植物栽培用の照明装置、植物栽培装置
【課題】人工光と太陽光とを併用して植物を栽培する場合に、太陽光の照射効率が低下するのを抑制する。
【解決手段】栽培ユニット3は、上部側が開口する枠体10と、枠体10の上部側から枠体10に収容される栽培植物に人工光を照射する人工光照射部20と、人工光照射部20を枠体10に支持させる支持部30とを備える。人工光照射部20は、それぞれが板状の放熱板と発光部とを有する第1照射体21、第2照射体22、および第3照射体23を備えており、これら第1照射体21〜第3照射体23の間を太陽光が通過できるように、支持部30にて枠体10に支持させる。また、第1照射体21〜第3照射体23の傾斜を、太陽の高度に応じて調整可能とする。
【解決手段】栽培ユニット3は、上部側が開口する枠体10と、枠体10の上部側から枠体10に収容される栽培植物に人工光を照射する人工光照射部20と、人工光照射部20を枠体10に支持させる支持部30とを備える。人工光照射部20は、それぞれが板状の放熱板と発光部とを有する第1照射体21、第2照射体22、および第3照射体23を備えており、これら第1照射体21〜第3照射体23の間を太陽光が通過できるように、支持部30にて枠体10に支持させる。また、第1照射体21〜第3照射体23の傾斜を、太陽の高度に応じて調整可能とする。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、農作物等の植物の栽培に用いられる植物栽培用の照明装置等に関し、特に、太陽光および人工光を併用した植物栽培システムで用いられる植物栽培用の照明装置等に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、自然条件の変動に左右されない農業環境づくりとして、栽培環境の光、温度、湿度、炭酸ガス濃度など、植物成長に影響を及ぼす各種条件を制御して、農作物などの植物を生産する植物工場などが実用化されつつある。
そして、このような植物工場における植物の栽培に際して、自然光(太陽光)と人工光とを併用するものが存在する(特許文献1〜3参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2007−259796号公報
【特許文献2】特開2008−182951号公報
【特許文献3】特開2008−092859号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、人工光と太陽光とを併用しようとした場合、人工光の照明装置を、被照射体である植物と太陽光の光源である太陽との間に配置せざるを得ないことから、照明装置によって太陽光が遮られ、植物に照射される太陽光のエネルギー量にロスが生じる懸念があった。また、照明装置によって太陽光が遮られた箇所と遮られなかった箇所とで、植物が受けるエネルギー量に違いが生じ、その発育が不揃いになる懸念があった。
【0005】
本発明は、人工光と太陽光とを併用して植物を栽培する場合に、太陽光の照射効率が低下するのを抑制することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明によれば、下記[1]〜[20]に係る発明が提供される。
[1]植物に太陽光および人工光を併用して照射する植物栽培において、人工光の照射に用いられる植物栽培用の照明装置であって、
熱伝導性を有し且つ表裏面を有する板材で構成された第1熱伝導性板材と、光の照射方向が下方を向くように第1熱伝導性板材に取り付けられた第1発光部とを備えた第1照射体と、
熱伝導性を有し且つ表裏面を有する板材で構成された第2熱伝導性板材と、光の照射方向が下方を向くように第2熱伝導性板材に取り付けられた第2発光部とを備え、第2熱伝導性板材が第1熱伝導性板材と空間を隔てて対向するように配置された第2照射体と
を含む植物栽培用の照明装置。
[2]第1熱伝導性板材の表裏面および第2熱伝導性板材の表裏面が、太陽光を反射する材料で構成されることを特徴とする[1]記載の植物栽培用の照明装置。
[3]第1熱伝導性板材および第2熱伝導性板材は、それぞれが屈曲した断面形状を有していることを特徴とする[1]または[2]記載の植物栽培用の照明装置。
[4]植物に対する第1照射体の取付角度および第2照射体の取付角度を調整する調整機構をさらに含むことを特徴とする[1]乃至[3]のいずれか記載の植物栽培用の照明装置。
[5]調整機構は、第1照射体および第2照射体を連動させて取付角度の調整を行うことを特徴とする[4]記載の植物栽培用の照明装置。
[6]太陽光を拡散させて植物に照射する拡散部材をさらに含むことを特徴とする[1]乃至[5]のいずれか記載の植物栽培用の照明装置。
[7]拡散部材は、第1照射体および第2照射体の上方に配置されることを特徴とする[6]記載の植物栽培用の照明装置。
[8]第1熱伝導性板材および第2熱伝導性板材はそれぞれ矩形状の形状を有し、
第1照射体において、第1発光部は第1熱伝導性板材の下方に長手方向に沿って取り付けられる複数の半導体発光素子で構成され、
第2照射体において、第2発光部は第2熱伝導性板材の下方に長手方向に沿って取り付けられる複数の半導体発光素子で構成されること
を特徴とする[1]乃至[7]のいずれか記載の植物栽培用の照明装置。
[9]第1熱伝導性板材および第2熱伝導性板材はそれぞれ矩形状の形状を有し、
第1照射体において、第1発光部は第1熱伝導性板材の下方に、可動できる状態で取り付けられる複数の半導体発光素子で構成され、
第2照射体において、第2発光部は第2熱伝導性板材の下方に、可動できる状態で取り付けられる複数の半導体発光素子で構成されること
を特徴とする[1]乃至[8]のいずれか記載の植物栽培用の照明装置。
[10]第1照射体および第2照射体を連動して回転させることで、第1の照射体と第2の照射体とが空間を隔てて配置される開状態と、第1の照射体の一部と第2の照射体の一部とが重ねて配置される閉状態とを設定する設定手段をさらに含むことを特徴とする[1]乃至[9]のいずれか記載の植物栽培用の照明装置。
【0007】
[11]植物に太陽光および人工光を併用して照射する植物栽培において、人工光の照射に用いられる植物栽培用の照明装置であって、
熱伝導性を有し且つ表裏面を有する板材で構成された熱伝導性板材と、光の照射方向が熱伝導性板材の面に沿うように熱伝導性板材に取り付けられた発光部とを、それぞれが備えた複数の照射体と、
複数の照射体にそれぞれ設けられた発光部による光の照射方向が下方を向くように、複数の照射体を支持する支持部と
を含む植物栽培用の照明装置。
[12]複数の照射体にそれぞれ設けられた熱伝導性板材の表裏面が、太陽光を反射する材料で構成されることを特徴とする[11]記載の植物栽培用の照明装置。
[13]支持部は、複数の照射体の取付角度を調整することで、複数の照射体にそれぞれ設けられた発光部からの光の照射方向を調整することを特徴とする[11]または[12]記載の植物栽培用の照明装置。
[14]支持部は、複数の照射体を連動して回転させることで、複数の照射体が相互に空間を隔てて配置される開状態と、複数の照射体が相互に重ねて配置される閉状態とを設定することを特徴とする[11]乃至[13]のいずれか記載の植物栽培用の照明装置。
[15]複数の照射体にそれぞれ設けられた発光部は、赤色光を出射する赤色半導体発光素子を備えることを特徴とする[11]乃至[14]のいずれか記載の植物栽培用の照明装置。
[16]複数の照射体にそれぞれ設けられた発光部は、さらに青色光を出射する青色半導体発光素子を備えることを特徴とする[15]記載の植物栽培用の照明装置。
【0008】
[17]植物に太陽光および人工光を併用して照射する植物栽培で用いられる植物栽培装置において、
栽培される植物を収容する栽培容器と、
熱伝導性を有し且つ表裏面を有する板材で構成された第1熱伝導性板材と、光の照射方向が下方を向くように第1熱伝導性板材に取り付けられた第1発光部とを備え、栽培容器の上方に配置された第1照射体と、
熱伝導性を有し且つ表裏面を有する板材で構成された第2熱伝導性板材と、光の照射方向が下方を向くように第2熱伝導性板材に取り付けられた第2発光部とを備え、栽培容器の上方において、第2熱伝導性板材が第1熱伝導性板材と空間を隔てて対向するように配置された第2照射体と
を含む植物栽培装置。
[18]太陽光を透過する壁部を備え、内部には栽培容器、第1照射体および第2照射体を収容する栽培室をさらに含むことを特徴とする[17]記載の植物栽培装置。
[19]第1照射体および第2照射体を連動して回転させることで、第1の照射体と第2の照射体とが空間を隔てて配置される開状態と、第1の照射体の一部と第2の照射体の一部とが重ねて配置される閉状態とを設定する設定手段をさらに含むことを特徴とする[17]または[18]記載の植物栽培装置。
[20]植物に対する第1照射体および第2照射体の取付角度を調整することで、第1照射体と第2照射体との間において太陽光が通過する空間の大きさを変更する変更手段をさらに含むことを特徴とする[17]乃至[19]のいずれか記載の植物栽培装置。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、人工光と太陽光とを併用して植物を栽培する場合に、太陽光の照射効率が低下するのを抑制することができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【図1】太陽光人工光併用型の植物栽培システムの構成の一例を示す図である。
【図2】実施の形態1における栽培ユニットの構成の一例を示す斜視図である。
【図3】(a)、(b)は、実施の形態1における第1照射体の構成の一例を示す斜視図である。
【図4】(a)、(b)は、第1照射体の構成の一例を説明するための図である。
【図5】(a)〜(c)は、実施の形態1における第1照射体〜第3照射体の動作の一例を説明するための図である。
【図6】(a)〜(c)は、時刻および季節と太陽の位置との関係を説明するための図である。
【図7】(a)は栽培ユニットのx方向と北の方角とを一致させる第1の配置を示す図であり、(b)は栽培ユニットのy方向と北の方角とを一致させる第2の配置を示す図である。
【図8】図7(a)に示す第1の配置を採用した場合における、植物の栽培過程の一例を示す図である。
【図9】図7(b)に示す第2の位置を採用した場合における、植物の栽培過程の一例を示す図である。
【図10】(a)〜(c)は、実施の形態1における第1照射体の他の構成例を説明するための図である。
【図11】図10(a)〜(c)に示す第1照射体をXI方向からみた正面図である。
【図12】実施の形態2における栽培ユニットの構成の一例を示す斜視図である。
【図13】(a)、(b)は、実施の形態2における第1照射体の構成の一例を示す斜視図である。
【図14】(a)〜(d)は、実施の形態2における第1照射体〜第3照射体の動作の一例を説明するための図である。
【図15】(a)〜(c)は、実施の形態2の栽培ユニットを用いた場合における、栽培植物の栽培過程の一例を示す図である。
【図16】実施の形態2の栽培ユニットの変形例を示す斜視図である。
【図17】(a)、(b)は、実施の形態2における第1照射体の他の構成の一例を示す斜視図である。
【図18】(a)〜(d)は、実施の形態2における第1照射体のさらに他の構成の一例を示す図である。
【図19】図18に示す第1照射体の動作を説明するための図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、添付図面を参照して、本発明の実施の形態について詳細に説明する。
<実施の形態1>
図1は、本実施の形態が適用される太陽光人工光併用型の植物栽培システム1の構成の一例を示す図である。
この植物栽培システム1は、例えばビニルシートやガラスなど、太陽光を透過する壁部を備え内部には空間が形成される栽培室2と、人工光を照射する機能を有し、栽培室2の内部に配置される複数の栽培ユニット3とを備えている。ここで、各栽培ユニット3には、それぞれ、栽培植物4を植栽した栽培容器5が収容されている。なお、栽培室2内では、図示しない空調設備等によって、栽培植物4の栽培条件に適した温度調整および湿度調整が施されるようになっている。
【0012】
図2は、実施の形態1における栽培ユニット3の構成の一例を示す斜視図である。
植物栽培用の照明装置の一例としての栽培ユニット3は、図1に示す栽培容器5を内部に積載するための枠体10と、枠体10に収容される栽培容器5に植栽された栽培植物4に人工光を照射するための人工光照射部20と、人工光照射部20を枠体10に支持させるための支持部30とを備えている。
【0013】
これらのうち、枠体10は、例えばコの字状の断面を有しており、矩形状の形状を有しその上面に栽培容器5を搭載する底部10cと、底部10cの一辺から上方に立ち上がる第1壁部10aと、底部10cの一辺から上方に立ち上がり且つ第1壁部10aに対向する第2壁部10bとを備えている。ここで、第1壁部10aの上部には、4つの貫通孔すなわち第1壁部第1孔11a、第1壁部第2孔12a、第1壁部第3孔13aおよび第1壁部第4孔14aが設けられている。一方、第2壁部10bの上部にも、4つの貫通孔すなわち第2壁部第1孔11b、第2壁部第2孔12b、第2壁部第3孔13bおよび第2壁部第4孔14bが設けられている。そして、第1壁部第1孔11aと第2壁部第1孔11bとが対向し、第1壁部第2孔12aと第2壁部第2孔12bとが対向し、第1壁部第3孔13aと第2壁部第3孔13bとが対向し、第1壁部第4孔14aと第2壁部第4孔14bとが対向するようになっている。
【0014】
なお、以下の説明においては、栽培ユニット3において、底部10cからみて第1壁部10aおよび第2壁部10bが設けられている側に沿う方向(図中右斜め上に向かう方向)をx方向と称する。また、底部10cからみて第1壁部10aおよび第2壁部10bが設けられていない側に沿う方向(図中左斜め上に向かう方向)をy方向と称する。さらに、図中下方から上方に向かう方向をz方向と称する。したがって、本実施の形態の栽培ユニット3では、枠体10の底部10cからみてz方向側すなわち上方に、人工光照射部20が位置していることになる。
【0015】
また、人工光照射部20は、枠体10の底部10cからみてz方向(上方)であって、第1壁部10aと第2壁部10bとの間に配置される、第1照射体21、第2照射体22、および第3照射体23を備えている。複数の照射体の一例としての第1照射体21〜第3照射体23は、共通の構成を有しており、それぞれが後述するように底部10c側に向けて人工光を照射する機能を有している。また、これら第1照射体21〜第3照射体23は、それぞれが長方形の板状構造を有しており、その長辺側がx方向に沿い、その短辺側がz方向に沿うように配置されている。そして、これら第1照射体21〜第3照射体23はy方向に並べて配置されており、第1壁部10aの内面側には第1照射体21の表面が対向し、第1照射体21の裏面には第2照射体22の表面が対向し、第2照射体22の裏面には第3照射体23の表面が対向し、第3照射体23の裏面には第2壁部10bの内面側が対向するようになっている。
【0016】
さらに、調整機構、設定手段あるいは変更手段の一例としての支持部30は、枠体10に設けられた第1壁部第1孔11aおよび第2壁部第1孔11bを貫通するように取り付けられた第1支持体31と、第1壁部第2孔12aおよび第2壁部第2孔12bを貫通するように取り付けられた第2支持体32と、第1壁部第3孔13aおよび第2壁部第3孔13bを貫通するように取り付けられた第3支持体33と、第1壁部第4孔14aおよび第2壁部第4孔14bを貫通するように取り付けられた第4支持体34とを有している。これら第1支持体31〜第4支持体34は、それぞれが棒状あるいは線状の金属材等で構成されており、それぞれがy方向に沿うように配置されている。そして、これら第1支持体31〜第4支持体34は、第1照射体21〜第3照射体23のそれぞれに設けられた貫通孔(詳細は後述する)を介して、第1照射体21〜第3照射体23を支持している。
また、支持部30は、これら第1支持体31〜第4支持体34のそれぞれに複数個(この例では後述するように6個)ずつ取り付けられ、第1支持体31〜第4支持体34によって支持される第1照射体21〜第3照射体23の姿勢を規制するための規制部材35をさらに備えている。
【0017】
次に、第1照射体21〜第3照射体23の構成について説明を行うが、上述したように第1照射体21〜第3照射体23は共通の構成を有していることから、ここでは、第1照射体21を例として説明を行う。
【0018】
図3および図4は、第1照射体21の構成の一例を示している。これらのうち、図3(a)は第1照射体21を表面側(図2における第1壁部10a側)からみた場合の斜視図であり、図3(b)は第1照射体21を裏面側(図2における第2照射体22側)からみた場合の斜視図である。また、図4(a)は図3(a)、図3(b)における第1照射体21のIVA−IVA断面図であり、図4(b)は第1照射体21を図4(a)におけるIVB方向からみた正面図である。
【0019】
本実施の形態において、第1照射体21は、電流の供給に伴って発光する発光部200と、発光部200が取り付けられるとともに発光部200の発光に伴って発生する熱を放出するための放熱板210とを有している。
【0020】
これらのうち、放熱板210は、その長辺側がx方向に沿い、その短辺側がz方向に沿う長方形状の金属板で構成されている。また、本実施の形態の放熱板210の表裏面には、太陽光を反射するための反射層が設けられている。このような反射層としては、例えば金属板の表裏面を鏡面加工する態様や、金属板の表裏面に白色樹脂等を形成する態様などが挙げられる。なお、金属板の表裏面を鏡面加工する態様を採用した場合には、さらにその上に透明な樹脂からなる保護層を設けてもよい。また、放熱板210の四隅には、放熱板210の表裏面を貫通する放熱板第1孔211、放熱板第2孔212、放熱板第3孔213、および放熱板第4孔214が設けられている。ここで、本実施の形態では、相対的に上方に位置する放熱板第1孔211および放熱板第3孔213がz方向に延びる長孔で構成されるのに対し、相対的に下方に位置する放熱板第2孔212および放熱板第4孔214が円孔で形成されている。そして、第1照射体21を栽培ユニット3(図2参照)に取り付けた際には、放熱板第1孔211には第1支持体31が、放熱板第2孔212には第2支持体32が、放熱板第3孔213には第3支持体33が、放熱板第4孔214には第4支持体34が、それぞれ貫通するようになっている。なお、本実施の形態において、放熱板第1孔211および放熱板第3孔213の短径は、第1支持体31および第3支持体33の外径よりも大きく設定され、放熱板第2孔212および放熱板第4孔314の内径は、第2支持体32および第4支持体34の外径よりも大きく設定されている。
【0021】
また、発光部200は、放熱板210の表面側且つ−z方向(下方)側端部に、x方向に沿って取り付けられている。この発光部200は、x方向に沿って並べて配置される複数個の発光チップ201と、内部に配線(図示せず)が形成され、一方の面にはこれら複数の発光チップ201が実装されるとともに、裏側となる他方の面には放熱板210が取り付けられる配線基板202とを有している。
【0022】
発光部200を構成する各発光チップ201は、半導体発光素子(Light Emitting Diode:LED)を含む所謂サイドビュー型のパッケージ構造を有しており、樹脂等で構成されたパッケージ部2010と、パッケージ部2010に対しx方向に沿って並べて取り付けられた、第1LED2011、第2LED2012、および第3LED2013とを有している。そして、各発光チップ201は、それぞれに設けられた第1LED2011〜第3LED2013がそれぞれ−z方向側を向くように、配線基板202を介して放熱板210に取り付けられている。パッケージ部2010の高さは、太陽光を妨げないように、3mm以下、望ましくは、1mm以下、更に、望ましくは0.6mm以下が良い。太陽光を受けるパッケージ部2010の外装は、光を反射する材質で構成することが好ましく、白色の高反射率の樹脂材料が適している。また、パッケージ部2010の光取り出し表面には、レンズなどを用い、植物育成に適した放射角度を調整することが望ましい。また、パッケージ部2010は、照明の条件にあわせた構造を選択できる。例えば、放熱板形状を変更することで遮光面積がやや増加するが、発光効率が高く、安価なトップビュー型のパッケージを搭載することも好ましい。強い光が必要な場合は、1ワット以上の電力を投入できる所謂パワーパッケージを搭載することが好適である。
【0023】
これにより、第1照射体21を栽培ユニット3(図2参照)に取り付けた際には、第1照射体21に設けられた各発光チップ201より、−z方向側すなわち下方に向けて光が出射される。ここで、本実施の形態では、第1LED2011および第3LED2013が植物のクロロフィルの吸収波長に対応する発光波長600〜700nm近辺の赤色光を出射するようになっており、特に、植物育成に好ましい660nm近辺の赤色光を出射するもので構成した。また、第2LED2012がクロロフィルの他の吸収波長に対応する450nm近辺の青色光を出射するようになっている。ただし、これに限られるものではなく、第1LED2011〜第3LED2013のすべてを、660nm近辺の赤色光を出射するもので構成もよい。また、緑、黄色、赤外などの他の色(LED)を加えてもよい。
そして、発光層の材質は、例えば赤色光については、発光効率の高いAlGaAs系、AlGaInP系等の半導体結晶を用いた発光素子が好適であり、特に、高効率のAlGaInP系が好ましい。一方、例えば青色光については、InGaN系が好適である。半導体発光素子は、素子の温度が上昇すると、発光効率が低下するため、放熱性の良い環境が重要である。また、LEDと蛍光体とを組み合わせたものを使用してもかまわない。
【0024】
また、本実施の形態において、例えば第1照射体21が第1照射体として機能するとき、第1照射体21に設けられた放熱板210が第1熱伝導性板材として機能するとともに、第1照射体21に設けられた発光部200が第1発光部として機能することになる。この場合において、第2照射体22あるいは第3照射体23が第2照射体として機能することになり、第2照射体22あるいは第3照射体23に設けられた放熱板210が第2熱伝導性板材として機能するとともに、第2照射体22あるいは第3照射体23に設けられた発光部200が第2発光部として機能することになる。
【0025】
図5は、図2に示す栽培ユニット3における人工光照射部20と支持部30との関係を説明するための図である。なお、図5において、第3支持体33は第1支持体31の背後に隠れており、第4支持体34は第2支持体32の背後に隠れている。
【0026】
例えば第1支持体31において、第1照射体21の前後、第2照射体22の前後、および第3照射体23の前後には、それぞれ規制部材35が取り付けられている。これら規制部材35は、第1照射体21〜第3照射体23のそれぞれに設けられた孔(例えば第1照射体21では放熱板第1孔211)の短径よりも大きな外径を有しており、それぞれが第1支持体31に対して固定されている。
また、例えば第2支持体32において、第1照射体21の前後、第2照射体22の前後、および第3照射体23の前後にも、それぞれ規制部材35が取り付けられている。これら規制部材35は、第1照射体21〜第3照射体23のそれぞれに設けられた孔(例えば第1照射体21では放熱板第2孔212)の内径よりも大きな外径を有しており、それぞれが第2支持体32に対して固定されている。
なお、詳細については説明しないが、第3支持体33および第4支持体34にも、それぞれ6個の規制部材35が取り付けられている。
【0027】
また、本実施の形態では、第2支持体32および第4支持体34が枠体10(図2参照)に固定されて取り付けられているのに対し、第1支持体31および第3支持体33は、枠体10に対しy方向および−y方向にスライド自在に取り付けられている。また、第1支持体31および第3支持体33は、y方向における位置を変更した上で、図示しない固定機構を用いて固定されるようになっている。
【0028】
このような構成を採用することで、本実施の形態にかかる人工光照射部20(第1照射体21〜第3照射体23)は、次のような姿勢を取ることができるようになっている。
【0029】
図5(a)は、基準となる第1の状態を示している。第1の状態では、第1支持体31および第3支持体33がy方向あるいは−y方向へのスライドを停止した際に、第1支持体31および第3支持体33に設けられた各規制部材35が、第2支持体32および第4支持体34に設けられた各規制部材35の上方に位置するようになっている。これに伴い、第1の状態では、第1照射体21〜第3照射体23が、それぞれ立てられた状態になる。
【0030】
また、図5(b)は、図5(a)に示す第1の状態から、第1支持体31および第3支持体33をy方向にスライドさせた第2の状態を示している。第2の状態では、第1支持体31および第3支持体33がy方向に移動することに伴い、第1照射体21〜第3照射体23それぞれの図中右側に設けられた規制部材35が、対応する第1照射体21〜第3照射体23に突き当たる。このとき、第2支持体32および第4支持体34は、上述したように固定されていることから、第2の状態では、第1照射体21〜第3照射体23が、それぞれ図中左上に向かって傾斜した状態になる。
【0031】
さらに、図5(c)は、図5(a)に示す第1の状態から、第1支持体31および第3支持体33を−y方向にスライドさせた第3の状態を示している。第3の状態では、第1支持体31および第3支持体33が−y方向に移動するのに伴い、第1照射体21〜第3照射体23それぞれの図中左側に設けられた規制部材35が、対応する第1照射体21〜第3照射体23に突き当たる。このとき、第2支持体32および第4支持体34は上述したように固定されていることから、第3の状態では、第1照射体21〜第3照射体23が、それぞれ図中右上に向かって傾斜した状態となる。
【0032】
そして、栽培ユニット3において、第1支持体31および第3支持体33を用いて、第1照射体21〜第3照射体23の傾斜を変えることに伴い、これら第1照射体21〜第3照射体23それぞれに設けられた発光部200より出射される光の向きが調整される。
なお、この例において、第1照射体21〜第3照射体23の傾斜状態は、第1支持体31および第3支持体33を停止させる位置に応じて無段階あるいは多段階に変更することができる。また、栽培ユニット3における第1支持体31および第3支持体33の位置変更については、手動で行う構成としてもよいし、例えばモータ等を利用して自動的に行う構成としてもかまわない。
【0033】
続いて、本実施の形態の植物栽培システム1で利用される太陽の挙動について、簡単に説明しておく。
図6は、時刻および季節と太陽の位置との関係を説明するための図である。なお、以下の説明では、北の方角をNとし、南の方角をSとし、東の方角をEとし、西の方角をWとして表す。図6(a)に示すように、太陽は、午前に東の方角Eから昇り、正午に南の方角Sに到達した後、午後に西の方角Wに沈む。このとき、太陽の天体高度(仰角)は正午に南中する際において最大となる。そして、太陽が沈んだ後、次に太陽が昇るまでの間は、地上には太陽が存在しないことになる。なお、以下の説明においては、地上に太陽が現れている期間を『日中』と称し、地上に太陽が現れていない期間を『夜間』と称する。そして、『日中』を、『朝』、『昼』、『夕』に分けて表す。また、図6(b)に示すように、太陽の南中高度は季節によって変わり、『夏至』において最も大きく、『冬至』において最も小さくなり、『春分』および『秋分』において夏至と冬至との中間の大きさになる。なお、以下の説明においては、図6(c)に示したように、春分における南中高度をθspとし、夏至における南中高度をθsmとし、秋分における南中高度をθauとし、冬至における南中高度をθwiとする。
【0034】
図7は、図1に示す植物栽培システム1において、方角と栽培ユニット3を配置する向きとの関係の一例を示している。
図7(a)は、栽培ユニット3のx方向と北の方角Nとを一致させる第1の配置を示している。これに対し、図7(b)は、栽培ユニット3のy方向と北の方角Nとを一致させる第2の配置を示している。
【0035】
図8は、図1に示す植物栽培システム1において、図7(a)に示す第1の配置を採用した場合における、栽培植物4の栽培過程の一例を示す図である。ただし、図8においては、栽培室2の記載を省略している。ここで、図8(a)は『夜間』における状態を、図8(b)は『日中』のうちの『朝』における状態を、図8(c)は『日中』のうちの『昼』における状態を、図8(d)は『日中』のうちの『夕』における状態を、それぞれ例示している。また、図8(a)〜(d)においては、図中左側が東の方角Eに対応し、図中右側が西の方角Wに対応し、図中手前側が北の方角N(図示せず)に対応し、図中奥側が南の方角S(図示せず)に対応している。
【0036】
図8(a)に示す『夜間』において、栽培ユニット3では、人工光照射部20を構成する第1照射体21〜第3照射体23が、支持部30によって図5(a)に示す第1の状態に設定される。また、『夜間』においては、太陽光の採光が期待できないことから、人工光照射部20を用いた人工光の照射を実行させる。
【0037】
その際、栽培ユニット3では、第1照射体21〜第3照射体23それぞれに設けられた発光部200に給電を行うことで、各発光部200において、第1LED2011および第3LED2013からは赤色光を出射させ、第2LED2012からは青色光を出射させる。そして、各発光部200から出射された人工光は、下方に配置された栽培容器5に植栽される栽培植物4に照射される。
【0038】
第1照射体21〜第3照射体23では、それぞれに複数個ずつ取り付けられた第1LED2011〜第3LED2013の発光に伴って発生した熱が、配線基板202を介して放熱板210に伝達される。そして、放熱板210に伝達された熱は、その表裏面から外部に放出される。このとき、第1照射体21〜第3照射体23では、放熱板210の下方に発光部200が取り付けられていることから、発光部200から放熱板210に伝達された熱は、放熱板210を介して発光部200の取り付け位置とは逆向きとなる上方に放出される。このため、発光部200側には熱がこもりにくくなり、第1LED2011〜第3LED2013の熱的な劣化が抑制される。
【0039】
また、太陽光のない『夜間』においても、人工光が栽培植物4に照射されることになるため、『夜間』において人工光の照射を行わない場合と比べて、栽培植物4の栽培が促進されることになる。
【0040】
図8(b)に示す『朝』において、栽培ユニット3では、人工光照射部20を構成する第1照射体21〜第3照射体23が、支持部30によって図5(c)に示す第3の状態に設定される。また、『朝』においては、太陽光の採光が期待できることから、人工光照射部20を用いた人工光の照射を停止させる。
【0041】
『朝』において、栽培ユニット3には、東の方角E側から太陽光が照射されることになる。第1照射体21〜第3照射体23は第3の状態に設定されていることから、このときの太陽光の照射方向と平行に近づいた状態になっている。このため、太陽光は、第1照射体21〜第3照射体23によって遮られる量が低減された状態で、栽培植物4に照射される。また、太陽光の一部が第1照射体21〜第3照射体23によって遮られたとしても、第1照射体21〜第3照射体23の表裏面には反射層が形成されていることから、最終的には反射後の太陽光を栽培植物4に照射することが可能になる。
【0042】
図8(c)に示す『昼』において、栽培ユニット3では、人工光照射部20を構成する第1照射体21〜第3照射体23が、支持部30によって図5(a)に示す第1の状態に設定される。また、『昼』においても、太陽光の採光が期待できることから、人工光照射部20を用いた人工光の照射を停止させる。
【0043】
『昼』において、栽培ユニット3には、南の方角S側から太陽光が照射されることになるが、第1照射体21〜第3照射体23は第1の状態に設定されていることから、このときの太陽光の照射方向と平行に近づいた状態となっている。このため、太陽光は、第1照射体21〜第3照射体23によって遮られる量が低減された状態で、栽培植物4に照射される。また、太陽光の一部が第1照射体21〜第3照射体23によって遮られたとしても、第1照射体21〜第3照射体23の表裏面には反射層が形成されていることから、最終的には反射後の太陽光を栽培植物4に照射することが可能になる。
【0044】
図8(d)に示す『夕』において、栽培ユニット3では、人工光照射部20を構成する第1照射体21〜第3照射体23が、支持部30によって図5(b)に示す第2の状態に設定される。また、『夕』においても、太陽光の採光が期待できることから、人工光照射部20を用いた人工光の照射を停止させる。
【0045】
『夕』において、栽培ユニット3には、西の方角W側から太陽光が照射されることになるが、第1照射体21〜第3照射体23は第2の状態に設定されていることから、このときの太陽光の照射方向と平行に近づいた状態となっている。このため、太陽光は、第1照射体21〜第3照射体23によって遮られる量が低減された状態で、栽培植物4に照射される。また、太陽光の一部が第1照射体21〜第3照射体23によって遮られたとしても、第1照射体21〜第3照射体23の表裏面には反射層が形成されていることから、最終的には反射後の太陽光を栽培植物4に照射することが可能になる。
【0046】
そして、この例においては、『朝』→『昼』→『夕』という時間の経過に伴って、第1照射体21〜第3照射体23の姿勢(傾斜角度)を、第3の状態→第1の状態→第2の状態に、連続的あるいは段階的に変更することが望ましい。
このように、太陽光のある『日中』においては、太陽光が栽培植物4に照射されることになるため、人工光のみで栽培植物4を栽培する場合と比べて、かかるエネルギーコストが低減されることになる。また、太陽光の入射角に応じて第1照射体21〜第3照射体23の傾斜角度を調整して太陽光の照射方向と平行に近づけることで、第1照射体21〜第3照射体23によって遮られる太陽光の量を減らすことが可能となり、太陽光の照射効率の低下が抑制されることにもなる。
【0047】
なお、ここでは、『日中』すなわち『朝』、『昼』、『夕』のいずれにおいても、太陽光が採光されることを期待して、人工光照射部20からの人工光の照射を停止させる場合を例として説明を行ったが、これに限られるものではない。例えば『日中』であっても天候不良(曇天や雨天等)により太陽光の光量が不足してしまう場合においては、太陽光とともに、人工光照射部20から人工光を照射するようにしてもかまわない。この場合において、太陽光と人工光とを併用するか否かについては、例えば手動で設定を行ってもかまわない。また、例えば光センサ等を用いて、太陽光単体の光量または太陽光および人工光の合計光量を計測し、太陽光と人工光とを合わせた合計光量が予め決められた基準光量となるように、人工光の光量をフィードバック制御してもよい。一方、太陽光が強すぎる場合は、人工光照射部20を構成する第1照射体21〜第3照射体23を上述した説明とは逆向きに傾斜させることで、各放熱板210を、栽培植物4に対する太陽光の遮光板として利用することもできる。
【0048】
図9は、図1に示す植物栽培システム1において、図7(b)に示す第2の配置を採用した場合における、栽培植物4の栽培過程の一例を示す図である。ただし、図9においては、栽培室2の記載を省略している。ここで、図9(a)は『春分』の『日中』における状態を、図9(b)は『夏至』の『日中』における状態を、図9(c)は『秋分』の『日中』における状態を、図9(d)は『冬至』の『日中』における状態を、それぞれ例示している。また、図9(a)〜(d)においては、図中左側が南の方角Sに対応し、図中右側が北の方角Nに対応し、図中手前側が東の方角E(図示せず)に対応し、図中奥側が西の方角W(図示せず)に対応している。また、図9(a)〜(d)に示す太陽は、南中時における位置(南中高度)にある。
【0049】
図9(a)に示す『春分』の『日中』において、栽培ユニット3では、人工光照射部20を構成する第1照射体21〜第3照射体23が、支持部30によって図5(c)に示す第3の状態に設定されている。特に、この例では、第1照射体21〜第3照射体23の傾斜角度が、『春分』における南中高度θsp(図6(c)参照)に合わせて設定されていることから、このときの太陽光の照射方向と平行に近づいた状態になっている。このため、『春分』の『日中』における太陽光は、第1照射体21〜第3照射体23によって遮られる量が低減された状態で、栽培植物4に照射される。また、太陽光の一部が第1照射体21〜第3照射体23によって遮られたとしても、第1照射体21〜第3照射体23の表裏面には反射層が形成されていることから、最終的には反射後の太陽光を栽培植物4に照射することが可能になる。
【0050】
図9(b)に示す『夏至』の『日中』において、栽培ユニット3では、人工光照射部20を構成する第1照射体21〜第3照射体23が、支持部30によって図5(c)に示す第3の状態に設定されている。特に、この例では、第1照射体21〜第3照射体23の傾斜角度が、『夏至』における南中高度θsm(図6(c)参照)に合わせて設定されていることから、このときの太陽光の照射方向と平行に近づいた状態になっている。このため、『夏至』の『日中』における太陽光は、第1照射体21〜第3照射体23によって遮られる量が低減された状態で、栽培植物4に照射される。また、太陽光の一部が第1照射体21〜第3照射体23によって遮られたとしても、第1照射体21〜第3照射体23の表裏面には反射層が形成されていることから、最終的には反射後の太陽光を栽培植物4に照射することが可能になる。
【0051】
図9(c)に示す『秋分』の『日中』において、栽培ユニット3では、人工光照射部20を構成する第1照射体21〜第3照射体23が、支持部30によって図5(c)に示す第3の状態に設定されている。特に、この例では、第1照射体21〜第3照射体23の傾斜角度が、『秋分』における南中高度θau(図6(c)参照)に合わせて設定されていることから、このときの太陽光の照射方向と平行に近づいた状態になっている。このため、『秋分』の『日中』における太陽光は、第1照射体21〜第3照射体23によって遮られる量が低減された状態で、栽培植物4に照射される。また、太陽光の一部が第1照射体21〜第3照射体23によって遮られたとしても、第1照射体21〜第3照射体23の表裏面には反射層が形成されていることから、最終的には反射後の太陽光を栽培植物4に照射することが可能になる。
【0052】
図9(d)に示す『冬至』の『日中』において、栽培ユニット3では、人工光照射部20を構成する第1照射体21〜第3照射体23が、支持部30によって図5(c)に示す第3の状態に設定されている。特に、この例では、第1照射体21〜第3照射体23の傾斜角度が、『冬至』における南中高度θwi(図6(c)参照)に合わせて設定されていることから、このときの太陽光の照射方向と平行に近づいた状態になっている。このため、『冬至』の『日中』における太陽光は、第1照射体21〜第3照射体23によって遮られる量が低減された状態で、栽培植物4に照射される。また、太陽光の一部が第1照射体21〜第3照射体23によって遮られたとしても、第1照射体21〜第3照射体23の表裏面には反射層が形成されていることから、最終的には反射後の太陽光を栽培植物4に照射することが可能になる。
【0053】
そして、この例においては、『春分』→『夏至』→『秋分』→『冬至』→次の『春分』という季節の経過に伴って、それぞれの『日中』における第1照射体21〜第3照射体23の姿勢(傾斜角度)を、θsp→θsm→θau→θwi→θspに、連続的あるいは段階的に変更することが望ましい。
ただし、第1照射体21〜第3照射体23の傾斜角度を適正に選択することで、それぞれの『日中』においては、『朝』→『昼』→『夕』にかけて、第1照射体21〜第3照射体23の傾斜角度を固定して使用することもできる。また、季節や時間に関係なく、第1照射体21〜第3照射体23の傾斜角度を、常時固定して使用することもできる。
【0054】
なお、この例では、『春分』、『夏至』、『秋分』、『冬至』における『日中』を例に説明を行ったが、それぞれにおける『夜間』については、図8(a)に示した例と同様に、人工光照射部20を構成する第1照射体21〜第3照射体23を、支持部30によって図5(a)に示す第1の状態に設定し、人工光照射部20を用いた人工光の照射を実行させるようにすればよい。
【0055】
また、ここでは、『日中』における、第1照射体21〜第3照射体23による人工光の照射の有無についての説明を行わなかったが、上述した例と同様、例えば『日中』において太陽光の採光が期待される場合には照射を行わないようにすればよいし、例えば『日中』であっても天候不良(曇天や雨天等)により太陽光の採光が期待できない場合には、太陽光とともに人工光を照射するようにしてもよい。この場合において、太陽光と人工光とを併用するか否かについては、例えば手動で設定を行ってもかまわない。また、例えば光センサ等を用いて、太陽光単体の光量または太陽光および人工光の合計光量を計測し、太陽光と人工光とを合わせた合計光量が予め決められた基準光量となるように、人工光の光量をフィードバック制御してもよい。一方、太陽光が強すぎる場合は、人工光照射部20を構成する第1照射体21〜第3照射体23を上述した説明とは逆向きに傾斜させることで、各放熱板210を、栽培植物4に対する太陽光の遮光板として利用することもできる。
【0056】
なお、本実施の形態では、所謂サイドビュー型のパッケージ構造を有する発光チップ201を用いて、第1照射体21〜第3照射体23を構成していたが、これに限られるものではない。
図10(a)〜(c)は、実施の形態1における第1照射体21(第2照射体22および第3照射体23も同様)の他の構成例を説明するための図である。また、図11は、図10(a)〜(c)に示す第1照射体21(第2照射体22および第3照射体23も同様)をXI方向からみた正面図である。
【0057】
例えば図10(a)に示す例では、放熱板210が長手方向に沿ってL字状に折り曲げられており、折り曲げによって形成される面が−z方向を向くようになっている。また、例えば図10(b)に示す例では、放熱板210が長手方向に沿ってU字状に折り曲げられており、折り曲げによって形成される底面が−z方向を向くようになっている。さらに、例えば図10(c)に示す例では、放熱板210が長手方向に沿ってU字状に折り曲げられるとともに、そのz方向側の端部が閉じられるようになっている。そして、図10(a)〜(c)に示す例において、各放熱板210には、図3に示したものと同様に、放熱板第1孔211、放熱板第2孔212、放熱板第3孔213および放熱板第4孔214が形成されている。
【0058】
また、図10(a)〜(c)に示す例において、各放熱板210のうち−z方向を向く面には、x方向に沿って発光部200が取り付けられている。この発光部200は、図11に示すように、x方向に沿って並べて配置される複数個の発光チップ201と、内部に配線(図示せず)が形成され、一方の面にはこれら複数の発光チップ201が実装されるとともに、裏側となる他方の面には放熱板210が取り付けられる配線基板202とを有している。
【0059】
この例において、発光部200を構成する各発光チップ201は、半導体発光素子(Light Emitting Diode:LED)を含む所謂トップビュー型のパッケージ構造を有しており、樹脂等で構成されたパッケージ部2010と、パッケージ部2010に対しx方向に沿って並べて取り付けられた、第1LED2011、第2LED2012、および第3LED2013とを有している。そして、各発光チップ201は、それぞれに設けられた第1LED2011〜第3LED2013がそれぞれ−z方向側を向くように、配線基板202を介して放熱板210に取り付けられている。
【0060】
このようなトップビュー型の発光チップ201を採用した場合であっても、実施の形態1で説明したものと同様の効果を得ることができる。
【0061】
<実施の形態2>
本実施の形態は、実施の形態1とほぼ同様であるが、栽培ユニット3の構成に工夫を施すことにより、太陽光の遮光を可能としたものである。なお、本実施の形態において、実施の形態1と同様のものについては、実施の形態1と同じ符号を付してその詳細な説明を省略する。
【0062】
図12は、実施の形態2における栽培ユニット3の構成の一例を示す斜視図である。
本実施の形態の栽培ユニット3も、図1に示す栽培容器5を内部に積載するための枠体10と、枠体10に収容される栽培容器5に植栽された栽培植物4に人工光を照射するための人工光照射部20と、人工光照射部20を枠体10に支持させるための支持部30とを備えている。
【0063】
これらのうち、枠体10は、例えばコの字状の断面を有しており、矩形状の形状を有しその上面に栽培容器5を搭載する底部10cと、底部10cの一辺から上方に立ち上がる第1壁部10aと、底部10cの一辺から上方に立ち上がり且つ第1壁部10aに対向する第2壁部10bとを備えている。ここで、第1壁部10aの上部には、3つの貫通孔すなわち第1壁部第1長孔101a、第1壁部第2長孔102aおよび第1壁部円孔103aが設けられている。一方、第2壁部10bの上部には、3つの貫通孔すなわち第2壁部第1長孔101b、第2壁部第2長孔102bおよび第2壁部円孔103bが設けられている。これらのうち、第1壁部第1長孔101a、第1壁部第2長孔102a、第2壁部第1長孔101bおよび第2壁部第2長孔102bは、それぞれz方向に伸びた開口形状を有している。そして、第1壁部第1長孔101aと第2壁部第1長孔101bとが対向し、第1壁部第2長孔102aと第2壁部第2長孔102bとが対向し、第1壁部円孔103aと第2壁部円孔103bとが対向するようになっている。
【0064】
また、人工光照射部20は、枠体10の底部10cからみてz方向(上方)であって、第1壁部10aと第2壁部10bとの間に配置される、第1照射体21、第2照射体22、および第3照射体23を備えている。これら第1照射体21〜第3照射体23は、共通の構成を有しており、また、相互の位置関係については実施の形態1と同じである。
【0065】
さらに、支持部30は、枠体10に設けられた第1壁部第1長孔101aおよび第2壁部第1長孔101bを貫通するように取り付けられた第1支持線301および第2支持線302と、第1壁部第2長孔102aおよび第2壁部第2長孔102bを貫通するように取り付けられた第3支持線303および第4支持線304と、第1壁部円孔103aおよび第2壁部円孔103bを貫通するように取り付けられた第5支持線305とを有している。これら第1支持線301〜第5支持線305は、それぞれが線状の金属材等で構成されており、それぞれがy方向に沿うように配置されている。そして、第1支持線301〜第4支持線304は、第1照射体21〜第3照射体23のそれぞれに設けられた凹部(詳細は後述する)を介して、また、第5支持線305は、第1照射体21〜第3照射体23のそれぞれに設けられた貫通孔(詳細は後述する)を介して、第1照射体21〜第3照射体23を支持している。ここで、本実施の形態では、第1照射体21〜第3照射体23それぞれの前後において、第1支持線301と第2支持線302とが渡り線を介して結合され、且つ、第3支持線303と第4支持線304とが渡り線を介して結合されている。
【0066】
次に、第1照射体21〜第3照射体23の構成について説明を行うが、本実施の形態においても、第1照射体21〜第3照射体23は共通の構成を有していることから、ここでは、第1照射体21を例として説明を行う。
【0067】
図13は、実施の形態2の栽培ユニット3における第1照射体21の構成の一例を示している。これらのうち、図13(a)は第1照射体21を表面側(図12における第1壁部10a側)からみた場合の斜視図であり、図13(b)は第1照射体21を裏面側(図12における第2照射体22側)からみた場合の斜視図である。
【0068】
本実施の形態において、第1照射体21は、電流の供給に伴って発光する発光部200と、発光部200が取り付けられるとともに発光部200の発光に伴って発生する熱を放出するための放熱板210とを有している。
【0069】
これらのうち、放熱板210は、その長辺側がx方向に沿い、その短辺側がz方向に沿う長方形状の金属板で構成されている。また、本実施の形態の放熱板210の表裏面には、太陽光を反射するための反射層が設けられている。また、放熱板210の四隅には、放熱板210の上部側および下部側をそれぞれ切り欠いた放熱板第1凹部210a、放熱板第2凹部210b、放熱板第3凹部210cおよび放熱板第4凹部210dが形成されている。さらに、放熱板210の中央には、表裏面を貫通する放熱板円孔210eが設けられている。そして、第1照射体21を栽培ユニット3に取り付けた際には、放熱板第1凹部210aには第1支持線301が、放熱板第2凹部210bには第2支持線302が、放熱板第3凹部210cには第3支持線303が、放熱板第4凹部210dには第4支持線304が、それぞれ位置し、また、放熱板円孔210eには第5支持線305が貫通するようになっている。
なお、発光部200の構成および放熱板210への取り付け手法については、実施の形態1と同じである。
【0070】
図14は、図12に示す栽培ユニット3における人工光照射部20と支持部30との関係を説明するための図である。なお、図14において、第3支持線303は第1支持線301の背後に隠れており、第4支持線304は第2支持線302の背後に隠れている。
【0071】
本実施の形態では、第5支持線305が枠体10(図12参照)に固定して取り付けられているのに対し、第5支持線305よりも上方に位置する第1支持線301および第3支持線303が、枠体10に対し一体的にy方向および−y方向にスライド自在に取り付けられ、且つ、第5支持線305よりも下方に位置する第2支持線302および第4支持線304が、枠体10に対し一体的にy方向および−y方向にスライド自在に取り付けられている。また、第1支持線301〜第4支持線304は、y方向における位置を変更した上で、図示しない固定機構を用いて固定されるようになっている。
【0072】
このような構成を採用することで、本実施の形態にかかる人工光照射部20(第1照射体21〜第3照射体23)は、次のような姿勢を取ることができるようになっている。
【0073】
図14(a)は、基準となる第1の状態を示している。第1の状態では、第1支持線301〜第4支持線304がy方向あるいは−y方向へのスライドを停止した際に、第1照射体21〜第3照射体23がそれぞれ直立した状態になる。そして、第1の状態では、第1照射体21と第2照射体22との間、および第2照射体22と第3照射体23との間が開放されており、第1照射体21と枠体10(図12参照)における第1壁部10aとの間、および第3照射体23と枠体10における第2壁部10bとの間も開放されている。
【0074】
また、図14(b)は、図14(a)に示す第1の状態から、第1支持線301および第3支持線303をy方向にスライドさせ、且つ、第2支持線302および第4支持線304を−y方向にスライドさせた第2の状態を示している。第2の状態では、第1照射体21〜第3照射体23が、それぞれ図中左上に向かって傾斜した状態になる。また、第2の状態においても、第1照射体21と第2照射体22との間、および第2照射体22と第3照射体23との間が開放されており、第1照射体21と枠体10(図12参照)における第1壁部10aとの間、および第3照射体23と枠体10における第2壁部10bとの間も開放されている。
【0075】
さらに、図14(c)は、図14(a)に示す第1の状態から、第1支持線301および第3支持線303を−y方向に移動させ、且つ、第2支持線302および第4支持線304をy方向に移動させた第3の状態を示している。第3の状態では、第1照射体21〜第3照射体23が、それぞれ図中右上に向かって傾斜した状態になる。また、第3の状態においても、第1照射体21と第2照射体22との間、および第2照射体22と第3照射体23との間が開放されており、第1照射体21と枠体10(図12参照)における第1壁部10aとの間、および第3照射体23と枠体10における第2壁部10bとの間も開放されている。
【0076】
そして、図14(d)は、図14(b)に示す第2の状態から、第1支持線301および第3支持線303をさらにy方向にスライドさせ、且つ、第2支持線302および第4支持線304をさらに−y方向にスライドさせた第4の状態を示している。第4の状態では、第1照射体21〜第3照射体23が、順番に重なった構造を形成する。より具体的に説明すると、第4の状態では、第1照射体21の裏面側下部に第2照射体22の表面側上部が重なり、第2照射体22の裏面側下部に第3照射体23の表面側上部が重なる。また、第4の状態においては、第1照射体21の上端部が枠体10(図12参照)における第1壁部10aの内面に突き当たり、第3照射体23の下端部が枠体10における第2壁部10bの内面に突き当たる。したがって、第4の状態では、第1照射体21と第2照射体22との間、および第2照射体22と第3照射体23とが閉鎖され、しかも、枠体10における第1壁部10aと第1照射体21との間、および第3照射体23と枠体10における第2壁部10bとの間も閉鎖されることになる。
【0077】
このように、本実施の形態の栽培ユニット3では、実施の形態1で説明した機能に加え、図14(a)〜図14(c)に示す「開状態」と、図14(d)に示す「閉状態」とを実現することができる。なお、第1照射体21〜第3照射体23に設けられた発光部200は、それぞれの表面下部側に取り付けられている(図13(a)参照)ので、各発光部200が「閉状態」を実現する際の妨げになることはない。
【0078】
そして、栽培ユニット3において、第1支持線301〜第4支持線304を用いて、第1照射体21〜第3照射体23の傾斜を変えることに伴い、これら第1照射体21〜第3照射体23それぞれに設けられた発光部200より出射される光の向きが調整される。
なお、この例において、第1照射体21〜第3照射体23の傾斜状態は、第1支持線301〜第4支持線304を停止させる位置に応じて無段階あるいは多段階に変更することができる。また、栽培ユニット3における第1支持線301〜第4支持線304の位置変更については、実施の形態1と同様に、手動で行う構成としてもよいし、例えばモータ等を利用して自動的に行う構成としてもかまわない。
【0079】
また、本実施の形態の栽培ユニット3は、実施の形態1と同様に、例えば図7(a)に示す配置を採用し且つ図8を用いて説明した手順にて、栽培植物4に対する太陽光および人工光の照射を行うことができ、さらに、例えば図7(b)に示す配置を採用し且つ図9を用いて説明した手順にて、栽培植物4に対する太陽光および人工光の照射を行うことができる。
【0080】
そして、本実施の形態の栽培ユニット3では、太陽光を採光して栽培植物4に照射することができるとともに、照射される太陽光を遮光することができるようになっている。
図15は、実施の形態2の栽培ユニット3を用いた場合における、栽培植物4の栽培過程の一例を示す図である。ここで、図15(a)は『夜間』における状態を、図15(b)は『日中』における第1の設定を、図15(c)は『日中』における第2の設定を、それぞれ例示している。ここで、第1の設定は、『日中』において太陽光を採光する場合に適用されるものであり、例えば日長が一定時間よりも長くなると花芽を形成する『長日植物』の栽培において使用される。また、第2の設定は、『日中』において太陽光を遮光する場合に適用されるものであり、例えば日長が一定時間よりも短くなると花芽を形成する『短日植物』の栽培において使用される。
【0081】
図16は、本実施の形態にかかる栽培ユニット3の構成の変形例を示す斜視図である。
この栽培ユニット3の基本構成は、図12に示したものとほぼ同じであるが、枠体10の上部すなわち人工光照射部20の上方に、照射される太陽光を拡散するための拡散板40を設けたところに特徴がある。
【0082】
実施の形態1および実施の形態2で説明した栽培ユニット3は、人工光照射部20として板状の第1照射体21〜第3照射体23を用い、これらが太陽の高度に対して平行に近づくように傾斜させることで、栽培植物4に太陽光が照射されやすくなるようにしていた。しかしながら、第1照射体21〜第3照射体23の影となる部位に存在する一部の栽培植物4については、太陽光の照射が不十分となる懸念があった。
【0083】
これに対し、図16に示す構成を採用した場合には、拡散板40を介して枠体10の内側に照射される太陽光が、拡散板40によって拡散された状態となる。これに伴い、枠体10の内側には、第1照射体21〜第3照射体23に起因する影ができにくくなることから、枠体10内に配置される栽培植物4に対する太陽光の照射むらが起きにくくなる。なお、栽培ユニット3に対する拡散板40の取り付け位置については、人工光照射部20と栽培植物4との間としてもかまわないが、拡散板40による人工光の損失を考慮すると、図16に示したように人工光照射部20の上部とすることが望ましい。
【0084】
なお、実施の形態1、2では、人工光照射部20を3つの照射体すなわち第1照射体21〜第3照射体23にて構成する場合を例に説明を行ったが、これに限られるものではなく、2以上の照射体を有するものであればよい。
【0085】
また、本実施の形態では、平板状の放熱板210を用いて第1照射体21〜第3照射体23を構成していたが、これに限られるものではない。
図17(a)、(b)は、実施の形態2における第1照射体21(第2照射体22および第3照射体23も同様)の他の構成の一例を示す斜視図である。これらのうち、図17(a)は第1照射体21を表面側(図12における第1壁部10a側)からみた場合の斜視図であり、図17(b)は第1照射体21を裏面側(図12における第2照射体22側)からみた場合の斜視図である。
【0086】
図17に示す例において、第1照射体21は、電流の供給に伴って発光する発光部200と、発光部200が取り付けられるとともに発光部200の発光に伴って発生する熱を放出するための放熱板210とを有している。この例における放熱板210は、長方形状の金属板に対し、例えば折り曲げ加工によって凹部と凸部とを交互に形成することで、断面が波形となった構造を有している。また、放熱板210には、図13に示したものと同様に、放熱板第1凹部210a、放熱板第2凹部210b、放熱板第3凹部210c、放熱板第4凹部210dおよび放熱板円孔210eが形成されている。
【0087】
そして、本実施の形態では、発光部200を構成する配線基板202として、例えばFPC(Flexible Printed Circuits:フレキシブルプリント基板)を用いることで、放熱板210の表面側に、凹凸に沿って配線基板202を取り付けることを可能としている。また、この例において、複数の発光チップ201は、放熱板210において山となる平坦部と谷となる平坦部とに、それぞれ実装されている。このような配置手法を採用することで、複数の発光チップ201の位置が分散し、照射光が均一化しやくなるという利点がある。ただし、これに限られるものではなく、例えば山となる平坦部のみに実装したり、例えば谷となる平坦部のみに実装したり、あるいはランダムに実装したりしてもよい。
【0088】
図17に示す構成を備えた第1照射体21〜第3照射体23を、それぞれの表面の向きを揃え且つ並べて配置することで、図12に示す栽培ユニット3を構成した場合には、実施の形態2と同様に、第1照射体21〜第3照射体23を用いて開状態と閉状態とを実現することができる。また、波形の断面を有する放熱板210を用いることで、実施の形態2で説明した構成と比較して、放熱板210の表面積を大きくすることが可能となり、放熱能力が向上するという利点もある。なお、放熱板210における断面の形状については、図17に示した台形状のほか、曲線や半円等であってもかまわないが、加工の容易性や重ね合わせやすさという観点からすれば、台形状とすることが好ましい。また、波形の大きさについても、放熱板210の大きさや隣接する2つの放熱板210の間隔等を考慮して選択することが可能である。
【0089】
また、本実施の形態では、放熱板210に対し発光部200を固定して取り付けていたが、これに限られるものではない。
図18(a)〜(d)は、実施の形態2における第1照射体21(第2照射体22および第3照射体23も同様)のさらに他の構成の一例を示す図である。また、図19は、図18に示す第1照射体21(第2照射体22および第3照射体23も同様)の動作を説明するための図である。
【0090】
ここで、図18(a)は、第1照射体21を表面側(図12における第1壁部10a側)からみた場合の正面図である。また、図18(b)は、図18(a)をXVIIIB方向からみた側面図である。さらに、図18(c)は、図18(a)におけるXVIIIC−XVIIIC断面図であり、図18(d)は、図18(a)におけるXVIIID−XVIIID断面図である。
【0091】
図18に示す例において、第1照射体21は、電流の供給に伴って発光する発光部200と、発光部200が取り付けられる取付部材220と、取付部材220が回転可能に取り付けられるとともに発光部200の発光に伴って発生する熱を、取付部材220を介して放出するための放熱板210とを有している。
【0092】
本実施の形態の放熱板210は、その長辺側がx方向に沿い、その短辺側がz方向に沿う長方形状の金属板で構成されている。また、本実施の形態の放熱板210の表裏面には、太陽光を反射するための反射層が設けられている。また、放熱板210の四隅には、放熱板210の上部側および下部側をそれぞれ切り欠いた放熱板第1凹部210a、放熱板第2凹部210b、放熱板第3凹部210cおよび放熱板第4凹部210dが形成されている。さらに、放熱板210の中央には、表裏面を貫通する放熱板円孔210eが設けられている。そして、第1照射体21を栽培ユニット3に取り付けた際には、放熱板第1凹部210aには第1支持線301が、放熱板第2凹部210bには第2支持線302が、放熱板第3凹部210cには第3支持線303が、放熱板第4凹部210dには第4支持線304が、それぞれ位置し、また、放熱板円孔210eには第5支持線305が貫通するようになっている。
【0093】
また、放熱板210の−z方向(下方)側の端部には、放熱板第2凹部210bと放熱板第4凹部210dとの間であって、放熱板第2凹部210bと放熱板第4凹部210dとにそれぞれ隣接する位置に、−z方向(下方)に向かって突出する突出部210fが形成されている。そして、これら2つの突出部210fには、それぞれ、x方向に向かう貫通孔が形成されている。
【0094】
一方、取付部材220は、その長辺側がx方向に沿い、yz平面において例えば台形状(三角形状でもよい)の断面を有する本体221と、本体221の軸方向両端部からそれぞれx方向に沿って延びる2つの軸222とを有している。そして、これら2つの軸222が、放熱板210の2つの突出部210fにそれぞれ設けられた貫通孔に挿入されることで、取付部材220は、放熱板210によって回転可能に支持されている。
【0095】
また、本実施の形態では、取付部材220において側方を向く両面のそれぞれに、発光部200が取り付けられている。なお、各発光部200の構成は、実施の形態1で説明したものと同じであり、各発光部200は、図18に示す状態において、−z方向(下方)側に向けて光を出射するようになっている。
【0096】
図18に示す構成を備えた第1照射体21〜第3照射体23を並べて配置することで、図12に示す栽培ユニット3を構成した場合には、実施の形態2と同様に、第1照射体21〜第3照射体23を用いて開状態と閉状態とを実現することができる。また、例えば開状態において、第1照射体21〜第3照射体23は図19(a)に示す状態となり、例えば閉状態において第1照射体21〜第3照射体23は図19(b)に示す状態となる。すなわち、第1照射体21〜第3照射体23では、放熱板210の取り付け角度に関わらず、発光部200が−z方向(下方)側を向いた状態を維持し続ける。したがって、どの取り付け角度においても、栽培植物4に対し適切な光の照射角度を保てることになり、効率的な人工光による植物栽培が可能となる。また、図18に示す構成と、図17に示した構成とを組み合わせることも、望ましい形態である。
【0097】
さて、人工光と太陽光とを併用した植物栽培システムで、現在実用化されているものは、照明装置によって太陽光が遮られる影響を極力小さくするため、ナトリウムランプや高圧水銀灯など光量の大きい点光源を植物から十分に離れた高い位置に配置したものがほとんどである。このような照明システムでは、1つの光源で広い面積を照射できるため、太陽光を遮る面積が少ない点では優れている。しかし、植物以外へ照射される光が多く低効率、周辺地域の光害および蛾などの害虫を誘引するなど、課題が多い。
【0098】
一方、植物栽培用の人工光源としてLEDが注目されている。LEDを用いた光源は、植物の育成に必要とされる波長を選択的に照射できること、照射光に赤外線をほとんど含まないため、近接照射しても葉焼けを起こしにくいこと、効率が高く省エネルギーであること、寿命が長く光源の交換頻度が少なくて済むことなどの優れた点を有する。
しかしながら、LEDは温度上昇により発光効率が低下するため、省エネルギーの点から、照明装置の放熱技術が重要である。従来型の、遠方に点光源を配置した構成ではなく、LEDの特徴を生かした近接照明を行うためには、十分な放熱ができ、太陽光を遮蔽しない植物育成用の照明装置が必要である。
【0099】
本発明は、人工光と太陽光とを併用して植物を栽培する場合に、太陽光の照射効率が低下するのを抑制すること、また、放熱性に優れた発光効率の高い照射装置および太陽光、人工光を効率的・柔軟に利用できる照明装置を備えた栽培装置を提供することができる。
【符号の説明】
【0100】
1…植物栽培システム、2…栽培室、3…栽培ユニット、4…栽培容器、5…栽培植物、10…枠体、20…人工光照射部、21…第1照射体、22…第2照射体、23…第3照射体、30…支持部、31…第1支持体、32…第2支持体、33…第3支持体、34…第4支持体、35…規制部材、40…拡散板、200…発光部、201…発光チップ、202…配線基板、210…放熱板、2011…第1LED、2012…第2LED、2013…第3LED
【技術分野】
【0001】
本発明は、農作物等の植物の栽培に用いられる植物栽培用の照明装置等に関し、特に、太陽光および人工光を併用した植物栽培システムで用いられる植物栽培用の照明装置等に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、自然条件の変動に左右されない農業環境づくりとして、栽培環境の光、温度、湿度、炭酸ガス濃度など、植物成長に影響を及ぼす各種条件を制御して、農作物などの植物を生産する植物工場などが実用化されつつある。
そして、このような植物工場における植物の栽培に際して、自然光(太陽光)と人工光とを併用するものが存在する(特許文献1〜3参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2007−259796号公報
【特許文献2】特開2008−182951号公報
【特許文献3】特開2008−092859号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、人工光と太陽光とを併用しようとした場合、人工光の照明装置を、被照射体である植物と太陽光の光源である太陽との間に配置せざるを得ないことから、照明装置によって太陽光が遮られ、植物に照射される太陽光のエネルギー量にロスが生じる懸念があった。また、照明装置によって太陽光が遮られた箇所と遮られなかった箇所とで、植物が受けるエネルギー量に違いが生じ、その発育が不揃いになる懸念があった。
【0005】
本発明は、人工光と太陽光とを併用して植物を栽培する場合に、太陽光の照射効率が低下するのを抑制することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明によれば、下記[1]〜[20]に係る発明が提供される。
[1]植物に太陽光および人工光を併用して照射する植物栽培において、人工光の照射に用いられる植物栽培用の照明装置であって、
熱伝導性を有し且つ表裏面を有する板材で構成された第1熱伝導性板材と、光の照射方向が下方を向くように第1熱伝導性板材に取り付けられた第1発光部とを備えた第1照射体と、
熱伝導性を有し且つ表裏面を有する板材で構成された第2熱伝導性板材と、光の照射方向が下方を向くように第2熱伝導性板材に取り付けられた第2発光部とを備え、第2熱伝導性板材が第1熱伝導性板材と空間を隔てて対向するように配置された第2照射体と
を含む植物栽培用の照明装置。
[2]第1熱伝導性板材の表裏面および第2熱伝導性板材の表裏面が、太陽光を反射する材料で構成されることを特徴とする[1]記載の植物栽培用の照明装置。
[3]第1熱伝導性板材および第2熱伝導性板材は、それぞれが屈曲した断面形状を有していることを特徴とする[1]または[2]記載の植物栽培用の照明装置。
[4]植物に対する第1照射体の取付角度および第2照射体の取付角度を調整する調整機構をさらに含むことを特徴とする[1]乃至[3]のいずれか記載の植物栽培用の照明装置。
[5]調整機構は、第1照射体および第2照射体を連動させて取付角度の調整を行うことを特徴とする[4]記載の植物栽培用の照明装置。
[6]太陽光を拡散させて植物に照射する拡散部材をさらに含むことを特徴とする[1]乃至[5]のいずれか記載の植物栽培用の照明装置。
[7]拡散部材は、第1照射体および第2照射体の上方に配置されることを特徴とする[6]記載の植物栽培用の照明装置。
[8]第1熱伝導性板材および第2熱伝導性板材はそれぞれ矩形状の形状を有し、
第1照射体において、第1発光部は第1熱伝導性板材の下方に長手方向に沿って取り付けられる複数の半導体発光素子で構成され、
第2照射体において、第2発光部は第2熱伝導性板材の下方に長手方向に沿って取り付けられる複数の半導体発光素子で構成されること
を特徴とする[1]乃至[7]のいずれか記載の植物栽培用の照明装置。
[9]第1熱伝導性板材および第2熱伝導性板材はそれぞれ矩形状の形状を有し、
第1照射体において、第1発光部は第1熱伝導性板材の下方に、可動できる状態で取り付けられる複数の半導体発光素子で構成され、
第2照射体において、第2発光部は第2熱伝導性板材の下方に、可動できる状態で取り付けられる複数の半導体発光素子で構成されること
を特徴とする[1]乃至[8]のいずれか記載の植物栽培用の照明装置。
[10]第1照射体および第2照射体を連動して回転させることで、第1の照射体と第2の照射体とが空間を隔てて配置される開状態と、第1の照射体の一部と第2の照射体の一部とが重ねて配置される閉状態とを設定する設定手段をさらに含むことを特徴とする[1]乃至[9]のいずれか記載の植物栽培用の照明装置。
【0007】
[11]植物に太陽光および人工光を併用して照射する植物栽培において、人工光の照射に用いられる植物栽培用の照明装置であって、
熱伝導性を有し且つ表裏面を有する板材で構成された熱伝導性板材と、光の照射方向が熱伝導性板材の面に沿うように熱伝導性板材に取り付けられた発光部とを、それぞれが備えた複数の照射体と、
複数の照射体にそれぞれ設けられた発光部による光の照射方向が下方を向くように、複数の照射体を支持する支持部と
を含む植物栽培用の照明装置。
[12]複数の照射体にそれぞれ設けられた熱伝導性板材の表裏面が、太陽光を反射する材料で構成されることを特徴とする[11]記載の植物栽培用の照明装置。
[13]支持部は、複数の照射体の取付角度を調整することで、複数の照射体にそれぞれ設けられた発光部からの光の照射方向を調整することを特徴とする[11]または[12]記載の植物栽培用の照明装置。
[14]支持部は、複数の照射体を連動して回転させることで、複数の照射体が相互に空間を隔てて配置される開状態と、複数の照射体が相互に重ねて配置される閉状態とを設定することを特徴とする[11]乃至[13]のいずれか記載の植物栽培用の照明装置。
[15]複数の照射体にそれぞれ設けられた発光部は、赤色光を出射する赤色半導体発光素子を備えることを特徴とする[11]乃至[14]のいずれか記載の植物栽培用の照明装置。
[16]複数の照射体にそれぞれ設けられた発光部は、さらに青色光を出射する青色半導体発光素子を備えることを特徴とする[15]記載の植物栽培用の照明装置。
【0008】
[17]植物に太陽光および人工光を併用して照射する植物栽培で用いられる植物栽培装置において、
栽培される植物を収容する栽培容器と、
熱伝導性を有し且つ表裏面を有する板材で構成された第1熱伝導性板材と、光の照射方向が下方を向くように第1熱伝導性板材に取り付けられた第1発光部とを備え、栽培容器の上方に配置された第1照射体と、
熱伝導性を有し且つ表裏面を有する板材で構成された第2熱伝導性板材と、光の照射方向が下方を向くように第2熱伝導性板材に取り付けられた第2発光部とを備え、栽培容器の上方において、第2熱伝導性板材が第1熱伝導性板材と空間を隔てて対向するように配置された第2照射体と
を含む植物栽培装置。
[18]太陽光を透過する壁部を備え、内部には栽培容器、第1照射体および第2照射体を収容する栽培室をさらに含むことを特徴とする[17]記載の植物栽培装置。
[19]第1照射体および第2照射体を連動して回転させることで、第1の照射体と第2の照射体とが空間を隔てて配置される開状態と、第1の照射体の一部と第2の照射体の一部とが重ねて配置される閉状態とを設定する設定手段をさらに含むことを特徴とする[17]または[18]記載の植物栽培装置。
[20]植物に対する第1照射体および第2照射体の取付角度を調整することで、第1照射体と第2照射体との間において太陽光が通過する空間の大きさを変更する変更手段をさらに含むことを特徴とする[17]乃至[19]のいずれか記載の植物栽培装置。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、人工光と太陽光とを併用して植物を栽培する場合に、太陽光の照射効率が低下するのを抑制することができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【図1】太陽光人工光併用型の植物栽培システムの構成の一例を示す図である。
【図2】実施の形態1における栽培ユニットの構成の一例を示す斜視図である。
【図3】(a)、(b)は、実施の形態1における第1照射体の構成の一例を示す斜視図である。
【図4】(a)、(b)は、第1照射体の構成の一例を説明するための図である。
【図5】(a)〜(c)は、実施の形態1における第1照射体〜第3照射体の動作の一例を説明するための図である。
【図6】(a)〜(c)は、時刻および季節と太陽の位置との関係を説明するための図である。
【図7】(a)は栽培ユニットのx方向と北の方角とを一致させる第1の配置を示す図であり、(b)は栽培ユニットのy方向と北の方角とを一致させる第2の配置を示す図である。
【図8】図7(a)に示す第1の配置を採用した場合における、植物の栽培過程の一例を示す図である。
【図9】図7(b)に示す第2の位置を採用した場合における、植物の栽培過程の一例を示す図である。
【図10】(a)〜(c)は、実施の形態1における第1照射体の他の構成例を説明するための図である。
【図11】図10(a)〜(c)に示す第1照射体をXI方向からみた正面図である。
【図12】実施の形態2における栽培ユニットの構成の一例を示す斜視図である。
【図13】(a)、(b)は、実施の形態2における第1照射体の構成の一例を示す斜視図である。
【図14】(a)〜(d)は、実施の形態2における第1照射体〜第3照射体の動作の一例を説明するための図である。
【図15】(a)〜(c)は、実施の形態2の栽培ユニットを用いた場合における、栽培植物の栽培過程の一例を示す図である。
【図16】実施の形態2の栽培ユニットの変形例を示す斜視図である。
【図17】(a)、(b)は、実施の形態2における第1照射体の他の構成の一例を示す斜視図である。
【図18】(a)〜(d)は、実施の形態2における第1照射体のさらに他の構成の一例を示す図である。
【図19】図18に示す第1照射体の動作を説明するための図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、添付図面を参照して、本発明の実施の形態について詳細に説明する。
<実施の形態1>
図1は、本実施の形態が適用される太陽光人工光併用型の植物栽培システム1の構成の一例を示す図である。
この植物栽培システム1は、例えばビニルシートやガラスなど、太陽光を透過する壁部を備え内部には空間が形成される栽培室2と、人工光を照射する機能を有し、栽培室2の内部に配置される複数の栽培ユニット3とを備えている。ここで、各栽培ユニット3には、それぞれ、栽培植物4を植栽した栽培容器5が収容されている。なお、栽培室2内では、図示しない空調設備等によって、栽培植物4の栽培条件に適した温度調整および湿度調整が施されるようになっている。
【0012】
図2は、実施の形態1における栽培ユニット3の構成の一例を示す斜視図である。
植物栽培用の照明装置の一例としての栽培ユニット3は、図1に示す栽培容器5を内部に積載するための枠体10と、枠体10に収容される栽培容器5に植栽された栽培植物4に人工光を照射するための人工光照射部20と、人工光照射部20を枠体10に支持させるための支持部30とを備えている。
【0013】
これらのうち、枠体10は、例えばコの字状の断面を有しており、矩形状の形状を有しその上面に栽培容器5を搭載する底部10cと、底部10cの一辺から上方に立ち上がる第1壁部10aと、底部10cの一辺から上方に立ち上がり且つ第1壁部10aに対向する第2壁部10bとを備えている。ここで、第1壁部10aの上部には、4つの貫通孔すなわち第1壁部第1孔11a、第1壁部第2孔12a、第1壁部第3孔13aおよび第1壁部第4孔14aが設けられている。一方、第2壁部10bの上部にも、4つの貫通孔すなわち第2壁部第1孔11b、第2壁部第2孔12b、第2壁部第3孔13bおよび第2壁部第4孔14bが設けられている。そして、第1壁部第1孔11aと第2壁部第1孔11bとが対向し、第1壁部第2孔12aと第2壁部第2孔12bとが対向し、第1壁部第3孔13aと第2壁部第3孔13bとが対向し、第1壁部第4孔14aと第2壁部第4孔14bとが対向するようになっている。
【0014】
なお、以下の説明においては、栽培ユニット3において、底部10cからみて第1壁部10aおよび第2壁部10bが設けられている側に沿う方向(図中右斜め上に向かう方向)をx方向と称する。また、底部10cからみて第1壁部10aおよび第2壁部10bが設けられていない側に沿う方向(図中左斜め上に向かう方向)をy方向と称する。さらに、図中下方から上方に向かう方向をz方向と称する。したがって、本実施の形態の栽培ユニット3では、枠体10の底部10cからみてz方向側すなわち上方に、人工光照射部20が位置していることになる。
【0015】
また、人工光照射部20は、枠体10の底部10cからみてz方向(上方)であって、第1壁部10aと第2壁部10bとの間に配置される、第1照射体21、第2照射体22、および第3照射体23を備えている。複数の照射体の一例としての第1照射体21〜第3照射体23は、共通の構成を有しており、それぞれが後述するように底部10c側に向けて人工光を照射する機能を有している。また、これら第1照射体21〜第3照射体23は、それぞれが長方形の板状構造を有しており、その長辺側がx方向に沿い、その短辺側がz方向に沿うように配置されている。そして、これら第1照射体21〜第3照射体23はy方向に並べて配置されており、第1壁部10aの内面側には第1照射体21の表面が対向し、第1照射体21の裏面には第2照射体22の表面が対向し、第2照射体22の裏面には第3照射体23の表面が対向し、第3照射体23の裏面には第2壁部10bの内面側が対向するようになっている。
【0016】
さらに、調整機構、設定手段あるいは変更手段の一例としての支持部30は、枠体10に設けられた第1壁部第1孔11aおよび第2壁部第1孔11bを貫通するように取り付けられた第1支持体31と、第1壁部第2孔12aおよび第2壁部第2孔12bを貫通するように取り付けられた第2支持体32と、第1壁部第3孔13aおよび第2壁部第3孔13bを貫通するように取り付けられた第3支持体33と、第1壁部第4孔14aおよび第2壁部第4孔14bを貫通するように取り付けられた第4支持体34とを有している。これら第1支持体31〜第4支持体34は、それぞれが棒状あるいは線状の金属材等で構成されており、それぞれがy方向に沿うように配置されている。そして、これら第1支持体31〜第4支持体34は、第1照射体21〜第3照射体23のそれぞれに設けられた貫通孔(詳細は後述する)を介して、第1照射体21〜第3照射体23を支持している。
また、支持部30は、これら第1支持体31〜第4支持体34のそれぞれに複数個(この例では後述するように6個)ずつ取り付けられ、第1支持体31〜第4支持体34によって支持される第1照射体21〜第3照射体23の姿勢を規制するための規制部材35をさらに備えている。
【0017】
次に、第1照射体21〜第3照射体23の構成について説明を行うが、上述したように第1照射体21〜第3照射体23は共通の構成を有していることから、ここでは、第1照射体21を例として説明を行う。
【0018】
図3および図4は、第1照射体21の構成の一例を示している。これらのうち、図3(a)は第1照射体21を表面側(図2における第1壁部10a側)からみた場合の斜視図であり、図3(b)は第1照射体21を裏面側(図2における第2照射体22側)からみた場合の斜視図である。また、図4(a)は図3(a)、図3(b)における第1照射体21のIVA−IVA断面図であり、図4(b)は第1照射体21を図4(a)におけるIVB方向からみた正面図である。
【0019】
本実施の形態において、第1照射体21は、電流の供給に伴って発光する発光部200と、発光部200が取り付けられるとともに発光部200の発光に伴って発生する熱を放出するための放熱板210とを有している。
【0020】
これらのうち、放熱板210は、その長辺側がx方向に沿い、その短辺側がz方向に沿う長方形状の金属板で構成されている。また、本実施の形態の放熱板210の表裏面には、太陽光を反射するための反射層が設けられている。このような反射層としては、例えば金属板の表裏面を鏡面加工する態様や、金属板の表裏面に白色樹脂等を形成する態様などが挙げられる。なお、金属板の表裏面を鏡面加工する態様を採用した場合には、さらにその上に透明な樹脂からなる保護層を設けてもよい。また、放熱板210の四隅には、放熱板210の表裏面を貫通する放熱板第1孔211、放熱板第2孔212、放熱板第3孔213、および放熱板第4孔214が設けられている。ここで、本実施の形態では、相対的に上方に位置する放熱板第1孔211および放熱板第3孔213がz方向に延びる長孔で構成されるのに対し、相対的に下方に位置する放熱板第2孔212および放熱板第4孔214が円孔で形成されている。そして、第1照射体21を栽培ユニット3(図2参照)に取り付けた際には、放熱板第1孔211には第1支持体31が、放熱板第2孔212には第2支持体32が、放熱板第3孔213には第3支持体33が、放熱板第4孔214には第4支持体34が、それぞれ貫通するようになっている。なお、本実施の形態において、放熱板第1孔211および放熱板第3孔213の短径は、第1支持体31および第3支持体33の外径よりも大きく設定され、放熱板第2孔212および放熱板第4孔314の内径は、第2支持体32および第4支持体34の外径よりも大きく設定されている。
【0021】
また、発光部200は、放熱板210の表面側且つ−z方向(下方)側端部に、x方向に沿って取り付けられている。この発光部200は、x方向に沿って並べて配置される複数個の発光チップ201と、内部に配線(図示せず)が形成され、一方の面にはこれら複数の発光チップ201が実装されるとともに、裏側となる他方の面には放熱板210が取り付けられる配線基板202とを有している。
【0022】
発光部200を構成する各発光チップ201は、半導体発光素子(Light Emitting Diode:LED)を含む所謂サイドビュー型のパッケージ構造を有しており、樹脂等で構成されたパッケージ部2010と、パッケージ部2010に対しx方向に沿って並べて取り付けられた、第1LED2011、第2LED2012、および第3LED2013とを有している。そして、各発光チップ201は、それぞれに設けられた第1LED2011〜第3LED2013がそれぞれ−z方向側を向くように、配線基板202を介して放熱板210に取り付けられている。パッケージ部2010の高さは、太陽光を妨げないように、3mm以下、望ましくは、1mm以下、更に、望ましくは0.6mm以下が良い。太陽光を受けるパッケージ部2010の外装は、光を反射する材質で構成することが好ましく、白色の高反射率の樹脂材料が適している。また、パッケージ部2010の光取り出し表面には、レンズなどを用い、植物育成に適した放射角度を調整することが望ましい。また、パッケージ部2010は、照明の条件にあわせた構造を選択できる。例えば、放熱板形状を変更することで遮光面積がやや増加するが、発光効率が高く、安価なトップビュー型のパッケージを搭載することも好ましい。強い光が必要な場合は、1ワット以上の電力を投入できる所謂パワーパッケージを搭載することが好適である。
【0023】
これにより、第1照射体21を栽培ユニット3(図2参照)に取り付けた際には、第1照射体21に設けられた各発光チップ201より、−z方向側すなわち下方に向けて光が出射される。ここで、本実施の形態では、第1LED2011および第3LED2013が植物のクロロフィルの吸収波長に対応する発光波長600〜700nm近辺の赤色光を出射するようになっており、特に、植物育成に好ましい660nm近辺の赤色光を出射するもので構成した。また、第2LED2012がクロロフィルの他の吸収波長に対応する450nm近辺の青色光を出射するようになっている。ただし、これに限られるものではなく、第1LED2011〜第3LED2013のすべてを、660nm近辺の赤色光を出射するもので構成もよい。また、緑、黄色、赤外などの他の色(LED)を加えてもよい。
そして、発光層の材質は、例えば赤色光については、発光効率の高いAlGaAs系、AlGaInP系等の半導体結晶を用いた発光素子が好適であり、特に、高効率のAlGaInP系が好ましい。一方、例えば青色光については、InGaN系が好適である。半導体発光素子は、素子の温度が上昇すると、発光効率が低下するため、放熱性の良い環境が重要である。また、LEDと蛍光体とを組み合わせたものを使用してもかまわない。
【0024】
また、本実施の形態において、例えば第1照射体21が第1照射体として機能するとき、第1照射体21に設けられた放熱板210が第1熱伝導性板材として機能するとともに、第1照射体21に設けられた発光部200が第1発光部として機能することになる。この場合において、第2照射体22あるいは第3照射体23が第2照射体として機能することになり、第2照射体22あるいは第3照射体23に設けられた放熱板210が第2熱伝導性板材として機能するとともに、第2照射体22あるいは第3照射体23に設けられた発光部200が第2発光部として機能することになる。
【0025】
図5は、図2に示す栽培ユニット3における人工光照射部20と支持部30との関係を説明するための図である。なお、図5において、第3支持体33は第1支持体31の背後に隠れており、第4支持体34は第2支持体32の背後に隠れている。
【0026】
例えば第1支持体31において、第1照射体21の前後、第2照射体22の前後、および第3照射体23の前後には、それぞれ規制部材35が取り付けられている。これら規制部材35は、第1照射体21〜第3照射体23のそれぞれに設けられた孔(例えば第1照射体21では放熱板第1孔211)の短径よりも大きな外径を有しており、それぞれが第1支持体31に対して固定されている。
また、例えば第2支持体32において、第1照射体21の前後、第2照射体22の前後、および第3照射体23の前後にも、それぞれ規制部材35が取り付けられている。これら規制部材35は、第1照射体21〜第3照射体23のそれぞれに設けられた孔(例えば第1照射体21では放熱板第2孔212)の内径よりも大きな外径を有しており、それぞれが第2支持体32に対して固定されている。
なお、詳細については説明しないが、第3支持体33および第4支持体34にも、それぞれ6個の規制部材35が取り付けられている。
【0027】
また、本実施の形態では、第2支持体32および第4支持体34が枠体10(図2参照)に固定されて取り付けられているのに対し、第1支持体31および第3支持体33は、枠体10に対しy方向および−y方向にスライド自在に取り付けられている。また、第1支持体31および第3支持体33は、y方向における位置を変更した上で、図示しない固定機構を用いて固定されるようになっている。
【0028】
このような構成を採用することで、本実施の形態にかかる人工光照射部20(第1照射体21〜第3照射体23)は、次のような姿勢を取ることができるようになっている。
【0029】
図5(a)は、基準となる第1の状態を示している。第1の状態では、第1支持体31および第3支持体33がy方向あるいは−y方向へのスライドを停止した際に、第1支持体31および第3支持体33に設けられた各規制部材35が、第2支持体32および第4支持体34に設けられた各規制部材35の上方に位置するようになっている。これに伴い、第1の状態では、第1照射体21〜第3照射体23が、それぞれ立てられた状態になる。
【0030】
また、図5(b)は、図5(a)に示す第1の状態から、第1支持体31および第3支持体33をy方向にスライドさせた第2の状態を示している。第2の状態では、第1支持体31および第3支持体33がy方向に移動することに伴い、第1照射体21〜第3照射体23それぞれの図中右側に設けられた規制部材35が、対応する第1照射体21〜第3照射体23に突き当たる。このとき、第2支持体32および第4支持体34は、上述したように固定されていることから、第2の状態では、第1照射体21〜第3照射体23が、それぞれ図中左上に向かって傾斜した状態になる。
【0031】
さらに、図5(c)は、図5(a)に示す第1の状態から、第1支持体31および第3支持体33を−y方向にスライドさせた第3の状態を示している。第3の状態では、第1支持体31および第3支持体33が−y方向に移動するのに伴い、第1照射体21〜第3照射体23それぞれの図中左側に設けられた規制部材35が、対応する第1照射体21〜第3照射体23に突き当たる。このとき、第2支持体32および第4支持体34は上述したように固定されていることから、第3の状態では、第1照射体21〜第3照射体23が、それぞれ図中右上に向かって傾斜した状態となる。
【0032】
そして、栽培ユニット3において、第1支持体31および第3支持体33を用いて、第1照射体21〜第3照射体23の傾斜を変えることに伴い、これら第1照射体21〜第3照射体23それぞれに設けられた発光部200より出射される光の向きが調整される。
なお、この例において、第1照射体21〜第3照射体23の傾斜状態は、第1支持体31および第3支持体33を停止させる位置に応じて無段階あるいは多段階に変更することができる。また、栽培ユニット3における第1支持体31および第3支持体33の位置変更については、手動で行う構成としてもよいし、例えばモータ等を利用して自動的に行う構成としてもかまわない。
【0033】
続いて、本実施の形態の植物栽培システム1で利用される太陽の挙動について、簡単に説明しておく。
図6は、時刻および季節と太陽の位置との関係を説明するための図である。なお、以下の説明では、北の方角をNとし、南の方角をSとし、東の方角をEとし、西の方角をWとして表す。図6(a)に示すように、太陽は、午前に東の方角Eから昇り、正午に南の方角Sに到達した後、午後に西の方角Wに沈む。このとき、太陽の天体高度(仰角)は正午に南中する際において最大となる。そして、太陽が沈んだ後、次に太陽が昇るまでの間は、地上には太陽が存在しないことになる。なお、以下の説明においては、地上に太陽が現れている期間を『日中』と称し、地上に太陽が現れていない期間を『夜間』と称する。そして、『日中』を、『朝』、『昼』、『夕』に分けて表す。また、図6(b)に示すように、太陽の南中高度は季節によって変わり、『夏至』において最も大きく、『冬至』において最も小さくなり、『春分』および『秋分』において夏至と冬至との中間の大きさになる。なお、以下の説明においては、図6(c)に示したように、春分における南中高度をθspとし、夏至における南中高度をθsmとし、秋分における南中高度をθauとし、冬至における南中高度をθwiとする。
【0034】
図7は、図1に示す植物栽培システム1において、方角と栽培ユニット3を配置する向きとの関係の一例を示している。
図7(a)は、栽培ユニット3のx方向と北の方角Nとを一致させる第1の配置を示している。これに対し、図7(b)は、栽培ユニット3のy方向と北の方角Nとを一致させる第2の配置を示している。
【0035】
図8は、図1に示す植物栽培システム1において、図7(a)に示す第1の配置を採用した場合における、栽培植物4の栽培過程の一例を示す図である。ただし、図8においては、栽培室2の記載を省略している。ここで、図8(a)は『夜間』における状態を、図8(b)は『日中』のうちの『朝』における状態を、図8(c)は『日中』のうちの『昼』における状態を、図8(d)は『日中』のうちの『夕』における状態を、それぞれ例示している。また、図8(a)〜(d)においては、図中左側が東の方角Eに対応し、図中右側が西の方角Wに対応し、図中手前側が北の方角N(図示せず)に対応し、図中奥側が南の方角S(図示せず)に対応している。
【0036】
図8(a)に示す『夜間』において、栽培ユニット3では、人工光照射部20を構成する第1照射体21〜第3照射体23が、支持部30によって図5(a)に示す第1の状態に設定される。また、『夜間』においては、太陽光の採光が期待できないことから、人工光照射部20を用いた人工光の照射を実行させる。
【0037】
その際、栽培ユニット3では、第1照射体21〜第3照射体23それぞれに設けられた発光部200に給電を行うことで、各発光部200において、第1LED2011および第3LED2013からは赤色光を出射させ、第2LED2012からは青色光を出射させる。そして、各発光部200から出射された人工光は、下方に配置された栽培容器5に植栽される栽培植物4に照射される。
【0038】
第1照射体21〜第3照射体23では、それぞれに複数個ずつ取り付けられた第1LED2011〜第3LED2013の発光に伴って発生した熱が、配線基板202を介して放熱板210に伝達される。そして、放熱板210に伝達された熱は、その表裏面から外部に放出される。このとき、第1照射体21〜第3照射体23では、放熱板210の下方に発光部200が取り付けられていることから、発光部200から放熱板210に伝達された熱は、放熱板210を介して発光部200の取り付け位置とは逆向きとなる上方に放出される。このため、発光部200側には熱がこもりにくくなり、第1LED2011〜第3LED2013の熱的な劣化が抑制される。
【0039】
また、太陽光のない『夜間』においても、人工光が栽培植物4に照射されることになるため、『夜間』において人工光の照射を行わない場合と比べて、栽培植物4の栽培が促進されることになる。
【0040】
図8(b)に示す『朝』において、栽培ユニット3では、人工光照射部20を構成する第1照射体21〜第3照射体23が、支持部30によって図5(c)に示す第3の状態に設定される。また、『朝』においては、太陽光の採光が期待できることから、人工光照射部20を用いた人工光の照射を停止させる。
【0041】
『朝』において、栽培ユニット3には、東の方角E側から太陽光が照射されることになる。第1照射体21〜第3照射体23は第3の状態に設定されていることから、このときの太陽光の照射方向と平行に近づいた状態になっている。このため、太陽光は、第1照射体21〜第3照射体23によって遮られる量が低減された状態で、栽培植物4に照射される。また、太陽光の一部が第1照射体21〜第3照射体23によって遮られたとしても、第1照射体21〜第3照射体23の表裏面には反射層が形成されていることから、最終的には反射後の太陽光を栽培植物4に照射することが可能になる。
【0042】
図8(c)に示す『昼』において、栽培ユニット3では、人工光照射部20を構成する第1照射体21〜第3照射体23が、支持部30によって図5(a)に示す第1の状態に設定される。また、『昼』においても、太陽光の採光が期待できることから、人工光照射部20を用いた人工光の照射を停止させる。
【0043】
『昼』において、栽培ユニット3には、南の方角S側から太陽光が照射されることになるが、第1照射体21〜第3照射体23は第1の状態に設定されていることから、このときの太陽光の照射方向と平行に近づいた状態となっている。このため、太陽光は、第1照射体21〜第3照射体23によって遮られる量が低減された状態で、栽培植物4に照射される。また、太陽光の一部が第1照射体21〜第3照射体23によって遮られたとしても、第1照射体21〜第3照射体23の表裏面には反射層が形成されていることから、最終的には反射後の太陽光を栽培植物4に照射することが可能になる。
【0044】
図8(d)に示す『夕』において、栽培ユニット3では、人工光照射部20を構成する第1照射体21〜第3照射体23が、支持部30によって図5(b)に示す第2の状態に設定される。また、『夕』においても、太陽光の採光が期待できることから、人工光照射部20を用いた人工光の照射を停止させる。
【0045】
『夕』において、栽培ユニット3には、西の方角W側から太陽光が照射されることになるが、第1照射体21〜第3照射体23は第2の状態に設定されていることから、このときの太陽光の照射方向と平行に近づいた状態となっている。このため、太陽光は、第1照射体21〜第3照射体23によって遮られる量が低減された状態で、栽培植物4に照射される。また、太陽光の一部が第1照射体21〜第3照射体23によって遮られたとしても、第1照射体21〜第3照射体23の表裏面には反射層が形成されていることから、最終的には反射後の太陽光を栽培植物4に照射することが可能になる。
【0046】
そして、この例においては、『朝』→『昼』→『夕』という時間の経過に伴って、第1照射体21〜第3照射体23の姿勢(傾斜角度)を、第3の状態→第1の状態→第2の状態に、連続的あるいは段階的に変更することが望ましい。
このように、太陽光のある『日中』においては、太陽光が栽培植物4に照射されることになるため、人工光のみで栽培植物4を栽培する場合と比べて、かかるエネルギーコストが低減されることになる。また、太陽光の入射角に応じて第1照射体21〜第3照射体23の傾斜角度を調整して太陽光の照射方向と平行に近づけることで、第1照射体21〜第3照射体23によって遮られる太陽光の量を減らすことが可能となり、太陽光の照射効率の低下が抑制されることにもなる。
【0047】
なお、ここでは、『日中』すなわち『朝』、『昼』、『夕』のいずれにおいても、太陽光が採光されることを期待して、人工光照射部20からの人工光の照射を停止させる場合を例として説明を行ったが、これに限られるものではない。例えば『日中』であっても天候不良(曇天や雨天等)により太陽光の光量が不足してしまう場合においては、太陽光とともに、人工光照射部20から人工光を照射するようにしてもかまわない。この場合において、太陽光と人工光とを併用するか否かについては、例えば手動で設定を行ってもかまわない。また、例えば光センサ等を用いて、太陽光単体の光量または太陽光および人工光の合計光量を計測し、太陽光と人工光とを合わせた合計光量が予め決められた基準光量となるように、人工光の光量をフィードバック制御してもよい。一方、太陽光が強すぎる場合は、人工光照射部20を構成する第1照射体21〜第3照射体23を上述した説明とは逆向きに傾斜させることで、各放熱板210を、栽培植物4に対する太陽光の遮光板として利用することもできる。
【0048】
図9は、図1に示す植物栽培システム1において、図7(b)に示す第2の配置を採用した場合における、栽培植物4の栽培過程の一例を示す図である。ただし、図9においては、栽培室2の記載を省略している。ここで、図9(a)は『春分』の『日中』における状態を、図9(b)は『夏至』の『日中』における状態を、図9(c)は『秋分』の『日中』における状態を、図9(d)は『冬至』の『日中』における状態を、それぞれ例示している。また、図9(a)〜(d)においては、図中左側が南の方角Sに対応し、図中右側が北の方角Nに対応し、図中手前側が東の方角E(図示せず)に対応し、図中奥側が西の方角W(図示せず)に対応している。また、図9(a)〜(d)に示す太陽は、南中時における位置(南中高度)にある。
【0049】
図9(a)に示す『春分』の『日中』において、栽培ユニット3では、人工光照射部20を構成する第1照射体21〜第3照射体23が、支持部30によって図5(c)に示す第3の状態に設定されている。特に、この例では、第1照射体21〜第3照射体23の傾斜角度が、『春分』における南中高度θsp(図6(c)参照)に合わせて設定されていることから、このときの太陽光の照射方向と平行に近づいた状態になっている。このため、『春分』の『日中』における太陽光は、第1照射体21〜第3照射体23によって遮られる量が低減された状態で、栽培植物4に照射される。また、太陽光の一部が第1照射体21〜第3照射体23によって遮られたとしても、第1照射体21〜第3照射体23の表裏面には反射層が形成されていることから、最終的には反射後の太陽光を栽培植物4に照射することが可能になる。
【0050】
図9(b)に示す『夏至』の『日中』において、栽培ユニット3では、人工光照射部20を構成する第1照射体21〜第3照射体23が、支持部30によって図5(c)に示す第3の状態に設定されている。特に、この例では、第1照射体21〜第3照射体23の傾斜角度が、『夏至』における南中高度θsm(図6(c)参照)に合わせて設定されていることから、このときの太陽光の照射方向と平行に近づいた状態になっている。このため、『夏至』の『日中』における太陽光は、第1照射体21〜第3照射体23によって遮られる量が低減された状態で、栽培植物4に照射される。また、太陽光の一部が第1照射体21〜第3照射体23によって遮られたとしても、第1照射体21〜第3照射体23の表裏面には反射層が形成されていることから、最終的には反射後の太陽光を栽培植物4に照射することが可能になる。
【0051】
図9(c)に示す『秋分』の『日中』において、栽培ユニット3では、人工光照射部20を構成する第1照射体21〜第3照射体23が、支持部30によって図5(c)に示す第3の状態に設定されている。特に、この例では、第1照射体21〜第3照射体23の傾斜角度が、『秋分』における南中高度θau(図6(c)参照)に合わせて設定されていることから、このときの太陽光の照射方向と平行に近づいた状態になっている。このため、『秋分』の『日中』における太陽光は、第1照射体21〜第3照射体23によって遮られる量が低減された状態で、栽培植物4に照射される。また、太陽光の一部が第1照射体21〜第3照射体23によって遮られたとしても、第1照射体21〜第3照射体23の表裏面には反射層が形成されていることから、最終的には反射後の太陽光を栽培植物4に照射することが可能になる。
【0052】
図9(d)に示す『冬至』の『日中』において、栽培ユニット3では、人工光照射部20を構成する第1照射体21〜第3照射体23が、支持部30によって図5(c)に示す第3の状態に設定されている。特に、この例では、第1照射体21〜第3照射体23の傾斜角度が、『冬至』における南中高度θwi(図6(c)参照)に合わせて設定されていることから、このときの太陽光の照射方向と平行に近づいた状態になっている。このため、『冬至』の『日中』における太陽光は、第1照射体21〜第3照射体23によって遮られる量が低減された状態で、栽培植物4に照射される。また、太陽光の一部が第1照射体21〜第3照射体23によって遮られたとしても、第1照射体21〜第3照射体23の表裏面には反射層が形成されていることから、最終的には反射後の太陽光を栽培植物4に照射することが可能になる。
【0053】
そして、この例においては、『春分』→『夏至』→『秋分』→『冬至』→次の『春分』という季節の経過に伴って、それぞれの『日中』における第1照射体21〜第3照射体23の姿勢(傾斜角度)を、θsp→θsm→θau→θwi→θspに、連続的あるいは段階的に変更することが望ましい。
ただし、第1照射体21〜第3照射体23の傾斜角度を適正に選択することで、それぞれの『日中』においては、『朝』→『昼』→『夕』にかけて、第1照射体21〜第3照射体23の傾斜角度を固定して使用することもできる。また、季節や時間に関係なく、第1照射体21〜第3照射体23の傾斜角度を、常時固定して使用することもできる。
【0054】
なお、この例では、『春分』、『夏至』、『秋分』、『冬至』における『日中』を例に説明を行ったが、それぞれにおける『夜間』については、図8(a)に示した例と同様に、人工光照射部20を構成する第1照射体21〜第3照射体23を、支持部30によって図5(a)に示す第1の状態に設定し、人工光照射部20を用いた人工光の照射を実行させるようにすればよい。
【0055】
また、ここでは、『日中』における、第1照射体21〜第3照射体23による人工光の照射の有無についての説明を行わなかったが、上述した例と同様、例えば『日中』において太陽光の採光が期待される場合には照射を行わないようにすればよいし、例えば『日中』であっても天候不良(曇天や雨天等)により太陽光の採光が期待できない場合には、太陽光とともに人工光を照射するようにしてもよい。この場合において、太陽光と人工光とを併用するか否かについては、例えば手動で設定を行ってもかまわない。また、例えば光センサ等を用いて、太陽光単体の光量または太陽光および人工光の合計光量を計測し、太陽光と人工光とを合わせた合計光量が予め決められた基準光量となるように、人工光の光量をフィードバック制御してもよい。一方、太陽光が強すぎる場合は、人工光照射部20を構成する第1照射体21〜第3照射体23を上述した説明とは逆向きに傾斜させることで、各放熱板210を、栽培植物4に対する太陽光の遮光板として利用することもできる。
【0056】
なお、本実施の形態では、所謂サイドビュー型のパッケージ構造を有する発光チップ201を用いて、第1照射体21〜第3照射体23を構成していたが、これに限られるものではない。
図10(a)〜(c)は、実施の形態1における第1照射体21(第2照射体22および第3照射体23も同様)の他の構成例を説明するための図である。また、図11は、図10(a)〜(c)に示す第1照射体21(第2照射体22および第3照射体23も同様)をXI方向からみた正面図である。
【0057】
例えば図10(a)に示す例では、放熱板210が長手方向に沿ってL字状に折り曲げられており、折り曲げによって形成される面が−z方向を向くようになっている。また、例えば図10(b)に示す例では、放熱板210が長手方向に沿ってU字状に折り曲げられており、折り曲げによって形成される底面が−z方向を向くようになっている。さらに、例えば図10(c)に示す例では、放熱板210が長手方向に沿ってU字状に折り曲げられるとともに、そのz方向側の端部が閉じられるようになっている。そして、図10(a)〜(c)に示す例において、各放熱板210には、図3に示したものと同様に、放熱板第1孔211、放熱板第2孔212、放熱板第3孔213および放熱板第4孔214が形成されている。
【0058】
また、図10(a)〜(c)に示す例において、各放熱板210のうち−z方向を向く面には、x方向に沿って発光部200が取り付けられている。この発光部200は、図11に示すように、x方向に沿って並べて配置される複数個の発光チップ201と、内部に配線(図示せず)が形成され、一方の面にはこれら複数の発光チップ201が実装されるとともに、裏側となる他方の面には放熱板210が取り付けられる配線基板202とを有している。
【0059】
この例において、発光部200を構成する各発光チップ201は、半導体発光素子(Light Emitting Diode:LED)を含む所謂トップビュー型のパッケージ構造を有しており、樹脂等で構成されたパッケージ部2010と、パッケージ部2010に対しx方向に沿って並べて取り付けられた、第1LED2011、第2LED2012、および第3LED2013とを有している。そして、各発光チップ201は、それぞれに設けられた第1LED2011〜第3LED2013がそれぞれ−z方向側を向くように、配線基板202を介して放熱板210に取り付けられている。
【0060】
このようなトップビュー型の発光チップ201を採用した場合であっても、実施の形態1で説明したものと同様の効果を得ることができる。
【0061】
<実施の形態2>
本実施の形態は、実施の形態1とほぼ同様であるが、栽培ユニット3の構成に工夫を施すことにより、太陽光の遮光を可能としたものである。なお、本実施の形態において、実施の形態1と同様のものについては、実施の形態1と同じ符号を付してその詳細な説明を省略する。
【0062】
図12は、実施の形態2における栽培ユニット3の構成の一例を示す斜視図である。
本実施の形態の栽培ユニット3も、図1に示す栽培容器5を内部に積載するための枠体10と、枠体10に収容される栽培容器5に植栽された栽培植物4に人工光を照射するための人工光照射部20と、人工光照射部20を枠体10に支持させるための支持部30とを備えている。
【0063】
これらのうち、枠体10は、例えばコの字状の断面を有しており、矩形状の形状を有しその上面に栽培容器5を搭載する底部10cと、底部10cの一辺から上方に立ち上がる第1壁部10aと、底部10cの一辺から上方に立ち上がり且つ第1壁部10aに対向する第2壁部10bとを備えている。ここで、第1壁部10aの上部には、3つの貫通孔すなわち第1壁部第1長孔101a、第1壁部第2長孔102aおよび第1壁部円孔103aが設けられている。一方、第2壁部10bの上部には、3つの貫通孔すなわち第2壁部第1長孔101b、第2壁部第2長孔102bおよび第2壁部円孔103bが設けられている。これらのうち、第1壁部第1長孔101a、第1壁部第2長孔102a、第2壁部第1長孔101bおよび第2壁部第2長孔102bは、それぞれz方向に伸びた開口形状を有している。そして、第1壁部第1長孔101aと第2壁部第1長孔101bとが対向し、第1壁部第2長孔102aと第2壁部第2長孔102bとが対向し、第1壁部円孔103aと第2壁部円孔103bとが対向するようになっている。
【0064】
また、人工光照射部20は、枠体10の底部10cからみてz方向(上方)であって、第1壁部10aと第2壁部10bとの間に配置される、第1照射体21、第2照射体22、および第3照射体23を備えている。これら第1照射体21〜第3照射体23は、共通の構成を有しており、また、相互の位置関係については実施の形態1と同じである。
【0065】
さらに、支持部30は、枠体10に設けられた第1壁部第1長孔101aおよび第2壁部第1長孔101bを貫通するように取り付けられた第1支持線301および第2支持線302と、第1壁部第2長孔102aおよび第2壁部第2長孔102bを貫通するように取り付けられた第3支持線303および第4支持線304と、第1壁部円孔103aおよび第2壁部円孔103bを貫通するように取り付けられた第5支持線305とを有している。これら第1支持線301〜第5支持線305は、それぞれが線状の金属材等で構成されており、それぞれがy方向に沿うように配置されている。そして、第1支持線301〜第4支持線304は、第1照射体21〜第3照射体23のそれぞれに設けられた凹部(詳細は後述する)を介して、また、第5支持線305は、第1照射体21〜第3照射体23のそれぞれに設けられた貫通孔(詳細は後述する)を介して、第1照射体21〜第3照射体23を支持している。ここで、本実施の形態では、第1照射体21〜第3照射体23それぞれの前後において、第1支持線301と第2支持線302とが渡り線を介して結合され、且つ、第3支持線303と第4支持線304とが渡り線を介して結合されている。
【0066】
次に、第1照射体21〜第3照射体23の構成について説明を行うが、本実施の形態においても、第1照射体21〜第3照射体23は共通の構成を有していることから、ここでは、第1照射体21を例として説明を行う。
【0067】
図13は、実施の形態2の栽培ユニット3における第1照射体21の構成の一例を示している。これらのうち、図13(a)は第1照射体21を表面側(図12における第1壁部10a側)からみた場合の斜視図であり、図13(b)は第1照射体21を裏面側(図12における第2照射体22側)からみた場合の斜視図である。
【0068】
本実施の形態において、第1照射体21は、電流の供給に伴って発光する発光部200と、発光部200が取り付けられるとともに発光部200の発光に伴って発生する熱を放出するための放熱板210とを有している。
【0069】
これらのうち、放熱板210は、その長辺側がx方向に沿い、その短辺側がz方向に沿う長方形状の金属板で構成されている。また、本実施の形態の放熱板210の表裏面には、太陽光を反射するための反射層が設けられている。また、放熱板210の四隅には、放熱板210の上部側および下部側をそれぞれ切り欠いた放熱板第1凹部210a、放熱板第2凹部210b、放熱板第3凹部210cおよび放熱板第4凹部210dが形成されている。さらに、放熱板210の中央には、表裏面を貫通する放熱板円孔210eが設けられている。そして、第1照射体21を栽培ユニット3に取り付けた際には、放熱板第1凹部210aには第1支持線301が、放熱板第2凹部210bには第2支持線302が、放熱板第3凹部210cには第3支持線303が、放熱板第4凹部210dには第4支持線304が、それぞれ位置し、また、放熱板円孔210eには第5支持線305が貫通するようになっている。
なお、発光部200の構成および放熱板210への取り付け手法については、実施の形態1と同じである。
【0070】
図14は、図12に示す栽培ユニット3における人工光照射部20と支持部30との関係を説明するための図である。なお、図14において、第3支持線303は第1支持線301の背後に隠れており、第4支持線304は第2支持線302の背後に隠れている。
【0071】
本実施の形態では、第5支持線305が枠体10(図12参照)に固定して取り付けられているのに対し、第5支持線305よりも上方に位置する第1支持線301および第3支持線303が、枠体10に対し一体的にy方向および−y方向にスライド自在に取り付けられ、且つ、第5支持線305よりも下方に位置する第2支持線302および第4支持線304が、枠体10に対し一体的にy方向および−y方向にスライド自在に取り付けられている。また、第1支持線301〜第4支持線304は、y方向における位置を変更した上で、図示しない固定機構を用いて固定されるようになっている。
【0072】
このような構成を採用することで、本実施の形態にかかる人工光照射部20(第1照射体21〜第3照射体23)は、次のような姿勢を取ることができるようになっている。
【0073】
図14(a)は、基準となる第1の状態を示している。第1の状態では、第1支持線301〜第4支持線304がy方向あるいは−y方向へのスライドを停止した際に、第1照射体21〜第3照射体23がそれぞれ直立した状態になる。そして、第1の状態では、第1照射体21と第2照射体22との間、および第2照射体22と第3照射体23との間が開放されており、第1照射体21と枠体10(図12参照)における第1壁部10aとの間、および第3照射体23と枠体10における第2壁部10bとの間も開放されている。
【0074】
また、図14(b)は、図14(a)に示す第1の状態から、第1支持線301および第3支持線303をy方向にスライドさせ、且つ、第2支持線302および第4支持線304を−y方向にスライドさせた第2の状態を示している。第2の状態では、第1照射体21〜第3照射体23が、それぞれ図中左上に向かって傾斜した状態になる。また、第2の状態においても、第1照射体21と第2照射体22との間、および第2照射体22と第3照射体23との間が開放されており、第1照射体21と枠体10(図12参照)における第1壁部10aとの間、および第3照射体23と枠体10における第2壁部10bとの間も開放されている。
【0075】
さらに、図14(c)は、図14(a)に示す第1の状態から、第1支持線301および第3支持線303を−y方向に移動させ、且つ、第2支持線302および第4支持線304をy方向に移動させた第3の状態を示している。第3の状態では、第1照射体21〜第3照射体23が、それぞれ図中右上に向かって傾斜した状態になる。また、第3の状態においても、第1照射体21と第2照射体22との間、および第2照射体22と第3照射体23との間が開放されており、第1照射体21と枠体10(図12参照)における第1壁部10aとの間、および第3照射体23と枠体10における第2壁部10bとの間も開放されている。
【0076】
そして、図14(d)は、図14(b)に示す第2の状態から、第1支持線301および第3支持線303をさらにy方向にスライドさせ、且つ、第2支持線302および第4支持線304をさらに−y方向にスライドさせた第4の状態を示している。第4の状態では、第1照射体21〜第3照射体23が、順番に重なった構造を形成する。より具体的に説明すると、第4の状態では、第1照射体21の裏面側下部に第2照射体22の表面側上部が重なり、第2照射体22の裏面側下部に第3照射体23の表面側上部が重なる。また、第4の状態においては、第1照射体21の上端部が枠体10(図12参照)における第1壁部10aの内面に突き当たり、第3照射体23の下端部が枠体10における第2壁部10bの内面に突き当たる。したがって、第4の状態では、第1照射体21と第2照射体22との間、および第2照射体22と第3照射体23とが閉鎖され、しかも、枠体10における第1壁部10aと第1照射体21との間、および第3照射体23と枠体10における第2壁部10bとの間も閉鎖されることになる。
【0077】
このように、本実施の形態の栽培ユニット3では、実施の形態1で説明した機能に加え、図14(a)〜図14(c)に示す「開状態」と、図14(d)に示す「閉状態」とを実現することができる。なお、第1照射体21〜第3照射体23に設けられた発光部200は、それぞれの表面下部側に取り付けられている(図13(a)参照)ので、各発光部200が「閉状態」を実現する際の妨げになることはない。
【0078】
そして、栽培ユニット3において、第1支持線301〜第4支持線304を用いて、第1照射体21〜第3照射体23の傾斜を変えることに伴い、これら第1照射体21〜第3照射体23それぞれに設けられた発光部200より出射される光の向きが調整される。
なお、この例において、第1照射体21〜第3照射体23の傾斜状態は、第1支持線301〜第4支持線304を停止させる位置に応じて無段階あるいは多段階に変更することができる。また、栽培ユニット3における第1支持線301〜第4支持線304の位置変更については、実施の形態1と同様に、手動で行う構成としてもよいし、例えばモータ等を利用して自動的に行う構成としてもかまわない。
【0079】
また、本実施の形態の栽培ユニット3は、実施の形態1と同様に、例えば図7(a)に示す配置を採用し且つ図8を用いて説明した手順にて、栽培植物4に対する太陽光および人工光の照射を行うことができ、さらに、例えば図7(b)に示す配置を採用し且つ図9を用いて説明した手順にて、栽培植物4に対する太陽光および人工光の照射を行うことができる。
【0080】
そして、本実施の形態の栽培ユニット3では、太陽光を採光して栽培植物4に照射することができるとともに、照射される太陽光を遮光することができるようになっている。
図15は、実施の形態2の栽培ユニット3を用いた場合における、栽培植物4の栽培過程の一例を示す図である。ここで、図15(a)は『夜間』における状態を、図15(b)は『日中』における第1の設定を、図15(c)は『日中』における第2の設定を、それぞれ例示している。ここで、第1の設定は、『日中』において太陽光を採光する場合に適用されるものであり、例えば日長が一定時間よりも長くなると花芽を形成する『長日植物』の栽培において使用される。また、第2の設定は、『日中』において太陽光を遮光する場合に適用されるものであり、例えば日長が一定時間よりも短くなると花芽を形成する『短日植物』の栽培において使用される。
【0081】
図16は、本実施の形態にかかる栽培ユニット3の構成の変形例を示す斜視図である。
この栽培ユニット3の基本構成は、図12に示したものとほぼ同じであるが、枠体10の上部すなわち人工光照射部20の上方に、照射される太陽光を拡散するための拡散板40を設けたところに特徴がある。
【0082】
実施の形態1および実施の形態2で説明した栽培ユニット3は、人工光照射部20として板状の第1照射体21〜第3照射体23を用い、これらが太陽の高度に対して平行に近づくように傾斜させることで、栽培植物4に太陽光が照射されやすくなるようにしていた。しかしながら、第1照射体21〜第3照射体23の影となる部位に存在する一部の栽培植物4については、太陽光の照射が不十分となる懸念があった。
【0083】
これに対し、図16に示す構成を採用した場合には、拡散板40を介して枠体10の内側に照射される太陽光が、拡散板40によって拡散された状態となる。これに伴い、枠体10の内側には、第1照射体21〜第3照射体23に起因する影ができにくくなることから、枠体10内に配置される栽培植物4に対する太陽光の照射むらが起きにくくなる。なお、栽培ユニット3に対する拡散板40の取り付け位置については、人工光照射部20と栽培植物4との間としてもかまわないが、拡散板40による人工光の損失を考慮すると、図16に示したように人工光照射部20の上部とすることが望ましい。
【0084】
なお、実施の形態1、2では、人工光照射部20を3つの照射体すなわち第1照射体21〜第3照射体23にて構成する場合を例に説明を行ったが、これに限られるものではなく、2以上の照射体を有するものであればよい。
【0085】
また、本実施の形態では、平板状の放熱板210を用いて第1照射体21〜第3照射体23を構成していたが、これに限られるものではない。
図17(a)、(b)は、実施の形態2における第1照射体21(第2照射体22および第3照射体23も同様)の他の構成の一例を示す斜視図である。これらのうち、図17(a)は第1照射体21を表面側(図12における第1壁部10a側)からみた場合の斜視図であり、図17(b)は第1照射体21を裏面側(図12における第2照射体22側)からみた場合の斜視図である。
【0086】
図17に示す例において、第1照射体21は、電流の供給に伴って発光する発光部200と、発光部200が取り付けられるとともに発光部200の発光に伴って発生する熱を放出するための放熱板210とを有している。この例における放熱板210は、長方形状の金属板に対し、例えば折り曲げ加工によって凹部と凸部とを交互に形成することで、断面が波形となった構造を有している。また、放熱板210には、図13に示したものと同様に、放熱板第1凹部210a、放熱板第2凹部210b、放熱板第3凹部210c、放熱板第4凹部210dおよび放熱板円孔210eが形成されている。
【0087】
そして、本実施の形態では、発光部200を構成する配線基板202として、例えばFPC(Flexible Printed Circuits:フレキシブルプリント基板)を用いることで、放熱板210の表面側に、凹凸に沿って配線基板202を取り付けることを可能としている。また、この例において、複数の発光チップ201は、放熱板210において山となる平坦部と谷となる平坦部とに、それぞれ実装されている。このような配置手法を採用することで、複数の発光チップ201の位置が分散し、照射光が均一化しやくなるという利点がある。ただし、これに限られるものではなく、例えば山となる平坦部のみに実装したり、例えば谷となる平坦部のみに実装したり、あるいはランダムに実装したりしてもよい。
【0088】
図17に示す構成を備えた第1照射体21〜第3照射体23を、それぞれの表面の向きを揃え且つ並べて配置することで、図12に示す栽培ユニット3を構成した場合には、実施の形態2と同様に、第1照射体21〜第3照射体23を用いて開状態と閉状態とを実現することができる。また、波形の断面を有する放熱板210を用いることで、実施の形態2で説明した構成と比較して、放熱板210の表面積を大きくすることが可能となり、放熱能力が向上するという利点もある。なお、放熱板210における断面の形状については、図17に示した台形状のほか、曲線や半円等であってもかまわないが、加工の容易性や重ね合わせやすさという観点からすれば、台形状とすることが好ましい。また、波形の大きさについても、放熱板210の大きさや隣接する2つの放熱板210の間隔等を考慮して選択することが可能である。
【0089】
また、本実施の形態では、放熱板210に対し発光部200を固定して取り付けていたが、これに限られるものではない。
図18(a)〜(d)は、実施の形態2における第1照射体21(第2照射体22および第3照射体23も同様)のさらに他の構成の一例を示す図である。また、図19は、図18に示す第1照射体21(第2照射体22および第3照射体23も同様)の動作を説明するための図である。
【0090】
ここで、図18(a)は、第1照射体21を表面側(図12における第1壁部10a側)からみた場合の正面図である。また、図18(b)は、図18(a)をXVIIIB方向からみた側面図である。さらに、図18(c)は、図18(a)におけるXVIIIC−XVIIIC断面図であり、図18(d)は、図18(a)におけるXVIIID−XVIIID断面図である。
【0091】
図18に示す例において、第1照射体21は、電流の供給に伴って発光する発光部200と、発光部200が取り付けられる取付部材220と、取付部材220が回転可能に取り付けられるとともに発光部200の発光に伴って発生する熱を、取付部材220を介して放出するための放熱板210とを有している。
【0092】
本実施の形態の放熱板210は、その長辺側がx方向に沿い、その短辺側がz方向に沿う長方形状の金属板で構成されている。また、本実施の形態の放熱板210の表裏面には、太陽光を反射するための反射層が設けられている。また、放熱板210の四隅には、放熱板210の上部側および下部側をそれぞれ切り欠いた放熱板第1凹部210a、放熱板第2凹部210b、放熱板第3凹部210cおよび放熱板第4凹部210dが形成されている。さらに、放熱板210の中央には、表裏面を貫通する放熱板円孔210eが設けられている。そして、第1照射体21を栽培ユニット3に取り付けた際には、放熱板第1凹部210aには第1支持線301が、放熱板第2凹部210bには第2支持線302が、放熱板第3凹部210cには第3支持線303が、放熱板第4凹部210dには第4支持線304が、それぞれ位置し、また、放熱板円孔210eには第5支持線305が貫通するようになっている。
【0093】
また、放熱板210の−z方向(下方)側の端部には、放熱板第2凹部210bと放熱板第4凹部210dとの間であって、放熱板第2凹部210bと放熱板第4凹部210dとにそれぞれ隣接する位置に、−z方向(下方)に向かって突出する突出部210fが形成されている。そして、これら2つの突出部210fには、それぞれ、x方向に向かう貫通孔が形成されている。
【0094】
一方、取付部材220は、その長辺側がx方向に沿い、yz平面において例えば台形状(三角形状でもよい)の断面を有する本体221と、本体221の軸方向両端部からそれぞれx方向に沿って延びる2つの軸222とを有している。そして、これら2つの軸222が、放熱板210の2つの突出部210fにそれぞれ設けられた貫通孔に挿入されることで、取付部材220は、放熱板210によって回転可能に支持されている。
【0095】
また、本実施の形態では、取付部材220において側方を向く両面のそれぞれに、発光部200が取り付けられている。なお、各発光部200の構成は、実施の形態1で説明したものと同じであり、各発光部200は、図18に示す状態において、−z方向(下方)側に向けて光を出射するようになっている。
【0096】
図18に示す構成を備えた第1照射体21〜第3照射体23を並べて配置することで、図12に示す栽培ユニット3を構成した場合には、実施の形態2と同様に、第1照射体21〜第3照射体23を用いて開状態と閉状態とを実現することができる。また、例えば開状態において、第1照射体21〜第3照射体23は図19(a)に示す状態となり、例えば閉状態において第1照射体21〜第3照射体23は図19(b)に示す状態となる。すなわち、第1照射体21〜第3照射体23では、放熱板210の取り付け角度に関わらず、発光部200が−z方向(下方)側を向いた状態を維持し続ける。したがって、どの取り付け角度においても、栽培植物4に対し適切な光の照射角度を保てることになり、効率的な人工光による植物栽培が可能となる。また、図18に示す構成と、図17に示した構成とを組み合わせることも、望ましい形態である。
【0097】
さて、人工光と太陽光とを併用した植物栽培システムで、現在実用化されているものは、照明装置によって太陽光が遮られる影響を極力小さくするため、ナトリウムランプや高圧水銀灯など光量の大きい点光源を植物から十分に離れた高い位置に配置したものがほとんどである。このような照明システムでは、1つの光源で広い面積を照射できるため、太陽光を遮る面積が少ない点では優れている。しかし、植物以外へ照射される光が多く低効率、周辺地域の光害および蛾などの害虫を誘引するなど、課題が多い。
【0098】
一方、植物栽培用の人工光源としてLEDが注目されている。LEDを用いた光源は、植物の育成に必要とされる波長を選択的に照射できること、照射光に赤外線をほとんど含まないため、近接照射しても葉焼けを起こしにくいこと、効率が高く省エネルギーであること、寿命が長く光源の交換頻度が少なくて済むことなどの優れた点を有する。
しかしながら、LEDは温度上昇により発光効率が低下するため、省エネルギーの点から、照明装置の放熱技術が重要である。従来型の、遠方に点光源を配置した構成ではなく、LEDの特徴を生かした近接照明を行うためには、十分な放熱ができ、太陽光を遮蔽しない植物育成用の照明装置が必要である。
【0099】
本発明は、人工光と太陽光とを併用して植物を栽培する場合に、太陽光の照射効率が低下するのを抑制すること、また、放熱性に優れた発光効率の高い照射装置および太陽光、人工光を効率的・柔軟に利用できる照明装置を備えた栽培装置を提供することができる。
【符号の説明】
【0100】
1…植物栽培システム、2…栽培室、3…栽培ユニット、4…栽培容器、5…栽培植物、10…枠体、20…人工光照射部、21…第1照射体、22…第2照射体、23…第3照射体、30…支持部、31…第1支持体、32…第2支持体、33…第3支持体、34…第4支持体、35…規制部材、40…拡散板、200…発光部、201…発光チップ、202…配線基板、210…放熱板、2011…第1LED、2012…第2LED、2013…第3LED
【特許請求の範囲】
【請求項1】
植物に太陽光および人工光を併用して照射する植物栽培において、当該人工光の照射に用いられる植物栽培用の照明装置であって、
熱伝導性を有し且つ表裏面を有する板材で構成された第1熱伝導性板材と、光の照射方向が下方を向くように当該第1熱伝導性板材に取り付けられた第1発光部とを備えた第1照射体と、
熱伝導性を有し且つ表裏面を有する板材で構成された第2熱伝導性板材と、光の照射方向が下方を向くように当該第2熱伝導性板材に取り付けられた第2発光部とを備え、当該第2熱伝導性板材が前記第1熱伝導性板材と空間を隔てて対向するように配置された第2照射体と
を含む植物栽培用の照明装置。
【請求項2】
前記第1熱伝導性板材の表裏面および前記第2熱伝導性板材の表裏面が、前記太陽光を反射する材料で構成されることを特徴とする請求項1記載の植物栽培用の照明装置。
【請求項3】
前記第1熱伝導性板材および前記第2熱伝導性板材は、それぞれが屈曲した断面形状を有していることを特徴とする請求項1または2記載の植物栽培用の照明装置。
【請求項4】
前記植物に対する前記第1照射体の取付角度および前記第2照射体の取付角度を調整する調整機構をさらに含むことを特徴とする請求項1乃至3のいずれか1項記載の植物栽培用の照明装置。
【請求項5】
前記調整機構は、前記第1照射体および前記第2照射体を連動させて取付角度の調整を行うことを特徴とする請求項4記載の植物栽培用の照明装置。
【請求項6】
前記太陽光を拡散させて前記植物に照射する拡散部材をさらに含むことを特徴とする請求項1乃至5のいずれか1項記載の植物栽培用の照明装置。
【請求項7】
前記拡散部材は、前記第1照射体および前記第2照射体の上方に配置されることを特徴とする請求項6記載の植物栽培用の照明装置。
【請求項8】
前記第1熱伝導性板材および前記第2熱伝導性板材はそれぞれ矩形状の形状を有し、
前記第1照射体において、前記第1発光部は前記第1熱伝導性板材の下方に長手方向に沿って取り付けられる複数の半導体発光素子で構成され、
前記第2照射体において、前記第2発光部は前記第2熱伝導性板材の下方に長手方向に沿って取り付けられる複数の半導体発光素子で構成されること
を特徴とする請求項1乃至7のいずれか1項記載の植物栽培用の照明装置。
【請求項9】
前記第1熱伝導性板材および前記第2熱伝導性板材はそれぞれ矩形状の形状を有し、
前記第1照射体において、前記第1発光部は前記第1熱伝導性板材の下方に、可動できる状態で取り付けられる複数の半導体発光素子で構成され、
前記第2照射体において、前記第2発光部は前記第2熱伝導性板材の下方に、可動できる状態で取り付けられる複数の半導体発光素子で構成されること
を特徴とする請求項1乃至8のいずれか1項記載の植物栽培用の照明装置。
【請求項10】
前記第1照射体および第2照射体を連動して回転させることで、当該第1の照射体と当該第2の照射体とが空間を隔てて配置される開状態と、当該第1の照射体の一部と当該第2の照射体の一部とが重ねて配置される閉状態とを設定する設定手段をさらに含むことを特徴とする請求項1乃至9のいずれか1項記載の植物栽培用の照明装置。
【請求項11】
植物に太陽光および人工光を併用して照射する植物栽培において、当該人工光の照射に用いられる植物栽培用の照明装置であって、
熱伝導性を有し且つ表裏面を有する板材で構成された熱伝導性板材と、光の照射方向が当該熱伝導性板材の面に沿うように当該熱伝導性板材に取り付けられた発光部とを、それぞれが備えた複数の照射体と、
複数の前記照射体にそれぞれ設けられた前記発光部による光の照射方向が下方を向くように、複数の当該照射体を支持する支持部と
を含む植物栽培用の照明装置。
【請求項12】
複数の前記照射体にそれぞれ設けられた前記熱伝導性板材の表裏面が、前記太陽光を反射する材料で構成されることを特徴とする請求項11記載の植物栽培用の照明装置。
【請求項13】
前記支持部は、複数の前記照射体の取付角度を調整することで、複数の当該照射体にそれぞれ設けられた発光部からの光の照射方向を調整することを特徴とする請求項11または12記載の植物栽培用の照明装置。
【請求項14】
前記支持部は、複数の前記照射体を連動して回転させることで、複数の当該照射体が相互に空間を隔てて配置される開状態と、複数の当該照射体が相互に重ねて配置される閉状態とを設定することを特徴とする請求項11乃至13のいずれか1項記載の植物栽培用の照明装置。
【請求項15】
複数の前記照射体にそれぞれ設けられた前記発光部は、赤色光を出射する赤色半導体発光素子を備えることを特徴とする請求項11乃至14のいずれか1項記載の植物栽培用の照明装置。
【請求項16】
複数の前記照射体にそれぞれ設けられた前記発光部は、さらに青色光を出射する青色半導体発光素子を備えることを特徴とする請求項15記載の植物栽培用の照明装置。
【請求項17】
植物に太陽光および人工光を併用して照射する植物栽培で用いられる植物栽培装置において、
栽培される植物を収容する栽培容器と、
熱伝導性を有し且つ表裏面を有する板材で構成された第1熱伝導性板材と、光の照射方向が下方を向くように当該第1熱伝導性板材に取り付けられた第1発光部とを備え、前記栽培容器の上方に配置された第1照射体と、
熱伝導性を有し且つ表裏面を有する板材で構成された第2熱伝導性板材と、光の照射方向が下方を向くように当該第2熱伝導性板材に取り付けられた第2発光部とを備え、前記栽培容器の上方において、当該第2熱伝導性板材が前記第1熱伝導性板材と空間を隔てて対向するように配置された第2照射体と
を含む植物栽培装置。
【請求項18】
前記太陽光を透過する壁部を備え、内部には前記栽培容器、前記第1照射体および前記第2照射体を収容する栽培室をさらに含むことを特徴とする請求項17記載の植物栽培装置。
【請求項19】
前記第1照射体および第2照射体を連動して回転させることで、当該第1の照射体と当該第2の照射体とが空間を隔てて配置される開状態と、当該第1の照射体の一部と当該第2の照射体の一部とが重ねて配置される閉状態とを設定する設定手段をさらに含むことを特徴とする請求項17または18記載の植物栽培装置。
【請求項20】
前記植物に対する前記第1照射体および第2照射体の取付角度を調整することで、当該第1照射体と当該第2照射体との間において前記太陽光が通過する空間の大きさを変更する変更手段をさらに含むことを特徴とする請求項17乃至19のいずれか1項記載の植物栽培装置。
【請求項1】
植物に太陽光および人工光を併用して照射する植物栽培において、当該人工光の照射に用いられる植物栽培用の照明装置であって、
熱伝導性を有し且つ表裏面を有する板材で構成された第1熱伝導性板材と、光の照射方向が下方を向くように当該第1熱伝導性板材に取り付けられた第1発光部とを備えた第1照射体と、
熱伝導性を有し且つ表裏面を有する板材で構成された第2熱伝導性板材と、光の照射方向が下方を向くように当該第2熱伝導性板材に取り付けられた第2発光部とを備え、当該第2熱伝導性板材が前記第1熱伝導性板材と空間を隔てて対向するように配置された第2照射体と
を含む植物栽培用の照明装置。
【請求項2】
前記第1熱伝導性板材の表裏面および前記第2熱伝導性板材の表裏面が、前記太陽光を反射する材料で構成されることを特徴とする請求項1記載の植物栽培用の照明装置。
【請求項3】
前記第1熱伝導性板材および前記第2熱伝導性板材は、それぞれが屈曲した断面形状を有していることを特徴とする請求項1または2記載の植物栽培用の照明装置。
【請求項4】
前記植物に対する前記第1照射体の取付角度および前記第2照射体の取付角度を調整する調整機構をさらに含むことを特徴とする請求項1乃至3のいずれか1項記載の植物栽培用の照明装置。
【請求項5】
前記調整機構は、前記第1照射体および前記第2照射体を連動させて取付角度の調整を行うことを特徴とする請求項4記載の植物栽培用の照明装置。
【請求項6】
前記太陽光を拡散させて前記植物に照射する拡散部材をさらに含むことを特徴とする請求項1乃至5のいずれか1項記載の植物栽培用の照明装置。
【請求項7】
前記拡散部材は、前記第1照射体および前記第2照射体の上方に配置されることを特徴とする請求項6記載の植物栽培用の照明装置。
【請求項8】
前記第1熱伝導性板材および前記第2熱伝導性板材はそれぞれ矩形状の形状を有し、
前記第1照射体において、前記第1発光部は前記第1熱伝導性板材の下方に長手方向に沿って取り付けられる複数の半導体発光素子で構成され、
前記第2照射体において、前記第2発光部は前記第2熱伝導性板材の下方に長手方向に沿って取り付けられる複数の半導体発光素子で構成されること
を特徴とする請求項1乃至7のいずれか1項記載の植物栽培用の照明装置。
【請求項9】
前記第1熱伝導性板材および前記第2熱伝導性板材はそれぞれ矩形状の形状を有し、
前記第1照射体において、前記第1発光部は前記第1熱伝導性板材の下方に、可動できる状態で取り付けられる複数の半導体発光素子で構成され、
前記第2照射体において、前記第2発光部は前記第2熱伝導性板材の下方に、可動できる状態で取り付けられる複数の半導体発光素子で構成されること
を特徴とする請求項1乃至8のいずれか1項記載の植物栽培用の照明装置。
【請求項10】
前記第1照射体および第2照射体を連動して回転させることで、当該第1の照射体と当該第2の照射体とが空間を隔てて配置される開状態と、当該第1の照射体の一部と当該第2の照射体の一部とが重ねて配置される閉状態とを設定する設定手段をさらに含むことを特徴とする請求項1乃至9のいずれか1項記載の植物栽培用の照明装置。
【請求項11】
植物に太陽光および人工光を併用して照射する植物栽培において、当該人工光の照射に用いられる植物栽培用の照明装置であって、
熱伝導性を有し且つ表裏面を有する板材で構成された熱伝導性板材と、光の照射方向が当該熱伝導性板材の面に沿うように当該熱伝導性板材に取り付けられた発光部とを、それぞれが備えた複数の照射体と、
複数の前記照射体にそれぞれ設けられた前記発光部による光の照射方向が下方を向くように、複数の当該照射体を支持する支持部と
を含む植物栽培用の照明装置。
【請求項12】
複数の前記照射体にそれぞれ設けられた前記熱伝導性板材の表裏面が、前記太陽光を反射する材料で構成されることを特徴とする請求項11記載の植物栽培用の照明装置。
【請求項13】
前記支持部は、複数の前記照射体の取付角度を調整することで、複数の当該照射体にそれぞれ設けられた発光部からの光の照射方向を調整することを特徴とする請求項11または12記載の植物栽培用の照明装置。
【請求項14】
前記支持部は、複数の前記照射体を連動して回転させることで、複数の当該照射体が相互に空間を隔てて配置される開状態と、複数の当該照射体が相互に重ねて配置される閉状態とを設定することを特徴とする請求項11乃至13のいずれか1項記載の植物栽培用の照明装置。
【請求項15】
複数の前記照射体にそれぞれ設けられた前記発光部は、赤色光を出射する赤色半導体発光素子を備えることを特徴とする請求項11乃至14のいずれか1項記載の植物栽培用の照明装置。
【請求項16】
複数の前記照射体にそれぞれ設けられた前記発光部は、さらに青色光を出射する青色半導体発光素子を備えることを特徴とする請求項15記載の植物栽培用の照明装置。
【請求項17】
植物に太陽光および人工光を併用して照射する植物栽培で用いられる植物栽培装置において、
栽培される植物を収容する栽培容器と、
熱伝導性を有し且つ表裏面を有する板材で構成された第1熱伝導性板材と、光の照射方向が下方を向くように当該第1熱伝導性板材に取り付けられた第1発光部とを備え、前記栽培容器の上方に配置された第1照射体と、
熱伝導性を有し且つ表裏面を有する板材で構成された第2熱伝導性板材と、光の照射方向が下方を向くように当該第2熱伝導性板材に取り付けられた第2発光部とを備え、前記栽培容器の上方において、当該第2熱伝導性板材が前記第1熱伝導性板材と空間を隔てて対向するように配置された第2照射体と
を含む植物栽培装置。
【請求項18】
前記太陽光を透過する壁部を備え、内部には前記栽培容器、前記第1照射体および前記第2照射体を収容する栽培室をさらに含むことを特徴とする請求項17記載の植物栽培装置。
【請求項19】
前記第1照射体および第2照射体を連動して回転させることで、当該第1の照射体と当該第2の照射体とが空間を隔てて配置される開状態と、当該第1の照射体の一部と当該第2の照射体の一部とが重ねて配置される閉状態とを設定する設定手段をさらに含むことを特徴とする請求項17または18記載の植物栽培装置。
【請求項20】
前記植物に対する前記第1照射体および第2照射体の取付角度を調整することで、当該第1照射体と当該第2照射体との間において前記太陽光が通過する空間の大きさを変更する変更手段をさらに含むことを特徴とする請求項17乃至19のいずれか1項記載の植物栽培装置。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【公開番号】特開2012−125204(P2012−125204A)
【公開日】平成24年7月5日(2012.7.5)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−280718(P2010−280718)
【出願日】平成22年12月16日(2010.12.16)
【出願人】(000002004)昭和電工株式会社 (3,251)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成24年7月5日(2012.7.5)
【国際特許分類】
【出願日】平成22年12月16日(2010.12.16)
【出願人】(000002004)昭和電工株式会社 (3,251)
【Fターム(参考)】
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