棒材供給機
【課題】棒材の絡まりや損傷を防止しながら棒材を1本ずつ取り出すことができる棒材供給機を提供する。
【解決手段】棒材供給機1は、棒材収納部8と、棒材Wを1本ずつ取り出すための把持部44と、棒材Wを給送軸線Bに沿って案内するためのガイドレール4と、を備え、把持部44は、棒材収納部8の側方に配置され、棒材収納部8内に収容された棒材Wを受け入れ可能な向きに開口する楔形の空間60を間に形成する一対の把持部材54,56を有し、棒材収納部8は、棒材収納部8内の棒材Wが把持部44に近接する側に移動して一対の把持部材54,56間の空間60内に供給されることにより空間60の頂点60A近傍において1本の棒材Wが把持される第1の揺動位置と、棒材収納部8内の棒材Wが把持部44から遠ざかる側に移動して、1本の棒材Wを除く棒材Wが把持部44から離間する第2の揺動位置との間で揺動可能に構成される。
【解決手段】棒材供給機1は、棒材収納部8と、棒材Wを1本ずつ取り出すための把持部44と、棒材Wを給送軸線Bに沿って案内するためのガイドレール4と、を備え、把持部44は、棒材収納部8の側方に配置され、棒材収納部8内に収容された棒材Wを受け入れ可能な向きに開口する楔形の空間60を間に形成する一対の把持部材54,56を有し、棒材収納部8は、棒材収納部8内の棒材Wが把持部44に近接する側に移動して一対の把持部材54,56間の空間60内に供給されることにより空間60の頂点60A近傍において1本の棒材Wが把持される第1の揺動位置と、棒材収納部8内の棒材Wが把持部44から遠ざかる側に移動して、1本の棒材Wを除く棒材Wが把持部44から離間する第2の揺動位置との間で揺動可能に構成される。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、棒材加工機に自動的に棒材を供給するための棒材供給機に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、棒材供給機としては、例えば特許文献1に記載されるように、棒材を載置する材料棚と、棒材加工機に棒材を給送するためのガイドレールと、材料棚から棒材を1本取り出してガイドレールに供給する棒材補給機とを有するものがある。棒材補給機は、傾斜した材料棚に棒材を1列に配置し、下端の1本の棒材のみを他の棒材から分離してガイドレールに供給する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2007−276102号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、棒材供給機で扱う棒材の種類としては、様々な径寸法、長さ寸法のものがある。例えば、径寸法の小さい棒材を取り扱う場合、棒材は撓みやすく、複数の材料を材料棚に載置したときに棒材同士が絡み合いやすい。したがって、棒材供給機においては、例えばこのような径寸法の小さい棒材を取り扱う場合であっても、棒材の絡まりや損傷を防止しながら1本ずつ棒材を取り出せるようにすることが望ましい。
【0005】
本発明の目的は、棒材の絡まりや損傷を防止しながら棒材を1本ずつ取り出すことができる棒材供給機を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の第1の観点に係る棒材供給機は、給送軸線に沿って棒材を棒材加工機に給送する棒材供給機であって、棒材が内部に収納される棒材収納部と、棒材収納部に収納された棒材を1本ずつ取り出すための把持部と、棒材収納部から取り出された棒材を給送軸線に沿って案内するためのガイドレールと、を備え、把持部は、棒材収納部の側方に配置され、棒材収納部内に収容された棒材を受け入れ可能な向きに開口する楔形の空間を間に形成する一対の把持部材を有し、棒材収納部は、棒材の軸線にほぼ垂直な平面内で、棒材収納部内の棒材が把持部に近接する側に移動して一対の把持部材間の空間内に供給されることにより空間の頂点近傍において1本の棒材が把持される第1の揺動位置と、棒材収納部内の棒材が把持部から遠ざかる側に移動して、把持部材によって把持された1本の棒材を除く棒材が把持部から離間する第2の揺動位置との間で揺動可能に構成される、ことを特徴としている。
【0007】
本発明においては、棒材収納部の中に棒材を収納し、棒材収納部を第1の揺動位置に揺動させると、内部の棒材が棒材収納部内で把持部に近接する側に移動して一対の把持部材間の楔形の空間に供給され、空間の頂点に位置する1本の棒材が一対の把持部材によって把持される。この状態で、棒材収納部を第1の揺動位置から第2の揺動位置に揺動させると、一対の把持部材によって把持された1本の棒材は、把持部材間に把持された状態で残るが、その他の棒材は、棒材収納部の揺動に伴って把持部から遠ざかる方向に移動する。これにより、把持部によって把持した棒材とその他の棒材が分離され、1本の棒材が把持部によって取り出される。把持部によって取り出された棒材は、ガイドレールに供給され、給送軸線に沿って棒材加工機に給送される。
【0008】
本発明に係る棒材供給機によれば、棒材収納部が第1の揺動位置と第2の揺動位置との間で棒材の軸線にほぼ垂直な方向に揺動可能に構成されているので、収納された棒材が棒材収納部内で移動することにより、棒材同士の絡まりを防止することができる。したがって、絡まりがほどけた状態の棒材を把持部で把持することができるので、棒材を1本ずつ確実に把持して取り出すことができる。これにより、棒材同士が絡まって損傷する等の不具合を防止することができる。
また、把持部が棒材収納部の側方に配置されることにより、第1の揺動位置において棒材が楔形の空間に供給され、第2の揺動位置において把持部材で把持された棒材以外の棒材が把持部から遠ざかるので、把持部によって1本の棒材を取り出すことができる。ここで、棒材は、第1の揺動位置において自重によって移動して一対の把持部材間の空間内に供給されるので、例えば把持部材が棒材に近接して棒材を把持する構成に比べて、棒材に過大な荷重がかかる虞が低減される。これにより、棒材の損傷を防止することができる。
【0009】
また、本発明の実施の形態では、一対の把持部材は、少なくとも一方が他方に対して近接離間可能に構成され、一方が他方に対して近接するとき、一対の把持部材は、空間の頂点近傍で1本の棒材を把持するように構成される。
この実施の形態においては、第1の揺動位置において棒材が空間内に供給された後、一方の把持部材を他方の把持部材に対して近接させれば、空間の頂点に位置した棒材が一対の把持部材によって挟持される。
したがって、この実施の形態によれば、一対の把持部材が近接離間可能に構成されているので、棒材を確実に把持することができる。また、棒材を確実に把持することにより、棒材収納部が第2の揺動位置に移動したときに、空間の頂点に位置する棒材が他の棒材とともに把持部から遠ざかって移動してしまうのを防止することができる。更に、空間内の棒材を押し出し一方の把持部材が他方の把持部材に近接することにより、空間の頂点近傍に位置する棒材を1本だけ把持することができる。これにより、把持部材が2本以上の棒材を把持してしまう把持不良が防止される。
【0010】
本発明の別の実施の形態では、把持部によって把持された棒材の本数を検出するための本数検出手段を更に備える。
【0011】
この別の実施の形態においては、本数検出手段が、把持部で把持された棒材の本数を検出する。
したがって、この別の実施の形態によれば、本数検出手段が設けられているので、検出された棒材の本数が1本である場合には、ガイドレールに供給し、0本や2本以上である場合には、把持動作をやり直す等の工程を計画することが可能になる。したがって、把持部による棒材の1本だけの取り出しをより確実に行うことができ、棒材供給機の信頼性が向上する。
【0012】
本発明のまた別に実施の形態では、棒材収納部には、内部の棒材の端部よりも軸線方向内側の位置で、把持部が棒材収納部内の棒材を把持するための開口部が形成されている。
【0013】
このまた別の実施の形態においては、把持部は開口部を通して棒材収納部の第1の揺動位置において棒材の把持を行う。
したがって、この更に別の実施の形態によれば、棒材の端部よりも内側の位置において開口部が形成されているので、棒材の端部が開口部から露出しない。したがって、把持部は棒材の端部よりも軸線方向内側の部分を把持することとなるから、棒材の把持を確実に行え、棒材の把持不良の発生が防止される。
【0014】
本発明の更に別の実施の形態では、棒材収納部は、底面を有し、一対の把持部材は上下方向に配置されるとともに、上方の把持部材が下方の把持部材に対して近接離間するように構成され、棒材収納部が第1の揺動位置にあるとき、下方の把持部材の上面は、棒材収納部の底面に一致する。
【0015】
この更に別の実施の形態においては、棒材収納部が第1の揺動位置に配置されると、下方の把持部材の上面が棒材収納部の底面に一致する。この状態で棒材が把持部材間の空間に向かって移動すると、棒材は、棒材収納部の底面及び下方の把持部材の上面を通過して空間に供給される。そして上方の把持部材を下方の把持部材に対して近接させることにより、空間の頂点に位置する1本の棒材を把持する。
【0016】
したがって、この更に別の実施の形態によれば、第1の揺動位置において下方の把持部材の上面が棒材収納部の底面に一致するので、棒材が、下方の把持部材に妨げられることなく空間内に移動する。したがって、棒材の移動がスムーズになり、棒材の損傷をより一層防止することができると共に、棒材収納部材の棒材を最後の1本まで空間内に確実に供給することができる。
【0017】
本発明の他の実施の形態では、棒材収納部は、底面と、底面の周囲に配置された壁面とを有し、把持部は、棒材収納部の底面と壁面との交差部分によって形成される角部に配置される。
【0018】
この他の実施の形態においては、棒材収納部が第1の揺動位置に揺動すると、棒材は、棒材収納部の角部に配置された把持部の空間に向かって移動し1本の棒材が把持部材によって把持される。
したがって、この他の実施の形態によれば、把持部が棒材収納部の角部に配置されているので、把持部に向かって移動する棒材が把持部を乗り越えてしまうのを防止または抑制することができる。これにより、棒材収納部が第2の揺動位置に揺動したときに、把持部で把持された棒材以外の棒材が確実に把持部から遠ざかり、把持部で把持された棒材だけを確実に分離することができる。
【0019】
本発明のまた他の実施の形態では、把持部は、棒材収納部に取り付けられることにより棒材収納部と共に揺動可能に構成される。
【0020】
このまた他の実施の形態においては、棒材収納部が第1の揺動位置に揺動すると、この揺動に伴って把持部も揺動し、棒材を空間に受け入れる。
したがって、このまた他の実施の形態によれば、把持部が棒材収納部に取り付けられているので、棒材収納部が揺動するときの棒材収納部に対する把持部の相対位置を不変とすることができる。これにより、把持部の棒材収納部に対する位置決めを容易にすることができ、棒材収納部内の棒材の把持動作をより確実に行うことができる。
【0021】
本発明の更に他の実施の形態では、棒材収納部の外側には、把持部によって把持された棒材を受け入れる棒材受けが取り付けられ、棒材受けは、棒材収納部と共に第1の揺動位置に揺動することにより、受け入れられた棒材をガイドレールに供給する。
【0022】
この更に他の実施の形態においては、把持部で把持された棒材は、棒材収納部から取り出されて棒材受けに受け入れられる。その後、棒材収納部が第1の揺動位置に再び揺動すると、棒材受けも棒材収納部の揺動に伴って揺動し、受け入れた棒材をガイドレールに供給する。
したがって、この更に他の実施の形態によれば、棒材受けが棒材収納部に取り付けられているので、把持部で把持された棒材を棒材収納部の揺動運動によってガイドレールに供給することができる。これにより、棒材受けの動作を棒材収納部の揺動動作によって行うことができるので、棒材受けのための駆動機構を別途設ける必要がなく、棒材供給機の構造を簡略化することができる。
【図面の簡単な説明】
【0023】
【図1】本発明の一実施形態に係る棒材供給機の全体を示す平面図。
【図2】本発明の一実施形態に係る棒材供給機の全体を示す側面図。
【図3】本発明の一実施形態に係る棒材供給機の棒材収納部及び把持機構を示す側断面図。
【図4】棒材収納部の上流側の部分を拡大して示す斜視図。
【図5】把持部の部分を拡大した図。
【図6】図3の把持部の部分を矢印Cの方向から見た図。
【図7】把持部の他の構造を示す図。
【図8】本発明の一実施形態に係る棒材供給機の棒材受けの一部を示す斜視図。
【図9】本発明の一実施形態に係る棒材供給機の動作を示す図。
【図10】図9の状態における棒材収納部と把持部との位置関係を示す拡大図である。
【図11】本発明の一実施形態に係る棒材供給機の動作を示す図。
【図12】本発明の一実施形態に係る棒材供給機の動作を示す図。
【図13】本発明の一実施形態に係る棒材供給機の動作を示す図。
【図14】本発明の一実施形態に係る棒材供給機の動作を示す図。
【図15】本発明の一実施形態に係る棒材供給機の動作を示す図。
【図16】本発明の一実施形態に係る棒材供給機の動作を示す図。
【図17】本発明の一実施形態に係る棒材供給機の動作を示す図。
【図18】本発明の変形例を示す図。
【発明を実施するための形態】
【0024】
以下、本発明の好ましい実施形態を添付図面を参照して説明する。
図1は、本発明の一実施形態に係る棒材供給機1の全体を示す平面図であり、図2は、棒材供給機1の全体を示す側面図である。
【0025】
棒材供給機1は、棒材加工機200に隣接して配置され、棒材供給機1および棒材加工機200を備えて棒材加工システム300が構成されている。棒材加工機200は、例えば主軸固定型のNC旋盤であり、主軸Aを有する主軸台201と、主軸台201に支持された棒材を加工する加工部(図示せず)とを備える。棒材供給機1は、この棒材加工機200に、主軸Aと一致する給送軸線Bに沿って棒材Wを1本ずつ供給する。
【0026】
なお、棒材Wは棒材供給機1内で棒材加工機200に向かって供給されるから、本実施形態では、説明の簡略化のため、棒材供給機1において棒材加工機200から遠い側を上流側、棒材加工機200に近い側を下流側と称することとする。
【0027】
棒材供給機1は、給送軸線Bに平行に延びる支持フレーム2と、支持フレーム2に支持され、棒材Wを給送軸線Bに沿って案内するガイドレール4と、ガイドレール4上の棒材Wを給送軸線Bに沿って棒材加工機200に給送する送り矢6と、ガイドレール4に供給される棒材Wを収納する棒材収納部8と、棒材収納部8に収納された棒材Wを1本ずつ把持してガイドレール4に供給する把持機構10と、棒材供給機1の動作を制御するコントローラ12(図2)とを備える。
【0028】
ガイドレール4は、棒材供給機1の長手方向にわたって給送軸線Bに平行に延びており、上方に開口する断面円弧状に形成され、その内面に棒材Wを保持可能となっている。ガイドレール4の円弧形の形状により、棒材Wがガイドレール4に供給されると、棒材Wの径寸法にかかわらず、棒材Wの中心が常に幅方向に関して同じ位置に安定する。
ここで、ガイドレール4の下流側には、ガイドレール4内に油を共有するための複数の油供給装置(図示せず)が設けられていてもよい。また、ガイドレール4と棒材加工機200との間には、棒材Wの加工中の棒材Wの回転による振動を抑制するための防振装置(図示せず)が設けられていてもよい。
【0029】
送り矢6は、上流側の端部が羽根部材14に固定されることで片持ち支持されている。羽根部材14は、送り矢6を長手方向に沿って移動させる送り矢駆動機構16に連結している。送り矢駆動装置16は、サーボモータ20及び無端チェーンまたはベルト22を有し、無端チェーン22には羽根部材14が連結している。送り矢6は、図3に示すように、棒材収納部8から取り出された棒材Wをガイドレール4に案内する傾斜面7を有する案内部9を有する。また、送り矢6は、棒材Wの上流側の端部を保持するチャック(図示せず)を有する。なお、支持フレーム2には、送り矢6のチャックが棒材Wを保持する際に、棒材Wをガイドレール4内で固定するための着脱装置24(図1)が取り付けられている。
【0030】
図3は、棒材収納部8及び把持機構10を示す側断面図である。なお、以後、棒材収納部8において、ガイドレール4に近い側を内側と称し、ガイドレール4から遠い側を外側と称する。この図3及び前述の図1及び図2に示すように、棒材収納部8は、矩形平板状の底面26と、底面26の長手方向の2辺にそれぞれ底面26に垂直に設けられた内側の壁面28A及び外側の壁面28Bと、底辺26の短手方向の2辺にそれぞれ底面26に垂直に設けられた壁面29A,29Bとによって、上部が開口する断面略矩形状の箱形に形成されている。
【0031】
棒材収納部8の壁面28A,28Bは、給送軸線Bに平行に配置されており、また、底面26の上面には、図1にも示すように、材料収納部8内に収納される棒材Wを底面26上で移動しやすくするために、複数の滑りバー32が所定間隔で配置されている。これらの滑りバー32は、断面略円形、楕円形、矩形等任意の形状を有するL字形に湾曲した棒状に形成されている。滑りバー32は、図3及び図4に示すように、L字形の長い方の一辺が底面26上に配置され、L字形の短い方の一辺が、棒材収納部8の外側の壁面28Bに沿って配置されている。また、滑りバー32のL字形の角部は、円弧状に形成されており、棒材収納部8の角部27から若干浮いた状態で配置される。このような滑りバー32の配置により、棒材収納部8内の棒材Wが、底面26と外側の壁面28Bとの間の角部27に嵌り込んでしまうのを防止することができ、棒材収納部8内での棒材Wの移動を良好に行うことができる。また、これらの滑りバー32のL字形の長い方の部分は、給送軸線Bにほぼ直交する方向、または棒材収納部8の外側から内側に向かう方向に配置されている。滑りバー32により、棒材収納部8内に収納される棒材Wが底面26でなく滑りバー32に接触するため、棒材Wの棒材収納部8に対する接触面積が低減される。なお、滑りバー32の本数及び互いの間隔は、棒材供給機1が取り扱う棒材Wの種類や寸法等に応じて任意に設定してよい。
【0032】
図4は、棒材収納部8の上流側の部分を拡大して示す斜視図である。この図4に示すように、棒材収納部8の内側の壁面28A及び底面26の内側の辺には、開口部34が形成されている。開口部34は、底面26には、矩形の凹状の開口部分34Aとして形成され、壁面28Aには、底面26の開口部分34Aに連続するように、所定幅を有するスリット34Bとして形成されている、即ち、開口部34は、壁面28Aの上端まで延びて開口している。このような構造により、開口部34は、棒材収納部8の内側の壁面28Aと底面26との交差部分の角部35に位置している。この開口部34を通して把持機構10が外部から棒材収納部8の内部に突出可能となっている。
【0033】
開口部34は、棒材収納部8の上流側の端部近傍に設けられているが、上流側の壁面29Aからは長手方向に所定距離Lだけ離れた位置に形成されている。つまり、棒材収納部8に棒材Wを収納したとき、棒材Wの端部は、開口部34内に露出することがなく、開口部34よりも上流側(壁面29Aに近い側)に位置するようになっている。
【0034】
図3に戻って、棒材収納部8の底面26は、支持台36に取り付けられており、この支持台36には、支持台36及び棒材収納部8を給送軸線Bに平行な軸線を中心に揺動させる揺動機構38が設けられている。
揺動機構38は、支持台36に固定された回転軸40と、回転軸40を回転させる駆動源としてのモータ42(図1)とを備える。回転軸40は、給送軸線Bに平行に配置されて支持台36の上流側及び下流側の端面からそれぞれ突出して、支持台36の上流側及び下流側において支持フレーム2に回転自在に支持されている。回転軸40の上流側の端部には、モータ42の出力軸が固定されている。これにより、モータ42の回転に伴って回転軸40が回動し、回転軸40に固定された支持台36が回転軸40を中心に給送軸線Bにほぼ直交する平面内で回動するようになっている。したがって、モータ42を所定角度で一方向あるいはその逆方向に回動させることによって、棒材収納部8が揺動可能に構成される。
【0035】
ここで、棒材収納部8の揺動位置は、予め設定されていることが好ましい。本実施形態では、棒材収納部8は、後述の図8に示すように、棒材収納部8の内部に収納された棒材Wが把持機構10から遠ざかる、つまり棒材Wがガイドレール4から遠ざかるように移動する第2の揺動位置と、図9に示すように、棒材収納部8内の棒材Wが把持機構10に近接する、つまり棒材Wがガイドレール4に近接する方向に移動する第1の揺動位置と、図3に示すように、第2の揺動位置と第1の揺動位置との間に位置し、棒材Wの取り出しを行わない待機位置との間で揺動可能に構成されている。
【0036】
第2の揺動位置は、棒材収納部8の底面26の外端が内端よりも下方に位置するように傾斜した位置であり、この位置においては、棒材Wは底面26上を移動して、棒材収納部8の外側の、底面26と壁面28Bとの交差部分である角部27に集まるようになる。
第1の揺動位置は、棒材収納部8の底面26の外端が内端よりも上方に位置するように傾斜した位置であり、この位置においては、棒材Wは底面26上を移動して、棒材収納部8の内側の、底面26と壁面28Aとの交差部分である角部35に集まるようになる。
そして、待機位置は、棒材収納部8の底面26が第2の揺動位置及び第1の揺動位置よりも小さい傾斜角度で、底面26の外端が内端よりも上方に位置するように傾斜した位置であり、この位置においては、棒材Wはほとんど移動せず、その場に留まるようになる。
【0037】
なお、第2の揺動位置、第1の揺動位置、及び待機位置における底面26の傾斜角度は、棒材Wの径寸法、材質、底面26との摩擦係数等を考慮して、棒材Wが第2の揺動位置及び第1の揺動位置で所望位置まで移動するように、そして棒材Wが待機位置においてほとんど移動しないように、適宜設定することができる。ここで、待機位置は、本実施形態では、底面26の内端が外端よりも若干下方に位置するように設定されているが、ほぼ水平であってもよいし、外端が内端よりも若干下方に位置するように設定されていてもよい。
【0038】
把持機構10は、棒材収納部8から棒材Wを1本把持する把持部44と、把持部44の開閉動作を行う開閉駆動機構46と、把持部44全体を所定角度回動させる回動駆動機構48と、把持部44全体を上下動させる上下動駆動機構50と、把持部44によって把持された棒材Wの本数を検出する本数センサ52と、を備える。
【0039】
図5は、把持部44の部分を拡大した図である。また、図6は、図3の把持部44の部分を矢印Cの方向から見た図である。図5及び前述の図6に示すように、把持部44は、一対の把持部材54,56を備えて構成される。一方の把持部材54は、略L字形の1枚の板状部材で構成され、把持部44を支持する支持部58に固定されている。他方の把持部材56は、略L字形の2枚の板状部材で構成され、一方の把持部材54を間に挟むように、一方の把持部材54の両側に配置されている。この他方の把持部材56は、一方の把持部材54の略L字状の角部近傍を回動中心55として把持部材54に対して回動自在に支持されている。他方の把持部材56の先端部分56Aは、一方の把持部材54の先端部分54Aよりも上方に位置し、このような配置により、一対の把持部材54,56の先端部分54A,56Aの間には、楔形の空間60が形成される。そして、一対の把持部材54,56の先端部分54A,56Aにおいて空間60に向く面、即ち一方の把持部材54の先端部分54Aの上面及び他方の把持部材56の先端部分56Aの下面が、棒材Wを把持したときに棒材Wの外面とそれぞれ接触する把持面61,63となっている。
【0040】
なお、把持部44は、上記のように一方の把持部材54が1枚の板状部材で構成され、他方の把持部材56が2枚の板状部材で構成されるものに限らず、反対に、一方の把持部材54が2枚の板状部材で構成され、他方の把持部材56が1枚の板状部材で構成されてもよい。また、把持部44は、例えば図7に示すように、一方の把持部材57が1枚の板状部材で構成され、他方の把持部材59も1枚の板状部材で構成された一対の把持部材として構成してもよい。
【0041】
開閉駆動機構46は、支持部58に固定されたシリンダ62及びピストン64を備え、ピストン64の端部は、他方の把持部材56の基端部分56Bにおいて回動中心55から所定距離離れた位置に取り付けられている。このような開閉駆動機構46の構造により、ピストン64が進退すると他方の把持部材56が回動中心55を中心に回動し、他方の把持部材56が一方の把持部材54に対して近接離間することにより、一対の把持部材54,56が互いに相対的に近接離間するように構成される。
【0042】
回動駆動機構48は、把持部44を支持する支持部58が固定される回動プレート66と、回動プレート66を駆動するシリンダ68及びピストン70とを備える。回動プレート66は、上部にピストン取付部66Aを有し、後述するスライドプレート72に対して回動中心73を中心に回動可能に支持されている。シリンダ68は、スライドプレート72に固定されている。ピストン70の端部は、ピストン取付部66Aに取り付けられている。このような回動駆動機構48の構造により、ピストン70が進退すると回動プレート66が回動中心73を中心に回動し、把持部44が回動するように構成される。
【0043】
上下動駆動機構50は、スライドプレート72と、スライドプレート72をスライド可能に支持する支持部材74と、スライドプレート72を駆動するシリンダ76及びピストン78とを備える。スライドプレート72は、前述のように回動駆動機構48のシリンダ68を支持し、また、回動プレート66を回動可能に支持する。また、スライドプレート72は、回動プレート66の回動中心73を挟んで把持部44とは反対側に、支持部材74に係合するピン80を有する。
【0044】
支持部材74は、その基端部74Aが棒材収納部8の支持台36に固定され、先端部74Bには、スライドプレート74のピン80が層通されるスライド孔82が形成されている。スライド孔82は、スライドプレート72がスライド孔82に沿ってスライドしたときに、把持部44が下方且つ内側(ガイドレール4側)に移動するように形成されている。本実施形態では、スライド孔82は、棒材収納部8が待機位置にある状態で、一方の端部82Aからほぼ下方に向かって延び、屈曲部82Bを形成して、他方の端部82Cまで内側に向かって傾斜するように下方に延びている。
【0045】
シリンダ76は、支持部材74の基端部74A近傍に固定されており、ピストン78の端部は、スライドプレート72にピン80の近傍で、支持部材74のスライド孔82の下方に取り付けられている。
このような上下動駆動機構50の構造により、ピストン78が進退すると、スライドプレート72がスライド孔82に沿ってスライドし、把持部44が上下方向に移動するように構成される。
【0046】
本数センサ52は、開閉駆動機構46のシリンダ62の外面に取り付けられ、把持部44の把持部材54,56の上方に配置されている。したがって、把持部44に対する本数センサ52の相対位置は、把持部44が回動、上下動等しても変わらないから、本数センサ52の検出ミスを防止して、確実な検出を行うことができる。本数センサ52は、把持部44によって把持された棒材Wの本数が1本であるか否かを検出するものであり、例えば本数センサ52は、棒材Wの太さを検出し、コントローラ12は、本数センサ52の検出結果に基づき、検出された太さが所定値範囲の最大値以上であれば、棒材Wが2本以上把持されていると判断し、所定値範囲の最小値以下であれば、棒材Wが0本把持されていると判断し、所定値範囲内であれば、棒材Wが1本把持されていると判断する。
【0047】
図2及び図3を参照すると、棒材収納部8の壁面28Aのガイドレール4側には、把持部44によって把持した棒材Wを棒材収納部8内の棒材Wから分離して棒材収納部8の外部に位置させる分離装置84が設けられている。分離装置84は、把持部44で把持された棒材Wに接触可能な分離部材86と、分離部材86を棒材収納部8の壁面28Aの外面に沿って、即ち給送軸線Bに沿って移動させる移動機構88と、分離部材86の移動を案内する案内機構89(図3)と、を備えている。
【0048】
分離部材86は、棒材収納部8の壁面28Aの外面に沿って延びる棒状の垂直部86Aと、垂直部86Aの高さ方向略中央からガイドレール4に向かって下方に傾斜する傾斜部86Bとを有する。垂直部86Aは、棒材収納部8の壁面28Aの上端よりも上方に突出しており、その上端に分離部材86の移動方向に略直交する方向に回転軸を有するローラ87を有している。また、垂直部86Aの下端は、ブラケット90を介して、移動機構88に連結されている。傾斜部86Bの上端、即ち垂直部86Aに最も近い端部は、棒材収納部8の壁面28Aの上端よりも下方に位置している。
【0049】
移動機構88は、図2に示すように、棒材収納部8の上流側端部に取り付けられたモータ92と、棒材収納部8の下流側端部及びモータ92の出力軸に取り付けられた一対のプーリ94と、プーリ94間に掛け渡されたベルト96と、を有する。この移動機構88は、棒材収納部8の支持台36に取り付けられているため、棒材収納部8の揺動運動に伴って揺動するように構成される。ベルト96には、図3に示すようにブラケット90を介して分離部材86が固定されている。
【0050】
案内機構89は、棒材収納部8の支持台36に固定されたレール98と、ブラケット90に取り付けられ、レール98に係合するガイド部材99と、を有する。レール98は、支持台36のガイドレール4側の側面に、長手方向に沿って、つまり給送軸線Bに沿って、棒材収納部8の上流側端部近傍から下流側端部近傍まで延びている。ガイド部材99は、ブラケット90においてベルト96への取付位置と分離部材86との間の位置に取り付けられ、レール98に対向する面に凹部99Aを有し、この凹部99Aがレール98に係合している。
【0051】
このような分離装置84の構造により、分離装置84は、モータ92の駆動によってベルト96が移動すると、ブラケット90及び分離部材86が案内機構89に案内されながら棒材収納部8の壁面28Aの外面に沿って移動するように構成される。なお、分離部材86は、最も上流側の位置においては、棒材収納部8の開口部34よりも下流側に位置する。
【0052】
分離部材86の下方且つガイドレール4側には、分離装置84で分離された棒材Wを受け入れる棒材受け100が設けられている。
図8は、棒材受け100の一部を示す斜視図である。図8及び図3を参照すると、棒材受け100の下端は、棒材収納部8の支持台36に固定されている。したがって、棒材受け100は、棒材収納部8の揺動運動に伴って揺動可能に構成されている。棒材受け100の上部には、棒材収納部8からガイドレール4に向かって下方に傾斜する傾斜部102と、傾斜部102のガイドレール4側の先端部に設けられた係止部104とが形成されている。傾斜部102の棒材収納部8側の端部は、棒材収納部8の底面26の高さ近傍に位置し、分離部材86の傾斜部86Bの下方に位置している。傾斜部102の上面には、棒材収納部8からガイドレール4に向かって延びる複数の棒状の滑りバー103が所定間隔で取り付けられている。これらの滑りバー103により、棒材受け100上に載置された棒材Wが傾斜部102上を移動しやすくなる。なお、滑りバー103の断面形状や、本数、取付の間隔等は、任意に設定してよい。
【0053】
係止部104は、図8に示すように、所定間隔で複数形成されており、傾斜部102に対してほぼ垂直に上方に延びている。傾斜部102において各係止部104の間には、凹部106が形成されている。なお、傾斜部102の傾斜角度は、棒材Wが傾斜部102上を転がって係止部104で係止するときに、棒材Wが損傷しないような角度に設定される。
また、棒材受け100の上流側の端部には、棒材受け100に受け入れられた棒材Wの有無を検出するための棒材有無センサ105(図3)が、棒材受け100の下方に取り付けられている。この棒材有無センサ105は近接センサで構成されることが好ましく、棒材受け100に受け入れられた棒材Wを下方から検出するようになっている。
【0054】
ガイドレール4の棒材収納部8側には、棒材受け100で受け入れられた棒材Wをガイドレール4に案内する案内面108が形成されている。案内面108は、支持フレーム2に固定され、棒材収納部8の揺動によっては揺動しない。案内面108は、棒材収納部8側の端部からガイドレール4側に向かって傾斜しており、棒材収納部8が待機位置にあるとき、案内面108の棒材収納部8側の端部は、棒材受け100のガイドレール4側の端部の位置よりも棒材収納部8側に位置している。案内面108の上面には、棒材収納部8からガイドレール4に向かって延びる複数の棒状の滑りバー109が所定間隔で取り付けられている。これらの滑りバー109により、案内面108を移動する棒材Wが移動しやすくなる。
【0055】
棒材収納部8側の端部には、所定間隔で凹部108Aが形成され、これらの凹部108Aの間に凸部108Bが形成される。凸部108Bは、棒材受け100の凹部106に対応する位置に形成されており、棒材受け100の係止部104の位置は、案内面108の凹部108Aの位置に対応している。したがって、棒材収納部8の揺動に伴って棒材受け100が揺動するとき、棒材受け100の先端部分が案内面108の棒材収納部8側の端部に干渉することがない。
【0056】
次に、以上のような構造の棒材供給機1の動作を図9から図17を参照して以下に説明する。
まず、棒材収納部8に棒材Wを収納する。このとき、棒材Wは、上流側の端部が壁面29A近傍に揃うように収納するのが好ましく、上流側の端部が開口部34よりも上流側に位置するように配置する。なお、待機状態では、棒材収納部8は、図3に示すような待機位置に位置しており、把持部44は、棒材収納部8の上方に位置している。
【0057】
次に、図9に示すように、棒材供給機1を第2の揺動位置に移動させる。まず、揺動機構38のモータ42を駆動して回転軸40を所定角度外側に回転させ、棒材収納部8を外側に傾斜した、第2の揺動位置まで揺動させる。この揺動により、棒材収納部8内の棒材Wが自重によって底面26の滑りバー32を滑ってまたは転がって、外側に移動する。第2の揺動位置では、全ての棒材Wは、把持部44から遠ざかる方向に移動して、底面26と壁面28Bの交差部分である角部27に集まる。棒材収納部8内で棒材Wが移動するので、棒材Wが互いに絡まっている場合でも、絡まりがほどける。
【0058】
また、把持機構10においては、上下動駆動機構50のシリンダ76を駆動して、ピストン78をシリンダ76内に引っ込める。するとスライドプレート72のピン80がスライド孔82に沿って移動し、スライドプレート72及び把持部44が下方且つガイドレール4側に移動する。なお、回動駆動機構48のピストン70は引っ込めたままであり、したがって把持部44は、棒材収納部8側に回動した位置で保持されている。また、開閉駆動機構46のピストン64はシリンダ62から伸びた状態であり、したがって他方の把持部材56は、先端部分56Aが一方の把持部材54の先端部分54Aから遠ざかる方向に回動した位置(開位置)で保持される。
【0059】
図10には、図9の状態における棒材収納部8と把持部44との位置関係を示す拡大図である。図9に示した位置においては、図10に示すように、一対の把持部材54,56の先端部分54A,56Aは、開口部34を通して棒材収納部8の内部に突出する。このとき、本実施形態では、空間60の頂点60Aは、棒材収納部8の外側に位置する。また、一方の把持部材54の把持面61は、棒材収納部8の底面26、より好ましくは、滑りバー32の上面に一致する。したがって、一方の把持部材54が底面26または滑りバー32から上方に突出しない。ここで、図10の状態においては、棒材収納部8の壁面28Aの位置における一対の把持部材54,56間の距離Dは、棒材Wが空間60内に供給された状態で、頂点60A近傍に配置された棒材Wの外面が棒材収納部8の壁面28Aに接触しないような寸法に設定されており、本実施形態では棒材Wの直径dよりも小さく設定されている。このような設定により、棒材Wが空間60内に供給されたときに、空間60の頂点60A近傍には、棒材Wが1本しか配置されないため、確実に棒材Wを1本把持することができ、2本以上の棒材Wを把持してしまう等の把持ミスを防止することができる。
【0060】
次に、揺動機構38のモータ42を駆動して回転軸40を回転させ、棒材収納部8を第2の揺動位置から、図11に示すような第1の揺動位置に揺動させる。このとき、棒材収納部8内の棒材Wは、自重によって滑りバー32上を滑ってまたは転がって、把持部44に近接する方向に移動する。そして、底面26と壁面28Aとの交差部分である角部35に棒材Wが集まる。一対の把持部材54,56の間には楔形の空間60が形成されているので、棒材Wの少なくとも1部が空間60内に供給される。ここで、開口部34は、壁面29Aから所定距離離れており、また棒材Wは壁面29A近傍に端部が配置されるように収納されるので、開口部34からは棒材Wの端部が露出しない。したがって、棒材Wにおいて端部から軸線方向に所定距離Lだけ離れた部分が開口部34に位置し、当該部分が把持部44に把持されることとなる。
【0061】
この状態で、一対の把持部材54,56を互いに近接させて、把持部44を閉じる(閉位置)。即ち、開閉駆動機構46のシリンダ62内にピストン64を引っ込めて、他方の把持部材56を回動中心55を中心に回動させる。すると、他方の把持部材56の先端部分56Aが下方に移動し、一方の把持部材54に近接する。この動作により、空間60が狭まるとともに、空間60の頂点60Aが棒材収納部8に近い側に移動し、空間60内に供給された棒材Wを押し出しながら、頂点60Aの近傍で、一対の把持部材54,56の把持面61,63で1本の棒材Wを把持する。
【0062】
次に、図12に示すように、把持部材54,56で1本の棒材Wを把持した状態で、棒材収納部8を第1の揺動位置から第2の揺動位置に揺動させる。つまり、揺動機構38のモータ42を駆動することにより、支持台36及び棒材収納部8を外側に向かって揺動させる。把持部44で把持された棒材W以外の棒材収納部8内の棒材Wは、滑りバー32上を滑ってあるいは転がって、底面26と壁面28Bとの交差部分である角部27に再び集まる。一方、把持部44が1本の棒材Wを把持しているので、その棒材Wは把持部44に把持されて残る。なお、開閉駆動機構46によって把持部材54,56の間の間隔を狭めた状態において、他の棒材Wに阻害されて1本の棒材Wが完全に把持できていなかった場合でも、棒材収納部8を第1の揺動位置から第2の揺動位置に揺動させて棒材Wを把持部44から遠ざける間に、棒材Wの把持を阻害していた棒材Wが空間60から離間するなどして、1本の棒材Wを把持することができる。
【0063】
図12に示した状態で、本数センサ52で棒材Wの太さを検出することによって、把持部44に把持された棒材Wが1本であるかどうかを判断する。つまり、本数センサ52が把持部44で把持された棒材Wの太さを検出し、コントローラ12に出力する。コントローラ12では、本数センサ52で検出された太さの値が所定値範囲内であるか否かを判断する。具体的には、コントローラ12は、検出された棒材Wの太さが所定値範囲の最大値以上であれば、把持部44は棒材Wを2本以上把持していると判断し、太さが所定値範囲の最小値以下であれば、把持部44は棒材Wを1本も把持していないと判断し、そして太さが所定値範囲内であれば、把持部44は棒材Wを1本把持していると判断する。
【0064】
把持部44で把持された棒材Wが0本、または2本以上であると判断された場合には、把持動作をやり直す。つまり、図12に示した状態で、開閉駆動機構46のシリンダ62からピストン64をのばして他方の把持部材56を回動させ、他方の把持部材56を一方の把持部材54から離間させるようにする。これにより、空間60が広くなり、把持部44で把持されていた棒材Wがあったとしても、把持部44から離れ、棒材収納部8の外側の角部に落とされる。そして、図11に示す第1の揺動位置への揺動を行い、把持動作を繰り返す。
【0065】
把持部44で把持された棒材Wが1本であることが検出されると、次に図13に示すように、把持部44を上方に移動させ、把持部44で把持された棒材Wの端部を棒材収納部8の外部に移動させる。つまり、上下動駆動機構50のシリンダ76からピストン78を伸ばし、スライドプレート72をスライド孔82に沿って上方に移動させる。スライドプレート72は、スライド孔82に沿って、棒材収納部8の外側上方に向かって、その後更に上方へ移動する。スライドプレート72が上方に移動した状態では、把持部44は、棒材収納部8の外部に位置する。従って、把持部44に把持された棒材Wの少なくとも端部も棒材収納部8の外部に位置することとなる。
【0066】
棒材Wを把持部44によって上方に持ち上げた状態で、本数センサ52によってもう一度、棒材Wの本数が正しいかを確認する。例えば把持部44が棒材収納部8内に突出した状態で検出した情報に基づく棒材Wの本数の判断が誤っていた場合や、把持部44を上方に持ち上げたときに棒材Wが把持部44から外れてしまった場合などには、この段階で把持部44による棒材Wの正しい把持状況を把握することができる。
この段階で把持部44で把持された棒材Wの本数が適切でない場合(1本でない場合)、開閉駆動機構46によって一対の把持部材54,56を開いて(把持している場合には)棒材Wを解放し、その後図9の状態に戻り把持動作をやり直す。
【0067】
本数センサ52による再度の本数確認により棒材Wが1本把持されていると判断された場合には、図14に示すように、棒材収納部8を待機位置に移動させるとともに、把持部44を棒材収納部8のガイドレール4側の外部で下方に移動させる。具体的には、揺動機構38のモータ42を駆動して、支持台36及び棒材収納部8を、第2の揺動位置から待機位置まで揺動させる。待機位置では、ほぼ全部の棒材Wが滑りバー32上を移動しないため、ほとんどの棒材Wが底面26と壁面28Bの角部27に残った状態となる。
【0068】
また、上下動駆動機構50のシリンダ76内にピストン78を引っ込めてスライドプレート72を下方にスライドさせる。また、回動駆動機構48のシリンダ68からピストン70を伸ばして回動プレート66を回動中心73を中心に回動させる。この回動運動により、把持部44が回動中心73を中心に回動することとなり、把持部材54,56の先端部分54A,56Aの先端が若干下方に向く。
この状態では、把持部44の先端は、棒材収納部8の外部で且つ分離部材86の垂直部86Aの上端よりも下方に位置している。また、把持部44で把持された棒材Wは、把持された端部が棒材収納部8の外部に位置するが、反対側の端部は、棒材収納部8内に残ったままとなる場合がある。
【0069】
そこで、分離装置84を駆動して、棒材Wを棒材収納部8から完全に分離する。分離部材86は、待機状態では、開口部34よりも下流側に位置しており、棒材収納部8の壁面28Aと把持部44及び把持部44で把持された棒材Wとの間に位置している。この状態で、移動機構88のモータ92及びベルト96によって、分離部材86は案内機構89に案内されながら、棒材収納部8の壁面28Aに沿って下流側に位置していく。
【0070】
分離部材86が下流側に移動すると、棒材Wの端部が棒材収納部8内に収納されているため、棒材Wが、分離部材86の垂直部86Aのローラ87の外面に接触する。分離部材86を更に下流側に移動させると、分離部材86のローラ87に押されて、棒材Wが棒材収納部8から外部に移動する。このとき、ローラ87は、回転しながら棒材Wに接触するので、棒材Wへの損傷を防止することができる。分離部材86が最も下流側まで移動すると、図15に示すように、棒材Wが棒材収納部8内の棒材Wから完全に分離され、端部が棒材受け100に載置される。
【0071】
次に、開閉駆動機構46によって他方の把持部材56を一方の把持部材54から離間させて把持部44を開き、棒材Wの端部を離す。すると、棒材Wは、図16に示すように、棒材収納部8の外部で把持部44から離れ、棒材受け100の係止部104で係止して棒材受け100に受け入れられる。
この状態で、棒材受け100に設けられた棒材有無センサ105で棒材Wの存在を確認する。そして、コントローラ12から棒材供給の指令があるまで、棒材収納部8は、図16の状態で待機する。なお、棒材有無センサ105で棒材Wの存在が確認できなかった場合には、異常状態であると判断し、ガイドレール4への棒材Wの供給動作を行わず、棒材供給機1を停止したり音や表示による警告を発する等の措置をとる。
【0072】
ガイドレール4内に加工中の棒材Wがなくなると、コントローラ12は、ガイドレール4への棒材供給を指示する。この指令を受けて、棒材収納部8は、図17に示すように、待機位置から第1の揺動位置へ揺動する。すると、棒材受け100も共に揺動し、傾斜面102が案内面108よりも下方に位置するようになる。このとき、係止部104は、案内面108の凹部108Aを通って案内面108を通過するが、傾斜面102に載置された棒材Wは、案内面108の凸部108Bによって案内面108に載置され、且つ係止部104によって係止された状態となる。係止部104の上端が案内面108よりも下方に位置するようになったとき、棒材Wは係止部104によって係止されなくなり、棒材Wは案内面108に載置されて、案内面108に沿って案内面108上をガイドレール4側に移動し、ガイドレール4に供給される。
【0073】
ガイドレール4に供給された棒材Wは、送り矢6によって棒材加工機200側に給送され、加工される。
棒材供給機1は、図9の状態に戻り、再び棒材収納部8から棒材Wを1本取り出す動作を行う。
【0074】
以上のような構造の本実施形態によれば、次のような優れた効果が得られる。
棒材収納部8が、第1の揺動位置と第2の揺動位置との間で揺動可能に設けられているので、棒材収納部8内部に収納された棒材Wが棒材収納部8の揺動時に棒材収納部8内で移動するから、棒材W同士の絡まりをほどくことができる。したがって、把持部44で把持した棒材W以外の棒材Wを把持部44から遠ざけるとき、把持部44で把持した棒材Wとこの棒材W以外の棒材Wが絡まることなく遠ざかるから、棒材Wに余計な力がかからず、棒材Wの曲げや傷つき等の損傷を抑制することができる。これは、また、分離装置84によって把持部44で把持した棒材Wを棒材収納部8の外部に分離する際にも、分離部材86が棒材Wをガイドレール4側に押しながら分離するが、このとき把持されていない棒材Wの端部がもし他の棒材Wと重なっていたとしても、大きく絡まっていることがないので、他の棒材Wの群から容易に分離することができる。これにより、分離部材86で棒材Wを他の棒材Wから分離することによって棒材Wが曲がってしまう等の不具合を防止することができる。
【0075】
把持機構10が一対の把持部材54,56を有して鋏状に構成されるので、空間60の頂点60Aに位置する棒材Wを把持することによって1本の棒材Wを取り出すことができる。このような構成により、例えば異なる径寸法の棒材Wを扱う場合にも、棒材Wの寸法に合わせて把持部材54,56の部品交換を行う必要がなく、共通の把持機構10を用いることができる。したがって、棒材供給機1の汎用性、取扱性を向上させることができる。
また、把持部材54,56が開閉駆動機構46によって互いに近接離間可能に構成されているので、把持部材54,56を互いに近接させることにより、空間60の頂点60Aに位置した棒材Wを確実に把持することができる。これは、例えば空間60の頂点60A近傍に棒材Wが2本存在した場合にも、把持部材54,56を近接されることによって空間60を狭め、1本の棒材Wのみを把持することができるから有用である。
【0076】
把持部材54,56が棒材収納部8の側方に配置し、棒材収納部8が第1の揺動位置に揺動することにより、棒材Wが棒材収納部8内を自重によって移動して、側方で待ち受ける一対の把持部材54,56の間の空間60内に供給されるので、例えば一対の把持部材54,56を棒材収納部8内の棒材Wの束に突っ込んで把持する場合に比べて、棒材Wにかかる負荷を低減することができ、棒材Wの曲げや傷つき等を防止することができる。
また、棒材収納部8が第2の揺動位置に揺動することにより、把持部44で把持された棒材W以外の棒材を自重によって移動させて分離するので、例えば把持部44を棒材Wの束から離間させることによって把持された棒材Wを棒材Wの束から分離する場合に比べて、把持された棒材Wにかかる負荷を小さくすることができ、棒材Wの曲げや傷つき等を防止することができる。
【0077】
把持部44が棒材収納部8の支持台36に取り付けられているので、棒材収納部8が揺動しても、棒材収納部8に対する把持部44の相対位置を維持することができるから、把持部44の位置決めを容易に設定することができる。
【0078】
棒材収納部8に開口部34が形成され、この開口部34が棒材収納部8の上流側の壁面29Aから所定距離長手方向に離れた位置に形成されているので、把持部44が棒材Wの端部よりも所定距離離れた位置を把持することができる。したがって、把持部44の把持ミスを防止することができ、把持動作の信頼性を向上させることができる。また、把持部44が棒材Wの端部から所定距離離れた位置を把持するので、棒材収納部8内で棒材Wの端部の位置を厳密に揃える必要がなく、棒材収納部8への収納作業を容易に行うことができ、取扱性を向上させることができる。
【0079】
把持部44が棒材収納部8の底面26と壁面28Aとの交差部分である角部35に配置されているので、棒材収納部8が第1の揺動位置に揺動したときに棒材Wが集まる位置で把持部44が待ち受けることができる。したがって、把持部44の空間60に棒材Wが入りやすく、棒材Wを確実に把持することができる。また、把持部44が角部35に配置されているので、棒材Wが把持部44を越えて移動することがない。したがって、棒材Wを確実に空間60内に導くことができ、最後の1本まで把持部44によって把持することができる。
【0080】
一方の把持部材54の把持面61が、棒材収納部8の底面26(または滑りバー32の上面)と一致するので、把持部44が棒材収納部8内に突出したとき、把持面61と底面26または滑りバー32の上面との間に段差が形成されず、両面が面一となる。したがって、底面26または滑りバー32の上面を滑ってまたは転がって移動する棒材Wが、一方の把持部材54に引っかかることなく空間60内に供給されるから、棒材Wの把持動作をより確実に行うことができ、最後の1本まで把持して取り出すことができる。
【0081】
本数センサ52が設けられているので、把持部44が棒材収納部8の側方で棒材Wを把持したとき、及び把持部44が把持した棒材Wを上方に持ち上げたとき、把持された棒材Wが1本であるか否かを判断することができる。これにより、棒材Wが0本または2本以上把持されている場合には、棒材Wの取出動作をもう1度行うことができるので、把持ミスを防止することができ、棒材加工機200が加工している間に1本の棒材Wの取出動作を行っているため、把持ミスがあっても、棒材加工機200への棒材Wの供給遅れを防止することができる。
【0082】
棒材収納部8に棒材受け100が取り付けられているので、棒材収納部8の揺動動作によって棒材受け100を揺動させることができ、この揺動によって棒材受け100上に載置された棒材Wを案内面108に受け渡すことができ、この棒材Wをガイドレールに供給することができる。棒材受け100が棒材収納部8に取り付けられているので、棒材受け100の動作のために別個の駆動機構を設ける必要がなく、棒材供給機1の構造を簡略化することができる。
【0083】
本発明は、以上の実施の形態に限定されることなく、特許請求の範囲に記載された発明の範囲内で種々の変更が可能であり、それらも本発明の範囲内に包含されるものであることはいうまでもない。
例えば、分離部材は、前述の実施形態では、垂直部86A及び傾斜部86Bを有するものであったが、これに限らず、例えば図18に示すように、傾斜部86Bの下端、即ち垂直部86Aから最も遠い端部に、垂直部86Aにほぼ平行な方向に立ち上がり部86Cを有していてもよい。傾斜部86Bに立ち上がり部86Cが設けられていることにより、棒材Wを分離する際、棒材Wはローラ87と立ち上がり部86Cとの間に配置される。これは、例えば、棒材Wの下流側の端部が棒材収納部8内の棒材Wと絡まっている場合、分離部材86によって棒材Wを分離していくと、絡まりが外れたときに棒材Wの下流側の端部が反動で棒材収納部8からガイドレール4側に大きく移動することがある。このような場合でも、傾斜部86Bの立ち上がり部86Cが、棒材Wのガイドレール4側への大きな移動を阻止する。
【0084】
例えば、棒材収納部は、棒材収納部の下方に揺動中心を有する構造に限らず、例えば棒材収納部の上方や側方に揺動中心を有する構造であってもよい。また、棒材収納部の揺動中心は、例えば棒材収納部の底面上等、棒材収納部内に配置してもよい。
【0085】
把持部材は、一方が他方に対して回動する鋏状に構成されるものに限らず、例えば一方の把持部材が他方の把持部材に対して平行移動するようにスライドすることによって近接離間可能に構成されていてもよい。要するに、把持部材は、間に楔形の空間を形成するものであって、互いに近接離間することによって空間を狭めたり広げたりすることができる構造であればよい。また、把持部は、一方の把持部材が他方の把持部材に対して移動する構造に限らず、例えば両方の把持部材が互いに近接離間する方向に移動可能に設けられてもよい。更に、把持部材は、互いに近接離間するものに限らず、楔形の空間の頂点で棒材を挟み込むことができればよく、したがって例えば一対の把持部材が互いに固定されていてもよい。
【0086】
本数検出手段による棒材Wの本数の検出は、前述の実施形態では、把持部44が棒材収納部8の側方で棒材Wを把持した時、及び把持した棒材Wを上方に持ち上げたときの2回行っていたが、必ずしも2回行う必要はなく、把持動作の確実性が高ければどちらか1回のみ行ってもよい。また、例えば棒材受け100に設けられた棒材有無センサによって棒材の有る無しを検出すれば十分である場合等には、必ずしも本数検出手段を設ける必要はない。
本数検出手段の取付位置及び検出方式は、棒材Wの本数が1本であるかを検出することができるものであればその取付位置及び検出方法は任意である。
【0087】
把持部材の把持面の位置は、棒材収納部の底面に一致する場合に限らず、底面よりも低くてもよいし、底面よりも高く配置されていてもよい。また、把持部の形状、構成や、棒材収納部の断面形状等も任意に設定してよい。
【0088】
棒材収納部は、把持部材が棒材収納部の側方から棒材を把持することが可能な構成であればよいので、棒材収納部に開口部を形成することは必ずしも必要でない。例えば、棒材収納部が網状に構成されている場合には、棒材収納部の側方に位置する編目から把持部を棒材収納部内部に突出させるように配置すればよいから、開口部は不要となる。
また、開口部は、棒材収納部の上流側の端部から所定距離離れた位置に形成されるものに限らず、棒材収納部の下流側の端部近傍や、棒材収納部の上流側の端部を含むように形成してもよく、その位置及び形状は任意に設定することができる。
【0089】
把持部材で棒材を把持する際の、把持部材の棒材収納部に対する位置は任意である。即ち、前述の実施形態では、断面略矩形状の棒材収納部の底面及び壁面の交差部分に当たる角部に配置されていたが、これに限らず、棒材収納部の側方に配置され、棒材収納部が第1の揺動位置に揺動したときに棒材を把持することができる位置であれば、把持部材を任意の位置に配置することができる。
【符号の説明】
【0090】
1 棒材供給機
4 ガイドレール
8 棒材収納部
26 底面
28A,28B 壁面
34 開口部
54,56 把持部材
61,63 把持面
84 分離装置
100 棒材受け
200 棒材加工機
【技術分野】
【0001】
本発明は、棒材加工機に自動的に棒材を供給するための棒材供給機に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、棒材供給機としては、例えば特許文献1に記載されるように、棒材を載置する材料棚と、棒材加工機に棒材を給送するためのガイドレールと、材料棚から棒材を1本取り出してガイドレールに供給する棒材補給機とを有するものがある。棒材補給機は、傾斜した材料棚に棒材を1列に配置し、下端の1本の棒材のみを他の棒材から分離してガイドレールに供給する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2007−276102号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、棒材供給機で扱う棒材の種類としては、様々な径寸法、長さ寸法のものがある。例えば、径寸法の小さい棒材を取り扱う場合、棒材は撓みやすく、複数の材料を材料棚に載置したときに棒材同士が絡み合いやすい。したがって、棒材供給機においては、例えばこのような径寸法の小さい棒材を取り扱う場合であっても、棒材の絡まりや損傷を防止しながら1本ずつ棒材を取り出せるようにすることが望ましい。
【0005】
本発明の目的は、棒材の絡まりや損傷を防止しながら棒材を1本ずつ取り出すことができる棒材供給機を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の第1の観点に係る棒材供給機は、給送軸線に沿って棒材を棒材加工機に給送する棒材供給機であって、棒材が内部に収納される棒材収納部と、棒材収納部に収納された棒材を1本ずつ取り出すための把持部と、棒材収納部から取り出された棒材を給送軸線に沿って案内するためのガイドレールと、を備え、把持部は、棒材収納部の側方に配置され、棒材収納部内に収容された棒材を受け入れ可能な向きに開口する楔形の空間を間に形成する一対の把持部材を有し、棒材収納部は、棒材の軸線にほぼ垂直な平面内で、棒材収納部内の棒材が把持部に近接する側に移動して一対の把持部材間の空間内に供給されることにより空間の頂点近傍において1本の棒材が把持される第1の揺動位置と、棒材収納部内の棒材が把持部から遠ざかる側に移動して、把持部材によって把持された1本の棒材を除く棒材が把持部から離間する第2の揺動位置との間で揺動可能に構成される、ことを特徴としている。
【0007】
本発明においては、棒材収納部の中に棒材を収納し、棒材収納部を第1の揺動位置に揺動させると、内部の棒材が棒材収納部内で把持部に近接する側に移動して一対の把持部材間の楔形の空間に供給され、空間の頂点に位置する1本の棒材が一対の把持部材によって把持される。この状態で、棒材収納部を第1の揺動位置から第2の揺動位置に揺動させると、一対の把持部材によって把持された1本の棒材は、把持部材間に把持された状態で残るが、その他の棒材は、棒材収納部の揺動に伴って把持部から遠ざかる方向に移動する。これにより、把持部によって把持した棒材とその他の棒材が分離され、1本の棒材が把持部によって取り出される。把持部によって取り出された棒材は、ガイドレールに供給され、給送軸線に沿って棒材加工機に給送される。
【0008】
本発明に係る棒材供給機によれば、棒材収納部が第1の揺動位置と第2の揺動位置との間で棒材の軸線にほぼ垂直な方向に揺動可能に構成されているので、収納された棒材が棒材収納部内で移動することにより、棒材同士の絡まりを防止することができる。したがって、絡まりがほどけた状態の棒材を把持部で把持することができるので、棒材を1本ずつ確実に把持して取り出すことができる。これにより、棒材同士が絡まって損傷する等の不具合を防止することができる。
また、把持部が棒材収納部の側方に配置されることにより、第1の揺動位置において棒材が楔形の空間に供給され、第2の揺動位置において把持部材で把持された棒材以外の棒材が把持部から遠ざかるので、把持部によって1本の棒材を取り出すことができる。ここで、棒材は、第1の揺動位置において自重によって移動して一対の把持部材間の空間内に供給されるので、例えば把持部材が棒材に近接して棒材を把持する構成に比べて、棒材に過大な荷重がかかる虞が低減される。これにより、棒材の損傷を防止することができる。
【0009】
また、本発明の実施の形態では、一対の把持部材は、少なくとも一方が他方に対して近接離間可能に構成され、一方が他方に対して近接するとき、一対の把持部材は、空間の頂点近傍で1本の棒材を把持するように構成される。
この実施の形態においては、第1の揺動位置において棒材が空間内に供給された後、一方の把持部材を他方の把持部材に対して近接させれば、空間の頂点に位置した棒材が一対の把持部材によって挟持される。
したがって、この実施の形態によれば、一対の把持部材が近接離間可能に構成されているので、棒材を確実に把持することができる。また、棒材を確実に把持することにより、棒材収納部が第2の揺動位置に移動したときに、空間の頂点に位置する棒材が他の棒材とともに把持部から遠ざかって移動してしまうのを防止することができる。更に、空間内の棒材を押し出し一方の把持部材が他方の把持部材に近接することにより、空間の頂点近傍に位置する棒材を1本だけ把持することができる。これにより、把持部材が2本以上の棒材を把持してしまう把持不良が防止される。
【0010】
本発明の別の実施の形態では、把持部によって把持された棒材の本数を検出するための本数検出手段を更に備える。
【0011】
この別の実施の形態においては、本数検出手段が、把持部で把持された棒材の本数を検出する。
したがって、この別の実施の形態によれば、本数検出手段が設けられているので、検出された棒材の本数が1本である場合には、ガイドレールに供給し、0本や2本以上である場合には、把持動作をやり直す等の工程を計画することが可能になる。したがって、把持部による棒材の1本だけの取り出しをより確実に行うことができ、棒材供給機の信頼性が向上する。
【0012】
本発明のまた別に実施の形態では、棒材収納部には、内部の棒材の端部よりも軸線方向内側の位置で、把持部が棒材収納部内の棒材を把持するための開口部が形成されている。
【0013】
このまた別の実施の形態においては、把持部は開口部を通して棒材収納部の第1の揺動位置において棒材の把持を行う。
したがって、この更に別の実施の形態によれば、棒材の端部よりも内側の位置において開口部が形成されているので、棒材の端部が開口部から露出しない。したがって、把持部は棒材の端部よりも軸線方向内側の部分を把持することとなるから、棒材の把持を確実に行え、棒材の把持不良の発生が防止される。
【0014】
本発明の更に別の実施の形態では、棒材収納部は、底面を有し、一対の把持部材は上下方向に配置されるとともに、上方の把持部材が下方の把持部材に対して近接離間するように構成され、棒材収納部が第1の揺動位置にあるとき、下方の把持部材の上面は、棒材収納部の底面に一致する。
【0015】
この更に別の実施の形態においては、棒材収納部が第1の揺動位置に配置されると、下方の把持部材の上面が棒材収納部の底面に一致する。この状態で棒材が把持部材間の空間に向かって移動すると、棒材は、棒材収納部の底面及び下方の把持部材の上面を通過して空間に供給される。そして上方の把持部材を下方の把持部材に対して近接させることにより、空間の頂点に位置する1本の棒材を把持する。
【0016】
したがって、この更に別の実施の形態によれば、第1の揺動位置において下方の把持部材の上面が棒材収納部の底面に一致するので、棒材が、下方の把持部材に妨げられることなく空間内に移動する。したがって、棒材の移動がスムーズになり、棒材の損傷をより一層防止することができると共に、棒材収納部材の棒材を最後の1本まで空間内に確実に供給することができる。
【0017】
本発明の他の実施の形態では、棒材収納部は、底面と、底面の周囲に配置された壁面とを有し、把持部は、棒材収納部の底面と壁面との交差部分によって形成される角部に配置される。
【0018】
この他の実施の形態においては、棒材収納部が第1の揺動位置に揺動すると、棒材は、棒材収納部の角部に配置された把持部の空間に向かって移動し1本の棒材が把持部材によって把持される。
したがって、この他の実施の形態によれば、把持部が棒材収納部の角部に配置されているので、把持部に向かって移動する棒材が把持部を乗り越えてしまうのを防止または抑制することができる。これにより、棒材収納部が第2の揺動位置に揺動したときに、把持部で把持された棒材以外の棒材が確実に把持部から遠ざかり、把持部で把持された棒材だけを確実に分離することができる。
【0019】
本発明のまた他の実施の形態では、把持部は、棒材収納部に取り付けられることにより棒材収納部と共に揺動可能に構成される。
【0020】
このまた他の実施の形態においては、棒材収納部が第1の揺動位置に揺動すると、この揺動に伴って把持部も揺動し、棒材を空間に受け入れる。
したがって、このまた他の実施の形態によれば、把持部が棒材収納部に取り付けられているので、棒材収納部が揺動するときの棒材収納部に対する把持部の相対位置を不変とすることができる。これにより、把持部の棒材収納部に対する位置決めを容易にすることができ、棒材収納部内の棒材の把持動作をより確実に行うことができる。
【0021】
本発明の更に他の実施の形態では、棒材収納部の外側には、把持部によって把持された棒材を受け入れる棒材受けが取り付けられ、棒材受けは、棒材収納部と共に第1の揺動位置に揺動することにより、受け入れられた棒材をガイドレールに供給する。
【0022】
この更に他の実施の形態においては、把持部で把持された棒材は、棒材収納部から取り出されて棒材受けに受け入れられる。その後、棒材収納部が第1の揺動位置に再び揺動すると、棒材受けも棒材収納部の揺動に伴って揺動し、受け入れた棒材をガイドレールに供給する。
したがって、この更に他の実施の形態によれば、棒材受けが棒材収納部に取り付けられているので、把持部で把持された棒材を棒材収納部の揺動運動によってガイドレールに供給することができる。これにより、棒材受けの動作を棒材収納部の揺動動作によって行うことができるので、棒材受けのための駆動機構を別途設ける必要がなく、棒材供給機の構造を簡略化することができる。
【図面の簡単な説明】
【0023】
【図1】本発明の一実施形態に係る棒材供給機の全体を示す平面図。
【図2】本発明の一実施形態に係る棒材供給機の全体を示す側面図。
【図3】本発明の一実施形態に係る棒材供給機の棒材収納部及び把持機構を示す側断面図。
【図4】棒材収納部の上流側の部分を拡大して示す斜視図。
【図5】把持部の部分を拡大した図。
【図6】図3の把持部の部分を矢印Cの方向から見た図。
【図7】把持部の他の構造を示す図。
【図8】本発明の一実施形態に係る棒材供給機の棒材受けの一部を示す斜視図。
【図9】本発明の一実施形態に係る棒材供給機の動作を示す図。
【図10】図9の状態における棒材収納部と把持部との位置関係を示す拡大図である。
【図11】本発明の一実施形態に係る棒材供給機の動作を示す図。
【図12】本発明の一実施形態に係る棒材供給機の動作を示す図。
【図13】本発明の一実施形態に係る棒材供給機の動作を示す図。
【図14】本発明の一実施形態に係る棒材供給機の動作を示す図。
【図15】本発明の一実施形態に係る棒材供給機の動作を示す図。
【図16】本発明の一実施形態に係る棒材供給機の動作を示す図。
【図17】本発明の一実施形態に係る棒材供給機の動作を示す図。
【図18】本発明の変形例を示す図。
【発明を実施するための形態】
【0024】
以下、本発明の好ましい実施形態を添付図面を参照して説明する。
図1は、本発明の一実施形態に係る棒材供給機1の全体を示す平面図であり、図2は、棒材供給機1の全体を示す側面図である。
【0025】
棒材供給機1は、棒材加工機200に隣接して配置され、棒材供給機1および棒材加工機200を備えて棒材加工システム300が構成されている。棒材加工機200は、例えば主軸固定型のNC旋盤であり、主軸Aを有する主軸台201と、主軸台201に支持された棒材を加工する加工部(図示せず)とを備える。棒材供給機1は、この棒材加工機200に、主軸Aと一致する給送軸線Bに沿って棒材Wを1本ずつ供給する。
【0026】
なお、棒材Wは棒材供給機1内で棒材加工機200に向かって供給されるから、本実施形態では、説明の簡略化のため、棒材供給機1において棒材加工機200から遠い側を上流側、棒材加工機200に近い側を下流側と称することとする。
【0027】
棒材供給機1は、給送軸線Bに平行に延びる支持フレーム2と、支持フレーム2に支持され、棒材Wを給送軸線Bに沿って案内するガイドレール4と、ガイドレール4上の棒材Wを給送軸線Bに沿って棒材加工機200に給送する送り矢6と、ガイドレール4に供給される棒材Wを収納する棒材収納部8と、棒材収納部8に収納された棒材Wを1本ずつ把持してガイドレール4に供給する把持機構10と、棒材供給機1の動作を制御するコントローラ12(図2)とを備える。
【0028】
ガイドレール4は、棒材供給機1の長手方向にわたって給送軸線Bに平行に延びており、上方に開口する断面円弧状に形成され、その内面に棒材Wを保持可能となっている。ガイドレール4の円弧形の形状により、棒材Wがガイドレール4に供給されると、棒材Wの径寸法にかかわらず、棒材Wの中心が常に幅方向に関して同じ位置に安定する。
ここで、ガイドレール4の下流側には、ガイドレール4内に油を共有するための複数の油供給装置(図示せず)が設けられていてもよい。また、ガイドレール4と棒材加工機200との間には、棒材Wの加工中の棒材Wの回転による振動を抑制するための防振装置(図示せず)が設けられていてもよい。
【0029】
送り矢6は、上流側の端部が羽根部材14に固定されることで片持ち支持されている。羽根部材14は、送り矢6を長手方向に沿って移動させる送り矢駆動機構16に連結している。送り矢駆動装置16は、サーボモータ20及び無端チェーンまたはベルト22を有し、無端チェーン22には羽根部材14が連結している。送り矢6は、図3に示すように、棒材収納部8から取り出された棒材Wをガイドレール4に案内する傾斜面7を有する案内部9を有する。また、送り矢6は、棒材Wの上流側の端部を保持するチャック(図示せず)を有する。なお、支持フレーム2には、送り矢6のチャックが棒材Wを保持する際に、棒材Wをガイドレール4内で固定するための着脱装置24(図1)が取り付けられている。
【0030】
図3は、棒材収納部8及び把持機構10を示す側断面図である。なお、以後、棒材収納部8において、ガイドレール4に近い側を内側と称し、ガイドレール4から遠い側を外側と称する。この図3及び前述の図1及び図2に示すように、棒材収納部8は、矩形平板状の底面26と、底面26の長手方向の2辺にそれぞれ底面26に垂直に設けられた内側の壁面28A及び外側の壁面28Bと、底辺26の短手方向の2辺にそれぞれ底面26に垂直に設けられた壁面29A,29Bとによって、上部が開口する断面略矩形状の箱形に形成されている。
【0031】
棒材収納部8の壁面28A,28Bは、給送軸線Bに平行に配置されており、また、底面26の上面には、図1にも示すように、材料収納部8内に収納される棒材Wを底面26上で移動しやすくするために、複数の滑りバー32が所定間隔で配置されている。これらの滑りバー32は、断面略円形、楕円形、矩形等任意の形状を有するL字形に湾曲した棒状に形成されている。滑りバー32は、図3及び図4に示すように、L字形の長い方の一辺が底面26上に配置され、L字形の短い方の一辺が、棒材収納部8の外側の壁面28Bに沿って配置されている。また、滑りバー32のL字形の角部は、円弧状に形成されており、棒材収納部8の角部27から若干浮いた状態で配置される。このような滑りバー32の配置により、棒材収納部8内の棒材Wが、底面26と外側の壁面28Bとの間の角部27に嵌り込んでしまうのを防止することができ、棒材収納部8内での棒材Wの移動を良好に行うことができる。また、これらの滑りバー32のL字形の長い方の部分は、給送軸線Bにほぼ直交する方向、または棒材収納部8の外側から内側に向かう方向に配置されている。滑りバー32により、棒材収納部8内に収納される棒材Wが底面26でなく滑りバー32に接触するため、棒材Wの棒材収納部8に対する接触面積が低減される。なお、滑りバー32の本数及び互いの間隔は、棒材供給機1が取り扱う棒材Wの種類や寸法等に応じて任意に設定してよい。
【0032】
図4は、棒材収納部8の上流側の部分を拡大して示す斜視図である。この図4に示すように、棒材収納部8の内側の壁面28A及び底面26の内側の辺には、開口部34が形成されている。開口部34は、底面26には、矩形の凹状の開口部分34Aとして形成され、壁面28Aには、底面26の開口部分34Aに連続するように、所定幅を有するスリット34Bとして形成されている、即ち、開口部34は、壁面28Aの上端まで延びて開口している。このような構造により、開口部34は、棒材収納部8の内側の壁面28Aと底面26との交差部分の角部35に位置している。この開口部34を通して把持機構10が外部から棒材収納部8の内部に突出可能となっている。
【0033】
開口部34は、棒材収納部8の上流側の端部近傍に設けられているが、上流側の壁面29Aからは長手方向に所定距離Lだけ離れた位置に形成されている。つまり、棒材収納部8に棒材Wを収納したとき、棒材Wの端部は、開口部34内に露出することがなく、開口部34よりも上流側(壁面29Aに近い側)に位置するようになっている。
【0034】
図3に戻って、棒材収納部8の底面26は、支持台36に取り付けられており、この支持台36には、支持台36及び棒材収納部8を給送軸線Bに平行な軸線を中心に揺動させる揺動機構38が設けられている。
揺動機構38は、支持台36に固定された回転軸40と、回転軸40を回転させる駆動源としてのモータ42(図1)とを備える。回転軸40は、給送軸線Bに平行に配置されて支持台36の上流側及び下流側の端面からそれぞれ突出して、支持台36の上流側及び下流側において支持フレーム2に回転自在に支持されている。回転軸40の上流側の端部には、モータ42の出力軸が固定されている。これにより、モータ42の回転に伴って回転軸40が回動し、回転軸40に固定された支持台36が回転軸40を中心に給送軸線Bにほぼ直交する平面内で回動するようになっている。したがって、モータ42を所定角度で一方向あるいはその逆方向に回動させることによって、棒材収納部8が揺動可能に構成される。
【0035】
ここで、棒材収納部8の揺動位置は、予め設定されていることが好ましい。本実施形態では、棒材収納部8は、後述の図8に示すように、棒材収納部8の内部に収納された棒材Wが把持機構10から遠ざかる、つまり棒材Wがガイドレール4から遠ざかるように移動する第2の揺動位置と、図9に示すように、棒材収納部8内の棒材Wが把持機構10に近接する、つまり棒材Wがガイドレール4に近接する方向に移動する第1の揺動位置と、図3に示すように、第2の揺動位置と第1の揺動位置との間に位置し、棒材Wの取り出しを行わない待機位置との間で揺動可能に構成されている。
【0036】
第2の揺動位置は、棒材収納部8の底面26の外端が内端よりも下方に位置するように傾斜した位置であり、この位置においては、棒材Wは底面26上を移動して、棒材収納部8の外側の、底面26と壁面28Bとの交差部分である角部27に集まるようになる。
第1の揺動位置は、棒材収納部8の底面26の外端が内端よりも上方に位置するように傾斜した位置であり、この位置においては、棒材Wは底面26上を移動して、棒材収納部8の内側の、底面26と壁面28Aとの交差部分である角部35に集まるようになる。
そして、待機位置は、棒材収納部8の底面26が第2の揺動位置及び第1の揺動位置よりも小さい傾斜角度で、底面26の外端が内端よりも上方に位置するように傾斜した位置であり、この位置においては、棒材Wはほとんど移動せず、その場に留まるようになる。
【0037】
なお、第2の揺動位置、第1の揺動位置、及び待機位置における底面26の傾斜角度は、棒材Wの径寸法、材質、底面26との摩擦係数等を考慮して、棒材Wが第2の揺動位置及び第1の揺動位置で所望位置まで移動するように、そして棒材Wが待機位置においてほとんど移動しないように、適宜設定することができる。ここで、待機位置は、本実施形態では、底面26の内端が外端よりも若干下方に位置するように設定されているが、ほぼ水平であってもよいし、外端が内端よりも若干下方に位置するように設定されていてもよい。
【0038】
把持機構10は、棒材収納部8から棒材Wを1本把持する把持部44と、把持部44の開閉動作を行う開閉駆動機構46と、把持部44全体を所定角度回動させる回動駆動機構48と、把持部44全体を上下動させる上下動駆動機構50と、把持部44によって把持された棒材Wの本数を検出する本数センサ52と、を備える。
【0039】
図5は、把持部44の部分を拡大した図である。また、図6は、図3の把持部44の部分を矢印Cの方向から見た図である。図5及び前述の図6に示すように、把持部44は、一対の把持部材54,56を備えて構成される。一方の把持部材54は、略L字形の1枚の板状部材で構成され、把持部44を支持する支持部58に固定されている。他方の把持部材56は、略L字形の2枚の板状部材で構成され、一方の把持部材54を間に挟むように、一方の把持部材54の両側に配置されている。この他方の把持部材56は、一方の把持部材54の略L字状の角部近傍を回動中心55として把持部材54に対して回動自在に支持されている。他方の把持部材56の先端部分56Aは、一方の把持部材54の先端部分54Aよりも上方に位置し、このような配置により、一対の把持部材54,56の先端部分54A,56Aの間には、楔形の空間60が形成される。そして、一対の把持部材54,56の先端部分54A,56Aにおいて空間60に向く面、即ち一方の把持部材54の先端部分54Aの上面及び他方の把持部材56の先端部分56Aの下面が、棒材Wを把持したときに棒材Wの外面とそれぞれ接触する把持面61,63となっている。
【0040】
なお、把持部44は、上記のように一方の把持部材54が1枚の板状部材で構成され、他方の把持部材56が2枚の板状部材で構成されるものに限らず、反対に、一方の把持部材54が2枚の板状部材で構成され、他方の把持部材56が1枚の板状部材で構成されてもよい。また、把持部44は、例えば図7に示すように、一方の把持部材57が1枚の板状部材で構成され、他方の把持部材59も1枚の板状部材で構成された一対の把持部材として構成してもよい。
【0041】
開閉駆動機構46は、支持部58に固定されたシリンダ62及びピストン64を備え、ピストン64の端部は、他方の把持部材56の基端部分56Bにおいて回動中心55から所定距離離れた位置に取り付けられている。このような開閉駆動機構46の構造により、ピストン64が進退すると他方の把持部材56が回動中心55を中心に回動し、他方の把持部材56が一方の把持部材54に対して近接離間することにより、一対の把持部材54,56が互いに相対的に近接離間するように構成される。
【0042】
回動駆動機構48は、把持部44を支持する支持部58が固定される回動プレート66と、回動プレート66を駆動するシリンダ68及びピストン70とを備える。回動プレート66は、上部にピストン取付部66Aを有し、後述するスライドプレート72に対して回動中心73を中心に回動可能に支持されている。シリンダ68は、スライドプレート72に固定されている。ピストン70の端部は、ピストン取付部66Aに取り付けられている。このような回動駆動機構48の構造により、ピストン70が進退すると回動プレート66が回動中心73を中心に回動し、把持部44が回動するように構成される。
【0043】
上下動駆動機構50は、スライドプレート72と、スライドプレート72をスライド可能に支持する支持部材74と、スライドプレート72を駆動するシリンダ76及びピストン78とを備える。スライドプレート72は、前述のように回動駆動機構48のシリンダ68を支持し、また、回動プレート66を回動可能に支持する。また、スライドプレート72は、回動プレート66の回動中心73を挟んで把持部44とは反対側に、支持部材74に係合するピン80を有する。
【0044】
支持部材74は、その基端部74Aが棒材収納部8の支持台36に固定され、先端部74Bには、スライドプレート74のピン80が層通されるスライド孔82が形成されている。スライド孔82は、スライドプレート72がスライド孔82に沿ってスライドしたときに、把持部44が下方且つ内側(ガイドレール4側)に移動するように形成されている。本実施形態では、スライド孔82は、棒材収納部8が待機位置にある状態で、一方の端部82Aからほぼ下方に向かって延び、屈曲部82Bを形成して、他方の端部82Cまで内側に向かって傾斜するように下方に延びている。
【0045】
シリンダ76は、支持部材74の基端部74A近傍に固定されており、ピストン78の端部は、スライドプレート72にピン80の近傍で、支持部材74のスライド孔82の下方に取り付けられている。
このような上下動駆動機構50の構造により、ピストン78が進退すると、スライドプレート72がスライド孔82に沿ってスライドし、把持部44が上下方向に移動するように構成される。
【0046】
本数センサ52は、開閉駆動機構46のシリンダ62の外面に取り付けられ、把持部44の把持部材54,56の上方に配置されている。したがって、把持部44に対する本数センサ52の相対位置は、把持部44が回動、上下動等しても変わらないから、本数センサ52の検出ミスを防止して、確実な検出を行うことができる。本数センサ52は、把持部44によって把持された棒材Wの本数が1本であるか否かを検出するものであり、例えば本数センサ52は、棒材Wの太さを検出し、コントローラ12は、本数センサ52の検出結果に基づき、検出された太さが所定値範囲の最大値以上であれば、棒材Wが2本以上把持されていると判断し、所定値範囲の最小値以下であれば、棒材Wが0本把持されていると判断し、所定値範囲内であれば、棒材Wが1本把持されていると判断する。
【0047】
図2及び図3を参照すると、棒材収納部8の壁面28Aのガイドレール4側には、把持部44によって把持した棒材Wを棒材収納部8内の棒材Wから分離して棒材収納部8の外部に位置させる分離装置84が設けられている。分離装置84は、把持部44で把持された棒材Wに接触可能な分離部材86と、分離部材86を棒材収納部8の壁面28Aの外面に沿って、即ち給送軸線Bに沿って移動させる移動機構88と、分離部材86の移動を案内する案内機構89(図3)と、を備えている。
【0048】
分離部材86は、棒材収納部8の壁面28Aの外面に沿って延びる棒状の垂直部86Aと、垂直部86Aの高さ方向略中央からガイドレール4に向かって下方に傾斜する傾斜部86Bとを有する。垂直部86Aは、棒材収納部8の壁面28Aの上端よりも上方に突出しており、その上端に分離部材86の移動方向に略直交する方向に回転軸を有するローラ87を有している。また、垂直部86Aの下端は、ブラケット90を介して、移動機構88に連結されている。傾斜部86Bの上端、即ち垂直部86Aに最も近い端部は、棒材収納部8の壁面28Aの上端よりも下方に位置している。
【0049】
移動機構88は、図2に示すように、棒材収納部8の上流側端部に取り付けられたモータ92と、棒材収納部8の下流側端部及びモータ92の出力軸に取り付けられた一対のプーリ94と、プーリ94間に掛け渡されたベルト96と、を有する。この移動機構88は、棒材収納部8の支持台36に取り付けられているため、棒材収納部8の揺動運動に伴って揺動するように構成される。ベルト96には、図3に示すようにブラケット90を介して分離部材86が固定されている。
【0050】
案内機構89は、棒材収納部8の支持台36に固定されたレール98と、ブラケット90に取り付けられ、レール98に係合するガイド部材99と、を有する。レール98は、支持台36のガイドレール4側の側面に、長手方向に沿って、つまり給送軸線Bに沿って、棒材収納部8の上流側端部近傍から下流側端部近傍まで延びている。ガイド部材99は、ブラケット90においてベルト96への取付位置と分離部材86との間の位置に取り付けられ、レール98に対向する面に凹部99Aを有し、この凹部99Aがレール98に係合している。
【0051】
このような分離装置84の構造により、分離装置84は、モータ92の駆動によってベルト96が移動すると、ブラケット90及び分離部材86が案内機構89に案内されながら棒材収納部8の壁面28Aの外面に沿って移動するように構成される。なお、分離部材86は、最も上流側の位置においては、棒材収納部8の開口部34よりも下流側に位置する。
【0052】
分離部材86の下方且つガイドレール4側には、分離装置84で分離された棒材Wを受け入れる棒材受け100が設けられている。
図8は、棒材受け100の一部を示す斜視図である。図8及び図3を参照すると、棒材受け100の下端は、棒材収納部8の支持台36に固定されている。したがって、棒材受け100は、棒材収納部8の揺動運動に伴って揺動可能に構成されている。棒材受け100の上部には、棒材収納部8からガイドレール4に向かって下方に傾斜する傾斜部102と、傾斜部102のガイドレール4側の先端部に設けられた係止部104とが形成されている。傾斜部102の棒材収納部8側の端部は、棒材収納部8の底面26の高さ近傍に位置し、分離部材86の傾斜部86Bの下方に位置している。傾斜部102の上面には、棒材収納部8からガイドレール4に向かって延びる複数の棒状の滑りバー103が所定間隔で取り付けられている。これらの滑りバー103により、棒材受け100上に載置された棒材Wが傾斜部102上を移動しやすくなる。なお、滑りバー103の断面形状や、本数、取付の間隔等は、任意に設定してよい。
【0053】
係止部104は、図8に示すように、所定間隔で複数形成されており、傾斜部102に対してほぼ垂直に上方に延びている。傾斜部102において各係止部104の間には、凹部106が形成されている。なお、傾斜部102の傾斜角度は、棒材Wが傾斜部102上を転がって係止部104で係止するときに、棒材Wが損傷しないような角度に設定される。
また、棒材受け100の上流側の端部には、棒材受け100に受け入れられた棒材Wの有無を検出するための棒材有無センサ105(図3)が、棒材受け100の下方に取り付けられている。この棒材有無センサ105は近接センサで構成されることが好ましく、棒材受け100に受け入れられた棒材Wを下方から検出するようになっている。
【0054】
ガイドレール4の棒材収納部8側には、棒材受け100で受け入れられた棒材Wをガイドレール4に案内する案内面108が形成されている。案内面108は、支持フレーム2に固定され、棒材収納部8の揺動によっては揺動しない。案内面108は、棒材収納部8側の端部からガイドレール4側に向かって傾斜しており、棒材収納部8が待機位置にあるとき、案内面108の棒材収納部8側の端部は、棒材受け100のガイドレール4側の端部の位置よりも棒材収納部8側に位置している。案内面108の上面には、棒材収納部8からガイドレール4に向かって延びる複数の棒状の滑りバー109が所定間隔で取り付けられている。これらの滑りバー109により、案内面108を移動する棒材Wが移動しやすくなる。
【0055】
棒材収納部8側の端部には、所定間隔で凹部108Aが形成され、これらの凹部108Aの間に凸部108Bが形成される。凸部108Bは、棒材受け100の凹部106に対応する位置に形成されており、棒材受け100の係止部104の位置は、案内面108の凹部108Aの位置に対応している。したがって、棒材収納部8の揺動に伴って棒材受け100が揺動するとき、棒材受け100の先端部分が案内面108の棒材収納部8側の端部に干渉することがない。
【0056】
次に、以上のような構造の棒材供給機1の動作を図9から図17を参照して以下に説明する。
まず、棒材収納部8に棒材Wを収納する。このとき、棒材Wは、上流側の端部が壁面29A近傍に揃うように収納するのが好ましく、上流側の端部が開口部34よりも上流側に位置するように配置する。なお、待機状態では、棒材収納部8は、図3に示すような待機位置に位置しており、把持部44は、棒材収納部8の上方に位置している。
【0057】
次に、図9に示すように、棒材供給機1を第2の揺動位置に移動させる。まず、揺動機構38のモータ42を駆動して回転軸40を所定角度外側に回転させ、棒材収納部8を外側に傾斜した、第2の揺動位置まで揺動させる。この揺動により、棒材収納部8内の棒材Wが自重によって底面26の滑りバー32を滑ってまたは転がって、外側に移動する。第2の揺動位置では、全ての棒材Wは、把持部44から遠ざかる方向に移動して、底面26と壁面28Bの交差部分である角部27に集まる。棒材収納部8内で棒材Wが移動するので、棒材Wが互いに絡まっている場合でも、絡まりがほどける。
【0058】
また、把持機構10においては、上下動駆動機構50のシリンダ76を駆動して、ピストン78をシリンダ76内に引っ込める。するとスライドプレート72のピン80がスライド孔82に沿って移動し、スライドプレート72及び把持部44が下方且つガイドレール4側に移動する。なお、回動駆動機構48のピストン70は引っ込めたままであり、したがって把持部44は、棒材収納部8側に回動した位置で保持されている。また、開閉駆動機構46のピストン64はシリンダ62から伸びた状態であり、したがって他方の把持部材56は、先端部分56Aが一方の把持部材54の先端部分54Aから遠ざかる方向に回動した位置(開位置)で保持される。
【0059】
図10には、図9の状態における棒材収納部8と把持部44との位置関係を示す拡大図である。図9に示した位置においては、図10に示すように、一対の把持部材54,56の先端部分54A,56Aは、開口部34を通して棒材収納部8の内部に突出する。このとき、本実施形態では、空間60の頂点60Aは、棒材収納部8の外側に位置する。また、一方の把持部材54の把持面61は、棒材収納部8の底面26、より好ましくは、滑りバー32の上面に一致する。したがって、一方の把持部材54が底面26または滑りバー32から上方に突出しない。ここで、図10の状態においては、棒材収納部8の壁面28Aの位置における一対の把持部材54,56間の距離Dは、棒材Wが空間60内に供給された状態で、頂点60A近傍に配置された棒材Wの外面が棒材収納部8の壁面28Aに接触しないような寸法に設定されており、本実施形態では棒材Wの直径dよりも小さく設定されている。このような設定により、棒材Wが空間60内に供給されたときに、空間60の頂点60A近傍には、棒材Wが1本しか配置されないため、確実に棒材Wを1本把持することができ、2本以上の棒材Wを把持してしまう等の把持ミスを防止することができる。
【0060】
次に、揺動機構38のモータ42を駆動して回転軸40を回転させ、棒材収納部8を第2の揺動位置から、図11に示すような第1の揺動位置に揺動させる。このとき、棒材収納部8内の棒材Wは、自重によって滑りバー32上を滑ってまたは転がって、把持部44に近接する方向に移動する。そして、底面26と壁面28Aとの交差部分である角部35に棒材Wが集まる。一対の把持部材54,56の間には楔形の空間60が形成されているので、棒材Wの少なくとも1部が空間60内に供給される。ここで、開口部34は、壁面29Aから所定距離離れており、また棒材Wは壁面29A近傍に端部が配置されるように収納されるので、開口部34からは棒材Wの端部が露出しない。したがって、棒材Wにおいて端部から軸線方向に所定距離Lだけ離れた部分が開口部34に位置し、当該部分が把持部44に把持されることとなる。
【0061】
この状態で、一対の把持部材54,56を互いに近接させて、把持部44を閉じる(閉位置)。即ち、開閉駆動機構46のシリンダ62内にピストン64を引っ込めて、他方の把持部材56を回動中心55を中心に回動させる。すると、他方の把持部材56の先端部分56Aが下方に移動し、一方の把持部材54に近接する。この動作により、空間60が狭まるとともに、空間60の頂点60Aが棒材収納部8に近い側に移動し、空間60内に供給された棒材Wを押し出しながら、頂点60Aの近傍で、一対の把持部材54,56の把持面61,63で1本の棒材Wを把持する。
【0062】
次に、図12に示すように、把持部材54,56で1本の棒材Wを把持した状態で、棒材収納部8を第1の揺動位置から第2の揺動位置に揺動させる。つまり、揺動機構38のモータ42を駆動することにより、支持台36及び棒材収納部8を外側に向かって揺動させる。把持部44で把持された棒材W以外の棒材収納部8内の棒材Wは、滑りバー32上を滑ってあるいは転がって、底面26と壁面28Bとの交差部分である角部27に再び集まる。一方、把持部44が1本の棒材Wを把持しているので、その棒材Wは把持部44に把持されて残る。なお、開閉駆動機構46によって把持部材54,56の間の間隔を狭めた状態において、他の棒材Wに阻害されて1本の棒材Wが完全に把持できていなかった場合でも、棒材収納部8を第1の揺動位置から第2の揺動位置に揺動させて棒材Wを把持部44から遠ざける間に、棒材Wの把持を阻害していた棒材Wが空間60から離間するなどして、1本の棒材Wを把持することができる。
【0063】
図12に示した状態で、本数センサ52で棒材Wの太さを検出することによって、把持部44に把持された棒材Wが1本であるかどうかを判断する。つまり、本数センサ52が把持部44で把持された棒材Wの太さを検出し、コントローラ12に出力する。コントローラ12では、本数センサ52で検出された太さの値が所定値範囲内であるか否かを判断する。具体的には、コントローラ12は、検出された棒材Wの太さが所定値範囲の最大値以上であれば、把持部44は棒材Wを2本以上把持していると判断し、太さが所定値範囲の最小値以下であれば、把持部44は棒材Wを1本も把持していないと判断し、そして太さが所定値範囲内であれば、把持部44は棒材Wを1本把持していると判断する。
【0064】
把持部44で把持された棒材Wが0本、または2本以上であると判断された場合には、把持動作をやり直す。つまり、図12に示した状態で、開閉駆動機構46のシリンダ62からピストン64をのばして他方の把持部材56を回動させ、他方の把持部材56を一方の把持部材54から離間させるようにする。これにより、空間60が広くなり、把持部44で把持されていた棒材Wがあったとしても、把持部44から離れ、棒材収納部8の外側の角部に落とされる。そして、図11に示す第1の揺動位置への揺動を行い、把持動作を繰り返す。
【0065】
把持部44で把持された棒材Wが1本であることが検出されると、次に図13に示すように、把持部44を上方に移動させ、把持部44で把持された棒材Wの端部を棒材収納部8の外部に移動させる。つまり、上下動駆動機構50のシリンダ76からピストン78を伸ばし、スライドプレート72をスライド孔82に沿って上方に移動させる。スライドプレート72は、スライド孔82に沿って、棒材収納部8の外側上方に向かって、その後更に上方へ移動する。スライドプレート72が上方に移動した状態では、把持部44は、棒材収納部8の外部に位置する。従って、把持部44に把持された棒材Wの少なくとも端部も棒材収納部8の外部に位置することとなる。
【0066】
棒材Wを把持部44によって上方に持ち上げた状態で、本数センサ52によってもう一度、棒材Wの本数が正しいかを確認する。例えば把持部44が棒材収納部8内に突出した状態で検出した情報に基づく棒材Wの本数の判断が誤っていた場合や、把持部44を上方に持ち上げたときに棒材Wが把持部44から外れてしまった場合などには、この段階で把持部44による棒材Wの正しい把持状況を把握することができる。
この段階で把持部44で把持された棒材Wの本数が適切でない場合(1本でない場合)、開閉駆動機構46によって一対の把持部材54,56を開いて(把持している場合には)棒材Wを解放し、その後図9の状態に戻り把持動作をやり直す。
【0067】
本数センサ52による再度の本数確認により棒材Wが1本把持されていると判断された場合には、図14に示すように、棒材収納部8を待機位置に移動させるとともに、把持部44を棒材収納部8のガイドレール4側の外部で下方に移動させる。具体的には、揺動機構38のモータ42を駆動して、支持台36及び棒材収納部8を、第2の揺動位置から待機位置まで揺動させる。待機位置では、ほぼ全部の棒材Wが滑りバー32上を移動しないため、ほとんどの棒材Wが底面26と壁面28Bの角部27に残った状態となる。
【0068】
また、上下動駆動機構50のシリンダ76内にピストン78を引っ込めてスライドプレート72を下方にスライドさせる。また、回動駆動機構48のシリンダ68からピストン70を伸ばして回動プレート66を回動中心73を中心に回動させる。この回動運動により、把持部44が回動中心73を中心に回動することとなり、把持部材54,56の先端部分54A,56Aの先端が若干下方に向く。
この状態では、把持部44の先端は、棒材収納部8の外部で且つ分離部材86の垂直部86Aの上端よりも下方に位置している。また、把持部44で把持された棒材Wは、把持された端部が棒材収納部8の外部に位置するが、反対側の端部は、棒材収納部8内に残ったままとなる場合がある。
【0069】
そこで、分離装置84を駆動して、棒材Wを棒材収納部8から完全に分離する。分離部材86は、待機状態では、開口部34よりも下流側に位置しており、棒材収納部8の壁面28Aと把持部44及び把持部44で把持された棒材Wとの間に位置している。この状態で、移動機構88のモータ92及びベルト96によって、分離部材86は案内機構89に案内されながら、棒材収納部8の壁面28Aに沿って下流側に位置していく。
【0070】
分離部材86が下流側に移動すると、棒材Wの端部が棒材収納部8内に収納されているため、棒材Wが、分離部材86の垂直部86Aのローラ87の外面に接触する。分離部材86を更に下流側に移動させると、分離部材86のローラ87に押されて、棒材Wが棒材収納部8から外部に移動する。このとき、ローラ87は、回転しながら棒材Wに接触するので、棒材Wへの損傷を防止することができる。分離部材86が最も下流側まで移動すると、図15に示すように、棒材Wが棒材収納部8内の棒材Wから完全に分離され、端部が棒材受け100に載置される。
【0071】
次に、開閉駆動機構46によって他方の把持部材56を一方の把持部材54から離間させて把持部44を開き、棒材Wの端部を離す。すると、棒材Wは、図16に示すように、棒材収納部8の外部で把持部44から離れ、棒材受け100の係止部104で係止して棒材受け100に受け入れられる。
この状態で、棒材受け100に設けられた棒材有無センサ105で棒材Wの存在を確認する。そして、コントローラ12から棒材供給の指令があるまで、棒材収納部8は、図16の状態で待機する。なお、棒材有無センサ105で棒材Wの存在が確認できなかった場合には、異常状態であると判断し、ガイドレール4への棒材Wの供給動作を行わず、棒材供給機1を停止したり音や表示による警告を発する等の措置をとる。
【0072】
ガイドレール4内に加工中の棒材Wがなくなると、コントローラ12は、ガイドレール4への棒材供給を指示する。この指令を受けて、棒材収納部8は、図17に示すように、待機位置から第1の揺動位置へ揺動する。すると、棒材受け100も共に揺動し、傾斜面102が案内面108よりも下方に位置するようになる。このとき、係止部104は、案内面108の凹部108Aを通って案内面108を通過するが、傾斜面102に載置された棒材Wは、案内面108の凸部108Bによって案内面108に載置され、且つ係止部104によって係止された状態となる。係止部104の上端が案内面108よりも下方に位置するようになったとき、棒材Wは係止部104によって係止されなくなり、棒材Wは案内面108に載置されて、案内面108に沿って案内面108上をガイドレール4側に移動し、ガイドレール4に供給される。
【0073】
ガイドレール4に供給された棒材Wは、送り矢6によって棒材加工機200側に給送され、加工される。
棒材供給機1は、図9の状態に戻り、再び棒材収納部8から棒材Wを1本取り出す動作を行う。
【0074】
以上のような構造の本実施形態によれば、次のような優れた効果が得られる。
棒材収納部8が、第1の揺動位置と第2の揺動位置との間で揺動可能に設けられているので、棒材収納部8内部に収納された棒材Wが棒材収納部8の揺動時に棒材収納部8内で移動するから、棒材W同士の絡まりをほどくことができる。したがって、把持部44で把持した棒材W以外の棒材Wを把持部44から遠ざけるとき、把持部44で把持した棒材Wとこの棒材W以外の棒材Wが絡まることなく遠ざかるから、棒材Wに余計な力がかからず、棒材Wの曲げや傷つき等の損傷を抑制することができる。これは、また、分離装置84によって把持部44で把持した棒材Wを棒材収納部8の外部に分離する際にも、分離部材86が棒材Wをガイドレール4側に押しながら分離するが、このとき把持されていない棒材Wの端部がもし他の棒材Wと重なっていたとしても、大きく絡まっていることがないので、他の棒材Wの群から容易に分離することができる。これにより、分離部材86で棒材Wを他の棒材Wから分離することによって棒材Wが曲がってしまう等の不具合を防止することができる。
【0075】
把持機構10が一対の把持部材54,56を有して鋏状に構成されるので、空間60の頂点60Aに位置する棒材Wを把持することによって1本の棒材Wを取り出すことができる。このような構成により、例えば異なる径寸法の棒材Wを扱う場合にも、棒材Wの寸法に合わせて把持部材54,56の部品交換を行う必要がなく、共通の把持機構10を用いることができる。したがって、棒材供給機1の汎用性、取扱性を向上させることができる。
また、把持部材54,56が開閉駆動機構46によって互いに近接離間可能に構成されているので、把持部材54,56を互いに近接させることにより、空間60の頂点60Aに位置した棒材Wを確実に把持することができる。これは、例えば空間60の頂点60A近傍に棒材Wが2本存在した場合にも、把持部材54,56を近接されることによって空間60を狭め、1本の棒材Wのみを把持することができるから有用である。
【0076】
把持部材54,56が棒材収納部8の側方に配置し、棒材収納部8が第1の揺動位置に揺動することにより、棒材Wが棒材収納部8内を自重によって移動して、側方で待ち受ける一対の把持部材54,56の間の空間60内に供給されるので、例えば一対の把持部材54,56を棒材収納部8内の棒材Wの束に突っ込んで把持する場合に比べて、棒材Wにかかる負荷を低減することができ、棒材Wの曲げや傷つき等を防止することができる。
また、棒材収納部8が第2の揺動位置に揺動することにより、把持部44で把持された棒材W以外の棒材を自重によって移動させて分離するので、例えば把持部44を棒材Wの束から離間させることによって把持された棒材Wを棒材Wの束から分離する場合に比べて、把持された棒材Wにかかる負荷を小さくすることができ、棒材Wの曲げや傷つき等を防止することができる。
【0077】
把持部44が棒材収納部8の支持台36に取り付けられているので、棒材収納部8が揺動しても、棒材収納部8に対する把持部44の相対位置を維持することができるから、把持部44の位置決めを容易に設定することができる。
【0078】
棒材収納部8に開口部34が形成され、この開口部34が棒材収納部8の上流側の壁面29Aから所定距離長手方向に離れた位置に形成されているので、把持部44が棒材Wの端部よりも所定距離離れた位置を把持することができる。したがって、把持部44の把持ミスを防止することができ、把持動作の信頼性を向上させることができる。また、把持部44が棒材Wの端部から所定距離離れた位置を把持するので、棒材収納部8内で棒材Wの端部の位置を厳密に揃える必要がなく、棒材収納部8への収納作業を容易に行うことができ、取扱性を向上させることができる。
【0079】
把持部44が棒材収納部8の底面26と壁面28Aとの交差部分である角部35に配置されているので、棒材収納部8が第1の揺動位置に揺動したときに棒材Wが集まる位置で把持部44が待ち受けることができる。したがって、把持部44の空間60に棒材Wが入りやすく、棒材Wを確実に把持することができる。また、把持部44が角部35に配置されているので、棒材Wが把持部44を越えて移動することがない。したがって、棒材Wを確実に空間60内に導くことができ、最後の1本まで把持部44によって把持することができる。
【0080】
一方の把持部材54の把持面61が、棒材収納部8の底面26(または滑りバー32の上面)と一致するので、把持部44が棒材収納部8内に突出したとき、把持面61と底面26または滑りバー32の上面との間に段差が形成されず、両面が面一となる。したがって、底面26または滑りバー32の上面を滑ってまたは転がって移動する棒材Wが、一方の把持部材54に引っかかることなく空間60内に供給されるから、棒材Wの把持動作をより確実に行うことができ、最後の1本まで把持して取り出すことができる。
【0081】
本数センサ52が設けられているので、把持部44が棒材収納部8の側方で棒材Wを把持したとき、及び把持部44が把持した棒材Wを上方に持ち上げたとき、把持された棒材Wが1本であるか否かを判断することができる。これにより、棒材Wが0本または2本以上把持されている場合には、棒材Wの取出動作をもう1度行うことができるので、把持ミスを防止することができ、棒材加工機200が加工している間に1本の棒材Wの取出動作を行っているため、把持ミスがあっても、棒材加工機200への棒材Wの供給遅れを防止することができる。
【0082】
棒材収納部8に棒材受け100が取り付けられているので、棒材収納部8の揺動動作によって棒材受け100を揺動させることができ、この揺動によって棒材受け100上に載置された棒材Wを案内面108に受け渡すことができ、この棒材Wをガイドレールに供給することができる。棒材受け100が棒材収納部8に取り付けられているので、棒材受け100の動作のために別個の駆動機構を設ける必要がなく、棒材供給機1の構造を簡略化することができる。
【0083】
本発明は、以上の実施の形態に限定されることなく、特許請求の範囲に記載された発明の範囲内で種々の変更が可能であり、それらも本発明の範囲内に包含されるものであることはいうまでもない。
例えば、分離部材は、前述の実施形態では、垂直部86A及び傾斜部86Bを有するものであったが、これに限らず、例えば図18に示すように、傾斜部86Bの下端、即ち垂直部86Aから最も遠い端部に、垂直部86Aにほぼ平行な方向に立ち上がり部86Cを有していてもよい。傾斜部86Bに立ち上がり部86Cが設けられていることにより、棒材Wを分離する際、棒材Wはローラ87と立ち上がり部86Cとの間に配置される。これは、例えば、棒材Wの下流側の端部が棒材収納部8内の棒材Wと絡まっている場合、分離部材86によって棒材Wを分離していくと、絡まりが外れたときに棒材Wの下流側の端部が反動で棒材収納部8からガイドレール4側に大きく移動することがある。このような場合でも、傾斜部86Bの立ち上がり部86Cが、棒材Wのガイドレール4側への大きな移動を阻止する。
【0084】
例えば、棒材収納部は、棒材収納部の下方に揺動中心を有する構造に限らず、例えば棒材収納部の上方や側方に揺動中心を有する構造であってもよい。また、棒材収納部の揺動中心は、例えば棒材収納部の底面上等、棒材収納部内に配置してもよい。
【0085】
把持部材は、一方が他方に対して回動する鋏状に構成されるものに限らず、例えば一方の把持部材が他方の把持部材に対して平行移動するようにスライドすることによって近接離間可能に構成されていてもよい。要するに、把持部材は、間に楔形の空間を形成するものであって、互いに近接離間することによって空間を狭めたり広げたりすることができる構造であればよい。また、把持部は、一方の把持部材が他方の把持部材に対して移動する構造に限らず、例えば両方の把持部材が互いに近接離間する方向に移動可能に設けられてもよい。更に、把持部材は、互いに近接離間するものに限らず、楔形の空間の頂点で棒材を挟み込むことができればよく、したがって例えば一対の把持部材が互いに固定されていてもよい。
【0086】
本数検出手段による棒材Wの本数の検出は、前述の実施形態では、把持部44が棒材収納部8の側方で棒材Wを把持した時、及び把持した棒材Wを上方に持ち上げたときの2回行っていたが、必ずしも2回行う必要はなく、把持動作の確実性が高ければどちらか1回のみ行ってもよい。また、例えば棒材受け100に設けられた棒材有無センサによって棒材の有る無しを検出すれば十分である場合等には、必ずしも本数検出手段を設ける必要はない。
本数検出手段の取付位置及び検出方式は、棒材Wの本数が1本であるかを検出することができるものであればその取付位置及び検出方法は任意である。
【0087】
把持部材の把持面の位置は、棒材収納部の底面に一致する場合に限らず、底面よりも低くてもよいし、底面よりも高く配置されていてもよい。また、把持部の形状、構成や、棒材収納部の断面形状等も任意に設定してよい。
【0088】
棒材収納部は、把持部材が棒材収納部の側方から棒材を把持することが可能な構成であればよいので、棒材収納部に開口部を形成することは必ずしも必要でない。例えば、棒材収納部が網状に構成されている場合には、棒材収納部の側方に位置する編目から把持部を棒材収納部内部に突出させるように配置すればよいから、開口部は不要となる。
また、開口部は、棒材収納部の上流側の端部から所定距離離れた位置に形成されるものに限らず、棒材収納部の下流側の端部近傍や、棒材収納部の上流側の端部を含むように形成してもよく、その位置及び形状は任意に設定することができる。
【0089】
把持部材で棒材を把持する際の、把持部材の棒材収納部に対する位置は任意である。即ち、前述の実施形態では、断面略矩形状の棒材収納部の底面及び壁面の交差部分に当たる角部に配置されていたが、これに限らず、棒材収納部の側方に配置され、棒材収納部が第1の揺動位置に揺動したときに棒材を把持することができる位置であれば、把持部材を任意の位置に配置することができる。
【符号の説明】
【0090】
1 棒材供給機
4 ガイドレール
8 棒材収納部
26 底面
28A,28B 壁面
34 開口部
54,56 把持部材
61,63 把持面
84 分離装置
100 棒材受け
200 棒材加工機
【特許請求の範囲】
【請求項1】
給送軸線に沿って棒材を棒材加工機に給送する棒材供給機であって、
前記棒材が内部に収納される棒材収納部と、
前記棒材収納部に収納された前記棒材を1本ずつ取り出すための把持部と、
前記棒材収納部から取り出された前記棒材を前記給送軸線に沿って案内するためのガイドレールと、を備え、
前記把持部は、前記棒材収納部の側方に配置され、前記棒材収納部内に収容された前記棒材を受け入れ可能な向きに開口する楔形の空間を間に形成する一対の把持部材を有し、
前記棒材収納部は、前記棒材の軸線にほぼ垂直な平面内で、前記棒材収納部内の前記棒材が前記把持部に近接する側に移動して一対の前記把持部材間の前記空間内に供給されることにより前記空間の頂点近傍において1本の棒材が把持される第1の揺動位置と、前記棒材収納部内の前記棒材が前記把持部から遠ざかる側に移動して、前記把持部材によって把持された1本の棒材を除く前記棒材が前記把持部から離間する第2の揺動位置との間で揺動可能に構成される、
ことを特徴とする棒材供給機。
【請求項2】
前記一対の把持部材は、少なくとも一方が他方に対して近接離間可能に構成され、前記一方が前記他方に対して近接するとき、前記一対の把持部材は、前記空間の頂点近傍で1本の前記棒材を把持するように構成される、請求項1に記載の棒材供給機。
【請求項3】
前記把持部によって把持された前記棒材の本数を検出するための本数検出手段を更に備える、請求項1又は2に記載の棒材供給機。
【請求項4】
前記棒材収納部には、内部の前記棒材の端部よりも軸線方向内側の位置で、前記把持部が前記棒材収納部内の棒材を把持するための開口部が形成されている、請求項1から3のいずれか1項に記載の棒材供給機。
【請求項5】
前記棒材収納部は、底面を有し、
前記一対の把持部材は上下方向に配置されるとともに、上方の前記把持部材が下方の前記把持部材に対して近接離間するように構成され、
前記棒材収納部が前記第1の揺動位置にあるとき、下方の前記把持部材の上面は、前記棒材収納部の底面に一致する、請求項1から4のいずれか1項に記載の棒材供給機。
【請求項6】
前記棒材収納部は、底面と、前記底面の周囲に配置された壁面とを有し、
前記把持部は、前記棒材収納部の前記底面と前記壁面との交差部分によって形成される角部に配置される、請求項1から5のいずれか1項に記載の棒材供給機。
【請求項7】
前記把持部は、前記棒材収納部に取り付けられることにより前記棒材収納部と共に揺動可能に構成される、請求項1から6のいずれか1項に記載の棒材供給機。
【請求項8】
前記棒材収納部の外側には、前記把持部によって把持された前記棒材を受け入れる棒材受けが取り付けられ、前記棒材受けは、前記棒材収納部と共に前記第1の揺動位置に揺動することにより、受け入れられた前記棒材を前記ガイドレールに供給する、請求項1から7のいずれか1項に記載の棒材供給機。
【請求項1】
給送軸線に沿って棒材を棒材加工機に給送する棒材供給機であって、
前記棒材が内部に収納される棒材収納部と、
前記棒材収納部に収納された前記棒材を1本ずつ取り出すための把持部と、
前記棒材収納部から取り出された前記棒材を前記給送軸線に沿って案内するためのガイドレールと、を備え、
前記把持部は、前記棒材収納部の側方に配置され、前記棒材収納部内に収容された前記棒材を受け入れ可能な向きに開口する楔形の空間を間に形成する一対の把持部材を有し、
前記棒材収納部は、前記棒材の軸線にほぼ垂直な平面内で、前記棒材収納部内の前記棒材が前記把持部に近接する側に移動して一対の前記把持部材間の前記空間内に供給されることにより前記空間の頂点近傍において1本の棒材が把持される第1の揺動位置と、前記棒材収納部内の前記棒材が前記把持部から遠ざかる側に移動して、前記把持部材によって把持された1本の棒材を除く前記棒材が前記把持部から離間する第2の揺動位置との間で揺動可能に構成される、
ことを特徴とする棒材供給機。
【請求項2】
前記一対の把持部材は、少なくとも一方が他方に対して近接離間可能に構成され、前記一方が前記他方に対して近接するとき、前記一対の把持部材は、前記空間の頂点近傍で1本の前記棒材を把持するように構成される、請求項1に記載の棒材供給機。
【請求項3】
前記把持部によって把持された前記棒材の本数を検出するための本数検出手段を更に備える、請求項1又は2に記載の棒材供給機。
【請求項4】
前記棒材収納部には、内部の前記棒材の端部よりも軸線方向内側の位置で、前記把持部が前記棒材収納部内の棒材を把持するための開口部が形成されている、請求項1から3のいずれか1項に記載の棒材供給機。
【請求項5】
前記棒材収納部は、底面を有し、
前記一対の把持部材は上下方向に配置されるとともに、上方の前記把持部材が下方の前記把持部材に対して近接離間するように構成され、
前記棒材収納部が前記第1の揺動位置にあるとき、下方の前記把持部材の上面は、前記棒材収納部の底面に一致する、請求項1から4のいずれか1項に記載の棒材供給機。
【請求項6】
前記棒材収納部は、底面と、前記底面の周囲に配置された壁面とを有し、
前記把持部は、前記棒材収納部の前記底面と前記壁面との交差部分によって形成される角部に配置される、請求項1から5のいずれか1項に記載の棒材供給機。
【請求項7】
前記把持部は、前記棒材収納部に取り付けられることにより前記棒材収納部と共に揺動可能に構成される、請求項1から6のいずれか1項に記載の棒材供給機。
【請求項8】
前記棒材収納部の外側には、前記把持部によって把持された前記棒材を受け入れる棒材受けが取り付けられ、前記棒材受けは、前記棒材収納部と共に前記第1の揺動位置に揺動することにより、受け入れられた前記棒材を前記ガイドレールに供給する、請求項1から7のいずれか1項に記載の棒材供給機。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【公開番号】特開2011−31310(P2011−31310A)
【公開日】平成23年2月17日(2011.2.17)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−176749(P2009−176749)
【出願日】平成21年7月29日(2009.7.29)
【出願人】(507351850)育良精機株式会社 (10)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成23年2月17日(2011.2.17)
【国際特許分類】
【出願日】平成21年7月29日(2009.7.29)
【出願人】(507351850)育良精機株式会社 (10)
【Fターム(参考)】
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