説明

植物用ハウス

【課題】配線の取り回しが煩雑になることを防ぎ、配線が栽培をおこなう上でも配線が邪魔になることがなく、配線の劣化を防ぐことができる植物用ハウスを提供する。
【解決手段】植物用ハウス10は、植物用ハウス10を構成する構造体11と、植物用ハウス10内への給電用の配線16とで構成されている。この植物用ハウス10は、構造体11が中空であり、構造体11内に配線16を収容可能に構成されている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、植物用ハウスを構造体で構成し、植物用ハウス内に給電用の配線を備えた植物用ハウスに関する。
【背景技術】
【0002】
植物用ハウスは、構造体を鋼管で形成し、構造体でハウスの躯体を構成し、躯体を被覆フィルムで覆い、構造体の外面に沿って給電用の配線を設け、配線に燻蒸消毒器を接続されている(例えば、特許文献1参照)。
【特許文献1】実開平7−36674号公報
【0003】
特許文献1の植物用ハウスによれば、燻蒸消毒器の電灯の熱で薬剤が蒸発してハウス内に充満し害虫を駆除することができる。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかし、特許文献1の植物用ハウスは、構造体の外面に沿って給電用の配線が設けられているので、配線がむき出しになる。
配線がむき出しであると、配線の取り回しに手間がかかったり、栽培をおこなう上でも配線が邪魔になる。
【0005】
また、植物用ハウスのなかには、植物育成・病害防止用に紫外線ランプを用いたものがある。この植物用ハウスによれば、植物育成・病害防止用の紫外線ランプが放射する紫外線や、日光に含まれた紫外線で、配線を構成する樹脂が劣化することが考えられる。
【0006】
本発明は、前述した要望を満たすためになされたもので、その目的は、配線の取り回しが煩雑になることを防ぎ、配線が栽培をおこなう上でも配線が邪魔になることがなく、配線の劣化を防ぐことができる植物用ハウスを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の植物用ハウスは、植物用ハウスを構成する構造体と、植物用ハウス内への給電用の配線とを備えた植物用ハウスであって、前記構造体は中空であり、前記配線を収容してなることを特徴とする。
【0008】
構造体を中空とし、構造体内に配線を収容することで、配線がむき出しになること、配線の取り回しが煩雑になること、配線が栽培をおこなう上で邪魔になることを防止できる。
また、構造体内に配線を収容することで、紫外線による配線の劣化を防ぐことができ、安全性や耐久性が向上する。
【0009】
また、本発明は、前記配線の一部は、光源である紫外線ランプを光源とする照明器具に接続されており、前記配線のうち、露出している部分の表面は金属膜で被覆されていることを特徴とする。
【0010】
配線のうち、露出している部分の表面を金属膜で被覆する。これにより、例えば、植物育成・病害防止用に紫外線ランプを使用する場合であっても、露出している部分の経時劣化が抑えられる。
【0011】
さらに、本発明は、前記配線の終端が、前記構造体に一体化して設置されたコンセント差込口に接続されていることを特徴とする。
【0012】
ここで、植物用ハウス内にコンセント差込口を設置する場合、コンセント差込口が可動であると、コンセント差込口に接続した配線が外部に(むき出しになってしまう)露出してしまう。
配線が外部に露出すると、配線の取り回しが煩雑となり、配線が栽培をおこなう上で邪魔になり、灌水作業などの際に、コンセント内に水が侵入する虞がある。
【0013】
そこで、請求項3において、構造体にコンセント差込口を一体化して設置することにした。よって、構造体にコンセント差込口を固定することで、コンセント差込口に接続した配線がむき出しにならない。
これにより、配線の取り回しが煩雑とならず、配線が栽培をおこなう上でも邪魔にならない、さらに、紫外線による配線の劣化を防ぐことができ、安全性や耐久性が向上する。
【0014】
また、本発明は、前記植物用ハウスを構成する構造体同士を連結する接続部において、前記配線を貫通させる開口部もしくは前記配線を接続するコンセント差込口を有することを特徴とする。
【0015】
接続部に、配線を貫通させる開口部もしくはコンセント差込口を備えた。
これにより、長尺の構造体部品にあらかじめ開口部を設ける場合と比較して、配線を構造体外へ導出する位置を植物用ハウスの設置時に自由に決定でき、植物用ハウスの組立てが容易になる。
【発明の効果】
【0016】
本発明の植物用ハウスによれば、構造体を中空とし、構造体内に配線を収容することで、配線の取り回しが煩雑になることを防ぎ、栽培をおこなう上でも配線が邪魔になることがなく、配線の劣化を防ぐことができるという効果を有する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0017】
以下、本発明の実施形態に係る植物用ハウスについて、図面を参照して説明する。
図1、図2に示すように、第1実施形態に係る植物用ハウス10は、構造体11である鋼管を躯体とし、合成樹脂の被覆フィルム12で外壁を被覆した農業用の小屋である。
【0018】
一般的には、あらかじめ湾曲させた構造体11を互いに向かい合わせ、一端11Aを地面13に刺し、他端を継手で連結してアーチ型に形成されている。
このアーチ型の構造体11を奥行きの方向に所定間隔をおいて配置し、必要に応じて筋交い14などの補強をおこなうことで植物用ハウス10の骨組みを形成する。
以下、植物用ハウス10の主な構成部材について詳しく説明する。
【0019】
植物用ハウス10は、植物用ハウス10の躯体を構成する構造体11と、構造体11を被覆する透明の被覆フィルム12と、植物用ハウス10内への給電用の配線16と、構造体11に設けられるとともに配線16に接続された照明器具18とを備えている。
【0020】
構造体11は、図3に示すように、配線16を収容可能な中空の鋼管であり、一部には配線16を導出・導入可能な導出・導入用の開口部(穴)21が設けられ、錆対策のためメッキ処理が施されている。
【0021】
構造体11を中空とし、構造体11内に配線16を収容することで、配線16がむき出しになること、配線16の取り回しが煩雑になること、配線16が栽培をおこなう上で邪魔になることを防止できる。
また、構造体11内に配線16を収容することで、紫外線による配線16の劣化を防ぐことができる。
【0022】
構造体11は、植物用ハウス10の骨組みとなり、被覆用の透明な被覆フィルム12(図1参照)を支え、植物を栽培する空間を形成するものである。
構造体11は、表面が耐紫外線の特性を有しており、鋼板にメッキ処理を施した後、メッキ処理を施した鋼板を円筒状にロール成形した鋼管である。
【0023】
図4、図5に示すように、構造体11同士は接続部23で連結されている。接続部23は、配線16を貫通させる開口部(出口)25や、配線16の終端を接続するコンセント26を有している。
よって、コンセント26は構造体11に一体化して設置されている。すなわち、構造体11にコンセント26が固定されている。
なお、構造体11にコンセント26を固定した理由は後述する。
【0024】
さらに、接続部23に開口部25を備えることで、長尺の構造体部品にあらかじめ開口部25を設ける場合と比較して、配線16を構造体11の外側に取り出す位置を植物用ハウス10(図1参照)の設置時に自由に決定できる。
【0025】
この接続部23は、構造体11を差し込み可能に内径D1が、構造体11の外径D2に略等しく形成された円筒状の鋼管である。
接続部23の両端23Aから構造体11を差し込むことで、それぞれの構造体11を連結する。
【0026】
接続部23に設けられた開口部25は、構造体11内に通された配線16をハウス10内に導出する(取り出す)ため、または、ハウス10内の配線16を構造体11内に導入する(差し込む)ための開口である。
【0027】
接続部23に一体に設けられたコンセント26は、平型キャップ、設置キャップ、防水ゴムキャップなどを差し込み可能で、防水性を備えたコンセントである。
このコンセント26は、(コンセント差込口)差込口26Aが備えられた部位(面)がカバー27として着脱自在に備えている。
【0028】
よって、コンセント26の差込口26Aに備えた端子に、配線16の終端を接続する際に、コンセント26の差込口26Aを備える部位(面)からカバー27を取り外すことで、構造体11内から導出した(取り出した)配線16の終端を、コンセント26に手間をかけないで容易に接続することができる。
以下、「コンセント26の差込口26Aに備えた端子に、配線16の終端を接続する」ことを、「コンセント差込口26Aに配線16の終端を接続する」と略記する。
【0029】
構造体11に一体化したコンセント26のコンセント差込口26Aに配線16の終端を接続することで、配線16がむき出しにならない。
これにより、配線16の取り回しが煩雑とならず、配線16が栽培をおこなう上でも邪魔にならない、さらに、紫外線による配線16の劣化を防ぐことができる。
【0030】
給電用の配線16は、配線板31(図1参照)と、植物用ハウス10内の照明器具(電気設備)18を結び、電力を供給する配線であり、キャブタイヤケーブルを用いることが望ましい。
配線16の終端は、構造体11に一体化して設置されたコンセント26のコンセント差込口26Aに接続されている。
【0031】
配線16の一部は、紫外線ランプ19(図2(A)参照)を光源とする照明器具18に接続されており、(図2(B)参照)ハウス10内に露出している部分16Aの表面は金属膜(金属製の膜)17で被覆されている。
これにより、例えば、植物育成・病害防止用に紫外線ランプ19を使用する場合であっても、露出している部分16Aの経時劣化が抑えられる。
【0032】
金属膜17としては、例えば、配線16の外面に施される金属メッキ、配線16を覆う金属(例えば、アルミ)製のスリーブ、配線16を覆う金属製の可撓性を備えた電線管などが用いられる。
【0033】
照明器具18は、紫外線ランプ19を光源とし、図示しない点灯回路(光源が蛍光ランプの場合、銅鉄安定器、グロー管もしくはインバータ点灯回路など)を備えている。
この照明器具18は、金属製の筐体を備え、筐体内部、もしくは筐体と一体化した反射板を備えていてもよい。
【0034】
また、照明器具18の光照射方向には、前面ガラスもしくは樹脂製の前面カバーを備えていてもよい。
照明器具のその他の例として、押し出し成形によって製造した樹脂製シリンダ内に、照明器具の筐体・反射板・蛍光ランプを包含してなる器具を用いることも可能である。
【0035】
紫外線ランプ19は、紫外線領域(UV−A,UV−B)の紫外線を主波長として放射する光源、蛍光ランプ、LED(発光ダイオード)キセノンランプなどが用いられる。
【0036】
被覆フィルム12は、構造体11で形成した骨組みの天井全面に展張した後、いわゆるバッカーと呼ばれるプラスチック製器具や金属製の専用器具で構造体11の各部分に押し付けることで構造体11に取り付けられている。
さらに、被覆フィルム12の上から植物用ハウス10の横方向にプラスチック製の紐 を渡して補強することがある。
【0037】
つぎに、植物用ハウス10の組立手順を図1〜図5に基づいて説明する。
まず、植物用ハウス10を設計する際、照明器具18やコンセント26の設置位置を決める。
【0038】
設置位置を決めた後、決められた位置に配線16の出口(開口部)25やコンセント26が位置するように、出口(開口部)25やコンセント26と一体化した接続部23を配置するように植物用ハウス10を組み立てる。
【0039】
植物用ハウス10を組み立てた後、外部の電源から植物用ハウス10まで電線33を引き込む。ここで、必要があれば配電盤31を植物用ハウス10の周辺(ハウス外壁が望ましい)に設置する。そして、外部より引き込んだ電線33を配電盤31に接続する。
【0040】
つぎに、配電盤31に接続した配線16を構造体11の端部より、構造体11内に導入する。
導入した配線16を出口(開口部)25やコンセント26の位置まで導き、配線16を出口(開口部)25から導出するか、コンセント26のコンセント差込口26Aに接続する。
必要があれば、配線16を分岐させて、他の出口(開口部)25やコンセント26まで配線16を延長・導入する。
【0041】
出口(開口部)25から配線16が導出されて、構造体11の外側に配置される場合は、露出する部位16Aを金属膜17を施したものに継ぎ替えるか、金属製のスリーブ・金属製の可撓性電線で覆う。
配線16の終端を照明器具18もしくはコンセント差込口26Aに接続する。
【0042】
なお、前記実施形態で示した接続部23、開口部25、コンセント26などの形状や材質は例示したものに限定するものではなく適宜変更が可能である。
【産業上の利用可能性】
【0043】
本発明は、植物用ハウスを構造体で構成し、植物用ハウス内に給電用の配線を備えた植物用ハウスへの適用に好適である。
【図面の簡単な説明】
【0044】
【図1】本発明に係る植物用ハウスを外側から見た状態を示す斜視図である。
【図2】本発明に係る植物用ハウスを内側から見た状態を示す斜視図である。
【図3】本発明に係る植物用ハウスの構造体を示す斜視図である。
【図4】本発明に係る植物用ハウスの接続部および開口部を示す斜視図である。
【図5】(A)は本発明に係る植物用ハウスの接続部およびコンセントを示す斜視図、(B)は本発明に係る植物用ハウスのコンセントを示す底面図である。
【符号の説明】
【0045】
10 植物用ハウス
11 構造体
16 配線
16A 配線のうち、露出している部分
17 金属膜
18 照明器具
19 紫外線ランプ(光源)
23 接続部
25 開口部
26 コンセント
26A 差込口(コンセント差込口)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
植物用ハウスを構成する構造体と、植物用ハウス内への給電用の配線とを備えた植物用ハウスであって、
前記構造体は中空であり、前記配線を収容してなることを特徴とする植物用ハウス。
【請求項2】
前記配線の一部は、光源である紫外線ランプを光源とする照明器具に接続されており、前記配線のうち、露出している部分の表面は金属膜で被覆されていることを特徴とする請求項1記載の植物用ハウス。
【請求項3】
前記配線の終端が、前記構造体に一体化して設置されたコンセント差込口に接続されていることを特徴とする請求項1または請求項2記載の植物用ハウス。
【請求項4】
前記植物用ハウスを構成する構造体同士を連結する接続部において、前記配線を貫通させる開口部もしくは前記配線を接続するコンセント差込口を有することを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項記載の植物用ハウス。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2009−125040(P2009−125040A)
【公開日】平成21年6月11日(2009.6.11)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−306221(P2007−306221)
【出願日】平成19年11月27日(2007.11.27)
【出願人】(000005832)パナソニック電工株式会社 (17,916)
【Fターム(参考)】