説明

植物生育用土壌

【課題】保水性や保肥性に優れ、軽量化も量れ、取り扱いも簡単で環境にも優しい植物生育用土壌を提供すること。
【解決手段】紙を解繊したセルローズファイバーに、天然軽石等の発泡体を混合した土壌材を、所定寸法の不織布等で作成した袋に封入した、植物生育用土壌である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、植物生育用の土壌に関するものである。
【背景技術】
【0002】
最近の地球温暖化に対する対策として、屋上緑化や壁面緑化あるいは駐車場の緑化等が有効と言われ、その緑化基盤としての植物生育用土壌についていろいろの提案がなされている。
これらに関する文献としては、例えば下記の文献がある。
【0003】
【特許文献1】 特開2006−42760
【特許文献1】 特開2004−105029
【特許文献1】 特開2002−364130
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特開2006−42760においては、土壌を軽量化する対策として、発泡ガラス粒状体を使用した土壌が提案されている。
上記の提案は、土壌を軽量化するという点では優れているといえる。しかし、保水性や保肥性の点で充分であるかは疑問が残る。
特開2004−105029においては、発泡樹脂性床土の土壌が提案されている。
発泡樹脂性土壌の保水性や保肥性については優れたものがある。しかし、この土壌を処分する場合には環境に負荷がかかる。
特開2002−364130においては、パーライト等の軽量人工土壌基盤とし、その上に砂利を敷設した土壌の提案がなされている。これは保水性や保肥性の点では優れているといえるが、砂利を用いるので、軽量化の点では効果が減少する。
本発明は、保水性や保肥性に優れ、軽量化も計れ、運搬も容易で環境にも優しい天然素材の植物生育用土壌を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0005】
紙を解繊したセルローズファイバーに、天然軽石等の発泡体を混合した土壌材を、所定寸法の不織布等で作成した袋に封入した、植物生育用土壌である。
また、紙を解繊したセルローズファイバーに、天然軽石等の発泡体の他に、植物繊維及び植物チップ等を適宜混合してもよい。
さらに、土壌袋の上面と下面及び土壌材を固定するように、止め材を貫通固定させ、この止め材を複数個及び複数列取付けた植物生育用土壌基盤としてもよい。
【発明の効果】
【0006】
本発明は、紙を解繊したセルローズファイバーに天然軽石等の発泡体や植物繊維及び植物チップ等を混合した土壌を、所定寸法の不織布等の袋に封入したものであるので、取り扱いが簡単であり、保水性や保肥性に優れ、軽量化も量れ、天然素材を用いているので環境にも優しい
また、壁面緑化や傾斜地に使用する場合には、土壌袋の上面と下面及び土壌材を固定するように、止め材を貫通固定させ、この止め材を複数個及び複数列取付けた植物生育用土壌基盤とすれば、土壌を安定させ、土壌の偏りや流出を防ぐことができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0007】
本発明を図1により説明する。
紙を解繊機により解繊してセルローズファイバーとし、これに天然軽石等の発泡体を混合して土壌(2)を作成する。
所定寸法の不織布等の袋体(3)に上記の土壌(2)を封入してマット状とする。
【0008】
袋体(3)に土壌(2)を封入する方法は、袋体(3)の3辺を閉じて1辺を開けておき、そこから土壌(2)を入れて封入する方法の他に、袋体(3)の3辺を閉じて残りの1辺は少しだけ開けて閉じ、その開いているところから土壌(2)を吹き込み機により吹き込んだ後、開口部を閉じる方法もある。
また、袋体(3)の下布の上に成形した土壌(2)を乗せ、その上に袋体(3)の上布を被せて成形し、マット状に加工する方法も考えられる。
上記の方法は、下記の実施例1においても同様に適用できる。
【0009】
不織布等の袋体(3)は、通気性及び耐久性があるものを使用することが好ましく、細かい網状の布でもよい。
さらに、袋体(3)の上面に土壌(2)がこぼれない程度の小さな穴を多数穿つことにより、根の張りを良くすることができる。
また、本発明を一般の植栽用として使用する場合には、通気性のない布やプラスチックシートのような全く通気性のない素材を用いても、上面に植栽用の穴を設けることにより使用可能である。(図5)
【0010】
紙は、環境保護等の面から出来るだけ新聞紙やダンボール等の古紙を使用することが望ましい。また、紙とプラスチックフィルムや樹脂でラミネートされたもの、例えば、紙コップ、紙容器あるいは高級印刷物等現状では廃棄されているものも解繊機で解繊して、植物生育用土壌として使用することができる。
さらに、環境的効用の利点から見て、機密文書等シュレッダーにかけられ細かく裁断された紙片は、再生が困難で殆どが焼却されているが、それ等も解繊機で解繊してセルローズファイバーとし、土壌として活用できる。
【0011】
土壌(2)は、紙を解繊したセルローズファイバーと、天然軽石等を混合したものである。
天然軽石には、例えば、火山岩を砕いたものやシラス等があり、人工軽石にはパーライト、バーミキュライト、ガラス発泡体(例えば商品名スーパーソル)やクリンカアッシュ等がある。
上記のような天然軽石及び人工軽石を適宜選択してセルローズファイバーと混合し、攪拌する。特にガラス発泡体は、ガラスのリサイクル製品として、軽量で環境にも優しく、優れたものといえる。
【0012】
土壌(2)に混入する素材は、紙を解繊したセルローズファイバーと天然軽石等の発泡体の他に、植物繊維及び植物チップ等を適宜混合してもよい。
植物繊維として、例えば、樹皮やヤシガラ材の短繊維等があり、植物チップとしては、木材チップやオガクズ等がある。これらを混合することにより、軽量化や保水性あるいは保肥性の向上が期待できる。
【0013】
上記のような土壌材に、EM菌、VA菌、放線菌、乳酸菌、酵母菌、光合成細菌、根粒菌あるいはBM菌等の有用菌を適宜混合してもよい。
また、土壌(2)はセルローズファイバーのみで、天然軽石等を混入しなくても上記のような有用菌や有機肥料を混入したものとしてもよい。
【0014】
植物生育用土壌(1)の寸法は、例えば芝生(5)の緑化基盤として用いる場合には、芝生(5)1枚の寸法(例えば約360mm×280mm)に合せた寸法とする。
植物生育用土壌(1)の上に芝生(5)を載せて養生すると、芝生の天然土壌ができ、時間の経過と共に芝生(5)の根が植物生育用土壌(1)の中に伸びて一体化し、天然芝の緑化土壌が出来上がる。(図4)
屋上緑化や駐車場緑化の場合は、この天然芝の緑化土壌をただ敷き詰めるだけでよく、メンテナンスも簡単なので省力化が計れる。また、家庭の庭や学校の校庭の緑化等巾広い用途が考えられる。
【実施例1】
【0015】
本発明の実施例1を図2及び図3により説明する。
紙を解繊機により解繊してセルローズファイバーとし、これに天然軽石等の発泡体を混合して土壌(2)を作成する。
所定寸法の不織布等の袋体(3)に上記の土壌(2)を封入してマット状とする。
該マット状とした袋体(3)において、袋体(3)と土壌(2)とを固定するようにタグピンや糸等の止め材(4)によって複数個所及び複数列固定する。
この植物生育用土壌(1)は、土壌(2)の偏りを防止しているので、壁面緑化や傾斜地に使用するのに適している。(図6)
【実施例2】
【0016】
屋上緑化や駐車場緑化等の場合、土壌を袋体に封入せずに、防根処置を施工した上に不織布等のシート(6)を敷き、その上に紙を解繊したセルローズファイバー(7)を敷き詰め、その上にシート(6)を敷き、その上に天然軽石等(8)を敷き詰め、又シート(6)を敷き、その上にセルローズファイバー(7)を敷き詰め、その上にシート(6)を敷くというように何層かに重ねて散水、押圧したものを緑化基盤とし、その上に天然芝や花木を植栽して養生することもできる。(図7)
【図面の簡単な説明】
【0017】
【図1】本発明の斜視図(一部破断図)
【図2】本発明の実施例1を示す斜視図(一部破断図)
【図3】A−A断面図
【図4】本発明を芝生の緑化基盤として用いた場合の参考図
【図5】本発明の上面に植栽用の穴を設けて植栽した場合の参考図
【図6】傾斜地緑化の例を示す参考図
【図7】実施例2を示す断面図
【符号の説明】
【0018】
1 植物生育用土壌
2 土壌
3 袋体
4 止め材
5 芝生
6 シート
7 セルローズファイバー
8 天然軽石等

【特許請求の範囲】
【請求項1】
紙を解繊したセルローズファイバーに、天然軽石等の発泡体を混合した土壌材を、所定寸法の不織布等で作成した袋に封入した、植物生育用土壌。
【請求項2】
紙を解繊したセルローズファイバーに、天然軽石等の発泡体、植物繊維及び植物チップ等を適宜混合した土壌材を、所定寸法の不織布等で作成した袋に封入した、植物生育用土壌。
【請求項3】
請求項1及び請求項2に記載の植物生育用土壌において、土壌袋の上面と下面及び土壌材を固定するように、止め材を貫通固定させ、この止め材を複数個及び複数列取付けた、植物生育用土壌基盤。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2010−57469(P2010−57469A)
【公開日】平成22年3月18日(2010.3.18)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−259056(P2008−259056)
【出願日】平成20年9月4日(2008.9.4)
【出願人】(399001989)株式会社クリテー (10)
【Fターム(参考)】