棒状化粧料カートリッジ
【課題】 繰り出し機能を損なうこと無く品質を高める。
【解決手段】 後内筒12に後側から回転力が付与されると、内外筒11,10が相対回転し螺子棒14が円滑に進退して棒状化粧料Mが良好に出没し、一方、カートリッジ1を装着した繰出容器100に衝撃が作用すると、後内筒12は軸線方向に不動で後側から確実に回転力が付与される状態を維持し、前内筒13は後内筒12を残し螺子棒14を伴って付勢手段16に抗して前進し、付勢手段16の緩衝作用により衝撃を吸収して化粧料Mの抜け出し・折損を防止し、また、螺子棒14において支持部14aから軸線方向後方に雄螺子14fを介し離れて位置する膨出部14gが、螺子棒14の繰り出し時に前内筒13の雌螺子13xに当接し螺子棒14の最大繰り出しとする前進限として機能し、螺子棒14の前進限への到達時に支持部14aに負荷が殆ど作用しないようにして、化粧料Mの折損・抜け出しを防止する。
【解決手段】 後内筒12に後側から回転力が付与されると、内外筒11,10が相対回転し螺子棒14が円滑に進退して棒状化粧料Mが良好に出没し、一方、カートリッジ1を装着した繰出容器100に衝撃が作用すると、後内筒12は軸線方向に不動で後側から確実に回転力が付与される状態を維持し、前内筒13は後内筒12を残し螺子棒14を伴って付勢手段16に抗して前進し、付勢手段16の緩衝作用により衝撃を吸収して化粧料Mの抜け出し・折損を防止し、また、螺子棒14において支持部14aから軸線方向後方に雄螺子14fを介し離れて位置する膨出部14gが、螺子棒14の繰り出し時に前内筒13の雌螺子13xに当接し螺子棒14の最大繰り出しとする前進限として機能し、螺子棒14の前進限への到達時に支持部14aに負荷が殆ど作用しないようにして、化粧料Mの折損・抜け出しを防止する。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、棒状化粧料をカートリッジから出没可能とする棒状化粧料カートリッジに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、棒状化粧料を繰り出す棒状化粧料カートリッジを、円筒形状の容器である連結容器の一方端側に装着し、他方端側には、例えば、液状化粧料カートリッジ、又は、一方端側の棒状化粧料とは別の棒状化粧料を有する棒状化粧料カートリッジ、又は、塗布具等を装着し、用途の多様化を図るようにした棒状化粧料繰出容器が知られている(例えば、特許文献1参照)。この棒状化粧料繰出容器を構成する棒状化粧料カートリッジは、棒状化粧料の後端部をその先端部に保持すると共にその後端部に雄螺子としてのガイド突起を備える芯チャックと、その内部に芯チャックのガイド突起が螺合する螺旋溝を備える螺旋筒と、その前側に芯チャックを回転不能且つ軸線方向に摺動可能に収容すると共に、その後側に螺旋筒を回転可能且つ軸線方向移動不能に収容するカートリッジ本体と、を備える構成とされ、この棒状化粧料カートリッジは連結容器に対して回転可能且つ着脱可能(若しくは離脱不能)に装着され、この装着により、連結容器内の軸線方向の略中央部に設けられ棒状化粧料カートリッジ側へ突出する突起部(係止部)が、螺旋筒の後端部の内部に設けられたローレット部(係止部)に係合し、螺旋筒は、連結容器に回転不能に係合してその後側から連結容器の回転力が付与される構成とされ、連結容器とカートリッジ本体とが相対回転されると、螺旋筒とカートリッジ本体が相対回転し、芯チャック及びカートリッジ本体により構成された回り止め機構、芯チャックのガイド突起及び螺旋筒の螺旋溝により構成された螺合機構により、芯チャックが進退し棒状化粧料がカートリッジ本体の先端から出没する構成とされている。
【特許文献1】実公平4−30961号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
ところで、近年にあっては、上記棒状化粧料カートリッジに対してさらなる高品質化の要求があり、例えば棒状化粧料繰出容器を落として衝撃や振動が作用しても、棒状化粧料の抜け出しや折損が防止される機構の採用が求められているが、このような機構を採用した棒状化粧料カートリッジは未だ無い。
【0004】
本発明は、このような課題を解決するために成されたものであり、その繰り出し機能を従前に比して損なうこと無く、衝撃や振動の作用による棒状化粧料の抜け出しや折損を防止し品質を高めた棒状化粧料カートリッジを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明による棒状化粧料カートリッジは、棒状化粧料の後端部を支持し外部に雄螺子を備える螺子棒と、その内部に雄螺子が螺合する雌螺子を備える内筒と、その前側に螺子棒を回転不能且つ軸線方向に摺動可能に収容すると共に、その後側に内筒を収容する外筒と、を備え、外筒と内筒とが相対回転されると棒状化粧料が進退し外筒の先端から出没する棒状化粧料カートリッジであって、内筒は、外筒に回転可能且つ軸線方向移動不能に収容されると共に後側から回転力が付与されて外筒と相対回転する後側の内筒と、その内部に雌螺子を有し、後側の内筒に対して軸線方向移動可能且つ回転不能に連結されて外筒に収容される前側の内筒と、を有し、外筒の内部と前側の内筒の外部との間には、前側の内筒を後側に付勢する付勢手段が配置され、螺子棒は、棒状化粧料の後端部を支持する支持部から軸体部が後方に延在し当該軸体部の外部に雄螺子が設けられると共に、この軸体部の雄螺子の後端に径方向に膨出する膨出部が設けられ、螺子棒の繰り出し時に膨出部が前側の内筒の雌螺子に当接し螺子棒の最大繰り出しとすることを特徴としている。
【0006】
このような棒状化粧料カートリッジによれば、後側の内筒は、外筒に対して回転可能且つ軸線方向移動不能に収容されて後側から回転力が付与される構成であり、前側の内筒は、後側の内筒に対して軸線方向移動可能且つ回転不能に連結されると共に付勢手段により後側に付勢された状態で外筒に収容され、さらに、この前側の内筒は、その内部の雌螺子に、棒状化粧料の後端部を支持し外部に雄螺子を備える螺子棒のその雄螺子が螺合する構成のため、後側の内筒に後側から回転力が付与されると、この後側の内筒が前側の内筒を伴って外筒に対して相対回転し、外筒の前側の内部及び螺子棒により構成された回り止め機構、螺子棒の雄螺子及び前側の内筒の雌螺子により構成された螺合機構により、螺子棒が円滑に進退し棒状化粧料が外筒の先端から良好に出没する一方で、棒状化粧料カートリッジを装着した棒状化粧料繰出容器に衝撃や振動が作用すると、後側の内筒は軸線方向に移動すること無く従って後側の内筒に対して後側から確実に回転力が付与される状態が維持されると共に、前側の内筒は後側の内筒を残した状態で、当該前側の内筒に螺合する螺子棒を伴って付勢手段の付勢力に抗して前進し、この前進及び付勢手段の緩衝作用により衝撃や振動が吸収されて、棒状化粧料の螺子棒からの抜け出し及び折損が防止される。また、衝撃や振動が無くなると、付勢手段が前側の内筒を弾発して前側の内筒は後退し、前側の内筒及び螺子棒は当初の位置に戻される。また、螺子棒は、棒状化粧料の後端部を支持する支持部から後方に延在し外部に雄螺子を有する軸体部のその雄螺子の後端に、径方向に膨出する膨出部を有する構成であり、支持部から軸線方向後方に雄螺子を介し離れて位置する膨出部が、螺子棒の繰り出し時に前側の内筒の雌螺子に当接し螺子棒の最大繰り出しとする前進限として機能するため、螺子棒が前進限に達した時に支持部には負荷が殆ど作用せず、従って、この支持部に支持されている棒状化粧料の折損や抜け出しが防止される。
【0007】
ここで、上記作用を好適に奏する構成としては、具体的には、雌螺子は、螺旋状に一定区間突出して成る螺合突起であり、この螺合突起は、前側の内筒の軸線を中心に180°回転した内筒内周面の二箇所に設けられる構成が挙げられる。
【発明の効果】
【0008】
このように本発明によれば、棒状化粧料が外筒の先端から良好に出没すると共に、衝撃や振動が作用した時や螺子棒が前進限に達した時に棒状化粧料の抜け出しや折損が防止されるため、その繰り出し機能を従前に比して損なうこと無く、品質を高めることが可能となる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0009】
以下、本発明による棒状化粧料カートリッジの好適な実施形態について図1〜図30を参照しながら説明する。なお、各図において、同一の要素には同一の符号を付し、重複する説明は省略する。図1〜図5は、棒状化粧料カートリッジを備えた棒状化粧料繰出容器を示す各図、図6及び図7は、棒状化粧料カートリッジを装着するカートリッジ収容容器の第一ホルダを示す各図、図8〜図10は、カートリッジ収容容器の第二ホルダを示す各図、図11〜図13は、棒状化粧料カートリッジの本体筒を示す各図、図14〜図16は、螺子棒を示す各図、図17は、前側及び後側の内筒並びに圧縮コイルバネを示す斜視図、図18〜図21は、前側及び後側の内筒を示す各図、図22〜図25は、後側の内筒を示す各図、図26〜図30は、前側の内筒を示す各図であり、本実施形態の棒状化粧料カートリッジを備えた棒状化粧料繰出容器は、例えば、アイライナー、アイブロー、リップライナー等を始めとした種々の固形状の棒状化粧料を収容し、使用者が必要に応じて適宜出没可能とするものである。
【0010】
図1に示すように、棒状化粧料繰出容器100は、全体形状が筆記具の如き細長い丸棒状(スティック状)を成し良好な外観を呈するもので、図3に示すように、棒状化粧料Mを収容する棒状化粧料カートリッジ1を、図2〜図4に示すように、カートリッジ収容容器2の一方端側(図示左側)に着脱可能に備えると共に、このカートリッジ収容容器2の他方端側に、塗布具(本実施形態ではチップ)3を装着した塗布具ホルダ4を着脱可能に備えている。
【0011】
カートリッジ収容容器2は、図3及び図4に示すように、外筒を成す円筒形状の軸筒5と、この軸筒5に収容され内筒を成す第一ホルダ6及び第二ホルダ7と、を有する構成とされている。この第一ホルダ6は軸筒5の一方側に装着され、第二ホルダ7は軸筒5の他方側に装着されている。
【0012】
第一ホルダ6は、例えば合成樹脂等の可撓性材より成り、図6及び図7に示すように、略円筒形状に構成されている。この第一ホルダ6には、その先端(図示左端)に大径の鍔部6aが設けられている。また、第一ホルダ6には、その先端側の外周面に、円周方向に沿って凹凸が密に並設され軸線方向に所定長延びるローレット6bが、軸筒5に装着するためのものとして設けられていると共に、その後部側で軸線を挟む180°対称位置に、弾性係止部6c,6cが各々設けられている。
【0013】
この弾性係止部6cは、第一ホルダ6の周壁に穿設されるコの字状割溝6dにより形成され、成形材である合成樹脂等の可撓性に従って板バネの役割を果たす半島部6eと、この半島部6eの外周面から外方に突出する係止突部6fと、を備えている。また、第一ホルダ6には、その先端側の内周面に、棒状化粧料カートリッジ1の本体筒10を軸線方向に係止するための環状突部6gが設けられている。
【0014】
この第一ホルダ6は、その後部側から軸筒5内に圧入され、図3及び図4に示すように、鍔部6aが軸筒5の一方端面(図示左側端面)に当接し、ローレット6bが軸筒5の内周面に圧接し、加えて、板バネを成す半島部6eの係止突部6fが軸筒5の内周面に圧接係止することで、軸筒5に回転不能且つ軸線方向移動不能に装着されている。なお、板バネを成す半島部6eの係止突部6fは、ローレット6bの機能が落ちてきた時の代わりとしても機能する。そして、この状態で、半島部6eは、係止突部6fと軸筒5の内周面との圧接係止により内側(軸心側)へ撓み、第一ホルダ6の内周面より多少内側に突出した状態とされている。
【0015】
第二ホルダ7は、例えば合成樹脂等の可撓性材より成り、図8〜図10に示すように、段付円筒形状に構成され、後端側(図示左側)が外径小径部7yとされ、これより先端側(図示右側)が外径大径部7zとされている。この第二ホルダ7には、その外径大径部7zの先端に大径の鍔部7aが設けられ、その外径大径部7zの外周面で鍔部7aより後部側の位置に、円周方向に沿って凹凸が密に並設され軸線方向に所定長延びるローレット7bが、軸筒5に装着するためのものとして設けられている。
【0016】
また、第二ホルダ7は、その外径小径部7yの後端に、当該第二ホルダ7の抜け止めとして機能する大径の鍔部7cを備えると共に、さらに、その外径小径部7yの後端面に、後方に突出する係合部7dを備えている。この係合部7dは、棒状化粧料カートリッジ1の後側の内筒12を回転方向に係合するためのもので(詳しくは後述)、図8及び図10に示すように、軸線方向に短尺に所定長延びる軸体の外周面に、図9に示すように、軸線方向に延びる横断面三角山形形状の突部7xを円周方向に複数(本実施形態では八個)設けた形状とされている。また、第二ホルダ7には、図10に示すように、その先端側の内周面に、塗布具ホルダ4を着脱可能に装着するための雌螺子7fが設けられている。
【0017】
この第二ホルダ7は、その後部側から軸筒5内に圧入され、図3及び図4に示すように、鍔部7aが軸筒5の他方端面(図示右側端面)に当接し、ローレット7bが軸筒5の内周面に圧接することで、軸筒5に回転不能且つ軸線方向移動不能に装着されている。この状態にあっては、第二ホルダ7の鍔部7cより先端側(図示右側)に、第一ホルダ6の半島部6eの内側への撓み部分が先端側(図示右側)への移動を阻止するように位置し、当該半島部6eの撓み部分及び第二ホルダ7の鍔部7cにより、ローレット7bの機能が落ちてきた時の第二ホルダ7の抜けを防止する。
【0018】
塗布具ホルダ4は、先端側に塗布具3を装着して成る。この塗布具ホルダ4の外周面の軸線方向中程には鍔部4aが設けられ、この鍔部4aより後側の外周面に、第二ホルダ7の雌螺子7fに螺合する雄螺子4fが設けられている。また、塗布具ホルダ4の外周面の鍔部4aより先端側の位置には、図2〜図4に示すように、キャップ8を着脱自在に装着するための突部(所謂ダボ)4eが、周方向に沿って複数が離間して設けられている。
【0019】
この塗布具3を装着した塗布具ホルダ4は、図3及び図4に示すように、第二ホルダ7に内挿され、その雄螺子4fが第二ホルダ7の雌螺子7fに螺合し、その鍔部4aが第二ホルダ7の鍔部7aに当接することで、第二ホルダ7に着脱可能に装着されている。また、塗布具3を覆い保護するキャップ8は、その内周面が、図3に示すように、塗布具ホルダ4の突部4eに当接することで、塗布具ホルダ4に対して着脱自在に装着されている。
【0020】
一方、棒状化粧料カートリッジ1は概略、図5に示すように、略円筒形状を成し軸線方向に延びる外筒としての本体筒10と、本体筒10に収容され螺合機構を構成する雌螺子を有する内筒11と、本体筒10に収容されて軸線方向に延在し、先端に棒状化粧料Mを支持すると共に螺合機構を構成する雄螺子を有する螺子棒14とを備え、本体筒10と内筒11を相対回転すると、螺子棒14が進退し棒状化粧料Mが本体筒10の先端から出没するものである。なお、ここで用いられている棒状化粧料Mは、横断面が楕円形状の棒状化粧料である。
【0021】
本体筒10は、カートリッジ収容容器2の先端から突出して摘み部とされ図13に示すように多少扁平な円筒形状(楕円筒形状)とされた先端部と、図5に示すように、この先端部に外周段差面10aを介し外周面が小径とされて略円筒形状に構成されカートリッジ収容容器2に収容される収容部と、を備える段付円筒形状とされている。
【0022】
図11及び図12に示すように、本体筒10の先端部は、先端に向けて次第に外径が細くなる先細り形状とされ、収容部は、外周段差面10a寄りの外周面に、カートリッジ収容容器2に着脱可能に軸線方向に係止するための突部(所謂ダボ)10bを周方向に複数備えると共に、この突部10bと外周段差面10aとの間の位置に環状溝10cを備えている。この環状溝10cには、カートリッジ収容容器2の第一ホルダ6及び棒状化粧料カートリッジ1の本体筒10の間に回転抵抗を与えると共に、カートリッジ収容容器2内における棒状化粧料カートリッジ1の径方向のガタツキを防止するためのOリング15が装着されている(図5参照)。
【0023】
この本体筒10の軸線方向に貫通する筒孔は、図12に示すように、先端から軸線方向中央辺り迄が、楕円形状の棒状化粧料Mを収容し摺動を可能とする楕円孔10dとされ(図13参照)、この楕円孔10dの終端から本体筒10の後端迄が、楕円孔10dより大径の円形形状の孔10pとされている。この円形形状の孔10pには、その軸線方向の途中に内周段差面10eが設けられ、この内周段差面10eを介した後端側が大径とされている。この大径の円形形状の孔は、その後端部側に、内筒11を構成する後側の内筒12を軸線方向に係合するための環状溝10fを備えている。
【0024】
そして、図12及び図13に示すように、上記楕円孔10dの先端近傍から当該楕円孔10dの後端に亘る当該楕円孔10dの周囲の複数箇所(本実施形態では四箇所)には、螺子棒14の後述する支持片14dを収容し摺動を可能とする進退溝10gが連設され、これらの楕円孔10d及び進退溝10gにより進退孔10hが構成されている。
【0025】
図3に示すように、螺子棒14は、本体筒10の進退孔10hに収容される支持部14aと、主に内筒11に収容される軸体部14bと、を備えている。支持部14aは、棒状化粧料Mの後端部を支持して進退孔10hを進退するもので、図14及び図15に示すように、棒状化粧料Mの後端面が突き当てられる短尺楕円柱形状の基部14cと、この基部14cの外周面の周方向の複数位置(本実施形態では四箇所)に先端側に向かって突出するように設けられ、棒状化粧料Mの後端部の外周面をその内周面で挟み込んで支持する支持片14dと、を備える構成とされている。また、図15に示すように、支持片14dの各々の内面には、軸線方向に延びる突条14iが設けられている。この突条14iは、嵌挿される棒状化粧料Mの外周面にめり込み棒状化粧料Mとの接触面積を増大し摩擦抵抗を増大して棒状化粧料Mの抜け出しを防止すると共に棒状化粧料Mの回転を阻止するためのものである。
【0026】
図14に示すように、軸体部14bは、先端部が円柱形状の軸部14eとされ、この軸部14eより後端近くまでの外周面が、螺合機構を構成する雄螺子14fとされている。また、軸体部14bの雄螺子14fより後側には、図14及び図16に示すように、径方向に膨出し雄螺子14fの後端より大径円柱形状の膨出部14gが設けられている。この膨出部14gは、螺子棒14の繰り出し前進時に、後述の前側の内筒13の雌螺子13x,13xに当接し螺子棒14の最大繰り出しとする前進限として機能する。
【0027】
この螺子棒14は、図3、図4及び図13に示すように、その基部14cが本体筒10の楕円孔10dに摺動可能に内挿されると共にその支持片14dが本体筒10の進退溝10gに摺動可能に内挿され、棒状化粧料M及び基部14cの外周面が楕円孔10dの内周面に近接すると共に、支持片14dの外周面が進退溝10gに近接する構成とされている。
【0028】
なお、図5に示すように、進退溝10gの先端面10ggの位置は、螺子棒14の最大繰り出し時に螺子棒14の支持片14dの先端面との間に所定の隙間zが設けられるように設定されている。
【0029】
ここで、特に本実施形態の特徴を成す内筒11は、図18〜図21に示すように、軸線方向後側の内筒12及び前側の内筒13を備えている。これらの後側及び前側の内筒12,13は、例えば合成樹脂等の可撓性材より構成されている。
【0030】
前側の内筒13は、図26〜図30に示すように、略円筒形状を成し、先端部の内周面に、図27〜図30に示すように、螺合機構を構成する雌螺子13xを備えている。この雌螺子13xは、螺旋状に一定区間突出して成る螺合突起であり、この螺合突起13xは、前側の内筒13の軸線を中心に180°回転した内筒内周面の二箇所に設けられている。
【0031】
この前側の内筒13には、図21、図27〜図30に示すように、その後半部に、軸方向に延びるスリット13aが周方向の180°対向位置に各々設けられていると共に、これらのスリット13a,13aを形成すべく当該スリット13aの周方向の両脇に、軸線方向に延びる延出壁13b,13bが各々設けられている。これらのスリット13a及び延出壁13bは、後側の内筒12に回転方向に係合するためのものであり、延出壁13bは、図29に示すように、内周面及び外周面が円弧面にされると共に内周面に比して外周面が長くされる横断面略扇形形状とされている。
【0032】
また、前側の内筒13には、図21、図26〜図28及び図30に示すように、その各延出壁13bの後側の端部を、その周方向に沿って連結する環状の環状部13cが設けられている。この環状部13cは、延出壁13bの外周面を外側から連結する。従って、環状部13cは、その内周面に、図21、図27及び図28に示すように、スリット13aに軸線方向に連なると共に後側に開放された溝13dを有する構成とされている。また、環状部13cの溝13dの両脇には、図27に示すように、延出壁13bが位置している。
【0033】
また、前側の内筒13には、図18、図26、図28及び図30に示すように、その先端から螺合突起13xの後方に亘って延び内外を連通するスリット13mが、螺合突起13x,13xの間に一対対向して設けられている。このスリット13mの機能については後述する。
【0034】
一方、後側の内筒12は、図21〜図24に示すように、その前側に、軸線方向に延びると共に前側に開放されたスリット12aを、周方向の180°対向位置に各々備えると共に、これらのスリット12a,12aを形成すべく当該スリット12aの周方向の両脇に、軸線方向に延びる延出壁12b,12bを各々備えている。これらのスリット12a、延出壁12bは、前側の内筒13の延出壁13b、スリット13aと同一半径の位置に配置されていて、延出壁12bは、図23に示すように、内周面及び外周面が円弧面にされると共に内周面に比して外周面が長くされる横断面略扇形形状とされ、前側の内筒13の延出壁13bと横断面形状が同じとされている。この後側の内筒12の延出壁12bは、前側の内筒13の環状部13cの溝13dを介してスリット13aへの軸線方向の進入が可能とされ、後側の内筒12のスリット12aは、前側の内筒13の延出壁13bの軸線方向の進入を可能とする。
【0035】
また、後側の内筒12には、その後端部に、図22、図24及び図25に示すように、半径方向に弾力的に押し開き可能な弾性突部12cが後方へ突出するように設けられている。この弾性突部12cは、第二ホルダ7の係合部7dの突部7xに回転方向に係合するためのものである。この弾性突部12cは、周方向に沿う四等配の位置(90°間隔の位置)に配設される四片の突部であり、図24及び図25に示すように、当該突部の内側に向かう頂部に、第二ホルダ7の三角山形形状の突部7xが進入するV字状の軸線方向に延びる溝12dが設けられている。また、図22及び図24に示すように、後側の内筒12の軸線方向における延出壁12bと弾性突部12cとの間の外周面には、本体筒10の環状溝10fに軸線方向に係合するための環状突部12eが設けられている。
【0036】
これらの後側及び前側の内筒12,13にあっては、図18〜図21に示すように、後側の内筒12の延出壁12bが、前側の内筒13の環状部13cの溝13dを通してスリット13aに進入すると共に、前側の内筒13の延出壁13bが、後側の内筒12のスリット12aに進入し、回転不能且つ軸線方向移動可能に連結されている。
【0037】
そして、これらの後側及び前側の内筒12,13より成る内筒11は、図5に示すように、その前側から本体筒10に内挿され、後側の内筒12の環状突部12eが、本体筒10の環状溝10fに係合することで、後側の内筒12が本体筒10に対して回転可能且つ軸線方向移動不能に装着されている。
【0038】
この状態で、内筒11には、その前側から螺子棒14の雄螺子14fが内挿され、図3に示すように、当該雄螺子14fが、前側の内筒13の雌螺子13x,13xに螺合する係合状態とされている。すなわち、螺子棒14は、前側の内筒13と螺合状態にある。
【0039】
また、この状態で、本体筒10の内周段差面10eと前側の内筒13の環状部13cの前側の端面との間には、圧縮コイルバネ16が、前側の内筒13の後半部及び後側の内筒12の前半部を囲繞するように(図5及び図17参照)して配設されている。この圧縮コイルバネ16の付勢力により、前側の内筒13は、後側の内筒12に押し付けられ、図3に示す後退限に位置する状態とされている。
【0040】
このような構成の棒状化粧料カートリッジ1を組み立てる場合には、先ず、圧縮コイルバネ16を螺子棒14の後側から外挿し、次いで、後側及び前側の内筒12,13を各スリットに相手側の各延出壁が進入するようにして組み立て、次いで、この組み立てられた内筒11と、圧縮コイルバネ16により囲繞されている螺子棒14とを螺合させて螺子込む。
【0041】
ここで、螺子棒14を前側の内筒13に螺子込もうとする際にあっては、螺子棒14の後端の膨出部14gが前側の内筒13の螺合突起13xに突き当たるが、前側の内筒13のスリット13mにより、前側の内筒13の先端側が半径方向外側に開き、螺子棒14の膨出部14gは、螺合突起13x,13xを越えて後部側に進入し、螺子棒14の雄螺子14fが螺合突起13x,13xに螺合する。この螺合状態で螺子棒14を後退限まで螺子込む。次いで、これらの組立体を本体筒10の後側から内挿して組み込み、最後に棒状化粧料Mを本体筒10の前側から挿入して螺子棒14に装着すれば良い。
【0042】
そして、このようにして得られた棒状化粧料カートリッジ1は、図3及び図5に示すように、その後部からカートリッジ収容容器2の一方端側の開口に内挿され、その本体筒10の外周段差面10aがカートリッジ収容容器2の第一ホルダ6の鍔部6aの端面に当接し、その本体筒10のOリング15及び突部10bが、カートリッジ収容容器2の第一ホルダ6の内周面に当接すると共に、その本体筒10の突部10bの前側にカートリッジ収容容器2の第一ホルダ6の環状突部6gが位置することで、その本体筒10が、カートリッジ収容容器2に対して回転可能に連結されていると共に、例えば棒状化粧料Mが使用限に達し棒状化粧料カートリッジ1ごとの交換が必要な場合等で使用者により所定の力で引き抜かれる以外は、カートリッジ収容容器2に対して軸線方向移動不能とされている。
【0043】
この棒状化粧料カートリッジ1がカートリッジ収容容器2に装着されている状態にあっては、棒状化粧料カートリッジ1の後側の内筒12の弾性突部12c,12c同士の間及び弾性突部12cのV字状の溝12dに、カートリッジ収容容器2の第二ホルダ7の三角山形形状の突部7xが進入して係合し、後側の内筒12とカートリッジ収容容器2とが回転不能に連結されている。
【0044】
このように構成された棒状化粧料繰出容器100にあっては、カートリッジ収容容器2と棒状化粧料カートリッジ1の本体筒10のカートリッジ収容容器2からの突出部分を持って相対回転すると、カートリッジ収容容器2と後側の内筒12が回転不能に連結されていると共に、後側の内筒12と前側の内筒13が回転不能に連結され、さらに、前側の内筒13の螺合突起13xと螺子棒14の雄螺子14fが螺合機構を構成すると共に、螺子棒14の支持片14dと本体筒10の進退溝10gが回り止め機構を構成しているため、螺子棒14が円滑に進退し、棒状化粧料Mが本体筒10の先端から突出することで塗布が可能とされる。
【0045】
ここで、螺子棒14が前進を続け、当該螺子棒14の膨出部14g(図16参照)が、図5に示すように、前側の内筒13の螺合突起13xに突き当たる(当接する)と、ここが螺子棒14の最大繰り出しとなる。すなわち、螺子棒14の膨出部14gが前側の内筒13の螺合突起13xに突き当たることで、螺子棒14は前進限に達する。
【0046】
この時、螺子棒14における棒状化粧料Mを支持している支持片14dのその先端と進退溝10gの先端面10ggとの間には、所定の隙間zが存在し、支持片14dの先端と進退溝10gの先端面10ggとは接触していない。
【0047】
このように、支持片14dを有する支持部14aから軸線方向後方に雄螺子14fを介し離れて位置する膨出部14gが、螺子棒14の繰り出し時に前側の内筒13の螺合突起13xに当接し螺子棒14の最大繰り出しとする前進限として機能し、支持部14a(特に支持片14d)は前進限とされずに進退溝10gの先端面10gg等に接触することが無く、従って、螺子棒14が前進限に達した時に支持部14dには負荷が殆ど作用せず、この支持部14dに支持されている棒状化粧料Mの折損や抜け出しが防止されている。
【0048】
また、螺子棒14が前進限や後退限の進退限に達しさらに螺子棒14に使用者により同方向の相対回転力が付与されると、後側の内筒12の後端の弾性突部12cが半径方向に弾力的に押し開き可能なため、当該弾性突部12cが、第二ホルダ7の断面三角山形形状の突部7xを乗り越えて隣の突部7xに係合する動作を繰り返す所謂クラッチとして機能し、部品に過負荷が作用することが無く、部品の損傷が防止されている。
【0049】
また、このような棒状化粧料繰出容器100にあっては、例えば、当該棒状化粧料繰出容器100を落とす等して衝撃や振動が作用しても、カートリッジ収容容器2と後側の内筒12が軸線方向移動不能に連結されていると共に、後側の内筒12と前側の内筒13が回転不能且つ軸線方向移動可能に連結されているため、後側の内筒12は軸線方向に移動すること無く従って後側の内筒12に対して後側から確実に回転力が付与される状態が維持されると共に、前側の内筒13は後側の内筒12を残した状態で、当該前側の内筒13に螺合する螺子棒14を伴って圧縮コイルバネ16の付勢力に抗して当該圧縮コイルバネ16を圧縮しつつ前進し、この時、前側の内筒13は、その延出壁13bが後側の内筒12のスリット12aを摺動しながら前進し、この前進及び圧縮コイルバネ16の圧縮作用により衝撃や振動が吸収されて、棒状化粧料Mの螺子棒14からの抜け出し及び折損が防止されている。そして、衝撃が無くなると、圧縮コイルバネ16が前側の内筒13を弾発し、前側の内筒13は、その延出壁13bが後側の内筒12のスリット12aを摺動しながら後退し、前側の内筒13及び螺子棒14は当初の位置に戻される。
【0050】
このように、本実施形態においては、棒状化粧料Mが本体筒10の先端から良好に出没すると共に、衝撃や振動が作用した時や螺子棒14が前進限に達した時に棒状化粧料Mの抜け出しや折損が防止されている。この結果、その繰り出し機能を従前に比して損なうことが無いと共に、品質が高められた棒状化粧料カートリッジ1を提供することができる。
【0051】
また、本実施形態においては、前側の内筒13の各延出壁13bの先端部を、その周方向に沿って連結する環状部13cを備えているため、当該環状部13cにより、各延出壁13bが補強され、各延出壁13bの厚み方向(内側及び外側)の移動(倒れ)が良好に拘束されている。その結果、延出壁13bと当該延出壁13bの内側に配置されている螺子棒14の雄螺子14fとの干渉が防止され、螺子棒14の所望の動きが確保されていると共に、延出壁13bと当該延出壁13bの外側に配置されている圧縮コイルバネ16との干渉が防止され、圧縮コイルバネ16の所望の動きが確保されている。
【0052】
さらにまた、前側の内筒13の延出壁13b,13b同士の間に形成されたスリット13a及びこのスリット13aに進入する後側の内筒12の延出壁12bが、当該延出壁12bの内側への移動(倒れ)を拘束する形状、具体的には、内周面及び外周面が円弧面とされ内周面に比して外周面が長くされる横断面略扇形形状とされているため、延出壁12bの内側に配置されている螺子棒14の雄螺子14fと当該延出壁12bとの干渉が防止され、螺子棒14の所望の動きがさらに確保されている。
【0053】
以上、本発明をその実施形態に基づき具体的に説明したが、本発明は上記実施形態に限定されるものではなく、例えば、上記実施形態においては、前側の内筒13の延出壁13bの剛性を高めるべく環状部13cを設けるようにしているが、この前側の内筒13の環状部13cを無くしてこれと同様な環状部を、後側の内筒12の延出壁12bの先端部の外周面を周方向に連結するようにして設け、後側の内筒12の延出壁12bの剛性を高めるようにしても良い。また、前側、後側の内筒の延出壁13b,12bの剛性が高ければ、環状部は無くても良い。
【0054】
また、上記実施形態においては、スリット13a及び延出壁12bを横断面略扇形形状として延出壁12bの内側の移動を防止するようにしているが、この横断面略扇形形状を逆さにした形状として延出壁12bの外側の倒れを防止し圧縮コイルバネ16との干渉を防止するようにしても良く、また、そろばんの珠のように中央が膨出する形状として、延出壁12bの厚み方向(内側及び外側)の移動を拘束する構成としても良い。なお、前側の内筒13の環状部13cを無くして後側の内筒12に環状部を設けた場合には、後側の内筒12のスリット12a及び延出壁12bにより、前側の内筒13の延出壁13bの内側且つ/又は外側への移動を防止することになり、また、後側及び前側の両方の内筒12,13に環状部を設けない場合には、互いのスリット及び延出壁により、相手側の延出壁の内側且つ/又は外側への移動を防止することになる。
【0055】
また、上記実施形態においては、棒状化粧料カートリッジ1を交換するものとして、棒状化粧料カートリッジ1をカートリッジ収容容器2に対して着脱可能としているが、着脱不能とすることも勿論可能である。
【0056】
また、上記実施形態においては、横断面が楕円形状の棒状化粧料Mに対する適用を述べているが、勿論横断面が円形形状の棒状化粧料に対しても適用可能であり、この場合には、楕円孔10dを円形孔とし、支持部14aの基部14cを円柱形状とすれば良い。
【0057】
また、上記実施形態においては、棒状化粧料カートリッジ1の短尺化を図るべく、圧縮コイルバネ16を、本体筒10の内部と前側の内筒13の後端部の外部との間、すなわち、本体筒10の内周段差面10eと前側の内筒13の環状部13cの前側の端面との間に配置しているが、例えば、本体筒10の内部と前側の内筒13の先端面との間に配置する構成を採用しても良く、要は、圧縮コイルバネ16は、前側の内筒13を後側に付勢できれば良い。また、前側の内筒13を後側に付勢するのは圧縮コイルバネ16に限定されるものではなく、圧縮コイルバネ16と略同様な機能を発揮する付勢手段であれば良く、例えば、前側の内筒13を後側に付勢する引っ張りバネであっても良く、さらには、例えば樹脂等で構成される樹脂バネ等であっても良い。
【0058】
また、上記実施形態においては、螺合機構を、螺子棒14の雄螺子14f及び前側の内筒13の螺合突起13xにより構成しているが、螺合機構は、螺旋状部、又は、間欠的に配される突起群、又は、螺旋状且つ間欠的に配される突起群等、螺子山と同様な働きをするものであれば良い。
【図面の簡単な説明】
【0059】
【図1】本発明の実施形態に係る棒状化粧料カートリッジを備えた棒状化粧料繰出容器を示す側面図である。
【図2】図1に示す棒状化粧料繰出容器の塗布具のキャップを外した図である。
【図3】図1に示す棒状化粧料繰出容器の縦断面図であり、棒状化粧料を繰り出す前の状態図である。
【図4】図3に示す棒状化粧料繰出容器の直交縦断面図であり、塗布具のキャップを外し棒状化粧料を前進限に繰り出した状態図である。
【図5】図4に示す棒状化粧料繰出容器の棒状化粧料カートリッジの拡大縦断面図である。
【図6】図3及び図4中の第一ホルダを示す側面図である。
【図7】図6のVII−VII矢視図である。
【図8】図3及び図4中の第二ホルダを示す側面図である。
【図9】図8に示す第二ホルダの左側面図である。
【図10】図8に示す第二ホルダの縦断面図である。
【図11】図1〜図5中の棒状化粧料カートリッジを構成する本体筒を示す側面図である。
【図12】図11に示す本体筒の縦断面図である。
【図13】図12のXIII−XIII矢視図である。
【図14】図3〜図5中の螺子棒を示す側面図である。
【図15】図14に示す螺子棒の左側面図である。
【図16】図14に示す螺子棒の後端部の拡大図である。
【図17】図5中の前側及び後側の内筒並びに圧縮コイルバネを示す斜視図である。
【図18】図5中の前側及び後側の内筒を示す斜視図である。
【図19】図18に示す内筒の縦断斜視図である。
【図20】図18に示す内筒の分解斜視図である。
【図21】図20を軸線方向反対側から見た斜視図である。
【図22】図17〜図21中の後側の内筒を示す側面図である。
【図23】図22に示す後側の内筒の左側面図である。
【図24】図22に示す後側の内筒の直交縦断面図である。
【図25】図24に示す後側の内筒の右側面図である。
【図26】図17〜図21中の前側の内筒を示す側面図である。
【図27】図26に示す前側の内筒の右側面図である。
【図28】図26に示す前側の内筒の縦断面図である。
【図29】図28のXXIX−XXIX矢視図である。
【図30】図28に示す前側の内筒の直交縦断面図である。
【符号の説明】
【0060】
1…棒状化粧料カートリッジ、10…本体筒(外筒)、11…内筒、12…後側の内筒、13…前側の内筒、13x…前側の内筒の螺合突起(前側の内筒の雌螺子)、14…螺子棒、14a…支持部、14b…軸体部、14d…支持片、14f…螺子棒の雄螺子、14g…膨出部、16…圧縮コイルバネ(付勢手段)、100…棒状化粧料繰出容器、M…棒状化粧料。
【技術分野】
【0001】
本発明は、棒状化粧料をカートリッジから出没可能とする棒状化粧料カートリッジに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、棒状化粧料を繰り出す棒状化粧料カートリッジを、円筒形状の容器である連結容器の一方端側に装着し、他方端側には、例えば、液状化粧料カートリッジ、又は、一方端側の棒状化粧料とは別の棒状化粧料を有する棒状化粧料カートリッジ、又は、塗布具等を装着し、用途の多様化を図るようにした棒状化粧料繰出容器が知られている(例えば、特許文献1参照)。この棒状化粧料繰出容器を構成する棒状化粧料カートリッジは、棒状化粧料の後端部をその先端部に保持すると共にその後端部に雄螺子としてのガイド突起を備える芯チャックと、その内部に芯チャックのガイド突起が螺合する螺旋溝を備える螺旋筒と、その前側に芯チャックを回転不能且つ軸線方向に摺動可能に収容すると共に、その後側に螺旋筒を回転可能且つ軸線方向移動不能に収容するカートリッジ本体と、を備える構成とされ、この棒状化粧料カートリッジは連結容器に対して回転可能且つ着脱可能(若しくは離脱不能)に装着され、この装着により、連結容器内の軸線方向の略中央部に設けられ棒状化粧料カートリッジ側へ突出する突起部(係止部)が、螺旋筒の後端部の内部に設けられたローレット部(係止部)に係合し、螺旋筒は、連結容器に回転不能に係合してその後側から連結容器の回転力が付与される構成とされ、連結容器とカートリッジ本体とが相対回転されると、螺旋筒とカートリッジ本体が相対回転し、芯チャック及びカートリッジ本体により構成された回り止め機構、芯チャックのガイド突起及び螺旋筒の螺旋溝により構成された螺合機構により、芯チャックが進退し棒状化粧料がカートリッジ本体の先端から出没する構成とされている。
【特許文献1】実公平4−30961号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
ところで、近年にあっては、上記棒状化粧料カートリッジに対してさらなる高品質化の要求があり、例えば棒状化粧料繰出容器を落として衝撃や振動が作用しても、棒状化粧料の抜け出しや折損が防止される機構の採用が求められているが、このような機構を採用した棒状化粧料カートリッジは未だ無い。
【0004】
本発明は、このような課題を解決するために成されたものであり、その繰り出し機能を従前に比して損なうこと無く、衝撃や振動の作用による棒状化粧料の抜け出しや折損を防止し品質を高めた棒状化粧料カートリッジを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明による棒状化粧料カートリッジは、棒状化粧料の後端部を支持し外部に雄螺子を備える螺子棒と、その内部に雄螺子が螺合する雌螺子を備える内筒と、その前側に螺子棒を回転不能且つ軸線方向に摺動可能に収容すると共に、その後側に内筒を収容する外筒と、を備え、外筒と内筒とが相対回転されると棒状化粧料が進退し外筒の先端から出没する棒状化粧料カートリッジであって、内筒は、外筒に回転可能且つ軸線方向移動不能に収容されると共に後側から回転力が付与されて外筒と相対回転する後側の内筒と、その内部に雌螺子を有し、後側の内筒に対して軸線方向移動可能且つ回転不能に連結されて外筒に収容される前側の内筒と、を有し、外筒の内部と前側の内筒の外部との間には、前側の内筒を後側に付勢する付勢手段が配置され、螺子棒は、棒状化粧料の後端部を支持する支持部から軸体部が後方に延在し当該軸体部の外部に雄螺子が設けられると共に、この軸体部の雄螺子の後端に径方向に膨出する膨出部が設けられ、螺子棒の繰り出し時に膨出部が前側の内筒の雌螺子に当接し螺子棒の最大繰り出しとすることを特徴としている。
【0006】
このような棒状化粧料カートリッジによれば、後側の内筒は、外筒に対して回転可能且つ軸線方向移動不能に収容されて後側から回転力が付与される構成であり、前側の内筒は、後側の内筒に対して軸線方向移動可能且つ回転不能に連結されると共に付勢手段により後側に付勢された状態で外筒に収容され、さらに、この前側の内筒は、その内部の雌螺子に、棒状化粧料の後端部を支持し外部に雄螺子を備える螺子棒のその雄螺子が螺合する構成のため、後側の内筒に後側から回転力が付与されると、この後側の内筒が前側の内筒を伴って外筒に対して相対回転し、外筒の前側の内部及び螺子棒により構成された回り止め機構、螺子棒の雄螺子及び前側の内筒の雌螺子により構成された螺合機構により、螺子棒が円滑に進退し棒状化粧料が外筒の先端から良好に出没する一方で、棒状化粧料カートリッジを装着した棒状化粧料繰出容器に衝撃や振動が作用すると、後側の内筒は軸線方向に移動すること無く従って後側の内筒に対して後側から確実に回転力が付与される状態が維持されると共に、前側の内筒は後側の内筒を残した状態で、当該前側の内筒に螺合する螺子棒を伴って付勢手段の付勢力に抗して前進し、この前進及び付勢手段の緩衝作用により衝撃や振動が吸収されて、棒状化粧料の螺子棒からの抜け出し及び折損が防止される。また、衝撃や振動が無くなると、付勢手段が前側の内筒を弾発して前側の内筒は後退し、前側の内筒及び螺子棒は当初の位置に戻される。また、螺子棒は、棒状化粧料の後端部を支持する支持部から後方に延在し外部に雄螺子を有する軸体部のその雄螺子の後端に、径方向に膨出する膨出部を有する構成であり、支持部から軸線方向後方に雄螺子を介し離れて位置する膨出部が、螺子棒の繰り出し時に前側の内筒の雌螺子に当接し螺子棒の最大繰り出しとする前進限として機能するため、螺子棒が前進限に達した時に支持部には負荷が殆ど作用せず、従って、この支持部に支持されている棒状化粧料の折損や抜け出しが防止される。
【0007】
ここで、上記作用を好適に奏する構成としては、具体的には、雌螺子は、螺旋状に一定区間突出して成る螺合突起であり、この螺合突起は、前側の内筒の軸線を中心に180°回転した内筒内周面の二箇所に設けられる構成が挙げられる。
【発明の効果】
【0008】
このように本発明によれば、棒状化粧料が外筒の先端から良好に出没すると共に、衝撃や振動が作用した時や螺子棒が前進限に達した時に棒状化粧料の抜け出しや折損が防止されるため、その繰り出し機能を従前に比して損なうこと無く、品質を高めることが可能となる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0009】
以下、本発明による棒状化粧料カートリッジの好適な実施形態について図1〜図30を参照しながら説明する。なお、各図において、同一の要素には同一の符号を付し、重複する説明は省略する。図1〜図5は、棒状化粧料カートリッジを備えた棒状化粧料繰出容器を示す各図、図6及び図7は、棒状化粧料カートリッジを装着するカートリッジ収容容器の第一ホルダを示す各図、図8〜図10は、カートリッジ収容容器の第二ホルダを示す各図、図11〜図13は、棒状化粧料カートリッジの本体筒を示す各図、図14〜図16は、螺子棒を示す各図、図17は、前側及び後側の内筒並びに圧縮コイルバネを示す斜視図、図18〜図21は、前側及び後側の内筒を示す各図、図22〜図25は、後側の内筒を示す各図、図26〜図30は、前側の内筒を示す各図であり、本実施形態の棒状化粧料カートリッジを備えた棒状化粧料繰出容器は、例えば、アイライナー、アイブロー、リップライナー等を始めとした種々の固形状の棒状化粧料を収容し、使用者が必要に応じて適宜出没可能とするものである。
【0010】
図1に示すように、棒状化粧料繰出容器100は、全体形状が筆記具の如き細長い丸棒状(スティック状)を成し良好な外観を呈するもので、図3に示すように、棒状化粧料Mを収容する棒状化粧料カートリッジ1を、図2〜図4に示すように、カートリッジ収容容器2の一方端側(図示左側)に着脱可能に備えると共に、このカートリッジ収容容器2の他方端側に、塗布具(本実施形態ではチップ)3を装着した塗布具ホルダ4を着脱可能に備えている。
【0011】
カートリッジ収容容器2は、図3及び図4に示すように、外筒を成す円筒形状の軸筒5と、この軸筒5に収容され内筒を成す第一ホルダ6及び第二ホルダ7と、を有する構成とされている。この第一ホルダ6は軸筒5の一方側に装着され、第二ホルダ7は軸筒5の他方側に装着されている。
【0012】
第一ホルダ6は、例えば合成樹脂等の可撓性材より成り、図6及び図7に示すように、略円筒形状に構成されている。この第一ホルダ6には、その先端(図示左端)に大径の鍔部6aが設けられている。また、第一ホルダ6には、その先端側の外周面に、円周方向に沿って凹凸が密に並設され軸線方向に所定長延びるローレット6bが、軸筒5に装着するためのものとして設けられていると共に、その後部側で軸線を挟む180°対称位置に、弾性係止部6c,6cが各々設けられている。
【0013】
この弾性係止部6cは、第一ホルダ6の周壁に穿設されるコの字状割溝6dにより形成され、成形材である合成樹脂等の可撓性に従って板バネの役割を果たす半島部6eと、この半島部6eの外周面から外方に突出する係止突部6fと、を備えている。また、第一ホルダ6には、その先端側の内周面に、棒状化粧料カートリッジ1の本体筒10を軸線方向に係止するための環状突部6gが設けられている。
【0014】
この第一ホルダ6は、その後部側から軸筒5内に圧入され、図3及び図4に示すように、鍔部6aが軸筒5の一方端面(図示左側端面)に当接し、ローレット6bが軸筒5の内周面に圧接し、加えて、板バネを成す半島部6eの係止突部6fが軸筒5の内周面に圧接係止することで、軸筒5に回転不能且つ軸線方向移動不能に装着されている。なお、板バネを成す半島部6eの係止突部6fは、ローレット6bの機能が落ちてきた時の代わりとしても機能する。そして、この状態で、半島部6eは、係止突部6fと軸筒5の内周面との圧接係止により内側(軸心側)へ撓み、第一ホルダ6の内周面より多少内側に突出した状態とされている。
【0015】
第二ホルダ7は、例えば合成樹脂等の可撓性材より成り、図8〜図10に示すように、段付円筒形状に構成され、後端側(図示左側)が外径小径部7yとされ、これより先端側(図示右側)が外径大径部7zとされている。この第二ホルダ7には、その外径大径部7zの先端に大径の鍔部7aが設けられ、その外径大径部7zの外周面で鍔部7aより後部側の位置に、円周方向に沿って凹凸が密に並設され軸線方向に所定長延びるローレット7bが、軸筒5に装着するためのものとして設けられている。
【0016】
また、第二ホルダ7は、その外径小径部7yの後端に、当該第二ホルダ7の抜け止めとして機能する大径の鍔部7cを備えると共に、さらに、その外径小径部7yの後端面に、後方に突出する係合部7dを備えている。この係合部7dは、棒状化粧料カートリッジ1の後側の内筒12を回転方向に係合するためのもので(詳しくは後述)、図8及び図10に示すように、軸線方向に短尺に所定長延びる軸体の外周面に、図9に示すように、軸線方向に延びる横断面三角山形形状の突部7xを円周方向に複数(本実施形態では八個)設けた形状とされている。また、第二ホルダ7には、図10に示すように、その先端側の内周面に、塗布具ホルダ4を着脱可能に装着するための雌螺子7fが設けられている。
【0017】
この第二ホルダ7は、その後部側から軸筒5内に圧入され、図3及び図4に示すように、鍔部7aが軸筒5の他方端面(図示右側端面)に当接し、ローレット7bが軸筒5の内周面に圧接することで、軸筒5に回転不能且つ軸線方向移動不能に装着されている。この状態にあっては、第二ホルダ7の鍔部7cより先端側(図示右側)に、第一ホルダ6の半島部6eの内側への撓み部分が先端側(図示右側)への移動を阻止するように位置し、当該半島部6eの撓み部分及び第二ホルダ7の鍔部7cにより、ローレット7bの機能が落ちてきた時の第二ホルダ7の抜けを防止する。
【0018】
塗布具ホルダ4は、先端側に塗布具3を装着して成る。この塗布具ホルダ4の外周面の軸線方向中程には鍔部4aが設けられ、この鍔部4aより後側の外周面に、第二ホルダ7の雌螺子7fに螺合する雄螺子4fが設けられている。また、塗布具ホルダ4の外周面の鍔部4aより先端側の位置には、図2〜図4に示すように、キャップ8を着脱自在に装着するための突部(所謂ダボ)4eが、周方向に沿って複数が離間して設けられている。
【0019】
この塗布具3を装着した塗布具ホルダ4は、図3及び図4に示すように、第二ホルダ7に内挿され、その雄螺子4fが第二ホルダ7の雌螺子7fに螺合し、その鍔部4aが第二ホルダ7の鍔部7aに当接することで、第二ホルダ7に着脱可能に装着されている。また、塗布具3を覆い保護するキャップ8は、その内周面が、図3に示すように、塗布具ホルダ4の突部4eに当接することで、塗布具ホルダ4に対して着脱自在に装着されている。
【0020】
一方、棒状化粧料カートリッジ1は概略、図5に示すように、略円筒形状を成し軸線方向に延びる外筒としての本体筒10と、本体筒10に収容され螺合機構を構成する雌螺子を有する内筒11と、本体筒10に収容されて軸線方向に延在し、先端に棒状化粧料Mを支持すると共に螺合機構を構成する雄螺子を有する螺子棒14とを備え、本体筒10と内筒11を相対回転すると、螺子棒14が進退し棒状化粧料Mが本体筒10の先端から出没するものである。なお、ここで用いられている棒状化粧料Mは、横断面が楕円形状の棒状化粧料である。
【0021】
本体筒10は、カートリッジ収容容器2の先端から突出して摘み部とされ図13に示すように多少扁平な円筒形状(楕円筒形状)とされた先端部と、図5に示すように、この先端部に外周段差面10aを介し外周面が小径とされて略円筒形状に構成されカートリッジ収容容器2に収容される収容部と、を備える段付円筒形状とされている。
【0022】
図11及び図12に示すように、本体筒10の先端部は、先端に向けて次第に外径が細くなる先細り形状とされ、収容部は、外周段差面10a寄りの外周面に、カートリッジ収容容器2に着脱可能に軸線方向に係止するための突部(所謂ダボ)10bを周方向に複数備えると共に、この突部10bと外周段差面10aとの間の位置に環状溝10cを備えている。この環状溝10cには、カートリッジ収容容器2の第一ホルダ6及び棒状化粧料カートリッジ1の本体筒10の間に回転抵抗を与えると共に、カートリッジ収容容器2内における棒状化粧料カートリッジ1の径方向のガタツキを防止するためのOリング15が装着されている(図5参照)。
【0023】
この本体筒10の軸線方向に貫通する筒孔は、図12に示すように、先端から軸線方向中央辺り迄が、楕円形状の棒状化粧料Mを収容し摺動を可能とする楕円孔10dとされ(図13参照)、この楕円孔10dの終端から本体筒10の後端迄が、楕円孔10dより大径の円形形状の孔10pとされている。この円形形状の孔10pには、その軸線方向の途中に内周段差面10eが設けられ、この内周段差面10eを介した後端側が大径とされている。この大径の円形形状の孔は、その後端部側に、内筒11を構成する後側の内筒12を軸線方向に係合するための環状溝10fを備えている。
【0024】
そして、図12及び図13に示すように、上記楕円孔10dの先端近傍から当該楕円孔10dの後端に亘る当該楕円孔10dの周囲の複数箇所(本実施形態では四箇所)には、螺子棒14の後述する支持片14dを収容し摺動を可能とする進退溝10gが連設され、これらの楕円孔10d及び進退溝10gにより進退孔10hが構成されている。
【0025】
図3に示すように、螺子棒14は、本体筒10の進退孔10hに収容される支持部14aと、主に内筒11に収容される軸体部14bと、を備えている。支持部14aは、棒状化粧料Mの後端部を支持して進退孔10hを進退するもので、図14及び図15に示すように、棒状化粧料Mの後端面が突き当てられる短尺楕円柱形状の基部14cと、この基部14cの外周面の周方向の複数位置(本実施形態では四箇所)に先端側に向かって突出するように設けられ、棒状化粧料Mの後端部の外周面をその内周面で挟み込んで支持する支持片14dと、を備える構成とされている。また、図15に示すように、支持片14dの各々の内面には、軸線方向に延びる突条14iが設けられている。この突条14iは、嵌挿される棒状化粧料Mの外周面にめり込み棒状化粧料Mとの接触面積を増大し摩擦抵抗を増大して棒状化粧料Mの抜け出しを防止すると共に棒状化粧料Mの回転を阻止するためのものである。
【0026】
図14に示すように、軸体部14bは、先端部が円柱形状の軸部14eとされ、この軸部14eより後端近くまでの外周面が、螺合機構を構成する雄螺子14fとされている。また、軸体部14bの雄螺子14fより後側には、図14及び図16に示すように、径方向に膨出し雄螺子14fの後端より大径円柱形状の膨出部14gが設けられている。この膨出部14gは、螺子棒14の繰り出し前進時に、後述の前側の内筒13の雌螺子13x,13xに当接し螺子棒14の最大繰り出しとする前進限として機能する。
【0027】
この螺子棒14は、図3、図4及び図13に示すように、その基部14cが本体筒10の楕円孔10dに摺動可能に内挿されると共にその支持片14dが本体筒10の進退溝10gに摺動可能に内挿され、棒状化粧料M及び基部14cの外周面が楕円孔10dの内周面に近接すると共に、支持片14dの外周面が進退溝10gに近接する構成とされている。
【0028】
なお、図5に示すように、進退溝10gの先端面10ggの位置は、螺子棒14の最大繰り出し時に螺子棒14の支持片14dの先端面との間に所定の隙間zが設けられるように設定されている。
【0029】
ここで、特に本実施形態の特徴を成す内筒11は、図18〜図21に示すように、軸線方向後側の内筒12及び前側の内筒13を備えている。これらの後側及び前側の内筒12,13は、例えば合成樹脂等の可撓性材より構成されている。
【0030】
前側の内筒13は、図26〜図30に示すように、略円筒形状を成し、先端部の内周面に、図27〜図30に示すように、螺合機構を構成する雌螺子13xを備えている。この雌螺子13xは、螺旋状に一定区間突出して成る螺合突起であり、この螺合突起13xは、前側の内筒13の軸線を中心に180°回転した内筒内周面の二箇所に設けられている。
【0031】
この前側の内筒13には、図21、図27〜図30に示すように、その後半部に、軸方向に延びるスリット13aが周方向の180°対向位置に各々設けられていると共に、これらのスリット13a,13aを形成すべく当該スリット13aの周方向の両脇に、軸線方向に延びる延出壁13b,13bが各々設けられている。これらのスリット13a及び延出壁13bは、後側の内筒12に回転方向に係合するためのものであり、延出壁13bは、図29に示すように、内周面及び外周面が円弧面にされると共に内周面に比して外周面が長くされる横断面略扇形形状とされている。
【0032】
また、前側の内筒13には、図21、図26〜図28及び図30に示すように、その各延出壁13bの後側の端部を、その周方向に沿って連結する環状の環状部13cが設けられている。この環状部13cは、延出壁13bの外周面を外側から連結する。従って、環状部13cは、その内周面に、図21、図27及び図28に示すように、スリット13aに軸線方向に連なると共に後側に開放された溝13dを有する構成とされている。また、環状部13cの溝13dの両脇には、図27に示すように、延出壁13bが位置している。
【0033】
また、前側の内筒13には、図18、図26、図28及び図30に示すように、その先端から螺合突起13xの後方に亘って延び内外を連通するスリット13mが、螺合突起13x,13xの間に一対対向して設けられている。このスリット13mの機能については後述する。
【0034】
一方、後側の内筒12は、図21〜図24に示すように、その前側に、軸線方向に延びると共に前側に開放されたスリット12aを、周方向の180°対向位置に各々備えると共に、これらのスリット12a,12aを形成すべく当該スリット12aの周方向の両脇に、軸線方向に延びる延出壁12b,12bを各々備えている。これらのスリット12a、延出壁12bは、前側の内筒13の延出壁13b、スリット13aと同一半径の位置に配置されていて、延出壁12bは、図23に示すように、内周面及び外周面が円弧面にされると共に内周面に比して外周面が長くされる横断面略扇形形状とされ、前側の内筒13の延出壁13bと横断面形状が同じとされている。この後側の内筒12の延出壁12bは、前側の内筒13の環状部13cの溝13dを介してスリット13aへの軸線方向の進入が可能とされ、後側の内筒12のスリット12aは、前側の内筒13の延出壁13bの軸線方向の進入を可能とする。
【0035】
また、後側の内筒12には、その後端部に、図22、図24及び図25に示すように、半径方向に弾力的に押し開き可能な弾性突部12cが後方へ突出するように設けられている。この弾性突部12cは、第二ホルダ7の係合部7dの突部7xに回転方向に係合するためのものである。この弾性突部12cは、周方向に沿う四等配の位置(90°間隔の位置)に配設される四片の突部であり、図24及び図25に示すように、当該突部の内側に向かう頂部に、第二ホルダ7の三角山形形状の突部7xが進入するV字状の軸線方向に延びる溝12dが設けられている。また、図22及び図24に示すように、後側の内筒12の軸線方向における延出壁12bと弾性突部12cとの間の外周面には、本体筒10の環状溝10fに軸線方向に係合するための環状突部12eが設けられている。
【0036】
これらの後側及び前側の内筒12,13にあっては、図18〜図21に示すように、後側の内筒12の延出壁12bが、前側の内筒13の環状部13cの溝13dを通してスリット13aに進入すると共に、前側の内筒13の延出壁13bが、後側の内筒12のスリット12aに進入し、回転不能且つ軸線方向移動可能に連結されている。
【0037】
そして、これらの後側及び前側の内筒12,13より成る内筒11は、図5に示すように、その前側から本体筒10に内挿され、後側の内筒12の環状突部12eが、本体筒10の環状溝10fに係合することで、後側の内筒12が本体筒10に対して回転可能且つ軸線方向移動不能に装着されている。
【0038】
この状態で、内筒11には、その前側から螺子棒14の雄螺子14fが内挿され、図3に示すように、当該雄螺子14fが、前側の内筒13の雌螺子13x,13xに螺合する係合状態とされている。すなわち、螺子棒14は、前側の内筒13と螺合状態にある。
【0039】
また、この状態で、本体筒10の内周段差面10eと前側の内筒13の環状部13cの前側の端面との間には、圧縮コイルバネ16が、前側の内筒13の後半部及び後側の内筒12の前半部を囲繞するように(図5及び図17参照)して配設されている。この圧縮コイルバネ16の付勢力により、前側の内筒13は、後側の内筒12に押し付けられ、図3に示す後退限に位置する状態とされている。
【0040】
このような構成の棒状化粧料カートリッジ1を組み立てる場合には、先ず、圧縮コイルバネ16を螺子棒14の後側から外挿し、次いで、後側及び前側の内筒12,13を各スリットに相手側の各延出壁が進入するようにして組み立て、次いで、この組み立てられた内筒11と、圧縮コイルバネ16により囲繞されている螺子棒14とを螺合させて螺子込む。
【0041】
ここで、螺子棒14を前側の内筒13に螺子込もうとする際にあっては、螺子棒14の後端の膨出部14gが前側の内筒13の螺合突起13xに突き当たるが、前側の内筒13のスリット13mにより、前側の内筒13の先端側が半径方向外側に開き、螺子棒14の膨出部14gは、螺合突起13x,13xを越えて後部側に進入し、螺子棒14の雄螺子14fが螺合突起13x,13xに螺合する。この螺合状態で螺子棒14を後退限まで螺子込む。次いで、これらの組立体を本体筒10の後側から内挿して組み込み、最後に棒状化粧料Mを本体筒10の前側から挿入して螺子棒14に装着すれば良い。
【0042】
そして、このようにして得られた棒状化粧料カートリッジ1は、図3及び図5に示すように、その後部からカートリッジ収容容器2の一方端側の開口に内挿され、その本体筒10の外周段差面10aがカートリッジ収容容器2の第一ホルダ6の鍔部6aの端面に当接し、その本体筒10のOリング15及び突部10bが、カートリッジ収容容器2の第一ホルダ6の内周面に当接すると共に、その本体筒10の突部10bの前側にカートリッジ収容容器2の第一ホルダ6の環状突部6gが位置することで、その本体筒10が、カートリッジ収容容器2に対して回転可能に連結されていると共に、例えば棒状化粧料Mが使用限に達し棒状化粧料カートリッジ1ごとの交換が必要な場合等で使用者により所定の力で引き抜かれる以外は、カートリッジ収容容器2に対して軸線方向移動不能とされている。
【0043】
この棒状化粧料カートリッジ1がカートリッジ収容容器2に装着されている状態にあっては、棒状化粧料カートリッジ1の後側の内筒12の弾性突部12c,12c同士の間及び弾性突部12cのV字状の溝12dに、カートリッジ収容容器2の第二ホルダ7の三角山形形状の突部7xが進入して係合し、後側の内筒12とカートリッジ収容容器2とが回転不能に連結されている。
【0044】
このように構成された棒状化粧料繰出容器100にあっては、カートリッジ収容容器2と棒状化粧料カートリッジ1の本体筒10のカートリッジ収容容器2からの突出部分を持って相対回転すると、カートリッジ収容容器2と後側の内筒12が回転不能に連結されていると共に、後側の内筒12と前側の内筒13が回転不能に連結され、さらに、前側の内筒13の螺合突起13xと螺子棒14の雄螺子14fが螺合機構を構成すると共に、螺子棒14の支持片14dと本体筒10の進退溝10gが回り止め機構を構成しているため、螺子棒14が円滑に進退し、棒状化粧料Mが本体筒10の先端から突出することで塗布が可能とされる。
【0045】
ここで、螺子棒14が前進を続け、当該螺子棒14の膨出部14g(図16参照)が、図5に示すように、前側の内筒13の螺合突起13xに突き当たる(当接する)と、ここが螺子棒14の最大繰り出しとなる。すなわち、螺子棒14の膨出部14gが前側の内筒13の螺合突起13xに突き当たることで、螺子棒14は前進限に達する。
【0046】
この時、螺子棒14における棒状化粧料Mを支持している支持片14dのその先端と進退溝10gの先端面10ggとの間には、所定の隙間zが存在し、支持片14dの先端と進退溝10gの先端面10ggとは接触していない。
【0047】
このように、支持片14dを有する支持部14aから軸線方向後方に雄螺子14fを介し離れて位置する膨出部14gが、螺子棒14の繰り出し時に前側の内筒13の螺合突起13xに当接し螺子棒14の最大繰り出しとする前進限として機能し、支持部14a(特に支持片14d)は前進限とされずに進退溝10gの先端面10gg等に接触することが無く、従って、螺子棒14が前進限に達した時に支持部14dには負荷が殆ど作用せず、この支持部14dに支持されている棒状化粧料Mの折損や抜け出しが防止されている。
【0048】
また、螺子棒14が前進限や後退限の進退限に達しさらに螺子棒14に使用者により同方向の相対回転力が付与されると、後側の内筒12の後端の弾性突部12cが半径方向に弾力的に押し開き可能なため、当該弾性突部12cが、第二ホルダ7の断面三角山形形状の突部7xを乗り越えて隣の突部7xに係合する動作を繰り返す所謂クラッチとして機能し、部品に過負荷が作用することが無く、部品の損傷が防止されている。
【0049】
また、このような棒状化粧料繰出容器100にあっては、例えば、当該棒状化粧料繰出容器100を落とす等して衝撃や振動が作用しても、カートリッジ収容容器2と後側の内筒12が軸線方向移動不能に連結されていると共に、後側の内筒12と前側の内筒13が回転不能且つ軸線方向移動可能に連結されているため、後側の内筒12は軸線方向に移動すること無く従って後側の内筒12に対して後側から確実に回転力が付与される状態が維持されると共に、前側の内筒13は後側の内筒12を残した状態で、当該前側の内筒13に螺合する螺子棒14を伴って圧縮コイルバネ16の付勢力に抗して当該圧縮コイルバネ16を圧縮しつつ前進し、この時、前側の内筒13は、その延出壁13bが後側の内筒12のスリット12aを摺動しながら前進し、この前進及び圧縮コイルバネ16の圧縮作用により衝撃や振動が吸収されて、棒状化粧料Mの螺子棒14からの抜け出し及び折損が防止されている。そして、衝撃が無くなると、圧縮コイルバネ16が前側の内筒13を弾発し、前側の内筒13は、その延出壁13bが後側の内筒12のスリット12aを摺動しながら後退し、前側の内筒13及び螺子棒14は当初の位置に戻される。
【0050】
このように、本実施形態においては、棒状化粧料Mが本体筒10の先端から良好に出没すると共に、衝撃や振動が作用した時や螺子棒14が前進限に達した時に棒状化粧料Mの抜け出しや折損が防止されている。この結果、その繰り出し機能を従前に比して損なうことが無いと共に、品質が高められた棒状化粧料カートリッジ1を提供することができる。
【0051】
また、本実施形態においては、前側の内筒13の各延出壁13bの先端部を、その周方向に沿って連結する環状部13cを備えているため、当該環状部13cにより、各延出壁13bが補強され、各延出壁13bの厚み方向(内側及び外側)の移動(倒れ)が良好に拘束されている。その結果、延出壁13bと当該延出壁13bの内側に配置されている螺子棒14の雄螺子14fとの干渉が防止され、螺子棒14の所望の動きが確保されていると共に、延出壁13bと当該延出壁13bの外側に配置されている圧縮コイルバネ16との干渉が防止され、圧縮コイルバネ16の所望の動きが確保されている。
【0052】
さらにまた、前側の内筒13の延出壁13b,13b同士の間に形成されたスリット13a及びこのスリット13aに進入する後側の内筒12の延出壁12bが、当該延出壁12bの内側への移動(倒れ)を拘束する形状、具体的には、内周面及び外周面が円弧面とされ内周面に比して外周面が長くされる横断面略扇形形状とされているため、延出壁12bの内側に配置されている螺子棒14の雄螺子14fと当該延出壁12bとの干渉が防止され、螺子棒14の所望の動きがさらに確保されている。
【0053】
以上、本発明をその実施形態に基づき具体的に説明したが、本発明は上記実施形態に限定されるものではなく、例えば、上記実施形態においては、前側の内筒13の延出壁13bの剛性を高めるべく環状部13cを設けるようにしているが、この前側の内筒13の環状部13cを無くしてこれと同様な環状部を、後側の内筒12の延出壁12bの先端部の外周面を周方向に連結するようにして設け、後側の内筒12の延出壁12bの剛性を高めるようにしても良い。また、前側、後側の内筒の延出壁13b,12bの剛性が高ければ、環状部は無くても良い。
【0054】
また、上記実施形態においては、スリット13a及び延出壁12bを横断面略扇形形状として延出壁12bの内側の移動を防止するようにしているが、この横断面略扇形形状を逆さにした形状として延出壁12bの外側の倒れを防止し圧縮コイルバネ16との干渉を防止するようにしても良く、また、そろばんの珠のように中央が膨出する形状として、延出壁12bの厚み方向(内側及び外側)の移動を拘束する構成としても良い。なお、前側の内筒13の環状部13cを無くして後側の内筒12に環状部を設けた場合には、後側の内筒12のスリット12a及び延出壁12bにより、前側の内筒13の延出壁13bの内側且つ/又は外側への移動を防止することになり、また、後側及び前側の両方の内筒12,13に環状部を設けない場合には、互いのスリット及び延出壁により、相手側の延出壁の内側且つ/又は外側への移動を防止することになる。
【0055】
また、上記実施形態においては、棒状化粧料カートリッジ1を交換するものとして、棒状化粧料カートリッジ1をカートリッジ収容容器2に対して着脱可能としているが、着脱不能とすることも勿論可能である。
【0056】
また、上記実施形態においては、横断面が楕円形状の棒状化粧料Mに対する適用を述べているが、勿論横断面が円形形状の棒状化粧料に対しても適用可能であり、この場合には、楕円孔10dを円形孔とし、支持部14aの基部14cを円柱形状とすれば良い。
【0057】
また、上記実施形態においては、棒状化粧料カートリッジ1の短尺化を図るべく、圧縮コイルバネ16を、本体筒10の内部と前側の内筒13の後端部の外部との間、すなわち、本体筒10の内周段差面10eと前側の内筒13の環状部13cの前側の端面との間に配置しているが、例えば、本体筒10の内部と前側の内筒13の先端面との間に配置する構成を採用しても良く、要は、圧縮コイルバネ16は、前側の内筒13を後側に付勢できれば良い。また、前側の内筒13を後側に付勢するのは圧縮コイルバネ16に限定されるものではなく、圧縮コイルバネ16と略同様な機能を発揮する付勢手段であれば良く、例えば、前側の内筒13を後側に付勢する引っ張りバネであっても良く、さらには、例えば樹脂等で構成される樹脂バネ等であっても良い。
【0058】
また、上記実施形態においては、螺合機構を、螺子棒14の雄螺子14f及び前側の内筒13の螺合突起13xにより構成しているが、螺合機構は、螺旋状部、又は、間欠的に配される突起群、又は、螺旋状且つ間欠的に配される突起群等、螺子山と同様な働きをするものであれば良い。
【図面の簡単な説明】
【0059】
【図1】本発明の実施形態に係る棒状化粧料カートリッジを備えた棒状化粧料繰出容器を示す側面図である。
【図2】図1に示す棒状化粧料繰出容器の塗布具のキャップを外した図である。
【図3】図1に示す棒状化粧料繰出容器の縦断面図であり、棒状化粧料を繰り出す前の状態図である。
【図4】図3に示す棒状化粧料繰出容器の直交縦断面図であり、塗布具のキャップを外し棒状化粧料を前進限に繰り出した状態図である。
【図5】図4に示す棒状化粧料繰出容器の棒状化粧料カートリッジの拡大縦断面図である。
【図6】図3及び図4中の第一ホルダを示す側面図である。
【図7】図6のVII−VII矢視図である。
【図8】図3及び図4中の第二ホルダを示す側面図である。
【図9】図8に示す第二ホルダの左側面図である。
【図10】図8に示す第二ホルダの縦断面図である。
【図11】図1〜図5中の棒状化粧料カートリッジを構成する本体筒を示す側面図である。
【図12】図11に示す本体筒の縦断面図である。
【図13】図12のXIII−XIII矢視図である。
【図14】図3〜図5中の螺子棒を示す側面図である。
【図15】図14に示す螺子棒の左側面図である。
【図16】図14に示す螺子棒の後端部の拡大図である。
【図17】図5中の前側及び後側の内筒並びに圧縮コイルバネを示す斜視図である。
【図18】図5中の前側及び後側の内筒を示す斜視図である。
【図19】図18に示す内筒の縦断斜視図である。
【図20】図18に示す内筒の分解斜視図である。
【図21】図20を軸線方向反対側から見た斜視図である。
【図22】図17〜図21中の後側の内筒を示す側面図である。
【図23】図22に示す後側の内筒の左側面図である。
【図24】図22に示す後側の内筒の直交縦断面図である。
【図25】図24に示す後側の内筒の右側面図である。
【図26】図17〜図21中の前側の内筒を示す側面図である。
【図27】図26に示す前側の内筒の右側面図である。
【図28】図26に示す前側の内筒の縦断面図である。
【図29】図28のXXIX−XXIX矢視図である。
【図30】図28に示す前側の内筒の直交縦断面図である。
【符号の説明】
【0060】
1…棒状化粧料カートリッジ、10…本体筒(外筒)、11…内筒、12…後側の内筒、13…前側の内筒、13x…前側の内筒の螺合突起(前側の内筒の雌螺子)、14…螺子棒、14a…支持部、14b…軸体部、14d…支持片、14f…螺子棒の雄螺子、14g…膨出部、16…圧縮コイルバネ(付勢手段)、100…棒状化粧料繰出容器、M…棒状化粧料。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
棒状化粧料の後端部を支持し外部に雄螺子を備える螺子棒と、その内部に前記雄螺子が螺合する雌螺子を備える内筒と、その前側に前記螺子棒を回転不能且つ軸線方向に摺動可能に収容すると共に、その後側に前記内筒を収容する外筒と、を備え、前記外筒と前記内筒とが相対回転されると前記棒状化粧料が進退し前記外筒の先端から出没する棒状化粧料カートリッジであって、
前記内筒は、
前記外筒に回転可能且つ軸線方向移動不能に収容されると共に後側から回転力が付与されて前記外筒と相対回転する後側の内筒と、
その内部に前記雌螺子を有し、前記後側の内筒に対して軸線方向移動可能且つ回転不能に連結されて前記外筒に収容される前側の内筒と、を有し、
前記外筒の内部と前記前側の内筒の外部との間には、前記前側の内筒を後側に付勢する付勢手段が配置され、
前記螺子棒は、前記棒状化粧料の後端部を支持する支持部から軸体部が後方に延在し当該軸体部の外部に前記雄螺子が設けられると共に、この軸体部の雄螺子の後端に径方向に膨出する膨出部が設けられ、
前記螺子棒の繰り出し時に前記膨出部が前記前側の内筒の前記雌螺子に当接し前記螺子棒の最大繰り出しとすることを特徴とする棒状化粧料カートリッジ。
【請求項2】
前記雌螺子は、螺旋状に一定区間突出して成る螺合突起であり、この螺合突起は、前記前側の内筒の軸線を中心に180°回転した内筒内周面の二箇所に設けられていることを特徴とする請求項1記載の棒状化粧料カートリッジ。
【請求項1】
棒状化粧料の後端部を支持し外部に雄螺子を備える螺子棒と、その内部に前記雄螺子が螺合する雌螺子を備える内筒と、その前側に前記螺子棒を回転不能且つ軸線方向に摺動可能に収容すると共に、その後側に前記内筒を収容する外筒と、を備え、前記外筒と前記内筒とが相対回転されると前記棒状化粧料が進退し前記外筒の先端から出没する棒状化粧料カートリッジであって、
前記内筒は、
前記外筒に回転可能且つ軸線方向移動不能に収容されると共に後側から回転力が付与されて前記外筒と相対回転する後側の内筒と、
その内部に前記雌螺子を有し、前記後側の内筒に対して軸線方向移動可能且つ回転不能に連結されて前記外筒に収容される前側の内筒と、を有し、
前記外筒の内部と前記前側の内筒の外部との間には、前記前側の内筒を後側に付勢する付勢手段が配置され、
前記螺子棒は、前記棒状化粧料の後端部を支持する支持部から軸体部が後方に延在し当該軸体部の外部に前記雄螺子が設けられると共に、この軸体部の雄螺子の後端に径方向に膨出する膨出部が設けられ、
前記螺子棒の繰り出し時に前記膨出部が前記前側の内筒の前記雌螺子に当接し前記螺子棒の最大繰り出しとすることを特徴とする棒状化粧料カートリッジ。
【請求項2】
前記雌螺子は、螺旋状に一定区間突出して成る螺合突起であり、この螺合突起は、前記前側の内筒の軸線を中心に180°回転した内筒内周面の二箇所に設けられていることを特徴とする請求項1記載の棒状化粧料カートリッジ。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図20】
【図21】
【図22】
【図23】
【図24】
【図25】
【図26】
【図27】
【図28】
【図29】
【図30】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図20】
【図21】
【図22】
【図23】
【図24】
【図25】
【図26】
【図27】
【図28】
【図29】
【図30】
【公開番号】特開2007−75442(P2007−75442A)
【公開日】平成19年3月29日(2007.3.29)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−268921(P2005−268921)
【出願日】平成17年9月15日(2005.9.15)
【出願人】(000001959)株式会社資生堂 (1,748)
【出願人】(591147339)株式会社トキワ (141)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成19年3月29日(2007.3.29)
【国際特許分類】
【出願日】平成17年9月15日(2005.9.15)
【出願人】(000001959)株式会社資生堂 (1,748)
【出願人】(591147339)株式会社トキワ (141)
【Fターム(参考)】
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