説明

棒状クランチキャンデー

【目的】 スナック菓子のような感覚で手に持って噛ることが出来、幼児や女性にとっても食べ易いようにした、棒状クランチキャンデーを提供する。
【構成】 外周をキャンデーシートで被覆した細い棒状物の内部に、キャンデー層とクリーム等の充填物層とを交互に積層状に混在させて成る。外周をキャンデーシートで被覆した細い棒状物の内部に、予め調製したキャンデー生地をチューブ状に押出成形すると共にその中空部にクリーム等の充填物を注入したチューブ状物が密着状態で複数結合されて成る。

【考案の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】
本考案は、棒状クランチキャンデーに関する。
【0002】
【従来の技術】
一般に、クランチキャンデーは硬いキャンデー層と比較的軟らかいクリーム等の充填物層とが混在した飴菓子であって、噛み砕くとキャンデー層と充填物層との歯応えが異なるため独特の噛み心地が得られると共に、キャンデーと充填物とが混合して美味が得られるものである。この種のクランチキャンデーは、普通の飴玉と同様に球状に形成されており、これを丸ごと口に頬張って噛み砕かなければならないので幼児や女性にとっては食べ難いものとなっている。
【0003】
【考案が解決しようとする課題】
本考案は、スナック菓子のような感覚で手に持って噛ることが出来、幼児や女性にとっても食べ易くした細い棒状のクランチキャンデーを提供しようとするものである。
【0004】
【課題を解決するための手段】
前記課題を技術的に解決するための手段として、本考案は、外周をキャンデーシートで被覆した細い棒状物の内部に、キャンデー層とクリーム等の充填物層とが交互に積層状に混在して成る棒状クランチキャンデーを要旨とする。
又、外周をキャンデーシートで被覆した細い棒状物の内部に、予め調製したキャンデー生地をチューブ状に押出成形すると共にその中空部にクリーム等の充填物を注入したチューブ状物が密着状態で複数結合して成る棒状クランチキャンデーを要旨とする。
【0005】
【作 用】
クランチキャンデーを細い棒状に形成したので、スナック菓子のような感覚で手に持って噛ることが出来、飴玉形状のものより遥かに食べ易くなる。
【0006】
【実施例】
以下、本考案の実施例を添付図面に基づいて詳説する。
図1において、Cは細い棒状のクランチキャンデーであり、例えば直径約5mm、長さ約100mmに形成されている。この棒状のクランチキャンデーCは、図2に示すように外周がキャンデーシート6により被覆され、内部にはキャンデー層Aとクリーム層Bとが交互に積層状に混在している。
【0007】
このような棒状クランチキャンデーCは図3に示すような工程を経て製造することが出来、即ち1は素材成形工程におけるエクストルーダであり、予め所定の配合、温度、粘性に調製されたキャンデー生地2とクリーム3とを供給し、キャンデー生地2をチューブ状に押出成形すると同時に、その中空部内にクリーム3を注入し充填する。
【0008】
このクリーム3が充填されたチューブ状物4は、回転するバッチフォーマ5で連続的に折り重ねられ且つその外周にキャンデーシート6が巻き付けられてロープ状に形成される。
【0009】
前記素材成形工程によって成形されたロープ状物7は予備圧延工程に送り込まれ、円形ドラムの周囲に一定の間隔をあけて軸線方向をなす突条8aが設けられた複数の上下の圧延ロール8により、適度の圧力で押圧されて横に広がったマット状物9に形成される。
【0010】
次に、マット状物9は圧延工程に送り込まれて複数の圧着板10により圧延されてシート状物11に形成される。この圧延工程は複数の圧着板10が送り方向に沿って並設され、各圧着板10は押圧力がそれぞれ適正に設定されると共に移動手段12によってそれぞれ移動出来るようにしてあり、更に各圧着板に対応させてベルトコンベア13が配設されている。
【0011】
圧着板10は前記マット状物9を押し付けながら移動手段12によりベルトコンベア13と共に移動し、この動作を複数の圧着板10で順次繰り返すことによりマット状物9をシート状物11に成形する。この時、並設された圧着板10の押圧力はそれぞれ適正に調整され、且つ複数のベルトコンベア13の送り速度もそれぞれで設定する。つまり、延びたシート状物11が停滞して連続作業に支障を来さないようにする。
【0012】
このように予備圧延工程と圧延工程とで徐々にシート状に薄く延ばしたのは、前記ロープ状物7に強い圧力を掛けていきなり薄いシート状に圧延すると、前記チューブ状物4内に充填されたクリーム3が絞り出されてしまい層構造に不都合が生じるからである。
【0013】
前記圧延工程により成形されたシート状物11は調整工程に送り込まれ、複数の調整ロール14により表面が平らに均されると共に所定の厚さ(例えば5mm位)に整えられる。この場合も一度に強い圧力を掛けて均一にするのではなく、複数の調整ロールで且つ圧力も調整して徐々に均して所定の厚さにする。
【0014】
所定の厚さに調整されたシート状物11′は分割工程に送り込まれ、細い棒状物に分割される。即ち、図3に示すように外周に半円弧状の凹溝15aを円周方向に多数並設した溝付きロール15を、凹溝同士が対向するようにして上下に配設し、その間に前記シート状物11′を通すことによりほぼ断面円形の細い棒状物に分割する。但し、各棒状物は完全に分離しないように相互に薄層で連結された状態にしておくとその後の処理がし易くなって好ましい。
【0015】
次いで、細い棒状物は切断工程にて所定の長さ(例えば10cm位)に切断される。この切断工程は図示の例ではドラムに並設された回転刃16を用いているが、通常のカッター式切断刃を用いることも可能である。
【0016】
この切断においても完全に分離せずに前後で僅かに連結した状態にし、ベルトコンベア17で冷却工程(図略)に送り込み、所定温度まで冷却後、僅かな衝撃を与えて各棒状物18に分離し、棒状クランチキャンデーCを得る。
【0017】
このようにして形成された棒状のクランチキャンデーCは、前記のようにキャンデー層Aとクリーム層Bとが交互に入り交じって積層状に混在しているので、これを噛むとキャンデー層Aは硬い歯応え、クリーム層Bは比較的軟らかい歯応えが得られ、これらの相乗効果によって独特な噛み心地が得られると共に両方の味が混合して独特の味わいが得られる。図2は理解を容易にするため全て長さ方向に整列したような模式図で表したが、実際は様々な方向(但し全体的に長さ方向を指向)に複雑に絡み合った様相を呈している。
この場合、細い棒状に形成されているため、スナック菓子のような感覚でクランチキャンデーを楽しめると共に、従来の球状クランチキャンデーに比べると噛り易く非常に食べ易くなっている。
【0018】
図4は棒状クランチキャンデーの他の製造工程を示すもので、エクストルーダによるクリーム入りチューブ状物の押出成形、及びそのチューブ状物をバッチフォーマで折り重ねと共に外周にキャンデーシートを巻いて太いロープ状物を作る一連の素材成形工程は前記の製造工程と同じであるが、その後の工程が異なるので説明する。
【0019】
前記製造工程ではロープ状物を圧延してシート状に成形したが、この場合はロープ状物7を複数の対になったロール20にて徐々に細くし、球断機21(スタンピングでも可)にて小球状に分割する。
次いで、その球状物22を送り方向に漸次間隔を狭めて配設し且つ送り速度の異なる上下のベルトコンベア23、23′にて転動させて直径5mm程度の細い棒状に延ばし、その棒状物24をベルトコンベア25で冷却工程(公知のため図略)に送り込み所定の温度まで冷却して棒状のクランチキャンデーを製造する。
【0020】
前記ベルトコンベア23、23′による棒状物成形工程においては、送り込まれる球状物22の大きさが略均一であるため略同一サイズの棒状物24が得られ、このため成形後に長さを切り揃えるための切断工程が不要となる。
【0021】
このような工程で形成された棒状のクランチキャンデーも、前記と同様に硬い歯応えのキャンデー層と比較的軟らかいクリーム層とが交互に入り交じって積層状に混在しているのでカリポリといった独特の噛み心地が得られると共に、両方の味が混合して非常に美味しい。又、棒状に形成されているためスナック菓子のように手に持って噛ることが出来、且つ食べ易い点でも前記と同様である。
【0022】
尚、チューブ状物中空部への充填物は前記実施例のクリームに限定されることなく、例えばパウダー、ゼリーその他適宜の充填物で実施することが可能である。又、充填物中にビタミンCを多く配合させたり、或は棒状のクランチキャンデーの外面にフリーズドライ加工した果肉等の粒状物を付着させることも可能である。
【0023】
【考案の効果】
以上説明したように、本考案によれば、クランチキャンデーを棒状に形成したのでスナック菓子のように手で持って噛ることが出来、特に幼児や女性にとって食べ易いという効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本考案に係る棒状クランチキャンデーの斜視図である。
【図2】 その模式的断面図である。
【図3】 棒状クランチキャンデーの製造工程を示す説明図である。
【図4】 他の製造工程を示す説明図である。
【符号の説明】
A…キャンデー層 B…クリーム層 C…棒状クランチキャンデー
1…エクストルーダ 2…キャンデー生地 3…クリーム 4…チューブ状物 5…バッチフォーマ 6…キャンデーシート 7…ローブ状物
8…圧延ロール 8a…突条 9…マット状物 10…圧着板 11、11′…シート状物 12…移動手段 13…ベルトコンベア 14…調整ロール 15…溝付きロール 15a…凹溝 16…回転刃 17…棒状物 18…ベルトコンベア 20…ロール 21…球断機 22…球状物 23、23′…ベルトコンベア 24…棒状物 25…ベルトコンベア

【実用新案登録請求の範囲】
【請求項1】 外周をキャンデーシートで被覆した細い棒状物の内部に、キャンデー層とクリーム等の充填物層とが交互に積層状に混在して成る棒状クランチキャンデー。
【請求項2】 外周をキャンデーシートで被覆した細い棒状物の内部に、予め調製したキャンデー生地をチューブ状に押出成形すると共にその中空部にクリーム等の充填物を注入したチューブ状物が密着状態で複数結合して成る棒状クランチキャンデー。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【登録番号】第3006030号
【登録日】平成6年(1994)10月26日
【発行日】平成7年(1995)1月17日
【考案の名称】棒状クランチキャンデー
【国際特許分類】
【評価書の請求】有
【出願番号】実願平6−8906
【出願日】平成6年(1994)6月30日
【出願人】(592113809)カバヤ食品株式会社 (6)