説明

棚卸業務支援装置、棚卸業務支援システム及び棚卸業務の支援方法

【課題】 固定資産の棚卸業務の効率化に資するとともに、棚卸作業者による不正を防止することにも有効な棚卸業務支援装置等を提供する。
【解決手段】 棚卸業務支援サーバでは、棚卸の対象となる固定資産毎にユニークな識別番号を割り当て、資産管理データベースに固定資産の明細と関連付けて格納する。この識別番号を暗号化し、目視で判読不能に変換した二次元コード等の識別媒体を生成する。識別媒体は棚卸の対象となる固定資産に貼付され、棚卸作業者が識別媒体から読み取ったデータを固定資産の配置された場所を示す位置コードとあわせて棚卸業務支援サーバに送信させる。棚卸業務支援サーバでは、受信したデータを復号化した識別番号をキーに資産管理データベースに格納された固定資産の明細を特定し、固定資産の明細に記録された位置コードを受信した位置コードと照合して、固定資産が適切な位置に配置されているかを確認する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、固定資産の棚卸業務を支援する棚卸業務支援装置、棚卸業務支援システム及び棚卸業務の支援方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
企業等の事業者は、帳簿上保有している固定資産が実際に存在しているかどうか、定期的に棚卸を行うことによって確認している。一般に、かかる棚卸業務では、固定資産台帳を管理するデータベースから棚卸の必要な固定資産のリストを出力し、棚卸作業者が各々の固定資産が配置される現場でリストと照合することによって各々の存在を確認する作業が行われている。
【0003】
このような棚卸業務を効率化するために、作業現場に持ち込むことが可能な携帯端末を用いて、携帯端末で読み取った固定資産の識別情報を、固定資産台帳のデータベースで管理されている固定資産に関する情報と照合する発明が開示されている(例えば、特許文献1〜3参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開平11−203349号公報
【特許文献2】特開2007−316996号公報
【特許文献3】特開2010−257384号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
これらの発明のように、データベースや携帯端末などのIT技術を活用することによって、棚卸業務を効率化することが可能であるが、近年の企業における内部統制強化といった背景もあって、棚卸業務が適切に行われていることを担保する仕組みが求められるようになっている。
【0006】
例えば、特許文献1や特許文献3では、資産のリストを端末にコピーして、資産の存在を確認する情報の照合を端末において行う構成となっている。しかしながら、このように端末上で棚卸のための照合を行う構成であると、棚卸作業者が端末上のデータを書き換えるような不正行為が行われるリスクに対応することができない。
【0007】
一方、特許文献2では、端末で読み取った資産に関するデータをサーバに送信し、サーバ側で照合することによって安全性が高められているが、こうした構成でも固定資産の識別情報を棚卸作業者が認知していれば、実際はその場に存在していない固定資産の識別情報を手入力して送信すれば、固定資産が存在しているものとして扱われてしまうおそれがある。
【0008】
本発明は、このような課題に対応するためになされたものであり、固定資産の棚卸業務の効率化に資するとともに、棚卸作業者による不正を防止することに有効な棚卸業務支援装置、棚卸業務支援システム及び棚卸業務の支援方法を提供することを目的とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
このような課題を解決する本発明は、固定資産の棚卸業務を支援する棚卸業務支援装置であって、棚卸の対象となる固定資産を識別するために固定資産毎に割り当てられる識別番号を発行する識別番号発行手段と、固定資産の配置されている位置を示す位置情報を含む固定資産の資産明細を、前記固定資産に対して前記識別番号発行手段が発行した識別番号と関連付けて格納する資産明細格納手段と、前記識別番号発行手段が発行した識別番号を目視で前記識別番号を判読不能な媒体に変換した識別媒体を生成する識別媒体生成手段と、棚卸作業者が操作する端末装置から、棚卸を行った固定資産に貼付された識別媒体から読み取った読取データと、前記固定資産の位置を示す位置データを受信する棚卸作業情報受信手段と、前記棚卸作業情報受信手段の受信した読取データから識別番号を特定し、前記識別番号に対応する資産明細を資産明細格納手段から読み出す資産明細読出手段と、前記資産明細読出手段が読み出した資産明細に含まれる位置情報と前記棚卸作業情報受信手段が受信した位置データを照合して、固定資産の配置されている位置の一致が確認されると、前記資産明細格納手段の資産明細に棚卸が行われたことを示す情報を記録する棚卸記録手段と、を備えることを特徴とする棚卸業務支援装置である。
【0010】
このように、本発明では、固定資産の照合を端末側では行わないことに加えて、棚卸業務支援装置で棚卸の対象となる固定資産毎にユニークな識別番号を割り当てる。この識別番号を目視で判読不能に変換したバーコード、二次元コード、電子透かし、ICタグなどの識別媒体を生成し、これを固定資産に貼付して棚卸作業者に読み取らせることで、棚卸が行われた固定資産の識別番号を特定するため、現場での固定資産の確認作業を担当する棚卸作業者は、各々の固定資産に割り当てられた識別番号を認知することができず、棚卸作業時に不正行為が行われる可能性を、著しく低下させることができる。また、棚卸作業としては、端末装置でシールを読み取ればよいだけなので、棚卸作業者にかかる作業負担も軽いものとなる。
【0011】
また、本発明は、前記シール生成手段が生成するシールに表示されたマークは、前記識別媒体生成手段が生成する識別媒体に記憶される識別番号は、前記識別番号発行手段が発行した識別番号が暗号化された番号であって、前記資産明細読出手段は、前記棚卸作業情報受信手段の受信した読取データを復号化して識別番号を特定し、前記識別番号に対応する資産明細を資産明細格納手段から読み出すことを特徴とすることもできる。
【0012】
このように構成すると、識別番号が目視で判読不能な媒体に変換されるだけでなく、仮にこの媒体に記憶されている番号を特定することができたとしても、その番号自体が暗号化されているので、不正行為に対する安全性をより高めることができる。
【0013】
さらに、本発明は、前記棚卸作業情報受信手段の受信した読取データから特定した識別番号に対応する資産明細が資産明細格納手段に存在しない場合、又は、前記資産明細読出手段が読み出した資産明細に含まれる位置情報と前記棚卸作業情報受信手段が受信した位置データを照合して、固定資産の配置されている位置が不一致であることが確認された場合に、棚卸業務の管理者に不明資産あり、又は位置の不一致を示す棚卸結果を通知する棚卸結果通知手段を備えることを特徴としてもよい。
【0014】
このように構成すると、棚卸作業によって、本来存在しないはずの固定資産の存在が確認されたり、固定資産の配置されている場所が本来の場所と異なることが確認されたりした場合に、棚卸業務の管理者がその事実を速やかに了知することが可能になる。
【0015】
さらに、本発明は、前記識別媒体生成手段において生成される識別媒体は、バーコード、二次元コード又は電子透かしに変換された識別番号の表示されたシール、ないしはICタグであることを特徴としてもよい。
【0016】
このように、変換した識別番号から生成する識別媒体に、他の用途でも広く用いられているバーコードや二次元コード等を採用することとすれば、汎用のバーコードリーダーや二次元コードリーダー等を用いることができるので、本発明の実施に必要なコストを低下させるのに効果的である。
【0017】
さらに、本発明は、前記棚卸作業情報受信手段の受信した読取データから特定した識別番号について、識別番号が同一である2以上の読取データを受信した場合に、各々の読取データに対応する位置データも同一である場合は、前記2以上の読取データ及びこれらに対応する位置データを、1の読取データ及びこれに対応する位置データに統合する棚卸作業情報統合手段を備えることを特徴としてもよい。
【0018】
このように構成すると、棚卸作業者が誤って同じ固定資産を2回以上読み取ってしまった場合にも、棚卸のための照合を適切に行うことが可能になる。
【0019】
また、本発明は、棚卸業務支援サーバと端末装置からなる棚卸業務支援システムとして特定することもできる。
【0020】
本発明にかかる棚卸業務支援システムは、固定資産の棚卸業務を支援する棚卸業務支援サーバと、前記棚卸業務支援サーバとネットワークを通じて接続可能な棚卸作業者が操作する端末装置からなる棚卸業務支援システムであって、前記棚卸業務支援サーバは、棚卸の対象となる固定資産を識別するために固定資産毎に割り当てられる識別番号を発行する識別番号発行手段と、固定資産の配置されている位置を示す位置情報を含む固定資産の資産明細を、前記固定資産に対して前記識別番号発行手段が発行した識別番号と関連付けて格納する資産明細格納手段と、前記識別番号発行手段が発行した識別番号を目視で前記識別番号を判読不能な媒体に変換した識別媒体を生成する識別媒体生成手段と、前記端末装置から、棚卸を行った固定資産に貼付された識別媒体から読み取った読取データと、前記固定資産の位置を示す位置データを受信する棚卸作業情報受信手段と、前記棚卸作業情報受信手段の受信した読取データから識別番号を特定し、前記識別番号に対応する資産明細を資産明細格納手段から読み出す資産明細読出手段と、前記資産明細読出手段が読み出した資産明細に含まれる位置情報と前記棚卸作業情報受信手段が受信した位置データを照合して、固定資産の配置されている位置の一致が確認されると、前記資産明細格納手段の資産明細に棚卸が行われたことを示す情報を記録する棚卸記録手段と、を備え、前記端末装置は、固定資産に貼付された識別媒体からデータを読み取るデータ読取手段と、前記データ読取手段の読み取った読取データと、前記固定資産の位置を示す位置データを前記棚卸業務支援サーバに送信する棚卸作業情報送信手段と、を備えることを特徴とする棚卸業務支援システムである。
【0021】
また、本発明にかかる棚卸業務支援システムは、前記棚卸業務支援サーバにおいて、前記識別媒体生成手段が生成する識別媒体に記憶される識別番号は、前記識別番号発行手段が発行した識別番号が暗号化された番号であって、前記資産明細読出手段は、前記棚卸作業情報受信手段の受信した読取データを復号化して識別番号を特定し、前記識別番号に対応する資産明細を資産明細格納手段から読み出すことを特徴とすることもできる。
【0022】
さらに、本発明にかかる棚卸業務支援システムは、前記棚卸業務支援サーバに、前記棚卸作業情報受信手段の受信した読取データから特定した識別番号に対応する資産明細が資産明細格納手段に存在しない場合、又は、前記資産明細読出手段が読み出した資産明細に含まれる位置情報と前記棚卸作業情報受信手段が受信した位置データを照合して、固定資産の配置されている位置が不一致であることが確認された場合に、棚卸業務の管理者に不明資産あり、又は位置の不一致を示す棚卸結果を通知する棚卸結果通知手段を備えることを特徴としてもよい。
【0023】
さらに、本発明にかかる棚卸業務支援システムは、前記棚卸業務支援サーバにおいて、前記識別媒体生成手段において生成される識別媒体は、バーコード、二次元コード又は電子透かしに変換された識別番号の表示されたシール、ないしはICタグであることを特徴としてもよい。
【0024】
さらに、本発明にかかる棚卸業務支援システムは、前記棚卸業務支援サーバに、前記棚卸作業情報受信手段の受信した読取データから特定した識別番号について、識別番号が同一である2以上の読取データを受信した場合に、各々の読取データに対応する位置データも同一である場合は、前記2以上の読取データ及びこれらに対応する位置データを、1の読取データ及びこれに対応する位置データに統合する棚卸作業情報統合手段を備えることを特徴としてもよい。
【0025】
また、本発明は、本発明にかかる棚卸業務支援装置又は棚卸業務支援システムの各々の構成によって実行される棚卸業務の支援方法として特定することもできる。
【0026】
本発明にかかる棚卸業務支援装置によって実行される棚卸業務の支援方法は、固定資産の棚卸業務を支援する棚卸業務支援装置によって実行される棚卸業務の支援方法であって、前記棚卸業務支援装置が、棚卸の対象となる固定資産を識別するために固定資産毎に割り当てられる識別番号を発行する識別番号発行ステップと、前記棚卸業務支援装置が、固定資産の配置されている位置を示す位置情報を含む固定資産の資産明細を、前記固定資産に対して前記識別番号発行手段が発行した識別番号と関連付けて格納する資産明細格納手段に登録する資産明細登録ステップと、前記棚卸業務支援装置が、前記識別番号ステップで発行された識別番号を目視で前記識別番号を判読不能な媒体に変換した識別媒体を生成する識別媒体生成ステップと、前記棚卸業務支援装置が、棚卸作業者が操作する端末装置から、棚卸を行った固定資産に貼付された識別媒体から読み取った読取データと、前記固定資産の位置を示す位置データを受信する棚卸作業情報受信ステップと、前記棚卸業務支援装置が、前記棚卸作業情報受信ステップで受信した読取データから識別番号を特定し、前記識別番号に対応する資産明細を資産明細格納手段から読み出す資産明細読出ステップと、前記棚卸業務支援装置が、前記資産明細読出ステップで読み出した資産明細に含まれる位置情報と前記棚卸作業情報受信ステップで受信した位置データを照合して、固定資産の配置されている位置の一致が確認されると、前記資産明細格納手段の資産明細に棚卸が行われたことを示す情報を記録する棚卸記録ステップと、を有することを特徴とする棚卸業務の支援方法である。
【0027】
また、本発明にかかる棚卸業務支援装置によって実行される棚卸業務の支援方法は、前記識別媒体生成ステップで生成する識別媒体に記憶される識別番号は、前記識別番号発行ステップで発行された識別番号が暗号化された番号であって、前記資産明細読出ステップにおいて、前記棚卸業務支援装置は、前記棚卸作業情報受信ステップで受信した読取データを復号化して識別番号を特定し、前記識別番号に対応する資産明細を資産明細格納手段から読み出すことを特徴とすることもできる。
【0028】
さらに、本発明にかかる棚卸業務支援装置によって実行される棚卸業務の支援方法は、前記棚卸業務支援装置が、前記棚卸作業情報受信ステップで受信した読取データから特定した識別番号に対応する資産明細が資産明細格納手段に存在しない場合、又は、前記資産明細読出ステップで読み出した資産明細に含まれる位置情報と前記棚卸作業情報受信ステップで受信した位置データを照合して、固定資産の配置されている位置が不一致であることが確認された場合に、棚卸業務の管理者に不明資産あり、又は位置の不一致を示す棚卸結果を通知する棚卸結果ステップを有することを特徴としてもよい。
【0029】
さらに、本発明にかかる棚卸業務支援装置によって実行される棚卸業務の支援方法は、前記識別媒体生成ステップにおいて生成される識別媒体は、バーコード、二次元コード又は電子透かしに変換された識別番号の表示されたシール、ないしはICタグであることを特徴としてもよい。
【0030】
さらに、本発明にかかる棚卸業務支援装置によって実行される棚卸業務の支援方法は、前記棚卸業務支援装置が、前記棚卸作業情報受信ステップで受信した読取データから特定した識別番号について、識別番号が同一である2以上の読取データを受信した場合に、各々の読取データに対応する位置データも同一である場合は、前記2以上の読取データ及びこれらに対応する位置データを、1の読取データ及びこれに対応する位置データに統合する棚卸作業情報統合ステップを有することを特徴としてもよい。
【0031】
本発明にかかる棚卸業務支援システムによって実行される棚卸業務の支援方法は、固定資産の棚卸業務を支援する棚卸業務支援サーバと、前記棚卸業務支援サーバとネットワークを通じて接続可能な棚卸作業者が操作する端末装置によって実行される棚卸業務の支援方法であって、前記棚卸業務支援サーバが、棚卸の対象となる固定資産を識別するために固定資産毎に割り当てられる識別番号を発行する識別番号発行ステップと、前記棚卸業務支援サーバが、固定資産の配置されている位置を示す位置情報を含む固定資産の資産明細を、前記固定資産に対して前記識別番号発行ステップで発行した識別番号と関連付けて格納する資産明細格納手段に登録する資産明細登録ステップと、前記棚卸業務支援サーバが、前記識別番号ステップで発行された識別番号を目視で前記識別番号を判読不能な媒体に変換した識別媒体を生成する識別媒体生成ステップと、前記端末装置が、固定資産に貼付された識別媒体からデータを読み取るデータ読取ステップと、前記端末装置が、前記データ読取ステップで読み取った読取データと、前記固定資産の位置を示す位置データを前記棚卸業務支援サーバに送信する棚卸作業情報送信ステップと、前記棚卸業務支援サーバが、前記端末装置から、前記読取データと前記位置データを受信する棚卸作業情報受信ステップと、前記棚卸業務支援サーバが、前記棚卸作業情報受信ステップで受信した読取データから識別番号を特定し、前記識別番号に対応する資産明細を資産明細格納手段から読み出す資産明細読出ステップと、前記棚卸業務支援サーバが、前記資産明細読出ステップで読み出した資産明細に含まれる位置情報と前記棚卸作業情報受信ステップで受信した位置データを照合して、固定資産の配置されている位置の一致が確認されると、前記資産明細格納手段の資産明細に棚卸が行われたことを示す情報を記録する棚卸記録ステップと、を有すること特徴とする棚卸業務の支援方法である。
【0032】
また、本発明にかかる棚卸業務支援システムによって実行される棚卸業務の支援方法は、前記識別媒体生成ステップで生成する識別媒体に記憶される識別番号は、前記識別番号発行ステップで発行された識別番号が暗号化された番号であって、前記資産明細読出ステップにおいて、前記棚卸業務支援サーバは、前記棚卸作業情報受信ステップで受信した読取データを復号化して識別番号を特定し、前記識別番号に対応する資産明細を資産明細格納手段から読み出すことを特徴とすることもできる。
【0033】
さらに、本発明にかかる棚卸業務支援システムによって実行される棚卸業務の支援方法は、前記棚卸業務支援サーバが、前記棚卸作業情報受信ステップで受信した読取データから特定した識別番号に対応する資産明細が資産明細格納手段に存在しない場合、又は、前記資産明細読出ステップで読み出した資産明細に含まれる位置情報と前記棚卸作業情報受信ステップで受信した位置データを照合して、固定資産の配置されている位置が不一致であることが確認された場合に、棚卸業務の管理者に不明資産あり、又は位置の不一致を示す棚卸結果を通知する棚卸結果ステップを有することを特徴としてもよい。
【0034】
さらに、本発明にかかる棚卸業務支援システムによって実行される棚卸業務の支援方法は、前記識別媒体生成ステップにおいて生成される識別媒体は、バーコード、二次元コード又は電子透かしに変換された識別番号の表示されたシール、ないしはICタグであることを特徴としてもよい。
【0035】
さらに、本発明にかかる棚卸業務支援システムによって実行される棚卸業務の支援方法は、前記棚卸業務支援サーバが、前記棚卸作業情報受信ステップで受信した読取データから特定した識別番号について、識別番号が同一である2以上の読取データを受信した場合に、各々の読取データに対応する位置データも同一である場合は、前記2以上の読取データ及びこれらに対応する位置データを、1の読取データ及びこれに対応する位置データに統合する棚卸作業情報統合ステップを有することを特徴としてもよい。
【発明の効果】
【0036】
本発明によって、固定資産の棚卸業務における棚卸作業者の負担軽減とあわせて、棚卸作業者による不正行為を効果的に防止することが可能になる。これによって、企業等において客観性を維持しつつ安全かつ効率的な棚卸業務が実現され、企業等の内部統制にも資することが期待できる。
【図面の簡単な説明】
【0037】
【図1】本発明の実施形態の概要を示す図である。
【図2】本発明にかかる棚卸業務支援システムの構成の一例を示すブロック図である。
【図3】本発明にかかる棚卸業務支援装置における資産管理データベースの一例を示す図である。
【図4】本発明にかかる棚卸業務支援装置において受信されるデータの一例を示す図である。
【図5】本発明において、棚卸業務支援装置が資産管理データベースにデータを登録する処理フローを示すフローチャートである。
【図6】本発明において、棚卸業務支援装置が資産に貼付するシールを出力する処理フローを示すフローチャートである。
【図7】本発明において、端末装置がシールに表示された二次元コードを読み取って保存する処理フローを示すフローチャートである。
【図8】本発明において、棚卸業務支援装置が棚卸のための読取データ等を照合する処理フローを示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0038】
本発明を実施するための形態について、図面を用いて以下に詳細に説明する。尚、以下の説明は本発明の実施形態の一例を示すものであって、データベースに記録される資産明細の項目や端末から送信されるデータの形式など、本発明の実施形態は以下に示す例に限定されるものではない。
【0039】
図1は、本発明の実施形態の概要を示している。本発明は、利用者となる企業などの事業者が管理する、コンピュータ、コピー機やプリンタ、オフィス家具などの企業におけるあらゆる固定資産の棚卸業務において用いられる。
【0040】
棚卸業務の対象となる固定資産の帳簿は、資産台帳データベースで管理されている。本発明において、資産台帳データベースに対象となる固定資産の明細を登録する方法は特に限定されるものではないが、図1では、リース事業者が顧客の棚卸業務を支援するシステムを提供する実施例について説明する。
【0041】
リース事業者が管理するリース資産データベースには、リース事業者が顧客である利用者にリース契約によって提供しているリース資産に関するデータが格納されている。ここから顧客毎のリース資産の明細を資産台帳データベースに取り込み、顧客の管理者端末からインターネット等のネットワークを介して資産台帳データベースにアクセスできるよう構成することによって、顧客がリース資産の明細を確認することが可能になる。また、顧客が保有するその他の固定資産や、他のリース事業者からリースを受けている固定資産の明細も管理者端末から登録できるよう構成することによって、顧客は棚卸業務の対象となる固定資産を資産台帳データベースで一括して管理することが可能になる。
【0042】
ここで資産台帳データベースに格納されている固定資産の明細が、棚卸業務の支援に用いられる資産管理データベースに取り込まれる。その際に、固定資産を識別するために資産台帳データベースで用いられている識別番号とは別に、棚卸業務に用いるための固有の識別番号が割り当てられ、資産管理データベースに各々の固定資産の明細と関連付けて登録される。顧客の管理者端末からは資産管理データベースにアクセスすることができないよう構成することによって、この識別番号は顧客には認知されず、第三者であるリース事業者のみが把握している番号となる。
【0043】
資産管理データベースを管理する棚卸業務支援サーバでは、棚卸作業のために固定資産に貼付けるシール等の媒体を、資産管理データベースに格納されたデータから生成して出力するが、このシール等の媒体には、先に割り当てられた固有の識別番号が、棚卸作業者には判読できない形式で埋め込まれる。例えば、バーコードや二次元コード、電子透かしに変換された識別番号を表示したシールを出力したり、識別番号を書き込んだICタグを生成したりすることができるが、以下では、識別番号を変換した二次元コードが表示されたシールを出力する例について説明する。
【0044】
尚、ここで識別媒体に埋め込まれる識別番号は、先に割り当てられた番号をそのまま使用することとしてもよいが、不正行為に対する安全性をより高めるためには、識別番号を暗号化した番号を用いることが好ましい。
【0045】
棚卸業務支援サーバにおいて出力された識別番号を変換した二次元コードが表示されたシールが、リース事業者から顧客に引き渡されると、顧客はこのシールを各々の固定資産に貼付する。棚卸作業時には、二次元コードの読取可能な端末を用いて、棚卸作業者がシールに表示された二次元コードを読み取り、読み取ったデータを固定資産の配置された場所を特定する位置データとともに、棚卸業務支援サーバに送信する。
【0046】
尚、ここで位置データを指定する方法は特に限定されるものではなく、例えば、固定資産の配置された部署の部署コード等を棚卸作業者が端末に直接入力することとしてもよいし、固定資産の配置されている部屋等の入口に位置コードを二次元コード化して貼り出しておいて、この二次元コードを端末を用いて読み取ることによって、位置コードを認識することとしてもよい。
【0047】
棚卸業務支援サーバで、二次元コードの読取データと固定資産の配置された場所の位置データを受信すると、読取データから特定される識別番号をキーに、資産管理データベースに格納されている固定資産の明細を検索する。識別番号が暗号化されている場合には、読取データを復号化して識別番号を特定する。
【0048】
ここで棚卸業務支援サーバが複数の読取データ等をまとめて受信した場合、すなわち、棚卸作業者が1つの部署内で棚卸作業を行った読取データ等をまとめて送信したような場合には、棚卸作業者が誤って同一の固定資産を2回以上確認して二次元コードを読み取っていたとすると、同一の識別番号について複数の読取データ等を受信することになる。こうした状況に対応するために、棚卸業務支援サーバで受信した読取データ等に同一の識別番号が2以上含まれていた場合には、それらの位置コードが一致していれば、誤って同一の固定資産を2回以上確認して二次元コードを読み取ってしまったものと判断し、それらの読取データ等を1のデータとして統合する。位置コードが一致しなかった場合は、管理者等に異常の発生を通知する。
【0049】
資産管理データベースにおいて、読取データから特定される識別番号に対応する固定資産の明細が特定されると、ここに含まれる位置コードと端末から受信した位置コードを対比する。位置コードが一致した場合は、固定資産が本来あるべき場所に存在することが確認され、資産管理データベースに棚卸済の記録がされる。位置コードが一致しない場合は、固定資産が本来あるべき場所とは異なる場所に配置されていることになるため、不一致が生じたことを管理者の端末等に通知する。また、資産管理データベースにおいて、読取データから特定される識別番号に対応する固定資産の明細が特定されなかった場合は、本来存在しないはずの固定資産が存在していることになるので、その旨を管理者の端末等に通知する。
【0050】
以上のように本発明では、棚卸のための固定資産の明細の照合が、棚卸支援サーバで割り当てられた識別番号をキーに実行される。かかる照合処理が、端末側ではなくサーバ側で実行されることに加えて、この識別番号は棚卸作業者が目視で判読できない形態で固定資産に貼付されているため、棚卸作業者が実際は存在していない固定資産の識別番号を手入力で入力して存在しているように見せかけるといった不正行為を防止するのに有効な構成となっている。
【0051】
尚、識別番号が同一の複数の読取データにおける位置コードの不一致、資産管理データベースとの位置コードの不一致、資産管理データベースで固定資産の明細が特定できないといった状況が生じた場合の対応は、先に説明したように管理者等に通知を行うという方法に限定されるものではない。例えば、棚卸結果を資産台帳データベース等に書き込み、管理者端末からアクセスすることによって、棚卸済の情報とともに確認できるよう構成してもよい。
【0052】
図2は、本発明にかかる棚卸業務支援システムの構成の一例を示している。図2において、棚卸業務支援サーバ10は本発明にかかる棚卸業務支援装置を含み、棚卸作業端末20とあわせて本発明にかかる棚卸業務支援システムを構成する。
【0053】
棚卸業務支援サーバ10の物理的な構成は特に限定されるものではないが、インターネットを介して接続された管理者端末30から資産台帳データベース11にアクセスできるように、例えば、Webサーバとして機能するサーバコンピュータを用いることとすればよい。棚卸業務支援サーバ10には、CPU、メインメモリ、HDD等の補助記憶装置が備えられ、補助記憶装置からメインメモリにプログラムが読み出され、CPUにおいて演算処理を実行することによって所定の機能が実現される。
【0054】
棚卸業務支援サーバ10には、資産台帳データベース11、資産明細登録部12、資産管理データベース13、シール生成部14、出力装置15、棚卸作業情報受信部16、棚卸作業情報照合部17、棚卸結果通知部18が備えられている。
【0055】
資産明細登録部12、シール生成部14、棚卸作業情報受信部16、棚卸作業情報照合部17、棚卸結果通知部18はいずれも機能的に特定されるものであって、HDD等の補助記憶装置に格納された各々の機能を実行するためのプログラムがメインメモリに読み出され、CPUにおいて演算処理を実行することによって、これらの機能が実現される。
【0056】
資産台帳データベース11、資産管理データベース13には、HDD等の補助記憶装置の所定の記憶領域が割り当てられるが、これらは物理的に異なるデータベースサーバ等の他のコンピュータに備えられるものであってもよい。出力装置15には、二次元コード等が表示されたシールを出力するプリンタが用いられるが、ICタグ等の生成装置となる場合もある。
【0057】
棚卸作業者端末20の物理的な構成も特に限定されるものではないが、出力装置15から出力された媒体からデータを読み取ることが可能であり、かつ棚卸業務支援サーバ10へのデータの送信が可能な端末であることが必要である。出力装置15から出力された媒体が二次元コードを表示したシールである場合には、通信機能を備えた二次元コードの読取が可能な端末、例えば携帯電話機などが用いられる。
【0058】
コード読取部21は、出力装置15から出力された媒体が二次元コードであれば、二次元コードを読み取るカメラとこれを解読するプログラムに対応する。棚卸作業情報記憶部22は、コード読取部21で読み取ったデータを、棚卸業務支援サーバ10に送信するまで記憶しておく棚卸作業端末20に備えられたメモリ等の記憶領域である。
【0059】
管理者端末30及び40の物理的な構成も特に限定されるものではないが、いずれもインターネットに接続可能なパーソナルコンピュータ等のコンピュータを用いることとすればよい。
【0060】
以上の構成を前提にして、図5〜図8のフローチャートに沿って、本発明によって実施される棚卸業務の流れについて説明する。図5、図6は棚卸作業実施前に棚卸業務支援サーバ10によって実行される処理を、図7、図8は、それぞれ棚卸作業時における棚卸作業端末20と棚卸業務支援サーバ10によって実行される処理を示している。
【0061】
尚、本発明では、棚卸業務の客観性を担保するために、棚卸業務支援サーバ10は固定資産を管理し、棚卸作業を実施する利用者自身ではなく、第三者によって運用されるものであることが好ましい。以下では、棚卸作業を実施する利用者に対して、利用者自身ではなく第三者が棚卸業務支援サーバ10を運用することを前提に説明する。
【0062】
図5は、棚卸業務支援サーバ10の資産明細登録部12によって実行される処理を示すフローチャートである。その前提として、資産台帳データベース11には、棚卸作業の対象になる固定資産の台帳に対応する端末30からアクセスすることが可能であり、固定資産の管理者は資産台帳データベース11に格納された台帳に、データを読み書きすることが可能な構成となっている。
【0063】
資産明細登録部12は定期的に、或いは管理者端末30からの命令によって起動され、資産台帳データベース11に格納されている固定資産台帳のデータを読み込む(S01)。続いて、棚卸作業の対象になる各々の固定資産に対して、固定資産を識別するためのユニークなシリアル番号を発行し(S02)、発行したシリアル番号に対応する固定資産の明細を関連付けて、資産管理データベース13に登録する(S03)。尚、シリアル番号には、棚卸作業を行う利用者単位でユニークな番号が割り当てられていればよいので、例えば、利用者マスタ等で対象となる利用者を確認し、その利用者についてユニークなシリアル番号を発行することとすればよい。
【0064】
図3は、資産管理データベース13の一例を示したものである。棚卸作業の対象となる固定資産には、利用者が保有する資産のみでなく、リース資産も対象になる可能性があるが、双方を含めて各々の固定資産にはユニークなシリアル番号(シリアルNo.)が割り当てられ、シリアル番号毎に固定資産の明細が格納されている。図3の例では、「リース資産No.」がリース事業者の割り当てた資産の識別番号であり、「資産管理No.」は利用者自身が割り当てた識別番号であるが、これらの識別番号の他に、ユニークなシリアル番号(シリアルNo.)が割り当てられている。
【0065】
また、資産管理データベース13には、図3の例に示したように、各々の固定資産について、固定資産が配置されている位置を示すコード(位置コード)が記録されている。この位置コードには、例えば、部署を示すコード、事業所内のフロアを示すコードなどを用いることとすればよい。
【0066】
尚、ある利用者について資産管理データベース13へのデータの登録が行われた後、同じ利用者の資産台帳データベース11から固定資産台帳のデータを読み込む際には、同じ固定資産に異なるシリアル番号が発行されることがない仕組みを構築することが必要である。その方法は特に限定されるものではなく、例えば、資産台帳データベース11に資産管理データベース13へのデータの取り込みが行われた固定資産にはフラグを立てて管理することとしてもよいし、データを読み込む際に資産管理番号等を照合して、重複するデータである場合はシリアル番号を発行しないこととしてもよい。
【0067】
この資産管理データベース13には、棚卸作業の作業者がアクセスすることができない他、管理者端末30からもアクセスできず、利用者側ではシリアル番号を確認できない構成となっていることが好ましい。資産明細登録部12で各々の固定資産に割り当てられたシリアル番号は、第三者である棚卸業務支援サーバ10の運用者のみが把握しており、後に説明するようにこのシリアル番号を用いて照合を行うことによって、棚卸作業の客観性が担保される。
【0068】
図6は、棚卸業務支援サーバ10のシール生成部14によって実行される処理を示すフローチャートである。棚卸業務支援サーバ10の運用者によってシール生成部14が起動されると、資産管理データベース13においてシールを生成する対象となる固定資産を特定して(S11)、その固定資産のシリアル番号を読み出す(S12)。
【0069】
読み出したシリアル番号を所定のロジックにより暗号化して(S13)、暗号化したシリアル番号を二次元コードに変換する(S14)。さらに、生成した二次元コードを表示した固定資産貼付用のシールを生成し、出力装置15に出力する(S15)。
【0070】
以上の説明では、暗号化したシリアル番号を二次元コードに変換してシールに表示して出力する例をとりあげたが、暗号化したシリアル番号をバーコードや電子透かしに変換してシールに表示することとしてもよい。又は、シールではなくICタグを生成し、ICタグに暗号化したシリアル番号を記憶させてもよく、いずれにしても本発明では、シリアル番号が目視では判読できない媒体として出力されることが必要である。このように、シリアル番号が目視で判読できない状態で出力されるならば、シリアル番号を暗号化することは必須の要件ではないが、不正行為に対する安全性を高めるためには暗号化を施すことが好ましい。
【0071】
出力装置15から出力されたシールは、棚卸作業の対象となる固定資産が配置されている現場に持ち込まれ、各々の固定資産に貼付される。そして、棚卸作業者が棚卸作業者端末20を用いてこのシールの二次元コードを読み取ることによって、棚卸作業が実施される。
【0072】
図7は、棚卸作業者端末20によって実行される二次元コードを読み取る処理を示すフローチャートである。棚卸作業を実施する作業者は、棚卸作業者端末20を起動し、棚卸作業を実施する場所を示す位置コードを入力する。入力方法は特に限定されるものではなく、例えば、作業者がキーボード等を操作して直接入力することとしてもよいし、各々の作業場所に貼付されたその場所の位置コードを変換した二次元コードを読み取ることとしてもよい。
【0073】
棚卸作業者端末20において位置コードの入力を受け付けると(S21)、続いて、その場所に配置されている各々の固定資産に貼付されたシールから二次元コードを読み取る(S22)。二次元コードを認識することができず、読み取りに失敗した場合はエラー処理となるが、読み取りに成功して二次元コードが認識されれば、この二次元コードを解読した読取データを生成する(S23)。
【0074】
棚卸作業者は、位置コードにより特定される場所に配置されている全ての固定資産について、二次元コードを読み取る作業を繰り返す。二次元コードの読み取りを終了する操作が受け付けられると(S25)、読取データに位置コードを関連付けた棚卸作業情報を、棚卸作業情報記憶部22に記憶させる(S26)。
【0075】
このようにして、棚卸作業情報記憶部22に棚卸作業情報が記憶されると、作業者はこの情報を棚卸業務支援サーバ10に送信する。図4は、棚卸業務支援サーバ10に送信される棚卸作業情報の一例を示したものであるが、棚卸作業端末20を識別する端末コード(U1234567)、位置コード(0001)、各々の固定資産に貼付されたシールから読み取った読取データが含まれている。
【0076】
図4の例では、棚卸作業を実施した各々の固定資産について、棚卸作業を実施した(すなわち、シールに表示された二次元コードを読み取った)日時と、読取データである二次元コードを解読した識別番号が含まれている。暗号化した識別番号が二次元コード化されている場合には、ここで解読した二次元コードも暗号化された状態のものとなる(図4の例では、「31000004」は暗号化された識別番号で、先頭の「3」を最終の「4」から減じ、「3」を除いた「1000001」が本来の識別番号となっている)。
【0077】
図8は、棚卸業務支援サーバ10の棚卸作業情報受信部16、棚卸作業情報照合部17及び棚卸結果通知部18によって実行される棚卸のための読取データ等を照合する処理を示すフローチャートである。棚卸作業者が送信した、図4の例に示したような位置コードと関連付けられた二次元コードの読取データを、棚卸業務支援サーバ10で受信する(S31)。
【0078】
棚卸業務支援サーバ10において暗号化したシリアル番号を二次元コードに変換している場合には、受信した読取データは暗号化されたシリアル番号に対応するものなので、読取データを復号化してシリアル番号を特定する処理を行う(S32)。複数の読取データを受信している場合は、各々の読取データを復号化したシリアル番号の中に重複がないかを確認する(S33)。
【0079】
重複するシリアル番号が存在し、各々のシリアル番号に対応する位置コードが一致している場合は(S34)、棚卸作業者が誤って同一の固定資産に貼付されたシールの二次元コードを2度以上読み取ったものと判断して、重複している読取データと位置コードの組み合わせを、1の読取データと位置コードの組み合わせに統合する(S35)。重複する各々のシリアル番号に対応する位置コードが一致しない場合は、棚卸業務の管理者が操作する管理者端末40にその旨を通知する(S41)。
【0080】
続いて、特定されたシリアル番号をキーに、資産管理データベース13に格納された固定資産の明細を検索する(S36)。シリアル番号に対応する固定資産の明細が存在しない場合は(S37)、本来存在しないはずの固定資産が棚卸作業の現場に存在していたことになるので、その旨を管理者の端末等に通知する(S41)。
【0081】
シリアル番号に対応する固定資産の明細が存在している場合は(S37)、明細から位置コードを読み出し(S38)、シリアル番号を特定する元となった読取データと関連付けて受信した位置コードと一致するかを確認する(S39)。位置コードが一致した場合は、固定資産が本来あるべき場所に存在することが確認され、資産管理データベース13に棚卸済の記録がされる(S40)。位置コードが一致しない場合は、固定資産が本来あるべき場所とは異なる場所に配置されていることになるため、不一致が生じたことを管理者の端末等に通知する(S41)。
【0082】
以上の処理を受信した全ての読取データについて行って(S42)、棚卸のための読取データ等を照合する処理を終了する。
【符号の説明】
【0083】
10 棚卸業務支援サーバ
11 資産台帳データベース
12 資産明細登録部
13 資産管理データベース
14 シール生成部
15 出力装置
16 棚卸作業情報受信部
17 棚卸作業情報照合部
18 棚卸結果通知部
20 棚卸作業端末
21 コード読取部
22 棚卸作業情報記憶部
30 管理者端末
40 管理者端末

【特許請求の範囲】
【請求項1】
固定資産の棚卸業務を支援する棚卸業務支援装置であって、
棚卸の対象となる固定資産を識別するために固定資産毎に割り当てられる識別番号を発行する識別番号発行手段と、
固定資産の配置されている位置を示す位置情報を含む固定資産の資産明細を、前記固定資産に対して前記識別番号発行手段が発行した識別番号と関連付けて格納する資産明細格納手段と、
前記識別番号発行手段が発行した識別番号を目視で前記識別番号を判読不能な媒体に変換した識別媒体を生成する識別媒体生成手段と、
棚卸作業者が操作する端末装置から、棚卸を行った固定資産に貼付された識別媒体から読み取った読取データと、前記固定資産の位置を示す位置データを受信する棚卸作業情報受信手段と、
前記棚卸作業情報受信手段の受信した読取データから識別番号を特定し、前記識別番号に対応する資産明細を資産明細格納手段から読み出す資産明細読出手段と、
前記資産明細読出手段が読み出した資産明細に含まれる位置情報と前記棚卸作業情報受信手段が受信した位置データを照合して、固定資産の配置されている位置の一致が確認されると、前記資産明細格納手段の資産明細に棚卸が行われたことを示す情報を記録する棚卸記録手段と、
を備えることを特徴とする棚卸業務支援装置。
【請求項2】
前記識別媒体生成手段が生成する識別媒体に記憶される識別番号は、前記識別番号発行手段が発行した識別番号が暗号化された番号であって、
前記資産明細読出手段は、前記棚卸作業情報受信手段の受信した読取データを復号化して識別番号を特定し、前記識別番号に対応する資産明細を資産明細格納手段から読み出すこと
を特徴とする請求項1記載の棚卸業務支援装置。
【請求項3】
前記棚卸作業情報受信手段の受信した読取データから特定した識別番号に対応する資産明細が資産明細格納手段に存在しない場合、又は、前記資産明細読出手段が読み出した資産明細に含まれる位置情報と前記棚卸作業情報受信手段が受信した位置データを照合して、固定資産の配置されている位置が不一致であることが確認された場合に、棚卸業務の管理者に不明資産あり、又は位置の不一致を示す棚卸結果を通知する棚卸結果通知手段を備えること
を特徴とする請求項1又は2記載の棚卸業務支援装置。
【請求項4】
前記識別媒体生成手段において生成される識別媒体は、バーコード、二次元コード又は電子透かしに変換された識別番号の表示されたシール、ないしはICタグであること
を特徴とする請求項1乃至3いずれかに記載の棚卸業務支援装置。
【請求項5】
前記棚卸作業情報受信手段の受信した読取データから特定した識別番号について、識別番号が同一である2以上の読取データを受信した場合に、各々の読取データに対応する位置データも同一である場合は、前記2以上の読取データ及びこれらに対応する位置データを、1の読取データ及びこれに対応する位置データに統合する棚卸作業情報統合手段を備えること
を特徴とする請求項1乃至4いずれかに記載の棚卸業務支援装置。
【請求項6】
固定資産の棚卸業務を支援する棚卸業務支援サーバと、前記棚卸業務支援サーバとネットワークを通じて接続可能な棚卸作業者が操作する端末装置からなる棚卸業務支援システムであって、
前記棚卸業務支援サーバは、
棚卸の対象となる固定資産を識別するために固定資産毎に割り当てられる識別番号を発行する識別番号発行手段と、
固定資産の配置されている位置を示す位置情報を含む固定資産の資産明細を、前記固定資産に対して前記識別番号発行手段が発行した識別番号と関連付けて格納する資産明細格納手段と、
前記識別番号発行手段が発行した識別番号を目視で判読不能な媒体に変換した識別媒体を生成する識別媒体生成手段と、
前記端末装置から、棚卸を行った固定資産に貼付された識別媒体から読み取った読取データと、前記固定資産の位置を示す位置データを受信する棚卸作業情報受信手段と、
前記棚卸作業情報受信手段の受信した読取データから識別番号を特定し、前記識別番号に対応する資産明細を資産明細格納手段から読み出す資産明細読出手段と、
前記資産明細読出手段が読み出した資産明細に含まれる位置情報と前記棚卸作業情報受信手段が受信した位置データを照合して、固定資産の配置されている位置の一致が確認されると、前記資産明細格納手段の資産明細に棚卸が行われたことを示す情報を記録する棚卸記録手段と、を備え、
前記端末装置は、
固定資産に貼付された識別媒体からデータを読み取るデータ読取手段と、
前記データ読取手段の読み取った読取データと、前記固定資産の位置を示す位置データを前記棚卸業務支援サーバに送信する棚卸作業情報送信手段と、を備えること
を特徴とする棚卸業務支援システム。
【請求項7】
前記棚卸業務支援サーバにおいて、
前記識別媒体生成手段が生成する識別媒体に記憶される識別番号は、前記識別番号発行手段が発行した識別番号が暗号化された番号であって、
前記資産明細読出手段は、前記棚卸作業情報受信手段の受信した読取データを復号化して識別番号を特定し、前記識別番号に対応する資産明細を資産明細格納手段から読み出すこと
を特徴とする請求項6記載の棚卸業務支援システム。
【請求項8】
固定資産の棚卸業務を支援する棚卸業務支援装置によって実行される棚卸業務の支援方法であって、
前記棚卸業務支援装置が、棚卸の対象となる固定資産を識別するために固定資産毎に割り当てられる識別番号を発行する識別番号発行ステップと、
前記棚卸業務支援装置が、固定資産の配置されている位置を示す位置情報を含む固定資産の資産明細を、前記固定資産に対して前記識別番号発行手段が発行した識別番号と関連付けて格納する資産明細格納手段に登録する資産明細登録ステップと、
前記棚卸業務支援装置が、前記識別番号ステップで発行された識別番号を目視で前記識別番号を判読不能な媒体に変換した識別媒体を生成する識別媒体生成ステップと、
前記棚卸業務支援装置が、棚卸作業者が操作する端末装置から、棚卸を行った固定資産に貼付された識別媒体から読み取った読取データと、前記固定資産の位置を示す位置データを受信する棚卸作業情報受信ステップと、
前記棚卸業務支援装置が、前記棚卸作業情報受信ステップで受信した読取データから識別番号を特定し、前記識別番号に対応する資産明細を資産明細格納手段から読み出す資産明細読出ステップと、
前記棚卸業務支援装置が、前記資産明細読出ステップで読み出した資産明細に含まれる位置情報と前記棚卸作業情報受信ステップで受信した位置データを照合して、固定資産の配置されている位置の一致が確認されると、前記資産明細格納手段の資産明細に棚卸が行われたことを示す情報を記録する棚卸記録ステップと、
を有することを特徴とする棚卸業務の支援方法。
【請求項9】
前記識別媒体生成ステップで生成する識別媒体に記憶される識別番号は、前記識別番号発行ステップで発行された識別番号が暗号化された番号であって、
前記資産明細読出ステップにおいて、前記棚卸業務支援装置は、前記棚卸作業情報受信ステップで受信した読取データを復号化して識別番号を特定し、前記識別番号に対応する資産明細を資産明細格納手段から読み出すこと
を特徴とする請求項8記載の棚卸業務の支援方法。
【請求項10】
固定資産の棚卸業務を支援する棚卸業務支援サーバと、前記棚卸業務支援サーバとネットワークを通じて接続可能な棚卸作業者が操作する端末装置によって実行される棚卸業務の支援方法であって、
前記棚卸業務支援サーバが、棚卸の対象となる固定資産を識別するために固定資産毎に割り当てられる識別番号を発行する識別番号発行ステップと、
前記棚卸業務支援サーバが、固定資産の配置されている位置を示す位置情報を含む固定資産の資産明細を、前記固定資産に対して前記識別番号発行ステップで発行した識別番号と関連付けて格納する資産明細格納手段に登録する資産明細登録ステップと、
前記棚卸業務支援サーバが、前記識別番号ステップで発行された識別番号を目視で前記識別番号を判読不能な媒体に変換した識別媒体を生成する識別媒体生成ステップと、
前記端末装置が、固定資産に貼付された識別媒体からデータを読み取るデータ読取ステップと、
前記端末装置が、前記データ読取ステップで読み取った読取データと、前記固定資産の位置を示す位置データを前記棚卸業務支援サーバに送信する棚卸作業情報送信ステップと、
前記棚卸業務支援サーバが、前記端末装置から、前記読取データと前記位置データを受信する棚卸作業情報受信ステップと、
前記棚卸業務支援サーバが、前記棚卸作業情報受信ステップで受信した読取データから識別番号を特定し、前記識別番号に対応する資産明細を資産明細格納手段から読み出す資産明細読出ステップと、
前記棚卸業務支援サーバが、前記資産明細読出ステップで読み出した資産明細に含まれる位置情報と前記棚卸作業情報受信ステップで受信した位置データを照合して、固定資産の配置されている位置の一致が確認されると、前記資産明細格納手段の資産明細に棚卸が行われたことを示す情報を記録する棚卸記録ステップと、
を有すること特徴とする棚卸業務の支援方法。
【請求項11】
前記識別媒体生成ステップで生成する識別媒体に記憶される識別番号は、前記識別番号発行ステップで発行された識別番号が暗号化された番号であって、
前記資産明細読出ステップにおいて、前記棚卸業務支援サーバは、前記棚卸作業情報受信ステップで受信した読取データを復号化して識別番号を特定し、前記識別番号に対応する資産明細を資産明細格納手段から読み出すこと
を特徴とする請求項10記載の棚卸業務の支援方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2012−168833(P2012−168833A)
【公開日】平成24年9月6日(2012.9.6)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−30458(P2011−30458)
【出願日】平成23年2月16日(2011.2.16)
【出願人】(599136142)三菱UFJリース株式会社 (1)
【Fターム(参考)】