説明

植物生長制御組成物及び殺真菌組成物

本発明は、植物又はその繁殖材料の生長を制御することができる組成物であって、植物の生長を制御する活性成分として、成分(A)及び成分(B)の混合物を含んで成り、成分(A)がパクロブトラゾールであり、そして成分(B)がジフェノコナゾール、イプコナゾール、メトコナゾール、テブコナゾール、プロチオコナゾール、シプロコナゾール、プロピコナゾール及びエポキシコナゾールから選択され、成分(A)及び成分(B)が相乗効果をもたらす量で前記組成物中に存在している、組成物を提供する。好ましくは、前記組成物は、植物の生長を制御する活性成分として、パクロブトラゾール及びジフェノコナゾールの混合物を、相乗効果をもたらす量で含んで成り、そして前記組成物は、施与により植物の生長を阻害し、それにより収量/品質を増大させる。前記組成物はまた、植物又はその植物繁殖材料上の植物病原性真菌の増殖及び/又は蔓延を予防及び/又は処理することができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、植物の生長を制御するための新規組成物及び植物病原性真菌を防除するための新規組成物に関する。本発明は更に、植物の生長を制御するため、特に、植物の生長を阻害して収量を増大させるための、そして植物病原性真菌の防除のための前記組成物の使用に関する。
【0002】
パクロブトラゾール((2RS,3RS)−1−(4−クロロフェニル)−4,4−ジメチル−2−(1H−1,2,4−トリアゾール−1−イル)−ペンタン−3−オール)は、植物生長制御因子である。これはよりコンパクトで且つ機械的な強度のある植物を産生するのに使用される。従って、倒伏を抑制し、そして有用植物の収量を増大させるために使用される。
【0003】
他の既知の植物生長制御因子の例として、プロヘキサジオン(3,5−ジオキソ−4−(1−オキソプロピル)シクロヘキサンカルボキシラート)及びクロルメコート(2−クロロ−N,N,N−トリメチルエタンアミニウム(trimethylethanaminium))がある。
【0004】
トリアゾール系の殺真菌剤、例えばジフェノコナゾール(1−[2−[2−クロロ−4−(4−クロロフェノキシ)フェニル]−4−メチル−1,3−ジオキソラン−2−イルメチル]−1H−1,2,4−トリアゾール)はステロイド系脱メチル化阻害剤(エルゴステロール生合成阻害剤)であり、子嚢菌類、担子菌類及び不完全菌類によって引き起こされる多数の疾患に対し有効な殺真菌剤として使用される。
【0005】
驚いたことに、パクロブトラゾールと他の幾つかの植物生長制御化合物の植物生長制御特性が、ジフェノコナゾール、イプコナゾール、メトコナゾール、テブコナゾール、プロチオコナゾール、シプロコナゾール、プロピコナゾール及びエポキシコナゾールから選択されるトリアゾール系の殺真菌剤と組み合わせた場合に有意に増強されうることが今回明らかとなった。
【0006】
従って、本発明は、植物又はその繁殖材料の生長を制御することができる組成物であって、植物の生長を制御する活性成分として、成分(A)及び成分(B)の混合物を含んで成り、成分(A)がパクロブトラゾールであり、そして成分(B)がジフェノコナゾール、イプコナゾール、メトコナゾール、テブコナゾール、プロチオコナゾール、シプロコナゾール、プロピコナゾール及びエポキシコナゾールから選択され、成分(A)及び成分(B)が相乗効果をもたらす量で前記組成物中に存在している、組成物を提供する。
【0007】
本発明は更にまた、植物又はその繁殖材料上の植物病原性真菌を防除することができる組成物であって、殺真菌活性成分として、成分(A)及び成分(B)の混合物を含んで成り、成分(A)がパクロブトラゾールであり、そして成分(B)がジフェノコナゾール、イプコナゾール、メトコナゾール、テブコナゾール、プロチオコナゾール、シプロコナゾール、プロピコナゾール及びエポキシコナゾールから選択され、成分(A)及び成分(B)が相乗効果をもたらす量で前記組成物中に存在している、組成物を提供する。
【0008】
本発明の特定の態様において、前記組成物は、植物生長制御及び/又は殺真菌のための活性成分として(A)パクロブトラゾール及び(B)ジフェノコナゾールの混合物を含んで成り、ここで、前記(A)及び(B)は相乗効果をもたらす量で前記組成物中に存在している。好ましい態様において、前記組成物は、植物の生長を制御する活性成分として、パクロブトラゾール及びジフェノコナゾールの混合物を、相乗効果をもたらす量で含んで成る。本発明の更に別の態様において、成分(A)は遊離型のパクロブトラゾールである。
【0009】
更に別の態様において、前記組成物は、植物生長制御及び/又は殺真菌のための活性成分として、(A)パクロブトラゾール及び(B)メトコナゾールの混合物を含んで成り、前記(A)及び(B)は、相乗効果をもたらす量で前記組成物中に存在する。
【0010】
更に別の態様において、前記組成物は、植物生長制御及び/又は殺真菌のための活性成分として、(A)パクロブトラゾール及び(B)イプコナゾールの混合物を含んで成り、前記(A)及び(B)は、相乗効果をもたらす量で前記組成物中に存在する。
【0011】
更に別の態様において、前記組成物は、植物生長制御及び/又は殺真菌のための活性成分として、(A)パクロブトラゾール及び(B)テブコナゾールの混合物を含んで成り、前記(A)及び(B)は、相乗効果をもたらす量で前記組成物中に存在する。
【0012】
更に別の態様において、前記組成物は、植物生長制御及び/又は殺真菌のための活性成分として、(A)パクロブトラゾール及び(B)プロチオコナゾールの混合物を含んで成り、前記(A)及び(B)は、相乗効果をもたらす量で前記組成物中に存在する。
【0013】
更に別の態様において、前記組成物は、植物生長制御及び/又は殺真菌のための活性成分として、(A)パクロブトラゾール及び(B)シプロコナゾールの混合物を含んで成り、前記(A)及び(B)は、相乗効果をもたらす量で前記組成物中に存在する。
【0014】
更に別の態様において、前記組成物は、植物生長制御及び/又は殺真菌のための活性成分として、(A)パクロブトラゾール及び(B)プロピコナゾールの混合物を含んで成り、前記(A)及び(B)は、相乗効果をもたらす量で前記組成物中に存在する。
【0015】
更に別の態様において、前記組成物は、植物生長制御及び/又は殺真菌のための活性成分として、(A)パクロブトラゾール及び(B)エポキシコナゾールの混合物を含んで成り、前記(A)及び(B)は、相乗効果をもたらす量で前記組成物中に存在する。
【0016】
本発明はまた更に、植物又はその繁殖材料の生長を制御し、そして/あるいは植物又はその繁殖材料上の植物病原性真菌を防除することができる組成物であって、生長制御及び/又は殺真菌のための活性成分として、成分(A)及び成分(B)の混合物を含んで成り、成分(A)がプロヘキサジオンであり、そして成分(B)がジフェノコナゾール、イプコナゾール、メトコナゾール、テブコナゾール、プロチオコナゾール、シプロコナゾール、プロピコナゾール及びエポキシコナゾールから選択され、成分(A)及び成分(B)が相乗効果をもたらす量で前記組成物中に存在している、組成物を提供する。特定の態様において、前記組成物は、植物の生長を制御する活性成分として、プロヘキサジオン及びメトコナゾールの混合物を、相乗効果をもたらす量で含んで成る。本発明の更に別の態様において、前記プロヘキサジオンはカルシウム塩として使用される。
【0017】
本発明はまた更に、植物又はその繁殖材料の生長を制御することができ、そして/あるいは植物又はその繁殖材料上の植物病原性真菌を防除することができる組成物であって、生長の制御及び/又は殺真菌のための活性成分として、成分(A)及び成分(B)の混合物を含んで成り、成分(A)がクロルメコートであり、そして成分(B)がジフェノコナゾール、イプコナゾール、プロチオコナゾール、シプロコナゾール、プロピコナゾール及びエポキシコナゾールから選択され、成分(A)及び成分(B)が相乗効果をもたらす量で前記組成物中に存在している、組成物を提供する。本発明の更に別の態様において、クロルメコートは塩化物として使用される。
【0018】
本発明の更に別の態様において、成分(B)は遊離型で使用される。
【0019】
本発明の組成物は、特に、顕著な生長制御特性であって、栽培植物及び/又は収穫作物の収量及び品質の増大をもたらすことができるものを有している。
【0020】
本発明の組成物は、単子葉植物及び双子葉植物の双方の栄養生長を阻害することができる。栽培植物の栄養生長の阻害は、より多くの植物を作物の領域で植え付けることを可能にし、その結果、より多くの収量が単位面積当たり得られるようになる。生長制御因子を用いての収量の増大の更なるメカニズムは、栄養物が花成及び結果をより広範囲にまで促進することができ、一方で、栄養生長が阻害されるという事実に存する。
【0021】
単子葉植物、例えば草又は栽培植物、例えば穀類の栄養生長の阻害は、特に望ましく、且つ有利である。かかる生長の阻害は、経済的関心事であり、特に、草に関する限りでは、花園、公園、運動又は路肩における草刈りの頻度は結果的に軽減しうる。また、路肩上及び送電線付近の、あるいは一般的には力強い生長が望まれていない領域における草本系及び木質系の植物の生長を阻害することも望ましい。
【0022】
穀類及びナタネの高さの生長を阻害するための生長制御因子の使用も重要であり、これは茎が短くなることで収穫前に倒伏する危険性を軽減し又は完全に排除するためである。更に、生長制御因子は禾穀類の茎の強化をもたらすことができ、そしてこのことは更に倒伏を弱める。
【0023】
しかしながら、植物の生長の制御に関する現実の相乗効果に加え、本発明の組成物は、広い意味での相乗活性として説明することもできる更に驚くべき有利な特性を有することがある。
【0024】
言及可能なそのような有利な特性の例として以下のものがある。相乗殺真菌活性(例えば、トリアゾール系の殺真菌剤及び生長制御因子の施与の回数は減少し、同時に、殺真菌作用が同等に良好なままである);他の植物病原菌、例えば耐性菌に対する殺真菌活性のスペクトルの広域化;活性成分の施与の回数の減少;より有利な分解性;毒性学的挙動及び/又は環境毒性学的挙動の向上。
【0025】
成分(A)及び成分(B)は、"The Pesticide Manual" [The Pesticide Manual - A World Compendium; Thirteenth Edition; Editor: C. D. S. Tomlin; The British Crop Protection Council]に記載されている。パクロブトラゾールは、その中で、エントリーナンバー612で記載されており、プロヘキサジオンはエントリーナンバー664、クロルメコートはエントリーナンバー137、ジフェノコナゾールはエントリーナンバー247、イプコナゾールはエントリーナンバー468、メトコナゾールはエントリーナンバー525、テブコナゾールはエントリーナンバー761、プロチオコナゾールはエントリーナンバー685、シプロコナゾールはエントリーナンバー207、プロピコナゾールはエントリーナンバー675、そしてエポキシコナゾールはエントリーナンバー298で記載されている。
【0026】
成分(A)及び成分(B)は、異なる立体異性体として存在しうる。本発明は、それら全ての立体異性体又はあらゆる比率のこれらの立体異性体の混合物を網羅する。
【0027】
従って、本発明は、パクロブトラゾール、ジフェノコナゾール、イプコナゾール、メトコナゾール、テブコナゾール、プロチオコナゾール、シプロコナゾール、プロピコナゾール及びエポキシコナゾールが、それらの遊離型又はそれらの塩若しくは金属錯体のいずれかで使用されうることを提供する。
【0028】
パクロブトラゾール及び/又はジフェノコナゾールの上述の塩は、パクロブトラゾール及び/又はジフェノコナゾールの各遊離型と酸とを反応させることで調製することができる。
【0029】
パクロブトラゾール及び/又はジフェノコナゾールの塩の調製に使用することができる酸のうち、以下のものを挙げることができる:ハロゲン化水素酸、例えばフッ化水素酸、塩酸、臭化水素酸又はヨウ化水素酸;硫酸、リン酸、硝酸、及び有機酸、例えば酢酸、トリフルオロ酢酸、トリクロロ酢酸、プロピオン酸、グリコール酸、チオシアン酸、乳酸、コハク酸、クエン酸、安息香酸、桂皮酸、シュウ酸、ギ酸、ベンゼンスルホン酸、p−トルエンスルホン酸、メタンスルホン酸、サリチル酸、p−アミノサリチル酸、2−フェノキシ安息香酸、2−アセトキシ安息香酸及び1,2−ナフタレン−ジスルホン酸。
【0030】
金属錯体は、基礎をなす有機分子及び無機又は有機金属塩、例えばハロゲン化物、硝酸塩、硫酸塩、リン酸塩、酢酸塩、トリフルオロ酢酸塩、トリクロロ酢酸塩、プロピオン酸塩、酒石酸塩、スルホン酸塩、サリチル酸塩、安息香酸塩等から成り、そして、II族の主族元素、例えばカルシウム及びマグネシウム、III及びIV族の主族元素、例えばアルミニウム、錫又は鉛から成り、そしてI〜VIII族の亜族元素、例えばクロム、マンガン、鉄、コバルト、ニッケル、銅、亜鉛等から成る。第4周期の亜族元素が優先される。前記金属は、それらが生じる異なる原子化のいずれかを有してもよい。金属錯体は、単核又は多核であってもよく、すなわち、それらはリガンドとして1又は複数の有機分子成分を含むこともできる。
【0031】
本発明はまた更に、上述の組成物であって、植物又はその繁殖材料の生長を阻害することで植物の生長を制御する組成物を提供する。
【0032】
本明細書を通じて、「組成物」なる表現は、成分(A)及び成分(B)の種々の混合物又は組み合わせ、例えば単一の「レディミックス」型、単一の活性成分の異なる製剤から構成される複合型のスプレー混合物、例えば「タンクミックス」、及び、連続して、すなわち合理的に短い期間で、例えば二、三時間又は二、三日で次々と単一の活性成分を施与する場合の当該単一の活性成分の併用、を表す。成分(A)及び成分(B)を施与する順序は本発明の実施にとって本質的なものではない。
【0033】
本発明の組成物は更に、追加の殺虫剤を含んでもよい。
【0034】
本発明の組成物は、有害微生物、例えば、植物病原性の病気を引き起こすもの、特に真菌及び細菌に対し有効である。
【0035】
本発明の組成物は、以下の綱に属する植物病原性真菌:子嚢菌類(例えば、ベンツリア(Venturia)、ポドスファエラ(Podosphaera)、エリシフェ(Erysiphe)、モニリニア(Monilinia)、マイコスファレラ(Mycosphaerella)、ウンシヌラ(Uncinula))、担子菌類(Basidiomycetes)(例えば、ヘミレイア(Hemileia)、リゾクトニア(Rhizoctonia)、ファコプソラ(Phakopsora)、プクシニア(Puccinia)、ウスチラゴ (Ustilago)(例えば、ウスチラゴ・ヌーダ(Ustilago nuda))、チレチア(Tilletia)属;(不完全菌類(Deuteromycetes)としても知られている)不完全真菌(Fungi imperfecti)(例えば、ボトリチス(Botrytis)、ヘルミントスポリウム(Helminthosporium)、リンコスポリウム(Rhynchosporium)、フサリウム(Fusarium)、セプトリア(Septoria)、セルコスポラ(Cercospora)、アルテルナリア(Alternaria)、ピリキュラリア(Pyricularia)及びシュードセルコスポレラ(Pseudocercosporella));卵菌類(例えば、フィトフトラ(Phytophthora)、ペロノスポラ(Peronospora)、シュードペロノスポラ(Pseudoperonospora)、アルブゴ(Albugo)、ブレミア(Bremia)、ピシウム(Pythium)、シュードスクレロスポラ(Pseudosclerospora)、プラスモパラ(Plasmopara))。
【0036】
本発明を通じて、用語「植物」は、以下の種の植物を含む:ブドウの木;穀類、例えばコムギ、オオムギ、ライムギ又はオートムギ;ビート、例えば、テンサイ又は飼料用ビート;果実、例えば、ナシ状果、核果又は軟質果、例えばリンゴ、ナシ、プラム、モモ、アーモンド、チェリー、イチゴ、ラズベリー又はブラックベリー;マメ科植物、例えばインゲン、レンズ豆、エンドウ豆又は大豆;油糧植物、例えば、ナタネ、マスタード、ポピー、オリーブ、ヒマワリ、ココナツ、ヒマシ油植物、カカオ豆又は落花生;キュウリ植物、例えばマロー、キュウリ又はメロン;繊維植物、例えば綿花、亜麻、麻又はジュート;柑橘類果実、例えばオレンジ、レモン、グレープフルーツ又はミカン;野菜、例えばホウレンソウ、レタス、アスパラガス、キャベツ、ニンジン、タマネギ、トマト、ジャガイモ、ウリ又はパプリカ;クスノキ科、例えばアボカド、シナモン又は樟脳;トウモロコシ;タバコ;ナッツ;コーヒー;サトウキビ;茶;ワイン用ブドウ;ホップ;ドリアン;バナナ;天然ゴム植物;芝又は観葉植物、例えば花、低木、広葉樹又は常緑樹、例えば針葉樹。
【0037】
より具体的には、本発明に関して特に注目すべき「植物」は、穀類;ダイズ;コメ;ナタネ;ナシ状果;軟質果;ピーナッツ;コーヒー;茶;イチゴ;芝;ワイン用ブドウ及び野菜、例えばトマト、ジャガイモ、ウリ及びレタスである。
【0038】
用語「植物」はまた、通常遺伝子組換え植物、例えば除草剤、殺虫剤、殺真菌剤に対する耐性が賦与された植物又はそれ以外の何らかの方法で、例えば収量、干ばつ耐性又は品質を強化するよう改良された植物も含む。かかる遺伝子組換え植物は、当業者に周知の組換え核酸技術を介して改良してもよい。
【0039】
本明細書で使用する植物の「場所(locus)」という用語は、当該植物が生長する場所、当該植物の植物繁殖材が植え付けられる場所、又は当該植物の植物繁殖材が土壌に配置される場所を包含することが意図されている。そのような場所の例は、作物植物が生長する圃場である。
【0040】
「植物繁殖材料」という用語は、植物の生殖部分(generative part)、例えば植物の生長に使用することができる種子、及び例えばジャガイモの挿し木又は塊茎などの栄養物質を意味すると理解される。これらは、例えば種子(厳密な意味で)、根、果実、塊茎、球根、根茎及び植物の部分について言及されることもある。発芽した植物及び発芽もしくは土壌から出芽後移植される幼植物も言及されることがある。これらの幼植物は、含浸による全体又は一部の処理により移植前に保護されてもよい。
【0041】
特定の態様において、「植物繁殖材料」は、種子を意味する。
【0042】
本発明の組成物は、ウドン粉病;さび病;斑点病の下位概念;夏疫病及びカビ;特に、穀類におけるセプトリア、プクシニア、エリシフェ、ピレノフォラ(Pyrenophora)及びタペシア(Tapesia);ダイズにおけるファコプソラ(Phakopsora);コーヒーにおけるヘミレイア;バラにおけるフラグミディウム(Phragmidium);ジャガイモ、トマト及びウリにおけるアルテルナリア;芝、野菜、ヒマワリ及びナタネにおけるスクレロチニア(Sclerotinia);ワイン用ブドウの黒菌病、赤焼け(red fire)、ウドン粉病、灰色かび病及びつる割れ病;果実のボトリチス・シネレア(Botrytis cinerea);果実のモリニリア種に対して特に有効である。
【0043】
本発明の組成物は更に、以下の植物の病気を防除するのに特に有用である。
果物及び野菜におけるアルテルナリア種、
豆穀類におけるアスコキタ種(Ascochyta spp.)、
イチゴ、トマト、ヒマワリ、豆類、野菜及びブドウにおけるハイイロカビ(Botrytis cinerea)(灰色カビ)、
落花生におけるセルコスポラ・アラキジコラ(Cercospora arachidicola)、
穀類におけるコクリオボルス・サチブス(Cochliobolus sativus)、
豆穀類におけるコレトトリクム種(Colletotrichum spp.)、
ウリ科植物におけるエリシフェ・シコラセアルム(Erysiphe cichoracearum)とスファエロテカ・フリギネア(Sphaerotheca fuliginea)、
穀類とトウモロコシにおけるフサリウム種(Fusarium spp.)、
穀類と芝生におけるゴイマにおけるミセス・グラミニス(Gaaumannomyces graminis)、
トウモロコシ、コメ及びジャガイモにおけるヘルミントスポリウム種(Helminthosporium spp.)、
コーヒーにおけるヘミレイア・バストトリックシ(Hemileia vastatrix)、
小麦とライムギにおけるミクロドキウム種(Microdochium spp.)、
ダイズにおけるファコプソラ種(Phakopsora spp.)、
穀類、広葉の作物及び多年生の作物におけるプクシニア種(Puccinia spp.)、
穀類におけるシュードセルコスポレラ種(Pseudocercosporella spp.)
バラにおけるフラグミジウム・ムクロナツム(Phragmidium mucronatum)、
果物におけるポドスファエラ種(Podoshpaera spp.)
大麦におけるピレノホラ種(Pyrenophora spp.)、
コメにおけるピリクラリア・オリザエ(Pyricularia oryzae)、
綿花、ダイズ、穀類、トウモロコシ、ジャガイモ、コメ、及び芝生におけるリゾクトニア種(Rhizoctonia spp.)、
オオムギ及びライムギにおけるリンコスポリウム・セカリス(Rhyncosporium secalis)、
芝生、レタス、野菜及びナタネにおけるスクレロチニア種(Sclerotinia spp.)、
穀類、ダイズ及び野菜におけるセプトリア種(Septoria spp.)
トウモロコシにおけるスファセロテカ・レイリアナ(Sphacelotheca reilliana)、
穀類におけるチレチア種(Tilletia spp.)、
ワイン用ブドウにおけるウンシヌラ・ネクトール、グイナルジア・ビドウェリ(Guignardia bidwellii)及びフォモプシス・ビチコラ(Phomopsis viticola)、
ライムギにおけるウロシチス・オキュルタ(Urocystis occulta)、
穀類及びトウモロコシにおけるウスチラゴ種(例えば、ウスチラゴ・ヌーダ(Ustilago nuda))、
果実におけるベンチュリア種、
果実におけるモニリニア種、
柑橘類及びリンゴにおけるペニシリウム種。
【0044】
本発明の組成物は、浸透性(systemic)の殺真菌作用を有し、茎葉、土壌及び種子の処理用殺真菌剤として使用することができる。
【0045】
本発明の組成物の使用を介して、様々な有用植物の植物体又は植物の一部(果実、花、葉、茎、塊茎、根)において生じる植物病原性微生物を阻害又は破壊することが可能であるが、同時に遅れて生長する植物の一部も、植物病原性の微生物の攻撃から保護される。
【0046】
本発明の組成物は、種々の有用植物又はそれらの種子、特にブドウの木;穀類、例えばコムギ、オオムギ、ライムギ又はオートムギ;ビート、例えば、テンサイ又は飼料用ビート;果実、例えば、ナシ状果、核果;マメ科植物、例えば大豆;油糧植物、例えば、ナタネ、マスタード、ポピー、オリーブ、ヒマワリ;繊維植物、例えば綿花;野菜、例えばレタス、キャベツ、トマト、ジャガイモ;クスノキ科、例えばアボカド;コーヒー;バナナ;芝又は観葉植物における多数の真菌を防除するために特に注目すべきものである。
【0047】
本発明の組成物は、真菌、植物、その場所又は繁殖材料を本発明の組成物で処理することで施与することができる。当該施与は、植物の出芽前、植え付け前又は植え付け後に土壌に行ってもよい。当該施与は、葉面散布として、作物が発育する間の異なるタイミングで、出芽後早晩に1又は2回の施与により行ってもよい。
【0048】
本発明の組成物は、有用植物又はその繁殖材料に真菌が感染する前又は後に施与することができる。
【0049】
施与されるべき本発明の組成物の量は、種々の要因、処理の対象、例えば植物、土壌又は種子など;処理の種類、例えば噴霧、散粉又は種子ドレッシングなど;処理の目的、例えば予防又は治療など;防除される真菌の種類又は施用時間などによって依存するであろう。
【0050】
成分(A)対成分(B)の重量比は、相乗活性をもたらすように選択される。通常、成分(A)対成分(B)の重量比は、1000:1〜1:1000、好ましくは100:1〜1:100、より好ましくは10:1〜1:10、より好ましくは6:1〜1:6、例えば、パクロブトラゾール:ジフェノコナゾールは1:2である。
【0051】
本発明の組成物の相乗活性は、成分(A)及び成分(B)の組成物の生長制御特性が成分(A)及び成分(B)の生長制御特性の合計よりも大きいという事実から明らかである。
【0052】
成分(A)が植物に施与される場合、5〜2000g、5〜2000g a.i./ha、特に10〜1000g a.i./ha 、例えば、37.5、50、62.5、75、100又は200g a.i./ha の割合で、成分(B)の化合物1〜5000g a.i./ha 、特に2〜2000g a.i./ha、例えば75、100、125、250、500、800、1000、1500g a.i./haと共に施与される。
【0053】
実際の農業では、本発明の組合せの施用率は、望ましい作用のタイプに依存し、典型的には1ha当たり組成物の合計量が20〜4000g、好ましくは20〜1000gの範囲である。
【0054】
本発明の組成物が種子の処理に使用される場合、成分(A)が種子1kg当たり0.001〜50g、好ましくは0.01〜10g、そして成分(B)が種子1kg当たり0.001〜50g、好ましくは0.01〜10g、の比率で通常十分である。
【0055】
本発明の組成物は、任意の通常の形態、例えばツインパック、乾燥種子処理用粉剤(DS)、種子処理用乳剤(ES)、種子処理用流動性濃縮物(FS)、種子処理用液剤(LS)、種子処理用水分散性粉剤(WS)、種子処理用カプセル懸濁液(CF)、種子処理用ゲル剤(GF)、乳液濃縮物(EC)、懸濁液濃縮物(SC)、サスポ(suspo)−乳剤(SE)、カプセル懸濁液(CS)、顆粒水和剤(WG)、乳化性顆粒(EG)、油中水型乳剤(EO)、水中油型乳剤(EW)、マイクロ−乳剤(ME)、油性分散液剤(OD)、流動性油剤(OF)、油剤(OL)、可溶性濃縮物(SL)、超微量散布用懸濁液(SU)、超微量散布用液剤(UL)、製剤用濃縮物(TK)、分散性濃縮物(DC)、水和粉剤(WP)の形態、又は農業的に許容される補助剤と組合せたいずれかの技術的に実施可能な製剤で使用することができる。
【0056】
そのような組成物は、従来の方法で、例えば、活性成分の適当な製剤不活性物質(希釈剤、溶媒、充填剤及び任意に他の製剤構成成分、例えば界面活性剤、殺生物剤、凍結防止剤、展着剤、増粘剤及び補助作用を提供する化合物)との混合により作成されてもよい。同じく従来の徐放製剤も、長期間の効能の維持が意図される場合に使用することができる。特に噴霧型で施用される製剤、例えば水分散性濃縮物(例えば、EC、SC、DC、OD、SE、EW、EOなど)、水和粉剤及び顆粒などは、湿潤剤及び分粉剤のような界面活性剤、並びに補助作用を提供する他の化合物、例えば、ホルムアルデヒドとナフタレンスルホン酸、スルホン酸アルキルアリール、リグニンスルホン酸、脂肪族アルキル硫酸塩の縮合生成物、並びにエトキシル化されたアルキルフェノール及びエトキシル化された脂肪族アルコールを含有してもよい。
【0057】
種子ドレッシング製剤は、本発明の組成物及び種子ドレッシング製剤型に適した希釈剤を、種子に対して優れた接着性を有する水性懸濁液として又は乾燥粉剤中に使用し、種子へそれ自身公知の方法で塗布される。そのような種子ドレッシング製剤は、当該技術分野において公知である。種子ドレッシング製剤は、例えば、徐放性カプセル又はマイクロカプセルとして、カプセル封入された形で単独の活性成分又は活性成分の組合せを含むことができる。
【0058】
一般にこれらの製剤は、活性物質を0.01〜90重量%、農業的に許容できる界面活性剤を0〜20%、及び固形又は液体製剤用不活性物質及び補助剤(複数)を10〜99.99%含有し、この活性物質は、少なくとも成分B)の化合物と一緒にした式Iの化合物、及び任意に他の活性物質、特に殺微生物剤又は保存剤(conservative)などからなる。濃縮された形の組成物は一般に、活性物質を約2〜80%、好ましくは約5〜70重量%含有する。製剤の適用型は、活性物質を例えば0.01〜20重量%、好ましくは0.01〜5重量%含有する。市販の製品は濃縮物として製剤されることが好ましいが、最終消費者は通常希釈された製剤を使用する。
【0059】
本発明はまた更に、植物又はその繁殖材料の生長を制御する方法であって、植物、その場所又はその繁殖材料に対し上述の組成物を施与することを含んで成る方法、を提供する。本発明の特定の態様において、前記組成物は、植物の生長を制御する活性成分として、パクロブトラゾール及びジフェノコナゾールの混合物を、相乗効果をもたらす量で含んで成る。
【0060】
本発明はまた更に、植物の生長を制御して収量の増大を享受する方法であって、当該植物、その場所又はその繁殖材料に対し上述の組成物を施与することを含んで成る方法を提供する。好ましくは、前記組成物は、植物の生長を制御する活性成分として、パクロブトラゾール及びジフェノコナゾールの混合物を、相乗効果をもたらす量で含んで成る。
【0061】
本発明はまた更に、植物又はその繁殖材料の植物病原性の病気を防除する方法であって、当該植物、その場所又はその繁殖材料に対し上述の組成物を施与することを含んで成る方法を提供する。特定の態様において、前記組成物は前記植物又はその場所に施与される。更に追加の態様において、前記組成物は前記植物の繁殖材料に施与される。
【0062】
本発明はまた更に、前記植物又はその繁殖材料が穀類又はナタネ植物あるいはその繁殖材料である、上述の方法を提供する。
【0063】
本発明の追加の観点において、植物又はその繁殖材料の生長を制御する方法における上述の組成物の使用が提供される。本発明の特定の態様において、前記植物又は前記繁殖材料の生長が阻害される。本発明の追加の態様において、前記植物又は前記繁殖材料は穀類又はナタネ植物あるいはその繁殖材料である。
【0064】
更に追加の観点において、植物及び/又はその繁殖材料に対する植物病原性真菌の増殖及び/又は蔓延についての予防及び/又は処理における上述の組成物の使用が提供される。本発明の追加の態様において、前記植物又は前記繁殖材料は穀類又はナタネ植物あるいはその繁殖材料である。
【0065】
以下の実施例は本発明を例示する役割を果たすものであり、「活性成分」とは、特定の混合比の成分(A)と成分(B)の混合物を表す。
【実施例】
【0066】
製剤例
水和剤 (a) (b)
活性成分 A):B)=1:3(a)、1:2(b) 25% 50%
リグノスルホン酸ナトリウム 5% 5%
ラウリル硫酸ナトリウム 3% −
ジイソブチルナフタレンスルホン酸ナトリウム − 6%
フェノールポリエチレングリコールエーテル − 2%
(7〜8モルのエチレンオキシド)
高分散ケイ酸 5% 10%
カオリン 62% 27%
【0067】
活性成分をアジュバントと十分混合し、そして当該混合物を適当なミル内で十分すりつぶすことで、水で希釈されて所望の濃度の懸濁液を形成しうる水和剤が生成する。
【0068】
乾燥種子処理用粉末 a) b)
活性成分 A):B)=1:3(a)、1:2(b) 25% 50%
軽油 5% 5%
高分散ケイ酸 5% 5%
カオリン 65% 40%
タルカム −
【0069】
活性成分をアジュバントと十分混合し、そして当該混合物を適当なミル内で十分すりつぶすことで、直接種子処理に使用されうる粉末が生成する。
【0070】
乳剤
活性成分 A):B)=1:6 10%
オクチルフェノールポリエチレングリコールエーテル 3%
(酸化エチレン4〜5モル)
ドデシルベンゼンスルホン酸カルシウム 3%
ヒマシ油ポリグリコールエーテル(酸化エチレン35モル)4%
シクロヘキサノン 30%
キシレン混合物 50%
【0071】
植物保護に使用することができる任意の必要な希釈物の乳剤は、この濃縮物を水で希釈することで得ることができる。
【0072】
粉剤 a) b)
活性成分 A):B)=1:6(a)、1:2(b) 5% 6%
滑石粉 95% −
カオリン − 94%
無機充填剤 − −
【0073】
レディー・トゥー・ユーズの粉剤は、活性成分を担体と混合し、そして混合物を適当なミルで粉砕することにより得られる。かかる粉末は、種子の乾燥ドレッシングに使用することができる。
【0074】
押出機用顆粒剤
活性成分(A):B)=2:1) 15%
リグノスルホン酸ナトリウム 2%
カルボキシメチルセルロース 1%
カオリン 82%
【0075】
活性成分をアジュバントとともに混合し、粉砕し、混合物を水で湿らせる。混合物を押出した後、気流で乾燥させる。
【0076】
コーティング顆粒剤
活性成分(A):B)=1:10) 8%
ポリエチレングリコール(分子量200) 3%
カオリン 89%
【0077】
細かく粉砕した活性成分を、ミキサー中でポリエチレングリコールで湿らせたカオリンに均一に適用する。この方法で非粉末状コーティング顆粒剤が得られる。
【0078】
懸濁液濃縮物
活性成分(A):B)=1:8) 40%
ノニルフェノールポリエチレングリコールエーテル(酸化エチレン15モル) 6%
リグノスルホン酸ナトリウム 10%
カルボキシメチルセルロース 1%
シリコーン油(水中75%エマルションの形態) 1%
水 32%
【0079】
細かく粉砕した活性成分をアジュバントと密に混合し、その懸濁液から水での希釈により任意の所望の希釈が得られる懸濁液濃縮物を得る。このような希釈を用いて、生きている植物並びに植物繁殖材料をスプレー、注入または浸漬によって処理して微生物による感染から保護することができる。
【0080】
種子処理用のフロアブル剤の濃縮物
活性成分(A):B)=1:8) 40%
プロピレングリコール 5%
共重合体ブタノール PO/EO 2%
10〜20モルのEOを含むトリスチレンフェノール 2%
1,2−ベンゾイソチアゾリン−3−オン(水中20%溶液の形態) 0.5%
モノアゾ顔料カルシウム塩 5%
シリコーン油(水中75%エマルションの形態) 0.2%
水 45.3%
【0081】
細かく粉砕した有効成分をアジュバントと密に混合し、その懸濁液から水での希釈により任意の所望の希釈が得られる懸濁濃縮物を得る。このような希釈を用いて、生植物ならびに植物繁殖材料をスプレー、注入または浸漬によって処理して微生物による感染から保護することができる。
【0082】
徐放性カプセル懸濁剤
28部の式Iの化合物と成分B)の化合物の組合せ、または28部の各々のこれらの化合物を個別に、2部の芳香族溶媒および7部のトルエンジイソシアネート/ポリメチレン−ポリフェニルイソシアネート混合物(8:1)と混合する。この混合物を、1.2部のポリビニルアルコール、0.05部の消泡剤および51.6部の水の混合物中で、所望の粒子径に達するまで乳化させる。このエマルション混合物に、5.3部の水中の2.8部の1,6−ジアミノヘキサンを添加する。重合反応が完了するまで混合物をかき混ぜる。
【0083】
得られたカプセル懸濁液は、0.25部の増粘剤および3部の分散剤を添加することにより安定する。カプセル懸濁液製剤は28%の有効成分を含む。平均カプセル径は8〜15ミクロンである。
【0084】
得られた製剤は、その目的に適した装置で水性懸濁液として種子に施与する。
【0085】
生物学的実施例:
活性成分の作用、例えば植物の生長を制御する特性又は殺真菌活性が個々の成分の作用の合計よりも大きい場合は常に相乗効果が存在するものとする。
【0086】
所定の活性成分の組み合わせについて予測される効果Eは、いわゆるCOLBYの式に従い、以下のとおり計算することができる(Colby S. R. "Calculating synergistic and antagonistic responses of herbicide combination". Weeds, Vol. 15, p20-22; 1967):
X=所定の量の活性成分を用いた活性成分A)による作用の%
Y=所定の量の活性成分を用いた活性成分B)による作用の%
【0087】
Colbyによると、活性成分A)+B)の予想される複合作用は
【数1】

である。
【0088】
実際に観察された作用(O)が予測される作用(E)を上回る場合、前記組み合わせの作用が超相加的(superadditive)であり、すなわち、相乗効果が存在している。数学的観点では、相乗効果の因子SFはO/Eの商に相当する。
【0089】
実施例B−1:植物の生長の制御(「PGR」):出芽前
前記化合物は、バーティカルブームスプレーを用いて、言及した比率で(結果についての表を参照のこと)、露出土壌にスプレーされ、続いて、それらは土壌内に取り込まれ、そして植物の種が蒔かれる。14日後、その植物の生長が未処理のコントロールと比較して評価される。
【表1】

【0090】
【表2】

【0091】
【表3】

【0092】
【表4】

【0093】
【表5】

【0094】
【表6】

【0095】
【表7】

【0096】
実施例B−2:植物の生長の制御(「PGR」):出芽後
植物の種が温室内で蒔かれ、そしてその生長が生長段階12(展開葉数2)まで生長される。続いて、前記化合物/前記化合物の混合物がバーティカルブームスプレーを用いて葉全体にスプレーされる。植物の生長は、施与から14日後に未処理のコントロールと比較して評価される。
【0097】
【表8】

【0098】
実施例C−1:ボトリチス・シネレア(Botrytis cinerea)に対する殺真菌作用−真菌生長アッセイ
低温貯蔵からの真菌の分生子を、栄養ブロス(PDBジャガイモデキストロースブロス)へ直接混合する。試験化合物の(DMSO)溶液をマイクロタイタープレート(96-ウェルフォーマット)へ添加後、真菌胞子を含有する栄養ブロスを添加する。試験プレートを、24℃でインキュベーションし、48〜72時間後、生長の阻害を測光により決定する。
【0099】
実施例C−2:コムギ上のセプトリア・トリチシ(Septoria tritici)に対する殺真菌作用
a)真菌生長アッセイ
低温貯蔵からの真菌の分生子を、栄養ブロス(PDBジャガイモデキストロースブロス)へ直接混合する。試験化合物の(DMSO)溶液をマイクロタイタープレート(96-ウェルフォーマット)へ添加後、真菌胞子を含有する栄養ブロスを添加する。試験プレートを、24℃でインキュベーションし、72時間後、生長の阻害を測光により決定する。
【0100】
b)保護処理
2週齢のコムギ植物栽培品種リバンド(Riband)を、スプレーチャンバー内で、製剤化した試験化合物(0.2%活性成分)で処理する。施与1日後、コムギ植物を、試験植物上への胞子懸濁液(10x105分生子/ml)を噴霧することにより接種する。1日23℃及び相対湿度95%でのインキュベーション後、植物を温室内で23℃及び相対湿度60%で16日間維持する。接種の18日後に病害発生を評価する。
【0101】
実施例C−3:コメ上のピリキュラリア・オリザエ(Pyricularia oryzae)に対する作用
a)真菌生長アッセイ
低温貯蔵からの真菌の分生子を、栄養ブロス(PDBジャガイモデキストロースブロス)へ直接混合する。試験化合物の(DMSO)溶液をマイクロタイタープレート(96-ウェルフォーマット)へ添加後、真菌胞子を含有する栄養ブロスを添加する。試験プレートを、24℃でインキュベーションし、72時間後、生長の阻害を測光により決定する。
【0102】
b)保護処理
コメ葉断片を、マルチウェルプレート(24-ウェルフォーマット)中の寒天上に配置し、試験溶液を噴霧する。乾燥後、葉片を、真菌の胞子懸濁液で接種する。適宜インキュベーションした後、化合物の活性を、保護的殺真菌活性として接種から96時間後に評価する。
【0103】
実施例C−4:アルテルナリア(Alternaria)種に対する殺真菌作用
a)真菌生長アッセイ
a1)アルテルナリア・ソラニ(Alternaria solani)(夏疫病)
新たに生長したコロニーから回収した真菌の分生子を、栄養培地(PDBジャガイモデキストロース培地)に直接混合する。試験化合物の(DMSO)溶液をマイクロタイタープレート(96ウェルフォーマット)に置いた後、真菌胞子を含む栄養培地を添加する。試験植物を24℃でインキュベートし、48時間後に増殖の阻害を測光法によって測定する。
【0104】
a2)アルテルナリア・ブラシカエ(Alternaria brassicae)(ナタネの黒斑病)
新たに生長したコロニーから回収した真菌の分生子を、栄養培地(PDBジャガイモデキストロース培地)に直接混合する。試験化合物の(DMSO)溶液をマイクロタイタープレート(96ウェルフォーマット)に置いた後、真菌胞子を含む栄養培地を添加する。試験植物を24℃でインキュベートし、72時間後に増殖の阻害を測光法によって測定する。
【0105】
a3) アルテルナリア ブラシコラ(Alternaria brassicicola)(ナタネの長角果の糸状菌)
新たに生長したコロニーから回収した真菌の分生子を、栄養培地(PDBジャガイモデキストロース培地)に直接混合する。試験化合物の(DMSO)溶液をマイクロタイタープレート(96ウェルフォーマット)に置いた後、真菌胞子を含む栄養培地を添加する。試験植物を24℃でインキュベートし、48時間後に増殖の阻害を測光法によって測定する。
【0106】
b)保護処理
アルテルナリア・ソラニ(Alternaria solani)(夏疫病)
4週齢のトマト植物栽培品種ロテル・グノム(Roter Gnom)を、スプレーチャンバー内で製剤化した試験化合物(活性成分0.02%)で処理する。施用の2日後、トマト植物を、真菌の胞子懸濁液(2x105分生子/ml)の試験植物への噴霧により接種する。生長チャンバーにおいて20℃及び相対湿度95%で3日間インキュベーションした後、病害発生を評価する。
【0107】
実施例C−5:ピレノペジザ・ブラシカエ(Pyrenopeziza brassicae)(シリンドスポリウム・コンセントリカム(Cylindrosporium concentricum)と同義。ナタネの小斑点)に対する殺真菌作用−真菌生長アッセイ
新たに生長したコロニーから回収した真菌の分生子を、栄養培地(PDBジャガイモデキストロース培地)に直接混合する。試験化合物の(DMSO)溶液をマイクロタイタープレート(96ウェルフォーマット)に置いた後、真菌胞子を含む栄養培地を添加する。試験植物を24℃でインキュベートし、48時間後に増殖の阻害を測光法によって測定する。
【0108】
実施例C−6:リンゴ上のベンチュリア・イナエクアリス(Venturia inaequalis)に対する殺真菌作用
a)真菌生長アッセイ
低温貯蔵からの真菌の分生子を、栄養培地(PDBジャガイモデキストロース培地)に直接混合する。試験化合物の(DMSO)溶液をマイクロタイタープレート(96ウェルフォーマット)に置いた後、真菌胞子を含む栄養培地を添加する。試験植物を24℃でインキュベートし、144時間後に増殖の阻害を測光法によって測定する。
【0109】
b)保護処理
4週齢のリンゴ実生栽培品種マッキントッシュ(Mclntosh)を、スプレーチャンバー内で製剤化した試験化合物(活性成分0.02%)で処理する。施与から1日後、リンゴ植物を、真菌の胞子懸濁液(4x105分生子/ml)の試験植物への噴霧により接種する。植物を21℃及び相対湿度95%で4日間インキュベーションした後、温室内で21℃及び相対湿度60%で4日間配置する。更に4日間21℃及び相対湿度95%でインキュベーションした後、病害発生を評価する。
【0110】
実施例C−7:ピシウム・ウルチマム(Pythium ultimum)(立ち枯れ病)に対する殺真菌作用−真菌生長アッセイ
新鮮な液体培養物から調製した真菌の菌糸断片を、栄養ブロス(PDBジャガイモデキストロースブロス)へ直接混合する。試験化合物の(DMSO)溶液をマイクロタイタープレート(96-ウェルフォーマット)へ添加後、真菌胞子を含有する栄養ブロスを添加する。試験プレートを、24℃でインキュベーションし、48時間後、生長の阻害を測光により決定する。
【0111】
実施例C−8:レプトスフェリア種(Leptosphaeria spp.)に対する殺真菌作用−真菌生長アッセイ
a1) レプトスフェリア・ノドラム(Leptosphaeria nodorum)(ふ枯病(glume blotch))
低温貯蔵からの真菌の分生子を、栄養ブロス(PDBジャガイモデキストロースブロス)へ直接混合する。試験化合物の(DMSO)溶液をマイクロタイタープレート(96-ウェルフォーマット)へ添加後、真菌胞子を含有する栄養ブロスを添加する。試験プレートを、24℃でインキュベーションし、48時間後、生長の阻害を測光により決定する。
【0112】
a2) レプトスフェリア・マキュランス(Leptosphaeria maculans)(根朽病(Phoma lingam)と同義、アブラナ科の黒あし病):
新たに生長したコロニーから回収した真菌の分生子を、栄養培地(PDBジャガイモデキストロース培地)に直接混合する。試験化合物の(DMSO)溶液をマイクロタイタープレート(96ウェルフォーマット)に置いた後、真菌胞子を含む栄養培地を添加する。試験植物を24℃でインキュベートし、48時間後に増殖の阻害を測光法によって測定する。
【0113】
実施例C−9:シュードセルコスポラ・ヘルプトリコイデス変種アクホルミス(Pseudocercosporella herpotrichoides var. acuformis)(眼紋病/穀類)に対する殺真菌作用−真菌生長アッセイ
低温貯蔵からの真菌の分生子を、栄養ブロス(PDBジャガイモデキストロースブロス)へ直接混合する。試験化合物の(DMSO)溶液をマイクロタイタープレート(96-ウェルフォーマット)へ添加後、真菌胞子を含有する栄養ブロスを添加する。試験プレートを、24℃でインキュベーションし、72時間後、生長の阻害を測光により決定する。
【0114】
実施例C−10:コムギ上のプシニア・レコンジタ(Puccinia recondita)(小さび病)に対する作用
a)葉切片の保護処理
コムギ葉切片を、マルチウェルプレート(24-ウェルフォーマット)において寒天上に配置し、試験溶液を噴霧する。乾燥後、葉片を、真菌の胞子懸濁液により接種する。適宜インキュベーションした後、化合物の活性を、接種から9日後に、保護的殺真菌活性として評価する。
【0115】
b)植物の保護処理
1週齢のコムギ植物栽培品種アリナ(Arina)を、スプレーチャンバー内で製剤化した試験化合物(活性成分0.02%)で処理する。施与1日後、コムギ植物を、真菌の胞子懸濁液(1x105夏胞子/ml)の試験植物への噴霧により接種する。20℃及び相対湿度95%で2日間インキュベーションした後、植物を温室内で20℃及び相対湿度60%で8日間維持する。接種から10日後に、病害発生を評価する。
【0116】
実施例C−11:コムギ上のセプトリア・ノドラム(Septoria nodorum)に対する作用
a)葉切片の保護処理
コムギ葉切片を、マルチウェルプレート(24-ウェルフォーマット)において寒天上に配置し、試験溶液を噴霧する。乾燥後、葉片を、真菌の胞子懸濁液により接種する。適宜インキュベーションした後、化合物の活性を、接種後96時間、保護的殺真菌活性として評価する。
【0117】
b)植物の保護処理
1週齢のコムギ植物栽培品種アリナ(Arina)を、スプレーチャンバー内で製剤化した試験化合物(活性成分0.02%)で処理する。施与1日後、コムギ植物を、真菌の胞子懸濁液(1x105分生子/ml)の試験植物への噴霧により接種する。20℃及び相対湿度95%で1日間インキュベーションした後、植物を温室内で20℃及び相対湿度60%で10日間維持する。接種後11日目に、病害発生を評価する。
【0118】
実施例C−12:ブドウのウンシヌラ・ネクトール(Uncinula necator)(ウドン粉病)に対する作用−保護処理
5週齢のブドウ実生栽培品種グテデル(Gutedel)を、スプレーチャンバー内で製剤化した試験化合物(活性成分0.02%)で処理する。施与から1日後、ブドウ植物を、試験植物上でブドウウドン粉病により感染した植物を振盪することにより接種する。14/10時間(明/暗)の光管理下で26℃及び相対湿度60%で7日間インキュベーションした後、病害発生を評価する。
【0119】
実施例C−13:スクレロチニア・スクレロチオラム(sclerotinia sclerotiorum)に対する殺真菌作用(綿状腐病(cottony rot))−真菌生長アッセイ
新鮮な液体培養物から調製した真菌の菌糸断片を、栄養ブロス(PDBジャガイモデキストロースブロス)へ直接混合する。試験化合物の(DMSO)溶液をマイクロタイタープレート(96-ウェルフォーマット)へ添加後、真菌胞子を含有する栄養ブロスを添加する。試験プレートを、24℃でインキュベーションし、48時間後、生長の阻害を測光により決定する。
【0120】
実施例C−14:リゾクトニア・ソラニ(Rhizoctonia solani)(すそ腐れ病、立ち枯れ病)に対する殺真菌作用−真菌生長アッセイ
新鮮な液体培養物から調製した真菌の菌糸断片を、栄養ブロス(PDBジャガイモデキストロースブロス)へ直接混合する。試験化合物の(DMSO)溶液をマイクロタイタープレート(96-ウェルフォーマット)へ添加後、真菌胞子を含有する栄養ブロスを添加する。試験プレートを、24℃でインキュベーションし、48時間後、生長の阻害を測光により決定する。
【0121】
実施例C−15:ファコスポラ・パキリジ(Phakopsora pachyrhizi)(ダイズ上のダイズさび病)−保護処理
列記した活性成分によるダイズの葉の処理は、スプレーチャンバー内に植えつけてから4週間後に実施される。スプレー前後に、葉片を最初の三つ葉から切除し、そしてアガー上のマルチウェルプレート内に据える。続いてファコスポラ・パキリジ(アジア大豆サビ病(ASR))を処理(治療)から1日後に当該葉片に接種する。葉の評価は接種から10日後に実施する。
【0122】
実施例C−16:プクシニア・レコンディダ(Puccinia recondita)(褐色さび病(brown rust))に対する殺真菌作用−保護処理:
コムギ葉断片をマルチウェルプレート(24ウェルフォーマット)内のアガー上に置き、試験溶液を噴霧する。乾燥後、葉片を、真菌の胞子懸濁液により接種する。適宜インキュベーションした後、化合物の活性を、接種から9日後に、保護的殺真菌活性として評価する。
【0123】
本発明の化合物は、実施例C−1〜C−16において良好な殺真菌活性を示す。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
植物又はその繁殖材料の生長を制御することができる組成物であって、植物の生長を制御する活性成分として、成分(A)及び成分(B)の混合物を含んで成り、成分(A)がパクロブトラゾールであり、そして成分(B)がジフェノコナゾール、イプコナゾール、メトコナゾール、テブコナゾール、プロチオコナゾール、シプロコナゾール、プロピコナゾール及びエポキシコナゾールから選択され、成分(A)及び成分(B)が相乗効果をもたらす量で前記組成物中に存在している、組成物。
【請求項2】
植物又はその繁殖材料上の植物病原性真菌を防除することができる組成物であって、殺真菌活性成分として、請求項1に記載の成分(A)及び成分(B)の混合物を含んで成り、成分(A)及び成分(B)が相乗効果をもたらす量で前記組成物中に存在している、組成物。
【請求項3】
成分(B)がジフェノコナゾールである、請求項1又は2に記載の組成物。
【請求項4】
成分(A)対成分(B)の重量比が1000:1〜1:1000である、請求項1〜3のいずれか1項に記載の組成物。
【請求項5】
植物又はその繁殖材料の生長を阻害することで植物の生長を制御する、請求項1〜4のいずれか1項に記載の組成物。
【請求項6】
植物又はその繁殖材料の生長を制御する方法であって、当該植物、その場所又はその繁殖材料に対し、請求項1〜5のいずれか1項に記載の組成物を施与することを含んで成る方法。
【請求項7】
収量の増大を達成するために植物の生長を制御する方法であって、当該植物、その場所又はその繁殖材料に対し、請求項1〜5のいずれか1項に記載の組成物を施与することを含んで成る方法。
【請求項8】
植物又はその繁殖材料上の植物病原性の病気を防除する方法であって、当該植物、その場所又はその繁殖材料に対し、請求項1〜5のいずれか1項に記載の組成物を施与することを含んで成る方法。
【請求項9】
前記組成物が植物又はその場所に施与される、請求項6〜8のいずれか1項に記載の方法。
【請求項10】
前記組成物が前記植物の繁殖材料に施与される、請求項6〜8のいずれか1項に記載の方法。
【請求項11】
前記植物又はその繁殖材料が穀類又はナタネ植物あるいはその繁殖材料である、請求項6〜10のいずれか1項に記載の方法。
【請求項12】
植物又はその繁殖材料の生長を制御する方法における、請求項1〜5のいずれか1項に記載の組成物の使用。
【請求項13】
植物又はその繁殖材料上での植物病原性真菌の生長及び/又は蔓延の予防及び/又は処理における、請求項1〜5のいずれか1項に記載の組成物の使用。
【請求項14】
前記植物又は前記繁殖材料の生長が阻害される、請求項12に記載の使用。
【請求項15】
前記植物又は前記繁殖材料が穀類又はナタネ植物あるいはその繁殖材料である、請求項13又は14に記載の使用。

【公表番号】特表2009−519275(P2009−519275A)
【公表日】平成21年5月14日(2009.5.14)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−544842(P2008−544842)
【出願日】平成18年12月11日(2006.12.11)
【国際出願番号】PCT/EP2006/011889
【国際公開番号】WO2007/068421
【国際公開日】平成19年6月21日(2007.6.21)
【出願人】(500584309)シンジェンタ パーティシペーションズ アクチェンゲゼルシャフト (352)
【Fターム(参考)】