説明

植物プロテイン抽出物からの不要な随伴物質の除去方法及び当該随伴物質を除去するための無機吸着材の使用

【課題】 本発明は、植物プロテインから不要な随伴物質(特に、芳香、風味及び色彩成分)を除去するための方法に関する。
【解決手段】 その方法は以下の工程、(i)抽出剤を使用して植物原材料からの抽出を行い、植物プロテイン抽出物を得る工程;(ii)植物プロテイン抽出物に無機吸着材を添加する工程(不要な随伴物質、特には芳香、風味及び/又は色彩成分が無機吸着材に結合する工程);を備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、植物プロテイン抽出物からの不要な随伴物質(特に、芳香成分、風味及び/又は色彩成分)の除去方法、及び、植物プロテイン抽出物からの不要な随伴物質(特に芳香成分、風味及び/又は色彩成分)を除去するための無機吸着材の使用に関する。
【背景技術】
【0002】
動物原材料(例えば、卵又は牛乳)に代わる食品中の植物プロテインの使用は、重要性が増している。植物プロテインは、多くの食品用途で、非常に優れた技術的機能特性を示す。例えば、大豆、ルピナス、ヒマワリ、ナタネ又はプロテイン含有種子などの原材料からのプロテイン製剤は、食品中で、例えば、水バインダー、オイルバインダー、ゲル化剤、乳化剤又は発泡剤として使用される。植物プロテインは、栄養生理学的な理由で非常に重要であり、健康面で食品の価値を増加させる。加えて、植物プロテインは、ペットフードにも適している。植物プロテインは、構造及び組織を改善するため、また、有利なコストでプロテインの質を向上させるために役立つ。
【0003】
植物プロテインは、植物原材料から、例えば水溶性抽出によって得られる。植物プロテインは、例えば、pHを変化させて植物プロテイン濃縮液として分離することによって、水溶性の抽出物から沈殿する。
【0004】
しかしながら、このようにして得られた植物プロテイン濃縮液は、食品用途及びペットフードに望ましくない典型的で特有の芳香特徴がしばしばある。従って、大豆、エンドウ豆、ルピナスのようなマメ科植物からのプロテイン抽出物は、感覚的な味覚テストにおける試験項目によって、青臭い、豆のような香り、エンドウ豆のような香り、又は青野菜の香り、として表現されるマメ科植物の典型の芳香を有する。ナタネ及びヒマワリは、苦み及び渋みの味覚印象をしばしば引き起こす。加えて、プロテインと関連するポリフェノールは、しばしばプロテインと反応し、植物プロテイン濃縮液の色及び質を悪化させる。
【0005】
これらの芳香欠陥の原因は、ポリフェノール、フィチン酸及びアルカロイドなどの二次的な植物性物質の存在にある。加えて、多くのアルデヒド及びケトン(多くの芳香欠陥の原因と言われるもの)は、脂肪破壊反応の原因である。
【0006】
抽出された植物プロテインからこれらの望まない随伴物質(特に芳香成分、風味及び/又は色彩成分)を分離するため、又は、これらの芳香をマスクするための様々な方法を使用する試みがなされている。
【0007】
植物プロテイン濃縮液から不要な随伴物質を除去する一般的な方法は、抽出及び洗浄工程である。可溶成分は、プロテインができるだけ不完全に可溶性の条件(可溶でない条件)の下で、植物プロテイン濃縮液から抽出される。抽出は、水、アルコール水又は有機溶媒で行なわれる。不要な随伴物質を十分な程度に分離するためには、たいてい幾つかの抽出段階が必要とされるため不便である。従って、そのような方法は、とても困難であり、コストもかかる。加えて、大量の水/溶媒が必要である。水システムでは、二次的な植物性物質の溶解性が相対的に低く、そのため、減少が非常に不十分である。加えて、望まない随伴物質の分離の間に、相対的に大量のプロテインも失われる。アルコール及び他の溶媒による抽出の場合、防爆操作の装置を装備するために高いコストがかかる。水システムにおいてフェノール化合物の溶解性を向上させるためには、フェノール化合物の酵素的な加水分解が上流にあってもよい(WO96/39859)。しかしながら、その方法は、酵素のコストが原因でなおさら費用がかかる。
【0008】
濾過方法は、低分子量化合物を析出するために使用される。例えば、限外濾過によって随伴物質を大豆から分離することができる。しかしながら、この分離方法は、非常にコストがかかると共に、時間がかかる。濾過に使用される膜は、容易に閉塞し、通過流が大いに減速するか、又は膜の再生が必要となる。濾過工程が長時間であるために不要な細菌増殖のリスクも非常に大きい。加えて、多くの随伴物質は、比較的強くプロテインに結合され、しばしば濃縮液の中に残存する。そして、非常に長い洗浄が必要となる。しかしながら、これは、さらに工程が長くなるという問題を増加させる。
【0009】
EP1512324A1では、大豆は、プロテインから随伴物質を切り離すためにpH9〜12で処理される。しかしながら、この高いpHは、プロテインが早期に部分的に加水分解されるという不利な効果(その技術的な特性に強く影響するもの)を有する。加えて、これらの条件の下で、残差脂肪のケン化は、脱油材料でも生じ、得られたプロテイン濃縮液の感覚的な質を非常に低下させる。
【0010】
また、脂肪の酸化の間に形成される不要な随伴物質(特に、芳香成分、風味及び/又は色彩成分)を除去する方法としては、熱蒸気でプロテイン抽出物を処理するもの(いわゆる蒸気逆抽出)がある(EP0124165)。プロテイン抽出物を薄い層内に導入する。しかしながら、この工程は、装置の点で非常に高価であり、蒸気揮発性の芳香成分しか排除されない。
【0011】
また、プロテイン抽出物からの不要な随伴物質の除去へのアプローチとしては、吸着法による分離がある。非常に効果的な吸着材として知られる活性炭がしばしば使用される(DE2627613)。しかしながら、抽出物から活性炭を分離することは、ほとんど不可能である。生成物が黒くなるので、そのような植物プロテイン濃縮液の使用は、いくつかの可能な用途に限定される。
【0012】
加えて、特別な有機分子(Singh et al.,J.Agric.Food Chem.,1997,45,4522)に加えて、有機性吸着樹脂(WO93/21937)の使用が説明されている。これらの物質は、特定の成分(非常に特徴的な特定の構造に影響を与えるもの)を分離するのに成功しているが、非常に高価であると共に、処分するのが困難である。上述した方法は、植物プロテイン抽出物中で不要な随伴物質の減少をもたらし、植物プロテイン濃縮液の感覚的な品質の向上に寄与する。しかしながら、これらの方法(特に、水抽出方法)は、しばしば十分効果的ではなく、生産物は、必要な中性的な風味と香りを未だ有していない。他の既知の方法は、上述の従来技術で説明されたものより効果的なものもあるが、これらの方法による装置費が非常にかかるため、その方法は、非常に高価であり、又は、使用済の化学物質の処分に問題がある。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0013】
本発明の目的は、植物プロテイン抽出物からの不要な随伴物質(特に、芳香成分、風味及び/又は色彩成分)の除去方法(感覚的に中性であると共に好ましいプロテイン濃縮液を植物原材料から作製できることを含む)を提供することである。その方法によって得られる植物プロテイン濃縮液は、食品及びペットフードに使用するのに適している(これらのプロテイン濃縮液は、感覚的な質を害されることなくより高濃度で使用できる)。
【0014】
この目的は、請求項1の特徴を備える方法によって達成される。本発明による方法の有効な実施形態は、従属請求項の対象である。
【0015】
本発明によれば、無機吸着材は、植物プロテイン抽出物からの不要な随伴物質(特に、芳香成分、風味及び/又は色彩成分)の除去に使用される。そのような無機吸着材の使用によって、望ましくない随伴物質を植物プロテイン抽出物から、プロテインの高い損失を伴わずに高い選択性で除去することができる。
【0016】
本発明は、植物プロテイン抽出物からの不要な随伴物質(特に、芳香成分、風味及び/又は色彩成分)の除去方法であって、少なくとも下記の工程、
i.抽出剤を使用することで植物原材料からの抽出を行なう工程(植物プロテイン抽出物が得られる);
ii.植物プロテイン抽出物に無機吸着材を加える工程(不要な随伴物質(特に、芳香成分、風味及び/又は色彩成分)が無機吸着材に結合する);
を備える。
【0017】
本発明による方法では、抽出剤を使用することで最初に植物原材料からの抽出が行なわれる。植物原材料としては、様々な種類の植物原材料を使用できる。好ましくは、植物プロテインを高い割合で含む植物原材料が使用される。植物自体及び植物を処理する間に蓄積する廃棄物の両方を使用できる。適当な植物原材料は、プレスケーキ(例えば、植物種子から油を作り出す際の形態)である。使用される植物原材料は、植物原材料の質量に対して、好ましくは80wt%以上、より好ましくは90wt%以上、特に好ましくは90〜95wt%の乾燥質量である。従って、好適に使用される植物原材料は、含水量が少ない。これらの植物原材料の場合、植物原材料の乾燥質量は、近似値として、植物原材料の重さに一致する。そして、抽出剤を使用することで植物原材料からの抽出が行なわれる。残留物なしで除去される溶媒、又は、人や動物によって消費された際に有害な効果を示さない溶媒は、抽出剤として好適に使用される。好ましい溶媒は、水である。しかしながら、エタノールなどのアルコールのような他の溶媒も使用できる。また、水とアルコール(好ましくはエタノール)の混合物などのように、溶剤の混合物も使用できる。また、抽出度合いを増加させるために、抽出剤に賦形剤を加えることもできる。抽出剤として水を使用するときには、例えば適当な緩衝系や塩濃度を使用すること(例えば塩化ナトリウムを加えること)によって例えばpHを設定し、その結果、水中での植物プロテインの溶解度が増加されると共に、早期の変性が避けられる。抽出剤(特に水)は、好ましくはpH6より高く、より好ましくはpH7より高く、特にはpH9以下、特に好ましくはpH8以下に設定される。抽出剤が塩を含むなら、抽出剤中での塩の塩濃度は、好ましくは0.1〜3molar程度、より好ましくは0.5〜2.5molar程度、特に好ましくは1〜2molar程度に設定される。
【0018】
無機吸着材の量は、無機吸着材における植物プロテインの不要な吸着を抑制するために少なく選択されることが好ましい。植物原材料に対して好ましくは少なくとも0.5wt%、特に好ましくは少なくとも1wt%の量であることが植物プロテイン抽出物から不要な随伴物質の十分な除去を達成するのに必要である。過剰量の無機吸着材を使用するべきではない。好ましくは、無機吸着材の量は、植物原材料の質量に対して、20wt%より少なく選択されることが好ましく、10wt%より少なく選択されることがより好ましい。
【0019】
植物プロテイン抽出物は、乾燥質量で0.1〜50wt%であることが好ましく、1〜40wt%であることがより好ましく、2〜30wt%であることが特に好ましい。乾燥質量は、植物プロテイン抽出物に溶解された構成物質に関連する。
【0020】
本発明による方法で得られるプロテイン濃縮液は、望まない随伴物質を無機吸着材に吸着させないで調合されたプロテイン濃縮液よりも明確に感覚的に中性である。例えば、無機吸着材で処理された大豆プロテイン抽出物は、吸着処理を受けていない植物プロテイン抽出物と比較して、感覚的な評価で苦み、豆のような香り、青臭さ/青野菜の香りが著しく少ないと評価されている。加えて、実質的にシナピンを含有しない、及び、低濃度のシナピン酸のみを含有するナタネプロテインは、無機吸着材による上述の処理によって作製され得る。
【0021】
無機吸着材は、植物原材料を含有する植物プロテイン抽出物に添加される。しかしながら、同時に生じる植物プロテイン抽出物中の植物プロテインの減少や、無機吸着材上の植物プロテインの明確な吸着は、いくつかの手段で観察される。本発明による方法は、不溶成分が植物プロテイン抽出物から除去されるような方法で実施されることが好ましい。特に、植物原材料に戻る不溶成分の除去は、一般的な方法(例えば、植物原材料を遠心分離すること、濾過すること又は流し捨てること)でなし得る。
【0022】
不要な随伴物質を析出させるために植物プロテイン抽出物に添加される無機吸着材は、植物プロテイン抽出物中に残存してもよい。例えば、植物プロテイン抽出物が動物飼料を作製するのに使用されるなら、これは許容できる。しかしながら、本発明による方法の実施形態によれば、無機吸着材は、植物プロテイン抽出物から分離される。
【0023】
遠心分離、濾過又は沈降分離などの一般的な方法は、分離のために使用される。植物プロテイン抽出物は、例えば、その方法で得られた溶液、抽出剤中の植物プロテインなどの形態で使用される。随意的に、プロテイン含有量は、溶媒(特に水)を添加すること又は除去することによって望ましいレベルに設定される。
【0024】
しかしながら、実施形態によれば、植物プロテインは、植物プロテイン抽出物から分離される。一般的な方法が同様にこれに使用される。例えば、抽出剤(特に水)は、凍結乾燥やスプレー乾燥によって蒸留されるか除去される。しかしながら、プロテインを沈殿させ、又は、適当なキャリヤーに更に吸着させ、一般的な方法を使用して抽出剤から分離することも可能である。
【0025】
好ましい実施形態によれば、上述した本発明の方法は、下記のグループから選択される1つ又は複数の工程、
i.植物プロテイン抽出物から植物原材料の不溶成分を分離する工程;
ii.植物プロテイン抽出物から無機吸着材を分離する工程;
iii.植物プロテイン抽出物から植物プロテインを分離する工程;
iv.植物原材料を分解(特に脱穀したり、粉砕したり、及び/又は、剥離したり)する工程;
v.植物原材料を前抽出する工程(好ましくは1〜6回、特に好ましくは1〜3回)、−好ましくは酸性のpH値で5〜10倍の水量(更に好ましくは等電点の近傍、特に好ましくはpH5)、及び/又は、−好ましくは低温(特に好ましくは10℃)で、−また、各前抽出工程後の段階で液相から固体を分離する工程;
vi.植物プロテイン抽出物への無機吸着材の添加を何回も(好ましくは1〜3回)繰り返す工程;
vii.沈降したプロテイン濃縮液を中和する工程;
を備える。
【0026】
植物原材料の分解によって、これらの中に含有される植物プロテインは、より利用しやすくなり、その結果、植物原材料からより溶解し易くなる。植物原材料が分解される時、それらの構造は、破壊されるか、ダメージを受けると共に、それらの殻も少なくとも部分的に取り除かれる。最も単純な場合には、植物原材料の分解は、例えば植物の種子の殻を剥ぐことを含む。しかしながら、植物原材料を絞るか圧縮することもできる。更に、植物原材料をひくこと(すり潰すこと)で、抽出剤によって所望の植物プロテインを溶出させ得る広い表面積を有する粉末が得られる。しかしながら、植物原材料を大きな破片に粉砕することも可能である。この工程の目的は、分解されている植物原材料に含まれた植物プロテインを抽出剤によってより利用しやすくすることである。
【0027】
本発明による方法を実施する前でも植物原材料から望まない随伴物質の割合を除去するために、植物原材料は、その方法の実施形態によって前抽出もされる。本発明による方法で使用される植物プロテイン抽出物の製剤に関しては、同じ抽出剤が前抽出のために使用される。しかしながら、異なる抽出剤を使用することも可能である。例えば、前抽出のために、植物プロテイン抽出物の製剤に使用する水溶性の抽出剤から、異なるpHに設定された水溶性の抽出剤を使用できる。前抽出の際には、植物プロテインが僅かだけ共同抽出される条件を使用することが好ましい。そして、少量の抽出剤(好ましくは植物原材料の質量に対して5〜10倍の水量)だけが使用されることが好ましい。前抽出は、酸性pH(特に好ましくはpH5)を有する水溶性の抽出剤を使用することで実施されることが好ましい。特に、前抽出で使用される抽出剤は、植物プロテインの等電点の近傍のpHに設定される。その上、前抽出は、好ましくは植物プロテインの溶解性が低い低温で実施されることが好ましい。選択される温度は、10℃であることが好ましい。前抽出が複数回繰り返される場合、植物原材料は、各前抽出の後で抽出剤から分離されることが好ましく、その結果、新鮮な抽出剤で次の前抽出が行なわれる。
【0028】
不要な随伴物質の分離は、1回又は複数回繰り返される。これに対して、無機吸着材は、植物プロテイン抽出物からその都度分離されることが好ましく、そして、新鮮な無機吸着材が植物プロテイン抽出物に添加される。
【0029】
また、植物プロテインが植物プロテイン抽出物から沈殿された場合、実施形態による方法(例えば、酸やアルカリ溶液を添加すること)によって中性化される。
【0030】
1つの実施形態では、本発明による方法は、下記の工程、
1.植物プロテイン抽出物は、pHが3〜10、好ましくは5〜9、より好ましくは6以上、特に好ましくは6〜8に設定される工程;
2.無機吸着材の分離を機械的に(特には、遠心分離や濾過によって)行なう工程;
3.使用される植物原材料の質量に対して無機吸着材の濃度を0.1〜20wt%、好ましくは0.1〜10wt%、更に好ましくは0.5〜5wt%とする工程;
4.無機吸着材の分離を機械的に(特には遠心分離や沈降分離によって)行なう工程;
5.i)溶解されたプロテインの溶液からの沈殿(好ましくは植物プロテインの等電点の近傍で、特に好ましくはpH7未満で)させること、ii)沈殿したプロテインを浮遊物から固体/液体分離すること、iii)植物プロテイン抽出物の乾燥(好ましくはスプレー乾燥)を行なうことによってプロテインの分離が行なわれる工程;
の少なくとも1つを備える。
【0031】
吸着材は、環境面で扱いやすい方法で処分される。それらは、一般的な方法で生物廃棄物として堆肥化されるか、例えば肥料やバイオガスを作製することに使用される。
【0032】
既述のように、様々な植物原材料が本発明による方法で使用できる。例えば、脂肪種子、オイル生産物の絞り粕、マメ科植物及びその他全てのプロテイン含有植物原材料を原料として使用できる。プロテインリッチな植物原材料(植物プロテインの含有量が植物原材料の乾燥質量に対して10wt%を超え、好ましくは20wt%を超え、特には30wt%を超えるもの)が特に好適である。
【0033】
植物プロテイン抽出物中に含有される不要な随伴物質は、自然状態では化学的に異なる化合物の混合物である。本発明による方法は、特に水溶性の望まない随伴物質(特に、芳香成分、風味及び/又は色彩成分)を除去するのに適当である。水溶性であるために、望まない随伴物質(ときどき、既に低濃度であっても植物プロテイン抽出物から得られる植物プロテイン濃縮液を用いた食品や動物飼料の香り、風味や色彩を損なわせるもの)は、植物プロテインによって形成されたマトリックスから溶出する。本実施形態によれば、不要な随伴物質(特に、芳香成分、風味及び/又は色彩成分)は、ポリフェノール、特に好ましくは水酸化桂皮酸(特にはコーヒー酸及びシナピン酸など)、それらの派生物(シナピンやクロロゲン酸など)の群から選択されるものである。
【0034】
本発明による方法で使用される無機吸着材は、不要な随伴物質の分離の選択性に影響を与える。本発明による方法の実施形態によると、無機吸着材は、粘土(特には合成粘土及び天然由来の粘土(粘土鉱物など))からなる群から選択される。
【0035】
本発明の範囲内で植物プロテインを洗浄するために使用される粘土は、陰イオン荷電又は陽イオン荷電されているもの、或いは荷電されていないものであることが好ましい。粘土の選択は、植物原材料及び分離される不要な随伴物質(特に、芳香成分、風味及び/又は色彩成分)の特性に基づく。粘土としては、合成又は天然由来のものを用いることができる。通常は、コスト及び高い利用性の理由から天然由来の粘土鉱物が選択される。本発明による方法で使用される合成粘土の例としては、いわゆる陽イオン性粘土(例えばハイドロタルカイなど)である。
【0036】
本発明による方法で使用される陰イオン性粘土は、特に、バーミキュライトだけでなくスメクタイト粘土を含有する。これらは、構造単位当り0.2〜0.6の負の荷電を備え、2:1の層タイプの荷電された粘土鉱物を含有する。スメクタイトの例としては、ベントナイト、モンモリロナイト、バイデルライト、ノントロナイト、ヘクトライト及びサポナイトである。更に適当なスメクタイトとしては、ステベンサイト(Mg2+のイオン間隙によってタルクからその構造が得られるもの)である。
【0037】
代表的なスメクタイトは、例えば、ベントナイト、活性鉱物であるモンモリロナイトである。そのようなベントナイトは、50〜120meq/100gの陽イオン交換容量を通常有し、水中でかなりの膨張容量を示す。本発明による実施形態では、無機吸着材は、ステベンサイトやステベンサイト相を含む。
【0038】
当業者は、ステベンサイトに関して熟知している。ステベンサイトのより詳細な特徴は、例えば、「Clay Minerals」(J.L.Martin de Vidales他,1991,P26,P329〜342)、「Mineralogical Magazine」(G.B.Brindley他,1977,P41,P443〜452)に示されている。ステベンサイトの決定は、そこで説明されるようにして行なわれる。格子面間隔(基底間隔)10Aでの回析ピーク(その位置は、異なる湿度で明確な変化を示す)が特徴である。エチレングリコールによる処理の間、17A近傍の間隔も特徴である。明白な言及としては、「Mineralogical Magazine」(G.B.Brindley他,1977,P41,P443〜452、Fig.2及びテキストの関連部分)で与えられるステベンサイトに対する粉体X線回析グラムがある。本発明によると、約10Aの格子面間隔での回析ピークの位置は、「Mineralogical Magazine」(G.B.Brindley他,1977,P41,P443〜452)のFig2によれば、ステベンサイトが使用される場合に、又は、異なる湿度のステベンサイト含有成分中で、又は、エチレングリコールによる処理の間に、特徴的に変化する。従って、ステベンサイトは、例えば純粋なセロライトとは異なっている。
【0039】
簡素化の目的で、“ステベンサイト”という表現は、ここではステベンサイトを含有する成分も含む。“ステベンサイト含有成分”は、ステベンサイトとは別に、無機吸着材(更に他の成分を含む)が使用されることを意味する。例えば、多くの市販のステベンサイト製品は、ステベンサイトに加えて多くの随伴鉱物も含んでいる。加えて、他の構成物質(例えば、他の鉱物成分、特に、ケイ酸塩層など)を伴うステベンサイトの混合物も考えられる。
【0040】
本発明の実施形態によると、ステベンサイト含有成分及び/又はセロライト含有成分(ステベンサイト又は少なくとも1つのステベンサイト含有成分から実質的に又は完全に構成されるもの)の少なくとも1つが使用される。
【0041】
更に好ましい実施形態では、無機吸着材は、サポナイトを含む。標準的な鉱物サポナイトの定義は、「Developments in Clay Science 1:Handbook of Clay Science」(F.Bergaya,B.K.G.Theng,G.Lagaly(Eds.),Elsevier,Amsterdam 2006)の特にChapter1、「General Introduction:Clays,Clay Minerals and Clay Science」(F.Bergaya and G.Lagaly,p.1ff)で参考にされる。サポナイトは、八面体層中にマグネシウムイオンを伴うトリオクタヘデラルスメクタイトである。このスメクタイトの粘土鉱物の負の荷電は、四面体層中における幾つかのシリコン原子のアルミニウムイオンによる置換によるものである。タルクからサポナイトが得られる場合には、サポナイトは、スチブンサイトと見なすことができる。サポナイトは、通常、比較的に低い陽イオン交換容量を有し、一般的に、800m2/g以上のBET表面積を有する。好ましいスメクタイトの粘土鉱物の選択は、分離される不要な随伴物質に基づくものである。分離される成分が例えばアミノ基、特には第四級アンモニウム基を含有する場合、ほとんど全てのスメクタイト鉱物が適当である(それらの表面領域がアミノ基及びアンモニウム基に対して強い親和性を有するため)。特に、ベントナイトやモンモリロナイトもここでは適当である。この例としては、原料ナタネプロテイン製剤からのフェノール酸派生シナピン(第四級アンモニウム化合物)の除去である。
【0042】
不適当な芳香がたいてい除去される場合、芳香の多くがより高い疎水性の成分を有する分子であるため、ケイ酸塩に積層されたより少ない荷電のスメクタイト(例えば、サポナイトやステベンサイトなど)が使用される。
【0043】
本発明の好ましい実施形態では、使用される無機吸着材は、荷電されていない粘土(特にタルクや緑泥石などのタルク群のセロライト含有材及びセロライト含有鉱物)を含む。そのような粘土は、例えばエンドウ豆プロテイン、大豆プロテイン又はルピナスプロテインから不適当な芳香を除去するために使用される。
【0044】
当業者は、セロライトについて熟知しており、ここで詳細に説明する必要はない。例えば、ここでは、「Mineralogical Magazine」(G.B.Brindley他,1977,P41,P443〜P452)を参照できる。セロライトの決定は、そこで説明されるようにして行なわれる。セロライトの化学分析は、R3Si410(OH)2・H2O(Rは、主にMgを表し、nは、約0.8〜1.2である)の近傍の構成で行われる。格子面間隔(基底間隔)10Aでの回析ピーク(その位置は、異なる湿度と500℃までの温度収縮で明確な膨張を示さない)は、特徴である。明白な言及としては、「Mineralogical Magazine」(G.B.Brindley他,1977,P41,P443〜452、Fig.2及びテキストの関連部分)で示されるセロライトに対する粉体X線回析グラムがある。
【0045】
簡素化の目的で、“セロライト”という表現は、ここではセロライトを含有する成分も含む。“セロライト含有成分”は、セロライトとは別に、無機吸着材(更に他の成分を含む)が使用されることを意味する。例えば、多くの市販のセロライト製品は、セロライトに加えて多くの随伴鉱物も含んでいる。加えて、他の構成物質(例えば、他の鉱物成分、特に、ケイ酸塩層など)を伴うセロライトの混合物も考えられる。
【0046】
セロライトは、関連鉱物(特にはスメクタイトの群から、及び、特にはステベンサイトやサポナイト)と共に自然からしばしば発見される。ステベンサイト又はサポナイトは、セロライトの改良を意味する。従って、ステベンサイトは、マグネシウムイオンによって占められる八面体位置のいくつかが空のままで残っている場合、セロライトから形成される。サポナイトは、Al3+によるSi4+の置き換えによって形成される。
【0047】
本発明の実施形態によると、セロライト又は少なくとも1つのセロライト含有成分から実質的に又は完全に構成されるステベンサイト含有成分及び/又はセロライト含有成分の少なくとも1つが無機吸着材として使用される。
【0048】
本発明の好ましい実施形態では、使用される成分は、ステベンサイト又はステベンサイト相及びセロライト又はセロライト相の両方を含有する。そのようなステベンサイト含有成分及びセロライト含有成分は、植物プロテイン抽出物中に含まれる不要な随伴物質に対して良好な結合性を特に示す。好ましい実施形態では、無機吸着材として使用されるステベンサイト含有成分及び/又はセロライト含有成分は、少なくとも10wt%、好ましくは少なくとも50wt%、より好ましくは少なくとも75wt%、更に好ましくは少なくとも90wt%、特に好ましくは少なくとも95wt%のステベンサイト及び/又はセロライトを含有する。従って、ステベンサイト及び/又はセロライトが本発明で使用される成分中の主相に鉱物学的に相当するとき、特に優れた汚染物質結合が生じることが意外にも発見された。
【0049】
本発明の範囲において、特に、酸化マグネシウムを少なくとも15wt%、好ましくは少なくとも17wt%、特に好ましくは少なくとも20wt%含有するステベンサイト含有成分及び/又はセロライト含有成分は、無機吸着材として適当である。対応する物質は、商業的に利用される。その上、使用されるステベンサイト含有成分及び/又はセロライト含有成分(特には、ステベンサイト又はステベンサイト含有成分)に関する酸化マグネシウム含有量は、40wt%以下、好ましくは35wt%以下、多くの場合、好ましくは32wt%以下である。
【0050】
酸化マグネシウム含有量は、材料の層構造の正確な構成に決定的である。本発明で使用される無機吸着材(特にはステベンサイト)の層構造は、特に、好適な気孔率を提供すると共に、異なる不要な随伴物質の多くを吸着するために効果的な表面を提供する。
【0051】
本発明の実施形態によれば、特に、ステベンサイトの割合が高い成分の場合、BET表面積(DIN66131による方法に基づくもの)は、少なくとも60m2/gであることが好ましく、少なくとも80m2/gであることがより好ましく、少なくとも100m2/gであることが特に好ましい。これらの高いBET表面積は、明らかに幾つかの不要な随伴物質のより効果的な吸着を可能にする。
【0052】
その上、特に好ましい実施形態では、セロライトは、サポナイトを伴う。特に、40meq/100g未満、特には35meq/100g未満、特に好ましくは30meq/100g未満の陽イオン交換容量(CEC)を有するそれらの成分は、特に良好な結果を提供する。CECは、以下の方法で説明されるようにして決定される。
【0053】
さらに好ましい実施形態によると、少なくとも2meq/100g、好ましくは少なくとも5meq/100g、さらに好ましくは少なくとも10meq/100g、特に好ましくは少なくとも15meq/100gのCECを有するそれらのステベンサイト含有成分及び/又はセロライト含有成分が使用される。
【0054】
荷電されていないシステム(セロライトなど)及び荷電されたシステム(サポナイトなど)は、特に、植物プロテイン抽出物から疎水性の望ましくない随伴物質を除去するのに適している。
【0055】
植物プロテインに含有される不要な随伴物質が負の荷電である場合、陽イオン性粘土も洗浄のために使用することが特に好ましい。これらは、特に層状複水酸化物及び望ましくはいわゆるハイドロタルサイトである。
【0056】
本発明で使用される層状複水酸化物は、天然及び合成のハイドロタルサイト及びハイドロタルサイトのような構造を有する化合物からなる群から特に選択される。当業者は、ハイドロタルサイト及びハイドロタルサイトのような構造を有する化合物に関して熟知している。好ましい実施形態によると、下記で説明されるM2+:N3+の比率が観測される間、天然及び合成のハイドロタルサイト及びハイドロタルサイトのような構造を有する化合物からなる群から選択される層状複水酸化物が使用される(例えば、「Catalysis Today,Vol.11(No.2)」2nd December 1991,pages P173〜301(“hydrotalcite−like compounds”)参照)。そのような化合物は、ハイドロタルサイトのような構造を有する。
【0057】
ハイドロタルサイト又はハイドロタルサイトのような構造を有する化合物を作製するために、原則的に当業者にとって一般的な幾つかの方法が使用される(例えば、「Catalysis Today(op.cit.)」P173〜301,特にはP201〜212、DE2061114、US−A−5,399,329、US−A−5,578,286、DE10119233、又は、WO01/12570、「Handbook of Clay Science」F.Bergaya,B.K.G.Theng and G.Lagaly(Eds.)、「Developments in Clay Science,Vol.1」Chapter13.1,Layered Double Hydroxides,C.Forano,T.Hibino,F.Leroux,C.Taviot−Gueho、「Handbook of Clay Science,2006」参照)。
【0058】
特に好ましくは、一般的な実証による式〔M1-x2+x3+(OH)2x+[An-x/n・yH2O〕の層状複水酸化物(LDH)が使用される(M2+は少なくとも二価金属イオンを表し、N3+は少なくとも三価金属イオンを表し、An-は少なくとも1つの陰イオンを意味し、xは0〜1の間の理論的な数値であり、nは正数、yは0を含む正数である)。
【0059】
一般的に、層状複水酸化物として適当であり、当業者に周知である幾つかの二価金属イオン又はその金属イオンの2つ又はそれ以上の混合物がM2+として使用される。特に、M2+は、Mg2+,Ca2+,Zn2+,Mn2+,Co2+,Ni2+,Fe2+,Sr2+,Ba2+及び/又はCu2+の群から選択される1つ又はそれ以上を意味する。一般的に、層状複水酸化物として適当であり、当業者に周知である幾つかの三価陽イオン又はその陽イオンの2つ又はそれ以上の混合物がN3+として使用される。特に、N3+は、Al3+,Mn3+,Co3+,Ni3+,Cr3+,Fe3+,Ga3+,Sc3+,B3+及び/又は希土類金属の三価陽イオンの群から選択される1つ又はそれ以上を意味する。
【0060】
本発明の特に好適な実施形態によると、M2+はマグネシウムであり、N3+はアルミニウムである。
【0061】
一価陽イオン(例えばLi+などのように、部分的又は全体的に二価陽イオンを置換するものなど)を含有するそれらの層状複水酸化物(LDHs)も本発明で使用される。そして、一価陽イオンを備える層状複水酸化物も本発明に含まれる。
【0062】
層状複水酸化物は、それの一般的な実証による式が[Mg2Al(OH)6](CO30.5と[Mg0.28Al0.72(OH)2](CO30.72との間にあるハイドロタルサイトである。
【0063】
ハイドロタルサイト相に加えてベーマイト相を有する材料は、特に好適である。そのようなベーマイト相は、ハイドロタルサイトの高いアルミニウム量によって得られる。しかしながら、本発明によれば、ハイドロタルサイト及びベーマイトの混合物を作製して使用してもよい。その結果、両方が混ざった相とハイドロタルサイト相とを備える材料及びベーマイト相を備える材料の混合物とが使用される。好ましくは、ハイドロタルサイト割合は、55wt%又はそれ以上である。
【0064】
本発明で使用される層状複水酸化物は、焼成されていない形態で存在していることが好ましい。焼成は、二層構造が全体的又は部分的に失われる温度処理を意味する。好ましい実施形態によると、層状複水酸化物は、約500℃以上、特には450℃以上、特には350℃以上、特には250℃以上、特には150℃以上の熱処理を受けていない場合、未焼成と見なされる。
【0065】
層間陰イオンAn-(nは正の整数)は、好ましくは炭酸塩、硝酸塩、ハロゲン化物、硫酸塩、燐酸塩又はそれらの混合物からなる群から選択される。特に好ましくは、An-(実証による式が上記のもの)は、炭酸塩であるか、又は層状複水酸化物が炭酸塩の形態で存在しており、層間陰イオンAn-の好ましくは少なくとも50%、より好ましくは少なくとも75%、特に好ましくは少なくとも90%が炭酸イオンである。
【0066】
ここで使用される層状複水酸化物は、空気中での安定性というさらなる利点を有しており、そのため、容易に保管することが可能である。
【0067】
本発明で使用される層状複水酸化物は、技術的な利用のための量で陰イオン不純物に結合する。
【0068】
本発明で使用される層状複水酸化物は、好ましくは15m2/g以上、より好ましくは20m2/g以上、特に好ましくは55m2/g以上、さらに好ましくは65m2/g以上のBET表面積を有し、好ましくは0.30ml/g以上、より好ましくは0.4ml/g以上、特に好ましくは0.45〜0.6ml/g以上の気孔容積(BJH方法によって測定される直径1.7〜300nmの範囲の気孔の累積気孔容積)を有する。
【0069】
本発明の好ましい実施形態によると、層状複水酸化物は、約10nm以上の平均孔径を有する。特に好ましくは、直径が約0.5〜100μm、より好ましくは1〜80μm、特に好ましくは4〜60μmの無機吸着材粒子が本発明で使用される。他の好ましい実施形態によると、無機吸着材は、好ましくは0.08〜2.5mmの平均粒子サイズを有する粒状の形態で存在する。
【0070】
本発明による方法の実施形態によると、無機吸着材(特には、層状複水酸化物)は、植物プロテイン抽出物に添加される前に、pH5.0〜10.0、特に好ましくはpH6.0〜9.0の平衡状態にされる。このため、無機吸着材(特には、層状複水酸化物)は、適当な緩衝液中に浮遊しており、又は、無機吸着材(特には、層状複水酸化物)から作成されるフィルタパックは、そのような緩衝液の働きを受ける。緩衝液濃度は、好ましくは30〜100mmol/lである。
【0071】
ハイドロタルサイトは、例えば、ヒマワリプロテイン製剤からクロロゲン酸を除去することために非常に適している。
【0072】
特有の場合には、本発明で使用される無機吸着材によって除去される不要な随伴物質は、人体の積極的な健康効果を提供するので、食品添加物として使用される化合物である。この例としては、例えば、生のヒマワリプロテイン溶液から得られるような、クロロゲン酸及びコーヒー酸である。
【0073】
植物プロテイン抽出物から分離された不要な随伴物質を使用済みの無機吸着材から回収することは、さらに適切である。これは、例えば、様々な方法による使用済みの(例えば、エタノールやアセトンなどの溶媒抽出で使用された)粘土で可能である。ハイドロタルサイトに結合したクロロゲン酸を回収する場合、それは、例えば、リン酸緩衝液によって達成される。陰イオン交換体又は陰イオン吸着体としての特定の層状複水酸化物の使用は、従来技術として知られている。ハイドロタルサイトは、活性焼成型でしばしば使用される。焼成の間、ハイドロタルサイトは、水と二酸化炭素を避けた環境下で600℃で数時間処理される。焼成されたハイドロタルサイトは、基礎的な特性を有し、非常に耐熱性に優れている。しかしながら、それらは、二酸化炭素及び大気湿度に対して非常に敏感である。従って、焼成されたハイドロタルサイトは、空気が排除された状態で保管されなければならず、工業規模の用途には適していない。
【0074】
ハイドロタルサイトは、植物プロテイン製剤中で、特に陰イオン微量成分を減少させるために使用し得ることが発見された。この例としては、ナタネプロテイン製剤からのシナピン酸の除去である。
【0075】
本発明のさらなる対象は、植物プロテイン抽出物から不要な随伴物質(特に、芳香成分、風味及び/又は色彩成分)を除去するための粘土の使用に関する。適当な粘土は、既に上述されたものである。
【0076】
本発明による方法で既に説明したように、不要な随伴物質(特に、芳香成分、風味及び/又は色彩成分)は、ポリフェノール、特に好ましくは水酸化桂皮酸(特にはコーヒー酸及びシナピン酸など)、それらの派生物(シナピンやクロロゲン酸など)の群から選択されるものであることが好ましい。
【図面の簡単な説明】
【0077】
【図1】無機吸着材での処理後のヒマワリプロテイン抽出物中のクロロゲン酸の割合の説明(クロロゲン酸の百分率は、その都度、不要なものが除去されていない抽出物のクロロゲン酸濃度(100%)に対するものである)
【図2】無機吸着材での処理後のヒマワリプロテイン抽出物中のコーヒー酸の割合の説明(クロロゲン酸の百分率は、その都度、不要なものが除去されていない抽出物のコーヒー酸濃度(100%)に対するものである)
【図3】無機吸着材(1wt%)での単一処理によるナタネプロテイン抽出物からのシナピン及びシナピン酸の除去(シナピン及びシナピン酸の百分率は、不要なものが除去されていない抽出物のナタネプロテイン抽出物(100%)に対するものである)
【図4】無機吸着材(1wt%)での回収処理によるナタネプロテイン抽出物からのシナピン及びシナピン酸の除去(シナピン及びシナピン酸の百分率は、不要なものが除去されていない抽出物のナタネプロテイン抽出物(100%)に対するものである)
【図5】無機吸着材(1wt%)での回収処理によるナタネプロテイン抽出物からのナタネプロテインの除去(ナタネプロテインの百分率は、不要なものが除去されていない抽出物のナタネプロテイン抽出物(100%)に対するものである)
【図6】異なる吸着材(1wt%)での単一処理によるナタネプロテイン抽出物からのシナピン及びシナピン酸の除去(シナピン及びシナピン酸の百分率は、不要なものが除去されていない抽出物のナタネプロテイン抽出物(100%)に対するものである)
【発明を実施するための形態】
【0078】
本発明について図を参照しつつ例を使用して下記で詳細に説明する。
【0079】
全体的な方法
<BJH及びBETによるBET表面積/細孔体積>:
全自動「Micromeritics ASAP 2010 窒素ポロシメーター」を用いて表面積/細孔体積を決定した。
【0080】
高い真空中で液体窒素の温度にサンプルを冷却する。窒素は、定量的にサンプル室内へ連続的に導入される。圧力の関数として吸着されたガス量を記録することによって、一定温度での吸着等温線を算出する。均圧後、分析ガスを次第に除去し、脱離等温線をプロットする。
【0081】
BET理論によって特有の表面積及び気孔率を確認するために、DIN66131によってデータを評価する。
【0082】
さらに、細孔体積をBJH方法(E.P.Barret,L.G.Joiner,P.P.Haienda,J.Am.Chem.Soc.73(1951,373))を用いて測定データから算出する。毛管凝縮効果もこの方法で考慮される。特定の細孔サイズ範囲の細孔体積をBJHによる吸着等温線の評価から得られる総増加細孔体積によって、決定する。BJH方法による総細孔体積は、直径1.7〜300nmの細孔に関連する。
【0083】
<動的光散乱(Malvern)による粒子サイズの決定>:
測定は、製造メーカーの説明に基づいて「Mastersizer」装置(Malvern Instruments Ltd.,UK,)を用いて実施する。測定は、提供されたサンプル(乾燥粉末飼料)を用いて空気中で実施され、サンプル体積に関連した値を確認する。
【0084】
<水の含有量>:
105℃での生産物の水含有量をDIN/ISO−787/2の方法を使用することで確認する。
【0085】
<元素分析>:
この分析は、粘土材料や対応する生産物の全体的な分解に基づく。固体の溶解後、個々の成分は、従来の特定の分析方法(例えばICPなど)を使用することで分析され、定量される。
【0086】
<イオン交換容量(陰イオン性層状鉱物に限る)>:
陽イオン交換容量を決定するために、試験される粘土材料を105℃で2時間以上乾燥させる。その上、乾燥された粘土材料を還流状態で1時間、過剰の水性のNH4Cl溶液(2N)と反応させる。室温で16時間放置後、その混合物を濾過し、直ちに濾過ケーキを洗浄し、乾燥し、粉砕し、粘土材料中のNH4を製造メーカーの説明に基づく窒素決定(「Vario EL III」CHN分析計 Elementar社,Hanau)によって確認する。交換された金属イオンの割合及びタイプは、ICP分光分析によって濾過水中から決定される。
【0087】
<メチレンブルー吸着によるモンモリロナイト含有量の決定>:
メチレンブルー量が粘土材料の本質的な表面積の尺度となる。
【0088】
a)四ナトリウム二リン酸溶液の準備:
5.41gの四ナトリウム二リン酸塩を正確に0.001gまで計量して1000mlのメスフラスコに入れ、校正目盛りまで蒸留水を入れて振り混ぜる。
【0089】
b)0.5%のメチレンブルー溶液の準備:
2000mlのビーカー内で125gのメチレンブルーを約1500mlの蒸留水で溶解する。その溶液を注ぎ入れて蒸留水で25l作製する。
【0090】
既知の本質的な表面積を有する0.5gの湿り気のあるベントナイト試薬を0.001gまでエルレンマイヤーフラスコ内で計量する。50mlの四ナトリウム二リン酸溶液を添加し、その混合物を沸騰するまで5分間加熱する。室温で冷却後、0.5molarのH2SO4を10ml添加し、予測されるメチレンブルーの最終消費量の80〜95%を添加する。検査液の少量をガラス・ロッドに採取し、濾紙上に載置する。無色のコロナを伴うブルーブラックスポットを形成する。更にメチレンブルー溶液を1mlの部分にすぐに添加し、スポットテストを繰り返す。コロナが僅かに明るいブルーに変化するまで、添加を続ける(即ち、添加された量のメチレンブルーは、ベントナイト試薬によってもはや吸収されない)。
【0091】
c)粘土材料の試験:
粘土鉱物をベントナイト試薬と同じ方法で試験する。粘土材料の本質的な表面積は、メチレンブルー溶液の消費量から算出される。この方法によると、381mgメチレンブルー/gの粘土は、100%のモンモリロナイトの含有量に対応する。
【0092】
<乾燥ふるい分けの残差の決定>:
空気乾燥した試験される粘土材料の約50gを適当なメッシュサイズのふるい上に計り取る。ふるい底の下方で回転する吸気スリットによって、ふるい目よりも細かいものをすべて吸い出すバキュームクリーナーにふるいを連結する。ふるいをプラスチックの蓋で覆い、バキュームクリーナーを作動させる。5分後バキュームクリーナーを停止し、ふるい上に残ったより粗い部分の重さの違いを確認する。
【0093】
<水溶液のフェノール酸の定量>:
フェノール酸(クロロゲン酸、シナピン)の濃度は、UV分光分析によって決定される。本発明によるその手順は、「Antioxidant Activity of Rapeseed Phenolics and Their Interactions with Tocopherols During Lipid Oxidation JAOCS,Vol.83,No.6(Thiyam U.,Stockmann H.,Schwarz K.2006)」に記載されている。
【0094】
<プロテイン抽出物の準備>:
ナタネからの抽出:
脱油した粗いナタネ粕100gを1lの脱イオン水(5℃)中で浮遊させ、30分間撹拌する。4000gで遠心分離を10分間行なった後、浮遊物を分離する。そのペレットを後のプロテイン抽出に使用する。このために、既に分離された液体量に等しい水量を加える。そのバッチを40℃に加熱し、それぞれのpH7.4又は8.0に設定し、45分間撹拌する。4000gで遠心分離を15分間行なった後、ペレットから浮遊物を分離する。浮遊物(植物プロテイン抽出物)は、無機吸着材上に不要な随伴物質を吸着させる試験で使用される。
【0095】
粗いヒマワリ粕からの抽出:
脱油した粗いヒマワリ粕100gを1lの水道水に浮遊させる。塩酸でpH5に設定し、そのバッチをUltra−TurraxRによって5分間十分に混合する。4000gで遠心分離を15℃で20分間行なった後、浮遊物を分離する。そのペレットを後のプロテイン抽出に使用する。このために、既に分離された液体量に等しい量の1.5Mの塩溶液を添加する。pHを6又は8に設定し、そのバッチを60分間撹拌する。4000gで遠心分離を20分間行なった後、ペレットから浮遊物を分離する。浮遊物(植物プロテイン抽出物)は、無機吸着材上に不要な随伴物質を吸着させる試験で使用される。
【0096】
粗い大豆粕又はエンドウ豆粕からの抽出:
脱油した粗い大豆粕100g又はエンドウ豆粕100gを1lの水道水に混合する。塩酸によってpHを4.5に設定した後、そのバッチを室温で60分間撹拌する。3000gで遠心分離を10分間行なった後、浮遊物を分離する。そのペレットを後のプロテイン抽出に使用する。このために、既に分離された液体量に等しい水道水量をペレットに添加する。適切なpHに設定し、混合物を60分間撹拌する。3000gで遠心分離を10分間行なった後、ペレットから浮遊物を分離する。浮遊物(植物プロテイン抽出物)は、無機吸着材上に不要な随伴物質を吸着させる試験で使用される。
【0097】
<前抽出なしで植物原材料から抽出する際の手順>:
前抽出なしの試験では、植物原材料100gを1lの水道水で直接的に混合し、適切なpHに設定して混合物を60分間撹拌する。3000gで遠心分離を10分間行なった後、ペレットから浮遊物を分離する。浮遊物(植物プロテイン抽出物)は、無機吸着材上に不要な随伴物質を吸着させる試験で使用される。
【0098】
<無機吸着材における吸着>:
それぞれの無機吸着材を対応する濃度(植物原材料に対して1wt%,2wt%又は5wt%)でプロテイン抽出物100mlに添加し、その混合物を30分間撹拌する。無機吸着材を遠心分離(3000g、10分間、25℃)によって再び分離する。随意的に、得られた浮遊物は、さらに1〜2つの吸着段階を受ける。得られた抽出物は、分析的で且つ感覚的な試験のための開始材である。
【0099】
<ビウレット反応による溶液中のプロテイン含有量の決定>:
原理:
ビウレット反応は、少なくとも2つのCO−NHを含む化合物を検出するのに役立ち、それは銅複合体塩の生成に基づくものである。これは、レッド−ヴァイオレット着色を通して目に見えるようになり、λ=550nmで吸光度を測定することによって、定量的に確認される。
【0100】
手順:
プロテイン濃度が測定範囲1〜10mg/mlとなるまでプロテイン溶液を希釈する。ビウレット溶液(*)(酒石酸カリウムナトリウムC44KNaO6を6.0g、硫酸銅CuSO4・5H2Oを1.5g、蒸留水を250ml、1M苛性ソーダ溶液を300ml)を2ml、その都度、これらの溶液(サンプル又はプロテイン標準溶液)に0.5ml添加し、直ちに混合する。そして、これらを37℃のウォーターバスで20分間培養する。20分後、分光光度計で個々のサンプルのλ=550nmの吸光度を測定する。
*:6.0gの酒石酸カリウムナトリウムC44KNaO6、1.5gの硫酸銅CuSO4・5H2O、250mlの蒸留水、300mlの1M苛性ソーダ溶液
【0101】
サンプルのプロテイン濃度は、検量線からの換算率(程度)によって、個々のプロテイン抽出物の吸光度(希釈係数を含む)を分離することで算出される。そして、平均値は、3つの個々の濃度から形成される。
【0102】
参考文献:
・AACC方法 46−15:天然プロテイン −5− 小麦及び他の穀物に対する微細なビウレット方法(アメリカ穀物科学者協会の承認された方法 第8版 アメリカ穀物科学者協会 St.Paul,MN アメリカ,1983)
・Matissek,R.,Schnepel,F.−M.,Steiner,G.In:Lebensmittel−Analytik.Springer Verlag(ベルリン 東京 1988)
【0103】
<HPLCを使用したフェノール酸の定量>:
無機吸着材への不要な随伴物質の吸着の前後で、上述のように作製された植物プロテイン抽出物を開始材として供給する。それぞれのプロテイン抽出物の1mlを70%メタノール水1mlと混合する。その濃度は、測定を行なうために物質の検量線の範囲に位置しなければならない。そうでなければ、プロテイン抽出物を更に希釈する。希釈されたサンプルを遠心分離し、HPLCで浮遊物を測定する。
【0104】
分析条件:
・カラム:Synergi(TM)Fusion−RP,Phenomenex サイズ:250mm×4.6mm;4ミクロン
・オペレーティング・ソフト:Chromeleon(クロマトグラフィーマネージメントシステム)、Dionex
・実行時間:40分
・移動相A:90%のH2O、10%のメタノール、0.2%のオルトリン酸(85%)
・移動相B:100%のメタノール、0.1%のオルトリン酸
・注入量:20μl
・流速:0.8ml/min
・温度:室温
・検出:330nmの紫外−可視分光分析
・勾配:下記表1に示す。
【表1】

【0105】
異なる濃度で測定されたそれぞれの標準物質の検量線によって定量が行なわれる。既知のピークの表面を検量線の補助によって濃度に変換する。
【0106】
参考文献:
・Antioxidant Activity of Rapeseed Phenolics and Their Interactions with Tocopherols During Lipid Oxidation JAOCS,Vol.83,No.6(Thiyam U.,Stockmann H.,Schwarz K.2006)P523〜528
【0107】
<実施例1>:無機吸着材の特性
本発明の無機吸着材の特性データは、表2に示す通りである。また、無機吸着材中での付随の鉱物の割合を表3に示す。
【0108】
【表2】

【0109】
【表3】

【0110】
<実施例2>:無機吸着材におけるクロロゲン酸の吸着試験
クロロゲン酸は、生のヒマワリプロテインに生じるフェノール酸派生物である。以下で説明される試験では、水中でのクロロゲン酸濃度を0.2wt%に設定し、一方では2molarのNaClと共にpH6でクロロゲン酸の吸着について試験し、他方では1molarのNaClと共にpH8で試験する。25mlの溶液をその都度使用する。これらは、例えば、プロテインを洗浄するためのヒマワリプロテインからの抽出によって設定される特有の状態である。市販のクロロゲン酸(Sigma−Aldrich Chemie GmbH,Taufkirchen)を使用した。吸着処理の前後におけるクロロゲン酸の相対濃度は、324nmのUV吸光度を測定することによって決定される。対応する吸着材を緩衝クロロゲン溶液中で15分間撹拌した。吸着材を遠心分離によって分離し、対応する希釈の後、クロロゲン酸濃度を324nmで光度測定的に決定する。クロロゲン酸吸着に対するスメクタイト粘土鉱物の適合性を最初に総溶液に対して1wt%の投与量で試験した。結果については下記表4及び5に示す。
【0111】
特に、ステベンサイト/セロライト相又はサポナイト相に基づくより疎水性の粘土が溶液中でクロロゲン酸を減少させることが示された。カルシウムベントナイト又は高活性ナトリウムベントナイトによる減少は、ここである程度達成される。さらなる試験では、最初の試験での最も優れた吸着材を5wt%の濃度で使用した。加えて、ハイドロタルサイトを無機吸着材として試験した。2つのタルクサンプル(Finntalc M50−SQ,Westmin D100,製造メーカー:Mondo Minerals BV,1040 HK Amsterdam,the Netherlands)を比較システムとして使用した。タルクと比較して、疎水性の粘土(サポナイト、ステベンサイト/セロライト)は、所定の条件のもとで、クロロゲン酸に対して実質的により良好な結合容量を備えることがここで示された。クロロゲン酸の更に大量の結合は、ハイドロタルサイト1を使用することによって達成される。
【0112】
【表4】

【0113】
【表5】

【0114】
その結果は、ステベンサイト/セロライト又はサポナイトに基づく疎水性又は部分的に疎水性の粘土の適合性だけでなく、特に、クロロゲン酸を吸着するハイドロタルサイトの適合性も示す。タルクは、この用途に適していない(それは、たぶん小さいBET表面積に帰因する)。両方の試験物は、20m2/gより少ない特有の表面積を有する。
【0115】
<実施例3>:ナタネ抽出物からのシナピン/シナピン酸の吸着
生のナタネプロテインからシナピン/シナピン酸を除去するための本発明による吸着材の適合性を調査するために、シナピン/シナピン酸を主に含む抽出物を最初に使用する。シナピン/シナピン酸の濃度は、約0.1wt%であり、シナピン割合は、約90wt%である。シナピン濃度又はシナピン酸濃度の減少は、使用される抽出物の開始濃度に関連し、無機吸着材による処理の30分後に、光学測定的に試験される。シナピン含有量は、UV分光分析によって324nmの波長を測定することで決定される。結果については、下記表6に示す。サンプルを前もって0.45μmのシリンジフィルターに通して濾過する。サンプルを光度定量のためにメタノールで希釈する。25mlの溶液を無機吸着材の1wt%,2wt%及び5wt%のそれぞれと撹拌する。30分後、遠心分離を行ない、シナピンの残留物又はシナピン酸(合計)の残留物が浮遊物中で確認される。その減少は、開始濃度に関連する(これは、100%固定される)。前試験では、シナピン/シナピン酸の吸着を示す吸着材を僅かな使用量で試験した。特に、サポナイト、セロライト及びアルカリ活性ベントナイトは、比較的少量の吸着材によって最初のシナピン/シナピン酸の混合物の50%以上を分離するのに適当であることがここで示された。
【0116】
【表6】

【0117】
従来技術では、シナピンの分離を目的とする分離材料は全く知られていなかった。そのデータは、スメクタイト層状ケイ酸塩がこの用途に非常に適していることを示している。
【0118】
<実施例4>:ヒマワリプロテイン抽出物からのクロロゲン酸及びコーヒー酸の分離
上述のようにして得られる粗いヒマワリ粕からの抽出物を試験に使用した。クロロゲン酸を吸着するための実施例2の前試験で最も優れた結果を示した2つの吸着材を試験に使用した。
【0119】
a)pH6での抽出
粘土鉱物4及びハイドロタルサイト1を用いて2段階吸着を行なった。加えて、粘土鉱物4及びハイドロタルサイト1(交互に)の結合を行なった。その分析結果は、下記表7に示す。
【0120】
【表7】

【0121】
前抽出後に残るフェノール酸の大部分は、無機吸着材による処理によってプロテイン抽出物中で除去される。ハイドロタルサイト1が最も優れている判明した。1つの吸着段階によって抽出物中のクロロゲン酸及びコーヒー酸の濃度を2%又は7%減少させることができた。
【0122】
粘土鉱物4は、濃度を減少させることができたが、ハイドロタルサイト1よりも明確に良くない。多段階方法は、ポリフェノール分離を向上させるが、プロテイン収率を低下させる。
【0123】
b)pH8での抽出
その方法をpH8で同様に行なった。分析結果は、下記表8に示す。
【0124】
【表8】

【0125】
ポリフェノールの分離は、pH8で非常に良好である。ハイドロタルサイト1によって、ほぼ完全にフェノール酸を分離するのに再度1つの工程で十分である。粘土鉱物4による第2段階が必要となる。
【0126】
しかしながら、ポリフェノール酸化酵素の影響で不可逆な酸化がpH8で直ぐに生じるかもしれない。従って、フェノールは、もはや確認されないかもしれない。
【0127】
pH8とpH6との比較:
結果は、図1及び2に示す。2つのフェノール酸、クロロゲン酸及びコーヒー酸の明確な分離は、両方のpH値で可能である。pH6よりもpH8においてフェノール酸の高い割合を常に分離できる。しかしながら、既にpH8では、いくらかのクロロゲン酸及びコーヒー酸が酸化されており、その結果、僅かな含有量が測定される。この酸化反応は、感覚的な理由で好ましくないので、低いpH値での処理が好ましい。
【0128】
<実施例5>:ナタネプロテイン抽出物からのシナピン及びシナピン酸の分離
上述のような脱油された粗いナタネ粕からの抽出物を試験に使用した。
【0129】
植物プロテイン抽出物中のシナピン及びシナピン酸の含有量は、HPLCによって決定される。このために、シナピン及びシナピン酸による校正を前もって実施した(方法部分を参照)。
【0130】
結果:
プロテイン抽出をpH7.4で実施した。プロテイン抽出物は、植物プロテイン抽出物に対するそれぞれの無機吸着材1wt%によって、3つの段階で処理される。結果については、表9に示す。
【0131】
粘土鉱物4及び粘土鉱物2によって第1吸着段階でシナピンを速やかに完全に分離する。ハイドロタルサイト1を使用したところ、3つの吸着工程のみで完全な除去が可能となった。しかしながら、この場合、プロテインもほぼ完全に分離された。
【0132】
単一の吸着工程の時には、プロテインの好ましくない分離が僅かな限度のみで生じた。粘土鉱物2だけでは、プロテインが60%未満に分離された。
【0133】
74%へのシナピン酸の減少は、粘土鉱物4による1つの吸着工程で可能である。他の2つ吸着は、約10%だけ除去できる(図3〜5参照)。
【0134】
【表9】

【0135】
その結果は、シナピンを分離するためのスメクタイト粘土及び/又はセロライト含有粘土の優れた適合性を示す。データが示すように、荷電されていない粘土(サポナイト、セロライト)が、プロテイン濃度の減少を抑制しているため、その工程により適している。プロテインが荷電相互作用(陽イオン交換)によって相互に結合されるという事実によってこれが説明される。粘土鉱物4及び粘土鉱物3よりも粘土鉱物2の方が優れていると言える。
【0136】
<実施例6>:異なる吸着材による粗いナタネ粕からのプロテイン抽出物の処理
さらなる試験では、無機吸着材への吸着によって、脱油した粗いナタネ粕からの抽出物によって得られる植物プロテイン抽出物からのシナピンの除去を試験し、「AmberliteR XAD−4」イオン交換樹脂だけでなく活性炭への吸着量も比較する。AmberliteR XAD−4は、Sigma Aldrich Chemie GmbH(D−82018 Taufkirchen)から入手し、活性炭(粒子状、約2.5mm)は、Merck,Darmstadtから入手した。AmberliteR XAD−4は、ポリスチレンに基づく吸着性樹脂であって非イオン性ポリマーであり、製造メーカーから提供される詳細によると、BET表面積が725m2/gである。
【0137】
5%の吸着材をその都度植物プロテイン抽出物に添加し、混合物を20分間撹拌し、そして、3000gで遠心分離を5分間行なう。浮遊物をHPLC分析によって試験する。吸着処理後の浮遊物のシナピン含有量をブランク値(即ち、本来の抽出物のシナピン含有量)で正規化する。その結果は、表10に示す。その結果は、図6に示す。
【0138】
吸着材の全てが5%の添加量で植物プロテイン抽出物のシナピン含有量を減少できることを表10及び図6の両方が示している。しかしながら、2つの粘土鉱物(サポナイトだけでなくセロライト含有粘土も)がプロテイン抽出物のシナピン含有量を活性炭及びAmberliteR XAD−4(従来技術で通常使用されるもの)よりも明らかに強力に減少させることをデータの対比が示している。
【0139】
【表10】

【0140】
<実施例7>:大豆プロテイン抽出物からの不適当な芳香の除去
手順:
減少したマメ科植物の風味を備える植物プロテイン濃縮液を得るために、植物原材料から得られるプロテイン抽出物を吸着工程によって更に洗浄した。
【0141】
幾つかの吸着材(疎水性、陰イオン性、陽イオン性)を、大豆又はエンドウ豆からのプロテイン抽出物に異なるpH値で添加する。所定の培養時間の後、吸着材を分離し、抽出物を感覚的な条件で調整抽出物と比べて評価した。更に、抽出物中のプロテイン含有量は、プロテインがそれぞれの条件の下では吸着材に凝結するかどうかを立証することで決定される。ビウレット反応の後にプロテインを光度測定によって分析する。
【0142】
プロテイン抽出物を準備するために、実際のプロテイン抽出の前に酸性の前抽出を一部行った。
【0143】
得られたプロテイン抽出物で直ちに感覚試験を行なった。吸着材で処理された溶液を未処理の抽出物と比較した。その都度2つの異なるサンプル(A+B)を互いに比較するいわゆる3点試験法を感覚試験として行なった。このために、それぞれの試験対象は、3桁のランダムな数字によってコード化された3つのサンプル(A,A,B、又は、A,B,B)からなるサンプルセットと見なされる。試験者は、サンプルのどれが複製されたかを知らない。香りと風味を比較することによって、試験対象は、2個のサンプルのどれが他のものと異なっているか、そして、どの顕著な特徴が異なっているかを発見することである。
【0144】
香りの顕著な特徴として下記のものが選ばれた。
・青臭い香り/青野菜の香り
・豆のような香り/エンドウ豆のような香り
・穀物臭
・不快な香り
【0145】
風味の顕著な特徴として下記のものが選ばれた。
・苦み
・青臭い風味/青野菜の風味
・豆のような風味/エンドウ豆のような風味
・穀物の風味
・不快な風味
【0146】
評価では、試験対象の幾つかが逸脱しているサンプルを正確に特定することが立証された。サンプルの有意差がある確率がこれから算出される。サンプルAとBとの間の有意差の確率は、下記の表11から読み取れる。ある有意水準を得るために幾つかの正しい答えが必要とされる。有意水準が高くても0.05であれば、差は顕著であるとみなされる(それは5%の誤りの確率に対応している)。
【0147】
【表11】

【0148】
参考文献:
・Praxishandbuch Sensorik in der Produktentwicklung and Qualitatssicherung,Busch−Stockfisch,Behr’s Verlagに記載された試験が8〜10の試験で行なわれる。
【0149】
<実施例8>:大豆プロテインからの不適当な芳香の除去
試験1:pH8、前抽出なし
初めに、無機吸着材による処理がプロテイン収率を減少させる限界について試験した。
【0150】
このために、大豆プロテインの抽出をpH8.0で行ない、吸着材処理の有無についてプロテイン収率を互いに比較した。結果は、表12に示す。
【0151】
【表12】

【0152】
吸着材は、プロテインの析出の原因とならず、その結果、プロテイン収率を減じなかった。
【0153】
試験2:pH7前抽出なし
大豆プロテインの抽出をpH7.0で試験1と同様に行ない、吸着材処理の有無についてプロテイン収率を互いに比較した。結果は、表13に示す。
【0154】
【表13】

【0155】
無機吸着材は、プロテインの析出の原因とならず、その結果、プロテイン収率を減じなかった。全体的に、低pH値では、プロテインの溶解性が若干低いため、その収率がpH8より若干低くなる。
【0156】
プロテイン抽出は、pH8より高いpH値で、僅かなプロテインの加水分解を引き起こし、その結果、同じくらい穏やかではない。下記の試験は、pH8より小さいpH値で行なった。
【0157】
試験3:pH7、前抽出の有無による比較
大豆プロテインの抽出をpH7.0で前抽出あり及び前抽出なしで行なった。吸着材処理の有無についてプロテイン収率を互いに比較した。
【0158】
作製された抽出物を感覚条件で評価した。結果は、表14に示す。
【0159】
【表14】

【0160】
前抽出によって、プロテインが前抽出の間に失われるため、プロテイン収率は、明らかに減少する。しかしながら、サンプルの感覚的な性質及びプロテインの付加価値は、明確に良好である。プロテイン収率は、吸着材処理によって殆ど減少しなかった。
【0161】
吸着材粘土鉱物3又は吸着材粘土鉱物4によって作製されたサンプル(それぞれ前抽出後)は、最善の機能を果たした。これらの材料によって、不要な風味の印象を減少させることができる。その差は、高い有意性又は非常に高い有意性を有する。
【0162】
前抽出なしのサンプルは、明確に低いため、さらに試験の全体に前抽出を行なった。
【0163】
試験7:pH7−多段階吸着
複数の吸着工程によって、不適当な芳香の分離の効果が向上する。このために、複数の吸着工程を適当な吸着材を用いて実施し、中間段階及び最終段階を評価した。酸性前抽出及びプロテイン抽出をpH7.0で実施した。その結果は、表15に示す。
【0164】
【表15】

【0165】
複数の吸着段階によって、感覚的な性質が明確に改善された。「苦み」「青臭さ」「豆のような香り」及び「穀物臭」が減少した。プロテイン収率は、僅かだけ減少した。特に、そのように得られたプロテインのより中性的な風味は、市販用のプロテインの使用に重要である。見受けられるプロテインの損失は、許容範囲である。
【0166】
<実施例9>:生のエンドウ豆プロテインからの不適当な芳香の除去
実施例8と同様の手順を用い、無機吸着材によってエンドウ豆プロテイン抽出物から不適当な芳香の除去を試験した。
【0167】
生産物が前抽出なしでは感覚的条件が許容範囲ではないことが大豆による試験で示されたので、抽出の全てで前抽出を行なった。大豆試験の結果から、これらの予備的な試験のためのプロテイン含有量を意図的に分析しなかった。
【0168】
感覚的な評価を3点試験法として行なった。吸着材処理ありのプロテイン抽出物及び吸着材処理なしのプロテイン抽出物を試験した。逸脱したサンプルを特定し、逸脱した特性を立証した。
【0169】
試験1:pH8.5
酸性前抽出後、pH8.5でプロテインを抽出し、そして、対応する吸着材で処理した。吸着材処理の有無についてプロテイン収率を互いに比較した。EX M 1840以外で、感覚的な性質が著しく改善された。特に、苦み、時々青野菜の、エンドウ豆のような、芳香成分、風味及び/又は色彩成分を分離することができた。その結果は、表16に示す。
【0170】
【表16】

【0171】
試験2:pH7
酸性前抽出後、プロテインをpH7.0で抽出し、そして、対応する吸着材で処理した。吸着材処理の有無についてプロテイン収率を互いに比較した。その結果は、表17に示す。
【0172】
【表17】

【0173】
抽出物の風味は、吸着材処理によって著しく改善された。特に、粘土鉱物4及びハイドロタルサイト1による処理は、好ましくない風味の印象(青臭さやエンドウ豆のような風味)を減少させた。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
植物プロテインからの不要な随伴物質(特に、芳香成分、風味及び/又は色彩成分)の除去方法であって、少なくとも下記の工程、
i)抽出剤を使用して植物原材料からの抽出を行なう工程;
ii)植物プロテイン抽出物に無機吸着材を添加する工程(不要な随伴物質(特に、芳香成分、風味及び/又は色彩成分)は、そこで無機吸着材に結合する);
を備えることを特徴とする方法。
【請求項2】
i)植物プロテイン抽出物から植物原材料の不溶成分を分離する工程;
ii)植物プロテイン抽出物から無機吸着材を分離する工程;
iii)植物プロテイン抽出物から植物プロテインを分離する工程;
iv)植物原材料を分解(特に脱穀したり、粉砕したり、及び/又は、剥離したり)する工程;
v)植物原材料を前抽出すること(好ましくは1〜6回、特に好ましくは1〜3回)−好ましくは酸性のpH値(更に好ましくは等電点の近傍、特に好ましくはpH5)で5〜10倍の水量、及び/又は、−好ましくは低温(特に好ましくは10℃)で、−また、各前抽出工程後の段階で液相から固体を機械的に分離する工程;
vi)植物プロテイン抽出物から無機吸着材を分離すること及び無機吸着材の添加を繰り返す工程(好ましくは1〜3回);
vii)沈降したプロテイン濃縮液を中和する工程;
から選択される1つ又は複数の工程を備えることを特徴とする請求項1に記載の方法。
【請求項3】
i)植物プロテイン抽出物は、pHが3〜10、好ましくは5〜9、より好ましくは6以上、特に好ましくは6〜8に設定されること;
ii)無機吸着材の分離を機械的に(特には遠心分離や沈降分離によって)行なうこと;
iii)無機吸着材の濃度を使用される植物原材料の質量に対して0.1〜20wt%、好ましくは0.1〜10wt%、更に好ましくは0.5〜5wt%とすること;
vi)無機吸着材の分離を機械的に(特には遠心分離や沈降分離によって)行なうこと;
v)a)溶解されたプロテインの溶液からの沈殿(好ましくは植物プロテインの等電点の近傍で、特に好ましくはpH7未満で)させること、 b)沈殿したプロテインを浮遊物から固体/液体分離すること、 c)植物プロテイン抽出物の乾燥(好ましくはスプレー乾燥)を行なうことによってプロテインの分離が行なわれること;
を備える請求項1又は2に記載の方法。
【請求項4】
抽出剤による植物原材料の抽出の間、及び/又は、植物原材料の前抽出の間、無機吸着材の添加が行なわれることを特徴とする請求項1乃至3の何れか1項に記載の方法。
【請求項5】
植物原材料は、油料種子、油産物の絞り粕、マメ科植物及びその他全てのプロテイン含有植物原材料(好ましくはプロテイン含有量が10%以上、より好ましくは20%以上、更に好ましくは30%以上のプロテイン含有植物原材料、特に好ましくは、大豆、エンドウ豆、ルピナス、ナタネ、ヒマワリの種子、豆及び穀物)からなる群から選択されることを特徴とする請求項1乃至4の何れか1項に記載の方法。
【請求項6】
不要な随伴物質(特に、芳香成分、風味及び/又は色彩成分)は、ポリフェノール、特に好ましくは水酸化桂皮酸(特にはコーヒー酸及びシナピン酸など)、それらの派生物(シナピンやクロロゲン酸など)からなる群より選択されることを特徴とする請求項1乃至5の何れか1項に記載の方法。
【請求項7】
無機吸着材は、粘土(特には合成粘土及び天然由来の粘土(粘土鉱物など))からなる群より選択されることを特徴とする請求項1乃至6の何れか1項に記載の方法。
【請求項8】
粘土は、陰イオン性粘土、陽イオン性粘土、及び荷電していない粘土からなる群より選択されることを特徴とする請求項7に記載の方法。
【請求項9】
陰イオン性粘土は、i)スメクタイト(特にベントナイト、モンモリロナイト、バイデルライト、ノントロナイト、ヘクトライト、サポナイト、スチブンサイト、好ましくはサポナイト、スチブンサイトなど)、及び、ii)バーミキュライトからなる群より選択されることを特徴とする請求項8に記載の方法。
【請求項10】
荷電していない粘土は、i)セロライト、及び、ii)タルク鉱物(特にタルク)、クロライトからなる群より選択されることを特徴とする請求項8に記載の方法。
【請求項11】
陽イオン性粘土は、ハイドロタルサイト(特に合成ハイドロタルサイト)から選択されることを特徴とする請求項8に記載の方法。
【請求項12】
粘土は、ステベンサイト、セロライト、サポナイト、及びバーミキュライトからなる群より選択されることを特徴とする請求項7乃至11の何れか1項に記載の方法。
【請求項13】
無機吸着材の粘土含有量は、i)セロライトが30%以上、好ましくは40%以上、特に好ましくは50%以上、ii)ベントナイトが50%以上、好ましくは60%以上、特に好ましくは70%以上、iii)モンモリロナイトが50%以上、好ましくは60%以上、特に好ましくは70%以上、iv)サポナイトが50%以上、好ましくは60%以上、特に好ましくは70%以上、v)バーミキュライトが30%以上、好ましくは40%以上、特に好ましくは50%以上であることを特徴とする請求項8乃至12の何れか1項に記載の方法。
【請求項14】
植物プロテイン抽出物から不要な随伴物質(特に、芳香成分、風味及び/又は色彩成分)を除去するための請求項8乃至13の何れか1項に記載の粘土の使用。
【請求項15】
不要な随伴物質(特に、芳香成分、風味及び/又は色彩成分)は、ポリフェノールの群から、好ましくは、ポリフェノール、水酸化桂皮酸(特にはコーヒー酸及びシナピン酸など)、それらの派生物(シナピンやクロロゲン酸など)からなる群より選択されることを特徴とする請求項14に記載の粘土の使用。
【請求項16】
不要な随伴物質(特に、芳香成分、風味及び/又は色彩成分)は、水酸化桂皮酸及びフェノール酸から選択され、粘土は、ハイドロタルサイトの群(好ましくは合成ハイドロタルサイトの群)から選択されることを特徴とする請求項15に記載の粘土の使用。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公表番号】特表2010−539960(P2010−539960A)
【公表日】平成22年12月24日(2010.12.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−527363(P2010−527363)
【出願日】平成20年10月2日(2008.10.2)
【国際出願番号】PCT/EP2008/008384
【国際公開番号】WO2009/043586
【国際公開日】平成21年4月9日(2009.4.9)
【出願人】(508131358)ズード−ケミー アーゲー (30)
【出願人】(506184093)フラオンホフェル ゲゼルシャフト ツル フォルデルング デル アンゲヴァンテン フォルシュング イー ヴィ (4)