説明

植物病害防除剤

【課題】植物病害に対する有効性に優れる植物病害防除剤を提供する。
【解決手段】シグナ−マイシンA及びシグナ−マイシンBの少なくともいずれかを含有することを特徴とする植物病害防除剤である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、植物病害に対して有効な植物病害防除剤に関する。
【背景技術】
【0002】
農園芸作物に有害な病害としては、例えば、アブラナ科作物の軟腐病(Erwinia carotovora subsp. carotovora)、イネ内頴褐変病(Erwinia ananas)、イネ白葉枯病(Xanthomonas campestris pv. oryzae)、カンキツかいよう病(Xanthomonas campestris pv. citri)、キュウリ斑点細菌病(Pseudomonas syringae pv. lachrymans)、タマネギりん片腐敗病(Burkholderia gladioli)、ナス青枯病(Ralstonia solanacearum)、イネ苗立枯細菌病(Burkholderia plantarii)、イネ褐条病(Acidovorax avenae subsp. avenae)、トマトかいよう病(Clavibacter michiganensis subsp. michiganensis)などが知られている。
このような病害は、農業生産に甚大な被害をもたらすことが問題となっている。
【0003】
例えば、前記軟腐病を引き起こす軟腐病菌では、二成分制御系PehS/PehRによって病原性が調節されていることが知られている(例えば、非特許文献1〜2参照)。また、前記PehS/PehRによって調節されている病原性としては、pehA(エンドポリガラクツロナーゼ(ペクチナーゼ))、pell(ペクチン酸リアーゼ)が知られている。
【0004】
上記知見があるものの、満足のいく植物病害防除剤は未だ得られておらず、優れた植物病害防除剤の速やかな開発が強く求められているのが現状である。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0005】
【非特許文献1】Eriksson, A. R. B., Andersson, R. A., Pirhonen, M., and Palva, E. T., Mol. Plant−Microbe Interact., 11, 743−752, 1998
【非特許文献2】Flego D, Marits R, Eriksson AR, Koiv V, Karlsson MB, Heikinheimo R, Palva ET., Mol. Plant−Microbe Interact., 13(4), 447−455, 2000
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明は、従来における前記諸問題を解決し、以下の目的を達成することを課題とする。即ち、本発明は、植物病害に対する有効性に優れる植物病害防除剤を開発、提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
前記課題を解決するため、本発明者らは、細菌細胞の主要な情報伝達機構である二成分制御系に着目し、鋭意検討した結果、下記構造式(1)で表される化合物、及び下記構造式(2)で表される化合物がエンドガラクツロナーゼ(ペクチナーゼ)の産生を抑制し、優れた植物病害防除効果を発揮できることを見出し、本発明の完成に至った。
【化1】

【化2】

【0008】
本発明は、本発明者らによる前記知見に基づくものであり、前記課題を解決するための手段としては、以下の通りである。即ち、
<1> 下記構造式(1)で表される化合物、及び下記構造式(2)で表される化合物の少なくともいずれかを含有することを特徴とする植物病害防除剤である。
【化3】

【化4】

<2> 適用される植物病害が、アブラナ科作物の軟腐病(Erwinia carotovora subsp. carotovora)、イネ内頴褐変病(Erwinia ananas)、イネ白葉枯病(Xanthomonas campestris pv. oryzae)、カンキツかいよう病(Xanthomonas campestris pv. citri)、キュウリ斑点細菌病(Pseudomonas syringae pv. lachrymans)、タマネギりん片腐敗病(Burkholderia gladioli)、ナス青枯病(Ralstonia solanacearum)、イネ苗立枯細菌病(Burkholderia plantarii)、イネ褐条病(Acidovorax avenae subsp. avenae)、及びトマトかいよう病(Clavibacter michiganensis subsp. michiganensis)から選択される少なくとも1種である前記<1>に記載の植物病害防除剤である。
【発明の効果】
【0009】
本発明によると、従来における諸問題を解決し、前記目的を達成することができ、植物病害に対する有効性に優れる植物病害防除剤を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【図1】図1は、シグナーマイシンAのKBr錠剤法で測定した、赤外線スペクトルのチャートである。縦軸:透過率(%)、横軸:波数(cm−1)。
【図2】図2は、シグナーマイシンAの重クロロホルム中で30℃にて測定した、600MHzにおけるプロトン核磁気共鳴スペクトルのチャートである。横軸:ppm単位。
【図3】図3は、シグナーマイシンAの重クロロホルム中で30℃にて測定した、150MHzにおける炭素13核磁気共鳴スペクトルのチャートである。横軸:ppm単位。
【図4】図4は、シグナーマイシンBのKBr錠剤法で測定した、赤外線スペクトルのチャートである。縦軸:透過率(%)、横軸:波数(cm−1)。
【図5】図5は、シグナーマイシンBの重クロロホルム中で30℃にて測定した、600MHzにおけるプロトン核磁気共鳴スペクトルのチャートである。横軸:ppm単位。
【図6】図6は、シグナーマイシンBの重クロロホルム中で30℃にて測定した、150MHzにおける炭素13核磁気共鳴スペクトルのチャートである。横軸:ppm単位。
【図7A】図7Aは、試験例1の3日間、27℃で静置培養した細菌懸濁液の様子を示す図である。
【図7B】図7Bは、試験例1のシグナーマイシンBを添加した細菌懸濁液を針接種し、4日後のキャベツの全体を示す図である。
【図7C】図7Cは、試験例1のシグナーマイシンBを添加した細菌懸濁液を針接種し、4日後のキャベツの葉の拡大図である。
【図7D】図7Dは、試験例1のシグナーマイシンB無添加の細菌懸濁液を針接種し、4日後のキャベツの全体を示す図である。
【図7E】図7Eは、試験例1のシグナーマイシンB無添加の細菌懸濁液を針接種し、4日後のキャベツの葉の拡大図である。
【図8】図8は、試験例2の結果を示す図である。
【図9】図9は、試験例3の結果を示す図である。
【図10】図10は、試験例4の結果を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
(植物病害防除剤)
本発明の植物病害防除剤は、下記構造式(1)で表される化合物、及び下記構造式(2)で表される化合物の少なくともいずれかを含有してなり、更に必要に応じてその他の成分を含有してなる。
以下、下記構造式(1)で表される化合物を「シグナーマイシン(signarmycin)A」、下記構造式(2)で表される化合物を「シグナーマイシン(signarmycin)B」と称することがある。
【化5】

【化6】

【0012】
前記植物病害防除剤は、各種の植物病原菌によるエンドポリガラクツロナーゼ(ペクチナーゼ)の産生を抑制することができ、そのため、優れた植物病害防除効果を奏することができる。前記効果は、前記シグナーマイシンA、シグナーマイシンBに基づく効果であるが、前記シグナーマイシンA、及びシグナーマイシンBが、各種の植物病原菌によるエンドポリガラクツロナーゼ(ペクチナーゼ)の産生抑制作用を有し、植物病害防除剤として有用であることは、従来には全く知られておらず、本発明者らによる新たな知見である。
【0013】
<シグナーマイシンA、シグナーマイシンB>
−シグナーマイシンA−
前記シグナーマイシンAの物理化学的性状としては、次の通りである。
(1) 外観 : 無色粉末
(2) 分子式 : C2233NO
(3) マススペクトル(HRESI) :
計算値 398.2302 (C2233NONaとして)
実験値 398.2296 (M+Na)
(4) 比旋光度 : [α]20 = +65.74°(c=0.46、MeOH)
(5) 赤外線吸収スペクトル :
νmax(KBr)cm−1 : 3500−3200、2963、2873、
1689、1655、1603、1458、
1377、1340、1294、1234、
1207、1034
図1にシグナーマイシンAのKBr錠剤法で測定した赤外線スペクトルのチャートを示す。
(6)紫外線吸収スペクトル :
シグナーマイシンAのメタノール中での紫外線吸収のピークは、以下の通りである。
λmax nm(ε)
0.005M HCl : 221(sh)、285(12,300)
0.005M NaOH : 243(9,500)、285(13,000)
(7)プロトン核磁気共鳴スペクトル :
図2に、シグナーマイシンAの重クロロホルム中で30℃にて測定した、600MHzにおけるプロトン核磁気共鳴スペクトルのチャートを示す。
(8)炭素13核磁気共鳴スペクトル :
図3に、シグナーマイシンAの重クロロホルム中で30℃にて測定した、150MHzにおける炭素13核磁気共鳴スペクトルのチャートを示す。
【0014】
化合物が、前記構造式(1)で表される構造を有するか否かは、適宜選択した各種の分析方法により確認することができ、例えば、前記マススペクトル、前記赤外線吸収スペクトル、前記紫外線吸収スペクトル、前記プロトン核磁気共鳴スペクトル、前記炭素13核磁気共鳴スペクトル、等の分析を行うことにより、確認することができる。
【0015】
なお、前記シグナーマイシンAは互変異性を有しており、したがって、前記シグナーマイシンAには、その互変異性体も含まれる。前記シグナーマイシンAの互変異性体の構造式としては、例えば、下記に示す4種の構造式などが挙げられるが、これらに限定されるものではない。前記シグナーマイシンAは、このような数種類の構造パターンを取り得、ある一定の状態では固定されていない状態で存在しているものと考えられる。
【化7】

【0016】
そのため、前記シグナーマイシンAは、例えば、前記プロトン核磁気共鳴スペクトル、前記炭素13核磁気共鳴スペクトルなどの分析を行った際に、図2、図3とは多少異なるチャートを示す場合がある。ただし、前記構造式(1)で表されるような構造を有する化合物が、実際には数種類の構造パターンを取り得、ある一定の状態で固定されていないことは、当業者であれば容易に把握ができる事項である。そのため、例えば、前記プロトン核磁気共鳴スペクトル、前記炭素13核磁気共鳴スペクトルなどにおけるチャートが多少異なる状態を示した場合であっても、当業者であれば、前記シグナーマイシンAを容易に同定することが可能である。
【0017】
−シグナーマイシンB−
前記シグナーマイシンBの物理化学的性状としては、次の通りである。
(1) 外観 : 無色粉末
(2) 分子式 : C2335NO
(3) マススペクトル(HRESI) :
計算値 412.2458 (C2335NONaとして)
実験値 412.2456 (M+Na)
(4) 比旋光度 : [α]20 = +66.40°(c=0.42、MeOH)
(5) 赤外線吸収スペクトル :
νmax(KBr)cm−1 : 3500−3200、2956、2871、
1697、1655、1603、1458、
1377、1338、1292、1232、
1209、1034
図4にシグナーマイシンBのKBr錠剤法で測定した赤外線スペクトルのチャートを示す。
(6)紫外線吸収スペクトル :
シグナーマイシンBのメタノール中での紫外線吸収のピークは、以下の通りである。
λmax nm(ε)
0.005M HCl : 222(sh)、285(11,700)
0.005M NaOH : 243(9,500)、284(13,000)
(7)プロトン核磁気共鳴スペクトル :
図5に、シグナーマイシンBの重クロロホルム中で30℃にて測定した、600MHzにおけるプロトン核磁気共鳴スペクトルのチャートを示す。
(8)炭素13核磁気共鳴スペクトル :
図6に、シグナーマイシンBの重クロロホルム中で30℃にて測定した、150MHzにおける炭素13核磁気共鳴スペクトルのチャートを示す。
【0018】
化合物が、前記構造式(2)で表される構造を有するか否かは、適宜選択した各種の分析方法により確認することができ、例えば、前記マススペクトル、前記赤外線吸収スペクトル、前記紫外線吸収スペクトル、前記プロトン核磁気共鳴スペクトル、前記炭素13核磁気共鳴スペクトル、等の分析を行うことにより、確認することができる。
【0019】
なお、前記シグナーマイシンBは互変異性を有しており、したがって、前記シグナーマイシンBには、その互変異性体も含まれる。前記シグナーマイシンBの互変異性体の構造式としては、例えば、下記に示す4種の構造式などが挙げられるが、これらに限定されるものではない。前記シグナーマイシンBは、このような数種類の構造パターンを取り得、ある一定の状態では固定されていない状態で存在しているものと考えられる。
【化8】

【0020】
そのため、前記シグナーマイシンBは、例えば、前記プロトン核磁気共鳴スペクトル、前記炭素13核磁気共鳴スペクトルなどの分析を行った際に、図5、図6とは多少異なるチャートを示す場合がある。ただし、前記構造式(2)で表されるような構造を有する化合物が、実際には数種類の構造パターンを取り得、ある一定の状態で固定されていないことは、当業者であれば容易に把握ができる事項である。そのため、例えば、前記プロトン核磁気共鳴スペクトル、前記炭素13核磁気共鳴スペクトルなどにおけるチャートが多少異なる状態を示した場合であっても、当業者であれば、前記シグナーマイシンBを容易に同定することが可能である。
【0021】
−入手方法−
前記シグナーマイシンA、シグナーマイシンBの入手方法としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、化学合成による方法、シグナーマイシンA、シグナーマイシンBを生産する微生物から入手する方法などが挙げられる。
前記シグナーマイシンA、シグナーマイシンBを生産する微生物としては、例えば、ストレプトマイセス・エスピー(Streptomyces sp.)MK851−mF8株(独立行政法人製品評価技術基盤機構 特許微生物寄託センター:受託番号 NITE P−612)が挙げられる。
【0022】
前記植物病害防除剤は、前記シグナーマイシンA、及び前記シグナーマイシンBのいずれかそのものであってもよく、両者からなるものであってもよい。
また、前記植物病害防除剤中の前記シグナーマイシンA、及びシグナーマイシンBの少なくともいずれかの含有量としては、特に制限はなく、製剤の剤型、使用方法に応じて適宜選択することができ、例えば、植物病害防除剤全体量に対して0.1質量部〜90質量部とすることができる。
前記植物病害防除剤中のシグナーマイシンAと、シグナーマイシンBとの配合比(シグナーマイシンA/シグナーマイシンB)としても、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができる。
【0023】
<その他の成分>
前記その他の成分としては、本発明の効果を損なわない限り、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、任意の農薬成分、農薬補助剤などが挙げられる。
前記植物病害防除剤中の前記その他の成分の含有量としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができる。
【0024】
−農薬成分−
前記農薬成分としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、以下の農薬の有効成分が挙げられる。
前記農薬としては、例えば、殺かび剤、殺細菌剤、抗ウィルス剤、植物抵抗性誘導剤、殺虫剤、殺ダニ剤、殺線虫剤、昆虫生育調整剤、昆虫誘引剤、除草剤、植物生長調整剤、共力剤、薬害軽減剤、鳥類忌避剤、肥料、土壌改良剤などが挙げられる。
前記農薬成分は、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
【0025】
−農薬補助剤−
前記農薬補助剤は、担体と、界面活性剤と、その他の補助剤とを含有し、更に必要に応じてその他の成分を含有する。
前記担体としては、農園芸用に用いることができるものであれば、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、液体担体、固体担体が挙げられる。
前記液体担体としては、例えば、水;イソプロピルアルコール、エチレングリコールなどのアルコール類;シクロヘキサノン、メチルエチルケトンなどのケトン類;プロピレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールモノ−n−ブチルエーテルなどのエーテル類;ケロシン、軽油などの脂肪族炭化水素類;キシレン、トリメチルベンゼン、テトラメチルベンゼン、メチルナフタリン、ソルベントナフサなどの芳香族炭化水素類;N−メチル−2−ピロリドンなどのアミド類;脂肪酸のグリセリンエステルなどのエステル類;大豆油、ナタネ油などの植物油などが挙げられる。
前記固体担体としては、例えば、澱粉、活性炭、大豆粉、小麦粉、木粉、魚粉、粉乳などの動植物性粉末;タルク、カオリン、ベントナイト、ゼオライト、珪藻土、ホワイトカーボン、クレー、アルミナ、炭酸カルシウム、塩化カリウム、硫安などの鉱物性粉末などを用いることができる。
これらの担体は、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
【0026】
前記界面活性剤としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、非イオン性界面活性剤、陰イオン性界面活性剤、陽イオン性界面活性剤、両性界面活性剤などが挙げられる。
前記非イオン性界面活性剤としては、例えば、ポリオキシエチレンアルキルエーテル、ポリオキシエチレンアルキルアリールエーテル、ポリオキシエチレンスチリルフェニルエーテル、ポリオキシエチレンアルキルエステル、ポリオキシエチレンソルビタンアルキレート、ポリオキシエチレンフェニルエーテルポリマー、ポリオキシエチレンアルキレンアリールフェニルエーテル、ポリオキシエチレンアルキレングリコール、ポリオキシエチレンポリオキシプロピレンブロックポリマーなどが挙げられる。
前記陰イオン性界面活性剤としては、例えば、リグニンスルホン酸塩、アルキルアリールスルホン酸塩、ジアルキルスルホサクシネート、ポリオキシエチレンアルキルアリールエーテルサルフェート、アルキルナフタレンスルホン酸塩、ポリオキシエチレンスチリルフェニルエーテルサルフェートなどが挙げられる。
前記陽イオン性界面活性剤としては、例えば、アルキルアミン塩などが挙げられる。
前記両性界面活性剤としては、例えば、第4級アンモニウム塩アルキルベタイン、アミンオキサイドなどが挙げられる。
これらの界面活性剤は、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
【0027】
前記その他の補助剤としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、粘結剤、増粘剤、固着剤、防腐防かび剤、溶剤、農薬活性成分の安定化剤、酸化防止剤、紫外線防止剤、結晶析出防止剤、消泡剤、物性向上剤、着色剤などが挙げられる。
前記粘結剤、増粘剤、固着剤としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、澱粉、デキストリン、セルロース、メチルセルロース、エチルセルロース、カルボキシメチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、カルボキシメチルデンプン、プルラン、アルギン酸ナトリウム、アルギン酸アンモニウム、アルギン酸プロピレングリコールエステル、グアーガム、ローカストビーンガム、アラビアゴム、キサンタンガム、ゼラチン、カゼイン、ポリビニルアルコール、ポリエチレンオキサイド、ポリエチレングリコール、エチレン・プロピレンブロックポリマー、ポリアクリル酸ナトリウム、ポリビニルピロリドンなどが挙げられる。
【0028】
<剤型>
前記植物病害防除剤の剤型としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、乳剤、懸濁剤、水和剤、水溶剤、液剤、ゾル剤(フロアブル剤)、顆粒水和剤、粉剤、細粒剤、粒剤、錠剤、油剤、噴霧剤、煙霧剤、エアゾール剤、ペースト剤などが好ましい。
前記各剤の製造方法としては、特に制限はなく、公知の方法により製造することができる。
【0029】
<施用>
前記植物病害防除剤の施用方法としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、前記植物病害防除剤をそのまま、又は水等で希釈した状態の植物病害防除剤を、散布(例えば噴霧、ミスティング、アトマイジング、散粉、散粒、水面施用、箱施用等)する方法、土壌施用(例えば混入、潅注等)する方法、表面施用(例えば塗布、粉衣、被覆等)する方法、浸漬する方法などが挙げられる。
前記植物病害防除剤の施用量としては、特に制限はなく、植物病害防除剤中の有効成分の濃度、製剤の形態、対象病害や作物の種類、病害による被害の程度、施用場所、施用方法、施用時期、混用あるいは併用する薬剤や肥料などの種類や使用量、気象などの種々の条件に応じて、適宜選択することができるが、1ヘクタール当たり、本発明の有効成分化合物量にして、1g〜100,000g程度が好ましく、10g〜10,000g程度がより好ましい。
また、前記植物病害防除剤の施用濃度としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、例えば、前記植物病害防除剤が、液剤、乳剤、水和剤、ゾル剤(フロアブル剤)剤、顆粒水和剤など、水で希釈されて用いられる場合、その施用濃度は0.1質量ppm〜10,000質量ppm程度が好ましく、1質量ppm〜1,000質量ppm程度がより好ましい。
【0030】
<混用あるいは併用>
本発明の植物病害防除剤は、他の殺菌剤(殺かび剤、殺細菌剤、抗ウィルス剤、植物抵抗性誘導剤)、殺虫剤、殺ダニ剤、殺線虫剤、昆虫生育調整剤、昆虫誘引剤、除草剤、植物生長調整剤、共力剤、薬害軽減剤、鳥類忌避剤、肥料、土壌改良剤等との混用あるいは併用することもできる。
【0031】
<植物病害>
前記植物病害防除剤は、植物病原菌によるエンドガラクツロナーゼ(ペクチナーゼ)の産生抑制作用を有するものである。
前記植物病害防除剤により防除することができる植物病害としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、アブラナ科作物の軟腐病(Erwinia carotovora subsp. carotovora)、イネ内頴褐変病(Erwinia ananas)、イネ白葉枯病(Xanthomonas campestris pv. oryzae)、カンキツかいよう病(Xanthomonas campestris pv. citri)、キュウリ斑点細菌病(Pseudomonas syringae pv. lachrymans)、タマネギりん片腐敗病(Burkholderia gladioli)、ナス青枯病(Ralstonia solanacearum)、イネ苗立枯細菌病(Burkholderia plantarii)、イネ褐条病(Acidovorax avenae subsp. avenae)、トマトかいよう病(Clavibacter michiganensis subsp. michiganensis)などが挙げられる。
これらの中でも、前記植物病害防除剤は、アブラナ科作物の軟腐病(Erwinia carotovora subsp. carotovora)に対し、特に好適である。
【0032】
前記植物病害防除剤は、低薬量で植物病害を防除することができ、各種作物の軟腐病等、広範な植物病原細菌類に対して高い防除効果を有しており、各種植物の病害防除に貢献することができる。
【実施例】
【0033】
以下に本発明の実施例、試験例、及び製剤例を挙げて本発明を具体的に説明するが、本発明はこれらの実施例、試験例、及び製剤例に何ら限定されるものではない。また、以下の実施例、及び試験例中、「%」は、特に明記のない限り「質量%」を表す。
【0034】
(実施例1:シグナーマイシンA、及びシグナーマイシンBの製造)
寒天斜面培地に培養したストレプトマイセス・エスピー(Streptomyces sp.)MK851−mF8株(独立行政法人製品評価技術基盤機構 特許微生物寄託センター:受託番号 NITE P−612)を、ガラクトース 2%、デキストリン 2%、グリセリン 1%、バクトソイトン(ディフコ社製) 1%、コーン・スティープ・リカー 0.5%、硫酸アンモニウム 0.2%、炭酸カルシウム 0.2%を含む液体培地(pH7.0に調整)を三角フラスコ(500mL容)に110mLずつ分注して、常法により120℃で20分滅菌した培地に接種した。その後に30℃で4日間回転振とう培養し、種母培養液を得た。
【0035】
グリセリン 0.5%、デキストリン 0.5%、バクトソイトン(ディフコ社製) 0.25%、酵母エキス(日本製薬製) 0.075%、硫酸アンモニウム 0.05%、炭酸カルシウム 0.05%を含む液体培地(pH7.0に調整)を三角フラスコ(500mL容)に110mLずつ分注して、常法により120℃で20分滅菌し、生産培地とした。この生産培地に、上記の種母培養液の2体積%量を接種し、27℃、6日間回転振とう培養した(180rpm)。
【0036】
このようにして得られた培養液3リットルを遠心分離して、培養ろ液と菌体に分離した。続いて、菌体に1リットルのメタノールを加えてよく撹拌し、菌体からシグナーマイシンAと、シグナーマイシンBとをメタノールで抽出し、シグナーマイシンA、及びシグナーマイシンBを含む菌体抽出液1.37リットルを得た。菌体抽出液1.37リットルに等量の水を加え、十分撹拌した後、ダイヤイオンCHP20P(内径60mm×220mm、三菱化学社製)カラムに吸着させ、1.8リットルの50%メタノール水で洗浄した後、1.8リットルの80%メタノール水でシグナーマイシンA、及びシグナーマイシンBを含む活性画分を溶出した。得られた80%メタノール水1.8リットルは、減圧下で濃縮乾固して、シグナーマイシンA、及びシグナーマイシンBを含む粗精製物0.842gを得た。
【0037】
前記シグナーマイシンA、及びシグナーマイシンBを含む粗精製物0.842gをメタノールで溶解して、セファデックスLH−20(内径26mm×480mm、ファルマシア バイオテク社製)カラムにのせ、クロマトグラフィーを行った。1フラクションを5gずつ分画すると、活性画分はフラクション23から36に溶出され、これを集めて減圧下で濃縮乾固し、660mgのシグナーマイシンA、及びシグナーマイシンBを含む粗精製物を得た。
前記粗精製物660mgを少量のメタノールに溶解し、C18逆層カラムクロマトグラフィー(Capcell pak UG120、内径30mm×長さ250mm、資生堂製)でシグナーマイシンAと、シグナーマイシンBとを分離した。即ち、展開溶媒としてアセトニトリル:水:トリフルオロ酢酸=60:40:0.001を用い、流速15mL/分でクロマトグラフィーを行うと、シグナーマイシンAは33分〜34分に、シグナーマイシンBは42分〜48分に溶出し、これらを集めて減圧下で濃縮乾固し、純粋なシグナーマイシンAを22.5mgと、シグナーマイシンBを206.4mgとを得た。
【0038】
得られたシグナーマイシンAの物理化学的性状を測定したところ、以下の通りであり、これらのことから、シグナーマイシンAが、下記構造式(1)で表される構造を有する化合物であることが確認された。
(1) 外観 : 無色粉末
(2) 分子式 : C2233NO
(3) マススペクトル(HRESI) :
計算値 398.2302 (C2233NONaとして)
実験値 398.2296 (M+Na)
(4) 比旋光度 : [α]20 = +65.74°(c=0.46、MeOH)
(5) 赤外線吸収スペクトル :
νmax(KBr)cm−1 : 3500−3200、2963、2873、
1689、1655、1603、1458、
1377、1340、1294、1234、
1207、1034
図1にシグナーマイシンAのKBr錠剤法で測定した赤外線スペクトルのチャートを示す。
(6)紫外線吸収スペクトル :
シグナーマイシンAのメタノール中での紫外線吸収のピークは、以下の通りである。
λmax nm(ε)
0.005M HCl : 221(sh)、285(12,300)
0.005M NaOH : 243(9,500)、285(13,000)
(7)プロトン核磁気共鳴スペクトル :
図2に、シグナーマイシンAの重クロロホルム中で30℃にて測定した、600MHzにおけるプロトン核磁気共鳴スペクトルのチャートを示す。
(8)炭素13核磁気共鳴スペクトル :
図3に、シグナーマイシンAの重クロロホルム中で30℃にて測定した、150MHzにおける炭素13核磁気共鳴スペクトルのチャートを示す。
【化9】

【0039】
また、得られたシグナーマイシンBの物理化学的性状を測定したところ、以下の通りであり、これらのことから、シグナーマイシンBが、下記構造式(2)で表される構造を有する化合物であることが確認された。
(1) 外観 : 無色粉末
(2) 分子式 : C2335NO
(3) マススペクトル(HRESI) :
計算値 412.2458 (C2335NONaとして)
実験値 412.2456 (M+Na)
(4) 比旋光度 : [α]20 = +66.40°(c=0.42、MeOH)
(5) 赤外線吸収スペクトル :
νmax(KBr)cm−1 : 3500−3200、2956、2871、
1697、1655、1603、1458、
1377、1338、1292、1232、
1209、1034
図4にシグナーマイシンBのKBr錠剤法で測定した赤外線スペクトルのチャートを示す。
(6)紫外線吸収スペクトル :
シグナーマイシンBのメタノール中での紫外線吸収のピークは、以下の通りである。
λmax nm(ε)
0.005M HCl : 222(sh)、285(11,700)
0.005M NaOH : 243(9,500)、284(13,000)
(7)プロトン核磁気共鳴スペクトル :
図5に、シグナーマイシンBの重クロロホルム中で30℃にて測定した、600MHzにおけるプロトン核磁気共鳴スペクトルのチャートを示す。
(8)炭素13核磁気共鳴スペクトル :
図6に、シグナーマイシンBの重クロロホルム中で30℃にて測定した、150MHzにおける炭素13核磁気共鳴スペクトルのチャートを示す。
【化10】

【0040】
(試験例1:シグナーマイシンBのキャベツ軟腐病に対する防除効果試験)
前記実施例1で得られたシグナーマイシンBを添加(20質量ppm)したジャガイモ煎汁培地で軟腐病菌(Erwinia carotovora subsp. carotovora MAFF 301393)を3日間、27℃で静置培養した。十分生育したこの細菌懸濁液を用い、あらかじめ温室内で直径12cmの大きさのプラスチックポットで栽培したキャベツに針接種し、24℃の接種箱に入れた。接種の4日後に、病斑直径(cm)を測定し、防除効果を調べた。対照としてシグナーマイシンB無添加のジャガイモ煎汁培地で培養した細菌懸濁液を用い同様に試験した。試験の様子、及び結果を図7A〜図7Eに示す。
また、本試験は、1薬液濃度当り、1区1ポットの3連制で行った。その平均の防除効果の評価値を求め、1葉当りの病斑直径(cm)を表1に示す。
【0041】
図7Aは、前記3日間、27℃で静置培養した細菌懸濁液の様子を示す図であり、左側は、シグナーマイシンBを添加(20質量ppm)した細菌懸濁液、右側はシグナーマイシンB無添加の細菌懸濁液を示す。
図7B、及び図7Cは、シグナーマイシンBを添加(20質量ppm)した細菌懸濁液を針接種し、4日後のキャベツの様子を示す図であり、図7Bはキャベツ全体の図であり、図7Cはキャベツの葉の拡大図である。図7C中、矢印は、針接種した部分を示す。
図7D、及び図7Eは、シグナーマイシンB無添加の細菌懸濁液を針接種し、4日後のキャベツの様子を示す図であり、図7Dはキャベツ全体の図であり、図7Eはキャベツの葉の拡大図である。なお、針接種した部分は、シグナーマイシンBを添加(20質量ppm)後培養した細菌懸濁液を針接種した場合と同じである。
【0042】
【表1】

【0043】
試験例1の結果から、シグナーマイシンBが、キャベツ軟腐病に対する防除効果を有することが示された。
【0044】
(試験例2:培養法によるシグナーマイシンAのペクチナーゼ産生阻害試験)
Erwinia carotovora subsp. carotovora MAFF 301393(以下、「E. carotovora」と称することがある。)をLB培地で30℃、18時間培養した。培養液を遠心分離して培養液を除去した後、培養液の10分の1量の滅菌生理食塩水を加え、懸濁したものをE. carotovora菌体懸濁液として調製した。
E. carotovora菌体懸濁液を表2に示す試験培地に1mL接種した。この接種液を用いてシグナーマイシンAを100μg/mLから12.5μg/mLまで段階的に希釈し、各希釈段階の接種液を96ウェルマイクロプレートにそれぞれ300μL分注したものを30℃、4日間静置条件で培養した。培養終了後、培養液250μLに対して、0.05%ルテニウムレッド溶液、0.6M CaCl溶液をそれぞれ75μL添加し混合した。遠心分離(13,000rpm、1分)により回収した上清について、遊離するルテニウムレッドを波長570nmで測定することによりペクチナーゼ活性を調べた。
生菌数の測定には、Bioplorer(Panasonic(株)社製)を用いて測定を行った。この結果を図8に示す。
【0045】
【表2】

【0046】
図8の結果より、シグナーマイシンA濃度が高くなるにしたがいE. carotovoraのペクチナーゼ産生が抑制されることが確認され、特に50μg/mL以上のシグナーマイシンA処理区で高い抑制効果を示した。
各濃度のシグナーマイシンA処理区にて、生菌数は対照区である無添加区とほぼ同等であった。これよりシグナーマイシンAは、E. carotovoraの生育には影響を及ぼさずにペクチナーゼ産生を抑制していることが確認された。
【0047】
(試験例3:培養法によるシグナーマイシンBのペクチナーゼ産生阻害試験)
E. carotovoraをLB培地で30℃、18時間培養した。培養液を遠心分離して培養液を除去した後、培養液の10分の1量の滅菌生理食塩水を加え、懸濁したものをE. carotovora菌体懸濁液として調製した。
E. carotovora菌体懸濁液を前記表2に示す試験培地に1mL接種した。この接種液を用いてシグナーマイシンBを100μg/mLから12.5μg/mLまで段階的に希釈し、各希釈段階の接種液を96ウェルマイクロプレートにそれぞれ300μL分注したものを30℃、4日間静置条件で培養した。培養終了後、培養液250μLに対して、0.05%ルテニウムレッド溶液、0.6M CaCl溶液をそれぞれ75μL添加し混合した。遠心分離(13,000rpm、1分)により回収した上清について、遊離するルテニウムレッドを波長570nmで測定することによりペクチナーゼ活性を調べた。
生菌数の測定には、Bioplorer(Panasonic(株)社製)を用いて測定を行った。この結果を図9に示す。
【0048】
図9の結果より、シグナーマイシンB濃度が高くなるにしたがいE. carotovoraのペクチナーゼ産生が抑制されることが確認され、特に50μg/mL以上のシグナーマイシンB処理区で高い抑制効果を示した。
各濃度のシグナーマイシンB処理区にて、生菌数は対照区である無添加区とほぼ同等であった。これよりシグナーマイシンBは、E. carotovoraの生育には影響を及ぼさずにペクチナーゼ産生を抑制していることが確認された。
【0049】
(試験例4:シグナーマイシンBのペクチナーゼ阻害試験)
ポリガラクツロン酸を0.25%含む25mM酢酸ナトリウム緩衝液(pH5.0)900μLに同緩衝液に溶解した0.25unit/mLのAspergillus niger由来ペクチナーゼ溶液を100μLと、シグナーマイシンB 50μg/mLを加えた。なお対照区としてペクチナーゼのみを加えた酵素添加区、シグナーマイシンBとペクチナーゼの両方を添加しない無添加区を調製した。
各サンプルを37℃で加温処理し、経時的に処理液を回収した。これらについて、前記試験例2、及び3と同様に遊離するルテニウムレッドを波長570nmで測定することによりペクチナーゼ活性を調べた。この結果を図10に示す。
図10より、シグナーマイシンB添加区、酵素添加区の両区でポリガラクツロン酸の分解が確認された。これよりシグナーマイシンBは、Aspergillus nigerのペクチナーゼに対して酵素阻害活性を持たないことが認められた。
【0050】
(試験例5:シグナーマイシンA、及びシグナーマイシンBの抗菌活性試験)
E. carotovoraを含む各種の微生物に対するシグナーマイシンA、及びシグナーマイシンBの抗菌スペクトルを、日本化学療法学会標準法に基づき、農研寒天培地上(表3)で倍数希釈法により測定した。最小発育阻止濃度(MIC)の測定結果を表4に示す。
【0051】
【表3】

【0052】
【表4】

【0053】
試験例5の結果から、シグナーマイシンA、及びシグナーマイシンBは、ともにE. carotovoraに対し抗菌力を示さないことが確認された。
【0054】
(製剤例1:水和剤)
シグナーマイシンB(20質量部)、アルキルベンゼンスルホン酸ナトリウム(3質量部)、ポリオキシエチレンノニルフェニルエーテル(5質量部)、及び白土(72質量部)の混合物を均一に混合し、粉砕することにより、活性成分を20質量%含有する水和剤を得た。
【0055】
(製剤例2:ゾル剤)
シグナーマイシンB(25質量部)、ポリオキシエチレンアルキルエーテル(1質量部)、アルキルナフタレンスルホン酸ナトリウム(1質量部)、カルボキシメチルセルロース(1質量部)、及び水(72質量部)の混合物を均一に混合することにより、活性成分を25質量%含有するゾル剤を得た。
【産業上の利用可能性】
【0056】
本発明の植物病害防除剤は、低薬量で植物病害を防除することができ、各種作物の軟腐病等、広範な植物病原細菌類に対して高い防除効果を有しており、各種植物の病害防除に利用することができる。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
下記構造式(1)で表される化合物、及び下記構造式(2)で表される化合物の少なくともいずれかを含有することを特徴とする植物病害防除剤。
【化11】

【化12】

【請求項2】
適用される植物病害が、アブラナ科作物の軟腐病(Erwinia carotovora subsp. carotovora)、イネ内頴褐変病(Erwinia ananas)、イネ白葉枯病(Xanthomonas campestris pv. oryzae)、カンキツかいよう病(Xanthomonas campestris pv. citri)、キュウリ斑点細菌病(Pseudomonas syringae pv. lachrymans)、タマネギりん片腐敗病(Burkholderia gladioli)、ナス青枯病(Ralstonia solanacearum)、イネ苗立枯細菌病(Burkholderia plantarii)、イネ褐条病(Acidovorax avenae subsp. avenae)、及びトマトかいよう病(Clavibacter michiganensis subsp. michiganensis)から選択される少なくとも1種である請求項1に記載の植物病害防除剤。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7A】
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【図7B】
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【図7C】
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【図7D】
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【図7E】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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