説明

棒状化粧料容器

【課題】内部に収容されたレフィルの交換が容易で、このレフィルの先端を覆うキャップを紛失するおそれがない棒状化粧料容器を提供する。
【解決手段】レフィル24を収容するレフィルホルダ2の上側開口部2dに、上端にキャップ11を備える円筒状のレフィルカバー1を回転自在に取り付け、レフィルホルダ2の下側開口2eの内部に、レフィル24の回動操作部27bを固定するためのアダプタ3を、回転不能に嵌入するとともに、レフィル24上部の外筒25外径を、上記レフィルカバー1の内周1cに挿入して嵌合させ、レフィル24下部の回動操作部27bを、上記レフィルホルダ2の内周2cに嵌合したアダプタ3の内周面3eに押し込んで固定する。この棒状化粧料容器は、キャップ11を紛失するおそれがなく、また、下側の底部材4を取り去ることにより、レフィルホルダ2内に収容されたレフィル24を、簡単に交換することができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、口紅,リップクリーム等の棒状化粧料を繰り出して使用する容器に関するもので、特に、店頭等に展示され、ユーザーが試用することのできる口紅テスター等、棒状化粧料のテスターに適した容器に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来から、口紅等、棒状化粧料の色見本品を店頭等で展示する際には、図3に示すように、レフィルホルダ22の上側に色見本21(ダミーや色板,シール等)が取り付けられ、その下側に試供用の筒状カートリッジ(試供品用のレフィル24)が配設された棒状化粧料容器(テスター20)を各色ごとに用意し、これらを、上面に多数のテスター挿入穴30aが設けられた展示台30に並べて展示する方法が用いられている(例えば、特許文献1,2等を参照)。
【0003】
この試供品用のレフィル(あるいはリフィル:refill)24は、図5のように、外筒25と、らせん状の溝を有する螺旋筒26と、長手(軸)方向の案内溝を有する小径のガイド部27aおよび大径の回動操作部27bからなる内筒(案内筒27)と、外周に上記案内溝と係合する突起を有する繰出筒28とから構成されており、筒状体として組み立てられた状態で、上記外筒25と、この外筒25の下部からハカマ状に露出する上記案内筒27の回動操作部27bとを相対回転させることにより、上記繰出筒28に下端部を保持された棒状化粧料を、筒状体の軸方向に昇降させることができる(特許文献3,4等を参照)。
【0004】
また、上記レフィル24は、図4のように、その筒状体の開口(棒状化粧料の繰出し口)を下に向けた状態でアダプタ23に嵌入され、このアダプタ23ごとレフィルホルダ22の下端開口から押し込まれて、上記レフィルホルダ22の内側に下向きに保持されている。なお、アダプタ23の内周(筒部の底部近傍)には、上記案内筒27の回動操作部27bのみを固定する複数のリブ(図示省略)が設けられているため、上記レフィル24がレフィルホルダ22の内側に下向きに保持された際は、このレフィルホルダ22および上記アダプタ23と、上記レフィル24の回動操作部27bとが一体となって、上記外筒25に対して相対回転する。
【0005】
そして、ユーザーが試用する場合は、上記テスター20を展示台30から抜き出し、試供品用のレフィル24を上に向け、その状態で、レフィル24における上記レフィルホルダ22から露出(突出)している部位(筒状カートリッジの外筒)と、レフィルホルダ22とを相対回転させることにより、棒状化粧料を繰り出して、試し塗りを行なうことができるようになっている。
【0006】
なお、上述のような口紅のテスター20の展示方法では、テスター20が長期間展示されていると、試し塗りを繰り返されるために使い尽くされたり、すり減って見栄えが悪くなったりする場合がある。このようなときは、レフィルを新しいものと交換する必要があるが、試供品用のレフィル24は販売促進用として限定生産されたもので再入手が困難であるため、代わりに、図4のように、市販品(商品)に用いられている筒状カートリッジ(市販品用のレフィル29)を上記レフィルホルダ22に保持して展示することが行われる。
【0007】
ただし、通常、市販品用のレフィル29は、通常、その回動操作部29aに相当する部位の外径が、試供品用のレフィル24より大径に形成されているため、レフィルホルダ22の下端開口からそのまま押し込んで固定するか、あるいは、別途専用のアダプタを介して固定する方法が採られている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】特開平8−117069号公報
【特許文献2】特開平9−322820号公報
【特許文献3】特開2008−183211号公報
【特許文献4】特開2006−204415号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
ところで、このような口紅の展示方法においては、図3のように、テスター20は、その上部の色見本21がユーザーから見えるように載置され、その下部(サンプル品の部分)が展示台30の挿入穴30aに挿入されて隠れるため、下方を向くレフィル(24,29)の開口部には、カバーやキャップ等の蓋部材は特に設けられていない。
【0010】
しかしながら、近年、密着感やツヤ等を向上させた口紅等、従来よりオイルリッチで低融点の棒状化粧料が商品化されたことから、テスターを展示する場所によっては、夏場等の気温の上昇あるいは照明光による温度上昇等により、棒状化粧料が軟化してしまう場合があることが分かってきた。この棒状化粧料の軟化が極端な場合、開口を下にして展示されているレフィルから、溶融した棒状化粧料の滴が落下するおそれがあり、最悪の場合、棒状化粧料自身がレフィルから抜け落ちる等の問題が発生する可能性がある。
【0011】
そこで、レフィルを上向きに展示することも考えられるが、試用に供される棒状化粧料のテスターは、市販品とは異なり、不特定多数の人が使用するため、埃等を防ぐために蓋やキャップ等を設ける必要がある。しかし、この場合も、1)レフィルの交換が容易で、試供品用および市販用のレフィルに対応できること。2)蓋やキャップ等が簡単かつ直感的に開閉可能であること。3)開けた蓋やキャップ等を紛失しない構造であること、等が求められる。
【0012】
本発明は、このような事情に鑑みてなされたもので、内部に収容されたレフィルの交換が容易で、このレフィルの先端を覆うキャップを紛失するおそれがない棒状化粧料容器の提供をその目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0013】
上記の目的を達成するため、本発明は、外筒とこの外筒の下端開口から突出する内筒の回動操作部との相対回転に伴って、その内部に収容された棒状化粧料を昇降させるレフィルと、このレフィルを保持する筒状のレフィルホルダとを備える棒状化粧料容器であって、上記レフィルホルダの上端部には、円状の上側開口が設けられ、この上側開口内に、その縁部と係合する係合手段が形成された外周面を有するレフィルカバーが、上記レフィルホルダに対して回転自在に嵌入され、上記レフィルカバーの上端には、このレフィルカバーの上端開口を覆うキャップが、ヒンジを介して取り付けられて、上記レフィルホルダの下端部には下側開口が設けられ、この下側開口から、筒状のアダプタが上記レフィルホルダに対して回転不能に嵌入され、上記下側開口には、この開口を密閉する底部材が配置されて、上記レフィルが、その外筒を上記レフィルカバーの内周に嵌入し、その内筒の回動操作部を上記アダプタの内周に嵌入した状態で、交換可能に保持されているとともに、上記レフィルカバーとレフィルホルダとを相対回転させ、上記レフィルから棒状化粧料を繰り出す棒状化粧料容器を第1の要旨とする。
【0014】
また、本発明は、そのなかでも、特に、上記レフィルの回動操作部と嵌合する上記筒状のアダプタの内周面に、上記底部材側に向かって階段状に縮径する円周段部が形成されている棒状化粧料容器を第2の要旨とする。
【発明の効果】
【0015】
本発明は、レフィルを上向きに収容するレフィルホルダ内の底部近傍に、色々な太さ(外径)の回動操作部を保持できるアダプタを配設し、互いに相対回転する部材の一方側にあたる上記レフィルの下端部(回動操作部)を、このアダプタを介して上記レフィルホルダで支持するとともに、相対回転の他方側にあたる上記レフィルの上端部(外筒)を、上記レフィルホルダに対して回転自在に取り付けられた、キャップ付きのレフィルカバーに嵌入して支持することにより、これらレフィルカバーとレフィルホルダの相対回転によるスムーズな繰り出し操作と、上記レフィルホルダの下側開口を経由した、簡単なレフィル交換作業とを可能にしたものである。
【0016】
すなわち、本発明の棒状化粧料容器は、レフィルホルダの上側開口部に、上端にキャップを備える円筒状のレフィルカバーを回転自在に取り付け、該レフィルホルダの下側開口の内部に、レフィルの回動操作部を固定するためのアダプタを、回転不能に嵌入するとともに、レフィル上部の外筒外径を、上記レフィルカバーの内周に挿入して嵌合させ、該レフィル下部の回動操作部を、上記レフィルホルダの内周に嵌合したアダプタの内側に押し込んで固定することにより、ユーザーが直接操作するレフィルカバーとレフィルホルダの相対回転が、上記レフィルにおける外筒と回動操作部に伝達され、これらの相対回転に置き換えられる。したがって、本発明の棒状化粧料容器は、従来の棒状化粧料容器と同様の操作で、直感的に使用できる。
【0017】
また、本発明の棒状化粧料容器は、上記レフィルホルダの下側開口に配設された底部材を取り去ることにより、その内部に配置されたアダプタを容易に抜き取ることが可能となる。したがって、本発明の棒状化粧料容器は、レフィルホルダ内に収容されたレフィルを、簡単に交換することができる。
【0018】
さらに、本発明の棒状化粧料容器は、レフィル上部の外筒を覆うレフィルカバーにキャップが設けられていることから、このレフィルの内部に埃等が入り込むおそれが少なく、店頭等で上向きに展示しても、照明等の熱から棒状化粧料を保護することができる。
【0019】
そして、本発明の棒状化粧料容器は、上記キャップがヒンジを介してレフィルカバーに取り付けられていることから、このキャップが離れて紛失するおそれがなく、構造がシンプルで、誰にでも簡単にかつ直感的に操作することができるという利点を有する。
【0020】
なお、この棒状化粧料容器を、棒状化粧料のテスターとして用いた場合も、上部のキャップを開け、上記レフィルカバーとレフィルホルダを相対回転させるだけで試用が可能であることから、従来の棒状化粧料容器と違和感なく、すぐに使用することができ、好適である。
【0021】
また、本発明の棒状化粧料容器において、特に、上記レフィルの回動操作部と嵌合する上記筒状のアダプタの内周面に、上記底部材側に向かって階段状に縮径する円周段部が形成されているものは、上記レフィル下部の回動操作部を保持する際に、種々のサイズ(外径)のレフィルに容易に対応することができる。したがって、本発明の棒状化粧料容器は、試供品用や市販品用等、回動操作部の外径寸法の異なるレフィルを併用する棒状化粧料容器、なかでも特に、口紅等の棒状化粧料テスターに適する。
【図面の簡単な説明】
【0022】
【図1】本発明の実施の形態における棒状化粧料容器の断面図である。
【図2】本発明の実施の形態における棒状化粧料容器の構成を示す組立図である。
【図3】口紅テスターの展示方法を説明する図である。
【図4】従来の口紅テスターの構成を示す組立図である。
【図5】従来の口紅テスターに用いられる試供品用レフィルの構成を示す組立図である。
【発明を実施するための形態】
【0023】
つぎに、本発明の実施の形態を、図面にもとづいて詳しく説明する。ただし、本発明は、この実施の形態に限定されるものではない。
【0024】
図1は、本発明を棒状化粧料テスター(以下「テスター」という)の縦断面図であり、図2は、このテスターの構成を示す組立図である。なお、ユーザーの操作を考慮して、棒状化粧料の繰出し方向(図示上下方向)を、そのまま上側および下側とし、棒状化粧料を収容するレフィル24の回転軸中心方向を内側、その反対方向を外側として説明する。また、棒状化粧料を収容するレフィル24は、図4,図5の従来例と同様の構成であるため、同じ符号を付記して、その説明を省略する。
【0025】
本実施形態におけるテスター10は、口紅等、棒状化粧料の色見本品を店頭等で展示する際に用いられるものであり、試供品用のレフィル24と、筒状のレフィルホルダ2と、有底筒状のアダプタ3と、上記レフィルホルダ2の下側開口2eを密閉する底部材4と、キャップ11を備える筒状のレフィルカバー1とから構成されている。なお、上記テスター10を構成する部材(部品)は、棒状化粧料を除き、すべて樹脂を用いて形成されている。
【0026】
また、上記テスター10は、従来の口紅テスター20(図5参照)とは異なり、図1のように、そのレフィルホルダ2の下側に大きな開口2eが設けられており、上記レフィル24は、この下側開口2eからレフィルホルダ2内に挿入され、そのレフィル24の開口(棒状化粧料の繰出し口)を上に向けて、すなわち、ユーザーの使用方向と同じ方向に向けて保持するように構成されている。したがって、このテスター10は、夏場等の気温の上昇あるいは店頭の照明光による温度上昇等、レフィル24の内部に充填された棒状化粧料が軟化し易い環境におかれた場合でも、溶融した棒状化粧料の滴が落下したり、棒状化粧料自身がレフィル24から抜け落ちる等の不具合の発生がない。
【0027】
上記レフィルホルダ2は、外周が多角形状(本実施形態においては四角形状)に形成された中空の筒状部材であり、外周面2bおよび内周面2cを有する四角柱状の側壁(筒状部)2aと、この側壁2aの上端近傍から内側に突出するフランジ部2f(係合手段)とからなり、上記側壁2aの上端および下端には、上側開口2dおよび下側開口2eが形成されている。この下側開口2eは、上記側壁2aの周面と同じ形状であるが、上記上側開口2dは、後述する円筒状のレフィルカバー1を係合させて取り付けることができるようになっており、上記側壁2aの上端近傍に設けられたフランジ部2fによって、その縁部がレフィル24よりやや大きな円状(丸状)に形成され、係合手段の一方側を構成している。
【0028】
また、上記レフィルカバー1は、円筒状の中空部材であり、外周面1bおよび内周面1cを有する筒状部1aと、この筒状部外周面1bの下端近傍から外側に突出するリブ1f,1f(係合手段)と、上記筒状部1aの外側に、該筒状部1aを覆うように形成された飾り筒1hとからなり、上記筒状部1aの上端および下端には、上端開口1dおよび下端開口1eが形成されている。上記二条のリブ1f,1fは、円周方向に互いに平行するように設けられており、上記係合手段の他方側を構成している。
【0029】
そして、これら二条のリブ1f,1fの間に形成される円周溝1gに、上記レフィルホルダ2の上側開口2dの縁部(フランジ部2fの先端)を嵌入させることによって、このレフィルカバー1は、上記レフィルホルダ2に対して摺動回転できるように取り付けられている。
【0030】
なお、上記レフィルカバー1の筒状部内周面1cは、レフィルホルダ2内に収容されるレフィル24の外筒25外径とほぼ同じ径に形成されている。また、筒状部外周面1bの外側には、該筒状部1aを延設して、このレフィルカバー1の外観(見栄え)を向上させるための飾り筒1hが形成されているとともに、この飾り筒1hの上端には、後述するキャップ11が、ヒンジ12を介して取り付けられている。
【0031】
上記キャップ11は、上記レフィルカバー1と略同じ外周形状を有する側壁と、蓋部11aとからなり、上述のようにヒンジ12を介して、レフィルカバー1の上端開口1dを密閉できるように取り付けられている。
【0032】
一方、レフィルホルダ2の下側に配設される上記アダプタ3は、その外周が上記レフィルホルダ2の内周面2cに沿った形状(本実施形態においては四角形状)に形成された有底筒状部材であり、上記形状の外周面3cを有する四角柱状の側壁3aと、底部3bとからなり、この側壁3aの内側には、段部(3f)を有する内周面(3d,3e)が、上に向けて開口するように形成されている。
【0033】
上記アダプタ3の内周面(3d,3e)は、上側の大径内周面3dと下側の小径内周面3eとから構成されており、その間には、これらを分かつ円周段部3fが形成されている。また、大径内周面3dの内径と、小径内周面3eの内径とは、それぞれ、前述の市販品用のレフィル29(図4参照)の回動操作部29aの外径と、上記試供品用のレフィル24の回動操作部27bの外径とに、対応した径とされている。そして、これらの内周面3d,3eの表面には、上記レフィル24,29の回動操作部29a,27bとの嵌合(固定)を確実にするための上下方向のリブ3g,3g,・・・が、円周方向に等間隔で多数設けられている。
【0034】
また、上記底部材4は、その外周が上記レフィルホルダ2の外周面2bと略同じ形状(本実施形態においては四角形状)に形成された底板4aと、この底板4aの上面(レフィルホルダ2側)から突出する4つの係合片4b,4b,・・・とからなり、各係合片4bの外側面に設けられた凸部を、レフィルホルダ2の下側開口2e近傍の内周面2cに設けられた凹部に嵌入して係合させることにより、上記アダプタ3を上に押し上げた状態で、上記レフィルホルダ2の下側開口2eに固定されている。
【0035】
そして、上記底部材4の下面側には円柱状のダミー5が形成されており、このダミー5を、先の従来例(図3参照)で述べた展示台30のテスター挿入穴30aに挿入することにより、このテスター10を安定して載置することができるようになっている。
【0036】
本実施形態におけるテスター10の特徴は、先に述べたように、上記レフィル24をその開口を上に向けて保持すべく、レフィルホルダ2の上側開口部(2d)に、上端にキャップ11を備える円筒状のレフィルカバー1が回転自在に取り付けられ、上記レフィルホルダ2の中に、レフィル24の回動操作部27bを固定するためのアダプタ3が、回転不能に嵌入されている点である。
【0037】
また、レフィル24は、上記の構成により、その開口(棒状化粧料の繰出し口)を上に向けた状態で、その上端の外筒25上部が、上記レフィルカバー1の内周に嵌入されて支持され、その下端の回動操作部27bが、上記アダプタ3の内側に形成された円周段部3fの内周(3e)に嵌入して支持されており、これら外筒25と回動操作部27bとの間の相対回転が可能なように保持されている。
【0038】
このため、上記テスター10をユーザーが試用する場合、ユーザーが直接手に触れるレフィルカバー1とレフィルホルダ2を相対回転させると、レフィルカバー1の回転が上記レフィル24の外筒25に伝達されて一緒に回転するとともに、レフィルホルダ2の回転が上記アダプタ3を介してレフィル24の内筒回動操作部27bに伝達されて一緒に回転し、結果的に、レフィル24の外筒25と回動操作部27bとが相対回転することとなる。このようにして、本実施形態におけるテスター10は、上記レフィルカバー1とレフィルホルダ2を相対回転させることにより、レフィル24内部に収容された棒状化粧料を、上に向けて繰出すことができる。
【0039】
また、本実施形態におけるテスター10は、上記レフィルカバー1にキャップ11が取り付けられていることから、レフィルカバー1およびレフィル24の内部に埃等が入り込むのが防止されるとともに、店頭等で展示を行なう場合でも、照明等の熱から内部の棒状化粧料を保護することができる。また、キャップ11が、ヒンジ12を介して取り付けられていることから、使用時にも、このキャップ11を紛失するおそれがない。
【0040】
さらに、本実施形態におけるテスター10は、上記レフィルホルダ2の下側開口2eに配設された底部材4を取り去ることにより、その内部に配置されたアダプタ3を容易に抜き取ることが可能となる。したがって、このテスター10は、レフィルホルダ2内に収容されたレフィル24を、簡単に交換することができる。
【0041】
なお、上記実施形態においては、本発明に係る棒状化粧料容器として、試供品用のレフィル24を用いたテスター10を例に説明したが、この試供品用のレフィル24に代えて、通常の市販品(商品)に用いられているレフィル29(図5参照)を使用することができる。その場合、レフィル29の回動操作部29aを、上記大径内周面3dに嵌合させて保持すればよい。
【0042】
また、上記実施形態では、アダプタ3の内側に円周段部3fを設けることにより、異なる内径を有する二段構成の内周面(3d,3e)を形成したテスター10の例を示したが、本発明では、さらに多段の円周段部が形成された、階段状の内周面を有するアダプタ3を用いることもできる。
【0043】
さらに、種々の外径寸法のレフィルに対応する別の手段として、内周面の径が互いに異なる複数のアダプタを予め準備し、これらのアダプタを交換しながら使用する方法を採用してもよい。このようにしても、回動操作部の外径寸法の異なるレフィルに容易に対応でき、レフィルを簡単に交換できるという利点は変わらない。
【0044】
また、上記底部材4をレフィルホルダ2の下側開口2eに固定する手段も、特に限定されるものではなく、上記ホルダ内周面への係合の他、ホルダ外周面への係合、あるいは、内外周面への圧入やその他の方法を用いてもよい。また、上記ダミー5の形状やその有無も限定されるものではないが、底部材4の取り外しが簡単になる点を考慮すると、このダミー5ような凸状物を形成しておくほうが、レフィルの交換が容易になって好ましい。
【0045】
さらに、上記の実施形態では、レフィルカバー1をレフィルホルダ2に係合させる手段として、レフィルカバー1側に設けた二条のリブ1f,1fの間の溝1gに、レフィルホルダ側の上側開口2dの縁部を係合させた例を示したが、これらは逆の構成としてもよく、本発明におけるレフィルカバー1とレフィルホルダ2の間の係合手段は、これらの形状に合わせて適宜に変更すればよい。
【0046】
また、レフィルカバー1を覆うキャップ11の構成も、特に限定されるものではなく、このキャップ11単独で、または、上記レフィルカバー1とともに、レフィル24内の棒状化粧料と同じ色に着色してもよい。着色することによって、これらを棒状化粧料の色見本とすることができる。また、着色する代わりに、キャップ蓋部11aの上面に、ダミーや色板,シール等の色見本を取り付けてもよい。
【0047】
そして、上記の実施形態では、顧客の試用に供される口紅テスターを例に説明したが、本発明の棒状化粧料容器の構造は、この店頭用テスターだけではなく、顧客に販売される通常の市販品(商品)に適用できる。
【0048】
したがって、レフィル(カートリッジ)の内部に充填される棒状化粧料は、口紅の他、リップクリーム,チック等、その他のスティック状化粧品でもよく、レフィルホルダ2や、レフィルカバー1,アダプタ3,底部材4,ダミー5およびキャップ11等、本発明の棒状化粧料容器を構成する部材の材料や、これらの形状は、その商品に合わせて適宜変更すればよい。
【産業上の利用可能性】
【0049】
本発明は、店頭等に展示されてユーザーが試用することのできる口紅テスターやリップクリームテスター等、不特定多数の人が利用する可能性のある棒状化粧料のテスターに適する。また、顧客に販売される市販品(商品)の棒状化粧料容器に使用することもできる。
【符号の説明】
【0050】
1 レフィルカバー
1c 内周面
2 レフィルホルダ
2c 内周面
2d 上側開口
2e 下側開口
3 アダプタ
3d 大径内周面
3e 小径内周面
4 底部材
5 ダミー
10 テスター
11 キャップ
12 ヒンジ
24 レフィル
25 外筒
27b 回動操作部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
外筒とこの外筒の下端開口から突出する内筒の回動操作部との相対回転に伴って、その内部に収容された棒状化粧料を昇降させるレフィルと、このレフィルを保持する筒状のレフィルホルダとを備える棒状化粧料容器であって、上記レフィルホルダの上端部には、円状の上側開口が設けられ、この上側開口内に、その縁部と係合する係合手段が形成された外周面を有するレフィルカバーが、上記レフィルホルダに対して回転自在に嵌入され、上記レフィルカバーの上端には、このレフィルカバーの上端開口を覆うキャップが、ヒンジを介して取り付けられて、上記レフィルホルダの下端部には下側開口が設けられ、この下側開口から、筒状のアダプタが上記レフィルホルダに対して回転不能に嵌入され、上記下側開口には、この開口を密閉する底部材が配置されて、上記レフィルが、その外筒を上記レフィルカバーの内周に嵌入し、その内筒の回動操作部を上記アダプタの内周に嵌入した状態で、交換可能に保持されているとともに、上記レフィルカバーとレフィルホルダとを相対回転させ、上記レフィルから棒状化粧料を繰り出すことを特徴とする棒状化粧料容器。
【請求項2】
上記レフィルの回動操作部と嵌合する上記筒状のアダプタの内周面に、上記底部材側に向かって階段状に縮径する円周段部が形成されている請求項1記載の棒状化粧料容器。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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