説明

植物性材料の処理プラント

【課題】植物性材料を破砕したチップを野積みした場合に発生する自然発火や悪臭発生等の問題を解決することができるような植物性材料の処理プラントを提供する。
【解決手段】植物性材料(1)を破砕してチップ状にする破砕手段(3A)と、金属を除去する金属除去手段(10A)と、チップ状の植物性材料(C)に無機質材料を含む良質土(4)と保水性や通気性を向上させる改良剤(Z)とを混合する混合手段(9A)と備え、その混合物を貯蔵し発酵させて改良土壌(Sg)とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、例えば剪定された樹木の枝や伐採された樹木等の植物性材料、特に、かかる植物性材料を破砕して得られたチップを有効利用するための技術に関する。
【背景技術】
【0002】
剪定された樹木の枝や伐採された樹木等の植物性材料を破砕して得られるチップは、再利用の用途が少ない為、その大半はいわゆる「野積み」にされる場合が多いのが現状である。
【0003】
野積みされた当該チップは、自然発火したり、発酵して悪臭を発生したりする等、様々な環境問題を引き起こしている。特に、気温の高い夏季においては、植物性材料を破砕したチップを野積みすることによる問題が顕著となる。
【0004】
近年、植物育成に適した土壌が減少していることに着目し、野積みされているチップを発酵させて植物育成に好適な培養土を製造しようとすることも試みられている。
しかし、野積みされているチップが、培養土に適する程度まで十分に発酵するまでには、通常、2年〜3年の時間が掛かる。それに対して、剪定された樹木の枝や伐採された樹木等の植物性材料は毎年のように発生する。そのために、野積みされているチップを発酵させて、植物育成に好適な培養土を製造する、ということにしても、野積みされているチップは増加する一方となり、自然発火や悪臭の発生等の問題は解決されない。
【0005】
ここで、従来技術として、古い家屋等の建築廃材を破断して植物栽培用の培地を製造する技術が提案されている(例えば、特許文献1)。
しかし、かかる従来技術は、破断された木材チップを水洗いし、消毒してアルカリ性溶液に浸漬するものであり、「野積み」とするものではない。従って、上述したような問題、すなわち、「野積み」にした場合に生じる自然発火や悪臭の発生等の各種問題を解決することは出来ない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2004−180663号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明は上述した問題点に鑑みて提案されたものであり、植物性材料を破砕したチップを野積みした場合に発生する自然発火や悪臭発生等の問題を解決することが出来るような植物性材料の処理プラントを提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0008】
発明者は、種々研究の結果、植物性材料を破砕したチップを野積みした場合に、自然発火や悪臭発生等の問題が生じる原因は、破砕されてチップ化された樹木等の植物性材料は、その密度が小さい(約40%程度)ためであることを見出した。
樹木等の植物性材料を破砕したチップは、その内部空間が多いため、当該チップの発酵が進行し易く、可燃性ガスが発生し易い。その状態で、いわゆる「切り返し」作業を行い、可燃性ガスを大気に開放すれば、自然発火を防ぐことが出来る。
しかし、野積みされているチップは「切り返し」作業が行われないので、可燃性ガスが大気に開放されず、チップの内部空間に貯蔵されてしまう。その結果、チップの発酵熱により、当該可燃性ガスが発火してしまうのである。
【0009】
また、密度が小さい(約40%程度)植物性材料チップは、透水性が高過ぎる(保水性が悪い)ため、雨水その他によりチップに水が供給されても、野積みされた底部から地面に吸収されてしまう。そのため、チップの内部には発酵に必要な水分が保持されず、そのことがチップの発酵に時間が掛かる(例えば、2年〜3年)要因となっている。
【0010】
本発明はかかる知見に基づいて提案されたものである。
本発明によれば、植物性材料(例えば、剪定あるいは伐採された樹木等)1を破砕して所定サイズ(例えば、0〜20mm)のチップCにする破砕手段3Aと、その破砕手段3Aに設けられて前記植物性材料1中に含まれる金属を除去する金属除去手段(例えば、鉄を除去するための磁選機)10Aと、前記破砕手段3Aで破砕されたチップCおよび外部から調達され無機質材料(例えば、砂)を含む良質土4を区分して貯蔵するストックヤード5と、そのストックヤード5に貯蔵されたチップCおよび良質土4と定量供給装置8を介して所定分量ずつ供給され保水性や通気性を向上させるための改良剤(例えば、高分子ポリマー)Zとの3種の原料を所定の混合比率(改良剤3〜10%、良質土20〜50%、チップ50〜80%)で混合する混練装置9A(例えば、スクリューフィーダ)と、その混練装置9Aで得られた混合物Sgを貯蔵する貯蔵製品ストックヤード12とを備えており、そのストックヤード12は、前記混合物を貯蔵して発酵させ改良土壌Sgにする機能を有し、かつ搬送手段BRを介して農場F等に連結され、袋詰製品を貯蔵する貯蔵場20に搬送装置で連結されている。
【0011】
さらに、本発明によれば、植物性材料(例えば、剪定あるいは伐採された樹木等)を破砕して所定のサイズ(例えば、0〜20mm)のチップCにする破砕手段3Aと、その破砕手段3Aで破砕されたチップCを定量供給するチップ定量供給装置6と、無機質材料(例えば、砂)を含む良質土4を定量供給する良質土定量供給装置7と、保水性や通気性を向上させるための改良剤(例えば、高分子ポリマー)Zを定量供給する改良剤定量供給装置8と、それらのチップ定量供給装置6から送られるチップC、良質土定量供給装置7から送られる良質土4、および改良剤定量供給装置8から送られる改良剤Zを攪拌混合する混練装置9Aと、その混練装置9Aで攪拌混合された混合物から金属を除去する金属除去手段(例えば、鉄を除去するための磁選機)10Aと、その金属除去手段10Aを経た混合物を均一な粒度に粉砕するための連続粉砕装置11と、その連続粉砕装置11によって均一な粒度(例えば、0〜5mm程度)にされた混合物を貯蔵して発酵させる製品ストックヤード12とを備え、前記チップ定量供給装置6、良質土定量供給装置7、および改良剤定量供給装置8は、前記混練装置9Aに供給されるチップC、良質土4、および改良剤Zが所定の混合比(例えば、改良剤3〜10%、良質土20〜50%、チップ50〜80%)となるように混練改良土壌プラント制御盤14によって制御されており、また前記ストックヤード12は改良土壌Shを定量供給し改良土壌製品として袋詰めする製品袋詰装置13と、加熱殺菌し園芸用無菌土壌にする熱処理装置15とにそれぞれ連結され、熱処理装置15を制御する熱処理プラント制御盤17を備えている。
【0012】
ここで、前記改良剤としては、保水性や通気性を向上させるとともに団粒化土壌を醸成する高分子ポリマー等に加えて、有機性有害物質を分解する酸化チタンや、重金属を吸着する炭化物等を使用しても良い。
【発明の効果】
【0013】
上述したような構成を具備する本発明によれば、チップに良質土を混入するので、密度が増加し、内部空間が減少する。従って、内部空間に貯蔵されるメタン等の可燃性ガスの量が少なくなり、発酵熱による自然発火の危険性が減少する。
また、無機質材料(例えば、砂)を含む良質土を混入する結果、発酵が進行する過程で悪臭が発生しても、発酵中のチップは土に含まれる無機質材料と混合され、悪臭発生物質が吸着されるので、外部に悪臭が拡散しない。
【0014】
また、内部空間が減少すれば、すなわち保水性が向上し、保水性が向上すれば、チップの発酵が進行し易くなる。例えば、チップ80に対して土20を混合すれば、植物培養土として使用可能な程度まで発酵するのに必要な時間は約半年程度に短縮される。
その結果、伐採された樹木や剪定された枝が毎年発生しても、翌年に樹木の伐採や枝の剪定が新たに行われるまでに、全て植物培養土として再利用することが可能となる。
【0015】
しかも、本発明では、保水性や通気性を向上させるための改良剤をさらに加えるので、以上の効果がより一層顕著に発揮される。
【0016】
ここで、植物性材料のチップに有機質汚泥等を混合した場合には、チップ発酵の段階で、有害な微生物が繁殖してしまうので、そのような混合物の発酵が完了しても、例えば学校等の衛生を配慮するべき環境で使用した場合に、問題が生じる恐れがある。
【0017】
これに対して本発明では、無機質材料(例えば、砂)を含む良質土を混入しているので、有害な微生物が混入してしまう可能性が極めて低い。そのため、植物性材料のチップが発酵しても、有害な微生物が多量に繁殖してしまっている可能性は小さく、例えば学校等の衛生を配慮するべき環境で使用しても、問題は生じない。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【図1】本発明の第1実施形態の構成図。
【図2】本発明の第2実施形態の構成図。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下、添付図面を参照して、本発明の実施形態について説明する。
図1は本発明の第1実施形態のプラント構成をブロック状に示している。
剪定枝・材木等の植物性材料1を搬入する搬入車両1Mがベルトコンベア等の第1の搬送装置Bc1(以降の搬送装置はすべてベルトコンベア等を指す。)を介してストックヤード2に連結され、ストックヤード2は第2の搬送装置Bc2を介して破砕手段の破砕機3Aに連結されている。
なお、第1の搬送装置Bc1は、ストックヤード2の貯蔵容量、位置によって、第1の搬送装置Bc1そのものを省いて搬入車両1Mから直接にストックヤード2に搬入するように構成されていてもよい。
【0020】
破砕機3Aは剪定枝・材木等の植物性材料1を所定のサイズ例えば0〜20mmに破砕してチップCにする機能と、植物性材料1の中に含まれる金属例えば釘や針金等を除去する磁選機等の周知の金属除去手段10Aを有する可動式であって、第3の搬送装置Bc3を介してストックヤード5に連結されている。
【0021】
一方、外部から調達する良質土4を搬入する搬入車両4Mが第4の搬送装置Bc4を介してストックヤード5に連結されている。
なお、第4の搬送装置Bc4は、ストックヤード5の貯蔵容量、位置によって、第4の搬送装置Bc4そのものを省いて搬入車両4Mから直接にストックヤード5に搬入するように構成されていてもよい。
【0022】
ストックヤード5は、チップCと良質土4とを確実に区分して貯蔵する機能を有しており、チップCを搬送する第6の搬送装置Bc6を介して混練装置9Aに連結されており、かつ、良質土4を搬送する第7の搬送装置Bc7を介して混練装置9Aに連結されている。
【0023】
また、別の外部から調達した改良剤Zを所定の分量ずつ供給する定量供給機(装置)8が第8の搬送装置Bc8を介して混合手段の混練装置9Aに連結されている。
改良剤Zは、本例では有機性有害物質を分解するための酸化チタン、団粒化土壌を醸成し、保水性、通気性を向上させるための高分子ポリマー、重金属を吸着するための炭化物等を使用している。
なお、酸化チタンは混合せずに、混練時に水溶液で散布することも有る。
【0024】
酸化チタン、炭化物を混入することで、過去に散布された有害な有機塩素系農薬や有機リン酸系農薬を分解することが出来る。また、炭化物により重金属等の有害物質を吸着し、封じ込めることにより、安全な農地の確保が可能となる。
さらに、酸化チタンと炭化物を混入することにより、発酵するまでの時間が短縮されるので、早いサイクルにて改良土として使用することが出来る。
【0025】
混練装置9Aは、例えばスクリューフィーダで構成されており、改良剤Zと、無機質材料が含まれた良質土4と、チップCとを所定の混合比率で混練して改良土壌Sgを製造する機能を有し、第9の搬送装置Bc9を介して改良土壌ストックヤード12に連結されている。
【0026】
改良土壌ストックヤード12は、混合(混練)物を貯蔵して発酵させ改良土壌Sgにする機能を有し、搬送手段BRを介して農場F等に連結され、且つ第12の搬送装置Bc12を介して袋詰製品Tsを貯蔵する貯蔵場20に連結されている。搬送手段BRは通常、車両が使用されている。
【0027】
上記構成の第1実施形態の作用を図1によって説明する。
原材料の剪定枝・材木等の植物性材料1が搬入車両1Mによって工場に搬入され、第1の搬送装置Bc1を介してストックヤード2に積置される。そして、ストックヤード2内の植物性材料1は、第2の搬送装置Bc2を介して連続あるいはバッチで破砕機3Aに投入される。
【0028】
破砕機3Aでは植物性材料1を所定のサイズ例えば0〜20mmに破砕してチップCにする(破砕工程)とともに、金属除去手段10Aによって植物性材料1の中に含まれる金属例えば釘や針金等を除去する(金属除去工程)。
このようにして得られたチップCは一旦、床Gの上に載置される。
そして、第3の搬送装置Bc3を介してストックヤード5に搬送され載置される。
【0029】
一方、別の原材料の良質土4が搬入車両4Mによって工場に搬入され、第4の搬送装置Bc4を介してストックヤード5に搬送され載置される。
また、予め準備してあった別の原材料の高分子ポリマー等の改良剤Zが、定量供給機8に投入される。
【0030】
上記のようにして3種の原材料のチップC、良質土4及び改良剤Zが準備された状態で、所定の混合比となるように、本例では、改良剤Zが3〜10%、良質土4が20〜50%、チップCが50〜80%の所定量を第8の搬送装置Bc8、第7の搬送装置Bc7、第6の搬送装置Bc6を介してそれぞれ混練装置9Aに投入される。
【0031】
混練装置9Aでは前記3種の原材料を攪拌し混練して均質にし(混合工程)、改良土壌Sgにし、第9の搬送装置Bc9を介して改良土壌ストックヤード12に投入する。
改良土壌ストックヤード12に投入された改良土壌Sgは、雑菌等の好ましくない微生物の進入を防止して、土壌の変質を予防して発酵される。
【0032】
改良土壌ストックヤード12で発酵した改良土壌Sgは、搬送手段BRによって農場F等に供給される。この際の搬送手段BRは通常は車両が主たる手段であるが、遠隔地への供給は船舶等も利用される。
改良土壌Sgは、また、第12の搬送装置Bc12によって、貯蔵場20に搬送され、袋詰めされて製品Tsとなって出荷を待機する。
【0033】
上記のようにして混合したものは、剪定された樹木を破砕したチップCに対して、良質土4や改良剤Zが混合された結果、混合物の比重は、チップCのみの場合に比較して、遥かに大きくなる。
【0034】
その結果、内部空間が減少し、内部空間に貯蔵される可燃性ガスの量も、当然、減少するので、自然発火が防止される。
また、発酵中のチップは無機質成分(例えば、土中の砂)と混合されていることにより、発酵が進行する過程で悪臭が発生しても、悪臭発生物質が例えば土の無機質成分に吸着されるので、外部に悪臭が拡散しない。
等の長所がある。
【0035】
図2は本発明の第2実施形態のプラント構成をブロック状に示している。
本実施形態の特徴は、園芸用としてチップCと、良質土4と、改良剤Zとの混合物を熱処理して雑種や雑菌を死滅させて、園芸用無菌土壌を製造すること及び混練改良土壌プラントの全てを自動制御で作動させるようにしたことにある。
【0036】
剪定枝・材木等の植物性材料1を搬入する搬入車両1Mがベルトコンベア等の第1の搬送装置Bc1(以降の搬送装置はすべてベルトコンベア等を指す。)を介してストックヤード2に連結され、ストックヤード2は第2の搬送装置Bc2を介して破砕手段の破砕機3Aに連結されている。
第1の搬送装置Bc1は、ストックヤード2の貯蔵容量、位置によっては、第1の搬送装置Bc1そのものを省いて搬入車両1Mから直接に搬入するように構成されていてもよい。
【0037】
破砕機3Aは剪定枝・材木等の植物性材料1を所定のサイズ例えば0〜20mmに破砕してチップCにする機能を有する可動式装置であって、植物性材料1を破砕したチップCを近傍の床上Gに載置するよう構成されている。
床上Gに載置されたチップCは第3の搬送装置Bc3を介してストックヤード5に連結されている。
【0038】
一方、外部から調達する良質土4を搬入する搬入車両4Mが第4の搬送装置Bc4を介してストックヤード5に連結されている。
【0039】
ストックヤード5は、チップCと良質土4を確実に区分して貯蔵する機能を有しており、チップCを搬送する第6の搬送装置Bc6を介してチップ定量供給装置6に連結され、良質土4を搬送する第7の搬送装置Bc7を介して良質土定量供給装置7に連結されている。
【0040】
第6の搬送装置Bc6及び第7の搬送装置Bc7は、搬送速度を例えばインバータ等で速度調整が可能に構成され、後記する混練改良土壌プラント制御盤14に制御されるよう構成されている。
【0041】
チップ定量供給装置6は、第11の搬送装置Bc11を介して混合手段の混練装置9Aに投入されるチップCの供給量をホッパー内のレベルセンサで計測するように構成され、良質土定量供給装置7は第10の搬送装置Bc10を介して混練装置9Aに投入される良質土4の供給量をホッパー内のレベルセンサで計測するように構成され、いずれも混練改良土壌プラント制御盤14に計測データが送信され、作動の制御を受けるよう構成されている。
【0042】
また、別の外部から調達した改良剤Zを所定の分量ずつ供給する改良剤定量供給装置8が第8の搬送装置Bc8を介して混練装置9Aに連結されている。
改良剤定量供給装置8は投入される改良剤Zをホッパー内のレベルセンサで計測するように構成され、混練改良土壌プラント制御盤14に計測データが送信され、作動の制御を受けるよう構成されている。
【0043】
改良剤Zは、本例では良質な土壌育成菌や団粒化土壌を醸成し、保水性、通気性の向上により良質な土壌菌を繁殖させる高分子ポリマー等を使用している。なお、改良土壌に適する微生物等を加えても良い。
【0044】
チップ定量供給装置6、良質土定量供給装置7及び改良剤定量供給装置8は、例えばスクリューの回転速度を変える等によって所定の供給量にするように構成され、混練改良土壌プラント制御盤14に制御されるように構成されている。
【0045】
また、混練装置9Aに通じる第11、10及び8の各搬送装置も、それぞれの搬送速度を変えて所定量の供給にするように、混練改良土壌プラント制御盤14によって制御されるように構成されている。
【0046】
混練装置9Aは、例えばスクリューフィーダで周知のように構成されていて、改良剤Zと、無機質材料が含まれた良質土4と、チップCとを所定の混合比率で混練する機能を有し、第12の搬送装置Bc12を介して金属を除去する金属除去手段の磁選機10Aに連結されている。混練装置9Aもホッパーに投入される材料がレベルセンサで計測され、第12の搬送装置Bc12への供給を混練改良土壌プラント制御盤14によって制御されるように構成されている。
【0047】
磁選機10Aは第13の搬送装置Bc13を介して連続粉砕装置11に連結されている。
連続粉砕装置11は混練装置9Aによって混練された混合物を粉砕して均一な粒度、例えば0〜5mm程度の粒度にするように構成されていて、第14の搬送装置Bc14によって製品ストックヤード12に連結されている。
【0048】
製品ストックヤード12は、連続粉砕装置11によって均一な小径粒度にされた混合物を貯蔵して発酵させる機能を有し、田畑等の改良土壌用製品にするための第15の搬送装置Bc15と、園芸用無菌土壌にするための第16の搬送装置Bc16とに分けて搬送するように構成されている。
【0049】
第15の搬送装置Bc15は第1の製品袋詰装置13に連結され、第16の搬送装置Bc16は熱処理手段の熱処理装置15に連結されている。
【0050】
製品袋詰装置13は、製品ストックヤード12からの改良土壌Shを定量供給して袋詰製品Tshにするよう構成されている。
製品袋詰装置13は、ここで袋詰めされた袋詰製品Tshを貯蔵する貯蔵場40に第18の搬送装置Bc18によって連結されている。
【0051】
製品袋詰装置13を含むチップ定量供給装置6、良質土定量供給装置7、改良剤定量供給装置8及び混練装置9A及び各搬送装置例えばBc6、Bc7、Bc11、Bc10、Bc8等のすべてに安全性を確保するための警報装置や非常停止装置が設置されている。
【0052】
混練改良土壌プラント制御盤14は、混練改良土壌の製造にかかわる上記の製品袋詰装置13の定量供給制御、チップ定量供給装置6、良質土定量供給装置7、改良剤定量供給装置8及び混練装置9Aの定量供給制御、各搬送装置の速度制御のほかに、各装置6、7、8、11、13の安定運転の制御、全装置に設けられた安全確保のための警報装置や非常停止装置の管理を行う機能を有して構成されている。
【0053】
第16の搬送装置Bc16に連結された熱処理装置15は、製品ストックヤード12内の改良土壌Shを加熱して殺菌する加熱炉15aと、排気処理装置15Bとで構成されている。
加熱炉15aは、改良土壌Shを加熱して雑種や雑菌を死滅させる機能を有していて、本例では300℃以下の熱により園芸用の無菌土壌にするよう構成されている。
【0054】
その熱源は、オイルバーナ、ガスバーナ、電熱等のいずれでもよく、図示しない温度センサ例えば熱電対によって検出した炉内温度を自動制御し、所定温度例えば300℃を保持して安定な加熱処理をするように、熱処理プラント制御盤17によって制御されるように構成されている。
【0055】
加熱炉15aで加熱処理された改良土壌Shは、加熱炉15aの下部に設けられた搬出管Bs1を介して床上の所定場所G1に製品Sjとして送出されるように構成されている。
また、加熱炉15aは、粉塵を含む蒸発気体を排出する排出管Bc17を介して排気処理装置15Bに連結されている。
【0056】
排気処理装置15Bは、排出管Bc17を介した蒸発気体中の粉塵を遠心分離するサイクロン15bと、サイクロン15bを経た気体を水洗する水洗塔15cとで周知の塵排処理装置と同様の機能を有して構成されている。
【0057】
改良土壌製品Sjの床上の所定場所G1は、搬送装置BCcを介して第2の製品袋詰装置16に連結されている。
【0058】
第2の製品袋詰装置16は、所定場所G1からの製品Sjを定量供給して袋詰製品Tjにするよう構成されている。第2の製品袋詰装置16の定量供給作用は、熱処理プラント制御盤17によって制御されるように構成されている。
【0059】
上記第2の製品袋詰装置16及び熱処理装置15の加熱炉15a、排気処理装置15Bのサイクロン15b、水洗塔15c及び各関連装置のすべてに安全性を確保するための警報装置や非常停止装置が設置されている。
【0060】
熱処理プラント制御盤17は、上記の、第2の製品袋詰装置16の定量供給のほかに、加熱炉15aの温度制御と、加熱炉15a、排気処理装置15Bの全装置に設けられた安全確保のための警報装置や非常停止装置の管理を行う機能を有して構成されている。
【0061】
袋詰製品Tjは、園芸用の無菌土壌として前記貯蔵場40に貯蔵され出荷を待機するようになっている。
上記構成の実施形態の作用を図2によって説明する。
【0062】
原材料の剪定枝・材木等の植物性材料1が搬入車両1Mによって工場に搬入され、第1の搬送装置Bc1を介してストックヤード2に積置される。ついで、ストックヤード2内の植物性材料1は、第2の搬送装置Bc2を介して連続あるいはバッチで破砕機3Aに投入される。
【0063】
破砕機3Aでは植物性材料1を所定のサイズ例えば0〜20mmに破砕してチップCにする(破砕工程)。
このようにして得られたチップCは一旦、床上Gに載置される。
そして、第3の搬送装置Bc3を介してストックヤード5に載置される。
【0064】
一方、別の原材料の良質土4が搬入車両4Mによって工場に搬入され、第4の搬送装置Bc4を介してストックヤード5に載置される。
【0065】
また、予め準備してあった別の原材料の高分子ポリマー等の改良剤Zが、定量供給装置8に投入される。
【0066】
上記のようにして3種の原材料のチップC、良質土4及び改良剤Zが準備された状態で、所定の混合比となるように混練改良土壌プラント制御盤14の制御によって(以降の混練改良土壌プラント制御盤14の各制御は記述を省略する。)、本例では改良剤Zが3〜10%、良質土4が20〜50%、チップCが50〜80%の所定量を改良剤定量供給装置8、良質土定量供給装置7、チップ定量供給装置6により供給するよう指示される。
【0067】
このようにして供給された改良剤ZおよびチップC、良質土4は、第8の搬送装置Bc8、第11の搬送装置Bc11、第10の搬送装置Bc10を介してそれぞれ混練装置9Aに投入される。
【0068】
混練装置9Aでは前記3種の材料を攪拌し、混合して(混合工程)均質にした混合物にし、第12の搬送装置Bc12を介して磁選機(金属除去装置)10Aに搬送し、ここで針金、釘等の金属を例えば磁着で除去する(金属除去工程)。そして、第13の搬送装置Bc13を介して連続粉砕装置11に供給する。
【0069】
連続粉砕装置11では、前工程までで作られた混合物の粒度をさらに小径に粉砕(粉砕工程)して例えば0〜5mmに均一にする。そして第14の搬送装置Bc14を介して製品ストックヤード12に搬送させる。
【0070】
製品ストックヤード12に搬送され、貯蔵された均一小径の混合物は発酵を待って改良土壌Shになり、そのままの性状の改良土壌用と園芸用無菌土壌用とに分けられる。
【0071】
改良土壌用は、第15の搬送装置Bc15を介して第1の製品袋詰装置(定量供給機)13に送られ、製品袋に製品Tshとして袋詰めされ第18の搬送装置18を介して貯蔵場40に送られ、出荷を待機する。
【0072】
園芸用無菌土壌用は、第16の搬送装置Bc16を介して加熱炉15aに送られ、300℃以下の所定の温度で加熱され殺菌され(加熱処理工程)、搬出管Bs1を介して床上の所定場所G1に製品Sjとして送出される
【0073】
一旦、床上の所定場所G1に載置された製品Sjは搬送装置BCcを介して第2の製品袋詰装置(定量供給機)16に送られ、製品袋に製品Tjとして袋詰めされ、園芸用無菌土壌となって市場に出される。
【0074】
上記改良土壌製造の各工程における材料の量の計測あるいは定量供給のための装置の作動の制御及び安全確保のための警報発信や非常停止等の作動は、混練改良土壌プラント制御盤14によって自動制御される。
【0075】
また、園芸用無菌土壌製造の熱処理の各工程における温度計測あるいは定量供給のための装置の作動の制御及び安全確保のための警報発信や非常停止等の作動は、熱処理プラント制御盤17によって自動制御される。
【0076】
上記のようにして製造された土壌は、剪定された樹木を破砕したチップに対して、良質土4や改良剤Zが混合される結果、混合物の比重は、チップCのみの場合に比較して、遥かに大きくなる。
その結果、内部の空間が減少し、内部空間に貯蔵される可燃性ガスの量も、当然、減少するので、自然発火が防止される。
【0077】
また、発酵中のチップは無機質成分(例えば、土中の砂)と混合されていることにより、発酵が進行する過程で悪臭が発生しても、悪臭発生物質が例えば土の無機質成分により吸着されるので、外部に悪臭が拡散しない。
【0078】
また、内部の空間が減少した分だけ、保水性が良好な良質土が存在するので、混合物全体の保水性が向上し、発酵が進行し易くなる。したがって、野積みしておく期間が短縮される長所がある。
【0079】
さらに、連続粉砕装置11によって第1、第2の実施形態で製造された土壌よりも小径な均一粒度となるので密度が高く、自然発火が防止され、発酵が進行する過程での悪臭発生物質の土中の無機質成分による吸着が増加し、混合物全体の保水性が向上して発酵が進行し易くなる、等の長所がある。
【0080】
また、混練後の改良土壌を加熱処理するので、良質土や改良剤に紛れ込んだ雑種、雑菌もあわせて殺菌されて完全な園芸用無菌土壌が得られる長所がある。
【符号の説明】
【0081】
Bc1、2、3・・・第1、第2、第3の搬送装置
C・・・チップ
F・・・農場、田畑
Z・・・改良剤
Sh・・・製品
Tj、Tsh・・袋詰製品
1・・・植物性材料
1M、4M・・・搬入車両
2・・・原材料のストックヤード
3A・・・破砕手段、破砕機
4・・・良質土
5・・・混合前のストックヤード
6・・・チップ定量供給装置
7・・・良質土定量供給装置
8・・・改良剤定量供給装置
9A・・混練装置
10A・・金属除去手段、磁選機
11・・連続粉砕装置
12・・改良土壌、製品のストックヤード
13・・第1の製品袋詰装置
14・・混練改良土壌プラント制御盤
15・・・熱処理装置
15a・・加熱炉
15B・・排気処理装置
15b・・サイクロン
15c・・水洗塔
16・・・第2の製品袋詰装置

【特許請求の範囲】
【請求項1】
植物性材料(1)を破砕して所定サイズのチップ(C)にする破砕手段(3A)と、その破砕手段(3A)に設けられて前記植物性材料(1)中に含まれる金属を除去する金属除去手段(10A)と、前記破砕手段(3A)で破砕されたチップ(C)および外部から調達され無機質材料を含む良質土(4)を区分して貯蔵するストックヤード(5)と、そのストックヤード(5)に貯蔵されたチップ(C)および良質土(4)と定量供給装置(8)を介して所定分量ずつ供給され保水性や通気性を向上させるための改良剤(Z)との3種の原料を所定の混合比率で混合する混練装置(9A)と、その混練装置(9A)で得られた混合物(Sg)を貯蔵する貯蔵製品ストックヤード(12)とを備えており、そのストックヤード(12)は、前記混合物を貯蔵して発酵させ改良土壌(Sg)にする機能を有し、かつ搬送手段(BR)を介して農場(F)等に連結され、袋詰製品を貯蔵する貯蔵場(20)に搬送装置で連結されていることを特徴とする植物性材料の処理プラント。
【請求項2】
植物性材料(1)を破砕して所定サイズのチップ(C)にする破砕手段(3A)と、その破砕手段(3A)で破砕されたチップ(C)を定量供給するチップ定量供給装置(6)と、無機質材料を含む良質土(4)を定量供給する良質土定量供給装置(7)と、保水性や通気性を向上させるための改良剤(Z)を定量供給する改良剤定量供給装置(8)と、それらのチップ定量供給装置(6)から送られるチップ(C)、良質土定量供給装置(7)から送られる良質土(4)、および改良剤定量供給装置(8)から送られる改良剤(Z)を攪拌混合する混練装置(9A)と、その混練装置(9A)で攪拌混合された混合物から金属を除去する金属除去手段(10A)と、その金属除去手段(10A)を経た混合物を均一な粒度に粉砕するための連続粉砕装置(11)と、その連続粉砕装置(11)によって均一な粒度にされた混合物を貯蔵して発酵させる製品ストックヤード(12)とを備え、前記チップ定量供給装置(6)、良質土定量供給装置(7)、および改良剤定量供給装置(8)は、前記混練装置(9A)に供給されるチップ(C)、良質土(4)、および改良剤(Z)が所定の混合比となるように混練改良土壌プラント制御盤(14)によって制御されており、また前記ストックヤード(12)は改良土壌(Sh)を定量供給し改良土壌製品として袋詰めする製品袋詰装置(13)と、加熱殺菌し園芸用無菌土壌にする熱処理装置(15)とにそれぞれ連結され、熱処理装置(15)を制御する熱処理プラント制御盤(17)を備えていることを特徴とする植物性材料の処理プラント。

【図1】
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【図2】
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【公開番号】特開2011−125352(P2011−125352A)
【公開日】平成23年6月30日(2011.6.30)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−74485(P2011−74485)
【出願日】平成23年3月30日(2011.3.30)
【分割の表示】特願2005−245704(P2005−245704)の分割
【原出願日】平成17年8月26日(2005.8.26)
【出願人】(301021290)株式会社藤榮商事 (2)
【出願人】(501465850)合資会社バイオメルト (9)
【Fターム(参考)】