説明

棒状被包装物の挟み込み機構を備えた包装機及び棒状被包装物の包装方法

【課題】バイブレーション装置の上動によっても、包装袋内の棒状被包装物の一部が、クランプアームとバイブレーション装置との間に挟まって折れるのを回避する。
【解決手段】一対のクランプアーム4を備え、このクランプアーム4で包装袋2の両側縁部を挟持しながら乾麺等の棒状被包装物1を充填して包装する包装機Mにおいて、棒状被包装物充填セクション(3)後位の第1振動セクション(4)の包装機Mの外周部に、包装袋2の両側縁部及び棒状被包装物1を内側に寄せるための左右一対の金属線材65a,65bからなる挟み込み手段65を備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、包装袋に、細くて硬くて折れやすい棒状被包装物(例えば、そうめん、冷麦、干しうどん、パスタ等の乾麺)を投入した後、棒状被包装物の上端を揃えるために、底部から振動を与える際に被包装物が包装機のクランプに当たって折れることが無いようにするための棒状被包装物の挟み込み機構を備えた包装機及び棒状被包装物の包装方法に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1のような包装機は、いわゆるロータリー式包装機であって、包装袋の供給工程、印字工程、包装袋を開口する包装袋の袋口開工程、充填物の充填工程、包装袋の正面と背面及び底部から振動を与えて被包装物を揃える振動工程、シール工程、シール部の冷却及び良品排出工程を順次、実施して包装を完成する。
【0003】
特許文献1の包装機は、供給工程において、ロータの周縁に設置した1組のクランプアームに、積層する包装袋の1枚を供給すると、ロータの時計方向への間欠回転によって前記クランプアームは、包装袋を吊り下げて1ピッチずつ移動し、袋口開工程で開口した包装袋内に充填工程で棒状被包装物の投入充填を行う。
【0004】
そして、後位の振動工程では、包装袋の背面側に設けられた受け板と、流体シリンダに支持する一対の可動クリップ及び一対の押圧体とを対向させ、流体シリンダによって振動を発生させて、包装袋内の被包装物の姿勢を修正する。さらに、この特許文献1では、姿勢を修正するために被包装物を下から押し上げるバイブレーション装置が設けられている(段落番号(0008)及び図3参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特許第3820343号公報
【特許文献2】実用新案登録第3107098号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
棒状被包装物には、特許文献1の例に示すような沢庵のようなもの以外に、例えば、そうめん、冷麦、干しうどん、パスタ等の乾麺があるが、投入直後の乾麺の上面高さや姿勢が揃っていない場合があるので、それらを揃えるために前記特許文献1の可動クリップ及び一対の押圧体とで振動を発生させて、包装袋内の被包装物の姿勢を修正し、バイブレーション装置で袋底を上方に突き上げるように振動を与えるが、以下のように棒状被包装物が折れるおそれがある。
【0007】
図2は、乾麺等の棒状被包装物1を包装袋2に投入して上下に振動を与える状態を示した模式図である。バイブレーション装置3で乾麺等の棒状被包装物1に上下方向(矢印h1)の振動を与えると、包装袋2にはサイドシールが無いため、棒状被包装物1内において、包装袋2の両側縁部内に投入されている棒状被包装物1の一部は、バイブレーション装置3の上動で、一対のクランプアーム4先端のクランプ5と、バイブレーション装置3の平板3aとの間に挟まって折れるおそれがある。
【0008】
そこで本発明は、バイブレーション装置の上動によっても、包装袋内の棒状被包装物1の一部が、クランプアームとバイブレーション装置との間に挟まって折れるのを回避するための、挟み込み機構を備えた包装機及び包装方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明の棒状被包装物の挟み込み機構を備えた包装機は、一対のクランプアームを備え、このクランプアームで包装袋の両側縁部を挟持しながら棒状被包装物を充填して包装する包装機において、
前記包装機の被包装物充填セクション後位の停止セクションに、包装袋の両側縁部及び棒状被包装物を内側に寄せるための挟み込み手段
を備えたことを特徴とする。
【0010】
本発明の棒状被包装物の挟み込み機構を備えた包装方法は、一対のクランプアームを備え、このクランプアームで包装袋の両側縁部を挟持しながら棒状被包装物を充填して包装する棒状被包装物の包装方法であって、
この棒状被包装物の包装方法は、棒状被包装物充填セクションで実施される充填物の充填工程と、この充填物の充填工程後位の振動セクションで、挟み込み手段により包装袋の両側縁部及び棒状被包装物を内側に寄せて、棒状被包装物を前記一対のクランプアーム下域から退避させた後に、包装袋と棒状被包装物とに上下方向に振動を与える振動工程と、
を有することを特徴とする。
【0011】
上記の構成及び方法により、棒状被包装物を充填した状態でクランプアームに両側縁部を挟持して懸垂された包装袋は、被包装物充填セクション後位の停止セクションでの停止時に、挟み込み手段の挟み込み作動により包装袋の両側縁部が内側に寄せられる。その結果、包装袋の両側縁部内に存在している棒状被包装物1は、中央側に寄せられてクランプアームの下域から退避する。これにより、包装袋内の棒状被包装物がクランプアームと振動装置との間に挟まって折れるのを回避できる。
【発明の効果】
【0012】
本発明の包装機及び包装方法は、包装袋内の棒状被包装物の一部がクランプアームと振動装置との間に挟まって折れるのを回避できる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【図1】棒状被包装物の挟み込み機構の斜視図
【図2】従来のバイブレーション装置の模式図
【図3】ロータリー式包装機の概略平面図
【発明を実施するための形態】
【0014】
(実施例1)
図3において、ロータリー式包装機Mは、円形ロータ10の周縁に2本を一組とする8組のクランプアーム4が支持され、各クランプアーム4は、それぞれの先端に包装袋2の両側縁部を挟持するクランプ5を備える。図示していないモータの動力を、間欠回転伝達機構(図示省略)を介してロータ10の中心軸10aに伝えると、ロータ10は8組のクランプアーム4の円周方向間隔に相当する45゜の進角ピッチで時計まわり(矢印R1)に間欠回転する。
【0015】
ロータ10は、包装袋の供給工程を実施する包装袋供給セクション(1)、包装袋の袋口開工程と印字工程とを併せて実施する袋口開セクション(2)、充填物の充填工程を実施する棒状被包装物充填セクション(3)、第1振動工程を実施する第1振動セクション(4)、第2振動工程を実施する第2振動セクション(5)、姿勢調整工程を実施する姿勢調整セクション(6)、包装袋内の空気を抜くと共に、袋口をシールするシールセクション(7)、包装袋のシール部の冷却及び製品排出工程を実施する排出セクション(8)の各セクションを備え、各セクションにおいて所定時間停止して作業を行う。従って、包装袋供給セクション(1)でクランプアーム4に供給された包装袋2は、その両側縁部をクランプアーム4に挟持された懸垂状態で、45゜の進角ピッチで1ピッチずつロータ10外域の円軌道Rに沿って排出セクション(8)に向けて間欠搬送される。
【0016】
包装袋供給セクション(1)には、袋箱11に多数枚の包装袋2が積層されており、積層されている多数枚の包装袋2は、図示していない吸盤で上から順に1枚づつ吸着してクランプ5に供給され、その両側縁部を挟持して懸垂される。袋口開セクション(2)では、先ず、図示していない印字手段により、例えば、賞味期限や製造年月日等が包装袋2の表面適所に印字された後、吸盤12により包装袋2の前後面を吸引しながら拡開して袋口2aが開口される。この場合、クランプアーム4の円周方向間隔は、袋口2aの開口を助長するために僅かに縮小される。
【0017】
棒状被包装物充填セクション(3)では、投入コンベア13の間欠運転によって搬送される所定量の乾麺等の棒状被包装物1が、反転・反転戻り動作する反転投入装置(図示省略)により朝顔型のホッパー8を介して、前記開口している袋口2aから包装袋2の内部に垂直姿勢で投入される。
【0018】
第1振動セクション(4)では、棒状被包装物1の上端を揃えるために、バイブレーション装置3の平板3a(図2も併せて参照)を介して、棒状被包装物1に上下方向の振動を与える。この第1振動セクション(4)に、本発明の挟み込み機構6(図1参照)が設置される。図2のバイブレーション装置3は、図1の挟み込み機構6の挟み込み作動完了の直後に駆動されて棒状被包装物1の上端を揃える。
【0019】
図3に示す第2振動セクション(5)では、再度、棒状被包装物1の上端と姿勢を揃えるために、バイブレーション装置の平板3aで棒状被包装物1に上下方向の振動を与える。姿勢調整セクション(6)には、包装袋2の前後面に対向する波板状の厚手のスポンジ板体からなるソフト弾性材14aを備えた一対の可動ブロック14が、包装袋2の前後面に接近・離反可能、かつ、相反する左右方向への振動を可能に設置されている。従って、一対の可動ブロック14を互いに接近させて包装袋2及び棒状被包装物1に弾性材14aでソフトな挟圧力を作用させると共に、一対の可動ブロック14を所定の振幅で相反する左右方向に振動させると、姿勢調整セクション(6)への到達時には、比較的束状に包装袋2に収容されている棒状被包装物1がソフトに揉みほぐされて平たく姿勢調整され、包装袋2内で整列する。ここで、クランプアーム4の円周方向間隔は、袋口2aを閉じるために僅かに拡大して元の円周方向間隔に復元する。
【0020】
シールセクション(7)には、包装袋2の前後面に対向する厚手のスポンジ板体からなるソフト弾性材15aを備えた一対の可動ブロック15が、包装袋2の前後面に接近・離反可能に設置されている。従って、包装袋2の袋口2aをシールする前に、一対の可動ブロック15を互いに接近させて、包装袋2をソフト弾性材14aで挟圧することで、包装袋2内の空気を排除して脱気した後、加熱シールする。
【0021】
排出セクション(8)では、前記シールセクション(7)で加熱シールにより温度の上がったシール部を冷却手段(図示省略)で冷却した後、クランプ5による包装袋2の両側縁部の挟持を解除し、案内板(シューター)16を介して搬出コンベア17上に導き、搬出コンベア17により搬出されて梱包されることになる。
以上を順次、実施して包装を完成する。
【0022】
次に、図1に示す挟み込み機構6について説明する。本発明の挟み込み機構6は、第1振動セクション(4)(図3参照)における円軌道R近傍の外域に設置され、台60、流体シリンダ61、連結リンク62、駆動ピニオン63、駆動ピニオン63に噛み合う従動ピニオン64、左右一対の金属線材65a,65bからなる挟み込み手段65と、を備える。
【0023】
流体シリンダ61は、軸線Cを円形ロータ10(図3参照)の接線に略平行させた水平姿勢で、ピン61aを揺動中心として水平方向の揺動を可能に台60の略中央部上面に載置され、そのピストンロッド61b先端部に基端部が枢支された連結リンク62の先端部を、駆動ピニオン63の中心軸68a上端に固着している。駆動ピニオン63と中心軸68aとは、同時に回転できるように一体化されて台60の上面に回転自在に立設されており、従動ピニオン64と中心軸68bとは、同時に回転できるように一体化されて台60の上面に回転自在に立設されている。従動ピニオン64の中心軸68bの上端に、挟み込み手段65の一方を構成する左側の金属線材65aの基端部が固着され、駆動ピニオン63の中心軸68aの上端に固着されている連結リンク62の先端部上面に、挟み込み手段65の他方を構成する右側の金属線材65bの基端部が固着されている。挟み込み手段65を構成する左右の金属線材65a,65bは、常時は、実線で示すように、開き角度が十分に大きい「ハ」字形を呈し、それぞれの先端部は円軌道Rの外域で待機している。
【0024】
金属製湾曲板材からなる検知バー67と検知台67bは、棒状被包装物充填セクション(3)と第1振動セクション(4)との間の、通過する包装袋2の高さ位置に設置されている。この検知バー67は、図示しない支柱に連なる支持棒67cに支持された検知台67bに揺動可能に取り付けられ、スイッチング動作を行う。この検知バー67は、第1振動セクション(4)で停止する前段階で、先端の円弧部67aと、この円弧部67aと対峙する固定板(図示せず)とで、充填済みの包装袋2を挟み付けて被包装物の充填の有無を検知する。被包装物の未充填を検知した場合、未充填の包装袋2に限り第1振動セクション(4)以降の各セクションでの動作を停止する。
【0025】
66は包装袋の振れを止めて案内するすべり案内棒であって、このすべり案内棒66は、台60より下方に設けられており、図示しない支柱に連なる平板66bの先端部に、ロータ10(図3参照)の曲率半径よりも大きい曲率半径をもつ円弧状の主体部66aが溶着されている。
【0026】
棒状被包装物充填セクション(3)(図3参照)から第1振動セクション(4)に向けて搬送されてきた乾麺等の棒状被包装物1の充填済みの包装袋2は、第1振動セクション(4)では円軌道Rに沿う位置に案内されて停止する。上記のように構成された挟み込み機構6は、ここで流体シリンダ61のピストンロッド61bが突出し、連結リンク62を介して駆動ピニオン63と中心軸68aを反時計まわりに回転させ、同時に従動ピニオン64と中心軸68bを時計まわりに回転させる。これにより、挟み込み手段65を構成する左右の金属線材65a,65bには、実線で示す開き角度が十分に大きい「ハ」字形の形態から、二点鎖線で示す開き角度の小さい「ハ」字形に形態変化する挟み込み作動が生じて、包装袋2の両側縁部は二点鎖線xで示すように内側に寄せられ、その幅寸法W1がクランプ5の対向間隔Wよりも小さくなり、包装袋2の両側縁部内に存在している棒状被包装物1は、中央側に寄せられて左右一対のクランプアーム4先端のクランプ5の下域から退避する。従って、挟み込み機構6の挟み込み作動完了の直後にバイブレーション装置3の平板3aが上動しても、包装袋2内の棒状被包装物1がクランプ5と平板3aとの間に挟まって折れるのを回避して、棒状被包装物1の上端を揃えることができる。
【0027】
バイブレーション装置3の作動による棒状被包装物1の上端揃えが完了すると、流体シリンダ61のピストンロッド61bが後退し、連結リンク62を介して駆動ピニオン63と中心軸68aを時計まわりに回転させ、同時に従動ピニオン64と中心軸68bを反時計まわりに回転させて、左右の金属線材65a,65bを実線で示す開き角度が十分に大きい「ハ」字形の形態に復帰させて待機する。
第1振動セクション(4)では、以上を順次実施する。
【0028】
(他の実施例)
前記実施例の挟み込み機構6の挟み込み手段65は、金属線材から構成したが、この挟み込み手段65は板状のものであってもよい。また、前記実施例では、挟み込み機構6を、包装機Mの外周部の被包装物充填セクション後位の停止セクションに設けたが、挟み込み機構6は包装機Mの内周部側に設けてもよい。さらに、本発明の挟み込み機構6は、ロータリー式の包装機以外に直線状に搬送されながら棒状被包装物を投入充填して包装する包装機であってもよい。
【産業上の利用可能性】
【0029】
本発明は、例えばロータリー式包装機において、包装袋に折れやすい棒状被包装物を投入して包装する際に、折れを少なくするための棒状被包装物の挟み込み機構として有用である。
【符号の説明】
【0030】
1 棒状被包装物
2 包装袋
4 クランプアーム
6 挟み込み機構
65 挟み込み手段
(3) 被包装物充填セクション
(4) 第1振動セクション(被包装物充填セクション後位の停止セクション)
M 包装機

【特許請求の範囲】
【請求項1】
一対のクランプアームを備え、このクランプアームで包装袋の両側縁部を挟持しながら棒状被包装物を充填して包装する包装機において、
前記包装機の被包装物充填セクション後位の停止セクションに、包装袋の両側縁部及び棒状被包装物を内側に寄せるための挟み込み手段
を備えたことを特徴とする棒状被包装物の挟み込み機構を備えた包装機。
【請求項2】
挟み込み手段が棒状または板状の資材でできていることを特徴とする請求項1に記載の棒状被包装物の挟み込み機構を備えた包装機。
【請求項3】
一対のクランプアームを備え、このクランプアームで包装袋の両側縁部を挟持しながら棒状被包装物を充填して包装する棒状被包装物の包装方法であって、
この棒状被包装物の包装方法は、棒状被包装物充填セクションで実施される充填物の充填工程と、この充填物の充填工程後位の振動セクションで、挟み込み手段により包装袋の両側縁部及び棒状被包装物を内側に寄せて、棒状被包装物を前記一対のクランプアーム下域から退避させた後に、包装袋と棒状被包装物とに上下方向に振動を与える振動工程と、
を有する棒状被包装物の包装方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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