説明

棒状化粧料容器

【課題】簡単な構造により、棒状化粧料を出没させるにあたり過剰な軸筒の回転操作がなされても、棒状化粧料容器自体の損壊を防止するとともに、その過剰操作を使用者に警告する。
【解決手段】ネジ駒14の回転によって前後方向へ摺動するチャック軸19を、チャック部20と雄ネジ部25及びその間に設けられるバネ部27とからなるものとするとともに、該チャック部の前後方向への摺動可能距離よりも雄ネジ部の最先端ネジ山と最後端ネジ山との距離を若干長く設定することにより、軸筒を過剰に回転させても、ネジ駒と雄ネジ部との噛合の解離と、バネ部の弾撥力によるクリック音を伴う再噛合とを繰り返すこととなる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本願発明は、例えばアイブロー、アイライナー、アイシャドー又はリップライナー等の細径化された棒状化粧料を出没自在に収容する棒状化粧料容器に関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、例えば上記各種棒状化粧料を出没自在に収容する棒状化粧料容器は、棒状化粧料を保持する芯チャックをネジ機構を利用して容器本体内で前後方向に摺動して、棒状化粧料を棒状化粧料容器内外に出没させるものである。
【0003】
例えば、該棒状化粧料容器は、内壁面に案内溝を溝設する芯筒、ネジ駒を固持する軸筒、及び棒状化粧料を保持するとともに芯チャックと一体となり、その外周面にネジ駒と噛合するネジ部を螺設する押棒から構成するものとした上で、押棒と一体となる芯チャック部の外周面にストッパーリングを装着するとともに、該押棒の後端縁にはストッパーを配設してなるものである。そして該棒状化粧料容器において、軸筒を回転させることで軸筒内で固持されるネジ駒も共回りして、該ネジ駒と噛合する押棒が棒状化粧料容器内を前後方向に摺動することで、該押棒と一体となる芯チャック部に保持された棒状化粧料が芯筒の開口部より出没するものである(特許文献1参照)。
【0004】
ところで、上記棒状化粧料容器では、棒状化粧料の出没操作時に、軸筒を過剰に回転させることで押棒が前後方向に摺動しすぎて押棒とネジ駒との噛合が解離し、棒状化粧料の出没操作が行えなくなることを防止するために、上記押棒と一体となる芯チャック部の外周面にはストッパーリングが、又、押棒の後端縁にはストッパーがそれぞれ配設されており、後方への摺動時には該ストッパーリングがネジ駒と係止し、前方への摺動時にはストッパーがネジ駒と係止することで、過剰な軸筒の回転による両者の噛合の解離を防止している。
ところで、この棒状化粧料容器におけるストッパーリングは、押棒とは別体である芯チャック部の外周に周設される係止溝内にOリングを保持することにより構成されてなるものであるが、該係止溝内に保持されるOリングは弾性体であって容易に変形しうるので、棒状化粧料の出没操作時に押棒の表面との摩擦により捩れやすく、また互いに噛合するネジ駒と押棒との間に噛み込まれやすいものである。そのため一旦該Oリングが変形又はネジ駒と押棒との間に噛み込まれてしまうと、両者の噛合が阻害され、軸筒による棒状化粧料の出没操作を行えなくなる恐れがある。またOリング自体は芯チャック部とは別体であるので部品点数が増加するとともに、製造工程が複雑となって作業性が低下してしまうので、棒状化粧料容器の製造コストの上昇を招来するものである。
【0005】
しかし何より、ストッパーリングやストッパーによって、過剰な軸筒の回転による押棒とネジ駒との噛合の解離を防止しようとしていることから、該ストッパーリング等によって押棒の前後方向への摺動が停止させられた際に、軸筒を回転させている使用者がその手応えを感じてそれ以上の軸筒の回転操作を控えればよいが、手応えを感じないあるいは手応えを感じてもあえて過剰に軸筒を回転させると、その棒状化粧料容器の出没機構そのものが損壊されるおそれがあった。
【特許文献1】特開平9−276041号
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
解決しようとする問題点は、簡単な構造として、棒状化粧料の出没操作時に軸筒を過剰に回転させることがあっても出没機構を損壊することがなく、逆に、ネジ駒と押棒との噛合が一旦解離しても、迅速且つ確実に、しかも容易に両者の噛合を回復させるとともに、その製造コストの低減を図ることである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
そこで、相互に個別回転可能に一体となる先筒と軸筒とからなる容器本体と、該容器本体内において先筒の開口部より棒状化粧料を出没させてなるネジ駒及びチャック軸とから構成され、
該先筒は、内周面前後方向に案内溝を有し、
該軸筒は、その内周面にチャック軸の雄ネジ部と噛合する雌ネジ部が螺設されるネジ駒を一体に固持し、
該チャック軸は、チャック部、雄ネジ部、及びそれらの間に一体に形成されるバネ部からなり、該チャック部は、その前端縁において棒状化粧料を把持するとともに、その側面に、前記先筒の内周面に設けられた案内溝に遊嵌する突条縁が設けられ、更に、その後端縁には径外方向に突出する鍔部が周設され、該雄ネジ部は、前記ネジ駒の雌ネジ部と噛合し、該バネ部は、上記チャック部と雄ネジ部との間において、該容器本体前後方向に伸縮自在に形成され、
軸筒と同期するネジ駒の回転並びに突条縁の案内溝への遊嵌による、チャック部の容器本体内での前後方向の摺動を、該容器本体内の前後に設けられた2個のストッパーに対するチャック部の鍔部の係止によって規制するとともに、その摺動可能距離よりも、前記雄ネジ部の最先端ネジ山と最後端ネジ山との距離を若干長く設定することにより、
軸筒の過剰回転操作によって、ネジ駒の雌ネジ部とチャック軸の雄ネジ部との噛合が解離することがあっても、前記バネ部の弾撥力によって、両ネジ部が再噛合するものである。
【0008】
そのため、使用者が棒状化粧料を容器本体の先筒の開口部より突出させる方向へ軸筒を回転させた場合、チャック部の鍔部が容器本体内の前方のストッパーと係止するに至ると、チャック部はそれ以上前進できず、棒状化粧料がそれ以上容器本体より突出することはなくなる。ところが、不注意等によりさらに軸筒を同方向へ回転させてしまうと、チャック部の前後方向への摺動可能距離よりも、雄ネジ部の最先端ネジ山と最後端ネジ山との距離の方が若干長いことから、チャック軸のバネ部を圧縮しつつ、チャック軸の雄ネジ部が前進し、チャック軸の雄ネジ部とネジ駒の雌ネジ部との噛合が解離する。しかし、次の瞬間、圧縮されたバネ部の弾撥力によりチャック軸の雄ネジ部は容器本体後端側に押し戻され、ネジ駒の雌ネジ部とチャック軸の雄ネジ部とは再噛合する。この再噛合に際してクリック音が発生することから、使用者に対する過剰回転であることの警告となる。又、仮に同方向への軸筒の回転が繰り返されても、チャック軸の雄ネジ部の前進、同雄ネジ部とネジ駒の雌ネジ部の噛合の解離及び、両者の再噛合が繰り返されるだけで、ネジ駒及びチャック軸からなる棒状化粧料の出没機構自体に対して余分な負荷がかかることはなく、該出没機構の損壊を防止できるものである。
【0009】
また、使用者が棒状化粧料を容器本体の先筒の開口部内に没入させるため軸筒を逆に回転させた場合、チャック部の鍔部が容器本体内の後方のストッパーと係止するに至ると、チャック部はそれ以上後退できず、棒状化粧料がそれ以上容器本体内に後退することはなくなる。ところが、不注意等によりさらに軸筒を同方向へ回転させてしまうと、チャック部の前後方向への摺動可能距離よりも、雄ネジ部の最先端ネジ山と最後端ネジ山との距離の方が若干長いことから、チャック軸のバネ部を引張しつつ、チャック軸の雄ネジ部が後退し、チャック軸の雄ネジ部とネジ駒の雌ネジ部との噛合が解離する。しかし、次の瞬間、引張されたバネ部の弾撥力によりチャック軸の雄ネジ部は容器本体前端側に引き戻され、ネジ駒の雌ネジ部とチャック軸の雄ネジ部とは再噛合する。この再噛合に際してクリック音が発せられることや、出没機構自体の損壊を防止できることは、前述の場合と同様である。
【発明の効果】
【0010】
本願発明は、簡単な構造により、棒状化粧料の出没操作時において軸筒を過剰に回転させることがあっても、その過剰な軸筒の回転によって軸筒に固持されるネジ駒の雌ネジ部と棒状化粧料を保持するチャック軸の雄ネジ部との螺合を一旦解離させた上、両者の噛合を迅速且つ確実に、しかも容易に復活させることで、ネジ駒とチャック軸からなる出没機構の損壊を防止して継続して当該棒状化粧料容器を使用しうるようにするとともに、部品点数の削減及び製造作業の簡易化により製造コストの抑制を図ることができる優れた効果を有する。
【実施例】
【0011】
図1乃至図4に示す1は、本願発明の実施例における棒状化粧料容器であり、先端に開口部4を有する先筒3、該先筒3に対して回転自在に取り付けられる軸筒12とからなる容器本体2内には、先筒3の開口部4より棒状化粧料28を出没させてなるチャック軸19と、軸筒12内周面に一体に固持され、該チャック軸19を構成する雄ネジ部25と螺合するネジ駒14とが内挿されている。(なお、本明細書においては、容器本体2の先筒3の開口部4方向を前もしくは先、軸筒12の方向を後として方向を指示する。)
【0012】
該先筒3は、外周面に段部となる係止縁5を周設すると共に、その後方には、軸筒12(後述する。)の内周面に周設する係止凹縁13と嵌合して、離脱不能であって且つ相互に個別回転可能となる回転嵌合部29を形成する係止凸縁6が円周方向に周設されている。また該先筒3の内部には、先筒3の開口部4よりチャック部20に保持する棒状化粧料28を出没させてなるチャック軸19(後述する。)が内挿される摺動孔7が前後方向に穿設されている。そして該摺動孔7の前方側は、チャック軸19のチャック部20の外径と略同一の内径を有する小径部8に、又、後方側はチャック軸19に周設される第1鍔部23及び第2鍔部24の外径と略同一の内径を有する大径部9となっている。さらに該小径部8と大径部9との境界においては段部10が形成されている。その上、先筒3の摺動孔7の小径部8の内周面には、チャック軸19(後述する。)のチャック部20の外周面に互いに対向するように配設された4本の突条縁21が遊嵌し、該チャック部20を容器本体2前後方向に案内してなる案内溝11が形成されている。
【0013】
該軸筒12は、一端を封止した円筒形状であって、その内周面の前端縁近傍では、先筒3の外周面の係止凸縁6と嵌合して、離脱不能であって且つ相互に個別回転可能となる回転嵌合部29を形成する係止凹縁13が円周方向に周設されている。また軸筒12の内周面の略中央には、チャック軸19(後述する。)の雄ネジ部25と噛合する、前方へ向かって左螺旋状の雌ネジ部15がその内周面に螺設されるネジ駒14が一体に固持されている。なお、該ネジ駒14は中空の円筒状であり、その内周の後端側略半分にだけ前述の雌ネジ部15が螺設されているものである。そして、その前端縁16が先筒3の後端縁に当接するとともに、該先筒3に設けられた摺動孔7の径大部よりも僅かに径内方向に突出するように設定されている。このように、ネジ駒14の内周面に螺設される雌ネジ部15の長さは、チャック軸19の雄ネジ部25の長さに比して著しく短く、またチャック軸19の雄ネジ部25が最大限摺動した際には、ネジ駒14の雌ネジ部15とチャック軸19の雄ネジ部25との噛合が解離しうるようになっている。なお、ネジ駒14の雌ネジ部15における両端の歯部17の厚さは、それ以外の歯部17と比べて薄くなっている。
【0014】
以上より、前記容器本体2をなす先筒3と軸筒12とは、先筒3の外周面に段部となる係止縁5に対して軸筒12の前端縁18を係止するとともに、先筒3の外周面の係止凸縁6と軸筒12の内周面の係止凹縁13とを嵌合させることで、離脱不能であって且つ相互に個別回転可能となる回転嵌合部29を形成して一体となるものである。
【0015】
一方、チャック軸19は、棒状化粧料28を把持してなるチャック部20、軸筒12の内周面に固持されるネジ駒14の雌ネジ部15と噛合する雄ネジ部25、及びそれらの間に一体に形成されるバネ部27が直列状になって構成されるものである。
そして、該チャック部20は、外周面に互いに対向するように4本の突条縁21が配設され、その前端縁近傍には棒状化粧料28を把持する把持孔22が穿設されている。この4本の突条縁21は、先筒3の摺動孔7の小径部8の内周面に設けられた案内溝11に遊嵌され、ネジ駒14の回転に伴うチャック軸19の供回りを防止している。一方、チャック部20の後端には、径外方向に突出するものであって、チャック軸19の前進時には摺動孔7内に設けられた段部10と当接して係止する第1鍔部23が前側に、又、チャック軸19の後退時にはネジ駒14の前端縁16と当接して係止する第2鍔部24が後ろ側に、それぞれ形成されている。すなわち、第1鍔部23を係止する段部10は前方のストッパーとして、又、同じく第2鍔部24を係止するネジ駒14の前端縁16は後方のストッパーとなっている。更に、第1鍔部23と第2鍔部24の2個の鍔部を形成することにより、チャック部20の前後方向への摺動可能距離を規制する際、鍔部の厚みではなく、その両鍔部23,24の設置距離を調整することにより、その摺動可能距離を調整することができる。
また該雄ネジ部25は、軸筒12の内周面に固持されるネジ駒14の内周面に螺設される雌ネジ部15と噛合できるように前方へ向かって左螺旋状であって、その最先端のネジ山と最後端のネジ山との間隔は、先筒3と軸筒12とを一体として、先筒3内の段部10と軸筒12内に固持されたネジ駒14の前端縁16との距離から、第1鍔部23と第2鍔部24との距離を減じた距離(例えば、約24mm)よりも若干長め(例えば、約0.5mm)となっている。すなわち、チャック部20は、ストッパーとなる段部10と第1鍔部23との係止位置と、同じくストッパーとなるネジ駒14の前端縁16と第2鍔部24との係止位置との間のみを前後に摺動することから、雄ネジ部25の最先端と最後端の各ネジ山間の距離はそのチャック部20の摺動可能距離(例えば約24mm)よりも若干長く(例えば約0.5mm)設定されていることとなる。なお、雄ネジ部25の両端の歯部26は、ネジ駒14の雌ネジ部15と同様に、それ以外の部分に比べて薄歯となっている。
更に該バネ部27は、上記チャック部20と雄ネジ部25との間に、容器本体前後方向に曲折して蛇腹状に形成され、該容器本体前後方向に伸縮自在となるものである。
【0016】
チャック軸19は以上のように構成されるので、使用者が容器本体2の先筒3の開口部4より棒状化粧料28を出没させるために行う軸筒12の回転操作において、軸筒12を過剰に回転させることで次のように機能するものである。
即ち、使用者は棒状化粧料28を容器本体2の先筒3の開口部4より突出させるために、軸筒12を右回転させるが、軸筒12を右回転し続けると、チャック軸19の第1鍔部23が先筒3内の摺動孔7に設けられた段部10に突き当り、チャック部20はそれ以上前進できなくなる。その際、使用者が不注意などにより更に軸筒12を右回転させてしまうと、後述するようにバネ部27が圧縮されることにより、前記ネジ駒14の雌ネジ部15とチャック軸19の雄ネジ部25との噛合が解離することとなる。すなわち、前述したようにチャック軸19の雄ネジ部25の最先端と最後端の各ネジ山間の距離が、先筒3内の段部10と軸筒12内に固持されたネジ駒14の前端縁16との距離から第1鍔部23と第2鍔部24との距離を減じた距離、すなわち、ストッパーとなる段部10とネジ駒14の前端縁16にそれぞれ係止する第1鍔部23及び第2鍔部24により、前後方向への摺動を規制されるチャック部20の摺動可能距離よりも若干長めに設定されていることから、軸筒12の更なる右回転、すなわちネジ駒14の更なる右回転により、チャック軸19は更に前進しようとする。ところが、チャック軸19の第1鍔部23が先筒3内の摺動孔7内に形成される段部10と当接して係止されているので、チャック軸19全体としては前進できないこととなる。そのため、結果的にチャック軸19のバネ部27を圧縮しつつ、チャック軸19の雄ネジ部25だけが前進し、ネジ駒14の雌ネジ部15とチャック軸19の雄ネジ部25との噛合が一旦解離することとなる。しかし、次の瞬間、圧縮されたバネ部27の弾撥力によりチャック軸19の雄ネジ部25は容器本体2後端側に押し戻され、ネジ駒14の雌ネジ部15とチャック軸19の雄ネジ部25とは再び噛合することとなる。その際、ネジ駒14の雌ネジ部15及びチャック軸19の雄ネジ部25の両端の歯部17、26は薄歯となっているので、再噛合後の回転始動が円滑となる。
【0017】
一方、使用者が棒状化粧料28を容器本体2の先筒3の開口部4より没入させるために軸筒12を左回転させた場合、軸筒12を左回転し続けると、チャック軸19の第2鍔部24が軸筒12内に固持されるネジ駒14の前端縁16に突き当り、チャック部20はそれ以上後退できなくなる。その際、使用者が不注意などにより更に軸筒12を左回転させてしまうと、後述するようにバネ部27が引張されることにより、前記ネジ駒14の雌ネジ部15とチャック軸19の雄ネジ部25との噛合が解離することとなる。すなわち、前述したように、チャック軸19の雄ネジ部25の最先端と最後端の各ネジ山間の距離が、先筒3内の段部10と軸筒12内に固持されたネジ駒14の前端縁16との距離から第1鍔部23と第2鍔部24との距離を減じた距離よりも若干長めに設定されていることから、軸筒12の更なる左回転、すなわちネジ駒14の更なる左回転により、チャック軸19は更に後退しようとする。ところが、チャック軸19の第2鍔部24がネジ駒14の前端縁16に当接して係止されているので、チャック軸19全体としては後退できないこととなる。そのため、結果的にチャック軸19のバネ部27が引張され、チャック軸19の雄ネジ部25だけが後退し、ネジ駒14の雌ネジ部15とチャック軸19の雄ネジ部25との噛合が一旦解離することとなる。しかし次の瞬間、引張されたバネ部27の収縮力によりチャック軸19の雄ネジ部25は容器本体2前端側に引き戻され、ネジ駒14の雌ネジ部15とチャック軸19の雄ネジ部25とは再び噛合することとなる。その際、ネジ駒14の雌ネジ部15及びチャック軸19の雄ネジ部25の両端の歯部17、26が薄歯となっているので、再噛合後の回転始動が円滑となる。
【0018】
以上より、図3に示すように、本願発明の実施例である棒状化粧料容器1を構成する先筒3と軸筒12からなる容器本体2とチャック軸19とは次のようにして一体となる。即ち、チャック軸19のチャック部20が把持する棒状化粧料28の出没に際して、チャック軸19の前進時には第1鍔部23が摺動孔7内の段部10と当接し、後退時には第2鍔部24がネジ駒14の前端縁16と当接してバネ部27を伸縮自在としてなるように、チャック軸19の雄ネジ部25と軸筒12に固持されるネジ駒14の雌ネジ部15とを噛合させた上、先筒3の係止凸縁6と軸筒12の係止凹縁13とにより回転嵌合部29を形成して一体とするものである。
【0019】
そこで、本願発明の実施例における棒状化粧料容器1は上記のように構成されるので、使用者は次のようにして棒状化粧料容器1を使用するものである。
まず、使用に際しては、容器本体2の先筒3を持って軸筒12を右回転させると、該軸筒12の内周面において固持されるネジ駒14は軸筒12と一体に共回りする。そのため、該ネジ駒14の内側面に螺設される雌ネジ部15と噛合する雄ネジ部25を有するチャック軸19は、突条縁21が先筒3の案内溝11に遊嵌していることから回転せず、前進する。その結果、容器本体2内でチャック軸19のチャック部20に保持される棒状化粧料28は容器本体2の先筒3の開口部4より突出する。なお、この軸筒12の回転による棒状化粧料28の突出操作は、チャック軸19が容器本体2の先筒3の摺動孔7内を前進して、該摺動孔7内に形成される段部10とチャック軸19の第1鍔部23とが当接するまで行うことができる。
【0020】
そして、このように棒状化粧料28を突出させるため軸筒12を右回転させ続けると、最終的にチャック軸19の第1鍔部23と先筒3の摺動孔7内に形成される段部10とが当接し、チャック部20は前進できなくなる。
このような状態で使用者が不注意などにより軸筒12を更に右回転させてしまうと、前述したように、チャック軸19のバネ部27を圧縮しつつ、チャック軸19の雄ネジ部25だけが前進し、ネジ駒14の雌ネジ部15とチャック軸19の雄ネジ部25との噛合が一旦解離することとなるが、次の瞬間には該圧縮されたバネ部27の弾撥力によりチャック軸19の雄ネジ部25は容器本体2後端側に押し戻され、ネジ駒14の雌ネジ部15とチャック軸19の雄ネジ部25とは再噛合し、その際、クリック音を発することとなる。
使用者はこのクリック音により、それ以上の右回転が過剰であることを認識することができ、不必要な右回転を停止し、もしくは逆に軸筒12を左回転させることとなる。
【0021】
一方使用後においては、先筒3を持って軸筒12を左回転させると、該軸筒12の内周面において固持されるネジ駒14も一体に共回りする。そのため、該ネジ駒14の内側面に螺設される雌ネジ部15と噛合する雄ネジ部25を有するチャック軸19は、突条縁21が先筒3の案内溝11に遊嵌していることから回転せず、後退する。その結果、容器本体2外に突出していた棒状化粧料28は容器本体2の先筒3の開口部4より没入する。なお、この軸筒12の回転による棒状化粧料28の没入操作は、チャック軸19が容器本体2の先筒3の摺動孔7内を後退して、該軸筒12内に固持されるネジ駒14の前端縁16とチャック軸19の第2鍔部24とが当接するまで行うことができる。
【0022】
そして、このように棒状化粧料28を没入させるため軸筒12を左回転させ続けると、最終的にチャック軸19の第2鍔部24と軸筒12内に固持されるネジ駒14の前端縁16とが当接することで、チャック部20は後退できなくなる。
このような状態で使用者が不注意などにより軸筒12を更に左回転させてしまうと、前述したように、チャック軸19のバネ部27を引張しつつ、チャック軸19の雄ネジ部25だけが後退し、ネジ駒14の雌ネジ部15とチャック軸19の雄ネジ部25との噛合が一旦解離することとなるが、次の瞬間には該引張されたバネ部27の収縮力によりチャック軸19の雄ネジ部25は容器本体2前端側に引き戻され、ネジ駒14の雌ネジ部15とチャック軸19の雄ネジ部25とは再噛合し、その際、クリック音を発することとなる。
使用者はこのクリック音により、それ以上の左回転が過剰であることを認識することができ、不必要な左回転を停止し、もしくは逆に軸筒12を右回転させることとなる。
【産業上の利用可能性】
【0023】
本願発明は、棒状化粧料だけでなく、棒状の糊等の接着剤の繰出容器としても適用することができる。
【図面の簡単な説明】
【0024】
【図1】本願発明の実施例である棒状化粧料容器の正面図である。
【図2】本願発明の実施例である棒状化粧料容器の使用状態を示す正面図である。
【図3】本願発明の実施例である棒状化粧料容器の拡大横断面図である。
【図4】本願発明の実施例である棒状化粧料容器における使用状態を示す拡大横断面図である。
【符号の説明】
【0025】
1 棒状化粧料容器
2 容器本体
3 先筒
4 開口部
5 係止縁
6 係止凸縁
7 摺動孔
8 小径部
9 大径部
10 段部
11 案内溝
12 軸筒
13 係止凹縁
14 ネジ駒
15 雌ネジ部
16 前端縁
17 (雌ネジ部の)両端の歯部
18 (軸筒の)前端縁
19 チャック軸
20 チャック部
21 突条縁
22 把持孔
23 第1鍔部
24 第2鍔部
25 雄ネジ部
26 (雄ネジ部の)両端の歯部
27 バネ部
28 棒状化粧料
29 回転嵌合部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
相互に個別回転可能に一体となる先筒と軸筒とからなる容器本体と、該容器本体内において先筒の開口部より棒状化粧料を出没させてなるネジ駒及びチャック軸とから構成され、
該先筒は、内周面前後方向に案内溝を有し、
該軸筒は、その内周面にチャック軸の雄ネジ部と噛合する雌ネジ部が螺設されるネジ駒を一体に固持し、
該チャック軸は、チャック部、雄ネジ部、及びそれらの間に一体に形成されるバネ部からなり、該チャック部は、その前端縁において棒状化粧料を把持するとともに、その側面に、前記先筒の内周面に設けられた案内溝に遊嵌する突条縁が設けられ、更に、その後端縁には径外方向に突出する鍔部が周設され、該雄ネジ部は、前記ネジ駒の雌ネジ部と噛合し、該バネ部は、上記チャック部と雄ネジ部との間において、該容器本体前後方向に伸縮自在に形成され、
軸筒と同期するネジ駒の回転並びに突条縁の案内溝への遊嵌による、チャック部の容器本体内での前後方向の摺動を、該容器本体内壁の前後に設けられた2個のストッパーに対するチャック部の鍔部の係止によって規制するとともに、その摺動可能距離よりも、前記雄ネジ部の最先端ネジ山と最後端ネジ山との距離を若干長く設定することにより、
軸筒の過剰回転操作によって、ネジ駒の雌ネジ部とチャック軸の雄ネジ部との噛合が解離することがあっても、前記バネ部の弾撥力によって、両ネジ部が再噛合することを特徴とする棒状化粧料容器。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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