説明

棒状物押出容器

【課題】製造歩留まりを向上し且つ製造を容易とする。
【解決手段】移動体306先端に充填部材304内を摺動する押出部307を設け、棒状物Mを充填部材304先端から後端への途中まで充填し、棒状物を充填した充填部材304を容器301に組み付ける際に、充填部材304が容器301の先端側に装着され且つ押出部307が充填部材304に挿入される構成とする。充填部材304のみに棒状物を充填することで、棒状物の径方向の太さを軸線方向で一定とし溶融棒状物を充填してから固化する迄の温度条件を安定させ、棒状物の良好な充填を可能とし製造歩留まりを向上する。また、このように棒状物が充填された充填部材304を容器301に組み付ける構成とすることで、製造を容易とする。また、このように棒状物を充填部材304の後端への途中までに充填することで、棒状物の押出部307による押し出しを防止し、仕上げ加工を無くして製造を容易とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、棒状物を押し出して使用するための棒状物押出容器に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、棒状化粧料容器に棒状化粧料を充填する方法として、組み立てが完了した棒状化粧料容器の充填部材に、予め製造した棒状化粧料を装填する方法や、充填部材内に溶融状態の棒状化粧料形成材料を注入し冷却固化させることで充填する方法が知られているが、例えば細い棒状化粧料や脆い棒状化粧料の場合には、棒状化粧料を保護すべく、後者の充填部材内に溶融状態の棒状化粧料形成材料を注入し冷却固化させることで充填する方法が採用される。この後者の充填方法にあっては、化粧料(溶融化粧料)を、組み立てが完了した棒状化粧料容器の充填部材の先端から多めに注入して冷却後に先端を切断し仕上加工する方法や、冷却固化後の先端のひけを無くすため熱風をかけ再溶解し整える方法等が知られているが、先端を仕上げる工程を要し製造コストの低減が図れない。
【0003】
そこで、仕上げ加工を不要とする技術が、以下の特許文献1に開示されている。この特許文献1に記載の棒状化粧料容器は、両端が開口された筒状の充填部材(スリーブ)と、この充填部材を相対回転可能且つ軸線方向移動不能に連結する筒状の操作筒(操作部)と、充填部材内の後半部に回転不能且つ軸線方向移動可能に装着された筒状の押出部(中皿)と、この押出部が装着されると共に先端に蓋が装着された充填部材に対して当該充填部材の後端側から直接充填されて成型される棒状化粧料と、を備え、充填部材と操作筒とが相対回転されると、充填部材に対して押出部が進退し棒状化粧料が充填部材の先端から出没するというものである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2001−87033号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、このような構成を有する棒状化粧料容器にあっては、後半部に押出部が装着された充填部材内に化粧料(溶融化粧料)が充填されるため、部材が重なり化粧料の径方向の厚みが軸線方向に沿って相違し、化粧料を充填してから固化するまでの温度条件を安定し難く、その結果、棒状化粧料がひけやクラック等の不良品になりやすく、製造歩留まりが悪化するという問題がある。
【0006】
本発明は、このような課題を解決するために成されたものであり、棒状化粧料を始めとした棒状物が良好に充填され製造歩留まりが向上される棒状物押出容器を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明による棒状物押出容器は、容器に装着され両端が開口された筒状の充填部材と、この充填部材に充填された棒状物と、を具備し、容器前部と当該容器前部に相対回転可能とされた容器後部とが一方向に相対回転されると、容器内に配設された移動体が前進し棒状物を容器先端の開口部から出現させる棒状物押出容器において、容器内に第一の螺合部及び第二の螺合部を備え、容器前部と容器後部とが一方向に相対回転されると、第一の螺合部の螺合作用が働いて容器に対して充填部材が前進し、第一の螺合部の螺合作用が停止されると、第二の螺合部の螺合作用のみが働いて充填部材に対して移動体が前進して棒状物を押し出す構成とされ、容器内には、移動体の先端に位置し充填部材内を摺動する押出部が設けられ、棒状物は、充填部材の先端から後端への途中まで充填され、この棒状物が充填された充填部材を容器に組み付ける際に、当該充填部材が容器に装着されると共に押出部が充填部材に挿入されることを特徴としている。
【0008】
このような棒状物押出容器によれば、容器前部と容器後部とが一方向に相対回転されると、第一の螺合部の螺合作用が働いて容器に対して充填部材が前進し、第一の螺合部の螺合作用が停止されると、第二の螺合部の螺合作用のみが働いて充填部材に対して移動体が前進して棒状物を押し出すことになる。このような棒状物押出容器では、両端が開口された筒状の充填部材のみに棒状物が充填されるため、充填部材の肉厚が比較的均一で棒状物の径方向の太さが軸線方向に沿って一定とされ、溶融棒状物を充填してから固化するまでの温度条件を安定させることが可能とされ、その結果、棒状物の良好な充填が可能とされ製造歩留まりが向上される。また、棒状物が充填された充填部材を容器に組み付ける構成のため、製造が容易とされる。また、棒状物は充填部材の先端から後端への途中までに充填されているため、充填部材の容器に対する装着の際に、棒状物が押出部により押し出されて充填部材から出現することが防止され、仕上げ加工等の必要が無く、製造が容易とされる。
【発明の効果】
【0009】
このように本発明によれば、製造歩留まりが向上されると共に製造が容易とされる棒状物押出容器を提供することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【図1】本発明の第一の参考形態に係る棒状物押出容器の初期状態を示す縦断面図である。
【図2】図1に示す状態からキャップが取り外され使用者の操作により移動螺子筒及び移動体が前進した時の縦断面図である。
【図3】図2に示す状態で棒状物が使用者により使用されてから使用者の操作により移動螺子筒及び移動体が後退し移動螺子筒が後退限近くに後退した時の縦断面図である。
【図4】図2に示す状態から使用者の操作により移動体が最大に前進した時の縦断面図である。
【図5】図1〜図4中の本体筒を示す破断斜視図である。
【図6】図1〜図4中の中間部材を示す斜視図である。
【図7】図6に示す中間部材の縦断斜視図である。
【図8】図1〜図4中の移動体を示す側面図である。
【図9】図8に示す移動体の縦断斜視図である。
【図10】図1〜図4中の移動螺子筒を示す斜視図である。
【図11】図10に示す移動螺子筒の縦断面図である。
【図12】図1〜図4中の回転部材を示す斜視図である。
【図13】図12に示す回転部材の縦断斜視図である。
【図14】図1〜図4中の螺子筒を示す斜視図である。
【図15】図14に示す螺子筒の縦断面図である。
【図16】図1〜図4中の充填部材を示す縦断斜視図である。
【図17】本発明の第一の参考形態に係る棒状物押出容器の組立手順を表す説明図である。
【図18】本発明の第一の参考形態に係る棒状物押出容器にあって初期状態において生じる空間を示す図である。
【図19】図18に示す状態から通気部を介して空間の空気を逃がした状態を示す図である。
【図20】通気部の他の例を示す図である。
【図21】通気部のさらに他の例を示す図である。
【図22】通気部のさらに他の例を示す図である。
【図23】本発明の第二の参考形態に係る棒状物押出容器を示す縦断面図である。
【図24】本発明の第一実施形態に係る棒状物押出容器を示す縦断面図である。
【図25】図24中のA部拡大図である。
【図26】本発明の第二実施形態に係る棒状物押出容器の初期状態を示す縦断面図である。
【図27】図26に示す状態から使用者の操作により移動螺子筒及び移動体が前進した時の縦断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、本発明による棒状物押出容器の好適な実施形態について図面を参照しながら説明する。なお、各図において、同一の要素には同一符号を付し、重複する説明は省略する。
【0012】
図1〜図22は、本発明の第一の参考形態を、図23は、本発明の第二の参考形態を、図24及び図25は、本発明の第一実施形態を、図26及び図27は、本発明の第二実施形態を各々示すもので、図1〜図4は、第一の参考形態に係る棒状物押出容器の各状態を示す各縦断面図、図5は、本体筒を示す破断斜視図、図6及び図7は、中間部材を示す各図、図8及び図9は、移動体を示す各図、図10及び図11は、移動螺子筒を示す各図、図12及び図13は、回転部材を示す各図、図14及び図15は、螺子筒を示す各図、図16は、充填部材を示す縦断斜視図、図17は、棒状物押出容器の組立手順を表す説明図、図18は、棒状物押出容器の初期状態で生じる空間を示す図、図19は、空間の空気を通気部を介して逃がした状態を示す図、図20〜図22は、通気部の他の例を示す図であり、本参考形態の棒状物押出容器は、棒状物を収容すると共に適宜使用者の操作により押し出し可能とするものである。
【0013】
ここでは、棒状物として、例えば、リップスティック、リップグロス、アイライナー、アイカラー、アイブロー、リップライナー、チークカラー、コンシーラー、美容スティック、ヘアーカラー等を始めとした種々の棒状化粧料、筆記用具等の棒状の芯等を用いることが可能であり、比較的硬めのものや、非常に軟らかい(半固体状、軟固形状、軟質状、ジェル状の)棒状物が用いられる。また、外径が1mm以下の細径芯や10mm以上の太めの棒状物が使用可能である。
【0014】
図1に示すように、棒状物押出容器100は、両端が開口された筒状の充填部材1と、この充填部材1に充填された棒状物Mと、その前部に充填部材1の後部を内挿して当該充填部材1を相対回転可能且つ軸線方向離脱不能に連結する本体筒(本体)3と、を外形構成として具備し、充填部材1により容器前部が構成されると共に、本体筒3により容器後部が構成されている。
【0015】
そして、この棒状物押出容器100は、内部に、本体筒3に同期回転可能且つ軸線方向離脱不能に連結された螺子筒4と、充填部材1に同期回転可能且つ軸線方向離脱不能に連結された回転部材10と、本体筒3に同期回転可能且つ軸線方向離脱不能に連結されると共に回転部材10を軸線方向に弾性的に押え軸線方向に離脱不能とする中間部材11と、回転部材10に同期回転可能且つ軸線方向移動可能に係合すると共に螺子筒4に第一の螺合部8を介して螺合し、容器前部を構成する充填部材1と容器後部を構成する操作筒3とが一方向である繰り出し方向に相対回転されると前進し所定の前進限まで前進すると前進が停止し、充填部材1と本体筒3とが一方向の反対方向の他方向である繰り戻し方向に相対回転されると後退し所定の後退限まで後退すると後退が停止する移動螺子筒5と、本体筒3に同期回転可能且つ軸線方向移動可能に係合すると共に移動螺子筒5に第二の螺合部9を介して螺合し、充填部材1と本体筒3とが一方向に相対回転されると移動螺子筒5に伴われて前進すると同時に単独でも前進し、移動螺子筒5が前進限に達し充填部材1と本体筒3とがさらに同方向に相対回転されると単独で前進し、充填部材1と本体筒3とが他方向に相対回転されると移動螺子筒5に伴われて後退すると同時に単独でも後退し、移動螺子筒5が後退限に達すると移動螺子筒5と共に後退が停止する移動体6と、この移動体6の先端部に装着され充填部材1内に挿入されて摺動するピストン(押出部)7と、を概略備えている。
【0016】
本体筒3は、図5に示すように、有底円筒状に構成された本体部3xと、この本体部3xの底部中央に、先端側に向かうように立設された軸体3yと、を備える構成とされている。
【0017】
本体部3xは、その先端部の内周面に、中間部材11を軸線方向に係合するための環状凸凹部(凸凹部が軸線方向の並ぶもの)3aを備えると共に、この環状凸凹部3aより後側の内周面に、周方向に多数の凹凸部が並設されて当該凹凸部が軸線方向に所定長延びるローレット3bを、中間部材11を回転方向に係合するためのものとして備えている。また、本体部3xは、その底部側の内周面に、周方向に沿って多数が並設されて底部から先端側に向かって延びる突条3cを、螺子筒4を回転方向に係合するためのものとして備えている。
【0018】
軸体3yは、円柱体の外周面に周方向に沿う六等配の位置に半径方向外方に突出するように配置されて軸線方向に延びる突条3dを備える横断面非円形形状とされ、この突条3dが、移動体6の回り止め機構(回り止め部)50の一方を構成する回り止めとされている。
【0019】
中間部材(回転部材押え部材)11は、樹脂による射出成形品とされ、図6及び図7に示すように、後部側のバネ部11yと、このバネ部11yより前側の本体部11xと、を備える段付き円筒状とされている。
【0020】
本体部11xは、軸線方向中程の外面が径方向に拡大した鍔部11aを具備し、この鍔部11aより後側の外周面に、環状凹凸部(凹凸部が軸線方向の並ぶもの)11bを、本体筒3の環状凸凹部3aに軸線方向に係合するものとして備えている。また、本体部11xの環状凹凸部11bとバネ部11yとの間の外周面には、周方向に沿って複数が並設されて軸線方向に延びる突条11dが、本体筒3のローレット3bに回転方向に係合するものとして設けられている。また、本体部11xの鍔部11aより前側の外周面には、図1に示すキャップ12を着脱可能に軸線方向に係止するための突部(所謂ダボ)11cが、周方向に沿って複数設けられている。
【0021】
バネ部11yは、本体部11xの後側に一体的に連設され、軸線方向に伸縮可能とされている所謂樹脂バネであり、後述するように、充填部材1と本体筒3との相対回転時に、良好な摺動回転抵抗を与えるためのものである。このバネ部11yは、切欠の形状により強度を変えることが可能であり、また、無くすことも可能である。
【0022】
これらの本体部11x及びバネ部11yを備える中間部材11は、図1に示すように、その鍔部11aより後側の部分が本体筒3に内挿され、鍔部11aの後端面が本体筒3の先端面に突き当てられ、その突条11dが本体筒3のローレット3bに回転方向に係合すると共にその環状凹凸部11bが本体筒3の環状凸凹部3aに軸線方向に係合することで、本体筒3に同期回転可能且つ軸線方向離脱不能に装着され、本体筒3と一体化されている。
【0023】
移動体6は、樹脂による射出成形品とされ、図8及び図9に示すように、先端側に鍔部6aを有する円筒状に構成され、その鍔部6aより後側から後端に亘る外周面に、第二の螺合部(螺合機構)9の一方を構成する雄螺子6bを備えている。この雄螺子6bの前側に位置する鍔部6aの外形は、円形形状の外周に二平面部6aaを対向して設けた形状とされている。
【0024】
また、移動体6の鍔部6aの前側は、鍔部6aより小径を成す円筒部とされ、この円筒部の先端に小径鍔部6cを備えることで、小径鍔部6cと鍔部6aとの間に、軸線方向に幅広の環状溝部6dが形成されている。この幅広の環状溝部6dは、ピストン7を軸線方向移動可能に係合するためのものである。
【0025】
また、移動体6の筒孔である内周面は、横断面円形状の孔とされ、この孔の周面の周方向に沿って六等配の位置に、放射状に内側に所定長突出し軸線方向に延びる突条6fが設けられている。この突条6fが、移動体6の回り止め部(回り止め機構)50の他方を構成する回り止めとされている。
【0026】
この移動体6は、図1に示すように、本体筒3の軸体3yに外挿され、その突条6fが本体筒3の軸体3yの突条3d,3d間に進入して回転方向に係合することで、本体筒3に同期回転可能且つ軸線方向移動可能に装着されている。
【0027】
ピストン7は、PP(ポリプロピレン)、HDPE(高密度ポリエチレン)、LLDPE(直鎖状低密度ポリエチレン)等、比較的柔らかい素材より成形され、図2及び図18に示すように、先端に向けて傘状に湾曲する形状を呈し、後端面から先端側に向けて外面に倣うように凹設された凹部7aを備えている。このピストン7の内面の軸線方向の中程には、後方に向かって短尺に延びる円筒部7dが設けられ、この円筒部7dの内周面には環状突部7bが設けられている。この環状突部7b及び円筒部7dの後端面7fは、移動体6に軸線方向移動可能に係合するためのものである。また、ピストン7には、その後端部の外周面に、充填部材1の内周面に密着し気密性を確保するための環状突部7cが設けられている。
【0028】
このピストン7は、移動体6に外挿され、その環状突部7bが、移動体6の環状溝部6dに進入することで、移動体6に回転可能且つ軸線方向移動可能(所定の範囲内を移動可能;詳しくは後述)に装着されている。なお、ピストン7と移動体6とを同期回転可能に構成することも可能である。そして、ピストン7は、図1及び図18に示す初期状態の棒状物押出容器100にあっては、図18に示すように、その円筒部7dの後端面7fが移動体6の鍔部6aの前側の面に当接する状態とされている。
【0029】
移動螺子筒5は、樹脂による射出成形品とされ、図10及び図11に示すように、後端側に鍔部5aを有する円筒状に構成され、鍔部5aより前側が外径小径部5x、後側が外径大径部5yとされている。この外径大径部5yの外周面には、第一の螺合部(螺合機構)8の一方を構成する雄螺子としての螺合突起(円弧状の突条)5eが複数設けられている。
【0030】
この移動螺子筒5の外径小径部5xには、軸線方向中程の外周面に、周方向に沿って四等配の位置に軸線方向に延びる突条5bが、回転部材10を回転方向に係合するものとして設けられている。
【0031】
また、移動螺子筒5には、その外径小径部5xの先端から突条5bの近傍まで延び内外を連通するスリット5nが、軸線を挟んだ両側に一対設けられていると共に、このスリット5nの根元部分に周方向に所定長延びる長孔5cが連設されている。これらのスリット5n及び長孔5cの機能については後述する。
【0032】
そして、移動螺子筒5の外径小径部5xには、その先端部の内面に、第二の螺合部(螺合機構)9の他方を構成する雌螺子5dが、スリット5n,5nを横切り半円弧状を成すようにして設けられている。
【0033】
このような構成を有する移動螺子筒5の雌螺子5dは、雌螺子5dを形成する螺子部を外周面に有するコアピン(成形型)により成形される。このコアピンは、樹脂成形時の樹脂硬化後に軸線方向先端側又は後端側に引き抜かれる所謂無理抜きとなるが、この無理抜きの際に、スリット5n,5nにより、移動螺子筒5の先端部が径方向外側に開き、雌螺子5dに損傷を与えること無くコアピンが容易に引き抜かれるようになっている。また、移動螺子筒5の先端部が径方向外側に開く際に、スリット5n,5nの根元部分に作用する応力が、長孔5c,5cにより分散され、移動螺子筒5に損傷を与えることが防止されている。このように、移動螺子筒5は、モータやラック等を用いてコアピンを回し抜きしたりするのでは無く無理抜きを可能とする構成のため、迅速な成形が可能であり、製造コストや金型コストの低減が図られている。
【0034】
そして、この移動螺子筒5は、図1に示すように、移動体6に外挿され、その雌螺子5dが移動体6の雄螺子6bに螺合した状態とされている。
【0035】
回転部材10は、樹脂による射出成形品とされ、図12及び図13に示すように、後部側のバネ部10yと、このバネ部10yより前側の本体部10xと、を備える段付き円筒状とされている。
【0036】
本体部10xは、後方側に行くに従って段階的に外径が大とされ、後部に、螺子筒4を軸線方向に押えるための鍔部10aを具備し、この鍔部10aより前側の外周面に、周方向に沿って複数が並設される突部10bが、中間部材11のバネ部11yに押圧されるものとして設けられている。また、本体部10xの突部10bより前側の外周面には、充填部材1の後端面を突き当てるための鍔部10cが設けられると共に、この鍔部10cより前側の外周面には、環状凸凹部10dが、充填部材1を軸線方向に係合するものとして設けられている。さらに、本体部10xの環状凸凹部10dより前側の外周面には、周方向に沿って複数が並設されて軸線方向に延びる突条10eが、充填部材1を回転方向に係合するものとして設けられている。また、本体部10xの内周面には、周方向に沿って複数の位置に軸線方向に延びる突条10fが、移動螺子筒5の突条5bに回転方向に係合するものとして設けられている。
【0037】
バネ部10yは、本体部10xの後側に一体的に連設され、軸線方向に伸縮可能とされている所謂樹脂バネである。
【0038】
これらの本体部10x及びバネ部10yを備える回転部材10は、図1に示すように、移動螺子筒5に外挿され、突部10bが中間部材11のバネ部11yに押圧されることで、軸線方向前側への離脱が阻止され、この状態で、突条10fが移動螺子筒5の突条5bに回転方向に係合することで、移動螺子筒5を同期回転可能且つ軸線方向移動可能としている。そして、この状態で、回転部材10のバネ部10yの後端面と移動螺子筒5の鍔部5aとの間には、移動螺子筒5が前進するための所定の空間が設けられている。なお、この所定の空間は無くても良い。
【0039】
螺子筒4は、樹脂による射出成形品とされ、図14及び図15に示すように、段付き円筒状に構成され、後側の小径部4yと、段差面4cを介してこれより前側の大径部4xとを備えている。小径部4yの外周面には、周方向に沿って複数が並設されて軸線方向に延びる突条4aが、本体筒3の突条3cに回転方向に係合するものとして設けられている。この小径部4yの内周面は、大径部4xの内周面より小径とされ、この小径部4yの内周面に、第一の螺合部(螺合機構)8の他方を構成する雌螺子4dを備えている。
【0040】
この螺子筒4は、図1に示すように、本体筒3と移動螺子筒5との間に挿入され、その先端面が、回転部材10の鍔部10aに押し当てられることで、その段差面4cが本体筒3の突条3cの先端面に当接した状態で、その突条4aが本体筒3の突条3cに回転方向に係合し、本体筒3に同期回転可能且つ軸線方向離脱不能に装着されている。また、この状態で、螺子筒4の雌螺子4dが、移動螺子筒5の螺合突起5eに螺合した状態とされている。
【0041】
このような移動螺子筒5の螺合突起5e及び螺子筒4の雌螺子4dより構成された第一の螺合部8、移動螺子筒5の雌螺子5d及び移動体6の雄螺子6bより構成された第二の螺合部9にあっては、図11及び図15に示すように、第二の螺合部9のリードに比して第一の螺合部8のリードが大きくされている。ここで、リードとは、螺子を一回転した時に軸方向に進む距離のことである。
【0042】
そして、図17に示すように、第一、第二の螺合部8,9、移動体6の突条6f及び本体筒3の軸体3yの突条3dより構成された回り止め部50を備える押出機構、螺子筒4、移動螺子筒5、移動体6、ピストン7、回転部材10が、本体筒3及び中間部材11から成る本体側筒体に設けられ(内蔵され)本体側組立品40が構成されている。
【0043】
なお、螺子筒4、移動螺子筒5、移動体6、回転部材10、中間部材11は、POM(ポリアセタール)、UHMWPE(超高分子量ポリエチレン)等の摺動性の高い射出成形用素材を用いるのが好ましい。
【0044】
充填部材1は、図1に示すように、内部に棒状物Mを充填するためのものであると共に、当該棒状物Mを使用者による操作に従って先端部から出現させるためのものである。この充填部材1及びキャップ12は、ABS、PP(ポリプロピレン)、PET(ポリエチレンテレフタレート)、PCT(ポリシクロヘキサンジメチレンテレフタレート)系のPETG、PCTG、PCTA等の射出成形用素材で成形され、棒状物Mの色調や充填状況を確認できるように透明材や、棒状物Mの色やその他の色を施した着色材を用いるのが好ましい。
【0045】
図1、図2及び図16に示すように、充填部材1は、段付き円筒状に構成され、後側の小径部1yと、段差面1eを介してこれより前側の大径部1xとを備えている。大径部1xは先端に向かって外周が多少先細りする形状とされ、先端の開口1aが棒状物Mを出現させるための開口とされている。
【0046】
図16に示すように、小径部1yの後端部の内周面には、環状凹凸部1bが、回転部材10の環状凸凹部10dに軸線方向に係合するものとして設けられていると共に、この環状凹凸部1bより前側の内周面には、周方向に多数の凹凸部が並設されて当該凹凸部が軸線方向に所定長延びるローレット1cが、回転部材10の突条10eに回転方向に係合するものとして設けられ、さらに、このローレット1cより前側の内周面には、後側に開放されて短尺に先端側に向かう空気抜き溝1iが、通気部として設けられている。
【0047】
この充填部材1は、図1に示すように、その後部側から回転部材10及びピストン7と中間部材11との間に挿入され、図1及び図18に示すように、後端面が回転部材10の鍔部10cに当接し、環状凹凸部1bが回転部材10の環状凸凹部10dに軸線方向に係合すると共に、ローレット1cに回転部材10の突条10eが回転方向に係合することで、回転部材10に同期回転可能且つ軸線方向離脱不能に装着され、当該回転部材10と一体化されている。この回転部材10は、前述したように、本体筒3と一体化された中間部材11のそのバネ部11yにより軸線方向前側への離脱が阻止されると共に移動螺子筒5と同期回転可能とされ、この移動螺子筒5は、第二の螺合部9を介して移動体6に螺合し、この移動体6は、本体筒3に同期回転可能とされているため、当該充填部材1は本体筒3に対して回転可能且つ軸線方向離脱不能に装着されている。また、充填部材1の後端部内には、ピストン7が当該充填部材1と密接するようにして挿入されている。
【0048】
そして、図1に示すように、中間部材11に対してキャップ12が着脱可能に装着されることで、充填部材1はキャップ12により保護されている。
【0049】
次に、このような構成を有する棒状物押出容器100の組立手順の一例について図17を参照しながら説明する。先ず、移動体6に対して移動螺子筒5を初期位置まで螺子込む。または、強制的に螺子山を乗り越えさせて初期位置まで押し込む。次いで、回転部材10の突条10f,10f間に移動螺子筒5の突条5bが係合するように移動螺子筒5に回転部材10を外挿し、次いで、移動体6にピストン7を装着し、さらに、移動螺子筒5の外径大径部5yに螺子筒4の大径部4xから挿入し、移動螺子筒5の外周面の螺合突起5eに螺子筒4の内周面の雌螺子4dを螺合させ、繰り戻し方向に止まる位置まで回転し、仮組品を得る。
【0050】
次いで、仮組品を本体筒3の開口側から挿入し、移動体6の突条6fを本体筒3の軸体3yの突条3d,3d間に係合させながら当該移動体6を軸体3yに外挿していくと共に、螺子筒4の突条4aを本体筒3の突条3c,3c間に係合させながら当該螺子筒4を本体筒3に内挿する。次いで、本体筒3に対して中間部材11を内挿して装着し、中間部材11により回転部材10及び当該回転部材10を介して螺子筒4を軸線方向前側へ離脱不能とし本体側組立品40が得られる。
【0051】
一方、充填部材1にあっては、先端の開口1aをシール部材13で塞ぎ逆さにした状態で、内部に所定量の溶融棒状物M1をノズル14から吐出して充填部材1の先端から後端への途中まで充填し充填部材1の先端内に空間が無い状態とする。そして、溶融棒状物M1が冷却固化し棒状物Mとなったら、当該棒状物Mが充填された充填部材1に対して、上方から本体側組立品40の先端側を外挿し、ピストン7を充填部材1に挿入しながら、本体筒3(中間部材11)に充填部材1を装着する。このとき、充填部材1は、その内周面が、ピストン7の気密性を確保するための環状突部7cに摺接しながら、本体筒3に係合される。
【0052】
この充填部材1の装着完了時にあっては、図18に示すように、充填部材1の内周面の空気抜き溝1iが、ピストン7の環状突部7cを軸線方向に横切るようにして位置すると共に、図1に示すように、充填部材1に充填された棒状物Mと充填部材1に挿入されたピストン7との間には空間Zが形成されている。
【0053】
このような空間Zが形成されているのは、棒状物Mが充填された充填部材1を本体側組立品40に組み付けピストン7が充填部材1に挿入される構成にあって棒状物Mとピストン7との間の隙間を0にしようとすると、棒状物Mがピストン7により押し出されて充填部材1から出現してしまう虞があるからであり、本参考形態では、これを避けるために、空間Zを設けるようにしている。
【0054】
そして、このようにして得られた棒状物押出容器からシール部材13を外すと、図1に示すように、充填部材1の先端内に空間が無い初期状態の棒状物押出容器100が得られる。このシール部材13は、使用者(消費者)が購入してから外すと衛生的である。また、キャップ12の内部形状を変更しシール部材13と兼用することもできる。
【0055】
このように構成された棒状物押出容器100によれば、図17に示すように、筒状の充填部材1のみに棒状物Mが充填されるため、充填部材1の肉厚が比較的均一で棒状物Mの径方向の太さが軸線方向に沿って一定とされ、溶融棒状物M1を充填してから固化するまでの温度条件を安定させることが可能とされている。また、棒状物Mが充填された充填部材1を本体側組立品40に組み付ける構成のため、製造が容易とされている。また、棒状物Mは充填部材1の先端から後端への途中までに充填されているため、充填部材1の本体側組立品40に対する装着の際に、棒状物Mがピストン7により押し出されて充填部材1から出現することが防止されている。
【0056】
また、このように棒状物Mが充填された充填部材1を本体側組立品40に組み付ける構成のため、軟らかい半固形状の棒状物や細く脆い棒状物や軟質状やジェル状の棒状物であっても充填部材1に安全に保護される。
【0057】
そして、図1に示す初期状態の棒状物押出容器100にあっては、使用者によりキャップ12が取り外されて充填部材1と本体筒3とが繰り出し方向に相対回転されると、移動螺子筒5の螺合突起5e及び螺子筒4の雌螺子4dより構成された第一の螺合部8の螺合作用が作動し、移動体6の突条6f及び本体筒3の軸体3yの突条3dより構成された回り止め部50との協働により、移動螺子筒5が前進する。これと同時に、移動螺子筒5の雌螺子5d及び移動体6の雄螺子6bより構成された第二の螺合部9の螺合作用が作動し、回り止め部50との協働により、移動体6が前進する。すなわち、移動体6は、移動螺子筒5に伴われて前進すると同時に単独でも前進する。
【0058】
このとき、第二の螺合部9のリードに比して第一の螺合部8のリードが大きくされているため、移動螺子筒5は大きく前進し、移動体6自体は小さく前進する。従って、移動体6は、図1に示す初期状態の位置から、移動螺子筒5の大きい前進量に移動体6自体の小さい前進量を加えた分、前進する。また、このように第二の螺合部9のリードに比して第一の螺合部8のリードが大きくされているため、移動螺子筒5は第一の螺合部8の大きいリードに従い素早く前進する。
【0059】
そして、図18に示す初期状態、すなわち空気抜き溝1iが空間Zの空気を逃がすために通気を開としている状態から、上記のようにピストン7が充填部材1内を摺接しながら所定量前進すると、空間Zの空気が空気抜き溝1iを通して後方側へ良好に逃がされ、図19に示すように、空間Zが直ちに無くされると共に、空気抜き溝1iの通気が閉とされ、ピストン7と棒状物Mとが充填部材1内において気密に接した状態とされる。
【0060】
そして、このように移動螺子筒5が素早く前進すると、移動螺子筒5の鍔部5aが回転部材10のバネ部10yの後端面に当接し、充填部材1と本体筒3との繰り出し方向への相対回転に従って、回転部材10のバネ部10yが圧縮されて付勢力を蓄えながら、移動螺子筒5が前進し当該移動螺子筒5の螺合突起5eが螺子筒4の雌螺子4dの先端から外れ、第一の螺合部8の螺合が解除される(図2参照)。
【0061】
この螺合解除の状態にあっては、回転部材10のバネ部10yの付勢力により移動螺子筒5は後方側へ付勢される。従って、充填部材1と本体筒3との繰り出し方向への相対回転がさらに続けられると、後方に付勢されている移動螺子筒5のその螺合突起5eが、螺子筒4における雌螺子4dの回転方向隣の先端に進入し第一の螺合部8が螺合復帰する。そして、充填部材1と本体筒3との繰り出し方向への相対回転がさらに続けられると、回転部材10のバネ部10yが圧縮されながら移動螺子筒5が前進して当該移動螺子筒5の螺合突起5eが螺子筒4の雌螺子4dの先端から外れて螺合が解除され、そして、さらなる同方向への相対回転により螺合復帰し、このような第一の螺合部8の螺合解除と螺合復帰が繰り返される。
【0062】
ここで、移動体6に装着されたピストン7と充填部材1の内周面との間には摺動抵抗が生じていて、この摺動抵抗が、回転部材10のバネ部10yの付勢力により第一の螺合部8を螺合復帰させる際に、第二の螺合部9を介して移動体6に働くバネ部10yの付勢力の抵抗となり、場合によっては、回転部材10のバネ部10yの付勢力では第一の螺合部8が螺合復帰しない虞があるが、本参考形態においては、前述したように、移動体6がピストン7に対して軸線方向に所定量移動可能とされている。
【0063】
すなわち、移動体6は、図19に示す位置から、第一の螺合部8の螺合が解除されて回転部材10のバネ部10yの付勢力により第二の螺合部9を介して後方に付勢されると、ピストン7と充填部材1の内周面との間の摺動抵抗を受けること無くピストン7に対して後方に移動し、移動体6の環状溝部6dの先端面がピストン7の環状突部7bの先端側の根元に当接する位置において第一の螺合部8が螺合復帰する。そして、充填部材1と本体筒3との繰り出し方向へのさらなる相対回転により、回転部材10のバネ部10yが圧縮されながら移動螺子筒5が前進すると、第二の螺合部9を介して移動体6が前進し図19に示す状態とされて第一の螺合部8の螺合が解除される。このように、ピストン7と充填領域1の内周面との間の摺動抵抗を受けること無く、移動体6は、ピストン7に対して所定の軸線方向の短い範囲(移動体6の環状溝部6d)内を行き来し、第一の螺合部8の螺合解除と螺合復帰とが繰り返され、第一の螺合部8は円滑且つ良好に螺合復帰するようになっている。
【0064】
そして、このように第一の螺合部8の螺合作用が働いて移動螺子筒5が所定量前進して前進限に達し、充填部材1と本体筒3との繰り出し方向への相対回転が続けられて、第一の螺合部8の螺合解除と螺合復帰が繰り返される状態(第一の螺合部8の螺合作用が実質的には作動していない状態)にあっては、第二の螺合部9の螺合作用のみが働き、移動体6の回り止め部50との協働により、図2に示すように、移動体6のみが前進する。なお、この移動体6のみの前進時にあっては、前述したように、第一の螺合部8の螺合解除と螺合復帰の繰り返しにより、移動体6は、上記所定の軸線方向の短い範囲内を繰り返し行き来している上で前進する。
【0065】
ここで、移動螺子筒5が前進限に達し移動体6のみが前進している状態では、前述したように、充填部材1と本体筒3との繰り出し方向への相対回転により第一の螺合部8の螺合解除と螺合復帰が繰り返されているため、これによりクリック感が生じ、繰り出し方向への相対回転の度合いや移動体6の移動具合が使用者に好適に感知される。
【0066】
そして、この充填部材1と本体筒3との繰り出し方向へのクリック感を伴う相対回転により移動体6のみが前進し、先端のピストン7により棒状物Mが押し出されて開口1aを通して出現する。
【0067】
このとき、第一の螺合部8のリードに比して第二の螺合部9のリードが小さくされているため、移動体6は第二の螺合部9の小さいリードに従いゆっくりと繰り出され棒状物Mが適度に充填部材1の開口1aから出現して使用状態にされる。
【0068】
また、初期状態で充填部材1の先端内には空間が無いと共に、前述したように移動螺子筒5の素早い前進により、図2に示すように、空間Zが直ちに無くされるため、棒状物Mは直ちに開口1cから出現する。
【0069】
なお、初期状態から使用する等の場合、具体的には、棒状物Mの先端面が充填部材1の先端の開口1aの近くにあると共に移動螺子筒5が前進限に達していない等の場合にあっては、移動螺子筒5が前進限に達しなくても、棒状物Mは開口1aを通して出現することになる。
【0070】
そして、使用後にあって、充填部材1と本体筒3とが繰り戻し方向へ相対回転されると、後方に付勢されている移動螺子筒5の螺合突起5eが螺子筒4の雌螺子4dの先端に進入し第一の螺合部8が螺合復帰し、充填部材1と操作筒3との繰り戻し方向への相対回転がさらに続けられると、第一の螺合部8の螺合作用が支障無く作動し、移動体6の回り止め部50との協働により、移動螺子筒5が後退する。これと同時に、第二の螺合部9の螺合作用が作動し、移動体6の回り止め部50との協働により、移動体6が後退する。すなわち、移動体6は、移動螺子筒5に伴われて後退すると同時に単独でも後退する。
【0071】
このとき、第二の螺合部9のリードに比して第一の螺合部8のリードが大きくされているため、移動螺子筒5は大きく後退し、移動体6自体は小さく後退する。従って、移動体6は、移動螺子筒5の大きい後退量に移動体6自体の小さい後退量を加えた分、後退する。また、このように第二の螺合部9のリードに比して第一の螺合部8のリードが大きくされているため、移動螺子筒5は第一の螺合部8の大きいリードに従い素早く後退し、移動体6も移動螺子筒5に伴われて素早く後退する。
【0072】
このように移動螺子筒5及び移動体6が後退すると、前述したように、空間Zが無くされてピストン7と棒状物Mとが充填部材1内において気密に接した状態とされているため、充填部材1内の減圧作用(密閉状態を保つ作用)により、ピストン7の後退に従って棒状物Mが充填部材1内で引き戻されて後退する。なお、棒状物Mが、例えば軟質状やジェル状の棒状物の場合には、当該棒状物Mが充填部材1に密接しやすいため、棒状物Mを後退させるのに都合が良い。
【0073】
そして、この充填部材1と本体筒3との繰り戻し方向への相対回転により、移動螺子筒5が所定量後退し(移動螺子筒5が前進量と同量分後退し)、図3に示すように、移動螺子筒5の螺合突起5eが螺子筒4の雌螺子4dの後端に達し移動螺子筒5の鍔部5aが螺子筒4の大径部4xと小径部4yとの内周段差面(図15参照)4eに当接し後退限に達すると、第一の螺合部8の螺合作用が停止して充填部材1と本体筒3との繰り戻し方向へのそれ以上の相対回転が停止する。すなわち、充填部材1と本体筒3とを繰り戻し方向へそれ以上相対回転することができなくなり、移動体6の後退も停止する。このように、第一の螺合部8の螺合作用が停止して相対回転が停止するため、回転力は螺合部8で干渉され、繰り戻し方向へさらに回転し大きなトルクがかかっても、比較的細い軸体3yにトルクがかかり捩じ切れてしまうことがない。
【0074】
このように、充填部材1と本体筒3との繰り戻し方向への相対回転により、後退限から一定量以上前進した任意の位置にある移動体6は、一定量を越えては後退しない。具体的には、移動体6は、移動螺子筒5が前進限から後退限まで後退する所定量に、移動螺子筒5が前進限から後退限まで後退する際の移動体6自体の小さい後退量を加えた分を越えては後退しない。従って、充填部材1と本体筒3との繰り戻し方向への相対回転により、移動体6の戻し過ぎが防止される。
【0075】
なお、充填部材1と本体筒3との繰り戻し方向への相対回転により、例えば前進限にある移動螺子筒5を後退限まで後退させない場合、具体的には、充填部材1と本体筒3とを使用者の操作により繰り戻し方向へ然程相対回転させない場合で、移動体6を一定量未満(一定量に達しない範囲内)で後退させる操作であっても、移動体6が一定量に達しない範囲内で後退していて戻り過ぎてはいない。
【0076】
この状態、すなわち移動螺子筒5及び移動体6を繰り戻した状態から、棒状物Mを使用状態とすべく、使用者により再度充填部材1と本体筒3とが繰り出し方向に相対回転されると、前述したのと同様に、第一の螺合部8の螺合作用が作動し、移動体6の回り止め部50との協働により、移動螺子筒5が前進すると共に、第二の螺合部9の螺合作用が作動し、回り止め部50との協働により、移動体6が前進する。
【0077】
このとき、移動螺子筒5は第一の螺合部8の大きいリードに従い素早く前進し、この移動螺子筒5の素早い前進に伴われて移動体6も素早く前進する。また、前述したように移動体6の戻し過ぎが防止されているため、棒状物Mが開口1aからなかなか出現しないということが防止されている。そして、以降は上記と同様な動作となり、このような動作が繰り返される。
【0078】
また、図4に示すように、充填部材1と本体筒3との繰り出し方向への相対回転により、ピストン7が最大に前進すると、棒状物Mが殆ど使い切られる。
【0079】
このように、本参考形態の棒状物押出容器100によれば、充填部材1のみに棒状物Mが充填されるため、充填部材1の肉厚が比較的均一で棒状物Mの径方向の太さが軸線方向に沿って一定とされ、溶融棒状物M1を充填してから固化するまでの温度条件を安定させることが可能とされている。従って、棒状物Mの良好な充填が可能とされ製造歩留まりが向上されている。また、棒状物Mが充填された充填部材1を本体側組立品(容器)40に組み付ける構成のため、製造が容易とされている。また、棒状物Mは充填部材1の先端から後端への途中までに充填されているため、充填部材1の本体側組立品40に対する装着の際に、棒状物Mがピストン7により押し出されて充填部材1から出現することが防止され、仕上げ加工等の必要が無く、製造が容易とされている。
【0080】
また、充填部材1の本体側組立品40に対する装着完了時に、充填部材1に充填された棒状物Mと充填部材1に挿入されたピストン7との間には空間Zがある構成としているため、棒状物Mが充填部材1から確実に出現しないようになっている。
【0081】
また、通気部である空気抜き溝1iを設けているため、上記空間Zの空気が空気抜き溝1iを介して良好に逃がされるようになっている。また、このように、空間Zの空気が空気抜き溝1iを介して逃がされるため、充填部材1と本体筒3とが繰り戻し方向に相対回転され、前進したピストン7が後退する場合にあっては、充填部材1内の減圧作用(密閉状態を保つ作用)により、ピストン7の後退に従って棒状物Mを充填部材1内で引き戻しやすくなる。
【0082】
また、本参考形態の棒状物押出容器100にあっては、本体筒3側の中間部材11のバネ部11yが、充填部材1側の回転部材10を軸線方向後方に弾性的に押圧する構成のため、充填部材1と本体筒3とが良好な摺動抵抗で相対回転するようになっている。なお、このバネ部11yは、前述したように、無くても良い。
【0083】
なお、充填部材1の内周面が先端側へ行くに従って徐々に先細りする形状(テーパ形状)とすると、特に軟らかい棒状物を保持できると共に、保管時に外的衝撃があっても棒状物Mが抜け落ちることが防止され安全に保持されるため、好ましい。
【0084】
さらに、本参考形態の棒状物押出容器100によれば、以下の効果を得ることができる。すなわち、充填部材1と本体筒3とが繰り戻し方向に相対回転されると、前進した任意の位置にある移動体6は一定量後退し停止する、換言すれば、一定量を越えては後退しないため、移動体6の戻し過ぎが防止され、次回の使用時に棒状物Mが開口1aからなかなか出現しないということが無くされ、使用性(使いやすさ)の向上が図られている。
【0085】
また、充填部材1と本体筒3とが繰り出し方向に相対回転されて第一の螺合部8の螺合が解除されると、回転部材10のバネ部10yの付勢力により、第一の螺合部8が螺合復帰する構成としているため、充填部材1と本体筒3とが繰り戻し方向に相対回転されると、第一の螺合部8の螺合作用が支障無く働き、移動体6が後退するようになっている。また、繰り出し方向への相対回転が続けられる場合には、第一の螺合部8の螺合解除とバネ部10yによる螺合復帰が繰り返されるため、これによりクリック感が生じ、繰り出し方向への相対回転の度合いや移動体6の移動具合が使用者に感知されるようになっている。
【0086】
また、移動体6は、第二の螺合部9の一方である雄螺子6bを有し、この第二の螺合部9の他方である移動螺子筒5の雌螺子5dが、回転部材10の付勢手段であるバネ部10yにより第一の螺合部8の螺合復帰方向に付勢され、移動体6の先端には、充填部材1の内周面を摺接して棒状物Mを押し出すためのピストン7が装着され、移動体6は、ピストン7に対して軸線方向に所定量移動可能とされているため、第一の螺合部8の螺合解除時にあって、移動体6は、ピストン7と充填部材1の内周面との間の摺動抵抗を受けること無くバネ部10yの付勢力により軸線方向に所定量移動され、これにより、第一の螺合部8は円滑且つ良好に螺合復帰するようになっている。
【0087】
また、第二の螺合部9のリードに比して第一の螺合部8のリードが大きくされているため、充填部材1と本体筒3とが繰り出し方向に相対回転されると、移動体6が第一の螺合部8の大きい(粗い)リードに従い素早く前進して空間Zが直ちに無くされ、繰り出し方向の相対回転が続けられて第一の螺合部8の螺合が解除されると、今度は移動体6が第二の螺合部9の小さい(細かい)リードに従いゆっくりと前進して棒状物Mが適度に容器先端の開口1aから出現して使用状態にされ、使用後に充填部材1と本体筒3とが繰り戻し方向に相対回転されると、移動体6が第一の螺合部8の大きいリードに従い素早く後退し、その結果、使用性(使いやすさ)が一層向上されている。
【0088】
因みに、このように第二の螺合部9のリードに比して第一の螺合部8のリードを大きくすることで、移動螺子筒5に連れられる移動体6の進退を素早くする一方で、移動体6のみの前進による棒状物Mの出現を適度にゆっくりとするようにしているが、第一の螺合部8のリードと第二の螺合部9のリードとを同じとしたり、さらには、第二の螺合部9のリードに比して第一の螺合部8のリードを小さくすることも可能である。
【0089】
ここで、上記通気部である空気抜き溝1iに代えて、空気抜き溝をピストン7の外面に設けて通気部としても良い。
【0090】
また、図20に示すように、上記通気部である空気抜き溝1iに代えて、充填部材1の内部と外部とを連通する孔1kを通気部として採用しても良い。この場合にあっても、図20に示す初期状態、すなわち空気抜き孔1kが空間Zの空気を逃がすために通気を開としている状態から、ピストン7が充填部材1内を摺接しながら仮想線で示すように所定量前進することで、空間Zの空気が空気抜き孔1kを通して充填部材1の外側へ良好に逃がされ空間Zが直ちに無くされると共に、空気抜き孔1kの通気が閉とされ、ピストン7と棒状物Mとが充填部材1内において気密に接した状態とされる。
【0091】
また、図21に示すように、上記通気部である空気抜き溝1iに代えて、ピストン7の棒状物M側と移動体6側とを連通する孔7mを通気部として採用しても良い。この場合にあっても、図20に示す初期状態、すなわち空気抜き孔7mが空間Zの空気を逃がすために通気を開としている状態から、ピストン7が充填部材1内を摺接しながら所定量前進することで、空間Zの空気が空気抜き孔7mを通して移動体6側へ良好に逃がされ空間Zが直ちに無くされると共に、空気抜き孔7mの通気が閉とされ、ピストン7と棒状物Mとが充填部材1内において気密に接した状態とされる。
【0092】
なお、空間Zの空気を逃がすためにピストン7を所定量前進させて空間Zを無くす充填部材1と本体筒3との相対回転操作は、前述したように、使用者が購買後に行っても良く、また、棒状物押出容器100の組み立て後に、工場で行っても良い。
【0093】
ここで、上記通気部1i,1k,7mにあっては、充填部材1が装着された状態で空間Zの空気を逃がすために通気を開とし、相対回転操作によりピストン7が所定量前進することにより通気を閉とする構成としているが、図22に示すように、充填部材1を装着する際に、充填部材1に充填された棒状物Mと充填部材1に挿入されたピストン7との間の空気を逃がすべく、充填部材1を装着する際に空気を逃がすために通気を開とし、充填部材1の装着が完了すると通気を閉とする空気抜き孔7nを通気部として良い。この空気抜き孔7nにあっては、充填部材1を装着する際、すなわち充填部材1内にピストン7が挿入されていく際に、充填部材1に充填された棒状物Mと充填部材1に挿入されたピストン7との間の空気が空気抜き孔7nを通して移動体6側に逃げ、充填部材1の装着が完了すると、図22に示すように、空気抜き孔7nが棒状物Mにより塞がれて通気が閉とされて平衡状態となる。なお、このように、充填部材1を装着する際に、充填部材1に充填された棒状物Mと充填部材1に挿入されたピストン7との間の空気を逃がすために通気を開とし、充填部材1の装着が完了すると通気を閉とする通気部は、空気抜き溝1iや空気抜き孔1kでも構成できる。
【0094】
因みに、空間Zは、通気部により空気が完全に逃がされて、図2や図19に示すように、完全に無くなっても良く、また、図22に示すように、空間Zが充填部材1内の周縁に多少残っていても良い。
【0095】
図23は、本発明の第二の参考形態に係る棒状物押出容器を示す縦断面図である。図23に示すように、棒状物押出容器200は、充填部材101と、その前半部に充填部材101の後半部を内挿して当該充填部材101を同期回転可能且つ軸線方向離脱不能に連結する本体筒(本体)102と、この本体筒102の後端部に相対回転可能且つ軸線方向離脱不能に連結された操作筒(操作体)103と、を外形構成として具備し、充填部材101、本体筒102により容器前部が構成されると共に、操作筒103により容器後部が構成されている。
【0096】
そして、この棒状物押出容器200は、内部に、第一の参考形態と同様にして充填部材101内の先端から後端への途中まで充填された棒状物Mと、操作筒103に同期回転可能且つ軸線方向移動不能に連結された螺子筒104と、本体筒102に同期回転可能且つ軸線方向移動可能に係合すると共に螺子筒104に第一の螺合部108を介して螺合する移動螺子筒105と、操作筒103に同期回転可能且つ軸線方向移動可能に係合すると共に移動螺子筒105に第二の螺合部109を介して螺合する移動体106と、この移動体106の先端部に装着され充填部材101の後端部内に挿入されたピストン(押出部)107と、を概略備えている。
【0097】
この棒状物押出容器200によれば、本体筒102(充填部材101でも可)と操作筒103とが繰り出し方向に相対回転されると、移動螺子筒5の螺合突起105e及び螺子筒104の雌螺子104dより構成された第一の螺合部108の螺合作用が作動し、本体筒102のローレット102aの後半部及び移動螺子筒105の突条105cより構成された移動螺子筒105の回り止め部160との協働により、移動螺子筒105が前進する。これと同時に、移動螺子筒105の雌螺子105d及び移動体106の雄螺子106bより構成された第二の螺合部109の螺合作用が作動し、操作筒103の軸体103yの突条103g及び移動体106の突条106fより構成された移動体106の回り止め部150との協働により、移動体106が前進する。すなわち、移動体106は、移動螺子筒105に伴われて前進すると同時に単独でも前進する。
【0098】
ここで、初期状態の棒状物押出容器200にあって、第一の参考形態で述べたように、ピストン107と棒状物Mとの間に空間Zが形成されている場合には、当該空間Zは、上記移動螺子筒105の前進に伴われて前進する移動体106の先端のピストン107の空気抜き孔(通気部)107mにより直ちに無くされ、ピストン107と棒状物Mとが充填部材101内において気密に接した状態となる。
【0099】
そして、このように移動螺子筒105が前進すると、移動螺子筒105のバネ部105bの先端面が充填部材101の後端面に当接し、本体筒102と操作筒103との繰り出し方向への相対回転に従って、移動螺子筒105のバネ部105bの圧縮バネ105fが圧縮されて付勢力を蓄えながら、移動螺子筒105の本体部105aが前進し当該移動螺子筒105の螺合突起105eが螺子筒104の雌螺子104dの先端から外れ、第一の螺合部108の螺合が解除される。
【0100】
この螺合解除の状態にあっては、移動螺子筒105の圧縮バネ105fの付勢力により当該移動螺子筒105の本体部105aは後方側へ付勢される。従って、本体筒102と操作筒103との繰り出し方向への相対回転がさらに続けられると、後方に付勢されている移動螺子筒105の本体部105aの螺合突起105eが、螺子筒104における雌螺子104dの回転方向隣の先端に進入し第一の螺合部108が螺合復帰する。そして、本体筒102と操作筒103との繰り出し方向への相対回転がさらに続けられると、移動螺子筒105の圧縮バネ105fが圧縮されながら移動螺子筒105の本体部105aが前進して当該移動螺子筒105の螺合突起105eが螺子筒104の雌螺子104dの先端から外れて螺合が解除され、そして、さらなる同方向への相対回転により螺合復帰し、このような第一の螺合部108の螺合解除と螺合復帰が繰り返される。
【0101】
そして、このように第一の螺合部108の螺合作用が働いて移動螺子筒105が所定量前進して前進限に達し、本体筒102と操作筒103との繰り出し方向への相対回転が続けられて、第一の螺合部108の螺合解除と螺合復帰が繰り返される状態(第一の螺合部108の螺合作用が実質的には作動していない状態)にあっては、第二の螺合部109の螺合作用のみが働き、移動体106の回り止め部150との協働により、移動体106のみが前進する。
【0102】
そして、この本体筒102と操作筒103との繰り出し方向へ相対回転により移動体106のみが前進し、先端のピストン107により棒状物Mが押し出されて先端の開口101aを通して出現して使用状態にされる。
【0103】
そして、使用後にあって、本体筒102と操作筒103とが繰り戻し方向へ相対回転されると、後方に付勢されている移動螺子筒105の螺合突起105eが螺子筒104の雌螺子104dの先端に進入し第一の螺合部108が螺合復帰し、本体筒102と操作筒103との繰り戻し方向への相対回転がさらに続けられると、第一の螺合部108の螺合作用が支障無く作動し、移動螺子筒105の回り止め部160との協働により、移動螺子筒105が後退する。これと同時に、第二の螺合部109の螺合作用が作動し、移動体106の回り止め部150との協働により、移動体106が後退する。すなわち、移動体106は、移動螺子筒105に伴われて後退すると同時に単独でも後退する。
【0104】
この移動体106の後退時にあっては、第一の参考形態で説明したのと同様に、ピストン107と棒状物Mとが充填部材101内において気密に接した状態とされているため、充填部材101内の減圧作用により、棒状物Mが充填部材101内で引き戻されて後退する。
【0105】
そして、本体筒102と操作筒103との繰り戻し方向への相対回転により、移動螺子筒105が所定量後退し(移動螺子筒105が前進量と同量分後退し)、移動螺子筒105の螺合突起105eが螺子筒104の雌螺子104dの後端に達し後退限に達すると、第一の螺合部108の螺合作用が停止して本体筒102と操作筒103との繰り戻し方向へのそれ以上の相対回転が停止する。すなわち、本体筒102と操作筒103とを繰り戻し方向へそれ以上相対回転することができなくなり、移動体106の後退も停止する。
【0106】
このように、本体筒102と操作筒103との繰り戻し方向への相対回転により、後退限から一定量以上前進した任意の位置にある移動体106は、一定量を越えては後退しない。具体的には、移動体106は、移動螺子筒105が前進限から後退限まで後退する所定量に、移動螺子筒105が前進限から後退限まで後退する際の移動体106自体の小さい後退量を加えた分を越えては後退しない。従って、本体筒102と操作筒103との繰り戻し方向への相対回転により、移動体106の戻し過ぎが防止されている。
【0107】
そして、この状態から棒状物Mを使用状態とすべく、使用者により再度本体筒102と操作筒103とが繰り出し方向に相対回転されると、上記と同様な動作となる。
【0108】
なお、本参考形態にあっては、本体筒102と操作筒103との間に良好な摺動回転抵抗を与えると共に径方向のガタツキを防止するためのOリング115が、本体筒102と操作筒103との間に配設されている。
【0109】
そして、このような棒状物押出容器200の組み立て手順としては、本体筒102及び操作筒103から成る本体側筒体内に、第一、第二の螺合部108,109、回り止め部150,160を備える押出機構、螺子筒104、移動螺子筒105、移動体106、ピストン107を設けて(内蔵して)本体側組立品を得、一方、充填部材101にあっては、先端の開口101aをシール部材で塞ぎ逆さにした状態で、内部に所定量の溶融棒状物をノズルから吐出して充填部材101の先端から後端への途中まで充填し充填部材101の先端内に空間が無い状態とし、溶融棒状物が冷却固化し棒状物Mとなったら、当該棒状物Mが充填された充填部材101に対して、上方から上記本体側組立品の先端側を外挿し、ピストン107を充填部材101に挿入しながら、本体筒102に充填部材101を装着する。このとき、充填部材101は、その内周面が、ピストン107の気密性を確保するための環状突部107cに摺接しながら、本体筒102に係合される。
【0110】
このような棒状物押出容器200によれば、充填部材101のみに棒状物Mが充填されるため、充填部材101の肉厚が比較的均一で棒状物Mの径方向の太さが軸線方向に沿って一定とされ、溶融棒状物を充填してから固化するまでの温度条件を安定させることが可能とされている。従って、棒状物Mの良好な充填が可能とされ製造歩留まりが向上されている。また、棒状物Mが充填された充填部材101を本体側組立品(容器)に組み付ける構成のため、製造が容易とされている。また、棒状物Mは充填部材101の先端から後端への途中までに充填されているため、充填部材101の本体側組立品に対する装着の際に、棒状物Mがピストン107により押し出されて充填部材101から出現することが防止され、仕上げ加工等の必要が無く、製造が容易とされている。
【0111】
また、通気部である空気抜き孔107mを設けているため、棒状物Mとピストン107との間に空間Zがある場合には、当該空間Zの空気が空気抜き孔107mを介して良好に逃がされるようになっている。なお、通気部の構成としては、第一の参考形態で説明した他の通気部1i,1k等を採用しても良く、また、第一の参考形態で説明した通気部7n等を採用し、充填部材101の本体側組立品に対する装着完了時に、充填部材101に充填された棒状物Mと充填部材101に挿入されたピストン107との間の空気を逃がすようにしても良い。
【0112】
また、本参考形態においては、溶融棒状物を充填部材101に充填し、冷却固化後、棒状物Mが形成されるが、充填部材101の先端の開口101aが、これより後側の筒孔(充填部材101の筒孔)より狭められているため、特に軟らかい棒状物を保持できると共に、保管時に外的衝撃があっても棒状物Mが抜け落ちることが防止され安全に保持される。そして、一旦固化した棒状物Mが、狭い開口101aを絞りながらピストン107により押し出されるため、組成が崩れ軟らかくなり、程良い使用感となる。
【0113】
なお、充填部材101を透明にすることにより、先端部にキャップをした状態で充填部材101のフランジ部101zを通して棒状物Mの色を確認することができる。
【0114】
図24は、本発明の第一実施形態に係る棒状物押出容器を示す縦断面図、図25は、図24中のA部拡大図である。図24に示すように、棒状物繰出容器300は、容器の両先端側(図示左右端側)を形成する先筒253と、この先筒253より後側を形成する本体筒(本体)251と、を外形構成として具備し、先筒253により容器前部が構成されると共に、本体筒251により容器後部が構成されている。
【0115】
そして、この棒状物押出容器300は、内部に、本体筒251に先筒253を相対回転可能且つ軸線方向移動不能に連結するための連結部材252と、回り止め部(回り止め機構)を構成する回り止め部材257と、本体筒251と先筒253とが相対回転されると前進/後退するパイプ部材用移動体205と、パイプ部材用移動体205の前進/後退に伴い前進/後退するパイプ部材(充填部材)254と、上記参考形態と同様にしてパイプ部材254内の先端から後端への途中まで充填された棒状物Mと、パイプ部材用移動体205の前進/後退に伴い前進/後退しパイプ部材254が前進限に達し本体筒251と先筒253とがさらに繰り出し方向に相対回転されると前進する一方で、パイプ部材254が後退限に達し本体筒251と先筒253とがさらに繰り戻し方向に相対回転されると後退する棒状物用移動体(移動体)256と、この棒状物用移動体256の先端部に装着されパイプ部材254の後端部内に挿入されたピストン(押出部)256xと、パイプ部材用移動体205の移動を可能とする第一の螺合部258と、棒状物用移動体256の移動を可能とする第二の螺合部259とを概略備えている。
【0116】
そして、この棒状物繰出容器300では、パイプ部材用移動体205の螺合突起205e及び先筒253の螺旋溝253iより第一の螺合部258が構成され、パイプ部材用移動体205の雌螺子205j及び棒状物用移動体256の雄螺子256bより第二の螺合部259が構成され、回り止め部材257の二平面部257e及び棒状物用移動体256の二平面部256aより回り止め部270が構成されている。
【0117】
なお、この実施形態にあっては、第二の螺合部259のリードに比して第一の螺合部258のリードを大きくすることで、第一の螺合部258の螺合作用が第二の螺合部259の螺合作用より先に働くようになっている。因みに、例えば材質を異ならせる等して第一の螺合部258に比して第二の螺合部259の作動抵抗を上げ、これにより、第一の螺合部258の螺合作用が第二の螺合部259の螺合作用より先に働くようにしても良い。
【0118】
このような棒状物押出容器300にあっては、初期状態において、図24及び図25に示すように、パイプ部材254及びパイプ部材用移動体205は前進限に達した状態にある。この状態で、本体筒251と先筒253とが繰り出し方向へ相対回転されると、第一の螺合部258の螺合作用が停止の状態にあるため、第二の螺合部259の螺合作用が働き、回り止め部270との協働により、棒状物用移動体256が繰り出され、棒状物Mがパイプ部材254から出現して使用状態にされる。
【0119】
ここで、初期状態の棒状物押出容器300にあって、第一の参考形態で述べたように、ピストン256xと棒状物Mとの間に空間Zが形成されている場合には、第一の参考形態で説明したのと略同様な通気部1i,1k、7m等を採用することで、相対回転操作による棒状物用移動体256の前進により当該空間Zを無くすことができ、ピストン256xと棒状物Mとがパイプ部材254内において気密に接した状態となる。
【0120】
そして、使用後に、本体筒251と先筒253とが繰り戻し方向へ相対回転されると、先に第一の螺合部258の螺合作用が働き、回り止め部270との協働により、パイプ部材用移動体205が棒状物用移動体256を伴い後退する。
【0121】
ここで、ピストン256xはパイプ部材254の内周面に緊密に当接した状態にあるため、ピストン256xはパイプ部材254を伴い後退し、第一の参考形態で説明したのと同様に、ピストン256xと棒状物Mとがパイプ部材254内において気密に接した状態とされているため、パイプ部材254内の減圧作用により、棒状物Mがパイプ部材254内で引き戻されて後退し、パイプ部材254及び棒状物Mの先端部が先筒253の先端の開口から没入し、パイプ部材254は先筒253内の収容位置に繰り戻される。
【0122】
そして、パイプ部材用移動体205の後端面が回り止め部材257の先端面に突き当たる後退限に達すると、パイプ部材用移動体205の螺合突起205eのそれ以上の後退が阻止され、第一の螺合部258の螺合作用が停止する。この状態で、続けて本体筒251と先筒253とが繰り戻し方向へ相対回転されると、第一の螺合部258の螺合作用が停止しているため、第二の螺合部259の螺合作用が働き、回り止め部270との協働により、棒状物用移動体256が後退する。この時、ピストン256xと棒状物Mとがパイプ部材254内において気密に接した状態とされているため、棒状物Mがピストン256xと共に後退し、棒状物Mの先端部もパイプ部材254内に収容されることになる。
【0123】
この状態で、使用者により本体筒251と先筒253とが繰り出し方向に相対回転されると、第一の螺合部258の螺合作用が働き、棒状物用移動体256を含むパイプ部材254は、上記した第一の螺合部258の螺合作用が停止するまで前進し、以降は上記と同様な動作となる。
【0124】
そして、このような棒状物押出容器300の組み立て手順としては、本体筒251内に、第一、第二の螺合部258,259、回り止め部270を備える押出機構、パイプ部材用移動体205、連結部材252、回り止め部材257、棒状物用移動体256、ピストン256xを設けて(内蔵して)本体側組立品を得る。この状態にあっては、パイプ部材用移動体205は、図25に示すように、前進限の位置にある。一方、先筒253側にあっては、パイプ部材254の先端の開口をシール部材で塞ぎ逆さにした状態で、内部に所定量の溶融棒状物をノズルから吐出してパイプ部材254の先端から後端への途中まで充填しパイプ部材254の先端内に空間が無い状態とし、溶融棒状物が冷却固化し棒状物Mとなったら、当該棒状物Mが充填されたパイプ部材254を先筒253に対して前進限に位置するように挿入し、このパイプ部材254を収容した先筒253に対して、上方から上記本体側組立品の先端側を内挿し、ピストン256xをパイプ部材254に挿入しながら、本体筒251に装着されている連結部材252に先筒253を装着する。このとき、パイプ部材254の内周面がピストン256xの外周面に摺接しながら、パイプ部材254を収容した先筒253が連結部材252に係合される。
【0125】
このような棒状物押出容器300によれば、本体筒251と先筒253とが繰り出し方向である一方向に相対回転されると、第一の螺合部258の螺合作用が働いて容器に対して充填部材であるパイプ部材254が前進し、第一の螺合部258の螺合作用が停止されると、第二の螺合部259の螺合作用のみが働いてパイプ部材254に対して移動体である棒状物用移動体256が前進して棒状物Mを押し出すことになる。このような棒状物押出容器300では、パイプ部材254のみに棒状物Mが充填されるため、パイプ部材254の肉厚が比較的均一で棒状物Mの径方向の太さが軸線方向に沿って一定とされ、溶融棒状物を充填してから固化するまでの温度条件を安定させることが可能とされている。従って、棒状物Mの良好な充填が可能とされ製造歩留まりが向上されている。また、棒状物Mが充填されたパイプ部材254(先筒253)を本体側組立品(容器)に組み付ける構成のため、製造が容易とされている。また、棒状物Mはパイプ部材254の先端から後端への途中までに充填されているため、パイプ部材254の本体側組立品に対する装着の際に、棒状物Mがピストン256xにより押し出されてパイプ部材254から出現することが防止され、仕上げ加工等の必要が無く、製造が容易とされている。
【0126】
なお、第一の参考形態で説明した通気部7n等を採用し、パイプ部材254を収容した先筒253の本体側組立品に対する装着完了時に、パイプ部材254に充填された棒状物Mとパイプ部材254に挿入されたピストン256xとの間の空気を逃がすようにしても良い。
【0127】
図26は、本発明の第二実施形態に係る棒状物押出容器の初期状態を示す縦断面図、図27は、図26に示す状態から使用者の操作により移動螺子筒及び移動体が前進した時の縦断面図である。図26に示すように、棒状物押出容器400は、容器の後半部を形成する本体筒(本体)301と、容器の前半部を形成し先筒押え部材302を介して本体筒31に相対回転可能に連結された先筒303とを外形構成として具備し、先筒303により容器前部が構成されると共に、先筒押え部材302を備える本体筒301により容器後部が構成されている。
【0128】
そして、この棒状物押出容器400は、内部に、パイプ部材(充填部材)304と、第一の参考形態と同様にしてパイプ部材304内の先端から後端への途中まで充填された棒状物Mと、パイプ部材304を同期回転可能且つ軸線方向離脱不能に連結し本体筒301と先筒303とが相対回転されると前進/後退する雌螺子部材305と、本体筒301と同期回転可能且つ軸線方向移動可能に係合し雌螺子部材305の前進/後退に従い前進/後退する回転部材316と、この回転部材316と同期回転可能且つ軸線方向移動可能に係合すると共に雌螺子部材305の前進/後退に伴い前進/後退しパイプ部材304が前進限に達し本体筒301と先筒303とがさらに同方向に相対回転されると前進する移動体306と、この移動体306の先端部に装着されパイプ部材304の後端部内に挿入されたピストン(押出部)307と、雌螺子部材305の移動を可能とする第一の螺合部308と、移動体306の移動を可能とする第二の螺合部309とを概略備えている。
【0129】
この棒状物押出容器400では、雌螺子部材305の螺合突起305e及び先筒303の螺合溝303bより第一の螺合部308が構成され、雌螺子部材305の雌螺子305j及び移動体306の雄螺子306bより第二の螺合部309が構成され、移動体306の突条306d及び回転部材316の軸体316yの突条316eより回り止め部350が構成されている。
【0130】
なお、この実施形態にあっては、雌螺子部材305の外面に装着されるOリング311の弾性力によって雌螺子部材305を締め付けることで、第二の螺合部309の作動抵抗が上げられて第一の螺合部308の作動抵抗に比して高くされ、これにより、第一の螺合部308の螺合作用が第二の螺合部309の螺合作用より先に働くようになっている。なお、第二の螺合部309のリードに比して第一の螺合部308のリードを大きくすることで、第一の螺合部308の螺合作用が第二の螺合部309の螺合作用より先に働くようにすることも可能である。
【0131】
この棒状物押出容器400によれば、図26に示す初期状態から使用者により本体筒301と先筒303とが繰り出し方向に相対回転されると、第一の螺合部308の螺合作用が働き、回り止め部350との協働により、雌螺子部材305及びパイプ部材304と共に移動体306及びピストン307が前進してパイプ部材304の先端部が先筒303の先端の開口から出現する。
【0132】
そして、雌螺子部材305が所定量前進すると、雌螺子部材305の環状突部305kが回転部材316の凸部316dを軸線方向に係止し、続けて本体筒301と先筒303とが繰り出し方向へ相対回転されると、図27に示すように、環状突部305kと凸部316dとの係止により雌螺子部材305が回転部材316を伴って前進し、パイプ部材304の先端部の先筒303からの突出量が増えながら、パイプ部材304が、雌螺子部材305の螺合突起305eが先筒303の螺合溝303bの先端303fに位置する前進限まで前進して第一の螺合部308の螺合作用が停止し、続けて本体筒301と先筒303とが繰り出し方向へ相対回転されると、第二の螺合部309の螺合作用が働き、回り止め部350との協働により、移動体306及びピストン307が前進し、ピストン307により棒状物Mが押し出されてパイプ部材304の先端から出現して使用状態にされる。
【0133】
ここで、第一の参考形態で述べたように、ピストン307と棒状物Mとの間に空間Zが形成されている場合には、第一の参考形態で説明したのと略同様な通気部1i,1k、7m等を採用することで、相対回転操作によるピストン307の前進により当該空間Zを無くすことができ、ピストン307と棒状物Mとがパイプ部材304内において気密に接した状態となる。
【0134】
使用後に、本体筒301と先筒303とが繰り戻し方向へ相対回転されると、第一の螺合部308の螺合作用が働き、回り止め部350との協働により、雌螺子部材305及びパイプ部材304が後退すると共に移動体306及びピストン307が後退して、パイプ部材304の先端部が先筒303の先端の開口から没入し、回転部材316の後端面が本体筒301の底面に当接して雌螺子部材305が後退限に達して第一の螺合部308の螺合作用が停止し、続けて本体筒301と先筒303とが繰り戻し方向へ相対回転されると、第二の螺合部309の螺合作用が働き、回り止め部350との協働により、移動体306及びピストン307が後退する。
【0135】
この時、ピストン307と棒状物Mとがパイプ部材304内において気密に接した状態にあるため、棒状物Mがピストン307と共に後退し、棒状物Mの先端部は、先筒303及びパイプ部材304内に収容される。
【0136】
そして、このような棒状物押出容器400の組み立て手順としては、本体筒301、先筒押え部材302及び先筒303内から成る本体側筒体内に、第一、第二の螺合部308,309、回り止め部350を備える押出機構、雌螺子部材305、回転部材316、移動体306、ピストン307を設けて(内蔵して)本体側組立品を得、一方、パイプ部材304にあっては、先端の開口をシール部材で塞ぎ逆さにした状態で、内部に所定量の溶融棒状物をノズルから吐出してパイプ部材304の先端から後端への途中まで充填しパイプ部材304の先端内に空間が無い状態とし、溶融棒状物が冷却固化し棒状物Mとなったら、当該棒状物Mが充填されたパイプ部材304に対して、上方から上記本体側組立品の先端側を挿入し、ピストン307をパイプ部材304に挿入しながら、雌螺子部材305にパイプ部材304を装着する。このとき、パイプ部材304は、その内周面が、ピストン107の気密性を確保するための環状突部307cに摺接しながら、雌螺子部材305に係合される。
【0137】
このような棒状物押出容器400によれば、本体筒301と先筒303とが繰り出し方向である一方向に相対回転されると、第一の螺合部308の螺合作用が働いて容器に対して充填部材であるパイプ部材304が前進し、第一の螺合部308の螺合作用が停止されると、第二の螺合部309の螺合作用のみが働いてパイプ部材304に対して移動体306が前進して棒状物Mを押し出すことになる。このような棒状物押出容器400では、パイプ部材304のみに棒状物Mが充填されるため、パイプ部材304の肉厚が比較的均一で棒状物Mの径方向の太さが軸線方向に沿って一定とされ、溶融棒状物を充填してから固化するまでの温度条件を安定させることが可能とされている。従って、棒状物Mの良好な充填が可能とされ製造歩留まりが向上されている。また、棒状物Mが充填されたパイプ部材304を本体側組立品(容器)に組み付ける構成のため、製造が容易とされている。また、棒状物Mはパイプ部材304の先端から後端への途中までに充填されているため、パイプ部材304の本体側組立品に対する装着の際に、棒状物Mがピストン307により押し出されてパイプ部材304から出現することが防止され、仕上げ加工等の必要が無く、製造が容易とされている。
【0138】
なお、第一の参考形態で説明した通気部7n等を採用し、パイプ部材304の本体側組立品に対する装着完了時に、パイプ部材304に充填された棒状物Mとパイプ部材304に挿入されたピストン307との間の空気を逃がすようにしても良い。
【0139】
以上、本発明をその実施形態に基づき具体的に説明したが、本発明は上記実施形態に限定されるものではない。例えば、雄螺子、雌螺子は、間欠的に配される突起群又は螺旋状且つ間欠的に配される突起群のように螺子山と同様な働きをするものであっても良く、また、螺合突起は、連続する螺子山であっても良い。なお、キャップの嵌合部に気密性を持たせることで、揮発成分を配合した棒状物を保持することが可能である。
【符号の説明】
【0140】
251,301…本体筒(容器後部)、253,303…先筒(容器前部)、254,304…パイプ部材(充填部材)、256,306…移動体、256x,307…ピストン(押出部)、258,308…第一の螺合部、259,309…第二の螺合部、300,400…棒状物押出容器(容器)、M…棒状物。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
容器に装着され両端が開口された筒状の充填部材と、この充填部材に充填された棒状物と、を具備し、容器前部と当該容器前部に相対回転可能とされた容器後部とが一方向に相対回転されると、容器内に配設された移動体が前進し前記棒状物を容器先端の開口部から出現させる棒状物押出容器において、
前記容器内に第一の螺合部及び第二の螺合部を備え、
前記容器前部と前記容器後部とが一方向に相対回転されると、前記第一の螺合部の螺合作用が働いて前記容器に対して前記充填部材が前進し、前記第一の螺合部の螺合作用が停止されると、前記第二の螺合部の螺合作用のみが働いて前記充填部材に対して前記移動体が前進して前記棒状物を押し出す構成とされ、
前記容器内には、前記移動体の先端に位置し前記充填部材内を摺動する押出部が設けられ、
前記棒状物は、前記充填部材の先端から後端への途中まで充填され、
この棒状物が充填された前記充填部材を前記容器に組み付ける際に、当該充填部材が前記容器に装着されると共に前記押出部が前記充填部材に挿入されることを特徴とする棒状物押出容器。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【図22】
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【図23】
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【図24】
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【図25】
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【図26】
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【図27】
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【公開番号】特開2012−50884(P2012−50884A)
【公開日】平成24年3月15日(2012.3.15)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−271512(P2011−271512)
【出願日】平成23年12月12日(2011.12.12)
【分割の表示】特願2006−121063(P2006−121063)の分割
【原出願日】平成18年4月25日(2006.4.25)
【出願人】(591147339)株式会社トキワ (141)