棚構造
【課題】
意匠性を高めつつ、棚板の下部を覆うカバー内の空間を収納空間として有効利用することができる棚構造を提供する。
【解決手段】
壁面等に取り付けられる棚板と、該棚板の下部を覆うカバーとを備え、カバーに、該カバー内の空間を利用して収納物を収納可能な収納部を設けたことを特徴とする。前記収納部は、カバーの前面に引き出し可能もしくは開閉可能に設けられていたり、その扉、カバー開閉部、棚板の少なくとも一つの開閉操作によって収納物が出し入れ可能に構成される。また、浴室のミラー直下に固定された棚板の下部を覆うカバーが、左右方向及び前後方向から集水部位に向かって傾斜する傾斜形状に形成され、その中央部分に水栓が配置されると共に該水栓両側の少なくとも一方に収納部が設けられる。
意匠性を高めつつ、棚板の下部を覆うカバー内の空間を収納空間として有効利用することができる棚構造を提供する。
【解決手段】
壁面等に取り付けられる棚板と、該棚板の下部を覆うカバーとを備え、カバーに、該カバー内の空間を利用して収納物を収納可能な収納部を設けたことを特徴とする。前記収納部は、カバーの前面に引き出し可能もしくは開閉可能に設けられていたり、その扉、カバー開閉部、棚板の少なくとも一つの開閉操作によって収納物が出し入れ可能に構成される。また、浴室のミラー直下に固定された棚板の下部を覆うカバーが、左右方向及び前後方向から集水部位に向かって傾斜する傾斜形状に形成され、その中央部分に水栓が配置されると共に該水栓両側の少なくとも一方に収納部が設けられる。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【０００１】
本発明は、例えば浴室等の衛生設備室の壁面に取り付けられる棚構造に係わり、特に棚板の下部を覆うカバーに収納部が設けられた棚構造に関する。
【背景技術】
【０００２】
一般的に、例えばシステムバスルーム等の浴室においては、洗い場のカウンター側の壁面でミラーの近傍に、シャンプーや石けん等を載置する棚が設置されている。従来、この種の棚構造は、平板状の棚板を壁面に固定してその上面を棚面として使用したり、あるいは壁面に固定した平板状の棚板の下部をカバーで覆って棚全体の意匠性を高めたもの等が使用されている。なお、平板状の棚板に関する文献としては、例えば特許文献１が知られている。
【特許文献１】特開２００３−２６５２４６号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【０００３】
しかしながら、平板状の棚板を単に使用する棚構造においては、棚板を壁面に固定して、この棚板の上面にシャンプー等を載置する構造であるため、棚板の下部側が入浴者に直接視認される状態となって、意匠性の面で劣ることになる。また、棚板の下部をカバーで覆う棚構造においては、意匠性の向上は図れるものの、カバーは単に棚板の下部を覆う機能しか有しておらず、例えばカバー内に形成される空間を有効利用することが難しい。
【０００４】
本発明は、このような事情に鑑みてなされたもので、その目的は、意匠性を高めつつ、棚板の下部を覆うカバー内の空間を収納空間として有効利用することができる棚構造を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【０００５】
かかる目的を達成すべく、本発明のうち請求項１に記載の発明は、壁面等に取り付けられる棚板と、該棚板の下部を覆うカバーとを備え、前記カバーに、該カバー内の空間を利用して収納物を収納可能な収納部を設けたことを特徴とする。
【０００６】
そして、前記収納部は、請求項２に記載の発明のように、カバーの前面に引き出し可能もしくは開閉可能に設けられていたり、請求項３に記載の発明のように、その扉、カバー開閉部、棚板の少なくとも一つの開閉操作によって収納物が出し入れ可能に構成されていることが好ましい。
【０００７】
また、請求項４に記載の発明のように、前記カバー内に仕切板が設けられ、該仕切板上に皿状の前記収納部が配置されるか、あるいは仕切板の上面により前記収納部が形成されて収納物が直接もしくは収納皿を介して載置収納されることが好ましい。さらに、請求項５に記載の発明のように、前記カバーが左右方向及び前後方向から集水部位に向かって傾斜する傾斜形状に形成され、その中央部分に水栓が配置されると共に該カバーの水栓両側の少なくとも一方に前記収納部が設けられていることが好ましい。
【発明の効果】
【０００８】
本発明のうち請求項１に記載の発明によれば、衛生設備室の壁面等に取り付けられる棚板の下部を覆うカバーに、該カバー内の空間を利用して収納物を収納可能な収納部が設けられるため、カバーにより棚板の下部を覆うことができて、例えば普段使用しない収納物をカバー内に隠した状態で収納でき、棚全体の意匠性を高めることができると共に、カバー内の空間を収納空間として有効利用することができ、その使い勝手の向上を図ることができる。
【０００９】
また、請求項２に記載の発明によれば、請求項１に記載の発明の効果に加え、収納部がカバーの前面に引き出し可能もしくは開閉可能に設けられているため、引き出し操作や開閉操作により収納物を簡単に出し入れできて、棚の使い勝手の一層の向上を図ることができる。
【００１０】
また、請求項３に記載の発明によれば、請求項１に記載の発明の効果に加え、収納部が、その扉やカバー開閉部あるいは棚板の開閉操作によって収納物が出し入れ可能に構成されているため、扉等の開閉操作により収納物に簡単に出し入れできて、棚の使い勝手のより一層の向上を図ることができる。
【００１１】
また、請求項４に記載の発明によれば、請求項１ないし３に記載の発明の効果に加え、カバー内の所定高さ位置を仕切る仕切板上に、皿状の収納部が配置されたりあるいは仕切板の上面で形成される収納部に収納物が直接もしくは収納皿を介して載置収納されるため、例えば仕切板によって皿状の収納部をスムーズに出し入れできたり、カバー内に収納部を簡単に形成できると共に、仕切板によってカバーの剛性を確保して収納物を安定収納することができる。
【００１２】
さらに、請求項５に記載の発明によれば、請求項１ないし４に記載の発明の効果に加え、傾斜形状のカバーに水栓や収納部が設けられているため、例えば浴室のミラー下部の棚板を覆うカバーに水栓のカバーとしての機能と収納部としての機能を持たせることができて、カバーの付加価値を高めると共に棚の使い勝手等を一層高めることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【００１３】
以下、本発明の実施の形態を図面に基づいて詳細に説明する。
図１〜図３は、本発明に係わる棚構造の第１の実施形態を示し、図１が該棚構造を採用した浴室の斜視図、図２が棚部分の拡大図、図３がその縦断面図である。
【００１４】
図１に示すように、システムバスルーム等の浴室１は、防水パンの外周縁上に載置された４枚の壁パネル２ａ〜２ｄ（壁パネル２ｄは図示せず）と、該壁パネル２ａ〜２ｄ上に載置された天井パネル３等によって略箱状に形成され、防水パンの壁パネル２ａ側にはバスタブ４が設置されると共に、このバスタブ４の側方の防水パン上には洗い場５が設けられている。
【００１５】
また、洗い場５の壁パネル２ｂ側にはカウンター６が設置され、このカウンター６上方の壁パネル２ｂには、ミラー７や照明装置８が配置されると共に、ミラー７の右側方に棚板とカバーからなる複数段の棚９が配置され、またミラー７の下部に本発明の棚構造を採用した棚１０が配置されている。この棚１０は、ミラー７の直下に位置してカウンター６の左右幅より所定寸法小さい棚板１０ａと、この棚板１０ａの下部を覆うカバー１０ｂとを備えている。
【００１６】
そして、棚１０のカバー１０ｂには、その左右幅方向の中心位置上部に下部に吐水口１１ａを有する水栓１１が配置されると共に、この水栓１１の左右両側に収納部１２がそれぞれ設けられている。この収納部１２は、図２及び図３に示すように、左右対称の略同一形状に形成され、表面形状がカバー１０ｂの表面形状に合致した扉部１２ａと、この扉部１２ａの後方側に水平状態で延設された載置部１２ｂを有している。この載置部１２ｂの外周部には、収納物としての例えば石けん１３の落下を防止する落下防止壁１４が一体形成され、また、載置部１２ｂの後端下部には、収納部１２の引き出し方向である矢印イ方向への移動を案内するガイド１５が一体形成されている。この時、ガイド１５は、その下端形状が後述する仕切板１７上をスムーズに移動し得る形状に設定されると共に、収納部１２を前方に引き出した際に、カバー１０ｂの開口１６の下縁部に係止して該収納部１２の前方への飛び出しが防止されるようになっている。
【００１７】
また、カバー１０ｂの収納部１２が設けられる部分には、収納部１２の扉部１２ａに対応した形状の前記開口１６が形成されると共に、この開口１６の下縁部でカバー１０ｂ内には前記仕切板１７が後方側に略水平状態で延設されている。この仕切板１７により、カバー１０ｂ内の空間１８が部分的に上下方向に仕切られた状態となっており、この仕切板１７上に収納部１２の載置部１２ｂが前述したように引き出し（出し入れ）可能に配設されている。なお、カバー１０ｂの開口１６の下縁で左右幅方向の中間位置には、指掛け凹部１９が設けられており、この指掛け凹部１９に入浴者がその指先を入れ収納部１２の扉部１２ａ下縁に掛けて前方に引っ張ることにより、収納部１２が引き出しできるように構成されている。
【００１８】
また、カバー１０ｂは、例えば樹脂成形によって成形され、左右幅方向の中間位置の後方下部が最も低い集水部位２０となり、左右方向及び前後方向からこの集水部位２０に向けて傾斜する傾斜形状に形成されている。そして、このカバー１０ｂの左右両側に設けた前記開口１６に、カバー１０ｂの表面形状に略合致した扉部１２ａが嵌め込まれ載置部１２ｂがカバー１０ｂ内に収容した収納部１２の収納状態において、カバー１０ｂの開口１６が扉部１２ａで閉塞されてカバー１０ｂ前面が面一状態の曲面となるように設定されている。なお、収納部１２の載置部１２ｂとカバー１０ｂの仕切板１７及び集水部位２０には、図３に示すように、排水孔２１が上下方向に連通する状態でそれぞれ形成されており、これらの各排水孔２１により石けん１３に付着した水滴等が下方に流れて、壁パネル２ｂの表面をカウンター６に向けて流下するようになっている。
【００１９】
このように構成された棚１０は、図３に示すように、棚板１０ａの後部下面に設けた取付リブ２２をネジ２３により壁パネル２ｂに固定することにより、棚板１０ａが壁パネル２ｂに取り付けられ、この棚板１０ａの前端下面に設けた突条２４の内側にカバー１０ｂの上端部２５を嵌め込み、その後、例えばカバー１０ｂの適宜位置に設けた図示しない固定部を壁パネル２ｂにネジで固定すること等により、棚板１０ａの下面がカバー１０ｂで覆われた状態で棚１０が壁パネル２ｂの表面に設置されている。なお、カバー１０ｂの棚板１０ａ等に対する固定構造は、この例の固定部とネジに限らず、例えば嵌め込み式等の適宜の固定手段を採用することができる。
【００２０】
そして、このように設置された棚１０は、次のようにして使用される。すなわち、先ず、収納部１２の載置部１２ｂ上に石けん１３を載置し該載置部１２ｂをカバー１０ｂ内に押し込んだ収納状態においては、前述したようにカバー１０ｂの開口１６が収納部１２の扉部１２ａで閉塞されて、扉部１２ａがカバー１０ｂの一部として機能してカバー１０ｂの前面が曲面状に設定されている。この収納状態においては、棚１０の棚板１０ａの上面（棚面）にシャンプー等を載置した状態で棚１０が使用されると共に、カバー１０ｂに設けた水栓１１が洗い場５にいる入浴者によって適宜に操作されて使用される。
【００２１】
一方、入浴者が洗い場５で石けん１３を使用する場合は、棚１０のカバー１０ｂに設けた指掛け凹部１９に指先を入れて収納部１２の扉部１２ａを前方に引っ張ることにより、収納部１２の載置部１２ｂが図２の拡大部の実線で示すように、カバー１０ｂ前方に所定距離引き出されてガイド１５がカバー１０ｂの開口１６縁部に係止される。これにより、載置部１２ｂの上方がカバー１０ｂの前方で開放された状態となり、この状態で載置部１２ｂに収納されている石けん１３を取り出すことで該石けん１３が使用される。なお、この収納部１２の引き出し時に、載置部１２ｂの後端部に設けたガイド１５が仕切板１７上をスライド移動することから、載置部１２ｂが前方にスムーズに引き出されることになる。
【００２２】
また、この収納部１２の使用形態としては、ガイド１５がカバー１０ｂの開口１６縁部に係止して、載置部１２ｂがカバー１０ｂ内に位置する状態での使用に限らず、例えば収納部１２を前方に引き出した状態において、載置部１２ｂの後端側を上方に若干移動させてガイド１５と開口１６縁部との係止状態を解除することにより、収納部１２を開口１６部分から完全に取り外して使用することもできる。この場合は、取り外した収納部１２を市販されている石けん皿と同様にして、棚１０の棚板１０ａ上や洗い場５上に置いた状態で使用することができる。
【００２３】
そして、例えば取り外したり引き出した収納部１２は、石けん１３の使用後に載置部１２ｂをカバー１０ｂの開口１６内に挿入した状態でその扉部１２ａを後方側に押し込むことにより、カバー１０ｂに装着された元の非使用状態（収納状態）に設定される。つまり、前記棚１０の場合、棚板１０ａを覆うカバー１０ｂに引き出し可能な収納部１２を設けることにより、カバー１０ｂ内の空間１８を有効利用しつつ収納部１２に浴室で使用する石けん１３等の小物を収納できることになる。
【００２４】
このように、上記実施形態の棚１０にあっては、壁パネル２ｂに取り付けられる棚１０の棚板１０ａ下部を覆うカバー１０ｂに、石けん１３等の小物を収納可能な収納部１２が設けられているため、カバー１０ｂにより棚板１０ａの下部を覆うことができて、例えば普段あまり使用しない石けん１３等をカバー１０ｂ内に隠すことができると共に、水栓本体等をカバー１０ｂで隠すことができて、棚１０全体の意匠性を高めることができる。特に、カバー１０ｂが、その左右幅方向の下部略中間位置が集水部位２０となるように、前後方向及び左右方向から傾斜した傾斜形状に形成されているため、カバー１０ｂの前面形状をなだらかな曲面に形成でき、ミラー７直下に意匠的なアクセントを得ることができて、浴室１のデザインを向上させることも可能となる。
【００２５】
また、カバー１０ｂ内に収納部１２が引き出し可能に配置されているため、従来デッドスペースとなっていたカバー１０ｂ内の空間１８を収納空間として有効利用することができる。特に、収納部１２が、左右方向に比較的長く形成されミラー７の直下に水平状態で配置された棚１０のカバー１０ｂの左右両側に設けられているため、棚板１０ａの面積を大きくして収納量を多くし、例えば洗い場５で使用するシャンプー等を入浴者が取り易い位置に一時収納して使用することができる。
【００２６】
また、収納部１２の載置部１２ｂの後端部にガイド１５が設けられているため、このガイド１５により収納部１２が仕切板１７上をスムーズに前後移動できると共に、ガイド１５の開口１６縁部への係止により、収納部１２の前方の安易な飛び出しを防止することができる。また同時に、収納部１２をカバー１０ｂに対して完全に取り外すこともできるため、取り外した収納部１２を棚面１０ａ上や洗い場５上に置いて石けん皿としても使用することができる。これらにより、浴室１で使用される各種小物等をその使用頻度等に応じて棚１０の棚板１０ａ上に載置したり収納部１２等の所望位置に収納することができて、浴室１における棚構造の使い勝手を向上させることが可能となる。
【００２７】
さらに、収納部１２が扉部１２ａのカバー１０ｂに対する前方への引き出しや後方への押し込み操作によってカバー１０ｂの開口１６部分に出し入れされるため、その操作を簡単に行うことができると共に、カバー１０ｂの開口１６縁部に設けた指掛け凹部１９によって指先を扉部１２ａに確実に引っ掛けることができて、引き出し操作を一層簡単かつスムーズに行うことができる。また、比較的面積の大きな棚板１０ａの下部を覆うカバー１０ｂ内に水栓１１が設けられ、この水栓１１の両側に収納部１２が設けられているため、カバー１０ｂに水栓１１のカバーとしての機能と収納部１２としての機能の両機能を持たせることができて、カバー１０ｂの付加価値を高めること等が可能となる。
【００２８】
またさらに、傾斜形状に形成されたカバー１０ｂ内の所定高さ位置を仕切板１７で上下方向に仕切ることにより収納部１２が引き出し可能に配置されているため、仕切板１７によってカバー１０ｂ内に収納部１２を簡単に配置できると共に、仕切板１７がリブとして機能し、カバー１０ｂ自体に所定の剛性を確保して石けん１３等を収納部１２内に安定収納することができる。
【００２９】
図４〜図１０は、本発明に係わる棚構造の第２〜第５の実施形態を示している。以下、上記第１の実施形態と同一部位には、同一符号を付して説明する。これらの各実施形態の特徴は、上記第１の実施形態の棚１０が、壁パネル２ｂのミラー７直下に設けられて棚板上にシャンプー等を載置できる収納機能と水栓収納機能を備える棚であるのに対し、例えば水栓収納機能を備えない図１に示す棚９に適用した点にある。
【００３０】
先ず、図４〜図６に示す第２の実施形態の特徴は、棚３０を平面視で略半円弧形状の棚板３０ａと、この棚板３０ａの下部を覆うカバー３０ｂとで形成し、カバー３０ｂの前面に収納部３１を開閉可能に配設した点にある。この時、収納部３１は、扉部３１ａと載置部３１ｂを有し、扉部３１ａの左右幅方向の一端部がカバー３０ｂの開口１６縁部に図示しない一体ヒンジ等により矢印ロの如く開閉可能に配設されている。また、カバー３０ｂの開口１６の反ヒンジ側には、前記指掛け凹部１９が設けられている。
【００３１】
そして、この棚３０の場合は、図６に示すように、収納部３１の載置部３１ｂの他にカバー３０ｂの内部に設けられた仕切板１７上にも載置部１７ａが形成されており、カバー３０ｂ内に上下二段の載置部３１ｂ、１７ａが設けられた状態となっている。また、収納部３１の載置部３１ｂ上には、石けん皿３２が収納できるように構成され、この石けん皿３２や載置部３１ｂ及び仕切板１７の載置部１７ａ、カバー３０ｂの集水部位２０には、上下方向に連通する状態で排水孔２１がそれぞれ形成されている。
【００３２】
この第２の実施形態の棚３０においても、カバー３０ｂの前面に対して収納部３１が開閉可能であることから、この収納部３１を開放した際に載置部３１ｂ上の石けん皿３２を取り出すことにより、石けん１３を洗い場５で使用できる等、上記第１の実施形態と同様の作用効果を得ることができる。また、この第２の実施形態の場合は、カバー３０ｂ内に第２の載置部１７ａが設けられていることから、カバー３０ｂ内への収納物の収納量を増大でき、例えば予備の石けんやスポンジ等を載置部１７ａに載置収納できて、棚３０の使い勝手を一層向上させることができる。
【００３３】
また、図７及び図８に示す第３の実施形態の棚３０の特徴は、カバー３０ｂに設けられる収納部を第１の実施形態の収納部と略同一構造に形成した点にある。すなわち、棚３０の棚板３０ａの下部を覆うカバー３０ｂの前面に、扉部１２ａと皿状の載置部１２ｂを有する収納部１２が引き出し（取り出し）可能に配置されている。この第３の実施形態の棚３０においても、収納部１２の載置部１２ｂ上に収納した石けん１３を収納部１２の矢印イ方向への引き出しにより使用できて、上記第１の実施形態と同様の作用効果を得ることができる。
【００３４】
また、図９に示す第４の実施形態の棚３０の特徴は、棚板３０ａの下部を覆うカバー３０ｂの内側上部に仕切板１７を設け、この仕切板１７の上面で収納部１７ａを形成すると共に、この収納部１７ａの上部に位置する棚板３０ａを壁パネル２ｂに対して開閉可能に配設した点にある。すなわち、棚板３０ａの後端部を適宜形態のヒンジ３３を介して壁パネル２ｂに固定することにより、棚板３０ａを図の矢印ハの如く上下方向に開閉可能に配設し、この棚板３０ａの下部にカバー３０ｂを固定的に配置する。
【００３５】
この時、棚板３０ａは開閉動作した際の最下端位置が実線で示す水平位置に設定され、カバー３０ｂは壁パネル２ｂに固定された状態に設定される。この実施形態の棚３０においても、棚板３０ａを上方に開放することでカバー３０ｂ内の収納部１７ａに収納されている石けん１３を取り出して使用でき、上記第１の実施形態と同様の作用効果を得ることができる。また、この実施形態の場合は、カバー３０ｂの内部に仕切板１７を単に設けることで対応できて、カバー３０ｂ自体の形状が簡略化されるという作用効果を得ることもできる。
【００３６】
さらに、図１０に示す第５の実施形態の棚３０の特徴は、棚板３０ａの下部を覆うカバー３０ｂの前面上部に開閉可能な開閉蓋３４を設けると共に、カバー３０ｂ内に収納部１７ａを形成する仕切板１７を設けた点にある。すなわち、カバー３０ｂの開口１６に対応した形状の開閉蓋３４を、棚板３０ａの前端下部（もしくは開口１６の上縁）に適宜形態のヒンジ３５を介して図の矢印ニの如く上下方向に開閉可能に配設する。この時、開閉蓋３４は、収納部１７ａ内に入浴者の手が入る大きさの開口を確保できる程度に開放され、通常は例えばその自重により垂れ下がってカバー３０ｂの開口１６を閉塞するように設定されている。この実施形態の棚３０においても、開閉蓋３４の開閉操作で収納部１７ａの石けん１３を取り出して使用でき、上記第１の実施形態と同様の作用効果を得ることができる。
【００３７】
このように、本発明は、棚板１０ａ、３０ａの下部を覆うカバー１０ｂ、３０ｂ内に石けん１３等の小物を収納し得て、この石けん１３を使用時に取り出し可能な収納部を有すれば良く、上記した各実施形態のそれぞれに限定されるものではなく、例えば図４に示す実施形態の収納部３１と図９に示す実施形態とを組み合わせる等、各実施形態の全部もしくは一部を適宜に組み合わせることができる。
【００３８】
また、上記各実施形態における、棚のカバーや棚板の形状、棚板やカバーの壁パネル２ｂへの取付構造、収納部自体の形状や配置個数、収納部の引き出しや開閉機構等も一例であって、例えば、壁パネル２ｂにミラーパネルが取り付けられる場合は、このミラーパネルに収納部を引き出し可能もしくは開閉可能に配置する等、本発明に係わる各発明の要旨を逸脱しない範囲において適宜に変更することができる。
【産業上の利用可能性】
【００３９】
本発明は、浴室のカウンター側の壁面やミラーパネルに取り付けられる棚構造に限らず、トイレ室や洗面室、台所等の各種衛生設備室の壁面あるいは洗面化粧台やキッチン等の衛生設備機器の壁面に取り付けられる各種の棚構造にも適用できる。
【図面の簡単な説明】
【００４０】
【図１】本発明に係わる棚構造の第１の実施形態を採用した浴室の斜視図
【図２】同棚部分の拡大図
【図３】同棚部分の縦断面図
【図４】本発明に係わる棚構造の第２の実施形態を示す斜視図
【図５】同その収納部の開放状態の斜視図
【図６】同その縦断面図
【図７】本発明に係わる棚構造の第３の実施形態を示す斜視図
【図８】同その収納部の開放状態の斜視図
【図９】本発明に係わる棚構造の第４の実施形態を示す縦断面図
【図１０】本発明に係わる棚構造の第５の実施形態を示す縦断面図
【符号の説明】
【００４１】
１・・・浴室、２ａ〜２ｃ・・・壁パネル、５・・・洗い場、６・・・カウンター、７・・・ミラー、９・・・棚、１０・・・棚、１０ａ・・・棚板、１０ｂ・・・カバー、１１・・・水栓、１２・・・収納部、１２ａ・・・扉部、１２ｂ・・・載置部、１３・・・石けん、１４・・・落下防止壁、１５・・・ガイド、１６・・・開口、１７・・・仕切板、１７ａ・・・収納部、１８・・・空間、１９・・・指掛け凹部、２０・・・集水部位、２１・・・排水孔、３０・・・棚、３０ａ・・・棚板、３０ｂ・・・カバー、３１・・・収納部、３１ａ・・・扉部、３１ｂ・・・載置部、３２・・・石けん皿、３４・・・開閉扉。
【技術分野】
【０００１】
本発明は、例えば浴室等の衛生設備室の壁面に取り付けられる棚構造に係わり、特に棚板の下部を覆うカバーに収納部が設けられた棚構造に関する。
【背景技術】
【０００２】
一般的に、例えばシステムバスルーム等の浴室においては、洗い場のカウンター側の壁面でミラーの近傍に、シャンプーや石けん等を載置する棚が設置されている。従来、この種の棚構造は、平板状の棚板を壁面に固定してその上面を棚面として使用したり、あるいは壁面に固定した平板状の棚板の下部をカバーで覆って棚全体の意匠性を高めたもの等が使用されている。なお、平板状の棚板に関する文献としては、例えば特許文献１が知られている。
【特許文献１】特開２００３−２６５２４６号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【０００３】
しかしながら、平板状の棚板を単に使用する棚構造においては、棚板を壁面に固定して、この棚板の上面にシャンプー等を載置する構造であるため、棚板の下部側が入浴者に直接視認される状態となって、意匠性の面で劣ることになる。また、棚板の下部をカバーで覆う棚構造においては、意匠性の向上は図れるものの、カバーは単に棚板の下部を覆う機能しか有しておらず、例えばカバー内に形成される空間を有効利用することが難しい。
【０００４】
本発明は、このような事情に鑑みてなされたもので、その目的は、意匠性を高めつつ、棚板の下部を覆うカバー内の空間を収納空間として有効利用することができる棚構造を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【０００５】
かかる目的を達成すべく、本発明のうち請求項１に記載の発明は、壁面等に取り付けられる棚板と、該棚板の下部を覆うカバーとを備え、前記カバーに、該カバー内の空間を利用して収納物を収納可能な収納部を設けたことを特徴とする。
【０００６】
そして、前記収納部は、請求項２に記載の発明のように、カバーの前面に引き出し可能もしくは開閉可能に設けられていたり、請求項３に記載の発明のように、その扉、カバー開閉部、棚板の少なくとも一つの開閉操作によって収納物が出し入れ可能に構成されていることが好ましい。
【０００７】
また、請求項４に記載の発明のように、前記カバー内に仕切板が設けられ、該仕切板上に皿状の前記収納部が配置されるか、あるいは仕切板の上面により前記収納部が形成されて収納物が直接もしくは収納皿を介して載置収納されることが好ましい。さらに、請求項５に記載の発明のように、前記カバーが左右方向及び前後方向から集水部位に向かって傾斜する傾斜形状に形成され、その中央部分に水栓が配置されると共に該カバーの水栓両側の少なくとも一方に前記収納部が設けられていることが好ましい。
【発明の効果】
【０００８】
本発明のうち請求項１に記載の発明によれば、衛生設備室の壁面等に取り付けられる棚板の下部を覆うカバーに、該カバー内の空間を利用して収納物を収納可能な収納部が設けられるため、カバーにより棚板の下部を覆うことができて、例えば普段使用しない収納物をカバー内に隠した状態で収納でき、棚全体の意匠性を高めることができると共に、カバー内の空間を収納空間として有効利用することができ、その使い勝手の向上を図ることができる。
【０００９】
また、請求項２に記載の発明によれば、請求項１に記載の発明の効果に加え、収納部がカバーの前面に引き出し可能もしくは開閉可能に設けられているため、引き出し操作や開閉操作により収納物を簡単に出し入れできて、棚の使い勝手の一層の向上を図ることができる。
【００１０】
また、請求項３に記載の発明によれば、請求項１に記載の発明の効果に加え、収納部が、その扉やカバー開閉部あるいは棚板の開閉操作によって収納物が出し入れ可能に構成されているため、扉等の開閉操作により収納物に簡単に出し入れできて、棚の使い勝手のより一層の向上を図ることができる。
【００１１】
また、請求項４に記載の発明によれば、請求項１ないし３に記載の発明の効果に加え、カバー内の所定高さ位置を仕切る仕切板上に、皿状の収納部が配置されたりあるいは仕切板の上面で形成される収納部に収納物が直接もしくは収納皿を介して載置収納されるため、例えば仕切板によって皿状の収納部をスムーズに出し入れできたり、カバー内に収納部を簡単に形成できると共に、仕切板によってカバーの剛性を確保して収納物を安定収納することができる。
【００１２】
さらに、請求項５に記載の発明によれば、請求項１ないし４に記載の発明の効果に加え、傾斜形状のカバーに水栓や収納部が設けられているため、例えば浴室のミラー下部の棚板を覆うカバーに水栓のカバーとしての機能と収納部としての機能を持たせることができて、カバーの付加価値を高めると共に棚の使い勝手等を一層高めることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【００１３】
以下、本発明の実施の形態を図面に基づいて詳細に説明する。
図１〜図３は、本発明に係わる棚構造の第１の実施形態を示し、図１が該棚構造を採用した浴室の斜視図、図２が棚部分の拡大図、図３がその縦断面図である。
【００１４】
図１に示すように、システムバスルーム等の浴室１は、防水パンの外周縁上に載置された４枚の壁パネル２ａ〜２ｄ（壁パネル２ｄは図示せず）と、該壁パネル２ａ〜２ｄ上に載置された天井パネル３等によって略箱状に形成され、防水パンの壁パネル２ａ側にはバスタブ４が設置されると共に、このバスタブ４の側方の防水パン上には洗い場５が設けられている。
【００１５】
また、洗い場５の壁パネル２ｂ側にはカウンター６が設置され、このカウンター６上方の壁パネル２ｂには、ミラー７や照明装置８が配置されると共に、ミラー７の右側方に棚板とカバーからなる複数段の棚９が配置され、またミラー７の下部に本発明の棚構造を採用した棚１０が配置されている。この棚１０は、ミラー７の直下に位置してカウンター６の左右幅より所定寸法小さい棚板１０ａと、この棚板１０ａの下部を覆うカバー１０ｂとを備えている。
【００１６】
そして、棚１０のカバー１０ｂには、その左右幅方向の中心位置上部に下部に吐水口１１ａを有する水栓１１が配置されると共に、この水栓１１の左右両側に収納部１２がそれぞれ設けられている。この収納部１２は、図２及び図３に示すように、左右対称の略同一形状に形成され、表面形状がカバー１０ｂの表面形状に合致した扉部１２ａと、この扉部１２ａの後方側に水平状態で延設された載置部１２ｂを有している。この載置部１２ｂの外周部には、収納物としての例えば石けん１３の落下を防止する落下防止壁１４が一体形成され、また、載置部１２ｂの後端下部には、収納部１２の引き出し方向である矢印イ方向への移動を案内するガイド１５が一体形成されている。この時、ガイド１５は、その下端形状が後述する仕切板１７上をスムーズに移動し得る形状に設定されると共に、収納部１２を前方に引き出した際に、カバー１０ｂの開口１６の下縁部に係止して該収納部１２の前方への飛び出しが防止されるようになっている。
【００１７】
また、カバー１０ｂの収納部１２が設けられる部分には、収納部１２の扉部１２ａに対応した形状の前記開口１６が形成されると共に、この開口１６の下縁部でカバー１０ｂ内には前記仕切板１７が後方側に略水平状態で延設されている。この仕切板１７により、カバー１０ｂ内の空間１８が部分的に上下方向に仕切られた状態となっており、この仕切板１７上に収納部１２の載置部１２ｂが前述したように引き出し（出し入れ）可能に配設されている。なお、カバー１０ｂの開口１６の下縁で左右幅方向の中間位置には、指掛け凹部１９が設けられており、この指掛け凹部１９に入浴者がその指先を入れ収納部１２の扉部１２ａ下縁に掛けて前方に引っ張ることにより、収納部１２が引き出しできるように構成されている。
【００１８】
また、カバー１０ｂは、例えば樹脂成形によって成形され、左右幅方向の中間位置の後方下部が最も低い集水部位２０となり、左右方向及び前後方向からこの集水部位２０に向けて傾斜する傾斜形状に形成されている。そして、このカバー１０ｂの左右両側に設けた前記開口１６に、カバー１０ｂの表面形状に略合致した扉部１２ａが嵌め込まれ載置部１２ｂがカバー１０ｂ内に収容した収納部１２の収納状態において、カバー１０ｂの開口１６が扉部１２ａで閉塞されてカバー１０ｂ前面が面一状態の曲面となるように設定されている。なお、収納部１２の載置部１２ｂとカバー１０ｂの仕切板１７及び集水部位２０には、図３に示すように、排水孔２１が上下方向に連通する状態でそれぞれ形成されており、これらの各排水孔２１により石けん１３に付着した水滴等が下方に流れて、壁パネル２ｂの表面をカウンター６に向けて流下するようになっている。
【００１９】
このように構成された棚１０は、図３に示すように、棚板１０ａの後部下面に設けた取付リブ２２をネジ２３により壁パネル２ｂに固定することにより、棚板１０ａが壁パネル２ｂに取り付けられ、この棚板１０ａの前端下面に設けた突条２４の内側にカバー１０ｂの上端部２５を嵌め込み、その後、例えばカバー１０ｂの適宜位置に設けた図示しない固定部を壁パネル２ｂにネジで固定すること等により、棚板１０ａの下面がカバー１０ｂで覆われた状態で棚１０が壁パネル２ｂの表面に設置されている。なお、カバー１０ｂの棚板１０ａ等に対する固定構造は、この例の固定部とネジに限らず、例えば嵌め込み式等の適宜の固定手段を採用することができる。
【００２０】
そして、このように設置された棚１０は、次のようにして使用される。すなわち、先ず、収納部１２の載置部１２ｂ上に石けん１３を載置し該載置部１２ｂをカバー１０ｂ内に押し込んだ収納状態においては、前述したようにカバー１０ｂの開口１６が収納部１２の扉部１２ａで閉塞されて、扉部１２ａがカバー１０ｂの一部として機能してカバー１０ｂの前面が曲面状に設定されている。この収納状態においては、棚１０の棚板１０ａの上面（棚面）にシャンプー等を載置した状態で棚１０が使用されると共に、カバー１０ｂに設けた水栓１１が洗い場５にいる入浴者によって適宜に操作されて使用される。
【００２１】
一方、入浴者が洗い場５で石けん１３を使用する場合は、棚１０のカバー１０ｂに設けた指掛け凹部１９に指先を入れて収納部１２の扉部１２ａを前方に引っ張ることにより、収納部１２の載置部１２ｂが図２の拡大部の実線で示すように、カバー１０ｂ前方に所定距離引き出されてガイド１５がカバー１０ｂの開口１６縁部に係止される。これにより、載置部１２ｂの上方がカバー１０ｂの前方で開放された状態となり、この状態で載置部１２ｂに収納されている石けん１３を取り出すことで該石けん１３が使用される。なお、この収納部１２の引き出し時に、載置部１２ｂの後端部に設けたガイド１５が仕切板１７上をスライド移動することから、載置部１２ｂが前方にスムーズに引き出されることになる。
【００２２】
また、この収納部１２の使用形態としては、ガイド１５がカバー１０ｂの開口１６縁部に係止して、載置部１２ｂがカバー１０ｂ内に位置する状態での使用に限らず、例えば収納部１２を前方に引き出した状態において、載置部１２ｂの後端側を上方に若干移動させてガイド１５と開口１６縁部との係止状態を解除することにより、収納部１２を開口１６部分から完全に取り外して使用することもできる。この場合は、取り外した収納部１２を市販されている石けん皿と同様にして、棚１０の棚板１０ａ上や洗い場５上に置いた状態で使用することができる。
【００２３】
そして、例えば取り外したり引き出した収納部１２は、石けん１３の使用後に載置部１２ｂをカバー１０ｂの開口１６内に挿入した状態でその扉部１２ａを後方側に押し込むことにより、カバー１０ｂに装着された元の非使用状態（収納状態）に設定される。つまり、前記棚１０の場合、棚板１０ａを覆うカバー１０ｂに引き出し可能な収納部１２を設けることにより、カバー１０ｂ内の空間１８を有効利用しつつ収納部１２に浴室で使用する石けん１３等の小物を収納できることになる。
【００２４】
このように、上記実施形態の棚１０にあっては、壁パネル２ｂに取り付けられる棚１０の棚板１０ａ下部を覆うカバー１０ｂに、石けん１３等の小物を収納可能な収納部１２が設けられているため、カバー１０ｂにより棚板１０ａの下部を覆うことができて、例えば普段あまり使用しない石けん１３等をカバー１０ｂ内に隠すことができると共に、水栓本体等をカバー１０ｂで隠すことができて、棚１０全体の意匠性を高めることができる。特に、カバー１０ｂが、その左右幅方向の下部略中間位置が集水部位２０となるように、前後方向及び左右方向から傾斜した傾斜形状に形成されているため、カバー１０ｂの前面形状をなだらかな曲面に形成でき、ミラー７直下に意匠的なアクセントを得ることができて、浴室１のデザインを向上させることも可能となる。
【００２５】
また、カバー１０ｂ内に収納部１２が引き出し可能に配置されているため、従来デッドスペースとなっていたカバー１０ｂ内の空間１８を収納空間として有効利用することができる。特に、収納部１２が、左右方向に比較的長く形成されミラー７の直下に水平状態で配置された棚１０のカバー１０ｂの左右両側に設けられているため、棚板１０ａの面積を大きくして収納量を多くし、例えば洗い場５で使用するシャンプー等を入浴者が取り易い位置に一時収納して使用することができる。
【００２６】
また、収納部１２の載置部１２ｂの後端部にガイド１５が設けられているため、このガイド１５により収納部１２が仕切板１７上をスムーズに前後移動できると共に、ガイド１５の開口１６縁部への係止により、収納部１２の前方の安易な飛び出しを防止することができる。また同時に、収納部１２をカバー１０ｂに対して完全に取り外すこともできるため、取り外した収納部１２を棚面１０ａ上や洗い場５上に置いて石けん皿としても使用することができる。これらにより、浴室１で使用される各種小物等をその使用頻度等に応じて棚１０の棚板１０ａ上に載置したり収納部１２等の所望位置に収納することができて、浴室１における棚構造の使い勝手を向上させることが可能となる。
【００２７】
さらに、収納部１２が扉部１２ａのカバー１０ｂに対する前方への引き出しや後方への押し込み操作によってカバー１０ｂの開口１６部分に出し入れされるため、その操作を簡単に行うことができると共に、カバー１０ｂの開口１６縁部に設けた指掛け凹部１９によって指先を扉部１２ａに確実に引っ掛けることができて、引き出し操作を一層簡単かつスムーズに行うことができる。また、比較的面積の大きな棚板１０ａの下部を覆うカバー１０ｂ内に水栓１１が設けられ、この水栓１１の両側に収納部１２が設けられているため、カバー１０ｂに水栓１１のカバーとしての機能と収納部１２としての機能の両機能を持たせることができて、カバー１０ｂの付加価値を高めること等が可能となる。
【００２８】
またさらに、傾斜形状に形成されたカバー１０ｂ内の所定高さ位置を仕切板１７で上下方向に仕切ることにより収納部１２が引き出し可能に配置されているため、仕切板１７によってカバー１０ｂ内に収納部１２を簡単に配置できると共に、仕切板１７がリブとして機能し、カバー１０ｂ自体に所定の剛性を確保して石けん１３等を収納部１２内に安定収納することができる。
【００２９】
図４〜図１０は、本発明に係わる棚構造の第２〜第５の実施形態を示している。以下、上記第１の実施形態と同一部位には、同一符号を付して説明する。これらの各実施形態の特徴は、上記第１の実施形態の棚１０が、壁パネル２ｂのミラー７直下に設けられて棚板上にシャンプー等を載置できる収納機能と水栓収納機能を備える棚であるのに対し、例えば水栓収納機能を備えない図１に示す棚９に適用した点にある。
【００３０】
先ず、図４〜図６に示す第２の実施形態の特徴は、棚３０を平面視で略半円弧形状の棚板３０ａと、この棚板３０ａの下部を覆うカバー３０ｂとで形成し、カバー３０ｂの前面に収納部３１を開閉可能に配設した点にある。この時、収納部３１は、扉部３１ａと載置部３１ｂを有し、扉部３１ａの左右幅方向の一端部がカバー３０ｂの開口１６縁部に図示しない一体ヒンジ等により矢印ロの如く開閉可能に配設されている。また、カバー３０ｂの開口１６の反ヒンジ側には、前記指掛け凹部１９が設けられている。
【００３１】
そして、この棚３０の場合は、図６に示すように、収納部３１の載置部３１ｂの他にカバー３０ｂの内部に設けられた仕切板１７上にも載置部１７ａが形成されており、カバー３０ｂ内に上下二段の載置部３１ｂ、１７ａが設けられた状態となっている。また、収納部３１の載置部３１ｂ上には、石けん皿３２が収納できるように構成され、この石けん皿３２や載置部３１ｂ及び仕切板１７の載置部１７ａ、カバー３０ｂの集水部位２０には、上下方向に連通する状態で排水孔２１がそれぞれ形成されている。
【００３２】
この第２の実施形態の棚３０においても、カバー３０ｂの前面に対して収納部３１が開閉可能であることから、この収納部３１を開放した際に載置部３１ｂ上の石けん皿３２を取り出すことにより、石けん１３を洗い場５で使用できる等、上記第１の実施形態と同様の作用効果を得ることができる。また、この第２の実施形態の場合は、カバー３０ｂ内に第２の載置部１７ａが設けられていることから、カバー３０ｂ内への収納物の収納量を増大でき、例えば予備の石けんやスポンジ等を載置部１７ａに載置収納できて、棚３０の使い勝手を一層向上させることができる。
【００３３】
また、図７及び図８に示す第３の実施形態の棚３０の特徴は、カバー３０ｂに設けられる収納部を第１の実施形態の収納部と略同一構造に形成した点にある。すなわち、棚３０の棚板３０ａの下部を覆うカバー３０ｂの前面に、扉部１２ａと皿状の載置部１２ｂを有する収納部１２が引き出し（取り出し）可能に配置されている。この第３の実施形態の棚３０においても、収納部１２の載置部１２ｂ上に収納した石けん１３を収納部１２の矢印イ方向への引き出しにより使用できて、上記第１の実施形態と同様の作用効果を得ることができる。
【００３４】
また、図９に示す第４の実施形態の棚３０の特徴は、棚板３０ａの下部を覆うカバー３０ｂの内側上部に仕切板１７を設け、この仕切板１７の上面で収納部１７ａを形成すると共に、この収納部１７ａの上部に位置する棚板３０ａを壁パネル２ｂに対して開閉可能に配設した点にある。すなわち、棚板３０ａの後端部を適宜形態のヒンジ３３を介して壁パネル２ｂに固定することにより、棚板３０ａを図の矢印ハの如く上下方向に開閉可能に配設し、この棚板３０ａの下部にカバー３０ｂを固定的に配置する。
【００３５】
この時、棚板３０ａは開閉動作した際の最下端位置が実線で示す水平位置に設定され、カバー３０ｂは壁パネル２ｂに固定された状態に設定される。この実施形態の棚３０においても、棚板３０ａを上方に開放することでカバー３０ｂ内の収納部１７ａに収納されている石けん１３を取り出して使用でき、上記第１の実施形態と同様の作用効果を得ることができる。また、この実施形態の場合は、カバー３０ｂの内部に仕切板１７を単に設けることで対応できて、カバー３０ｂ自体の形状が簡略化されるという作用効果を得ることもできる。
【００３６】
さらに、図１０に示す第５の実施形態の棚３０の特徴は、棚板３０ａの下部を覆うカバー３０ｂの前面上部に開閉可能な開閉蓋３４を設けると共に、カバー３０ｂ内に収納部１７ａを形成する仕切板１７を設けた点にある。すなわち、カバー３０ｂの開口１６に対応した形状の開閉蓋３４を、棚板３０ａの前端下部（もしくは開口１６の上縁）に適宜形態のヒンジ３５を介して図の矢印ニの如く上下方向に開閉可能に配設する。この時、開閉蓋３４は、収納部１７ａ内に入浴者の手が入る大きさの開口を確保できる程度に開放され、通常は例えばその自重により垂れ下がってカバー３０ｂの開口１６を閉塞するように設定されている。この実施形態の棚３０においても、開閉蓋３４の開閉操作で収納部１７ａの石けん１３を取り出して使用でき、上記第１の実施形態と同様の作用効果を得ることができる。
【００３７】
このように、本発明は、棚板１０ａ、３０ａの下部を覆うカバー１０ｂ、３０ｂ内に石けん１３等の小物を収納し得て、この石けん１３を使用時に取り出し可能な収納部を有すれば良く、上記した各実施形態のそれぞれに限定されるものではなく、例えば図４に示す実施形態の収納部３１と図９に示す実施形態とを組み合わせる等、各実施形態の全部もしくは一部を適宜に組み合わせることができる。
【００３８】
また、上記各実施形態における、棚のカバーや棚板の形状、棚板やカバーの壁パネル２ｂへの取付構造、収納部自体の形状や配置個数、収納部の引き出しや開閉機構等も一例であって、例えば、壁パネル２ｂにミラーパネルが取り付けられる場合は、このミラーパネルに収納部を引き出し可能もしくは開閉可能に配置する等、本発明に係わる各発明の要旨を逸脱しない範囲において適宜に変更することができる。
【産業上の利用可能性】
【００３９】
本発明は、浴室のカウンター側の壁面やミラーパネルに取り付けられる棚構造に限らず、トイレ室や洗面室、台所等の各種衛生設備室の壁面あるいは洗面化粧台やキッチン等の衛生設備機器の壁面に取り付けられる各種の棚構造にも適用できる。
【図面の簡単な説明】
【００４０】
【図１】本発明に係わる棚構造の第１の実施形態を採用した浴室の斜視図
【図２】同棚部分の拡大図
【図３】同棚部分の縦断面図
【図４】本発明に係わる棚構造の第２の実施形態を示す斜視図
【図５】同その収納部の開放状態の斜視図
【図６】同その縦断面図
【図７】本発明に係わる棚構造の第３の実施形態を示す斜視図
【図８】同その収納部の開放状態の斜視図
【図９】本発明に係わる棚構造の第４の実施形態を示す縦断面図
【図１０】本発明に係わる棚構造の第５の実施形態を示す縦断面図
【符号の説明】
【００４１】
１・・・浴室、２ａ〜２ｃ・・・壁パネル、５・・・洗い場、６・・・カウンター、７・・・ミラー、９・・・棚、１０・・・棚、１０ａ・・・棚板、１０ｂ・・・カバー、１１・・・水栓、１２・・・収納部、１２ａ・・・扉部、１２ｂ・・・載置部、１３・・・石けん、１４・・・落下防止壁、１５・・・ガイド、１６・・・開口、１７・・・仕切板、１７ａ・・・収納部、１８・・・空間、１９・・・指掛け凹部、２０・・・集水部位、２１・・・排水孔、３０・・・棚、３０ａ・・・棚板、３０ｂ・・・カバー、３１・・・収納部、３１ａ・・・扉部、３１ｂ・・・載置部、３２・・・石けん皿、３４・・・開閉扉。
【特許請求の範囲】
【請求項１】
壁面等に取り付けられる棚板と、該棚板の下部を覆うカバーとを備え、前記カバーに、該カバー内の空間を利用して収納物を収納可能な収納部を設けたことを特徴とする棚構造。
【請求項２】
前記収納部は、カバーの前面に引き出し可能もしくは開閉可能に設けられていることを特徴とする請求項１に記載の棚構造。
【請求項３】
前記収納部は、その扉、カバー開閉部、棚板の少なくとも一つの開閉操作によって収納物が出し入れ可能に構成されていることを特徴とする請求項１または２に記載の棚構造。
【請求項４】
前記カバー内に仕切板が設けられ、該仕切板上に皿状の前記収納部が配置されるか、あるいは仕切板の上面により前記収納部が形成されて収納物が直接もしくは収納皿を介して載置収納されることを特徴とする請求項１ないし３のいずれかに記載の棚構造。
【請求項５】
前記カバーが左右方向及び前後方向から集水部位に向かって傾斜する傾斜形状に形成され、その中央部分に水栓が配置されると共に該カバーの水栓両側の少なくとも一方に前記収納部が設けられていることを特徴とする請求項１ないし４のいずれかに記載の棚構造。
【請求項１】
壁面等に取り付けられる棚板と、該棚板の下部を覆うカバーとを備え、前記カバーに、該カバー内の空間を利用して収納物を収納可能な収納部を設けたことを特徴とする棚構造。
【請求項２】
前記収納部は、カバーの前面に引き出し可能もしくは開閉可能に設けられていることを特徴とする請求項１に記載の棚構造。
【請求項３】
前記収納部は、その扉、カバー開閉部、棚板の少なくとも一つの開閉操作によって収納物が出し入れ可能に構成されていることを特徴とする請求項１または２に記載の棚構造。
【請求項４】
前記カバー内に仕切板が設けられ、該仕切板上に皿状の前記収納部が配置されるか、あるいは仕切板の上面により前記収納部が形成されて収納物が直接もしくは収納皿を介して載置収納されることを特徴とする請求項１ないし３のいずれかに記載の棚構造。
【請求項５】
前記カバーが左右方向及び前後方向から集水部位に向かって傾斜する傾斜形状に形成され、その中央部分に水栓が配置されると共に該カバーの水栓両側の少なくとも一方に前記収納部が設けられていることを特徴とする請求項１ないし４のいずれかに記載の棚構造。
【図１】
【図２】
【図３】
【図４】
【図５】
【図６】
【図７】
【図８】
【図９】
【図１０】
【図２】
【図３】
【図４】
【図５】
【図６】
【図７】
【図８】
【図９】
【図１０】
【公開番号】特開２００６−３４６１５５（Ｐ２００６−３４６１５５Ａ）
【公開日】平成１８年１２月２８日（２００６．１２．２８）
【国際特許分類】
【出願番号】特願２００５−１７６１２５（Ｐ２００５−１７６１２５）
【出願日】平成１７年６月１６日（２００５．６．１６）
【出願人】（３９２００８５２９）ヤマハリビングテック株式会社 (349)
【Ｆターム（参考）】
【公開日】平成１８年１２月２８日（２００６．１２．２８）
【国際特許分類】
【出願日】平成１７年６月１６日（２００５．６．１６）
【出願人】（３９２００８５２９）ヤマハリビングテック株式会社 (349)
【Ｆターム（参考）】
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