植物栽培装置
【課題】設置場所の制限の少ない植物栽培装置を提供する。
【解決手段】栽培液が貯留される栽培液槽3と、栽培液槽3内に栽培液を流入させる開口部30、33と、栽培液槽3内に溜められた栽培液を栽培液槽3から流出させる開口部24とを備え、開口部30、33から栽培液槽3内に流入される栽培液の流入量と、開口部24から流出される流出量とが、栽培液槽3内に所定量の栽培液が溜まった状態で等しくなるように設定されている植物栽培装置1において、栽培液が貯留される栽培液タンク5と、栽培液タンク5から栽培液槽3に栽培液を送出する液体ポンプ6と、栽培液槽3、栽培液タンク5および液体ポンプ6が取り付けられる棚体とを有し、開口部30、33は、栽培液槽3内の一箇所に栽培液を流入させ、開口部24は、栽培液槽3内の一箇所から栽培液を流出させ、開口部30、33と開口部24とは、栽培液槽3の槽内を横断する位置に配置されている。
【解決手段】栽培液が貯留される栽培液槽3と、栽培液槽3内に栽培液を流入させる開口部30、33と、栽培液槽3内に溜められた栽培液を栽培液槽3から流出させる開口部24とを備え、開口部30、33から栽培液槽3内に流入される栽培液の流入量と、開口部24から流出される流出量とが、栽培液槽3内に所定量の栽培液が溜まった状態で等しくなるように設定されている植物栽培装置1において、栽培液が貯留される栽培液タンク5と、栽培液タンク5から栽培液槽3に栽培液を送出する液体ポンプ6と、栽培液槽3、栽培液タンク5および液体ポンプ6が取り付けられる棚体とを有し、開口部30、33は、栽培液槽3内の一箇所に栽培液を流入させ、開口部24は、栽培液槽3内の一箇所から栽培液を流出させ、開口部30、33と開口部24とは、栽培液槽3の槽内を横断する位置に配置されている。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、植物栽培装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、たとえば、特許文献1、2に開示されるように、栽培液が貯留された栽培液槽を用いて、野菜等の植物を栽培する植物栽培装置が知られている。
【0003】
【特許文献1】特開2009−34055号公報
【特許文献2】特開2010−88425号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、上述の植物栽培装置を設置するにあたっては、給排水システムを備えるための広い設置スペースが必要である。したがって、植物栽培装置を設置する設置場所に大きな制限がある。
【0005】
そこで、本発明は、設置場所の制限の少ない植物栽培装置を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上述の課題を解決するため、栽培液が貯留される栽培液槽と、栽培液槽内に栽培液を流入させる流入部と、栽培液槽内に溜められた栽培液を栽培液槽から流出させる流出部と、を備え、流入部から栽培液槽内に流入される栽培液の流入量と、流出部から流出される流出量とが、栽培液槽内に所定量の栽培液が溜まった状態で等しくなるように設定されている植物栽培装置において、栽培液が貯留される栽培液タンクと、栽培液タンクから栽培液槽に栽培液を送出する液体ポンプと、栽培液槽、栽培液タンクおよび液体ポンプが取り付けられる取付体とを有し、流入部は、栽培液槽内の一箇所に栽培液を流入させ、流出部は、栽培液槽内の一箇所から栽培液を流出させ、流入部と流出部とは、栽培液槽の槽内を横断する位置に配置されていることとする。
【0007】
上述の植物栽培装置は、栽培液槽に貯留される栽培液の水深をQ、流入部と流出部との距離をP、流入部と栽培液槽の側面との距離をL、栽培液の流入量および流出量をMとするとき、0.5cm≦Q≦7cm、20cm≦P≦150cm、L≦150cm、500cc/分≦M≦25000cc/分とすることが好ましい。
【0008】
また、上述の植物栽培装置の栽培液槽は、水平方向の形状が細長い形状を呈し、流入部と流出部とが長手方向に配置されていることが好ましい。
【0009】
上述の植物栽培装置の細長い形状は、矩形であり、流入部と流出部とは、互いに対角方向に配置されていることが好ましい。
【0010】
また、上述の植物栽培装置の流入部は、栽培液を、流出部が配置される側に水平方向に流入させることが好ましい。
【0011】
上述の植物栽培装置の流入部の一部は、栽培液槽に貯留された栽培液の液面よりも上側に位置し、流入部には、栽培液槽内に流入する栽培液との間に空間が形成されていることが好ましい。
【0012】
上述の課題を解決するため、栽培液が貯留される栽培液槽と、栽培液槽内に栽培液を流入させる流入部と、栽培液槽内に溜められた栽培液を栽培液槽から流出させる流出部と、を備え、流出部から栽培液槽内に流入される栽培液の流入量と、流出部から流出される流出量とが、栽培液槽内に所定量の栽培液が溜まった状態で等しくなるように設定されている植物栽培装置において、栽培液が貯留される栽培液タンクと、栽培液タンクから栽培液槽に栽培液を送出する液体ポンプと、栽培液槽、栽培液タンクおよび液体ポンプが取り付けられる取付体とを有し、流入部は、栽培液を、流出部が配置される側に水平方向に流入させ、流入部の一部は、栽培液槽に貯留された栽培液の液面よりも上側に位置し、流入部には、栽培液槽内に流入する栽培液との間に空間が形成されていることとする。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【図1】本発明の実施の形態に係る植物栽培装置の全体の構成を示す斜視図である。
【図2】図1に示す植物栽培装置から栽培液槽、植付けパネル、側面パネル、扉を外した状態の植物栽培装置の構成を示す斜視図である。
【図3】栽培液槽と、植付けパネルの構成を示す斜視図である。
【図4】図1に示す植物栽培装置の栽培液の循環径路を示す図である。
【図5】照明灯の取付状態を示す図である。
【図6】栽培液槽の内法寸法等を示す図である。
【図7】栽培液槽の内法寸法等を示す図である。
【図8】流入部となる開口部と流出部となる開口部との位置関係を説明するための図である。
【図9】本発明の実施の形態に係る植物栽培装置の変形例を示す図である。
【図10】栽培液槽に貯留される栽培液に発生する流れを概略的に示す図である。
【図11】栽培液槽に貯留される栽培液に発生する流れを概略的に示す図である。
【図12】栽培液槽に貯留される栽培液に発生する流れを概略的に示す図である。
【図13】栽培液槽に貯留される栽培液に発生する流れを概略的に示す図である。
【図14】栽培液槽に貯留される栽培液に発生する流れを概略的に示す図である。
【図15】本発明の実施の形態に係る植物栽培装置の変形例を示す図である。
【図16】本発明の実施の形態に係る植物栽培装置の変形例を示す図である。
【図17】本発明の実施の形態に係る植物栽培装置の変形例を示す図である。
【図18】本発明の実施の形態に係る植物栽培装置の変形例を示す図である。
【図19】本発明の実施の形態に係る植物栽培装置の変形例を示す図である。
【図20】本発明の実施の形態に係る植物栽培装置の変形例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
(実施の形態)
以下、本発明の実施の形態に係る植物栽培装置1の構成について、図面を参照しながら説明をする。図1は、本発明の実施の形態に係る植物栽培装置1の全体の構成を示す斜視図である。図2は、図1に示す植物栽培装置1から栽培液槽3、植付けパネル4、側面パネル21、扉22を外した状態の植物栽培装置1の構成を示す斜視図である。図3は、栽培液槽3と、植付けパネル4の構成を示す斜視図である。図4は、植物栽培装置1の栽培液の循環径路35を示す図である。なお、以下の説明において、図1に示すX方向を上方(上側)、Y方向を左方(左側)、Z方向を前方(前側)として、植物栽培装置1の構成を説明する。
【0015】
(植物栽培装置1の全体構成)
植物栽培装置1は、屋内で野菜等の植物の水耕栽培を行うための装置であり、図1に示すように、取付体としての棚体2と、栽培液槽3と、植付けパネル4と、栽培液タンク5(図2参照)と、液体ポンプ6(図2参照)と、照明灯7(図5参照)等を有する。植物栽培装置1は、全体として上下方向に長い直方体(たとえば、高さ190cm、左右幅75cm、前後の奥行き40cm)を呈し、一般家庭の台所等に設置可能な大きさである。
【0016】
棚体2は、図2に示すように、前後左右に配置される4本の支柱8と、前後にそれぞれ5本ずつ配置される杆体9と、左右にそれぞれ5本ずつ配置される杆体10とを有している。前側に配置される杆体9は、前側の左右に配置される2本の支柱8の連結を上下方向の5箇所で行っている。後側に配置される杆体9も同様に、後側の左右に配置される2本の支柱8の連結を上下方向の5箇所で行っている。杆体10は、上下方向の5箇所のそれぞれに前後に配置される2本の杆体9同士を左右の端部において連結している。
【0017】
棚体2には、杆体9および杆体10により、上下方向に分けられた4つの棚部11,12,13,14が形成されている。棚体2の1番下側に配置される前後の杆体9,9と左右の杆体10,10の上面には、棚板15が載置されている。つまり、棚板15により棚部11の棚段が形成されている。棚体2の下から2番目に配置される前後の杆体9,9と左右の杆体10,10の上面には、棚板16が載置されている。つまり、棚板16により棚部12の棚段が形成されている。
【0018】
図2に示すように、棚部12の上側に配置される左右の杆体10,10には、照明灯7が取り付けられる照明灯取付杆17が支持されている。照明灯7は、照明灯取付杆17の下側に取り付けられている(図5参照)。また、棚部13と棚部14のそれぞれの上側に配置される左右の杆体10,10にも、照明灯7が取り付けられる照明灯取付杆17が支持されている。照明灯取付杆17は、前後方向に3列備えられ、各照明灯取付杆17に照明灯7が取り付けられている。したがって、棚部12,13,14内は、各棚部の上側に備えられる照明灯7により照明される。
【0019】
図2に示すように、棚板15には、栽培液タンク5および液体ポンプ6が設置されている。すなわち、棚部11内には、栽培液タンク5および液体ポンプ6が収納されている。また、図1に示すように、棚板16には、栽培液槽3が載置されている。さらに、棚部13の下側に配置される杆体9,9および杆体10,10には、栽培液槽3が載置されている。棚部14の下側に配置される杆体9,9および杆体10,10にも、栽培液槽3が載置されている。すなわち、棚部12から棚部14には、それぞれ栽培液槽3が収納されている。棚部13,14のそれぞれ下側に配置される杆体9,9および杆体10,10は、棚部13,14の棚段として機能している。
【0020】
棚部14の上側に配置される杆体9,9および杆体10,10の上側には、液体ポンプ6の駆動や照明灯7の点灯等を制御する制御回路(図示省略)や電源(図示省略)等が配置され、カバー18(図1参照)により覆われている。カバー18の前面には、操作パネル19が配置されている。操作パネル19には、電源スイッチや液体ポンプ6の送出量を調整する操作スイッチ等が設けられている。
【0021】
図1に示すように、植物栽培装置1の後側は、背面パネル20により遮蔽されている。段部12,13,14の左右方向および前方については開放されている。段部11については、左右方向が側面パネル21により遮蔽され、また、前方は扉22により遮蔽されている。扉22は、中央にて観音開き可能な構成となっている。したがって、扉22を開いた状態とすることで、栽培液タンク5、液体ポンプ6等のメンテナンスや栽培液タンク5への栽培液の補充等の諸作業を行うことができる。なお、背面パネル20については、段部11の後方については設けない構成としてもよい。かかる構成とすることで、液体ポンプ6等から発生した熱を、段部11外に放出することを促すことができる。
【0022】
(栽培液槽3)
栽培液槽3は、上方に開口部23(図3)を有する直方体の容器である。開口部23には、植付けパネル4を載置することができる。開口部23に植付けパネル4を載置することで、開口部23を植付けパネル4により覆うことができる。本実施の形態に示す栽培液槽3の内法寸法は、図6、図7に示すように、左右幅Wが62cm、前後幅Tが35cm、深さDが4.5cmに構成され、上下方向に扁平性した形状を呈している。栽培液槽3の4つの角部の内、1つの角部には、栽培液槽3内の栽培液を流出させる流出部としての開口部24が設けられ、この開口部24には、栽培液槽3の底板25から下方に抜けるパイプ26が接続されている。開口部24は、パイプ26の上端の開口部である。なお、パイプ26と底板25との間は、パッキン等を用いて水密に構成され、栽培液槽3内の栽培液が漏れない構成となっている。
【0023】
(植付けパネル4)
植付けパネル4は、開口部23の左右および前後の幅よりもやや大きな矩形の板状体を呈している。したがって、植付けパネル4を開口部23の周縁部27に載置した状態で、開口部23の全面を植付けパネル4で覆うことができる。植付けパネル4の4つの角部の内、開口部24に対して対角方向に配置される角部には、パイプ26あるいは栽培液供給パイプ32を挿通することができる孔部28が形成されている。植付けパネル4には、植物が植生させられた苗ポット(図示省略)を挿入するためのポット孔29が複数形成されている。本実施の形態では、前後方向に3列、左右方向に4列の合計12個のポット孔29が一定の間隔で形成されている。
【0024】
棚部12,13,14に載置される各栽培液槽3は、図1および図4に示すように、各栽培液槽3の開口部24が栽培液槽3の対角方向で互い違いになるように載置されている。つまり、上下に配置される栽培液槽3の開口部24同士が、上下方向で重ならない配置とされている。また、各栽培液槽3に載置される植付けパネル4は、栽培液槽3の開口部24と対角となる位置の上方に孔部28が位置するように配置されている。本実施の形態では、棚部14に載置される栽培液槽3は左前に開口部24が配置され、この栽培液槽3に載置される植付けパネル4の孔部28は右後に配置されている。また、棚部13に載置される栽培液槽3は右後に開口部24が配置され、この栽培液槽3に載置される植付けパネル4の孔部28は左前に配置されている。そして、棚部12に載置される栽培液槽3は左前に開口部24が配置され、この栽培液槽3に載置される植付けパネル4の孔部28は右後に配置されている。
【0025】
各栽培液槽3は、パイプ26により接続されている。具体的には、棚部14に載置される栽培液槽3に接続されているパイプ26は、棚部13に載置される栽培液槽3の開口部23を覆う植付けパネル4の孔部28に通され、該パイプ26の下端の開口部30が、棚部13に載置される栽培液槽3内に配置されている。また、棚部13に載置される栽培液槽3に接続されているパイプ26も同様に、棚部12に載置される栽培液槽3の開口部23を覆う植付けパネル4の孔部28に通され、該パイプ26の下端の開口部30が、棚部12に載置される栽培液槽3内に配置されている。
【0026】
棚部12に載置される栽培液槽3に接続されているパイプ26は、棚板16に形成される孔部31を通され、パイプ26の下端部分は、棚部11に配置される栽培液タンク5内に配置されている。棚部14に載置される栽培液槽3の開口部23を覆う植付けパネル4の孔部28には、液体ポンプ6に接続される栽培液供給パイプ32が通され、栽培液供給パイプ32の上側の開口部33が、栽培液槽3内に配置されている。
【0027】
液体ポンプ6と栽培液タンク5とは、パイプ34を介して接続されている。液体ポンプ6は、栽培液供給パイプ32を介して栽培液を棚部14に収納される栽培液槽3にポンプアップすることができる。したがって、栽培液タンク5から順に、パイプ34、液体ポンプ6、栽培液供給パイプ32、棚部14に収納される栽培液槽3、パイプ26、棚部13に収納される栽培液槽3、パイプ26、棚部12に収納される栽培液槽3、パイプ26、そして栽培液タンク5へと栽培液を循環させることができる。つまり、栽培液タンク5、パイプ34、液体ポンプ6、栽培液供給パイプ32、棚部14に収納される栽培液槽3、パイプ26、棚部13に収納される栽培液槽3、パイプ26、棚部12に収納される栽培液槽3、パイプ26、そして栽培液タンク5は、栽培液が循環する循環径路35として構成されている。
【0028】
循環径路35は、各栽培液槽3への栽培液の流入量と流出量とが等量とされていると共に、各栽培液槽3の開口部24が栽培液槽3の底板25よりも上方に配置されている(図6参照)。そのため、各栽培液槽3に、常時一定量の栽培液を貯留することができる。植付けパネル4には、苗ポット(図示省略)を介して植物が植え付けられ、その根は、栽培液槽3内に伸びている。したがって、植付けパネル4に植え付けられた植物の根を、栽培液槽3に貯留された栽培液に浸すことができる。植付けパネル4に植え付けられた植物の根を栽培液槽3に貯留された栽培液に浸すことができるように、根の長さや、植付けパネル4の液面との間隔等が設定されている。
【0029】
(植物栽培装置1の詳細な構成)
以下に、植物栽培装置1の構成についてさらに詳しく説明する。
【0030】
各栽培液槽3の開口部24は、図6に示すように、栽培液槽3の底板25よりも上方に配置されている。また、各栽培液槽3への栽培液の流入量は、開口部24からの流出可能な量以内となるように、液体ポンプ6の送出量が設定されている。したがって、栽培液槽3内に栽培液を流入させる流入部としての開口部30および開口部33から栽培液槽3に流入した栽培液は、開口部24の高さ(深さ)を超えるまで溜まり、超えた後に流入した分の栽培液は開口部24から流出する。つまり、栽培液槽3内には、一定量の栽培液が貯留されている状態となる。なお、以下の説明において、植物栽培装置1の構成を説明する上で、開口部30と開口部33とを区別して説明する必要がない場合は、開口部30(33)と記載することとする。
【0031】
各栽培液槽3は、上下方向に扁平した直方体を呈し、開口部30(33)と開口部24とは互いに、栽培液槽3の槽内を横断する配置であると共に、栽培液槽3の対角方向に配置されている。つまり、図7に示すように、栽培液槽3の4角の内の1つの角に配置される開口部30(33)から流入した栽培液は、この角に対して対角となる位置に配置される開口部24から流出される。なお、栽培液槽3の槽内を横断する配置とは、栽培液槽3の1つの側面側と他の側面側に渡るように開口部30(33)と開口部24が配置されることを言う。
【0032】
開口部30(33)と開口部24との位置関係を、たとえば、図8の上段(A)に示すように、隣接させたり、あるいは、図8の下段(B)に示すように、同一の側面に沿って配置させ、栽培液槽3の槽内を横断しない配置とすることも考えることがでできる。しかしながら、図7に示すように、開口部30(33)と開口部24とを槽内を横断する位置に配置することで、開口部30(33)と開口部24とを結ぶ仮想線Rの両側の水域に流れを発生させ易くなる。すなわち、槽内の広範囲に亘って流れが発生し易くなる。その結果、槽内の栽培液の流れが滞ってしまう滞留部の発生を抑えることができる。また、開口部30(33)と開口部24とを栽培液槽3の対角となる位置に配置することで、槽内において、開口部30(33)と開口部24とを最も長い距離で配置することができる。開口部30(33)と開口部24との間の間隔(距離)を長くすることで、槽内に広い範囲に亘って流れを発生させ易くなる。
【0033】
また、開口部30(33)および開口部24は、それぞれ一箇所に設けられている。栽培液槽3に流入する栽培液は一定量である。また、栽培液槽3から流出する栽培液の量も一定である。そのため、開口部30(33)を複数の箇所に設ける構成、すなわち、開口部30(33)を複数の開口部とすると、一つ一つの開口部から流入する栽培液の流量は少なくなる。また、開口部24についても複数の開口部により構成すると、一つ一つの開口部から流出する栽培液の流量は少なくなる。そのため、開口部30(33)から開口部24までの流れが細かく分散し易くなり、槽内の栽培液に流れが発生し難くなり、その結果、滞留部が発生し易くなる。
【0034】
これに対し、開口部30(33)を一箇所とすると共に、開口部24も一箇所とすることで、開口部30(33)から開口部24に亘って流量の大きな流れを作ることができる。これにより、槽内の栽培液に流れを発生させ易くなり、滞留部が発生し難くなる。なお、開口部30(33)および開口部24について言う「一箇所」とは、流入用あるいは流出用の開口部が一つという意味ではなく、たとえば、流入用の開口部が複数あっても、槽内で一つの流れとなる程度に開口部が近接している場合には、一箇所の開口部30(33)である。同様に、流出用の開口部が複数あっても、開口部に流れ込む流れが一つとなる程度に開口部が近接している場合には、一箇所の開口部24である。
【0035】
なお、開口部30(33)は、1個から3個、好ましくは2個以下の開口部から形成することが好ましい。開口部30(33)を複数の開口部により形成すると、一つ一つの開口部の大きさが小さくなる。開口部の大きさが小さくなると、植物の根等からでる老廃物や根屑等が開口部に詰まり易くなる。したがって、開口部30(33)を形成する開口部を、1個から3個、好ましく2個以下の開口部により形成することで、1つ1つの開口部を大きく形成することができる。これにより植物の老廃物や根屑等が開口部に詰まることを防止することができる。
【0036】
開口部30(33)は、液面から上方に離れた位置に配置されている。つまり、開口部30(33)から栽培液槽3内に流入した栽培液は、開口部30(33)と液面との間の空間を通って液面に落下する。これにより、栽培液は、開口部30(33)から液面に到達するまでの間に空気に接触することができる。また、栽培液が液面に落下した際、栽培液と空気とが攪拌されることで、栽培液を曝気することができる。
【0037】
各栽培液槽3の開口部24の底板25からの高さH(図6参照)は3cmの高さに配置され、各栽培液槽3には、水深Qは3cmよりもやや深い、たとえば約3.2cmの水深Qで栽培液が貯留される。上述したように、栽培液槽3の内法寸法は、左右幅Wが62cm、前後幅Tが35cmである。また、開口部30(33)と栽培液槽3の側面との最長の距離Lは、約69cmであり、開口部30(33)と開口部24との間の距離Pは、67cmである。そして、栽培液槽3の槽内への栽培液の流入量および流出量Mは、毎分6000ccとなるように液体ポンプ6の送出量が設定されている。
【0038】
栽培液槽3の前後左右の大きさ、栽培液槽3に貯留される栽培液の水深Q、開口部30(33)と栽培液槽3の側面との最長の距離L、開口部30(33)と開口部24との距離P、栽培液の流入量および流出量Mが上述のように設定されることで、栽培液槽3内の栽培液に滞留が発生することを抑えることができる。滞留の発生が抑えられることで、栽培液にカビが発生することを防止でき、また、槽内の栽培液の液質(養分の濃度、水温等)を均一にすることができる。そのため、栽培液の液質が均一になることで、ポット孔29の位置に因らず、植付けパネル4に植え付けられた植物の生育の均一化を図ることができる。
【0039】
また、毎分6000ccの栽培液が槽内に流入および流出することで、栽培液に流れが発生する。植付けパネル4に植え付けられた植物は、栽培液に浸っている根が、水流により刺激を受けることで、根の水分や養分の吸収が促されるため植物の成長が促進される。
【0040】
水深Qは、本実施の形態では3.2cmとして説明しているが、0.5cm以上7cm以下の範囲で設定することが好ましい。水深Qが0.5cm未満となると、植物の根が栽培液に浸り難くなり、水分・養分の吸収効率が低下する。また、停電、電源コンセントの外れ等により栽培液の循環が停止してしまう事故が発生したときに、水深Qが0.5cm未満であると、栽培液の循環が停止中に栽培液が蒸発し植物が栽培液を吸い上げることが出来ない水深になってしまうまでの時間が短く、植物にダメージを与えてしまう虞が高い。一方、水深Qが7cmを超えると、栽培液槽3の底板25に近い部分で栽培液に流れが起き難くなり滞留が発生し易く好ましくない。
【0041】
水深Qを0.5cm以上とすることで、植物の根が栽培液に浸り易くなり、水分・養分の吸収効率が植物の生育に問題ない程度となる。また、栽培液の循環が停止した状態が継続した場合であっても、概ね少なくとも12時間程度は、植物が栽培液を吸い上げることが出来る水深を維持することができる。また、水深Qを7cm以下とすることで、底板25に近い部分での滞留が発生し難くなる。
【0042】
なお、上述の12時間は、たとえば、仕事で留守になる家庭においては、出勤してから帰宅するまでの一般的な時間であり、また、食堂の厨房等の業務場所においては、営業後から営業開始までの間のスタッフ(従業員)が不在となる時間である。したがって、家庭内あるいは食堂等に植物栽培装置1を設置した場合、人が不在の間に、停電等により栽培液の循環が停止しても、12時間程度、植物が栽培液を吸い上げることが出来る水深を維持することができれば、帰宅あるいは厨房に出勤した人が、栽培液の循環が停止していることに気づき、植物が栽培液を吸い上げることが出来ない状態となってしまう前に、停電等を回復させたり、栽培液槽3に栽培液を補充する等の対策が採られ易い。
【0043】
水深Qを1cm以上とすると、植物の根がより栽培液に浸り易くなり、また、栽培液の循環が停止した状態が継続した場合であっても、植物が栽培液を吸い上げることが出来る水深をより長く維持することができる。また、水深Qを6cm以下とすることで、底板25側にも栽培液の流れが発生し易くなり、滞留の発生を効果的に抑えることができる。
【0044】
さらに、水深Qを2cm以上とすると、植物の根がより確実に栽培液に浸り易くなると共に、栽培液の循環が停止した状態が継続した場合であっても、植物が栽培液を吸い上げることが出来る水深をより一層長く維持することができる。また、水深Qを5cm以下とすることで、底板25側における栽培液の流れがより発生し易くなり、より確実に滞留の発生を抑えることができる。たとえば、栽培液の流入量および流出量Mを500cc/分程度としても、滞留の発生を抑えることができる。
【0045】
本実施の形態の植物栽培装置1は、開口部30(33)と栽培液槽3の側面との最長の距離Lが69cm、開口部30(33)と開口部24との間の距離Pが67cmとしているが、距離Lについては、150cm以下とすることが好ましく、距離Pについては、20cm以上150cm以下の範囲で設定することができる。距離Lが150cmを超えると、栽培液の流入量が500cc/分程度のときに、開口部30(33)と栽培液槽3の側面との距離Lが150cmを超える部分にまで流れが届かず、滞留部が発生し易くなる。開口部30(33)と開口部24との間の距離Pについても同様に、距離Pが150cmを超えると、栽培液の流入量が500cc/分程度のときに、開口部30(33)から開口部24に流れが届かなくなり滞留部が発生し易くなる。一方、開口部30(33)と開口部24との間の距離Pが20cm未満となると、開口部30(33)から流れ込んだ栽培液が、ほぼそのまま開口部24から流れ出る状態となってしまい、槽内に滞留部が発生し易くなる。
【0046】
栽培液の流入量および流出量Mは、本実施の形態では6000cc/分として説明しているが、500cc/分以上25000cc/以下の範囲で設定することが好ましい。500cc/分未満となると、距離L(開口部30(33)と栽培液槽3の側面との最長の距離)や距離P(開口部30(33)と開口部24との間の距離)が150cmの場合に、槽内の栽培液に滞留部が発生し易くなる。逆に、25000cc/分を超えると、距離Pが20cmのときに、流速が速すぎ植物の根に損傷を与えてしまう虞が高く、また、栽培液槽3から栽培液が飛散し易くなる等の問題が発生し易い。特に、距離Lが150cm以下の場合は、25000cc/分を超えると、栽培液が栽培液槽3から飛散し易くなる問題が発生し易くなる。
【0047】
本実施の形態の植物栽培装置1のように、距離L≒69cm、距離P≒67cmの場合は、4000cc/分≦M≦90000cc/分とすることで、滞留部の発生を抑えることができると共に植物の栽培が好適となる流速とすることができる。また、4000cc/分≦M≦9000cc/分の範囲の場合は、距離Lが120cm以下であり、距離Pは45cm以上120cm以下の範囲であれば、滞留部の発生を抑えることができると共に植物の栽培が好適となる流速を得ることができる。
【0048】
本実施の形態の植物栽培装置1の栽培液槽3は、左右方向が前後方向に比べて長い矩形形状であり、開口部30(33)と開口部24とが、互いに対角方向に配置されている。栽培液槽3の対角方向は、栽培液槽3の槽内で開口部30(33)と開口部24との間の距離Pを最も長く取れる方向である。距離Pをできるだけ長くすることで、開口部30(33)から開口部24に向かう流れに誘起されて発生する流れを増やすことができる。つまり、槽内に貯留される栽培液に流れ(栽培液の移動)を発生させ易くなり、栽培液に滞留部が発生することを抑えることができる。
【0049】
植物栽培装置1の棚部12,13,14の左右および前方の3方は開放されている。そのため、三方から棚部内に手を入れることができる。したがって、たとえば、3方がガラス板等により囲われている構成に比べて、ポット孔29に植物を植え付ける作業や、植付けパネル4から植物を採取する作業や、栽培液槽3の槽内を清掃する作業等の諸作業の作業効率を向上させることができる。
【0050】
また、3方が解放されていることで、棚部12,13,14への空気の流通を図ることができる。棚部12,13,14の左右および前方の3方をガラス板等で囲い、電動ファン等により棚部12,13,14内の空気の流通を強制的に行う構成も考えられる。しかしながら、本実施の形態のように、植物栽培装置1の大きさが、たとえば、高さ190cm、左右幅75cm、前後の奥行き40cm程度である場合は、一般家屋の室内に設置された環境下では、電動ファン等により強制的に空気の流通を作る場合に比べて、自然な空気の流通による方が、植物の健全な栽培に適する。
【0051】
なお、栽培液槽3に貯留される栽培液の水深Qが0.5cm以上6cm以下、開口部30(33)と開口部24との距離Pが20cm以上150以下、開口部30(33)と栽培液槽3の側面との最長の距離Lが150cm以下を満たす大きさで植物栽培装置1が構成される限りは、植物への通風は、電動ファン等による強制的な手段に比べて、自然な空気を流通させる方が、植物の健全な栽培に適する。
【0052】
(変形例1)
図9に示すように、パイプ26の先端部26Aおよび栽培液供給パイプ32の先端部32AをL字型に曲げ、開口部30(33)から槽内に、栽培液を水平方向に流入させる構成としてもよい。これにより、上述した栽培液を上方から液面に落下させる構成とする場合に比べて、栽培液に流れを発生させ易くなる。この場合、流入方向、すなわち開口部30(33)から槽内に栽培液が流れ込む方向は、開口部30(33)よりも開口部24側であることが好ましい。開口部30(33)よりも開口部24側とは、具体的には、開口部30(33)と開口部24とを通る方向に対して直交し、かつ、開口部30(33)を通る方向よりも開口部24の側を意味するものである。開口部30(33)から槽内に栽培液が流れ込む方向を、開口部30(33)よりも開口部24側とすることで、開口部30(33)から開口部24に向かう流れが発生し易くなり、槽内の栽培液に滞留が発生し難くなる。
【0053】
開口部30(33)から槽内に栽培液が流れ込む方向は、たとえば、図10から図14に示すようにすることができる。図10から図14は、栽培液槽3に貯留される栽培液に発生する流れを観察したときの結果を概略的に示すものである。パイプ26の先端部26Aおよび栽培液供給パイプ32の先端部32AはL字型に曲げられた構成となている。流れの観察は、開口部30(33)に絵の具を垂らし、この絵具の軌跡を観察することにより行った。また、図10から図14に示す流れは、左右幅Wが62cm、前後幅Tが32cmの栽培液槽3に、水深Qが3cmで栽培液を貯留し、開口部30(33)と開口部24とを互いに対角方向に配置し、流入量および流出量Mを2500cc/分としたときのものである。
【0054】
図10は、栽培液の流入方向を開口部24に向けた場合の流れの状態が示されている。栽培液には、主に、開口部30(33)から開口部24に向かう流れA1と、開口部24から離れる方向に流れる流れA2,A3とが発生する傾向がある。流れA2は、側面3Aから側面3Cに沿って流れA1に合流し、また、流れA3は、側面3Bから側面3Dに沿って流れA1に合流する。流れA1から流れA2の流れは環流となり、この環流の内側に、滞留部A4が発生する傾向がある。また、流れA1から流れA3の流れも環流となり、この環流の内側には、滞留部A5が発生する傾向がある。また、栽培液槽3の開口部30(33)と開口部24が配置されない対角部3E,3Fには、滞留部A6,A7が発生する傾向がある。
【0055】
図11は、栽培液の流入方向を側面3Cから45度とした場合の流れの状態が示されている。栽培液には、主に、開口部30(33)から直進し側面3Aに到達した後、この側面3Aに沿って開口部24に向かう流れB1と、流れB1の両側に環流を形成する流れB2,B3とが発生する傾向がある。流れB1から流れB2の内側には、大きな滞留部は発生しないが、流れB2と角部3Eとの間に大きな滞留部B4が発生し、また、流れB1から流れB3の流れの内側にも大きな滞留部B5が発生する傾向がある。また、流れB3と角部3Fとの間には、滞留部B6が発生する傾向がある。
【0056】
図12は、栽培液の流入方向を短手側の側面3Cから20度とした場合の流れの状態が示されている。栽培液には、主に、開口部30(33)から直進し側面3Aに到達した後、この側面3Aに沿って開口部24に向かう流れC1が発生する傾向がある。そして、流れC1の内、開口部24で流出されなかった栽培液が側面3B,3Dにそって流れる流れC2を発生させ、流れC1から流れC2の流れが環流となり、この環流の内側に大きな滞留部C3が発生する傾向がある。栽培液槽3の対角部3E,3Fには、滞留部C4,C5が発生する傾向がある。
【0057】
図13は、栽培液の流入方向を長手側の側面3Dに沿わせた場合の流れの状態が示されている。栽培液には、主に、開口部30(33)から側面3Dに沿って直進し、角部3Fの手前で開口部24に向かう流れD1が発生する傾向がある。そして、流れD1の内、開口部24で流出されなかった栽培液が側面3Aにそって流れる流れD2を発生させ、流れD1から流れD2の流れが環流となり、この環流の内側に大きな滞留部D3が発生する傾向がある。栽培液槽3の対角部3E,3Fには、滞留部D4,D5が発生する。滞留部D4の方が滞留部D5に比べて大きな傾向がある。
【0058】
図14は、栽培液の流入方向を短手側の側面3Cの中央から側面3A,3Dに平行としたときの流れの状態が示されている。栽培液には、主に、開口部30(33)から開口部24に向かう流れE1が発生し、流れE1の内、開口部24で流出されなかった栽培液が側面3Aにそって流れる流れE2と、側面3B,3Dに沿って流れる流れE3を発生させる傾向がある。そして、流れE1から流れE3の流れは環流となり、この環流の内側に、大きな滞留部E4が発生する傾向がある。栽培液槽3の開口部30(33)の両側には、滞留部E5,E6が発生し、対角部3Fには滞留部E7が発生する傾向がある。
【0059】
図10から図14に示す滞留部のうち、図14の滞留部E5,E6を除いては、栽培液の流入と流出を継続している間に、十数秒から数十秒のうちには、滞留部の周囲の栽培液が滞留部に流れ込み滞留が解消されるが、滞留部E5,E6については周囲の栽培液が流れ込むまでに数分を要することが観察できた。
【0060】
図10から図14に示す観察の結果から、図10に示すように、開口部30(33)からの栽培液の流入方向を開口部24に向ける場合が、発生する滞留部の大きさが、他の場合(図11から図14に示す場合)に比べて全体的に小さく、極端に大きな滞留部が発生し難い。さらに、滞留部に周囲の栽培液が流れ込み滞留が解消されるまでの時間が、他の場合に比べて短時間となる。したがって、矩形の栽培液槽3については、対角方向に開口部30(33)と開口部24とを配置し、かつ、開口部30(33)からの栽培液の流入方向を開口部24に向けることが好ましい。
【0061】
なお、図15に示すように、栽培液槽3の角部3E,3Fにアールを付けることで、角部3E,3Fの付近に滞留部が発生することを抑えることができる。
【0062】
(変形例2)
図16に示すように、パイプ26の先端部26AをL字型に曲げ、開口部30の一部は、栽培液槽3に貯留された栽培液の液面37よりも上側に位置させると共に、栽培液が流れるパイプ26内に空間36を形成する構成としてもよい。開口部30の一部を栽培液の液面37よりも上側に配置させると共に、パイプ26内を流れる栽培液の流量をパイプ26内の容積よりも少なくすることで、パイプ26内にパイプ26の両端に抜ける空間36が形成される。空間36が形成されることで、パイプ26内を上側の栽培液槽3から下側の栽培液槽3に流れ落ちる栽培液を空気に触れされることができる。これにより、栽培液を曝気することができる。また、パイプ26内を流れ落ちる栽培液が、パイプ26のL字に曲げられた部分に落ち開口部30に流れ出る間に流れが乱れ栽培液と空気が攪拌されることによっても、栽培液は曝気される。上述のように、栽培液が曝気されることで、栽培液の溶存酸素量を増やすことができる。
【0063】
さらに、図17に示すように、栽培液供給パイプ32の先端部32AをL字型に曲げると共に、栽培液供給パイプ32に分岐部39を設け、分岐の一方を開口部33に連通させ、分岐の他方を液体ポンプ6から開口部33への流路から外れた位置に開口する開口部38に連通させ、栽培液供給パイプ32内に開口部38から開口部33に抜ける空間40を形成する構成としてもよい。開口部33の一部を栽培液槽3に貯留された栽培液の液面37よりも上側に位置させると共に、分岐部39から開口部33まで区間内を流れる栽培液の流量を、該区間内の容積よりも少なくすることで空間40を形成することができる。
【0064】
空間40が形成されることで、液体ポンプ6から栽培液槽3に流入される栽培液を空気に触れされることができる。これにより、栽培液を曝気することができる。また、栽培液が分岐部39から栽培液供給パイプ32のL字に曲げられた部分に流れ落ち開口部33に流れ出る間に流れが乱れ栽培液と空気が攪拌されることによっても、栽培液は曝気される。上述のように、栽培液が曝気されることで、栽培液の溶存酸素量を増やすことができる。
【0065】
(変形例3)
図18に示すように、植物栽培装置1には、棚体2の左右および前方の3方を覆う透明なカーテン41を開閉可能な構成で設けてもよい。カーテン41は、カーテンレール42に取り付けられ、前面の中央部で左右に開閉自在とされている。植物栽培装置1の周囲の気温が高い時期は、カーテン41を開放しておくことで、棚部12,13,14への通気を促すことが好ましいが、冬期等、植物栽培装置1の周囲の気温が低くなる時期には、棚部12,13,14の開放部をカーテン41で覆うことで、植物栽培装置1内の植物を低温障害から守ることができる。
【0066】
カーテン41にはプリーツ(ひだ)43を設けることが好ましい。プリーツ43を設けることで、カーテン41で棚部12,13,14の開放部を覆った場合にも、プリーツ43と棚体2との間に、図18に示すような隙間44が形成される。隙間44が形成されることで、棚体2とカーテン41との間に空気の流れを形成することができる。このため、カーテン41で覆われた棚部12,13,14内と外気との間で換気を行うことができる。なお、隙間44は、プリーツ43により形成する代わりに、カーテン41に孔部を形成したり、あるいは、カーテンレール42と棚体2との間に隙間を形成し、カーテン41と棚体2との間に隙間が形成される構成としてもよい。
【0067】
また、カーテン41は、ポリ塩化ビニル、ポリエチレン等の樹脂により形成することが好ましい。樹脂は、ガラスに比べて熱伝導性が低い。そのため、棚部12,13,14をガラスで覆う場合に比べて、カーテン41への水滴の付着を抑えることができる。水滴の付着を抑えることで、棚部12,13,14内におけるカビの発生を抑えることができる。また、ガラスを用いる場合に比べて、棚部12,13,14内を保温し易い。
【0068】
なお、カーテン41で棚部12,13,14を覆うことで、子供やペットが植付けパネル4に受け付けられている植物にいたずらをしたり、栽培液を誤飲してしまう等の事故を防止することができる。
【0069】
(本実施の形態の主な効果)
植物栽培装置1は、栽培液が貯留される栽培液槽3と、栽培液槽3内に栽培液を流入させる流入部としての開口部30(33)と、栽培液槽3内に溜められた栽培液を栽培液槽から流出させる流出部としての開口部24とを備え、開口部30(33)から栽培液槽3内に流入される栽培液の流入量と、開口部24から流出される流出量とが、栽培液槽3内に所定量の栽培液が溜まった状態で等しくなるように設定されている。かかる植物栽培装置1は、栽培液が貯留される栽培液タンク5と、栽培液タンク5から栽培液槽3に栽培液を送出する液体ポンプ6とを有し、栽培液槽3と、栽培液タンク5と、液体ポンプ6とは、取付体としての棚体2に保持されている。
【0070】
このように、棚体2に、栽培液槽3、栽培液タンク5および液体ポンプ6を保持させることで、植物栽培装置1が一体化される。これにより、植物栽培装置1の設置場所の自由度が大きくなり、設置場所の制限が少なくなる。
【0071】
また、開口部30(33)は、栽培液槽3内の一箇所に栽培液を流入させ、開口部24は、栽培液槽3内の一箇所から栽培液を流出させ、開口部30(33)と開口部24とは、栽培液槽3の槽内を横断する位置に配置されている。開口部30(33)と開口部24とを栽培液槽3の槽内を横断する位置に配置することで、槽内の広範囲に亘って流れを発生させ易くなり、その結果、槽内の栽培液に滞留部が発生することを抑えることができる。また、開口部30(33)および開口部24とをそれぞれ一箇所とすることで、開口部30(33)から開口部24に亘って流量の大きな流れを作ることができ、槽内の栽培液に流れを発生させ易くなる。その結果、滞留部が発生し難くなる。
【0072】
上述の実施の形態においては、開口部30(33)と開口部24は、矩形を呈する栽培液槽3の対角方向に配置する例を示したが、図19(A)に示すように、開口部30(33)と開口部24は、栽培液槽3の長手方向に配置する構成とすることもできる。また、図19(B)に示すように、開口部30(33)と開口部24は、短手方向に配置する構成とすることもできる。さらに、図19(C)に示すように、開口部30(33)または開口部24のいずれか一方を栽培液槽3の角部に配置し、他方を側面3C側に配置する等の様々な構成とすることができる。
【0073】
上述の実施の形態においては、取付体は、支柱8、杆体9、杆体10により構成される枠体の構成とする例を示したが、棚体をパネルにより構成し、ケース体やキャビネット体としてもよい。また、栽培液槽3が収納される棚部については、外部からの光が入射することができるように素通しにしたり透明なガラス板や樹脂等で覆う構成としてもよいが、遮光板で覆い、棚部に備えられた照明灯7の光を使って光合成を行わせる構成としてもよい。照明灯7としては、たとえば、蛍光灯やLED等の各種の光源を用いることができる。
【0074】
なお、背面パネル20については前面を鏡面とすることが好ましい。背面パネル20の前面を鏡面とすることで、後側に配置される植物に対しても、光を行き届かせ易くなる。背面パネル20の前面については鏡面の他、白色あるいは淡色としたり、光再帰反射面とする等により、光反射面として構成することができる。
【0075】
上述の棚体2は、4段に構成されているが、2段、あるいは3段、あるいは5段以上の構成としてもよい。この場合、最下段には、栽培液タンク5および液体ポンプ6が配置される。
【0076】
植物栽培装置1は、栽培液槽3に貯留される栽培液の水深をQ、 開口部30(33)と開口部24との距離をP、開口部30(33)と栽培液槽3の側面との最長の距離をL、栽培液の流入量および流出量をMとするとき、
0.5cm≦Q≦7cm
20cm≦P≦150cm
L≦150cm
500cc/分≦M≦25000cc/分
とすることが好ましい。
【0077】
かかる構成とすることで、栽培液槽3内の栽培液に滞留が発生することを効果的に抑えることができ、また、栽培液槽3内の栽培液に、植物の根を傷つけない程度の水流を発生させることができる。
【0078】
栽培液槽3は、水平方向の形状が細長い形状を呈し、開口部30(33)と開口部24とは互いに長手方向に配置されている。
【0079】
開口部30(33)と開口部24とを互いに栽培液槽3の長手方向に配置することで、開口部30(33)と開口部24との間の距離Pを長くすることができる。開口部30(33)と開口部24との間の距離Pをできるだけ長くすることで、開口部30(33)から開口部24に向かう流れに誘起されて発生する流れを増やすことができる。槽内に貯留される栽培液に流れ(栽培液の移動)が増えることで、栽培液に滞留部が発生することを抑えることができる。一方、開口部30(33)と開口部24とが配置される方向と直交する方向である短手方向については流れが発生し難い。しかしながら、栽培液槽3の短手方向の幅を狭くすることで、短手方向の領域に滞留部が発生することを抑えることができる。
【0080】
栽培液槽3の水平面における形状と開口部30(33)と開口部24との配置は、図20の上段(A)に示すように、栽培液槽3を楕円形とし、長軸方向に開口部30(33)と開口部24とを配置したり、図20の下段(B)に示すように、栽培液槽3をひし形とし、鋭角の対角方向に開口部30(33)と開口部24とを配置する構成とすることができる。
【0081】
植物栽培装置1の栽培液槽3において、栽培液槽3の水平面における形状は、細長い矩形であり、開口部30(33)と開口部24とは、互いに対角方向に配置されている。
【0082】
栽培液槽3の水平面における形状を矩形とすることで、植物栽培装置1の全体的な形状を直方体にし易くなる。一般的に、建物の室内は直方体を呈する。そのため、植物栽培装置1の全体的な形状を直方体とすることで、植物栽培装置1を室内に設置する際に、デットスペースが少なくなるように設置することができる。また、矩形を細長い形状とし、開口部30(33)と開口部24とを互いに対角方向に配置することで、開口部30(33)と開口部24との間の距離Pをできるだけ長くすることができ、開口部30(33)から開口部24に向かう流れに誘起されて発生される流れが増し、栽培液に滞留部が発生することを抑えることができる。
【0083】
図9に示すように、パイプ26の先端部26Aおよび栽培液供給パイプ32の先端部32AはL字型に曲げられ、開口部30(33)から槽内に流入される栽培液は、開口部24が配置される側に向かって水平方向に流入させる構成とすることが好ましい。
【0084】
かかる構成により、栽培液を上方から液面に落下させる場合に比べて、栽培液に流れを発生させ易くなる。そして、流入方向、すなわち開口部33から槽内に栽培液が流れ込む方向を開口部30(33)よりも開口部24側とすることで、開口部33から開口部24に向かう流れが発生し易くなり、槽内の栽培液に滞留が発生し難くなる。また、水平方向に栽培液を流入させることで、栽培液に流れが発生し易くなり、植物の根に刺激を与えやすくなる。
【0085】
図16,17に示すように、開口部30(33)の一部を栽培液槽3に貯留された栽培液の液面37よりも上側に配置し、開口部30(33)には、栽培液槽3内に流入する栽培液との間に空間36(図16)および空間40(図17)を形成することが好ましい。空間36,40が形成されることで、栽培液を曝気した状態で開口部30(33)から栽培液槽3内に流入させることができる。これにより栽培液の溶存酸素量を増やすことができる。
【符号の説明】
【0086】
1 … 植物栽培装置
2 … 棚体(取付体)
3 … 栽培液槽
5 … 栽培液タンク
6 … 液体ポンプ
24 … 開口部(流出部)
30,33 … 開口部(流入部)
37 … 液面
36,40 … 空間
Q … 栽培液槽に貯留される栽培液の水深
P … 流入部と流出部との距離
L … 流入部と栽培液槽の側面との最長の距離
M … 栽培液の流入量および流出量
【技術分野】
【0001】
本発明は、植物栽培装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、たとえば、特許文献1、2に開示されるように、栽培液が貯留された栽培液槽を用いて、野菜等の植物を栽培する植物栽培装置が知られている。
【0003】
【特許文献1】特開2009−34055号公報
【特許文献2】特開2010−88425号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、上述の植物栽培装置を設置するにあたっては、給排水システムを備えるための広い設置スペースが必要である。したがって、植物栽培装置を設置する設置場所に大きな制限がある。
【0005】
そこで、本発明は、設置場所の制限の少ない植物栽培装置を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上述の課題を解決するため、栽培液が貯留される栽培液槽と、栽培液槽内に栽培液を流入させる流入部と、栽培液槽内に溜められた栽培液を栽培液槽から流出させる流出部と、を備え、流入部から栽培液槽内に流入される栽培液の流入量と、流出部から流出される流出量とが、栽培液槽内に所定量の栽培液が溜まった状態で等しくなるように設定されている植物栽培装置において、栽培液が貯留される栽培液タンクと、栽培液タンクから栽培液槽に栽培液を送出する液体ポンプと、栽培液槽、栽培液タンクおよび液体ポンプが取り付けられる取付体とを有し、流入部は、栽培液槽内の一箇所に栽培液を流入させ、流出部は、栽培液槽内の一箇所から栽培液を流出させ、流入部と流出部とは、栽培液槽の槽内を横断する位置に配置されていることとする。
【0007】
上述の植物栽培装置は、栽培液槽に貯留される栽培液の水深をQ、流入部と流出部との距離をP、流入部と栽培液槽の側面との距離をL、栽培液の流入量および流出量をMとするとき、0.5cm≦Q≦7cm、20cm≦P≦150cm、L≦150cm、500cc/分≦M≦25000cc/分とすることが好ましい。
【0008】
また、上述の植物栽培装置の栽培液槽は、水平方向の形状が細長い形状を呈し、流入部と流出部とが長手方向に配置されていることが好ましい。
【0009】
上述の植物栽培装置の細長い形状は、矩形であり、流入部と流出部とは、互いに対角方向に配置されていることが好ましい。
【0010】
また、上述の植物栽培装置の流入部は、栽培液を、流出部が配置される側に水平方向に流入させることが好ましい。
【0011】
上述の植物栽培装置の流入部の一部は、栽培液槽に貯留された栽培液の液面よりも上側に位置し、流入部には、栽培液槽内に流入する栽培液との間に空間が形成されていることが好ましい。
【0012】
上述の課題を解決するため、栽培液が貯留される栽培液槽と、栽培液槽内に栽培液を流入させる流入部と、栽培液槽内に溜められた栽培液を栽培液槽から流出させる流出部と、を備え、流出部から栽培液槽内に流入される栽培液の流入量と、流出部から流出される流出量とが、栽培液槽内に所定量の栽培液が溜まった状態で等しくなるように設定されている植物栽培装置において、栽培液が貯留される栽培液タンクと、栽培液タンクから栽培液槽に栽培液を送出する液体ポンプと、栽培液槽、栽培液タンクおよび液体ポンプが取り付けられる取付体とを有し、流入部は、栽培液を、流出部が配置される側に水平方向に流入させ、流入部の一部は、栽培液槽に貯留された栽培液の液面よりも上側に位置し、流入部には、栽培液槽内に流入する栽培液との間に空間が形成されていることとする。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【図1】本発明の実施の形態に係る植物栽培装置の全体の構成を示す斜視図である。
【図2】図1に示す植物栽培装置から栽培液槽、植付けパネル、側面パネル、扉を外した状態の植物栽培装置の構成を示す斜視図である。
【図3】栽培液槽と、植付けパネルの構成を示す斜視図である。
【図4】図1に示す植物栽培装置の栽培液の循環径路を示す図である。
【図5】照明灯の取付状態を示す図である。
【図6】栽培液槽の内法寸法等を示す図である。
【図7】栽培液槽の内法寸法等を示す図である。
【図8】流入部となる開口部と流出部となる開口部との位置関係を説明するための図である。
【図9】本発明の実施の形態に係る植物栽培装置の変形例を示す図である。
【図10】栽培液槽に貯留される栽培液に発生する流れを概略的に示す図である。
【図11】栽培液槽に貯留される栽培液に発生する流れを概略的に示す図である。
【図12】栽培液槽に貯留される栽培液に発生する流れを概略的に示す図である。
【図13】栽培液槽に貯留される栽培液に発生する流れを概略的に示す図である。
【図14】栽培液槽に貯留される栽培液に発生する流れを概略的に示す図である。
【図15】本発明の実施の形態に係る植物栽培装置の変形例を示す図である。
【図16】本発明の実施の形態に係る植物栽培装置の変形例を示す図である。
【図17】本発明の実施の形態に係る植物栽培装置の変形例を示す図である。
【図18】本発明の実施の形態に係る植物栽培装置の変形例を示す図である。
【図19】本発明の実施の形態に係る植物栽培装置の変形例を示す図である。
【図20】本発明の実施の形態に係る植物栽培装置の変形例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
(実施の形態)
以下、本発明の実施の形態に係る植物栽培装置1の構成について、図面を参照しながら説明をする。図1は、本発明の実施の形態に係る植物栽培装置1の全体の構成を示す斜視図である。図2は、図1に示す植物栽培装置1から栽培液槽3、植付けパネル4、側面パネル21、扉22を外した状態の植物栽培装置1の構成を示す斜視図である。図3は、栽培液槽3と、植付けパネル4の構成を示す斜視図である。図4は、植物栽培装置1の栽培液の循環径路35を示す図である。なお、以下の説明において、図1に示すX方向を上方(上側)、Y方向を左方(左側)、Z方向を前方(前側)として、植物栽培装置1の構成を説明する。
【0015】
(植物栽培装置1の全体構成)
植物栽培装置1は、屋内で野菜等の植物の水耕栽培を行うための装置であり、図1に示すように、取付体としての棚体2と、栽培液槽3と、植付けパネル4と、栽培液タンク5(図2参照)と、液体ポンプ6(図2参照)と、照明灯7(図5参照)等を有する。植物栽培装置1は、全体として上下方向に長い直方体(たとえば、高さ190cm、左右幅75cm、前後の奥行き40cm)を呈し、一般家庭の台所等に設置可能な大きさである。
【0016】
棚体2は、図2に示すように、前後左右に配置される4本の支柱8と、前後にそれぞれ5本ずつ配置される杆体9と、左右にそれぞれ5本ずつ配置される杆体10とを有している。前側に配置される杆体9は、前側の左右に配置される2本の支柱8の連結を上下方向の5箇所で行っている。後側に配置される杆体9も同様に、後側の左右に配置される2本の支柱8の連結を上下方向の5箇所で行っている。杆体10は、上下方向の5箇所のそれぞれに前後に配置される2本の杆体9同士を左右の端部において連結している。
【0017】
棚体2には、杆体9および杆体10により、上下方向に分けられた4つの棚部11,12,13,14が形成されている。棚体2の1番下側に配置される前後の杆体9,9と左右の杆体10,10の上面には、棚板15が載置されている。つまり、棚板15により棚部11の棚段が形成されている。棚体2の下から2番目に配置される前後の杆体9,9と左右の杆体10,10の上面には、棚板16が載置されている。つまり、棚板16により棚部12の棚段が形成されている。
【0018】
図2に示すように、棚部12の上側に配置される左右の杆体10,10には、照明灯7が取り付けられる照明灯取付杆17が支持されている。照明灯7は、照明灯取付杆17の下側に取り付けられている(図5参照)。また、棚部13と棚部14のそれぞれの上側に配置される左右の杆体10,10にも、照明灯7が取り付けられる照明灯取付杆17が支持されている。照明灯取付杆17は、前後方向に3列備えられ、各照明灯取付杆17に照明灯7が取り付けられている。したがって、棚部12,13,14内は、各棚部の上側に備えられる照明灯7により照明される。
【0019】
図2に示すように、棚板15には、栽培液タンク5および液体ポンプ6が設置されている。すなわち、棚部11内には、栽培液タンク5および液体ポンプ6が収納されている。また、図1に示すように、棚板16には、栽培液槽3が載置されている。さらに、棚部13の下側に配置される杆体9,9および杆体10,10には、栽培液槽3が載置されている。棚部14の下側に配置される杆体9,9および杆体10,10にも、栽培液槽3が載置されている。すなわち、棚部12から棚部14には、それぞれ栽培液槽3が収納されている。棚部13,14のそれぞれ下側に配置される杆体9,9および杆体10,10は、棚部13,14の棚段として機能している。
【0020】
棚部14の上側に配置される杆体9,9および杆体10,10の上側には、液体ポンプ6の駆動や照明灯7の点灯等を制御する制御回路(図示省略)や電源(図示省略)等が配置され、カバー18(図1参照)により覆われている。カバー18の前面には、操作パネル19が配置されている。操作パネル19には、電源スイッチや液体ポンプ6の送出量を調整する操作スイッチ等が設けられている。
【0021】
図1に示すように、植物栽培装置1の後側は、背面パネル20により遮蔽されている。段部12,13,14の左右方向および前方については開放されている。段部11については、左右方向が側面パネル21により遮蔽され、また、前方は扉22により遮蔽されている。扉22は、中央にて観音開き可能な構成となっている。したがって、扉22を開いた状態とすることで、栽培液タンク5、液体ポンプ6等のメンテナンスや栽培液タンク5への栽培液の補充等の諸作業を行うことができる。なお、背面パネル20については、段部11の後方については設けない構成としてもよい。かかる構成とすることで、液体ポンプ6等から発生した熱を、段部11外に放出することを促すことができる。
【0022】
(栽培液槽3)
栽培液槽3は、上方に開口部23(図3)を有する直方体の容器である。開口部23には、植付けパネル4を載置することができる。開口部23に植付けパネル4を載置することで、開口部23を植付けパネル4により覆うことができる。本実施の形態に示す栽培液槽3の内法寸法は、図6、図7に示すように、左右幅Wが62cm、前後幅Tが35cm、深さDが4.5cmに構成され、上下方向に扁平性した形状を呈している。栽培液槽3の4つの角部の内、1つの角部には、栽培液槽3内の栽培液を流出させる流出部としての開口部24が設けられ、この開口部24には、栽培液槽3の底板25から下方に抜けるパイプ26が接続されている。開口部24は、パイプ26の上端の開口部である。なお、パイプ26と底板25との間は、パッキン等を用いて水密に構成され、栽培液槽3内の栽培液が漏れない構成となっている。
【0023】
(植付けパネル4)
植付けパネル4は、開口部23の左右および前後の幅よりもやや大きな矩形の板状体を呈している。したがって、植付けパネル4を開口部23の周縁部27に載置した状態で、開口部23の全面を植付けパネル4で覆うことができる。植付けパネル4の4つの角部の内、開口部24に対して対角方向に配置される角部には、パイプ26あるいは栽培液供給パイプ32を挿通することができる孔部28が形成されている。植付けパネル4には、植物が植生させられた苗ポット(図示省略)を挿入するためのポット孔29が複数形成されている。本実施の形態では、前後方向に3列、左右方向に4列の合計12個のポット孔29が一定の間隔で形成されている。
【0024】
棚部12,13,14に載置される各栽培液槽3は、図1および図4に示すように、各栽培液槽3の開口部24が栽培液槽3の対角方向で互い違いになるように載置されている。つまり、上下に配置される栽培液槽3の開口部24同士が、上下方向で重ならない配置とされている。また、各栽培液槽3に載置される植付けパネル4は、栽培液槽3の開口部24と対角となる位置の上方に孔部28が位置するように配置されている。本実施の形態では、棚部14に載置される栽培液槽3は左前に開口部24が配置され、この栽培液槽3に載置される植付けパネル4の孔部28は右後に配置されている。また、棚部13に載置される栽培液槽3は右後に開口部24が配置され、この栽培液槽3に載置される植付けパネル4の孔部28は左前に配置されている。そして、棚部12に載置される栽培液槽3は左前に開口部24が配置され、この栽培液槽3に載置される植付けパネル4の孔部28は右後に配置されている。
【0025】
各栽培液槽3は、パイプ26により接続されている。具体的には、棚部14に載置される栽培液槽3に接続されているパイプ26は、棚部13に載置される栽培液槽3の開口部23を覆う植付けパネル4の孔部28に通され、該パイプ26の下端の開口部30が、棚部13に載置される栽培液槽3内に配置されている。また、棚部13に載置される栽培液槽3に接続されているパイプ26も同様に、棚部12に載置される栽培液槽3の開口部23を覆う植付けパネル4の孔部28に通され、該パイプ26の下端の開口部30が、棚部12に載置される栽培液槽3内に配置されている。
【0026】
棚部12に載置される栽培液槽3に接続されているパイプ26は、棚板16に形成される孔部31を通され、パイプ26の下端部分は、棚部11に配置される栽培液タンク5内に配置されている。棚部14に載置される栽培液槽3の開口部23を覆う植付けパネル4の孔部28には、液体ポンプ6に接続される栽培液供給パイプ32が通され、栽培液供給パイプ32の上側の開口部33が、栽培液槽3内に配置されている。
【0027】
液体ポンプ6と栽培液タンク5とは、パイプ34を介して接続されている。液体ポンプ6は、栽培液供給パイプ32を介して栽培液を棚部14に収納される栽培液槽3にポンプアップすることができる。したがって、栽培液タンク5から順に、パイプ34、液体ポンプ6、栽培液供給パイプ32、棚部14に収納される栽培液槽3、パイプ26、棚部13に収納される栽培液槽3、パイプ26、棚部12に収納される栽培液槽3、パイプ26、そして栽培液タンク5へと栽培液を循環させることができる。つまり、栽培液タンク5、パイプ34、液体ポンプ6、栽培液供給パイプ32、棚部14に収納される栽培液槽3、パイプ26、棚部13に収納される栽培液槽3、パイプ26、棚部12に収納される栽培液槽3、パイプ26、そして栽培液タンク5は、栽培液が循環する循環径路35として構成されている。
【0028】
循環径路35は、各栽培液槽3への栽培液の流入量と流出量とが等量とされていると共に、各栽培液槽3の開口部24が栽培液槽3の底板25よりも上方に配置されている(図6参照)。そのため、各栽培液槽3に、常時一定量の栽培液を貯留することができる。植付けパネル4には、苗ポット(図示省略)を介して植物が植え付けられ、その根は、栽培液槽3内に伸びている。したがって、植付けパネル4に植え付けられた植物の根を、栽培液槽3に貯留された栽培液に浸すことができる。植付けパネル4に植え付けられた植物の根を栽培液槽3に貯留された栽培液に浸すことができるように、根の長さや、植付けパネル4の液面との間隔等が設定されている。
【0029】
(植物栽培装置1の詳細な構成)
以下に、植物栽培装置1の構成についてさらに詳しく説明する。
【0030】
各栽培液槽3の開口部24は、図6に示すように、栽培液槽3の底板25よりも上方に配置されている。また、各栽培液槽3への栽培液の流入量は、開口部24からの流出可能な量以内となるように、液体ポンプ6の送出量が設定されている。したがって、栽培液槽3内に栽培液を流入させる流入部としての開口部30および開口部33から栽培液槽3に流入した栽培液は、開口部24の高さ(深さ)を超えるまで溜まり、超えた後に流入した分の栽培液は開口部24から流出する。つまり、栽培液槽3内には、一定量の栽培液が貯留されている状態となる。なお、以下の説明において、植物栽培装置1の構成を説明する上で、開口部30と開口部33とを区別して説明する必要がない場合は、開口部30(33)と記載することとする。
【0031】
各栽培液槽3は、上下方向に扁平した直方体を呈し、開口部30(33)と開口部24とは互いに、栽培液槽3の槽内を横断する配置であると共に、栽培液槽3の対角方向に配置されている。つまり、図7に示すように、栽培液槽3の4角の内の1つの角に配置される開口部30(33)から流入した栽培液は、この角に対して対角となる位置に配置される開口部24から流出される。なお、栽培液槽3の槽内を横断する配置とは、栽培液槽3の1つの側面側と他の側面側に渡るように開口部30(33)と開口部24が配置されることを言う。
【0032】
開口部30(33)と開口部24との位置関係を、たとえば、図8の上段(A)に示すように、隣接させたり、あるいは、図8の下段(B)に示すように、同一の側面に沿って配置させ、栽培液槽3の槽内を横断しない配置とすることも考えることがでできる。しかしながら、図7に示すように、開口部30(33)と開口部24とを槽内を横断する位置に配置することで、開口部30(33)と開口部24とを結ぶ仮想線Rの両側の水域に流れを発生させ易くなる。すなわち、槽内の広範囲に亘って流れが発生し易くなる。その結果、槽内の栽培液の流れが滞ってしまう滞留部の発生を抑えることができる。また、開口部30(33)と開口部24とを栽培液槽3の対角となる位置に配置することで、槽内において、開口部30(33)と開口部24とを最も長い距離で配置することができる。開口部30(33)と開口部24との間の間隔(距離)を長くすることで、槽内に広い範囲に亘って流れを発生させ易くなる。
【0033】
また、開口部30(33)および開口部24は、それぞれ一箇所に設けられている。栽培液槽3に流入する栽培液は一定量である。また、栽培液槽3から流出する栽培液の量も一定である。そのため、開口部30(33)を複数の箇所に設ける構成、すなわち、開口部30(33)を複数の開口部とすると、一つ一つの開口部から流入する栽培液の流量は少なくなる。また、開口部24についても複数の開口部により構成すると、一つ一つの開口部から流出する栽培液の流量は少なくなる。そのため、開口部30(33)から開口部24までの流れが細かく分散し易くなり、槽内の栽培液に流れが発生し難くなり、その結果、滞留部が発生し易くなる。
【0034】
これに対し、開口部30(33)を一箇所とすると共に、開口部24も一箇所とすることで、開口部30(33)から開口部24に亘って流量の大きな流れを作ることができる。これにより、槽内の栽培液に流れを発生させ易くなり、滞留部が発生し難くなる。なお、開口部30(33)および開口部24について言う「一箇所」とは、流入用あるいは流出用の開口部が一つという意味ではなく、たとえば、流入用の開口部が複数あっても、槽内で一つの流れとなる程度に開口部が近接している場合には、一箇所の開口部30(33)である。同様に、流出用の開口部が複数あっても、開口部に流れ込む流れが一つとなる程度に開口部が近接している場合には、一箇所の開口部24である。
【0035】
なお、開口部30(33)は、1個から3個、好ましくは2個以下の開口部から形成することが好ましい。開口部30(33)を複数の開口部により形成すると、一つ一つの開口部の大きさが小さくなる。開口部の大きさが小さくなると、植物の根等からでる老廃物や根屑等が開口部に詰まり易くなる。したがって、開口部30(33)を形成する開口部を、1個から3個、好ましく2個以下の開口部により形成することで、1つ1つの開口部を大きく形成することができる。これにより植物の老廃物や根屑等が開口部に詰まることを防止することができる。
【0036】
開口部30(33)は、液面から上方に離れた位置に配置されている。つまり、開口部30(33)から栽培液槽3内に流入した栽培液は、開口部30(33)と液面との間の空間を通って液面に落下する。これにより、栽培液は、開口部30(33)から液面に到達するまでの間に空気に接触することができる。また、栽培液が液面に落下した際、栽培液と空気とが攪拌されることで、栽培液を曝気することができる。
【0037】
各栽培液槽3の開口部24の底板25からの高さH(図6参照)は3cmの高さに配置され、各栽培液槽3には、水深Qは3cmよりもやや深い、たとえば約3.2cmの水深Qで栽培液が貯留される。上述したように、栽培液槽3の内法寸法は、左右幅Wが62cm、前後幅Tが35cmである。また、開口部30(33)と栽培液槽3の側面との最長の距離Lは、約69cmであり、開口部30(33)と開口部24との間の距離Pは、67cmである。そして、栽培液槽3の槽内への栽培液の流入量および流出量Mは、毎分6000ccとなるように液体ポンプ6の送出量が設定されている。
【0038】
栽培液槽3の前後左右の大きさ、栽培液槽3に貯留される栽培液の水深Q、開口部30(33)と栽培液槽3の側面との最長の距離L、開口部30(33)と開口部24との距離P、栽培液の流入量および流出量Mが上述のように設定されることで、栽培液槽3内の栽培液に滞留が発生することを抑えることができる。滞留の発生が抑えられることで、栽培液にカビが発生することを防止でき、また、槽内の栽培液の液質(養分の濃度、水温等)を均一にすることができる。そのため、栽培液の液質が均一になることで、ポット孔29の位置に因らず、植付けパネル4に植え付けられた植物の生育の均一化を図ることができる。
【0039】
また、毎分6000ccの栽培液が槽内に流入および流出することで、栽培液に流れが発生する。植付けパネル4に植え付けられた植物は、栽培液に浸っている根が、水流により刺激を受けることで、根の水分や養分の吸収が促されるため植物の成長が促進される。
【0040】
水深Qは、本実施の形態では3.2cmとして説明しているが、0.5cm以上7cm以下の範囲で設定することが好ましい。水深Qが0.5cm未満となると、植物の根が栽培液に浸り難くなり、水分・養分の吸収効率が低下する。また、停電、電源コンセントの外れ等により栽培液の循環が停止してしまう事故が発生したときに、水深Qが0.5cm未満であると、栽培液の循環が停止中に栽培液が蒸発し植物が栽培液を吸い上げることが出来ない水深になってしまうまでの時間が短く、植物にダメージを与えてしまう虞が高い。一方、水深Qが7cmを超えると、栽培液槽3の底板25に近い部分で栽培液に流れが起き難くなり滞留が発生し易く好ましくない。
【0041】
水深Qを0.5cm以上とすることで、植物の根が栽培液に浸り易くなり、水分・養分の吸収効率が植物の生育に問題ない程度となる。また、栽培液の循環が停止した状態が継続した場合であっても、概ね少なくとも12時間程度は、植物が栽培液を吸い上げることが出来る水深を維持することができる。また、水深Qを7cm以下とすることで、底板25に近い部分での滞留が発生し難くなる。
【0042】
なお、上述の12時間は、たとえば、仕事で留守になる家庭においては、出勤してから帰宅するまでの一般的な時間であり、また、食堂の厨房等の業務場所においては、営業後から営業開始までの間のスタッフ(従業員)が不在となる時間である。したがって、家庭内あるいは食堂等に植物栽培装置1を設置した場合、人が不在の間に、停電等により栽培液の循環が停止しても、12時間程度、植物が栽培液を吸い上げることが出来る水深を維持することができれば、帰宅あるいは厨房に出勤した人が、栽培液の循環が停止していることに気づき、植物が栽培液を吸い上げることが出来ない状態となってしまう前に、停電等を回復させたり、栽培液槽3に栽培液を補充する等の対策が採られ易い。
【0043】
水深Qを1cm以上とすると、植物の根がより栽培液に浸り易くなり、また、栽培液の循環が停止した状態が継続した場合であっても、植物が栽培液を吸い上げることが出来る水深をより長く維持することができる。また、水深Qを6cm以下とすることで、底板25側にも栽培液の流れが発生し易くなり、滞留の発生を効果的に抑えることができる。
【0044】
さらに、水深Qを2cm以上とすると、植物の根がより確実に栽培液に浸り易くなると共に、栽培液の循環が停止した状態が継続した場合であっても、植物が栽培液を吸い上げることが出来る水深をより一層長く維持することができる。また、水深Qを5cm以下とすることで、底板25側における栽培液の流れがより発生し易くなり、より確実に滞留の発生を抑えることができる。たとえば、栽培液の流入量および流出量Mを500cc/分程度としても、滞留の発生を抑えることができる。
【0045】
本実施の形態の植物栽培装置1は、開口部30(33)と栽培液槽3の側面との最長の距離Lが69cm、開口部30(33)と開口部24との間の距離Pが67cmとしているが、距離Lについては、150cm以下とすることが好ましく、距離Pについては、20cm以上150cm以下の範囲で設定することができる。距離Lが150cmを超えると、栽培液の流入量が500cc/分程度のときに、開口部30(33)と栽培液槽3の側面との距離Lが150cmを超える部分にまで流れが届かず、滞留部が発生し易くなる。開口部30(33)と開口部24との間の距離Pについても同様に、距離Pが150cmを超えると、栽培液の流入量が500cc/分程度のときに、開口部30(33)から開口部24に流れが届かなくなり滞留部が発生し易くなる。一方、開口部30(33)と開口部24との間の距離Pが20cm未満となると、開口部30(33)から流れ込んだ栽培液が、ほぼそのまま開口部24から流れ出る状態となってしまい、槽内に滞留部が発生し易くなる。
【0046】
栽培液の流入量および流出量Mは、本実施の形態では6000cc/分として説明しているが、500cc/分以上25000cc/以下の範囲で設定することが好ましい。500cc/分未満となると、距離L(開口部30(33)と栽培液槽3の側面との最長の距離)や距離P(開口部30(33)と開口部24との間の距離)が150cmの場合に、槽内の栽培液に滞留部が発生し易くなる。逆に、25000cc/分を超えると、距離Pが20cmのときに、流速が速すぎ植物の根に損傷を与えてしまう虞が高く、また、栽培液槽3から栽培液が飛散し易くなる等の問題が発生し易い。特に、距離Lが150cm以下の場合は、25000cc/分を超えると、栽培液が栽培液槽3から飛散し易くなる問題が発生し易くなる。
【0047】
本実施の形態の植物栽培装置1のように、距離L≒69cm、距離P≒67cmの場合は、4000cc/分≦M≦90000cc/分とすることで、滞留部の発生を抑えることができると共に植物の栽培が好適となる流速とすることができる。また、4000cc/分≦M≦9000cc/分の範囲の場合は、距離Lが120cm以下であり、距離Pは45cm以上120cm以下の範囲であれば、滞留部の発生を抑えることができると共に植物の栽培が好適となる流速を得ることができる。
【0048】
本実施の形態の植物栽培装置1の栽培液槽3は、左右方向が前後方向に比べて長い矩形形状であり、開口部30(33)と開口部24とが、互いに対角方向に配置されている。栽培液槽3の対角方向は、栽培液槽3の槽内で開口部30(33)と開口部24との間の距離Pを最も長く取れる方向である。距離Pをできるだけ長くすることで、開口部30(33)から開口部24に向かう流れに誘起されて発生する流れを増やすことができる。つまり、槽内に貯留される栽培液に流れ(栽培液の移動)を発生させ易くなり、栽培液に滞留部が発生することを抑えることができる。
【0049】
植物栽培装置1の棚部12,13,14の左右および前方の3方は開放されている。そのため、三方から棚部内に手を入れることができる。したがって、たとえば、3方がガラス板等により囲われている構成に比べて、ポット孔29に植物を植え付ける作業や、植付けパネル4から植物を採取する作業や、栽培液槽3の槽内を清掃する作業等の諸作業の作業効率を向上させることができる。
【0050】
また、3方が解放されていることで、棚部12,13,14への空気の流通を図ることができる。棚部12,13,14の左右および前方の3方をガラス板等で囲い、電動ファン等により棚部12,13,14内の空気の流通を強制的に行う構成も考えられる。しかしながら、本実施の形態のように、植物栽培装置1の大きさが、たとえば、高さ190cm、左右幅75cm、前後の奥行き40cm程度である場合は、一般家屋の室内に設置された環境下では、電動ファン等により強制的に空気の流通を作る場合に比べて、自然な空気の流通による方が、植物の健全な栽培に適する。
【0051】
なお、栽培液槽3に貯留される栽培液の水深Qが0.5cm以上6cm以下、開口部30(33)と開口部24との距離Pが20cm以上150以下、開口部30(33)と栽培液槽3の側面との最長の距離Lが150cm以下を満たす大きさで植物栽培装置1が構成される限りは、植物への通風は、電動ファン等による強制的な手段に比べて、自然な空気を流通させる方が、植物の健全な栽培に適する。
【0052】
(変形例1)
図9に示すように、パイプ26の先端部26Aおよび栽培液供給パイプ32の先端部32AをL字型に曲げ、開口部30(33)から槽内に、栽培液を水平方向に流入させる構成としてもよい。これにより、上述した栽培液を上方から液面に落下させる構成とする場合に比べて、栽培液に流れを発生させ易くなる。この場合、流入方向、すなわち開口部30(33)から槽内に栽培液が流れ込む方向は、開口部30(33)よりも開口部24側であることが好ましい。開口部30(33)よりも開口部24側とは、具体的には、開口部30(33)と開口部24とを通る方向に対して直交し、かつ、開口部30(33)を通る方向よりも開口部24の側を意味するものである。開口部30(33)から槽内に栽培液が流れ込む方向を、開口部30(33)よりも開口部24側とすることで、開口部30(33)から開口部24に向かう流れが発生し易くなり、槽内の栽培液に滞留が発生し難くなる。
【0053】
開口部30(33)から槽内に栽培液が流れ込む方向は、たとえば、図10から図14に示すようにすることができる。図10から図14は、栽培液槽3に貯留される栽培液に発生する流れを観察したときの結果を概略的に示すものである。パイプ26の先端部26Aおよび栽培液供給パイプ32の先端部32AはL字型に曲げられた構成となている。流れの観察は、開口部30(33)に絵の具を垂らし、この絵具の軌跡を観察することにより行った。また、図10から図14に示す流れは、左右幅Wが62cm、前後幅Tが32cmの栽培液槽3に、水深Qが3cmで栽培液を貯留し、開口部30(33)と開口部24とを互いに対角方向に配置し、流入量および流出量Mを2500cc/分としたときのものである。
【0054】
図10は、栽培液の流入方向を開口部24に向けた場合の流れの状態が示されている。栽培液には、主に、開口部30(33)から開口部24に向かう流れA1と、開口部24から離れる方向に流れる流れA2,A3とが発生する傾向がある。流れA2は、側面3Aから側面3Cに沿って流れA1に合流し、また、流れA3は、側面3Bから側面3Dに沿って流れA1に合流する。流れA1から流れA2の流れは環流となり、この環流の内側に、滞留部A4が発生する傾向がある。また、流れA1から流れA3の流れも環流となり、この環流の内側には、滞留部A5が発生する傾向がある。また、栽培液槽3の開口部30(33)と開口部24が配置されない対角部3E,3Fには、滞留部A6,A7が発生する傾向がある。
【0055】
図11は、栽培液の流入方向を側面3Cから45度とした場合の流れの状態が示されている。栽培液には、主に、開口部30(33)から直進し側面3Aに到達した後、この側面3Aに沿って開口部24に向かう流れB1と、流れB1の両側に環流を形成する流れB2,B3とが発生する傾向がある。流れB1から流れB2の内側には、大きな滞留部は発生しないが、流れB2と角部3Eとの間に大きな滞留部B4が発生し、また、流れB1から流れB3の流れの内側にも大きな滞留部B5が発生する傾向がある。また、流れB3と角部3Fとの間には、滞留部B6が発生する傾向がある。
【0056】
図12は、栽培液の流入方向を短手側の側面3Cから20度とした場合の流れの状態が示されている。栽培液には、主に、開口部30(33)から直進し側面3Aに到達した後、この側面3Aに沿って開口部24に向かう流れC1が発生する傾向がある。そして、流れC1の内、開口部24で流出されなかった栽培液が側面3B,3Dにそって流れる流れC2を発生させ、流れC1から流れC2の流れが環流となり、この環流の内側に大きな滞留部C3が発生する傾向がある。栽培液槽3の対角部3E,3Fには、滞留部C4,C5が発生する傾向がある。
【0057】
図13は、栽培液の流入方向を長手側の側面3Dに沿わせた場合の流れの状態が示されている。栽培液には、主に、開口部30(33)から側面3Dに沿って直進し、角部3Fの手前で開口部24に向かう流れD1が発生する傾向がある。そして、流れD1の内、開口部24で流出されなかった栽培液が側面3Aにそって流れる流れD2を発生させ、流れD1から流れD2の流れが環流となり、この環流の内側に大きな滞留部D3が発生する傾向がある。栽培液槽3の対角部3E,3Fには、滞留部D4,D5が発生する。滞留部D4の方が滞留部D5に比べて大きな傾向がある。
【0058】
図14は、栽培液の流入方向を短手側の側面3Cの中央から側面3A,3Dに平行としたときの流れの状態が示されている。栽培液には、主に、開口部30(33)から開口部24に向かう流れE1が発生し、流れE1の内、開口部24で流出されなかった栽培液が側面3Aにそって流れる流れE2と、側面3B,3Dに沿って流れる流れE3を発生させる傾向がある。そして、流れE1から流れE3の流れは環流となり、この環流の内側に、大きな滞留部E4が発生する傾向がある。栽培液槽3の開口部30(33)の両側には、滞留部E5,E6が発生し、対角部3Fには滞留部E7が発生する傾向がある。
【0059】
図10から図14に示す滞留部のうち、図14の滞留部E5,E6を除いては、栽培液の流入と流出を継続している間に、十数秒から数十秒のうちには、滞留部の周囲の栽培液が滞留部に流れ込み滞留が解消されるが、滞留部E5,E6については周囲の栽培液が流れ込むまでに数分を要することが観察できた。
【0060】
図10から図14に示す観察の結果から、図10に示すように、開口部30(33)からの栽培液の流入方向を開口部24に向ける場合が、発生する滞留部の大きさが、他の場合(図11から図14に示す場合)に比べて全体的に小さく、極端に大きな滞留部が発生し難い。さらに、滞留部に周囲の栽培液が流れ込み滞留が解消されるまでの時間が、他の場合に比べて短時間となる。したがって、矩形の栽培液槽3については、対角方向に開口部30(33)と開口部24とを配置し、かつ、開口部30(33)からの栽培液の流入方向を開口部24に向けることが好ましい。
【0061】
なお、図15に示すように、栽培液槽3の角部3E,3Fにアールを付けることで、角部3E,3Fの付近に滞留部が発生することを抑えることができる。
【0062】
(変形例2)
図16に示すように、パイプ26の先端部26AをL字型に曲げ、開口部30の一部は、栽培液槽3に貯留された栽培液の液面37よりも上側に位置させると共に、栽培液が流れるパイプ26内に空間36を形成する構成としてもよい。開口部30の一部を栽培液の液面37よりも上側に配置させると共に、パイプ26内を流れる栽培液の流量をパイプ26内の容積よりも少なくすることで、パイプ26内にパイプ26の両端に抜ける空間36が形成される。空間36が形成されることで、パイプ26内を上側の栽培液槽3から下側の栽培液槽3に流れ落ちる栽培液を空気に触れされることができる。これにより、栽培液を曝気することができる。また、パイプ26内を流れ落ちる栽培液が、パイプ26のL字に曲げられた部分に落ち開口部30に流れ出る間に流れが乱れ栽培液と空気が攪拌されることによっても、栽培液は曝気される。上述のように、栽培液が曝気されることで、栽培液の溶存酸素量を増やすことができる。
【0063】
さらに、図17に示すように、栽培液供給パイプ32の先端部32AをL字型に曲げると共に、栽培液供給パイプ32に分岐部39を設け、分岐の一方を開口部33に連通させ、分岐の他方を液体ポンプ6から開口部33への流路から外れた位置に開口する開口部38に連通させ、栽培液供給パイプ32内に開口部38から開口部33に抜ける空間40を形成する構成としてもよい。開口部33の一部を栽培液槽3に貯留された栽培液の液面37よりも上側に位置させると共に、分岐部39から開口部33まで区間内を流れる栽培液の流量を、該区間内の容積よりも少なくすることで空間40を形成することができる。
【0064】
空間40が形成されることで、液体ポンプ6から栽培液槽3に流入される栽培液を空気に触れされることができる。これにより、栽培液を曝気することができる。また、栽培液が分岐部39から栽培液供給パイプ32のL字に曲げられた部分に流れ落ち開口部33に流れ出る間に流れが乱れ栽培液と空気が攪拌されることによっても、栽培液は曝気される。上述のように、栽培液が曝気されることで、栽培液の溶存酸素量を増やすことができる。
【0065】
(変形例3)
図18に示すように、植物栽培装置1には、棚体2の左右および前方の3方を覆う透明なカーテン41を開閉可能な構成で設けてもよい。カーテン41は、カーテンレール42に取り付けられ、前面の中央部で左右に開閉自在とされている。植物栽培装置1の周囲の気温が高い時期は、カーテン41を開放しておくことで、棚部12,13,14への通気を促すことが好ましいが、冬期等、植物栽培装置1の周囲の気温が低くなる時期には、棚部12,13,14の開放部をカーテン41で覆うことで、植物栽培装置1内の植物を低温障害から守ることができる。
【0066】
カーテン41にはプリーツ(ひだ)43を設けることが好ましい。プリーツ43を設けることで、カーテン41で棚部12,13,14の開放部を覆った場合にも、プリーツ43と棚体2との間に、図18に示すような隙間44が形成される。隙間44が形成されることで、棚体2とカーテン41との間に空気の流れを形成することができる。このため、カーテン41で覆われた棚部12,13,14内と外気との間で換気を行うことができる。なお、隙間44は、プリーツ43により形成する代わりに、カーテン41に孔部を形成したり、あるいは、カーテンレール42と棚体2との間に隙間を形成し、カーテン41と棚体2との間に隙間が形成される構成としてもよい。
【0067】
また、カーテン41は、ポリ塩化ビニル、ポリエチレン等の樹脂により形成することが好ましい。樹脂は、ガラスに比べて熱伝導性が低い。そのため、棚部12,13,14をガラスで覆う場合に比べて、カーテン41への水滴の付着を抑えることができる。水滴の付着を抑えることで、棚部12,13,14内におけるカビの発生を抑えることができる。また、ガラスを用いる場合に比べて、棚部12,13,14内を保温し易い。
【0068】
なお、カーテン41で棚部12,13,14を覆うことで、子供やペットが植付けパネル4に受け付けられている植物にいたずらをしたり、栽培液を誤飲してしまう等の事故を防止することができる。
【0069】
(本実施の形態の主な効果)
植物栽培装置1は、栽培液が貯留される栽培液槽3と、栽培液槽3内に栽培液を流入させる流入部としての開口部30(33)と、栽培液槽3内に溜められた栽培液を栽培液槽から流出させる流出部としての開口部24とを備え、開口部30(33)から栽培液槽3内に流入される栽培液の流入量と、開口部24から流出される流出量とが、栽培液槽3内に所定量の栽培液が溜まった状態で等しくなるように設定されている。かかる植物栽培装置1は、栽培液が貯留される栽培液タンク5と、栽培液タンク5から栽培液槽3に栽培液を送出する液体ポンプ6とを有し、栽培液槽3と、栽培液タンク5と、液体ポンプ6とは、取付体としての棚体2に保持されている。
【0070】
このように、棚体2に、栽培液槽3、栽培液タンク5および液体ポンプ6を保持させることで、植物栽培装置1が一体化される。これにより、植物栽培装置1の設置場所の自由度が大きくなり、設置場所の制限が少なくなる。
【0071】
また、開口部30(33)は、栽培液槽3内の一箇所に栽培液を流入させ、開口部24は、栽培液槽3内の一箇所から栽培液を流出させ、開口部30(33)と開口部24とは、栽培液槽3の槽内を横断する位置に配置されている。開口部30(33)と開口部24とを栽培液槽3の槽内を横断する位置に配置することで、槽内の広範囲に亘って流れを発生させ易くなり、その結果、槽内の栽培液に滞留部が発生することを抑えることができる。また、開口部30(33)および開口部24とをそれぞれ一箇所とすることで、開口部30(33)から開口部24に亘って流量の大きな流れを作ることができ、槽内の栽培液に流れを発生させ易くなる。その結果、滞留部が発生し難くなる。
【0072】
上述の実施の形態においては、開口部30(33)と開口部24は、矩形を呈する栽培液槽3の対角方向に配置する例を示したが、図19(A)に示すように、開口部30(33)と開口部24は、栽培液槽3の長手方向に配置する構成とすることもできる。また、図19(B)に示すように、開口部30(33)と開口部24は、短手方向に配置する構成とすることもできる。さらに、図19(C)に示すように、開口部30(33)または開口部24のいずれか一方を栽培液槽3の角部に配置し、他方を側面3C側に配置する等の様々な構成とすることができる。
【0073】
上述の実施の形態においては、取付体は、支柱8、杆体9、杆体10により構成される枠体の構成とする例を示したが、棚体をパネルにより構成し、ケース体やキャビネット体としてもよい。また、栽培液槽3が収納される棚部については、外部からの光が入射することができるように素通しにしたり透明なガラス板や樹脂等で覆う構成としてもよいが、遮光板で覆い、棚部に備えられた照明灯7の光を使って光合成を行わせる構成としてもよい。照明灯7としては、たとえば、蛍光灯やLED等の各種の光源を用いることができる。
【0074】
なお、背面パネル20については前面を鏡面とすることが好ましい。背面パネル20の前面を鏡面とすることで、後側に配置される植物に対しても、光を行き届かせ易くなる。背面パネル20の前面については鏡面の他、白色あるいは淡色としたり、光再帰反射面とする等により、光反射面として構成することができる。
【0075】
上述の棚体2は、4段に構成されているが、2段、あるいは3段、あるいは5段以上の構成としてもよい。この場合、最下段には、栽培液タンク5および液体ポンプ6が配置される。
【0076】
植物栽培装置1は、栽培液槽3に貯留される栽培液の水深をQ、 開口部30(33)と開口部24との距離をP、開口部30(33)と栽培液槽3の側面との最長の距離をL、栽培液の流入量および流出量をMとするとき、
0.5cm≦Q≦7cm
20cm≦P≦150cm
L≦150cm
500cc/分≦M≦25000cc/分
とすることが好ましい。
【0077】
かかる構成とすることで、栽培液槽3内の栽培液に滞留が発生することを効果的に抑えることができ、また、栽培液槽3内の栽培液に、植物の根を傷つけない程度の水流を発生させることができる。
【0078】
栽培液槽3は、水平方向の形状が細長い形状を呈し、開口部30(33)と開口部24とは互いに長手方向に配置されている。
【0079】
開口部30(33)と開口部24とを互いに栽培液槽3の長手方向に配置することで、開口部30(33)と開口部24との間の距離Pを長くすることができる。開口部30(33)と開口部24との間の距離Pをできるだけ長くすることで、開口部30(33)から開口部24に向かう流れに誘起されて発生する流れを増やすことができる。槽内に貯留される栽培液に流れ(栽培液の移動)が増えることで、栽培液に滞留部が発生することを抑えることができる。一方、開口部30(33)と開口部24とが配置される方向と直交する方向である短手方向については流れが発生し難い。しかしながら、栽培液槽3の短手方向の幅を狭くすることで、短手方向の領域に滞留部が発生することを抑えることができる。
【0080】
栽培液槽3の水平面における形状と開口部30(33)と開口部24との配置は、図20の上段(A)に示すように、栽培液槽3を楕円形とし、長軸方向に開口部30(33)と開口部24とを配置したり、図20の下段(B)に示すように、栽培液槽3をひし形とし、鋭角の対角方向に開口部30(33)と開口部24とを配置する構成とすることができる。
【0081】
植物栽培装置1の栽培液槽3において、栽培液槽3の水平面における形状は、細長い矩形であり、開口部30(33)と開口部24とは、互いに対角方向に配置されている。
【0082】
栽培液槽3の水平面における形状を矩形とすることで、植物栽培装置1の全体的な形状を直方体にし易くなる。一般的に、建物の室内は直方体を呈する。そのため、植物栽培装置1の全体的な形状を直方体とすることで、植物栽培装置1を室内に設置する際に、デットスペースが少なくなるように設置することができる。また、矩形を細長い形状とし、開口部30(33)と開口部24とを互いに対角方向に配置することで、開口部30(33)と開口部24との間の距離Pをできるだけ長くすることができ、開口部30(33)から開口部24に向かう流れに誘起されて発生される流れが増し、栽培液に滞留部が発生することを抑えることができる。
【0083】
図9に示すように、パイプ26の先端部26Aおよび栽培液供給パイプ32の先端部32AはL字型に曲げられ、開口部30(33)から槽内に流入される栽培液は、開口部24が配置される側に向かって水平方向に流入させる構成とすることが好ましい。
【0084】
かかる構成により、栽培液を上方から液面に落下させる場合に比べて、栽培液に流れを発生させ易くなる。そして、流入方向、すなわち開口部33から槽内に栽培液が流れ込む方向を開口部30(33)よりも開口部24側とすることで、開口部33から開口部24に向かう流れが発生し易くなり、槽内の栽培液に滞留が発生し難くなる。また、水平方向に栽培液を流入させることで、栽培液に流れが発生し易くなり、植物の根に刺激を与えやすくなる。
【0085】
図16,17に示すように、開口部30(33)の一部を栽培液槽3に貯留された栽培液の液面37よりも上側に配置し、開口部30(33)には、栽培液槽3内に流入する栽培液との間に空間36(図16)および空間40(図17)を形成することが好ましい。空間36,40が形成されることで、栽培液を曝気した状態で開口部30(33)から栽培液槽3内に流入させることができる。これにより栽培液の溶存酸素量を増やすことができる。
【符号の説明】
【0086】
1 … 植物栽培装置
2 … 棚体(取付体)
3 … 栽培液槽
5 … 栽培液タンク
6 … 液体ポンプ
24 … 開口部(流出部)
30,33 … 開口部(流入部)
37 … 液面
36,40 … 空間
Q … 栽培液槽に貯留される栽培液の水深
P … 流入部と流出部との距離
L … 流入部と栽培液槽の側面との最長の距離
M … 栽培液の流入量および流出量
【特許請求の範囲】
【請求項1】
栽培液が貯留される栽培液槽と、
前記栽培液槽内に前記栽培液を流入させる流入部と、
前記栽培液槽内に溜められた前記栽培液を前記栽培液槽から流出させる流出部と、
を備え、
前記流入部から前記栽培液槽内に流入される前記栽培液の流入量と、前記流出部から流出される流出量とが、前記栽培液槽内に所定量の前記栽培液が溜まった状態で等しくなるように設定されている植物栽培装置において、
前記栽培液が貯留される栽培液タンクと、
前記栽培液タンクから前記栽培液槽に前記栽培液を送出する液体ポンプと、
前記栽培液槽、前記栽培液タンクおよび前記液体ポンプが取り付けられる取付体と、
を有し、
前記流入部は、前記栽培液槽内の一箇所に前記栽培液を流入させ、
前記流出部は、前記栽培液槽内の一箇所から前記栽培液を流出させ、
前記流入部と前記流出部とは、前記栽培液槽の槽内を横断する位置に配置されている、
ことを特徴とする植物栽培装置。
【請求項2】
請求項1に記載の植物栽培装置において、
前記栽培液槽に貯留される栽培液の水深をQ、
前記流入部と前記流出部との距離をP、
前記流入部と前記栽培液槽の側面との最長の距離をL、
前記栽培液の流入量および流出量をM、
とするとき、
0.5cm≦Q≦7cm
20cm≦P≦150cm
L≦150cm
500cc/分≦M≦25000cc/分
とすることを特徴とする植物栽培装置
【請求項3】
請求項1または2に記載の植物栽培装置において、
前記栽培液槽は、水平方向の形状が細長い形状を呈し、
前記流入部と前記流出部とは長手方向に配置されている、
ことを特徴とする植物栽培装置。
【請求項4】
請求項3に記載の植物栽培装置において、
前記細長い形状は、矩形であり、
前記流入部と前記流出部とは、互いに対角方向に配置されている、
ことを特徴とする植物栽培装置。
【請求項5】
請求項1から4のいずれか1項に記載の植物栽培装置において、
前記流入部は、前記栽培液を、前記流出部が配置される側に水平方向に流入させる、
ことを特徴とする植物栽培装置。
【請求項6】
請求項5に記載の植物栽培装置において、
前記流入部の一部は、前記栽培液槽に貯留された栽培液の液面よりも上側に位置し、
前記流入部には、前記栽培液槽内に流入する前記栽培液との間に空間が形成されている、
ことを特徴とする植物栽培装置。
【請求項7】
栽培液が貯留される栽培液槽と、
前記栽培液槽内に前記栽培液を流入させる流入部と、
前記栽培液槽内に溜められた前記栽培液を前記栽培液槽から流出させる流出部と、
を備え、
前記流出部から前記栽培液槽内に流入される前記栽培液の流入量と、前記流出部から流出される流出量とが、前記栽培液槽内に所定量の前記栽培液が溜まった状態で等しくなるように設定されている植物栽培装置において、
前記栽培液が貯留される栽培液タンクと、
前記栽培液タンクから前記栽培液槽に前記栽培液を送出する液体ポンプと、
前記栽培液槽、前記栽培液タンクおよび前記液体ポンプが取り付けられる取付体と、
を有し、
前記流入部は、前記栽培液を、前記流出部が配置される側に水平方向に流入させ、
前記流入部の一部は、前記栽培液槽に貯留された栽培液の液面よりも上側に位置し、
前記流入部には、前記栽培液槽内に流入する前記栽培液との間に空間が形成されている、
ことを特徴とする植物栽培装置。
【請求項1】
栽培液が貯留される栽培液槽と、
前記栽培液槽内に前記栽培液を流入させる流入部と、
前記栽培液槽内に溜められた前記栽培液を前記栽培液槽から流出させる流出部と、
を備え、
前記流入部から前記栽培液槽内に流入される前記栽培液の流入量と、前記流出部から流出される流出量とが、前記栽培液槽内に所定量の前記栽培液が溜まった状態で等しくなるように設定されている植物栽培装置において、
前記栽培液が貯留される栽培液タンクと、
前記栽培液タンクから前記栽培液槽に前記栽培液を送出する液体ポンプと、
前記栽培液槽、前記栽培液タンクおよび前記液体ポンプが取り付けられる取付体と、
を有し、
前記流入部は、前記栽培液槽内の一箇所に前記栽培液を流入させ、
前記流出部は、前記栽培液槽内の一箇所から前記栽培液を流出させ、
前記流入部と前記流出部とは、前記栽培液槽の槽内を横断する位置に配置されている、
ことを特徴とする植物栽培装置。
【請求項2】
請求項1に記載の植物栽培装置において、
前記栽培液槽に貯留される栽培液の水深をQ、
前記流入部と前記流出部との距離をP、
前記流入部と前記栽培液槽の側面との最長の距離をL、
前記栽培液の流入量および流出量をM、
とするとき、
0.5cm≦Q≦7cm
20cm≦P≦150cm
L≦150cm
500cc/分≦M≦25000cc/分
とすることを特徴とする植物栽培装置
【請求項3】
請求項1または2に記載の植物栽培装置において、
前記栽培液槽は、水平方向の形状が細長い形状を呈し、
前記流入部と前記流出部とは長手方向に配置されている、
ことを特徴とする植物栽培装置。
【請求項4】
請求項3に記載の植物栽培装置において、
前記細長い形状は、矩形であり、
前記流入部と前記流出部とは、互いに対角方向に配置されている、
ことを特徴とする植物栽培装置。
【請求項5】
請求項1から4のいずれか1項に記載の植物栽培装置において、
前記流入部は、前記栽培液を、前記流出部が配置される側に水平方向に流入させる、
ことを特徴とする植物栽培装置。
【請求項6】
請求項5に記載の植物栽培装置において、
前記流入部の一部は、前記栽培液槽に貯留された栽培液の液面よりも上側に位置し、
前記流入部には、前記栽培液槽内に流入する前記栽培液との間に空間が形成されている、
ことを特徴とする植物栽培装置。
【請求項7】
栽培液が貯留される栽培液槽と、
前記栽培液槽内に前記栽培液を流入させる流入部と、
前記栽培液槽内に溜められた前記栽培液を前記栽培液槽から流出させる流出部と、
を備え、
前記流出部から前記栽培液槽内に流入される前記栽培液の流入量と、前記流出部から流出される流出量とが、前記栽培液槽内に所定量の前記栽培液が溜まった状態で等しくなるように設定されている植物栽培装置において、
前記栽培液が貯留される栽培液タンクと、
前記栽培液タンクから前記栽培液槽に前記栽培液を送出する液体ポンプと、
前記栽培液槽、前記栽培液タンクおよび前記液体ポンプが取り付けられる取付体と、
を有し、
前記流入部は、前記栽培液を、前記流出部が配置される側に水平方向に流入させ、
前記流入部の一部は、前記栽培液槽に貯留された栽培液の液面よりも上側に位置し、
前記流入部には、前記栽培液槽内に流入する前記栽培液との間に空間が形成されている、
ことを特徴とする植物栽培装置。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図20】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図20】
【公開番号】特開2013−21980(P2013−21980A)
【公開日】平成25年2月4日(2013.2.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−160397(P2011−160397)
【出願日】平成23年7月22日(2011.7.22)
【出願人】(511159451)エーピーエヌ株式会社 (1)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成25年2月4日(2013.2.4)
【国際特許分類】
【出願日】平成23年7月22日(2011.7.22)
【出願人】(511159451)エーピーエヌ株式会社 (1)
【Fターム(参考)】
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