説明

椅子

【課題】衣服の丈の長さや肩幅の長さに関係なく背凭れの背後に的確に掛けることが出来る椅子を提供する。
【解決手段】背凭れ部を有する椅子本体と、衣類を掛けるための衣類掛け部を備えたハンガー本体とが備えられ、ハンガー本体は、前記椅子本体の背凭れ部の背面側に設けられて、この背凭れ部に対して上下方向に位置変更可能であり、また前記ハンガー本体の衣類掛け部が、前記背凭れ部の左右幅方向に伸び縮み可能であるように構成した。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、衣服を手軽に掛けることができる椅子に関する。
【背景技術】
【0002】
一般に、レストランなどにおいて、顧客が脱いだ上着を保管するための衣服掛けを別途用意することは、店舗の有効スペースをそれだけ狭めるという不具合がある。
【0003】
そのため、従来では、脱いだ上着などの衣服を客席の椅子の背凭れに掛けるのが一般的である。
【0004】
また上着等を掛けるためのハンガー部を背凭れに取り付けた椅子が開発されている。(特許文献1参照。)
しかしながら、コートなどのように丈の長い衣服を椅子の背凭れやこの背凭れに取り付けたハンガー部に架けると、衣服の袖や裾が、床面に付いて床面でこすれるなどにより汚れる不具合がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】実開平6−81350号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明は、以上の実情に鑑みて開発したものであって、目的とするところは、衣服の丈の長さや肩幅の長さに関係なく背凭れの背後に的確に掛けることが出来る椅子を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
以上の目的を達成するために、請求項1に記載の発明は、背凭れ部を有する椅子本体と、衣類を掛けるための衣類掛け部を備えたハンガー本体とが備えられ、ハンガー本体は、前記椅子本体の背凭れ部の背面側に設けられて、この背凭れ部に対して上下方向に位置変更可能としていることを特徴とする。
【0008】
請求項2に記載の発明は、請求項1に記載の椅子において、前記ハンガー本体の衣類掛け部が、前記背凭れ部の左右幅方向に伸び縮み可能であることを特徴とする。
【発明の効果】
【0009】
請求項1に記載の発明によれば、掛ける衣服の丈の長さに応じて、ハンガー本体を背凭れ部に対して上下方向に位置変更することにより、衣服の丈の長さに関係なく背凭れの背後に的確に掛けることが出来、しかも衣服の裾が不用意に汚れるのを確実に防止することが出来る。
【0010】
請求項2に記載の発明によれば、請求項1に記載の発明の効果に加え、掛ける衣服の肩幅に応じて、ハンガー本体の衣類掛け部の長さを調整することで、請求項1に記載の発明の効果に加え、肩幅の異なる衣服でも的確にハンガー本体に掛けることが出来る。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【図1】本発明にかかる椅子の一実施形態を示す斜視図。
【図2】同、側面図。
【図3】同、背面図。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、本発明の実施形態を、図面を参照して説明する。
【0013】
まず、図1は本発明にかかる椅子の一実施形態を示す斜視図、図2は、同、側面図、図3は、同、背面図である。
【0014】
図において符号1で示す椅子は、基本的には、椅子本体2と、衣類を掛けるための衣類掛け部を備えたハンガー本体3と、このハンガー本体3を椅子本体2に支持するための支持部ラケット4とから構成されている。
【0015】
椅子本体2は、平面視略正方形に形成された座体21と、この座体21の下面四隅に組み付けられた4本の脚22と、座体21の後端から立ち上がる背凭れ部23とが備えられている。
【0016】
この椅子本体2は、基本的には木製であって、座体21の上面にはクッション21aが設けられている。
【0017】
ハンガー本体3は、衣類を掛けるための衣類掛け部31と、この衣類掛け部31の長さ方向中央から直線状に下方に延びる支持杆32とから構成されている。
【0018】
衣類掛け部31は、背凭れ部23の左右幅方向に伸び縮み可能であって、具体的には、支持杆32の上端に一体形成された衣類掛け杆31aと、この衣類掛け杆31aの長さ方向両端部にそれぞれスライド可能に挿嵌された筒状の衣類掛け伸縮片31bとから構成され、衣類掛け杆31aに対する衣類掛け伸縮片31bのスライド動作により、衣類掛け部31の全長が伸び縮みするようにしている。
【0019】
支持ブラケット4は、ハンガー本体3の支持杆32を背凭れ部23に対して上下方向にスライド可能に支持するための支持部41と、この支持部41の左右両端から外方に向かって延びる一対の固定片42とから断面略ハット型に形成されている。
【0020】
そして以上の支持ブラケット4は、固定片42を背凭れ部23の背面に固定し、支持部41と背凭れ部23とで囲まれた空間内に支持杆32をスライド可能に挿通している。
【0021】
また支持部41には、支持杆32のスライドをロックするためのロック体5が取り付けられている。
【0022】
このロック体5は、支持部41に設けた螺子孔(図示せず)に螺合可能な螺子軸51と、この螺子軸51の長さ方向一端に設けた操作ノブ52とから構成され、操作ノブ52を介して螺子軸51を支持部41に対して螺締することで、この螺子軸51の軸端を支持杆32の外周面に圧接させて、支持杆32の背凭れ部23に対する上下方向のスライドをロックし、操作ノブ52を介して螺子軸51を支持部41に対して螺緩することで、圧接していた螺子軸51の軸端を支持杆32の外周面から離間させて、支持杆32を背凭れ部23に対してスライドするようにしている。
【0023】
以上の構成からなる椅子1では、例えば、大人用コートなどの丈の長い衣服をハンガー本体に掛けたい場合には、ロック体5による支持杆32のスライドロックを解除して、ハンガー本体3を背凭れ部23に対して所望の高さまで引き上げた上で、再度ロック体5により支持杆32のスライドをロックする。
【0024】
続いて、衣服掛け部31の衣類掛け伸縮片31b を衣類掛け杆31aに対して引き出し方向にスライドさせて、図3に示すように、衣服掛け部31の全長を所望の長さまで広げる。
【0025】
これにより、丈の長い大人用コートなどの衣服をハンガー本体3に掛けた場合でも、衣服の裾が床に触れて汚れる不具合を確実に抑制することが出来る。
【0026】
また衣服は、背凭れ部23の背面後方に収まるので、椅子1に人が腰掛ける際に衣服が邪魔になることはない。
【0027】
一方、例えば丈の短い子供のオーバーなどの衣服を掛ける場合には、ロック体5による支持杆32のスライドロックを解除して、ハンガー本体3を背凭れ部23に対して所望の高さまで降ろした上で、再度、ロック体5により支持杆32のスライドをロックする。
【0028】
続いて、衣服掛け部31の衣類掛け伸縮片31b を衣類掛け杆31aに対して格納方向にスライドさせて、図1に示すように、衣服掛け部31の全長を所望の長さに狭める。
【0029】
これにより、子供でもハンガー本体3に衣服を容易に掛けることが出来るし、衣服の裾が床に触れて汚れる不具合もない。
【0030】
また衣服は、背凭れ部23の背面後方に収まるので、椅子1に人が腰掛ける際にハンガー本体3に掛けた衣服が邪魔になることはない。
【0031】
また以上の椅子1では、ハンガー本体3を必要としない場合には、ロック体5による支持杆32のスライドロックを解除した上で、ハンガー本体3の支持杆32を支持部ラケット4から引き抜いて、このハンガー本体3を椅子本体2から取り外すことで、椅子本体2だけでの使用も可能である。
【符号の説明】
【0032】
1 椅子
2 椅子本体
21 座体仕切りハウジング
21a クッション
22 脚
23 背凭れ部
3 ハンガー本体
31 衣類掛け部
31a 衣類掛け杆
31b 衣類掛け伸縮片
32 支持杆
4 支持ブラケット
5 ロック体

【特許請求の範囲】
【請求項1】
背凭れ部を有する椅子本体と、衣類を掛けるための衣類掛け部を備えたハンガー本体とが備えられ、ハンガー本体は、前記椅子本体の背凭れ部の背面側に設けられて、この背凭れ部に対して上下方向に位置変更可能としていることを特徴とする椅子。
【請求項2】
前記ハンガー本体の衣類掛け部が、前記背凭れ部の左右幅方向に伸び縮み可能であることを特徴とする請求項2に記載の椅子。


【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公開番号】特開2010−246822(P2010−246822A)
【公開日】平成22年11月4日(2010.11.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−101721(P2009−101721)
【出願日】平成21年4月20日(2009.4.20)
【出願人】(396011174)株式会社くらコーポレーション (17)