棚付き水栓
【課題】様々な設計の浴室に柔軟に対応できる棚付き水栓を提供する。
【解決手段】互いに平行な一対の対辺部と、これら対辺部に対して略直角につながり、対辺部と長さが異なる後端辺部と、対辺部に対して傾斜し、水栓操作部が設けられた斜辺部と、を備えている。
【解決手段】互いに平行な一対の対辺部と、これら対辺部に対して略直角につながり、対辺部と長さが異なる後端辺部と、対辺部に対して傾斜し、水栓操作部が設けられた斜辺部と、を備えている。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、浴室に設置される棚付き水栓に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、浴室壁面に直に水栓を取り付けるのではなく、物を置いたり収納ボックスを取り付け可能なカウンターフレームを浴室壁面に取り付け、このカウンターフレームに洗い場水栓を取り付けた浴室が、例えば特許文献1に開示されている。
【0003】
しかし、特許文献1におけるカウンターフレームは、浴室壁面の幅方向全体にわたって設けられて浴室の内側に突出した大きな構造体であるため、洗い場空間を狭くし、また、浴室ドアの位置やドア幅などの様々な設計自由度を狭める。
【特許文献1】特開2000−201852号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明は、様々な設計の浴室に柔軟に対応できる棚付き水栓を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明の一態様によれば、互いに平行な一対の対辺部と、前記対辺部に対して略直角につながり、前記対辺部と長さが異なる後端辺部と、前記対辺部に対して傾斜し、水栓操作部が設けられた斜辺部と、を備えたことを特徴とする棚付き水栓が提供される。
【発明の効果】
【0006】
本発明によれば、様々な設計の浴室に柔軟に対応できる棚付き水栓が提供される。
【発明を実施するための最良の形態】
【0007】
以下、図面を参照し、本発明の実施形態について説明する。
【0008】
図1は、本発明の実施形態に係る棚付き水栓4を備えた浴室ユニットにおける浴室内の斜視図である。
【0009】
この浴室ユニットは、主として、浴槽1と、洗い場(床)2と、浴室カウンター70と、棚付き水栓4とを備える。これらは、壁パネル5、6、7、8(壁パネル8は図13に図示)及びドアDRによって画設された浴室内に配設されている。なお、壁パネルの一部に窓を設けてもよい。
【0010】
浴槽1は、内槽11と、この内槽11の上縁部のまわりに設けられた浴槽リム12とを有する。浴槽1は、ドアDRから見て浴室の奥側に配設され、ドアDRに対向する奥側の壁パネル5に隣接している。あるいは、壁パネル5は、浴槽1における奥側の上縁部の上に立設されてもよい。ドアDRの横には、浴槽1及び洗い場2を挟んで壁パネル5に対して略平行に対向する壁パネル7が設けられている。浴室出入口及びドアDRは、浴槽1の横であって、壁パネル6に向き合う位置に設けてもよい。
【0011】
浴槽1は、その長辺方向が、壁パネル5、7に対して略平行になる向きで配置されている。浴槽1の手前側に、洗い場床2が浴槽1に隣接して配設されている。
【0012】
浴槽リム12は、内槽11の上縁部から外側に張り出して設けられている。浴槽リム12において内槽11の長手方向の両端部にそれぞれ設けられた短辺リム12a、12bのうち一方の短辺リム12aは、他方の短辺リム12bよりも短辺側の幅が大きく、この短辺リム12aの上に着座可能となっている。この短辺リム12aの短辺側の幅bは、例えば305(mm)であり、他方の短辺リム12bの短辺側の幅cは、例えば200(mm)である。内槽11の長手方向寸法aは、例えば1145(mm)である。
【0013】
幅が狭い短辺リム12bにおけるその外側の長辺縁部は、浴槽1側及び洗い場2側で共通な(一体な)壁パネル6に隣接している。あるいは、短辺リム12bの外側の長辺縁部の上に立設される壁パネルと、この壁パネルに対してジョイナーを介して隣接する洗い場床側の壁パネルとを別体で設けてもよい。壁パネル6は、コーナージョイナーを介して、壁パネル7に対して略直角につながっている。幅が広い短辺リム12aにおけるその外側の長辺縁部は、図13に表すように、壁パネル6に対して略平行に対向する壁パネル8に隣接している。
【0014】
壁パネル6と壁パネル7とのコーナー部には、例えば平面輪郭形状が直角台形状の棚付き水栓4が設けられている。
図2は、棚付き水栓4の拡大斜視図である。
【0015】
棚付き水栓4は、互いに平行な一対の対辺部13、14と、これら対辺部13、14の一端側に設けられ、対辺部13、14に対して略直角につながる後端辺部15と、対辺部13、14の他端側に設けられ、対辺部13、14に対して傾斜してつながる斜辺部16とを有する。
【0016】
一対の対辺部13、14のうち長辺側の対辺部13は壁パネル7に隣接し、後端辺部15は壁パネル6に隣接している。すなわち、棚付き水栓4は、その長辺側の対辺部13及び後端辺部15を壁パネル7から壁パネル6にかけてのコーナー面に沿わせて両壁パネル6、7に取り付けられている。長辺側の対辺部13は、短辺側の対辺部14よりも長い。なお、棚付き水栓4の上方における壁パネル7の壁面に鏡を設けてもよい。
【0017】
棚付き水栓4の下面には、図示しないカラン用湯水供給口に接続されたカラン17が取り付けられている。なお、カラン17を設けずに、棚付き水栓4の下面に形成した吐水口から湯水が吐水されるようにしてもよい。また、棚付き水栓4の下面には、シャワー用湯水供給口が形成され、そのシャワー用湯水供給口には、シャワーホース21の一端が接続され、シャワーホース21の他端はシャワーヘッド22に接続されている。
【0018】
壁パネル7において、ドアDRと棚付き水栓4との間の部分には、シャワーヘッド保持部33が設けられている。シャワーヘッド保持部33は、上下方向に延在して設けられたバー部材31と、このバー部材31に対して上下動自在に係合し、シャワーヘッド22を掛止することが可能なフック部32とを有する。シャワーヘッド22は、フック部32に掛けられた状態でフック部32ごとバー部材31に沿って上下動可能となっている。また、バー部材31は手すりも兼ねている。
【0019】
斜辺部16は、両壁パネル6、7に対して傾斜しつつ洗い場2に臨んで位置し、この斜辺部16に水栓操作部25が設けられている。水栓操作部25は、具体的には、カラン開閉操作部26と、シャワー開閉操作部27とを有する。カラン開閉操作部26は、斜辺部16と短辺側の対辺部14との間の角部近くに設けられ、カラン開閉操作部26の横にシャワー開閉操作部27が並んで設けられている。カラン17とシャワーヘッド22とは、水栓操作部25が設けられた斜辺部16を挟んで配置され、斜辺部16においてカラン17側にカラン開閉操作部26が設けられ、シャワーヘッド22側にシャワー開閉操作部27が設けられている。
【0020】
カラン開閉操作部26は、下方に押し込まれることで、カラン用湯水供給口を開閉する。同様に、シャワー開閉操作部27は、下方に押し込まれることで、シャワー用湯水供給口を開閉する。カラン開閉操作部26の押圧面26a及びシャワー開閉操作部27の押圧面27aは、棚上面34における斜辺部16寄りの端に位置している。
【0021】
棚付き水栓4の上面34には、カラン17やシャワーヘッド22から吐水される湯水の温度を調整する温度調節ハンドル28が設けられている。
【0022】
浴室カウンター70は、棚付き水栓4の下方における壁パネル7の壁面に隣接し、その部分から、浴槽1における幅が狭い短辺リム12b近傍に向けて延在して洗い場2に配設されている。浴室カウンター70において、洗い場2側から見た後端部42は壁パネル6の壁面に隣接し、その後端部42から洗い場2側に略水平に突き出るようにして設けられている。
【0023】
浴室カウンター70の後端部42は、浴槽1における短辺リム12bの外側の長辺縁部の延長上に位置し、その後端部42と、洗い場2側に臨む前端部41との間の幅dは、短辺リム12bの幅cより大きく、例えば430mmである。
【0024】
浴室カウンター70は、強度や防水性などを考慮して、例えばFRP(Fiber Reinforced Plastic)からなるカウンター本体75を備える。棚付き水栓4の下方におけるカウンター本体75表面は洗面器置部49として機能する。洗面器置部49に洗面器を置いた状態でカラン17の吐水口が洗面器に対向し、その吐水口から吐水される湯水を洗面器に供給することが可能となっている。
【0025】
図3は、浴室カウンター70の拡大斜視図である。
【0026】
洗面器置部49に隣接して、カウンター本体75に一体に設けられた着座面71、および着座面71のまわりに着座面71よりも低く形成された排水路72a〜72eが設けられている。
【0027】
着座面71は、浴槽リム12上面と略同じ高さに設けられている。また、意匠性や、座ったときの感触等を向上させるため、FRPからなるカウンター本体75とは異なる材料(例えばABS樹脂材)を貼り付ける、あるいは埋め込むなどして着座面71が構成される。
【0028】
浴室カウンター70の背後の壁パネル6は、着座面71に着座した着座者の背もたれとして機能する。その壁パネル6において、着座者の背中が接触する部分には、着座面71と同様例えばABS樹脂からなる背もたれ部52が設けられている。
【0029】
カウンター本体75と浴槽1との間における、浴槽リム12の上面、着座面71及び排水路72a〜72eよりも低く下がった位置に凹状の排水溝47が設けられている。排水溝47と浴槽1との間には、わずかな隙間が形成されている。排水溝47の長さはカウンター本体75の幅dと略同じもしくは短い。排水溝47の幅は約40mmである。排水溝47には、壁パネル6に隣接する後端部から洗い場2に臨む前端部に向かう方向に例えば1/50の下り勾配がつけられている。
【0030】
着座面71と洗面器置部49との間には、浴室カウンター70の短手方向に沿って排水路72d、72eが形成されている。排水路72d、72eは、着座面71及び洗面器置部49よりも低い溝として形成されている。排水路72d、72eには、壁パネル6側(後端側)から洗い場2側(前端側)に向かう方向に下り勾配がつけられ、また排水路72eにおいて洗い場2側の前端は開放端となっているため、排水路72d、72eに流れ込んだ湯水は洗い場2側に向けて流れ、洗い場2の床に落下する。
【0031】
着座面71を浴室カウンター70の短手方向に2分割するように、浴室カウンター70の長手方向に沿って排水路72aが形成されている。着座面71の前端側には排水路72bが形成され、着座面71の後端側には排水路72cが形成されている。排水路72b、72cは、排水路72aに対して略平行に形成されている。排水路72a〜72cのそれぞれの一端(図3において右端)は排水路72d、72eにつながっており、それぞれの他端(図3において左端)は排水溝47につながっている。
【0032】
排水路72a、72cは、排水路72d、72e側から排水溝47側に向かう方向に下り勾配がつけられている。排水路72bは、その長手方向の中央から排水路72d、72eに向かう方向に下り勾配が付けられていると共に、その長手方向の中央から排水溝47に向かう方向に下り勾配がつけられている。
【0033】
排水路72aによって分割されたそれぞれの着座面71において、排水路72b、72cにそれぞれ最も近い部分は略同じ高さとなっており、その部分から排水路72aに向かいつつ且つ排水溝47に向かう方向に下り勾配がつけられている。着座面71において洗面器置部49に最も近い部分には、排水路72aに向かって例えば1/32の下り勾配がつけられ、排水溝47に最も近い部分には、排水路72aに向かって例えば1/16の下り勾配がつけられている。着座面71において排水路72aに最も近い部分には、排水溝47に向かって緩やかな(例えば1/180または1/90の)下り勾配がつけられている。
【0034】
浴室カウンター70において着座者が着座する部分に、前述したような勾配をつけることで、排水路72aの溝幅それほど広く確保しなくても、また溝深さをそれほど深くしなくても、十分な排水性が得られる。したがって、排水路72aの溝幅を狭くできることで、着座者の臀部に違和感を与えにくくでき、また排水路72aを浅くできることで清掃性を向上させることができる。
【0035】
本実施形態によれば、浴室カウンター70の着座面に着座した状態で、洗体や洗髪を行える。
【0036】
図5は、着座面71に着座した状態で水栓操作部25を操作する動作を表す模式図である。
図6は、着座面71に着座した状態で洗面器置部49に置かれた洗面器65を使う動作を表す模式図である。
図7は、着座面71に着座した状態でシャワーヘッド22に手を伸ばしてシャワーヘッド22をつかむ動作を表す模式図である。
【0037】
本実施形態によれば、着座面71に座った状態で手の届く位置に棚付き水栓4を設け、その棚付き水栓4の下方に、着座面71に隣接して同じカウンター上に洗面器置部49を設けたので、着座面71に腰掛けた状態で、無理な姿勢や動作を強いられることなく、カラン17から吐水される湯水を洗面器65に溜めて洗顔などを行うことができる。
【0038】
特に高齢者や足腰の不自由な人にとって、風呂椅子に腰掛けたり、風呂椅子から立ち上がったりする動作は負担であり、浴室壁面6に寄りかかりつつゆったりとした姿勢をとれるカウンター3に着座した状態で楽に洗面器65を使えることは非常に有益である。
【0039】
洗面器65は、浴槽1から遠い壁パネル6と壁パネル7とのコーナー部近傍の洗面器置部49に置かれるので、洗面器65の使用に際して石鹸水や汚れを落とした湯水が浴槽1内に飛び散って入りにくい。
【0040】
また、水栓操作部25は、棚付き水栓4において壁パネル6及び壁パネル7に対して傾斜して洗い場2に臨む斜辺部16に設けられているため、洗い場2側を向いて着座面71に着座した着座者の左斜め前方に位置し、自然と視界にも入り、着座者にとって棚付き水栓4に近い左手を無理なく自然と伸ばした位置にもあるため、無理な姿勢や体の使い方を強いられることなく使い勝手がよい。
【0041】
また、図7に表すように、シャワーヘッド22の保持部(バー部材31及びフック部32)を、洗い場2側を向いて着座面71に着座した着座者の左前方に位置する壁パネル7壁面に設けたため、シャワーヘッド22についても、着座者にとって自然と視界にも入り、壁パネル7側に位置する左手を無理なく伸ばして届く位置にあり、シャワーの使用に際しても無理な姿勢や体の使い方を強いられることなく使い勝手がよい。
【0042】
また、本実施形態によれば、図8〜10に表すように、洗面器置部49を向いて洗い場2の床上に置いた風呂椅子66に着座した状態でも、無理な姿勢や体の使い方を強いられることなく水栓操作部25を操作し、洗面器置部49に置かれた洗面器65を使い、シャワーヘッド22に手を伸ばしてシャワーを使うことができる。
【0043】
水栓操作部25を、棚付き水栓4において壁パネル6及び壁パネル7に対して傾斜して洗い場2に臨む斜辺部16に設けたため、浴室カウンター70の着座面71に着座した状態及び洗い場2床に置かれた風呂椅子66に腰掛けた状態の両状態の使用者のどちらにとっても、水栓操作部25が自然と視界に入り、且つ自然と手を伸ばして届く位置にあり、使い勝手がよい。
【0044】
同様に、シャワーヘッド22についても、棚付き水栓4近傍の壁パネル7に保持されるため、浴室カウンター70の着座面71に着座した状態及び洗い場2床に置かれた風呂椅子66に腰掛けた状態の両状態の使用者のどちらにとっても、シャワーヘッド22が自然と視界に入り、且つ自然と手を伸ばして届く位置にあり、使い勝手がよい。
【0045】
例えば、浴室カウンター70に腰掛けた高齢者等の被介護者にとって、水栓操作部25、洗面器65、シャワーが使いやすいのはもちろん、その被介護者の前で風呂椅子座りする介護者にとっても、水栓操作部25、洗面器65、シャワーは使いやすく、介護を楽にできる。
【0046】
洗い場2側を向いて浴室カウンター70の着座面71に腰掛けた状態では、図5、7に表すように、着座者の左前方に水栓操作部25及びシャワーヘッド22が位置しているため、左手を使った方が、水栓操作部25の操作やシャワーヘッド22をつかむ動作を無理なく自然に行える。
【0047】
洗面器置部49を向いて洗い場2の床上に置かれた風呂椅子66に腰掛けた状態では、図8、10に表すように、着座者の右前方に水栓操作部25及びシャワーヘッド22が位置しているため、右手を使った方が、水栓操作部25の操作やシャワーヘッド22をつかむ動作を無理なく自然に行える。
【0048】
このような構成によって、水栓操作部25やシャワーを扱う手が左右どちらか一方の手に限定されず、水栓操作部25やシャワーを左右どちらの手で扱いたいかによって、カウンター座りあるいは風呂椅子座りを選ぶことができる。例えば、左右どちらか一方の手が不自由な使用者にとって、カウンター座りを選択するか風呂椅子座りを選択するかによって、不自由でない方の手もしくは使いやすい方の手で、水栓操作部25やシャワーを負担なく使うことができる。
【0049】
また、前述したように、着座面71には、浴室カウンター70の短手方向中央に向かう方向に下り勾配がつけられているため、石鹸水などで着座面71上がすべりやすくなっても、着座者は着座面71上からずれ落ちることなく安定して腰掛けられる。
【0050】
着座面71の短手方向中央から洗い場2側の前端部に向けて上向き傾斜の勾配となっており、且つ浴室カウンター70の前端部と着座面71との間に排水路72bが形成されているため、洗体や洗髪に使われ、汚れを洗い落とした湯水が浴室カウンター70の前端部から落下して、着座者のふくらはぎや足にかかることによる不快感を抑制できる。
【0051】
浴室カウンター70上での洗体や洗髪により生じた、汚れを洗い流した湯水は、着座面71より低い位置に形成された排水路72a〜72cに流れるので、汚れた湯水が着座面71に着座した着座者の臀部周辺に滞留することを抑制でき、着座者に不快感を与えない。
【0052】
排水路72a〜72c内の湯水は、排水溝47に向かって流れ、排水路72a〜72cより低い位置に形成された排水溝47に流れ込む。排水溝47は、洗い場2側に向かって下り勾配がつけられているため、排水溝47に流れ込んだ湯水は、洗い場2側に向けて流れ、洗い場2の床に落下する。排水溝47は、浴槽リム12よりも低い位置に設けられているため、また排水溝47は比較的広い幅(約40mm)を有していることもあって、排水路72a〜72cを流れてきた汚水が内槽11内に入り込むことがない。
【0053】
排水溝47から洗い場2の床に落下した排水は、その床面上につけられた排水勾配に沿って、浴槽1と洗い場2床との境界部近傍に設けられた排水口(図示省略)に流れ込み、浴室内から排水される。排水溝47は着座面71に対して横にずれた位置に設けられ、排水溝47を流れた汚水の洗い場2床上への落下地点と、洗い場2の床に形成された排水口との間には、着座者の足が位置せず、着座者の足に汚水が触れることを回避できる。
【0054】
排水溝47は、狭いスリット状ではなく、比較的幅が広く且つ浅い凹状に設けられているため、清掃性が良く、また手が挟まれることもない。また、排水溝47は、上に出っ張っていない凹状であるため、着座面71から浴槽1に移乗もしくは浴槽1から着座面71に移乗するとき、排水溝47は障害物とならず違和感なく円滑に移乗できる。
【0055】
洗面器置部49と着座面71との間には、それら洗面器置部49及び着座面71より低い位置に形成された溝として排水路72d、72eが設けられており、排水路72d、72eに流れ込んだ湯水は、洗い場2側に向けて流れ、洗い場2の床に落下する。したがって、洗面器置部49上で洗面器からあふれた汚水(洗面器内でタオルを洗ったり、顔を洗ったりしたときに生じる湯水)が着座面71に流れ込まず、着座者に不快感を与えない。
【0056】
浴室カウンター70上の湯水は、浴室カウンター70と浴槽1との境界に設けた排水溝47以外にも、洗面器置部49と着座面71との間に設けた排水路72eを介しても、洗い場2の床上に落下させ浴室カウンター70上から排水することができる。これにより、排水路72b、72c、72dの溝深さをそれほど深くしなくても、それら排水路72b、72c、72dから湯水をあふれさせることなく、十分な排水性能を確保できる。排水路72b、72c、72dの溝深さを浅くできることで、それら排水路72b、72c、72dの清掃性が良くなる。
【0057】
また、本実施形態によれば、図12に表すように、浴室カウンター70の着座面71に腰掛けつつ、浴槽1に対して出入りすることができる。
【0058】
浴槽1に入るときは、まず、洗い場2側を向いて浴室カウンター70の着座面71に腰掛けた後、体を浴槽1側に向けて、右手で短辺リム12b上方の壁パネル6壁面に取り付けられた手すり56をつかみ、左手で浴室カウンター70の前端部41をつかんで体を支えつつ、右脚から順に両脚を内槽11に入れた後、上半身を浴室カウンター70の着座面71上から内槽11内に移乗させる。
【0059】
浴槽1から出るときは、入るときと逆に、まず、上半身を内槽11内から浴室カウンター70に移乗させて着座面71に腰掛けた後、左脚から順に両脚を内槽11から出しつつ体を洗い場2側に向ける。
【0060】
また、浴室カウンター70が設けられた短辺リム12bの反対側の短辺リム12aは、短辺リム12bよりも幅が広く、人が腰掛けるのに十分な幅b(例えば305mm)を有している。したがって、図13に表すように、その短辺リム12aに腰掛けつつ、浴槽1に対して出入りすることができる。
【0061】
浴槽1に入るときは、まず、洗い場2側を向いて短辺リム12aに腰掛けた後、体を浴槽1側に向けて、左手で壁パネル5壁面に取り付けられた手すり57をつかんで体を支えつつ、左脚から順に両脚を内槽11に入れた後、上半身を短辺リム12a上から内槽11内に移乗させる。
【0062】
浴槽1から出るときは、入るときと逆に、まず、上半身を内槽11内から短辺リム12aに移乗させて短辺リム12a上に腰掛けた後、右脚から順に両脚を内槽11から出しつつ体を洗い場2側に向ける。
【0063】
本実施形態によれば、浴槽1の長手方向の両端側それぞれから浴槽1に対して出入りできるが、その移乗に際して人が腰掛けるのに十分な広さの短辺リムを片側にだけしか設けていないため、限られた浴槽設置スペース内で、浴槽両端に広いリム面を設ける場合に比べて、内槽11の長手方向寸法aの短縮を抑えることができる。この結果、窮屈な入浴感を与えず、快適な入浴が可能となる。
【0064】
本実施形態では、浴室の出入口(ドア)の位置や出入口(ドア)の幅の違いに対して、棚付き水栓4の形状や寸法を変えることなく取付向きを変えるだけで対応できる。
【0065】
図11は、本実施形態に係る棚付き水栓4の取付向きの3つの形態を例示する模式図である。
【0066】
前述した具体例では、棚付き水栓4は図11において実線で表される向きで取り付けられたとして説明した。すなわち、棚付き水栓4は、その長辺側の対辺部13を、洗い場2を隔てて浴槽1に向き合う壁パネル7に沿って隣接させ、後端辺部15を壁パネル6に沿って隣接させ、対辺部13と後端辺部15との角部を、壁パネル6と壁パネル7とのコーナー部に位置させている。
【0067】
この場合、浴室の出入口(ドア)は、壁パネル7の外側にいる使用者から見て棚付き水栓4の左側に設けられている。これとは逆に、壁パネル6側に寄った位置に出入口(ドア)位置が設計された浴室ユニットの場合には、図11において1点鎖線で表すように、壁パネル6に対向する壁パネル8側のコーナー部に棚付き水栓4を設ければ、棚付き水栓4が出入口にはみ出さず、また棚付き水栓4とドアとの干渉も回避できる。ただし、壁パネル8側のコーナー部に配置される棚付き水栓4は、図11において実線で表される棚付き水栓4を表裏反転させた輪郭形状のものにしないと、水栓操作部が設けられた斜辺部16が図11において破線で表されるように、出入口側を向いてしまい、使い勝手が悪い。
【0068】
棚付き水栓4が設けられる浴室コーナー部を形成する2つの壁面に対して傾斜した斜辺部16に水栓操作部を設けることで、洗い場2の床上に置かれた風呂椅子に座った状態でも、棚付き水栓4の隣の壁沿いに設けた前述した浴室カウンター3に着座した状態でも、どちらでも無理な姿勢や体の使い方を強いられることなく水栓操作部を使うことができる。例えば、図11において1点鎖線で表される位置に棚付き水栓4を設けた場合に、この棚付き水栓4の隣に前述したのと同様な浴室カウンター3を設けても、洗い場2側を向いてその浴室カウンター3に着座した着座者にとって、棚付き水栓4の斜辺部16は視界に自然と入る右斜め前方に位置し、右手を自然と伸ばして斜辺部16に設けられた水栓操作部を操作することができる。
【0069】
図11において実線で表される位置に棚付き水栓4を設けた場合の出入口(ドア)幅Aよりも大きな出入口(ドア)幅Bを有する浴室ユニットの場合には、図11において1点鎖線で表される前述した右勝手用の棚付き水栓4を、図11において2点鎖線で表す向きで取り付ければ対応できる。
【0070】
すなわち、2点鎖線で表される棚付き水栓4は、その後端辺部15を、洗い場2を隔てて浴槽1に向き合う壁パネル7に沿って隣接させ、長辺側の対辺部13を壁パネル6に沿って隣接させ、斜辺部16を浴槽1側に向けている。後端辺部15は対辺部13よりも長さが短いため、棚付き水栓4は、幅Bに設計された出入口にはみ出さず、その出入口に設けられるドアにも干渉しない。
【0071】
この2点鎖線で表される向きに取り付けられた棚付き水栓4においても、水栓操作部が設けられた斜辺部16は浴室の内側に向くため、洗い場2の床上に置いた風呂椅子に着座した状態で水栓操作部が使いやすいのはもちろん、その棚付き水栓4の隣に浴室カウンター3を設けても、斜辺部16は浴室カウンター3側を向いているため、浴室カウンター3に着座した着座者にとっても水栓操作部を使いやすい。
【0072】
以上説明したように、本実施形態によれば、浴室の出入口(ドア)の位置や出入口(ドア)の幅の違いに対して、棚付き水栓4の形状や寸法を変えることなく取付向きを変えるだけで対応できるので、金型コストや生産コストの増大を抑え、且つ水栓操作部を斜辺部16に設けたため、棚付き水栓4の向きを変えて取り付けても、風呂椅子座りの使用者及びカウンター座りの使用者の双方にとって水栓操作部を使いやすくできる。
【0073】
また、棚付き水栓4は、洗い場2を隔てて浴槽1とは反対側の、浴槽1から離れた浴室コーナー部に位置するため、棚付き水栓4を使って洗い場2で洗体や洗髪した際の石鹸水や汚れを落とした湯水が浴槽1内に入りにくい。また、棚付き水栓4が浴室のコーナー部に設けられることで、洗い場2に窮屈感を与えず、洗い場2を広く使うことができる。
【0074】
棚付き水栓の平面輪郭形状は、直角台形状に限らない。
図14は、本発明の他の実施形態に係る棚付き水栓100の模式平面図を表す。
【0075】
この棚付き水栓100は、互いに平行な一対の対辺部13、104と、これら対辺部13、104の一端側に設けられ、対辺部13、104に対して略直角につながる後端辺部15と、長辺側の対辺部13の他端側に設けられ、対辺部13に対して略直角につながる前端辺部108と、短辺側の対辺部104及び前端辺部108に対して傾斜してつながる斜辺部106とを有する。対辺部13は、対辺部104より長く、且つ後端辺部15よりも長い。
【0076】
長辺側の対辺部13は、図1に表す壁パネル7に隣接し、後端辺部15は壁パネル6に隣接している。すなわち、本具体例の棚付き水栓100も、前述した棚付き水栓4と同様、その長辺側の対辺部13及び後端辺部15を壁パネル7から壁パネル6にかけてのコーナー面に沿わせて両壁パネル6、7に取り付けられている。その状態で、水栓操作部が設けられた斜辺部106は、洗い場に臨む。
【0077】
図15は、本発明のさらに他の実施形態に係る棚付き水栓110の模式平面図を表す。
【0078】
この棚付き水栓110は、互いに平行な一対の対辺部13、114と、これら対辺部13、114の一端側に設けられ、対辺部13、114に対して略直角につながる後端辺部15と、対辺部13、114の他端側に設けられ、対辺部13、114に対して傾斜しつつ湾曲している斜辺部116とを有する。対辺部13は、対辺部114より長く、且つ後端辺部15よりも長い。
【0079】
長辺側の対辺部13は、壁パネル7に隣接し、後端辺部15は壁パネル6に隣接している。すなわち、本具体例の棚付き水栓110も、前述した棚付き水栓4と同様、その長辺側の対辺部13及び後端辺部15を壁パネル7から壁パネル6にかけてのコーナー面に沿わせて両壁パネル6、7に取り付けられている。その状態で、水栓操作部が設けられた斜辺部116は、洗い場に臨む。
【0080】
次に、図4は、浴室カウンターの他の具体例を表す斜視図である。
【0081】
この浴室カウンター3のカウンター本体43において、洗面器置部49に隣接する部分と、排水溝47との間の部分には凹部が設けられ、その凹部に、すのこ44が着脱自在に嵌め込まれている。すのこ44は、浴室カウンター3の短手方向に2分割された2つのすのこ45、46からなる。すのこ45、46の裏側と、カウンター本体43に形成された凹部底面との間には、排水のための空間が確保されている。
【0082】
すのこ44の上面は着座面として機能し、すのこ44がカウンター本体43の凹部に嵌めこまれた状態で、その着座面は、カウンター本体43上面と略面一になり、着座部分には凹凸が形成されない。また、着座面は、洗面器置部49上面と略面一である。着座面は、浴槽リム12上面と略同じ高さに設けられている。すのこ44は、例えばFRPからなるカウンター本体43とは異なる材料である例えばABS樹脂などからなる。
【0083】
本具体例の浴室カウンター3においても、その着座面は、浴室カウンター3の短手方向中央に向かって前端部側及び後端部側から下り勾配が付けられているため、着座者は着座面上に安定して腰掛けられる。
【0084】
浴室カウンター3上での洗体や洗髪により生じた、汚れを洗い流した湯水は、2つのすのこ45、46間の隙間(約5mm)に流れ、あるいはすのこ45、46とカウンター本体43との隙間に流れ、それら隙間から、すのこ45、46が嵌め込まれた凹部に落ちる。このため、汚れた湯水が着座者の臀部周辺に滞留することを抑制でき、着座者に不快感を与えない。
【0085】
すのこ45、46裏側の凹部に落下した汚水は、その凹部に形成され排水溝47に向かう方向に下り勾配がつけられている排水路を排水溝47に向けて流れ、排水溝47に流れ込む。排水溝47に流れ込んだ汚水は、洗い場2側に向かって流れ、洗い場2の床に落下する。
【図面の簡単な説明】
【0086】
【図1】本発明の実施形態に係る棚付き水栓が備え付けられた浴室内の斜視図である。
【図2】本発明の実施形態に係る棚付き水栓の拡大斜視図である。
【図3】図1に表す浴室内に備え付けられた浴室カウンターの拡大斜視図である。
【図4】浴室カウンターの他の具体例を表す斜視図である。
【図5】本実施形態において、浴室カウンターの着座面に着座した状態で水栓操作部を操作する動作を表す模式図である。
【図6】本実施形態において、浴室カウンターの着座面に着座した状態で洗面器置部に置かれた洗面器を使う動作を表す模式図である。
【図7】本実施形態において、浴室カウンターの着座面に着座した状態でシャワーヘッドに手を伸ばしてシャワーヘッドをつかむ動作を表す模式図である。
【図8】本実施形態において、洗い場床上に置かれた風呂椅子に腰掛けた状態で水栓操作部を操作する動作を表す模式図である。
【図9】本実施形態において、洗い場床上に置かれた風呂椅子に腰掛けた状態で洗面器置部に置かれた洗面器を使う動作を表す模式図である。
【図10】本実施形態において、洗い場床上に置かれた風呂椅子に腰掛けた状態でシャワーヘッドに手を伸ばしてシャワーヘッドをつかむ動作を表す模式図である。
【図11】本発明の実施形態に係る棚付き水栓の取付向きの3形態を例示する模式図である。
【図12】本発明の実施形態において、浴室カウンターを使った浴槽に対する出入りを説明するための模式図である。
【図13】本発明の実施形態において、浴槽リムを使った浴槽に対する出入りを説明するための模式図である。
【図14】本発明の他の実施形態に係る棚付き水栓の模式平面図である。
【図15】本発明のさらに他の実施形態に係る棚付き水栓の模式平面図である。
【符号の説明】
【0087】
1…浴槽、2…洗い場、4…棚付き水栓、11…内槽、12…浴槽リム、13…対辺部、14…対辺部、15…後端辺部、16…斜辺部、22…シャワーヘッド、25…水栓操作部、49…洗面器置部、70…浴室カウンター、71…着座面
【技術分野】
【0001】
本発明は、浴室に設置される棚付き水栓に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、浴室壁面に直に水栓を取り付けるのではなく、物を置いたり収納ボックスを取り付け可能なカウンターフレームを浴室壁面に取り付け、このカウンターフレームに洗い場水栓を取り付けた浴室が、例えば特許文献1に開示されている。
【0003】
しかし、特許文献1におけるカウンターフレームは、浴室壁面の幅方向全体にわたって設けられて浴室の内側に突出した大きな構造体であるため、洗い場空間を狭くし、また、浴室ドアの位置やドア幅などの様々な設計自由度を狭める。
【特許文献1】特開2000−201852号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明は、様々な設計の浴室に柔軟に対応できる棚付き水栓を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明の一態様によれば、互いに平行な一対の対辺部と、前記対辺部に対して略直角につながり、前記対辺部と長さが異なる後端辺部と、前記対辺部に対して傾斜し、水栓操作部が設けられた斜辺部と、を備えたことを特徴とする棚付き水栓が提供される。
【発明の効果】
【0006】
本発明によれば、様々な設計の浴室に柔軟に対応できる棚付き水栓が提供される。
【発明を実施するための最良の形態】
【0007】
以下、図面を参照し、本発明の実施形態について説明する。
【0008】
図1は、本発明の実施形態に係る棚付き水栓4を備えた浴室ユニットにおける浴室内の斜視図である。
【0009】
この浴室ユニットは、主として、浴槽1と、洗い場(床)2と、浴室カウンター70と、棚付き水栓4とを備える。これらは、壁パネル5、6、7、8(壁パネル8は図13に図示)及びドアDRによって画設された浴室内に配設されている。なお、壁パネルの一部に窓を設けてもよい。
【0010】
浴槽1は、内槽11と、この内槽11の上縁部のまわりに設けられた浴槽リム12とを有する。浴槽1は、ドアDRから見て浴室の奥側に配設され、ドアDRに対向する奥側の壁パネル5に隣接している。あるいは、壁パネル5は、浴槽1における奥側の上縁部の上に立設されてもよい。ドアDRの横には、浴槽1及び洗い場2を挟んで壁パネル5に対して略平行に対向する壁パネル7が設けられている。浴室出入口及びドアDRは、浴槽1の横であって、壁パネル6に向き合う位置に設けてもよい。
【0011】
浴槽1は、その長辺方向が、壁パネル5、7に対して略平行になる向きで配置されている。浴槽1の手前側に、洗い場床2が浴槽1に隣接して配設されている。
【0012】
浴槽リム12は、内槽11の上縁部から外側に張り出して設けられている。浴槽リム12において内槽11の長手方向の両端部にそれぞれ設けられた短辺リム12a、12bのうち一方の短辺リム12aは、他方の短辺リム12bよりも短辺側の幅が大きく、この短辺リム12aの上に着座可能となっている。この短辺リム12aの短辺側の幅bは、例えば305(mm)であり、他方の短辺リム12bの短辺側の幅cは、例えば200(mm)である。内槽11の長手方向寸法aは、例えば1145(mm)である。
【0013】
幅が狭い短辺リム12bにおけるその外側の長辺縁部は、浴槽1側及び洗い場2側で共通な(一体な)壁パネル6に隣接している。あるいは、短辺リム12bの外側の長辺縁部の上に立設される壁パネルと、この壁パネルに対してジョイナーを介して隣接する洗い場床側の壁パネルとを別体で設けてもよい。壁パネル6は、コーナージョイナーを介して、壁パネル7に対して略直角につながっている。幅が広い短辺リム12aにおけるその外側の長辺縁部は、図13に表すように、壁パネル6に対して略平行に対向する壁パネル8に隣接している。
【0014】
壁パネル6と壁パネル7とのコーナー部には、例えば平面輪郭形状が直角台形状の棚付き水栓4が設けられている。
図2は、棚付き水栓4の拡大斜視図である。
【0015】
棚付き水栓4は、互いに平行な一対の対辺部13、14と、これら対辺部13、14の一端側に設けられ、対辺部13、14に対して略直角につながる後端辺部15と、対辺部13、14の他端側に設けられ、対辺部13、14に対して傾斜してつながる斜辺部16とを有する。
【0016】
一対の対辺部13、14のうち長辺側の対辺部13は壁パネル7に隣接し、後端辺部15は壁パネル6に隣接している。すなわち、棚付き水栓4は、その長辺側の対辺部13及び後端辺部15を壁パネル7から壁パネル6にかけてのコーナー面に沿わせて両壁パネル6、7に取り付けられている。長辺側の対辺部13は、短辺側の対辺部14よりも長い。なお、棚付き水栓4の上方における壁パネル7の壁面に鏡を設けてもよい。
【0017】
棚付き水栓4の下面には、図示しないカラン用湯水供給口に接続されたカラン17が取り付けられている。なお、カラン17を設けずに、棚付き水栓4の下面に形成した吐水口から湯水が吐水されるようにしてもよい。また、棚付き水栓4の下面には、シャワー用湯水供給口が形成され、そのシャワー用湯水供給口には、シャワーホース21の一端が接続され、シャワーホース21の他端はシャワーヘッド22に接続されている。
【0018】
壁パネル7において、ドアDRと棚付き水栓4との間の部分には、シャワーヘッド保持部33が設けられている。シャワーヘッド保持部33は、上下方向に延在して設けられたバー部材31と、このバー部材31に対して上下動自在に係合し、シャワーヘッド22を掛止することが可能なフック部32とを有する。シャワーヘッド22は、フック部32に掛けられた状態でフック部32ごとバー部材31に沿って上下動可能となっている。また、バー部材31は手すりも兼ねている。
【0019】
斜辺部16は、両壁パネル6、7に対して傾斜しつつ洗い場2に臨んで位置し、この斜辺部16に水栓操作部25が設けられている。水栓操作部25は、具体的には、カラン開閉操作部26と、シャワー開閉操作部27とを有する。カラン開閉操作部26は、斜辺部16と短辺側の対辺部14との間の角部近くに設けられ、カラン開閉操作部26の横にシャワー開閉操作部27が並んで設けられている。カラン17とシャワーヘッド22とは、水栓操作部25が設けられた斜辺部16を挟んで配置され、斜辺部16においてカラン17側にカラン開閉操作部26が設けられ、シャワーヘッド22側にシャワー開閉操作部27が設けられている。
【0020】
カラン開閉操作部26は、下方に押し込まれることで、カラン用湯水供給口を開閉する。同様に、シャワー開閉操作部27は、下方に押し込まれることで、シャワー用湯水供給口を開閉する。カラン開閉操作部26の押圧面26a及びシャワー開閉操作部27の押圧面27aは、棚上面34における斜辺部16寄りの端に位置している。
【0021】
棚付き水栓4の上面34には、カラン17やシャワーヘッド22から吐水される湯水の温度を調整する温度調節ハンドル28が設けられている。
【0022】
浴室カウンター70は、棚付き水栓4の下方における壁パネル7の壁面に隣接し、その部分から、浴槽1における幅が狭い短辺リム12b近傍に向けて延在して洗い場2に配設されている。浴室カウンター70において、洗い場2側から見た後端部42は壁パネル6の壁面に隣接し、その後端部42から洗い場2側に略水平に突き出るようにして設けられている。
【0023】
浴室カウンター70の後端部42は、浴槽1における短辺リム12bの外側の長辺縁部の延長上に位置し、その後端部42と、洗い場2側に臨む前端部41との間の幅dは、短辺リム12bの幅cより大きく、例えば430mmである。
【0024】
浴室カウンター70は、強度や防水性などを考慮して、例えばFRP(Fiber Reinforced Plastic)からなるカウンター本体75を備える。棚付き水栓4の下方におけるカウンター本体75表面は洗面器置部49として機能する。洗面器置部49に洗面器を置いた状態でカラン17の吐水口が洗面器に対向し、その吐水口から吐水される湯水を洗面器に供給することが可能となっている。
【0025】
図3は、浴室カウンター70の拡大斜視図である。
【0026】
洗面器置部49に隣接して、カウンター本体75に一体に設けられた着座面71、および着座面71のまわりに着座面71よりも低く形成された排水路72a〜72eが設けられている。
【0027】
着座面71は、浴槽リム12上面と略同じ高さに設けられている。また、意匠性や、座ったときの感触等を向上させるため、FRPからなるカウンター本体75とは異なる材料(例えばABS樹脂材)を貼り付ける、あるいは埋め込むなどして着座面71が構成される。
【0028】
浴室カウンター70の背後の壁パネル6は、着座面71に着座した着座者の背もたれとして機能する。その壁パネル6において、着座者の背中が接触する部分には、着座面71と同様例えばABS樹脂からなる背もたれ部52が設けられている。
【0029】
カウンター本体75と浴槽1との間における、浴槽リム12の上面、着座面71及び排水路72a〜72eよりも低く下がった位置に凹状の排水溝47が設けられている。排水溝47と浴槽1との間には、わずかな隙間が形成されている。排水溝47の長さはカウンター本体75の幅dと略同じもしくは短い。排水溝47の幅は約40mmである。排水溝47には、壁パネル6に隣接する後端部から洗い場2に臨む前端部に向かう方向に例えば1/50の下り勾配がつけられている。
【0030】
着座面71と洗面器置部49との間には、浴室カウンター70の短手方向に沿って排水路72d、72eが形成されている。排水路72d、72eは、着座面71及び洗面器置部49よりも低い溝として形成されている。排水路72d、72eには、壁パネル6側(後端側)から洗い場2側(前端側)に向かう方向に下り勾配がつけられ、また排水路72eにおいて洗い場2側の前端は開放端となっているため、排水路72d、72eに流れ込んだ湯水は洗い場2側に向けて流れ、洗い場2の床に落下する。
【0031】
着座面71を浴室カウンター70の短手方向に2分割するように、浴室カウンター70の長手方向に沿って排水路72aが形成されている。着座面71の前端側には排水路72bが形成され、着座面71の後端側には排水路72cが形成されている。排水路72b、72cは、排水路72aに対して略平行に形成されている。排水路72a〜72cのそれぞれの一端(図3において右端)は排水路72d、72eにつながっており、それぞれの他端(図3において左端)は排水溝47につながっている。
【0032】
排水路72a、72cは、排水路72d、72e側から排水溝47側に向かう方向に下り勾配がつけられている。排水路72bは、その長手方向の中央から排水路72d、72eに向かう方向に下り勾配が付けられていると共に、その長手方向の中央から排水溝47に向かう方向に下り勾配がつけられている。
【0033】
排水路72aによって分割されたそれぞれの着座面71において、排水路72b、72cにそれぞれ最も近い部分は略同じ高さとなっており、その部分から排水路72aに向かいつつ且つ排水溝47に向かう方向に下り勾配がつけられている。着座面71において洗面器置部49に最も近い部分には、排水路72aに向かって例えば1/32の下り勾配がつけられ、排水溝47に最も近い部分には、排水路72aに向かって例えば1/16の下り勾配がつけられている。着座面71において排水路72aに最も近い部分には、排水溝47に向かって緩やかな(例えば1/180または1/90の)下り勾配がつけられている。
【0034】
浴室カウンター70において着座者が着座する部分に、前述したような勾配をつけることで、排水路72aの溝幅それほど広く確保しなくても、また溝深さをそれほど深くしなくても、十分な排水性が得られる。したがって、排水路72aの溝幅を狭くできることで、着座者の臀部に違和感を与えにくくでき、また排水路72aを浅くできることで清掃性を向上させることができる。
【0035】
本実施形態によれば、浴室カウンター70の着座面に着座した状態で、洗体や洗髪を行える。
【0036】
図5は、着座面71に着座した状態で水栓操作部25を操作する動作を表す模式図である。
図6は、着座面71に着座した状態で洗面器置部49に置かれた洗面器65を使う動作を表す模式図である。
図7は、着座面71に着座した状態でシャワーヘッド22に手を伸ばしてシャワーヘッド22をつかむ動作を表す模式図である。
【0037】
本実施形態によれば、着座面71に座った状態で手の届く位置に棚付き水栓4を設け、その棚付き水栓4の下方に、着座面71に隣接して同じカウンター上に洗面器置部49を設けたので、着座面71に腰掛けた状態で、無理な姿勢や動作を強いられることなく、カラン17から吐水される湯水を洗面器65に溜めて洗顔などを行うことができる。
【0038】
特に高齢者や足腰の不自由な人にとって、風呂椅子に腰掛けたり、風呂椅子から立ち上がったりする動作は負担であり、浴室壁面6に寄りかかりつつゆったりとした姿勢をとれるカウンター3に着座した状態で楽に洗面器65を使えることは非常に有益である。
【0039】
洗面器65は、浴槽1から遠い壁パネル6と壁パネル7とのコーナー部近傍の洗面器置部49に置かれるので、洗面器65の使用に際して石鹸水や汚れを落とした湯水が浴槽1内に飛び散って入りにくい。
【0040】
また、水栓操作部25は、棚付き水栓4において壁パネル6及び壁パネル7に対して傾斜して洗い場2に臨む斜辺部16に設けられているため、洗い場2側を向いて着座面71に着座した着座者の左斜め前方に位置し、自然と視界にも入り、着座者にとって棚付き水栓4に近い左手を無理なく自然と伸ばした位置にもあるため、無理な姿勢や体の使い方を強いられることなく使い勝手がよい。
【0041】
また、図7に表すように、シャワーヘッド22の保持部(バー部材31及びフック部32)を、洗い場2側を向いて着座面71に着座した着座者の左前方に位置する壁パネル7壁面に設けたため、シャワーヘッド22についても、着座者にとって自然と視界にも入り、壁パネル7側に位置する左手を無理なく伸ばして届く位置にあり、シャワーの使用に際しても無理な姿勢や体の使い方を強いられることなく使い勝手がよい。
【0042】
また、本実施形態によれば、図8〜10に表すように、洗面器置部49を向いて洗い場2の床上に置いた風呂椅子66に着座した状態でも、無理な姿勢や体の使い方を強いられることなく水栓操作部25を操作し、洗面器置部49に置かれた洗面器65を使い、シャワーヘッド22に手を伸ばしてシャワーを使うことができる。
【0043】
水栓操作部25を、棚付き水栓4において壁パネル6及び壁パネル7に対して傾斜して洗い場2に臨む斜辺部16に設けたため、浴室カウンター70の着座面71に着座した状態及び洗い場2床に置かれた風呂椅子66に腰掛けた状態の両状態の使用者のどちらにとっても、水栓操作部25が自然と視界に入り、且つ自然と手を伸ばして届く位置にあり、使い勝手がよい。
【0044】
同様に、シャワーヘッド22についても、棚付き水栓4近傍の壁パネル7に保持されるため、浴室カウンター70の着座面71に着座した状態及び洗い場2床に置かれた風呂椅子66に腰掛けた状態の両状態の使用者のどちらにとっても、シャワーヘッド22が自然と視界に入り、且つ自然と手を伸ばして届く位置にあり、使い勝手がよい。
【0045】
例えば、浴室カウンター70に腰掛けた高齢者等の被介護者にとって、水栓操作部25、洗面器65、シャワーが使いやすいのはもちろん、その被介護者の前で風呂椅子座りする介護者にとっても、水栓操作部25、洗面器65、シャワーは使いやすく、介護を楽にできる。
【0046】
洗い場2側を向いて浴室カウンター70の着座面71に腰掛けた状態では、図5、7に表すように、着座者の左前方に水栓操作部25及びシャワーヘッド22が位置しているため、左手を使った方が、水栓操作部25の操作やシャワーヘッド22をつかむ動作を無理なく自然に行える。
【0047】
洗面器置部49を向いて洗い場2の床上に置かれた風呂椅子66に腰掛けた状態では、図8、10に表すように、着座者の右前方に水栓操作部25及びシャワーヘッド22が位置しているため、右手を使った方が、水栓操作部25の操作やシャワーヘッド22をつかむ動作を無理なく自然に行える。
【0048】
このような構成によって、水栓操作部25やシャワーを扱う手が左右どちらか一方の手に限定されず、水栓操作部25やシャワーを左右どちらの手で扱いたいかによって、カウンター座りあるいは風呂椅子座りを選ぶことができる。例えば、左右どちらか一方の手が不自由な使用者にとって、カウンター座りを選択するか風呂椅子座りを選択するかによって、不自由でない方の手もしくは使いやすい方の手で、水栓操作部25やシャワーを負担なく使うことができる。
【0049】
また、前述したように、着座面71には、浴室カウンター70の短手方向中央に向かう方向に下り勾配がつけられているため、石鹸水などで着座面71上がすべりやすくなっても、着座者は着座面71上からずれ落ちることなく安定して腰掛けられる。
【0050】
着座面71の短手方向中央から洗い場2側の前端部に向けて上向き傾斜の勾配となっており、且つ浴室カウンター70の前端部と着座面71との間に排水路72bが形成されているため、洗体や洗髪に使われ、汚れを洗い落とした湯水が浴室カウンター70の前端部から落下して、着座者のふくらはぎや足にかかることによる不快感を抑制できる。
【0051】
浴室カウンター70上での洗体や洗髪により生じた、汚れを洗い流した湯水は、着座面71より低い位置に形成された排水路72a〜72cに流れるので、汚れた湯水が着座面71に着座した着座者の臀部周辺に滞留することを抑制でき、着座者に不快感を与えない。
【0052】
排水路72a〜72c内の湯水は、排水溝47に向かって流れ、排水路72a〜72cより低い位置に形成された排水溝47に流れ込む。排水溝47は、洗い場2側に向かって下り勾配がつけられているため、排水溝47に流れ込んだ湯水は、洗い場2側に向けて流れ、洗い場2の床に落下する。排水溝47は、浴槽リム12よりも低い位置に設けられているため、また排水溝47は比較的広い幅(約40mm)を有していることもあって、排水路72a〜72cを流れてきた汚水が内槽11内に入り込むことがない。
【0053】
排水溝47から洗い場2の床に落下した排水は、その床面上につけられた排水勾配に沿って、浴槽1と洗い場2床との境界部近傍に設けられた排水口(図示省略)に流れ込み、浴室内から排水される。排水溝47は着座面71に対して横にずれた位置に設けられ、排水溝47を流れた汚水の洗い場2床上への落下地点と、洗い場2の床に形成された排水口との間には、着座者の足が位置せず、着座者の足に汚水が触れることを回避できる。
【0054】
排水溝47は、狭いスリット状ではなく、比較的幅が広く且つ浅い凹状に設けられているため、清掃性が良く、また手が挟まれることもない。また、排水溝47は、上に出っ張っていない凹状であるため、着座面71から浴槽1に移乗もしくは浴槽1から着座面71に移乗するとき、排水溝47は障害物とならず違和感なく円滑に移乗できる。
【0055】
洗面器置部49と着座面71との間には、それら洗面器置部49及び着座面71より低い位置に形成された溝として排水路72d、72eが設けられており、排水路72d、72eに流れ込んだ湯水は、洗い場2側に向けて流れ、洗い場2の床に落下する。したがって、洗面器置部49上で洗面器からあふれた汚水(洗面器内でタオルを洗ったり、顔を洗ったりしたときに生じる湯水)が着座面71に流れ込まず、着座者に不快感を与えない。
【0056】
浴室カウンター70上の湯水は、浴室カウンター70と浴槽1との境界に設けた排水溝47以外にも、洗面器置部49と着座面71との間に設けた排水路72eを介しても、洗い場2の床上に落下させ浴室カウンター70上から排水することができる。これにより、排水路72b、72c、72dの溝深さをそれほど深くしなくても、それら排水路72b、72c、72dから湯水をあふれさせることなく、十分な排水性能を確保できる。排水路72b、72c、72dの溝深さを浅くできることで、それら排水路72b、72c、72dの清掃性が良くなる。
【0057】
また、本実施形態によれば、図12に表すように、浴室カウンター70の着座面71に腰掛けつつ、浴槽1に対して出入りすることができる。
【0058】
浴槽1に入るときは、まず、洗い場2側を向いて浴室カウンター70の着座面71に腰掛けた後、体を浴槽1側に向けて、右手で短辺リム12b上方の壁パネル6壁面に取り付けられた手すり56をつかみ、左手で浴室カウンター70の前端部41をつかんで体を支えつつ、右脚から順に両脚を内槽11に入れた後、上半身を浴室カウンター70の着座面71上から内槽11内に移乗させる。
【0059】
浴槽1から出るときは、入るときと逆に、まず、上半身を内槽11内から浴室カウンター70に移乗させて着座面71に腰掛けた後、左脚から順に両脚を内槽11から出しつつ体を洗い場2側に向ける。
【0060】
また、浴室カウンター70が設けられた短辺リム12bの反対側の短辺リム12aは、短辺リム12bよりも幅が広く、人が腰掛けるのに十分な幅b(例えば305mm)を有している。したがって、図13に表すように、その短辺リム12aに腰掛けつつ、浴槽1に対して出入りすることができる。
【0061】
浴槽1に入るときは、まず、洗い場2側を向いて短辺リム12aに腰掛けた後、体を浴槽1側に向けて、左手で壁パネル5壁面に取り付けられた手すり57をつかんで体を支えつつ、左脚から順に両脚を内槽11に入れた後、上半身を短辺リム12a上から内槽11内に移乗させる。
【0062】
浴槽1から出るときは、入るときと逆に、まず、上半身を内槽11内から短辺リム12aに移乗させて短辺リム12a上に腰掛けた後、右脚から順に両脚を内槽11から出しつつ体を洗い場2側に向ける。
【0063】
本実施形態によれば、浴槽1の長手方向の両端側それぞれから浴槽1に対して出入りできるが、その移乗に際して人が腰掛けるのに十分な広さの短辺リムを片側にだけしか設けていないため、限られた浴槽設置スペース内で、浴槽両端に広いリム面を設ける場合に比べて、内槽11の長手方向寸法aの短縮を抑えることができる。この結果、窮屈な入浴感を与えず、快適な入浴が可能となる。
【0064】
本実施形態では、浴室の出入口(ドア)の位置や出入口(ドア)の幅の違いに対して、棚付き水栓4の形状や寸法を変えることなく取付向きを変えるだけで対応できる。
【0065】
図11は、本実施形態に係る棚付き水栓4の取付向きの3つの形態を例示する模式図である。
【0066】
前述した具体例では、棚付き水栓4は図11において実線で表される向きで取り付けられたとして説明した。すなわち、棚付き水栓4は、その長辺側の対辺部13を、洗い場2を隔てて浴槽1に向き合う壁パネル7に沿って隣接させ、後端辺部15を壁パネル6に沿って隣接させ、対辺部13と後端辺部15との角部を、壁パネル6と壁パネル7とのコーナー部に位置させている。
【0067】
この場合、浴室の出入口(ドア)は、壁パネル7の外側にいる使用者から見て棚付き水栓4の左側に設けられている。これとは逆に、壁パネル6側に寄った位置に出入口(ドア)位置が設計された浴室ユニットの場合には、図11において1点鎖線で表すように、壁パネル6に対向する壁パネル8側のコーナー部に棚付き水栓4を設ければ、棚付き水栓4が出入口にはみ出さず、また棚付き水栓4とドアとの干渉も回避できる。ただし、壁パネル8側のコーナー部に配置される棚付き水栓4は、図11において実線で表される棚付き水栓4を表裏反転させた輪郭形状のものにしないと、水栓操作部が設けられた斜辺部16が図11において破線で表されるように、出入口側を向いてしまい、使い勝手が悪い。
【0068】
棚付き水栓4が設けられる浴室コーナー部を形成する2つの壁面に対して傾斜した斜辺部16に水栓操作部を設けることで、洗い場2の床上に置かれた風呂椅子に座った状態でも、棚付き水栓4の隣の壁沿いに設けた前述した浴室カウンター3に着座した状態でも、どちらでも無理な姿勢や体の使い方を強いられることなく水栓操作部を使うことができる。例えば、図11において1点鎖線で表される位置に棚付き水栓4を設けた場合に、この棚付き水栓4の隣に前述したのと同様な浴室カウンター3を設けても、洗い場2側を向いてその浴室カウンター3に着座した着座者にとって、棚付き水栓4の斜辺部16は視界に自然と入る右斜め前方に位置し、右手を自然と伸ばして斜辺部16に設けられた水栓操作部を操作することができる。
【0069】
図11において実線で表される位置に棚付き水栓4を設けた場合の出入口(ドア)幅Aよりも大きな出入口(ドア)幅Bを有する浴室ユニットの場合には、図11において1点鎖線で表される前述した右勝手用の棚付き水栓4を、図11において2点鎖線で表す向きで取り付ければ対応できる。
【0070】
すなわち、2点鎖線で表される棚付き水栓4は、その後端辺部15を、洗い場2を隔てて浴槽1に向き合う壁パネル7に沿って隣接させ、長辺側の対辺部13を壁パネル6に沿って隣接させ、斜辺部16を浴槽1側に向けている。後端辺部15は対辺部13よりも長さが短いため、棚付き水栓4は、幅Bに設計された出入口にはみ出さず、その出入口に設けられるドアにも干渉しない。
【0071】
この2点鎖線で表される向きに取り付けられた棚付き水栓4においても、水栓操作部が設けられた斜辺部16は浴室の内側に向くため、洗い場2の床上に置いた風呂椅子に着座した状態で水栓操作部が使いやすいのはもちろん、その棚付き水栓4の隣に浴室カウンター3を設けても、斜辺部16は浴室カウンター3側を向いているため、浴室カウンター3に着座した着座者にとっても水栓操作部を使いやすい。
【0072】
以上説明したように、本実施形態によれば、浴室の出入口(ドア)の位置や出入口(ドア)の幅の違いに対して、棚付き水栓4の形状や寸法を変えることなく取付向きを変えるだけで対応できるので、金型コストや生産コストの増大を抑え、且つ水栓操作部を斜辺部16に設けたため、棚付き水栓4の向きを変えて取り付けても、風呂椅子座りの使用者及びカウンター座りの使用者の双方にとって水栓操作部を使いやすくできる。
【0073】
また、棚付き水栓4は、洗い場2を隔てて浴槽1とは反対側の、浴槽1から離れた浴室コーナー部に位置するため、棚付き水栓4を使って洗い場2で洗体や洗髪した際の石鹸水や汚れを落とした湯水が浴槽1内に入りにくい。また、棚付き水栓4が浴室のコーナー部に設けられることで、洗い場2に窮屈感を与えず、洗い場2を広く使うことができる。
【0074】
棚付き水栓の平面輪郭形状は、直角台形状に限らない。
図14は、本発明の他の実施形態に係る棚付き水栓100の模式平面図を表す。
【0075】
この棚付き水栓100は、互いに平行な一対の対辺部13、104と、これら対辺部13、104の一端側に設けられ、対辺部13、104に対して略直角につながる後端辺部15と、長辺側の対辺部13の他端側に設けられ、対辺部13に対して略直角につながる前端辺部108と、短辺側の対辺部104及び前端辺部108に対して傾斜してつながる斜辺部106とを有する。対辺部13は、対辺部104より長く、且つ後端辺部15よりも長い。
【0076】
長辺側の対辺部13は、図1に表す壁パネル7に隣接し、後端辺部15は壁パネル6に隣接している。すなわち、本具体例の棚付き水栓100も、前述した棚付き水栓4と同様、その長辺側の対辺部13及び後端辺部15を壁パネル7から壁パネル6にかけてのコーナー面に沿わせて両壁パネル6、7に取り付けられている。その状態で、水栓操作部が設けられた斜辺部106は、洗い場に臨む。
【0077】
図15は、本発明のさらに他の実施形態に係る棚付き水栓110の模式平面図を表す。
【0078】
この棚付き水栓110は、互いに平行な一対の対辺部13、114と、これら対辺部13、114の一端側に設けられ、対辺部13、114に対して略直角につながる後端辺部15と、対辺部13、114の他端側に設けられ、対辺部13、114に対して傾斜しつつ湾曲している斜辺部116とを有する。対辺部13は、対辺部114より長く、且つ後端辺部15よりも長い。
【0079】
長辺側の対辺部13は、壁パネル7に隣接し、後端辺部15は壁パネル6に隣接している。すなわち、本具体例の棚付き水栓110も、前述した棚付き水栓4と同様、その長辺側の対辺部13及び後端辺部15を壁パネル7から壁パネル6にかけてのコーナー面に沿わせて両壁パネル6、7に取り付けられている。その状態で、水栓操作部が設けられた斜辺部116は、洗い場に臨む。
【0080】
次に、図4は、浴室カウンターの他の具体例を表す斜視図である。
【0081】
この浴室カウンター3のカウンター本体43において、洗面器置部49に隣接する部分と、排水溝47との間の部分には凹部が設けられ、その凹部に、すのこ44が着脱自在に嵌め込まれている。すのこ44は、浴室カウンター3の短手方向に2分割された2つのすのこ45、46からなる。すのこ45、46の裏側と、カウンター本体43に形成された凹部底面との間には、排水のための空間が確保されている。
【0082】
すのこ44の上面は着座面として機能し、すのこ44がカウンター本体43の凹部に嵌めこまれた状態で、その着座面は、カウンター本体43上面と略面一になり、着座部分には凹凸が形成されない。また、着座面は、洗面器置部49上面と略面一である。着座面は、浴槽リム12上面と略同じ高さに設けられている。すのこ44は、例えばFRPからなるカウンター本体43とは異なる材料である例えばABS樹脂などからなる。
【0083】
本具体例の浴室カウンター3においても、その着座面は、浴室カウンター3の短手方向中央に向かって前端部側及び後端部側から下り勾配が付けられているため、着座者は着座面上に安定して腰掛けられる。
【0084】
浴室カウンター3上での洗体や洗髪により生じた、汚れを洗い流した湯水は、2つのすのこ45、46間の隙間(約5mm)に流れ、あるいはすのこ45、46とカウンター本体43との隙間に流れ、それら隙間から、すのこ45、46が嵌め込まれた凹部に落ちる。このため、汚れた湯水が着座者の臀部周辺に滞留することを抑制でき、着座者に不快感を与えない。
【0085】
すのこ45、46裏側の凹部に落下した汚水は、その凹部に形成され排水溝47に向かう方向に下り勾配がつけられている排水路を排水溝47に向けて流れ、排水溝47に流れ込む。排水溝47に流れ込んだ汚水は、洗い場2側に向かって流れ、洗い場2の床に落下する。
【図面の簡単な説明】
【0086】
【図1】本発明の実施形態に係る棚付き水栓が備え付けられた浴室内の斜視図である。
【図2】本発明の実施形態に係る棚付き水栓の拡大斜視図である。
【図3】図1に表す浴室内に備え付けられた浴室カウンターの拡大斜視図である。
【図4】浴室カウンターの他の具体例を表す斜視図である。
【図5】本実施形態において、浴室カウンターの着座面に着座した状態で水栓操作部を操作する動作を表す模式図である。
【図6】本実施形態において、浴室カウンターの着座面に着座した状態で洗面器置部に置かれた洗面器を使う動作を表す模式図である。
【図7】本実施形態において、浴室カウンターの着座面に着座した状態でシャワーヘッドに手を伸ばしてシャワーヘッドをつかむ動作を表す模式図である。
【図8】本実施形態において、洗い場床上に置かれた風呂椅子に腰掛けた状態で水栓操作部を操作する動作を表す模式図である。
【図9】本実施形態において、洗い場床上に置かれた風呂椅子に腰掛けた状態で洗面器置部に置かれた洗面器を使う動作を表す模式図である。
【図10】本実施形態において、洗い場床上に置かれた風呂椅子に腰掛けた状態でシャワーヘッドに手を伸ばしてシャワーヘッドをつかむ動作を表す模式図である。
【図11】本発明の実施形態に係る棚付き水栓の取付向きの3形態を例示する模式図である。
【図12】本発明の実施形態において、浴室カウンターを使った浴槽に対する出入りを説明するための模式図である。
【図13】本発明の実施形態において、浴槽リムを使った浴槽に対する出入りを説明するための模式図である。
【図14】本発明の他の実施形態に係る棚付き水栓の模式平面図である。
【図15】本発明のさらに他の実施形態に係る棚付き水栓の模式平面図である。
【符号の説明】
【0087】
1…浴槽、2…洗い場、4…棚付き水栓、11…内槽、12…浴槽リム、13…対辺部、14…対辺部、15…後端辺部、16…斜辺部、22…シャワーヘッド、25…水栓操作部、49…洗面器置部、70…浴室カウンター、71…着座面
【特許請求の範囲】
【請求項1】
互いに平行な一対の対辺部と、
前記対辺部に対して略直角につながり、前記対辺部と長さが異なる後端辺部と、
前記対辺部に対して傾斜し、水栓操作部が設けられた斜辺部と、
を備えたことを特徴とする棚付き水栓。
【請求項2】
前記一対の対辺部のうち長辺側の対辺部及び前記後端辺部が、浴室における洗い場壁パネルのコーナー面に沿って取り付けられることを特徴とする請求項1記載の棚付き水栓。
【請求項3】
カラン用湯水供給口とシャワー用湯水供給口とをさらに備え、
前記水栓操作部は、前記カラン用湯水供給口を開閉するカラン開閉操作部と、前記シャワー用湯水供給口を開閉するシャワー開閉操作部とを含むことを特徴とする請求項1または2に記載の棚付き水栓。
【請求項1】
互いに平行な一対の対辺部と、
前記対辺部に対して略直角につながり、前記対辺部と長さが異なる後端辺部と、
前記対辺部に対して傾斜し、水栓操作部が設けられた斜辺部と、
を備えたことを特徴とする棚付き水栓。
【請求項2】
前記一対の対辺部のうち長辺側の対辺部及び前記後端辺部が、浴室における洗い場壁パネルのコーナー面に沿って取り付けられることを特徴とする請求項1記載の棚付き水栓。
【請求項3】
カラン用湯水供給口とシャワー用湯水供給口とをさらに備え、
前記水栓操作部は、前記カラン用湯水供給口を開閉するカラン開閉操作部と、前記シャワー用湯水供給口を開閉するシャワー開閉操作部とを含むことを特徴とする請求項1または2に記載の棚付き水栓。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【公開番号】特開2008−138454(P2008−138454A)
【公開日】平成20年6月19日(2008.6.19)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−326200(P2006−326200)
【出願日】平成18年12月1日(2006.12.1)
【出願人】(000010087)TOTO株式会社 (3,889)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成20年6月19日(2008.6.19)
【国際特許分類】
【出願日】平成18年12月1日(2006.12.1)
【出願人】(000010087)TOTO株式会社 (3,889)
【Fターム(参考)】
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