説明

植物形質転換用の非−アグロバクテリウム細菌種の使用

ダイズ、キャノーラ、トウモロコシおよびワタ細胞を含む、植物細胞のリゾビア−媒介遺伝子形質転換の方法に関する。これらには、VirD2依存性およびVirD2から独立した両方の方法が含まれる。利用する細菌種には、リゾビウム種、シノリゾビウム種およびメソリゾビウム種の菌株が含まれる。かかる形質転換に使用するベクターも開示する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本願は、参照することによってその開示が全体で本明細書に取り込まれる、2006年5月16日に出願された米国仮特許出願60/800,872に基づく優先権を主張する。
【0002】
(1.発明の分野)
本発明は、植物バイオテクノロジーの分野に関する。より詳細には、本発明は、非−アグロバクテリウム細菌種を用いることによってトランスジェニック植物および植物細胞を作成する方法に関する。
【背景技術】
【0003】
(2.関連技術の説明)
アグロバクテリウム(Agrobacterium)種は、リゾビウム(Rhizobium)種、メソリゾビウム(Mesorhizobium)種、シノリゾビウム(Sinorhizobium)種および関連する種および属と一緒にリゾビウム目のメンバーであり、一般的な土壌細菌である。TiまたはRiプラスミドを運搬する多数の野生型および非病原化(disarmed)(非病原性)したアグロバクテリウム・ツメファシエンス(Agrobacterium tumefacience)およびアグロバクテリウム・リゾゲネス(Agrobacterium rhizogenes)は植物への遺伝子移入に用いることができる。TiまたはRiプラスミドを保有する野生型のアグロバクテリウムのT−DNAに位置するフィトクローム合成遺伝子は、形質転換後に植物細胞中で発現し、アグロバクテリウム菌株または種に依存して癌腫形成または根毛表現型を引き起こす。重要なことは、植物細胞に移入し、植物ゲノムに組み込まれる能力は保持しつつ、アグロバクテリウムのT−DNAを設計してその病原性および病理決定因子を「関心のある遺伝子」で置き換え得ることである。かかる「非病原化した」Tiプラスミドを含む菌株は、植物形質転換のために広く使用されている。
【0004】
アグロバクテリウムによる植物細胞へのT−DNA移入の機構はよく調べられている。簡単に述べれば、T−DNAは右側ボーダー(RB)および左側ボーダー(LB)という2のボーダー領域によって境界が定められている。そのボーダーは病原性タンパク質VirD2によって切れ目が入れられ、その5'末端にVirD2が共有結合した一本鎖トランスファーDNA(「T−鎖」)を生成する。アグロバクテリウムVirE2タンパク質も含むタンパク質−DNA複合体はいわゆる4型分泌系(T4SS、病原性タンパク質およびssDNAトランスポーターの両方)を通してアグロバクテリウム細胞を出て植物細胞に移入し、アグロバクテリウムの病原性タンパク質と植物因子の両方の支援でもって植物ゲノムに組み込まれる。植物細胞にDNAを導入するためのアグロバクテリウム媒介ベクターの使用は当該技術分野でよく知られている。例えば、参照することによってその全体が本明細書に特異的に取り込まれるFraleyら,(1985)、Rogersら,(1987)および米国特許第5,563,055号によって記載された方法を参照されたい。
【0005】
アグロバクテリウム媒介形質転換は、アラビドプシス(Arabidopsis)、タバコおよびトマトを含む多くの双子葉植物において有効である。他の種のアグロバクテリウム媒介形質転換の方法も考案されている(例えば、ダイズ形質転換に関する米国特許第6,384,301号)。最初はアグロバクテリウム媒介形質転換は双子葉植物と共にのみ使用されていたが、アグロバクテリウム媒介形質転換技術における進歩は該技術を単子葉植物にも同様に適用可能なものになった。例えば、アグロバクテリウム媒介形質転換技術はイネ(参照することによってその全体が本明細書に特異的に取り込まれるHieiら,1997;Zhangら,1997;米国特許第5,591,616号)、コムギ(McCormacら,1998)、オオムギ(Tingayら,1997;McCormacら,1998)およびトウモロコシ(Ishidaら,1996)に適用されている。
しかしながら、多数の植物種はアグロバクテリウム媒介形質転換になじまず、また効率が低いものも存在する。さらに、アグロバクテリウム・ツメファシエンスは創傷部位で植物に侵入し、非創傷組織には自然には感染しないので、形質転換標的としてのある種の組織の使用は利用できない。
【0006】
T4SS−依存性のT−鎖デリバリーシステムに加えて、アグロバクテリウムは、接合を介して低頻度で細菌細胞間および植物ゲノムにIncQプラスミドpRSF1010のようなプラスミドを移入および組み込むことができるさらなるプラスミド移動系を有する(Buchanan-Wollastonら. 1987, Shadenkovら. 1996;Chenら,2002)。例えば、接合伝達タンパク質MobAは、RSF1010プラスミドのMobBおよびMobCタンパク質と結合してoriT(移入の開始点)を切断し、5'末端に結合し、T4SSシステムから独立してssDNAを細胞に移入する(Bravo-Angelら. 1999およびその中の参考文献)。接合伝達系は細菌に広く存在し、細菌細胞間の遺伝情報の交換を生じる。アグロバクテリウムと系統発生論的には関係するが異なるリゾビウムにおいては(Spainkら,(編), 1998;Farrandら,2003)、幾つかの種において接合伝達系が部分的に特徴付けられている(Freibergら,1997;Turnerら,2002, Tun-Garridoら,2003, Perez-Mendozaら,2004)。接合系は切れ目を入れる部位としてのoriTおよび切れ目を入れる酵素としてのTraAまたはMobが必要であり、それはT−DNA移動で従来使用されているエレメント(各々、VirD2ならびにRBおよびLB部位)とは異なる。植物核標的のためにそのC−末端に植物NLS(核局在シグナル)を有することが見出されているVirD2とは異なり、TraAまたはMobは明確なNLSを有していない。TraAによる植物中のDNAの組み込みの正確な機構および部位は不明のままである。
【0007】
リゾビウム種のようなアグロバクテリウム種以外のリゾビウム目のメンバーは、分化した窒素固定根粒で植物の根部と共生的に関係することが知られている(例えば、Long, 2001)。植物の、特にマメ類の根部の宿主−特異的な分化根粒に加えて、リゾビウム目のメンバーによる幾つかの植物成長促進効果が根粒着生の不存在下で知られている(例えばNoelら,1996)。最近、アグロバクテリウム種以外の細菌による植物の形質転換を記載した報告が発行されている(例えば、Broothaertsら,2005;米国特許公開公報20050289667;20050289672;Wellerら,2004;Wellerら,2005)。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
Broothaertsらは、リゾビウム種、メソリゾビウム・ロティ(Mesorhizobium loti)およびシノリゾビウム・メリロティ(Sinorhizobium meliloti)菌株によるタバコおよびイネに限られた形質転換を報告している。Wellerら(2004, 2005)は、Riプラスミドを保有するリゾビウム種およびオクロバクテリウム(Ochrobactrum)種の菌株を含む幾つかの細菌が明らかに水耕栽培で成長したキュウリおよびトマト植物を形質転換し、根毛表現型に通じることを報告している。しかしながら、幾つかの接種植物における可能性としてアグロバクテリウムの存在は排除されておらず、分析を複雑にしている。非−アグロバクテリウム細菌株によるDNAのダイズ、トウモロコシ、ワタまたはキャノーラ植物細胞へのDNAの移入は報告されていない。また、イネ、タバコおよびアラビドプシスにおける非−アグロバクテリウム細菌株での形質転換の努力は、低形質転換効率によって現在まで障害となっている。したがって、非−アグロバクテリウム細菌株を用いた重要作物種の形質転換を許容する改善された方法の開発および一般的な形質転換効率を改善することについて、当該技術分野には大きな要望が存在する。
【課題を解決するための手段】
【0009】
(発明の概要)
1の態様において、本発明は、(a)少なくとも第1の植物細胞と、(i)Tiプラスミドのvir遺伝子領域を含む第1の核酸、ここにvir遺伝子領域はVirD2−依存様式で植物細胞に関心のある配列をコードする核酸を導入するように作用し、および(ii)関心のある核酸に作動可能に連結した1またはそれを超えるT−DNAボーダー配列(または複数のT−DNAボーダー配列)を含む第2の核酸を含むアグロバクテリウム種以外の細菌とを接触させ;ついで、(b)関心のある核酸で形質転換した少なくとも第1の植物細胞を選択することを含み、ここに植物細胞がダイズ、キャノーラ、トウモロコシまたはワタ植物細胞である植物細胞を形質転換する方法を提供する。
【0010】
もう1の態様において、本発明は、(a)少なくとも第1の植物細胞と、(i)VirD2機能から独立したDNA配列の接合伝達に必要な第1の核酸、および(ii)関心のある核酸を含む第2の核酸を含むアグロバクテリウム以外の細菌とを接触させ、ここに接合伝達に必要な核酸によってコードされるポリペプチドが関心のある核酸を植物細胞にトランスファーするように作用し、ついで、(b)関心のある核酸で形質転換した少なくとも第1の植物細胞を選択することを含む植物細胞を形質転換する方法を提供する。かかる方法においては、接合伝達はtraA、traIまたはmobA依存性とすることができ、第1の核酸はoriTを含むことができる。第1の核酸は左側および右側T−DNAボーダー配列を欠くことができる。
【0011】
本発明の方法において、細菌はリゾビア細胞とすることができる。ある種の形態において、リゾビアはリゾビア細胞による多糖産生を最小限化するのに好適な条件下で増殖する。リゾビア細胞は、植物細胞と接触させる前にvir遺伝子機能を誘導するフェノール性化合物のようなアセトシリンゴンまたは他の化合物の存在下で増殖させることができる。リゾビア細胞は、リゾビウム種、シノリゾビウム種、メソリゾビウム種、フィロバクテリウム種、およびブラディリゾビウム種よりなる群から選択することができる。具体的な形態において、リゾビア細胞はリゾビウム・レグミノサルム(Rhizobium leguminosarum)細胞であり、さらに、リゾビウム・レグミノサルム・ビイブイ・トリフォリ(R. leguminosarum bv. trifolii)、リゾビウム・レグミノサルム・ビイブイ・ファゼオリ(R. leguminosarum bv. phaseoli)またはリゾビウム・レグミノサルム・ビイブイ・ヴィシアエ(R. leguminosarum bv. viciae)の細胞とすることができる。
【0012】
本発明によって提供される形質転換方法の1の態様において、形質転換した植物細胞は植物種子からの、例えば幼植物、カルス、細胞懸濁液、子葉、分裂組織、葉部、根部または茎部からの外植片中に含まれることができる。外植片は、胚性分裂組織外植片;カルス;細胞懸濁液;子葉;または葉部、根部または茎部からの組織を含むことができる。
【0013】
本発明による形質転換に用いる細菌は、例えばエレクトロポレーションによって導入した核酸を含むことができる。配列は、VirD2機能と独立した接合伝達に必要な核酸を含むことができる。核酸は第1および第2の核酸を含むことができる。
【0014】
本発明のもう1の態様において、本明細書に記載する形質転換法は、選択剤の不存在下で関心のある核酸で形質転換した植物細胞を選択することを含み得る。関心のある核酸で形質転換した植物細胞を選択することには、選択剤の存在下で植物細胞を培養し、ここに関心のある核酸は選択剤に対する耐性を付与し、または選択剤に対する耐性を付与するさらなる核酸に作動可能に連結されている。かかる選択剤の例には、グリフォセート、カナマイシン、ビアラフォスまたはジカンバが含まれる。1の形態において、関心のある核酸またはさらなる核酸は、EPSPシンターゼをコードし、いまださらなる形態において、EPSPシンターゼタンパク質CP4をコードする。もう1の形態において、選択剤はグリフォセートである。いまだ他の形態において、関心のある配列は、選択可能なマーカー遺伝子に物理学的に連結していないと定義し得る。例えば、マーカー遺伝子および関心のある核酸は、関心のある核酸で形質転換した植物細胞から再生した植物の子孫において遺伝的に分離し得る。
【0015】
本発明にかかる細菌は、関心のあるさらなる核酸を含む少なくとも第3の核酸を含むことができ、ここに植物細胞は第3の核酸で形質転換する。本発明の方法において、植物はトランスジェニック植物細胞を再生することができ、ここに該植物は関心のある配列を含む。植物を再生することは、植物細胞を含む外植片から1またはそれを超えるシュートの形成を誘導し、少なくとも第1のシュートを全受精能力のある植物に培養することができる。ある種の形態において、植物はトウモロコシまたはワタ植物である。さらなる形態において、再生は器官形成によって起こる。他の形態において、植物はダイズまたはキャノーラ植物である。
【0016】
もう1の態様において、本発明はリゾビウム種、シノリゾビウム種、メソリゾビウム種、フィロバクテリウム種、オクロバクテリウム種およびブラディリゾビウム種よりなる群から選択されるリゾビア細胞を提供し、ここに該細胞は(i)Tiプラスミドのvir遺伝子領域を含む第1の核酸、ここに該vir遺伝子領域は関心のある配列をコードする核酸をVirD2依存性の様式で植物細胞に導入するように作用し;ついで(ii)関心のある配列をコードする核酸に作動可能に連結した1またはそれを超えるT−DNAボーダー配列(または複数のT−DNA配列)を含む第2の核酸を含む。1の形態において、細胞はさらに選択可能なマーカーを含むと定義される。もう1の形態において、リゾビア細胞は、リゾビウム種、リゾビウム種NGR234、リゾビウム・レグミノサルム・マディソン、リゾビウム・レグミノサルムUSDA2370、リゾビウム・レグミノサルムUSDA2408、リゾビウム・レグミノサルムUSDA2668、リゾビウム・レグミノサルム2370G、リゾビウム・レグミノサルム2370LBA、リゾビウム・レグミノサルム2048G、リゾビウム・レグミノサルム2048LBA、リゾビウム・レグミノサルム・ビイブイ・ファゼオリ、リゾビウム・レグミノサルム・ビイブイ・ファゼオリ2668G、リゾビウム・レグミノサルム・ビイブイ・ファゼオリ2668LBA、リゾビウム・レグミノサルムRL542C、リゾビウム・レグミノサルム・ビイブイ・ビシアエ、リゾビウム・レグミノサルム・ビイヴイ・トリフォリ、リゾビウム・エトリ(Rhizobium etli)USDA9032、リゾビウム・エトリ・ビイブイ・ファゼオリ、リゾビウム・トロピシ(Rhizobium tropici)、メソリゾビウム種、メソリゾビウム・ロティML542G、メソリゾビウム・ロティML4404、シノリゾビウム種、シノリゾビウム・メリロティSD630、シノリゾビウム・メリロティUSDA1002、シノリゾビウム・フレディイUSDA205、シノリゾビウム・フレディイSF542G、シノリゾビウム・フレディイSF4404、シノリゾビウム・フレディイSM542C、ブラディリゾビウム種、ブラディリゾビウム・ジャポニカム(Bradyrhizobium japonicum)USDA6およびブラディリゾビウム・ジャポニカムUSDA110よりなる群から選択される。具体的な形態において、細胞はリゾビウム・レグミノサルム細胞であり、さらに例えば、リゾビウム・レグミノサルム・ビイブイ・トリフォリ、リゾビウム・レグミノサルム・ビイブイ・ファゼオリまたはリゾビウム・レグミノサルム・ビイブイ・ビシアエ細胞とすることができる。
【0017】
本発明のいまだもう1の態様において、DNA構築物は、リゾビアからのvirD2独立トランスファーおよびT−DNAボーダー配列を欠くことについてコンピーテントを提供し、該構築物は関心のある核酸に作動可能に連結したoriT配列およびtraAまたはmob配列を含む。本発明は、さらに、請求項35記載のかかるDNA構築物で形質転換したリゾビア細胞を提供し、リゾビアは、リゾビウム種、シノリゾビウム種、メソリゾビウム種、フィロバクテリウム種、オクロバクテリウム種およびブラディリゾビウム種よりなる群から選択される。1の形態において、リゾビア細胞は、リゾビウム種、リゾビウム種NGR234、リゾビウム・レグミノサルム・マディソン、リゾビウム・レグミノサルムUSDA2370、リゾビウム・レグミノサルムUSDA2408、リゾビウム・レグミノサルムUSDA2668、リゾビウム・レグミノサルム2370G、リゾビウム・レグミノサルム2370LBA、リゾビウム・レグミノサルム2048G、リゾビウム・レグミノサルム2048LBA、リゾビウム・レグミノサルム・ビイブイ・ファゼオリ、リゾビウム・レグミノサルム・ビイブイ・ファゼオリ2668G、リゾビウム・レグミノサルム・ビイブイ・ファゼオリ2668LBA、リゾビウム・レグミノサルムRL542C、リゾビウム・レグミノサルム・ビイブイ・ビシアエ、リゾビウム・レグミノサルム・ビイヴイ・トリフォリ、リゾビウム・エトリ(Rhizobium etli)USDA9032、リゾビウム・エトリ・ビイブイ・ファゼオリ、リゾビウム・トロピシ(Rhizobium tropici)、メソリゾビウム種、メソリゾビウム・ロティML542G、メソリゾビウム・ロティML4404、シノリゾビウム種、シノリゾビウム・メリロティSD630、シノリゾビウム・メリロティUSDA1002、シノリゾビウム・フレディイUSDA205、シノリゾビウム・フレディイSF542G、シノリゾビウム・フレディイSF4404、シノリゾビウム・フレディイSM542C、ブラディリゾビウム種、ブラディリゾビウム・ジャポニカム(Bradyrhizobium japonicum)USDA6およびブラディリゾビウム・ジャポニカムUSDA110よりなる群から選択される。具体的な形態において、細胞はリゾビウム・レグミノサルム細胞であり、いまださらなる形態において、リゾビウム・レグミノサルム・ビイブイ・トリフォリ、リゾビウム・レグミノサルム・ビイブイ・ファゼオリまたはリゾビウム・レグミノサルム・ビイブイ・ビシアエ細胞よりなる群から選択される。
【0018】
(図面の簡単な説明)
以下の図面は本願明細書の一部分であり、それを含めて本発明のある種の態様をさらに説明する。本明細書に示す特定の形態の詳細な説明と組み合わせて図面を参照することによって本発明をより良好に理解することができる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【図1】pMON96033の概略地図。
【図2】pMON96036の概略地図。
【図3】pMON101316の概略地図。
【図4】非病原化したいずれかのTi−プラスミド(pTiBo542GまたはpTi4404kan)を有するメソリゾビウム・ロティ(ML)、リゾビウム・レグミノサルム(Rhizobium leguminosarum)(RL)、シノリゾビウム・フレディイ(Sinorhizobium fredii)(SF)、シノリゾビウム・メリロティ(Sinorhizobium meliloti)(SM)を用いたダイズのリゾビウム媒介形質転換の経時的GUSアッセイ。RL4404:pTi4404kanを有するR. leguminosarum株Madison;ML542G:pTiBo542Gを有するM. loti USDA3471;ML4404:pTi4404kanを有するM. loti USDA3471;2370LBA:pTi4404kanを有するR. leguminosarum USDA2370;2370G:pTiBo542Gを有するR. leguminosarum USDA2370;SF4404:pTi4404kanを有するS. fredii USDA205;SM542C:pTiBo542Gを有するS. meliloti USDA1002;ABI:A. tumefaciens ABI株対照。
【図5】リゾビウム媒介形質転換を介して作成したダイズにおけるgusトランスジーンの生殖系列伝播。
【図6】pMON96913の概略地図。
【図7】pMON96914の概略地図。
【図8】pMON96026の概略地図。
【図9】GUS経時的アッセイによって示された幾つかの菌株によるキャノーラのリゾビア媒介形質転換。A) ML542C (22.4%);B) RL2370G (33.3%);C) RL2370LBA (20%);D) SF542C (30.5%);E) SF4404 (20.6%);and F) SM542C (13%)。GUS陽性セクターを含む外植片の%を括弧内に示す。
【図10】リゾビアの幾つかの菌株での安定なトランスジェニック・キャノーラ・カルス形質転換。A) ML542C (50%);B) RL2370G (21%);C) RL2370LBA (67%);D) SF542C (36%);およびE) SM542C (73%)。GUS陽性セクターを含む外植片の%を括弧内に示す。
【図11】リゾビウム媒介形質転換に由来するキャノーラ植物におけるCP4トランスジーンのサザンブロット検出。レーン1:BN_A22系統;レーン2:BN_A24 系統;レーン3:BN_A28系統およびレーン4:BN_A35系統。
【図12】pMON101316を含むリゾビアによるワタ形質転換:A) ML542C (47.8%);B) RL2370G (56%);C) RL2370LBA (31.4%);D) SF542C(23.2%);E) SF4404(31.5%);およびF) SM542C (44.4%)。RL2370を陰性対照として用いた;アグロバクテリウム・ツメファシエンスABI株を陽性対照として用いた。GUS染色陽性外植片のパーセンテージを上方の括弧内に記載する。
【図13】幾つかのリゾビア株によるワタの安定な形質転換:A) ML542C;B) SF542C;C) SM542C;D) SF4404;E) RL2370LBA;およびF) RL2370G。
【図14】リゾビウム−媒介形質転換に由来するワタカルス中のサザンハイブリダイゼーションによるgusトランスジーンの検出。RL2370LBA:LBA4404 Tiヘルパープラスミドを含むR. leguminosarum 2370;SF542:AGL0株由来のpTiBo542ヘルパープラスミドを含むSinorhizobium fredii 205;およびSF4404:LBA4404 Tiヘルパープラスミドを含むSinorhizobium fredii 205。
【図15】ワタ未成熟胚におけるgus遺伝子の経時的発現によって示されるリゾビア媒介トウモロコシ形質転換。ABI:A. tumefaciens;RL2370LBA:LBA4404 Ti プラスミドを含むRhizobium leguminosarum USDA2370;SM542C:pTiBo542を含むSinorhizobium meliloti USDA1002;ML542G:pTiBo542を含むMesorhizobium loti;SF4404:LBA4404 Tiプラスミドを含むSinorhizobium fredii USDA205;SF542C:pTiBo542を含むSinorhizobium fredii USDA205。すべての菌株はpMON96036を含み、ATA培地pH5.4中で誘導した。
【図16】リゾビア株で形質転換した後のgfpマーカーを発現するトウモロコシカルス。
【図17】リゾビウム媒介形質転換に由来するトウモロコシ植物におけるトランスジーン組み込みのサザンハイブリダイゼーション解析。DIG-標識gusプローブを用いてトランスジーンを検出した。レーン1-2および11-12:M. loti ML542G/pMON96036で形質転換した後に由来する系統;レーン3-9:A. tumefaciens ABI対照で形質転換した後に由来する系統;レーン13-17:S. fredii SF4404/pMON96033で形質転換した後に由来する系統;レーン18-19:S. fredii SF542C/pMON96036で形質転換した後に由来する系統。
【発明を実施するための形態】
【0020】
(発明の詳細な説明)
以下の記載は、当業者が本発明を実施することを支援するために提供する発明の詳細な説明である。当業者であれば、本発明の趣旨または範囲を逸脱することなく本願明細書に記載している形態に修飾および変形を行い得る。
【0021】
本発明は、リゾビアによる重要作物種の植物細胞の効率的な遺伝子形質転換用の方法および組成物を提供する。本発明は、制限された形質転換効率を含む当該技術分野における実質的な制限を克服し、非−アグロバクテリウム菌株の使用によって重要作物植物の形質転換に従順な技術を記載することをしていない。例えば、アグロバクテリウム以外の細菌の使用を幾つかの植物種について論じているが、形質転換頻度は低い。イネの場合においては、687接種カルスから得た1のみの形質転換植物をもって形質転換頻度は0.6%であり、報告されているよりも低い(Broothaertsら,2005)。これは、アグロバクテリウムを用いた50−80%の形質転換頻度と対照的である。アグロバクテリウムによって容易に形質転換したモデル生物を用いた場合でさえ、形質転換頻度はアグロバクテリウム−媒介形質転換によって得たものの断片にすぎない。
【0022】
現在までに、かなりの研究が異なる植物種に対するアグロバクテリウム媒介形質転換のようなよく開発された形質転換法を適用することが多くの例において要求されている。異なる種の植物は、遺伝子形質転換への従順性に影響する実質的な生理学的相違を示す場合がある。したがって、1の種の植物の形質転換法が、あったとしても、他の植物で効果的に働かず、植物を形質転換する能力がその方法を用いて関連する種でさえ形質転換する能力の予想に必ずしもならない。このことは、用いる細菌株と標的植物細胞との間の複雑な生化学的相互作用を含む細菌形質転換について特に典型的である。リゾビアは自然環境では植物と相互作用し、したがって宿主特異性を示すことができ、その影響は多くの作物種について知られていない。
【0023】
したがって、リゾビア媒介形質転換に従順な植物を同定し、増加した形質転換効率を許容する方法を開発することは、非常に関心のあることである。特に、効率的な形質転換は重要である。なぜなら、いずれか所与の形質転換事象が発現される程度は植物ゲノムの組み込み部位に実質的に依存して変化し得るからである。したがって、好適な発現プロフィールを有する形質転換事象を選択する能力は、効率的な形質転換体を作製する能力に依存する。下記の実施例で説明するように、5%ほども高い一時的な形質転換効率がダイズの形質転換について本発明者らによって得られ(図4)、56%および33%に近い頻度が各々ワタ(図12)およびキャノーラ(図9)の場合に得られた。
【0024】
本発明は、1の形態において、キャノーラ、トウモロコシ、ワタおよびダイズを含む、リゾビアによって形質転換し得ることが以前に知られていなかった重要作物植物を形質転換するリゾビアの使用に関する技術を提供することによって当該技術分野の制限を克服する。本発明は、低頻度でリゾビアによる形質転換に従順であることがすでに知られているものを含む、リゾビアを用いる植物の効率的な形質転換のための技術も提供する。本発明は、アグロバクテリウムのものとは異なる組織標的の形質転換の方法も提供する。例えば、アグロバクテリウムは典型的に植物に感染するための創傷部位を必要とし、リゾビウムのようなリゾビウム種を含むリゾビウム目の幾つかの他のメンバーは植物組織に貫通する感染糸を介して植物根部に自然に感染し、形質転換標的として非−創傷組織の使用を許容する。
【0025】
本発明の詳細な説明を理解する当業者を支援するために以下の定義を提供する。
本明細書にて用いる「植物成長調節剤」または「植物ホルモン」とは、植物の成長に影響する化合物をいう。植物成長調節剤には、限定されるものではないが、オーキシン、サイトカイニン、ABA、ジベレリン、エチレン、ブラシノステロイドおよびポリヌクレオチドアミンが含まれる。オーキシンは低濃度でシュートおよび根の伸長に影響するが、高レベルでは成長を阻害する。一般的に使用されるオーキシンには、ピクロラム(4−アミノ−3,5,6−トリクロロピコリン酸)、2,4−D(2,4−ジクロロフェノキシ酢酸)、IAA(インドール−3−酢酸)、NAA(α−ナフタレン酢酸)およびジカンバ(3,6−ジクロロアニス酸)が含まれる。サイトカイニンは細胞分裂、細胞分化およびシュート分化を引き起こす。一般的に使用されるサイトカイニンには、カイネチン、BA(6−ベンジルアミノプリン)、2−ip(2−イソペンテニルアデニン)、BAP(6−ベンジルアミノプリン)、チジアズロン(TDZ)、ゼアチンリボシドおよびゼアチンが含まれる。
【0026】
「コーディング配列」、「コーディング領域」または「オープンリーディングフレーム」とは、タンパク質、ポリペプチドまたはペプチド配列をコードする連続する一連の核酸トリプレットの領域をいう。
【0027】
「双子葉」とは、2の子葉を有する植物をいう。その例には、限定されるものではないが、アルファルファ、マメ類、ブロッコリ、キャベツ、キャノーラ、ニンジン、カリフラワー、セロリ、ワタ、キュウリ、ナス、レタス、メロン、エンドウ、コショウ、ジャガイモ、カボチャ、ダイコン、ナタネ、ホウレンソウ、ダイズ、カボチャ、トマトおよびメロンのような植物が含まれる。
【0028】
「内因性」とは、生物または細胞内起源の材料をいう。「外因性」とは、生物または細胞の外側起源の材料をいう。本明細書にて用いる外因性とは、より小さな(同一ではないが)核酸がレシピエント細胞または組織にすでに存在し得る解中に関係なく、レシピエント細胞または組織以外の起源からのいずれの核酸をもいうことを意図する。
【0029】
「外植片」とは、形質転換し、その後にトランスジェニック植物に再生することができる植物部分をいう。その例には、胚、カルス、細胞懸濁液、子葉、分裂組織、幼植物、種子、葉部、茎部または根部が含まれる。
【0030】
「単子葉」とは、単一の子葉を有する植物をいう。その例には、限定されるものではないが、タマネギ、トウモロコシ、イネ、サトウモロコシ、コムギ、ライムギ、キビ、サトウキビ、エンバク、ライコムギ、オオムギおよびシバが含まれる。
【0031】
「核酸」とは、デオキシリボ核酸(DNA)またはリボ核酸(RNA)をいう。
【0032】
「表現型」とは、ゲノム(プラスミドおよび人工染色体のような非−ゲノムDNAおよびRNAを含む)および/または生物のオルガネラ中の核酸の発現(または発現の欠如)から生じる生物によって示される特性をいう。
【0033】
「植物」なる用語には、植物の再生単位(例えば、種子、球根、塊茎、分裂組織、またはそれから植物を再生し得る他の部分または組織)、果実および花を含む、単子葉植物(例えば、トウモロコシ、イネ、コムギ、オオムギほか)、双子葉植物(例えば、ダイズ、ワタ、トマト、ジャガイモ、アラビドプシス、タバコほか)、裸子植物(マツ、モミ、ヒマラヤスギほか)を含むいずれの高等植物およびその子孫が包含される。
【0034】
「ポリアデニル化シグナル」または「ポリAシグナル」とは、コーディング領域から転写されたmRNAの3'末端にアデニル酸ヌクレオチドの付加を促進するコーディング領域の3'に位置する核酸配列をいう。
【0035】
「プロモーター」または「プロモーター領域」とは、RNAポリメラーゼの認識部位および/または他の転写関連因子の他の認識部位を提供してRNAを生成しおよび/またはDNA上の正確な部位での転写を開示することによってコーディング配列の発現を変化する、通常はコーディング配列の5'側に見出される核酸配列をいう。
【0036】
「組換え核酸ベクター」もしくは「ベクター」または「構築物」とは、ゲノム組み込みまたは自律的複製を行うことができ、核酸分子を含み、その中では1またはそれを超える核酸配列が機能的に作動可能な様式で連結しているいずれの源に由来するプラスミド、コスミド、ウイルス、自律複製配列、ファージまたは直鎖もしくは円形の一本鎖または二本鎖DNAまたはRNAヌクレオチドセグメントのようないずれの剤をもいう。かかる組換え核酸ベクターまたは構築物は、典型的に、5'調節配列またはプロモーター領域および所望の遺伝子産物をコードするコーディング配列を含む。ベクターは典型的に一旦細胞または組織に送達されると、コーディング配列がmRNAに転写され、それは所望によりポリペプチドまたはタンパク質に翻訳されるように設計されている。
【0037】
「リゾビア」とは、限定されるものではないが、数ある中でも、分類ファミリーリゾビアセア(例えば、リゾビウム種、シノリゾビウム種);フィロバクテリアセア(例えば、メソリゾビウム種、フィロバクテリウム種);ブルセラセア(例えば、オクロバクテラム種);ブラディリゾビアセア(例えば、ブラディリゾビウム種)およびザンソバクテラセア(例えば、アゾリゾビウム種)を含むアグロバクテリウム細菌株以外のリゾビア目に割り当て得る細菌属、種および菌株をいう。本願の目的について、「リゾビア」には、次亜種または種を含まない。
【0038】
分類学的割り当ては、当該技術分野で知られているように、例えば、16S rDNA配列の比較または他の分類法によって行うことができる。多くのリゾビウム種の野生型菌株は、典型的にマメ科植物(Fabaceae)のような宿主植物の根組織における窒素固定根粒の形成を有することができる。しかしながら、所定の植物種の根に根粒系する能力は、植物種の細胞へのリゾビウム媒介DNA移入に必要でない。
【0039】
「選択マーカー」または「スクリーニング可能なマーカー」とは、その発現が核酸配列を含む細胞、組織または植物の同定を促進する表現型を付与する核酸配列をいう。
【0040】
「転写」とは、DNA異型接合体からのRNAコピーを生成する工程をいう。
「形質転換」とは、外因性核酸配列を細胞または組織に導入する工程をいう。形質転換は一時的または安定となり得る。安定な形質転換においては、外因性核酸の一部分またはすべてが核ゲノムDNA、プラスチドDNAに取り込まれる(例えば、組み込まれるまたは安定して維持される)か、または核もしくはプラスチドにおいて自律複製することができる。
「トランスジェニック」とは、外因性核酸配列が安定して形質転換された生物をいう。
【0041】
形質転換工程のベクターを設計することにおいては、植物の細胞または組織に導入する1またはそれを超える遺伝子コンポーネントを選択する。遺伝子コンポーネントには、本発明に係る方法を用いて植物細胞または組織に導入するいずれの核酸も含むことができる。遺伝子コンポーネントには、非−植物DNA、植物DNAまたは合成DNAが含まれ得る。
【0042】
1の形態において、遺伝子コンポーネントは、以下の型の遺伝子コンポーネント:(a)RNA配列の生成を引き起こす植物細胞において機能するプロモーター、(b)農業的有用な生成物をコードするRNA配列の生成を引き起こす構造DNA配列、および(c)植物細胞中で機能してRNA配列の3'末端にポリアデニル化ヌクレオチドの付加を引き起こす3'非−翻訳DNA配列、の少なくとも1またはそれを超えるものを含む組換え二本鎖プラスミドまたはベクター分子のようなDNAコンポーネントに取り込まれる。
【0043】
ベクターは、植物細胞または組織の形質転換を測定し、構造核酸配列の発現を調節することができる多数の遺伝子コンポーネントを含むことができる。1の好ましい形態において、遺伝子コンポーネントはmRNAを発現し、任意の形態においてはタンパク質に翻訳され得るように方向付けられている。二本鎖形態で存在する植物構造コード配列(遺伝子、cDNA、合成DNAまたは他のDNA)の発現は、RNAポリメラーゼ酵素による1のDNA鎖からのメッセンジャーRNA(mRNA)の転写および核内でのmRNA一次転写物のその後のプロセシングを含む。このプロセシングには、mRNAの3'末端にポリアデニル化ヌクレオチドを付加する3'非−翻訳領域が含まれる。
【0044】
望ましい遺伝子コンポーネントを含むプラスミドまたはベクターを調製する方法は当該技術分野でよく知られている。ベクターは典型的には、限定されるものではないが、プロモーター、リーダー、イントロンおよびターミネーター配列のような調節因子を含む多数の遺伝子コンポーネントからなる。調節因子はシス−またはトランス−調節因子ともいい、それは、それが制御する配列または遺伝子(もしくは複数の遺伝子)への因子の近さに依存する。
【0045】
mRNAへのDNAの転写は、「プロモーター」と通常はいわれるDNAの領域によって調節する。プロモーター領域には、RNAポリメラーゼにDNAと会合し、鋳型としてのDNA鎖のうちの1本を用いてmRNAへの転写を開始すうrようにRNAポリメラーゼに信号を送る塩基の配列を含み、RNAの対応する相補的鎖を生成する。
【0046】
植物細胞中で有効である多数のプロモーターが文献に記載されている。かかるプロモーターには限定されるものではないが、ノパリンシンターゼ(NOS)およびオクトピンシンターゼ(OCS)プロモーターが含まれ、それはアグロバクテリウム・ツメファシエンスのTiプラスミド上に運搬されており、カリフラワーモザイクウイルス(CaMV)19Sおよび35Sプロモーターならびにゴマノハグサモザイクウイルス(FMV)35Sプロモーターのようなカリモウイルスプロモーター、ならびに強化(enhanced)CaMV35Sプロモーター(e35S)が含まれる。環境、ホルモン、化学物質および/または発達シグナルに応答して調節される種々の他の植物遺伝子プロモーターも植物細胞におけるいずれのDNA構築物の発現に用いることができ、それには例えば、(1)熱(Callisら,1988)、(2)光(例えば、pea RbcS-3Aプロモーター、Kuhlemeierら,(1989));トウモロコシRbcSプロモーター(Schaffnerら,(1991));(3)アブシジン酸のようなホルモン(Marcotteら,1989)、(4)傷(例えば、Wuni, Siebertzら,1989);または他のシグナルまたは化学物質によって調節されるプロモーターが含まれる。組織特異的な発現も知られている。以下に記載するように、選択する特定のプロモーターは十分に発現して有効量の関心のある遺伝子産物の生成を生じることができることが好ましい。かかるプロモーターを記載している例には、限定されるものではないが、米国特許第6,437,217号(トウモロコシRS81プロモーター)、米国特許第5,641,876号(イネアクチンプロモーター、OsAct1)、米国特許第6,426,446号(トウモロコシRS324プロモーター)、米国特許第6,429,362号(トウモロコシPR-1プロモーター)、米国特許第6,232,526号(トウモロコシA3プロモーター)、米国特許第6,177,611号(構造トウモロコシプロモーター)、米国特許第5,322,938号、第5,352,605号、第5,359,142号および第5,530,196号(35Sプロモーター)、米国特許第6,433,252号(トウモロコシL3オレオシン・プロモーター)、米国特許第6,429,357号(イネアクチン2プロモーターならびにイネアクチン2イントロン)、米国特許第5,837,848号(根特異的プロモーター)、米国特許第6,294,714号(光誘導性プロモーター)、米国特許第6,140,078号(塩誘導性プロモーター)、米国特許第6,252,138号(病原菌誘導性プロモーター)、米国特許第6,175,060号(リン欠乏誘導性プロモーター)、米国特許第6,635,806号((gamma-coixinプロモーター)および米国特許第7,151,204号(トウモロコシクロロプラストアドラーゼプロモーター)が含まれる。使用を見出し得るさらなるプロモーターには、ノパリン・シンターゼ(NOS)プロモーター(Ebertら,1987), オクトピンシンターゼ(OCS)プロモーター(それはアグロバクテリウム・ツメファシエンスのTiプラスミド上に運搬されている)、カリフラワーモザイクウイルス(CaMV)19Sプロモーター(Lawtonら,1987)、CaMV 35Sプロモーター(Odellら,1985)、figwortモザイクウイルス35S-プロモーター(Walkerら,1987;米国特許第6,051,753号;第5,378,619号)のようなカリモウイルスプロモーター、スクロース合成酵素プロモーター(Yangら,1990)、R遺伝子複合体プロモーター(Chandlerら,1989)およびクロロフィルa/b結合タンパク質遺伝子プロモーター、PClSV(米国特許第5,850,019号)が含まれる。本発明においては、エンハンサー配列を含むCaMV35S(e35S;米国特許第5,322,938号;第5,352,605号;第5,359,142号;および第5,530,196号)、FMV35S(米国特許第6,051,753号;第5,378,619号)、peanut chlorotic streakカリモウイルス (PClSV;米国特許第5,850,019号)、At.Act7(受託番号U27811)、At.ANT1(米国特許出願番号20060236420)、FMV.35S-EF1a(米国特許出願公開2005/0022261)、eIF4A10 (受託番号X79008)およびAGRtu.nos(GenBank受領番号V00087;Depickerら,1982;Bevanら,1983)、イネ・サイトゾルのリン酸トリオースイソメラーゼ(OsTPI;米国特許第7,132,528号)、およびイネアクチン15遺伝子(OsAct15;米国特許出願公開2006/0162010)のプロモーターは特に有利である。幾つかの例において、例えばOsTPIおよびOsAct 15においては、プロモーターは5'UTRおよび/または第1イントロンを含むことができる。
【0047】
プロモーターハイブリッドを構築して転写活性を高め(米国特許第5,106,739号)、または望ましい転写活性、誘導性および組織特異性または発生特異性を結合することもできる。植物中で機能するプロモーターには、限定されるものではないが、誘導性、ウイルス、合成、記載したような構造性、および時間的に調整された、空間的に調整された、および、空間的−時間的に調整されたプロモーターが含まれる。組織向上された、組織特異的の、または発生調整された他のプロモーターも当該技術分野で知られており、本発明の実施において有用性を有すると想像される。
【0048】
本発明のDNA構築物(すなわち、キメラ/組換え植物遺伝子)で使用するプロモーターは、望ましい場合は修飾してその制御特性を修飾することができる。プロモーターは、オペレーター領域との接合によって、ランダムまたは制御された突然変異導入ほかによって誘導することができる。さらに、プロモーターは改変して遺伝子発現を高めるのを助ける複数の「エンハンサー配列」を含むことができる。
【0049】
本発明のDNA構築物によって生成されるmRNAは、5’−非翻訳リーダー配列を含むこともできる。この配列は遺伝子を発現するために選択したプロモーターから誘導することができ、mRNAの翻訳を増大または減少するように特異的に修飾することができる。5'−非翻訳領域は、ウイルスRNAから、好適な真核生物遺伝子から、または合成遺伝子配列から得ることもできる。かかる「エンハンサー」配列は、得られるmRNAの翻訳効率を増大または変化させることが望ましい場合もある。。本発明は、非翻訳領域がプロモーター配列を伴う5'−非翻訳の両方から由来する構築物に限定されない。むしろ、非−翻訳リーダー配列は、無関係のプロモーターまたは遺伝子に由来し得る(例えば、米国特許第5,362,865号を参照されたい)。非−翻訳リーダー配列の例には、トウモロコシおよびペチュニアのヒートショックタンパク質リーダー(米国特許第5,362,865号)、植物ウイルスコートタンパク質リーダー、植物rubiscoリーダー、GmHsp(米国特許第5,659,122号)、PhDnaK(米国特許第5,362,865号)、AtAnt1、TEV(CarringtonおよびFreed,1990)、OsAct1(米国特許第5,641,876号)、OsTPI(米国特許第7,132,528号)およびOsAct15(米国特許出願公開20060162010)およびAGRtu.nos(GenBank受理番号V00087;Bevanら, 1983)が含まれる。遺伝子の発現を高め、または転写または翻訳に影響する他の遺伝子コンポーネントも遺伝子コンポーネントとして想像される。
【0050】
イントロン配列も単子葉植物細胞におけるトランスジーンの発現を助けることが当該技術分野で知られている。イントロンの例には、トウモロコシ・アクチンイントロン(米国特許第5,641,876号)、トウモロコシHSP70イントロン(ZmHSP70;米国特許第5,859,347号;米国特許第5,424,412号)およびイネTPIイントロン(OsTPI;米国特許第7,132,528号)が含まれ、本発明を実施するのに有利である。
【0051】
転写の終結は、組換えトランスジーン(例えば、関心のある遺伝子、スクリーニング可能な遺伝子を含む同定配列、または植物選択可能なマーカー遺伝子)に作動可能に連結した3'−非翻訳DNA配列によって行うことができる。組換えDNA分子の3'−非翻訳領域は、植物中で機能するポリアデニル化シグナルを含んでRNAの3'末端にアデニル酸ヌクレオチドの付加を引き起こす。3'−非翻訳領域は植物細胞中で発現する種々の遺伝子から得ることができる。ノパリンシンターゼ3'非翻訳領域(Fraleyら,1983)はこの能力において通常使用される。ピサム・サティバム(Pisum sativum)RbcS2遺伝子からのポリアデニル化分子(Ps.RbcS2-E9;Coruzziら,1984)、AGRtu.nos(Genbank受理番号E01312)、E6(受理番号U30508)、イネ・グルテリン(Okitaら,1989)およびTaHsp17(コムギ低分子量ヒートショックタンパク質遺伝子;GenBank受理番号X13431)は本発明と一緒に使用するのに特に有用となり得る。
【0052】
1の形態において、ベクターは選択可能な、スクリーニング可能なまたは評点付け可能なマーカー遺伝子を含む。これらの遺伝子コンポーネントは、それが形質転換植物の同定に機能する産物または農業的に有用な産物を生成するため、機能的遺伝子コンポーネントとも本明細書中ではいう。選択またはスクリーニング・デバイスとして作用するDNAは再生可能な植物組織中で機能して、毒性化合物ほかに抵抗性を植物組織に付与する化合物を生成し得る。多数のスクリーニング可能なまたは選択可能なマーカー遺伝子が当該技術分野で知られており、本発明において使用することができる。選択可能なマーカーおよびそれに抵抗性を供する遺伝子の例は、MikiおよびMcHugh,2004に開示されている。選択可能な、スクリーニング可能な、または評点付け可能なマーカーとして使用するための関心のある遺伝子には、限定されるものではないが、数ある中でも、gus、gfp(グリーン蛍光タンパク質)、ルシフェラーゼ(LUX)、カナマイシンのような抗生物質に対する耐性を付与する遺伝子(Dekeyserら,1989)、ネオマイシン、カナマイシン、パロモマイシン、G418、アミノグリコシド、スペクチノマイシン、ストレプトマイシン、ハイグロマイシンB、ブレオマイシン、フレオマイシン、スルホンアミド、ストレプトスリシン、ストレプトスリシン、クロラムフェニコール、メトトレキサート、2−デオキシグルコース、ベタインアルデヒド、S−アミノエチル L−システイン、4−メチルトリプトファン、D−キシロース、D−マンノース、ベンジルアデニン−N−3−グルクロニダーゼ、グリフォセートのような除草剤に対する耐性を付与する酵素(例えば、5−エノールピルビルシキメート−3−ホスフェートシンターゼ(EPSPS):Della-Cioppaら,1987;米国特許第5,627,061号;米国特許第5,633,435号;米国特許第6,040,497号;米国特許第5,094,945号;WO04074443およびWO04009761;グリフォセートデカルボキシラーゼ(WO05003362および米国特許出願公開20040177399;またはグリフォセートN−アセチルトランスフェラーゼ(GAT);Castleら,米国特許出願公開20030083480)、ダラポン(例えば、2,2−ジクロロプロピオン酸(Dalapon;WO9927116)に対する耐性を付与する2,2−ジクロロプロピオン酸デハロゲナーゼをコードするdehI)、ブロモキシニル(ブロモキシニルに対する耐性を付与するハロアリールニトリラーゼ(Bxn)(WO8704181A1;米国特許第4,810,648号;WO8900193A))、スルホニル除草剤(例えば、スルホニル尿素、イミダゾリノン、トリアゾロピリミジン、ピリミジルオキシベンゾエートおよびフタリドのようなアセト乳酸シンターゼインヒビターに対する耐性を付与するアセトヒドロキシ酸シンターゼまたはアセト乳酸シンターゼ(米国特許第6,225,105号;第5,767,366号、第4,761,373号;第5,633,437号;第6,613,963号;第5,013,659号;第5,141,870号;第5,378,824号;第5,605,011号))をコードする遺伝子;ALS、」GST-IIをコードする遺伝子)、ビアラフォスまたはホスフィノトリシンまたは誘導体(例えば、ホスフィノトリシンまたはグルフォシネートに対する耐性を付与するホスフィノトリシン・アセチルトランスフェラーゼ(bar)(米国特許第5,646,024号、米国特許第5,561,236号、欧州特許第275,957;米国特許第5,276,268号;米国特許第5,637,489号;米国特許第5,273,894号)、アトラジン(GST-IIIをコードする)、ジカンバ(ジカンバモノオキシゲナーゼ(DMO);米国特許出願公開20030115626、20030135879)またはセトキシジム(シクロヘキサンジオンに対する耐性を付与する修飾アセチルコエンザイムAカルボキシラーゼ(セトキシジム)およびアリールオキシフェノキシプロピオン酸(ハロキシフロップ))が含まれる。陽性選択機構(例えば、マンノース存在下での増殖を許容するイー・コリ(E.coli)のmanA遺伝子の使用)が含まれることも意図し得、本発明の範囲内になお入るであろう(MikiおよびMcHugh(2004)も参照されたい)。
【0053】
本発明は、特に望ましい特性を付与するのに十分な様式で発現される1またはそれを超える核酸と一緒に、記載したような選択可能なおよびスクリーニング可能なマーカーおよび関連する調節エレメントを含むいずれか好適な植物形質転換プラスミドまたはベクターと一緒に使用し得る。本発明によって想像される農業的関心のある好適な構造遺伝子の例には、限定されるものではないが、病気、昆虫、または害虫耐性、除草剤耐性の遺伝子、収量、栄養向上、環境またはストレス耐性、または植物生理学、成長、発生、形態またはデンプン生成を含む植物生成物(または複数の生成物)におけるいずれか望ましい変化のような品質の改善のための遺伝子(米国特許第6,538,181号;第6,538,179号;第6,538,178;第5,750,876号;第6,476,295号)が含まれ、それには、修飾したオイル生成(米国特許第6,444,876号;第6,426,447号;第6,380,462号)、高オイル生成(米国特許第6,495,739号;第5,608,149号;第6,483,008号;第6,476,295号)、修飾した脂肪酸含量(米国特許第6,828,475号;第6,822,141号;第6,706,950号;第6,660,849号;第6,596,538号;第6,589,767号;第6,537,750号;第6,489,461号;第6,459,018号)、高タンパク質生成(米国特許第6,380,466号)、果実熟成(米国特許第5,512,466号)、高められた動物およびヒトの栄養(米国特許第6,723,837号;第6,653,530号;第6,5412,59号;第5,985,605号;第6,171,640号)、バイオポリマー(米国特許第RE37,543号;第6,228,623号;第5,958,745号および米国特許出願公開20030028917)が含まれる。また、環境ストレス抵抗性(米国特許第6,072,103号)、医薬ペプチドおよび分泌性ペプチド(米国特許第6,812,379号;第6,774,283号;第6,140,075号;第6,080,560号)、修飾されたプロセシング特性(米国特許第6,476,295号)、改善された消化性(米国特許第6,531,648号)、低ラフィノース(米国特許第6,166,292号)、工業酵素生産(米国特許第5,543,576号)、修飾したフレーバー(米国特許第6,011,199号)、窒素固定(米国特許第5,229,114号)、ハイブリッド種子生産(米国特許第5,689,041号)、繊維生産(米国特許第6,576,818号;第6,271,443号;第5,981,834号;第5,869,720号)およびバイオ燃料生産(米国特許第5,998,700号)が含まれる。これらまたは他の遺伝子エレメント、方法、およびトランスジーンのいずれかを本発明と一緒に用いることができ、これは本明細書の開示に鑑みれば当業者によって理解されるであろう。
【0054】
別法として、関心のあるDNA配列は、同時抑制、アンチセンス、RNAi、miRNAの発現(天然または遺伝子工学的)、トランス作用siRNAの発現、およびリボザイムの発現(例えば、米国特許出願公開20060200878を参照されたい)のような遺伝子サイレンシング技術を解した内因性遺伝子の発現の阻害によってこれらの表現型に影響し得る。
【0055】
本発明により包含される方法によって導入し得る例示的な核酸には、例えば、他の種からのDNA配列または遺伝子、または同種に起源するまたは存在する遺伝子または配列でさえ含まれるが、古典的な生殖または育種技術よりも遺伝子工学的方法によって受容細胞へ取り込まれるものである。しかしながら、「外因性」なる用語は、形質転換する細胞に通常存在しない遺伝子、またはおそらくはDNAセグメントまたは遺伝子を形質転換する際に見出されるような形態、構造ほかでは単純に存在しない遺伝子、または例えば、過剰発現が望まれる未だ通常は存在する遺伝子をいうことが意図される。したがって、「外因性」遺伝子またはDNAなる語は、かかる細胞にすでに存在し得る同様の遺伝子であるかにかかわりなく、受容細胞に導入するいずれの遺伝子またはDNAセグメントをいうことが意図される。外因性DNAに含まれるDNAの型は、植物細胞中にすでに存在するDNA、他の植物からのDNA、他の異なる生物からのDNA、または、遺伝子のアンチセンスメッセージを含むDNA配列のような外因的に生成したDNA、または遺伝子の合成または修飾バージョンをコードするDNA配列をいうことが意図される。
【0056】
本明細書の開示に鑑みれば、膨大な数の他の可能な選択可能またはスクリーニング可能なマーカー遺伝子、調節エレメント、および関心のある他の配列は当業者に明らかであろう。したがって、前記の議論は排他的であることよりも例示的であることを意図している。
【0057】
植物形質転換ベクターまたは構築物の構築後のリゾビア媒介形質転換のためには、イン・ビトロ(in vitro)で調製したDNA組成物として調製した核酸分子を、イー・コリ(E.coli)のような好適な宿主に導入し、リゾビウム、またはコンピーテントなリゾビアに直接的に形質転換した(例えば、エレクロトポレーションした)リゾビウムを含むリゾビアのような他の好適な宿主に接合させる。TiまたはRiプラスミドは窒素固定リゾビウムに自然に移行することができ、各々、癌腫または毛状根を誘導し得る(Hooykaasら,1977、Wellerら,2004)。かかるTiまたはRiプラスミドは別法として「非病原化(disarmed)」として、植物細胞増殖を引き起こすことができなくすることができる。リゾビウムおよびアグロバクテリウムは異なる感染機構を有するため、その感染筋道を解したリゾビウムまたは他のリゾビアによる深い感染は、TiまたはRiヘルパープラスミドが導入されればダイズ形質転換の関心のある遺伝子の生殖系列形質転換の頻度を増大することができる。
【0058】
本発明は細菌株を使用して1またはそれを超える遺伝子コンポーネントを植物に導入することを包含する。1の形態において、宿主は、癌腫形成または発根を引き起こす腫瘍遺伝子を含まない非病原化TiまたはRiプラスミドを含み、その誘導体はベクターとして使用し、つづいて植物に導入する関心のある遺伝子を含む。もう1の形態において、細菌はT4SS−独立機構、すなわちoriT−媒介接合伝達によってDNAを植物細胞に移入する。T4SS−独立DNA移入に必要な機能は、移入すべきDNAを含むプラスミド上に存在するか、またはかかる細菌細胞中にも存在する染色体、またはTiもしくはRiプラスミドを含む他のプラスミド上に存在し得る。
【0059】
細菌種および菌株には限定されるものではないが、リゾビウム種、リゾビウム種NGR234、リゾビウム・レグミノサルム(Rhizobium leguminosarum)Madison、リゾビウム・レグミノサルム(R. leguminosarum)USDA2370、リゾビウム・レグミノサルム(R. leguminosarum)USDA2408、リゾビウム・レグミノサルム(R. leguminosarum)USDA2668、リゾビウム・レグミノサルム(R. leguminosarum)2370G、リゾビウム・レグミノサルム(R. leguminosarum)2370LBA、リゾビウム・レグミノサルム(R. leguminosarum)2048G、リゾビウム・レグミノサルム(R. leguminosarum)2048LBA、リゾビウム・レグミノサルム・ビイブイ・ファゼオリ(R. leguminosarum bv. phaseoli)、リゾビウム・レグミノサルム・ビイブイ・ファゼオリ(R. leguminosarum bv. phaseoli)2668G、リゾビウム・レグミノサルム・ビイブイ・ファゼオリ(R. leguminosarum bv. phaseoli)2668LBA、リゾビウム・レグミノサルム(R. leguminosarum)RL542C、リゾビウム・レグミノサルム・ビイブイ・ビシアエ(R. leguminosarum bv. viciae)、リゾビウム・レグミノサルム・ビイブイ・トリフォリ(R. leguminosarum bv. trifolii)、リゾビウム・エトリ(Rhizobium etli)USDA 9032、リゾビウム・エトリ・ビイブイ・ファゼオリ(R. etli bv phaseoli)、リゾビウム・トロピシ(Rhizobium tropici)、メソリゾビウム種(Mesorhizobium sp.)、メソリゾビウム・ロティ(Mesorhizobium loti)ML542G、メソリゾビウム・ロティ(M. loti)ML4404、シノリゾビウム種(Sinorhizobium sp.)、シノリゾビウム・メリロティ(Sinorhizobium meliloti)SD630、シノリゾビウム・メリロティ(S. meliloti)USDA1002、シノリゾビウム・フレディイ(Sinorhizobium fredii)USDA205、シノリゾビウム・フレディイ(S. fredii)SF542G、シノリゾビウム・フレディイ(S. fredii)SF4404、シノリゾビウム・フレディイ(S. fredii)SM542C、ブラディリゾビウム種(Bradyrhizobium sp.)、ブラディリゾビウム・ジャポニカム(Bradyrhizobium japonicum)USDA 6、ブラディリゾビウム・ジャポニカム(B. japonicum)USDA 110が含まれる。
【0060】
限定されるものではないがピクロラム(4−アミノ−3,5,6−トリクロロピコリン酸)、2,4−D(2,4−ジクロロフェノキシ酢酸)およびジカンバ(3,6−ジクロロアニス酸)のようなオーキシン;BAP(6−ベンジルアミノプリン)およびカイネチンのようなサイトカイン;ABA;およびジベレリンを含むさらなる植物成長調節剤で適当に補充したいずれか好適な植物培地を用いて植物組織培養を発達または維持することができる。他の培地添加物には、限定されるものではないが、望ましい場合には低融点アガロースまたはゲルライト(Gelrite)のような適当なゲル化剤を含むか含まない、アミノ酸、多量要素、鉄、微量元素、イノシトール、ビタミンおよび有機物、炭化水素、カゼイン加水分解物のような非決定の培地成分が含まれ得る。当業者であれば、適当に補充した場合に植物組織増殖および発達を支持し、植物形質転換および再生に好適である種々の組織培養培地を熟知している。これらの組織培養培地は、商業的調製物として購入することができ、あるいはあつらえで調製しおよび修飾し得る。かかる培地の例には、限定されるものではないが、ムラシゲおよびスクーグ(1962)、N6(Chuら, 1975)、リンスマイアーおよびスクーグ(1965)、ウチヤマおよびムラシゲ(1962)、Gamborgの培地(Gamborgら,1968)、D培地(Duncanら,1985)、McCown's Woody植物培地(McCownおよびLloyd,1981)、NitschおよびNitsch(1969)、ならびにHildebrandt(1972)またはそれに応じて補充したこれらの培地の誘導培地が含まれるであろう。当業者であれば、形質転換および再生に使用する培地、ならびに栄養物および成長調整剤のような培地補充物、ならびに関心のある特定の品種に最適化し得るインキュベーションの間の光強度、pH、およびインキュベーション温度を知っている。
【0061】
形質転換可能な植物組織を組織培養において単離または発達させた後、または形質転換可能な植物組織をイン・プランタ(in planta)で同定および/または調製した後、方法の次の工程は遺伝子コンポーネントを植物組織に導入することである。この方法は本明細書中で「形質転換」ともいう。植物細胞を形質転換し、所望により選択工程に付してもよい。独立した形質転換体はトランスジェニック事象という。アグロバクテリウム菌株を利用する多数の方法が報告されており、それを用いて形質転換可能な植物組織に遺伝子コンポーネントを挿入することができる。しかしながら、典型的に非−アグロバクテリウム種を利用して植物は形質転換されていない。
【0062】
当業者は、植物形質転換プロセスにおける典型的な工程を知っている。使用するリゾビアは、グリセロールストックから直接的にTYまたはYEM培地(Beringerら,1974)に接種するかまたは細菌をグリセロールストックから固化した培地にストリークするかのいずれかによって調製して、細菌が適当な選択条件下で増殖することが許容される。リゾビアは、形質転換を促進する量のアセトシリンゴンの存在を含む栄養または培養条件下で増殖することによって「前−誘導」することができる。当業者であれば、増殖の手法および細菌に好適な培養条件、ならびにその後の接種手法を熟知している。接種に使用する細菌培養液の密度および外植片組織の量に対する細菌数の比が系によって変化し得、したがっていずれの形質転換法のこれらのパラメータの最適化が予想される。
【0063】
形質転換プロセスの次のステージは接種である。このステージにおいては、好適に調製した植物、植物組織または外植片および細菌細胞懸濁液を一緒に混合する。接種の期間および条件および細菌細胞密度は、植物形質転換系に依存して変化するであろう。形質転換する細菌の増殖または接種は、アセトシリンゴンまたはTiもしくはRiプラスミド上に位置する病原性遺伝子発現の他の公知のインデューサーの存在下で行うことができる。ある種の形態において、アグロバクテリウム種以外の細菌の増殖は誘導培地中での増殖の間に多糖産生を最小限化する条件下で行う。特定の形態において、誘導培地中でのリゾビア増殖の間の多糖産生を最小限化するために用いる炭素源は、AB−TY培地中のグルコース、またはATA培地中のL−アラビノースおよびグルコン酸カリウムである。
【0064】
接種後、いずれの過剰な細菌懸濁液は除去することができ、細菌および標的植物材料を同時培養する。同時培養とは、接種後の時間であって任意の遅延または選択培地に移行する前の時間をいう。いずれの数の植物組織培養培地も同時培養工程に用いることができる。細菌で接種した後の植物組織は、液体または半固体培地で培養することができる。同時培養は典型的におよそ1ないし4日間行う。
【0065】
細菌との同時培養の後、接種した植物組織または外植片は所望により直接的に選択培地に置くことができる。あるいは、細菌との同時培養の後、それらを選択剤を含まない培地に置き、その後に選択培地に置くこともできる。当業者であれば、植物の系および選択剤に依存して変化し得る選択様式、培地および増殖条件の膨大な修飾を知っている。典型的な選択剤には、限定されるものではないが、ゲネチシン(G418)、カナマイシンおよびパロモマイシンのような抗生物質、または除草剤グリフォセート、グルフォシネートおよびDICAMBAが含まれる。さらなる好適な培地成分を選択または遅延培地に添加して細菌増殖を阻害することができる。かかる培地成分には、限定されるものではないが、カルベニシリンまたはセフォタキシムのような抗生物質が含まれ得る。
【0066】
その後、培養物は形質転換した苗木の回収に好適な培地に移す。当業者であれば、形質転換植物を回収する多数の方法を知っている。種々の培地および移入要件を実施し、形質転換する各植物の系およびトランスジェニック植物の回収のために最適化し得る。その結果、本発明において開示するかかる培地および培養条件は修飾することができ、または栄養学的に同等の成分またはトランスジェニック事象の選択および回収のための同様のプロセスで置換することができ、それらは本発明の範囲になお入る。
【0067】
形質転換可能な植物組織を接種すれば、組織中の植物細胞は形質転換することができ、独立して形質転換植物細胞を選択することができる。独立した形質転換体をトランスジェニック事象という。植物細胞形質転換のためのリゾビアの使用はタバコ、アラビドプシスおよびイネのみについて報告されているが(Broothaertsら,2005)、多数の単子葉および双子葉植物種のためのアグロバクテリウム−媒介形質転換および再生系は当該技術分野で知られている(例えば、Komoriら,1998;Zhouら,1995;Hieiら,1994. Plant J.;6:271-282;Ishidaら,1996;Rogersら,1987;Schrammeijerら,1990;米国特許第6,384,301号)。形質転換および再生の後に、トランスジェニック植物を同定する。最終的に、当業者であれば、発現カセットがトランスジェニック植物に安定して取り込まれ、作動可能であることを確認した後に、それを有性交雑によって他の植物に導入し得ることを認識するであろう。多数の標準的な育種技術のいずれも、交雑する種に依存して使用することができる。
【0068】
作製した形質転換体およびその子孫をその後に分析して、形質転換ベクターに含ませた関心のある特定の核酸の存在または不存在を決定することができる。分子分析には、限定されるものではないが、サザンブロット(Southern,1975)、PCR(ポリメラーゼ連鎖反応)分析、酵素活性の分析、免疫診断アプローチおよび圃場評価などが含まれ得る(例えば、Sambrookら,1989も参照されたい)。これらおよび他のよく知られた方法を行って、開示した方法によって作製した形質転換植物の安定性を確認することができる。
【0069】
前記した技術はいずれの植物にも好適となり得、アルファルファ、オオムギ、マメ類、ビート、ブロッコリ、キャベツ、ニンジン、キャノーラ、カリフラワー、セロリー、ハクサイ、トウモロコシ、ワタ、キュウリ、熟した白インゲンマメ、ナス、ウイキョウ、インゲンマメ、ヒョウタン、ニラネギ、レタス、メロン、エンバク、オクラ、タマネギ、エンドウマメ、コショウ、カボチャ、ラッカセイ、ジャガイモ、カボチャ、ダイコン、イネ、サトウモロコシ、ダイズ、ホウレンソウ、カボチャ、スウィートコーン、テンサイ、ヒマワリ、トマト、スイカおよびコムギのような植物に特に有用である。
【実施例】
【0070】
当業者であれば、本発明によって提供される方法および組成物の多くの利点を理解するであろう。以下の実施例を含ませて、本発明の好ましい形態を実証する。実施例に開示する技術が、本発明者らによって見出された技術が本発明の実施においてよく機能することを裏付け、したがってその実施のための好ましい様式を構成すると考え得ることは当業者によって理解されなければならない。しかしながら、本明細書の開示に鑑みて、当業者は、開示されている特定の形態において多くの変化を行い得ることおよび本発明の意図および範囲から逸脱することなく似たまたは同様の結果をいまだ得ることができることを理解しなければならない。本明細書中に引用するすべての参考文献は、本明細書において用いる方法、技術または組成物を補充し、説明し、それらの背景を提供し、または教示する限りにおいて出典明示して本明細書の一部とみなす。
【0071】
実施例1
リゾビウムおよびアグロバクテリウム菌株
アグロバクテリウム・ツメファシエンスAGL0はATCC(ATCC番号:BAA−100(商標),Lazoら,1991)から得た。リゾビウム・レグミノサルム株Madisonおよびシノリゾビウム・メリロティSD360は、合衆国ワイオミング州マジソンの家庭の庭のクローバーから単離し、以下のプライマー:5' GAGAGTTTGATCCTGGCTCAG 3' (Xd578;配列番号:1)および5' AAGGAGGTGATCCAGCCGCAG 3' (Xd579;配列番号:2)を用いて増幅した16S rRNAのPCR産物を配列決定して確認した。他のリゾビウム菌株はUSDA Rhizobium collection centerから得た(表1)。リゾビウム菌株はTYまたはMAG培地で増殖させ、アグロバクテリウムはLB培地で増殖させた。菌株を以下に示す。単離した菌株で増殖した16s rRNA配列は配列番号:24−30として提供する。
【0072】
【表1】

【0073】
【表2】

実施例2
アグロバクテリウムの形質転換
アグロバクテリウムのコンピーテント細胞は、LB培地中の対数増加期培養物を冷脱イオン水および10%グリセリンで洗浄することによって調製し、−80℃にて保存した。解凍した50μlのコンピーテント細胞を氷上の1または2μlのDNAと混合し、BIO−RAD Gene Pulser(登録商標)IIデバイス(BIO-RAD,Hercules, CA)を用いて、200Ωの抵抗、25μFのキャパシティーおよび1.8kvでもって1mm間隔のキュベット中でエレクトロポレーションに付した。
【0074】
実施例3
抗生物質選択マーカー遺伝子を含むTiプラスミドの構築
リゾビウム種のTiプラスミドを選択するために、対応するTiプラスミドから相同配列を増幅し、カナマイシン抵抗性ベクターに挿入した。相同配列を用いて、カナマイシン抵抗性遺伝子を相同性組換えによってTiプラスミドに組み込んだ。
【0075】
pTiBo542Cプラスミドを構築するために、AGL0アグロバクテリウム菌株からのvirC遺伝子(Genbank受理番号AB027257)全体を、以下のプライマー:5' ACAATAATGTGTGTTGTTAAGTCTTGTTGC 3'(Xd683 配列番号:3)および5' CTCAAACCTACACTCAATATTTGGTGAG 3'(Xd684 配列番号:4)およびPfuポリメラーゼ(STRATAGENE,La Jolla,CA)を用いるPCRで増幅し、TOPOクローニング平滑ベクター(Invitrogen,Carlsbad,CA)に挿入して中間ベクターpMON67402を生じさせた。さらに、中間ベクターをPvuII/MscIで消化したpCGN11206からのtrfAフラグメントに接合し、それは構築物pMON96913を生じた(図6)。ついで、前記に概説した標準的なエレクトロポレーションによってAGL0アグロバクテリウム菌株にベクターを導入し、カナマイシン50mg/lのLB培地に置いて単一の交差事象について選択した。組み入れベクターはAGL0細胞で維持されないため、得られたコロニーはおそらく相同性組換えによってTiプラスミドにベクターが組み込まれたことによる。得られた菌株はAGL0Cと命名した。
【0076】
同様にして、pTi542Gプラスミドを構築するために、AGL0アグロバクテリウム菌株からのvirG配列(Genbank受理番号AB027257)全体を、Pfuポリメラーゼと5' AGATCTGGCTCGCGGCGGACGCAC 3' (Xd681;配列番号:5)および5' CGCTCGCGTCATTCTTTGCTGGAG 3' (Xd682;配列番号:6)とを用いてPCR増幅し、pMON67402に挿入し、構築物pMON96026を得た(図8)。このベクターを標準的なエレクトロポレーションによってAGL0菌株に導入し、カナマイシン50mg/l LB培地に置いて単一の交差事象について選択した。得られた菌株はAGL0Gと命名した。
【0077】
pTi4404kanヘルパープラスミドを構築するために、LBA4404からのオクトピンTiプラスミドpAL4404(Genbank受理番号NC 002377)のtraIおよびtrbCE領域を、プライマー5' TCAGCAGGATGACGCCGTTATCG 3' (Xd695;配列番号:7)および5' TCTCGCCCGACCAATACCAACAC 3' (Xd696;配列番号:8)(Genbank AF242881からの配列)とPfuポリメラーゼとを用いてPCR増幅し、pMON67402に挿入した。さらに、中間ベクターをPvuII/MscIで消化したpCGN11206からのtrfAフラグメントに接合して、pMON96914を得た(図7)。このプラスミドベクターをエレクトロポレーションによってLBA4404に導入し、カナマイシン50mg/lを含むLB培地上で選択して単一の交差事象について選択した。
【0078】
固形培地での3日間の培養の後に、kanR抵抗性コロニーを50mg/lのカナマイシンを含む2mlの液体LB培地に移した。1μlの一晩培養物を、以下のプライマー:5' GCTGACGGGCCCGGATGAATGTCAGCTACTG 3' (Xd715;配列番号:9)および5' GCTCTAGAAATTGTAAGCGTTAATAATTCAGAAGAACTCGTC 3' (Xd716;配列番号:10)を用いて製造業者の指示(Stratagene)に従ってYieldAce(登録商標)Taqポリメラーゼを用いて直接的に増幅し、Tiプラスミドへのカナマイシン抵抗性遺伝子の組み込みを確認した。得られた菌株は4404TIKと命名した。
【0079】
実施例4
アグロバクテリウムからTiプラスミドの抽出
修飾したTiプラスミド、pTiBo542C、pTiBo542G、pTi440kanおよびpTiC58(ABI)は、各々のプラスミドを含む修飾したアグロバクテリウム菌株AGL0C、AGL0G、4404TIKおよびABIから抽出した。カナマイシン50mg/lを含むLB中の5mlsの一晩培養物を遠心し、400μlのp1緩衝液に再懸濁し、400μlのP2緩衝液と根号し、400μlのP3緩衝液(QUIAGEN maxi−prepキットからの緩衝液)で中和した。室温にて5分間のインキュベーション後に、混合物を4℃、12gにて10分間遠心した。ほぼ1200μlの上清を70%エタノールで一旦洗浄し、乾燥することなく200μlのTEに再懸濁した。メガプラスミドはその後4℃に保存した。
【0080】
実施例5
リゾビアのコンピーテント細胞および修飾Tiプラスミドのリゾビアへの導入
リゾビアのコンピーテント細胞は、修飾したGargら,1999に従って調製した。簡単には、冷凍したグリセロールストックからの1杯の白金耳のリゾビア(例えば、リゾビウム)細胞を10mlのTYブロス中で24時間増殖させ、ついで激しく攪拌しつつ30℃の500mlのTYブロスに移して中−対数増加期(OD600=0.4−0.6)まで増殖させた。培養物を2の250遠心管に移し、氷上で15−30分間冷却し、4℃、9,000rpmにて10分間遠心して細胞を収集した。細胞ペレットを冷滅菌脱イオン水および10%冷グリセロールで洗浄し、10%冷グリセロールに再懸濁した。細胞懸濁液は直ちに使用し得るように50μl/チューブで小分けし、あるいは液体窒素中で冷凍して−80℃にて保存した。
【0081】
リゾビア菌株への修飾Tiプラスミドのエレクトロポレーション:50μlのコンピーテント細胞を氷上で解凍し、1または2μlの調製したTiプラスミドと混合し、氷上で30分間維持した。混合物は冷凍した1mm−間隔のエレクトロポレーション・キュベットに移した。エレクトロポレーション・パラメータ(BIO−RAD Gene Pulser(登録商標)II)は以下のように設定した:2KV/400Ω抵抗/25μFキャパシティーまたは1.5KV/400Ω抵抗/25μFキャパシティーまたは1.5KV/800Ω抵抗/10μFキャパシティー。エレクトロポレーション後、1mlのTYまたはMAG培地を添加し、14mlのFalconチューブに移す前にキュベットは5−10分間氷上に維持した。チューブを30℃にて3時間培養し、50mg/lのカナマイシンを含むTYまたはMAG固形培地に平板し、30℃にて3日間培養して抵抗性コロニーを回収した。
【0082】
Tiプラスミドで形質転換されたリゾビアの確認:カナマイシン抵抗性コロニーを50mg/lのカナマイシンを含む3mlの液体TYまたはMAG培地に移し、一晩培養した。1μlの培養物を、以下の製造業者の指示(Stratagene)に従ってYieldAce(登録商標)Taqポリメラーゼで直接的に増幅した。
【0083】
リゾビア菌株中のpTiBo542CまたはpTiBo542Gを検出するために、virCプライマー5' ACAATAATGTGTGTTGTTAAGTCTTGTTGC 3'(Xd683;配列番号:3)および5' CAATTGCATTTGGCTCTTAATTATCTGG 3'(Xd684a;配列番号:11)またはvirGプライマー5' AGATCTGGCTCGCGGCGGACGCAC 3'(Xd681;配列番号:5)および5' CGCTCGCGTCATTCTTTGCTGGAG 3'(Xd682;配列番号:6)を用いて、各々、2.35kbまたは1.2kbのフラグメントを増幅した。
【0084】
pTi4404kanプラスミドについては以下のプライマーを用いた:5' GCATGCCCGATCGCGCTCAAGTAATC 3'(Xd699;配列番号:12)および5' TCTAGGTCCCCCCGCGCCCATCG 3'(Xd700;配列番号:13)はオクトピンTiプラスミドについて1274bpのvirD2コーディング配列を増幅し;5' CCATGGATCTTTCTGGCAATGAGAAATC 3'(Xd701;配列番号:14)および5' GTCAAAAGCTGTTGACGCTTTGGCTACG 3'(Xd702;配列番号:15)は1602bpのvirE2フラグメントを増幅し;5' ACGGGAGAGGCGGTGTTAGTTGC 3'(Xd703;配列番号:16)および5' CGATAGCGACAATGCCGAGAACG 3'(Xd704;配列番号:17)はほぼ0.9kbのvirB1フラグメントを増幅する。
【0085】
ABI菌株からのpTiC58プラスミドを同定するために、3対のプライマーを用いた:5' ATGCCCGATCGAGCTCAAGTTATC 3'(Xd685;配列番号:18)および5' TGAAAGGACACCTCTCCGTTGCTG 3'(Xd686;配列番号:19)は1247bpのvirD2フラグメントを増幅し;5' CCATGGATCCGAAGGCCGAAGGCAATG 3'(Xd687;配列番号:20)および5' CTACAGACTGTTTACGGTTGGGC 3'(Xd688;配列番号:21)は1670bpのvirE全体のコード配列を増幅し;5' GTGAGCAAAGCCGCTGCCATATC 3'(Xd689;配列番号:22)および5' TAGAGCGTCTGCTTGGTTAAACC 3'(Xd690;配列番号:23)は1102bpの部分的repAフラグメントを増幅する。
【0086】
実施例6
細菌増殖用の培地
形質転換植物を発達させるために用いたリゾビア媒介形質転換法におけるリゾビア増殖に用いた培地は、当業者に知られている標準的な方法を用いて調製した。培地処方は以下のとおりである:
TY培地
L当たり
バクトトリプトン 5g/L
酵母エキス 3g/L
CaCl・2HO 0.87g/L
pH7.0
固形TY培地については、オートクレーブ処理する前に15g/lのBacto−Agarを添加する。
【0087】
MAG培地液体
(USDA Rhizobium collection centerから)
HEPES 1.3g/L
MES 1.1g/L
酵母エキス 1g/L
L−アラビノース 1g/L
グルコン酸カリウム 1g/L
KHPO 0.22g/L
NaSO 0.25g/L
KOHでpH6.6
【0088】
以下の濾過滅菌したストック溶液をオートクレーブに付し、添加する:
NHCl(16g/100ml) 2ml/l
FeCl(0.67g/100ml、FS) 1.0ml/l
CaCl(1.5g/100ml) 1.0ml/l
MgSO(18g/100ml) 1.0ml
NaMoO・2HO(1g/100ml) 1.0ml/l
NiCl・6HO(2.2g/100ml) 0.1ml/l
固形MAG培地については、オートクレーブ処理する前に15g/lのBacto−Agarを添加する。
【0089】
LB培地 リットル当たり
Bacto−トリプトン 10g
Bacto−酵母エキス 5g
NaCl 10g
水酸化ナトリウムでpHを7.5に調整する。
オートクレーブ処理の後に、培養プレートに分配する(25ml/プレート)
固形LB培地については、オートクレーブ処理する前に15g/lのBacto−Agarを添加する。
【0090】
AB最少培地:
20×AB緩衝液:
HPO 60g/l
NaHPO 20g/l
別々にオートクレーブ処理
20×AB塩(濾過滅菌、暗所に維持):
NHCl 20g/l
MgSO・7HO 6g/l
KCl 3g/l
CaCl 0.2g/l
FeSO・7HO 50mg/l
オートクレーブ処理する前にpHを7に調整する。
【0091】
50mlのAB緩衝液および50mlのAB塩を900mlのスクロース−水(1リットル中のスクロースの最終濃度は0.5%)と合する。
【0092】
1×AB−TY誘導培地:
グルコース 5g
20×AB緩衝液 50ml
20×AB塩ストック 50ml
TY培地 20ml
滅菌水を添加して1000mlとする。
100mMのMESでpH5.4に調整する。
100μMのアセトシリンゴンを添加する(DMSO中の1Mストック;細菌を懸濁した後に1μlストック/10ml培地を添加する)。
【0093】
リゾビウムにおけるvir誘導のためのATA培地:
ATA(AB最少培地+TY+アラビノース)培地は、グルコースに代えてアラビノースおよびグルコン酸カリウムを用いてAB−TY培地から修飾した。すべてのリゾビアの増殖速度は、この培地においてほぼ倍加する。細菌はこの培地においては極めて少ない多糖を生成し、細菌ペレットは非常につまっていた。

L−アラビノース 1g/L
グルコン酸カリウム 1g/L
20×AB緩衝液 50ml
20×AB塩ストック 50ml
TY培地 20ml
滅菌水を添加して1000mlとする。
100mMのMESでpH5.4とする。
細菌を懸濁した後に200μMのアセトシリンゴン(DMSO中の1Mストック)を添加する。
【0094】
実施例7
修飾リゾビア菌株と一緒に使用する作物形質転換ベクター
リゾビウム形質転換ベクターは、当業者に知られている標準的な分子技術を用いて構築した。プラスミド構築物pMON96033(図1;ダイズおよびキャノーラ形質転換用)、pMON96036(図2;トウモロコシ形質転換用)、またはpMON101316(図3;トウモロコシ形質転換用)を用いた。すべての3の構築物はpVS1複製起点およびGUS、GFPまたは両方のレポーター遺伝子のいずれかを含む。組換えプラスミドはエレクトロポレーションによって種々の修飾したリゾビアに移行し、miniprep DNAの制限酵素消化によって確認した。
【0095】
プラスミドを構築するのに使用したFMV CP4遺伝子は、Figwort Mosaic Virus(FMV)からのプロモーターにつづいてCP4syn遺伝子、CP4 EPSPシンターゼをコードする合成遺伝子を有する。出典明示して本明細書の一部とみなす米国特許第5,633,435号を参照されたい。EPSPシンターゼは、発現した際に植物細胞およびそれから発生した植物に対して実質的な程度のグリフォセート抵抗性を付与する。e35sGUS遺伝子はβ−グルクロニダーゼ遺伝子であり、それは典型的にe35Sプロモーターの後方で組織化学的マーカーとして使用する。FMV GUS遺伝子は、GUSを含むFMVプロモーターである。NOS NPTII遺伝子はネオマイシンホスホトランスフェラーゼ遺伝子を有し、それはノパリンシンターゼ遺伝子(NOS)のプロモーターの後方でカナマイシンに対する抵抗性を付与する。Act1 GFP遺伝子はイネからのアクチン・プロモーターおよびスクリーニング可能なマーカーであるグリーン蛍光タンパク質の遺伝子を有する。e35s GFP遺伝子はe35Sプロモーターの後方でグリーン蛍光タンパク質の遺伝子である。用いたプラスミドを含むリゾビア菌株の一晩培養物を対数増加期まで増殖させ、ついで0.3ないし0.6の最終光学密度まで希釈した。
【0096】
実施例8
リゾビア−媒介ダイズ形質転換
修飾を含むMartinellら(米国特許第7,002,058号)によって記載されているように、器官発生法を用いて形質転換を行った。GUSおよびCP4遺伝子を含むpMON96033を、エレクトロポレーションによって種々の修飾リゾビア菌株(例えば、リゾビウム種、メソリゾビウム種、シノリゾビウム種)に移入した。単一のコロニーを50mg/lのスペクチノマイシンおよび50mg/lのカナマイシンを含むMAGまたはTY培地上で回収し、同一の選択を含む20−50mlの液体TY培地中、200rpmで30℃の攪拌機に接種した。リゾビア培養物中のプラスミドの存在は、10mlの培地からのミニ調製したプラスミドの制限酵素消化によって証明した。残りの液体培地をグリセロールと混合して最終濃度20%とし、小分けし、種培養物として−80℃に保存した。
【0097】
リゾビア接種源を調製するために、0.25−1mlの冷凍種培養物を、前記と同じ抗生物質選択を含む250または500mlのTY培地に接種し、200rpmで攪拌しつつ28℃にて中−対数増加期まで一晩増殖させた。培養物を遠心し、OD660約0.3の濃度で接種培地(INO培地)に直接的に懸濁した。
【0098】
誘導したリゾビア培養物はダイズ形質転換にも用いた。リゾビアを誘導するために、一晩培養物を約0.3のOD660でAB−TY培地に再懸濁し、100μMの最終濃度でアセトシリンゴンを添加した。培養物は28℃にて一晩さらに攪拌し、遠心し、約0.3のOD660の濃度に接種培地(INO培地)に再懸濁した。
【0099】
ダイズ栽培品種A3525(米国特許第7,002,058号)をリゾビア媒介形質転換に使用した。リゾビア媒介形質転換について以下のように方法を修飾した。ダイズ種子は室温にてBGM培地で発芽させ、ダイズ成熟種子からの分裂組織外植片を機械によって切除した(米国特許出願公開20050005321)。PLANTCON蓋中のダイズ分裂組織外植片をINO培地中のリゾビア懸濁液と混合し、W−113ソニケーター(Honda Electronics Co., Ltd., Aichi, Japan)中で超音波処理した。超音波処理後に、外植片を同じPLANTCON中、23℃にて16/8時間の明暗時間で1−11日間同時培養した。ついで、外植片を75μMグリフォセートを含有するWPM選択培地の表面に移した。2週間後、外植片を75μMグリフォセート固形WPM培地に再び移した。完全に開いた三葉を有するシュートを接種後6−10週に回収し、0.1mg/lのIAAおよび25μMのグリフォセート選択を含有する(所望により、抗菌剤も含有してもよい)BRM培地に定着した。定着した苗木を成熟させるため温室に移した。
【0100】
【表3】

【0101】
【表4】

【0102】
【表5】

【0103】
【表6】

【0104】
バイナリーベクターpMON96033をリゾビア菌株に移し、ダイズ分裂組織外植片と同時培養し、GUS陽性結果を観察した(表3および図4)。シノリゾビウム・メリロティ、シノリゾビウム・フレディイ、メソリゾビウム・ロティおよび1のリゾビウム・レグミノサルムは、GUS活性の小さな青色スポットによって証明されるように、ダイズ外植片へのT−DNA送達を示した。トランスジェニックダイズ植物は、種々の菌株を用いたリゾビア−媒介形質転換実験から得た(表4)。これらのダイズ植物のトランスジェニック性質は、トランスジーンコピー数アッセイによって確認し、大部分の形質転換体は1−2コピーの単純な組み込みパターンを表した(表5)。
【0105】
【表7】

【0106】
【表8】

【0107】
【表9】

【0108】
gusトランスジーンが種子子孫に伝搬されたかを試験するために、リゾビア−媒介形質転換に由来する2のダイズ・トランスジェニック系統の種子をGUS溶液中で染色した(図5)。GM A9196D系統は、INVADER法によってアッセイして1コピーの連結したnon遺伝子を有することが見出された。この系統からの12のR1種子を吸収および種皮除去後の組織化学染色によってGUSについてアッセイし、9がGUS陽性であって、これは1コピーのインサートについて3:1の分離比を示している。
【0109】
実施例9
リゾビア−媒介キャノーラ形質転換
A.リゾビウム接種源調製:
pMON96033を含むリゾビア菌株をキャノーラ形質転換用に用いた。グリセロールストックからのベクターを含むリゾビウム菌株を、50mlのFalconチューブ中の50mg/lのカナマイシンおよび50mg/lのスペクチノマイシンを含む10mlのTY培地に接種し、200rpm、28℃にて一晩振とうした。一晩培養リゾビア培養物を遠心によってペレット化し、MG/L液体培地に再懸濁した。(MG/Lブロス:マンニトール5g/l、L−グルタミン酸1g/l、KHPO 250mg/l、NaCl 100mg/l、MgSO・7HO 100mg/l、ビオチン 1μg/l、酵母エキス2.5g/l、pH7.0)。OD600は0.05−0.1の間であった。
【0110】
B.キャノーラ外植片調製物および同時培養:
キャノーラ形質転換は米国特許第5,750,871号およびRadkeら,1992に従って行った。約0.25gのキャノーラ種子、栽培品種Ebonyを1.5mlエッペンドルフチューブに移し、95%エタノールで濡らした。種子を滅菌するために、1mlの次亜塩素酸ナトリウム溶液を30分の間に添加した。ブリーチ溶液を蒸留水で置換し、種子を数回濯いだ。種子を1/10のMS発芽培地にい広げ、16時間の明期時間で24時間Percivalインキュベーター中に維持した。
【0111】
種子発芽培地(1/10 MS培地):1/10x MS最少有機培地(Gibco BRL;最終スクロース0.3%)、ピリドキシン50μg/l、ニコチン酸酸50μg/l、グリシン200μg/l、PHYTAGAR(Gibco Invitrogen)6g/l、pH5.8;20)。7−14日齢の培養物からの黄化した幼植物を外植片源として用いた。
【0112】
外植片は1x10細菌/mlで接種した。リゾビウム懸濁液を除き、接種した外植片をフィルターペーパーの上面の同時培養プレートに入れ、連続光下、24℃にて約2日間インキュベートした。同時培養した外植片をgus発現についてアッセイして青色のスポットを含むことを見出し、これはキャノーラ細胞の形質転換を示している(図9)。
【0113】
同時培養培地(MS−1):MS塩(Caisson Laboratories, Logan, UT)、myo−イノシトール100mg/l、チアミンHCl 1.3mg/l、KHPO 200mg/l、2,4−D 1mg/l、スクロース3%、PHYTAGAR(Gibco Invitrogen)7g/l、pH5.8。
C.カルス誘導:
同時培養した外植片はカルス誘導培地(B5−1)に、〜100μE/m/sの連続光下、24℃にて6日間移した。メソリゾビウム・ロティ、リゾビウム・レグミノサルム、シノリゾビウム・フレディイおよびシノリゾビウム・メリロティからの5の菌株は、21%ないし73%の範囲のgus陽性外植片の頻度でもってキャノーラ外植片に有効な遺伝子移行を示した(図10)。
【0114】
キャノーラ誘導培地(B5−1):Gamborg B5塩(Caisson Labs)、325mg/lの最終効能に調整したB5ビタミン(1mg/l ニコチン酸、1mg/l ピリドキシン−HCl、10mg/l チアミン−HCl)、100mg/l イノシトール、1mg/l 2,4−D、スクロース 3%、カルベニシリン(Phyto Technologies,Shawnee Mission,KS)、50mg/l チメンチン、7g/l PHYTAGAR(Gibco Invitrogen)、pH5.8。
【0115】
D.シュート再生および選択:
カルスを有する外植片をAgNOを含むシュート再生培地(B5BZ)に移し、100μE/m/sの連続光下、24℃にて14日間インキュベートした。ついで、外植片をAgNOを含まないシュート再生培地(B5BZ)に移した。グリフォセート選択したカルスから再生したシュートを〜2週間毎に収集した。gus発現を示す早期シュートの例を図11に示す。
【0116】
硝酸銀を含むシュート再生培地(B5BZ+3Ag):Gamborg B5塩(Caisson Labs)、B5ビタミン(1mg/l ニコチン酸、1mg/l ピリドキシン−HCl、10mg/l チアミン−HCl)、100mg/l イノシトール、BAP 3mg/l(Sigma)、ゼアチン 1mg/l(Sigma)、AgNO 3mg/l(Sigma)、45mg/l グリフォセート(Monsanto、96.5%乾燥酸)、スクロース1%、325mg/lに調整した効力を有するカルベニシリン(Phyto Technology)、50mg/l チメンチン、7mg/l PHYTAGAR(Gibco Invitrogen)、pH5.8。
【0117】
シュート再生培地(B5BZ):Gamborg B5塩(Caisson Labs)、B5ビタミン(1mg/l ニコチン酸、1mg/l ピリドキシン−HCl、10mg/l チアミン−HCl)、100mg/l イノシトール、BAP 3mg/l(Sigma)、ゼアチン 1mg/l(Sigma)、45mg/l グリフォセート、スクロース1%、325mg/lに調整した効力を有するカルベニシリン(Phyto Technology)、50mg/l チメンチン、7mg/l PHYTAGAR(Gibco Invitrogen)、pH5.8。
【0118】
E.シュート収集:
少なくとも0.5cm長の緑色シュートを切り取って、主軸を単離した。切り取ったシュートをシュート収集培地(B5−0)に置いた。シュートは2週間後に発根培地に移した。
【0119】
シュート収集培地(B5−0):Gamborg B5塩(Caisson Labs)、B5ビタミン(1mg/l ニコチン酸、1mg/l ピリドキシン−HCl、10mg/l チアミン−HCl)、100mg/l イノシトール、195mg/lに調整した効力を有するカルベニシリン(Phyto Technology)、1%スクロース、6g/l PHYTAGAR(Gibco Invitrogen)、pH5.8。
【0120】
F.シュート成長および発根:
緑色シュートを発根培地(B5−0+2IBA)に移した。シュートはそれが根を形成するまで発根培地に残した。シュートは〜100μE/m/sの16時間光/日下、24℃にて維持した。
【0121】
発根培地(B5−0+2IBA):Gamborg B5塩(Caisson Labs)、B5ビタミン(1mg/l ニコチン酸、1mg/l ピリドキシン−HCl、10mg/l チアミン−HCl)、100mg/l イノシトール、2mg/l IBA(インドール−3−酪酸、Sigma)、150mg/l セフォタキシム(Phyto Technology)、スクロース1%、6g/l PHYTAGAR(Gibco Invitrogen)、pH5.8。
【0122】
G.トランスジーン検出および形質転換頻度:
全ゲノムDNAを温室生育キャノーラ植物から抽出し、単一のカッターBglIIで消化し、DIG−標識CP4プローブとハイブリダイズさせた。4の系統がトランスジェニックであることが確認された(図11)。形質転換頻度を表6に要約する。
【0123】
【表10】

【0124】
実施例10
胚発生を介したリゾビア−媒介ワタ形質転換
A.リゾビア接種源調製
pMON101316をリゾビア菌株にエレクトロポレーションし、mini調製したDNAの制限酵素消化によって確認し、−80℃で保存した。グリセロールストックからのベクターを含むリゾビア菌株を、50mlのFalconチューブ中のカナマイシン(50mg/l)およびスペクチノマイシン(50mg/l)を含む10mlのTY培地に接種し、200rpm、28℃にて一晩振とうした。一晩培養リゾビア培養物を遠心によってペレット化し、20mlのMS0液体培地に再懸濁し、再度遠心した。ペレットを20mlのMS0培地に再懸濁した。洗浄したリゾビアをMS0で希釈して接種用に約1.0のOD660とした。
【0125】
B.外植片調製:
ワタ形質転換は、実質的に米国特許出願公開2004087030に従って行った。幼植物発芽7日後に、栽培品種Cokerからの黄化したワタ幼植物を暗所下Percivalインキュベーターから取り出した。PHYTATRAYからの胚軸を収集し、滅菌MSOを含有する滅菌ペトリ皿に置いて組織が乾燥することを防いだ。胚軸を小さな外植片に切った。
【0126】
C.接種および同時培養:
滅菌ピンセットを用いて外植片を滅菌ペトリ皿に移し、リゾビア接種源を添加した。外植片は、全ての外植片とリゾビア接種源との良好な接触を確保するために渦巻かせながら、滅菌フード中に20分間放置した。ついで、リゾビア接種源溶液を吸引し、外植片を滅菌濾紙でブロットした。接種した胚軸片は培養プレートに置いた。プラスチックバッグでカバーした外植片のプレートの同時培養は、10時間明期/14時間暗期の照明下、約22−24℃に設定したPercivalインキュベーター中で2日間行った。
【0127】
D.胚形成を介した安定な形質転換:
接種2日後に、ワタ外植片をX−glucで染色してGUSの経時的発現について試験した(図12)。胚軸における青色スポットはgus遺伝子の発現およびワタ細胞の形質転換を示す。安定な形質転換植物を得るために、胚軸外植片を適当な選択剤を含有するUMSEL1629選択培地を含有するプレートに移した。ついで、プレートをPARAFILMでカバーし、16/8時間(明期/暗期)の照明下、28℃にて培養した。
【0128】
安定して形質転換したカルスは、選択培地上で4週間後にgus発現についてのX−Gluc染色によって確認した(図13)。最初の選択培地への移行の4週間後に、すべての胚軸をUMSEL1788培地に移し、PARAFILMでカバーし、7日間培養した。ついで、外植片を、16/8時間(明期/暗期)の照明下、28℃にて4週間、UMSEL1629培地に戻した。
【0129】
UMSEL1629への2回目の移行のほぼ4週間後に、カルスの増殖速度に応じて、カルスの凝集塊を回収し、UMOプレートに移した。ついで、個々のプレートを標識し、PARAFILMでカバーし、連続暗期下、28℃にて培養した。
【0130】
カルスをUMOに置いて6ないし8週間後に、カルスを新鮮なUMO培地上で継代培養し、連続暗期下28℃にて培養した。UMO上で6−10週間後に、胚形成カルス(EC)はUMO上の個々のカルス系統から収集できる準備ができており、それをTRP+培地に移した。3−5週間毎に、ほぼ3ヶ月間、TRP+プレート上の活発に増殖する組織および小さな胚を新鮮なTRP+培地に移し、連続暗期下、28℃にて培養した。胚はペトリ皿中のSHSU培地に移し、PARAFILMでカバーした。プレートは最大照明(棚および側方の照明)での16/8時間(明期/暗期)の照明下、Percival中、28℃にて培養した。胚は発芽するまでさらに1回同じ培地に継代培養してもよい。回収した苗木をPercival上で培養し、または、16/8時間(明期/暗期)の照明下、28℃の暖かい部屋で培養した。
【0131】
E.リゾビウム−媒介形質転換由来のワタカルスのトランスジェニック性質の分子分析:
ゲノムDNAをカルス組織から抽出し、単一のカッターBamHIで消化し、1%アガロースゲル中で分画し、Hybond(商標)メンブレン(例えば、Appligen-Oncor, Illkirch, France;またはAmersham-Pharmacia Biotech)に移した。DIG標識したgusプローブを用いて、形質転換のインジケーターとしてのトランスジーンの存在を検出した。Tiヘルパープラスミドでのシノリゾビウム・メリロティ、シノリゾビウム・フレディイおよびリゾビウム・レグミノサルム形質転換に由来する6系統のワタカルスは、gus遺伝子を含むことが見出された(図14)。
【0132】
F.ワタ培養用の培地:
1LのUMSEL用の処方−4.33g MS塩類、2mlの500xB5ビタミン、0.1mlの2,4−D(1mg/ml)、1mlのカイネチン(0.5mg/ml)、30gのグルコース、pH5.8、2.5gのPHYTAGEL、1.7mlのカルベニシリン(250mg/ml)、1mlのセフォタキシム(100mg/ml)、および選択剤:最終濃度40mg/Lのカナマイシン。カルベニシリン、セフォタキシムおよび選択剤はオートクレーブ後に添加した。
【0133】
1LのUMSEL1788用の処方−4.33g MS塩類、2mlの500xB5ビタミン、0.1mlの2,4−D(1mg/ml)、1mlのカイネチン(0.5mg/ml)、30gのグルコース、pH5.8、2.5gのPHYTAGEL、1.7ml(250mg/ml)のカルベニシリン、1ml(100mg/ml)のセフォタキシム、および選択剤:最終濃度40mg/Lのカナマイシンおよび100mlの水に溶解した0.1gのグルコース。カルベニシリン、セフォタキシムおよび選択剤はオートクレーブ後に添加した。
【0134】
1LのUMSEL1629用の処方−4.33g MS塩類、2mlの500xB5ビタミン、0.1mlの2,4−D(1mg/ml)、1mlのカイネチン(0.5mg/ml)、30gのグルコース、pH5.8、2.5gのPHYTAGEL、1.7ml(250mg/ml)のカルベニシリン、1ml(100mg/ml)のセフォタキシム、および選択剤:最終濃度40mg/Lのカナマイシン。カルベニシリン、セフォタキシムおよび選択剤はオートクレーブ後に添加した。
【0135】
1LのUMO用の処方−4.33g MS塩類、2mlの500xB5ビタミン、30gのグルコース、pH5.8、3.5gのGELRITE、1.7ml(250mg/ml)のカルベニシリン、1ml(100mg/ml)のセフォタキシム、100mg/lのアスコルビン酸および選択剤:最終濃度50mg/Lのカナマイシン。
【0136】
1LのTRP+用の処方−4.33g MS塩類、2mlの500xB5ビタミン、1.9g/lのKNO、30g/lのグルコース、0.1g/lのカゼイン加水分解物、3.5gのGELRITE、pH5.8。
【0137】
1LのSHSU用の処方−100mlのStewartおよびHsu Majors(10x)、10mlのStewartおよびHsu Minors(100x)、1.5mlの鉄(100x)、10mlのStewartおよびHsu Organics(100x)、5gのグルコース、50mg/lのベンレート、2.2gのGELRITE、pH6.8(StewartおよびHsu, 1977)。
【0138】
実施例11
リゾビア−媒介トウモロコシ形質転換
A.リゾビウム接種源調製物および培地組成:
CP4、GUSおよびgfp発現カセットを含むpMON96036を、トウモロコシ形質転換に用いた。ベクターを種々の修飾リゾビア菌株にエレクトロポレーションし、確かめ、−80℃にて保存した。グリセロール・ストック中のベクターを含有するリゾビアを、抗生物質(カナマイシン40mg/Lおよびスペクチノマイシン31mg/L)を補充した固形TY培地にストリークし、28℃にて2日間インキュベートした。
【0139】
トウモロコシ未成熟胚のリゾビア接種の2日前に、1白金針のリゾビア培養プレートからの細胞を250mLフラスコ中の62mg/Lのスペクチノマイシンおよび40mg/Lのカナマイシンを補充した25mLの液体TY培地に接種した。フラスコはほぼ150−200rpm、27−28℃にて一晩振とう器に設置した。ついで、リゾビア培養物を同液体培地に希釈(1対5)し、振とう器に戻した。数時間後、接種1日前に、リゾビア細胞を3500rpmで15分間遠心した。細菌細胞ペレットを、200μMのアセトシリンゴンおよび50mg/Lのスペクチノマイシンおよび25mg/Lのカナマイシンを含むAB−TYまたはATA誘導ブロスに再懸濁し、細胞密度をOD660で0.2に調整した。ついで、細菌細胞培養物(各250mLフラスコ中の50mL)を振とう器に戻して一晩増殖させた。接種日の午前に、細菌細胞を遠心し、200μMのアセトシリンゴンを補充した液体1/2 MS VI培地(米国特許出願公開2004244075)で洗浄した。細菌培養物を遠心し、細胞ペレットを200μMのアセトシリンゴンを補充した1/2 MS PL培地(米国特許出願公開2004244075)に再懸濁し、接種用に細胞密度をOD660で1.0に調整した。試薬は市販されており、多数の供給業者(例えば、Sigma Chemical Co., St. Louis, Mo.を参照されたい)から購入できる。
【0140】
B.トウモロコシ胚の単離およびリゾビウム同時培養:
リゾビア−媒介形質転換については、未成熟トウモロコシを含む穂(Zea mays)胚を単離し、未成熟胚を表面滅菌した穂から単離して調製したリゾビア細胞懸濁液に直接落とすこと以外は、Caiら(米国特許出願公開20040244075)によって一般的に記載されているように細菌同時培養によって形質転換した。リゾビア細胞懸濁液を除去した後に、未成熟胚を同時培養培地(米国特許出願公開20040244075)に移した。
【0141】
GFP経時的発現を調べるために、同時培養したトウモロコシ胚をGFP観察用の蛍光顕微鏡下で直接置いた。あるいは、同時培養後に10のランダムに拾い上げた胚を1.5mlのエッペンドルフチューブに移し、gusの経時的発現用に37℃にてX−gluc溶液で一晩染色した。図15はATA誘導培地を用いたアグロバクテリウム・ツメファシエンスABI株と比較した5のリゾビウム菌株、リゾビウム・レグミノサルム、メソリゾビウム・ロティ、シノリゾビウム・フレディイおよびシノリゾビウム・メリロティで形質転換したトウモロコシ未成熟胚のGUS経時的発現を表している。
【0142】
アグロバクテリウム増殖および接種用に用いた通常のAB最少培地はリゾビアの増殖を効果的に指示しないことが観察された。リゾビア接種源は、220rpm、28℃での1週間振とう後に、いずれの選択をも含まないAB最少培地中で顕著な増殖を示さなかった。AB最少培地に20mlのTY培地を含めると、リゾビア増殖速度を劇的に改善したが;AB−TY培地中のグルコースをL−アラビノースおよびATA培地中のグルコン酸カリウムで置換すると多糖産生を低下し、より密なペレットを生じた。誘導培地中の炭素源の変更は、トウモロコシ中有のリゾビア菌株を用いたgus経時的発現を顕著に改善した。
【0143】
C.トランスジェニック植物のカルス誘導および再生:
同時培養後に、適当に選択条件の修飾を行いつつ、米国特許出願公開20040244075に記載されているように形質転換を実質的に続けた。胚を、250mg/Lのカルベニシリンおよび0.1mMのグリフォセートを補充した修飾MS培地(米国特許出願公開20040244075)に移した。gfp発現を有する安定して形質転換されたカルスが、このステージの経時的アッセイに用いたメソリゾビウム・ロティ、シノリゾビウム・フレディイおよびシノリゾビウム・メリロティ株から観察された(図16)。代表的な形質転換頻度を表7に示す。
【0144】
【表11】

【0145】
D.リゾビア−媒介形質転換由来のトランスジェニック植物の分子分析:
全ゲノムDNAを温室で生育したトウモロコシ植物から単離し、単一のカッターBamHIで消化してトランスジーンコピー数を概算した。DIG標識したgusプローブを用いてゲノムDNAとハイブリダイズさせた。推定形質転換組織のトランスジェニック性質は、1を除いてすべての系統について確認された(図17)。
【0146】
E.トランスジェニック・トウモロコシ植物におけkるトランスジーンの生殖系列伝播:
開花トランスジーン・トウモロコシ植物は、自家授粉または形質転換に用いたトウモロコシ遺伝子型の親系統(LH244系統)のいずれかと外部授粉させた。乾燥種子を、gus染色については1日間、gfpカウントについては2日間水を吸収させた。トランスジェニックR1種子におけるgusまたはgfp発現および分離を確認した(表8)。
【0147】
【表12】

【0148】
【表13】

【0149】
実施例12
接合伝達系(conjugal transfer system)を解したリゾビア−媒介作物形質転換
リゾビアおよび関連種におけるoriT−依存プラスミド接合伝達系を用いても、関心のある遺伝子(GOI)を植物細胞に送達し、つづいて植物ゲノムに組み込むことができる。同種または異種の接合伝達系を遺伝子トランスファーに使用し得る。ついで、トランスジェニック植物は、確立した組織培養系を介して選択可能なマーカーを用いて再生し得る。リゾビア菌株には、数ある中でも、シノリゾビウム種、メソリゾビウム・ロティ、リゾビウム・レグミノサルムおよびリゾビウム種NGR234が含まれ得る。
【0150】
参考文献
以下の参考文献は、本明細書の記載事項を補充する例示的な手法または他の詳細を提供する限りにおいて、出典明示して本明細書の一部とみなす。
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米国特許出願公開20020168707号;米国特許出願公開20030028917号;米国特許出願公開20030083480号;米国特許出願公開20030115626号;米国特許出願公開20030135879号;米国特許出願公開20040177399;米国特許出願公開20040244075号;米国特許出願公開20050005321号;米国特許出願公開20050022261号;米国特許出願公開20050289667号;米国特許出願公開20050289672号;米国特許出願公開20060200878号;米国特許出願公開20060162010号;米国特許出願公開20060236420;
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【特許請求の範囲】
【請求項1】
(a)少なくとも第1の植物細胞と、(i)Tiプラスミドのvir遺伝子領域を含む第1の核酸、ここにvir遺伝子領域はVirD2−依存様式で植物細胞に関心のある核酸を導入するように作用し;および(ii)関心のある核酸に作動可能に連結した1またはそれを超えるT−DNAボーダー配列(または複数のT−DNAボーダー配列)を含む第2の核酸を含むアグロバクテリウム種(Agrobacterium sp.)以外の細菌とを接触させ;ついで、
(b)関心のある核酸で形質転換した少なくとも第1の植物細胞を選択することを含み、ここに植物細胞がダイズ、キャノーラ、トウモロコシまたはワタ植物細胞である植物細胞を形質転換する方法。
【請求項2】
(a)少なくとも第1の植物細胞と、(i)VirD2機能から独立したDNA配列の接合伝達に必要な第1の核酸、および(ii)関心のある核酸を含む第2の核酸を含むアグロバクテリウム以外の細菌とを接触させ、ここに植物細胞がダイズ、キャノーラ、トウモロコシまたはワタ植物細胞であり、ここに接合伝達に必要な核酸によってコードされるポリペプチドが関心のある核酸を植物細胞にトランスファーするように作用し;ついで、
(b)関心のある核酸で形質転換した少なくとも第1の植物細胞を選択することを含む植物細胞を形質転換する方法。
【請求項3】
接合伝達がtraA、traIまたはmobA依存性である請求項2記載の方法。
【請求項4】
該第1の核酸がoriTを含む請求項2記載の方法。
【請求項5】
第1の核酸が左側および/または右側T−DNAボーダー配列を欠く請求項2記載の方法。
【請求項6】
細菌がリゾビア(Rhizobia)細胞である請求項1または2記載の方法。
【請求項7】
リゾビア細胞をアセトシリンゴンまたは植物細胞と接触する前にvir遺伝子機能を誘導する他の化合物の存在下で増殖させる請求項6記載の方法。
【請求項8】
リゾビア細胞がリゾビウム種(Rhizobium spp.)、シノリゾビウム種(Sinorhizobium spp.)、メソリゾビウム種(Mesorhizobium spp.)、フィロバクテリウム種(Phyllobacterium spp.)、オクロバクテラム種(Ochrobacterum spp.)およびブラディリゾビウム種(Bradyrhizobium spp.)よりなる群から選択される請求項6記載の方法。
【請求項9】
リゾビア細胞がリゾビウム・レグミノサルム(Rhizobium leguminosarum)である請求項8記載の方法。
【請求項10】
リゾビア細胞がリゾビウム・レグミノサルム・ビイブイ・トリフォリ(R. leguminosarum bv. trifolii)、リゾビウム・レグミノサルム・ビイブイ・ファゼオリ(R. leguminosarum bv. phaseoli)またはリゾビウム・レグミノサルム・ビイブイ・ビシアエ(R. leguminosarum bv. viciae)である請求項9記載の方法。
【請求項11】
植物細胞が植物種子、幼植物、カルス、細胞懸濁液、子葉、分裂組織、葉、根または茎からの外植片からなり、該外植片を細菌と接触させる請求項1または2記載の方法。
【請求項12】
外植片が胚性分裂組織;カルス;細胞懸濁液;子葉;または葉、根または茎からの組織を含む請求項11記載の方法。
【請求項13】
VirD2機能から独立した接合伝達に必要な核酸をエレクトロポレーションによって細菌に導入する請求項2記載の方法。
【請求項14】
第1および第2の核酸をエレクトロポレーションによって細菌に導入する請求項1または2記載の方法。
【請求項15】
関心のある核酸で形質転換した植物細胞を選択することを、選択剤の不存在下で行う請求項1または2記載の方法。
【請求項16】
関心のある核酸で形質転換した植物細胞を選択することが選択剤の存在下で植物細胞を培養することを含み、関心のある核酸が選択剤に耐性を付与し、または選択剤に対する耐性を付与するさらなる核酸に作動可能に連結している請求項1または2記載の方法。
【請求項17】
選択剤がグリフォセート、カナマイシン、ビアラフォスまたはジカンバである請求項16記載の方法。
【請求項18】
関心のある核酸またはさらなる核酸がEPSPシンターゼをコードする請求項17記載の方法。
【請求項19】
EPSPシンターゼタンパク質がCP4である請求項18記載の方法。
【請求項20】
選択剤がグリフォセートである請求項16記載の方法。
【請求項21】
関心のある核酸が選択マーカー遺伝子に物理学的に連結していない請求項1または2記載の方法。
【請求項22】
マーカー遺伝子および関心のある核酸が、関心のある核酸で形質転換した植物細胞から再生した植物の子孫において遺伝子的に分離する請求項21記載の方法。
【請求項23】
細菌がさらなる関心のある核酸を含む少なくとも第3の核酸を含み、植物細胞を第3の核酸で形質転換する請求項1または2記載の方法。
【請求項24】
さらに、植物細胞から植物を再生することを含み、ここに植物が関心のある核酸を含む請求項1または2記載の方法。
【請求項25】
植物細胞から植物を再生することが、植物細胞を含む外植片からの1またはそれを超えるシュートの形成を誘導し、ついで、少なくとも第1のシュートを受精能力のある植物全体に栽培することを含む請求項24記載の方法。
【請求項26】
再生を器官形成によって行う請求項24記載の方法。
【請求項27】
植物がトウモロコシ植物、ワタ植物、ダイズ植物およびキャノーラ植物よりなる群から選択される請求項24記載の方法。
【請求項28】
リゾビウム種(Rhizobium spp.)、シノリゾビウム種(Sinorhizobium spp.)、メソリゾビウム種(Mesorhizobium spp.)、フィロバクテリウム種(Phyllobacterium spp.)、オクロバクテラム種(Ochrobacterum spp.)およびブラディリゾビウム種(Bradyrhizobium spp.)よりなる群から選択されるリゾビア細胞であって、該細胞が(i)Tiプラスミドのvir遺伝子領域、ここにvir遺伝子領域はVirD2依存様式で植物細胞に関心のある配列をコードする核酸を導入するように作用し;および、(ii)関心のある配列をコードする核酸に作動可能に連結した1またはそれを超えるT−DNAボーダー配列(または複数の配列)を含む第2の核酸を含む該リゾビア細胞。
【請求項29】
さらに、選択可能なマーカーを含むとして規定される請求項28記載のリゾビア細胞。
【請求項30】
リゾビア細胞が、リゾビウム種、リゾビウム種NGR234、リゾビウム・レグミノサルム・マディソン、リゾビウム・レグミノサルムUSDA2370、リゾビウム・レグミノサルムUSDA2408、リゾビウム・レグミノサルムUSDA2668、リゾビウム・レグミノサルム2370G、リゾビウム・レグミノサルム2370LBA、リゾビウム・レグミノサルム2048G、リゾビウム・レグミノサルム2048LBA、リゾビウム・レグミノサルム・ビイブイ・ファゼオリ、リゾビウム・レグミノサルム・ビイブイ・ファゼオリ2668G、リゾビウム・レグミノサルム・ビイブイ・ファゼオリ2668LBA、リゾビウム・レグミノサルムRL542C、リゾビウム・レグミノサルム・ビイブイ・ビシアエ、リゾビウム・レグミノサルム・ビイヴイ・トリフォリ、リゾビウム・エトリ(Rhizobium etli)USDA9032、リゾビウム・エトリ・ビイブイ・ファゼオリ、リゾビウム・トロピシ(Rhizobium tropici)、メソリゾビウム種、メソリゾビウム・ロティML542G、メソリゾビウム・ロティML4404、シノリゾビウム種、シノリゾビウム・メリロティSD630、シノリゾビウム・メリロティUSDA1002、シノリゾビウム・フレディイUSDA205、シノリゾビウム・フレディイSF542G、シノリゾビウム・フレディイSF4404、シノリゾビウム・フレディイSM542C、ブラディリゾビウム種、ブラディリゾビウム・ジャポニカム(Bradyrhizobium japonicum)USDA6およびブラディリゾビウム・ジャポニカムUSDA110よりなる群から選択される請求項28記載のリゾビア細胞。
【請求項31】
細胞がリゾビウム・レグミノサルム細胞である請求項30記載のリゾビア細胞。
【請求項32】
細胞がリゾビウム・レグミノサルム・ビイブイ・トリフォリ(R. leguminosarum bv. trifolii)、リゾビウム・レグミノサルム・ビイブイ・ファゼオリ(R. leguminosarum bv. phaseoli)またはリゾビウム・レグミノサルム・ビイブイ・ビシアエ(R. leguminosarum bv. viciae)細胞である請求項31記載のリゾビア細胞。
【請求項33】
リゾビアからのvirD2依存性トランスファーにコンピーテントであって、関心のある核酸に作動可能に連結したoriT配列を含むDNA構築物。
【請求項34】
さらに、traAまたはmob配列を含む請求項33記載のDNA構築物。
【請求項35】
リゾビウム種(Rhizobium spp.)、シノリゾビウム種(Sinorhizobium spp.)、メソリゾビウム種(Mesorhizobium spp.)、フィロバクテリウム種(Phyllobacterium spp.)、オクロバクテラム種(Ochrobacterum spp.)およびブラディリゾビウム種(Bradyrhizobium spp.)よりなる群から選択されるリゾビア細胞。
【請求項36】
リゾビウム種、リゾビウム種NGR234、リゾビウム・レグミノサルム・マディソン、リゾビウム・レグミノサルムUSDA2370、リゾビウム・レグミノサルム・ビイブイ・トリフォリUSDA2408、リゾビウム・レグミノサルム・ビイブイ・ファゼオリUSDA2668、リゾビウム・レグミノサルム2370G、リゾビウム・レグミノサルム2370LBA、リゾビウム・レグミノサルム2048G、リゾビウム・レグミノサルム2048LBA、リゾビウム・レグミノサルム・ビイブイ・ファゼオリ、リゾビウム・レグミノサルム・ビイブイ・ファゼオリ2668G、リゾビウム・レグミノサルム・ビイブイ・ファゼオリ2668LBA、リゾビウム・レグミノサルムRL542C、リゾビウム・レグミノサルム・ビイブイ・ビシアエ、リゾビウム・レグミノサルム・ビイヴイ・トリフォリ、リゾビウム・エトリ(Rhizobium etli)USDA9032、リゾビウム・エトリ・ビイブイ・ファゼオリ、リゾビウム・トロピシ(Rhizobium tropici)、メソリゾビウム種、メソリゾビウム・ロティML542G、メソリゾビウム・ロティML4404、シノリゾビウム種、シノリゾビウム・メリロティSD630、シノリゾビウム・メリロティUSDA1002、シノリゾビウム・フレディイUSDA205、シノリゾビウム・フレディイSF542G、シノリゾビウム・フレディイSF4404、シノリゾビウム・フレディイSM542C、ブラディリゾビウム種、ブラディリゾビウム・ジャポニカム(Bradyrhizobium japonicum)USDA6およびブラディリゾビウム・ジャポニカムUSDA110よりなる群から選択される請求項35記載のリゾビア細胞。
【請求項37】
細胞がリゾビウム・レグミノサルム細胞である請求項36記載のリゾビア細胞。
【請求項38】
細胞がリゾビウム・レグミノサルム・ビイブイ・トリフォリ、リゾビウム・レグミノサルム・ビイブイ・フェゼオリまたはリゾビウム・レグミノサルム・ビイブイ・ビシアエ細胞である請求項36記載のリゾビア細胞。
【請求項39】
さらに、誘導培地中での増殖の間に多糖産生を最小限化する条件下にてアグロバクテリウム種以外の細菌を増殖させることを含む請求項1または2記載の方法。
【請求項40】
誘導培地中での増殖の間に多糖産生を最小限化するために用いる炭素源(または複数の炭素源)がAB−TY培地中のグルコース、またはATA培地中のLーアラビノースおよびグルコン酸カリウムである請求項39記載の方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9A】
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【図9B】
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【図9C】
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【図9D】
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【図9E】
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【図9F】
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【図10A】
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【図10B】
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【図10C】
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【図10D】
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【図10E】
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【図11】
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【図12A】
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【図12B】
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【図12C】
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【図12D】
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【図12E】
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【図12F】
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【図13A】
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【図13B】
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【図13C】
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【図13D】
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【図13E】
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【図13F】
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【図14】
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【図15】
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【図16A】
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【図16B】
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【図16C】
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【図17】
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【公表番号】特表2009−537150(P2009−537150A)
【公表日】平成21年10月29日(2009.10.29)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−511223(P2009−511223)
【出願日】平成19年5月16日(2007.5.16)
【国際出願番号】PCT/US2007/069053
【国際公開番号】WO2007/137075
【国際公開日】平成19年11月29日(2007.11.29)
【出願人】(501231613)モンサント テクノロジー エルエルシー (71)
【Fターム(参考)】