説明

植栽用基盤の構造

【課題】既設構造物の直下地盤の支持耐力を低下させることなく、植栽環境として相応しくない場所に植栽した樹木を健全に生育できる、植栽用基盤の構造を提供すること。
【解決手段】ポーラス構造体を形成するための粒状物50と、ポーラス構造を呈する粒状物の空隙内に充填する植物生育基盤材40とを使用し、低木32および高木33の根鉢を収容可能な穴を地上から掘削し、この穴13内に、低木32の根系伸長域と高木33の伸長域を構造的に区分けして収容し、粒状物50のみによる粗空隙を持つように埋戻部分を形成するとともに、粒状物の空隙を埋める植物生育基盤材40により圧密充填部分を形成した。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は地上部が歩車道等の荷重を受ける植栽環境や、地下部が植栽環境として相応しくない場所に植栽した樹木を健全に生育できる樹木の植栽技術に関し、より詳細には締め固められた硬質地盤の代替として用いられ、樹木根系の伸長域を確保しつつ樹木根系の生長域をコントロールできる、植栽用基盤の構造に関するものである。
【背景技術】
【0002】
公園緑地や街路樹等の都市部における緑地造成として樹木を植栽してきた。
一般に、樹木の植栽は、良質土壌の存在を前提として実施されるが、近年では建築物や道路等の基礎地盤とするために締め固められた地盤に植栽が求められ、又、車や歩行者等による荷重を受け続けるため、地盤の強度確保の要請と樹木根系の伸長確保という相矛盾する要求がなされるようになってきた。
【0003】
例えば、車道と歩道の境界に植栽される街路樹、特に歩道内、電線等の地下埋設構の埋設箇所や、各種建設物の外構などに植栽する場合には、養水分を吸収しつつ樹木を支える樹木根系の伸長が植栽土壌により制限を受けるために、樹木は著しく不利な生育環境下におかれている。
特に地下埋設構は歩道の中央から民地寄りに構築されるため、樹木根系は車道側への伸長を余儀なくされることとなり、伸長範囲が著しく制限されることとなる。
【0004】
このため、樹勢が衰え、剪定痕等から腐朽が始まり、著しい場合は倒木により交通傷害や人身事故が発生する原因にもなっている。
このように、歩道や車道部に対してまで根系の伸長スペースを確保することが求められている現状において、地盤強度を保ったまま根系伸長域を確保する技術の確立が新たな課題となっている。
また、このような箇所では、樹木根系が歩道舗装の下に伸長して肥大することがある。樹木根系の肥大化に伴い歩道等の既設構造物を破壊することがあり、根系の肥大・伸長を抑制・制限する技術が求められている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明は以上の点に鑑みて成されたもので、その目的とするところは、既設構造物の直下地盤の支持耐力を低下させることなく、植栽環境として相応しくない場所に植栽した樹木を健全に生育できる、植栽用基盤の構造を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記した課題を解決するため、本願の第1発明に係る植栽用基盤の構造は、上載荷重を受ける領域に低木および高木の根鉢を収容可能な穴を地上から掘削し、高木の根鉢を該穴の底に位置させ、該高木に隣り合せた低木の根鉢を該穴内であって、前記高木の根鉢より上位に位置させ、前記低木の根系伸長域と高木の伸長域を構造的に区分けして植栽する植栽用基盤の構造であって、ポーラス構造体を形成するための粒状物と、ポーラス構造を呈する粒状物の空隙内に充填する植物生育基盤材とを使用し、前記穴と前記高木の根鉢の間に形成された空隙内、および前記穴と前記低木の根鉢の間に形成された空隙内に空隙内に、粒状物のみによる粗空隙を持つように形成した埋戻部分と、粒状物の空隙を埋める植物生育基盤材により形成した充填部分とにより構成したことを特徴とするものである。
本願の第2発明は、前記した第1発明に係る植栽用基盤の構造において、植物生育基盤材を層状、又は塊状に形成して圧密充填部分を形成したことを特徴とするものである。
本願の第3発明は、前記した第1発明又は第2発明に係る植栽用基盤の構造において、粒状物の粒径を、樹木に近い範囲の粒径を粗にし、樹木から離れたところを細とするように分布させたことを特徴とするものである。
本願の第4発明は、前記した第1発明乃至第3発明に係る植栽用基盤の構造において、前記埋戻部分と前記充填部分とにより耐圧植栽用基盤を構成し、該耐圧植栽用基盤の周囲に粒径の細かな粒状物を設けて、根系肥大成長域に制限を加える制限区域を形成したことを特徴とするものである。
【発明の効果】
【0007】
本発明は次の特有の効果を得ることができる。
(1)既設構造物の直下地盤の支持耐力を確保しつつ、根系の伸長域を確保できるから、これまで達成できなかった樹木の根系の侵入が困難な地下部分を有する既設構造物に隣接した領域に対する樹木の植栽が可能となる。
(2)粒状物による粗空隙をもつ埋戻部分と、粒状物の空隙を埋めるに十分な植物生育基盤材により形成した細根を発達させ養水分を補給するための充填部分を構造的に確保することにより、根系の機能分化に即応した植栽用基盤の造成を図ることが可能になる。
(3)粒状物の粒径を、樹木に近い範囲の粒径を粗にし、樹木から離れるにつれて細とするように分布させることにより、根系伸長域に制限を加えて、樹木の地上部の生育をコントロールすることができる。
したがって、強剪定や過剪定を行わずに良好な樹形を保つことができる。
(4)埋戻部分と充填部分を形成する資材に、一般に流通する安価な資材を使用できるので植栽コストを低減することができる。
(5)根系の肥大・伸長をコントロールすることにより、歩道舗装など既設構造物の保護を図ることができる。
(6)高木の根鉢と低木の根鉢を同一地層に並べて植えつける従来の植栽方法にあっては、低木類の根系発達域が少なく、かつ、高木との水分競合が生ずるため<、旱魃等が生じたときに低木が枯死し易い。
低木と高木の根系伸長域を区分することにより、旱魃の軽減を図ることが可能となり、旱魃時の散水養生などの軽減を図ることが可能となる。
又、高木の根系を地下の深い位置に配置できるために歩車道に対する根系伸長、根系肥大による破壊をさらに軽減することができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【図1】本発明が前提とする植栽用基盤構造のモデル図
【図2】植栽用基盤構造の拡大図
【図3】本発明の実施の形態に係る植栽用基盤構造のモデル図
【図4】本発明の実施の形態に係る植栽用基盤構造のモデル図
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、本発明の実施形態について説明する。
【0010】
(1)樹木の植栽用基盤構造の概要
図1に樹木の植栽用基盤構造のモデル図を示す。
本例では車道10と歩道20の間の領域に樹木30を植栽する場合について説明する。
【0011】
この樹木の植栽用基盤構造は、ポーラス構造体を形成するための粒状物50と、ポーラス構造を呈する粒状物50の空隙内に充填する植物生育基盤材40とを使用し、粒状物50のみによる粗空隙をもつ「埋戻部分」と、粒状物50の空隙を埋めるに十分な植物生育基盤材40を層状、又は塊状に形成し、細根を発達させ養水分を補給するための「充填部分」を設けたものである。
【0012】
換言すると本例では、粒状物50の噛み合わせによりポーラスな構造を造り、このポーラス構造内の空隙を植物生育基盤材40にて充填して根系の伸長を図る技術のなかで、空隙を充填する植物生育基盤材40を、層状、又は塊状に不均一に造成したもので、植栽環境として相応しくない場所(本例では例えば車道10と歩道20の間)に地盤耐力を確保しつつ、植栽した樹木を健全に生育できるようにしたものである。
【0013】
(2)粒状物
粒状物50としては、砂利等の骨材、砕石やコンクリートを破砕して得られた再生砕石、煉瓦の破砕物、瓦の破砕物、火山砂利、礫、ブロックの破砕物、ALCの破砕物、発泡スチロール等を使用することができる。
粒状物50の粒径は10mm〜250mmのもので均一(単粒状)なものが好ましい。
これまでの経験では、根系は骨材の直径の1/5程度の直径まで侵入可能とされており、使用する粒状物50の平均直径は導入する樹木30をどの程度まで大きくするかにより選択する。
【0014】
(3)植物生育基盤材
粒状物50間の空隙を充填する植物生育基盤材40は、例えば黒土、赤土、赤玉土、山砂等の自然土壌の他に、バーク堆肥、ピートモス、ココイアダスト等の有機物系土壌改良材、或いはパーライト、バーミキューライト等の無機系土壌改良材等の様々な一般に流通する資材を適宜組み合わせて使用することができる。
【0015】
これらの資材は一般に流通するものであるため、樹木30の立地条件や粒状物50の性状等により樹木根系の伸長に対し要求される養水分供給能に応じた組み合わせを適宜行う。これにより安価な資材の使用が可能となって経済的である。
【0016】
(4)施工方法
その施工にあたっては、車道10と歩道20の間に穴13を開削する。穴13を掘削するに際して、車道10または歩道20の一部を撤去しその直下地盤の一部を含むように掘削する場合もある。
又、穴13の開削作業は、車道10、或いは歩道20の造成時に同時に実施してもよい。
【0017】
次に、掘削した穴13の底部に粒状物50の層と、養水分供給のための植物生育基盤材40の層とを交互に敷設して支持層を造成する。
そして、掘削した穴13内に樹木30を吊り込み、根鉢31を支持層に設置する。
次に穴13と樹木30の根鉢31の間に形成された空隙内に、転圧しながら粒状物50の層と、養水分供給のための植物生育基盤材40の層とを交互に敷設して耐圧植栽用基盤を造成する。
又、粒状物50の層の間に敷設する植物生育基盤40は、予め多少の粒状物50を混入させた混合物であってもよい。
図2に拡大図して示すように、充填部分は粒状物50の間に植物生育基盤材40が圧密されて充填されており、また埋戻部分は充填部分の層に近い位置から植物生育基盤材40が徐々に減少する漸変部分を経て粒状物50のみの層が形成される。
【0018】
植物生育基盤材40の層と粒状物50の層を形成する場合、その敷設方向は厳密な水平を意味するものではなく、斜めであってもよく、又、その層厚も適宜でよい。
又、植物生育基盤材40や粒状物50は塊状であってもよい。
【0019】
粒状物50と植物生育基盤材40を敷設する際、コンパクター、タンパーやローラー等を使用して十分に転圧して締め固めを行うことが必要である。
根系の伸長は、山中式土壌硬度計により23mmが限界とされているが、粒状物50を十分にかみ合わせるとともに、植物生育基盤材40はこれを越えない程度に十分に締め固めを行うものとする。
【0020】
植物生育基盤材40を層状に敷設して圧密した部分が細根を発達させ養水分を補給するための「充填層(充填部分)」を構成し、又、骨材が相互に接触して噛み合わせ状態となって誘導用基盤の骨格が形成されるように粒状物50を敷設した部分が、粒状物50のみによる粗空隙をもつ「埋戻層(埋戻部分)」を構成し、支持根の伸長する場とする。
【0021】
粒状物50の使用に当たり、粒状物50の粒径を、樹木30に近い範囲の粒径を粗にし、樹木30から離れたところを細とすることができる。
粒状物50の粒径をこのように分布させると、空隙が小さく変化することで樹木30の根系の肥大成長を制限でき、これにより、歩道舗装など既設構造物の根系による破損を防ぐことが可能となる。
【0022】
植物生育基盤材40は粒状物50の空隙部に落下して浸透しようとするが、植物生育基盤材40は十分に締め固められているので粒状物50の空隙部内へ移動することがない。
【0023】
大径木を導入する場合、或いは樹木30を大きく育てようとするならば、根元付近の粒状物50の大きさを大きくする。
この場合も、支持根を伸長させる大空隙と吸収根を発達させる植物生育基盤材40の充填部の構造的な配置を行うことが望ましい。
地際に近い部分、いわゆる自然土壌のA層にあたる表層に近い箇所に層状・塊状に充填し、B層・C層にあたる深い部分は粗空隙が発達するようにすることが適当である。
このとき、地際に近い表層部分には粒径の小さな粒状物を用いると、根系の肥大発達を抑制できるために歩道舗装等の破壊を防ぐことができる。
【0024】
地表面に近い部分を植物生育基盤材40により、層状に充填するならば、地下部の粗空隙部分は空中湿度の高い状態を保つことが可能となり、これにより粒状物50の表面にぬれが発生し、この部分に植物根系が伸長することとなる。
【0025】
又、十分に湿度の保たれる深い部分に対しても、適宜層状・塊状に植物生育基盤材40による充填部分を設けるならば、自然界の岩盤クラック(亀裂)に細根が発達して侵入するのと同様の効果を得ることができて、耐乾燥性の優れた樹木30の生長を可能とする。
【0026】
(5)生育環境について
粗骨材を用いてポーラスな構造を造り、その空隙を植物生育基盤材にて充填し、樹木根系の伸長を図る技術は存在するが、この技術は骨材と植物生育基盤材とを混合したものを埋め戻すもので、空隙に均一に充填するための工夫であった。
これは、均一に植物根系の伸長、生育を図るためであるが、空隙のすべてを充填することができず、充填しきれない空隙に上部骨材の隙間から充填材である植物生育基盤材が逸脱、落下してしまい、実際上は空隙を均一に充填することができず、下部空隙に落下堆積してしまうこととなる。
このような不都合を解消するために、植物生育基盤材に繊維状物や粘着物質などを混入して、植物生育基盤材の逸脱移動を阻止する技術も提案されている。
しかしながら、これらの方法を用いると資材が限定されるために高価となり、施工性の点でも劣ることとなり、かつ、時間の経過と共に次第に下方へ逸脱する傾向があり、逸脱を完全に阻止することができず、植物生育基盤材が下方に片寄るという欠点があった。
【0027】
また、空隙部分を植物生育基盤材により十分に均一に充填すると、養水分供給面で良好すぎる土壌環境が形成されるために、養水分の吸収を旺盛に行う吸収根の発達に傾き、樹木自体を支持する為の支持根の発達が不十分となる恐れがあるうえに、地上部が旺盛に発達するために、地上部とのバランスが崩れ、台風などによる強風害を受け易いものとなり、強い剪定を行うこととなって、剪定跡から腐朽が始まり樹木が衰弱することとなる。
【0028】
これに対し本例では、粒状物50のみによる粗空隙をもつ「埋戻部分」と、粒状物50の空隙を埋めるに十分な植物生育基盤材40を層状、又は塊状に目つぶし材として用い、細根を発達させ養水分を補給するために、養分の供給量を制限し、地上部の成長を抑制しつつ、「充填部分」を設け、樹木自体を支えるための支持根を生育させる粒状物50にのみによる大空隙部分を構造的に確保することにより、根系の機能分化に即応した植栽用基盤の造成を図るものである。
【0029】
また、地際より離れるにつれ粒状物50の粒径を細かくすることにより、根系肥大成長域に制限を加え、歩道舗装の根系肥大による破壊を防ぐとともに、樹木30の地上部の生育をコントロールし、強剪定、過剪定を行わずに樹形を保つことのできる樹木の生育が可能である。
【0030】
このように、車道10と歩道20の間の領域に植栽した樹木30の根鉢から伸長する樹木30の根は、車道10や歩道20の地下部分に至る際に、そのかみ合わせ空隙部内で誘導されることとなり樹木30の根の成長が阻害されることなく好適に誘導されることとなる。
【0031】
上述した植栽用基盤は、粒状物50の噛み合わせによる大きな空隙と、層状、又は塊状に植物生育基盤材40で空隙を充填した部分を構造的に形成させたものである。
【0032】
これにより、地盤耐力は粒状物50の噛み合わせにより負担させる。
したがって、多数の粒状物50が相互に接触、噛み合わせ状態となって植栽用基盤の骨格が維持されるので、車道10や歩道20の地下部分に必要とされる荷重や転圧に耐え得る地盤強度を確保することが可能となる。
【0033】
又、樹木30の地上部の支持は、支持根はポーラス状にした粒状物50群間に形成された大きな空隙に支持根を這わせて受け持たせ、養水分の吸収は粒状物50間の空隙に充填した植物生育基盤材40に細根を這わせて受け持たせるものである。
【0034】
又、根域に制限を加えることにより、根系の肥大成長に対し制限を加えられることが知られており、肥大成長を抑制し歩道舗装などの破壊を防ぎ、かつ、根系伸長域を一定体積に制限を加えることにより、樹木30の生長をコントロールすることも可能となる。
【0035】
既述した例では、車道10と歩道20の間の領域に樹木30を植栽した場合について説明したが、その他に駐車場や建物に隣接した領域にも同様に樹木30を植栽することができる。
【0036】
(6)実施の形態
以降に実施の形態について説明するが、その説明に際し、前記した形態と同一の部位は同一の符号を付してその詳しい説明を省略する。
【0037】
図3に実施の形態を示す。
本例は、低木32の根系伸長域(耐圧植栽用基盤)と高木33の伸長域(耐圧植栽用基盤)を構造的に区分けし、一般土壌の低木32の根系伸長域の下にポーラス構造の高木33の根系伸長域を造成したものである。
その際、高木33の肥大成長を阻害することなく、かつ、根系に対する酸素を供給するため、高木33の幹の周辺は空洞としておくことか好ましい。
【0038】
高木33の根鉢と低木32の根鉢を同一地層に並べて植えつける従来の植栽方法にあっては、異常旱魃等が生ずると低木32が枯死する現象が知られている。これは、低木32類の根系発達域が少なく、かつ、高木33との水分競合が生ずるためと推定されている。
【0039】
本例では低木32と高木33の根系伸長域を区分することにより、旱魃の軽減を図ることが可能となり、旱魃時の散水養生などの軽減を図ることが可能となる。
又、高木33の根系を地下の深い位置に配置できるために歩車道に対する根系伸長、根系肥大による破壊をさらに軽減することができる。
【0040】
又、必要に応じて、車道10、歩道20、或いは低木32の根系伸長域(耐圧植栽用基盤)に、通気管70を配設すれば、通気管70を通して空気だけでなく雨水も地下部に浸透できるので植物に優しく、かつ、地下水を涵養することができる。さらには、必要に応じて通気管70を通して養分を含む水溶液を潅注することができるため、簡易に樹勢回復を行うこともできる。
【0041】
本例にあっては、低木32と高木33の根系伸長域を異にする根系発達空間を確保することができるために、低木32と高木33の養水分吸収の競争の発生を防ぐことが可能となる。
【0042】
又、図4は粒径の細かな粒状物50を用いて樹木30の根系肥大成長域に制限を加える他の形態を示す。
本例は樹木30の根鉢31の上部や、粒状物50と植物生育基盤材40で構成される耐圧植栽用基盤の周囲に粒径の細かな粒状物50を設けて制限区域61を形成した場合を示す。
樹木30の表層部分や歩道20や車道10の直下に制限区域61を形成することで、樹木30の根系肥大成長域に制限を加えられるから、根系肥大による歩道20や車道10の破壊を確実に防ぐことができる。
【符号の説明】
【0043】
10・・・・・車道
20・・・・・歩道
11,12・・基礎地盤
30・・・・・樹木
31・・・・・根鉢
32・・・・・低木
33・・・・・高木
40・・・・・植物生育基盤材
50・・・・・粒状物
61・・・・・制限区域

【特許請求の範囲】
【請求項1】
上載荷重を受ける領域に低木および高木の根鉢を収容可能な穴を地上から掘削し、高木の根鉢を該穴の底に位置させ、該高木に隣り合せた低木の根鉢を該穴内であって、前記高木の根鉢より上位に位置させ、前記低木の根系伸長域と高木の伸長域を構造的に区分けして植栽する植栽用基盤の構造であって、
ポーラス構造体を形成するための粒状物と、
ポーラス構造を呈する粒状物の空隙内に充填する植物生育基盤材とを使用し、
前記穴と前記高木の根鉢の間に形成された空隙内、および前記穴と前記低木の根鉢の間に形成された空隙内に空隙内に、粒状物のみによる粗空隙を持つように形成した埋戻部分と、
粒状物の空隙を埋める植物生育基盤材により形成した充填部分とにより構成したことを特徴とする、
植栽用基盤の構造。
【請求項2】
請求項1において、前記充填部分を層状、又は塊状に形成したことを特徴とする、植栽用基盤の構造。
【請求項3】
請求項1又は請求項2において、粒状物の粒径を、樹木に近い範囲の粒径を粗にし、樹木から離れたところを細とするように分布させたことを特徴とする、植栽用基盤の構造。
【請求項4】
請求項1乃至請求項3の何れか一項において、前記埋戻部分と前記充填部分とにより耐圧植栽用基盤を構成し、該耐圧植栽用基盤の周囲に粒径の細かな粒状物を設けて、根系肥大成長域に制限を加える制限区域を形成したことを特徴とする、植栽用基盤の構造。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2012−40030(P2012−40030A)
【公開日】平成24年3月1日(2012.3.1)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−263697(P2011−263697)
【出願日】平成23年12月1日(2011.12.1)
【分割の表示】特願2006−148706(P2006−148706)の分割
【原出願日】平成18年5月29日(2006.5.29)
【出願人】(000221775)東邦レオ株式会社 (35)