説明

植物の生育管理システム

【課題】果実の市場価値の低下を抑制する。
【解決手段】植物の生育状態を管理する植物の生育管理システムが開示されている。当該システムは、前記植物の栽培地における温度、湿度、CO濃度および日照量のうち、少なくとも1つを測定する生育条件測定装置10と、前記植物の緑葉を測定対象物としてその測定対象物の光に対する分光特性を測定する分光測定装置20と、生育条件測定装置10による測定結果と分光測定装置20の測定結果とを集中管理し、これら各測定結果を関連付けて前記植物に対する最適な潅水量を算出する集中管理装置30と、を備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は植物の生育管理システムに関し、特に果実のサイズや形状、色、重量などの見た目を向上させるのに有用な技術に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、果実の出荷時期を分散させ農場経営を安定化させるため、ハウス栽培がおこなわれている。ハウス栽培では、温度や湿度、CO濃度、日照量などの環境条件(生育条件)により、生育速度、重量、サイズなどの果実の生育状況が変わるので、市場価格の維持または向上のために、生育条件を管理することに力を入れている。
一方、露地栽培では、樹体への潅水量(水やり)は管理することはできるが、温度や湿度、CO濃度、日照量などの他の環境条件は天候に大きく左右されるため、生育条件の管理は困難である。それでも、生育条件の変化から生育状態を予測して潅水量を管理することは、果実の品質をよくするうえで重要であることに変わりはない。
トマトやみかんなどの果実において、その品質を評価する重要な指標の1つとして糖度・酸度がある。果実の糖度・酸度を向上させる手法として、水分ストレスを評価するという考えが知られている(特許文献1参照)。特許文献2では、さらに進んで、水分ストレスの値と果実の糖度・酸度との関係を調査してその果実の種類や栽培地に適した栽培モデルを作成し(段落0011〜0016)、その栽培モデルと実測値との各水分ストレスの量の差に応じて潅水量を制御し、目標の糖度・酸度を有する果実を収穫するという方法が提案されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2005−308733号公報
【特許文献2】特開2008−43282号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、果実の糖度・酸度が目標レベルに達しても、現実の水分ストレスを最適な栽培モデルに近づけるだけでは、天候の推移によってサイズや形状、色、重量といった品質が市場における許容範囲から外れれば、結果としてその果実の市場価値(価格)を低下させる可能性がある。
したがって、本発明の主な目的は、露地栽培による果実であっても、その果実の市場価値の低下を抑制することができる植物の生育管理システムを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記課題を解決するため本発明によれば、
植物の生育状態を管理する植物の生育管理システムにおいて、
前記植物の栽培地における温度、湿度、CO濃度および日照量のうち、少なくとも1つを測定する生育条件測定装置と、
前記植物の緑葉を測定対象物としてその測定対象物の光に対する分光特性を測定する分光測定装置と、
前記生育条件測定装置による測定結果と前記分光測定装置の測定結果とを集中管理し、これら各測定結果を関連付けて前記植物に対する最適な潅水量を算出する集中管理装置と、
を備えることを特徴とする植物の生育管理システムが提供される。
【発明の効果】
【0006】
本発明によれば、植物の緑葉の分光特性による水分ストレス管理に加え、気温や湿度、CO濃度、日照量といった他の生育条件も考慮するから、糖度・酸度だけでなく、果実のサイズや形状、重量、色といった品質を向上させることができ、露地栽培による果実であっても、その果実の市場価値の低下を抑制することができる。
【図面の簡単な説明】
【0007】
【図1】生育管理システムの概略構成を示す図面である。
【図2】生育条件測定装置の通信方式を概略的に説明するための図面である。
【図3】図2の変形例を示す図面である。
【図4】測定対象物の分光特性を概略的に示す図面であって、測定対象物への光の照射波長と分光反射率との関係を示すものである。
【図5】分光測定装置の概略構成を示す図面である。
【図6】分光測定装置のセンサヘッドの概略構成を示す断面図である。
【図7】図6の(a)平面図および(b)底面図である。
【図8】生育管理システムの制御構成を概略的に示すブロック図である。
【図9】栽培モデルの一例を概略的に示す図面である。
【図10】栽培モデルにしたがって水分ストレスを与えた場合の果実のサイズの推移を概略的に示す図面である。
【図11】気温の変動を考慮しながら水分ストレスを制御した場合に果実のサイズの推移を概略的に示す図面である。
【図12】ある栽培地におけるある月の湿度およびその許容範囲と、実測した湿度との関係を概略的に示す図面である。
【発明を実施するための形態】
【0008】
以下、図面を参照しながら本発明の好ましい実施形態について説明する。
【0009】
図1に示すとおり、本発明の好ましい実施形態にかかる植物の生産管理システム1では、樹体3の生育条件を測定するための生育条件測定装置10と、樹体3の緑葉から分光特性を測定するための分光測定装置20とが、使用される。
生育条件測定装置10は樹体3の近傍に設置されている。
生育条件測定装置10は温度センサ12、湿度センサ14、CO濃度センサ16および日照センサ18から構成されている。温度センサ12、湿度センサ14、CO濃度センサ16および日照センサ18はそれぞれ、樹体3の近傍の温度(気温)や湿度、CO濃度、日照量(日照強度)を測定するための公知のセンサである。
【0010】
図2に示すとおり、温度センサ12、湿度センサ14、CO濃度センサ16および日照センサ18で取得された各測定結果は、無線または有線通信により集中管理装置30(コンピュータなど)に送信される。
図3に示すとおり、温度センサ12、湿度センサ14、CO濃度センサ16および日照センサ18で取得された各測定結果は、制御盤19を通じて無線または有線通信により集中管理装置30に送信されてもよい。
無線通信の方式としては赤外線通信やbluetoothなどが使用される。
【0011】
続いて、分光測定装置について説明する。
【0012】
まず、測定対象物として樹体3の緑葉を選択してその分光特性を観測すると、図4に示すとおり、700nmから800nmにかけての波長範囲において分光反射率が急激に変化する波長領域がある(これを「レッドエッジ」という。)。レッドエッジの波長領域は、水分ストレス(樹体3の渇き)が大きくなるにしたがい、短波長側にシフトするという特性を有している。
したがって、分光測定装置を使用すれば、光の照射波長に対する分光反射率に加え、測定対象物のレッドエッジも算出することができる。より詳しくは、レッドエッジの波長領域に発光波長を有するLEDを搭載した分光測定装置を使用しさえすれば、測定対象物のレッドエッジを容易に算出することができる。
【0013】
分光測定装置としては、広い波長範囲(たとえば200〜1000nmなど)の分光特性(反射率または透過率)を測定しうるいわゆる分光器を使用してもよいし、特定の狭い波長範囲での分光特性を測定しうる測定装置を使用してもよい。
本実施形態では、後者の測定装置を使用し、分光測定装置の測定波長範囲を、レッドエッジの波長領域に限定する。かかる場合、測定の高速化(測定時間の短縮)や測定機能の簡略化が可能となり、分光測定装置のコストパフォーマンスを向上させることができる。
このような分光測定装置としては、たとえばレッドエッジの波長領域にピーク波長を有するLEDを搭載した図5〜図7の分光測定装置(20)が使用可能である。
【0014】
図5(a)に示すとおり、分光測定装置20は主に固定部22、可動部24および軸部26から構成されている。固定部22に対し可動部24が軸部26を介して回動可能となっている。固定部22中には制御基板22aとバッテリ22bとが内蔵されている。可動部24中にはセンサヘッド28が内蔵されている。
図6に示すとおり、センサヘッド28はLED28aと光検出器28bとを有している。センサヘッド28は、LED28aが点灯して測定対象物40に向けて光を照射し、光検出器28bが測定対象物40で反射した光を受光(検出)するような構成を有している。
図7(a)に示すとおり、センサヘッド28には互いに発光波長が異なる3個のLED28aと1個の光検出器28bとが設置されている。3個のLED28aは光検出器28bを中心とした円周上に配置されている。
図7(b)に示すとおり、センサヘッド28の底面部には円形状の窓部28cが形成されている。LED28aの光は窓部28cを通じて測定対象物40に照射され、その反射光は窓部28cを通じて光検出器28bで検出される。各LED28aは、測定対象物40を同一頂点とした場合に、LED28aの照射光の光路と光検出器28bが受光する反射光の光路とがなす角が同一角度になるように、配置(向き)が設定されている。
なお、センサヘッド28は、LED28aと光検出器28bとが1個ずつで構成されてもよいし、複数個のLED28aと複数個の光検出器28bとで構成されてもよい。
【0015】
分光測定装置20はいわゆる反射型の分光測定装置であり、バッテリ22bを内蔵するため携帯性を有している。
実際に、分光測定装置20を使用する場合は、図1に示すとおり、作業者50が分光測定装置20を携帯して樹体3のある栽培地に出向き、図4(b)に示すとおり、測定対象物40(樹体3の緑葉)を固定部22と可動部24との間に挟持し分光測定装置20を作動させる。
この場合、分光測定装置20では、制御基板22aが、バッテリ22bの電力の供給を受けながら、LED28aを制御して光の照射波長を変更させながら点灯させるとともに、光検出器28bを制御してその反射光を検出させる。検出された反射光(光量)は順次、光検出器28bから制御基板22aに送信される。制御基板22aでは、光検出器28bの検出結果から光の照射波長に対する分光反射率が算出される。
【0016】
続いて、植物の生育管理システム1の制御構成について説明する。
【0017】
図8に示すとおり、生育管理システム1は生育条件測定装置10および分光測定装置20に加え、これら装置の測定結果を集中管理する集中管理装置30を有している。集中管理装置30は主に制御部32(演算部)、操作部34、表示部36および記憶部38(メモリ)などから構成されている。
【0018】
集中管理装置30には生育条件測定装置10が接続されている。
集中管理装置30は、制御部32が操作部34に対する操作(入力)を受けて生育条件測定装置10を作動させる。生育条件測定装置10は、各センサで樹体3の生育条件を測定しその測定結果を集中管理装置30に送信するようになっている。集中管理装置30は生育条件測定装置10の測定結果を受信し、その測定結果を表示部36に表示したり記憶部38に記憶したりするようになっている。
生育条件測定装置10が、所定の日時に自動で作動し、生育条件の測定結果を集中管理装置30に送信するような構成であってもよい。かかる場合、生育条件を測定し忘れるのが防止され、生育条件を定期的に確実に取得することができる。
【0019】
集中管理装置30には分光測定装置20が接続可能となっている。
分光測定装置20は、測定対象物40の測定結果(照射波長に対する反射光の光量やレッドエッジ)を集中管理装置30に送信するようになっている。集中管理装置30は分光測定装置20の測定結果を受信し、その測定結果を表示部36に表示したり記憶部38に記憶したりするようになっている。
特に、集中管理装置30では、上記のとおり、生育条件測定装置10の測定結果と分光測定装置20の測定結果とが記憶部38に蓄積され、制御部32がこれら測定結果を関連付けて樹体3に与える最適な潅水量を算出したり(後述参照)、表示部36がそれを表示したりするようになっている。
なお、集中管理装置30に対し、これとは別の演算処理装置60を接続し、演算処理装置60において樹体3に与える最適な潅水量を算出するようにしてもよい。基本的に、集中管理装置30にはマイコン搭載機器が、演算処理装置60にはデスクトップ型またはノート型のパーソナルコンピュータがそれぞれ想定される。ただし、生育管理システム1が大規模農場や研究施設において採用されるような場合には、集中管理装置30にはパーソナルコンピュータが、演算処理装置60にはスーパーコンピュータが使用されてもよく、高度なデータ解析やデータ管理がなされてもよい。
【0020】
続いて、植物の生育管理方法について説明する。
【0021】
はじめに、集中管理装置30において、生育させようとする果実とその栽培地に対応する、図9に示すような栽培モデルを選択・準備する。
果実の選択は、果実の糖度・酸度と同等またはそれ以上に、サイズが市場価値に影響するようなものを考える。
栽培モデルとしては、たとえば特許文献2(段落0011〜0016、図4など参照)に記載のものを採用することができる。栽培モデルは集中管理装置30(記憶部38)にあらかじめ記憶されているものとしてもよいし、外部から集中管理装置30に組み込むものとしてもよい。
【0022】
図10に示すとおり、気温が同図中の上部に示すように変動する場合において、栽培モデル(実線部)にしたがって水分ストレスを与えながら潅水をおこなったと想定する(点線部)。
この場合、水分ストレスは管理することができ、糖度・酸度はある程度目標を達成することはできると考えられる。しかし、気温の高い日が多く、果実が栽培モデル(実線部)からやや乖離して適正なサイズまで生育せず(点線部)、その果実の市場価値が低下する可能性があると考えられる。
【0023】
これに対し、本実施形態では、気温の変動を考慮しながら樹体3に与える潅水量を制御し、果実の糖度・酸度を一定の目標に保ちつつも、果実のサイズを適正なサイズまで生育させる。
潅水量の制御とは、樹体3に与える水分量を調節し、樹体3にある程度の水分ストレス(樹体3の渇き)をかけることである。樹体3にかかっている水分ストレス量は、測定対象物40の分光特性の変化を検出(レッドシフトのシフト量を算出)することで把握することができ、分光測定装置20の測定結果に基づき得ることができる。
ここでは、具体的に、作業者50の操作により、集中管理装置30が生育条件測定装置10による測定結果に基づき、測定温度と最適な温度との差を求めてその差が許容範囲を超えるかどうかを判断する。図11に示すとおり、測定温度の最適温度からの差が許容範囲を超える場合には、集中管理装置30が栽培モデル(実線部)を随時補正し、そのときに最適な潅水量を算出する。図11に示す例では、気温の高い日が続いているため、栽培モデル(実線部)に対し、水分ストレスを緩和して潅水量を増加させるような潅水量が算出され(点線部)、果実の成長を促すようになる。最適な潅水量は集中管理装置30の表示部36に表示される。
その結果、作業者が集中管理装置30により算出された潅水量にしたがって実際に樹体3に水やりを実行すれば、高温な期間が続いた場合でも、糖度・酸度の目標をほぼ達成させながらも、最終的には果実のサイズを適正なサイズに近づけることができ(点線部)、その果実の市場価値が低下するのを防止することができる。
【0024】
なお、サイズや形、色、重量などいずれの特性を重要視するかは、果実の種類やそれに要求される品質に応じて選択すればよい。温度ではなく、湿度やCO濃度、日照量を潅水量の制御基準(管理基準)に用いてもよく、果実の種類によって影響度が大きい因子(温度、湿度、CO濃度、日照量など)をパラメータとして選択すればよい。もちろん、これら複数のパラメータを組み合わせて用いてもよく、複数のパラメータを組み合わせれば、より綿密な生育管理を実現することができる。
【0025】
ここで、温度や湿度、CO濃度、日照量などが一定よりも高いまたは低い状態が続くと、生育される果実には、糖度・酸度以外にも、サイズや形、色、重量などに影響がでやすい。
そこで、本実施形態では、集中管理装置30が、その栽培地のある月の過去の生育条件の変動からその月の許容範囲を規定し、生育条件測定装置10による測定結果がその許容範囲内にあるかどうかを比較し、生育条件測定装置10による測定結果がその許容範囲から一定期間連続で逸脱したと判断したら、果実の生育具合を測定するよう警告を促してもよい(表示部36にその旨表示するような構成としてもよい)。
たとえば、図12に示すとおり、測定した湿度(実線部)が、その月の過去の湿度の変動(点線部)から規定した許容範囲から一定期間連続で逸脱したら(実線部の○印)、果実の生育具合を測定するよう警告を促してもよい。
かかる処理によれば、過去のパラメータ推移実績と果実品質の実績とをもとに、果実の品質低下を未然に防止することができる。
警告を促す基準となるパラメータは、温度やCO濃度、日照量であってもよく、果実に対する影響度が大きいものを選択するのがよい。警告を促す基準となるパラメータは、温度、湿度、CO濃度、日照量のうち、2種以上を選択してもよい(組み合わせてもよい)。
【0026】
警告を促す際の基準(警告レベル)として、温度、湿度、CO濃度、日照量などに対し、逸脱度と生育影響度とで重み付けした係数を乗じ、これを生育日数分だけ足し合わせたもの(式(1))が使用され、式(1)の内容は集中管理装置30に設定される。
「警告レベル」=α1P1+α2P2+…+αnPn … (1)
式(1)中、「Pn」は温度や湿度、CO濃度、日照量などのパラメータの結果を示し、「αn」は逸脱度と生育影響度による重み付けとで重み付けした係数(逸脱度×生育影響度による重み付け)を示し、「n」は生育日数を示す。「逸脱度」は逸脱日数と逸脱割合(許容範囲からどの程度逸脱しているか(○○%オーバーなど))とを乗じた値を示す。
警告レベルにも、たとえば、3段階のレベル(閾値)をあらかじめ設定しておき、算出した警告レベルの数値に応じて「高レベル」,「中レベル」,「低レベル」といった表示により、可視化した状態で警告を促すようにしてもよい。
【0027】
以上の本実施形態によれば、樹体3の緑葉を測定対象物40としてその反射特性による水分ストレス管理に加え、気温や湿度、CO濃度、日照量といった他の生育条件も考慮しながら潅水量を制御するから、糖度・酸度だけでなく、果実のサイズや形状、重量、色といった品質を向上させることができ、露地栽培による果実であっても、その果実の市場価値の低下を抑制することができる。
かかる植物の生育管理システム1によれば、1台の集中管理装置30に対し、生育条件測定装置10による測定結果(生育条件に関するデータ)と、分光測定装置20による測定結果(測定対象物40の分光特性に関するデータ)とが集中的に蓄積され管理されるため、これらデータ同士の関連付けのデータ処理を容易にすることができる。
【0028】
なお、分光測定装置20を用いた測定では、測定対象物40の反射光の光量を検出するのに代えて、測定対象物40の透過光の光量を検出してこれを分光測定装置20の測定結果としてもよい。もちろん、広い波長範囲(たとえば200〜1000nmなど)の分光特性を測定しうるいわゆる分光器を使用した場合でも、測定対象物40の透過光の光量を検出してこれをその分光器の測定結果としてもよい。
また、生育条件測定装置10と分光測定装置20とを一体化して単一の測定装置とし、分光測定装置20による測定結果も無線または有線通信により集中管理装置30に送信しうるような構成としてもよい。かかる場合、作業者50が分光測定装置20を携帯する必要がなくなり、作業負担を軽減させることができる。
さらに、集中管理装置30も生育条件測定装置10および分光測定装置20と一体化されてもよい。かかる場合、作業者50の作業負担をより一層軽減させることができる。
さらに、集中管理装置30では、生育条件測定装置10による測定結果を受けて、将来の天候を予測し、これを表示部36に表示させてもよい。かかる場合、今後の天候変化に対しても注意を促すことができ、果実の品質低下を未然に防ぐことができる。
【符号の説明】
【0029】
1 植物の生産管理システム
3 樹体
10 生育条件測定装置
12 温度センサ
14 湿度センサ
16 CO濃度センサ
18 日照センサ
19 制御盤
20 分光測定装置
22 固定部
22a 制御基板
22b バッテリ
24 可動部
26 軸部
28 センサヘッド
28a LED
28b 光検出器
28c 窓部
30 集中管理装置
32 制御部(演算部)
34 操作部
36 表示部
38 記憶部(メモリ)
40 測定対象物
50 作業者
60 演算処理装置

【特許請求の範囲】
【請求項1】
植物の生育状態を管理する植物の生育管理システムにおいて、
前記植物の栽培地における温度、湿度、CO濃度および日照量のうち、少なくとも1つを測定する生育条件測定装置と、
前記植物の緑葉を測定対象物としてその測定対象物の光に対する分光特性を測定する分光測定装置と、
前記生育条件測定装置による測定結果と前記分光測定装置の測定結果とを集中管理し、これら各測定結果を関連付けて前記植物に対する最適な潅水量を算出する集中管理装置と、
を備えることを特徴とする植物の生育管理システム。
【請求項2】
請求項1に記載の生育管理システムにおいて、
前記集中管理装置が、過去の生育環境と前記生育条件測定装置による測定結果とを比較し、前記生育条件測定装置による測定結果が前記過去の生育環境に基づく所定の範囲から所定の期間逸脱したときは、警告を促すことを特徴とする植物の生育管理システム。
【請求項3】
請求項1または2に記載の植物の生育管理システムにおいて、
前記分光測定装置が、前記測定対象物の光に対する反射・透過特性が急峻に変化する波長領域を算出することを特徴とする植物の生育管理システム。
【請求項4】
請求項1〜3のいずれか一項に記載の植物の生育管理システムにおいて、
前記生育条件測定装置と前記分光測定装置とが一体となって単一の測定装置を構成していることを特徴とする植物の生育管理システム。
【請求項5】
請求項1〜4のいずれか一項に記載の植物の生育管理システムにおいて、
前記集中管理装置が、前記生育条件測定装置による測定結果を、無線または優先通信により受信し記憶することを特徴とする植物の生育管理システム。
【請求項6】
請求項5に記載の植物の生育管理システムにおいて、
前記生育条件測定装置が生育条件を所定の日時に自動的に測定し、
前記集中管理装置が、前記生育条件測定装置による測定結果を、無線または優先通信により受信し記憶することを特徴とする植物の生育管理システム。
【請求項7】
請求項1〜6のいずれか一項に記載の生育管理システムにおいて、
前記集中管理装置が、前記生育条件測定装置による測定結果に基づき、将来の天候を予測することを特徴とする植物の生育管理システム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【公開番号】特開2012−187074(P2012−187074A)
【公開日】平成24年10月4日(2012.10.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−55256(P2011−55256)
【出願日】平成23年3月14日(2011.3.14)
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.Bluetooth
【出願人】(303000408)コニカミノルタアドバンストレイヤー株式会社 (3,255)