説明

棚及び取付具

【課題】 構造が簡単で短時間に高さを変更することができる棚板を備えた棚及び取付対象物を取り付ける取付具を提供する。
【解決手段】棚を仕切る棚板2と、棚板2をパネル21に取り付けるための保持部材60とを備え、保持部材60は、保持部材取付部23に設けられた貫通穴23aと係合するための係合部62と棚板2を保持するための保持部67とからなり、係合部62は、貫通穴23aの底面23bに当接し、保持部材60の自重を支持する第1の面65と、第1の面65の一端から第1の面65に直交方向に延在し保持部67の側の面23dに係合可能な第2の面64と、第2の面64に平行で第2の面64から略第1の面65の幅だけ離れ第2の面64が延在する方向とは反対方向に延在する保持部67の側の面23dとは反対側の面23cに係合可能な第3の面63とを有する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、棚及び取付具に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来より棚の使用時に棚板の高さを変更する方法については、種々の工夫がなされてきた。例えば、下記特許文献には棚板の両側端における前部及び後部の下面に下向きに開口した凹溝を設け、その凹溝に棚受け具の一端を嵌合させ、棚受け具の他端を棚本体の側板に設けられた多数の穴に挿入することにより、棚板の高さを変更する方法が記載されている。
【特許文献1】特開平8−191724号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
しかしながら、特許文献1に記載された棚板の高さを変更する方法では、棚板の高さを変更するためには棚板の前後左右の4箇所に設けられた凹溝に嵌合する棚受け具から一旦棚板を取り外し、棚本体の側板に挿入された棚受け具の位置を変更した後、再び棚受け具に棚板の凹溝を嵌合させなければならない。
【0004】
このように、棚板から棚受け具を取り外し、棚受け具の位置を変更した後再び棚受け具に棚板を嵌合させる作業は、手間と時間がかかるという問題があった。特に棚板が大きく且つ棚板の位置が高い場合は、棚板の高さ変更作業を慎重に行う必要があり時間がかかった。
【0005】
本発明は、かかる事情に鑑みなされたものであり、その目的とするところは、構造が簡単で短時間に高さを変更することができる棚板を備えた棚及び取付対象物を取り付ける取付具を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を達成するために、請求項1に記載の棚は、枠体で囲まれた棚であって、前記棚を仕切るための棚板と、前記棚板を前記枠体に取り付け保持するための保持部材とからなり、前記保持部材は、前記枠体に予め定める間隔で設けられた複数の貫通穴と係合するための係合部と前記棚板を保持するための保持部とを備え、前記係合部は、前記貫通穴の底面に当接し前記保持部材の自重を支持する第1の面と、前記第1の面の一端から前記第1の面に直交方向に延在し前記枠体の前記保持部の側の面に係合可能な第2の面と、前記第2の面に平行で前記第2の面から略前記第1の面の幅だけ離れ前記第2の面が延在する方向とは反対方向に延在し前記枠体の前記保持部の側の面とは反対側の面に係合可能な第3の面とを有することを特徴としている。
【0007】
このような構成によると、保持部材の係合部を枠体の貫通穴に係合させるだけで保持部材を枠体に取り付けることができるので棚板を短時間で枠体に取り付けたり、取り外すことができる。更に、保持部材の係合部を枠体の異なる高さにある貫通穴に係合させることにより棚板の高さを簡単に変更することができる。又、保持部材の自重が第1の面で支持されると同時に、第2の面が枠体の保持部の側の面と当接することと、第3の面が枠体の保持部の側とは反対側の面と当接することによって、保持部材が第1の面上の点を支点として回転しようとする回転運動が規制される。
【0008】
又、請求項2に記載の発明は、請求項1に記載の発明において、前記保持部材が、前記枠体の両側の面に取り付けられることを特徴としている。
このような構成によると、保持部材を枠体の内側面及び外側面の両側に取り付けることができる。
【0009】
又、請求項3に記載の発明は、請求項1又は2に記載の発明において、前記保持部材に机の天板が取り付けられたことを特徴としている。
このような構成によると、棚板の代わりに机の天板を枠体に取り付けることができる。
【0010】
又、請求項4に記載の発明は、請求項1又は2に記載の発明において、前記保持部材に引出しが取り付けられたことを特徴としている。
このような構成によると、棚板の代わりに引出しを棚に取り付けることができる。
【0011】
又、請求項5に記載の取付具は、取付対象物を支持体に取り付けるための取付具であって、前記取付具は、前記支持体に設けられた貫通穴と係合するための係合部と前記取付対象物を係止するための取付本体部とを備え、前記係合部は、前記貫通穴の底面に当接し前記取付具の自重を支持する第1の面と、前記第1の面の一端から前記第1の面に直交方向に延在し前記支持体の前記取付本体部の側の面に係合可能な第2の面と、前記第2の面に平行で前記第2の面から略前記第1の面の幅だけ離れ前記第2の面が延在する方向とは反対方向に延在し前記支持体の前記取付本体部の側の面とは反対側の面に係合可能な第3の面とを有することを特徴としている。
【0012】
このような構成によると、取付具を支持体の貫通穴に係合させることだけで取付具を支持体に取り付けることができるので取付具を短時間で支持体に取り付けたり、取り外すことができる。更に、取付具を支持体の異なる高さにある支持体の貫通穴に係合させることにより取付具の高さを簡単に変更することができる。又、取付具の自重が第1の面で支持されると同時に、第2の面が支持体の取付本体部の側の面と当接することと、第3の面が支持体の取付本体部の側の面とは反対側の面と当接することによって、取付具が第1の面上の点を支点として回転しようとする回転運動が規制される。
【0013】
又、請求項6に記載の発明は、請求項5に記載の発明において、前記取付具は、前記取付対象物を取り付けるための螺合部を備えたことを特徴としている。
このような構成によると、取付具の螺合部に取付対象物をねじ止めすることができる。
【0014】
又、請求項7に記載の発明は、請求項6に記載の発明において、前記取付対象物は、バックパネルであることを特徴としている。
このような構成によると、バックパネルを支持体に取り付けることができる。
【0015】
又、請求項8に記載の発明は、請求項6に記載の発明において、前記取付対象物は、ブレースであることを特徴としている。
このような構成によると、ブレースを支持体に取り付けることができる。
【発明の効果】
【0016】
請求項1に記載の発明によれば、保持部材の係合部を直接枠体に係合させることができるため、ねじやナットが不要であり、棚の部品点数を減少させることができる。更に、棚板の取り付けや取り外しに工具を必要としないため、棚板の高さを容易に変更することができる。
【0017】
請求項2に記載の発明によれば、棚の内側に棚板を取り付けると同時に棚の外側同士を連結することにより、2個以上の棚同士を棚板や天板などを介して連結することができる。
【0018】
請求項3に記載の発明によれば、棚の一部を天板の付いた机として使用することができる。
請求項4に記載の発明によれば、棚の一部を引出しとして使用することができる。
【0019】
請求項5に記載の発明によれば、取付具を直接支持体に係合させるため、ねじやナットが不要であり、支持体の部品点数を減少させることができる。更に、取付具の取り付けや取り外しに工具を必要としないため、取付対象物の高さを容易に変更することができる。
【0020】
請求項6に記載の発明によれば、螺合部に種々の取付対象物を取り付けることにより支持体の機能を増したり、性能を向上させることができる。
請求項7に記載の発明によれば、バックパネルを支持体に取り付けることによりバックパネルを立壁面として使用できると同時に支持体の強度や剛性を増加させることができる。
【0021】
請求項8に記載の発明によれば、ブレースを支持体に取り付けることにより支持体の強度や剛性を増加させることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0022】
以下に、本発明が適用された実施形態について説明するが、本願発明は各実施形態に説明されたものに限定されるのではなく、必要に応じた種々のバリエーションが実施可能である。
[第1実施形態]
次に、図1乃至図3を参照して本発明に係る棚の第1実施形態について説明する。
【0023】
図1は、棚及びそれらを連結した家具コンビネーションを示す図である。図2は、枠体を構成するパネルを示す図である。図3は、枠体のコーナー部を示す分解組立図である。
図1に示す棚及びそれらを連結した家具コンビネーション1は、枠体20,30、棚板2,4、天板6、バックパネル8、引出10、ブレース12及び机14などから構成されている。
【0024】
枠体20には、棚板2,4と天板6とが取り付けられている。枠体20は、正面から見るとほぼ矩形である。枠体20の上辺及び下辺は横パネル21で構成され、左右の側面は縦パネル22で構成されている。図1において、横パネル21と縦パネル22との幅は等しくなるように形成されている。棚板2の幅は、横パネル21及び縦パネル22の幅にほぼ等しく、棚板4の幅は、横パネル21や縦パネル22の幅のほぼ2倍であり、天板6は、机14の天板として棚板4の幅よりも更に大きい幅を備えている。
【0025】
図1に示す枠体20の横パネル21と棚板2との間には、ブレース12が取り付けられている。ブレース12の取付方法については後で述べる。ブレース12により枠体20の強度や剛性を増加させることができる。なお、ブレース12は、枠体20の任意の位置に取り付けることができる。棚板4と天板6との間にはバックパネル8が取り付けられている。バックパネル8は天板6を備えた机14の立壁面として使うことができると同時に枠体20の強度及び剛性を増加させることができる。なお、バックパネル8は、枠体20の任意の位置に取り付けることができる。
【0026】
又、枠体30には天板4が取り付けられており、枠体30の下部には引出10が収納されている。枠体30は、枠体20を2個連結することにより形成される。そうすると、前述のように棚板4の幅が棚板2の幅のほぼ2倍であるので棚板4を枠体20及び枠体30に共通に使うことができる。枠体20と枠体30とは、棚板2aで連結されている。棚板2aの長さは必要に応じた大きさに作ることができる。このように、棚及びそれらを連結したコンビネーション1は、サイズの異なる枠体に棚板、天板などを取り付けたり、枠体同士を棚板で連結したり、机を形成したり、引き出しを枠体に収納したりすることにより広いバリエーションを備えた家具として構成することができる。
【0027】
図2に横パネル21と縦パネル22を示す。図2(a)は、横パネル21及び縦パネル22の側面を示す図である。図2(b)は横パネル21及び縦パネル22の一般断面を示す断面図である。横パネル21と縦パネル22とは同一断面を有しているが、長さだけが異なる。以後の説明においては、特に断らない限り横パネル21及び縦パネル22を横パネル21で代表させ単にパネル21と呼ぶことにする。
【0028】
パネル21の中央部には補強リブ24が形成されている。パネル21の両側端部近傍には平板状の厚さw1からなる保持部材取付部23が形成されている。保持部材取付部23には、パネル21の長さ方向に予め定める間隔で設けられた長さh2、幅w2からなる矩形の貫通穴23aが形成されている。なお、保持部材取付部23には、保持部材が取り付けられていない状態では、図10に示すように、セルパネルカバー32で保持部材取付部23及び貫通穴23aの部分に蓋をすることができる。又、以下の各実施形態において、保持部材取付部23の厚さw1と保持部材取付部23に設けられた貫通穴23aの長さh2と幅w2とは全て同じ大きさである。
【0029】
パネル21は、例えば、アルミニウム合金から押し出し成形によって作ることができる。前述のようにパネル21の断面を1種類にすると、押し出し型が1種類で済みパネル21の製造原価を低く抑えることができる。又、セルパネルカバー32は、例えば樹脂から作ることができる。それにより、枠体20,30の重量増加を抑制することができる。
【0030】
図3に横パネル21と縦パネル22との結合部を分解組立図で示す。横パネル21と縦パネル22とは、コーナージョイント25を介して結合されている。即ち、図3に示すように、コーナージョイント25に設けられたジョイント貫通穴25aにタッピングねじ27を挿入し、タッピングねじ27を締め付けることによって、横パネル21及び縦パネル22の端部にコーナージョイント25が固定される。その後、コーナージョイント25のコーナー部に外側からコーナーカバー31を被せる。更に、コーナージョイント25の両端部にはコーナーキャップ28を被せる。コーナーキャップ28をコーナージョイント25に被せるには、コーナーキャップ28に設けられたキャップボス部29をコーナージョイント25に設けられたボス部受け穴26に嵌入すればよい。
【0031】
なお、コーナージョイント25やコーナーカバー31は、パネル21,22と同じアルミニウム合金から押し出し成形によって作ることができる。コーナーキャップ28は、例えば樹脂から作ることができる。
【0032】
次に、図4乃至図6を参照して棚板2を枠体20に取り付け保持するための保持部材60について説明する。図4は、保持部材60及び棚板2を示す斜視図である。図5は、保持部材60を示す図である。図6は、保持部材がパネルに取り付けられた状態を示す図である。
【0033】
図4あるいは図5に示す保持部材60は、ほぼ矩形で平板状の本体部61と、本体部61の片方の長辺から延出した断面L字状の保持部67とから構成されている。本体部61の両端は本体部61から略直角に折り曲げられてコーナー部61aを構成している。保持部67は、本体部61からほぼ180度折り曲げられて棚板2を保持している。本体部61の幅は、棚板2の幅とほぼ等しくなるように形成されている。
【0034】
コーナー部61aは、図5(b)に示すように、本体部61の両端に1個ずつ設けられているがそれらは同一形状であるので、ここではそれらのうち片側のコーナー部61aについてのみ説明する。コーナー部61aの先端には、係合部62が形成されている。係合部62は、パネル21の保持部材取付部23に設けられたパネル貫通穴23aと係合するためのものである。
【0035】
係合部62は、フック66を備えている。フック66は、図6(a)に示すように、貫通穴23aの底面23bに当接し保持部材60の自重を支持する第1の面65と、第1の面65の一端から第1の面65に直交方向に延在し保持部材取付部23の保持部67の側の面23dに係合可能な第2の面64と、第2の面64に平行で第2の面64から略第1の面65の幅w1だけ離れ第2の面64が延在する方向とは反対方向に延在し保持部材取付部23の保持部67の側の面とは反対側の面23cに係合可能な第3の面63とを有している。保持部材60は、例えば鉄板からプレス加工によって作ることができる。
【0036】
次に、図6を参照して保持部材60をパネル21に取り付けた状態を説明する。図6(a)は、保持部材60がパネル21に取り付けられた側断面を示す図である。図6(b)は、図6(a)のA−A断面を示す図である。
【0037】
保持部材60をパネル21に取り付けるには、図6(a)に示すように、係合部62のフック66をパネル21の保持部材取付部23に設けられたパネル貫通穴23aにフック66の先端側から挿入する。フック66の長さh1はパネル貫通穴23aの長さh2よりも大きいのでフック66の先端をパネル貫通穴23aに垂直な方向から挿入し、フック66のフックコーナー部69をパネル貫通穴23aの上辺に当接させながらフック66をフックコーナー部69中心に回転させると容易にフック66をパネル貫通穴23aに挿入することができる。
【0038】
そうすると、フック66の第1の面65が貫通穴23aの底面23bと当接してフック66の自重が底面23bによって支持される。次に、フック66の第2の面64が保持部材取付部23の保持部67の側の面23dと係合し、更にフック66の第3の面63が保持部材取付部23の保持部67の側とは反対側の面23cと係合する。図6に示すように、フック66の長さh1はパネル貫通穴23aの長さh2より大きいため、一旦挿入されたフック66はパネル貫通穴23aから外れることが無い。
【0039】
第2の面64が保持部材取付部23の保持部67の側の面23dと当接することと、第3の面63が保持部材取付部23の保持部67の側の面とは反対側の面23cと当接することによって保持部材60が第1の面65上の点を支点として回転しようとする回転運動が規制される。又、図5(a)に示すように、フック66のフックコーナー部69がパネル貫通穴23aの上面に当接しフック66の第1の面65がパネル貫通穴23aの底面23bに当接するため、フック66の上下方向の移動が規制される。更に、保持部材60の係合部62を保持部材取付部23の異なる高さにある貫通穴23aに係合させることにより棚板2の高さを簡単に変更することができる。
[第2実施形態]
次に、図7を参照して第2実施形態について説明する。
【0040】
図7は、パネルの保持部材取付部の両面に取り付けられた保持部材を示す図である。図7(a)は、同じ形状と大きさを有する保持部材60と60cとがパネル21の保持部材取付部23の両側面23cと23dとに取り付けられた断面を示す図である。図7(b)は、図7(a)のB−B断面を示す断面図である。図7(a)において、パネル21のパネル貫通穴23aには保持部材60と保持部材60cとが同時に取り付けられている。即ち、保持部材60のフック66をパネル21のパネル貫通穴23aに右側(図7(a)のR方向側)から挿入する。フック66とパネル貫通穴23aとの係合は、既に図6(a)に示した通りであるのでここでは説明を省略する。
【0041】
この状態から更に、保持部材60cのフック66cをパネル21のパネル貫通穴23aに左側(図7(a)のL方向側)から挿入する。このことは、図7(b)に示すようにパネル貫通穴23aの幅w2が保持部材60のフック66の板厚と保持部材60cのフック66cの板厚との合計より大きいため可能となっている。
【0042】
保持部材60cをパネル21に取り付けるには、図7(a)に示すように、係合部62cのフック66cをパネル21の保持部材取付部23に設けられたパネル貫通穴23aにフック66cの先端側から挿入する。フック66cの長さh1はパネル貫通穴23aの長さh2よりも大きいのでフック66cの先端をパネル貫通穴23aに垂直な方向から挿入し、フック66cのフックコーナー部69cをパネル貫通穴23aの上辺に当接させながらフック66cをフックコーナー部69c中心に回転させると容易にフック66cをパネル貫通穴23aに挿入することができる。
【0043】
そうすると、フック66cの第1の面65cが貫通穴23aの底面23bと当接してフック66cの自重が底面23bによって支持される。次に、フック66cの第2の面64cが保持部材取付部23の保持部67cの側の面23cと係合し、更にフック66cの第3の面63cが保持部材取付部23の保持部67cの側の面とは反対側の面23dと係合する。図6に示したように、フック66cの長さh1はパネル貫通穴23aの長さh2より大きいため、一旦挿入されたフック66cはパネル貫通穴23aから外れることが無い。
【0044】
第2の面64cが保持部材取付部23の保持部67cの側の面23cと当接することと、第3の面63cが保持部材取付部23の保持部67cの側の面とは反対側の面23dと当接することによって保持部材60cが第1の面65c上の点を支点として回転しようとする回転運動が規制される。又、図7に示すように、フック66cのフックコーナー部69cがパネル貫通穴23aの上面に当接しフック66cの第1の面65cがパネル貫通穴23aの底面23bに当接するため、フック66cの上下方向の移動が規制される。
【0045】
このようにすると、パネル21の両側面に保持部材60,60cをそれぞれ同時に取り付けることができる。これにより、枠体20の内側に棚板を取り付け、同時に2個の枠体20同士を保持部材及び保持部材に取り付けられた棚板で連結できる。即ち、2個以上の枠体を連結し、枠体の間に棚板や後述する天板等を取り付け、家具として使用することができる。
【0046】
なお、保持部材60cは保持部材60と同じように鉄板からプレス加工によって作ることができる。
[第3実施形態]
次に、図8と図9とを参照して本発明に係る第3実施形態について説明する。
【0047】
第3実施形態は、第1実施形態より大きい幅の棚板4を枠体20に取り付けた場合である。図8は、保持部材70及び棚板4を示す斜視図である。図9は、保持部材70を示す図である。
【0048】
図8あるいは図9に示す保持部材70は、ほぼ矩形で平板状の本体部71と、本体部71の片方の長辺から延出した断面L字状の保持部77と、保持部77に溶接されたL字金具78とから構成されている。本体部71の両端は、本体部71に直角に折り曲げられてコーナー部71aを構成している。保持部77は、本体部71からほぼ180度折り曲げられて棚板受け部を形成している。L字金具78の幅は、棚板4の幅とほぼ等しくなるように形成されている。
【0049】
コーナー部71aは、図9(b)に示すように、本体部71の両端に1個ずつ設けられているがそれらは同一形状であるので、ここではそれらのうち片側のコーナー部71aについてのみ説明する。コーナー部71aの先端には、係合部72が形成されている。係合部72は、パネル21の保持部材取付部23に設けられたパネル貫通穴23aと係合するためのものである。
【0050】
係合部72は、フック76を備えている。フック76は、図9(a)に示すように、貫通穴23aの底面23bに当接し保持部材70の自重を支持する第1の面75と、第1の面75の一端から第1の面75に直交方向に延在し保持部材取付部23の保持部77の側の面23dに係合可能な第2の面74と、第2の面74に平行で第2の面74から略第1の面75の幅w1だけ離れ第2の面74が延在する方向とは反対方向に延在し保持部材取付部23の保持部77の側の面とは反対側の面23cに係合可能な第3の面73とを有している。保持部材70は、例えば鉄板からプレス加工によって作ることができる。
【0051】
保持部材70をパネル21に取り付けるには、図9(a)に示す係合部72のフック76を、図6(a)に示した場合と同じように、パネル21の保持部材取付部23に設けられたパネル貫通穴23aにフック76の先端側から挿入する。フック76の長さh1はパネル貫通穴23aの高さh2よりも大きいのでフック76の先端をパネル貫通穴23aに垂直な方向から挿入し、フック76のフックコーナー部79をパネル貫通穴23aの一辺に当接させながらフック76をフックコーナー部79中心に回転させると容易にフック76をパネル貫通穴23aに挿入することができる。
【0052】
そうすると、フック76の第1の面75が貫通穴23aの底面23bと当接して保持部材70の自重が底面23bによって支持される。次に、フック76の第2の面74が保持部材取付部23の保持部77の側の面23dと係合し、更にフック76の第3の面73が保持部材取付部23の保持部77の側の面とは反対側の面23cと係合する。図9(a)に示すように、フック76の長さh1はパネル貫通穴23aの長さh2より大きいため、一旦挿入されたフック76はパネル貫通穴23aから外れることが無い。
【0053】
第2の面74が保持部材取付部23の保持部77の側の面23dと当接することと、第3の面73が保持部材取付部23の保持部77の側の面とは反対側の面23cと当接することによって保持部材70が第1の面75上の点を支点として回転しようとする回転運動が規制される。又、図9(a)に示すように、フック76のフックコーナー部79がパネル貫通穴23aの上面に当接しフック76の第1の面75がパネル貫通穴23aの底面23bに当接するため、フック76の上下方向の移動が規制される。更に、保持部材70の係合部72を保持部材取付部23の異なる高さにある貫通穴23aに係合させることにより棚板4の高さを簡単に変更することができる。
【0054】
次に、図10と図11とを参照して、図2に示したパネル21と同じ幅のパネル22,22aを連結した状態を説明する。図10は、パネル22とパネル22aとをセルジョイント33によって連結した状態を示す図である。図11は、セルジョイント33を示す図である。
【0055】
パネル22とパネル22aとを連結するには、図10に示すように、パネル22の保持部材取付部に設けられたパネル貫通穴とパネル22aの保持部材取付部に設けられたパネル貫通穴とにセルジョイント33のボス部33aの端面を当接させねじ34をボス部33aに設けられたねじ穴33bに螺合させればよい。
【0056】
このようにすると、例えば、保持部材70をパネル22に取り付けることにより保持部材70のL字金具78がパネル22に連結されたパネル22aの方へ延出しているので、保持部材70に取り付けられた棚板4の奥行き幅をパネル22とパネル22aとの幅の合計幅に合わせることができる。
【0057】
この場合、パネル22とパネル22aの両方に保持部材を取り付ける必要がないため、保持部材の数を減少させることができる。また、短時間で棚板4の取り付け取り外しを行うことができ、棚板4の高さを変更することができる。
[第4実施形態]
次に、図12と図13とを参照して本発明に係る第4実施形態について説明する。
【0058】
第4実施形態は、天板6を枠体20に取り付けた場合である。図12は、保持部材80及び天板6を示す斜視図である。図13は、保持部材80を示す図である。
図12あるいは図13に示す保持部材80は、ほぼ矩形で平板状の本体部81と、本体部81の片方の長辺から延出した断面L字状の保持部87とから構成されている。本体部81の両端は、本体部81に直角に折り曲げられてコーナー部81aを構成している。保持部87は、本体部81からほぼ水平横方向に延出し天板受け部を形成している。保持部87には、ねじ用の貫通穴87aが設けられている。
【0059】
保持部材80をパネル21に取り付けるには、図12(a)に示す係合部82のフック86を、図6(a)に示した場合と同じように、パネル21の保持部材取付部23に設けられたパネル貫通穴23aにフック86の先端側から挿入する。フック86の長さh1はパネル貫通穴23aの長さh2よりも大きいのでフック86の先端をパネル貫通穴23aに垂直な方向から挿入し、フック86のフックコーナー部89をパネル貫通穴23aの一辺に当接させながらフック86をフックコーナー部89中心に回転させると容易にフック86をパネル貫通穴23aに挿入することができる。
【0060】
そうすると、フック86の第1の面85が貫通穴23aの底面23bと当接して保持部材80の自重が底面23bによって支持される。次に、フック86の第2の面84が保持部材取付部23の保持部87の側の面23dと係合し、更にフック86の第3の面83が保持部材取付部23の保持部87の側の面とは反対側の面23cと係合する。前述のように、フック86の長さh1はパネル貫通穴23aの長さh2より大きいため、一旦挿入されたフック86はパネル貫通穴23aから外れることが無い。
【0061】
第2の面84が保持部材取付部23の保持部87の側の面23dと当接することと、第3の面83が保持部材取付部23の保持部87の側の面とは反対側の面23cと当接することによって保持部材80が第1の面85上の点を支点として回転しようとする回転運動が規制される。又、図13(a)に示すように、フック86のフックコーナー部89がパネル貫通穴23aの上面に当接しフック86の第1の面85がパネル貫通穴23aの底面23bに当接するため、フック86の上下方向の移動が規制される。更に、保持部材80の係合部82を保持部材取付部23の異なる高さにある貫通穴23aに係合させることにより天板6の高さを簡単に変更することができる。
【0062】
天板6を固定するには、保持部87のねじ貫通穴87aに天板6の下面からねじ(不図示)を通し天板6に設けられたねじ穴(不図示)に螺合させればよい。保持部材80は、例えば鉄板からプレス加工によって作ることができる。
[第5実施形態]
図14を参照して本発明に係る第5実施形態について説明する。
【0063】
第5実施形態は、取付具としてのハンガー金具を支持体としての枠体20に取り付ける場合である。図14(a)はハンガー金具90を示す斜視図である。図14(b)〜(d)は、ハンガー金具90を示す図である。
【0064】
ハンガー金具90は、図14(c)に示すように、取付本体部91と係合部92とが一体的に成形されている。取付本体部91は直方体形状である。取付本体部91のほぼ中央部には雌ねじ部97が設けられ、雌ねじ部97には、ねじ97aが螺合されている。
【0065】
係合部92は、フック96を備えている。フック96は、図14(c)に示すように、ハンガー金具90の自重を支持する第1の面95と、第1の面95の一端から第1の面95に直交方向に延在し保持部材取付部23の取付本体部91の側の面23dに係合可能な第2の面94と、第2の面94に平行で第2の面94から略第1の面95の幅w1だけ離れ第2の面94が延在する方向とは反対方向に延在し保持部材取付部23の本体取付部91の側の面とは反対側の面に係合可能な第3の面とを有している。フック96の幅w3は、パネル21に設けられた貫通穴23aの幅w2より僅かに小さくなっている。ハンガー金具90はアルミニウム合金から作ることができる。
【0066】
ハンガー金具90をパネル21に取り付けるには、図6(a)に示した場合と同じように、図14(c)に示す係合部92のフック96をパネル21の保持部材取付部23に設けられたパネル貫通穴23aにフック96の先端側から挿入する。
【0067】
そうすると、フック96の第1の面95が貫通穴23aの底面23bと当接してフック96の自重が底面23bによって支持される。次に、フック96の第2の面94が保持部材取付部23の本体取付部91の側の面23dと係合し、同時にフック96の第3の面93が保持部材取付部23の本体取付部91の側の面とは反対側の面23cと係合する。図6に示したように、フック96の長さh1はパネル貫通穴23aの長さh2より大きいため、一旦挿入されたフック96はパネル貫通穴23aから外れることが無い。
【0068】
第2の面94が保持部材取付部23の本体取付部91の側の面23dと当接することと、第3の面93が保持部材取付部23の本体取付部91の側の面とは反対側の面23cと当接することによってハンガー金具90が第1の面95上の点を支点として回転しようとする回転運動が規制される。又、図14(c)に示すように、フック96のフックコーナー部99がパネル貫通穴23aの上面に当接しフック96の第1の面95がパネル貫通穴23aの底面23bに当接するため、フック96の上下方向の移動が規制される。更に、ハンガー金具90の係合部92を保持部材取付部23の異なる高さにある貫通穴23aに係合させることにより取付対象物の高さを簡単に変更することができる。
【0069】
このようにすると、図14(c)に示すように、ねじ97aを介してバックパネル8をハンガー金具90に固定することができる。バックパネル8を図1に示すように天板6の上側に取り付けると、机14の上部における立壁面として使うことができる。バックパネル8は、枠体20の強度及び剛性を増加させることができる。又、図1に示したように、ハンガー金具90にねじ97aを介してブレース12を固定することもできる。ブレース12は、枠体20の強度及び剛性を増加させることができる。
[第6実施形態]
図15を参照して本発明に係る第6実施形態について説明する。
【0070】
第6実施形態は、引出10を枠体20に取り付けた場合である。図15は、保持部材100及び引出10を示す斜視図である。図15に示す保持部材100は、ほぼ矩形で平板状の本体部101と、本体部101に固定されたスライドレール107とから構成されている。本体部101の両端は本体部101に直角に折り曲げられてコーナー部101aを構成している。本体部61の幅は、スライドレール107の幅とほぼ等しくなるように形成されている。
【0071】
コーナー部101aは、図15に示すように、本体部101の両端に1個ずつ設けられているがそれらは同一形状であるので、ここではそれらのうち片側のコーナー部101aについてのみ説明する。コーナー部101aの先端には、パネル21の保持部材取付部23に設けられたパネル貫通穴23aと係合するための係合部102が形成されている。
【0072】
係合部102は、フック106を備えている。フック106の形状は、図5(a)に示した保持部材60のフック66と同じであり、保持部材取付部23への取付方法も保持部材60の保持部材取付部23への取付方法と同じであるのでここでは説明を省略する。保持部材100は、例えば鉄板からプレス加工によって作ることができる。
【0073】
保持部材100をパネル21に取り付けるには、図6(a)に示した場合と同じように、図15に示す係合部102のフック106をパネル21の保持部材取付部23に設けられたパネル貫通穴23aにフック106の先端側から挿入する。以下、保持部材60について説明したのと同じであるので説明を省略する。
【0074】
なお、図1に示した枠体20は、縦パネル21が枠体1の上下辺に使われ、横パネル22が枠体1の側面に使われているが、枠体1を横向きに置き、横パネル22を上下辺に使い、縦パネル21を側面に使うこともできる。
【0075】
以上、本発明の実施形態について説明したが、請求項5に記載の取付具はハンガー金具90が相当する。
【図面の簡単な説明】
【0076】
【図1】棚及びそれらを連結した家具コンビネーション全体を示す図である。
【図2】枠体を構成するパネルを示す図である。
【図3】枠体のコーナー部を示す分解組立図である。
【図4】保持部材及び棚板を示す斜視図である。
【図5】保持部材を示す図である。
【図6】保持部材がパネルに取り付けられた状態を示す図である。
【図7】パネルの保持部材取付部の両側に取り付けられた保持部材を示す図である。
【図8】保持部材及び棚板を示す斜視図である。
【図9】保持部材を示す図である。
【図10】2個のパネルが連結された状態を示す図である。
【図11】セルジョイントを示す図である。
【図12】保持部材及び天板を示す斜視図である。
【図13】保持部材を示す図である。
【図14】ハンガー金具を示す図である。
【図15】引出保持部材を示す斜視図である。
【符号の説明】
【0077】
1・・・棚及びそれらを連結した家具コンビネーション
2,2a,2c・・・棚板 4・・・棚板
6・・・天板 8・・・バックパネル 10・・・引出し
12・・・ブレース 14・・・机 20,30・・・枠体
21・・・横パネル 22・・・縦パネル 22a・・・縦パネル
23・・・保持部材取付部 23a・・・パネル貫通穴 23b・・・底面
23c・・・保持部の側あるいは本体取付部の側の面
23d・・・保持部の側あるいは本体取付部の側の面の反対側の面
24・・・補強リブ 25・・・コーナージョイント
25a・・・ジョイント貫通穴
26・・・ボス部受け穴 27・・・タッピングねじ 28・・・コーナーキャップ
29・・・キャップボス部 31・・・コーナーカバー 32・・・セルパネルカバー
33・・・セルジョイント 33a・・・セルジョイントボス部
33b・・・セルジョイントねじ穴 34・・・ねじ
60,60c・・・保持部材 61,61c・・・本体部
61a・・・コーナー部 62,62c・・・係合部 63,63c・・・第3の面
64,64c・・・第2の面 65,65c・・・第1の面
66,66c・・・フック 67,67c・・・保持部
69,69c・・・フックコーナー部 70・・・保持部材
71・・・本体部 71a・・・コーナー部 72・・・係合部
73・・・第3の面 74・・・第2の面 75・・・第1の面
76・・・フック 77・・・保持部 78・・・L字金具
79・・・フックコーナー部 80・・・保持部材 81・・・本体部
81a・・・コーナー部 82・・・係合部 83・・・第3の面
84・・・第2の面 85・・・第1の面 86・・・フック
87・・・天板受け部 87a・・・ねじ貫通穴部 89・・・フックコーナー部
90・・・ハンガー金具 91・・・取付本体部 92・・・係合部
93・・・第3の面 94・・・第2の面 95・・・第1の面
96・・・フック 97・・・雌ねじ部 97a・・・ねじ
99・・・フックコーナー部 100・・・引出保持部材
101・・・本体部 101a・・・コーナー部 102・・・係合部
103・・・第3の面 104・・・第2の面 105・・・第1の面
106・・・フック 107・・・スライドレール

【特許請求の範囲】
【請求項1】
枠体で囲まれた棚であって、
前記棚を仕切るための棚板と、
前記棚板を前記枠体に取り付け保持するための保持部材とからなり、
前記保持部材は、前記枠体に予め定める間隔で設けられた複数の貫通穴と係合するための係合部と前記棚板を保持するための保持部とを備え、
前記係合部は、前記貫通穴の底面に当接し前記保持部材の自重を支持する第1の面と、前記第1の面の一端から前記第1の面に直交方向に延在し前記枠体の前記保持部の側の面に係合可能な第2の面と、前記第2の面に平行で前記第2の面から略前記第1の面の幅だけ離れ前記第2の面が延在する方向とは反対方向に延在し前記枠体の前記保持部の側の面とは反対側の面に係合可能な第3の面とを有することを特徴とする棚。
【請求項2】
前記保持部材が、前記枠体の両側の面に取り付け可能であることを特徴とする、請求項1に記載の棚。
【請求項3】
前記保持部材に机の天板が取り付けられたことを特徴とする、請求項1又は2に記載の棚。
【請求項4】
前記保持部材に引出しが取り付けられたことを特徴とする、請求項1又は2に記載の棚。
【請求項5】
取付対象物を支持体に取り付けるための取付具であって、
前記取付具は、前記支持体に設けられた貫通穴と係合するための係合部と前記取付対象物を係止するための取付本体部とを備え、
前記係合部は、前記貫通穴の底面に当接し前記取付具の自重を支持する第1の面と、前記第1の面の一端から前記第1の面に直交方向に延在し前記支持体の前記取付本体部の側の面に係合可能な第2の面と、前記第2の面に平行で前記第2の面から略前記第1の面の幅だけ離れ前記第2の面が延在する方向とは反対方向に延在し前記支持体の前記取付本体部の側の面とは反対側の面に係合可能な第3の面とを有することを特徴とする取付具。
【請求項6】
前記取付具は、前記取付対象物を取り付けるための螺合部を備えたことを特徴とする、請求項5に記載の取付具。
【請求項7】
前記取付対象物は、バックパネルであることを特徴とする、請求項6に記載の取付具。
【請求項8】
前記取付対象物は、ブレースであることを特徴とする、請求項6に記載の取付具。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【公開番号】特開2006−141635(P2006−141635A)
【公開日】平成18年6月8日(2006.6.8)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−334862(P2004−334862)
【出願日】平成16年11月18日(2004.11.18)
【出願人】(000116596)愛知株式会社 (37)
【Fターム(参考)】