棚板取付構造
【課題】 左右に一定間隔を存して対向した側板の所定高さ位置における対向面間に棚板の両側端部を取り外し可能に且つ強固に結合、一体化させて剛直な組立棚を形成できる棚板取付構造を提供する。
【解決手段】 前後部に一定間隔を存して受軸係合溝6を設けている端面カバー部材4を棚板5の両側端部に固着し、この棚板5を側板1、1間に挿入して、両側端面カバー部材4の係合溝6の後端部の下向きに開口した挿入溝部7に側板1、1の対向面から突設している前後一対の棚板受軸3の係合頭部3bを挿入、係合させ、この状態から棚板5を後方に移動させることにより、係合頭部3bの背面を挿入溝部7から前方に向かって延設しているガイド溝部8の開口端上下部に突設した突条部9の内側傾斜側壁面9bに摺接、係止させて端面カバー部材4の外側端面を棚板5に接合、圧着させるように構成している。
【解決手段】 前後部に一定間隔を存して受軸係合溝6を設けている端面カバー部材4を棚板5の両側端部に固着し、この棚板5を側板1、1間に挿入して、両側端面カバー部材4の係合溝6の後端部の下向きに開口した挿入溝部7に側板1、1の対向面から突設している前後一対の棚板受軸3の係合頭部3bを挿入、係合させ、この状態から棚板5を後方に移動させることにより、係合頭部3bの背面を挿入溝部7から前方に向かって延設しているガイド溝部8の開口端上下部に突設した突条部9の内側傾斜側壁面9bに摺接、係止させて端面カバー部材4の外側端面を棚板5に接合、圧着させるように構成している。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、組立棚における棚板の取付構造、特に、一定間隔を存して立設する両側板に対して強固に結合して剛直な組立棚に形成することができる棚板取付構造に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来から、組立式の収納棚や本棚等においては、左右方向に一定の間隔を存して側板を立設すると共にこれらの側板の上端部間と下端部間にそれぞれ天板と底板をボルト等により一体に連結して矩形枠状の棚本体を組立て、この棚本体における左右両側の上記側板間に棚板を配設して該棚板の両側端部を側板の対向面に突設している数本の軸体上に受止させるように構成したものが一般的に知られているが、このような棚板取付構造では、棚板の下面に手などによる上向き力が不測に作用した場合に、該棚板が軸体から浮き上がって棚板に上載している物品が落下し、破損等が生じるといった問題点がある。
【0003】
このため、例えば、特許文献1及び特許文献2に記載されているように、軸体から棚板が浮き上がるのを防止することができる組立棚が開発された。この組立棚における棚板取付構造は、棚板の両側木口端面における前後部に、木口端面から内部に向かって一定深さを有し、且つ、前後方向に長いガイド溝部を刻設すると共にこのガイド溝部の後端部を棚板の下面から開口した挿入溝部に形成してなる軸体係合溝を設け、この棚板を両側板間に挿入してこれらの両側板の対向面における同一高さ位置の前後部に突設した軸体上にその両側木口面の前後部に設けている上記係合溝の挿入溝部を対向させ、この状態から棚板を下ろすことによって前後軸体を前後の係合溝の挿入溝部にそれぞれ挿入させてガイド溝部の後端部の上壁面に当接させ、しかるのち、棚板を棚奥側に向かって押し込むことにより、ガイド溝部を介して側板を軸体に浮き上がり不能に支持させた構造としている。
【特許文献1】実開昭53−77121号公報
【特許文献2】特許第3284459号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、上記のような組立棚の棚板取付構造によれば、棚板が不測に浮き上がろうとした際に、軸体が棚板の木口端面に刻設している係合溝における前後方向に長いガイド溝部の天壁面に係止するので、その浮き上がりを防止することができても、軸体とガイド溝とは軸体の長さ方向に対しては何ら係合していないから、両側板間に棚板を上記のように挿入して軸体により支持させても、棚板が載荷重等によって下方に撓み変形した場合には、棚板の両側木口端部が軸体から外れるいった事態が発生する。
【0005】
さらに、軸体は棚板の両側木口端部を単に支持しているだけで、該木口端面を側板の対向面に圧着させる作用、即ち、棚板の両側端部を側板に結合させる作用などは全く行うことはなく、従って、両側板の上端部間と下端部間とを天板と底板とによって強固に連結して矩形枠状の剛直な棚本体を形成したのち、この棚本体の両側板間に棚板を挿入して軸体により支持させた組立棚しか構成することができず、天板や底板を不必要にして複数枚の棚板によって両側板間を強固に連結してなる自立性を有する組立棚を構成することができない等の問題点があった。
【0006】
本発明はこのような問題点に鑑みてなされたもので、その目的とするところは、組立棚における両側板の対向面間に棚板を取付けた際に、該棚板の浮き上がり等が防止できるように取付けることができるのは勿論、該棚板の両側木口端部を両側板の対向面に強固に結合、固定させて剛直な組立棚を構成することができる棚板取付構造を提供するにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記目的を達成するために本発明の棚板取付構造は、請求項1に記載したように、左右方向に一定間隔を存して立設した側板の対向面間に棚板を配設してこの棚板の両側端部を上記側板の対向面における同じ高さ位置の前後部に突設した棚板受軸に支持させるように構成した棚板取付構造であって、上記棚板受軸は、側板に取付ける軸部の先端に側板から小間隔を存して突出した係合頭部を有している一方、上記棚板は、その両側端部に上記棚板受軸の係合頭部を係合させる係合溝を設けてあり、この係合溝は、棚板受軸の上記係合頭部が挿入可能な下向きに開口した挿入溝部とこの挿入溝部から前方に向かって延設されたガイド溝部とからなり、さらに、側板に向かって開口している上記ガイド溝部の開口端に棚板受軸の頭部の背面を係止させる側壁面を有する一定高さの突条部を突設していると共に、この突条部の上記側壁面を挿入溝部側からガイド溝部の端部に向かうに従って突条部が肉厚となる方向に傾斜した傾斜側壁面に形成してなる構造を有している。
【0008】
このように構成した棚板取付構造において、請求項2に係る発明は、上記棚板の両側端部に、この棚板の側端部に被嵌する側面横長長方形状の周壁部と、この周壁部と一体に設けられ、且つ、その側端面を側板の対向面に当接させる垂直な側端面に形成された同じく横長長方形状の端面壁板部とからなる硬質合成樹脂製の端面カバー部材を固着してあり、この端面カバー部材の端面壁板部の前後部に上記係合溝を設けていることを特徴とする。
【0009】
さらに、請求項3に係る発明は上記棚板受軸の構造であって、側板に設けているネジ孔に螺合する螺軸部と、この螺軸部の先端に設けている係合頭部と、この係合頭部の背面中央部に一体に設けられ、該係合頭部よりも小径で且つ端面カバー部材に設けているガイド溝部の突条部上を摺接する外径を有するボス部とを備えてなり、このボス部における螺軸部に面した端面を側板の対向面に当接させた状態で棚板受軸を側板に設けている上記ネジ孔に取付けるように構成している。
【0010】
また、請求項4に係る発明は、上記端面カバー部材に設けた係合溝におけるガイド溝部の開口端に突設した突条部をガイド溝部の開口端の上下端に設けていると共に、棚板受軸の頭部がガイド溝部の端部に達した時の該頭部の裏面が係止する楔状傾斜側面部分の突条部の内外側端面間の幅を棚板受軸のボス部の厚みに等しくなるように形成していることを特徴とする。
【発明の効果】
【0011】
本発明の請求項1に係る発明によれば、左右方向に一定間隔を存して立設した側板の対向面間に棚板を配設してこの棚板の両側端部を上記側板の対向面における同じ高さ位置の前後部に突設した棚板受軸に支持させるように構成した棚板取付構造において、上記棚板受軸は、側板に取付ける軸部の先端に側板から小間隔を存して突出した係合頭部を有している一方、上記棚板は、その両側端部に上記棚板受軸の係合頭部を係合させる係合溝を設けてあり、この係合溝は、棚板受軸の上記係合頭部が挿入可能な下向きに開口した挿入溝部とこの挿入溝部から前方に向かって延設されたガイド溝部とからなるので、左右両側板の対向面に突設している棚板受軸に、棚板の両側端部に設けている上記係合溝の挿入溝部を挿入させることによって棚板を棚板受軸に簡単に支持させることができるのは勿論、この状態から棚板を後方に向かって押し進めれば、棚板受軸が係合溝における前後方向に長いガイド溝部の天壁面に摺接しながらこのガイド溝部の端部に達し、棚板が上方に浮き上がるのを防止した取付構造とすることができる。
【0012】
さらに、本発明の棚板取付構造によれば、側板に向かって開口している上記ガイド溝部の開口端に棚板受軸の頭部の背面を係止させる側壁面を有する一定高さの突条部を突設しているので、係合溝の挿入溝部に棚板受軸を挿入、係合させたのち、棚板を両側板の対向面に沿って上述したように後方側に平行移動させると、ガイド溝部の端部に向かって相対的に移動する棚板受軸の頭部の背面が突条部に係止して棚板の側端部と左右の両側板とをて一体に結合させることができ、従って、棚板が載荷重等によって下方に撓もうとしても上記突条部と棚板受軸との係止によってその撓みを抑制することができると共に、棚板が棚板受軸から外れるのを確実に防止することができる。
【0013】
その上、突条部の上記側壁面を挿入溝部側からガイド溝部の端部に向かうに従って突条部が肉厚となる方向に傾斜した傾斜側壁面に形成しているので、ガイド溝部に棚板受軸の頭部を係合させた状態で棚板を両側板の対向面に沿って後方に押し進めると、上記突条部の傾斜側壁面が楔の機能を奏して棚板受軸の頭部の背面に食い込むように係止し、この棚板受軸を突設している側板を棚板の対向側端面側に引き寄せながら側板と棚板との対向面同士を強固に圧着させることができ、従って、左右の両側板の上端部間と下端部間とを天板や底板で固定することなく、棚板と左右両側の側板とが強固に連結した剛直な組立棚を構成することができる。
【0014】
請求項2に係る発明によれば、上記棚板の両側端部に、この棚板の側端部に被嵌する側面横長長方形状の周壁部と、この周壁部と一体に設けられ、且つ、その側端面を側板の対向面に当接させる垂直な側端面に形成された同じく横長長方形状の端面壁板部とからなる硬質合成樹脂製の端面カバー部材を固着してあり、この端面カバー部材の端面壁板部の前後部に係合溝を設けているので、棚板が木質材からなる場合にあっては、その両側端部をこの硬質合成樹脂製の端面カバー部材によって保護して欠損等が生じるのを防止することができると共にこの端面カバー部材を介して棚板を側板から突設している棚板受軸に係合溝等が損傷することなく確実且つ安定した状態で支持させておくことができ、且つ、端面カバー部材の側端面を側板の対向面に全面的に当接させた状態にしてグラツキ等が生じることなく強固に支持させておくことができる。また、予め、所望の長さにカットした棚板に端面カバー部材を螺着することによって側板間寸法を任意に変更することができる。
【0015】
さらに、請求項3に係る発明によれば、上記棚板受軸は、側板に設けているネジ孔に螺合する螺軸部と、この螺軸部の先端に設けている係合頭部と、この係合頭部の背面中央部に一体に設けられ、該係合頭部よりも小径で且つ端面カバー部材に設けているガイド溝部の突条部上を摺接する外径を有するボス部とからなり、このボス部の螺軸部側に面した端面を側板の対向面に当接させた状態で棚板受軸を側板に設けている上記ネジ孔に取付けるように構成しているので、側板に設けているネジ孔に棚板受軸の螺軸部をボス部が棚板面に当接するまで螺入させることにより係合頭部を常に棚板面からボス部の厚み間隔を存した正確な突出位置に配設することができると共に、棚板の取付け時に端面カバー部材に設けている上記嵌合溝のガイド溝部に棚板受軸の係合頭部を嵌合させると、このボス部がガイド溝部の開口端に突設している突条部上に位置してこの突条部上を円滑に摺接させながら係合頭部をガイド溝部の端部側に相対移動させて、側板と棚板との結合による棚の組立作業が能率よく行うことができる。この場合、ボス部と係合頭部、又は螺軸部とボス部が回動自在に取り付けられることで、係合頭部をガイド溝部において容易に相対移動させることができる。
【0016】
また、請求項4に係る発明によれば、上記突条部をガイド溝部の開口端の上下端に設けていると共に、棚板受軸の頭部がガイド溝部の端部に達した時の該頭部の裏面が係止する楔状傾斜側面部分の突条部の内外側端面間の幅を棚板受軸のボス部の厚みに略等しくなるように形成しているので、棚の組立時に、両側板の対向面における同一高さ部分の前後部に取付けた上記棚板受軸の頭部に棚板の両側端面カバー部材に設けている上記ガイド溝部を挿入した状態で棚板を後方に押し進めると、棚板受軸の頭部の背面をガイド溝部の開口端に設けている突条部の楔状傾斜側面に位置合わせをすることなく確実且つ自動的に係止させることができると共に頭部の背面における上周部と下周部とが上下突条部の楔状傾斜側面に係止して、棚板を棚奥側に押し進めるに従って、側板を棚板の端面カバー部材の端面全面に均一な圧接力でもって圧着、結合させることができ、何等の熟練も要することなく品質の均一な棚を能率よく組み立てることができる。また、この時、係合頭部の表層を軟質可撓性樹脂で形成することにより、滑り止め効果を発揮し、側板と棚板を確実に係合させることが可能となる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0017】
本発明の具体的な実施の形態を図面について説明すると、組立棚は図1、図2に示すように、左右に一定間隔を存して互いに平行に立設した一定幅と高さを有する縦長長方形状の木質板からなる側板1、1と、これらの側板1、1の対向面に上下方向に一定間隔毎に設けられた前後一対のネジ孔2、2と、所望高さ位置における前後一対のネジ孔2、2に螺合させた棚板受軸3、3と、対向する側板1、1から突設しているこれらの棚板受軸3、3にその両側端部に装着している端面カバー部材4、4を支持させて側板1、1の対向面間に配設している木質板からなる棚板5とから構成されている。
【0018】
側板1、1は、その対向面に該側板1の幅方向に相当する前後方向に一定間隔を存して一定深さの取付孔10、10(図5、図7に示す)を穿設すると共に、これらの前後一対の取付孔10、10を側板1、1の高さ方向である上下方向に一定間隔毎に複数対、設けて全ての取付孔10、10に袋ナットを嵌入、固定し、この袋ナットによって上記ネジ孔2、2を形成している。
【0019】
このネジ孔2に取外し可能に螺合させる上記棚板受軸3は、該ネジ孔2に螺合する螺軸部3aと、この螺軸部3aの先端に設けている一定径と一定厚みを有する円形の係合頭部3bと、この係合頭部3bの螺軸部3a側に面する背面中央部に一体に設けられた一定厚みを有する円形のボス部3cとからなり、このボス部3cは螺軸部3aよりも大径で、係合頭部3bよりも小径に形成されていてこのボス部3cの先端側外周端から外径方向に突出している係合頭部3bのリング状背面を、上記端面カバー部材4に設けている後述する係合溝6におけるガイド溝部8の開口端に突設した突条部9の楔状傾斜側面9bに係止する係止面3dに形成していると共に、ボス部3cの外周面をこの突条部9上に摺接させるように形成している。
【0020】
この棚板受軸3は、ボス部3cから突出した一定長さを有する螺軸部3aと係合頭部3bとボス部3cとを硬質合成樹脂により一体に成形された成形品であってよいが、係合頭部3bとボス部3cとを硬質合成樹脂によって一体に形成して、係合頭部3bの頂面中央部からボス部3cの中央部を貫通する螺子挿通孔を設けて該螺子挿通孔に金属製の皿ネジを回動自在に挿嵌させると共にこの皿ネジの頭部を係合頭部3bの頂部に設けている皿状の凹部には嵌合させ、ボス部3cから突出するネジ部を上記螺軸部3aとしている。
【0021】
棚板5の木口側端部である両側端部に装着している上記端面カバー部材4、4は、硬質合成樹脂からなる成形部材であって、図3〜図5に示すように、棚板5の側端面に対向する内側部分を棚板5の側端部の外周面に被嵌する側面横長長方形状の枠状の周壁部4aに形成していると共に、側板1に対向する外側部分をこの周壁部4aと同一側面形状の一定厚みを有する端面壁板部4bに形成してあり、棚板5の側端部をこの端面カバー部材4の周壁部4a内に挿嵌した際に、該棚板5の側端面をこの周壁部4aの奥側に露出している上記端面壁板部4bの内側端面に当接させるように形成していると共に、この端面壁板部4bの外側端面を側板1の対向面に当接可能な垂直な側端面に形成している。
【0022】
さらに、この端面カバー部材4における上記端面壁板部4bの前後部には、上記側板1から突設している前後一対の棚板受軸3、3と前後方向に同一間隔を存してこれらの前後棚板受軸3、3をそれぞれ挿入、係合させる係合溝6、6が端面壁板部4bの内外側端面間に貫通して設けられている。この係合溝6は、端面壁板部4bの下面から下方に向かって開口している挿入口7aを有する挿入溝部7と、この挿入溝部7の上端部から前方に向かって屈曲している前後方向に長いガイド溝部8とからなると共に、このガイド溝部8の終端部8'を上方に向かって屈曲させて終端面が半円状に湾曲した受止端面8cに形成してあり、さらに、係合溝6を構成しているこれらの挿入溝部7とガイド溝部8とは端面カバー部材4の端面壁板部4bから側板1に向かって全面的に開口させている。
【0023】
この係合溝6における挿入溝部7の下向きに開口した挿入口7aは、挿入溝部7と共に上記棚板受軸3の係合頭部3bの径よりも幅広く形成されていて該係合頭部3bを下方側からこの挿入溝部7内に容易に挿入可能に形成していると共に、挿入溝部7から前方に延設している上記ガイド溝部8の天壁面8aと底面8bとの対向面間の開口幅を係合頭部3bの外径と同等ないしは僅かに大きくして該係合頭部3bをガイド溝部8内で前後方向に沿って移動可能に形成してあり、且つ、これらの天壁面8aと底面8bとの前端は上記受止端面8cの上下端にそれぞれ連続させている。なお、ガイド溝部8の天壁面8aと底面8bとの内外端間の幅は特に限定されないが、図においては係合頭部3bの厚みに略等しいか僅かに幅広く形成している。また、天壁面8aの後端部は上記挿入溝部7の天壁面を兼備している。
【0024】
このガイド溝部8における端面カバー部材4の端面壁板部4bから開口している開口端の上下端部、即ち、上記天壁面8aと底面8bとの外側端部に上記棚板受軸3の係合頭部3bの背面を係止させる一定高さの突条部9、9'を突設している。具体的には、天壁板8aの外側端部からは下方に向かって上記一定高さの突条部9を、底面8bの外側端部からは上方に向かって上記一定高さの突条部9'をそれぞれ突設していると共に天壁板8aに突設している突条部9の後端部は上記挿入溝部7の天壁面の外側端部にまで延設してあり、さらに、これらの上下突条部9、9'の前端をガイド溝部8の終端部8'の半円状に湾曲した受止端面8c(図6、図7に示す)における外側端に突設した突状部9aに連続させている。なお、この突条部9aは上記上下突条部9、9'と同一高さに形成されている。また、これらの突条部9、9'、9aの外側端面は、端面カバー部材4の端面壁板部4bの垂直な外側端面と面一の垂直面となっている。
【0025】
さらに、上下突条部9、9'の相対する頂面間の幅は上記棚板受軸3におけるボス部3cの径と同等ないしは僅かに広くしてボス部3cがこの突条部9上を摺接しながら前後方向に移動可能に形成していると共に、これらの上下突条部9、9'の幅(厚み)、即ち、該突条部9、9'の外側端面と内側端面間の幅を図7に示すように、挿入溝部7側においては上記棚板受軸3のボス部3cの厚みよりも薄く、この挿入溝部7側からガイド溝部8の終端部8'に向かうに従って徐々に厚く(幅広く)なる楔状に形成して、該突条部9、9'の垂直な内側端面を挿入溝部7側からガイド溝部8の終端部8'に向かうに従ってガイド溝部8の開口端側から棚板5の側端面側に徐々に離間する方向に楔状に傾斜した傾斜側壁面9bに形成している。
【0026】
さらに、ガイド溝部8の終端部8'側の上下突条部9、9'の前端部及びこの前端部に連なる円弧状に湾曲した突条部9aにおける内外側端面間の幅を側板1から突設している棚板受軸3の係合頭部3bの背面と該背面が対向する側板1のネジ孔2周囲の面との間の間隔、即ち、ボス部2cの厚みと同等ないしはやや幅広くしてその部分の内側壁面部を棚板受軸3の係合頭部3bの背面を圧着状態で係止させる係止側壁面9b' に形成している。この係止側壁面9b' は傾斜することなく傾斜側壁面9bの上傾端から前方に向かって棚板受軸3の係合頭部3bの背面と平行となる面に形成されている。
【0027】
また、この端面カバー部材4の前後部には、端面壁板部4bの垂直な外側端面から内側端面に亘って貫通したビス取付孔11、11が設けられてあり、このビス取付孔11、11の開口端部をビス頭の嵌合凹部に形成してビス頭が端面壁板部4bの外側端面から突出しないように構成している。
【0028】
棚板5の両側端部にこの端面カバー部材4、4をそれぞれ取付けるには、端面カバー部材4の周壁部4a内に棚板5の側端部を挿嵌してその側端面を端面カバー部材4の端面壁板部4bの内側端面に当接させ、この状態にしてビス取付孔11、11からビス12、12を棚板5の側端部に螺合させることによって行われる。
【0029】
このように、両側端部に端面カバー部材4、4を装着した棚板5と、左右に一定間隔を存して立設する側板1、1とによって棚を組立てるには、これらの側板1、1を棚板5の長さ間隔を存して左右に立設し、この両側板1、1の上部間と下部間、及び、中間部間に棚板5を介在させ、その両側端面カバー部材4、4を左右両側板1、1の対向面に接合、固着することによって行われる。この場合、棚板1、1を左右に一定間隔を存した状態で立設しておくことなく、棚板5の一方の側端部に装着している端面カバー部材4を一方の側板1の所定高さ部分に接合、連結させたのち、該棚板5の他方の側端部に装着している端面カバー部材4を他方の側板1の同一高さ部分に接合、連結させてこの一枚の棚板5の両側端に側板1、1を取付けたのち、この棚板5を介して平行に対向したこの両側板1、1の対向面における同じ高さ位置に、別な棚板5の両側端面カバー部材4、4を接合、連結させることによって組立棚を形成してもよい。
【0030】
棚板5を側板1の所定高さ部分に取付けるには、まず、側板1、1の対向面に上下方向に小間隔毎に多数対設けているネジ孔2、2において、棚板取付け位置における前後一対のネジ孔2、2に上記棚板受軸3、3の螺軸部3aを螺合させて棚板受軸3のボス部3cの背面を側板1のネジ孔2周囲の面に圧接、受止させることにより、棚板受軸3の係合頭部3bを側板1からボス部3cの厚みに相当する間隔を介して突設した状態にする。
【0031】
しかるのち、棚板5の側端部に装着している端面カバー部材4をこれらの前後棚板受軸3、3の上方に位置させた状態にしてこの棚板5を下ろすことにより、図6、図7に示すように端面カバー部材4に設けている前後係合溝6、6の挿入溝部7、7の挿入口7aに棚板受軸3、3の係合頭部3bを挿入させると、該係合頭部3bが挿入溝部7内を上方に向かった相対的に移動してその上周面部が挿入溝部7の天壁面に当接するか、或いは、棚板受軸3のボス部3cの上周面部がガイド溝部8の開口端に設けている上側突条部9の下端頂面に当接して棚板5の側端部が端面カバー部材4を介して前後棚板受軸3、3に支持され、且つ、該端面カバー部材4の外側端面が側板1の対向面に極僅かな隙間を介して対向した状態となる。
【0032】
この状態から、棚板5を側板1の板面に沿って後方に移動させると、図8、図9に示すように、棚板受軸3のボス部3cがガイド溝部8の開口端に前後方向に突設している上下突条部9、9'の対向頂面に沿って前方に相対的に移動すると共に、該ボス部3cを設けている係合頭部3bが端面カバー部材4に設けている上記挿入溝部7から前方に向かって延設しているガイド溝部8内を該ガイド溝部8の前後方向に長い天壁面8aと底面8bに沿って前方に相対的に移動し、該係合頭部3bの背面によって形成している垂直なリング状の係止面3dを上記上下突条部9、9'の傾斜側壁面9b、9bに摺接状態に係合させる。
【0033】
さらにこの状態から上記ガイド溝部8の終端部8'の半円状に湾曲した受止端面8cに棚板受軸3の係合頭部3bの外周前半部が当接する位置まで棚板5を後方に押し進めると、図10、図11に示すように、ガイド溝部8の開口端に突設している上記上下突条部9、9'が、側板1と棚板受軸3の係合頭部3bの背面との間のボス部3cに相当する間隔部に楔状に食い込み、係合頭部3bの背面によって形成している係止面3dが、前方に行くにしたがって棚板5の側端面側に向かって傾斜している上下突条部9、9'の上記傾斜側壁面9bに係合しながら前方に相対移動して上下突条部9、9'を介して端面カバー部材4を側板1側に引き寄せ、この端面カバー部材4の外側端面を全面的に側板1の対向面に圧着させる。即ち、係合頭部3bの背面と側板1の板面とによって端面カバー部材4の上記突条部9、9'を挟着した状態となる。そして、この状態で係合頭部3bの背面が傾斜側壁面9bの最も高い部分である上傾端部から係止側壁面9b' に乗り上げて係合頭部3bがガイド溝部8の終端部8'の受止端面8cに当接した位置で停止し、端面カバー部材4の外側端面を側板1に圧着させた状態を保持する。
【0034】
このように、棚板5の両側端部に固着している端面カバー部材4、4の外側端面を左右の側板1、1の対向面に全面的に圧着させると、図5に示すように、これらの両側板1、1が棚板5と強固に結合、連結した状態となる。同様にして両側板1、1の所望の高さ位置に相当する対向面間に棚板5を挿入して、その両側端部に固着している端面カバー部材4、4を両側板1、1の対向面に棚板受軸3、3を介して結合、支持させると、両側板1、1の上部間と下部間又は中間部間を棚板5、5によって一体に連結してなる図1に示すような剛直な矩形枠状の組立棚に組み立てることができる。
【0035】
さらに、この組立棚の一方の側板1の外側方に一定間隔を存して新たな側板1を並設し、これらの互いに隣接する側板1、1の対向面間における上部部間と下部間、及び必要に応じて中間部間に棚板5を挿入し、該棚板5の両側端部に固着している端面カバー部材4、4を上記同様にして、棚板受軸3、3を介して一体に結合、固着することにより、図12に示すような幅方向に連続した組立棚を組み立てることができる。
【0036】
なお、組立棚を組み立てる際に、上記側板1の下端面の前後部に支持脚体を取付けておき、この支持脚体によって側板1を自立可能にしておけば、これらの側板1、1を左右方向に棚板5の長さ間隔を存して並設した状態にして両側板1、1の対向面間に棚板5を挿入し、その両側端部に固着している端面カバー部材4、4を棚板受軸3、3を介して両側板1、1の対向面に一体に結合、固着させることができる。この場合、中間部に立設する側板1には、その両側面に棚板受軸3の取付孔10、10を設けておくことは勿論である。
【0037】
また、この組立棚には背板が取付けられてなく、通常は、この組立棚を室内の壁面を沿って立設して該壁面を背面に利用した状態で設置されるものであり、この際、側板1、1に前後一対にして上下方向に小間隔毎に多数対設けているネジ孔2、2のうち、棚板5を設けていないネジ孔2における後側のネジ孔2と壁面間を平面L字状の固定用金具(図示せず)により螺着して組立棚を壁面に沿って固定すればよい。なお、この組立棚を解体する場合は、端面カバー部材4の上記突条部9を挟着している側板1と棚板受軸3の係合頭部3bの背面とによる挟着力に抗して棚板5を手前に引き寄せて係合頭部3bと突条部9、9'との係止を解き、該係合頭部3bを係合溝6の挿入溝部7にまで相対的に移動させたのち、棚板5を持ち上げて更に引き寄せればよい。
【0038】
以上の実施の形態においては、棚板5の両側端部に取付けている端面カバー部材4、4に設けた係合溝6として、そのガイド溝部8を挿入溝部7から前方に向かって略水平状に設けた形状を示しているが、図13に示すように、挿入溝部7から前方に向かって斜め上方に傾斜したガイド溝部8の形状に形成しておいてもよい。その他の構造については、上記実施の形態と同様であるので同一部分には同一符号を付して詳細な説明を省略する。
【0039】
また、棚板受軸3としては、傾斜側壁面9bの背面側にボス部3cを一体に設けて該棚板受軸3の螺軸部3aを側板1のネジ孔2に螺合させることにより、このボス部3cの背面を側板1に当接させてそれ以上の螺進をなくし、側板1の板面と棚板受軸3の係合頭部3bの背面との間にボス部3cの厚みに相当する間隔を設け、この間隔部に端面カバー部材4の上記ガイド溝部8の開口端に設けている突条部9、9'を介入させるように構成しているが、棚板受軸にこのようなボス部を設けることなく、要するに、係合頭部の背面と側板1との間に上記突条部9、9'が介在してその突条部9、9'の傾斜側壁面9bに係合頭部の背面が食い込むように係止させることができる間隔部を設けるように構成しておけばよい。
【0040】
さらにまた、棚板受軸3の係合頭部3bを係合させる係合溝6を端面カバー部材4に設けて、この端面カバー4、4を木質製の棚板1の両側端部に固着しているが、棚板を硬質合成樹脂製によって形成して、両側端部に上記端面カバー4、4を固着することなく、この棚板の両側端部に上記係合溝6を設けた構造としておいてもよい。
【図面の簡単な説明】
【0041】
【図1】組立棚の簡略斜視図。
【図2】その一部省略分割斜視図。
【図3】棚板と端面カバー部材との分解斜視図。
【図4】棚受けに対向させた棚板の一部斜視図。
【図5】端面カバー部材を側板に圧着、固定させた棚板取付状態の要部の縦断正面図。
【図6】棚板受軸の係合頭部を挿入溝部に係合させた状態の簡略側面図。
【図7】その一部の横断面図。
【図8】棚板受軸の係合頭部をガイド溝部内に移動させた状態の簡略側面図。
【図9】その一部の横断面図。
【図10】端面カバー部材を側板に圧着させた状態の簡略側面図。
【図11】その一部の横断面図。
【図12】組立棚を2列にした状態の簡略正面図。
【図13】端面カバー部材に設けているガイド溝部の変形例を示す斜視図。
【符号の説明】
【0042】
1 側板
2 ネジ孔
3 棚板受軸
3a ボス部3c
3b 係合頭部
3c 螺軸部
4 端面カバー部材
5 棚板
6 係合溝
7 挿入溝部
8 ガイド溝部
9 突条部
9b 傾斜側壁面
【技術分野】
【0001】
本発明は、組立棚における棚板の取付構造、特に、一定間隔を存して立設する両側板に対して強固に結合して剛直な組立棚に形成することができる棚板取付構造に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来から、組立式の収納棚や本棚等においては、左右方向に一定の間隔を存して側板を立設すると共にこれらの側板の上端部間と下端部間にそれぞれ天板と底板をボルト等により一体に連結して矩形枠状の棚本体を組立て、この棚本体における左右両側の上記側板間に棚板を配設して該棚板の両側端部を側板の対向面に突設している数本の軸体上に受止させるように構成したものが一般的に知られているが、このような棚板取付構造では、棚板の下面に手などによる上向き力が不測に作用した場合に、該棚板が軸体から浮き上がって棚板に上載している物品が落下し、破損等が生じるといった問題点がある。
【0003】
このため、例えば、特許文献1及び特許文献2に記載されているように、軸体から棚板が浮き上がるのを防止することができる組立棚が開発された。この組立棚における棚板取付構造は、棚板の両側木口端面における前後部に、木口端面から内部に向かって一定深さを有し、且つ、前後方向に長いガイド溝部を刻設すると共にこのガイド溝部の後端部を棚板の下面から開口した挿入溝部に形成してなる軸体係合溝を設け、この棚板を両側板間に挿入してこれらの両側板の対向面における同一高さ位置の前後部に突設した軸体上にその両側木口面の前後部に設けている上記係合溝の挿入溝部を対向させ、この状態から棚板を下ろすことによって前後軸体を前後の係合溝の挿入溝部にそれぞれ挿入させてガイド溝部の後端部の上壁面に当接させ、しかるのち、棚板を棚奥側に向かって押し込むことにより、ガイド溝部を介して側板を軸体に浮き上がり不能に支持させた構造としている。
【特許文献1】実開昭53−77121号公報
【特許文献2】特許第3284459号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、上記のような組立棚の棚板取付構造によれば、棚板が不測に浮き上がろうとした際に、軸体が棚板の木口端面に刻設している係合溝における前後方向に長いガイド溝部の天壁面に係止するので、その浮き上がりを防止することができても、軸体とガイド溝とは軸体の長さ方向に対しては何ら係合していないから、両側板間に棚板を上記のように挿入して軸体により支持させても、棚板が載荷重等によって下方に撓み変形した場合には、棚板の両側木口端部が軸体から外れるいった事態が発生する。
【0005】
さらに、軸体は棚板の両側木口端部を単に支持しているだけで、該木口端面を側板の対向面に圧着させる作用、即ち、棚板の両側端部を側板に結合させる作用などは全く行うことはなく、従って、両側板の上端部間と下端部間とを天板と底板とによって強固に連結して矩形枠状の剛直な棚本体を形成したのち、この棚本体の両側板間に棚板を挿入して軸体により支持させた組立棚しか構成することができず、天板や底板を不必要にして複数枚の棚板によって両側板間を強固に連結してなる自立性を有する組立棚を構成することができない等の問題点があった。
【0006】
本発明はこのような問題点に鑑みてなされたもので、その目的とするところは、組立棚における両側板の対向面間に棚板を取付けた際に、該棚板の浮き上がり等が防止できるように取付けることができるのは勿論、該棚板の両側木口端部を両側板の対向面に強固に結合、固定させて剛直な組立棚を構成することができる棚板取付構造を提供するにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記目的を達成するために本発明の棚板取付構造は、請求項1に記載したように、左右方向に一定間隔を存して立設した側板の対向面間に棚板を配設してこの棚板の両側端部を上記側板の対向面における同じ高さ位置の前後部に突設した棚板受軸に支持させるように構成した棚板取付構造であって、上記棚板受軸は、側板に取付ける軸部の先端に側板から小間隔を存して突出した係合頭部を有している一方、上記棚板は、その両側端部に上記棚板受軸の係合頭部を係合させる係合溝を設けてあり、この係合溝は、棚板受軸の上記係合頭部が挿入可能な下向きに開口した挿入溝部とこの挿入溝部から前方に向かって延設されたガイド溝部とからなり、さらに、側板に向かって開口している上記ガイド溝部の開口端に棚板受軸の頭部の背面を係止させる側壁面を有する一定高さの突条部を突設していると共に、この突条部の上記側壁面を挿入溝部側からガイド溝部の端部に向かうに従って突条部が肉厚となる方向に傾斜した傾斜側壁面に形成してなる構造を有している。
【0008】
このように構成した棚板取付構造において、請求項2に係る発明は、上記棚板の両側端部に、この棚板の側端部に被嵌する側面横長長方形状の周壁部と、この周壁部と一体に設けられ、且つ、その側端面を側板の対向面に当接させる垂直な側端面に形成された同じく横長長方形状の端面壁板部とからなる硬質合成樹脂製の端面カバー部材を固着してあり、この端面カバー部材の端面壁板部の前後部に上記係合溝を設けていることを特徴とする。
【0009】
さらに、請求項3に係る発明は上記棚板受軸の構造であって、側板に設けているネジ孔に螺合する螺軸部と、この螺軸部の先端に設けている係合頭部と、この係合頭部の背面中央部に一体に設けられ、該係合頭部よりも小径で且つ端面カバー部材に設けているガイド溝部の突条部上を摺接する外径を有するボス部とを備えてなり、このボス部における螺軸部に面した端面を側板の対向面に当接させた状態で棚板受軸を側板に設けている上記ネジ孔に取付けるように構成している。
【0010】
また、請求項4に係る発明は、上記端面カバー部材に設けた係合溝におけるガイド溝部の開口端に突設した突条部をガイド溝部の開口端の上下端に設けていると共に、棚板受軸の頭部がガイド溝部の端部に達した時の該頭部の裏面が係止する楔状傾斜側面部分の突条部の内外側端面間の幅を棚板受軸のボス部の厚みに等しくなるように形成していることを特徴とする。
【発明の効果】
【0011】
本発明の請求項1に係る発明によれば、左右方向に一定間隔を存して立設した側板の対向面間に棚板を配設してこの棚板の両側端部を上記側板の対向面における同じ高さ位置の前後部に突設した棚板受軸に支持させるように構成した棚板取付構造において、上記棚板受軸は、側板に取付ける軸部の先端に側板から小間隔を存して突出した係合頭部を有している一方、上記棚板は、その両側端部に上記棚板受軸の係合頭部を係合させる係合溝を設けてあり、この係合溝は、棚板受軸の上記係合頭部が挿入可能な下向きに開口した挿入溝部とこの挿入溝部から前方に向かって延設されたガイド溝部とからなるので、左右両側板の対向面に突設している棚板受軸に、棚板の両側端部に設けている上記係合溝の挿入溝部を挿入させることによって棚板を棚板受軸に簡単に支持させることができるのは勿論、この状態から棚板を後方に向かって押し進めれば、棚板受軸が係合溝における前後方向に長いガイド溝部の天壁面に摺接しながらこのガイド溝部の端部に達し、棚板が上方に浮き上がるのを防止した取付構造とすることができる。
【0012】
さらに、本発明の棚板取付構造によれば、側板に向かって開口している上記ガイド溝部の開口端に棚板受軸の頭部の背面を係止させる側壁面を有する一定高さの突条部を突設しているので、係合溝の挿入溝部に棚板受軸を挿入、係合させたのち、棚板を両側板の対向面に沿って上述したように後方側に平行移動させると、ガイド溝部の端部に向かって相対的に移動する棚板受軸の頭部の背面が突条部に係止して棚板の側端部と左右の両側板とをて一体に結合させることができ、従って、棚板が載荷重等によって下方に撓もうとしても上記突条部と棚板受軸との係止によってその撓みを抑制することができると共に、棚板が棚板受軸から外れるのを確実に防止することができる。
【0013】
その上、突条部の上記側壁面を挿入溝部側からガイド溝部の端部に向かうに従って突条部が肉厚となる方向に傾斜した傾斜側壁面に形成しているので、ガイド溝部に棚板受軸の頭部を係合させた状態で棚板を両側板の対向面に沿って後方に押し進めると、上記突条部の傾斜側壁面が楔の機能を奏して棚板受軸の頭部の背面に食い込むように係止し、この棚板受軸を突設している側板を棚板の対向側端面側に引き寄せながら側板と棚板との対向面同士を強固に圧着させることができ、従って、左右の両側板の上端部間と下端部間とを天板や底板で固定することなく、棚板と左右両側の側板とが強固に連結した剛直な組立棚を構成することができる。
【0014】
請求項2に係る発明によれば、上記棚板の両側端部に、この棚板の側端部に被嵌する側面横長長方形状の周壁部と、この周壁部と一体に設けられ、且つ、その側端面を側板の対向面に当接させる垂直な側端面に形成された同じく横長長方形状の端面壁板部とからなる硬質合成樹脂製の端面カバー部材を固着してあり、この端面カバー部材の端面壁板部の前後部に係合溝を設けているので、棚板が木質材からなる場合にあっては、その両側端部をこの硬質合成樹脂製の端面カバー部材によって保護して欠損等が生じるのを防止することができると共にこの端面カバー部材を介して棚板を側板から突設している棚板受軸に係合溝等が損傷することなく確実且つ安定した状態で支持させておくことができ、且つ、端面カバー部材の側端面を側板の対向面に全面的に当接させた状態にしてグラツキ等が生じることなく強固に支持させておくことができる。また、予め、所望の長さにカットした棚板に端面カバー部材を螺着することによって側板間寸法を任意に変更することができる。
【0015】
さらに、請求項3に係る発明によれば、上記棚板受軸は、側板に設けているネジ孔に螺合する螺軸部と、この螺軸部の先端に設けている係合頭部と、この係合頭部の背面中央部に一体に設けられ、該係合頭部よりも小径で且つ端面カバー部材に設けているガイド溝部の突条部上を摺接する外径を有するボス部とからなり、このボス部の螺軸部側に面した端面を側板の対向面に当接させた状態で棚板受軸を側板に設けている上記ネジ孔に取付けるように構成しているので、側板に設けているネジ孔に棚板受軸の螺軸部をボス部が棚板面に当接するまで螺入させることにより係合頭部を常に棚板面からボス部の厚み間隔を存した正確な突出位置に配設することができると共に、棚板の取付け時に端面カバー部材に設けている上記嵌合溝のガイド溝部に棚板受軸の係合頭部を嵌合させると、このボス部がガイド溝部の開口端に突設している突条部上に位置してこの突条部上を円滑に摺接させながら係合頭部をガイド溝部の端部側に相対移動させて、側板と棚板との結合による棚の組立作業が能率よく行うことができる。この場合、ボス部と係合頭部、又は螺軸部とボス部が回動自在に取り付けられることで、係合頭部をガイド溝部において容易に相対移動させることができる。
【0016】
また、請求項4に係る発明によれば、上記突条部をガイド溝部の開口端の上下端に設けていると共に、棚板受軸の頭部がガイド溝部の端部に達した時の該頭部の裏面が係止する楔状傾斜側面部分の突条部の内外側端面間の幅を棚板受軸のボス部の厚みに略等しくなるように形成しているので、棚の組立時に、両側板の対向面における同一高さ部分の前後部に取付けた上記棚板受軸の頭部に棚板の両側端面カバー部材に設けている上記ガイド溝部を挿入した状態で棚板を後方に押し進めると、棚板受軸の頭部の背面をガイド溝部の開口端に設けている突条部の楔状傾斜側面に位置合わせをすることなく確実且つ自動的に係止させることができると共に頭部の背面における上周部と下周部とが上下突条部の楔状傾斜側面に係止して、棚板を棚奥側に押し進めるに従って、側板を棚板の端面カバー部材の端面全面に均一な圧接力でもって圧着、結合させることができ、何等の熟練も要することなく品質の均一な棚を能率よく組み立てることができる。また、この時、係合頭部の表層を軟質可撓性樹脂で形成することにより、滑り止め効果を発揮し、側板と棚板を確実に係合させることが可能となる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0017】
本発明の具体的な実施の形態を図面について説明すると、組立棚は図1、図2に示すように、左右に一定間隔を存して互いに平行に立設した一定幅と高さを有する縦長長方形状の木質板からなる側板1、1と、これらの側板1、1の対向面に上下方向に一定間隔毎に設けられた前後一対のネジ孔2、2と、所望高さ位置における前後一対のネジ孔2、2に螺合させた棚板受軸3、3と、対向する側板1、1から突設しているこれらの棚板受軸3、3にその両側端部に装着している端面カバー部材4、4を支持させて側板1、1の対向面間に配設している木質板からなる棚板5とから構成されている。
【0018】
側板1、1は、その対向面に該側板1の幅方向に相当する前後方向に一定間隔を存して一定深さの取付孔10、10(図5、図7に示す)を穿設すると共に、これらの前後一対の取付孔10、10を側板1、1の高さ方向である上下方向に一定間隔毎に複数対、設けて全ての取付孔10、10に袋ナットを嵌入、固定し、この袋ナットによって上記ネジ孔2、2を形成している。
【0019】
このネジ孔2に取外し可能に螺合させる上記棚板受軸3は、該ネジ孔2に螺合する螺軸部3aと、この螺軸部3aの先端に設けている一定径と一定厚みを有する円形の係合頭部3bと、この係合頭部3bの螺軸部3a側に面する背面中央部に一体に設けられた一定厚みを有する円形のボス部3cとからなり、このボス部3cは螺軸部3aよりも大径で、係合頭部3bよりも小径に形成されていてこのボス部3cの先端側外周端から外径方向に突出している係合頭部3bのリング状背面を、上記端面カバー部材4に設けている後述する係合溝6におけるガイド溝部8の開口端に突設した突条部9の楔状傾斜側面9bに係止する係止面3dに形成していると共に、ボス部3cの外周面をこの突条部9上に摺接させるように形成している。
【0020】
この棚板受軸3は、ボス部3cから突出した一定長さを有する螺軸部3aと係合頭部3bとボス部3cとを硬質合成樹脂により一体に成形された成形品であってよいが、係合頭部3bとボス部3cとを硬質合成樹脂によって一体に形成して、係合頭部3bの頂面中央部からボス部3cの中央部を貫通する螺子挿通孔を設けて該螺子挿通孔に金属製の皿ネジを回動自在に挿嵌させると共にこの皿ネジの頭部を係合頭部3bの頂部に設けている皿状の凹部には嵌合させ、ボス部3cから突出するネジ部を上記螺軸部3aとしている。
【0021】
棚板5の木口側端部である両側端部に装着している上記端面カバー部材4、4は、硬質合成樹脂からなる成形部材であって、図3〜図5に示すように、棚板5の側端面に対向する内側部分を棚板5の側端部の外周面に被嵌する側面横長長方形状の枠状の周壁部4aに形成していると共に、側板1に対向する外側部分をこの周壁部4aと同一側面形状の一定厚みを有する端面壁板部4bに形成してあり、棚板5の側端部をこの端面カバー部材4の周壁部4a内に挿嵌した際に、該棚板5の側端面をこの周壁部4aの奥側に露出している上記端面壁板部4bの内側端面に当接させるように形成していると共に、この端面壁板部4bの外側端面を側板1の対向面に当接可能な垂直な側端面に形成している。
【0022】
さらに、この端面カバー部材4における上記端面壁板部4bの前後部には、上記側板1から突設している前後一対の棚板受軸3、3と前後方向に同一間隔を存してこれらの前後棚板受軸3、3をそれぞれ挿入、係合させる係合溝6、6が端面壁板部4bの内外側端面間に貫通して設けられている。この係合溝6は、端面壁板部4bの下面から下方に向かって開口している挿入口7aを有する挿入溝部7と、この挿入溝部7の上端部から前方に向かって屈曲している前後方向に長いガイド溝部8とからなると共に、このガイド溝部8の終端部8'を上方に向かって屈曲させて終端面が半円状に湾曲した受止端面8cに形成してあり、さらに、係合溝6を構成しているこれらの挿入溝部7とガイド溝部8とは端面カバー部材4の端面壁板部4bから側板1に向かって全面的に開口させている。
【0023】
この係合溝6における挿入溝部7の下向きに開口した挿入口7aは、挿入溝部7と共に上記棚板受軸3の係合頭部3bの径よりも幅広く形成されていて該係合頭部3bを下方側からこの挿入溝部7内に容易に挿入可能に形成していると共に、挿入溝部7から前方に延設している上記ガイド溝部8の天壁面8aと底面8bとの対向面間の開口幅を係合頭部3bの外径と同等ないしは僅かに大きくして該係合頭部3bをガイド溝部8内で前後方向に沿って移動可能に形成してあり、且つ、これらの天壁面8aと底面8bとの前端は上記受止端面8cの上下端にそれぞれ連続させている。なお、ガイド溝部8の天壁面8aと底面8bとの内外端間の幅は特に限定されないが、図においては係合頭部3bの厚みに略等しいか僅かに幅広く形成している。また、天壁面8aの後端部は上記挿入溝部7の天壁面を兼備している。
【0024】
このガイド溝部8における端面カバー部材4の端面壁板部4bから開口している開口端の上下端部、即ち、上記天壁面8aと底面8bとの外側端部に上記棚板受軸3の係合頭部3bの背面を係止させる一定高さの突条部9、9'を突設している。具体的には、天壁板8aの外側端部からは下方に向かって上記一定高さの突条部9を、底面8bの外側端部からは上方に向かって上記一定高さの突条部9'をそれぞれ突設していると共に天壁板8aに突設している突条部9の後端部は上記挿入溝部7の天壁面の外側端部にまで延設してあり、さらに、これらの上下突条部9、9'の前端をガイド溝部8の終端部8'の半円状に湾曲した受止端面8c(図6、図7に示す)における外側端に突設した突状部9aに連続させている。なお、この突条部9aは上記上下突条部9、9'と同一高さに形成されている。また、これらの突条部9、9'、9aの外側端面は、端面カバー部材4の端面壁板部4bの垂直な外側端面と面一の垂直面となっている。
【0025】
さらに、上下突条部9、9'の相対する頂面間の幅は上記棚板受軸3におけるボス部3cの径と同等ないしは僅かに広くしてボス部3cがこの突条部9上を摺接しながら前後方向に移動可能に形成していると共に、これらの上下突条部9、9'の幅(厚み)、即ち、該突条部9、9'の外側端面と内側端面間の幅を図7に示すように、挿入溝部7側においては上記棚板受軸3のボス部3cの厚みよりも薄く、この挿入溝部7側からガイド溝部8の終端部8'に向かうに従って徐々に厚く(幅広く)なる楔状に形成して、該突条部9、9'の垂直な内側端面を挿入溝部7側からガイド溝部8の終端部8'に向かうに従ってガイド溝部8の開口端側から棚板5の側端面側に徐々に離間する方向に楔状に傾斜した傾斜側壁面9bに形成している。
【0026】
さらに、ガイド溝部8の終端部8'側の上下突条部9、9'の前端部及びこの前端部に連なる円弧状に湾曲した突条部9aにおける内外側端面間の幅を側板1から突設している棚板受軸3の係合頭部3bの背面と該背面が対向する側板1のネジ孔2周囲の面との間の間隔、即ち、ボス部2cの厚みと同等ないしはやや幅広くしてその部分の内側壁面部を棚板受軸3の係合頭部3bの背面を圧着状態で係止させる係止側壁面9b' に形成している。この係止側壁面9b' は傾斜することなく傾斜側壁面9bの上傾端から前方に向かって棚板受軸3の係合頭部3bの背面と平行となる面に形成されている。
【0027】
また、この端面カバー部材4の前後部には、端面壁板部4bの垂直な外側端面から内側端面に亘って貫通したビス取付孔11、11が設けられてあり、このビス取付孔11、11の開口端部をビス頭の嵌合凹部に形成してビス頭が端面壁板部4bの外側端面から突出しないように構成している。
【0028】
棚板5の両側端部にこの端面カバー部材4、4をそれぞれ取付けるには、端面カバー部材4の周壁部4a内に棚板5の側端部を挿嵌してその側端面を端面カバー部材4の端面壁板部4bの内側端面に当接させ、この状態にしてビス取付孔11、11からビス12、12を棚板5の側端部に螺合させることによって行われる。
【0029】
このように、両側端部に端面カバー部材4、4を装着した棚板5と、左右に一定間隔を存して立設する側板1、1とによって棚を組立てるには、これらの側板1、1を棚板5の長さ間隔を存して左右に立設し、この両側板1、1の上部間と下部間、及び、中間部間に棚板5を介在させ、その両側端面カバー部材4、4を左右両側板1、1の対向面に接合、固着することによって行われる。この場合、棚板1、1を左右に一定間隔を存した状態で立設しておくことなく、棚板5の一方の側端部に装着している端面カバー部材4を一方の側板1の所定高さ部分に接合、連結させたのち、該棚板5の他方の側端部に装着している端面カバー部材4を他方の側板1の同一高さ部分に接合、連結させてこの一枚の棚板5の両側端に側板1、1を取付けたのち、この棚板5を介して平行に対向したこの両側板1、1の対向面における同じ高さ位置に、別な棚板5の両側端面カバー部材4、4を接合、連結させることによって組立棚を形成してもよい。
【0030】
棚板5を側板1の所定高さ部分に取付けるには、まず、側板1、1の対向面に上下方向に小間隔毎に多数対設けているネジ孔2、2において、棚板取付け位置における前後一対のネジ孔2、2に上記棚板受軸3、3の螺軸部3aを螺合させて棚板受軸3のボス部3cの背面を側板1のネジ孔2周囲の面に圧接、受止させることにより、棚板受軸3の係合頭部3bを側板1からボス部3cの厚みに相当する間隔を介して突設した状態にする。
【0031】
しかるのち、棚板5の側端部に装着している端面カバー部材4をこれらの前後棚板受軸3、3の上方に位置させた状態にしてこの棚板5を下ろすことにより、図6、図7に示すように端面カバー部材4に設けている前後係合溝6、6の挿入溝部7、7の挿入口7aに棚板受軸3、3の係合頭部3bを挿入させると、該係合頭部3bが挿入溝部7内を上方に向かった相対的に移動してその上周面部が挿入溝部7の天壁面に当接するか、或いは、棚板受軸3のボス部3cの上周面部がガイド溝部8の開口端に設けている上側突条部9の下端頂面に当接して棚板5の側端部が端面カバー部材4を介して前後棚板受軸3、3に支持され、且つ、該端面カバー部材4の外側端面が側板1の対向面に極僅かな隙間を介して対向した状態となる。
【0032】
この状態から、棚板5を側板1の板面に沿って後方に移動させると、図8、図9に示すように、棚板受軸3のボス部3cがガイド溝部8の開口端に前後方向に突設している上下突条部9、9'の対向頂面に沿って前方に相対的に移動すると共に、該ボス部3cを設けている係合頭部3bが端面カバー部材4に設けている上記挿入溝部7から前方に向かって延設しているガイド溝部8内を該ガイド溝部8の前後方向に長い天壁面8aと底面8bに沿って前方に相対的に移動し、該係合頭部3bの背面によって形成している垂直なリング状の係止面3dを上記上下突条部9、9'の傾斜側壁面9b、9bに摺接状態に係合させる。
【0033】
さらにこの状態から上記ガイド溝部8の終端部8'の半円状に湾曲した受止端面8cに棚板受軸3の係合頭部3bの外周前半部が当接する位置まで棚板5を後方に押し進めると、図10、図11に示すように、ガイド溝部8の開口端に突設している上記上下突条部9、9'が、側板1と棚板受軸3の係合頭部3bの背面との間のボス部3cに相当する間隔部に楔状に食い込み、係合頭部3bの背面によって形成している係止面3dが、前方に行くにしたがって棚板5の側端面側に向かって傾斜している上下突条部9、9'の上記傾斜側壁面9bに係合しながら前方に相対移動して上下突条部9、9'を介して端面カバー部材4を側板1側に引き寄せ、この端面カバー部材4の外側端面を全面的に側板1の対向面に圧着させる。即ち、係合頭部3bの背面と側板1の板面とによって端面カバー部材4の上記突条部9、9'を挟着した状態となる。そして、この状態で係合頭部3bの背面が傾斜側壁面9bの最も高い部分である上傾端部から係止側壁面9b' に乗り上げて係合頭部3bがガイド溝部8の終端部8'の受止端面8cに当接した位置で停止し、端面カバー部材4の外側端面を側板1に圧着させた状態を保持する。
【0034】
このように、棚板5の両側端部に固着している端面カバー部材4、4の外側端面を左右の側板1、1の対向面に全面的に圧着させると、図5に示すように、これらの両側板1、1が棚板5と強固に結合、連結した状態となる。同様にして両側板1、1の所望の高さ位置に相当する対向面間に棚板5を挿入して、その両側端部に固着している端面カバー部材4、4を両側板1、1の対向面に棚板受軸3、3を介して結合、支持させると、両側板1、1の上部間と下部間又は中間部間を棚板5、5によって一体に連結してなる図1に示すような剛直な矩形枠状の組立棚に組み立てることができる。
【0035】
さらに、この組立棚の一方の側板1の外側方に一定間隔を存して新たな側板1を並設し、これらの互いに隣接する側板1、1の対向面間における上部部間と下部間、及び必要に応じて中間部間に棚板5を挿入し、該棚板5の両側端部に固着している端面カバー部材4、4を上記同様にして、棚板受軸3、3を介して一体に結合、固着することにより、図12に示すような幅方向に連続した組立棚を組み立てることができる。
【0036】
なお、組立棚を組み立てる際に、上記側板1の下端面の前後部に支持脚体を取付けておき、この支持脚体によって側板1を自立可能にしておけば、これらの側板1、1を左右方向に棚板5の長さ間隔を存して並設した状態にして両側板1、1の対向面間に棚板5を挿入し、その両側端部に固着している端面カバー部材4、4を棚板受軸3、3を介して両側板1、1の対向面に一体に結合、固着させることができる。この場合、中間部に立設する側板1には、その両側面に棚板受軸3の取付孔10、10を設けておくことは勿論である。
【0037】
また、この組立棚には背板が取付けられてなく、通常は、この組立棚を室内の壁面を沿って立設して該壁面を背面に利用した状態で設置されるものであり、この際、側板1、1に前後一対にして上下方向に小間隔毎に多数対設けているネジ孔2、2のうち、棚板5を設けていないネジ孔2における後側のネジ孔2と壁面間を平面L字状の固定用金具(図示せず)により螺着して組立棚を壁面に沿って固定すればよい。なお、この組立棚を解体する場合は、端面カバー部材4の上記突条部9を挟着している側板1と棚板受軸3の係合頭部3bの背面とによる挟着力に抗して棚板5を手前に引き寄せて係合頭部3bと突条部9、9'との係止を解き、該係合頭部3bを係合溝6の挿入溝部7にまで相対的に移動させたのち、棚板5を持ち上げて更に引き寄せればよい。
【0038】
以上の実施の形態においては、棚板5の両側端部に取付けている端面カバー部材4、4に設けた係合溝6として、そのガイド溝部8を挿入溝部7から前方に向かって略水平状に設けた形状を示しているが、図13に示すように、挿入溝部7から前方に向かって斜め上方に傾斜したガイド溝部8の形状に形成しておいてもよい。その他の構造については、上記実施の形態と同様であるので同一部分には同一符号を付して詳細な説明を省略する。
【0039】
また、棚板受軸3としては、傾斜側壁面9bの背面側にボス部3cを一体に設けて該棚板受軸3の螺軸部3aを側板1のネジ孔2に螺合させることにより、このボス部3cの背面を側板1に当接させてそれ以上の螺進をなくし、側板1の板面と棚板受軸3の係合頭部3bの背面との間にボス部3cの厚みに相当する間隔を設け、この間隔部に端面カバー部材4の上記ガイド溝部8の開口端に設けている突条部9、9'を介入させるように構成しているが、棚板受軸にこのようなボス部を設けることなく、要するに、係合頭部の背面と側板1との間に上記突条部9、9'が介在してその突条部9、9'の傾斜側壁面9bに係合頭部の背面が食い込むように係止させることができる間隔部を設けるように構成しておけばよい。
【0040】
さらにまた、棚板受軸3の係合頭部3bを係合させる係合溝6を端面カバー部材4に設けて、この端面カバー4、4を木質製の棚板1の両側端部に固着しているが、棚板を硬質合成樹脂製によって形成して、両側端部に上記端面カバー4、4を固着することなく、この棚板の両側端部に上記係合溝6を設けた構造としておいてもよい。
【図面の簡単な説明】
【0041】
【図1】組立棚の簡略斜視図。
【図2】その一部省略分割斜視図。
【図3】棚板と端面カバー部材との分解斜視図。
【図4】棚受けに対向させた棚板の一部斜視図。
【図5】端面カバー部材を側板に圧着、固定させた棚板取付状態の要部の縦断正面図。
【図6】棚板受軸の係合頭部を挿入溝部に係合させた状態の簡略側面図。
【図7】その一部の横断面図。
【図8】棚板受軸の係合頭部をガイド溝部内に移動させた状態の簡略側面図。
【図9】その一部の横断面図。
【図10】端面カバー部材を側板に圧着させた状態の簡略側面図。
【図11】その一部の横断面図。
【図12】組立棚を2列にした状態の簡略正面図。
【図13】端面カバー部材に設けているガイド溝部の変形例を示す斜視図。
【符号の説明】
【0042】
1 側板
2 ネジ孔
3 棚板受軸
3a ボス部3c
3b 係合頭部
3c 螺軸部
4 端面カバー部材
5 棚板
6 係合溝
7 挿入溝部
8 ガイド溝部
9 突条部
9b 傾斜側壁面
【特許請求の範囲】
【請求項1】
左右方向に一定間隔を存して立設した側板の対向面間に棚板を配設してこの棚板の両側端部を上記側板の対向面における同じ高さ位置の前後部に突設した棚板受軸に支持させるように構成した棚板取付構造であって、上記棚板受軸は、側板に取付ける軸部の先端に側板から小間隔を存して突出した係合頭部を有している一方、上記棚板は、その両側端部に上記棚板受軸の係合頭部を係合させる係合溝を設けてあり、この係合溝は、棚板受軸の上記係合頭部が挿入可能な下向きに開口した挿入溝部とこの挿入溝部から前方に向かって延設されたガイド溝部とからなり、さらに、側板に向かって開口している上記ガイド溝部の開口端に棚板受軸の頭部の背面を係止させる側壁面を有する一定高さの突条部を突設していると共に、この突条部の上記側壁面を挿入溝部側からガイド溝部の端部に向かうに従って突条部が肉厚となる方向に傾斜した傾斜側壁面に形成していることを特徴とする棚板取付構造。
【請求項2】
棚板の両側端部に、この棚板の側端部に被嵌する側面横長長方形状の周壁部と、この周壁部と一体に設けられ、且つ、その側端面を側板の対向面に当接させる垂直な側端面に形成された同じく横長長方形状の端面壁板部とからなる硬質合成樹脂製の端面カバー部材を固着してあり、この端面カバー部材の端面壁板部の前後部に係合溝を設けていることを特徴とする請求項1に記載の棚板取付構造。
【請求項3】
棚板受軸は側板に設けているネジ孔に螺合する螺軸部と、この螺軸部の先端に設けている係合頭部と、この係合頭部の背面中央部に一体に設けられ、該係合頭部よりも小径で且つ端面カバー部材に設けているガイド溝部の突条部上を摺接する外径を有するボス部とからなり、このボス部における螺軸部側に向けている端面を側板の対向面に当接させた状態で棚板受軸を側板に設けている上記ネジ孔に取付けるように構成していることを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の棚板取付構造。
【請求項4】
突条部をガイド溝部の開口端の上下端に設けていると共に、棚板受軸の頭部がガイド溝部の端部に達した時の該頭部の背面が係止する傾斜側面部分の突条部の内外側端面間の幅を棚板受軸のボス部の厚みに略等しくなるように形成していることを特徴とする請求項1、請求項2又は請求項3に記載の棚板取付構造。
【請求項1】
左右方向に一定間隔を存して立設した側板の対向面間に棚板を配設してこの棚板の両側端部を上記側板の対向面における同じ高さ位置の前後部に突設した棚板受軸に支持させるように構成した棚板取付構造であって、上記棚板受軸は、側板に取付ける軸部の先端に側板から小間隔を存して突出した係合頭部を有している一方、上記棚板は、その両側端部に上記棚板受軸の係合頭部を係合させる係合溝を設けてあり、この係合溝は、棚板受軸の上記係合頭部が挿入可能な下向きに開口した挿入溝部とこの挿入溝部から前方に向かって延設されたガイド溝部とからなり、さらに、側板に向かって開口している上記ガイド溝部の開口端に棚板受軸の頭部の背面を係止させる側壁面を有する一定高さの突条部を突設していると共に、この突条部の上記側壁面を挿入溝部側からガイド溝部の端部に向かうに従って突条部が肉厚となる方向に傾斜した傾斜側壁面に形成していることを特徴とする棚板取付構造。
【請求項2】
棚板の両側端部に、この棚板の側端部に被嵌する側面横長長方形状の周壁部と、この周壁部と一体に設けられ、且つ、その側端面を側板の対向面に当接させる垂直な側端面に形成された同じく横長長方形状の端面壁板部とからなる硬質合成樹脂製の端面カバー部材を固着してあり、この端面カバー部材の端面壁板部の前後部に係合溝を設けていることを特徴とする請求項1に記載の棚板取付構造。
【請求項3】
棚板受軸は側板に設けているネジ孔に螺合する螺軸部と、この螺軸部の先端に設けている係合頭部と、この係合頭部の背面中央部に一体に設けられ、該係合頭部よりも小径で且つ端面カバー部材に設けているガイド溝部の突条部上を摺接する外径を有するボス部とからなり、このボス部における螺軸部側に向けている端面を側板の対向面に当接させた状態で棚板受軸を側板に設けている上記ネジ孔に取付けるように構成していることを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の棚板取付構造。
【請求項4】
突条部をガイド溝部の開口端の上下端に設けていると共に、棚板受軸の頭部がガイド溝部の端部に達した時の該頭部の背面が係止する傾斜側面部分の突条部の内外側端面間の幅を棚板受軸のボス部の厚みに略等しくなるように形成していることを特徴とする請求項1、請求項2又は請求項3に記載の棚板取付構造。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【公開番号】特開2008−29406(P2008−29406A)
【公開日】平成20年2月14日(2008.2.14)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−203526(P2006−203526)
【出願日】平成18年7月26日(2006.7.26)
【出願人】(000204985)大建工業株式会社 (419)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成20年2月14日(2008.2.14)
【国際特許分類】
【出願日】平成18年7月26日(2006.7.26)
【出願人】(000204985)大建工業株式会社 (419)
【Fターム(参考)】
[ Back to top ]