植栽装置
【課題】土壌層の土壌の揺動防止、防風ネット等の係止、植物の根張り促進等のために防根層に固定される多機能突起体を具えるとともに、多数の前記多機能突起体と給・排水基盤その他との係合を容易にしてコストが低廉で植物育成機能に優れた植栽装置を実現する。
【解決手段】下地に設けられる防水層と、防根層と、この防根層の上に形成される保水・保護シートと、保水・保護シート上に設置され保持した水分を植物の根部に供給するとともに積層される土壌を把持するための給・排水基盤と、この給・排水基盤の下地へ固定をなすとともに土壌層の土壌の揺動防止、防風ネット等の係止、植物の根張り促進等のために防根層に固定される多機能突起体とを具えてなり、保水・保護シートおよび給・排水基盤と多機能突起体との係合は保水・保護シートに形成したスリット、給・排水基盤の底面に形成した孔部を介してなされている植栽装置。
【解決手段】下地に設けられる防水層と、防根層と、この防根層の上に形成される保水・保護シートと、保水・保護シート上に設置され保持した水分を植物の根部に供給するとともに積層される土壌を把持するための給・排水基盤と、この給・排水基盤の下地へ固定をなすとともに土壌層の土壌の揺動防止、防風ネット等の係止、植物の根張り促進等のために防根層に固定される多機能突起体とを具えてなり、保水・保護シートおよび給・排水基盤と多機能突起体との係合は保水・保護シートに形成したスリット、給・排水基盤の底面に形成した孔部を介してなされている植栽装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、屋上その他の緑化装置としての植栽装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
近年、建造物の屋上やその他の空間に大規模に植物を植栽し、都市部における無機的な空間の緑化を図る試みが盛んになされるようになっている。
このような時、多くの場合は、建造物等のスラブ面の防水層上に押えのコンクリート層を形成し、この上に、植栽層として、砂、砂利等からなる砂利層と、客土層を順次積層して植物を植栽するようにしている。
【0003】
しかしながら、植物にとって十分な保水性、排水性を得るためには、防水層にかなりの土砂を導入する必要があり、しかもコンクリート層はかなりの重量を有するため、これらの重量が建造物に悪影響を及ぼすという問題がある。そこで、本出願人は、先に保水性、排水性に優れた軽量の植栽装置を開示している(例えば特許2531542号公報参照)。
【0004】
この植栽装置は、建造物の屋上等に形成されているスラブ面に防水層を固定するとともに、この防水層の上面に、不織布等を有する保水材と、凹部及び凸部2を有するドレイン板等とからなる保水給排水手段を設け、さらにこの保水給排水手段の上方に砂利層および客土層からなる植栽層を積層したものとなっており、前記保水給排水手段等によって適正な保水性、排水性を得られるものとなっている。
このため、排水を考慮して設けられていたコンクリート層が不要となり、保水性の向上によって植栽層も草木の根毛の長さなどを考慮した必要最小限の厚さ、例えば50mm程度に設定することが可能となっている。
【0005】
このように、の植栽装置の進化により装置全体が軽量化され、建造物に対する悪影響を回避し得るという優れた効果が得られるようになったが、未だ解決すべき幾つかの課題を包含している。
すなわち、まず風に対する対策である。 この種の緑化装置は、建造物の屋上等、高所に設けられることが多いが、このような高所では常に方向不規則な風が発生しており、このため客土層の土壌やここに植生される苗等は容易に飛散する恐れが常にあり、その効果的な対策は非常に難しい。
【0006】
例えば、客土層は建造物等に対する荷重の点から出来うる限り薄く構築することが望ましいが、これ
をあまり薄くすると植栽した植物の根が張らず、僅かの風にも倒壊してしまう。このことは、特に植木を植栽した場合には顕著であって、ある程度の高さに成育する植木に場合には、無風時でさえ正立させることが困難である。
【0007】
そこで、植栽装置の上面をネットで覆う風対策が従来から汎用されている。この防風ネットは植栽装置に係止されることになるが、従来は下地上等の上になんらかの固定手段を設置し客土層の上端に突出した固定手段の上端に防風ネットを係止するようにすることが多い。
【0008】
一方、前記ドレイン板等を使わずに防水層を有する下地上に直接客土層(植栽層)を形成して植物を植生させる植栽構造も多く採用されている。 この植栽構造では、下地の防水層を保護するために防根層を形成しさらにこの防根層と客土層との間に緩衝材として不織布等による保護層が形成される。
そして、防根層上に固着された複数の固定手段は保護層上に突出して客土層中に散在する状態となっている。 このようにして、固定手段の上端は客土層の上方に臨んで、その上端には例えば防風ネットが係止され、また、固定手段が客土層中に散在することにより客土層の土壌の動揺を防止して風による飛散を抑制するとともに植物の根張りを良好にする。 しかしながら、多数の固定手段を介して保護層を防根層表面に保護層を能率的に張設することは困難な作業であり、生産コスト増大の要因となっている。
【0009】
他方、植物根に関しては、周知のように、植物根の伸長力は強大であるため、伸長した根は下地コンクリートやアスファルト等の防水層内部に侵出してしまう。このため、建造物や道路、地下の配管等にひび割れなどを引き起こし、トラブルが発生する。例えば、屋上緑化を行う場合には、植物の根がアスファルトからなる防水層に進入して漏水トラブルを起こし易い。また、屋外の道路の路肩に街路樹を植栽する場合には、下水道管のジョイント部から街路樹の根が進入して閉塞トラブルを起こし易い。
【0010】
このため、従来から各種の防根対策がなされている。例えば、化学的な防根処理を施した織布、不織布等を敷設してその上に植物栽培層を設置する例がある。 しかしながら、化学的な防根処理剤は植物根の生育を阻害する場合もあり、また経年による効果の衰減を免れないうえ、原価コストが高い等の問題がある。
【0011】
また、プラスチックシートを敷設して防根対策とする試みもなされている。 しかしながら、プラスチックシートの防根機能の解析がなされておらず、ある場合にはシートが厚すぎて施工等に支障をきたし、あるいは逆に薄すぎて防根効果を得られないなどの問題が多発していた。 さらに、シートの重ね部分から植物根が侵出してしまう問題があった。 重ね部からの植物根の侵出を防止するために、重ね部分に防根処理を施す試みもなされているが、製造コストが増大する、施工が面倒である等の不都合がある。
なお、本願発明に関する文献としてつぎのようなものが存在する。
【特許文献1】特開平11−318210号公報
【特許文献2】特開平11−318205号公報
【特許文献3】特開2001−8546号公報
【特許文献4】特開2004−298146号公報
【特許文献5】特開2005−118104号公報
【特許文献6】特開平11−32578号公報
【特許文献7】特開2007−49957号公報
【特許文献8】特開2007−20464号公報
【特許文献9】特開2007−6798号公報
【特許文献10】特開2006−230355号公報
【特許文献11】特開2006−204190号公報
【特許文献12】特開2006−180746号公報
【特許文献13】特開2006−161484号公報
【特許文献14】特開2005−58178号公報
【特許文献15】特開2002−335762号公報
【特許文献16】特開2001−178269号公報
【特許文献17】特開平11−32578号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0012】
本願発明は、優れた風対策手段ならびに侵出性の強い植物根に対して有効な対策手段を有しコストが低廉で植物育成機能に優れた植栽装置の提供を目的とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0013】
本願発明は、建造物の屋上、屋根等に形成される植栽装置であって、下地に設けられる防水層と、植物根の防水層への侵出を防止するために前記防水層上に形成される防根層と、この防根層の上に形成される保水・保護シートと、保水・保護シート上に設置され保持した水分を植物の根部に供給するとともに積層される土壌を把持するための給・排水基盤と、この給・排水基盤の下地へ固定をなすとともに土壌層の土壌の揺動防止、防風ネット等の係止、植物の根張り促進等のために防根層に固定される多機能突起体とを具え、前記防根層は植物の根の侵出を防止できる強度を有する樹脂フィルムと、この樹脂フィルムの裏面に形成される粘着層とで構成するとともに、防根層における樹脂フィルム相互の突合せ部又は重なり部は植物根の侵出を防止するために裏面に粘着層を有して植物の根の侵出を防止できる強度を具えた被覆テープを貼付し、該被覆テープの粘着層の厚さを植物根の侵出先端径より小となるように形成してなり、保水・保護シートと多機能突起体との係合は保水・保護シートに形成したスリットを介してなされ、給・排水基盤と保水・保護シートとの係合は給・排水基盤の底面に形成した孔部を介してなされるようにした植栽装置を提供して上記従来の課題を解決する。
【0014】
また、上記の植栽装置において、前記給・排水基盤は保水部と排水部とを有し、前記排水部は、縦横に交叉連通して形成される通直管により構成され、前記保水部は各通直管により囲繞されて形成される凹部空間により構成することがある。
【0015】
さらに、段落0014記載の植栽装置において、客土層に大気を循環させるための通気機構を設け、この通気機構を前記多機能突起体の頂部に形成した透孔と、排水部に形成した貫通小孔とで構成し、大気が前記中空体、前記排水部客土層を介して循環可能になすことがある。
【0016】
また、上記いずれかの植栽装置において、多機能突起体は上底面を有し下底面は開口する中空体により構成するとともに、前記中空体は基部とこれに着脱可能な頂部を具えて、前記頂部の着脱により中空体の高さ調整を自在になし得るように構成することがある。
【0017】
さらにまた、上記いずれか記載の植栽装置において、保水・保護シートに形成したスリット位置に対応するように多機能突起体を防根層上に設置するようになすことがある。
【0018】
また、段落0017の植栽装置において、保水・保護シートに形成するスリットは所定点を中心に放射状に形成することがある。
【0019】
そして、上記いずれかの植栽において、給・排水基盤の底面に形成した孔部は円形、楕円形、四角形、三角形のいずれかで形成し、保水・保護シートは天然繊維、合成繊維の織布、不織布、編布又は高分子吸収材、アスファルトルーフィングのうちの1種又は数種で形成することがある。
【0020】
本願発明はまた、建造物の屋上、屋根等に形成される植物栽培構造であって、下地に設けられる防水層と、植物根の防水層への侵出を防止するために前記防水層上に形成される防根層と、この防根層の上に形成される保水・保護シートと、この保水・保護シートの上に形成され植物を植生させるための植物育成層と、を具えてなり、前記防根層は植物の根の侵出を防止できる強度を有する樹脂フィルムと、この樹脂フィルムの裏面に形成される粘着層とで構成し、前記粘着層の厚さを植物根の侵出先端径より小となるように形成した植物栽培構造を提供して、上記従来の課題を解決する。
【発明の効果】
【0021】
以上のような構成により、次のような効果を得られる。
イ.風対策に優れ、土壌層を薄く形成できながら植物の適正な生育が可能な植栽装置を効率よく低廉なコストで構築できる。
ロ.防根層として、植物の根の侵出を防止できる強度を有して施工面に貼付される樹脂フィルムと、この樹脂フィルムの裏面に形成される粘着層とで構成するとともに、前記粘着層の厚さを植物根の侵出先端径より小となるように形成したことを特徴とする防根シートを使用するので、植物栽培構造、各種の防根構造の構築において、確実な防根効果を高い施工効率の下に実現できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0022】
本願発明に係る植栽装置は、下地に設けられる防水層と、植物根の防水層への侵出を防止するために前記防水層上に形成される防根層と、この防根層の上に形成される保水・保護シートと、保水・保護シート上に設置され保持した水分を植物の根部に供給するとともに積層される土壌を把持するための給・排水基盤と、この給・排水基盤の下地へ固定をなすとともに土壌層の土壌の揺動防止、防風ネット等の係止、植物の根張り促進等のために防根層に固定される多機能突起体とを具え、前記防根層は植物の根の侵出を防止できる強度を有する樹脂フィルムと、この樹脂フィルムの裏面に形成される粘着層とで構成するとともに、防根層における樹脂フィルム相互の突合せ部又は重なり部は植物根の侵出を防止するために裏面に粘着層を有して植物の根の侵出を防止できる強度を具えた被覆テープを貼付し、該被覆テープの粘着層の厚さを植物根の侵出先端径より小となるように形成してなり、保水・保護シートと多機能突起体との係合は保水・保護シートに形成したスリットを介してなされ、給・排水基盤と保水・保護シートとの係合は給・排水基盤の底面に形成した孔部を介してなされるようになっている。
【0023】
保水・保護シートは、防根層と土壌層との間に介装され防根層の保護機能のみでなく緩衝層としての機能をも有する意味で、繊維、ゴム、アスファルトルーフィング等を使用できるが、保水の見地からは繊維、不織布、アスファルトルーフィング材等が好ましい。
【0024】
保水・保護シートと多機能突起体との係合は保水・保護シートに形成したスリットを介してなされ、給・排水基盤と保水・保護シートとの係合は給・排水基盤の底面に形成した孔部を介してなされるように構成する。
【0025】
給・排水基盤は、樹脂材に複数の凹部、凸部を連続して一体に形成したもので構成する。 多機能突起体は、樹脂材で形成され断面が台形状の中空体で構成し、この中空体は防根層上の定位置に多数固着する。 保水・保護シートに前記多機能突起体の位置に対応する位置にスリットを形成しておいてこのスリットを介して保水・保護シートを多機能突起体に被着しつつ防根層上に固着する。そして、給・排水基盤にも多機能突起体の位置に対応する位置に孔部を形成しておいて、この孔部を介して給・排水基盤を多機能突起体に被冠しつつ保水・保護シート上に固着する。
【0026】
多機能突起体は防根層上の所定位置に複数形成し、この設置位置に対応して保水・保護シートにスリットを、また給・排水基盤には孔部を形成しておいて、これらのスリット、孔部を多機能突起体に被せるようにして保水・保護シート、給・排水基盤を防根層上に敷設していく。
【0027】
保水・保護シートに形成するスリットの形状は特に限定されないが、所定点を中心に放射状に形成されたものを用いれば多機能突起体を通し易い。 また、給・排水基盤に形成する孔部の形状も円形、楕円形、三角形、四角形等が可能であるが、三角形が加工効率等から好ましい。
【0028】
さらに、多機能突起体は棒状体の物でも良いが、好ましくは前述のように断面が台形状を有する中空円錐台をなすものを使用する。 防根層上に固着された多機能体としての複数の円錐台は保水・保護シート、給・排水基盤上に突出して土壌層中に散在する状態とする。 このようにして、円錐台の上端は土壌層の上方に臨んで、その上端には例えば防風ネットが係止され、また、円錐台が土壌層中に散在することにより土壌層の土壌の動揺を防止して風による飛散を抑制するとともに植物の根張りを良好にする。 風対策としては多機能突起体を棒状のもので構成するより円錐台で構成するほうが効果的である。
【0029】
防根層としての防根シートは、各種の樹脂フィルムで形成され、裏面には粘着層を有して建造物の防水層等への貼付を強固かつ容易になし得るようになっている。 フィルムを構成する樹脂としてはポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリエチレン、ポリプロピレン、ナイロン、塩ビ等が好適である。
【0030】
樹脂フィルムは植物根の侵出を遮断するために所定の強度を有することが不可欠であるが、施工性、運搬性、経済性等を考慮すればできるだけ薄いものが好ましい。 本願発明者らは、実験結果の分析により、前記要求性能を具備するに必要十分なフィルム厚さを見出した。 これによれば、ポリエチレンテレフタレート(PET)では、厚さ75ミクロン前後、ポリエチレンでは厚さ300ミクロン前後、ポリプロピレンでは厚さ100ミクロン前後が、好ましいことが判明した。
【0031】
防根シートは、防水層上に貼付され、この上には保護層を介して植物土壌層が形成されて植物根の防水層等への侵出を防止するようになっている。 そして、防根シートの貼付に際しては隣接する部分を重ね合わせることになるが、この重ねあわせ部分の粘着層から植物根が侵入する可能性が生じる。しかし、一般に植物根の先端部の径は40ミクロンないし50ミクロンである。 このため、樹脂フィルムの裏面の粘着材層の厚さを30ミクロン程度に設定すれば、樹脂フィルムの重ね合わせ部の粘着層からの侵入は防止できることになる。
【0032】
樹脂フィルムは、経済性、運搬性、あるいはロール状にし易い点等の見地からは薄いのが好ましい。施工性、強度の点からあまり薄いのも問題を生じる。すなわち、あまり薄いと施工に際して形態保持が難しく貼付時にしわが発生したり、フィルムが裂けたりする恐れがある。
【0033】
そこで、この樹脂フィルムの裏面とここに形成される粘着層との間に補強材を介装する。この補強材は不織布および/または樹脂材および/またはゴム材および/またはアスファルト材で構成する。
【0034】
前記防根シートを構成する樹脂フィルムの表面には膜面を形成して、接着性、耐候性、強度を向上させるようにする。 樹脂フィルムの表面は、樹脂の性質上、未処理面には接着剤が作用し難く、このためフィルム表面に塗料による膜面を形成して接着性を付与して、種々の場面で接着剤を有効に使用できるようにする。
また、防根シートは通常はその上部に植物栽培層等が設置され外気、紫外線から遮蔽されるが、場合によっては一部が露出されることもあり、さらには施工現場に敷設までの一定期間集積の必要があったたり、敷設されて表面を露出した状態で一定期間放置せざるを得ないこともあるから、耐候性の付与は不可欠とも言える。 また、表面に塗料による膜面を形成することでフィルム強度が増し、施工作業も容易になる。前記膜面を形成する塗料としてはフッ素系樹脂もしくはアクリルシリコン系樹脂あるいはウレタン系樹脂を含むものが好適である。すなわち、膜面をフッ素樹脂もしくはアクリルシリコン系樹脂により耐候性が、またウレタン系樹脂により形成して接着性が付与される。
【0035】
しかし、樹脂フィルムを広く敷設する場合その重なり部あるいは樹脂はフィルム相互の突合せ部には、
植物根の押圧力その他種々の力が作用するから、これらの部分を補強することが好ましい。このため、防根層における樹脂フィルムの重なり部あるいは樹脂はフィルム相互の突合せ部には裏面に粘着層を有して、植物の根の侵出を防止できる強度を具えた被覆テープを貼付し、重なり部あるいは樹脂はフィルム相互の突合せ部の強度を補強する。該被覆テープのとなる樹脂テープで被覆し重なり部の強度を補強する。しかし、樹脂テープの粘着層の厚さによっては、そこから植物根の先端が侵入するから、粘着層の厚さを植物根の侵出先端径より小とすること、現実には、粘着層の厚さを30ミクロン程度に設定することが必要である。この被覆テープには、植物根の樹脂フィルムの重なり部への衝突を回避させ、重なり部の上方へ指向させる意味合いもあるから、樹脂フィルムより若干薄いものが望ましく、樹脂は前記樹脂フィルムと同様のもので形成する。 なお、樹脂フィルムの粘着層の厚さが植物根の侵出先端径より小さく形成されている場合は、必ずしも前記被覆テープは必要ではないが、被覆テープの使用により植物根の侵出防止機能はより強化されることになる。
【0036】
前記防根シートは、屋上緑化に限らず、人工栽培装置その他広く防根が必要な場合の防根構造に使用することができる。 すなわち、この種の防根層構造は、植物が植立される土壌層(植立層、植物栽培層)の施工面に設けられて、植物の根の侵出を防止できる強度を有して前記施工面に貼付される樹脂フィルムと、この樹脂フィルムの裏面に形成される粘着層とで構成される。
【0037】
樹脂フィルムの重なり部には、当然植物根が当接し、その押圧力は強いから、植物根が重なり部に係合しないように、なるべく樹脂フィルムの厚さを薄く必要ある。あまり、薄くすると防根のための強度が不足することになる。したがって、薄さへの要求と強度のバランスを図る必要がある。 本願発明では、各種樹脂フィルムにより、実験によりその厚さの臨界値を具体的に設定したことは前述のとおりである。
【0038】
しかし、樹脂フィルムの重なり部には、植物根の押圧力その他種々の力が作用するから、この部分を
補強することが好ましい。このため、防根層における樹脂フィルムの重なり部は裏面に粘着層を有する樹脂テープで被覆し重なり部の強度を補強する。しかし、樹脂テープの粘着層の厚さによっては、そこから植物根の先端が侵入するから、粘着層の厚さを30ミクロン程度に設定することが必要である。この樹脂テープには、植物根の樹脂フィルムの重なり部への衝突を回避させ、重なり部の上方へ指向させる意味合いもあるから、樹脂フィルムより若干薄いものが望ましく、樹脂は前記樹脂フィルムと同様のもので形成する。
【実施例】
【0039】
以下、本願発明の1実施例を図面に基づいて説明する。
図1は、当該実施例に係る植栽装置の一部断面図である。図において、Aは建造物の屋上のコンクリートスラブ面に貼着される防水層であり、この防水層Aの上面には、植物の毛根等の防水層への進出を防止するための樹脂製の防根層Bが張設されている。 また、防根層B上には保水・保護シートPが貼付されている。
【0040】
Cは、保水給排水手段としての樹脂または金属製の給・排水基盤で、全面にわたり保水部1と排水部2とが複数一体に形成されている。給・排水基盤Cの上部には種々の植物等が植立される客土層Dがその表面に防風ネットEを有して積層設置されている。
【0041】
防根層B上にはアスファルトルーフィング材による保水・保護シートPならびに給・排水基盤Cを貫通して中空の円錐台形状の多機能突起体3が固着されている。この円錐台形状の多機能突起体3は、土壌D中に複数散在して設置され、その上端面は土壌表面に露出していて、そこに防風ネットEが係止されるようになっている。保水・保護シートP(アスファルトルーフィング材)は、円錐台形状の多機能突起体3の防根層B表面への固着後に張設されるが、その際、アスファルトルーフィング材Pはその所定位置に形成されたスリット部分を通して多機能突起体3を上方に突出させるようにして張設することになる。
【0042】
図2は、スリットを所定箇所に形成したアスファルトルーフィング材Pの平面図であり、スリット12は所定間隔(防根層B上に設置される多機能突起体3の相互の間隔に相当)で、中心孔の周囲に星型放射線状に形成されている。
【0043】
図3は、図2に示したアスファルトルーフィング材Pの防根層Bへの張設作業を示す斜視図であり、防根層B上にブラケット3aを介して所定間隔(スリット12に形成されるスリット12相互の間隔に相当)で固着されている円錐台形状の中空体3の上端に、スリット12部分に当接させて下方押し下げるようにしてアスファルトルーフィング材Pを防根層B上に張設していく。 このようにして、アスファルトルーフィング材Pの張設は効率よくなすことができる。
【0044】
図4は、アスファルトルーフィング材Pに形成するスリットの他の実施例を示す平面図である。 図4(a)は、スリット12は中心点から放射状に形成されている例を示している。 また、図4(b)は、径を中心孔を中空体3の底部近傍の径に等しくし、かつ中心孔の周囲に切り込みを形成したスリット12を示している。スリット12をこのように構成することでアスファルトルーフィング材Pの中空体3への被着嵌合はより円滑になる。 なお、この例では、中心孔の周囲に切り込みを入れたが、中心孔の径を中空体3の底部外周より大きく形成すれば、周囲の切り込みは必ずしも必要ではない。
【0045】
前述のように給・排水基盤Cは、一体に形成される保水部1と排水部2とを複数有していて、その上方には前記防風ネットEの係止手段としても機能する中空円錐台形状の多機能突起体3が突出している。 すなわち、この中空円錐台3は給・排水基盤Cの底部に形成した孔部土壌層Dの表面まで突出している。そして、防風ネットEは多機能突起体3等を介して屋上スラブ面の防根層Bに係止されている。
【0046】
図5に示すように、給・排水基盤Cの前記排水部2は、縦横に交叉連通して形成される通直管2aにより構成され、前記保水部1は各通直管2aにより囲繞されて形成される凹部空間により構成されている。 図6は、中空円錐台形状の多機能突起体3を示す側面図であり、前述のように、保水・保護シートPは防根層Bの上に固着された多機能突起体3がスリット12部分を貫通させて防根層Bに張設されるが、給・排水基盤Cの保水・保護シートP上への敷設も同様にしてなされるが、すなわち、次段で説明するように、給・排水基盤Cの底部に形成した孔部に多機能突起体3を貫通させて給・排水基盤Cを給・排水基盤Cの保水・保護シートP上へ敷設していく。
【0047】
図6は、底部に孔部を形成した給・排水基盤Cの斜視図であり、孔部4が形成されていて、図7に示すように、この孔部4に多機能突起体3を貫通させて給・排水基盤Cが保水・保護シートP上へ敷設されていく。 図6に示すものでは、孔部4は方形に形成されているが、その形状はこれに限定されることなく、三角形、円形等のいずれでもよい。
【0048】
さらに、図5、7において、通直管2aの交差部に形成される方形突部に設けた貫通小孔と多機能突起体3の頂部形成した透孔により客土層に大気を循環させるための通気機構が構成され、大気が前記中空体、前記排水部、客土層を介して循環可能になる。
【0049】
なお、多機能突起体3は上底面を有し下底面は開口する断面大形状の中空体により構成するとともに、この中空体3は、図8に示すようにこれに着脱可能な頂部5を具えて、この頂部5の着脱により中空体3の高さ調整を自在になし得るように構成してもよい。
【0050】
次に、上記構成に係る給・排水基盤を使用しての屋上面における植栽装置の構築についての一実施例を説明する。
建造物の屋上、屋根等の下地上防水層の上に防根層を貼付し、この防根層上に多機能突起体を固着する。次いで、スリットが形成された保水・保護シートをスリットを介して前記多機能突起体に被着して防根層の上に接合する。 そして、この保水・保護シート上に給・排水基盤を設置することになるが、この際多機能突起体は給・排水基盤の底部に形成される孔部から突出させるようにする。
次いで、給・排水基盤に土壌層を形成するが、土壌量は多機能突起体の頭部がやや露出する程度に盛り土する。 土壌層に植物を植栽し必要に応じて防風ネットを被せて多機能突起体の頂部に係止する。
【0051】
さらに、本願発明の他の実施例を説明する。 図9は植栽栽培構造の縦断面図である。
図において、Aは建造物の屋上のコンクリートスラブ面に貼着される防水層であり、この防水層Aの上面には、植物の毛根等の防水層への進出を防止するための防根層Bが張設されている。そして、前記防根層Bは植物根の侵出を防止できる強度を有する樹脂フィルムと、この樹脂フィルムの裏面に形成される粘着層とで構成し、前記粘着層の厚さを植物根の侵出先端径より小となるように形成されている。
なお、樹脂フィルムの重なり部等に後述の被覆テープを貼付すれば、前記粘着層の厚さを植物根の侵出先端径より小となるように形成しなくても、重なり部等からの植物根の侵出を防止することは可能であるが、これについては後述する。
【0052】
Cは保水給排水手段としての樹脂または金属製の給・排水基盤で、全面にわたり保水部1と排水部2とが複数一体に形成されている。給・排水基盤Cの上部には種々の植物等が植立される客土層Dがその表面に防風ネットEを有して積層設置されている。そして、給・排水基盤Cは、一体に形成される保水部1と排水部2とを複数有るとともに前記防風ネットEの係止手段31を有し、この係止手段31は給・排水基盤Cの底部に形成した開口部とこの開口部に嵌合する中空体4とその有するブラケット部により構成されている。そして、防風ネットEは係止手段31等を介して屋上スラブ面の防水層Aに係止される。
【0053】
図10は、前記防根層Bを構成する防根シートSの一部切欠縦断面である。 防根シートSは、植物根の侵出を防止できる強度を有する樹脂フィルム20と、その表面に形成される膜面21と、樹脂フィルムの裏面に形成される粘着層22とで構成され、前記粘着層22の厚さは30ミクロンに設定され植物根の先端径より小さくなっていて植物根の侵入を防止するようになっている。すなわち、図3に示すように、植物根Rの先端は防根シートS相互の重なり部において侵入するのが常態である。しかしながら、本件発明では、樹脂フィルム20の粘着層22が30ミクロンに設定され植物根Rの先端径より小さくなっているから、植物根Rの先端は重なり部分において、樹脂フィルム20の側端に当接してしまい粘着層22内への侵入は阻止されることになる。 なお、屋上緑化において使用される植物の根の先端部分は通常塊状に形成されていて、その径は30ミクロンという数字よりはるかに大きい。
【0054】
さらに、図10において、膜面21は、樹脂フィルムの表面の接着性の向上を図り、接着剤による種々のものの固着を容易にして植物栽培装置その他の構築を容易にし、また樹脂フィルムの耐候性を高め表面が紫外線に暴露されても容易に退化しないようにする効果がある。 また、樹脂フィルムの裂けを防止する効果もある。膜面を形成する塗料として、この実施例ではアクリルウレタン系塗料が使用されている。
【0055】
図12は、前記防根シートSの他の実施例を示す一部切欠縦断面である。この実施例では、樹脂フィルム20とその粘着層22との間に補強材23を介装して、防根シートSの強度を保持して断裂を防止し、また施工時におけるフィルムの形態保持性を高めてしわの発生を防ぐとともに、施工自体を容易にする。 補強材としては、ガラス繊維などの不織布、合成繊維によるメッシュ材、ゴム材、アスファルト材などを使用する。
【0056】
複数枚の樹脂フィルム20を施工面に敷設して防根層Bを形成する場合に、隣接する樹脂フィルム20の端部同士は重ね合わせるか又は隣り合う樹脂フィルム20の側端部を相互に密接に付き合わせる必要がある。図13は、樹脂フィルム20の重ね合わせ部における構造の一実施例を示す一部切欠縦断面図である。 図において、23は樹脂フィルム20,20の重なり部に貼付される被覆テープで裏面に粘着層を有している。 この被覆テープを重なり部に貼付すると、図14に示すように、植物根Rの先端は矢符で示すように樹脂テープに沿って重なり部の上方に向かうことになり、樹脂フィルム20の重なり部における厚み部分に衝突することが避けられる。 また、該被覆テープの粘着層の厚さは30ミクロンに設定されている。 この30ミクロンという数値は植物根の侵出先端径より小さいから、植物根がこの粘着層部分から侵入することはない。 図12の実施例では、樹脂フィルム20の粘着層の厚さは30ミクロンに設定され植物根の先端径より小さく形成されているが、前記被覆テープ23を使用すれば、樹脂フィルムの粘着層の厚さを必ずしも植物根の侵出先端径より小さく設定しなくても、植物根の侵出を防止できる。 ただし、樹脂フィルムの粘着層の厚さを植物根の侵出先端径より小さく設定した樹脂フィルムを使用すれば植物根の侵出防止機能はさらに強化される。
【0057】
本願発明に係る防根層構造は、植物が植立される層の施工面、すなわち前記植物層の周囲に設けられて、植物根の侵出を一定空間内に遮断するものであり、その利用範囲は極めて広い。この防根層構造は、植物の根の侵出を防止できる強度を有して前記施工面に貼付される樹脂フィルムと、この樹脂フィルムの裏面に形成される粘着層とによる防根シートで構成され、前記粘着層の厚さを植物根の侵出先端径より小となるように形成されている。 そして、防根シートは、図10,11に示したものが使用される。また、防根シートの重なり部の構成は図12に示すものと同様である。
【0058】
次に、防根シートに係る樹脂フィルムの防根性能(強度)に関する試験例を説明する。
試験例1
樹脂フィルム: ポリエチレンテレフタレート(PET)
植物: 熊笹
試験装置: コンクリート下地上に防水層を設置し、その上に図2に示す構成の防根シートBを敷設した。 防根シートにおける樹脂フィルムは、50ミクロン厚、75ミクロン厚、100ミクロン厚の3種である。この3種類の防根シートB上に深さ20cmの土壌層を形成して、熊笹を植えた。
観察期間:2年
結果: 2年経過した時点で観察したところ、50ミクロン厚の樹脂フィルムでは、熊笹の根が防水層と防根シートの間に侵出しているのが確認された。 75ミクロン厚、100ミクロン厚の樹脂フィルムでは、2年経過した時点でも熊笹の根は防根シートに遮断されているのが確認された。
【0059】
試験例2
樹脂フィルム: ポリエチレン(PE)
植物: 熊笹
試験装置: コンクリート下地上に防水層を設置し、その上に図2に示す構成の防根シートBを敷設した。 防根シートにおける樹脂フィルムは、200ミクロン厚、250ミクロン厚、300ミクロン厚の3種である。この3種類の防根シートB上に深さ20cmの土壌層を形成して、熊笹を植えた。
観察期間:2年
結果: 2年経過した時点で観察したところ、200ミクロン厚の樹脂フィルムでは、熊笹の根が防水層と防根シートの間に侵出しているのが確認された。 250ミクロン厚では、若干の根が防水層と防根シートの間に侵出しているのが確認された。 一方、300ミクロン厚では熊笹の根は防根シートに遮断されているのが確認された。
【0060】
試験例3
樹脂フィルム: ポリプロピレン(PP)
植物: 熊笹
試験装置: コンクリート下地上に防水層を設置し、その上に図2に示す構成の防根シートBを敷設した。 防根シートにおける樹脂フィルムは、50ミクロン厚、75ミクロン厚、100ミクロン厚の3種である。この3種類の防根シートB上に深さ20cmの土壌層を形成して、熊笹を植えた。
観察期間:2年
結果: 2年経過した時点で観察したところ、50ミクロン厚の樹脂フィルムでは、熊笹の根が防水層と防根シートの間に侵出しているのが確認された。 75ミクロン厚では、若干の根が防水層と防根シートの間に侵出しているのが確認された。 一方、100ミクロン厚では熊笹の根は防根シートに遮断されているのが確認された。
【図面の簡単な説明】
【0061】
【図1】本願発明に係る植栽装置の一実施例を示す一部切欠断面図である。
【図2】スリットを所定箇所に形成したアスファルトルーフィング材Pの平面図である。
【図3】図2に示したアスファルトルーフィング材Pの防根層Bへの張設作業を示す斜視図である。
【図4】アスファルトルーフィング材Pに形成するスリットの他の実施例を示す平面図である。
【図5】給・排水基盤Cにおいて、通直管により構成される保水部、排水部を示す一部切欠斜視図である。
【図6】底部に孔部を形成した給・排水基盤Cの斜視図である。
【図7】防根層上に固着した多機能突起体と給・排水基盤Cおよび保水・保護シートとの関連構成を示す断面図である。
【図8】断面台形状の中空体で構成した多機能突起体とその高さ調整のために被せる着脱可能な頂部とを示す断面図である。
【図9】本願発明に係る植物栽培構造の一実施例を示す一部切欠断面図である。
【図10】防根層Bを構成する防根シートSの一部切欠縦断面である。
【図11】防根シートS相互の重なり部分における植物根の侵入状況を示す断面図である。
【図12】防根シートSの他の実施例を示す一部切欠縦断面である。
【図13】樹脂フィルム20の重ね合わせ部における構造の一実施例を示す一部切欠縦断面図である。
【図14】樹脂フィルム20の重ね合わせ部における植物根Rの先端の動向を示す説明図である。
【符号の説明】
【0062】
A...........防水層
B...........防根層
C...........給・排水基盤
P...........保水・保護シート
D...........土壌層
E...........防風ネット
1...........保水部
2...........排水
3...........多機能突起体(中空体)
12..........スリット
31..........係止手段
S...........防根シート
20..........樹脂フィルム
21..........膜面
22..........粘着層
【技術分野】
【0001】
この発明は、屋上その他の緑化装置としての植栽装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
近年、建造物の屋上やその他の空間に大規模に植物を植栽し、都市部における無機的な空間の緑化を図る試みが盛んになされるようになっている。
このような時、多くの場合は、建造物等のスラブ面の防水層上に押えのコンクリート層を形成し、この上に、植栽層として、砂、砂利等からなる砂利層と、客土層を順次積層して植物を植栽するようにしている。
【0003】
しかしながら、植物にとって十分な保水性、排水性を得るためには、防水層にかなりの土砂を導入する必要があり、しかもコンクリート層はかなりの重量を有するため、これらの重量が建造物に悪影響を及ぼすという問題がある。そこで、本出願人は、先に保水性、排水性に優れた軽量の植栽装置を開示している(例えば特許2531542号公報参照)。
【0004】
この植栽装置は、建造物の屋上等に形成されているスラブ面に防水層を固定するとともに、この防水層の上面に、不織布等を有する保水材と、凹部及び凸部2を有するドレイン板等とからなる保水給排水手段を設け、さらにこの保水給排水手段の上方に砂利層および客土層からなる植栽層を積層したものとなっており、前記保水給排水手段等によって適正な保水性、排水性を得られるものとなっている。
このため、排水を考慮して設けられていたコンクリート層が不要となり、保水性の向上によって植栽層も草木の根毛の長さなどを考慮した必要最小限の厚さ、例えば50mm程度に設定することが可能となっている。
【0005】
このように、の植栽装置の進化により装置全体が軽量化され、建造物に対する悪影響を回避し得るという優れた効果が得られるようになったが、未だ解決すべき幾つかの課題を包含している。
すなわち、まず風に対する対策である。 この種の緑化装置は、建造物の屋上等、高所に設けられることが多いが、このような高所では常に方向不規則な風が発生しており、このため客土層の土壌やここに植生される苗等は容易に飛散する恐れが常にあり、その効果的な対策は非常に難しい。
【0006】
例えば、客土層は建造物等に対する荷重の点から出来うる限り薄く構築することが望ましいが、これ
をあまり薄くすると植栽した植物の根が張らず、僅かの風にも倒壊してしまう。このことは、特に植木を植栽した場合には顕著であって、ある程度の高さに成育する植木に場合には、無風時でさえ正立させることが困難である。
【0007】
そこで、植栽装置の上面をネットで覆う風対策が従来から汎用されている。この防風ネットは植栽装置に係止されることになるが、従来は下地上等の上になんらかの固定手段を設置し客土層の上端に突出した固定手段の上端に防風ネットを係止するようにすることが多い。
【0008】
一方、前記ドレイン板等を使わずに防水層を有する下地上に直接客土層(植栽層)を形成して植物を植生させる植栽構造も多く採用されている。 この植栽構造では、下地の防水層を保護するために防根層を形成しさらにこの防根層と客土層との間に緩衝材として不織布等による保護層が形成される。
そして、防根層上に固着された複数の固定手段は保護層上に突出して客土層中に散在する状態となっている。 このようにして、固定手段の上端は客土層の上方に臨んで、その上端には例えば防風ネットが係止され、また、固定手段が客土層中に散在することにより客土層の土壌の動揺を防止して風による飛散を抑制するとともに植物の根張りを良好にする。 しかしながら、多数の固定手段を介して保護層を防根層表面に保護層を能率的に張設することは困難な作業であり、生産コスト増大の要因となっている。
【0009】
他方、植物根に関しては、周知のように、植物根の伸長力は強大であるため、伸長した根は下地コンクリートやアスファルト等の防水層内部に侵出してしまう。このため、建造物や道路、地下の配管等にひび割れなどを引き起こし、トラブルが発生する。例えば、屋上緑化を行う場合には、植物の根がアスファルトからなる防水層に進入して漏水トラブルを起こし易い。また、屋外の道路の路肩に街路樹を植栽する場合には、下水道管のジョイント部から街路樹の根が進入して閉塞トラブルを起こし易い。
【0010】
このため、従来から各種の防根対策がなされている。例えば、化学的な防根処理を施した織布、不織布等を敷設してその上に植物栽培層を設置する例がある。 しかしながら、化学的な防根処理剤は植物根の生育を阻害する場合もあり、また経年による効果の衰減を免れないうえ、原価コストが高い等の問題がある。
【0011】
また、プラスチックシートを敷設して防根対策とする試みもなされている。 しかしながら、プラスチックシートの防根機能の解析がなされておらず、ある場合にはシートが厚すぎて施工等に支障をきたし、あるいは逆に薄すぎて防根効果を得られないなどの問題が多発していた。 さらに、シートの重ね部分から植物根が侵出してしまう問題があった。 重ね部からの植物根の侵出を防止するために、重ね部分に防根処理を施す試みもなされているが、製造コストが増大する、施工が面倒である等の不都合がある。
なお、本願発明に関する文献としてつぎのようなものが存在する。
【特許文献1】特開平11−318210号公報
【特許文献2】特開平11−318205号公報
【特許文献3】特開2001−8546号公報
【特許文献4】特開2004−298146号公報
【特許文献5】特開2005−118104号公報
【特許文献6】特開平11−32578号公報
【特許文献7】特開2007−49957号公報
【特許文献8】特開2007−20464号公報
【特許文献9】特開2007−6798号公報
【特許文献10】特開2006−230355号公報
【特許文献11】特開2006−204190号公報
【特許文献12】特開2006−180746号公報
【特許文献13】特開2006−161484号公報
【特許文献14】特開2005−58178号公報
【特許文献15】特開2002−335762号公報
【特許文献16】特開2001−178269号公報
【特許文献17】特開平11−32578号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0012】
本願発明は、優れた風対策手段ならびに侵出性の強い植物根に対して有効な対策手段を有しコストが低廉で植物育成機能に優れた植栽装置の提供を目的とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0013】
本願発明は、建造物の屋上、屋根等に形成される植栽装置であって、下地に設けられる防水層と、植物根の防水層への侵出を防止するために前記防水層上に形成される防根層と、この防根層の上に形成される保水・保護シートと、保水・保護シート上に設置され保持した水分を植物の根部に供給するとともに積層される土壌を把持するための給・排水基盤と、この給・排水基盤の下地へ固定をなすとともに土壌層の土壌の揺動防止、防風ネット等の係止、植物の根張り促進等のために防根層に固定される多機能突起体とを具え、前記防根層は植物の根の侵出を防止できる強度を有する樹脂フィルムと、この樹脂フィルムの裏面に形成される粘着層とで構成するとともに、防根層における樹脂フィルム相互の突合せ部又は重なり部は植物根の侵出を防止するために裏面に粘着層を有して植物の根の侵出を防止できる強度を具えた被覆テープを貼付し、該被覆テープの粘着層の厚さを植物根の侵出先端径より小となるように形成してなり、保水・保護シートと多機能突起体との係合は保水・保護シートに形成したスリットを介してなされ、給・排水基盤と保水・保護シートとの係合は給・排水基盤の底面に形成した孔部を介してなされるようにした植栽装置を提供して上記従来の課題を解決する。
【0014】
また、上記の植栽装置において、前記給・排水基盤は保水部と排水部とを有し、前記排水部は、縦横に交叉連通して形成される通直管により構成され、前記保水部は各通直管により囲繞されて形成される凹部空間により構成することがある。
【0015】
さらに、段落0014記載の植栽装置において、客土層に大気を循環させるための通気機構を設け、この通気機構を前記多機能突起体の頂部に形成した透孔と、排水部に形成した貫通小孔とで構成し、大気が前記中空体、前記排水部客土層を介して循環可能になすことがある。
【0016】
また、上記いずれかの植栽装置において、多機能突起体は上底面を有し下底面は開口する中空体により構成するとともに、前記中空体は基部とこれに着脱可能な頂部を具えて、前記頂部の着脱により中空体の高さ調整を自在になし得るように構成することがある。
【0017】
さらにまた、上記いずれか記載の植栽装置において、保水・保護シートに形成したスリット位置に対応するように多機能突起体を防根層上に設置するようになすことがある。
【0018】
また、段落0017の植栽装置において、保水・保護シートに形成するスリットは所定点を中心に放射状に形成することがある。
【0019】
そして、上記いずれかの植栽において、給・排水基盤の底面に形成した孔部は円形、楕円形、四角形、三角形のいずれかで形成し、保水・保護シートは天然繊維、合成繊維の織布、不織布、編布又は高分子吸収材、アスファルトルーフィングのうちの1種又は数種で形成することがある。
【0020】
本願発明はまた、建造物の屋上、屋根等に形成される植物栽培構造であって、下地に設けられる防水層と、植物根の防水層への侵出を防止するために前記防水層上に形成される防根層と、この防根層の上に形成される保水・保護シートと、この保水・保護シートの上に形成され植物を植生させるための植物育成層と、を具えてなり、前記防根層は植物の根の侵出を防止できる強度を有する樹脂フィルムと、この樹脂フィルムの裏面に形成される粘着層とで構成し、前記粘着層の厚さを植物根の侵出先端径より小となるように形成した植物栽培構造を提供して、上記従来の課題を解決する。
【発明の効果】
【0021】
以上のような構成により、次のような効果を得られる。
イ.風対策に優れ、土壌層を薄く形成できながら植物の適正な生育が可能な植栽装置を効率よく低廉なコストで構築できる。
ロ.防根層として、植物の根の侵出を防止できる強度を有して施工面に貼付される樹脂フィルムと、この樹脂フィルムの裏面に形成される粘着層とで構成するとともに、前記粘着層の厚さを植物根の侵出先端径より小となるように形成したことを特徴とする防根シートを使用するので、植物栽培構造、各種の防根構造の構築において、確実な防根効果を高い施工効率の下に実現できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0022】
本願発明に係る植栽装置は、下地に設けられる防水層と、植物根の防水層への侵出を防止するために前記防水層上に形成される防根層と、この防根層の上に形成される保水・保護シートと、保水・保護シート上に設置され保持した水分を植物の根部に供給するとともに積層される土壌を把持するための給・排水基盤と、この給・排水基盤の下地へ固定をなすとともに土壌層の土壌の揺動防止、防風ネット等の係止、植物の根張り促進等のために防根層に固定される多機能突起体とを具え、前記防根層は植物の根の侵出を防止できる強度を有する樹脂フィルムと、この樹脂フィルムの裏面に形成される粘着層とで構成するとともに、防根層における樹脂フィルム相互の突合せ部又は重なり部は植物根の侵出を防止するために裏面に粘着層を有して植物の根の侵出を防止できる強度を具えた被覆テープを貼付し、該被覆テープの粘着層の厚さを植物根の侵出先端径より小となるように形成してなり、保水・保護シートと多機能突起体との係合は保水・保護シートに形成したスリットを介してなされ、給・排水基盤と保水・保護シートとの係合は給・排水基盤の底面に形成した孔部を介してなされるようになっている。
【0023】
保水・保護シートは、防根層と土壌層との間に介装され防根層の保護機能のみでなく緩衝層としての機能をも有する意味で、繊維、ゴム、アスファルトルーフィング等を使用できるが、保水の見地からは繊維、不織布、アスファルトルーフィング材等が好ましい。
【0024】
保水・保護シートと多機能突起体との係合は保水・保護シートに形成したスリットを介してなされ、給・排水基盤と保水・保護シートとの係合は給・排水基盤の底面に形成した孔部を介してなされるように構成する。
【0025】
給・排水基盤は、樹脂材に複数の凹部、凸部を連続して一体に形成したもので構成する。 多機能突起体は、樹脂材で形成され断面が台形状の中空体で構成し、この中空体は防根層上の定位置に多数固着する。 保水・保護シートに前記多機能突起体の位置に対応する位置にスリットを形成しておいてこのスリットを介して保水・保護シートを多機能突起体に被着しつつ防根層上に固着する。そして、給・排水基盤にも多機能突起体の位置に対応する位置に孔部を形成しておいて、この孔部を介して給・排水基盤を多機能突起体に被冠しつつ保水・保護シート上に固着する。
【0026】
多機能突起体は防根層上の所定位置に複数形成し、この設置位置に対応して保水・保護シートにスリットを、また給・排水基盤には孔部を形成しておいて、これらのスリット、孔部を多機能突起体に被せるようにして保水・保護シート、給・排水基盤を防根層上に敷設していく。
【0027】
保水・保護シートに形成するスリットの形状は特に限定されないが、所定点を中心に放射状に形成されたものを用いれば多機能突起体を通し易い。 また、給・排水基盤に形成する孔部の形状も円形、楕円形、三角形、四角形等が可能であるが、三角形が加工効率等から好ましい。
【0028】
さらに、多機能突起体は棒状体の物でも良いが、好ましくは前述のように断面が台形状を有する中空円錐台をなすものを使用する。 防根層上に固着された多機能体としての複数の円錐台は保水・保護シート、給・排水基盤上に突出して土壌層中に散在する状態とする。 このようにして、円錐台の上端は土壌層の上方に臨んで、その上端には例えば防風ネットが係止され、また、円錐台が土壌層中に散在することにより土壌層の土壌の動揺を防止して風による飛散を抑制するとともに植物の根張りを良好にする。 風対策としては多機能突起体を棒状のもので構成するより円錐台で構成するほうが効果的である。
【0029】
防根層としての防根シートは、各種の樹脂フィルムで形成され、裏面には粘着層を有して建造物の防水層等への貼付を強固かつ容易になし得るようになっている。 フィルムを構成する樹脂としてはポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリエチレン、ポリプロピレン、ナイロン、塩ビ等が好適である。
【0030】
樹脂フィルムは植物根の侵出を遮断するために所定の強度を有することが不可欠であるが、施工性、運搬性、経済性等を考慮すればできるだけ薄いものが好ましい。 本願発明者らは、実験結果の分析により、前記要求性能を具備するに必要十分なフィルム厚さを見出した。 これによれば、ポリエチレンテレフタレート(PET)では、厚さ75ミクロン前後、ポリエチレンでは厚さ300ミクロン前後、ポリプロピレンでは厚さ100ミクロン前後が、好ましいことが判明した。
【0031】
防根シートは、防水層上に貼付され、この上には保護層を介して植物土壌層が形成されて植物根の防水層等への侵出を防止するようになっている。 そして、防根シートの貼付に際しては隣接する部分を重ね合わせることになるが、この重ねあわせ部分の粘着層から植物根が侵入する可能性が生じる。しかし、一般に植物根の先端部の径は40ミクロンないし50ミクロンである。 このため、樹脂フィルムの裏面の粘着材層の厚さを30ミクロン程度に設定すれば、樹脂フィルムの重ね合わせ部の粘着層からの侵入は防止できることになる。
【0032】
樹脂フィルムは、経済性、運搬性、あるいはロール状にし易い点等の見地からは薄いのが好ましい。施工性、強度の点からあまり薄いのも問題を生じる。すなわち、あまり薄いと施工に際して形態保持が難しく貼付時にしわが発生したり、フィルムが裂けたりする恐れがある。
【0033】
そこで、この樹脂フィルムの裏面とここに形成される粘着層との間に補強材を介装する。この補強材は不織布および/または樹脂材および/またはゴム材および/またはアスファルト材で構成する。
【0034】
前記防根シートを構成する樹脂フィルムの表面には膜面を形成して、接着性、耐候性、強度を向上させるようにする。 樹脂フィルムの表面は、樹脂の性質上、未処理面には接着剤が作用し難く、このためフィルム表面に塗料による膜面を形成して接着性を付与して、種々の場面で接着剤を有効に使用できるようにする。
また、防根シートは通常はその上部に植物栽培層等が設置され外気、紫外線から遮蔽されるが、場合によっては一部が露出されることもあり、さらには施工現場に敷設までの一定期間集積の必要があったたり、敷設されて表面を露出した状態で一定期間放置せざるを得ないこともあるから、耐候性の付与は不可欠とも言える。 また、表面に塗料による膜面を形成することでフィルム強度が増し、施工作業も容易になる。前記膜面を形成する塗料としてはフッ素系樹脂もしくはアクリルシリコン系樹脂あるいはウレタン系樹脂を含むものが好適である。すなわち、膜面をフッ素樹脂もしくはアクリルシリコン系樹脂により耐候性が、またウレタン系樹脂により形成して接着性が付与される。
【0035】
しかし、樹脂フィルムを広く敷設する場合その重なり部あるいは樹脂はフィルム相互の突合せ部には、
植物根の押圧力その他種々の力が作用するから、これらの部分を補強することが好ましい。このため、防根層における樹脂フィルムの重なり部あるいは樹脂はフィルム相互の突合せ部には裏面に粘着層を有して、植物の根の侵出を防止できる強度を具えた被覆テープを貼付し、重なり部あるいは樹脂はフィルム相互の突合せ部の強度を補強する。該被覆テープのとなる樹脂テープで被覆し重なり部の強度を補強する。しかし、樹脂テープの粘着層の厚さによっては、そこから植物根の先端が侵入するから、粘着層の厚さを植物根の侵出先端径より小とすること、現実には、粘着層の厚さを30ミクロン程度に設定することが必要である。この被覆テープには、植物根の樹脂フィルムの重なり部への衝突を回避させ、重なり部の上方へ指向させる意味合いもあるから、樹脂フィルムより若干薄いものが望ましく、樹脂は前記樹脂フィルムと同様のもので形成する。 なお、樹脂フィルムの粘着層の厚さが植物根の侵出先端径より小さく形成されている場合は、必ずしも前記被覆テープは必要ではないが、被覆テープの使用により植物根の侵出防止機能はより強化されることになる。
【0036】
前記防根シートは、屋上緑化に限らず、人工栽培装置その他広く防根が必要な場合の防根構造に使用することができる。 すなわち、この種の防根層構造は、植物が植立される土壌層(植立層、植物栽培層)の施工面に設けられて、植物の根の侵出を防止できる強度を有して前記施工面に貼付される樹脂フィルムと、この樹脂フィルムの裏面に形成される粘着層とで構成される。
【0037】
樹脂フィルムの重なり部には、当然植物根が当接し、その押圧力は強いから、植物根が重なり部に係合しないように、なるべく樹脂フィルムの厚さを薄く必要ある。あまり、薄くすると防根のための強度が不足することになる。したがって、薄さへの要求と強度のバランスを図る必要がある。 本願発明では、各種樹脂フィルムにより、実験によりその厚さの臨界値を具体的に設定したことは前述のとおりである。
【0038】
しかし、樹脂フィルムの重なり部には、植物根の押圧力その他種々の力が作用するから、この部分を
補強することが好ましい。このため、防根層における樹脂フィルムの重なり部は裏面に粘着層を有する樹脂テープで被覆し重なり部の強度を補強する。しかし、樹脂テープの粘着層の厚さによっては、そこから植物根の先端が侵入するから、粘着層の厚さを30ミクロン程度に設定することが必要である。この樹脂テープには、植物根の樹脂フィルムの重なり部への衝突を回避させ、重なり部の上方へ指向させる意味合いもあるから、樹脂フィルムより若干薄いものが望ましく、樹脂は前記樹脂フィルムと同様のもので形成する。
【実施例】
【0039】
以下、本願発明の1実施例を図面に基づいて説明する。
図1は、当該実施例に係る植栽装置の一部断面図である。図において、Aは建造物の屋上のコンクリートスラブ面に貼着される防水層であり、この防水層Aの上面には、植物の毛根等の防水層への進出を防止するための樹脂製の防根層Bが張設されている。 また、防根層B上には保水・保護シートPが貼付されている。
【0040】
Cは、保水給排水手段としての樹脂または金属製の給・排水基盤で、全面にわたり保水部1と排水部2とが複数一体に形成されている。給・排水基盤Cの上部には種々の植物等が植立される客土層Dがその表面に防風ネットEを有して積層設置されている。
【0041】
防根層B上にはアスファルトルーフィング材による保水・保護シートPならびに給・排水基盤Cを貫通して中空の円錐台形状の多機能突起体3が固着されている。この円錐台形状の多機能突起体3は、土壌D中に複数散在して設置され、その上端面は土壌表面に露出していて、そこに防風ネットEが係止されるようになっている。保水・保護シートP(アスファルトルーフィング材)は、円錐台形状の多機能突起体3の防根層B表面への固着後に張設されるが、その際、アスファルトルーフィング材Pはその所定位置に形成されたスリット部分を通して多機能突起体3を上方に突出させるようにして張設することになる。
【0042】
図2は、スリットを所定箇所に形成したアスファルトルーフィング材Pの平面図であり、スリット12は所定間隔(防根層B上に設置される多機能突起体3の相互の間隔に相当)で、中心孔の周囲に星型放射線状に形成されている。
【0043】
図3は、図2に示したアスファルトルーフィング材Pの防根層Bへの張設作業を示す斜視図であり、防根層B上にブラケット3aを介して所定間隔(スリット12に形成されるスリット12相互の間隔に相当)で固着されている円錐台形状の中空体3の上端に、スリット12部分に当接させて下方押し下げるようにしてアスファルトルーフィング材Pを防根層B上に張設していく。 このようにして、アスファルトルーフィング材Pの張設は効率よくなすことができる。
【0044】
図4は、アスファルトルーフィング材Pに形成するスリットの他の実施例を示す平面図である。 図4(a)は、スリット12は中心点から放射状に形成されている例を示している。 また、図4(b)は、径を中心孔を中空体3の底部近傍の径に等しくし、かつ中心孔の周囲に切り込みを形成したスリット12を示している。スリット12をこのように構成することでアスファルトルーフィング材Pの中空体3への被着嵌合はより円滑になる。 なお、この例では、中心孔の周囲に切り込みを入れたが、中心孔の径を中空体3の底部外周より大きく形成すれば、周囲の切り込みは必ずしも必要ではない。
【0045】
前述のように給・排水基盤Cは、一体に形成される保水部1と排水部2とを複数有していて、その上方には前記防風ネットEの係止手段としても機能する中空円錐台形状の多機能突起体3が突出している。 すなわち、この中空円錐台3は給・排水基盤Cの底部に形成した孔部土壌層Dの表面まで突出している。そして、防風ネットEは多機能突起体3等を介して屋上スラブ面の防根層Bに係止されている。
【0046】
図5に示すように、給・排水基盤Cの前記排水部2は、縦横に交叉連通して形成される通直管2aにより構成され、前記保水部1は各通直管2aにより囲繞されて形成される凹部空間により構成されている。 図6は、中空円錐台形状の多機能突起体3を示す側面図であり、前述のように、保水・保護シートPは防根層Bの上に固着された多機能突起体3がスリット12部分を貫通させて防根層Bに張設されるが、給・排水基盤Cの保水・保護シートP上への敷設も同様にしてなされるが、すなわち、次段で説明するように、給・排水基盤Cの底部に形成した孔部に多機能突起体3を貫通させて給・排水基盤Cを給・排水基盤Cの保水・保護シートP上へ敷設していく。
【0047】
図6は、底部に孔部を形成した給・排水基盤Cの斜視図であり、孔部4が形成されていて、図7に示すように、この孔部4に多機能突起体3を貫通させて給・排水基盤Cが保水・保護シートP上へ敷設されていく。 図6に示すものでは、孔部4は方形に形成されているが、その形状はこれに限定されることなく、三角形、円形等のいずれでもよい。
【0048】
さらに、図5、7において、通直管2aの交差部に形成される方形突部に設けた貫通小孔と多機能突起体3の頂部形成した透孔により客土層に大気を循環させるための通気機構が構成され、大気が前記中空体、前記排水部、客土層を介して循環可能になる。
【0049】
なお、多機能突起体3は上底面を有し下底面は開口する断面大形状の中空体により構成するとともに、この中空体3は、図8に示すようにこれに着脱可能な頂部5を具えて、この頂部5の着脱により中空体3の高さ調整を自在になし得るように構成してもよい。
【0050】
次に、上記構成に係る給・排水基盤を使用しての屋上面における植栽装置の構築についての一実施例を説明する。
建造物の屋上、屋根等の下地上防水層の上に防根層を貼付し、この防根層上に多機能突起体を固着する。次いで、スリットが形成された保水・保護シートをスリットを介して前記多機能突起体に被着して防根層の上に接合する。 そして、この保水・保護シート上に給・排水基盤を設置することになるが、この際多機能突起体は給・排水基盤の底部に形成される孔部から突出させるようにする。
次いで、給・排水基盤に土壌層を形成するが、土壌量は多機能突起体の頭部がやや露出する程度に盛り土する。 土壌層に植物を植栽し必要に応じて防風ネットを被せて多機能突起体の頂部に係止する。
【0051】
さらに、本願発明の他の実施例を説明する。 図9は植栽栽培構造の縦断面図である。
図において、Aは建造物の屋上のコンクリートスラブ面に貼着される防水層であり、この防水層Aの上面には、植物の毛根等の防水層への進出を防止するための防根層Bが張設されている。そして、前記防根層Bは植物根の侵出を防止できる強度を有する樹脂フィルムと、この樹脂フィルムの裏面に形成される粘着層とで構成し、前記粘着層の厚さを植物根の侵出先端径より小となるように形成されている。
なお、樹脂フィルムの重なり部等に後述の被覆テープを貼付すれば、前記粘着層の厚さを植物根の侵出先端径より小となるように形成しなくても、重なり部等からの植物根の侵出を防止することは可能であるが、これについては後述する。
【0052】
Cは保水給排水手段としての樹脂または金属製の給・排水基盤で、全面にわたり保水部1と排水部2とが複数一体に形成されている。給・排水基盤Cの上部には種々の植物等が植立される客土層Dがその表面に防風ネットEを有して積層設置されている。そして、給・排水基盤Cは、一体に形成される保水部1と排水部2とを複数有るとともに前記防風ネットEの係止手段31を有し、この係止手段31は給・排水基盤Cの底部に形成した開口部とこの開口部に嵌合する中空体4とその有するブラケット部により構成されている。そして、防風ネットEは係止手段31等を介して屋上スラブ面の防水層Aに係止される。
【0053】
図10は、前記防根層Bを構成する防根シートSの一部切欠縦断面である。 防根シートSは、植物根の侵出を防止できる強度を有する樹脂フィルム20と、その表面に形成される膜面21と、樹脂フィルムの裏面に形成される粘着層22とで構成され、前記粘着層22の厚さは30ミクロンに設定され植物根の先端径より小さくなっていて植物根の侵入を防止するようになっている。すなわち、図3に示すように、植物根Rの先端は防根シートS相互の重なり部において侵入するのが常態である。しかしながら、本件発明では、樹脂フィルム20の粘着層22が30ミクロンに設定され植物根Rの先端径より小さくなっているから、植物根Rの先端は重なり部分において、樹脂フィルム20の側端に当接してしまい粘着層22内への侵入は阻止されることになる。 なお、屋上緑化において使用される植物の根の先端部分は通常塊状に形成されていて、その径は30ミクロンという数字よりはるかに大きい。
【0054】
さらに、図10において、膜面21は、樹脂フィルムの表面の接着性の向上を図り、接着剤による種々のものの固着を容易にして植物栽培装置その他の構築を容易にし、また樹脂フィルムの耐候性を高め表面が紫外線に暴露されても容易に退化しないようにする効果がある。 また、樹脂フィルムの裂けを防止する効果もある。膜面を形成する塗料として、この実施例ではアクリルウレタン系塗料が使用されている。
【0055】
図12は、前記防根シートSの他の実施例を示す一部切欠縦断面である。この実施例では、樹脂フィルム20とその粘着層22との間に補強材23を介装して、防根シートSの強度を保持して断裂を防止し、また施工時におけるフィルムの形態保持性を高めてしわの発生を防ぐとともに、施工自体を容易にする。 補強材としては、ガラス繊維などの不織布、合成繊維によるメッシュ材、ゴム材、アスファルト材などを使用する。
【0056】
複数枚の樹脂フィルム20を施工面に敷設して防根層Bを形成する場合に、隣接する樹脂フィルム20の端部同士は重ね合わせるか又は隣り合う樹脂フィルム20の側端部を相互に密接に付き合わせる必要がある。図13は、樹脂フィルム20の重ね合わせ部における構造の一実施例を示す一部切欠縦断面図である。 図において、23は樹脂フィルム20,20の重なり部に貼付される被覆テープで裏面に粘着層を有している。 この被覆テープを重なり部に貼付すると、図14に示すように、植物根Rの先端は矢符で示すように樹脂テープに沿って重なり部の上方に向かうことになり、樹脂フィルム20の重なり部における厚み部分に衝突することが避けられる。 また、該被覆テープの粘着層の厚さは30ミクロンに設定されている。 この30ミクロンという数値は植物根の侵出先端径より小さいから、植物根がこの粘着層部分から侵入することはない。 図12の実施例では、樹脂フィルム20の粘着層の厚さは30ミクロンに設定され植物根の先端径より小さく形成されているが、前記被覆テープ23を使用すれば、樹脂フィルムの粘着層の厚さを必ずしも植物根の侵出先端径より小さく設定しなくても、植物根の侵出を防止できる。 ただし、樹脂フィルムの粘着層の厚さを植物根の侵出先端径より小さく設定した樹脂フィルムを使用すれば植物根の侵出防止機能はさらに強化される。
【0057】
本願発明に係る防根層構造は、植物が植立される層の施工面、すなわち前記植物層の周囲に設けられて、植物根の侵出を一定空間内に遮断するものであり、その利用範囲は極めて広い。この防根層構造は、植物の根の侵出を防止できる強度を有して前記施工面に貼付される樹脂フィルムと、この樹脂フィルムの裏面に形成される粘着層とによる防根シートで構成され、前記粘着層の厚さを植物根の侵出先端径より小となるように形成されている。 そして、防根シートは、図10,11に示したものが使用される。また、防根シートの重なり部の構成は図12に示すものと同様である。
【0058】
次に、防根シートに係る樹脂フィルムの防根性能(強度)に関する試験例を説明する。
試験例1
樹脂フィルム: ポリエチレンテレフタレート(PET)
植物: 熊笹
試験装置: コンクリート下地上に防水層を設置し、その上に図2に示す構成の防根シートBを敷設した。 防根シートにおける樹脂フィルムは、50ミクロン厚、75ミクロン厚、100ミクロン厚の3種である。この3種類の防根シートB上に深さ20cmの土壌層を形成して、熊笹を植えた。
観察期間:2年
結果: 2年経過した時点で観察したところ、50ミクロン厚の樹脂フィルムでは、熊笹の根が防水層と防根シートの間に侵出しているのが確認された。 75ミクロン厚、100ミクロン厚の樹脂フィルムでは、2年経過した時点でも熊笹の根は防根シートに遮断されているのが確認された。
【0059】
試験例2
樹脂フィルム: ポリエチレン(PE)
植物: 熊笹
試験装置: コンクリート下地上に防水層を設置し、その上に図2に示す構成の防根シートBを敷設した。 防根シートにおける樹脂フィルムは、200ミクロン厚、250ミクロン厚、300ミクロン厚の3種である。この3種類の防根シートB上に深さ20cmの土壌層を形成して、熊笹を植えた。
観察期間:2年
結果: 2年経過した時点で観察したところ、200ミクロン厚の樹脂フィルムでは、熊笹の根が防水層と防根シートの間に侵出しているのが確認された。 250ミクロン厚では、若干の根が防水層と防根シートの間に侵出しているのが確認された。 一方、300ミクロン厚では熊笹の根は防根シートに遮断されているのが確認された。
【0060】
試験例3
樹脂フィルム: ポリプロピレン(PP)
植物: 熊笹
試験装置: コンクリート下地上に防水層を設置し、その上に図2に示す構成の防根シートBを敷設した。 防根シートにおける樹脂フィルムは、50ミクロン厚、75ミクロン厚、100ミクロン厚の3種である。この3種類の防根シートB上に深さ20cmの土壌層を形成して、熊笹を植えた。
観察期間:2年
結果: 2年経過した時点で観察したところ、50ミクロン厚の樹脂フィルムでは、熊笹の根が防水層と防根シートの間に侵出しているのが確認された。 75ミクロン厚では、若干の根が防水層と防根シートの間に侵出しているのが確認された。 一方、100ミクロン厚では熊笹の根は防根シートに遮断されているのが確認された。
【図面の簡単な説明】
【0061】
【図1】本願発明に係る植栽装置の一実施例を示す一部切欠断面図である。
【図2】スリットを所定箇所に形成したアスファルトルーフィング材Pの平面図である。
【図3】図2に示したアスファルトルーフィング材Pの防根層Bへの張設作業を示す斜視図である。
【図4】アスファルトルーフィング材Pに形成するスリットの他の実施例を示す平面図である。
【図5】給・排水基盤Cにおいて、通直管により構成される保水部、排水部を示す一部切欠斜視図である。
【図6】底部に孔部を形成した給・排水基盤Cの斜視図である。
【図7】防根層上に固着した多機能突起体と給・排水基盤Cおよび保水・保護シートとの関連構成を示す断面図である。
【図8】断面台形状の中空体で構成した多機能突起体とその高さ調整のために被せる着脱可能な頂部とを示す断面図である。
【図9】本願発明に係る植物栽培構造の一実施例を示す一部切欠断面図である。
【図10】防根層Bを構成する防根シートSの一部切欠縦断面である。
【図11】防根シートS相互の重なり部分における植物根の侵入状況を示す断面図である。
【図12】防根シートSの他の実施例を示す一部切欠縦断面である。
【図13】樹脂フィルム20の重ね合わせ部における構造の一実施例を示す一部切欠縦断面図である。
【図14】樹脂フィルム20の重ね合わせ部における植物根Rの先端の動向を示す説明図である。
【符号の説明】
【0062】
A...........防水層
B...........防根層
C...........給・排水基盤
P...........保水・保護シート
D...........土壌層
E...........防風ネット
1...........保水部
2...........排水
3...........多機能突起体(中空体)
12..........スリット
31..........係止手段
S...........防根シート
20..........樹脂フィルム
21..........膜面
22..........粘着層
【特許請求の範囲】
【請求項1】
建造物の屋上、屋根等に形成される植栽装置であって、下地に設けられる防水層と、植物根の防水層への侵出を防止するために前記防水層上に形成される防根層と、この防根層の上に形成される保水・保護シートと、保水・保護シート上に設置され保持した水分を植物の根部に供給するとともに積層される土壌を把持するための給・排水基盤と、この給・排水基盤の下地へ固定をなすとともに土壌層の土壌の揺動防止、防風ネット等の係止、植物の根張り促進等のために防根層に固定される多機能突起体とを具え、前記防根層は植物の根の侵出を防止できる強度を有する樹脂フィルムと、この樹脂フィルムの裏面に形成される粘着層とで構成するとともに、防根層における樹脂フィルム相互の突合せ部又は重なり部は植物根の侵出を防止するために裏面に粘着層を有して植物の根の侵出を防止できる強度を具えた被覆テープを貼付し、該被覆テープの粘着層の厚さを植物根の侵出先端径より小となるように形成してなり、保水・保護シートと多機能突起体との係合は保水・保護シートに形成したスリットを介してなされ、給・排水基盤と保水・保護シートとの係合は給・排水基盤の底面に形成した孔部を介してなされるようにしたことを特徴とする植栽装置。
【請求項2】
請求項1記載の植栽装置において、前記給・排水基盤は保水部と排水部とを有し、前記排水部は、縦横に交叉連通して形成される通直管により構成され、前記保水部は各通直管により囲繞されて形成される凹部空間により構成したことを特徴とする植栽装置。
【請求項3】
請求項2記載の植栽装置において、客土層に大気を循環させるための通気機構を設け、この通気機構を前記多機能突起体の頂部に形成した透孔と、排水部に形成した貫通小孔とで構成し、大気が前記中空体、前記排水部客土層を介して循環可能にしたことを特徴とする植栽装置。
【請求項4】
請求項1ないし3いずれか記載の植栽装置において、多機能突起体は上底面を有し下底面は開口する中空体により構成するとともに、前記中空体は基部とこれに着脱可能な頂部を具えて、前記頂部の着脱により中空体の高さ調整を自在になし得るようにしことを特徴とする植栽装置。
【請求項5】
請求項1ないし4いずれか記載の植栽装置において、保水・保護シートに形成したスリット位置に対応するように多機能突起体を防根層上に設置するようにしたことを特徴とする植栽装置。
【請求項6】
請求項5記載の植栽装置において、保水・保護シートに形成するスリットは所定点を中心に放射状に形成したことを特徴とする植栽装置。
【請求項7】
請求項1ないし6いずれか記載の植栽において、給・排水基盤の底面に形成した孔部は円形、楕円形、四角形、三角形のいずれかで形成し、保水・保護シートは天然繊維、合成繊維の織布、不織布、編布又は高分子吸収材、アスファルトルーフィングのうちの1種又は数種で形成したことを特徴とする植栽装置。
【請求項8】
建造物の屋上、屋根等に形成される植物栽培構造であって、下地に設けられる防水層と、植物根の防水層への侵出を防止するために前記防水層上に形成される防根層と、この防根層の上に形成される保水・保護シートと、この保水・保護シートの上に形成され植物を植生させるための植物育成層と、を具えてなり、前記防根層は植物の根の侵出を防止できる強度を有する樹脂フィルムと、この樹脂フィルムの裏面に形成される粘着層とで構成し、前記粘着層の厚さを植物根の侵出先端径より小となるように形成したことを特徴とする植物栽培構造。
【請求項1】
建造物の屋上、屋根等に形成される植栽装置であって、下地に設けられる防水層と、植物根の防水層への侵出を防止するために前記防水層上に形成される防根層と、この防根層の上に形成される保水・保護シートと、保水・保護シート上に設置され保持した水分を植物の根部に供給するとともに積層される土壌を把持するための給・排水基盤と、この給・排水基盤の下地へ固定をなすとともに土壌層の土壌の揺動防止、防風ネット等の係止、植物の根張り促進等のために防根層に固定される多機能突起体とを具え、前記防根層は植物の根の侵出を防止できる強度を有する樹脂フィルムと、この樹脂フィルムの裏面に形成される粘着層とで構成するとともに、防根層における樹脂フィルム相互の突合せ部又は重なり部は植物根の侵出を防止するために裏面に粘着層を有して植物の根の侵出を防止できる強度を具えた被覆テープを貼付し、該被覆テープの粘着層の厚さを植物根の侵出先端径より小となるように形成してなり、保水・保護シートと多機能突起体との係合は保水・保護シートに形成したスリットを介してなされ、給・排水基盤と保水・保護シートとの係合は給・排水基盤の底面に形成した孔部を介してなされるようにしたことを特徴とする植栽装置。
【請求項2】
請求項1記載の植栽装置において、前記給・排水基盤は保水部と排水部とを有し、前記排水部は、縦横に交叉連通して形成される通直管により構成され、前記保水部は各通直管により囲繞されて形成される凹部空間により構成したことを特徴とする植栽装置。
【請求項3】
請求項2記載の植栽装置において、客土層に大気を循環させるための通気機構を設け、この通気機構を前記多機能突起体の頂部に形成した透孔と、排水部に形成した貫通小孔とで構成し、大気が前記中空体、前記排水部客土層を介して循環可能にしたことを特徴とする植栽装置。
【請求項4】
請求項1ないし3いずれか記載の植栽装置において、多機能突起体は上底面を有し下底面は開口する中空体により構成するとともに、前記中空体は基部とこれに着脱可能な頂部を具えて、前記頂部の着脱により中空体の高さ調整を自在になし得るようにしことを特徴とする植栽装置。
【請求項5】
請求項1ないし4いずれか記載の植栽装置において、保水・保護シートに形成したスリット位置に対応するように多機能突起体を防根層上に設置するようにしたことを特徴とする植栽装置。
【請求項6】
請求項5記載の植栽装置において、保水・保護シートに形成するスリットは所定点を中心に放射状に形成したことを特徴とする植栽装置。
【請求項7】
請求項1ないし6いずれか記載の植栽において、給・排水基盤の底面に形成した孔部は円形、楕円形、四角形、三角形のいずれかで形成し、保水・保護シートは天然繊維、合成繊維の織布、不織布、編布又は高分子吸収材、アスファルトルーフィングのうちの1種又は数種で形成したことを特徴とする植栽装置。
【請求項8】
建造物の屋上、屋根等に形成される植物栽培構造であって、下地に設けられる防水層と、植物根の防水層への侵出を防止するために前記防水層上に形成される防根層と、この防根層の上に形成される保水・保護シートと、この保水・保護シートの上に形成され植物を植生させるための植物育成層と、を具えてなり、前記防根層は植物の根の侵出を防止できる強度を有する樹脂フィルムと、この樹脂フィルムの裏面に形成される粘着層とで構成し、前記粘着層の厚さを植物根の侵出先端径より小となるように形成したことを特徴とする植物栽培構造。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【公開番号】特開2009−278950(P2009−278950A)
【公開日】平成21年12月3日(2009.12.3)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−136522(P2008−136522)
【出願日】平成20年5月26日(2008.5.26)
【出願人】(000217365)田島ルーフィング株式会社 (78)
【出願人】(505466826)田島緑化株式会社 (27)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成21年12月3日(2009.12.3)
【国際特許分類】
【出願日】平成20年5月26日(2008.5.26)
【出願人】(000217365)田島ルーフィング株式会社 (78)
【出願人】(505466826)田島緑化株式会社 (27)
【Fターム(参考)】
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