍から前記ガイドレールの下方を経て材料棚まで延びるリンク機構を有し、該リンク機構の一端には、前記カム面に沿って運動するカムフォロアを有し、他端には、前記支持面から突出しない引込み位置と、前記支持面から突出して棒材を押上げる押上げ位置との間を移動可能な押上げ部材とを有し、前記カムフォロアは、前記揺動部材の揺動に伴って前記カムフォロアが前記カム面に沿って運動して、前記棒材押上げ部材を引込み位置と押上げ位置との間で移動させる、ことを特徴とする請求項1に記載の棒材供給機。
【請求項3】
棒材を棒材加工機に案内するためのガイドレールと、該ガイドレールの斜め上方に位置する、複数の棒材を載置するための材料棚と、該材料棚から棒材を1本ずつ取出して前記ガイドレールに補給するための棒材取出し機構とを有し、該棒材取出し機構は、前記ガイドレールの上方に位置する回転軸と、該回転軸に取付けられ、前記材料棚から取出された棒材を受取るための回転部材とを有する、棒材を棒材加工機に給送する棒材供給機であって、
前記回転部材は、前記回転軸から前記材料棚まで延びる、前記材料棚から取出された棒材を受取るための揺動部材であり、前記棒材取出し機構は、更に、前記材料棚から棒材を1本だけ押上げて前記揺動部材に供給する棒材押上げ手段と、コントローラとを有し、
棒材を前記ガイドレールに補給する通常モードにおいては、前記コントローラは、前記揺動部材を、前記ガイドレールの上方を横切って前記材料棚まで延びる上方位置から、前記ガイドレールに対して前記材料棚から遠い側に位置する下方位置まで、下方に正転させ、前記上方位置と前記下方位置の間のいずれかの位置において、前記棒材取出し機構によって取出された棒材を受取って、その棒材を前記ガイドレールに補給した後、前記揺動部材を逆転させて、前記上方位置の近傍に戻して次の棒材の補給まで待機させ、
更に、前記ガイドレール内に存在する棒材を除去する際に、前記材料棚から前記揺動部材に棒材が移動するのを防止するための規制手段を有し、
前記ガイドレール内に存在する棒材を除去する除去モードにおいては、前記規制手段によって前記揺動部材への棒材の移動が規制されている間、作業者による操作に応答して、前記コントローラは、前記揺動部材を棒材のない状態で前記下方位置又は更に正転させた位置に移動させ、それによって、前記回転軸と前記材料棚との間に、前記ガイドレールから棒材を取出すための取出し空間が形成されることを特徴とする棒材供給機。
【請求項4】
前記材料棚は、棒材を支持する支持面を有し、前記揺動部材は、前記回転軸に対して材料棚の反対側にカム面を有し、前記棒材押上げ手段は、前記カム面近傍から前記ガイドレールの下方を経て材料棚まで延びるリンク機構を有し、該リンク機構の一端には、前記カム面に沿って運動するカムフォロアを有し、他端には、前記支持面から突出しない引込み位置と、前記支持面から突出して棒材を押上げる押上げ位置との間を移動可能な押上げ部材とを有し、前記カムフォロアは、前記揺動部材の揺動に伴って前記カムフォロアが前記カム面に沿って運動して、前記棒材押上げ部材を引込み位置と押上げ位置との間で移動させる、ことを特徴とする請求項3に記載の棒材供給機。
【請求項5】
前記ガイドレールは、同軸上に互いに離間して配置された複数のガイドレール部分を有し、互いに隣接する該ガイドレール部分の間には、前記ガイドレール内に存在する棒材を下方から前記取出し空間へ持上げるための棒材持上げ手段が設けられている、ことを特徴とする請求項3又は4に記載の棒材供給機。
【請求項6】
前記棒材持上げ手段は、前記ガイドレール部分を横切る方向に延び、且つ、軸線がガイドレール部分の長手方向に配向された第1の枢軸を中心に枢動可能な持上げ部材と、この持上げ部材を、前記ガイドレールの内側底面と面一又はそれよりも下方の退避位置と前記内側底面よりも上方の持上げ位置との間で、前記第1の枢軸を中心に枢動させるための操作レバーと、前記操作レバーを前記持上げ部材を前記持上げ位置に維持するように係止する係止手段と、を有することを特徴とする請求項5に記載の棒材供給機。
【請求項7】
前記操作レバーは前記持上げ部材に対して、前記第1の枢軸を中心に反対側に延び、且つ、前記第1の枢軸の軸線に対して上下方向に配向された第2の枢軸によって枢着され、前記操作レバーは、前記持上げ部材が前記第1の枢軸を中心に前記退避位置から前記持上げ位置まで移動するときの第1の経路と、この第1の経路の終点から、前記持上げ部材を前記持上げ位置に維持したまま前記係止手段によって係止される係止位置まで、前記第2の枢軸を中心とする横方向の枢動を伴って移動するときの第2の経路に沿って移動可能であり、
前記係止手段は、前記係止位置において前記操作レバーの上方を横切って延びる、前記操作レバーを係止するための当接面を有することを特徴とする請求項6に記載の棒材供給機。
【請求項8】
前記棒材供給機は、側壁を有し、
前記操作レバーは、前記持上げ部材から前記側壁を貫いて外方に延び、
前記側壁には、前記第1の経路及び第2の経路に沿って、前記操作レバーが移動するための切欠きが形成されており、この切欠きが前記当接面を有することを特徴とする請求項7に記載の棒材供給機。
【請求項9】
前記操作レバーは、前記側壁の内側において前記持上げ部材に対して脱着自在に取付けられていることを特徴とする請求項8に記載の棒材供給機。
【請求項10】
棒材を棒材加工機に案内するためのガイドレールと、該ガイドレールの斜め上方に位置する、複数の棒材を載置するための材料棚と、該材料棚から棒材を1本ずつ取出して前記ガイドレールに補給するための棒材取出し機構とを有し、該棒材取出し機構は、前記ガイドレールの上方に位置する回転軸と、該回転軸に取付けられ、前記材料棚から取出された棒材を受取るための回転部材とを有する、棒材を棒材加工機に給送する棒材供給機であって、
前記回転部材は、前記回転軸から前記材料棚まで延びる、前記材料棚から取出された棒材を受取るための揺動部材であり、前記棒材取出し機構は、更に、前記材料棚から棒材を1本だけ押上げて前記揺動部材に供給する押上げ位置と引込み位置との間を移動可能な棒材押上げ手段と、コントローラとを有し、
棒材を前記ガイドレールに補給する通常モードにおいては、前記コントローラは、前記棒材押上げ手段を押上げ位置に移動させることによって棒材を前記揺動部材に移動させ、また、前記揺動部材を、前記ガイドレールの上方を横切って前記材料棚まで延びる上方位置から、前記ガイドレールに対して前記材料棚から遠い側に位置する下方位置まで、下方に正転させ、前記上方位置と前記下方位置の間のいずれかの位置において、前記棒材取出し機構によって取出された棒材を受取って、その棒材を前記ガイドレールに補給した後、前記揺動部材を逆転させて前記上方位置近傍に戻して次の棒材の補給まで待機させ、
前記ガイドレール内に存在する棒材を除去する除去モードにおいては、作業者による操作に応答して、前記コントローラは、前記棒材押上げ手段を引込み位置に維持し、また、前記揺動部材を棒材のない状態で前記下方位置又は更に正転させた位置に移動させ、それによって、前記回転軸と前記材料棚との間に、前記ガイドレールから棒材を取出すための取出し空間が形成されることを特徴とする棒材供給機。
【請求項11】
前記材料棚は、支持面を有する棚部材と、棒材が前記支持面の上に1列に載置されるように前記支持面の上方に設けられた棒材規制部と、前記取出し空間を横切って延びる、前記棒材規制部材を支持するための支持構造部とを有し、該支持構造部は、前記取出し空間から退避する位置に移動可能に設けられている、ことを特徴とする請求項3〜10のいずれか1項に記載の棒材供給機。
【請求項12】
棒材を棒材加工機に案内するためのガイドレールと、該ガイドレールの斜め上方に位置する、複数の棒材を載置するための材料棚と、該材料棚から棒材を1本ずつ取出して前記ガイドレールに補給するための棒材取出し機構とを有し、該棒材取出し機構は、前記ガイドレールの上方に位置する回転軸と、該回転軸に取付けられ、前記材料棚から取出された棒材を受取るための回転部材とを有する、棒材を棒材加工機に給送する棒材供給機と、棒材を加工する棒材加工機とを有する棒材加工システムであって、
前記回転部材は、前記回転軸から前記材料棚まで延びる、前記材料棚から取出された棒材を受取るための揺動部材であり、前記棒材取出し機構は、更に、前記材料棚から棒材を1本だけ押上げて前記揺動部材に供給する棒材押上げ手段を有し、
前記棒材加工機は、コントローラを有し、
棒材を前記ガイドレールに補給する通常モードにおいては、前記コントローラは、前記揺動部材を、前記ガイドレールの上方を横切って前記材料棚まで延びる上方位置から、前記ガイドレールに対して前記材料棚から遠い側に位置する下方位置まで、下方に正転させ、前記上方位置と前記下方位置の間のいずれかの位置において、前記棒材取出し機構によって取出された棒材を受取って、その棒材を前記ガイドレールに補給した後、前記揺動部材を逆転させて前記上方位置近傍に戻して次の棒材の補給まで待機させることを特徴とする棒材加工システム。
【請求項13】
棒材を棒材加工機に案内するためのガイドレールと、該ガイドレールの斜め上方に位置する、複数の棒材を載置するための材料棚と、該材料棚から棒材を1本ずつ取出して前記ガイドレールに補給するための棒材取出し機構とを有し、該棒材取出し機構は、前記ガイドレールの上方に位置する回転軸と、該回転軸に取付けられ、前記材料棚から取出された棒材を受取るための回転部材とを有する、棒材を棒材加工機に給送する棒材供給機と、棒材を加工する棒材加工機とを有する棒材加工システムであって、
前記回転部材は、前記回転軸から前記材料棚まで延びる、前記材料棚から取出された棒材を受取るための揺動部材であり、前記棒材取出し機構は、更に、前記材料棚から棒材を1本だけ押上げて前記揺動部材に供給する棒材押上げ手段を有し、
前記棒材加工機は、コントローラを有し、
棒材を前記ガイドレールに補給する通常モードにおいては、前記コントローラは、前記揺動部材を、前記ガイドレールの上方を横切って前記材料棚まで延びる上方位置から、前記ガイドレールに対して前記材料棚から遠い側に位置する下方位置まで、下方に正転させ、前記上方位置と前記下方位置の間のいずれかの位置において、前記棒材取出し機構によって取出された棒材を受取って、その棒材を前記ガイドレールに補給した後、前記揺動部材を逆転させて前記上方位置近傍に戻して次の棒材の補給まで待機させ、
前記棒材供給機は、更に、前記ガイドレール内に存在する棒材を除去する際に、前記材料棚から前記揺動部材に棒材が移動するのを防止するための規制手段を有し、
前記ガイドレール内に存在する棒材を除去する除去モードにおいては、前記規制手段によって前記揺動部材への棒材の移動が規制されている間、作業者による操作に応答して、前記コントローラは、前記揺動部材を棒材のない状態で前記下方位置又は更に正転させた位置に移動させ、それによって、前記回転軸と前記材料棚との間に、前記ガイドレールから棒材を取出すための取出し空間が形成されることを特徴とする棒材加工システム。
【請求項14】
棒材を棒材加工機に案内するためのガイドレールと、該ガイドレールの斜め上方に位置する、複数の棒材を載置するための材料棚と、該材料棚から棒材を1本ずつ取出して前記ガイドレールに補給するための棒材取出し機構とを有し、該棒材取出し機構は、前記ガイドレールの上方に位置する回転軸と、該回転軸に取付けられ、前記材料棚から取出された棒材を受取るための回転部材とを有する、棒材を棒材加工機に給送する棒材供給機と、棒材を加工する棒材加工機とを有する棒材加工システムであって、
前記回転部材は、前記回転軸から前記材料棚まで延びる、前記材料棚から取出された棒材を受取るための揺動部材であり、前記棒材取出し機構は、更に、前記材料棚から棒材を1本だけ押上げて前記揺動部材に供給する押上げ位置と引込み位置との間を移動可能な棒材押上げ手段を有し、
前記棒材加工機は、コントローラを有し、
棒材を前記ガイドレールに補給する通常モードにおいては、前記コントローラは、前記棒材押上げ手段を押上げ位置に移動させることによって棒材を前記揺動部材に移動させ、また、前記揺動部材を、前記ガイドレールの上方を横切って前記材料棚まで延びる上方位置から、前記ガイドレールに対して前記材料棚から遠い側に位置する下方位置まで、下方に正転させ、前記上方位置と前記下方位置の間のいずれかの位置において、前記棒材取出し機構によって取出された棒材を受取って、その棒材を前記ガイドレールに補給した後、前記揺動部材を逆転させて前記上方位置近傍に戻して次の棒材の補給まで待機させ、
前記ガイドレール内に存在する棒材を除去する除去モードにおいては、作業者による操作に応答して、前記コントローラは、前記棒材押上げ手段を引込み位置に維持し、また、前記揺動部材を棒材のない状態で前記下方位置又は更に正転させた位置に移動させ、それによって、前記回転軸と前記材料棚との間に、前記ガイドレールから棒材を取出すための取出し空間が形成されることを特徴とする棒材加工システム。
【請求項15】
前記材料棚は、支持面を有する棚部材と、棒材が前記支持面の上に1列に載置されるように前記支持面の上方に設けられた棒材規制部と、前記取出し空間を横切って延びる、前記棒材規制部材を支持するための支持構造部とを有し、該支持構造部は、前記取出し空間から退避する位置に移動可能に設けられている、ことを特徴とする請求項13又は14に記載の棒材加工システム。
【請求項16】
棒材を棒材加工機に案内するためのガイドレール有する、棒材を棒材加工機に給送する棒材供給機であって、
前記ガイドレールは、同軸上に互いに離間して配置された複数のガイドレール部分を有し、互いに隣接する該ガイドレール部分の間には、前記ガイドレール内に存在する棒材を取り出すため、棒材を下方から前記ガイドレールの外へ持上げるための棒材持上げ手段が設けられていることを特徴とすることを特徴とする棒材供給機。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【国際公開番号】WO2005/023469
【国際公開日】平成17年3月17日(2005.3.17)
【発行日】平成19年11月22日(2007.11.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−513692(P2005−513692)
【国際出願番号】PCT/JP2004/012927
【国際出願日】平成16年9月6日(2004.9.6)
【出願人】(591001983)株式会社育良精機製作所 (5)
【出願人】(000001960)シチズンホールディングス株式会社 (1,939)
【Fターム(参考)】