説明

植物における昆虫有害生物の防除方法

生長媒体中に定植された植物を葉面昆虫有害生物から保護する方法であって、メトミルおよびオキサミルを含んでなる混合物の殺虫的に有効な量を生長媒体に適用することを含んでなる方法が開示される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、メトミルおよびオキサミルの混合物を使用することによって植物に悪影響を及ぼす昆虫有害生物を防除する方法に関する。
【背景技術】
【0002】
有益な昆虫に対しては可能な限り無害であり、かつ環境に最小限の影響を及ぼしながら、可能な限り低用量で適用可能であり、また有害生物種の昆虫の防除に有効である殺虫剤の需要が農業社会において存在する。昆虫は作物植物に対して非常に破壊的であり、また作物生産量および品質における著しい損失をもたらし、結果として栽培者への経済損失および消費者への費用増加を引き起こす。典型的に殺虫剤を組み合わせて使用し、相加効果によっていずれの所定の種の昆虫防除範囲が拡大されるか、または防除レベルが増加される。特定の珍しい組み合わせによって、驚くべきことに、相加または相乗効果よりも高い効果が得られる。
【0003】
メトミルはデュポン(DuPont)により、限定されないが、鱗翅目(例えば、コーンイヤーワーム(corn earworm)、ルーパー(looper)、アーミーワーム(armyworm)、カットワーム(cutworm)、ハマキムシ(leafroller)、コナガ(diamondback moth))、鞘翅目(例えば、ウリハムシ(cucumber beetle)、ノミハムシ(flea beetle)、インゲンテントウ(Mexican bean beetle))、同翅目(例えば、アブラムシ(aphid)、ヨコバイ(leafhopper))、半翅目(例えば、カスミカメムシ(plant bug)、カメムシ(stink bug)、ライグスバグ(lygus bug))および総翅目(例えば、アザミウマ)からの昆虫を含む農作物の多数の昆虫有害生物防除用葉面適用のためのランネート(Lannate)(登録商標)殺虫剤中の活性成分として販売されている。メトミルは鱗翅目昆虫に対して特に有効であり、迅速に作用するが残留効果がほとんどない。
【0004】
オキサミルはデュポン(DuPont)により、バイデート(Vydate)(登録商標)殺虫剤/殺線虫剤中の活性成分として販売されており、そして限定されないが、鱗翅目(例えば、ワタアカミムシガ(pink bollworm))、鞘翅目(例えば、ワタミゾウムシ(boll weevil)、ノミハムシ(flea beetle)、コロラドハムシ(Colorado potato beetle))、同翅目(例えば、モモアカアブラムシ(green peach aphid)、ジャガイモヒメヨコバイ(potato leafhopper)、コナジラミ(whitefly))、半翅目(例えば、ミドリメクラガメ(tarnished plant bug))、ネコブセンチュウ属(Meloidogyne)、ネグサレセンチュウ属(Pratylenchus)およびユミハリセンチュウ属(Trichodorus)のような線虫、ならびにフィロコプトルタ属(Phyllocoptruta)、パノニチュス(Panonychus)およびテトラニチュス(Tetranychus)のようなダニからの昆虫を含む農作物の多数の昆虫有害生物防除用に使用されている。オキサミルは線虫種に対して特に有効であり、迅速に作用するが残留効果がほとんどない。オキサミルを葉面処理と同様に、特にルートネマトーダ(root nematode)のような土壌有害生物に対して土壌処理において適用する。
【0005】
メトミルおよびオキサミルは、両方とも綿作物の特定の葉面有害生物を防除するために使用され、そしてこの目的のためのメトミルおよびオキサミルの組み合わせの使用が報告されている。(非特許文献1)に、ライグス(Lygus)属(半翅目)を防除するための32オンスのランネート(Lannate)(登録商標)および32オンスのバイデート(Vydate)(登録商標)の混合物による綿植物のオーバーザトップスプレー(over−the−top spray)処理を含む実地試験が記載されている。提示されたいくつかのデータは、この混合物が32オンスのバイデート(Vydate)(登録商標)単独よりも高い防除をもたらすことを暗示するが、著者らはもう1つの試験において著しい差異が見出されなかったことを言及し、そして成虫殺虫剤レベルの当然の減少のようなさらなる要因がかかる実地試験における真の殺虫剤効率を確立する試みを妨害し得ると述べている。(非特許文献2)は、0.25ポンドai/Aのバイデート(Vydate)(登録商標)C−LVおよび0.22ポンドai/Aのランネート(Lannate)(登録商標)の混合物を使用してトランスジェニックBT綿におけるミドリメクラガメ(Lygus lineolaris)の個体群数に及ぼす効果を報告するが、これらの殺虫剤の個別の効果についての報告はない。
【0006】
メトミルおよびオキサミルは鱗翅目の昆虫を含む特定の食葉性昆虫有害生物の防除のために有用であるが、可能性のある環境的(例えば、スプレードリフト)危険を減少するため、また現場作業者に対する入場制限期間を最小化するために有害生物および植物葉面への直接適用のための別の手段が望まれている。しかしながら、別の適用方法は十分な効能を達成し得ない。今や、メトミルおよびオキサミルの混合物を使用して、驚くべきほど良好な昆虫有害生物の防除をもたらす別の適用方法が発見された。
【0007】
【非特許文献1】L.アンチラ(L.Antilla)ら、1998 プロシーディングス ベルトワイド コットン コンフェランスズ(1998 Proceedings Beltwide Cotton Conferences)、1月5〜9日、カリフォルニア州、サンディエゴ、(San Diego,CA)、第2巻、第1206〜1209ページ
【非特許文献2】J.T.ルスコー(J.T.Ruscoe)ら、1997 プロシーディングス ベルトワイド コットン コンフェランスズ(1997 Proceedings Beltwide Cotton Conferences)、1月6〜10日、ルイジアナ州、ニューオリンズ(New Orleans,LA)、第2巻、第888〜891ページ
【発明の開示】
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明は、生長媒体中に定植された植物を葉面昆虫有害生物から保護する方法であって、メトミル(メチルN−[[(メチルアミノ)カルボニル]オキシ]エタニミドチオエート)およびオキサミル(メチル2−(ジメチルアミノ)−N−[[(メチルアミノ)カルボニル]オキシ]−2−オキソエタニミドチオエート)を含んでなる混合物の殺虫的に有効な量を生長媒体に適用することを含んでなる方法に関する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0009】
本明細書に使用される場合、用語「含んでなる」、「含んでなっている」、「含む」、「含んでいる」、「有する」、「有している」、またはそれらの他のいずれかの変形は、非排他的包含を包括するように意図される。例えば、要素のリストを含んでなる組成物、プロセス、方法、物品または装置はそれらの要素のみに必ず限定されるのではなく、明白に記載されていないか、またはかかる組成物、プロセス、方法、物品もしくは装置に固有である他の要素を含んでもよい。さらに、それとは反対の記載が明白にされない限り、「あるいは、または、もしくは」は包含的論理和を指し、そして排他的論理和を指さない。例えば、条件AまたはBは以下のいずれか1つによって満たされる:Aが真であり(または存在する)、そしてBが偽である(または存在しない)。Aが偽であり(または存在しない)、そしてBが真である(または存在する)。ならびにAおよびBの両方が真である(または存在する)。
【0010】
また本発明の要素または構成成分を先行する不定冠詞「a」および「an」は、要素または構成成分の実例の数(すなわち、発生数)に関して非限定的であるように意図される。従って、「a」または「an」は1または少なくとも1を含むように読解されるべきであり、そして数が明らかに単数を意味しない限り、要素または構成成分の単数形は複数も含む。
【0011】
「葉」とは、生長媒体によって被覆されない、または生長媒体中に浸漬されない葉、茎、花、果実および植物の他の部分を指す。「生長媒体」とは主に、植物の根が生長する土壌または液体媒体を指す。田畑で生長する作物に関して、生長媒体は典型的に様々な量の砂、シルト、粘土および有機物を含有する土壌であるが、生長媒体は水、ロックウール、繊維ガラス、蛭石、真珠岩、草炭、バーク、細かく刻まれたやし殻等を含む様々な加工および人工媒体のいずれも含み得る。「発芽媒体」とは主に、その中またはその上で種子が発芽する土壌または液体媒体を指す。生長媒体と同様に、発芽媒体も様々な量の砂、シルト、粘土および有機物、水、ロックウール、繊維ガラス、蛭石、真珠岩、草炭、バーク、細かく刻まれたやし殻等を含み得る。種子から生長した植物の発芽媒体は、メトミルおよびオキサミルを含んでなる混合物の適用時の植物の生長媒体と同一であっても異なってもよい。
【0012】
本発明の実施形態としては、以下が挙げられる。
実施形態1.メトミルおよびオキサミルを同時に適用する方法。
【0013】
実施形態2.メトミルを最初に適用し、次いでオキサミルを適用する方法。
【0014】
実施形態3.オキサミルを最初に適用し、次いでメトミルを適用する方法。
【0015】
実施形態4.メトミルおよびオキサミルをスポットガンによって生長媒体に適用する方法。
【0016】
実施形態5.メトミルおよびオキサミルを灌漑システムを通して生長媒体に適用する方法。
【0017】
実施形態6.灌漑システムが細流灌漑である実施形態5の方法。
【0018】
実施形態7.灌漑システムがマイクロスプリンクラーを使用する実施形態5の方法。
【0019】
実施形態8.メトミルおよびオキサミルを含んでなる顆粒の生長媒体への適用によってメトミルおよびオキサミルを適用する方法。
【0020】
実施形態9.生長媒体への注入によってメトミルおよびオキサミルを適用する方法。
【0021】
実施形態10.メトミルおよびオキサミルの一方または両方を前駆体の形態で生長媒体に適用する方法。
【0022】
実施形態11.メトミルをチオジカルブとして適用する実施形態10の方法。
【0023】
実施形態12.メトミルおよびオキサミルの少なくとも80%を植物葉面の代わりに生長媒体に適用する方法。
【0024】
実施形態13.メトミルおよびオキサミルの少なくとも90%を植物葉面の代わりに生長媒体に適用する実施形態12の方法。
【0025】
実施形態14.メトミルおよびオキサミルの少なくとも95%を植物葉面の代わりに生長媒体に適用する実施形態13の方法。
【0026】
実施形態15.メトミルおよびオキサミルの少なくとも99%を植物葉面の代わりに生長媒体に適用する実施形態14の方法。
【0027】
実施形態16.メトミルおよびオキサミルの少なくとも99.9%を植物葉面の代わりに生長媒体に適用する実施形態15の方法。
【0028】
実施形態17.メトミルおよびオキサミルを約1:1と約1:50との間の重量比で適用する方法。
【0029】
実施形態18.重量比が約1:2と約1:35との間である実施形態17の方法。
【0030】
実施形態19.重量比が約1:3と約1:20との間である実施形態18の方法。
【0031】
実施形態20.葉面昆虫有害生物が鱗翅目の1種である方法。
【0032】
実施形態21.葉面昆虫有害生物がコーンイヤーワーム(Helicoverpa zea)、タバコバドワーム(Heliothis virescens)、シロイチモジヨトウ(Spodoptera exigua)およびイラクサキンウワバ(Trichoplusia ni)の少なくとも1つである実施形態20の方法。
【0033】
実施形態22.葉面昆虫有害生物がシロイチモジヨトウ(Spodoptera exigua)である実施形態21の方法。
【0034】
実施形態23.葉面昆虫有害生物がタバコバドワーム(Heliothis virescens)である実施形態21の方法。
【0035】
実施形態24.葉面昆虫有害生物がイラクサキンウワバ(Trichoplusia ni)である実施形態21の方法。
【0036】
実施形態25.植物がキク科、アブラナ科、アカザ科、ウリ科およびナス科の少なくとも1つである方法。
【0037】
実施形態26.植物がキク科である実施形態25の方法。
【0038】
実施形態27.植物がアキノノゲシ属(Lactuca)である実施形態26の方法。
【0039】
実施形態28.植物がレタス(Lactuca sativa)である実施形態27の方法。
【0040】
実施形態29.植物がアブラナ科である実施形態25の方法。
【0041】
実施形態30.植物がアブラナ属(Brassica)の種である実施形態29の方法。
【0042】
実施形態31.植物がメキャベツ(Brassica oleracea)である実施形態30の方法。
【0043】
実施形態32.植物がアカザ科である実施形態25の方法。
【0044】
実施形態33.植物がフダンソウ属(Beta)の種である実施形態32の方法。
【0045】
実施形態34.植物がテンサイ(Beta vulgaris)である実施形態33の方法。
【0046】
実施形態35.植物がウリ科である実施形態25の方法。
【0047】
実施形態36.植物がキュウリ属(Cucumis)、カボチャ属(Cucurbita)またはスイカ属(Citrullus)の種である実施形態35の方法。
【0048】
実施形態37.植物がキュウリ(Cucumis sativus)、セイヨウカボチャ(Cucurbita maxima)、トウヨウカボチャ(Cucurbita moschata)、ズッキーニ(Cucurbita pepo)、メロン(Cucumis melo)またはスイカ(Citrullus lanatus)である実施形態36の方法。
【0049】
実施形態38.植物がナス科である実施形態25の方法。
【0050】
実施形態39.植物がナス属(Solanum)またはトウガラシ属(Capsicum)の種である実施形態38の方法。
【0051】
実施形態40.植物がトマト(Solanum lycopersicum)、トウガラシ(Capsicum annuum)、ナス(Solanum melongena)またはジャガイモ(Solanum tuberosum)である実施形態39の方法。
【0052】
実施形態41.植物がトマト(Solanum lycopersicum)である実施形態40の方法。
【0053】
実施形態42.植物が発芽媒体中または上に定植された種子から生長する方法。
【0054】
実施形態43.植物の種子が発芽媒体中または上に定植された時から(すなわち定植された後)約120日以内にメトミルおよびオキサミルを含んでなる混合物を植物の生長媒体に適用する実施形態42の方法。
【0055】
実施形態44.植物の種子が発芽媒体中または上に定植された時から(すなわち定植された後)約60日以内にメトミルおよびオキサミルを含んでなる混合物を植物の生長媒体に適用する実施形態43の方法。
【0056】
実施形態45.植物の種子が発芽媒体中または上に定植された時から(すなわち定植された後)約45日以内にメトミルおよびオキサミルを含んでなる混合物を植物の生長媒体に適用する実施形態44の方法。
【0057】
実施形態46.植物の種子が発芽媒体中または上に定植された時から(すなわち定植された後)約30日以内にメトミルおよびオキサミルを含んでなる混合物を植物の生長媒体に適用する実施形態45の方法。
【0058】
本発明の実施形態をいずれの様式でも組み合わせることができる。上記実施形態の組み合わせは以下によって例示される。
実施形態A.植物がアキノノゲシ属(Lactuca)、アブラナ属(Brassica)、フダンソウ属(Beta)、キュウリ属(Cucumis)、カボチャ属(Cucurbita)、スイカ属(Citrullus)、ナス属(Solanum)またはトウガラシ属(Capsicum)の種である方法。
【0059】
実施形態B.植物がテンサイ(Beta vulgaris)、メキャベツ(Brassica oleracea)、キュウリ(Cucumis sativus)、セイヨウカボチャ(Cucurbita maxima)、トウヨウカボチャ(Cucurbita moschata)、ズッキーニ(Cucurbita pepo)、メロン(Cucumis melo)、スイカ(Citrullus lanatus)、トマト(Solanum lycopersicum)、トウガラシ(Capsicum annuum)、レタス(Lactuca sativa)、ナス(Solanum melongena)またはジャガイモ(Solanum tuberosum)である実施形態Aの方法。
【0060】
メトミルおよびオキサミルの組み合わせは、植物の生長媒体への適用時に特定の食葉性昆虫から植物を保護するのみならず、前記成分の予想された単純な相加効果よりも実質的に驚くほど高められた防除をもたらすことが見出されている。
【0061】
メトミル(ケミカルアブストラクト名:メチルN−[[(メチルアミノ)カルボニル]オキシ]エタニミドチオエート)は式Iとして示される化学式を有する。
【0062】
【化1】

【0063】
メトミルは市販品として最も都合よく入手されるが、米国特許第3,576,834号明細書に記載の通り、製造することも可能である。この合成には、ジクロロメタンのような不活性溶媒中での式3のヒドロキサメートとイソシアン酸メチル(式4)との反応が含まれる。
【0064】
【化2】

【0065】
オキサミル(ケミカルアブストラクト名:メチル2−(ジメチルアミノ)−N−[[(メチルアミノ)カルボニル]オキシ]−2−オキソエタニミドチオエート)は式IIとして示される化学式を有する。
【0066】
【化3】

【0067】
オキサミルは市販品として最も都合よく入手されるが、米国特許第3,658,870号明細書に記載の通り、製造することも可能である。この合成には、アセトンのような不活性溶媒中での式5のヒドロキサメートとイソシアン酸メチル(式4)との反応が含まれる。
【0068】
【化4】

【0069】
製剤/効用
本発明の方法によるメトミルおよびオキサミルは一般的に、少なくとも1種の液体希釈剤、固体希釈剤または界面活性剤を含んでなる農業的に適切な担体とともに製剤または組成物中に使用される。メトミルおよびオキサミルの混合物は2つの様式で配合することができる。
1.メトミルおよびオキサミルを別々に配合し、そして別々に適用するか、または例えばタンク混合物として適切な重量比で同時に適用することができるか;あるいは
2.メトミルおよびオキサミルを本明細書に定義された重量比で一緒に配合することができる。
【0070】
従って、殺虫的に有効な量のメトミルと、少なくとも1種の界面活性剤、固体希釈剤または液体希釈剤を含んでなる農業的に適切な担体とを含んでなる組成物、殺虫的に有効な量のオキサミルと、少なくとも1種の界面活性剤、固体希釈剤または液体希釈剤を含んでなる農業的に適切な担体とを含んでなる組成物、あるいは殺虫的に有効な量のメトミルおよびオキサミルの混合物と、少なくとも1種の界面活性剤、固体希釈剤または液体希釈剤を含んでなる農業的に適切な担体とを含んでなる組成物は本発明の方法のために有用である。農業的に適切な担体は、活性成分の物性、適用形態ならびに土壌タイプ、湿度および温度のような環境要因と調和するように選択される。メトミルおよびオキサミルの有用な製剤は、別々のものも一緒になっているものも従来の様式で製造可能である。有用な製剤は、場合によりゲルへと濃厚化されることが可能な、溶液(乳化可能な濃縮物を含む)、懸濁液、乳液(ミクロエマルジョンおよび/またはサスポエマルジョンを含む)等のような液体を含む。有用な製剤はさらに、水分散性(「水和」)または水溶性であり得る、ダスト、粉末、顆粒、ペレット、タブレット、フィルム等のような固体を含む。活性成分を(マイクロ)カプセル化することができ、さらに懸濁液または固体製剤へと形成することができ、あるいは活性成分の全製剤をカプセル化(または「オーバーコート」)することができる。カプセル化により、活性成分放出を制御することができるか、または遅らせることができる。噴霧可能な製剤を適切な培地に施すことができ、1ヘクタールあたり約1〜数百リットルの噴霧量で使用することができる。さらなる製剤の中間体として、最初に高強度組成物を使用する。
【0071】
製剤は典型的に、以下の100重量%まで加算される適切な範囲内で、有効量の活性成分、希釈剤および界面活性剤を含有する。
【0072】
【表1】

【0073】
典型的な固体希釈剤は、ワトキンス(Watkins)ら、ハンドブック オブ インセクティサイド ダスト ディリューエンツ アンド キャリアズ(Handbook of Insecticide Dust Diluents and Carriers)第2版、ドーランド ブックス(Dorland Books)、コールドウェル(Caldwell)、ニュージャージー(New Jersey)に記載されている。典型的な液体希釈剤は、マルスデン(Marsden)、ソルベンツ ガイド(Solvents Guide)第2版、インターサイエンス(Interscience)、ニューヨーク(New York)、1950に記載されている。マクカッチェオンズ デタージェンツ アンド エマルシフィアズ アニュアル(McCutcheon’s Detergents and Emulsifiers Annual)、アルレッド パブリッシング コーポレーション(Allured Publ.Corp.)、リッジウッド(Ridgewood)、ニュージャージー(New Jersey)およびシスレー(Sisely)およびウッド(Wood)、エンサイクロペディア オブ サーフェイス アクティブ エージェンツ(Encyclopedia of Surface Active Agents)、ケミカル パブリッシング カンパニー インコーポレイテッド(Chemical Publ.Co.,Inc.)、ニューヨーク(New York)、1964は界面活性剤および推奨される使用を記載している。全ての製剤は、発泡、ケーキング、腐食、微生物の増殖等を低下させるための添加剤、または粘度を増加させるための増粘剤を少量含有し得る。
【0074】
界面活性剤としては、例えば、ポリエトキシル化アルコール、ポリエトキシル化アルキルフェノール、ポリエトキシル化ソルビタン脂肪酸エステル、ジアルキルスルホスクシネート、アルキルスルフェート、アルキルベンゼンスルホネート、オルガノシリコーン、N,N−ジアルキルタウレート、リグニンスルホネート、ナフタレンスルホネートホルムアルデヒド縮合物、ポリカルボキシレート、グリセロールエステル、ポリオキシエチレン/ポリオキシプロピレンブロックコポリマー、および重合度(D.P.)と呼ばれるグルコース単位数が1〜3の範囲であり得、かつアルキル単位がC〜C14の範囲であり得るアルキルポリグリコシド(ピュア アンド アプライド ケミストリー(Pure and Applied Chemistry)72、1255−1264を参照のこと)が挙げられる。固体希釈剤としては、例えば、ベントナイト、モンモリロナイト、アタパルジャイトおよびカオリンのような粘土、澱粉、糖、シリカ、タルク、珪藻土、尿素、炭酸カルシウム、炭酸ナトリウムおよび重炭酸ナトリウム、ならびに硫酸ナトリウムが挙げられる。液体希釈剤としては、例えば、水、N,N−ジメチルホルムアミド、ジメチルスルホキシド、N−アルキルピロリドン、エチレングリコール、ポリプロピレングリコール、プロピレンカルボネート、二塩基性エステル、パラフィン、アルキルベンゼン、アルキルナフタレン、グリセリン、トリアセチン、オリーブ油、ひまし油、亜麻仁油、桐油、ゴマ油、コーン油、ピーナッツ油、綿実油、大豆油、菜種油およびココナッツ油、脂肪酸エステル、シクロヘキサノン、2−ヘプタノン、イソホロンおよび4−ヒドロキシ−4−メチル−2−ペンタノンのようなケトン、酢酸ヘキシル、酢酸ヘプチルおよび酢酸オクチルのような酢酸エステル、ならびにメタノール、シクロヘキサノール、デカノール、ベンジルおよびテトラヒドロフルフリルアルコールのようなアルコールが挙げられる。
【0075】
本発明の有用な製剤は、消泡剤、フィルム成形要素および染料のような製剤補助剤として当業者に周知の材料を含有し得る。消泡剤としては、ロードーシル(Rhodorsil)(登録商標)416のようなポリオルガノシロキサンを含んでなる水分散性液体が挙げられる。フィルム形成要素としては、ポリ酢酸ビニル、ポリ酢酸ビニルコポリマー、ポリビニルピロリドン−酢酸ビニルコポリマー、ポリビニルアルコール、ポリビニルアルコールコポリマーおよびワックスが挙げられる。染料としては、プロ−イゼド(Pro−lzed)(登録商標)カーラント レッド(Colorant Red)のような水分散性液体の顔料組成物が挙げられる。これが製剤補助剤の完全リストでないことを当業者は認識するだろう。製剤補助剤の適切な例としては、本明細書に記載されるもの、ならびにMC パブリッシング カンパニー(MC Publishing Company)から出版されたマカッチャンズ(McCutcheon’s)2001、第2巻:ファンクショナル マテリアルズ(Functional materials)および国際公報第03/024222号パンフレットに記載されるものが挙げられる。
【0076】
成分を単純に混合することにより、乳化可能濃縮物を含む溶液を製造することができる。ブレンドおよび通常、ハンマーミルまたは流体エネルギーミルにおいて粉砕することにより、ダストおよび粉末を製造することができる。懸濁液は通常、湿式粉砕により製造される。例えば、米国特許第3,060,084号明細書を参照のこと。予備形成された顆粒担体上に活性材料を噴霧することにより、または凝集技術により、顆粒およびペレットを製造することができる。ブローニング(Browning)、「アグロメレーション(Agglomeration)」、ケミカル エンジニアリング(Chemical Engineering)、1967年12月4日、第147〜48頁、ペリーズ ケミカル エンジニアズ ハンドブック(Perry’s Chemical Engineer’s Handbook)、第4版、マクグロウ−ヒル(McGraw−Hill)、ニューヨーク(New York)、1963、第8〜57頁以下および国際公開第91/13546号パンフレットを参照のこと。米国特許第4,172,714号明細書に記載されるようにペレットを製造することができる。米国特許第4,144,050号明細書、米国特許第3,920,442号明細書およびDE3,246,493号に教示されるように水分散性および水溶性顆粒を製造することができる。米国特許第5,180,587号明細書、米国特許第5,232,701号明細書および米国特許第5,208,030号明細書に教示されるようにタブレットを製造することができる。GB2,095,558号および米国特許第3,299,566号明細書に教示されるようにフィルムを製造することができる。
【0077】
製剤の分野に関するさらなる情報に関しては、T.S.ウッズ(T.S.Woods)、ペスティサイド ケミストリー アンド バイオサイエンス、ザ フード−エンバイロンメント チャレンジ(Pesticide Chemistry and Bioscience,The Food−Environment Challenge)における「ザ フォーミュレーターズ ツールボックス−プロダクト フォームス フォー モダン アグリカルチャー(The Formulator’s Toolbox −Product Forms for Modern Agriculture)」、T.ブルックス(T.Brooks)およびT.R.ロバーツ(T.R.Roberts)編、プロシーディングス オブ ザ ナインス インターナショナル コングレス オン ペスティサイド ケミストリー(Proceedings of the 9th International Congress on Pesticide Chemistry)、ザ ロイヤル ソサエティー オブ ケミストリー(The Royal Society of Chemistry)、ケンブリッジ(Cambridge)、1999、第120〜133を参照のこと。米国特許第3,235,361号、第6欄、第16行〜第7欄、第19行および実施例10〜41;米国特許第3,309,192号、第5欄、第43行〜第7欄、第62行および実施例8、12、15、39、41、52、53、58、132、138〜140、162〜164、166、167および169〜182;米国特許第2,891,855号、第3欄、第66行〜第5欄、第17行および実施例1〜4;クリングマン(Klingman)、ウィード コントロール アズ ア サイエンス(Weed Control as a Science)、ジョン ウィリー アンド サンズ インコーポレイテッド(John Wiley and Sons,Inc)、ニューヨーク(New York)、1961、第81〜96頁;ハンス(Hance)ら、ウィード コントロール ハンドブック(Weed Control Handbook)、第8版、ブラックウェル サイエンティフィック パブリケーションズ(Blackwell Scientific Publications)、オックスフォード(Oxford)、1989;ならびにデベロップメンツ イン フォーミュレーション テクノロジー(Developments in formulation technology)、PJB パブリケーションズ(PJB Publications)、英国、リッチモンド(Richmond、UK)、2000も参照のこと。
【0078】
以下の実施例において、全てのパーセントは重量によるものであり、全ての製剤は従来法で製造される。
【0079】
【表2】

【0080】
【表3】

【0081】
【表4】

【0082】
【表5】

【0083】
本発明は、植物の地面部分以下に有効量のメトミルおよびオキサミルを含んでなる混合物を適用することによる食葉性昆虫を防除する方法に関する。さらに、別々のメトミルを含んでなる組成物およびオキサミルを含んでなる組成物を適用前に物理的混合物、例えばタンク混合物として組み合わせることができ、そして同時に適用することができる。あるいは、メトミルおよびオキサミルの一方のみの組成物のみを含有する殺虫組成物を、メトミルおよびオキサミルの他方の組成物の適用の後に適用することができる。メトミルおよびオキサミルが保護される植物の根の領域まで拡散および/または流動によって到達するように、それらを土壌表面に、または土壌表面以下に適用することができる。適用方法としては、スポットガン適用、ドリップ灌漑による、またはマイクロスプリンクラーによるケミゲーション(chemigation)(すなわち、潅漑システムによる適用)、土壌表面以下の液体組成物の注入および顆粒の土壌適用が挙げられる。スポットガンアプリケーターは、ハンドヘルドの定量容積ディスペンサーであり、典型的に、手で絞ることによって操作される調整可能な目盛付きシリンダーまたはシリンジを含んでなる。スポットガン適用およびマイクロスプリンクラーのような本発明による適用方法のいくつかによって、植物の地面部分以上の部分(すなわち、葉面)ならびに生長媒体にメトミルおよびオキサミルを適用する。注目すべきは、メトミルおよびオキサミルのそれぞれの少なくとも80%を葉面の代わりに生長媒体に適用する方法、メトミルおよびオキサミルのそれぞれの少なくとも90%を葉面の代わりに生長媒体に適用する方法、メトミルおよびオキサミルのそれぞれの少なくとも95%を葉面の代わりに生長媒体に適用する方法、メトミルおよびオキサミルのそれぞれの少なくとも99%を葉面の代わりに生長媒体に適用する方法、メトミルおよびオキサミルのそれぞれの少なくとも99.9%を葉面の代わりに生長媒体に適用する方法である。
【0084】
本発明の方法は、ヤガ科のアーミーワーム、カットワーム、ルーパー、タバコガ(ハスモンヨトウ(Spodoptera fugiperda J.E.スミス(Smith))、シロイチモジヨトウ(Spodoptera exigua ヒュブネル(Huebner))、タマナヤガ(Agrotis ipsilon ハフナゲル(Hufnagel))、イラクサギンウワバ(Trichoplusia ni ヒュブネル(Huebner))、オオタバコガ(Heliothis virescens ファブリシウス(Fabricius))など);メイガ科の穿孔性害虫、繭を作る害虫、食葉に巣を作る群局性害虫、コーンワーム、アオムシ、葉脈を残して葉を食害する害虫(アワノメイガ(Ostrinia nubilalis ヒュブネル(Huebner))、ネーブルオレンジワーム(Amyelois transitella ウォーカー(Walker))など);ハマキガ科のハマキムシ、芽を食害する害虫、種子を食害する害虫、果実を食害する害虫(コドリンガ(Cydia pomonella リンネ(Linnaeus))、グレープベリーモス(Endopiza viteana クレメンス(Clemens))、ナシヒメシンクイ(Grapholita molesta ブスク(Busck))など);経済的観点から重要な他の多くの鱗翅目(コナガ(Plutella xylostella リンネ(Linnaeus))、ワタアカミムシ(Pectinophora gossypiella ソーンダズ(Saunders))、マイマイガ(Lymantria dispar) リンネ(Linnaeus)など)などの鱗翅目の幼虫;ヒゲナガゾウムシ科、マメゾウムシ科、ゾウムシ科のゾウムシ(ワタミゾウムシ(Anthonomus grandis ボヘマン(Boheman))、イネミズゾウムシ(Lissorhoptrus oryzophilus クッシェル(Kuschel))、ココクゾウムシ(Sitophilus oryzae リンネ(Linnaeus));ハムシ科のノミハムシ、ウリハムシ、ハムシ、イモハムシおよびハモグリムシ(コロラドハムシ(Leptinotarsa decemlineata セイ(Say))など);テントウムシ科(Coccinellidae)のインゲンテントウ(Epilachna varivestis ムルサント(Mulsant));コガネムシ科(Scaribaeidae)のコガネムシおよび他の甲虫(マメコガネ(Popillia japonica ニューマン(Newman))、ヨーロピアンコガネムシ(European chafer)(Rhizotrogus majalis ラゾウモブスキー(Razoumowsky))など);キクイムシ科のキクイムシをはじめとする鞘翅目の食葉性幼虫および成虫;カスミカメムシ科のカスミカメムシ(ミドリメクラガメ(Lygus lineolaris Palisot de Beauvois)など)、ヨコバイ科のヨコバイ(カキノヒメヨコバイ(Empoasca)spp.など)、アワフキムシ科(Fulgoroidae)およびウンカ科のプラントホッパー、ツノゼミ科のツノゼミ、キジラミ科のキジラミ、コナジラミ科のコナジラミ、アブラムシ科のアブラムシ、ネアブラムシ科のネアブラムシ、コナカイガラムシ科のコナカイガラムシ、カタカイガラムシ科、マルカイガラムシ科およびワタフキカイガラムシ科のカイガラムシ、グンバイムシ科のグンバイムシ、カメムシ科のカメムシ、ナガカメムシ科のナガカメムシ(Blissus spp.など)ならびに他のコバネナガカメムシ、コガシラアワフキ科のアワフキムシ、ヘリカメムシ科のヘリカメムシ、ホシカメムシ科のアカホシカメムシおよびホシカメムシなどの半翅目および同翅目の成虫およびニンフ;ならびにネギアザミウマ(Thrips tabaci リンデマン(Lindeman))および他の食葉性アザミウマをはじめとする総翅目の卵、幼若虫および成虫を含む広範囲の葉面昆虫有害生物から植物を保護し、そしてそれらを防除するために有用である。
【0085】
鱗翅目昆虫は多くの畑作物、野菜、温室作物、果樹およびブドウの重大な有害生物である。これらの昆虫の防除は高品質作物および高生産量のために必須である。本発明の方法は、鱗翅目(ヤガの幼虫(Alabama argillacea Huebner)、果樹ハマキムシ(Archips argyrospila Walker)、セイヨウハマキ(A.rosana Linnaeus)およびその他のハマキ(Archips)種、ニカメイチュウ(Chilo suppressalis Walker)、コブノメイガ(Cnaphalocrosis medinalis Guenee)、コドリンガ(Cydia pomonella Linnaeus)、ミスジアオリンガ(Earias insulana Boisduval)、クサオビリンガ(Earias vittella Fabricius)、オオタバコガ(Helicoverpa armigera Huebner)、コーンイヤーワーム(Helicoverpa zea Boddie)、タバコバドワーム(Heliothis virescens Fabricius)、ホソバヒメハマキ(Lobesia botrana Denis & Schiffermueller)、ワタアカミムシガ(Pectinophora gossypiella Saunders)、ミカンコハモグリ(Phyllocnistis citrella Stainton)、オオモンシロチョウ(Pieris brassicae Linnaeus)、モンシロチョウ(Pieris rapae Linnaeus)、コナガ(Plutella xylostella Linnaeus)、シロイチモジヨトウ(Spodoptera exigua Huebner)、ハスモンヨトウ(Spodoptera litura Fabricius)、ヨトウガの一種(Spodoptera frugiperda J.E.Smith)、イラクサキンウワバ(Trichoplusia ni Huebner)およびキバガの一種(Tuta absoluta Meyrick)など)の昆虫有害生物から植物を保護し、そしてそれらを防除するために特に有効である。特に注目すべきは、コーンイヤーワーム(Helicoverpa zea)、タバコバドワーム(Heliothis virescens)、シロイチモジヨトウ(Spodoptera exigua)およびイラクサキンウワバ(Trichoplusia ni)からの保護および防除である。
【0086】
本発明の方法は、葉面昆虫有害生物の攻撃を受けやすい広範囲の植物を保護するために有用である。本発明の方法によって提供される保護の利益を受ける植物としては草本および木本の両方が挙げられる。この方法は根によるメトミルおよびオキサミルの吸収および葉への転流を必然的に伴うため、この方法は、中間子(mesic)から湿潤土壌へ適応され、それらの葉からの水分蒸発を促進する環境で生長し、従って、水および溶解された溶質を根から葉へと引き抜く植物の特に迅速で有効な保護をもたらす。
【0087】
本発明の方法によって昆虫有害生物から保護することができる広範囲の植物の実例は、果樹、例えば、仁果類(例えば、リンゴ(Malus pumila P.Mill.)、セイヨウナシ(Pyrus communis L.))および核果類(例えば、サクランボ(サクラ属、例えば、P.avium(L.)L.およびP.cerasus L.)、アプリコット(Prunus armeniaca L.)、アーモンド(Prunus dulcis(P.Mill)D.A.Webber)、モモ(Prunus persica(L.)、ネクタリン(Prunus persica(L.)Batsch var.nucipersica(Suckow)C.Schneider)、プラム(Prunus domestica L.))を含むバラ科、ミカン科(すなわち、オレンジ(Citrus sinensis(L.)Osbeck)、タンジェリン(Citrus reticulata Blanco)、レモン(Citrus limon(L.)Burm.f.)、ライム(Citrus aurantifolia(Christm.)Swingle)、ザボン(Citrus maxima(Burm.f.)Merr.)およびグレープフルーツ(Citrus maxima x sinensis)を含む柑橘類)、ムクロジ科(例えば、リュウガン(Dimocarpus longan Lour.)、ランブタン(Nephelium lappaceum L.)、プラサン(pulasan)(Nephelium mutabile Blume)、レイシ(Litchi chinensis Sonn.))、ウルシ科(例えば、マンゴー(MAngifera indicaL.))、キワタ科(例えば、ドリアン(Durio zibethinus Murray))、クワ科(例えば、パラミツ(例えば、Artocarpus heterophyllus Lam.))、ならびにフトモモ科(例えば、フトモモ(Syzygium jambos(L.)alston))の植物種である。またアカネ科、例えば、コーヒー(例えば、Coffea arabica L.、Coffea canephora Pierre ex Froehner))およびアオイ科、例えばワタ(例えば、Gossypium hirsutum L.、Gossypium barbadense L.)の低木、ブドウ科、例えば、ブドウ(例えば、Vitis labrusca L.、Vitis vinifera L.)のつる植物、ならびにイネ科(例えば、トウモロコシ(Zea mays L.)、サトウキビ(Saccharum officinarum L.))の草も実例である。本方法によって提供される昆虫保護は根から葉へのメトミルおよびオキサミルの転流を含むため、この方法は実生および小さいサイズから中程度のサイズまでの成熟した植物を保護する際により急速に有効である。小さいサイズから中程度のサイズまでの成熟した植物は一般的に草本であるが、小さい低木を含み得る。従って、この方法は、キク科、アブラナ科(あるいはCruciferaceaeとも呼ばれる)、アカザ科、ウリ科およびナス科の植物を保護するために特に有益である。キク科としてはレタス(Lactuca sativa L.)のような作物植物が挙げられる。アブラナ科としては、キャベツ、カリフラワー、ブロッコリーおよびメキャベツを含むアブラナ属(全てBrassica oleraceA L.)のような作物植物が挙げられる。アカザ科としては、赤カブおよびテンサイ(両方ともBeta vulgaris L.)のような作物植物が挙げられる。ウリ科としては、キュウリ属、カボチャ属またはスイカ属を含む作物植物、例えば、キュウリ(例えば、ガーデンキューカンバー(garden cucumber)(Cucumis sativus L.))、スカッシュ(例えば、冬カボチャ(Cucurbita maxima Duchesne)、曲がり首カボチャ(crookneck squash)(Cucurbita moschata(Duchesne ex Lam.)Duchesne ex Poir.)、カボチャ(Cucurbita pepo L.))、ならびにメロン(例えば、カンタループおよびハネデュー(Cucumis melo L.)、スイカ(Citrullus lanatus(Thunb.)Matsumura & Nakai))が挙げられる。ナス科としては、ナス属およびトウガラシ属、例えば、トマト(Solanum lycopersicum L.)、カイエンペッパーおよび他のガーデンペッパー(Capsicum annuum L.)、ナス(Solanum melongena L.)およびジャガイモ(Solanum tuberosum L.)を含む作物植物が挙げられる。
【0088】
典型的に、メトミルおよびオキサミルは、本方法に従って、植物の種子、実生またはより大きい(すなわち成熟した)植物を生長媒体に配置する(例えば、「植種」、「定植」、「移植」)とほぼ同時またはその後に生長媒体に適用される。しかしながら、本方法による植物の保護はメトミルおよびオキサミルが生長媒体に存在することのみを必要とするため、種、実生またはより大きい植物が生長媒体に配置される前にメトミルおよびオキサミルを生長媒体に適用することができる。メトミルおよびオキサミルはほとんどの生長媒体との長期接触時に品質が低下するため、メトミルおよびオキサミルは、種、実生またはより大きい植物が生長媒体に配置される約1週間以内、そして好ましくは約2日以内に最も都合よく生長媒体に適用される。
【0089】
この方法は成熟した植物を保護するために使用可能であるが、この方法は根から保護される葉への転流を含むため、それは成木サイズに達する前の植物の保護に関して、より迅速に有効である。従って、本発明の好ましい実施形態は、植物が種子から生長し、そして適用時にまだ若い(例えば、実生)方法に関する。メトミルおよびオキサミルのかかる適用に関して、植物が移植されない場合、メトミルおよびオキサミルが適用される生長媒体は発芽媒体である。植物が移植される場合、メトミルおよびオキサミルが適用される生長媒体は、植物が生長する媒体である。好ましくは、メトミルおよびオキサミルは、植物の種子が発芽媒体中または上に配置された時から(すなわち配置された後)約60日以内、より好ましくは約45日以内、最も好ましくは約30日以内に生長媒体に適用される。しかしながら、低木および樹木を含む多年生植物に関して、メトミルおよびオキサミルは、植物の種子が発芽媒体中または上に配置された時から120日またはより長い期間後に生長媒体に適用されることも可能である。
【0090】
植物の生長時に保護を維持するため、そして大型植物の最大の保護を得るため、生長媒体へのメトミルおよびオキサミルの繰り返し適用は有利である。好ましくは、ほとんどの植物根は、メトミルおよびオキサミルの混合物が適用される生長媒体領域にあり;広範囲な深い根系を有する植物(例えば、樹木)に関して、根領域へのメトミルおよびオキサミルの注入は都合がよい。
【0091】
本発明の方法において、メトミルおよび/またはオキサミルを1種もしくはそれ以上の他の殺虫剤、殺菌・殺カビ剤、殺線虫剤、殺バクテリア剤、殺ダニ剤、信号化学物質、忌避剤、誘引剤、フェロモン、摂食刺激剤または他の生物学的に活性な化合物とさらに混合し、より広範囲の農業保護を与える多成分有害生物防除剤を形成することも可能である。本発明の化合物を配合することができるかかる農業保護剤の例は、アセトアミプリド、カルバリル、カルボフラン、クロルピリホス、クロルピリホス−メチル、クロチアニジン、ジアジノン、ジノテフラン、フィプロニル、フロニカミド、イミダクロプリド、ノバルロン、ロテノン、スピノサド、チアクロプリド、チオメトキサムおよびチオジカルブのような殺虫剤;アミスルブロム、アゾキシストロビン、ベノミル、ビテルタノール、ボスカリド、カプタン、カルベンダジム、カルボキシン、クロロネブ、シモキサニル、シプロコナゾール、シプロジニル、ジフェノコナゾール、ジニコナゾール、ジニコナゾール−M、エジフェンホス、エポキシコナゾール、エトリジアゾール、フェナリモル、フェンブコナゾール、フェンフラム、フェンプロピモルフ、フルアジナム、フルジオキソニル、フルキンコナゾール、フルシラゾール、フルトラニル、フルトリアホール、ホルペット、ホセチル−アルミニウム、フベリダゾール、フララキシル、ヘキサコナゾール、ヒメキサゾール、イプコナゾール、イプロベンホス、イプロジオン、クレソキシム−メチル、マンコゼブ、マネブ、メプロニル、メタラキシル、メタラキシル−M、メトコナゾール、ミクロブタニル、オキサジキシル、ペンコナゾール、ペンチオピラド、プロベンアゾール、プロクロラズ、プロピコナゾール、プロチオコナゾール、ピリフェノックス、シルチオファム、シメコナゾール、テブコナゾール、テトラコナゾール、チアベンダゾール、チオファナート−メチル、チラム、トリシクラゾール、トリコナゾールおよびユニコナゾールのような殺菌・殺カビ剤;アバメクチン、アルドキシカルブおよびフェナミホスのような殺線虫剤;ストレプトマイシンのような殺バクテリア剤;ならびに昆虫病原性バクテリア、ウイルスおよび菌類のような生物剤である。
【0092】
特定の例において、同様の防除範囲を有するが、異なる作用様式を有する他の殺虫剤との組み合わせが抵抗管理のために特に有利である。
【0093】
本発明の方法によるメトミルおよびオキサミルの適用率は多くの環境要因によって影響され得、そして実際の使用条件下で決定されるべきである。通常、それらの根領域の生長媒体(すなわち、植物の根が水分および栄養を得る生長媒体の部分)を、適用につき総計活性成分の約200g/ha〜約6000g/ha(根領域の表面積に対応して)、より典型的に約400g/ha〜約4000g/ha、そして最も典型的に約600g/ha〜約2000g/haの率で処理した場合、葉面昆虫有害生物から植物を保護することができる。総計活性成分は活性成分の全ての組み合わせた重量として定義される。典型的にメトミル対オキサミルの重量比は、約1:1〜約1:50の間、好ましくは約1:2と約1:35との間、そしてより好ましくは約1:3と約1:20との間である。
【0094】
当業者は、典型的に水、酸素または微生物を含んでなる生長媒体の環境への暴露時、ならびに生長媒体上の光への暴露時にメトミルまたはオキサミルへと変換する前駆体物質としてメトミルおよびオキサミルの一方または両方を生長媒体に適用することができることを認識する。メトミルへの前駆体として特に注目すべきはチオジカルブである。当業者は、メトミルおよび/またはオキサミルの前駆体の対応する適用率および比率を前駆体およびメトミルおよび/またはオキサミルの相対分子量ならびに本明細書に記載のメトミルおよびオキサミルに関する適用率および比率から容易に算出することができることを認識する。
【0095】
本発明の方法は、生長媒体以上の葉面上の昆虫有害生物に対して植物を保護するための生長媒体へのメトミルおよびオキサミルの適用を含むため、この方法は根によるメトミルおよびオキサミルの吸収を必要とするだけではなく、葉面昆虫が摂食する植物の地面部分以上へのメトミルおよびオキサミルの浸透移行性の転流を必要とする。メトミルおよびオキサミルの混合物は葉面昆虫から植物を保護するために十分な量で吸収および浸透移行性転流されるために溶解されるのみならず、生長媒体へのメトミルおよびオキサミルの適用によって驚くべきことに相乗効果が観測される。相乗効果のため、メトミルおよびオキサミルは、生長媒体への適用から、相加効果から予測されるものよりも実質的により多くの葉面昆虫防除をもたらし得る。相乗効果の機構は未知であるが、いずれの特定の理論に拘束されることなく、1つの可能性としては、予想外にメトミルおよびオキサミルは互いの根による摂取および浸透移行性転流を向上させていることが挙げられる。
【0096】
メトミルおよびオキサミルの混合物によって示される明白な相乗効果は、良好な殺虫効能を維持しながら、これらの活性成分の一方または両方の適用率の実質的な減少を可能にする。予想以上の効果が適用後数日間継続し、迅速な攻撃および死亡率を促進する。適用率の減少は農業者への処理費用を減少させ、また製造業者の廃棄物および保護化学残留物の両方で環境への負担を軽減する。
【0097】
2つの活性成分間の相乗効果の存在は、コルビー(Colby)等式により確定することができる(コルビー,S.R.(Colby,S.R.),カルキュレーティング シネジスティック アンド アンタゴニスティック レスポンスズ オブ ハーバサイド コンビネーションズ(Calculating Synergistic and Antagonistic Responses of Herbicide Combinations)ウィーズ(Weeds),1967,15,20−22を参照のこと)。
【0098】
【数1】

【0099】
コルビー(Colby)の方法を使用して、単独で適用された2成分の活性を基準として、混合物の予測される活性pを最初に計算することによって、2つの活性成分間の相乗相互作用の存在を確定する。上記等式において、Aは率xで単独で適用された1成分の防除パーセントの殺虫活性である。用語Bは、率yで適用された第2の成分の防除パーセントの殺虫活性である。それらの効果が厳密に付加的であり、かつ相互作用が生じていない場合、この等式はp、率xにおけるAと率yにおけるBとの混合物の殺虫活性を推定する。実験によって確立された混合物の効果が予測される活性、pよりも大きい場合、相乗効果が存在する。
【実施例】
【0100】
以下の試験例は本発明の方法を実証し、そして鱗翅目、シロイチモジヨトウ(Spodoptera exigua)の防除におけるメトミルおよびオキサミルの間の相乗効果の実験的証拠を提供する。しかしながら、本方法によって得られる昆虫防除保護はこの種に限定されない。
【0101】
試験A
シロイチモジヨトウ(Spodoptera exigua)防除の評価のため、メトミルはランネート(Lannate)(登録商標)LV(活性成分29%)として液体製剤であった。オキサミルはバイデート(Vydate)(登録商標)L(活性成分24%)として液体製剤であった。
【0102】
試験化合物を水中に溶解した。十分な水を添加し、ランネート(Lannate)(登録商標)LVに関しては29ppmの活性成分、そしてバイデート(Vydate)(登録商標)Lに関しては500ppmの活性成分とした。各化合物の所望の混合物濃度を得るため、2つの混合物パートナー化合物のそれぞれの所望の濃度の二倍を等体積で一緒に混合した。
【0103】
47g a.i./ha(g活性成分/ヘクタール)のメトミルおよび807g a.i./haのオキサミルに対応する所望の濃度で5週齢トマト植物の土壌表面に試験化合物の希釈溶液(50mL)を適用した。植物を温室に24時間維持した。各植物から葉を切除し、断片に切断し、そして16個セルのプラスチックトレイの5.5cm×3.5cmのセル中に別々に配置した。各セルは乾燥を防ぐため凝固寒天(3〜5mL)を含有した。処理あたり1つのトレイで4日齢昆虫幼虫1個体を各セルに配置した。トレイを25℃、16時間日光/8時間暗闇の光周期、60%相対湿度で4日間、生長チャンバーに保持した。96時間の時点で昆虫死亡率%に関して試験を視覚により評価した;結果を表Aにまとめる。
【0104】
【表6】

【0105】
表Aに示されるように、807g a.i.のオキサミルは死亡を引き起こさないが、47g a.i./haのメトミルとの組み合わせにおいて驚くべきことにシロイチモジヨトウ(Spodoptera exigua)の死亡率を44%から72%へと増加させた。
【0106】
試験B
イラクサキンウワバ(Trichoplusia ni)およびタバコバドワーム(Heliothis virescens)防除の評価のため、メトミルはランネート(Lannate)(登録商標)LV(活性成分29%)として液体製剤であった。オキサミルはバイデート(Vydate)(登録商標)L(活性成分24%)として液体製剤であった。
【0107】
試験化合物を水中に溶解した。十分な水を添加し、ランネート(Lannate)(登録商標)LVに関しては57ppmの活性成分、そしてバイデート(Vydate)(登録商標)Lに関しては250および500ppmの活性成分とした。各化合物の所望の混合物濃度を得るため、2つの混合物化合物のそれぞれの所望の濃度の二倍を等体積で一緒に混合した。
【0108】
イラクサキンウワバの試験に関して、135g a.i./ha(g活性成分/ヘクタール)のメトミル、ならびに404および807g a.i./haのオキサミルに対応する所望の濃度で5週齢キャベツ植物の土壌表面に試験化合物の希釈溶液(50mL)を適用した。タバコバドワームの試験に関して、92g a.i./ha(g活性成分/ヘクタール)のメトミル、ならびに404および807g a.i./haのオキサミルに対応する所望の濃度で5週齢トマト植物の土壌表面に試験化合物の希釈溶液(50mL)を適用した。植物を温室に24時間維持した。各植物から葉を切除し、断片に切断し、そして16個セルのプラスチックトレイの5.5cm×3.5cmのセル中に別々に配置した。各セルは乾燥を防ぐため凝固寒天(3〜5mL)を含有した。処理あたり2つのトレイで4日齢昆虫幼虫1個体を各セルに配置した。トレイを25℃、16時間日光/8時間暗闇の光周期、60%相対湿度で4日間、生長チャンバーに保持した。96時間の時点で昆虫死亡率に関して試験を視覚により評価した;結果を表B1およびB2にまとめる。
【0109】
【表7】

【0110】
【表8】

【0111】
表B1およびB2からわかるように、メトミルおよびオキサミルの混合物の土壌適用によって、単独で適用されたメトミルおよびオキサミルの効果から予測されるよりも驚くべきほど良好なイラクサキンウワバ(Trichoplusia ni)およびタバコバドワーム(Heliothis virescens)の死亡率がもたらされた。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
メトミルおよびオキサミルを含んでなる混合物の殺虫的に有効な量を生長媒体に適用することを含んでなる、生長媒体中に定植された植物を葉面昆虫有害生物から保護する方法。
【請求項2】
メトミルがチオジカルブとして適用される請求項1に記載の方法。
【請求項3】
メトミルおよびオキサミルを同時に適用する請求項1に記載の方法。
【請求項4】
メトミルおよびオキサミルを灌漑システムを通して生長媒体に適用する請求項1に記載の方法。
【請求項5】
メトミルおよびオキサミルの少なくとも80%を植物葉面の代わりに生長媒体に適用する請求項1に記載の方法。
【請求項6】
メトミルおよびオキサミルの少なくとも95%を植物葉面の代わりに生長媒体に適用する請求項5に記載の方法。
【請求項7】
葉面昆虫有害生物が鱗翅目の1種である請求項1に記載の方法。
【請求項8】
葉面昆虫有害生物がコーンイヤーワーム(Helicoverpa zea)、タバコバドワーム(Heliothis virescens)、シロイチモジヨトウ(Spodoptera exigua)およびイラクサキンウワバ(Trichoplusia ni)の少なくとも1つである請求項7に記載の方法。
【請求項9】
植物がキク科、アブラナ科、アカザ科、ウリ科およびナス科の少なくとも1つである請求項1に記載の方法。
【請求項10】
植物がアキノノゲシ属(Lactuca)、アブラナ属(Brassica)、フダンソウ属(Beta)、キュウリ属(Cucumis)、カボチャ属(Cucurbita)、スイカ属(Citrullus)、ナス属(Solanum)またはトウガラシ属(Capsicum)の種である請求項9に記載の方法。

【公表番号】特表2008−530141(P2008−530141A)
【公表日】平成20年8月7日(2008.8.7)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−555381(P2007−555381)
【出願日】平成18年2月14日(2006.2.14)
【国際出願番号】PCT/US2006/005526
【国際公開番号】WO2006/089058
【国際公開日】平成18年8月24日(2006.8.24)
【出願人】(390023674)イー・アイ・デュポン・ドウ・ヌムール・アンド・カンパニー (2,692)
【氏名又は名称原語表記】E.I.DU PONT DE NEMOURS AND COMPANY
【Fターム(参考)】