説明

植物繊維発泡材の製造方法

【課題】植物繊維発泡材の製造方法の提供。
【解決手段】植物繊維、発泡剤、増粘剤、充填剤及び燃焼防止剤を混合攪拌タンク中に入れ、混合処理し、並びに粘ちゅう状の均一な混和物を形成する。均一な該混和物を成形容器或いは成形型中に充填或いは注入する。加圧装置を利用して加圧処理して設定圧力を印加する。加熱処理し、温度を発泡剤の発泡温度より高くして発泡作用を発生させ、これにより多孔状発泡構造を有する植物繊維発泡材を形成する。本発明の製造方法は、既存の設備を利用して容易に実現でき、且つ植物繊維発泡材は天然の植物繊維により自然分解の機能を有し、大幅に農業廃棄物の排出量を減らすのみならず、環境保護機能を増進できる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は一種の発泡材の製造方法に係り、特に自然分解可能な天然植物繊維を包含する発泡材の製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
発泡材料は、軽量で防火及び衝突防止の機能を有するため、すでに大量に各種の領域、たとえば、包装材料、充填物、容器或いはケースに応用されている。一般に、発泡材料は基材及び発泡剤を利用して形成され、特に、加熱して発泡剤に大量の気体を発生させ、それと同時に基材を軟化或いは溶融させて必要な形状、たとえば平板状、波形板状、開口瓶状或いは密封形状に成形する。
【0003】
常用される基材は、各種の人造材料、たとえば熱可塑性プラスチック、熱硬化性プラスチック或いはゴムを包含する。このほか、非常に容易に既存の射出成形、押出成形、ロール成形或いはスプレーアップ成形などの加工工程に結合され、並びに適当な高温高圧蒸気、高周波、超音波或いは赤外線の加熱方式を組み合わせて実施される。
【0004】
しかし、上述の周知の技術の欠点は、異なる材料に対しては、特定の発泡技術と適当な機械設備を選択使用する必要があり、このため製造実務上、自由度が低いことである。このほか、基材の原材料価格が高価でそれ自身が分解しにくく、使用後に大量の、簡単には処理できない廃棄物を発生し、相当にやっかいな環境保護問題を発生する。
【0005】
これにより、一種の植物繊維発泡材の製造方法が必要であり、自然分解可能な植物繊維を利用し、上述の周知の技術の問題を解決する。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明の目的は、一種の植物繊維発泡材の製造方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の植物繊維発泡材の製造方法は、
植物繊維、発泡剤、増粘剤、充填剤及び燃焼防止剤を混合攪拌タンク中に入れ、混合処理し、並びに粘ちゅう状の均一な混和物を形成し、
均一な該混和物を成形容器或いは成形型中に充填或いは注入し、
加圧装置を利用して加圧処理して設定圧力を印加し、
加熱処理し、温度を発泡剤の発泡温度より高くして発泡作用を発生させ、これにより多孔状発泡構造を有する植物繊維発泡材を形成する。
【0008】
上述の植物繊維は、稲茎、籾殻、麦茎、玉蜀黍葉、甘薯葉、椰子殻或いは牧草、或いはその組合せ物とされ、特に、それは植物繊維粒子(Fiber Particulate Composite;FPC)とされる。
【0009】
増粘剤は澱粉を包含し、粘度を増加するのに用いられ、加工性を改善する。
【0010】
燃焼防止剤は、炭酸カルシウムを包含し、燃焼を阻止するか燃焼速度を遅くし、防火効果を改善する。
【発明の効果】
【0011】
これにより、本発明の製造方法は自然分解可能な発泡剤を生成し、並びに農業廃棄物排出量を減らし、環境保護を促進する。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【図1】本発明の植物繊維発泡材の製造方法のフローチャートである。
【図2】本発明の植物繊維発泡材の製造方法のもう一つの実施例のフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0013】
図1を参照されたい。本発明の植物繊維発泡材の製造方法のフローチャートである。図1に示されるように、本発明の製造方法は、順に実行される混合処理S10、注入処理S20、加圧処理S30、加熱処理S40を包含し、これにより、特定形状を有する植物繊維発泡材を製造する。
【0014】
まず、混合処理S10から開始する。すなわち、植物繊維、発泡剤、増粘剤、充填剤及び燃焼防止剤を混合タンク中に入れ、攪拌方式で混合する。混合時間は少なくとも約3時間とし、並びに粘ちゅう状の均一な混和物を形成する。
【0015】
そのうち、植物繊維の重量%は10%−90%とし、且つ植物繊維は、植物繊維粒子(FPC)、或いは天然植物の茎部、葉、果殻、果皮及び根部の少なくとも一つより選択する。
【0016】
たとえば、植物繊維は、稲茎、稲殻、麦茎、玉蜀黍葉、甘薯葉、亜麻葉、竹葉、甜菜葉、牧草、椰子殻、パイナップル皮及び牛蒡の少なくとも一つとする。
【0017】
発泡剤は、エチレンビニルアセテートコポリマー(EVA)、発泡ポリエチレン(EPE)、ポリ乳酸(Poly Lactic Acid;PLA)とすることができ、且つ発泡剤は発泡温度を有し、たとえば、発泡温度が摂氏200度であると、温度がそれより高く、たとえば摂氏220度であると、大量の化学慣性を有するガス、たとえば二酸化炭素を発生し、これにより多孔状の開いた或いは閉じた孔を形成する。
【0018】
充填剤は、石粉を包含し得て、増粘剤は澱粉を包含し得て、粘度を増加して、加工性を改善するのに用いる。
【0019】
燃焼防止剤は炭酸カルシウムとすることができ、燃焼阻止するか或いは燃焼速度を遅くして防火効果を改善する。このほか、燃焼防止剤はエポキシ基粘ちゅう剤或いは活性炭燃焼防止剤とされる。そのうち、活性炭燃焼防止剤は、活性炭効果を有する燃焼防止剤であり、火災発生時に、燃焼阻止の特性を有するほか、優れた煙吸着効果を有し、火災現場の濃い煙を減らす特性を有し、現在世界で最も知られた環境保護効果と安全性を有する燃焼防止剤である。活性炭燃焼防止剤は一般に、天然炭素鉱を特殊処理して製造し、その特性は、常温から摂氏200度の時には安定して不変形の状態であり、加熱されて温度が摂氏200度より高くなると、その厚さが急激に膨張し、数十から数百倍となり、ばらばらの蛆虫状粉末となり、燃焼表面に隔離炭層を形成し、一方で熱を隔離し、もう一方で空気の流動を減らし、防火の目的を達成する。
【0020】
続いて注入処理S20を実行する。すなわち、注入或いは押出方式で、粘ちゅう状の均一な混和物を特定形状の成形容器或いは成形型に充填或いは注入する。
【0021】
さらに加圧処理S30を実行し、緻密性を強化し、たとえば、加圧装置を利用して圧力を印加する。加圧装置は油圧機或いは高圧空気シリンダとする。
【0022】
最後に加熱処理S40を実行する。それは加熱装置を利用し、成形容器或いは成形型中の均一な混和物の温度を発泡剤の発泡温度より高く、たとえば摂氏220度とし、且つ10〜60秒その温度を維持して、発泡剤に発泡作用を発生させ並びに均一な混和物を多孔状発泡構造の植物繊維発泡材に変化させる。加熱装置は高圧高温蒸気、高周波、超音波或いは赤外線の加熱方式を使用可能である。
【0023】
これにより、製造する植物繊維発泡材は成形容器或いは成形型により特定の形状を有し得て、直接特定商品の包装に用いて、湿気防止、防火或いは衝撃防止の保護機能を提供できる。
【0024】
図2を参照されたい。図2は本発明のもう一つの実施例の植物繊維発泡材の製造方法のフローチャートである。そのうち、本発明のもう一つの実施例の製造方法は、順に実行される混合処理S10、カレンダ処理S22、加熱処理S40及び裁断処理S50を包含し、これにより平板状の植物繊維発泡材を製造し、混合処理S10及び加熱処理S40は図1の実施例に述べたものと同じであるため、重複した説明は行わない。
【0025】
カレンダ処理S22では、カレンダ装置を利用し、粘ちゅう状の均一な混和物をカレンダ処理して所定厚さの予成形の平板を形成する。
【0026】
続いて、加熱処理S40し、発泡剤に発泡作用を形成させて、これにより、予成形の平板を平板状の植物繊維発泡材に変換する。
【0027】
このほか、加熱処理S40は同時に加圧処理を実行でき、たとえば、熱圧機を利用し、これにより加圧加熱処理を実現し、植物繊維発泡材の緻密度を増加する。
【0028】
最後に、裁断処理S50を実行し、裁断装置を利用して、植物繊維発泡材を適当なサイズと形状に裁断する。
【0029】
本発明の製造方法の特徴は、既存の機械設備を用いて発泡を実行し、実現でき、余分の加工器具に交換或いは増加する必要がなく、各種の植物繊維発泡材の発泡成形に多元的に応用でき、且つ使用する材料は、実際の要求によって調整でき、コストを下げることができ、特に、その製造工程の可塑性は高く、必要材料と発泡剤の選択をカスタマイズできる。これにより、全体の製造工程が簡単便利で、成形が容易である。
【0030】
本発明の製造方法のもう一つの特徴は、植物繊維発泡材に必要な植物繊維が自然分解可能で且つ取得が容易であり、たとえば、農業生産加工中に発生或いは残留する廃棄物とされ、これにより、環境保護に貢献し、農業廃棄物の排出量を減らす。
【0031】
以上述べたことは、本発明の実施例にすぎず、本発明の実施の範囲を限定するものではなく、本発明の特許請求の範囲に基づきなし得る同等の変化と修飾は、いずれも本発明の権利のカバーする範囲内に属するものとする。
【符号の説明】
【0032】
S10 混合処理
S20 注入処理
S22 カレンダ処理
S30 加圧処理
S40 加熱処理
S50 裁断処理

【特許請求の範囲】
【請求項1】
植物繊維発泡材の製造方法において、
混合処理ステップにおいて、植物繊維、発泡温度を有する発泡剤、増粘剤、充填剤及び燃焼防止剤を混合攪拌タンク中に入れ、混合及び攪拌し、均一な混和物を形成し、
注入処理ステップにおいて、該均一な該混和物を成形容器或いは成形型中に充填或いは注入し、
加圧処理ステップにおいて、加圧装置を利用して設定圧力を印加し、
加熱処理ステップにおいて、加熱装置を利用して該発泡剤の発泡温度より高い温度まで加熱し、該発泡剤に発泡作用を発生させ、大量の気体を発生させ、並びに該均一な混和物を多孔状発泡構造を有する植物繊維発泡材に変化させ、
以上のステップを包含することを特徴とする、植物繊維発泡材の製造方法。
【請求項2】
植物繊維発泡材の製造方法において、
混合処理ステップにおいて、植物繊維、発泡温度を有する発泡剤、増粘剤、充填剤及び燃焼防止剤を混合攪拌タンク中に入れ、混合及び攪拌し、均一な混和物を形成し、
カレンダ処理ステップにおいて、カレンダ装置で該均一な混和物を処理し、所定厚さを有する予成形の平板を形成し、
加熱処理ステップにおいて、加熱装置を利用して該予成形の平板を該発泡剤の発泡温度より高い温度まで加熱し、該発泡剤に発泡作用を発生させ、大量の気体を発生させ、並びに該予成形の平板を多孔状発泡構造を有する平板状の植物繊維発泡材に変化させ、
裁断処理ステップにおいて、裁断装置を利用し、該植物繊維発泡材を適当なサイズ及び形状に裁断し、
以上のステップを包含することを特徴とする、植物繊維発泡材の製造方法。
【請求項3】
請求項2記載の植物繊維発泡材の製造方法において、該加熱処理ステップでは、加圧処理も同時に行うことを特徴とする、植物繊維発泡材の製造方法。
【請求項4】
請求項1又は2記載の植物繊維発泡材の製造方法において、該植物繊維の重量%は10%−90%とし、且つ植物繊維は、植物繊維粒子(FPC)、或いは天然植物の茎部、葉、果殻、果皮及び根部の少なくとも一つより選択し、該植物繊維は、稲茎、稲殻、麦茎、玉蜀黍葉、甘薯葉、亜麻葉、竹葉、甜菜葉、牧草、椰子殻、パイナップル皮及び牛蒡の少なくとも一つとすることを特徴とする、植物繊維発泡材の製造方法。
【請求項5】
請求項1又は2記載の植物繊維発泡材の製造方法において、該発泡剤は、エチレンビニルアセテートコポリマー(EVA)、発泡ポリエチレン(EPE)、ポリ乳酸(Poly Lactic Acid;PLA)を包含し、該充填剤は、少なくとも石粉を包含し、該増粘剤は少なくとも澱粉を包含し、粘度を増加して、加工性を改善するのに用いられ、該燃焼防止剤は少なくとも炭酸カルシウムを包含し、燃焼阻止するか或いは燃焼速度を遅くするのに用いられることを特徴とする、植物繊維発泡材の製造方法。
【請求項6】
請求項1又は2記載の植物繊維発泡材の製造方法において、該加熱装置は高圧高温蒸気、高周波、超音波或いは赤外線の加熱方式のいずれかを使用することを特徴とする、植物繊維発泡材の製造方法。

【図1】
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【図2】
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【公開番号】特開2012−223940(P2012−223940A)
【公開日】平成24年11月15日(2012.11.15)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−92014(P2011−92014)
【出願日】平成23年4月18日(2011.4.18)
【出願人】(511097371)山健包装股▲ふん▼有限公司 (1)
【Fターム(参考)】