棘付き医療デバイスおよび方法
【課題】改善された棘付き縫合糸およびその作製方法を提供すること。
【解決手段】本発明により、外側表面を有するマルチフィラメント細長本体;ならびに第一の部分および第二の部分を有するモノフィラメントフラグメントであって、該第一の部分は、該マルチフィラメント細長本体内に配置されており、そして該第二の部分は、該マルチフィラメント細長本体の該外側表面を越えて延びている、モノフィラメントフラグメント、を備える、棘付き医療デバイスが提供される。
【解決手段】本発明により、外側表面を有するマルチフィラメント細長本体;ならびに第一の部分および第二の部分を有するモノフィラメントフラグメントであって、該第一の部分は、該マルチフィラメント細長本体内に配置されており、そして該第二の部分は、該マルチフィラメント細長本体の該外側表面を越えて延びている、モノフィラメントフラグメント、を備える、棘付き医療デバイスが提供される。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
(関連出願の引用)
本願は、2010年4月12日に出願された米国仮特許出願番号61/323,158の利益および優先権を主張する。この米国仮特許出願の全開示は、本明細書中に参考として援用される。
【0002】
(技術分野)
本開示は、一般に、棘付き医療デバイスに関する。より特定すると、本開示は、棘付き縫合糸、および縫合糸上に棘を形成する方法に関する。
【背景技術】
【0003】
(関連技術の背景)
医療手順において使用するための縫合糸は、公知である。モノフィラメントが特定の創傷に適切であり得るが、他の創傷については、マルチフィラメント縫合糸が望ましくあり得る。マルチフィラメント縫合糸は、モノフィラメント縫合糸よりも良好な取り扱い特性を示し得、そしてより柔軟であり得る。
【0004】
棘付き縫合糸もまた公知である。縫合糸の型と、この縫合糸上の棘の構成との両方が、特定の適応症のために組織の保持を最適化するように設計され得る。いくつかの状況において、縫合糸の外側表面上の棘の無作為な構成が、最適な創傷閉鎖を達成するために好ましくあり得る。他の状況において、創傷または必要とされる組織修復が比較的小さい場合、減少した数の棘が望ましくあり得る。なお他の状況において、双方向棘付き縫合糸が、この縫合糸の一部分にわたってこの縫合糸が組織を一方向に通ることを可能にし、そしてこの縫合糸の別の部分にわたってこの縫合糸が組織を第二の方向に通ることを可能にするために、望ましくあり得る。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
縫合糸上に棘を形成する種々の方法が提唱されているが、このような方法は、実施が困難であり得るか、または費用がかかり得る。従って、棘付き縫合糸およびその作製方法に関して、改善の余地が残っている。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決するために、本発明は、例えば、以下を提供する:
(項目1)
外側表面を有するマルチフィラメント細長本体;ならびに
第一の部分および第二の部分を有するモノフィラメントフラグメントであって、該第一の部分は、該マルチフィラメント細長本体内に配置されており、そして該第二の部分は、該マルチフィラメント細長本体の該外側表面を越えて延びている、モノフィラメントフラグメント、
を備える、棘付き医療デバイス。
【0007】
(項目2)
前記モノフィラメントフラグメントが、前記マルチフィラメント細長本体を完全に通って延びており、そしてさらに、第三の部分を備え、該第三の部分は、該モノフィラメントフラグメントの前記第二の部分から離れた位置で、該マルチフィラメント細長本体の前記外側表面を越えて延びている、上記項目に記載の棘付き医療デバイス。
【0008】
(項目3)
前記モノフィラメントフラグメントの前記第二の部分が、約0.1mm〜約5mmの間隔で前記マルチフィラメント細長本体の前記外側表面を越えて延びている、上記項目のいずれか一項に記載の棘付き医療デバイス。
【0009】
(項目4)
前記マルチフィラメント細長本体が、生体適合性接着剤をさらに備える、上記項目のいずれか一項に記載の棘付き医療デバイス。
【0010】
(項目5)
前記モノフィラメントが、少なくとも1つの端部分を備え、該端部分は、前記マルチフィラメント細長本体の前記外側表面と、約5°〜約90°の角度を形成する、上記項目のいずれか一項に記載の棘付き医療デバイス。
【0011】
(項目6)
生物活性剤をさらに含む、上記項目のいずれか一項に記載の棘付き医療デバイス。
【0012】
(項目7)
前記マルチフィラメント細長本体がコアをさらに備える、上記項目のいずれか一項に記載の棘付き医療デバイス。
【0013】
(項目8)
前記マルチフィラメント細長本体が糸を備える、上記項目のいずれか一項に記載の棘付き医療デバイス。
【0014】
(項目9)
前記棘付き医療デバイスが縫合糸である、上記項目のいずれか一項に記載の棘付き医療デバイス。
【0015】
(項目10)
複数のフィラメントから細長本体を形成して、外側表面を有するマルチフィラメント細長本体を形成する工程;
モノフィラメントフラグメントの第一の部分を該細長本体内に配置する工程であって、その結果、該モノフィラメントフラグメントの少なくとも第二の部分が、該マルチフィラメント細長本体の該外側表面を越えて延びて、医療デバイスに棘を形成する、工程、
を包含する、棘付き医療デバイスを形成する方法。
【0016】
(項目11)
前記モノフィラメントフラグメントの前記第二の部分を再配向させる工程をさらに包含する、上記項目のいずれか一項に記載の方法。
【0017】
(項目12)
前記細長本体を形成する工程が、複数のフィラメントまたは糸を、編組、混繊、製織、編成、撚糸、整列、または捲縮することを包含する、上記項目のいずれか一項に記載の方法。
【0018】
(項目13)
前記モノフィラメントフラグメントを配置する工程の結果として、該モノフィラメントフラグメントが前記マルチフィラメント細長本体を完全に通って延び、そして該モノフィラメントフラグメントの第三の部分が、該モノフィラメントフラグメントの前記第二の部分から離れた位置で、該マルチフィラメント細長本体の前記外側表面を越えて延びる、上記項目のいずれか一項に記載の方法。
【0019】
(項目14)
生体適合性接着剤を前記フィラメントに塗布する工程をさらに包含する、上記項目のいずれか一項に記載の方法。
【0020】
(摘要)
棘付き医療デバイスは、マルチフィラメント細長本体およびモノフィラメントフラグメントを備える。このマルチフィラメント細長本体は、外側表面を有する。このモノフィラメントフラグメントは、第一の部分および少なくとも第二の部分を有し、この第一の部分は、このマルチフィラメント細長本体内に配置され、そしてこの第二の部分は、このマルチフィラメント細長本体の外側表面を越えて延びて、棘を形成する。
【0021】
(要旨)
本開示に従う棘付き医療デバイスは、モノフィラメントフラグメントおよびマルチフィラメント細長本体を備える。このモノフィラメントフラグメントは、第一の部分および第二の部分を備え、この第一の部分は、このマルチフィラメント細長本体内に配置され、そしてこの第二の部分は、このマルチフィラメント細長本体の外側表面を越えて延びる。
【0022】
本発明の棘付き医療デバイスを形成する方法は、モノフィラメントフラグメントを、複数のフィラメントから形成された細長本体内に少なくとも部分的に配置する工程を包含し、その結果、このモノフィラメントフラグメントの第一の部分がこのマルチフィラメント細長本体内に配置され、そしてこのモノフィラメントフラグメントの第二の部分がこのマルチフィラメント細長本体の外側表面を越えて延びる。従って、このモノフィラメントフラグメントは、このモノフィラメントフラグメントの一部分がこのマルチフィラメント細長本体の外側表面から延びて、この医療デバイス上の棘として機能するように、この細長本体内に固定される。
【0023】
本開示の種々の実施形態が、図面を参照しながら以下に記載される。
【発明の効果】
【0024】
本発明によって、改善された棘付き縫合糸およびその作製方法が提供される。
【図面の簡単な説明】
【0025】
【図1A】図1Aは、本開示に従うカレンダーがけ前の医療デバイスを図示する。
【図1B】図1Bは、本開示に従うカレンダーがけ後の図1Aの医療デバイスの1つの実施形態を図示する。
【図2A】図2Aは、本開示に従うカレンダーがけ前の医療デバイスの別の実施形態を図示する。
【図2B】図2Bは、本開示に従うカレンダーがけ後の図2Aの医療デバイスの1つの実施形態を図示する。
【図3A】図3Aは、細長本体の一部分が除去された、図2Aの実施形態のバリエーションの、軸に沿って切断した側面図を図示する。
【図3B】図3Bは、細長本体の一部分が除去された、図2Bの実施形態のバリエーションの、軸に沿って切断した側面図を図示する。
【図4】図4は、編組されたマルチフィラメント細長本体を有する別の実施形態の平面図を図示する。
【図5A】図5Aは、カレンダーがけ前の編組されたマルチフィラメント細長本体内に固定されたモノフィラメントフラグメントの1つの実施形態の平面図を図示する。
【図5B】図5Bは、カレンダーがけ後の図5Aの実施形態の平面図を図示する。
【図6】図6は、本開示に従う医療デバイスのなお別の実施形態の、軸に沿って切断した断面図である。
【図7】図7は、本開示の1つの実施形態に従って医療デバイスを作製する方法を実施するための装置を図示する。
【図8】図8は、本開示に従う医療デバイスの別の実施形態の側面図である。
【図9】図9は、本開示に従う医療デバイスの別の実施形態の側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0026】
本発明の医療デバイスは、少なくとも1つのモノフィラメントフラグメントを有するマルチフィラメント細長本体を備え、このモノフィラメントフラグメントは、このマルチフィラメント細長本体の外側表面から延びる。このモノフィラメントフラグメントの第一の部分は、このマルチフィラメント細長本体内に配置され、そしてこのモノフィラメントフラグメントの第二の部分は、このマルチフィラメント細長本体の外側表面を越えて配置される。このマルチフィラメント細長本体内に配置された、このモノフィラメントフラグメントの部分は、このモノフィラメントフラグメントをこのマルチフィラメント細長本体に固定する。このモノフィラメントフラグメントの第二の部分は、このマルチフィラメント細長本体の外側表面を越えて延びて、この医療デバイス上に棘を形成する。このモノフィラメントフラグメントは、この細長本体の外側表面を越えて延びる、1つより多くの部分を有し得る。
【0027】
本明細書中で使用される場合、用語「モノフィラメントフラグメント」とは、医療デバイスを形成する前に細長本体と別に形成された、この細長本体とは異なる、不連続な繊維性材料を意味する。
【0028】
一般に、棘付き医療デバイスを形成する方法は、モノフィラメントのフラグメントを、マルチフィラメント細長本体に注入または挿入する工程を包含し得、その結果、このフラグメントの一部分がこの細長本体に貫入してこの細長本体内に固定され、そしてこのモノフィラメントフラグメントの一部分は、このマルチフィラメント細長本体の外側表面を越えて延びて、この医療デバイス上に棘を形成する。このモノフィラメントは、このマルチフィラメント細長本体の外側表面に対して、棘として機能するために望ましい配向で、このマルチフィラメント細長本体内に配置され得る。あるいは、このマルチフィラメント細長本体の外側表面を越えて延びるモノフィラメントフラグメントの部分の配向は、このモノフィラメントフラグメントの配置後に、所望の棘構成を提供するように変化させられ得る。
【0029】
図面を詳細に参照すると、図面において、同じ参照番号は様々な図において同じ要素に適用され、図1Aおよび図1Bは、本開示の1つの実施形態に従う棘付き医療デバイスの作製を図示する。図1Aに見られるように、マルチフィラメント細長本体12は、複数の整列したフィラメント14を備え得る。モノフィラメントフラグメント18は、少なくとも部分的に、マルチフィラメント細長本体12内に配置される。フィラメント18は、マルチフィラメント細長本体12内に配置される第一の部分18aを備えるモノフィラメントであり得る。モノフィラメントフラグメント18の第二の部分18bは、マルチフィラメント細長本体12の外側表面13を越えて延びる。
【0030】
フラグメント18の一方または両方の端部19a、19bは、角度を付けられ得る。フラグメント18の端部19a、19bにおける角度「α」は、各端部で同じであっても異なっていてもよい。ある実施形態において、角度「α」は、約5°〜約90°であり得、ある実施形態において、約25°〜約65°であり得る。フラグメント18の端部19aは、有利には、本発明の棘付き医療デバイスの製造中にマルチフィラメント細長本体12に貫入すること、およびある実施形態において、マルチフィラメント細長本体12の1つ以上の個々のフィラメント14を切り進むこと(このことは、モノフィラメントフラグメント18の一部分をマルチフィラメント細長本体12に挿入する間に遭遇し得る)を補助するように、角度を付けられ得る。
【0031】
モノフィラメントフラグメント18の端部18bは、マルチフィラメント細長本体12の外側表面13に対して所望の角を形成するように、熱および/または圧力の付与によって変形させられ得る。例えば、マルチフィラメント細長本体12は、図1Aにおいて矢印「A」により示される方向に動かされ得、1対のローラ20、22を通され得る。これらのローラは、矢印「B」により示される方向に回転し得る。ローラ20、22は、圧力および/または熱を付与して、図1Bに示されるように、モノフィラメントフラグメント18の第二の部分18bを変形させ得る。ローラ20、22の表面は、有利には、マルチフィラメント細長本体12の外側表面13の輪郭に一致するような輪郭にされて、マルチフィラメント細長本体12への熱および/または圧力の均一な付与を容易にし得る。
【0032】
図1Bに見られるように、モノフィラメントフラグメント18の変形した端部18bは、マルチフィラメント細長本体12の外側表面13と、角「β」を形成し得る。ある実施形態において、角度βは、約5°〜約60°であり得、ある実施形態において、約10°〜約30°であり得る。形成される角度は、細長マルチフィラメント本体12がカレンダーローラ20、22を通過する速度;カレンダーローラ20、22の温度;カレンダーローラ20、22により付与される圧力;カレンダーローラ20、22が回転する速度;ならびにモノフィラメントフラグメント18の特性(例えば、構築材料、結晶性など)のうちの1つ以上を変更することによって、制御され得る。棘は、医療デバイスの長さに沿って一定の角度で形成されても異なる角度で形成されてもよいことが、さらに想定される。
【0033】
モノフィラメントフラグメント18の配置前または配置後に、フィラメント14は、当業者に公知である方法(例えば、編組)を使用して、互いに接合され得、これによって、モノフィラメントフラグメント18をマルチフィラメント細長本体12に固定する。フィラメント14は、その全長に沿って接合され得るか、あるいは、モノフィラメントフラグメント18をフィラメント14内のその位置に固定するために選択された位置で接合され得る。ある実施形態において、マルチフィラメント細長本体12を形成するフィラメント14は、フィラメント14間に貫入する組成物を塗布することによって、接合され得る。例えば、任意の適切な生体適合性接着剤(例えば、アクリル、エポキシ、ウレタン、または他の適切な接着剤)が、フィラメント14に塗布されて、これらのフィラメントを一緒に接合し得る。ある実施形態において、これらのフィラメントは、フィラメント14を加熱することによってこれらのフィラメントを少なくとも部分的に互いに融合させることによって、接合され得る。例えば、ローラ20、22は、マルチフィラメント細長本体12を形成するフィラメント14を融合させるために充分な熱および圧力を付与し得る。あるいは、加熱された1対のアンビル(図示せず)が、モノフィラメント18の位置に隣接して配置されて、マルチフィラメント細長本体12を形成するフィラメント14を融合させるために充分な熱および圧力を局所的に付与し得る。フィラメント14を互いに接着させるために必要とされる温度は、これらのフィラメントが形成される材料の型に依存して変動し得る。
【0034】
複数のモノフィラメントフラグメントが、任意のパターンで、マルチフィラメント細長本体内に配置され得る。モノフィラメントフラグメントの数、構成および間隔は、例えば、螺旋パターン、直線状パターン、二重螺旋パターン、無作為なパターン、または当業者により想定される他の任意のパターンを作製し得る。さらに、モノフィラメントフラグメントの分布は、比較的一定なままであり得るか、またはマルチフィラメント細長本体の長さに沿って変動し得、これによって、より高密度の棘を有する領域、および比較的少ない棘を有する領域または棘を全く有さない領域の作製を、可能にする。
【0035】
任意の2つの棘間の長手軸方向間隔は、一般に、堅さを維持しながら、この棘付きデバイスが組織を繋留する能力に影響を与える。棘がより広い間隔を空けるにつれて、組織繋留能力は一般に低下する。増加した数の棘は、増加した組織保持力をもたらし得る。これらの棘の長手軸方向間隔は、約0.1mm〜約3mm、ある実施形態において、約0.5mm〜約1mmであり得る。従来技術においてのように、棘が医療デバイスの表面に切り込まれるとき、これらの棘の間隔が近すぎる場合、この医療デバイスの一体性が危うくされ得、このことは、これらの棘が剥離して戻る傾向、およびまた、引っ張り強度が低下する傾向をもたらし得る。細長本体の切断を排除することによって、モノフィラメントフラグメントをマルチフィラメント細長本体内に配置することによる、本発明の医療デバイス上に棘を形成する方法は、この潜在的な欠点を回避する。
【0036】
さらに、異なる構成のモノフィラメントフラグメントを配置することによって、異なる構成の棘が、単一の棘付き医療デバイス上に容易に提供され得る。例えば、同じ構造体における大きい棘と小さい棘との組み合わせは、例えば、この棘付き医療デバイスが異なる層構造を有する組織の修復において使用される場合に、有利であり得る。同じ棘付き医療デバイスでの大きい棘と小さい棘との組み合わせの使用(ここで棘のサイズは、各組織層について誂えられる)は、最大の繋留特性を確実にする。
【0037】
ある実施形態において、これらの棘の全ては、棘付き医療デバイスが組織を通って一方向に移動することを可能にし、そして組織を通って逆方向に移動することに抵抗するように、整列され得る(例えば、一方向棘付き縫合糸)。他の実施形態において、これらの棘は、1本の棘付き医療デバイスの第一の部分において、この縫合糸の第一の端部が組織を通って一方向に移動することを可能にし、一方で、この棘付き医療デバイスの第二の部分の棘は、この縫合糸の第二の端部が逆方向に移動することを可能にするように整列され得る(例えば、双方向棘付き縫合糸)。
【0038】
マルチフィラメント細長本体のフィラメントは、任意の生体適合性の天然材料または合成材料から作製され得る。マルチフィラメント細長本体のフィラメントが形成される材料は、生体吸収性であっても非生体吸収性であってもよい。天然材料、合成材料、生体吸収性材料および非生体吸収性材料の任意の組み合わせが、個々のフィラメントを材料の組み合わせから形成すること(例えば、コア−シェル構造を有するフィラメントなどの不均質なフィラメント)、または異なる材料から各々が作製された個々のフィラメントを組み合わせること(例えば、第一の材料とは異なる第二の材料から形成された均質なフィラメントを有する、第一の材料から作製された均質なフィラメント)のいずれかによって、マルチフィラメント細長本体のフィラメントを形成するために使用され得ることが、もちろん理解されるべきである。ある実施形態において、マルチフィラメント細長本体は、生体吸収性フィラメントと非生体吸収性フィラメントとの両方を備える。他の実施形態において、マルチフィラメント細長本体は全体が、生体吸収性フィラメントから作製される。なお他の実施形態において、マルチフィラメント細長本体は全体が、非生体吸収性フィラメントから作製される。
【0039】
吸収性材料は、生物学的組織により吸収され、そして所定の期間の終了時にインビボで消失し、この期間は、その材料の化学的性質に依存して、例えば、数時間から数ヶ月まで変動し得る。吸収性材料としては、天然生分解性ポリマーと合成生分解性ポリマーとの両方が挙げられる。
【0040】
代表的な天然生分解性ポリマーとしては、多糖類(例えば、アルギネート、デキストラン、キチン、ヒアルロン酸、セルロース、コラーゲン、ゼラチン、フカン、グリコサミノグリカン、およびこれらの化学的誘導体(化学基(例えば、アルキル、アルキレン)の置換および/または付加、ヒドロキシル化、酸化、ならびに当業者により慣用的になされる他の修飾));およびタンパク質(例えば、アルブミン、カゼイン、ゼイン、絹)、ならびにこれらのコポリマーおよびブレンド(単独または合成ポリマーとの組み合わせ)が挙げられる。
【0041】
合成により修飾された天然ポリマーとしては、セルロース誘導体(例えば、アルキルセルロース、ヒドロキシアルキルセルロース、セルロースエーテル、セルロースエステル、ニトロセルロース、およびキトサン)が挙げられる。適切なセルロース誘導体の例としては、メチルセルロース、エチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、ヒドロキシブチルメチルセルロース、酢酸セルロース、プロピオン酸セルロース、酢酸酪酸セルロース、酢酸フタル酸セルロース、カルボキシメチルセルロース、三酢酸セルロース、および硫酸セルロースナトリウム塩が挙げられる。これらは本明細書中でまとめて、「セルロース」と称される。
【0042】
代表的な合成分解性ポリマーとしては、ラクトンモノマー(例えば、グリコリド、ラクチド、カプロラクトン、ε−カプロラクトン、バレロラクトン、およびδ−バレロラクトン)から調製されたポリヒドロキシ酸、ならびにプルロニック、カーボネート(例えば、トリメチレンカーボネート、テトラメチレンカーボネートなど)、ジオキサノン(例えば、1,4−ジオキサノンおよびp−ジオキサノン)、1,ジオキセパノン(例えば、1,4−ジオキセパン−2−オンおよび1,5−ジオキセパン−2−オン)、ならびにこれらの組み合わせが挙げられる。これらから形成されるポリマーとしては、ポリラクチド;ポリ(乳酸);ポリグリコリド;ポリ(グリコール酸);ポリ(トリメチレンカーボネート);ポリ(ジオキサノン);ポリ(ヒドロキシ酪酸);ポリ(ヒドロキシ吉草酸);ポリ(ラクチド−co−(ε−カプロラクトン));ポリ(グリコリド−co−(ε−カプロラクトン));ポリカーボネート;ポリ(偽アミノ酸);ポリ(アミノ酸);ポリ(ヒドロキシアルカノエート);ポリアルキレンオキサレート;ポリオキサエステル;ポリ酸無水物;ポリオルトエステル;ならびにこれらのコポリマー、ブロックコポリマー、ホモポリマー、ブレンド、および組み合わせが挙げられる。
【0043】
細長本体12のフィラメントを形成するために利用され得る適切な非生分解性材料としては、ポリオレフィン(例えば、ポリエチレンおよびポリプロピレン);ポリエチレンとポリプロピレンとのコポリマー、およびポリエチレンとポリプロピレンとのブレンド;ポリアミド(例えば、ナイロン);ポリアミン;ポリイミン;ポリエステル(例えば、ポリエチレンテレフタレート、ポリテトラフルオロエチレン)、ポリエーテル−エステル(例えば、ポリブタエステル(polybutester));ポリテトラメチレンエーテルグリコール;1,4−ブタンジオール;ポリウレタン;ならびにこれらの組み合わせが挙げられる。このポリプロピレンは、アイソタクチックポリプロピレン、またはアイソタクチックポリプロピレンとシンジオタクチックポリプロピレンもしくはアタクチックポリプロピレンとの混合物であり得る。他の適切な非分解性材料は、絹、コラーゲン、綿、麻、炭素繊維などを含む。ステンレス鋼、チタン、NiTi合金および他の金属材料もまた、マルチフィラメント細長本体のフィラメントのうちの1つ以上を形成するために使用され得る。
【0044】
マルチフィラメント細長本体の特徴は、その構成材料以外には、(1)直径;(2)全体的なデニール数;(3)糸のパターン;(4)ピック数;(5)マルチフィラメント細長本体を構成する糸の数;および(6)各糸を構成するフィラメントのデニール数が挙げられる。
【0045】
直径−マルチフィラメント細長本体の直径は、約0.01mm〜約1.0mm、またはそれより大きくあり得る。本開示に従うマルチフィラメント細長本体が縫合糸である場合、このマルチフィラメント細長本体のサイズは、標準的なサイズに換算して表わされ得、米国薬局方(USP)に記載されるような直径(ミリメートルの単位)の特定の範囲に対応する。従って、マルチフィラメント細長本体の標準的なサイズは、有利には、表Iに記載されるようなサイズである:
表I
【0046】
【表1】
全体的なデニール数−ある実施形態において、マルチフィラメント細長本体の全体的なデニール数は、約25〜約10,000で変動し得る。この範囲内で、種々の実施形態についての全体的なデニール数の範囲は、約50〜約125デニール;約200〜約300デニール;約300〜約500デニール;約500〜約800デニール;約800〜約1500デニール;約1500〜約2000デニール;または約2000〜約3600デニールであり得る。
【0047】
糸のパターン−マルチフィラメント細長本体が管状の編組構造を有する場合、これらのフィラメントは、十文字のパターンを形成する糸であり得、このパターンは、中空円筒の表面に閉じ込められていると考えられ、この中空円筒は、コア構成要素が存在しない場合には、この細長本体の断面積のかなりの割合を占める管腔を有する。このマルチフィラメント細長本体が螺旋形の編組構造を有する場合、噛み合う糸のパターンは、その円柱の表面から中心へと延び、これによって中実構造を提供し、この構造において、その構成のフィラメント性材料は、この縫合糸の断面積全体を実質的に占め、比較的低い割合のこのような領域が、隣接する糸間および繊維間で、空隙空間または間隙を構成する。
【0048】
ピック数−ピック数とは、マルチフィラメント細長本体の外側表面から見る場合に、このマルチフィラメント細長本体の長手方向軸に対して平行な1本の線内にある、1インチあたりの目の数である。適切なピック数は、約20目/インチ〜約100目/インチ、ある実施形態においては、約40目/インチ〜約80目/インチ、他の実施形態においては、約50目/インチ〜約70目/インチで変動し得る。
【0049】
糸の数−マルチフィラメント細長本体の構成において使用される糸の数は、全体的な本体のデニール数にある程度関連し、糸の数は一般に、マルチフィラメント細長本体の重量と共に増加する。従って、上に示されたマルチフィラメント細長本体の重量(デニール数)の範囲にわたって、このマルチフィラメント細長本体は、約4本〜約60本の糸、ある実施形態においては、約6本〜約30本の糸から製造され得、各糸は、以下で議論されるデニール数を有する個々のフィラメントから構成される。
【0050】
これらの糸は必ずしも撚糸される必要はないが、ある実施形態において、これらの糸は、編組構成中の引っ掛かりを最少にするために、わずかな撚りを提供され得る。
【0051】
ある実施形態において、このマルチフィラメント細長本体は、編組、製織などをされた、(糸ではなく)複数のモノフィラメントから形成され得ることが、もちろん理解されるべきである。このような実施形態において、このモノフィラメントの直径は、約5デニール〜約200デニール、ある実施形態において、約10デニール〜約150デニールであり得る。
【0052】
個々のフィラメント直径−各糸を構成する個々のフィラメントは、約0.2デニール〜約6.0デニール、ある実施形態においては、約0.8デニール〜約3.0デニール、そして他の実施形態においては、約0.8デニール〜約1.4デニールで、重量が変動し得る。特定の糸に存在するこのようなフィラメントの数は、マルチフィラメント細長本体の全体のデニール数、およびマルチフィラメント細長本体の構成において利用される糸の数に依存する。
【0053】
細長本体を構成するフィラメントは、当業者の知識の範囲内である任意の技術(例えば、押し出し、成形および/または溶媒キャスティング)を使用して形成され得る。細長本体および/またはフィラメントは、1つより多くのフィラメントから作製された糸を備え得、これらのフィラメントは、同じ材料または異なる材料の複数のフィラメントを含み得る。細長本体が複数のフィラメントから作製される場合、この細長本体は、任意の公知の技術(例えば、編組、製織または編成)を使用して作製され得る。これらのフィラメントはまた、不織細長構造体を製造するために組み合わせられ得る。この細長本体は、細長本体形成プロセスの一部として、延伸され得るか、配向され得るか、捲縮され得るか、撚糸され得るか、混繊され得るか、または空気で絡まされて、糸を形成し得る。
【0054】
モノフィラメントフラグメントは、任意の生体適合性材料(マルチフィラメント細長本体のフィラメントに関連して上に列挙された材料のうちの任意のものが挙げられる)から作製され得る。モノフィラメントフラグメントは、マルチフィラメント細長本体と同じ材料から作製されても、異なる材料から作製されてもよい。モノフィラメントフラグメントは、約25デニール〜約10,000デニール、ある実施形態においては、約50デニール〜約5,000デニール、そして他の実施形態においては、約500デニール〜約1,000デニールで、重量が変動し得る。ある実施形態において、マルチフィラメント細長本体の直径対モノフィラメントフラグメントの直径の比は、約2:1〜約20:1、ある実施形態においては、約4:1〜約10:1であり得る。
【0055】
モノフィラメントフラグメントは、単一の材料から作製された均質なフィラメントであっても、コア−シェル構造体(コアとシェルとが異なる材料から作製される)などの不均質な構造体であってもよいことが理解されるべきである。このモノフィラメントフラグメントはまた、マルチフィラメント構造体から作製され得、この場合、マルチフィラメントが、例えば、熱または接着剤(または他の結合剤)の適用により一緒に接合されて、一体化された構造体を作製している。
【0056】
ある実施形態において、図2Aおよび図2Bに示されるように、モノフィラメントフラグメント218は、マルチフィラメント本体12を完全に通過し得、従って、第二の部分218bから離れた位置でマルチフィラメント細長本体12の外側表面13を越えて延びる第三の部分218cを備える。図1Aおよび図1Bに関連して上に記載された様式と同じ様式でローラ20、22を通過した後に、フラグメント218は、図2Bに示されるように、部分218bおよび218cにより形成された2つの棘を提供する。
【0057】
図3Aおよび図3Bは、それぞれ図2Aおよび図2Bの実施形態のバリエーションを図示し、細長本体312の一部分の断面図を示す。この断面は、細長本体312の長手方向軸に沿っており、細長本体312の全体を通るフラグメント318の図を提供する。部分318aは、細長本体312内に配置される。部分318bおよび318cは、細長本体312の外側表面313を越えて配置される。細長本体312は、図3Aおよび図3Bにおいて、不均質な構造体であり、第一の材料から作製されたフィラメント314a、および第一の材料とは異なる第二の材料から作製されたフィラメント314bを含む。
【0058】
図4は、マルチフィラメント細長本体412が編組糸414から作製されている実施形態を図示する。この編組の構成に起因して、モノフィラメントフラグメント418の部分418bは、マルチフィラメント細長本体412の外側表面413に対して適切な配向で配置されるので、さらなる再配向を必要としない。モノフィラメントフラグメント418は、編組の構成によってか、または先に記載された方法のうちのいずれかによって、マルチフィラメント細長本体412内に固定され得る。
【0059】
図5Aおよび図5Bは、それぞれ図2Aおよび図2Bの実施形態のバリエーションを図示し、これらのバリエーションにおいて、モノフィラメントフラグメント518は、編組糸514から作製されたマルチフィラメント細長本体512を完全に通過する。図5Aは、ローラ(図示されないが、矢印「B」の方向に回転する)を通過する前のデバイスを図示し、そして図5Bは、このデバイスを矢印「A」の方向に移動させてこのデバイスをローラに通過させ、これによって、部分518bおよび518cの配向を所望の構成に変化させた後の、デバイスを示す。
【0060】
図6は、編組された医療デバイスのさらなる実施形態の断面図である。この断面は、マルチフィラメント細長本体612の長手方向軸を横断して、この実施形態においてはマルチフィラメント細長本体612が3つのコアフィラメント616a、616bおよび616cを備え、そして複数のフィラメント614が編組されてコアフィラメント616a、616bおよび616cの周囲にシースを形成していることを示す。モノフィラメントフラグメント618は、マルチフィラメント細長本体612を完全に通って配置され、シースフィラメント614aと614bとの間を通り、そしてコアフィラメント616cを通る。フラグメント618の部分618aは、マルチフィラメント細長本体612内に配置され、そしてフラグメント618の部分618bおよび618cは、マルチフィラメント細長本体612の外側表面を越えて配置される。
【0061】
フラグメント618は、図6において、マルチフィラメント細長本体612のコアの中心を通って配置されるように示されているが、このモノフィラメントフラグメントは、このマルチフィラメント細長本体の中心をずれて通るように配置されてもよいことが、もちろん理解されるべきである。例えば、モノフィラメントフラグメントは、コアを通るのではなく、シースとコアとの間を通過し得る。
【0062】
マルチフィラメント細長本体が編組構造体である、本発明の棘付き医療デバイスを作製する際に使用するのに適切な装置が、図7に示されている。複数のボビン724(フィラメント714が巻かれている)が、編組されたシースをコア716の周りに形成してマルチフィラメント細長本体712を形成するために利用され得る。ある実施形態において、フラグメント718がコア716に追加され得、そして熱硬化させられて、コア716を運ぶ管を通って移動する間に動かないようにされ得る。ある実施形態において、マルチフィラメント細長本体712が形成されるにつれて、モノフィラメント材料728のスプール726が、細長本体712に挿入されるモノフィラメント材料728のフラグメント718を形成するために使用される。モノフィラメントフラグメントは、マルチフィラメント細長本体712の編組前、編組中または編組後に挿入され得ることが理解されるべきである。ある実施形態において、フィラメント714のすぐ隣で終わる管またはカテーテル(図示せず)が、モノフィラメント材料728を運び得、このモノフィラメント材料は次に、フィラメント714間、または細長本体712内へと押される。次いで、モノフィラメント材料728は、フラグメント718に切断され、そして再度前進させられる。次に、ローラ720、722が、フラグメント718を所望の方向に平らにして、マルチフィラメント細長本体712上に棘を形成する。次いで、この棘付き医療デバイスは、当業者の知識の範囲内である技術を使用して包装または滅菌されるために、スプール730に巻かれ得るか、またはあるサイズに切断され得る。
【0063】
ある実施形態において、モノフィラメントフラグメント718は、図7に示される位置に挿入されるのではなく、またはその位置に挿入されることに加えて、フィラメント714を編組する前にコア716に挿入されて熱硬化されてもよいことが、さらに想定される。
【0064】
図9の例示的な実施形態に示されるように、棘918aのうちのいくつかが医療デバイス900の一端に向かって角を形成し、そして他の棘918bは、医療デバイス900の他端に向かって角を形成して、双方向の医療デバイス900を形成するように、複数の棘が医療デバイス900に沿って形成され得る。
【0065】
本開示に従う棘付き医療デバイスは、編組された縫合糸、マルチフィラメント縫合糸、外科手術用繊維、アンカー、スリットシート、リボン、テープ、メッシュ、ステント、足場、外科用綿撤糸、脈管移植片、および/またはリボンであり得る。この医療デバイスの断面幾何学形状は、任意の適切な形状(例えば、円形、正方形、星型、八角形、矩形、多角形、および平坦な形)であり得る。
【0066】
ある実施形態において、本発明の棘付き医療デバイスの端部は尖っており、そして組織を穿孔することを可能にするために充分に堅い材料から形成される。他の実施形態において、棘付き医療デバイスが縫合糸である場合、この縫合糸の一旦または両端が、外科手術用針を備え得る。外科手術用針は、当業者の知識の範囲内である任意の技術を使用して、取り付けられ得る。さらに、この外科手術用針はコーティングされ得、このコーティングは、この外科手術用針/棘付き縫合糸の組み合わせの針が、この外科手術用針がコーティングされない場合よりも低い力で組織に挿入されることを可能にする。このコーティングとしては、例えば、シリコーンベースのコーティング(例えば、米国特許第5,258,013号に記載されるコーティング)が挙げられ得る。
【0067】
図8に示される例示的な実施形態において、医療デバイス800は、マルチフィラメント細長本体812、フラグメント814および針822を備える縫合糸であり、この針は、湾曲していても真っ直ぐであってもよい。
【0068】
ある実施形態において、生物活性剤が、棘付き医療デバイスと共に利用され得る。生物活性剤は、当業者の知識の範囲内である方法によって、細長本体、フィラメント、および/または構成材料に付けられ得る。このような方法としては、浸漬、噴霧、ブラッシング、蒸着、共押し出し、毛管吸い上げ、フィルムキャスティング、成形など、およびこれらの組み合わせが挙げられるが、これらに限定されない。ある実施形態において、生物活性剤は、この医療具の棘と細長本体との間に形成された角内に局在し得る。
【0069】
本開示に従って利用され得る生物活性剤のクラスの例としては、例えば、接着防止剤、抗菌薬、鎮痛薬、解熱薬、麻酔薬、鎮痙薬、抗ヒスタミン薬、抗炎症薬、心臓血管剤、診断剤、交感神経様作用薬、コリン様作用薬、抗ムスカリン薬、鎮痙薬、ホルモン、増殖因子、成長因子、筋弛緩薬、アドレナリン作用性ニューロン遮断薬、抗腫瘍薬、免疫原性剤、免疫抑制薬、胃腸薬、利尿薬、ステロイド、脂質、リポ多糖類、多糖類、血小板活性化薬物、凝固因子、および酵素が挙げられる。生物活性剤の組み合わせが使用され得ることもまた意図される。
【0070】
本開示に従って利用され得る接着防止剤としては、親水性ポリマー(例えば、ポリ(ビニルピロリドン)、カルボキシメチルセルロース、ヒアルロン酸、ポリエチレンオキシド、ポリビニルアルコールおよびこれらの組み合わせ)が挙げられるが、これらに限定されない。
【0071】
生物活性剤として含有され得る適切な抗菌薬としては、例えば、トリクロサン(triclosan)(2,4,4’−トリクロロ−2’−ヒドロキシジフェニルエーテルとしてもまた公知)、クロルヘキシジンおよびその塩(酢酸クロルヘキシジン、グルコン酸クロルヘキシジン、塩酸クロルヘキシジン、および硫酸クロルヘキシジンが挙げられる)、銀およびその塩(酢酸銀、安息香酸銀、炭酸銀、クエン酸銀、ヨウ素酸銀、ヨウ化銀、乳酸銀、ラウリン酸銀、硝酸銀、酸化銀、パルミチン酸銀、銀タンパク、および銀スルファジアジンが挙げられる)、ポリミキシン、テトラサイクリン、アミノグリコシド(例えば、トブラマイシンおよびゲンタマイシン)、リファンピシン、バシトラシン、ネオマイシン、クロラムフェニコール、ミコナゾール、キノロン(例えば、オキソリン酸、ノルフロキサシン、ナリジクス酸、ペフロキサシン(pefloxacin)、エノキサシンおよびシプロフロキサシン)、ペニシリン(例えば、オキサシリンおよびピプラシル(pipracil))、ノンオキシノール9、フシジン酸、セファロスポリン、ならびにこれらの組み合わせが挙げられる。さらに、抗菌タンパク質およびペプチド(例えば、ウシラクトフェリンおよびラクトフェリシン(lactoferricin)B)が、生物活性剤として含有され得る。
【0072】
生物活性剤として含有され得る他の生物活性剤としては、局所麻酔薬;非ステロイド性抗受精剤;副交感神経様作用剤;精神療法剤;トランキライザ;うっ血除去薬;鎮静催眠薬;ステロイド;スルホンアミド;交感神経様作用剤;ワクチン;ビタミン;抗マラリア薬;抗片頭痛薬;抗パーキンソン剤(例えば、L−ドパ);鎮痙薬;抗コリン作用性剤(例えば、オキシブチニン);鎮咳薬;気管支拡張薬;心臓血管剤(例えば、冠状血管拡張薬およびニトログリセリン);アルカロイド;鎮痛薬;麻酔薬(例えば、コデイン、ジヒドロコデイノン、メペリジン、モルヒネなど);非麻酔薬(例えば、サリチレート、アスピリン、アセトアミノフェン、d−プロポキシフェンなど);オピオイドレセプターアンタゴニスト(例えば、ナルトレキソンおよびナロキソン);抗がん剤;鎮痙薬;制吐薬;抗ヒスタミン薬;抗炎症剤(例えば、ホルモン剤、ヒドロコルチゾン、プレドニゾロン、プレドニゾン、非ホルモン剤、アロプリノール、インドメタシン、フェニルブタゾンなど);プロスタグランジンおよび細胞傷害性剤;化学療法剤、エストロゲン;抗菌剤;抗生物質;抗真菌剤;抗ウイルス剤;抗凝固薬;鎮痙薬;抗うつ薬;抗ヒスタミン薬;ならびに免疫学的剤が挙げられる。
【0073】
適切な生物活性剤の他の例としては、例えば、ウイルスおよび細胞(幹細胞が挙げられる);ペプチド、ポリペプチドおよびタンパク質、ならびにそのアナログ、ムテイン、ならびに活性フラグメント;免疫グロブリン;抗体;サイトカイン(例えば、リンホカイン、モノカイン、ケモカイン);血液凝固因子;造血因子;インターロイキン(IL−2、IL−3、IL−4、IL−6);インターフェロン(β−IFN、α−IFNおよびγ−IFN);エリスロポイエチン;ヌクレアーゼ;腫瘍壊死因子;コロニー刺激因子(例えば、GCSF、GM−CSF、MCSF);インスリン;抗腫瘍剤および腫瘍抑制因子;血液タンパク質(例えば、フィブリン、トロンビン、フィブリノゲン、合成トロンビン、合成フィブリン、合成フィブリノゲン);性腺刺激ホルモン(例えば、FSH、LH、CGなど);ホルモンおよびホルモンアナログ(例えば、成長ホルモン);ワクチン(例えば、腫瘍性抗原、細菌性抗原およびウイルス性抗原);ソマトスタチン;抗原;血液凝固因子;増殖因子または成長因子(例えば、神経発育因子、インスリン様成長因子);骨形成タンパク質;TGF−β;タンパク質インヒビター;タンパク質アンタゴニスト;タンパク質アゴニスト;核酸(例えば、アンチセンス分子、DNA、RNA、RNAi);オリゴヌクレオチド;ポリヌクレオチド;ならびにリボザイムが挙げられる。
【0074】
さらに、溶媒が、種々の剤を棘付き医療デバイスに組み込むために使用され得る。適切な溶媒としては、極性溶媒および非極性溶媒が挙げられ、アルコール(例えば、メタノール、エタノール、プロパノールなど、およびこれらの組み合わせ);塩素化炭化水素(例えば、塩化メチレン、クロロホルム、1,2−ジクロロエタンなど、およびこれらの組み合わせ);ならびに脂肪族炭化水素(例えば、ヘキサン、ヘプタン、酢酸エチルなど、およびこれらの組み合わせ)が挙げられるが、これらに限定されない。
【0075】
本開示に従って棘付き医療デバイスを作製するために使用されるフィラメントはまた、例えば、生物学的に受容可能な可塑剤、酸化防止剤および着色剤を含有し得、これらは、これらのフィラメントを形成するために利用されるフィラメントに含浸され得るか、またはこれらのフィラメント上のコーティングに含有され得る。ある実施形態において、本開示の棘付き医療デバイスは、外科手術野におけるデバイスの可視性を増大させる目的で、染色され得る。移植可能な医療デバイスに組み込むために適切な任意の色素が使用され得る。このような色素としては、カーボンブラック、骨炭、D&C Green No.6、およびD&C Violet No.2が挙げられるが、これらに限定されない。
【0076】
本開示の数個の実施形態が記載されたが、本開示はこれらの実施形態に限定されることは意図されない。なぜなら、本開示は、当該分野が許容する程度まで範囲が広いこと、および本明細書も同様に読まれることが意図されるからである。従って、上記説明は、限定であると解釈されるべきではなく、単に、本開示の実施形態の例示であると解釈されるべきである。外科手術用移植物を形成するための構成要素、およびこれらの構成要素を送達する方法の、種々の改変およびバリエーションは、上記詳細な説明から、当業者に明らかになる。例えば、ある実施形態において、棘付き医療デバイスは、その一端に、このデバイスを身体組織内の所望の位置に保持することを増強するように構成されたループまたは結び目を組み込み得る。このような改変およびバリエーションは、添付の特許請求の範囲の趣旨および範囲内に入ることが意図される。
【符号の説明】
【0077】
12 マルチフィラメント細長本体
13 外側表面
14 フィラメント
18 モノフィラメントフラグメント
18a 第一の部分
18b 第二の部分
【技術分野】
【0001】
(関連出願の引用)
本願は、2010年4月12日に出願された米国仮特許出願番号61/323,158の利益および優先権を主張する。この米国仮特許出願の全開示は、本明細書中に参考として援用される。
【0002】
(技術分野)
本開示は、一般に、棘付き医療デバイスに関する。より特定すると、本開示は、棘付き縫合糸、および縫合糸上に棘を形成する方法に関する。
【背景技術】
【0003】
(関連技術の背景)
医療手順において使用するための縫合糸は、公知である。モノフィラメントが特定の創傷に適切であり得るが、他の創傷については、マルチフィラメント縫合糸が望ましくあり得る。マルチフィラメント縫合糸は、モノフィラメント縫合糸よりも良好な取り扱い特性を示し得、そしてより柔軟であり得る。
【0004】
棘付き縫合糸もまた公知である。縫合糸の型と、この縫合糸上の棘の構成との両方が、特定の適応症のために組織の保持を最適化するように設計され得る。いくつかの状況において、縫合糸の外側表面上の棘の無作為な構成が、最適な創傷閉鎖を達成するために好ましくあり得る。他の状況において、創傷または必要とされる組織修復が比較的小さい場合、減少した数の棘が望ましくあり得る。なお他の状況において、双方向棘付き縫合糸が、この縫合糸の一部分にわたってこの縫合糸が組織を一方向に通ることを可能にし、そしてこの縫合糸の別の部分にわたってこの縫合糸が組織を第二の方向に通ることを可能にするために、望ましくあり得る。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
縫合糸上に棘を形成する種々の方法が提唱されているが、このような方法は、実施が困難であり得るか、または費用がかかり得る。従って、棘付き縫合糸およびその作製方法に関して、改善の余地が残っている。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決するために、本発明は、例えば、以下を提供する:
(項目1)
外側表面を有するマルチフィラメント細長本体;ならびに
第一の部分および第二の部分を有するモノフィラメントフラグメントであって、該第一の部分は、該マルチフィラメント細長本体内に配置されており、そして該第二の部分は、該マルチフィラメント細長本体の該外側表面を越えて延びている、モノフィラメントフラグメント、
を備える、棘付き医療デバイス。
【0007】
(項目2)
前記モノフィラメントフラグメントが、前記マルチフィラメント細長本体を完全に通って延びており、そしてさらに、第三の部分を備え、該第三の部分は、該モノフィラメントフラグメントの前記第二の部分から離れた位置で、該マルチフィラメント細長本体の前記外側表面を越えて延びている、上記項目に記載の棘付き医療デバイス。
【0008】
(項目3)
前記モノフィラメントフラグメントの前記第二の部分が、約0.1mm〜約5mmの間隔で前記マルチフィラメント細長本体の前記外側表面を越えて延びている、上記項目のいずれか一項に記載の棘付き医療デバイス。
【0009】
(項目4)
前記マルチフィラメント細長本体が、生体適合性接着剤をさらに備える、上記項目のいずれか一項に記載の棘付き医療デバイス。
【0010】
(項目5)
前記モノフィラメントが、少なくとも1つの端部分を備え、該端部分は、前記マルチフィラメント細長本体の前記外側表面と、約5°〜約90°の角度を形成する、上記項目のいずれか一項に記載の棘付き医療デバイス。
【0011】
(項目6)
生物活性剤をさらに含む、上記項目のいずれか一項に記載の棘付き医療デバイス。
【0012】
(項目7)
前記マルチフィラメント細長本体がコアをさらに備える、上記項目のいずれか一項に記載の棘付き医療デバイス。
【0013】
(項目8)
前記マルチフィラメント細長本体が糸を備える、上記項目のいずれか一項に記載の棘付き医療デバイス。
【0014】
(項目9)
前記棘付き医療デバイスが縫合糸である、上記項目のいずれか一項に記載の棘付き医療デバイス。
【0015】
(項目10)
複数のフィラメントから細長本体を形成して、外側表面を有するマルチフィラメント細長本体を形成する工程;
モノフィラメントフラグメントの第一の部分を該細長本体内に配置する工程であって、その結果、該モノフィラメントフラグメントの少なくとも第二の部分が、該マルチフィラメント細長本体の該外側表面を越えて延びて、医療デバイスに棘を形成する、工程、
を包含する、棘付き医療デバイスを形成する方法。
【0016】
(項目11)
前記モノフィラメントフラグメントの前記第二の部分を再配向させる工程をさらに包含する、上記項目のいずれか一項に記載の方法。
【0017】
(項目12)
前記細長本体を形成する工程が、複数のフィラメントまたは糸を、編組、混繊、製織、編成、撚糸、整列、または捲縮することを包含する、上記項目のいずれか一項に記載の方法。
【0018】
(項目13)
前記モノフィラメントフラグメントを配置する工程の結果として、該モノフィラメントフラグメントが前記マルチフィラメント細長本体を完全に通って延び、そして該モノフィラメントフラグメントの第三の部分が、該モノフィラメントフラグメントの前記第二の部分から離れた位置で、該マルチフィラメント細長本体の前記外側表面を越えて延びる、上記項目のいずれか一項に記載の方法。
【0019】
(項目14)
生体適合性接着剤を前記フィラメントに塗布する工程をさらに包含する、上記項目のいずれか一項に記載の方法。
【0020】
(摘要)
棘付き医療デバイスは、マルチフィラメント細長本体およびモノフィラメントフラグメントを備える。このマルチフィラメント細長本体は、外側表面を有する。このモノフィラメントフラグメントは、第一の部分および少なくとも第二の部分を有し、この第一の部分は、このマルチフィラメント細長本体内に配置され、そしてこの第二の部分は、このマルチフィラメント細長本体の外側表面を越えて延びて、棘を形成する。
【0021】
(要旨)
本開示に従う棘付き医療デバイスは、モノフィラメントフラグメントおよびマルチフィラメント細長本体を備える。このモノフィラメントフラグメントは、第一の部分および第二の部分を備え、この第一の部分は、このマルチフィラメント細長本体内に配置され、そしてこの第二の部分は、このマルチフィラメント細長本体の外側表面を越えて延びる。
【0022】
本発明の棘付き医療デバイスを形成する方法は、モノフィラメントフラグメントを、複数のフィラメントから形成された細長本体内に少なくとも部分的に配置する工程を包含し、その結果、このモノフィラメントフラグメントの第一の部分がこのマルチフィラメント細長本体内に配置され、そしてこのモノフィラメントフラグメントの第二の部分がこのマルチフィラメント細長本体の外側表面を越えて延びる。従って、このモノフィラメントフラグメントは、このモノフィラメントフラグメントの一部分がこのマルチフィラメント細長本体の外側表面から延びて、この医療デバイス上の棘として機能するように、この細長本体内に固定される。
【0023】
本開示の種々の実施形態が、図面を参照しながら以下に記載される。
【発明の効果】
【0024】
本発明によって、改善された棘付き縫合糸およびその作製方法が提供される。
【図面の簡単な説明】
【0025】
【図1A】図1Aは、本開示に従うカレンダーがけ前の医療デバイスを図示する。
【図1B】図1Bは、本開示に従うカレンダーがけ後の図1Aの医療デバイスの1つの実施形態を図示する。
【図2A】図2Aは、本開示に従うカレンダーがけ前の医療デバイスの別の実施形態を図示する。
【図2B】図2Bは、本開示に従うカレンダーがけ後の図2Aの医療デバイスの1つの実施形態を図示する。
【図3A】図3Aは、細長本体の一部分が除去された、図2Aの実施形態のバリエーションの、軸に沿って切断した側面図を図示する。
【図3B】図3Bは、細長本体の一部分が除去された、図2Bの実施形態のバリエーションの、軸に沿って切断した側面図を図示する。
【図4】図4は、編組されたマルチフィラメント細長本体を有する別の実施形態の平面図を図示する。
【図5A】図5Aは、カレンダーがけ前の編組されたマルチフィラメント細長本体内に固定されたモノフィラメントフラグメントの1つの実施形態の平面図を図示する。
【図5B】図5Bは、カレンダーがけ後の図5Aの実施形態の平面図を図示する。
【図6】図6は、本開示に従う医療デバイスのなお別の実施形態の、軸に沿って切断した断面図である。
【図7】図7は、本開示の1つの実施形態に従って医療デバイスを作製する方法を実施するための装置を図示する。
【図8】図8は、本開示に従う医療デバイスの別の実施形態の側面図である。
【図9】図9は、本開示に従う医療デバイスの別の実施形態の側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0026】
本発明の医療デバイスは、少なくとも1つのモノフィラメントフラグメントを有するマルチフィラメント細長本体を備え、このモノフィラメントフラグメントは、このマルチフィラメント細長本体の外側表面から延びる。このモノフィラメントフラグメントの第一の部分は、このマルチフィラメント細長本体内に配置され、そしてこのモノフィラメントフラグメントの第二の部分は、このマルチフィラメント細長本体の外側表面を越えて配置される。このマルチフィラメント細長本体内に配置された、このモノフィラメントフラグメントの部分は、このモノフィラメントフラグメントをこのマルチフィラメント細長本体に固定する。このモノフィラメントフラグメントの第二の部分は、このマルチフィラメント細長本体の外側表面を越えて延びて、この医療デバイス上に棘を形成する。このモノフィラメントフラグメントは、この細長本体の外側表面を越えて延びる、1つより多くの部分を有し得る。
【0027】
本明細書中で使用される場合、用語「モノフィラメントフラグメント」とは、医療デバイスを形成する前に細長本体と別に形成された、この細長本体とは異なる、不連続な繊維性材料を意味する。
【0028】
一般に、棘付き医療デバイスを形成する方法は、モノフィラメントのフラグメントを、マルチフィラメント細長本体に注入または挿入する工程を包含し得、その結果、このフラグメントの一部分がこの細長本体に貫入してこの細長本体内に固定され、そしてこのモノフィラメントフラグメントの一部分は、このマルチフィラメント細長本体の外側表面を越えて延びて、この医療デバイス上に棘を形成する。このモノフィラメントは、このマルチフィラメント細長本体の外側表面に対して、棘として機能するために望ましい配向で、このマルチフィラメント細長本体内に配置され得る。あるいは、このマルチフィラメント細長本体の外側表面を越えて延びるモノフィラメントフラグメントの部分の配向は、このモノフィラメントフラグメントの配置後に、所望の棘構成を提供するように変化させられ得る。
【0029】
図面を詳細に参照すると、図面において、同じ参照番号は様々な図において同じ要素に適用され、図1Aおよび図1Bは、本開示の1つの実施形態に従う棘付き医療デバイスの作製を図示する。図1Aに見られるように、マルチフィラメント細長本体12は、複数の整列したフィラメント14を備え得る。モノフィラメントフラグメント18は、少なくとも部分的に、マルチフィラメント細長本体12内に配置される。フィラメント18は、マルチフィラメント細長本体12内に配置される第一の部分18aを備えるモノフィラメントであり得る。モノフィラメントフラグメント18の第二の部分18bは、マルチフィラメント細長本体12の外側表面13を越えて延びる。
【0030】
フラグメント18の一方または両方の端部19a、19bは、角度を付けられ得る。フラグメント18の端部19a、19bにおける角度「α」は、各端部で同じであっても異なっていてもよい。ある実施形態において、角度「α」は、約5°〜約90°であり得、ある実施形態において、約25°〜約65°であり得る。フラグメント18の端部19aは、有利には、本発明の棘付き医療デバイスの製造中にマルチフィラメント細長本体12に貫入すること、およびある実施形態において、マルチフィラメント細長本体12の1つ以上の個々のフィラメント14を切り進むこと(このことは、モノフィラメントフラグメント18の一部分をマルチフィラメント細長本体12に挿入する間に遭遇し得る)を補助するように、角度を付けられ得る。
【0031】
モノフィラメントフラグメント18の端部18bは、マルチフィラメント細長本体12の外側表面13に対して所望の角を形成するように、熱および/または圧力の付与によって変形させられ得る。例えば、マルチフィラメント細長本体12は、図1Aにおいて矢印「A」により示される方向に動かされ得、1対のローラ20、22を通され得る。これらのローラは、矢印「B」により示される方向に回転し得る。ローラ20、22は、圧力および/または熱を付与して、図1Bに示されるように、モノフィラメントフラグメント18の第二の部分18bを変形させ得る。ローラ20、22の表面は、有利には、マルチフィラメント細長本体12の外側表面13の輪郭に一致するような輪郭にされて、マルチフィラメント細長本体12への熱および/または圧力の均一な付与を容易にし得る。
【0032】
図1Bに見られるように、モノフィラメントフラグメント18の変形した端部18bは、マルチフィラメント細長本体12の外側表面13と、角「β」を形成し得る。ある実施形態において、角度βは、約5°〜約60°であり得、ある実施形態において、約10°〜約30°であり得る。形成される角度は、細長マルチフィラメント本体12がカレンダーローラ20、22を通過する速度;カレンダーローラ20、22の温度;カレンダーローラ20、22により付与される圧力;カレンダーローラ20、22が回転する速度;ならびにモノフィラメントフラグメント18の特性(例えば、構築材料、結晶性など)のうちの1つ以上を変更することによって、制御され得る。棘は、医療デバイスの長さに沿って一定の角度で形成されても異なる角度で形成されてもよいことが、さらに想定される。
【0033】
モノフィラメントフラグメント18の配置前または配置後に、フィラメント14は、当業者に公知である方法(例えば、編組)を使用して、互いに接合され得、これによって、モノフィラメントフラグメント18をマルチフィラメント細長本体12に固定する。フィラメント14は、その全長に沿って接合され得るか、あるいは、モノフィラメントフラグメント18をフィラメント14内のその位置に固定するために選択された位置で接合され得る。ある実施形態において、マルチフィラメント細長本体12を形成するフィラメント14は、フィラメント14間に貫入する組成物を塗布することによって、接合され得る。例えば、任意の適切な生体適合性接着剤(例えば、アクリル、エポキシ、ウレタン、または他の適切な接着剤)が、フィラメント14に塗布されて、これらのフィラメントを一緒に接合し得る。ある実施形態において、これらのフィラメントは、フィラメント14を加熱することによってこれらのフィラメントを少なくとも部分的に互いに融合させることによって、接合され得る。例えば、ローラ20、22は、マルチフィラメント細長本体12を形成するフィラメント14を融合させるために充分な熱および圧力を付与し得る。あるいは、加熱された1対のアンビル(図示せず)が、モノフィラメント18の位置に隣接して配置されて、マルチフィラメント細長本体12を形成するフィラメント14を融合させるために充分な熱および圧力を局所的に付与し得る。フィラメント14を互いに接着させるために必要とされる温度は、これらのフィラメントが形成される材料の型に依存して変動し得る。
【0034】
複数のモノフィラメントフラグメントが、任意のパターンで、マルチフィラメント細長本体内に配置され得る。モノフィラメントフラグメントの数、構成および間隔は、例えば、螺旋パターン、直線状パターン、二重螺旋パターン、無作為なパターン、または当業者により想定される他の任意のパターンを作製し得る。さらに、モノフィラメントフラグメントの分布は、比較的一定なままであり得るか、またはマルチフィラメント細長本体の長さに沿って変動し得、これによって、より高密度の棘を有する領域、および比較的少ない棘を有する領域または棘を全く有さない領域の作製を、可能にする。
【0035】
任意の2つの棘間の長手軸方向間隔は、一般に、堅さを維持しながら、この棘付きデバイスが組織を繋留する能力に影響を与える。棘がより広い間隔を空けるにつれて、組織繋留能力は一般に低下する。増加した数の棘は、増加した組織保持力をもたらし得る。これらの棘の長手軸方向間隔は、約0.1mm〜約3mm、ある実施形態において、約0.5mm〜約1mmであり得る。従来技術においてのように、棘が医療デバイスの表面に切り込まれるとき、これらの棘の間隔が近すぎる場合、この医療デバイスの一体性が危うくされ得、このことは、これらの棘が剥離して戻る傾向、およびまた、引っ張り強度が低下する傾向をもたらし得る。細長本体の切断を排除することによって、モノフィラメントフラグメントをマルチフィラメント細長本体内に配置することによる、本発明の医療デバイス上に棘を形成する方法は、この潜在的な欠点を回避する。
【0036】
さらに、異なる構成のモノフィラメントフラグメントを配置することによって、異なる構成の棘が、単一の棘付き医療デバイス上に容易に提供され得る。例えば、同じ構造体における大きい棘と小さい棘との組み合わせは、例えば、この棘付き医療デバイスが異なる層構造を有する組織の修復において使用される場合に、有利であり得る。同じ棘付き医療デバイスでの大きい棘と小さい棘との組み合わせの使用(ここで棘のサイズは、各組織層について誂えられる)は、最大の繋留特性を確実にする。
【0037】
ある実施形態において、これらの棘の全ては、棘付き医療デバイスが組織を通って一方向に移動することを可能にし、そして組織を通って逆方向に移動することに抵抗するように、整列され得る(例えば、一方向棘付き縫合糸)。他の実施形態において、これらの棘は、1本の棘付き医療デバイスの第一の部分において、この縫合糸の第一の端部が組織を通って一方向に移動することを可能にし、一方で、この棘付き医療デバイスの第二の部分の棘は、この縫合糸の第二の端部が逆方向に移動することを可能にするように整列され得る(例えば、双方向棘付き縫合糸)。
【0038】
マルチフィラメント細長本体のフィラメントは、任意の生体適合性の天然材料または合成材料から作製され得る。マルチフィラメント細長本体のフィラメントが形成される材料は、生体吸収性であっても非生体吸収性であってもよい。天然材料、合成材料、生体吸収性材料および非生体吸収性材料の任意の組み合わせが、個々のフィラメントを材料の組み合わせから形成すること(例えば、コア−シェル構造を有するフィラメントなどの不均質なフィラメント)、または異なる材料から各々が作製された個々のフィラメントを組み合わせること(例えば、第一の材料とは異なる第二の材料から形成された均質なフィラメントを有する、第一の材料から作製された均質なフィラメント)のいずれかによって、マルチフィラメント細長本体のフィラメントを形成するために使用され得ることが、もちろん理解されるべきである。ある実施形態において、マルチフィラメント細長本体は、生体吸収性フィラメントと非生体吸収性フィラメントとの両方を備える。他の実施形態において、マルチフィラメント細長本体は全体が、生体吸収性フィラメントから作製される。なお他の実施形態において、マルチフィラメント細長本体は全体が、非生体吸収性フィラメントから作製される。
【0039】
吸収性材料は、生物学的組織により吸収され、そして所定の期間の終了時にインビボで消失し、この期間は、その材料の化学的性質に依存して、例えば、数時間から数ヶ月まで変動し得る。吸収性材料としては、天然生分解性ポリマーと合成生分解性ポリマーとの両方が挙げられる。
【0040】
代表的な天然生分解性ポリマーとしては、多糖類(例えば、アルギネート、デキストラン、キチン、ヒアルロン酸、セルロース、コラーゲン、ゼラチン、フカン、グリコサミノグリカン、およびこれらの化学的誘導体(化学基(例えば、アルキル、アルキレン)の置換および/または付加、ヒドロキシル化、酸化、ならびに当業者により慣用的になされる他の修飾));およびタンパク質(例えば、アルブミン、カゼイン、ゼイン、絹)、ならびにこれらのコポリマーおよびブレンド(単独または合成ポリマーとの組み合わせ)が挙げられる。
【0041】
合成により修飾された天然ポリマーとしては、セルロース誘導体(例えば、アルキルセルロース、ヒドロキシアルキルセルロース、セルロースエーテル、セルロースエステル、ニトロセルロース、およびキトサン)が挙げられる。適切なセルロース誘導体の例としては、メチルセルロース、エチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、ヒドロキシブチルメチルセルロース、酢酸セルロース、プロピオン酸セルロース、酢酸酪酸セルロース、酢酸フタル酸セルロース、カルボキシメチルセルロース、三酢酸セルロース、および硫酸セルロースナトリウム塩が挙げられる。これらは本明細書中でまとめて、「セルロース」と称される。
【0042】
代表的な合成分解性ポリマーとしては、ラクトンモノマー(例えば、グリコリド、ラクチド、カプロラクトン、ε−カプロラクトン、バレロラクトン、およびδ−バレロラクトン)から調製されたポリヒドロキシ酸、ならびにプルロニック、カーボネート(例えば、トリメチレンカーボネート、テトラメチレンカーボネートなど)、ジオキサノン(例えば、1,4−ジオキサノンおよびp−ジオキサノン)、1,ジオキセパノン(例えば、1,4−ジオキセパン−2−オンおよび1,5−ジオキセパン−2−オン)、ならびにこれらの組み合わせが挙げられる。これらから形成されるポリマーとしては、ポリラクチド;ポリ(乳酸);ポリグリコリド;ポリ(グリコール酸);ポリ(トリメチレンカーボネート);ポリ(ジオキサノン);ポリ(ヒドロキシ酪酸);ポリ(ヒドロキシ吉草酸);ポリ(ラクチド−co−(ε−カプロラクトン));ポリ(グリコリド−co−(ε−カプロラクトン));ポリカーボネート;ポリ(偽アミノ酸);ポリ(アミノ酸);ポリ(ヒドロキシアルカノエート);ポリアルキレンオキサレート;ポリオキサエステル;ポリ酸無水物;ポリオルトエステル;ならびにこれらのコポリマー、ブロックコポリマー、ホモポリマー、ブレンド、および組み合わせが挙げられる。
【0043】
細長本体12のフィラメントを形成するために利用され得る適切な非生分解性材料としては、ポリオレフィン(例えば、ポリエチレンおよびポリプロピレン);ポリエチレンとポリプロピレンとのコポリマー、およびポリエチレンとポリプロピレンとのブレンド;ポリアミド(例えば、ナイロン);ポリアミン;ポリイミン;ポリエステル(例えば、ポリエチレンテレフタレート、ポリテトラフルオロエチレン)、ポリエーテル−エステル(例えば、ポリブタエステル(polybutester));ポリテトラメチレンエーテルグリコール;1,4−ブタンジオール;ポリウレタン;ならびにこれらの組み合わせが挙げられる。このポリプロピレンは、アイソタクチックポリプロピレン、またはアイソタクチックポリプロピレンとシンジオタクチックポリプロピレンもしくはアタクチックポリプロピレンとの混合物であり得る。他の適切な非分解性材料は、絹、コラーゲン、綿、麻、炭素繊維などを含む。ステンレス鋼、チタン、NiTi合金および他の金属材料もまた、マルチフィラメント細長本体のフィラメントのうちの1つ以上を形成するために使用され得る。
【0044】
マルチフィラメント細長本体の特徴は、その構成材料以外には、(1)直径;(2)全体的なデニール数;(3)糸のパターン;(4)ピック数;(5)マルチフィラメント細長本体を構成する糸の数;および(6)各糸を構成するフィラメントのデニール数が挙げられる。
【0045】
直径−マルチフィラメント細長本体の直径は、約0.01mm〜約1.0mm、またはそれより大きくあり得る。本開示に従うマルチフィラメント細長本体が縫合糸である場合、このマルチフィラメント細長本体のサイズは、標準的なサイズに換算して表わされ得、米国薬局方(USP)に記載されるような直径(ミリメートルの単位)の特定の範囲に対応する。従って、マルチフィラメント細長本体の標準的なサイズは、有利には、表Iに記載されるようなサイズである:
表I
【0046】
【表1】
全体的なデニール数−ある実施形態において、マルチフィラメント細長本体の全体的なデニール数は、約25〜約10,000で変動し得る。この範囲内で、種々の実施形態についての全体的なデニール数の範囲は、約50〜約125デニール;約200〜約300デニール;約300〜約500デニール;約500〜約800デニール;約800〜約1500デニール;約1500〜約2000デニール;または約2000〜約3600デニールであり得る。
【0047】
糸のパターン−マルチフィラメント細長本体が管状の編組構造を有する場合、これらのフィラメントは、十文字のパターンを形成する糸であり得、このパターンは、中空円筒の表面に閉じ込められていると考えられ、この中空円筒は、コア構成要素が存在しない場合には、この細長本体の断面積のかなりの割合を占める管腔を有する。このマルチフィラメント細長本体が螺旋形の編組構造を有する場合、噛み合う糸のパターンは、その円柱の表面から中心へと延び、これによって中実構造を提供し、この構造において、その構成のフィラメント性材料は、この縫合糸の断面積全体を実質的に占め、比較的低い割合のこのような領域が、隣接する糸間および繊維間で、空隙空間または間隙を構成する。
【0048】
ピック数−ピック数とは、マルチフィラメント細長本体の外側表面から見る場合に、このマルチフィラメント細長本体の長手方向軸に対して平行な1本の線内にある、1インチあたりの目の数である。適切なピック数は、約20目/インチ〜約100目/インチ、ある実施形態においては、約40目/インチ〜約80目/インチ、他の実施形態においては、約50目/インチ〜約70目/インチで変動し得る。
【0049】
糸の数−マルチフィラメント細長本体の構成において使用される糸の数は、全体的な本体のデニール数にある程度関連し、糸の数は一般に、マルチフィラメント細長本体の重量と共に増加する。従って、上に示されたマルチフィラメント細長本体の重量(デニール数)の範囲にわたって、このマルチフィラメント細長本体は、約4本〜約60本の糸、ある実施形態においては、約6本〜約30本の糸から製造され得、各糸は、以下で議論されるデニール数を有する個々のフィラメントから構成される。
【0050】
これらの糸は必ずしも撚糸される必要はないが、ある実施形態において、これらの糸は、編組構成中の引っ掛かりを最少にするために、わずかな撚りを提供され得る。
【0051】
ある実施形態において、このマルチフィラメント細長本体は、編組、製織などをされた、(糸ではなく)複数のモノフィラメントから形成され得ることが、もちろん理解されるべきである。このような実施形態において、このモノフィラメントの直径は、約5デニール〜約200デニール、ある実施形態において、約10デニール〜約150デニールであり得る。
【0052】
個々のフィラメント直径−各糸を構成する個々のフィラメントは、約0.2デニール〜約6.0デニール、ある実施形態においては、約0.8デニール〜約3.0デニール、そして他の実施形態においては、約0.8デニール〜約1.4デニールで、重量が変動し得る。特定の糸に存在するこのようなフィラメントの数は、マルチフィラメント細長本体の全体のデニール数、およびマルチフィラメント細長本体の構成において利用される糸の数に依存する。
【0053】
細長本体を構成するフィラメントは、当業者の知識の範囲内である任意の技術(例えば、押し出し、成形および/または溶媒キャスティング)を使用して形成され得る。細長本体および/またはフィラメントは、1つより多くのフィラメントから作製された糸を備え得、これらのフィラメントは、同じ材料または異なる材料の複数のフィラメントを含み得る。細長本体が複数のフィラメントから作製される場合、この細長本体は、任意の公知の技術(例えば、編組、製織または編成)を使用して作製され得る。これらのフィラメントはまた、不織細長構造体を製造するために組み合わせられ得る。この細長本体は、細長本体形成プロセスの一部として、延伸され得るか、配向され得るか、捲縮され得るか、撚糸され得るか、混繊され得るか、または空気で絡まされて、糸を形成し得る。
【0054】
モノフィラメントフラグメントは、任意の生体適合性材料(マルチフィラメント細長本体のフィラメントに関連して上に列挙された材料のうちの任意のものが挙げられる)から作製され得る。モノフィラメントフラグメントは、マルチフィラメント細長本体と同じ材料から作製されても、異なる材料から作製されてもよい。モノフィラメントフラグメントは、約25デニール〜約10,000デニール、ある実施形態においては、約50デニール〜約5,000デニール、そして他の実施形態においては、約500デニール〜約1,000デニールで、重量が変動し得る。ある実施形態において、マルチフィラメント細長本体の直径対モノフィラメントフラグメントの直径の比は、約2:1〜約20:1、ある実施形態においては、約4:1〜約10:1であり得る。
【0055】
モノフィラメントフラグメントは、単一の材料から作製された均質なフィラメントであっても、コア−シェル構造体(コアとシェルとが異なる材料から作製される)などの不均質な構造体であってもよいことが理解されるべきである。このモノフィラメントフラグメントはまた、マルチフィラメント構造体から作製され得、この場合、マルチフィラメントが、例えば、熱または接着剤(または他の結合剤)の適用により一緒に接合されて、一体化された構造体を作製している。
【0056】
ある実施形態において、図2Aおよび図2Bに示されるように、モノフィラメントフラグメント218は、マルチフィラメント本体12を完全に通過し得、従って、第二の部分218bから離れた位置でマルチフィラメント細長本体12の外側表面13を越えて延びる第三の部分218cを備える。図1Aおよび図1Bに関連して上に記載された様式と同じ様式でローラ20、22を通過した後に、フラグメント218は、図2Bに示されるように、部分218bおよび218cにより形成された2つの棘を提供する。
【0057】
図3Aおよび図3Bは、それぞれ図2Aおよび図2Bの実施形態のバリエーションを図示し、細長本体312の一部分の断面図を示す。この断面は、細長本体312の長手方向軸に沿っており、細長本体312の全体を通るフラグメント318の図を提供する。部分318aは、細長本体312内に配置される。部分318bおよび318cは、細長本体312の外側表面313を越えて配置される。細長本体312は、図3Aおよび図3Bにおいて、不均質な構造体であり、第一の材料から作製されたフィラメント314a、および第一の材料とは異なる第二の材料から作製されたフィラメント314bを含む。
【0058】
図4は、マルチフィラメント細長本体412が編組糸414から作製されている実施形態を図示する。この編組の構成に起因して、モノフィラメントフラグメント418の部分418bは、マルチフィラメント細長本体412の外側表面413に対して適切な配向で配置されるので、さらなる再配向を必要としない。モノフィラメントフラグメント418は、編組の構成によってか、または先に記載された方法のうちのいずれかによって、マルチフィラメント細長本体412内に固定され得る。
【0059】
図5Aおよび図5Bは、それぞれ図2Aおよび図2Bの実施形態のバリエーションを図示し、これらのバリエーションにおいて、モノフィラメントフラグメント518は、編組糸514から作製されたマルチフィラメント細長本体512を完全に通過する。図5Aは、ローラ(図示されないが、矢印「B」の方向に回転する)を通過する前のデバイスを図示し、そして図5Bは、このデバイスを矢印「A」の方向に移動させてこのデバイスをローラに通過させ、これによって、部分518bおよび518cの配向を所望の構成に変化させた後の、デバイスを示す。
【0060】
図6は、編組された医療デバイスのさらなる実施形態の断面図である。この断面は、マルチフィラメント細長本体612の長手方向軸を横断して、この実施形態においてはマルチフィラメント細長本体612が3つのコアフィラメント616a、616bおよび616cを備え、そして複数のフィラメント614が編組されてコアフィラメント616a、616bおよび616cの周囲にシースを形成していることを示す。モノフィラメントフラグメント618は、マルチフィラメント細長本体612を完全に通って配置され、シースフィラメント614aと614bとの間を通り、そしてコアフィラメント616cを通る。フラグメント618の部分618aは、マルチフィラメント細長本体612内に配置され、そしてフラグメント618の部分618bおよび618cは、マルチフィラメント細長本体612の外側表面を越えて配置される。
【0061】
フラグメント618は、図6において、マルチフィラメント細長本体612のコアの中心を通って配置されるように示されているが、このモノフィラメントフラグメントは、このマルチフィラメント細長本体の中心をずれて通るように配置されてもよいことが、もちろん理解されるべきである。例えば、モノフィラメントフラグメントは、コアを通るのではなく、シースとコアとの間を通過し得る。
【0062】
マルチフィラメント細長本体が編組構造体である、本発明の棘付き医療デバイスを作製する際に使用するのに適切な装置が、図7に示されている。複数のボビン724(フィラメント714が巻かれている)が、編組されたシースをコア716の周りに形成してマルチフィラメント細長本体712を形成するために利用され得る。ある実施形態において、フラグメント718がコア716に追加され得、そして熱硬化させられて、コア716を運ぶ管を通って移動する間に動かないようにされ得る。ある実施形態において、マルチフィラメント細長本体712が形成されるにつれて、モノフィラメント材料728のスプール726が、細長本体712に挿入されるモノフィラメント材料728のフラグメント718を形成するために使用される。モノフィラメントフラグメントは、マルチフィラメント細長本体712の編組前、編組中または編組後に挿入され得ることが理解されるべきである。ある実施形態において、フィラメント714のすぐ隣で終わる管またはカテーテル(図示せず)が、モノフィラメント材料728を運び得、このモノフィラメント材料は次に、フィラメント714間、または細長本体712内へと押される。次いで、モノフィラメント材料728は、フラグメント718に切断され、そして再度前進させられる。次に、ローラ720、722が、フラグメント718を所望の方向に平らにして、マルチフィラメント細長本体712上に棘を形成する。次いで、この棘付き医療デバイスは、当業者の知識の範囲内である技術を使用して包装または滅菌されるために、スプール730に巻かれ得るか、またはあるサイズに切断され得る。
【0063】
ある実施形態において、モノフィラメントフラグメント718は、図7に示される位置に挿入されるのではなく、またはその位置に挿入されることに加えて、フィラメント714を編組する前にコア716に挿入されて熱硬化されてもよいことが、さらに想定される。
【0064】
図9の例示的な実施形態に示されるように、棘918aのうちのいくつかが医療デバイス900の一端に向かって角を形成し、そして他の棘918bは、医療デバイス900の他端に向かって角を形成して、双方向の医療デバイス900を形成するように、複数の棘が医療デバイス900に沿って形成され得る。
【0065】
本開示に従う棘付き医療デバイスは、編組された縫合糸、マルチフィラメント縫合糸、外科手術用繊維、アンカー、スリットシート、リボン、テープ、メッシュ、ステント、足場、外科用綿撤糸、脈管移植片、および/またはリボンであり得る。この医療デバイスの断面幾何学形状は、任意の適切な形状(例えば、円形、正方形、星型、八角形、矩形、多角形、および平坦な形)であり得る。
【0066】
ある実施形態において、本発明の棘付き医療デバイスの端部は尖っており、そして組織を穿孔することを可能にするために充分に堅い材料から形成される。他の実施形態において、棘付き医療デバイスが縫合糸である場合、この縫合糸の一旦または両端が、外科手術用針を備え得る。外科手術用針は、当業者の知識の範囲内である任意の技術を使用して、取り付けられ得る。さらに、この外科手術用針はコーティングされ得、このコーティングは、この外科手術用針/棘付き縫合糸の組み合わせの針が、この外科手術用針がコーティングされない場合よりも低い力で組織に挿入されることを可能にする。このコーティングとしては、例えば、シリコーンベースのコーティング(例えば、米国特許第5,258,013号に記載されるコーティング)が挙げられ得る。
【0067】
図8に示される例示的な実施形態において、医療デバイス800は、マルチフィラメント細長本体812、フラグメント814および針822を備える縫合糸であり、この針は、湾曲していても真っ直ぐであってもよい。
【0068】
ある実施形態において、生物活性剤が、棘付き医療デバイスと共に利用され得る。生物活性剤は、当業者の知識の範囲内である方法によって、細長本体、フィラメント、および/または構成材料に付けられ得る。このような方法としては、浸漬、噴霧、ブラッシング、蒸着、共押し出し、毛管吸い上げ、フィルムキャスティング、成形など、およびこれらの組み合わせが挙げられるが、これらに限定されない。ある実施形態において、生物活性剤は、この医療具の棘と細長本体との間に形成された角内に局在し得る。
【0069】
本開示に従って利用され得る生物活性剤のクラスの例としては、例えば、接着防止剤、抗菌薬、鎮痛薬、解熱薬、麻酔薬、鎮痙薬、抗ヒスタミン薬、抗炎症薬、心臓血管剤、診断剤、交感神経様作用薬、コリン様作用薬、抗ムスカリン薬、鎮痙薬、ホルモン、増殖因子、成長因子、筋弛緩薬、アドレナリン作用性ニューロン遮断薬、抗腫瘍薬、免疫原性剤、免疫抑制薬、胃腸薬、利尿薬、ステロイド、脂質、リポ多糖類、多糖類、血小板活性化薬物、凝固因子、および酵素が挙げられる。生物活性剤の組み合わせが使用され得ることもまた意図される。
【0070】
本開示に従って利用され得る接着防止剤としては、親水性ポリマー(例えば、ポリ(ビニルピロリドン)、カルボキシメチルセルロース、ヒアルロン酸、ポリエチレンオキシド、ポリビニルアルコールおよびこれらの組み合わせ)が挙げられるが、これらに限定されない。
【0071】
生物活性剤として含有され得る適切な抗菌薬としては、例えば、トリクロサン(triclosan)(2,4,4’−トリクロロ−2’−ヒドロキシジフェニルエーテルとしてもまた公知)、クロルヘキシジンおよびその塩(酢酸クロルヘキシジン、グルコン酸クロルヘキシジン、塩酸クロルヘキシジン、および硫酸クロルヘキシジンが挙げられる)、銀およびその塩(酢酸銀、安息香酸銀、炭酸銀、クエン酸銀、ヨウ素酸銀、ヨウ化銀、乳酸銀、ラウリン酸銀、硝酸銀、酸化銀、パルミチン酸銀、銀タンパク、および銀スルファジアジンが挙げられる)、ポリミキシン、テトラサイクリン、アミノグリコシド(例えば、トブラマイシンおよびゲンタマイシン)、リファンピシン、バシトラシン、ネオマイシン、クロラムフェニコール、ミコナゾール、キノロン(例えば、オキソリン酸、ノルフロキサシン、ナリジクス酸、ペフロキサシン(pefloxacin)、エノキサシンおよびシプロフロキサシン)、ペニシリン(例えば、オキサシリンおよびピプラシル(pipracil))、ノンオキシノール9、フシジン酸、セファロスポリン、ならびにこれらの組み合わせが挙げられる。さらに、抗菌タンパク質およびペプチド(例えば、ウシラクトフェリンおよびラクトフェリシン(lactoferricin)B)が、生物活性剤として含有され得る。
【0072】
生物活性剤として含有され得る他の生物活性剤としては、局所麻酔薬;非ステロイド性抗受精剤;副交感神経様作用剤;精神療法剤;トランキライザ;うっ血除去薬;鎮静催眠薬;ステロイド;スルホンアミド;交感神経様作用剤;ワクチン;ビタミン;抗マラリア薬;抗片頭痛薬;抗パーキンソン剤(例えば、L−ドパ);鎮痙薬;抗コリン作用性剤(例えば、オキシブチニン);鎮咳薬;気管支拡張薬;心臓血管剤(例えば、冠状血管拡張薬およびニトログリセリン);アルカロイド;鎮痛薬;麻酔薬(例えば、コデイン、ジヒドロコデイノン、メペリジン、モルヒネなど);非麻酔薬(例えば、サリチレート、アスピリン、アセトアミノフェン、d−プロポキシフェンなど);オピオイドレセプターアンタゴニスト(例えば、ナルトレキソンおよびナロキソン);抗がん剤;鎮痙薬;制吐薬;抗ヒスタミン薬;抗炎症剤(例えば、ホルモン剤、ヒドロコルチゾン、プレドニゾロン、プレドニゾン、非ホルモン剤、アロプリノール、インドメタシン、フェニルブタゾンなど);プロスタグランジンおよび細胞傷害性剤;化学療法剤、エストロゲン;抗菌剤;抗生物質;抗真菌剤;抗ウイルス剤;抗凝固薬;鎮痙薬;抗うつ薬;抗ヒスタミン薬;ならびに免疫学的剤が挙げられる。
【0073】
適切な生物活性剤の他の例としては、例えば、ウイルスおよび細胞(幹細胞が挙げられる);ペプチド、ポリペプチドおよびタンパク質、ならびにそのアナログ、ムテイン、ならびに活性フラグメント;免疫グロブリン;抗体;サイトカイン(例えば、リンホカイン、モノカイン、ケモカイン);血液凝固因子;造血因子;インターロイキン(IL−2、IL−3、IL−4、IL−6);インターフェロン(β−IFN、α−IFNおよびγ−IFN);エリスロポイエチン;ヌクレアーゼ;腫瘍壊死因子;コロニー刺激因子(例えば、GCSF、GM−CSF、MCSF);インスリン;抗腫瘍剤および腫瘍抑制因子;血液タンパク質(例えば、フィブリン、トロンビン、フィブリノゲン、合成トロンビン、合成フィブリン、合成フィブリノゲン);性腺刺激ホルモン(例えば、FSH、LH、CGなど);ホルモンおよびホルモンアナログ(例えば、成長ホルモン);ワクチン(例えば、腫瘍性抗原、細菌性抗原およびウイルス性抗原);ソマトスタチン;抗原;血液凝固因子;増殖因子または成長因子(例えば、神経発育因子、インスリン様成長因子);骨形成タンパク質;TGF−β;タンパク質インヒビター;タンパク質アンタゴニスト;タンパク質アゴニスト;核酸(例えば、アンチセンス分子、DNA、RNA、RNAi);オリゴヌクレオチド;ポリヌクレオチド;ならびにリボザイムが挙げられる。
【0074】
さらに、溶媒が、種々の剤を棘付き医療デバイスに組み込むために使用され得る。適切な溶媒としては、極性溶媒および非極性溶媒が挙げられ、アルコール(例えば、メタノール、エタノール、プロパノールなど、およびこれらの組み合わせ);塩素化炭化水素(例えば、塩化メチレン、クロロホルム、1,2−ジクロロエタンなど、およびこれらの組み合わせ);ならびに脂肪族炭化水素(例えば、ヘキサン、ヘプタン、酢酸エチルなど、およびこれらの組み合わせ)が挙げられるが、これらに限定されない。
【0075】
本開示に従って棘付き医療デバイスを作製するために使用されるフィラメントはまた、例えば、生物学的に受容可能な可塑剤、酸化防止剤および着色剤を含有し得、これらは、これらのフィラメントを形成するために利用されるフィラメントに含浸され得るか、またはこれらのフィラメント上のコーティングに含有され得る。ある実施形態において、本開示の棘付き医療デバイスは、外科手術野におけるデバイスの可視性を増大させる目的で、染色され得る。移植可能な医療デバイスに組み込むために適切な任意の色素が使用され得る。このような色素としては、カーボンブラック、骨炭、D&C Green No.6、およびD&C Violet No.2が挙げられるが、これらに限定されない。
【0076】
本開示の数個の実施形態が記載されたが、本開示はこれらの実施形態に限定されることは意図されない。なぜなら、本開示は、当該分野が許容する程度まで範囲が広いこと、および本明細書も同様に読まれることが意図されるからである。従って、上記説明は、限定であると解釈されるべきではなく、単に、本開示の実施形態の例示であると解釈されるべきである。外科手術用移植物を形成するための構成要素、およびこれらの構成要素を送達する方法の、種々の改変およびバリエーションは、上記詳細な説明から、当業者に明らかになる。例えば、ある実施形態において、棘付き医療デバイスは、その一端に、このデバイスを身体組織内の所望の位置に保持することを増強するように構成されたループまたは結び目を組み込み得る。このような改変およびバリエーションは、添付の特許請求の範囲の趣旨および範囲内に入ることが意図される。
【符号の説明】
【0077】
12 マルチフィラメント細長本体
13 外側表面
14 フィラメント
18 モノフィラメントフラグメント
18a 第一の部分
18b 第二の部分
【特許請求の範囲】
【請求項1】
外側表面を有するマルチフィラメント細長本体;ならびに
第一の部分および第二の部分を有するモノフィラメントフラグメントであって、該第一の部分は、該マルチフィラメント細長本体内に配置されており、そして該第二の部分は、該マルチフィラメント細長本体の該外側表面を越えて延びている、モノフィラメントフラグメント、
を備える、棘付き医療デバイス。
【請求項2】
前記モノフィラメントフラグメントが、前記マルチフィラメント細長本体を完全に通って延びており、そしてさらに、第三の部分を備え、該第三の部分は、該モノフィラメントフラグメントの前記第二の部分から離れた位置で、該マルチフィラメント細長本体の前記外側表面を越えて延びている、請求項1に記載の棘付き医療デバイス。
【請求項3】
前記モノフィラメントフラグメントの前記第二の部分が、約0.1mm〜約5mmの間隔で前記マルチフィラメント細長本体の前記外側表面を越えて延びている、請求項1に記載の棘付き医療デバイス。
【請求項4】
前記マルチフィラメント細長本体が、生体適合性接着剤をさらに備える、請求項1に記載の棘付き医療デバイス。
【請求項5】
前記モノフィラメントが、少なくとも1つの端部分を備え、該端部分は、前記マルチフィラメント細長本体の前記外側表面と、約5°〜約90°の角度を形成する、請求項1に記載の棘付き医療デバイス。
【請求項6】
生物活性剤をさらに含む、請求項1に記載の棘付き医療デバイス。
【請求項7】
前記マルチフィラメント細長本体がコアをさらに備える、請求項1に記載の棘付き医療デバイス。
【請求項8】
前記マルチフィラメント細長本体が糸を備える、請求項1に記載の棘付き医療デバイス。
【請求項9】
前記棘付き医療デバイスが縫合糸である、請求項1に記載の棘付き医療デバイス。
【請求項10】
複数のフィラメントから細長本体を形成して、外側表面を有するマルチフィラメント細長本体を形成する工程;
モノフィラメントフラグメントの第一の部分を該細長本体内に配置する工程であって、その結果、該モノフィラメントフラグメントの少なくとも第二の部分が、該マルチフィラメント細長本体の該外側表面を越えて延びて、医療デバイスに棘を形成する、工程、
を包含する、棘付き医療デバイスを形成する方法。
【請求項11】
前記モノフィラメントフラグメントの前記第二の部分を再配向させる工程をさらに包含する、請求項10に記載の方法。
【請求項12】
前記細長本体を形成する工程が、複数のフィラメントまたは糸を、編組、混繊、製織、編成、撚糸、整列、または捲縮することを包含する、請求項10に記載の方法。
【請求項13】
前記モノフィラメントフラグメントを配置する工程の結果として、該モノフィラメントフラグメントが前記マルチフィラメント細長本体を完全に通って延び、そして該モノフィラメントフラグメントの第三の部分が、該モノフィラメントフラグメントの前記第二の部分から離れた位置で、該マルチフィラメント細長本体の前記外側表面を越えて延びる、請求項10に記載の方法。
【請求項14】
生体適合性接着剤を前記フィラメントに塗布する工程をさらに包含する、請求項10に記載の方法。
【請求項1】
外側表面を有するマルチフィラメント細長本体;ならびに
第一の部分および第二の部分を有するモノフィラメントフラグメントであって、該第一の部分は、該マルチフィラメント細長本体内に配置されており、そして該第二の部分は、該マルチフィラメント細長本体の該外側表面を越えて延びている、モノフィラメントフラグメント、
を備える、棘付き医療デバイス。
【請求項2】
前記モノフィラメントフラグメントが、前記マルチフィラメント細長本体を完全に通って延びており、そしてさらに、第三の部分を備え、該第三の部分は、該モノフィラメントフラグメントの前記第二の部分から離れた位置で、該マルチフィラメント細長本体の前記外側表面を越えて延びている、請求項1に記載の棘付き医療デバイス。
【請求項3】
前記モノフィラメントフラグメントの前記第二の部分が、約0.1mm〜約5mmの間隔で前記マルチフィラメント細長本体の前記外側表面を越えて延びている、請求項1に記載の棘付き医療デバイス。
【請求項4】
前記マルチフィラメント細長本体が、生体適合性接着剤をさらに備える、請求項1に記載の棘付き医療デバイス。
【請求項5】
前記モノフィラメントが、少なくとも1つの端部分を備え、該端部分は、前記マルチフィラメント細長本体の前記外側表面と、約5°〜約90°の角度を形成する、請求項1に記載の棘付き医療デバイス。
【請求項6】
生物活性剤をさらに含む、請求項1に記載の棘付き医療デバイス。
【請求項7】
前記マルチフィラメント細長本体がコアをさらに備える、請求項1に記載の棘付き医療デバイス。
【請求項8】
前記マルチフィラメント細長本体が糸を備える、請求項1に記載の棘付き医療デバイス。
【請求項9】
前記棘付き医療デバイスが縫合糸である、請求項1に記載の棘付き医療デバイス。
【請求項10】
複数のフィラメントから細長本体を形成して、外側表面を有するマルチフィラメント細長本体を形成する工程;
モノフィラメントフラグメントの第一の部分を該細長本体内に配置する工程であって、その結果、該モノフィラメントフラグメントの少なくとも第二の部分が、該マルチフィラメント細長本体の該外側表面を越えて延びて、医療デバイスに棘を形成する、工程、
を包含する、棘付き医療デバイスを形成する方法。
【請求項11】
前記モノフィラメントフラグメントの前記第二の部分を再配向させる工程をさらに包含する、請求項10に記載の方法。
【請求項12】
前記細長本体を形成する工程が、複数のフィラメントまたは糸を、編組、混繊、製織、編成、撚糸、整列、または捲縮することを包含する、請求項10に記載の方法。
【請求項13】
前記モノフィラメントフラグメントを配置する工程の結果として、該モノフィラメントフラグメントが前記マルチフィラメント細長本体を完全に通って延び、そして該モノフィラメントフラグメントの第三の部分が、該モノフィラメントフラグメントの前記第二の部分から離れた位置で、該マルチフィラメント細長本体の前記外側表面を越えて延びる、請求項10に記載の方法。
【請求項14】
生体適合性接着剤を前記フィラメントに塗布する工程をさらに包含する、請求項10に記載の方法。
【図1A】
【図1B】
【図2A】
【図2B】
【図3A】
【図3B】
【図4】
【図5A】
【図5B】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図1B】
【図2A】
【図2B】
【図3A】
【図3B】
【図4】
【図5A】
【図5B】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【公開番号】特開2011−218172(P2011−218172A)
【公開日】平成23年11月4日(2011.11.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−86777(P2011−86777)
【出願日】平成23年4月8日(2011.4.8)
【出願人】(507362281)タイコ ヘルスケア グループ リミテッド パートナーシップ (666)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成23年11月4日(2011.11.4)
【国際特許分類】
【出願日】平成23年4月8日(2011.4.8)
【出願人】(507362281)タイコ ヘルスケア グループ リミテッド パートナーシップ (666)
【Fターム(参考)】
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