説明

植物病害防除用組成物及び植物病害の防除方法

【課題】植物病害に対する優れた防除効力を有する植物病害防除用組成物、及び植物病害の防除方法を提供する。
【解決手段】エタボキサムとトルクロホスメチルとを有効成分として含有する植物病害防除用組成物、エタボキサムとトルクロホスメチルとの有効量を、植物または植物を栽培する土壌に施用することを特徴とする植物病害防除方法、等。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、植物病害防除用組成物及び植物病害の防除方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、植物病害防除剤の有効成分として、エタボキサム(例えば、特許文献1参照)やトルクロホスメチル(例えば、非特許文献1)が知られているが、より高活性な植物病害防除剤が常に求められている。
【0003】
【特許文献1】大韓民国特許第124552号公報
【非特許文献1】「The Pesticide Manual−14th edition(BCPC刊)ISBN 1901396142」(1043ページ)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明は、植物病害に対する優れた防除効力を有する植物病害防除用組成物、及び植物病害の防除方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明者等は、鋭意検討した結果、エタボキサムとトルクロホスメチルとを併用することにより、植物病害に対する防除効力が向上することを見出し、本発明に到達した。
即ち、本発明は次の通りの構成をとるものである。
〔1〕エタボキサムとトルクロホスメチルとを有効成分として含有する植物病害防除用組成物;
〔2〕エタボキサムとトルクロホスメチルとの重量比が1:1〜1:200の範囲である〔1〕に記載の有害生物防除用組成物;
〔3〕エタボキサムとトルクロホスメチルとを有効成分として含有する種子処理剤;
〔4〕エタボキサムとトルクロホスメチルとの有効量が処理されてなる植物種子;
〔5〕エタボキサムとトルクロホスメチルとの有効量を、植物または植物を栽培する土壌に施用することを特徴とする植物病害防除方法;
〔6〕植物病害が、藻菌類及びリゾクトニア属菌によって引き起こされる植物病害である前記〔5〕に記載の植物病害防除方法;
〔7〕植物病害を防除するための、エタボキサムとトルクロホスメチルとの組み合わせの使用;
【発明の効果】
【0006】
本発明に係る組成物は、優れた植物病害防除効果を発揮する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0007】
本発明に係る植物病害防除用組成物に用いるエタボキサムは、大韓民国特許第124552号公報に記載された化合物である。これらの化合物は、例えば、当該公報に記載された方法によって合成することができる。
【0008】
次に、本発明に係る植物病害防除用組成物に用いるトルクロホスメチルは、公知の化合物であり、例えば「The Pesticide Manual−14th edition(BCPC刊)ISBN 1901396142」の1043ページ等に記載されている。これらの化合物は市販の製剤から得るか、公知の方法により製造することにより得られる。
【0009】
本発明に係る植物病害防除用組成物において、エタボキサムとトルクロホスメチルとの重量比は、通常1:1〜1:200、好ましくは1:10〜1:50の割合で含有されることができる。
【0010】
本発明に係る植物病害防除用組成物は、エタボキサムとトルクロホスメチルとを単に混合したものでもよいが、通常、エタボキサム、トルクロホスメチル、及び不活性担体を混合し、必要に応じて界面活性剤やその他の製剤用補助剤を添加して、油剤、乳剤、フロアブル剤、水和剤、顆粒水和剤、粉剤、粒剤等に製剤化されたものであってもよい。また、前記植物病害防除用組成物は、そのまま又はその他の不活性成分を添加して本発明種子処理剤として使用することができる
本発明に係る植物病害防除用組成物において、エタボキサムとトルクロホスメチルとの合計量は通常0.1〜99重量%、好ましくは0.2〜90重量%の範囲である。
【0011】
製剤化の際に用いられる固体担体としては、例えばカオリンクレー、アッタパルジャイトクレー、ベントナイト、モンモリロナイト、酸性白土、パイロフィライト、タルク、珪藻土、方解石等の鉱物、トウモロコシ穂軸粉、クルミ殻粉等の天然有機物、尿素等の合成有機物、炭酸カルシウム、硫酸アンモニウム等の塩類、合成含水酸化珪素等の合成無機物等からなる微粉末あるいは粒状物等が挙げられ、液体担体としては、例えばキシレン、アルキルベンゼン、メチルナフタレン等の芳香族炭化水素類、2−プロパノール、エチレングリコール、プロピレングリコール、エチレングリコールモノエチルエーテル等のアルコール類、アセトン、シクロヘキサノン、イソホロン等のケトン類、ダイズ油、綿実油等の植物油、石油系脂肪族炭化水素類、エステル類、ジメチルスルホキシド、アセトニトリル及び水が挙げられる。
界面活性剤としては、例えばアルキル硫酸エステル塩、アルキルアリールスルホン酸塩、ジアルキルスルホコハク酸塩、ポリオキシエチレンアルキルアリールエーテルリン酸エステル塩、リグニンスルホン酸塩、ナフタレンスルホネートホルモアルデヒド重縮合物等の陰イオン界面活性剤及びポリオキシエチレンアルキルアリールエーテル、ポリオキシエチレンアルキルポリオキシプロピレンブロックコポリマ−、ソルビタン脂肪酸エステル等の非イオン界面活性剤、及びアルキルトリメチルアンモニウム塩等の陽イオン界面活性剤が挙げられる。
その他の製剤用補助剤としては、例えばポリビニルアルコール、ポリビニルピロリドン等の水溶性高分子、アラビアガム、アルギン酸及びその塩、CMC(カルボキシメチルセルロ−ス)、ザンサンガム等の多糖類、アルミニウムマグネシウムシリケート、アルミナゾル等の無機物、防腐剤、着色剤及びPAP(酸性リン酸イソプロピル)、BHT等の安定化剤が挙げられる。
【0012】
本発明に係る植物病害防除用組成物は、以下の植物病害等に有効である。
イネの病害:いもち病(Magnaporthe grisea)、ごま葉枯病(Cochliobolus miyabeanus)、紋枯病(Rhizoctonia solani)、馬鹿苗病(Gibberella fujikuroi)。
コムギの病害:うどんこ病(Erysiphe graminis)、赤かび病(Fusarium graminearum、F.avenacerum、F.culmorum、Microdochium nivale)、さび病(Puccinia striiformis、P.graminis、P.recondita)、紅色雪腐病(Micronectriella nivale)、雪腐小粒菌核病(Typhula sp.)、裸黒穂病(Ustilago tritici)、なまぐさ黒穂病(Tilletia caries)、眼紋病(Pseudocercosporella herpotrichoides)、葉枯病(Mycosphaerella graminicola)、ふ枯病(Stagonospora nodorum)、黄斑病(Pyrenophora tritici−repentis)。
オオムギの病害:うどんこ病(Erysiphe graminis)、赤かび病(Fusarium graminearum、F.avenacerum、F.culmorum、Microdochium nivale)、さび病(Puccinia striiformis、P.graminis、P.hordei)、裸黒穂病(Ustilago nuda)、雲形病(Rhynchosporium secalis)、網斑病(Pyrenophora teres)、斑点病(Cochliobolus sativus)、斑葉病(Pyrenophora graminea)、リゾクトニア属菌による苗立枯れ病(Rhizoctonia solani)。
トウモロコシの病害:黒穂病(Ustilago maydis)、ごま葉枯病(Cochliobolus heterostrophus)、ひょう紋病(Gloeocercospora sorghi)、南方さび病(Puccinia polysora)、グレイリーフスポット病(Cercospora zeae−maydis)、リゾクトニア属菌による苗立枯れ病(Rhizoctonia solani)。
【0013】
カンキツ類の病害:黒点病(Diaporthe citri)、そうか病(Elsinoe fawcetti)、果実腐敗病(Penicillium digitatum, P.italicum)、フィトフトラ病(Phytophthora parasitica、Phytophthora citrophthora)。
リンゴの病害:モニリア病(Monilinia mali)、腐らん病(Valsa ceratosperma)、うどんこ病(Podosphaera leucotricha)、斑点落葉病(Alternaria alternata apple pathotype)、黒星病(Venturia inaequalis)、炭そ病(Colletotrichum acutatum)、疫病(Phytophtora cactorum)、紫紋羽病(Helicobasidium mompa)。
ナシの病害:黒星病(Venturia nashicola,V.pirina)、黒斑病(Alternaria alternata Japanese pear pathotype)、赤星病(Gymnosporangium haraeanum)、疫病(Phytophtora cactorum)。
モモの病害:灰星病(Monilinia fructicola)、黒星病(Cladosporium carpophilum)、フォモプシス腐敗病(Phomopsis sp.)。
ブドウの病害:黒とう病(Elsinoe ampelina)、晩腐病(Glomerella cingulata)、うどんこ病(Uncinula necator)、さび病(Phakopsora ampelopsidis)、ブラックロット病(Guignardia bidwellii)、べと病(Plasmopara viticola)。
カキの病害:炭そ病(Gloeosporium kaki)、落葉病(Cercospora kaki,Mycosphaerella nawae)。
ウリ類の病害:炭そ病(Colletotrichum lagenarium)、うどんこ病(Sphaerotheca fuliginea)、つる枯病(Mycosphaerella melonis)、つる割病(Fusarium oxysporum)、べと病(Pseudoperonospora cubensis)、疫病(Phytophthora sp.)、苗立枯病(Pythium sp.)。
トマトの病害:輪紋病(Alternaria solani)、葉かび病(Cladosporium fulvum)、疫病(Phytophthora infestans)。
ナスの病害:褐紋病(Phomopsis vexans)、うどんこ病(Erysiphe cichoracearum)。
アブラナ科野菜の病害:黒斑病(Alternaria japonica)、白斑病(Cercosporella brassicae)、根こぶ病(Plasmodiophora brassicae)、べと病(Peronospora parasitica)。
ネギの病害:さび病(Puccinia allii)、べと病(Peronospora destructor)。
【0014】
ダイズの病害:紫斑病(Cercospora kikuchii)、黒とう病(Elsinoe glycines)、黒点病(Diaporthe phaseolorum var.sojae)、褐紋病(Septoria glycines)、斑点病(Cercospora sojina)、さび病(Phakopsora pachyrhizi)、茎疫病(Phytophthora sojae)、リゾクトニア属菌による苗立枯れ病(Rhizoctonia solani)。
インゲンの病害:炭そ病(Colletotrichum lindemthianum)。
ラッカセイの病害:黒渋病(Cercospora personata)、褐斑病(Cercospora arachidicola)、白絹病(Sclerotium rolfsii)。
エンドウの病害:うどんこ病(Erysiphe pisi)、根腐病(Fusarium solani f.sp.pisi)。
ジャガイモの病害:夏疫病(Alternaria solani)、疫病(Phytophthora infestans)、緋色腐敗病(Phytophthora erythroseptica)、粉状そうか病(Spongospora subterranean f.sp.subterranea)、黒あざ病(Rhizoctonia solani)。
イチゴの病害:うどんこ病(Sphaerotheca humuli)、炭そ病(Glomerella cingulata)。
チャの病害:網もち病(Exobasidium reticulatum)、白星病(Elsinoe leucospila)、輪斑病(Pestalotiopsis sp.)、炭そ病(Colletotrichum theae−sinensis)。
タバコの病害:赤星病(Alternaria longipes)、うどんこ病(Erysiphe cichoracearum)、炭そ病(Colletotrichum tabacum)、べと病(Peronospora tabacina)、疫病(Phytophthora nicotianae)。
ナタネの病害:菌核病(Sclerotinia sclerotiorum)、リゾクトニア属菌による苗立枯れ病(Rhizoctonia solani)。
ワタの病害;リゾクトニア属菌による苗立枯れ病(Rhizoctonia solani)。
テンサイの病害:褐斑病(Cercospora beticola)、葉腐病(Rhizoctonia solani)、根腐病(Rhizoctonia solani)、黒根病(Aphanomyces cochlioides)。
バラの病害:黒星病(Diplocarpon rosae)、うどんこ病(Sphaerotheca pannosa)、べと病(Peronospora sparsa)。
【0015】
キク及びキク科野菜の病害:べと病(Bremia lactucae)、褐斑病(Septoria chrysanthemi−indici)、白さび病(Puccinia horiana)。
種々の植物の病害:ピシウム属菌によって引き起こされる病害(Pythium aphanidermatum, Pythium debarianum,Pythium graminicola,Pythium irregulare,Pythium ultimum)、灰色かび病(Botrytis cinerea)、菌核病(Sclerotinia sclerotiorum)、白絹病(Sclerotium rolfsii)。
ダイコンの病害:黒斑病(Alternaria brassicicola)。
シバの病害:ダラースポット病(Sclerotinia homeocarpa)、ブラウンパッチ病及びラージパッチ病(Rhizoctonia solani)。
バナナの病害:シガトカ病(Mycosphaerella fijiensis、Mycosphaerella musicola)。
ヒマワリの病害:べと病(Plasmopara halstedii)。
Aspergillus属、Penicillium属、Fusarium属、Gibberella属、Tricoderma属、Thielaviopsis属、Rhizopus属、Mucor属、Corticium属、Phoma属、Rhizoctonia属、及びDiplodia属菌等によって引き起こされる、各種植物の種子病害または生育初期の病害。
Polymixa属またはOlpidium属等によって媒介される各種植物のウイルス病。
【0016】
上記のうち、藻菌類及びリゾクトニア(Rhizoctonia)属菌によって引き起こされる種々の作物の茎葉病害、土壌伝染性植物病害、または種子伝染性植物病害に対して特に高い防除効果が期待される。
散布処理の場合、藻菌類によって引き起こされる病害としては、具体的には、ダイズの茎疫病(Phytophthora sojae)、タバコの疫病(Phytophthora nicotianae)、ヒマワリのべと病(Plasmopara halstedii)、ジャガイモの疫病(Phytophthora infestans)が挙げられ、リゾクトニア属菌によって引き起こされる病害としては、具体的には、トウモロコシ、イネ、ダイズ、ワタ、ナタネ、テンサイ、及びシバのリゾクトニア属菌による苗立枯れ病(Rhizoctonia solani)、ジャガイモの黒あざ病(Rhizoctonia solani)、シバのブラウンパッチ病及びラージパッチ病(Rhizoctonia solani)、テンサイの根腐病及び葉腐病(Rhizoctonia solani)が挙げられる。
種子または球根等への処理の場合、藻菌類によって引き起こされる病害としては、具体的には、コムギ、オオムギ、トウモロコシ、イネ、ソルガム、ダイズ、ワタ、ナタネ、テンサイ及びシバのピシウム属菌による苗立枯病及び根腐病(Pythium aphanidermatum,Pythium debarianum,Pythium graminicola,Pythium irregulare,Pythium ultimum)、ダイズの茎疫病、タバコの疫病、ヒマワリのべと病、テンサイの黒根病(Aphanomyces cochlioides)が挙げられ、リゾクトニア属菌によって引き起こされる病害としては、具体的には、トウモロコシ、イネ、ダイズ、ワタ、ナタネ、テンサイ、及びシバのリゾクトニア属菌による苗立枯れ病、ジャガイモの黒あざ病、シバのブラウンパッチ病及びラージパッチ病、テンサイの根腐病及び葉腐病が挙げられる。
【0017】
エタボキサムとトルクロホスメチルとの有効量を、植物病原菌、または植物病原菌の生息するもしくは生息する可能性のある場所(植物、土壌等)に施用することにより、植物病害を防除することができる。
エタボキサムとトルクロホスメチルとの有効量を、植物または植物を栽培する土壌に施用することにより、植物病害を防除することができる。施用対象となる植物とは、植物の茎葉、植物の種子、植物の球根等が挙げられる。なお、ここで球根とは、鱗茎、球茎、根茎、塊茎、塊根および担根体を意味する。
植物病害、植物、植物を栽培する土壌等に施用する場合は、エタボキサム及びトルクロホスメチルは同時期に別々に施用してもよいが、通常は施用時の簡便性の観点から、本発明の植物病害防除用組成物として施用される。
本発明の防除方法としては具体的には、茎葉散布などの植物の茎葉への処理、土壌処理などの植物の栽培地への処理、種子消毒・種子コートなどの種子への処理、種芋等の球根への処理等が挙げられる。
本発明の防除方法における植物の茎葉への処理としては、具体的には、例えば、茎葉散布、樹幹散布等の植物の表面に施用する処理方法が挙げられる。
本発明の防除方法における土壌処理方法としては、例えば、土壌への散布、土壌混和、土壌への薬液潅注(薬液潅水、土壌注入、薬液ドリップ)が挙げられ、処理する場所としては例えば、植穴、作条、植穴付近、作条付近、栽培地の全面、植物地際部、株間、樹幹下、主幹畦、培土、育苗箱、育苗トレイ、苗床等が挙げられ、処理時期としては播種前、播種時、播種直後、育苗期、定植前、定植時、及び定植後の生育期等が挙げられる。また、上記土壌処理において、有効成分を植物に同時に処理してもよく、有効成分を含有するペースト肥料等の固形肥料を土壌へ施用してもよい。また、潅水液に混合してもよく、例えば、潅水設備(潅水チューブ、潅水パイプ、スプリンクラー等)への注入、条間湛水液への混入、水耕液へ混入等が挙げられる。また、あらかじめ潅水液と有効成分を混合し、例えば、上記潅水方法やそれ以外の散水、湛水等のしかるべき潅水方法を用いて処理することができる。
本発明の防除方法における種子への処理としては、例えば、植物病害から保護しようとする植物の種子、球根等に本発明の植物病害防除用組成物を処理する方法であって、具体的には、例えば、本発明の植物病害防除用組成物の懸濁液を霧状にして種子表面もしくは球根表面に吹きつける吹きつけ処理、本発明の植物病害防除用組成物の水和剤、乳剤又はフロアブル剤等に少量の水を加えるか又はそのままで種子もしくは球根に塗付する塗沫処理、本発明の植物病害防除用組成物の溶液に一定時間種子を浸漬する浸漬処理、フィルムコート処理、ペレットコート処理が挙げられる。
【0018】
エタボキサムとトルクロホスメチルとを、植物または植物を栽培する土壌に処理する場合、その処理量は、処理する植物の種類、防除対象である植物病害の種類や発生程度、製剤形態、処理時期、気象条件等によって変化させ得るが、10000mあたりエタボキサムとトルクロホスメチルとの合計量(以下、本有効成分量と記す。)として通常1〜5000g、好ましくは100〜1000gである。土壌に全面混和する場合は、その処理量は、10000mあたり本有効成分量として通常0.1kg〜50kg、好ましくは1kg〜10kgである。
乳剤、水和剤、フロアブル剤等は通常水で希釈して散布することにより処理する。この場合、本有効成分量の濃度は通常0.0001〜3重量%、好ましくは0.0005〜1重量%の範囲である。粉剤、粒剤等は通常希釈することなくそのまま処理する。
種子への処理においては、種子1kgに対して本有効成分量は通常0.001〜20g、好ましくは0.01〜5gの範囲で施用される。
【0019】
本発明の防除方法は、畑、水田、芝生、果樹園等の農耕地又は非農耕地用にて使用することができる。
また、本発明は、以下に挙げられる「植物」等を栽培する農耕地等において、該植物等に対して薬害を与えることなく、当該農耕地の病害を防除するために使用することができる。
農作物;トウモロコシ、イネ、コムギ、オオムギ、ライムギ、エンバク、ソルガム、ワタ、ダイズ、ピーナッツ、ソバ、テンサイ、ナタネ、ヒマワリ、サトウキビ、タバコ等、
野菜;ナス科野菜(ナス、トマト、ピーマン、トウガラシ、ジャガイモ等)、ウリ科野菜(キュウリ、カボチャ、ズッキーニ、スイカ、メロン、スカッシュ等)、アブラナ科野菜(ダイコン、カブ、セイヨウワサビ、コールラビ、ハクサイ、キャベツ、カラシナ、ブロッコリー、カリフラワー等)、キク科野菜(ゴボウ、シュンギク、アーティチョーク、レタス等)、ユリ科野菜(ネギ、タマネギ、ニンニク、アスパラガス)、セリ科野菜(ニンジン、パセリ、セロリ、アメリカボウフウ等)、アカザ科野菜(ホウレンソウ、フダンソウ等)、シソ科野菜(シソ、ミント、バジル等)、イチゴ、サツマイモ、ヤマノイモ、サトイモ等、
花卉、
観葉植物、
シバ、
果樹;仁果類(リンゴ、セイヨウナシ、ニホンナシ、カリン、マルメロ等)、核果類(モモ、スモモ、ネクタリン、ウメ、オウトウ、アンズ、プルーン等)、カンキツ類(ウンシュウミカン、オレンジ、レモン、ライム、グレープフルーツ等)、堅果類(クリ、クルミ、ハシバミ、アーモンド、ピスタチオ、カシューナッツ、マカダミアナッツ等)、液果類(ブルーベリー、クランベリー、ブラックベリー、ラズベリー等)、ブドウ、カキ、オリーブ、ビワ、バナナ、コーヒー、ナツメヤシ、ココヤシ等、
果樹以外の樹;チャ、クワ、花木、街路樹(トネリコ、カバノキ、ハナミズキ、ユーカリ、イチョウ、ライラック、カエデ、カシ、ポプラ、ハナズオウ、フウ、プラタナス、ケヤキ、クロベ、モミノキ、ツガ、ネズ、マツ、トウヒ、イチイ)等。
【0020】
上記「植物」とは、イソキサフルトール等のHPPD阻害剤、イマゼタピル、チフェンスルフロンメチル等のALS阻害剤、グリホサート等のEPSP合成酵素阻害剤、グルホシネート等のグルタミン合成酵素阻害剤、セトキシジム等のアセチルCoAカルボキシラーゼ阻害剤、フルミオキサジン等のPPO阻害剤、ブロモキシニル、ジカンバ、2,4−D等の除草剤に対する耐性を古典的な育種法、もしくは遺伝子組換え技術により付与された植物も含まれる。
古典的な育種法により耐性を付与された「植物」の例として、イマゼタピル等のイミダゾリノン系ALS阻害型除草剤に耐性のナタネ、コムギ、ヒマワリ、イネがありClearfield(登録商標)の商品名で既に販売されている。同様に古典的な育種法によるチフェンスルフロンメチル等のスルホニルウレア系ALS阻害型除草剤に耐性のダイズがあり、STSダイズの商品名で既に販売されている。同様に古典的な育種法によりトリオンオキシム系、アリールオキシフェノキシプロピオン酸系除草剤などのアセチルCoAカルボキシラーゼ阻害剤に耐性が付与された植物の例としてSRコーン等がある。アセチルCoAカルボキシラーゼ阻害剤に耐性が付与された植物はプロシーディングズ・オブ・ザ・ナショナル・アカデミー・オブ・サイエンシーズ・オブ・ザ・ユナイテッド・ステーツ・オブ・アメリカ(Proc.Natl.Acad.Sci.USA)87巻、7175〜7179頁(1990年)等に記載されている。またアセチルCoAカルボキシラーゼ阻害剤に耐性の変異アセチルCoAカルボキシラーゼがウィード・サイエンス(Weed Science)53巻、728〜746頁(2005年)等に報告されており、こうした変異アセチルCoAカルボキシラーゼ遺伝子を遺伝子組換え技術により植物に導入するかもしくは抵抗性付与に関わる変異を植物アセチルCoAカルボキシラーゼに導入する事により、アセチルCoAカルボキシラーゼ阻害剤に耐性の植物を作出することができる。さらに、キメラプラスティ技術(Gura T.1999.Repairing the Genome’s Spelling Mistakes.Science 285:316−318.)に代表される塩基置換変異導入核酸を植物細胞内に導入して植物のアセチルCoAカルボキシラーゼ遺伝子やALS遺伝子等に部位特異的アミノ酸置換変異を導入することにより、アセチルCoAカルボキシラーゼ阻害剤やALS阻害剤等に耐性の植物を作出することができる。
【0021】
遺伝子組換え技術により耐性を付与された植物の例として、グリホサート耐性のトウモロコシ、ダイズ、ワタ、ナタネ、テンサイ品種があり、ラウンドアップアップレディ(RoundupReady(登録商標))、AgrisureGT等の商品名で既に販売されている。同様に遺伝子組換え技術によるグルホシネート耐性のトウモロコシ、ダイズ、ワタ、ナタネ品種があり、リバティーリンク(LibertyLink(登録商標))等の商品名ですでに販売されている。同様に遺伝子組換え技術によるブロモキシニル耐性のワタはBXNの商品名で既に販売されている。
【0022】
上記「植物」とは、遺伝子組換え技術を用いて、例えば、バチルス属で知られている選択的毒素等を合成する事が可能となった植物も含まれる。
この様な遺伝子組換え植物で発現される毒素として、バチルス・セレウスやバチルス・ポピリエ由来の殺虫性タンパク;バチルス・チューリンゲンシス由来のCry1Ab、Cry1Ac、Cry1F、Cry1Fa2、Cry2Ab、Cry3A、Cry3Bb1またはCry9C等のδ−エンドトキシン、VIP1、VIP2、VIP3またはVIP3A等の殺虫タンパク;線虫由来の殺虫タンパク;さそり毒素、クモ毒素、ハチ毒素または昆虫特異的神経毒素等動物によって産生される毒素;糸状菌類毒素;植物レクチン;アグルチニン;トリプシン阻害剤、セリンプロテアーゼ阻害剤、パタチン、シスタチン、パパイン阻害剤等のプロテアーゼ阻害剤;リシン、トウモロコシ−RIP、アブリン、ルフィン、サポリン、ブリオジン等のリボゾーム不活性化タンパク(RIP);3−ヒドロキシステロイドオキシダーゼ、エクジステロイド−UDP−グルコシルトランスフェラーゼ、コレステロールオキシダーゼ等のステロイド代謝酵素;エクダイソン阻害剤;HMG−CoAリダクターゼ;ナトリウムチャネル、カルシウムチャネル阻害剤等のイオンチャネル阻害剤;幼若ホルモンエステラーゼ;利尿ホルモン受容体;スチルベンシンターゼ;ビベンジルシンターゼ;キチナーゼ;グルカナーゼ等が挙げられる。
またこの様な遺伝子組換え植物で発現される毒素として、Cry1Ab、Cry1Ac、Cry1F、Cry1Fa2、Cry2Ab、Cry3A、Cry3Bb1、Cry9C、Cry34AbまたはCry35Ab等のδ−エンドトキシンタンパク、VIP1、VIP2、VIP3またはVIP3A等の殺虫タンパクのハイブリッド毒素、一部を欠損した毒素、修飾された毒素も含まれる。ハイブリッド毒素は組換え技術を用いて、これらタンパクの異なるドメインの新しい組み合わせによって作り出される。一部を欠損した毒素としては、アミノ酸配列の一部を欠損したCry1Abが知られている。修飾された毒素としては、天然型の毒素のアミノ酸の1つまたは複数が置換されている。
これら毒素の例およびこれら毒素を合成する事ができる組換え植物は、EP−A−0 374 753、WO 93/07278、WO 95/34656、EP−A−0 427 529、EP−A−451 878、WO 03/052073等に記載されている。
これらの組換え植物に含まれる毒素は、特に、甲虫目害虫、半翅目害虫、双翅目害虫、鱗翅目害虫、線虫類への耐性を植物へ付与する。
【0023】
また、1つもしくは複数の殺虫性の害虫抵抗性遺伝子を含み、1つまたは複数の毒素を発現する遺伝子組換え植物は既に知られており、いくつかのものは市販されている。これら遺伝子組換え植物の例として、YieldGard(登録商標)(Cry1Ab毒素を発現するトウモロコシ品種)、YieldGard Rootworm(登録商標)(Cry3Bb1毒素を発現するトウモロコシ品種)、YieldGard Plus(登録商標)(Cry1AbとCry3Bb1毒素を発現するトウモロコシ品種)、Herculex I(登録商標)(Cry1Fa2毒素とグルホシネートへの耐性を付与するためにホスフィノトリシン N−アセチルトランスフェラーゼ(PAT)を発現するトウモロコシ品種)、NuCOTN33B(登録商標)(Cry1Ac毒素を発現するワタ品種)、Bollgard I(登録商標)(Cry1Ac毒素を発現するワタ品種)、Bollgard II(登録商標)(Cry1AcとCry2Ab毒素とを発現するワタ品種)、VIPCOT(登録商標)(VIP毒素を発現するワタ品種)、NewLeaf(登録商標)(Cry3A毒素を発現するジャガイモ品種)、NatureGard(登録商標)Agrisure(登録商標)GT Advantage(GA21 グリホサート耐性形質)、Agrisure(登録商標) CB Advantage(Bt11コーンボーラー(CB)形質)、Protecta(登録商標)等が挙げられる。
【0024】
上記「植物」とは、遺伝子組換え技術を用いて、選択的な作用を有する抗病原性物質を産生する能力を付与されたものも含まれる。
抗病原性物質の例として、PRタンパク等が知られている(PRPs、EP−A−0 392 225)。このような抗病原性物質とそれを産生する遺伝子組換え植物は、EP−A−0 392 225、WO 95/33818、EP−A−0 353 191等に記載されている。
こうした遺伝子組換え植物で発現される抗病原性物質の例として、例えば、ナトリウムチャネル阻害剤、カルシウムチャネル阻害剤(ウイルスが産生するKP1、KP4、KP6毒素等が知られている。)等のイオンチャネル阻害剤;スチルベンシンターゼ;ビベンジルシンターゼ;キチナーゼ;グルカナーゼ;PRタンパク;ペプチド抗生物質、ヘテロ環を有する抗生物質、植物病害抵抗性に関与するタンパク因子(植物病害抵抗性遺伝子と呼ばれ、WO 03/000906に記載されている。)等の微生物が産生する抗病原性物質等が挙げられる。このような抗病原性物質とそれを産生する遺伝子組換え植物は、EP−A−0392225、WO95/33818、EP−A−0353191等に記載されている。
【0025】
上記「植物」とは、遺伝子組換え技術を用いて、油糧成分改質やアミノ酸含量増強形質などの有用形質を付与した植物も含まれる。例として、VISTIVE(登録商標)(リノレン含量を低減させた低リノレン大豆)あるいは、high−lysine(high−oil) corn(リジンあるいはオイル含有量を増量したコーン)等が挙げられる。
【0026】
さらに、上記の古典的な除草剤形質あるいは除草剤耐性遺伝子、殺虫性害虫抵抗性遺伝子、抗病原性物質産生遺伝子、油糧成分改質やアミノ酸含量増強形質などの有用形質について、これらを複数組み合わせたスタック品種も含まれる。
【実施例】
【0027】
以下、本発明を製剤例、種子処理例及び試験例にてさらに詳しく説明するが、本発明は以下の例のみに限定されるものではない。なお、以下の例において、部は特にことわりの無い限り重量部を表す。
【0028】
製剤例1
トルクロホスメチルを2.5部、エタボキサムを1.25部、ポリオキシエチレンスチリルフェニルエ−テル14部、ドデシルベンゼンスルホン酸カルシウム6部、及びキシレン76.25部をよく混合することにより各乳剤を得る。
【0029】
製剤例2
トルクロホスメチルを5部、エタボキサムを5部、ホワイトカーボンとポリオキシエチレンアルキルエーテルサルフェートアンモニウム塩との混合物(重量割合1:1)35部、及び水55部を混合し、湿式粉砕法で微粉砕することにより各フロアブル製剤を得る。
【0030】
製剤例3
トルクロホスメチルを10部、エタボキサムを10部、ソルビタントリオレエ−ト1.5部、及びポリビニルアルコ−ル2部を含む水溶液23.5部を混合し、湿式粉砕法で微粉砕した後、この中にキサンタンガム0.05部及びアルミニウムマグネシウムシリケ−ト0.1部を含む水溶液45部を加え、さらにプロピレングリコ−ル10部を加えて攪拌混合し各フロアブル製剤を得る。
【0031】
製剤例4
トルクロホスメチルを20部、エタボキサムを5部、ソルビタントリオレエ−ト1.5部、及びポリビニルアルコ−ル2部を含む水溶液28.5部を混合し、湿式粉砕法で微粉砕した後、この中にキサンタンガム0.05部及びアルミニウムマグネシウムシリケ−ト0.1部を含む水溶液45部を加え、さらにプロピレングリコ−ル10部を加えて攪拌混合し各フロアブル製剤を得る。
【0032】
製剤例5
トルクロホスメチルを40部、エタボキサムを5部、プロピレングリコールを5部(ナカライテスク製)、Soprophor FLK を5部(ローディア日華製)、アンチフォームCエマルションを0.2部(ダウコーニング社製)、プロキセルGXLを0.3部(アーチケミカル製)、及びイオン交換水を49.5部の割合で混合し、原体スラリーを調製する。該スラリー100部に150部のガラスビーズ(Φ=1mm)を投入し、冷却水で冷却しながら、2時間粉砕する。粉砕後、ガラスビーズをろ過により除き、各フロアブル製剤を得る。
【0033】
製剤例6
トルクロホスメチルを50部、エタボキサムを0.5部、NNカオリンクレーを38.5部(竹原化学工業製)、Morwet D425を10部、Morwer EFWを1.5部(アクゾノーベル社製)の割合で混合し、AIプレミックスを得る。当プレミックスをジェットミルで粉砕し、各粉剤を得る。
【0034】
製剤例7
トルクロホスメチルを4部、エタボキサムを1部、合成含水酸化珪素1部、リグニンスルホン酸カルシウム2部、ベントナイト30部、及びカオリンクレー62部をよく粉砕混合し、水を加えてよく練り合せた後、造粒乾燥することにより各粒剤を得る。
【0035】
製剤例8
トルクロホスメチルを40部、エタボキサムを1部、リグニンスルホン酸カルシウム3部、ラウリル硫酸ナトリウム2部、及び合成含水酸化珪素54部をよく粉砕混合することにより各水和剤を得る。
【0036】
製剤例9
トルクロホスメチルを2部、エタボキサムを1部、カオリンクレー87部、及びタルク10部をよく粉砕混合することにより各粉剤を得る。
【0037】
製剤例10
トルクロホスメチルを2部、エタボキサムを0.25部、ポリオキシエチレンスチリルフェニルエーテル14部、ドデシルベンゼンスルホン酸カルシウム6部、及びキシレン77.75部をよく混合することにより各乳剤を得る。
【0038】
製剤例11
トルクロホスメチルを10部、エタボキサムを2.5部、ソルビタントリオレエート1.5部、及びポリビニルアルコール2部を含む水溶液30部を混合し、湿式粉砕法で微粉砕した後、この中にキサンタンガム0.05部及びアルミニウムマグネシウムシリケート0.1部を含む水溶液47.5部を加え、さらにプロピレングリコール10部を加えて攪拌混合し、各フロアブル製剤を得る。
【0039】
製剤例12
トルクロホスメチルを20部、エタボキサムを1部、合成含水酸化珪素1部、リグニンスルホン酸カルシウム2部、ベントナイト30部、及びカオリンクレー47部をよく粉砕混合し、水を加えてよく練り合せた後、造粒乾燥することにより各粒剤を得る。
【0040】
製剤例13
トルクロホスメチルを40部、エタボキサムを1部、リグニンスルホン酸カルシウム3部、ラウリル硫酸ナトリウム2部、及び合成含水酸化珪素54部をよく粉砕混合することにより各水和剤を得る。
【0041】
種子処理例1
製剤例1に準じて作製した乳剤を、ソルガム乾燥種子100kgに対し、回転式種子処理機(シードドレッサー、Hans−Ulrich Hege GmbH製)を用いて500ml塗沫処理することにより、処理種子を得る。
【0042】
種子処理例2
製剤例2に準じて作製したフロアブル製剤を、ナタネ乾燥種子10kgに対し、回転式種子処理機(シードドレッサー、Hans−Ulrich Hege GmbH製)を用いて50ml塗沫処理することにより、処理種子を得る。
【0043】
種子処理例3
製剤例3に準じて作製したフロアブル製剤を、トウモロコシ乾燥種子10kgに対し、回転式種子処理機(シードドレッサー、Hans−Ulrich Hege GmbH製)を用いて40ml塗沫処理することにより、処理種子を得る。
【0044】
種子処理例4
製剤例4に準じて作製したフロアブル製剤を5部、ピグメントBPD6135(Sun Chemical製)を5部、及び水を35部混和し、混和物を調製する。該混和物を、イネ乾燥種子10kgに対し、回転式種子処理機(シードドレッサー、Hans−Ulrich Hege GmbH製)を用いて60ml塗沫処理することにより、処理種子を得る。
【0045】
種子処理例5
製剤例5に準じて作製した粉剤を、トウモロコシ乾燥種子10kgに対し、50g粉衣処理することにより、処理種子を得る。
【0046】
種子処理例6
製剤例1に準じて作製した乳剤を、テンサイ乾燥種子100kgに対し、回転式種子処理機(シードドレッサー、Hans−Ulrich Hege GmbH製)を用いて500ml塗沫処理することにより、処理種子を得る。
【0047】
種子処理例7
製剤例2に準じて作製したフロアブル製剤を、ダイズ乾燥種子10kgに対し、回転式種子処理機(シードドレッサー、Hans−Ulrich Hege GmbH製)を用いて50ml塗沫処理することにより、処理種子を得る。
【0048】
種子処理例8
製剤例3に準じて作製したフロアブル製剤を、コムギ乾燥種子10kgに対し、回転式種子処理機(シードドレッサー、Hans−Ulrich Hege GmbH製)を用いて50ml塗沫処理することにより、処理種子を得る。
【0049】
種子処理例9
製剤例4に準じて作製したフロアブル製剤を5部、ピグメントBPD6135(Sun Chemical製)を5部、水を35部混和し、ジャガイモ塊茎片10kgに対し、回転式種子処理機(シードドレッサー、Hans−Ulrich Hege GmbH製)を用いて70ml塗沫処理することにより、処理種子を得る。
【0050】
種子処理例10
製剤例4に準じて作製したフロアブル製剤を5部、ピグメントBPD6135(Sun Chemical製)を5部、水を35部混和し、ヒマワリ種子10kgに対し、回転式種子処理機(シードドレッサー、Hans−Ulrich Hege GmbH製)を用いて70ml塗沫処理することにより、処理種子を得る。
【0051】
種子処理例11
製剤例5に準じて作製した粉剤を、ワタ乾燥種子10kgに対し、40g粉衣処理することにより、処理種子を得る。
【0052】
試験例1
エタボキサムのアセトン溶液とトルクロホスメチルのアセトン溶液を混合することによって、所定濃度のエタボキサムとトルクロホスメチルとを含有するアセトン液を調製した。該アセトン液を、キュウリ(相模半白)の種子表面に付着させた後、一晩静置した。プラスチックポットに砂壌土を詰め、該種子を播種し、立枯病菌(Pythium ultimum)を培養したフスマ培地を混合した砂壌土で覆土した。潅水したのち18℃、保湿下で13日間生育させ、防除効果を調査した。
比較のために、所定濃度のエタボキサムを含有するアセトン溶液、および所定濃度のトルクロホスメチルを含有するアセトン溶液を調製し、それぞれ、同様の防除試験を行った。また、防除価算出のために薬剤無処理における発病度もあわせて調査した。
式1より発病度を算出し、その発病度をもとに、式2を用い防除価を算出した。その結果を表1に示す。
【0053】
「式1」
発病度=(不出芽種子数および発病苗数)×100/(総播種数)
【0054】
「式2」
防除価=100×(A−B)/A
A:無処理区の植物の発病度
B:処理区の植物の発病度
一般に、与えられた2種類の有効成分化合物を混合して処理した際に期待される防除効果、いわゆる防除価期待値は下記の式3のコルビーの計算式により求められる。
「式3」
E=X+Y−(XY)/100
X:有効成分化合物AをMg/100kg-種子で処理した時の防除価
Y:有効成分化合物BをNg/100kg-種子で処理した時の防除価
E:有効成分化合物AをMg/100kg-種子で、有効成分化合物BをNg/100kg-種子で処理した
時に期待される防除価(防除価期待値)
「相乗効果」=(実際の防除価)×100/(防除価期待値)
【0055】
【表1】

【産業上の利用可能性】
【0056】
本発明によれば、高い活性を有する植物病害防除用組成物、及び植物病害を効果的に防除し得る方法を提供することができる。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
エタボキサムとトルクロホスメチルとを有効成分として含有する植物病害防除用組成物。
【請求項2】
エタボキサムとトルクロホスメチルとの重量比が1:1〜1:200の範囲である請求項1に記載の有害生物防除用組成物。
【請求項3】
エタボキサムとトルクロホスメチルとを有効成分として含有する種子処理剤。
【請求項4】
エタボキサムとトルクロホスメチルとの有効量が処理されてなる植物種子。
【請求項5】
エタボキサムとトルクロホスメチルとの有効量を、植物または植物を栽培する土壌に施用することを特徴とする植物病害防除方法。
【請求項6】
植物病害が、藻菌類及びリゾクトニア属菌によって引き起こされる植物病害である請求項5に記載の植物病害防除方法。
【請求項7】
植物病害を防除するための、エタボキサムとトルクロホスメチルとの組み合わせの使用。

【公開番号】特開2010−126438(P2010−126438A)
【公開日】平成22年6月10日(2010.6.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−299270(P2008−299270)
【出願日】平成20年11月25日(2008.11.25)
【出願人】(000002093)住友化学株式会社 (8,981)
【Fターム(参考)】