説明

植物の基層を製造する方法、及び植物の基層

本発明は、植物の基層の製造方法に関する。本発明はまた、植物の基層に関する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、植物の基層の製造方法に関する。
【0002】
本発明はまた、植物の基層に関する。
【背景技術】
【0003】
既知の植物の基層は、ミネラルウール、例えばロックウールまたはガラスウールである。基層としてのこのタイプのミネラルウールの欠点は、とりわけリサイクルが困難であること、または少なくとも比較的小さなものが有効にリサイクルできないことである。
【0004】
植物の基層としてポリウレタンを使用することも既知である。既知の通り、最初に新鮮なポリウレタンフォームを、例えば鋳型中で、及び例えば発泡剤として水の補助で、ポリオールをイソシアネートと反応させることによって形成する。これは、一次ポリウレタンフォームとも称される新鮮なポリウレタンフォームを形成する一次形成工程である。多くの場合で、この一次形成工程の最中または後に、例えば燃焼遅延剤のような添加剤を加える。この一次形成工程の後、第二の形成工程では、例えば椅子またはマットレスといった企図された使用に依存して、フォームブロックを特定の形状またはサイズに切断しても良い。多くの場合、切断の際に、ポリウレタンフォームの余りが形成される。ポリウレタンの余りはまた、一次または二次形成工程の間で他の態様でも発生し得る。
【0005】
欧州特許EP 0 962 129及びオランダ国特許NL 9 002 467に記載された通り、生産工程で形成したポリウレタンフォームの余りを、植物の基層における使用のためにフレークに加工することが通常である。これらの場合、例えば第二の重合工程といったリンキング工程が、余りからブロックまたはマットを実現するために使用される。
【0006】
EP 0 962 129では、結合したポリウレタン粒子とココファイバーを含む基層が記載されている。ポリウレタン粒子は例えば、二次重合工程によって共に結合されているフレークを含むことができる。この基層では、植物の根は粒子の壁の間に生育できる一方で、より小さい根は基層粒子の孔に発育しても良い。ココファイバーは、基層の水分吸収能力に寄与している。
【0007】
NL 9 002 467からは、ポリウレタンに基づくプレポリマーとポリウレタンフォームフレークを混合し、その後にフォームフレークをプレポリマーの重合により、加熱し且つ水分、例えばスチームを加えながら結合し、得られた混合物を鋳型プレスで圧縮することが既知である。かくして得られた基層は、例えば60から140、特に約80キログラム/立方メートルの密度を有する。この密度は、水分取り込み能力、及び/または水分保持能力に寄与する。ここでも、根はフォームフレークの間で発育するであろう。
【0008】
既知の通り、新鮮なポリウレタンは、例えば鋳型において、発泡剤として水の補助で、ポリオールをイソシアネートと反応することによって一次的に形成される。これは、一次ポリウレタンフォームとも称される、新鮮なポリウレタンフォームを形成するであろう一次形成工程である。多くの場合、この一次形成工程の最中または後に、例えば燃焼遅延剤のような添加剤が添加される。この一次形成工程の後に、第二の形成工程において、例えば椅子またはマットレスといった企図される使用に依存して、フォームブロックは特定の形状またはサイズに切断される。多くの場合、切断の際に、ポリウレタンフォームの余りが形成される。ポリウレタンの余りは、一次または二次形成工程の間で他の態様でも発生し得る。
【0009】
欧州特許EP 0 962 129及びオランダ国特許NL 9 002 467に記載された通り、生産工程で形成したポリウレタンフォームの余りを、植物の基層における使用のためにフレークに加工することが通常である。これらの場合、例えば第二の重合工程といったリンキング工程が、余りからブロックまたはマットを実現するために使用される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0010】
【特許文献1】欧州特許EP 0 962 129
【特許文献2】オランダ国特許NL 9 002 467
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
存在している方法では、植物に対して毒性である物質、さもなければ非所望の物質がフレーク中に存在する危険がある。ポリウレタンフォームに添加剤として加えられる燃焼遅延剤は、基層中の植物に毒性効果を有するかもしれないため、植物の一部が死滅し、及び/または生育工程に負に影響するかもしれない。これを回避するために、植物の基層を形成するために結合される第二の重合工程を実施する前に、フレークを選別することが可能であるが、これは過度に重労働である。更に、基層が実際に100%「清潔な」材料を含んでいるかを確認することは困難である。ポリウレタン中に非所望の物質が存在している場合、これは基層中の植物及び/または種子を損傷するかもしれず、及び/またはその生育を遅らせるかもしれず、この点は主たる失敗を呈することになろう。
【課題を解決するための手段】
【0012】
本発明の目的は、代替的な植物の基層を提供することである。
【0013】
この目的及び/または他の目的は、請求項1に係る植物の基層で達成されるであろう。
【0014】
植物の基層としての使用のために、一次ポリウレタンフォームを利用することが有利であるようである。これは、液状ポリオールのイソシアネートとの反応を通じて形成される新鮮なフォームを、植物の基層として直接加工できることを意味する。かくして例えば、一ピースで形成されたポリウレタンの植物の基層が、最初にそれを切断し、二次重合工程を通じてそれを結合する代替物として製造できる。
【0015】
一次ポリウレタンフォームは、十分な水分の調節特性と空気の透過特性を有するようである。根は一次ポリウレタン中でも生育して機能化できる。従来のポリウレタンの基層では、ポリウレタンフレークの間に開口部が形成され、それを通じて根が生育する。特に根は、フレーク自体の間では生育しない。圧縮ポリウレタン中に存在するセルは閉じており、そのため根がそれらの間のみを破壊することは困難を伴う。ここで、一次ポリウレタンを用いると、根が一次ポリウレタンの間を破壊する程度に開口しているため、細胞構造及び/または薄い細胞壁が形成されるが、これは一次ポリウレタンの単一ブロックを使用する場合にも当てはまる。更に、水分の貯蔵と供給のための十分な水分が保持される。
【0016】
好ましくない添加剤は一次工程において残存しないことが可能であり、及び/または好ましい物質は一次工程で添加できる。これは上記のいずれかの失敗を妨げ、植物の基層の製造を比較的小さな労力とするものである。
【0017】
更に、第二の重合または形成圧縮が生じていないため、好ましい水分調節特性を有するようであるより軽いポリウレタンフォームを使用できる。
【発明を実施するための形態】
【0018】
植物の基層は、ポリオールを含む高エチレンオキシドとイソシアネートとから形成される、高エチレンオキシド含有ポリウレタンフォームを含む。一つの実施態様では、植物の基層は、ハイパーソフトポリウレタンフォームを含む。このタイプのポリウレタンフォームは軽く、良好な水分吸収特性、及び/または良好な水分保持特性、及び/または良好な水分排出特性を有する。更に、植物の根は、この基層から十分に生育し、水分を取り込むようである。更にそのような基層では、根及び/または植物の他の部位に、好ましい気体の取り込み、特に空気の取り込みが達成できる。
【0019】
800μm未満、とりわけ700μm未満、好ましくは500μm未満である開口セル構造を基層が含むのであれば、とりわけ好ましい。本発明の特に有利な実施態様では、セルのサイズは例えば約100μm−400μmの間である。驚くべきことに、本出願人は、そのような小さなセルのサイズは、基層中の利用可能な水分量に対して重要であり、その水分量は、基層で生育する植物に対して利用可能である。言い換えると、植物の基層においてそのような小さなセルサイズを使用することにより、植物の基層は良好な親水性と毛管特性を有し、それは基層が比較的多量の水分バッファーを保持でき、植物に対してこのバッファーから水分を次第に分配できることを意味する。好ましくは、そのようなセルサイズを使用して、フォームの毛管作用が促進され、水分取り込みを増大することが達成される。そのようなセルサイズで更に達成される事項は、基層において取り込まれる水分が、基層から漏れ出さない、または実質的に漏れ出さない点であり、そのため水分は植物にとって利用可能であり、少なくとも植物の根に分配できる。セルサイズを通じて、基層中の水分含量は、基層の1000ml当たり約600ml以上、とりわけ基層の1000ml当たり700ml以上、好ましくは基層の1000ml当たり750ml以上であることができる。水分含量値(pF0値とも称される)は、24時間に亘り水中に75mmの基層高さで、本発明に係る基層を浸水させ、開口セル中の基層が取り込んだ水分で測定される。24時間が経過した後、基層を格子に配置し、30分間の大気圧で水切りする。30分後、基層の重量を測定し、水分含量を測定できる。
【0020】
驚くべきことに、23℃で7500mPa.s以上、とりわけ23℃で10000mPa.s以上の粘度を有する、ポリエーテルポリオールのようなポリオールを使用して、そのような小さいセルサイズを有するポリウレタンフォームを形成できるようである。
【0021】
増大した粘度を有するそのようなポリオールは、少量のイソシアネートと既知のポリオールをプレ重合することによって得ることができる。結果として、上記記載の値を有する増大した粘度を有するポリオールが形成される。増大した粘度を有するそのようなポリオールから形成されるポリウレタンフォームは、約300μm以下のセルサイズを有するセルを均一に含むことができる。既知のポリオールは、例えば500−1000mPa.sの粘度を有する従来の未充填ポリエーテルポリオール、または1000−7000mPa.sの粘度を有する充填若しくはグラフトポリオールであることができる。そのような既知のポリオールが、プレ重合なしで基層を形成するために使用されたならば、上述のようなセルサイズは達成できないようである。
【0022】
既知のポリオールと、達成される増大した粘度を有するポリオールの所定の粘度に依存して、上述のプレ重合で使用される特定量のイソシアネートを決定して、プレ重合の後に、イソシアネートをポリオール中で反応させ、増大した粘度を有するポリオール内に鎖伸張を引き起こさせる。本発明に係る一次ポリウレタンフォームの製造例では、第一の工程では、650mPa.sの粘度を有する既知のポリオール1グラムを35mgのトルエンジイソシアネートと混合し、その反応により12800mPa.sの粘度を有する本発明に係る新規なポリオールが生ずる。次いで第二の工程では、増大した粘度を有するこの新規なポリオールをトルエンジイソシアネート、水、触媒、及び界面活性剤と混合し、その後34.6kg/mの密度、2.9kPaの硬度、390μmの平均セル径を有する規則的な開口セル構造を有する本発明の実施態様に係る一次ポリウレタンドームが形成された。
【0023】
かくして得られた本発明に係るポリウレタンフォームの植物の基層は、20kPa以下、とりわけ10kPa以下である硬度(CDH40%−ISO3386)を有する。そのようなフォームは柔らかくて可撓性のフォームであり、同時に基層に植物を保持する十分な硬さを有する。基層は好ましくは0.5kPaより大きい、好ましくは1.5kPaより大きい硬度を有する。
【0024】
EP 0,365,096では、一ピースで形成されたポリウレタンフォームから得た植物の基層が開示されていることに注意されたい。この植物の基層は、10−50重量パーセント、とりわけ12−40重量パーセントのエチレンオキシドを含む開口セルポリウレタンフォームを含む。このポリウレタンフォームの基層の密度は、15−30kg/m、とりわけ18−25kg/mである。このポリウレタンフォームは、10−25セル/cmの均一な開口セル構造を有する半剛性のフォームである。
【0025】
本発明の有利な実施態様では、植物の基層は使用後に再利用される。二度重合されたポリウレタンの代わりに新鮮なポリウレタンフォームを植物の基層として使用するため、比較的有利に使用後に再利用できる。この目的のため、使用された基層は、例えば植物の基層として再び使用することができ、これを実施するために、蒸気洗浄または誘電性洗浄によって初めに洗浄される。例えば二重重合化及び/または圧縮化ポリウレタンフレークのようなポリウレタン由来の他のすでに既知の植物の基層よりも、本発明のポリウレタンは加工されていない。この基層は、燃やすのが困難である物質が基層中に存在しておらず、及び/または基層の大部分がエネルギーに変換できるため、例えば燃焼を通じてエネルギーを生成するために適して使用することもできる。
【0026】
この目的及び/または他の目的は、請求項7に係る方法でも達成できる。
【0027】
本発明に係る更に有利な実施態様は従属項に記載されており、本明細書から明らかであるが、明細書中では本発明は、添付の図面を参考にしていくつかの例示的な実施態様で記載されている。
【図面の簡単な説明】
【0028】
【図1】図1は、植物を有する植物の基層を遠近法で示した図である。
【実施例】
【0029】
本明細書では、同一のまたは対応する部分は、同一のまたは対応する参照番号を有する。図面では、実施態様が単なる例示によって示されている。そこで使用されている要素は、単なる例示によって言及され、いずれの態様でも限定的なものと考慮されるべきではない。
【0030】
図1では、一ピースで形成されたブロックまたはマットのポリウレタンフォームを含む植物の基層1が示されている。このブロックは、約3×0.5×0.2メートル以下、特に2×0.2×0.1メートル以下、例えば約1×0.1×0.05メートルから1.2×0.2×0.1メートル以下の間のオーダーの寸法を有してよい。基層1は、一次ポリウレタンフォームとも称される新鮮なポリウレタンフォームを含み、とりわけ植物の生育のために開発される。上記記載において「植物」とは、少なくとも花、穀物、野菜、切り枝、及び/または種子を意味するように解することができ、それらは例えば切り枝のための土台またはブロックで存在する。原則として、基層1は、ポリオールとイソシアネートとの間の、一つの実施態様では発泡剤としての水の添加での反応を通じた一次ポリウレタンフォーム形成方法の直接的な生成物である。ポリオールとイソシアネートとを発泡させる際、追加的な発泡剤、触媒、及び/または界面活性剤を添加して、所望のポリウレタンフォームを得ることができる。ポリオールは増大した粘度を有するポリオール、好ましくはポリエーテルポリオールであり、23℃で7500mPa.sより高い、とりわけ23℃で10000mPa.sより高い粘度を有する。そのような粘度は、永久的な最終粘度である。増大した粘度を有するそのようなポリオールは、少量のイソシアネートと既知のポリオールをプレ重合することによって形成できる。使用されるイソシアネートの量は、とりわけ使用される既知のポリオールと、例えばそのような既知のポリオールの初期粘度に依存する。プレ重合の後、イソシアネートが鎖伸張に影響しているポリオールを得る。既知のポリオールは例えば、500−1000mPa.sの粘度を有する従来の未充填ポリエステルポリオール、または1000−7000mPa.sの粘度を有する充填若しくはグラフトポリオールであることができる。
【0031】
増大した粘度のポリオールの補助で得られるポリウレタンフォームは、800μm以下、とりわけ700μm以下、好ましくは500μm以下の比較的小さいサイズを有するセルを有する開口セル構造を有する。本発明の特定の好ましい実施態様では、約300μmのセルサイズが達成される。驚くべきことに、そのような比較的小さいセルサイズを通じて、植物の基層は、特に好ましい水分バッファリング能力及び毛管能力を有する。言い換えると、植物が成長するために基層中で利用可能な大量の水分が存在し、その水分量は、暫く経過した後でも利用可能なようであり、植物に対して、少なくとも植物の根に対して容易に次第に給水され得る。好ましくは、基層中の水分含量は、75mmの基層の高さに対して、基層フォームの1000ml当たり600ml以上である。本発明に係る植物の基層では、75mmの基層の高さが与えられると、基層フォームの1000ml当たり700ml以上、更には750ml以上の水分含量が達成できる。これは、植物の生育条件に対して特に好ましい。
【0032】
基層フォームの1000ml当たりそのような量の水分は好ましくは、24時間に亘り水中で75mmの基層の高さを有する一片のフォームを浸水することによって好ましくは測定されている。この期間の間、基層はある量の水分を取り込む。24時間後、充填した一片の基層を水から取り出し、大気圧で30分間格子に放置し、水切りをする。30分が経過した後、基層を計量し、フォーム中の水分量を測定する。
【0033】
基層1は任意に穴2を提供しても良く、それは例えば生育者若しくはユーザー自身によって、または製造者によって、例えば切断を通じて基層に提供できる。別の実施態様では、穴2は、例えば対応する鋳型パーツによって、例えば一次成形工程の間で提供される。植物3は部分的に、例えば根4によって、または切り枝のための土台及び/またはブロックによって、或いは類似した態様で、基層上に、または矢印5で示されるように穴2の中に配置できる。
【0034】
一つの実施態様では、一次ポリウレタンフォームは鋳型で形成され、形成の後にポリウレタン基層1がスキン層で提供される。外側で、次いで基層1は例えば実施可能ように閉じられ、内側で、基層1に好ましくは部分的に開口セル構造を提供される。基層1に穴2を提供、特に切断することによって達成される事項は、水分が基層1内で維持されながら、根が穴2の切断開口内壁を通じて開口セル構造を横切るようになる点である。
【0035】
別の実施態様では、例えば切断が基層1内で生じて、植物3がそこに挿入できる。
【0036】
一つの実施態様では、基層1は面取り角を有し、その角は例えば、生育者若しくはユーザーによって切断でき、または鋳型による一次形成工程の間で形成できる。面取り角6は、基層1が例えばトレー中にまたはテーブル上に配置される場合、改善された水分放出及び/または水分通しに寄与できる。
【0037】
観察できる通り、一次ポリウレタンフォームの基層1は一ピースで形成される一方、複数の植物3は基層1内に少なくとも部分的に広がることができる。植物3の根4は例えば基層1内に存在し、または基層1によって少なくとも大部分で囲まれる。任意に土台等が根4を囲む。植物3は、基層1に保持されている水分及び/または他の栄養素を、基層1内に広がっている植物3の一部によって摂取する。基層1は、好ましい態様で水分を吸収及び/または吸着するようにデザインされている。好ましくは、ポリウレタンの孔度は、基層が有利な水分保持特性、水分放出特性、及び気体透過特性を有するように選択される。例えばこれらの特性は、一次工程の条件の制御及び調節を通じて達成できる。特に、一次発泡工程における表面張力破壊剤の添加は、ポリウレタン基層の水分取り込み挙動の正及び/または負の調節を可能にできる。親水性添加剤の添加により、例えば基層材料中の水分バッファーに正及び/または負に影響することが可能である。この態様では、例えば空気及び/または水の供給といった、植物3の特定の一時的要求、または全ての一時的要求が制御できる。更に例えば、ポリウレタン中の局所的な密度を、改善された水分−及び空気−調節特性の目的のために変更できる。
【0038】
ポリウレタンフォームの実施態様は、例えば40から80重量%、特に50から70重量%のポリエーテルポリマー、好ましくはポリアルキレンオキシド含有ポリウレタン、特に例えばポリエチレンオキシド及び/またはポリプロピレンオキシド含有ポリオールを利用する。特定の実施態様は、高エチレンオキシド含有ポリオール、例えば高エチレンオキシド含有ポリウレタンと称されるものを利用する。例えば生成したポリウレタンの嵩密度は、70キログラム/立方メートル以下、特に50キログラム/立方メートル、とりわけ40キログラム/立方メートルである。一つの実施態様では、ポリウレタンフォームは例えば、ハイパーソフトポリウレタンフォームであり、それは当業者に既知である。
【0039】
生育の過程で、植物3の根4は、好ましい態様で基層1内でそのルートを見出すと思われる。いずれかの理論に結び付けられることを期待しないが、根は特にポリウレタンの結合部と連結単位の間で、孔を通じてそのルートを見出すという説明が可能であろう。従来の新鮮なポリウレタンは、普通に言うと孔の間のフィルムの形成を含んでも良いので、本発明に係る一次工程は、好ましくは比較的少ない、または比較的薄いセルの間のフィルムで開口セルが達成されるように好ましくは条件付けされて管理される。セルの開口部は、生産工程の間で制御できる。更に、例えば好ましくは一時的に、生産の後に材料を幾分平板化する及び/または圧縮する可能性が存在し、形成されたフィルムを破壊できる。他の場合では、植物3の根4は、例えば生育の際にそれらがフィルムに浸透できるように十分に強い。根4の継続的な生育の妨害が妨げられるため、これは構造1の好ましい水分バランスと、基層1内への根4の好ましい継続的な生育を導くであろう。
【0040】
一次ポリウレタンは好ましくは比較的軽く、例えば基層1の密度は、約70キログラム/立方メートル以下、特に約50キログラム/立方メートル以下、とりわけ約40キログラム/立方メートル以下である。一つの実施態様では、密度は例えば15から40キログラム/立方メートルの間、例えば20または30キログラム/立方メートルである。
【0041】
一つの実施態様では、一次工程において、ポリオールとイソシアネート、及び/またはポリウレタンに添加剤が添加され、その添加剤は水分を取り込むまたは誘引する材料を含む。これは例えば親水性材料であっても良い。好ましくは添加剤は、水分を取り込む及び/または誘引する固体である。好ましい添加剤は、例えばココファイバー、セルロースファイバー、ペーパーファイバーといった特定のファイバーであるが、これらは例示であって排他的なものではない。しかしながら添加剤は、例えば吸水性ゲル化剤、例えばオムツの技術分野で既知のもののような吸水性ゲル化剤を含むことができよう。
【0042】
一つの実施態様では、基層1は、植物の基層1として機能した後、再利用できる。例えばフレークに切断した後、基層1は第二の重合工程または他の第二の製造工程を受けることができる。更に使用後、基層1は例えば燃焼を通じてエネルギーに変換できよう。一次工程の好ましい条件付けを通じて、及び/または例えば燃焼遅延剤及び/または燃やすのが困難な物質といった不利な添加剤が使用されていないため、エネルギー回収は非常に高いはずである。例えば少なくとも80%、特に少なくとも90%、とりわけ実際には100%の基層1の材料が、特にエネルギー生産のために再利用または燃焼される。
【0043】
記載された複数の共通点のある変形例、並びにその組み合わせは、特許請求の範囲によって輪郭が描かれた本発明の骨格の範囲内に存在するものと解される。当然ながら、異なる実施態様の異なる特徴点及び/またはその組み合わせは、相互に組み合わせたり交換することが可能である。かくして、記載された実施態様のみに制限されることはないと解されるべきである。
【符号の説明】
【0044】
1:植物の基層
2:穴
3:植物
4:植物の根
5:植物が基層の穴に配置されることを示す矢印
6:面取り角

【特許請求の範囲】
【請求項1】
形成されたポリウレタンフォームの一ピースで、一次ポリウレタンフォームを含む植物の基層であって、前記ポリウレタンがアルキレンオキシド、特に高エチレンオキシドを含み、少なくともポリオールを含む高エチレンオキシドとイソシアネートとから形成される植物の基層。
【請求項2】
800μmより小さい、とりわけ700μmより小さい、好ましくは500μmより小さいセルサイズを有する開口セル構造を含む、請求項1に記載の植物の基層。
【請求項3】
前記セルサイズが100μm−400μmの間である、請求項2に記載の植物の基層。
【請求項4】
前記ポリオールが、23℃で7500mPa.sより高い、とりわけ23℃で10000mPa.sより高い増大した粘度を有するポリオールである、請求項1から3のいずれか一項に記載の植物の基層。
【請求項5】
その密度が、約70キログラム/立方メートル以下、特に約50キログラム/立方メートル以下、とりわけ約30キログラム/立方メートル以下である、請求項1から4のいずれか一項に記載の植物の基層。
【請求項6】
前記ポリウレタンフォームの硬度が20kPa以下、とりわけ10kPa以下である、請求項1から5のいずれか一項に記載の植物の基層。
【請求項7】
一次ポリウレタン工程においてポリオールをイソシアネートと反応させて一次ポリウレタンフォームを形成し、植物の生育のための植物の基層を形成することを含む、植物の基層の製造方法。
【請求項8】
前記ポリオールが、23℃で7500mPa.sより高い、とりわけ23℃で10000mPa.sより高い増大した粘度を有し、800μmより小さい、とりわけ700μmより小さい、好ましくは500μmより小さいセルサイズを有する開口セル構造を有するポリウレタンフォームが得られる、請求項7に記載の方法。
【請求項9】
100μm−400μmの間であるセルサイズを有する開口セル構造を有するポリウレタンフォームが得られる、請求項8に記載の方法。
【請求項10】
前記増大した粘度を有するポリオールが、既知のポリオールをある量のイソシアネートとプレ重合することによって形成される、請求項8または9に記載の方法。
【請求項11】
前記イソシアネートの量が、既知のポリオールと、増大した粘度を有するポリオールを達成するための粘度とに依存して決定される、請求項10に記載の方法。
【請求項12】
前記既知のポリオールが、500−1000mPa.sの粘度を有する従来の未充填ポリエーテルポリオール、または1000−7000mPa.sの粘度を有する充填若しくはグラフトポリオールである、請求項10または11に記載の方法。
【請求項13】
アルキレンオキシド、特に高エチレンオキシドを含むポリオールが使用される、請求項7から12のいずれか一項に記載の方法。
【請求項14】
40から80重量パーセント、特に50から70重量%のアルキレンオキシド含量を有するポリオールが使用される、請求項13に記載の方法。
【請求項15】
使用後の基層が再利用されるか、基層を燃焼することによりエネルギーが生産される、請求項7から14のいずれか一項に記載の方法。
【請求項16】
一次ポリウレタンフォーム形成工程の間で、ポリオールとイソシアネート、及び/またはポリウレタンに添加剤が添加され、前記添加剤が水を取り込む及び/または水を誘引する材料、好ましくは水を取り込む及び/または誘引する固体を含む、請求項7から15のいずれか一項に記載の方法。
【請求項17】
請求項1から6のいずれか一項に記載の基層が形成される、請求項7から16のいずれか一項に記載の方法。
【請求項18】
植物の生育のための、請求項1から6のいずれか一項に記載の植物の基層の使用。

【図1】
image rotate


【公表番号】特表2011−522562(P2011−522562A)
【公表日】平成23年8月4日(2011.8.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−513437(P2011−513437)
【出願日】平成21年6月10日(2009.6.10)
【国際出願番号】PCT/NL2009/050320
【国際公開番号】WO2009/151320
【国際公開日】平成21年12月17日(2009.12.17)
【出願人】(510325123)レクティセル・ホールディング・ノールト・ベー・フェー (1)
【Fターム(参考)】