説明

植物培養装置

【課題】高い生産効率が得られる植物培養装置を提供する。
【解決手段】植物を培養するための植物培養装置20であって、フレーム21、少なくとも1つの発光ダイオード22、少なくとも2枚の可動板23、24、および昇降ユニット25を含む。可動板23、24はフレーム21内に設置され、発光ダイオード22は植物30の上方に位置し、昇降ユニット25と可動板23、24とは連結しており、昇降ユニット25により可動板23、24を移動させることで、植物30の上端部と可動板23との間に所定の距離を保つ。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は植物培養装置に関し、特に発光ダイオードを照明として利用する植物培養装置に関する。
【背景技術】
【0002】
図1は従来の植物培養装置の説明図である。図1に示したように、植物培養装置10は、フレーム11、発光ダイオード12、固定板13および照度コントローラ14を含んでいる。固定板13はフレーム11内に設置され、下表面131を有する。発光ダイオード12は下表面131に設けられている。また、照度コントローラ14は発光ダイオード12と電気的に接続し、光強度および照射時間を調整する。
【0003】
植物の培養の過程で、植物は絶え間なく成長していくため、植物の成長時に固定板13間の距離が調整されないと、植物が上方の固定板13に当たり折れ曲がって損傷してしまうことがある。さらに、植物を培養する時、照射の光強度は植物の成長速度に影響し、そして光源と植物との間の距離は照射の光強度に影響する。照射の光強度が特定の最適値に設定された場合に、植物の生産効率はより高いものとなる。よって、従来の植物培養装置10の固定板13では、植物とその上方の固定板13との間の距離を随時調整することが不可能であり、このため従来の植物培養装置10を利用することによっては最適な生産効率を得ることはできない。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上述に鑑みて、本発明の目的は、従来の問題を解決できる植物培養装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明は、植物を培養するための植物培養装置において、フレームと、少なくとも1つの発光ダイオードと、少なくとも2枚の可動板と、昇降ユニットとを含む植物培養装置を提供する。可動板はフレーム内に設置され、発光ダイオードは植物の上方に位置し、昇降ユニットと可動板とは連結しており、昇降ユニットにより可動板を移動させることで、植物の上端部と可動板との間に所定の距離を保つように構成してある。
【0006】
本発明では、昇降ユニットはボールねじおよびドライバを含み、ボールねじがドライバ及び可動板に連結しており、ドライバがボールねじを駆動して回転させることにより、可動板を移動させるようにしてもよい。
【0007】
本発明では、各可動板は上表面および下表面をそれぞれ含み、上表面には植物が搭載され、下表面には発光ダイオードが設置されるようにしてもよい。
【0008】
本発明では、ドライバはモーターを含むようにしてもよい。
【0009】
本発明では、昇降ユニットはセンサーおよびコントローラをさらに含み、センサーは下表面に設置されてコントローラと電気的に接続しており、コントローラはドライバと電気的に接続しており、センサーは植物と可動板の下表面との間の所定の距離が調整される必要があると検出した場合、コントローラはドライバを作動させるように制御してもよい。
【0010】
本発明では、センサーは赤外線センサーを含むようにしてもよい。
【0011】
本発明では、所定の距離が150mmから300mmであるようにしてもよい。
所定の距離が300mmである場合、発光ダイオードの光強度は300μmol/m2 /sとなる。
【0012】
所定の距離が150mmである場合、発光ダイオードの光強度は150μmol/m2 /sとなる。
【0013】
本発明に係る植物培養装置においては、照度コントローラをさらに含み、照度コントローラは発光ダイオードと電気的に接続しており、光強度および照射時間を調整するようにしてもよい。
【0014】
本発明では、発光ダイオードが赤色発光ダイオードであり、かつ波長が660nmであるようにしてもよい。
【発明の効果】
【0015】
本発明の植物培養装置によれば、高い生産効率を得ることができる。
【0016】
本発明がより明らかになるように、以下に好適な実施形態を挙げ、添付の図面と対応させながら、詳細に説明していく。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【図1】従来の植物培養装置の説明図である。
【図2】本発明の植物培養装置の説明図である。
【図3】本発明の植物培養装置の昇降ユニットの接続ブロック図である。
【図4】本発明の植物培養装置の昇降ユニットの接続関係の説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
図2は本発明の植物培養装置の説明図である。図3は本発明の植物培養装置の昇降ユニットの接続ブロック図である。図4は本発明の植物培養装置の昇降ユニットの接続関係の説明図である。
【0019】
図2〜4に示したように、本発明の植物培養装置20は植物30を培養するのに用いるものであって、フレーム21、発光ダイオード22、可動板23、24および昇降ユニット25を含む。可動板23、24はフレーム21内に設置され、各可動板23、24は上表面231、241および下表面232、242をそれぞれ含み、上表面241には植物30搭載されており、下表面232には発光ダイオード22が設置されている。昇降ユニット25は可動板23、24と連結し、昇降ユニット25により可動板23、24を移動させることで、植物30の上端部と可動板23の下表面232との間に所定の距離H1を保つ。
【0020】
本実施形態において、昇降ユニット25は、ボールねじ251、ドライバ252、センサー253およびコントローラ254を含む。ボールねじ251はドライバ252及び可動板23、24に連結しており、ドライバ252がボールねじ251を回転させるように駆動することにより、可動板23、24を移動させる。センサー253は下表面232に設置され、コントローラ254と電気的に接続している。コントローラ254はドライバ252と電気的に接続している。センサー253は植物30と可動板23の下表面232との間の所定の距離H1が調整される必要があると検出した場合、コントローラ254はドライバ252を作動させるように制御する。
【0021】
本実施形態において、ドライバ252はモーターであり、センサー253は赤外線センサーである。なお、植物を培養する時、照射の光強度は植物の成長速度に影響し、そして光源と植物との間の距離は照射の光強度に影響するが、照射の光強度が特定の最適値に設定された場合に、植物の生産効率はより高いものとなる。よって、本発明の植物培養装置20では、所定の距離H1を150mmから300mmとし、かつ所定の距離H1が300mmである場合には、発光ダイオード22の光強度が300μmol/m2 /s、所定の距離H1が150mmである場合には、発光ダイオード22の光強度が150μmol/m2 /sとなるようにする。本実施形態では、発光ダイオード22は赤色発光ダイオードであり、波長が660nmである。
【0022】
また、本発明の植物培養装置20は照度コントローラ26をさらに含んでもよい。照度コントローラ26は発光ダイオード22と電気的に接続して、光強度および照射時間を調整し、これにより植物30を最適な成長状態に維持する。本発明の可動板は2枚に限られることはなく、より多くの可動板を重ねって利用することによって最適な使用効率を達成することができる。
【0023】
本発明の植物培養装置20は、移動可能な可動板23、24を提供し、かつ昇降ユニット25により自動制御の機能を達成させる。昇降ユニット25はセンサー253を含み、これによりセンサー253が、所定の距離H1が150mmから300mmの範囲にないことを検出したときに、この情報をコントローラ254に伝え、そしてコントローラ254がドライバ252の作動を開始させるように制御する。このとき、ドライバ252はボールねじ251を駆動して回転させ、これによって可動板23、24が制御され高い位置へ上昇または低い位置へ下降し、高さが調整されることとなる。センサー253は、所定の距離H1が150mmから300mmの範囲内に戻ったと感知した場合、コントローラ254はドライバ252の作動を停止させるように制御する。上述からわかるように、本発明の植物培養装置20は、人手がかからなく可動板23、24の位置を調整して、植物30と可動板23の下表面232との間の所定の距離H1を好ましい範囲に保つことができるため、より高い生産効率を達成することができる。
【0024】
また、本発明の要旨は、昇降ユニット25によって板を移動させることで、発光ダイオード22と植物30の上端部との距離を維持することにある。その具体的な実施の形態は、図2に示されるように上、下2枚の可動板23、24を設置してもよいし、又は上側の可動板1枚のみ有し植物30を地面に直接置いてもよい。上、下2枚の可動板23、24は、2枚とも移動可能に構成されてもよいし、上側の可動板または下側の可動板の何れか一方が移動可能に構成されてもよい。
【0025】
以上の記載は本発明の好適な実施形態にすぎず、これを以って本発明の実施の範囲を限定してはならない。つまり、本発明の特許請求の範囲および発明の説明内容に基づいて行われる簡単な均等な変化および修飾は、いずれも本発明に係る特許がカバーする範囲に含まれる。また、本発明のいかなる実施形態または請求項も、本発明が開示する特徴を達成しなければならないということはない。要約および発明の名称は特許文献の検索に役立てるためだけのもので、本発明の特許範囲を限定するものではない。
【符号の説明】
【0026】
10 植物培養装置
11 フレーム
12 発光ダイオード
13 固定板
131 下表面
14 照度コントローラ
20 植物培養装置
21 フレーム
22 発光ダイオード
23、24 可動板
231、241 上表面
232、242 下表面
25 昇降ユニット
251 ボールねじ
252 ドライバ
253 センサー
254 コントローラ
26 照度コントローラ
30 植物
H1 所定の距離

【特許請求の範囲】
【請求項1】
植物を培養するための植物培養装置において、
フレームと、
植物の上方に位置する少なくとも1つの発光ダイオードと、
前記フレーム内に設置される少なくとも2枚の可動板と、
前記可動板と連結する昇降ユニットとを含み、
前記昇降ユニットにより前記可動板を移動させることで、前記植物の上端部と前記可動板との間に所定の距離を保つように構成してあることを特徴とする植物培養装置。
【請求項2】
前記昇降ユニットがボールねじおよびドライバを含み、
前記ボールねじが前記ドライバ及び前記可動板に連結しており、
前記ドライバが前記ボールねじを駆動して回転させることにより、前記可動板を移動させるように構成してあることを特徴とする請求項1に記載の植物培養装置。
【請求項3】
前記ドライバがモーターを含むことを特徴とする請求項2に記載の植物培養装置。
【請求項4】
前記可動板は上表面および下表面をそれぞれ含み、前記上表面には前記植物が搭載され、前記下表面には前記発光ダイオードが設置されることを特徴とする請求項2に記載の植物培養装置。
【請求項5】
前記昇降ユニットはセンサーおよびコントローラをさらに含み、
前記センサーが前記下表面に設置されて前記コントローラと電気的に接続しており、前記コントローラは前記ドライバと電気的に接続しており、
前記センサーは前記植物と前記可動板の前記下表面との間の前記所定の距離が調整される必要があると検出した場合、前記コントローラは前記ドライバを作動させるように制御することを特徴とする請求項4に記載の植物培養装置。
【請求項6】
前記センサーは赤外線センサーを含むことを特徴とする請求項5に記載の植物培養装置。
【請求項7】
前記所定の距離は150mmから300mmであることを特徴とする請求項1に記載の植物培養装置。
【請求項8】
前記所定の距離は300mmである場合、前記発光ダイオードの光強度は300μmol/m2 /sであることを特徴とする請求項7に記載の植物培養装置。
【請求項9】
前記所定の距離は150mmである場合、前記発光ダイオードの光強度は150μmol/m2 /sであることを特徴とする請求項7に記載の植物培養装置。
【請求項10】
照度コントローラをさらに含み、該照度コントローラが前記発光ダイオードと電気的に接続しており、光強度および照射時間を調整することを特徴とする請求項1に記載の植物培養装置。
【請求項11】
前記発光ダイオードは赤色発光ダイオードであり、かつ波長が660nmであることを特徴とする請求項1に記載の植物培養装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2011−160792(P2011−160792A)
【公開日】平成23年8月25日(2011.8.25)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−112482(P2010−112482)
【出願日】平成22年5月14日(2010.5.14)
【出願人】(599037300)億光電子工業股▲ふん▼有限公司 (69)
【氏名又は名称原語表記】Everlight Electronics Co.,Ltd.
【Fターム(参考)】