検体処理システム及び検体搬送ユニット
【課題】 従来に比して効率的に検体の再処理を行うことが可能な検体処理システム及び検体搬送ユニットを提供する。
【解決手段】
検体処理システム1は、測定ユニット51,52,53と、検体搬送ユニット3a,3b,3cと、検体回収ユニット23とを備える。検体搬送ユニット3aには、供給ライン3aSと帰還ライン3aRとが設けられており、測定ユニット51による測定の結果、検体の再検が必要と判断された場合には、当該検体を保持する検体ラックLが供給ライン3aSに沿って左方向へ搬送され、測定ユニット53により当該検体の再検が行われる。測定ユニット51による測定の結果、検体の再検が不要と判断された場合には、当該検体を保持する検体ラックLが帰還ライン3aRに沿って右方向へ搬送され、検体回収ユニット23により回収される。
【解決手段】
検体処理システム1は、測定ユニット51,52,53と、検体搬送ユニット3a,3b,3cと、検体回収ユニット23とを備える。検体搬送ユニット3aには、供給ライン3aSと帰還ライン3aRとが設けられており、測定ユニット51による測定の結果、検体の再検が必要と判断された場合には、当該検体を保持する検体ラックLが供給ライン3aSに沿って左方向へ搬送され、測定ユニット53により当該検体の再検が行われる。測定ユニット51による測定の結果、検体の再検が不要と判断された場合には、当該検体を保持する検体ラックLが帰還ライン3aRに沿って右方向へ搬送され、検体回収ユニット23により回収される。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、検体に対してその成分の測定、塗抹標本の作製等の処理を行う検体処理システム、及び検体に前記処理を行うために検体を収容した検体容器を搬送する検体搬送ユニットに関する。
【背景技術】
【0002】
多項目血球分析装置又は血液塗抹標本作製装置等の検体処理装置を複数備え、ユーザによって投入された検体をこれらの検体処理装置に搬送し、検体処理装置による処理が終了した検体を回収する検体処理システムが知られている(例えば、特許文献1,2参照)。
【0003】
特許文献1には、分析すべきサンプルを収容したサンプル容器を複数本保持するラックがセットされるラックセット部と、サンプル送り用搬送ラインと、ラックセット部にセットされたラックをサンプル送り用搬送ラインに供給するラック供給回収部と、サンプル戻し用搬送ラインと、ラック収納部と、複数の分析ユニットとを有する自動分析装置が開示されている。この自動分析装置では、ラック供給回収部から供給されたラックはサンプル送り用搬送ラインによって送り方向に向けて搬送され、複数の分析ユニットにおいて選択的に検体の分析が行われる。分析の終了したラックは、サンプル戻し用搬送ラインによって送り方向とは逆方向の戻り方向に向けて搬送され、ラック供給回収部で回収された後、ラック収納部に搬送されて収納される。この特許文献1に開示されている自動分析装置では、分析ユニットに対して同一側にラックセット部およびラック収納部が配置されているため、ユーザが検体の供給(投入)作業及び回収作業を一箇所で容易に行うことができる。
【0004】
特許文献2には、サンプルラックがセットされるサンプル供給部と、サンプル供給部によって所定の搬送開始位置に供給されたサンプルラックを搬送する搬送ラインと、所定の吸引位置まで搬送されたサンプルラックに収容されたサンプル容器から所定量のサンプルを吸引し、吸引されたサンプルに対して所定の検査を行う反応部と、吸引が終了したサンプルラックを帰還させる帰還ラインと、前記帰還ラインにサンプルラックを振り分ける振分け機構と、前記帰還ラインからのサンプルラックを選択的に前記搬送開始位置に戻す戻し機構と、検査が終了したサンプルラックを収納するラック収納部とを備えた自動分析装置が開示されている。特許文献2に開示されている自動分析装置では、サンプル供給部およびラック収納部が反応部に対して同一側に設けられ、戻し機構により、再検査を行わないサンプルラックはラック収納部に搬出され、再検査を行うサンプルラックは搬送開始位置に戻される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2001−74754号公報
【特許文献2】特開平6ー148202号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、上記特許文献1に記載の自動分析装置では、ラック供給回収部から供給すべきラックに保持されているサンプルに対して2以上の分析ユニットでの分析項目がある場合には、一の分析ユニットのサンプル吸引位置でサンプルを吸引して分析を行い、その後、さらに搬送して他の分析ユニットのサンプル吸引位置でサンプルを吸引して分析を行う構成ではあるが、再検査(再分析)については一切考慮されていなかった。
【0007】
また、上記特許文献2に記載の自動分析装置では、再検査が必要なサンプルを保持するサンプルラックが、再検査が不要なサンプルしか保持していないサンプルラックと同様に搬送ラインの出口まで搬送された後、帰還ラインにより前記搬送ラインの搬送方向とは逆方向に搬送され、再度搬送開始位置へ移送される。そのため、サンプルラックの搬送経路が長く、再検査を効率的に行うことが困難となる。例えば、他のサンプルラックのサンプルが搬送方向下流側の反応部により吸引中の場合には、吸引が終了するまでサンプルラックを搬送することができず、渋滞が生じる。このように搬送経路の途中で渋滞が生じているような場合には、著しく再検査の効率が悪化する。
【0008】
本発明は斯かる事情に鑑みてなされたものであり、その主たる目的は、従来に比して効率的に検体の再処理を行うことが可能な検体処理システム及び検体搬送ユニットを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上述した課題を解決するために、本発明の一の態様の検体処理システムは、検体を収容した検体容器から検体を取り込み、取り込まれた検体を処理する第1及び第2検体処理ユニットと、検体容器を投入するための検体投入ユニットと、前記第1及び第2検体処理ユニットに対して前記検体投入ユニットと同一側に配置され、前記第1及び第2検体処理ユニットの少なくとも一方へ搬送された検体容器を回収する検体回収ユニットと、前記検体投入ユニットに投入された検体容器を前記第1及び前記第2検体処理ユニットへ搬送するための第1搬送ラインと、前記第1搬送ラインの終点および当該終点に至るまでの所定位置から検体容器を受け取り、受け取った検体容器を前記検体回収ユニットへ搬送するための第2搬送ラインとを具備する搬送ユニットと、前記第1検体処理ユニットによる処理の結果、再処理が必要と判断された検体を収容する検体容器を前記第1搬送ラインに沿って前記第1及び前記第2検体処理ユニットの何れかへ搬送し、前記第1検体処理ユニットによる処理の結果、再処理が不要と判断された検体を収容する検体容器を、前記第1搬送ラインの終点を経由することなく前記第2搬送ラインの途中へ移送し、前記第2搬送ラインに沿って前記検体回収ユニットへ搬送するよう前記搬送ユニットを制御する制御部と、を備える。
【0010】
この態様においては、前記制御部が、前記第1検体処理ユニットによる処理の結果、再処理が必要と判断された検体を収容する検体容器を、前記第1搬送ラインに沿って前記第2検体処理ユニットへ搬送するように前記搬送ユニットを制御することが好ましい。
【0011】
また、上記態様においては、前記第1搬送ラインが、前記第1検体処理ユニットが検体容器から検体を取り込むための検体取込位置を経由して、検体容器を搬送するための取込ラインと、前記検体取込ラインと並行に設けられ、前記検体取込位置を経由せずに、前記第1検体処理ユニットの搬送方向上流側から搬送方向下流側に検体容器を搬送するための飛び越しラインと、前記取込ラインと前記飛び越しラインとの間に設けられ、前記取込ラインに沿って搬送された検体容器を受け入れる中継部とを有し、前記搬送ユニットが、前記中継部に位置する検体容器を前記飛び越しライン及び前記第2搬送ラインへ振り分けるように移送する移送部を具備することが好ましい。
【0012】
また、上記態様においては、前記移送部が、前記中継部に位置する検体容器を前記第2搬送ラインの搬送方向に交差する方向へ移送することにより、前記第2搬送ラインの途中へ移送するように構成されていることが好ましい。
【0013】
また、上記態様においては、前記移送部が、前記中継部に位置する検体容器を、前記飛び越しラインを横断して前記第2搬送ラインの途中へ移送するように構成されていることが好ましい。
【0014】
また、上記態様においては、前記移送部が、前記中継部に位置する検体容器を押動して、前記第2搬送ラインの途中へ移送するように構成されていることが好ましい。
【0015】
また、上記態様においては、前記制御部が、前記取込ラインによって前記第1検体処理ユニットに搬送された検体容器内の検体の再処理の要否の判定結果を取得するように構成されており、前記判定結果を取得するまで、前記検体容器を前記中継部に待機させるように前記移送部を制御することが好ましい。
【0016】
また、上記態様においては、前記制御部が、取得した前記判定結果に基づいて、前記検体容器の搬送先を決定するように構成されており、検体容器を決定した搬送先へ搬送すべく、前記飛び越しライン及び前記第2搬送ラインへ振り分けるように前記第2移送部を制御することが好ましい。
【0017】
また、上記態様においては、前記第1検体処理ユニットが、所定の第1の測定項目について検体を測定するように構成され、前記第2検体処理ユニットが、前記第1の測定項目とは異なる第2の測定項目について検体を測定するように構成され、前記制御部が、前記第1検体処理ユニットによる処理の結果、前記再処理として、前記第2の測定項目について測定が必要と判断された検体を収容する検体容器を、前記第1搬送ラインに沿って前記第2検体処理ユニットへ搬送するように前記搬送ユニットを制御することが好ましい。
【0018】
また、上記態様においては、前記第1検体処理ユニットが、検体に含まれる所定の成分を検出するように構成され、前記第2検体処理ユニットが、スライドガラスに検体を塗抹することにより塗抹標本を作製するように構成され、前記制御部が、前記第1検体処理ユニットによる処理の結果、前記再処理として、塗抹標本の作製が必要と判断された検体を収容する検体容器を、前記第1搬送ラインに沿って前記第2検体処理ユニットへ搬送するように前記搬送ユニットを制御することが好ましい。
【0019】
また、上記態様においては、前記検体処理システムが、前記第1検体処理ユニットによる処理の結果、再処理が必要と判断された検体の再処理を、前記第2検体処理ユニットにより実行する第1モードと、前記第1検体処理ユニットによる処理の結果、再処理が必要と判断された検体の再処理を、前記第1又は第2検体処理ユニットにより実行する第2モードとの何れかに動作モードを設定可能な設定手段をさらに備えることが好ましい。
【0020】
また、本発明の一の態様の検体搬送ユニットは、検体を収容した検体容器から検体を取り込み、取り込まれた検体を処理する第1及び第2検体処理ユニットへ検体容器を搬送するための第1搬送ラインと、前記第1搬送ラインの終点及び当該終点に至るまでの所定位置から検体容器を受け取り、受け取った検体容器を、検体容器を回収するための検体回収ユニットへ搬送するための第2搬送ラインと、前記第1搬送ライン上の検体容器を前記第2搬送ラインに移送する移送部と、前記第1検体処理ユニットによる処理の結果、再処理が必要と判断された検体を収容する検体容器を前記第1及び第2検体処理ユニットの何れかへ搬送するように前記第1搬送ラインを制御し、前記第1検体処理ユニットによる処理の結果、再処理が不要と判断された検体を収容する検体容器を、前記第1搬送ラインの終点を経由することなく前記第2搬送ラインの途中へ移送し、前記検体回収ユニットへ搬送するように前記移送部および前記第2搬送ラインを制御する制御部と、を備える。
【発明の効果】
【0021】
本発明に係る検体処理システム及び検体搬送ユニットによれば、従来に比して効率的に検体の再処理を行うことが可能である。
【図面の簡単な説明】
【0022】
【図1】実施の形態に係る検体処理システムの全体構成を示す概略平面図。
【図2】検体容器の外観を示す斜視図。
【図3】検体ラックの外観を示す斜視図。
【図4】実施の形態に係る血液分析装置用の検体搬送ユニットの構成を示す平面図。
【図5】実施の形態に係る塗抹標本作製装置用の検体搬送ユニットの構成を示す平面図。
【図6】実施の形態に係る血液分析装置が備える測定ユニットの構成を示すブロック図。
【図7】実施の形態に係る血液分析装置が備える情報処理ユニットの構成を示すブロック図。
【図8】実施の形態に係る塗抹標本作製装置の概略構成を示すブロック図。
【図9】実施の形態に係るシステム制御装置の構成を示すブロック図。
【図10】実施の形態に係るシステム制御装置による搬送モード設定処理の手順を示すフローチャート。
【図11】測定される前の検体について、検査情報管理装置が記憶している測定オーダの一例を示す模式図。
【図12】測定された後の検体について、検査情報管理装置が記憶している測定オーダの一例を示す模式図。
【図13】分析結果を解析処理された後の検体について、検査情報管理装置が記憶している測定オーダの一例を示す模式図。
【図14】第1搬送モードにおける検体搬送ユニットによる搬送制御処理の手順を示すフローチャート。
【図15】第1搬送モードにおけるシステム制御装置による搬送指示処理の手順を示すフローチャート。
【図16】第2搬送モードにおける情報処理ユニットによる搬送制御処理の手順を示すフローチャート。
【発明を実施するための形態】
【0023】
以下、本発明の好ましい実施の形態を、図面を参照しながら説明する。
【0024】
[検体処理システムの構成]
図1は、本実施の形態に係る検体処理システムの全体構成を示す概略平面図である。図1に示すように、検体処理システム1は、検体投入回収装置2と、検体搬送装置3と、血球分析装置5と、塗抹標本作製装置6と、システム制御装置8とを備えている。また、本実施の形態に係る検体処理システム1は、通信ネットワークを介して検査情報管理装置9と通信可能に接続されている。
【0025】
検体搬送装置3は、検体搬送ユニット3a,3b,3c及び4を有し、これらの検体搬送ユニット3a,3b,3c及び4は図中横方向に延びるように互いに直列的に接続されている。血球分析装置5は、3つの測定ユニット51,52,53と情報処理ユニット54を具備しており、検体搬送ユニット3aの後方には測定ユニット51が、検体搬送ユニット3bの後方には測定ユニット52が、検体搬送ユニット3cの後方には測定ユニット53が配置されている。また、検体搬送ユニット4の後方には塗抹標本作製装置6が配置されている。
【0026】
検体搬送ユニット3a,3b,3c及び4のそれぞれには、測定ユニット51,52,53及び塗抹標本作製装置6(検体処理ユニット)へ検体を供給するために検体ラックを搬送するための搬送路である供給ライン3aS,3bS,3cS,4S(第1搬送ライン)が左右方向に延設されている。また、検体搬送装置3は、検体ラックを回収すべく図中右方向へ搬送するための搬送路である帰還ライン3aR,3bR,3cR,及び4R(第2搬送ライン)を具備している。供給ライン3aSは、左右方向に延びた測定ライン3aM(取込ライン)と、複数の検体を保持した検体ラックを図中左方向へ搬送するための飛び越しライン3aFとを含んでいる。他の供給ライン3bS,3cS,4Sも同様に、測定ライン3bM,3cM,及び処理ライン4M並びに飛び越しライン3bF,3cF及び搬送ライン4Fを有している。測定ライン3aM,3bM,3cM,及び処理ライン4Mは、測定ユニット51,52,53及び塗抹標本作製装置6が検体を取り込むための検体ラックの搬送路であり、各測定ライン3aM,3bM,3cM,及び処理ライン4Mは互いに接続されておらず、それぞれが独立している。一方、飛び越しライン3aF,3bF,3cFおよび搬送ライン4Fは、測定ユニット51,52,53及び塗抹標本作製装置6が検体を取り込むことなく、搬送方向下流側へ検体ラックを搬送するための搬送路である。かかる飛び越しライン3aF,3bF,3cF及び搬送ライン4Fは、隣接するそれぞれが互いに接続されており、全体として直線状に設けられている。
【0027】
飛び越しライン3aF,3bF,3cF,搬送ライン4Fと各測定ライン3aM,3bM,3cM,処理ライン4Mとの間には、飛び越しライン3aF,3bF,3cF,搬送ライン4Fから検体ラックを受け入れ、受け入れた検体ラックを測定ライン3aM,3bM,3cM,処理ライン4Mの起点へ移送するための移送路であって、また検体ラックを保持する領域である分析前ラック保持部33,43(第1中継部)と、測定ライン3aM,3bM,3cM,処理ライン4Mの終点から検体ラックを受け入れ、受け入れた検体ラックを飛び越しライン3aF,3bF,3cF,搬送ライン4F、又は帰還ライン3aR,3bR,3cR,4Rへ移送するための移送路であって、また検体ラックを保持する領域である分析後ラック保持部34,44(第2中継部)が設けられている。これらの分析前ラック保持部33,43及び分析後ラック保持部34,44(第2中継部)もまた、供給ライン3aS,3bS,3cS,4Sの一部を構成している。
【0028】
ユーザにより検体ラックが投入される検体投入回収装置2は、検体搬送装置3の右端に接続されており、当該検体投入回収装置2から搬出された検体ラックは検体搬送装置3の飛び越しライン3aF,3bF,3cF,又は4Fに沿って搬送される。検体ラックは飛び越しライン3aF,3bF,3cF,又は4Fから搬送先の測定ユニット51,52,53又は塗抹標本作製装置6に対応する検体搬送ユニット3a,3b,3c又は4における分析前ラック保持部33又は処理前ラック保持部43を経由して測定ライン3aM,3bM,3cM,又は処理ライン4Mに移送される。そして、検体ラックは測定ライン又は処理ライン上を搬送されて、搬送先である測定ユニット51,52,53又は塗抹標本作製装置6へ供給される。検体が測定ユニット51,52,53又は塗抹標本作製装置6に供給された後、検体ラックは測定ライン3aM,3bM,3cM,又は処理ライン4Mから分析後ラック保持部34又は処理後ラック保持部44を経由して帰還ライン3aR,3bR,3cR,又は4Rへ移送され、帰還ライン上を右方向へ搬送されて、検体投入回収装置2に回収される。
【0029】
図2は、検体容器の外観を示す斜視図であり、図3は、検体ラックの外観を示す斜視図である。図2に示すように、検体容器Tは、管状をなしており、上端が開口している。内部には患者から採取された血液検体が収容され、上端の開口は蓋部CPにより密封されている。検体容器Tは、透光性を有するガラス又は合成樹脂により構成されており、内部の血液検体が視認可能となっている。また、検体容器Tの側面には、検体バーコードラベルBLが貼付されている。この検体バーコードラベルBLには、検体IDを示すバーコード(検体バーコード)が印刷されている。検体ラックLは、10本の検体容器Tを並べて保持することが可能である。検体ラックLでは、各検体容器Tが垂直状態(立位状態)で保持される。また、検体ラックLの正面には、ラックバーコードラベル(図示せず)が貼付されている。このラックバーコードラベルには、ラックIDを示すバーコード(ラックバーコード)が印刷されている。
【0030】
以下、検体処理システム1の構成について詳細に説明する。
【0031】
<検体投入回収装置2の構成>
図1に示すように、検体投入回収装置2は、検体投入ユニット21と、前処理ユニット22と、検体回収ユニット23を備えている。当該検体投入回収装置2は、複数の検体容器が収納された検体ラックを載置することができる。
【0032】
検体投入ユニット21は、ユーザによって投入された検体ラックLを載置可能に構成されている。また、検体投入ユニット21は、ユーザに投入された検体ラックLを検体投入ユニット21の最も奥側(Y1方向)へ移送し、検体投入ユニット21の左側(前処理ユニット22側)に検体ラックLを送出することが可能に構成されている。
【0033】
前処理ユニット22は、検体投入ユニット21の左側に接続されており、検体投入ユニット21から送出された検体ラックLを受け入れることが可能に構成されている。前処理ユニット22はバーコード読取部22bを備えており、バーコード読取部22bは、検体ラックLに収容されている検体容器Tの検体バーコードラベルBLから検体IDを読み出すことが可能であるとともに、検体ラックLのラックラックバーコードラベルからラックIDを読み出すことが可能である。また、前処理ユニット22は、バーコード読取部22bによってバーコードの読み出し動作が行われた検体ラックLを前処理ユニット22の前方(Y2方向)へ移送した後、前処理ユニット22の左側(検体搬送ユニット3a側)に検体ラックLを送出することが可能に構成されている。前処理ユニット22から検体搬送ユニット3aへのラック送出位置の近傍には、検体ラックLのラックバーコード読み取り専用のバーコードリーダ222aが設けられている。前処理ユニット22から送出された検体ラックLは検体搬送装置3の飛び越しライン3aFに導入される。かかる構成の前処理ユニット22は、CPU及びメモリ等からなる制御部22aを備えている。この制御部22aにより前処理ユニット22の機構が制御される。
【0034】
検体回収ユニット23は、検体投入ユニット21の右側に設けられており、検体投入ユニット21と同様の構成とされている。また、検体回収ユニット23は、帰還ライン3aR、回収ライン223,217,237によって搬入された検体ラックLを回収するように構成されている。
【0035】
<検体搬送装置3の構成>
次に、検体搬送装置3の構成について説明する。図1に示すように、検体処理システム1は、4つの検体搬送ユニット3a,3b,3c及び4からなる検体搬送装置3を備えている。血球分析装置5の3つの測定ユニット51,52,53の前方には、各別に検体搬送ユニット3a,3b,3cが配置されている。検体搬送ユニット3a,3b,3cのうちの隣り合う2つは互いに接続されており、検体ラックLを受渡しすることが可能である。また、最も右側の検体搬送ユニット3aは、上述した検体投入回収装置2に接続されており、検体投入回収装置2から搬出された検体ラックLを導入し、また検体投入回収装置2へ検体ラックLを送出することが可能となっている。
【0036】
図4は、検体搬送ユニット3aの構成を示す平面図である。ここでは、測定ユニット51の前側に配置されている検体搬送ユニット3aについて説明するが、測定ユニット52,53の前側に配置されている検体搬送ユニット3b,3cも同様の構成となっている。図4に示すように、検体搬送ユニット3aは、検体を搬送する搬送機構31と、搬送機構31を制御する制御部32とを備えている。搬送機構31は、分析前ラック保持部33と、分析後ラック保持部34と、検体を測定ユニット51に供給するために、検体ラックLを図中矢印X方向へ水平に直線移動させ、分析前ラック保持部33から受け取った検体ラックLを分析後ラック保持部34へ搬送するための搬送路である測定ライン3aM(取込ライン)と、搬送上流側の装置(検体投入回収装置2)から検体ラックLを搬入し、この検体ラックLに収容された検体を測定ユニット51に供給せずに、搬送下流側の装置(検体搬送ユニット3b)へと検体ラックLを搬出するための搬送路である飛び越しライン3aFと、搬送下流側の装置(検体搬送ユニット3b)から検体ラックLを搬入し、この検体ラックLに収容された検体を測定ユニット51に供給せずに、搬送上流側の装置(検体投入回収装置2)へと検体ラックLを搬出するための搬送路である帰還ライン3aR(第2搬送ライン)とを備えている。
【0037】
飛び越しライン3aFは、環状のベルト321a及びステッピングモータ321bを有するベルトコンベヤ321により構成されている。かかるベルトコンベヤ321は、ステッピングモータ321bの駆動力によってベルト321aを矢印X1方向へ回転させるように構成されている。これにより、ベルト321aの上に載置された検体ラックLをX1方向へ移動可能である。検体搬送ユニット3a,3b,3cのそれぞれの飛び越しライン3aF,3bF,3cF及び後述する検体搬送ユニット4の搬送ライン4Fもまた同様のベルトコンベヤにより構成され、これにより検体ラックLが搬送可能である。
【0038】
飛び越しライン3aFから所定距離隔てた前方には、飛び越しライン3aFと平行な帰還ライン3aRが設けられている。帰還ライン3aRは、環状のベルト331a及びステッピングモータ331bを有するベルトコンベヤ331により構成されている。かかるベルトコンベヤ331は、ステッピングモータ331bの駆動力によってベルト331aを矢印X2方向へ回転させるように構成されている。これにより、ベルト331aの上に載置された検体ラックLをX2方向へ移動可能である。検体搬送ユニット3a,3b,3cのそれぞれの帰還ライン3aR,3bR,3cR及び後述する検体搬送ユニット4の帰還ライン4Rもまた同様のベルトコンベヤにより構成されており、これにより検体ラックLが搬送可能である。
【0039】
また、分析前ラック保持部33の前側には、飛び越しライン3aF及び帰還ライン3aRに挟まれて分析前ラック保持部33に対向するようにラック送出部322が配置されている。かかるラック送出部322は、ステッピングモータ322aの駆動力により矢印Y1方向(後方)に水平に直線移動するように構成されている。これにより、搬送方向上流側の装置から飛び越しライン3aFによって検体ラックLが搬入され、分析前ラック保持部33とラック送出部322との間の飛び越しライン3aF上の位置323(以下、「分析前ラック送出位置」という。)に検体ラックLが到達した場合に、ラック送出部322を分析前ラック保持部33側に移動することによって、検体ラックLを押動させて分析前ラック保持部33内に移動することが可能である。なお、検体搬送ユニット3aには、分析前ラック送出位置323に到達した検体ラックLを検出するラックセンサ373が設けられている。ラックセンサ373は発光部373aと受光部373bとを備えている。
【0040】
分析前ラック保持部33は、平面視において四角形をなしており、横方向の長さは検体ラックLの長さより若干大きくなっている。また、分析前ラック保持部33の幅(前後方向の長さ)は、検体ラックLの2つ分の幅よりも若干大きくなっている。この分析前ラック保持部33は、周囲の面よりも一段低く形成されており、その上面に分析前の検体ラックLが載置される。つまり、分析前ラック保持部33は2つの検体ラックLを同時に保持可能である。分析前ラック保持部33は、飛び越しライン3aFに連なっており、ラック送出部322によって、飛び越しライン3aFから検体ラックLが送り込まれるようになっている。この分析前ラック保持部33の近傍には、ラックセンサ371が取り付けられており、分析前ラック保持部33に配置された検体ラックLはラックセンサ371によって検出される。ラックセンサ371は、光学式センサであり、発光部371aと受光部371bとを備えている。発光部371aは、分析前ラック保持部33の側方に設けられており、受光部371bは、発光部371aから分析前ラック保持部33を斜め前方へ横切る直線上に設けられている。発光部371aは、斜め前方へ向けて光を発するように配置されており、受光部371bはこの光を受けるように配置されている。したがって、飛び越しライン3aFから送り込まれた検体ラックLは、分析前ラック保持部33に位置し、発光部371aから発せられた光が当該検体ラックLによって遮られ、受光部371bの受光レベルが下がる。これにより、当該検体ラックLがラックセンサ371により検出される。また、分析前ラック保持部33の両側面からは、内側へ向けてラック送込部33bが突出している。ラックセンサ371により検体ラックLが検出されたときに、このラック送込部33bが後方(測定ライン3aMに近接する方向)へ移動することにより、ラック送込部33bが検体ラックLと係合し、検体ラックLが後方へと移送される。かかるラック送込部33bは、分析前ラック保持部33の下方に設けられたステッピングモータ33cによって駆動可能に構成されている。
【0041】
測定ライン3aMによる検体ラックLの搬送経路上には、検体容器センサ38によって検体容器が検出される検体容器検出位置35a、及び血球分析装置5の測定ユニット51へ検体を供給するための検体供給位置35c(検体取込位置)が存在する。測定ライン3aMは、検体容器検出位置35aを経由して、検体供給位置35cに検体が搬送されるために用いられる。検体供給位置35cは、検体容器検出位置35aから検体1つ分だけ搬送方向下流側の位置であり、測定ライン3aMにより検体供給位置35cに検体が搬送された場合には、後述する血球分析装置5の測定ユニット51のハンド部が当該検体の検体容器Tを把持し、検体ラックLから検体容器Tを取り出し、検体容器Tから検体の吸引を行うことによって、検体が測定ユニット51に供給される。検体搬送ユニット3aは、測定ライン3aMに沿ってかかる検体供給位置35cに検体容器を搬送した後、検体の供給が完了し、当該検体容器Tが検体ラックLへ戻されるまでの間、検体ラックLの搬送を待機する。
【0042】
また、測定ライン3aMは、それぞれ独立して動作可能な第1ベルト351及び第2ベルト352、並びに、第1ベルト351を駆動するステッピングモータ351e及び第2ベルト352を駆動するステッピングモータ352eを有するベルトコンベヤ353により構成されている。
【0043】
測定ライン3aMを挟んで後述する分析後ラック保持部34に対向するようにラック送出部39が配置されている。かかるラック送出部39は、ステッピングモータ39aの駆動力により矢印Y方向に水平に直線移動するように構成されている。これにより、分析後ラック保持部34とラック送出部39との間の位置391(以下、「分析後ラック送出位置」という。)に検体ラックLが搬送された場合に、ラック送出部39を分析後ラック保持部34側に移動することによって、検体ラックLを押動させて分析後ラック保持部34内に移動することが可能である。このようにして、分析が完了した検体ラックLが、測定ライン3aMから分析後ラック保持部34へ送出される。なお、検体搬送ユニット3aには、分析後ラック送出位置391に到達した検体ラックを検出するラックセンサ374が設けられている。ラックセンサ374は発光部374aと受光部374bとを備えている。
【0044】
分析後ラック保持部34は、平面視において四角形をなしており、その横方向の長さは検体ラックLの長さより若干大きくなっている。また、分析後ラック保持部34の幅(前後方向の長さ)は、検体ラックLの2つ分の幅よりも若干大きくなっている。この分析後ラック保持部34は、周囲の面よりも一段低く形成されており、その上面に分析が完了した検体ラックLが載置される。つまり、分析後ラック保持部34は2つの検体ラックLを同時に保持可能である。分析後ラック保持部34は、上記の測定ライン3aMに連なっており、上述したように、ラック送出部39によって、測定ライン3aMから検体ラックLが送り込まれるようになっている。この分析後ラック保持部34の近傍には、ラックセンサ372が取り付けられており、分析後ラック保持部34に配置された検体ラックLはラックセンサ372によって検出される。ラックセンサ372は、光学式センサであり、発光部372aと受光部372bとを備えている。発光部372aは、分析後ラック保持部34の側方に設けられており、受光部372bは、発光部372aから分析後ラック保持部34を斜め前方へ横切る直線上に設けられている。発光部372aは、斜め前方へ向けて光を発するように配置されており、受光部372bはこの光を受けるように配置されている。したがって、ラック送出部39から送り込まれた検体ラックLは、分析後ラック保持部34に位置し、発光部372aから発せられた光が当該検体ラックLによって遮られ、受光部372bの受光レベルが下がる。これにより、当該検体ラックLがラックセンサ372により検出される。分析後ラック保持部34の両側面からは、内側へ向けてラック送込部34bが突設されている。ラックセンサ372により検体ラックLが検出されたときに、このラック送込部34bが前方(飛び越しライン3aF及び帰還ライン3aRに近接する方向)へ移動することにより、ラック送込部34bが検体ラックLと係合し、検体ラックLが前方へと移送される。かかるラック送込部34bは、分析後ラック保持部34の下方に設けられたステッピングモータ34cによって駆動可能に構成されている。また、分析後ラック保持部34は、飛び越しライン3aF及び帰還ライン3aRと連なっており、ラック送込部34bは分析後ラック保持部34に配置された検体ラックLを飛び越しライン3aF及び帰還ライン3aRの何れかへ移送することができる。なお、ラック送込部34bは、分析後ラック保持部34に配置された検体ラックLを、分析後ラック保持部34の前側の飛び越しライン3aF上の位置3T(以下、「ラック搬出位置」という)に搬出するように構成されている。また、ラック送込部34bは、分析後ラック保持部34に配置された検体ラックLを、ラック搬出位置3Tを介して帰還ライン3aRに移送することができる。
【0045】
上記のような構成の搬送機構31は、主として制御部32によって制御される。制御部32は、CPU、ROM、及びRAM等(図示せず)から構成されており、ROMに格納された搬送機構31の制御プログラムをCPUで実行することが可能である。また、かかる制御部32は、Ethernet(登録商標)インタフェースを備えており、LANを介して情報処理ユニット54及びシステム制御装置8にそれぞれ通信可能に接続されている。
【0046】
搬送機構31のうち、ラック送込部33b、測定ライン3aMを構成するベルトコンベヤ353及びラック送出部39は、血球分析装置5の情報処理ユニット54により制御される。搬送機構31のその他の部分は、制御部32により制御される。
【0047】
上記のような構成とすることにより、検体搬送ユニット3a(3b,3c)は、検体投入回収装置2から搬送された検体ラックLを、飛び越しライン3aFに沿って分析前ラック送出位置323へ搬送し、ラック送出部322により分析前ラック保持部33へ移送し、この検体ラックLを分析前ラック保持部33から測定ライン3aMへと送出し、さらに測定ライン3aMに沿って搬送することにより、検体を対応する測定ユニット51(52,53)へと供給することができる。また、吸引が完了した検体を収容する検体ラックLは、測定ライン3aMにより、分析後ラック送出位置391へと移送され、ラック送出部39により分析後ラック保持部34へ送出される。分析後ラック保持部34に保持された検体ラックLは、保持する検体の全てについて再検が必要ない場合には、帰還ライン3aRへと移送され、帰還ライン3aRに沿って、前段(搬送方向上流側)の装置(検体投入回収装置2)へ搬出される。一方、再検が必要と判断された検体を保持する検体ラックLは、供給ライン3aS,3bS,3cS,4Sに沿って測定ユニット51,52,53及び塗抹標本作成装置6の何れかへ搬送され、搬送先の装置によって検体の再検(再処理)が行われる。
【0048】
また、搬送下流側の測定ユニット52,53又は塗抹標本作製装置6にて処理する検体を収容する検体ラックLを前段の装置から検体搬送ユニット3が受け入れた場合は、飛び越しライン3aFに沿ってこの検体ラックLが矢印X1方向へと搬送され、後段の検体搬送ユニット3bへそのまま搬出される。検体投入回収装置2によって回収される検体ラックLを後段の検体搬送ユニット3bから検体搬送ユニット3aが受け入れた場合は、検体搬送ユニット3aの帰還ライン3aRに沿ってこの検体ラックLが矢印X2方向へと搬送され、前段の検体投入回収装置2へそのまま搬出される。
【0049】
図1に示すように、塗抹標本作製装置6の前側には、検体搬送ユニット4が配置されている。この検体搬送ユニット4は、その右側端が、3つの検体搬送ユニット3a,3b,3cの内、最も搬送下流側(図中左側)に位置する検体搬送ユニット3cと接続されている。
【0050】
図5は、検体搬送ユニット4の構成を示す平面図である。検体搬送ユニット4は、検体を搬送する搬送機構41と、搬送機構41を制御する制御部42とを備えている。搬送機構41は、塗抹標本の作製が行われる前の検体を収容する検体容器Tを保持する検体ラックLを一時的に保持することが可能な処理前ラック保持部43と、塗抹標本作製装置6によって検体が吸引された検体容器Tを保持する検体ラックLを一時的に保持することが可能な処理後ラック保持部44と、検体を塗抹標本作製装置6に供給するために、検体ラックLをX1方向へ水平に直線移動させ、処理前ラック保持部43から受け取った検体ラックLを処理後ラック保持部44へ搬送するための搬送路である処理ライン4Mと、搬送上流側の検体搬送ユニット3cから検体ラックLを搬入し、当該検体ラックLをX1方向へ搬送するための搬送路である搬送ライン4Fと、検体の塗抹標本の作製が完了した検体ラックLを検体投入回収装置2に回収させるために、搬送上流側の検体搬送ユニット3cへと当該検体ラックLを搬出するための搬送路である帰還ライン4Rとを備えている。なお、検体搬送装置4は、構成部品の大きさ、形状及び位置が検体搬送ユニット3a,3b,3cと異なっているが、機能は同様であるので、その構成についての説明を省略する。
【0051】
検体搬送ユニット4は、上流側の検体搬送ユニット3cから搬出された検体ラックLを、搬送ライン4Fにより導入し、図示しないラック送出部により処理前ラック保持部43へ移送し、この検体ラックLを処理前ラック保持部43から処理ライン4Mへと送出し、さらに処理ライン4Mに沿って搬送することにより、検体を塗抹標本作製装置6へと供給することができる。また、吸引が完了した検体を収容する検体ラックLは、処理ライン4Mにより搬送され、図示しないラック送出部により処理後ラック保持部44へ送出される。処理後ラック保持部44に保持された検体ラックLは、帰還ライン4Rへと移送され、帰還ライン4Rに沿って、前段(搬送方向上流側)の検体搬送ユニット3cへ搬出される。
【0052】
検体搬送ユニット4の搬送ライン4Fの左端の位置、即ち処理後ラック保持部44の前側の位置は、供給ライン3aS,3bS,3cS,4S(第1搬送ライン)の終点3Eである。塗抹標本の作製が必要な検体を保持する検体ラックLは、検体搬送ユニット4の供給ライン4Sに沿って搬送され、その検体が塗抹標本作製装置6に供給された後、終点3Eを経由して処理後ラック保持部44を通過し、帰還ライン4Rへ移送されて、帰還ライン4Rに沿ってX2方向へ搬送され、検体回収ユニット23に回収される。
【0053】
<血球分析装置5の構成>
血球分析装置5は、光学式フローサイトメトリー方式の多項目血球分析装置であり、血液検体に含まれる血球に関して側方散乱光強度、蛍光強度等を取得し、これらに基づいて検体中に含まれる血球を分類し、且つ、種類毎に血球数を計数し、このように分類された血球が種類毎に色分けされたスキャッタグラムを作成し、これを表示する。かかる血球分析装置5は、血液検体を測定する測定ユニット51,52,53と、測定ユニット51,52,53から出力された測定データを処理し、血液検体の分析結果を表示する情報処理ユニット54とを備えている。
【0054】
血球分析装置5は、図1に示すように、3つの測定ユニット51,52,53と、1つの情報処理ユニット54とを備えている。情報処理ユニット54は、3つの測定ユニット51,52,53と通信可能に接続されており、これらの3つの測定ユニット51,52,53の動作をそれぞれ制御可能である。また、情報処理ユニット54は、3つの測定ユニット51,52,53の前側にそれぞれ配置された3つの検体搬送ユニット3a,3b,3cとも通信可能に接続されている。
【0055】
図6は、測定ユニット51の構成を示すブロック図である。図6に示すように、測定ユニット51は、検体である血液を検体容器(採血管)Tから吸引する検体吸引部511と、検体吸引部511により吸引した血液から測定に用いられる測定試料を調製する試料調製部512と、試料調製部512により調製された測定試料から血球を検出する検出部513とを有している。また、測定ユニット51は、検体搬送ユニット3aの測定ライン3aM上を搬送された検体ラックLに収容された検体容器Tを測定ユニット51の内部に取り込むための取込口(図示せず)と、検体ラックLから検体容器Tを測定ユニット51の内部に取り込み、検体吸引部511による吸引位置まで検体容器Tを搬送する検体容器搬送部515とをさらに有している。
【0056】
検出部513は、RBC(赤血球)検出及びPLT(血小板)検出をシースフローDC検出法により行うことが可能である。また、検出部513は、HGB(ヘモグロビン)検出をSLS−ヘモグロビン法により行うことが可能であり、WBC(白血球)の検出を、半導体レーザを使用したフローサイトメトリー法により行うことが可能であるように構成されている。RBC、PLT、HGB、及びWBCは、測定項目CBC(complete blood count)が指定されたときに測定される。
【0057】
また測定ユニット51は、白血球の5分類(測定項目DIFF)が可能である。さらに詳しくは、測定ユニット51の検出部513は、WBC(白血球)、NEUT(好中球)、LYMPH(リンパ球)、EO(好酸球)、BASO(好塩基球)、及びMONO(単球)の検出を、半導体レーザを使用したフローサイトメトリー法により行うことが可能であるように構成されている。
【0058】
さらに測定ユニット51の検出部513は、網状赤血球(RET)の測定も可能である。RETの測定は、RET測定用の試薬と検体とを混合して測定試料を調製し、検出部513のWBC/DIFF(白血球5分類)検出用の光学検出部に前記測定試料を供給することで行われる。
【0059】
測定ユニット52及び53は、測定ユニット51と同様の構成であり、測定ユニット51と同様に、CBC、DIFF、及びRETの測定がそれぞれ可能である。
【0060】
検体容器搬送部515は、検体容器Tを把持可能なハンド部515aを備えている。検体容器搬送部515は、ハンド部515aを上下方向及び前後方向(Y方向)に移動させることができ、検体ラックLに収容され、供給位置35cに位置した検体容器Tをハンド部515aにより抜き出し、抜き出した検体容器Tを検体容器セット部515bの穴部にセットする。かかる検体容器セット部515bは、吸引位置へ移動される。
【0061】
次に、情報処理ユニット54の構成について説明する。情報処理ユニット54は、コンピュータにより構成されている。図7は、情報処理ユニット54の構成を示すブロック図である。情報処理ユニット54は、コンピュータ54aによって実現される。図7に示すように、コンピュータ54aは、本体541と、画像表示部542と、入力部543とを備えている。本体541は、CPU541a、ROM541b、RAM541c、ハードディスク541d、読出装置541e、入出力インタフェース541f、通信インタフェース541g、及び画像出力インタフェース541hを備えており、CPU541a、ROM541b、RAM541c、ハードディスク541d、読出装置541e、入出力インタフェース541f、通信インタフェース541g、及び画像出力インタフェース541hは、バス541jによって接続されている。
【0062】
読出装置541eは、コンピュータを情報処理ユニット54として機能させるためのコンピュータプログラム544aを可搬型記録媒体544から読み出し、当該コンピュータプログラム544aをハードディスク541dにインストールすることが可能である。
【0063】
<塗抹標本作製装置6の構成>
塗抹標本作製装置6は、血液検体を吸引し、スライドガラス上に滴下して、その血液検体をスライドガラス上で薄く引き延ばし、乾燥させた上で、当該スライドガラスに染色液を供給してスライドガラス上の血液を染色することにより、塗抹標本を作製する。
【0064】
図8は、塗抹標本作製装置6の概略構成を示すブロック図である。図8に示すように、塗抹標本作製装置6は、検体分注部61と、塗抹部62と、スライドガラス搬送部63と、染色部64と、制御部65とを備えている。
【0065】
検体分注部61は、吸引管(図示せず)を備えており、この吸引管を検体搬送ユニット4の処理ライン4M上を搬送された検体ラックLの検体容器Tの蓋部CPに突き刺して、この検体容器Tから血液検体を吸引する。また、検体分注部61は、吸引した血液検体をスライドガラス上に滴下するように構成されている。塗抹部62は、スライドガラス上に滴下された血液検体を塗抹して乾燥させ、さらに、スライドガラスに印字するように構成されている。
【0066】
スライドガラス搬送部63は、塗抹部62によって血液検体が塗抹されたスライドガラスを図示しないカセットに収容させ、さらにそのカセットを搬送するために設けられている。染色部64は、スライドガラス搬送部63によって染色位置まで搬送されたカセット内のスライドガラスに対して、染色液を供給する。制御部65は、検体搬送装置3から与えられた標本作製指示にしたがって、検体分注部61、塗抹部62、スライドガラス搬送部63、及び染色部64を制御し、上記の塗抹標本作製動作を実行させる。
【0067】
<システム制御装置8の構成>
システム制御装置8は、コンピュータにより構成されており、検体処理システム1の全体を制御する。このシステム制御装置8は、検体投入回収装置2から検体ラックLの番号を受け付け、その検体ラックLの搬送先を決定し、搬送先を示す搬送指示データを検体搬送装置3へ送信する。
【0068】
図9は、本実施の形態に係るシステム制御装置8の構成を示すブロック図である。システム制御装置8は、コンピュータ8aによって実現される。図9に示すように、コンピュータ8aは、本体81と、画像表示部82と、入力部83とを備えている。本体81は、CPU81a、ROM81b、RAM81c、ハードディスク81d、読出装置81e、入出力インタフェース81f、通信インタフェース81g、及び画像出力インタフェース81hを備えており、CPU81a、ROM81b、RAM81c、ハードディスク81d、読出装置81e、入出力インタフェース81f、通信インタフェース81g、及び画像出力インタフェース81hは、バス81jによって接続されている。
【0069】
読出装置81eは、コンピュータをシステム制御装置8として機能させるためのシステム制御プログラム84aを可搬型記録媒体84から読み出し、当該システム制御プログラム84aをハードディスク81dにインストールすることが可能である。
【0070】
<検査情報管理装置9の構成>
検査情報管理装置9は、施設内における検査に関する情報を管理する装置、所謂LIS(Laboratory Information System)であり、血球分析装置5だけでなく、他の臨床検体検査装置にも接続されている。かかる検査情報管理装置9は、操作者から入力されたり、電子カルテシステム等の他の装置から送信された測定オーダを受け付け、測定オーダを記憶、管理する。さらに、検査情報管理装置9は、システム制御装置8からのオーダ要求を受け付け、要求された測定オーダをシステム制御装置8へ送信し、また、血球分析装置5から分析結果を受信し、この分析結果を記憶、管理する。
【0071】
検査情報管理装置9は、コンピュータにより構成されており、CPU、ROM、RAM、ハードディスク、通信インタフェース等を備えている。通信インタフェースは、上述したLANに接続されており、システム制御装置8、及び血球分析装置5の情報処理ユニット54と通信することが可能である。また、ハードディスクには、測定オーダが格納されている。測定オーダには、検体ID及び実施対象の測定項目の情報が含まれている。検査情報管理装置9は、他の装置から検体IDを含む測定オーダの要求データを受信したときには、この検体IDに対応する測定データをハードディスクから読み出し、要求元の装置へ送信するように構成されている。その他、検査情報管理装置9の構成は、上述した他のコンピュータの構成と同様であるので、その説明を省略する。
【0072】
[検体処理システムの動作]
次に、本実施の形態に係る検体処理システムの動作について説明する。ここでは検体搬送ユニット3aによる検体ラックの搬送動作の流れについて説明するが、検体搬送ユニット3b、3cによる搬送動作についても同様である。
【0073】
<搬送モード設定動作>
検体処理システム1は、システム制御装置8が搬送モード設定処理を実行することにより、搬送モードを設定する搬送モード設定動作を行う。図10は、システム制御装置8による搬送モード設定処理の手順を示すフローチャートである。この搬送モードの設定は、例えば検体処理システム1が施設に設置されたときに初期設定として実行される。オペレータ又はサービスマンは、搬送モードを設定する際に、システム制御装置8の入力部83を操作して、搬送モード設定画面の表示指示をシステム制御装置8に与える。システム制御装置8のCPU81aは、搬送モード設定画面の表示指示を受け付けると(ステップS101)、搬送モード設定画面(図示せず)を画像表示部82に表示する(ステップS102)。搬送モード設定画面は、第1搬送モード及び第2搬送モードの何れか一方を設定するための画面であり、第1搬送モードの設定指示、及び第2搬送モードの設定指示を受付可能である。第1搬送モードは、初検専用、即ち検体の最初の測定を行う測定ユニットと、再検専用、即ち初検を行った検体の2回目以降の測定を行う測定ユニットとを指定し、初検と再検とを別々の測定ユニットによって行うよう、検体ラックを搬送するモードである。第2搬送モードは、全ての測定ユニットを初検及び再検兼用とし、検体の初検を行った測定ユニットにより当該検体の再検を実施するよう、検体ラックを搬送するモードである。
【0074】
次にCPU81aは、搬送モードの設定指示を受け付け(ステップS103)、指示された搬送モードが第1搬送モードか第2搬送モードかを判定する(ステップS104)。第1搬送モードの設定が指示された場合には(ステップS104において「第1搬送モード」)、CPU81aは、第1搬送モードを設定し(ステップS105)、第2搬送モードの設定が指示された場合には(ステップS104において「第2搬送モード」)、CPU81aは、第2搬送モードを設定する(ステップS106)。この搬送モードの設定は、指示された搬送モードを示す情報を設定値としてハードディスク81dに記憶することにより行われる。つまり、第1搬送モードの設定が指示された場合には、第1搬送モードを示す情報が設定値としてハードディスク81dに記憶され、第2搬送モードの設定が指示された場合には、第2搬送モードを示す情報が設定値としてハードディスク81dに記憶される。このようにして搬送モードの設定をした後、CPU81aは処理を終了する。
【0075】
<第1搬送モードによる検体ラック搬送動作>
上述した第1搬送モードが設定されている場合の、検体処理システム1による検体ラックの搬送動作について説明する。ここでは、測定ユニット51,52が初検専用とされ、測定ユニット53が再検専用とされた場合について説明する。
【0076】
複数の検体容器Tを保持した検体ラックLが、オペレータにより検体投入ユニット21に投入される。この検体ラックLに保持されている検体のそれぞれについては、測定オーダが検査情報管理装置9によって記憶されている。測定オーダは、ハードディスク91dに設けられた測定オーダデータベースに格納される。図11は、測定される前の検体について、検査情報管理装置9が記憶している測定オーダの一例を示す模式図である。図11に示すように、測定オーダデータベースDBは、テーブル型のデータベースである。かかる測定オーダデータベースには、ラックIDのフィールドと、検体ラックLにおける保持位置のフィールドと、検体IDのフィールドと、測定項目としてCBC,DIFF,RET,及びSP(塗抹標本作製)のフィールドとが設けられている。かかる測定オーダデータベースDBに、測定オーダが検体毎にレコードとして登録される。本実施の形態においては、検体の初検においては、CBC及びDIFFの何れか一方又は両方が実施対象の測定項目とされ、検体の再検においては、初検の結果によって、RET及びSPの何れか一方又は両方が実施対象の測定項目とされることとして説明する。図11に示す測定オーダでは、各検体とも初検であるため、CBC,DIFFの何れか一方又は両方のセルにおいて、実施対象であることを示す情報「1」が格納されており、RET及びSPの両方のセルにおいて実施対象でないことを示す情報「0」が格納されている。
【0077】
検体ラックLが検体投入ユニット21に投入され、検体処理開始の指示がオペレータから与えられると、検体ラックLが検体投入ユニット21から前処理ユニット22へ搬出され、前処理ユニット22のバーコード読取部22bにより検体容器Tの検体バーコードラベルBLから検体IDが読み出され、検体ラックLのラックバーコードラベルからラックIDが読み出される。読み出された検体ID及びラックIDは、システム制御装置8を通じて検査情報管理装置9へ送信され、該当する測定オーダが要求される。検査情報管理装置9は、ハードディスク91dから当該検体IDに合致する測定オーダを読み出し、システム制御装置8へと送信する。システム制御装置8は、受信した測定オーダ及びその時点における測定ユニット51,52の動作状態に基づいて、検体ラックLの搬送先となる測定ユニットを決定し、決定した搬送先への搬送指示を検体搬送装置3へ与える。
【0078】
検体ラックLは、前処理ユニット22から検体搬送装置3へと搬出され、検体搬送ユニット3a,3bによって搬送先である測定ユニット51,52の測定ライン3aM又は3bMへと送られる。その後、検体容器Tが順次検体供給位置35cに送られ、測定ユニット51又は52の内部に検体容器Tが取り込まれる。また、システム制御装置8からは、当該検体ラックLの各検体に係る検体IDが情報処理ユニット54に与えられ、情報処理ユニット54は検査情報管理装置9へ検体IDを含む測定オーダ要求データを送信する。検査情報管理装置9は、測定オーダ要求データに含まれる検体IDに対応する測定オーダを測定オーダデータベースDBから読み出し、これを情報処理ユニット54へ送信する。測定ユニット51又は52においては、検体容器Tから検体が吸引されて、この検体に対応する測定オーダにしたがって検体の測定が実施される。検体の吸引が完了した後は、その検体容器Tが測定ユニット51又は52から排出され、検体ラックLの元の保持位置に戻される。検体の測定により得られた測定結果は、情報処理ユニット54に与えられ、情報処理ユニット54が当該測定結果を解析処理し、検体の分析結果を得る。情報処理ユニット54は、検査情報管理装置9へ検体の分析結果を送信し、検査情報管理装置9は当該分析結果を受信すると、測定オーダデータベースDBにおいてその分析結果に係る検体の測定オーダを、分析後のものに更新する。
【0079】
図12は、測定された後の検体について、検査情報管理装置9が記憶している測定オーダの一例を示す模式図である。図12に示す測定オーダでは、各検体とも初検が完了しているため、CBC,DIFF,RET,及びSPの全ての項目において実施対象でないことを示す情報「0」が格納されている。
【0080】
検査情報管理装置9は、受信した分析結果を処理して、再検の要否及び再検が必要な場合にはその測定項目を決定する。検査情報管理装置9は、決定した再検の要否及び再検の測定項目を測定オーダデータベースDBの当該検体に対応するレコードに登録する。図13は、分析結果を解析処理された後の検体について、検査情報管理装置9が記憶している測定オーダの一例を示す模式図である。図13に示す測定オーダでは、検体IDが「P121」の検体の測定オーダについては、RET及びSPのセルのそれぞれに再検の実施対象項目であることを示す情報「1」が格納されている。検体IDが「P122」の検体の測定オーダについては、RET及びSPのセルの両方に再検の実施対象でないことを示す情報「0」が格納されている。検体IDが「P129」の検体の測定オーダについては、RETのセルに「1」が、SPのセルに「0」が格納され、検体IDが「P130」の検体の測定オーダについては、RETのセルに「0」が、SPのセルに「1」が格納されている。
【0081】
検体ラックLに保持されている検体容器Tは、保持位置1から順番に測定ユニット51又は52に取り込まれ、検体の測定が行われる。保持している全ての検体容器Tが測定ユニット51又は52から戻された検体ラックLは、検体搬送ユニット3a又は3bにより、測定ライン3aM又は3bMの分析後ラック送出位置391まで移送され、分析後ラック送出位置391からラック送出部39により分析後ラック保持部34に押し出される。
【0082】
図14は、第1搬送モードにおける検体搬送ユニットによる検体ラックLの搬送制御処理の手順を示すフローチャートである。制御部32は、測定ライン3aM又は3bMから、分析後ラック保持部34に検体ラックLを受け取ったか否かを判定する(ステップS201)。この判定処理は、ラックセンサ372の出力信号を監視することにより行われる。分析後ラック保持部34において検体ラックLが検出されない場合には(ステップS201においてNO)、制御部32はステップS201の処理を検体ラックLが検出されるまで繰り返す。一方、分析後ラック保持部34において検体ラックLが検出された場合には(ステップS201においてYES)、制御部32はラック送込部34bを移動させて、検体ラックLを分析後ラック保持部34における飛び越しライン3aF又は3bFの手前の位置まで移送し(ステップS202)、そこで停止させて、当該検体ラックLに保持された各検体の検体IDを含む搬送指示要求データをシステム制御装置8へ送信する(ステップS203)。
【0083】
図15は、第1搬送モードにおけるシステム制御装置8による検体ラックLの搬送指示処理の手順を示すフローチャートである。システム制御装置8が検体搬送装置3から搬送指示要求データを受信すると(ステップS301)、CPU81aは、当該搬送指示要求データに含まれる検体IDにより、検査情報管理装置9へ測定オーダを問い合わせる(ステップS302)。検査情報管理装置9は、問い合わせデータに含まれる検体IDに対応する測定オーダを測定オーダデータベースDBから読み出し、システム制御装置8へと送信する。このとき送信する測定オーダは、既に初検が終了し、分析結果の解析処理が完了した後の検体についてのものであるため、図13に示すような再検の要否についての判断結果を含んでいる。
【0084】
CPU81aは、測定オーダの問い合わせから所定時間(120秒)が経過したか否かを判定し(ステップS303)、所定時間内の場合には(ステップS303においてYES)、検体ラックLに保持されている全検体についての測定オーダを受信したか否かを判定する(ステップS304)。受信していない測定オーダが存在する場合には(ステップS304においてNO)、CPU81aは、処理をステップS303へと戻す。
【0085】
一方、ステップS303において、測定オーダの問い合わせから所定時間が経過した場合には(ステップS303においてNO)、CPU81aは、検体ラックLの搬送先を検体回収ユニット23とする搬送指示データを検体搬送装置3へ送信し(ステップS305)、処理を終了する。
【0086】
ステップS304において、分析後ラック保持部34において待機している検体ラックLに保持されている全検体の測定オーダが受信された場合には(ステップS304においてYES)、CPU81aは、その測定オーダに基づいて、検体ラックLの搬送先を決定する(ステップS306)。この処理において、測定オーダの中に再検項目としてRET又はSPが含まれているものが存在する場合には、搬送先はその項目を実施可能な測定ユニット53又は塗抹標本作製装置6として決定される。例えば、図13の測定オーダが取得された場合においては、検体IDがP121とP129の検体についてRETの測定(再処理)が必要であり、検体IDがP121とP130の検体については塗抹標本の作製(再処理)が必要である。ここで、再検専用の測定ユニット53においてRETの測定が実施され、再検専用の塗抹標本作製装置6によって塗抹標本の作製が行われるため、当該検体ラックLは、測定ユニット53及び塗抹標本作製装置6の両方に搬送する必要がある。したがって、CPU81aは、当該検体ラックLの搬送先を、測定ユニット53及び塗抹標本作製装置6のうち、搬送方向上流側に位置する測定ユニット53として決定する。ステップS306において、受信した測定オーダの中に再検項目としてRETが含まれているものしか存在しない場合には、同様に搬送先が測定ユニット53として決定される。また、受信した測定オーダの中に再検項目としてSPが含まれているものしか存在しない場合には、搬送先が塗抹標本作製装置6として決定され、受信した測定オーダに再検項目としてRET及びSPのいずれも含まれていないものしか存在しない場合には、搬送先が検体回収ユニット23として決定される。
【0087】
CPU81aは、ステップS306の処理を実行した後、この処理によって決定された搬送先を指示する搬送指示データを送信し(ステップS307)、処理を終了する。
【0088】
図14に戻り、ステップS203の処理を行った制御部32は、搬送指示データの受信を待機し(ステップS204においてNO)、システム制御装置8から送信された搬送指示データを受信すると(ステップS204においてYES)、搬送指示データにおいて指示されている搬送先が搬送方向下流側の装置、即ち測定ユニット53又は塗抹標本作製装置6であるか否かを判定する(ステップS205)。搬送指示データにおいて指示されている搬送先が搬送方向下流側の装置である場合には(ステップS205においてYES)、制御部32はラック送込部34bを移動させて、検体ラックLを飛び越しライン3aF又は3bFへ移送し(ステップS206)、その後ベルトコンベヤ321を駆動して検体ラックLを下流側の検体搬送ユニットへと搬出し(ステップS207)、処理を終了する。この後、下流側の検体搬送ユニットにより検体ラックLが搬送され、搬送先の測定ユニット53又は塗抹標本作製装置6へと搬送され、再検が行われる。
【0089】
一方、ステップS205において搬送指示データにおいて指示されている搬送先が搬送方向下流側の装置でない場合、即ち、搬送先が検体回収ユニット23である場合には(ステップS205においてNO)、制御部32はラック送込部34bを移動させて、検体ラックLを帰還ライン3aR又は3bRへ移送し(ステップS208)、その後ベルトコンベヤ331を駆動して検体ラックLを上流側の検体搬送ユニット又は検体投入回収装置2へと搬出し(ステップS209)、処理を終了する。この後、回収ライン223,217,237によって検体ラックLが搬送され、検体回収ユニット23に回収される。
【0090】
測定ユニット53においてRETの再検が実施された後は、初検の場合と同様に、再検に係る分析結果が検査情報管理装置9へ送信され、再検の要否及び再検項目の決定が行われる。ここで、当該検体について塗抹標本の作製が必要であると判断されると、測定オーダデータベースDBにおいて当該検体の測定オーダのSPのセルに「1」が格納される。この場合においても、初検の場合と同様に、検体搬送ユニット3cの分析後ラック保持部34に検体ラックLが保持され、この状態でシステム制御装置8が測定オーダを検査情報管理装置9に問い合わせる。問い合わせの結果得られた測定オーダにおいて再検項目としてSPが指示されている場合には、搬送先が塗抹標本作製装置6として決定され、前記と同様に検体ラックLが塗抹標本作製装置6まで搬送される。塗抹標本作製装置6へと検体ラックLが搬送された場合は、塗抹標本の作製のために検体が吸引された後、帰還ライン4R,3cR,3bR,3aRにより検体ラックLが搬送され、検体回収ユニット23へと送られる。問い合わせの結果得られた測定オーダにおいて再検項目としてSPが指示されていない場合には、搬送先が検体回収ユニット23として決定され、検体ラックLが検体回収ユニット23まで搬送される。
【0091】
<第2搬送モードによる検体ラック搬送動作>
上述した第2搬送モードが設定されている場合の、検体処理システム1による検体ラックの搬送動作について説明する。第2搬送モードが設定されている場合、初検を行った測定ユニットが検体の再検項目の処理を実施可能であるときには、初検を行った測定ユニットに当該検体が搬送されて再検が行われ、初検を行った測定ユニットでは検体の再検項目の処理を実施できないときには、初検を行った測定ユニット以外の測定ユニット(又は塗抹標本作製装置)に当該検体が搬送されて再検が行われる。
【0092】
図16は、第2搬送モードにおける情報処理ユニット54のCPU541aによる検体ラックLの搬送制御処理の手順を示すフローチャートである。初検が行われた測定ユニットから全ての検体容器Tが検体ラックLに戻された後、CPU541aは、検体ラックLが分析後ラック送出位置391まで到達したか否かを判定し(ステップS401)、到達したと判定すると、そこで検体ラックLを停止させて、当該検体ラックLに保持された各検体の検体IDを含む搬送指示要求データを、検体搬送装置3を通じてシステム制御装置8へ送信する(ステップS402)。
【0093】
システム制御装置8は、第2搬送モードにおける検体ラックLの搬送指示処理を実行する。ここで、第2搬送モードにおける搬送指示処理では、検体ラックLの搬送先決定処理において、測定オーダの中に再検項目としてRET又はSPが含まれているものが存在する場合には、搬送先は、その検体の初検を行った測定ユニット51,52,若しくは53又はSPを実施可能な塗抹標本作製装置6として決定される。例えば、初検が測定ユニット51において実施され、図13の測定オーダが取得された場合においては、初検を行った測定ユニット51によってP121及びP129の検体についてRETの測定が実施され、塗抹標本作製装置6によってP121及びP130の検体について塗抹標本の作製が行われる必要がある。したがって、CPU81aは、当該検体ラックLの搬送先を、測定ユニット51及び塗抹標本作製装置6のうち、搬送方向上流側に位置する測定ユニット51として決定する。一方、受信した測定オーダの中に再検項目としてRETが含まれているものしか存在しない場合には、同様に搬送先が測定ユニット51として決定される。また、受信した測定オーダの中に再検項目としてSPが含まれているものしか存在しない場合には、搬送先が塗抹標本作製装置6として決定され、受信した測定オーダに再検項目としてRET及びSPのいずれも含まれていないものしか存在しない場合には、搬送先が検体回収ユニット23として決定される。
【0094】
第2搬送モードにおける搬送指示処理は、上述した搬送先決定処理以外の処理については、第1搬送モードにおける搬送指示処理と同様であるので、その説明を省略する。
【0095】
システム制御装置8から送信された搬送指示データは、検体搬送装置3により受信され、検体搬送装置3から情報処理ユニット54へ送信される。図16に戻り、ステップS402の処理を行ったCPU541aは、搬送指示データの受信を待機し(ステップS403においてNO)、搬送指示データを受信すると(ステップS403においてYES)、搬送指示データにおいて指示されている搬送先が、分析後ラック送出位置に待機している検体ラックLにより保持されている検体の初検を行った測定ユニット51,52,又は53であるか否かを判定する(ステップS404)。搬送先が、分析後ラック送出位置に待機している検体ラックLにより保持されている検体の初検を行った測定ユニット51,52,又は53である場合には(ステップS404においてYES)、CPU541aは、これらの検体の検体IDを含む測定オーダ要求データを検査情報管理装置9へ送信し、各検体の測定オーダを問い合わせる(ステップS405)。検査情報管理装置9は、ハードディスク91dから当該検体IDに合致する測定オーダを読み出し、情報処理ユニット54へと送信する。
【0096】
次にCPU541aは、検体ラックLに保持されている全検体についての測定オーダを受信したか否かを判定する(ステップS406)。受信していない測定オーダが存在する場合には(ステップS406においてNO)、CPU541aは、処理をステップS406へと戻す。当該検体ラックLに保持されている全検体の測定オーダが受信された場合には(ステップS406においてYES)、CPU541aは、ベルトコンベヤ353を逆方向に駆動して、検体ラックLを測定ライン3aM,3bM,又は3cMに沿ってX2方向(右方向)へ搬送する(ステップS407)。その後、再検が必要な全検体について順次、検体容器Tの取り込み、検体の吸引、検体の測定及び分析(再検)、並びに検体容器Tの排出が行われる。また、検査情報管理装置9へ検体の再検の分析結果が送信され、検査情報管理装置9の測定オーダデータベースDBにおいてその分析結果に係る検体の測定オーダが更新される。このとき、再検を行ったP121及びP129のRETのセルには「0」が登録される。このため、一度測定ユニット51,52,又は53により再検が行われた検体は、測定ユニット51,52,又は53により再度測定されることはなく、塗抹標本の作製に供されるか、検体回収ユニット23に回収されることとなる。
【0097】
一方、ステップS404において、指示された搬送先が、分析後ラック送出位置に待機している検体ラックLにより保持されている検体の初検を行った測定ユニット51,52,又は53でない場合、即ち、搬送方向下流側の装置(塗抹標本作製装置6)、又は、検体回収ユニット23である場合には(ステップS404においてNO)、CPU541aは、ラック送出部39を駆動して、分析後ラック送出位置391において待機している検体ラックLを分析後ラック保持部34へ移送する(ステップS408)。
【0098】
その後、上述したステップS201〜S209と同じ搬送制御処理が制御部32により実行される。すなわち、搬送先が搬送方向下流側の装置(塗抹標本作製装置6)である場合には、分析後ラック保持部34へ検体ラックLが送出されると検体搬送ユニット3a,3b,又は3cがラック送込部34bにより検体ラックLを飛び越しライン3aF,3bF,又は3cFへ移送し、その後ベルトコンベヤ321を駆動することにより検体ラックを下流側の検体搬送ユニット4へと搬出する。この後、検体搬送ユニット4により検体ラックLは搬送先の塗抹標本作製装置6へと搬送され、塗抹標本作製装置6により検体の塗抹標本の作製が行われる。塗抹標本の作製が必要な全ての検体について塗抹標本の作製のために検体が吸引された後、帰還ライン4R,3cR,3bR,3aRにより検体ラックLが搬送され、検体回収ユニット23へと送られる。
【0099】
また、搬送先が検体回収ユニット23である場合には、分析後ラック保持部34へ検体ラックLが送出されると検体搬送ユニット3a,3b,又は3cがラック送込部34bにより検体ラックLを帰還ライン3aR,3bR,又は3cRへ移送し、その後ベルトコンベヤ331を駆動することにより検体ラックを検体投入回収装置2へと搬出する。この後、回収ライン223,217,237によって検体ラックLが搬送され、検体回収ユニット23に回収される。
【0100】
上述したように、検体投入ユニット21と検体回収ユニット23とが測定ユニット51,52,53及び塗抹標本作製装置6に対して同一側に配置されているため、オペレータ(ユーザ)は、検体の投入作業及び回収作業を一箇所で容易に行うことが可能である。
【0101】
また、測定ユニット51,52,53において初検が行われた結果、再検が必要と判断された検体を保持する検体ラックLは、供給ライン3aS,3bS,3cS,4Sに沿って測定ユニット51,52,53及び塗抹標本作成装置6の何れかへ搬送される。すなわち、第1搬送モードが設定されている場合には、測定ユニット51,52において初検が行われた結果、再検が必要と判断された検体を保持する検体ラックLは、飛び越しライン3aF,3bF,3cF,搬送ライン4Fに沿ってX1方向へと搬送され、再検専用の測定ユニット53又は塗抹標本作成装置6によって検体の再検のための処理が行われる。一方、第2搬送モードが設定されている場合には、測定ユニット51,52,53において初検が行われた結果、初検を行った測定ユニット51,52,53において測定可能な項目についての再検が必要と判断された検体を保持する検体ラックLは、測定ライン3aM,3bM,3cMに沿ってX2方向へと搬送され、初検を行った測定ユニット51,52,53によって検体の再検(再測定)が行われる。さらに、第2搬送モードが設定されている場合に、測定ユニット51,52,53において初検が行われた結果、塗抹標本の作成が必要と判断された検体を保持する検体ラックLは、飛び越しライン3aF,3bF,3cF,搬送ライン4Fに沿ってX1方向へと搬送され、塗抹標本作成装置6によって検体の再検のための処理が行われる。このため、再検が必要と判断された検体を保持する検体ラックLは、即座に再検のために測定ユニット51,52,53又は塗抹標本作成装置6へと搬送され、検体の再検が実施されるので、検体の再検(再処理)を効率的に行うことができる。
【0102】
また、測定ユニット51,52,53において初検が行われた結果、再検が不要と判断された検体のみを保持する検体ラックLについては、供給ライン3aS, 3bS, 3cS, 4S(第1搬送ライン)の終点3Eを経由せずに、検体搬送ユニット3a、3b、3cの分析後ラック保持部34からラック搬出位置3Tを経由して帰還ライン3aR,3bR,3cRへ移送されるため、かかる検体ラックLを迅速に回収することができる。
【0103】
(その他の実施の形態)
なお、上述した実施の形態においては、供給ライン3aS,3bS,3cS,4Sが、測定ライン3aM,3bM,3cM及び処理ライン4M、飛び越しライン3aF,3bF,3cF,搬送ライン4F、分析前ラック保持部33及び処理前ラック保持部43、並びに分析後ラック保持部34及び処理後ラック保持部44を備える構成について述べたが、これに限定されるものではない。それぞれの検体搬送ユニットを通じて直線状に延びた供給ラインを設け、この供給ラインの途中に測定ユニット51,52,53及び塗抹標本作製装置6のそれぞれに検体を供給する検体供給位置を設ける構成としてもよい。この場合、供給ラインの途中から帰還ライン3aR,3bR,3cR,4Rの途中を接続する通路を設け、再検が必要ない検体のみを保持する検体ラックLを当該通路を通じて帰還ライン3aR,3bR,3cR,4Rの途中へ移送し、帰還ライン3aR,3bR,3cR,4Rに沿ってX2方向へ搬送して、検体回収ユニット23に回収させることとなる。
【0104】
また、測定ユニット51,52,53が、測定ライン3aM,3bM,3cM上の検体ラックLに保持されたままの検体容器Tから直接検体を吸引する構成としてもよい。
【0105】
また、上述した実施の形態においては、検体搬送装置3がそれぞれ独立した検体搬送ユニット3a,3b,3c,4によって構成されているものについて説明したが、これに限定されるものではない。一体不可分な構成の検体搬送装置が測定ユニット51,52,53及び塗抹標本作製装置6の前側に配置され、これによって各測定ユニット51,52,53及び塗抹標本作製装置6へ検体ラックLが搬送される構成としてもよい。
【0106】
また、上述した実施の形態においては、測定ユニット51,52,53の全てが同一の測定項目(CBC,DIFF,RET)について検体を測定可能な構成について述べたが、これに限定されるものではない。例えば、測定ユニット51,52においてCBC及びDIFFについて検体の測定が可能であるがRETについて検体の測定はできず、測定ユニット53においてCBC,DIFF及びRETについて検体の測定が可能な構成としてもよい。このとき、第1搬送モードのみならず、第2搬送モードが設定されている場合においても、再検の対象項目としてRETが含まれている検体については、初検の終了後に飛び越しライン3aF,3bF,3cFにより測定ユニット53へと搬送され、測定ユニット53において再検が行われる。
【0107】
また、上述した実施の形態においては、検体処理システム1が、検体に含まれる血球を分類し、また血球種毎に血球を計数する血球分析装置5を備える構成について述べたが、これに限定されるものではない。検体処理システムが、免疫分析装置、血液凝固測定装置、生化学分析装置、尿分析装置等の血球分析装置以外の検体分析装置を備え、かかる検体分析装置の測定ユニットへ血液検体又は尿検体を搬送する構成としてもよい。
【0108】
また、上述した実施の形態においては、第2搬送モードが設定されている場合に、再検が必要か否かの判定が行われるまで検体ラックLが分析後ラック送出位置391において待機され、再検が必要と判定されたときには当該検体ラックLが測定ライン3aM又は3bMに沿ってX2方向へ搬送されて、初検が行われた測定ユニット51又は52へ供給される構成について述べたが、これに限定されるものではない。第2搬送モードが設定されている場合に、再検が必要か否かの判定が行われるまで検体ラックLを分析後ラック保持部34において待機させ、再検が必要と判定されたときには当該検体ラックLをラック送込部34bによってY1方向へ移送し、測定ライン3aM又は3bMに沿ってX2方向へ搬送し、初検が行われた測定ユニット51又は52へ供給する構成としてもよい。この場合、分析後ラック保持部34において待機中の検体ラックLが保持する検体について、再検が不要と判定されたときには当該検体ラックLをラック送込部34bによってY2方向へ帰還ライン3aR又は3bRまで移送し、帰還ライン3aR,3bRに沿ってX2方向へ搬送し、検体回収ユニット23に回収させることとなる。
【0109】
また、上述した実施の形態においては、血球分析装置5が3つの測定ユニット51,52,53及び情報処理ユニット54を備えた構成について述べたが、これに限定されるものではない。測定ユニットは1つでも複数でもよく、測定ユニットと情報処理ユニットとが一体的に構成されていてもよい。また、情報処理ユニット54によって測定ユニット51,52,53の機構の制御を行うのではなく、それぞれの測定ユニットがCPU及びメモリ等からなる制御部を備え、これらの制御部によって各測定ユニットの制御が行われ、それぞれの測定ユニットによって得られた測定データを情報処理ユニットが処理して検体の分析結果を生成する構成であってもよい。
【0110】
また、上述した実施の形態においては、単一のコンピュータ8a,80aによりコンピュータプログラム84a,840aの全ての処理を実行する構成について述べたが、これに限定されるものではなく、上述したコンピュータプログラム84a,840aと同様の処理を、複数の装置(コンピュータ)により分散して実行する分散システムとすることも可能である。
【産業上の利用可能性】
【0111】
本発明の搬送装置は、検体処理システム及び検体搬送ユニットとして有用である。
【符号の説明】
【0112】
1 検体処理システム
2 検体投入回収装置
21 検体投入ユニット
22 前処理ユニット
23 検体回収ユニット
22a 制御部
217,223,237 回収ライン
22b バーコード読取部
222a バーコードリーダ
3 検体搬送装置
3a,3b,3c,4 検体搬送ユニット
3aS,3bS,3cS,4S 供給ライン
3aF,3bF,3cF 飛び越しライン
4F 搬送ライン
3aR,3bR,3cR,4R 帰還ライン
3aM,3bM,3cM 測定ライン
4M 処理ライン
31 搬送機構
32 制御部
33 分析前ラック保持部
34 分析後ラック保持部
35c 検体供給位置
5 血液分析装置
51,52,53 測定ユニット
511 検体吸引部
512 試料調製部
513 検出部
54 情報処理ユニット
541a CPU
541c RAM
541d ハードディスク
544a コンピュータプログラム
544 記録媒体
6 塗抹標本作製装置
8 システム制御装置
81a CPU
81c RAM
81d ハードディスク
84 記録媒体
84a システム制御プログラム
9 検査情報管理装置
L 検体ラック
T 検体容器
【技術分野】
【0001】
本発明は、検体に対してその成分の測定、塗抹標本の作製等の処理を行う検体処理システム、及び検体に前記処理を行うために検体を収容した検体容器を搬送する検体搬送ユニットに関する。
【背景技術】
【0002】
多項目血球分析装置又は血液塗抹標本作製装置等の検体処理装置を複数備え、ユーザによって投入された検体をこれらの検体処理装置に搬送し、検体処理装置による処理が終了した検体を回収する検体処理システムが知られている(例えば、特許文献1,2参照)。
【0003】
特許文献1には、分析すべきサンプルを収容したサンプル容器を複数本保持するラックがセットされるラックセット部と、サンプル送り用搬送ラインと、ラックセット部にセットされたラックをサンプル送り用搬送ラインに供給するラック供給回収部と、サンプル戻し用搬送ラインと、ラック収納部と、複数の分析ユニットとを有する自動分析装置が開示されている。この自動分析装置では、ラック供給回収部から供給されたラックはサンプル送り用搬送ラインによって送り方向に向けて搬送され、複数の分析ユニットにおいて選択的に検体の分析が行われる。分析の終了したラックは、サンプル戻し用搬送ラインによって送り方向とは逆方向の戻り方向に向けて搬送され、ラック供給回収部で回収された後、ラック収納部に搬送されて収納される。この特許文献1に開示されている自動分析装置では、分析ユニットに対して同一側にラックセット部およびラック収納部が配置されているため、ユーザが検体の供給(投入)作業及び回収作業を一箇所で容易に行うことができる。
【0004】
特許文献2には、サンプルラックがセットされるサンプル供給部と、サンプル供給部によって所定の搬送開始位置に供給されたサンプルラックを搬送する搬送ラインと、所定の吸引位置まで搬送されたサンプルラックに収容されたサンプル容器から所定量のサンプルを吸引し、吸引されたサンプルに対して所定の検査を行う反応部と、吸引が終了したサンプルラックを帰還させる帰還ラインと、前記帰還ラインにサンプルラックを振り分ける振分け機構と、前記帰還ラインからのサンプルラックを選択的に前記搬送開始位置に戻す戻し機構と、検査が終了したサンプルラックを収納するラック収納部とを備えた自動分析装置が開示されている。特許文献2に開示されている自動分析装置では、サンプル供給部およびラック収納部が反応部に対して同一側に設けられ、戻し機構により、再検査を行わないサンプルラックはラック収納部に搬出され、再検査を行うサンプルラックは搬送開始位置に戻される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2001−74754号公報
【特許文献2】特開平6ー148202号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、上記特許文献1に記載の自動分析装置では、ラック供給回収部から供給すべきラックに保持されているサンプルに対して2以上の分析ユニットでの分析項目がある場合には、一の分析ユニットのサンプル吸引位置でサンプルを吸引して分析を行い、その後、さらに搬送して他の分析ユニットのサンプル吸引位置でサンプルを吸引して分析を行う構成ではあるが、再検査(再分析)については一切考慮されていなかった。
【0007】
また、上記特許文献2に記載の自動分析装置では、再検査が必要なサンプルを保持するサンプルラックが、再検査が不要なサンプルしか保持していないサンプルラックと同様に搬送ラインの出口まで搬送された後、帰還ラインにより前記搬送ラインの搬送方向とは逆方向に搬送され、再度搬送開始位置へ移送される。そのため、サンプルラックの搬送経路が長く、再検査を効率的に行うことが困難となる。例えば、他のサンプルラックのサンプルが搬送方向下流側の反応部により吸引中の場合には、吸引が終了するまでサンプルラックを搬送することができず、渋滞が生じる。このように搬送経路の途中で渋滞が生じているような場合には、著しく再検査の効率が悪化する。
【0008】
本発明は斯かる事情に鑑みてなされたものであり、その主たる目的は、従来に比して効率的に検体の再処理を行うことが可能な検体処理システム及び検体搬送ユニットを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上述した課題を解決するために、本発明の一の態様の検体処理システムは、検体を収容した検体容器から検体を取り込み、取り込まれた検体を処理する第1及び第2検体処理ユニットと、検体容器を投入するための検体投入ユニットと、前記第1及び第2検体処理ユニットに対して前記検体投入ユニットと同一側に配置され、前記第1及び第2検体処理ユニットの少なくとも一方へ搬送された検体容器を回収する検体回収ユニットと、前記検体投入ユニットに投入された検体容器を前記第1及び前記第2検体処理ユニットへ搬送するための第1搬送ラインと、前記第1搬送ラインの終点および当該終点に至るまでの所定位置から検体容器を受け取り、受け取った検体容器を前記検体回収ユニットへ搬送するための第2搬送ラインとを具備する搬送ユニットと、前記第1検体処理ユニットによる処理の結果、再処理が必要と判断された検体を収容する検体容器を前記第1搬送ラインに沿って前記第1及び前記第2検体処理ユニットの何れかへ搬送し、前記第1検体処理ユニットによる処理の結果、再処理が不要と判断された検体を収容する検体容器を、前記第1搬送ラインの終点を経由することなく前記第2搬送ラインの途中へ移送し、前記第2搬送ラインに沿って前記検体回収ユニットへ搬送するよう前記搬送ユニットを制御する制御部と、を備える。
【0010】
この態様においては、前記制御部が、前記第1検体処理ユニットによる処理の結果、再処理が必要と判断された検体を収容する検体容器を、前記第1搬送ラインに沿って前記第2検体処理ユニットへ搬送するように前記搬送ユニットを制御することが好ましい。
【0011】
また、上記態様においては、前記第1搬送ラインが、前記第1検体処理ユニットが検体容器から検体を取り込むための検体取込位置を経由して、検体容器を搬送するための取込ラインと、前記検体取込ラインと並行に設けられ、前記検体取込位置を経由せずに、前記第1検体処理ユニットの搬送方向上流側から搬送方向下流側に検体容器を搬送するための飛び越しラインと、前記取込ラインと前記飛び越しラインとの間に設けられ、前記取込ラインに沿って搬送された検体容器を受け入れる中継部とを有し、前記搬送ユニットが、前記中継部に位置する検体容器を前記飛び越しライン及び前記第2搬送ラインへ振り分けるように移送する移送部を具備することが好ましい。
【0012】
また、上記態様においては、前記移送部が、前記中継部に位置する検体容器を前記第2搬送ラインの搬送方向に交差する方向へ移送することにより、前記第2搬送ラインの途中へ移送するように構成されていることが好ましい。
【0013】
また、上記態様においては、前記移送部が、前記中継部に位置する検体容器を、前記飛び越しラインを横断して前記第2搬送ラインの途中へ移送するように構成されていることが好ましい。
【0014】
また、上記態様においては、前記移送部が、前記中継部に位置する検体容器を押動して、前記第2搬送ラインの途中へ移送するように構成されていることが好ましい。
【0015】
また、上記態様においては、前記制御部が、前記取込ラインによって前記第1検体処理ユニットに搬送された検体容器内の検体の再処理の要否の判定結果を取得するように構成されており、前記判定結果を取得するまで、前記検体容器を前記中継部に待機させるように前記移送部を制御することが好ましい。
【0016】
また、上記態様においては、前記制御部が、取得した前記判定結果に基づいて、前記検体容器の搬送先を決定するように構成されており、検体容器を決定した搬送先へ搬送すべく、前記飛び越しライン及び前記第2搬送ラインへ振り分けるように前記第2移送部を制御することが好ましい。
【0017】
また、上記態様においては、前記第1検体処理ユニットが、所定の第1の測定項目について検体を測定するように構成され、前記第2検体処理ユニットが、前記第1の測定項目とは異なる第2の測定項目について検体を測定するように構成され、前記制御部が、前記第1検体処理ユニットによる処理の結果、前記再処理として、前記第2の測定項目について測定が必要と判断された検体を収容する検体容器を、前記第1搬送ラインに沿って前記第2検体処理ユニットへ搬送するように前記搬送ユニットを制御することが好ましい。
【0018】
また、上記態様においては、前記第1検体処理ユニットが、検体に含まれる所定の成分を検出するように構成され、前記第2検体処理ユニットが、スライドガラスに検体を塗抹することにより塗抹標本を作製するように構成され、前記制御部が、前記第1検体処理ユニットによる処理の結果、前記再処理として、塗抹標本の作製が必要と判断された検体を収容する検体容器を、前記第1搬送ラインに沿って前記第2検体処理ユニットへ搬送するように前記搬送ユニットを制御することが好ましい。
【0019】
また、上記態様においては、前記検体処理システムが、前記第1検体処理ユニットによる処理の結果、再処理が必要と判断された検体の再処理を、前記第2検体処理ユニットにより実行する第1モードと、前記第1検体処理ユニットによる処理の結果、再処理が必要と判断された検体の再処理を、前記第1又は第2検体処理ユニットにより実行する第2モードとの何れかに動作モードを設定可能な設定手段をさらに備えることが好ましい。
【0020】
また、本発明の一の態様の検体搬送ユニットは、検体を収容した検体容器から検体を取り込み、取り込まれた検体を処理する第1及び第2検体処理ユニットへ検体容器を搬送するための第1搬送ラインと、前記第1搬送ラインの終点及び当該終点に至るまでの所定位置から検体容器を受け取り、受け取った検体容器を、検体容器を回収するための検体回収ユニットへ搬送するための第2搬送ラインと、前記第1搬送ライン上の検体容器を前記第2搬送ラインに移送する移送部と、前記第1検体処理ユニットによる処理の結果、再処理が必要と判断された検体を収容する検体容器を前記第1及び第2検体処理ユニットの何れかへ搬送するように前記第1搬送ラインを制御し、前記第1検体処理ユニットによる処理の結果、再処理が不要と判断された検体を収容する検体容器を、前記第1搬送ラインの終点を経由することなく前記第2搬送ラインの途中へ移送し、前記検体回収ユニットへ搬送するように前記移送部および前記第2搬送ラインを制御する制御部と、を備える。
【発明の効果】
【0021】
本発明に係る検体処理システム及び検体搬送ユニットによれば、従来に比して効率的に検体の再処理を行うことが可能である。
【図面の簡単な説明】
【0022】
【図1】実施の形態に係る検体処理システムの全体構成を示す概略平面図。
【図2】検体容器の外観を示す斜視図。
【図3】検体ラックの外観を示す斜視図。
【図4】実施の形態に係る血液分析装置用の検体搬送ユニットの構成を示す平面図。
【図5】実施の形態に係る塗抹標本作製装置用の検体搬送ユニットの構成を示す平面図。
【図6】実施の形態に係る血液分析装置が備える測定ユニットの構成を示すブロック図。
【図7】実施の形態に係る血液分析装置が備える情報処理ユニットの構成を示すブロック図。
【図8】実施の形態に係る塗抹標本作製装置の概略構成を示すブロック図。
【図9】実施の形態に係るシステム制御装置の構成を示すブロック図。
【図10】実施の形態に係るシステム制御装置による搬送モード設定処理の手順を示すフローチャート。
【図11】測定される前の検体について、検査情報管理装置が記憶している測定オーダの一例を示す模式図。
【図12】測定された後の検体について、検査情報管理装置が記憶している測定オーダの一例を示す模式図。
【図13】分析結果を解析処理された後の検体について、検査情報管理装置が記憶している測定オーダの一例を示す模式図。
【図14】第1搬送モードにおける検体搬送ユニットによる搬送制御処理の手順を示すフローチャート。
【図15】第1搬送モードにおけるシステム制御装置による搬送指示処理の手順を示すフローチャート。
【図16】第2搬送モードにおける情報処理ユニットによる搬送制御処理の手順を示すフローチャート。
【発明を実施するための形態】
【0023】
以下、本発明の好ましい実施の形態を、図面を参照しながら説明する。
【0024】
[検体処理システムの構成]
図1は、本実施の形態に係る検体処理システムの全体構成を示す概略平面図である。図1に示すように、検体処理システム1は、検体投入回収装置2と、検体搬送装置3と、血球分析装置5と、塗抹標本作製装置6と、システム制御装置8とを備えている。また、本実施の形態に係る検体処理システム1は、通信ネットワークを介して検査情報管理装置9と通信可能に接続されている。
【0025】
検体搬送装置3は、検体搬送ユニット3a,3b,3c及び4を有し、これらの検体搬送ユニット3a,3b,3c及び4は図中横方向に延びるように互いに直列的に接続されている。血球分析装置5は、3つの測定ユニット51,52,53と情報処理ユニット54を具備しており、検体搬送ユニット3aの後方には測定ユニット51が、検体搬送ユニット3bの後方には測定ユニット52が、検体搬送ユニット3cの後方には測定ユニット53が配置されている。また、検体搬送ユニット4の後方には塗抹標本作製装置6が配置されている。
【0026】
検体搬送ユニット3a,3b,3c及び4のそれぞれには、測定ユニット51,52,53及び塗抹標本作製装置6(検体処理ユニット)へ検体を供給するために検体ラックを搬送するための搬送路である供給ライン3aS,3bS,3cS,4S(第1搬送ライン)が左右方向に延設されている。また、検体搬送装置3は、検体ラックを回収すべく図中右方向へ搬送するための搬送路である帰還ライン3aR,3bR,3cR,及び4R(第2搬送ライン)を具備している。供給ライン3aSは、左右方向に延びた測定ライン3aM(取込ライン)と、複数の検体を保持した検体ラックを図中左方向へ搬送するための飛び越しライン3aFとを含んでいる。他の供給ライン3bS,3cS,4Sも同様に、測定ライン3bM,3cM,及び処理ライン4M並びに飛び越しライン3bF,3cF及び搬送ライン4Fを有している。測定ライン3aM,3bM,3cM,及び処理ライン4Mは、測定ユニット51,52,53及び塗抹標本作製装置6が検体を取り込むための検体ラックの搬送路であり、各測定ライン3aM,3bM,3cM,及び処理ライン4Mは互いに接続されておらず、それぞれが独立している。一方、飛び越しライン3aF,3bF,3cFおよび搬送ライン4Fは、測定ユニット51,52,53及び塗抹標本作製装置6が検体を取り込むことなく、搬送方向下流側へ検体ラックを搬送するための搬送路である。かかる飛び越しライン3aF,3bF,3cF及び搬送ライン4Fは、隣接するそれぞれが互いに接続されており、全体として直線状に設けられている。
【0027】
飛び越しライン3aF,3bF,3cF,搬送ライン4Fと各測定ライン3aM,3bM,3cM,処理ライン4Mとの間には、飛び越しライン3aF,3bF,3cF,搬送ライン4Fから検体ラックを受け入れ、受け入れた検体ラックを測定ライン3aM,3bM,3cM,処理ライン4Mの起点へ移送するための移送路であって、また検体ラックを保持する領域である分析前ラック保持部33,43(第1中継部)と、測定ライン3aM,3bM,3cM,処理ライン4Mの終点から検体ラックを受け入れ、受け入れた検体ラックを飛び越しライン3aF,3bF,3cF,搬送ライン4F、又は帰還ライン3aR,3bR,3cR,4Rへ移送するための移送路であって、また検体ラックを保持する領域である分析後ラック保持部34,44(第2中継部)が設けられている。これらの分析前ラック保持部33,43及び分析後ラック保持部34,44(第2中継部)もまた、供給ライン3aS,3bS,3cS,4Sの一部を構成している。
【0028】
ユーザにより検体ラックが投入される検体投入回収装置2は、検体搬送装置3の右端に接続されており、当該検体投入回収装置2から搬出された検体ラックは検体搬送装置3の飛び越しライン3aF,3bF,3cF,又は4Fに沿って搬送される。検体ラックは飛び越しライン3aF,3bF,3cF,又は4Fから搬送先の測定ユニット51,52,53又は塗抹標本作製装置6に対応する検体搬送ユニット3a,3b,3c又は4における分析前ラック保持部33又は処理前ラック保持部43を経由して測定ライン3aM,3bM,3cM,又は処理ライン4Mに移送される。そして、検体ラックは測定ライン又は処理ライン上を搬送されて、搬送先である測定ユニット51,52,53又は塗抹標本作製装置6へ供給される。検体が測定ユニット51,52,53又は塗抹標本作製装置6に供給された後、検体ラックは測定ライン3aM,3bM,3cM,又は処理ライン4Mから分析後ラック保持部34又は処理後ラック保持部44を経由して帰還ライン3aR,3bR,3cR,又は4Rへ移送され、帰還ライン上を右方向へ搬送されて、検体投入回収装置2に回収される。
【0029】
図2は、検体容器の外観を示す斜視図であり、図3は、検体ラックの外観を示す斜視図である。図2に示すように、検体容器Tは、管状をなしており、上端が開口している。内部には患者から採取された血液検体が収容され、上端の開口は蓋部CPにより密封されている。検体容器Tは、透光性を有するガラス又は合成樹脂により構成されており、内部の血液検体が視認可能となっている。また、検体容器Tの側面には、検体バーコードラベルBLが貼付されている。この検体バーコードラベルBLには、検体IDを示すバーコード(検体バーコード)が印刷されている。検体ラックLは、10本の検体容器Tを並べて保持することが可能である。検体ラックLでは、各検体容器Tが垂直状態(立位状態)で保持される。また、検体ラックLの正面には、ラックバーコードラベル(図示せず)が貼付されている。このラックバーコードラベルには、ラックIDを示すバーコード(ラックバーコード)が印刷されている。
【0030】
以下、検体処理システム1の構成について詳細に説明する。
【0031】
<検体投入回収装置2の構成>
図1に示すように、検体投入回収装置2は、検体投入ユニット21と、前処理ユニット22と、検体回収ユニット23を備えている。当該検体投入回収装置2は、複数の検体容器が収納された検体ラックを載置することができる。
【0032】
検体投入ユニット21は、ユーザによって投入された検体ラックLを載置可能に構成されている。また、検体投入ユニット21は、ユーザに投入された検体ラックLを検体投入ユニット21の最も奥側(Y1方向)へ移送し、検体投入ユニット21の左側(前処理ユニット22側)に検体ラックLを送出することが可能に構成されている。
【0033】
前処理ユニット22は、検体投入ユニット21の左側に接続されており、検体投入ユニット21から送出された検体ラックLを受け入れることが可能に構成されている。前処理ユニット22はバーコード読取部22bを備えており、バーコード読取部22bは、検体ラックLに収容されている検体容器Tの検体バーコードラベルBLから検体IDを読み出すことが可能であるとともに、検体ラックLのラックラックバーコードラベルからラックIDを読み出すことが可能である。また、前処理ユニット22は、バーコード読取部22bによってバーコードの読み出し動作が行われた検体ラックLを前処理ユニット22の前方(Y2方向)へ移送した後、前処理ユニット22の左側(検体搬送ユニット3a側)に検体ラックLを送出することが可能に構成されている。前処理ユニット22から検体搬送ユニット3aへのラック送出位置の近傍には、検体ラックLのラックバーコード読み取り専用のバーコードリーダ222aが設けられている。前処理ユニット22から送出された検体ラックLは検体搬送装置3の飛び越しライン3aFに導入される。かかる構成の前処理ユニット22は、CPU及びメモリ等からなる制御部22aを備えている。この制御部22aにより前処理ユニット22の機構が制御される。
【0034】
検体回収ユニット23は、検体投入ユニット21の右側に設けられており、検体投入ユニット21と同様の構成とされている。また、検体回収ユニット23は、帰還ライン3aR、回収ライン223,217,237によって搬入された検体ラックLを回収するように構成されている。
【0035】
<検体搬送装置3の構成>
次に、検体搬送装置3の構成について説明する。図1に示すように、検体処理システム1は、4つの検体搬送ユニット3a,3b,3c及び4からなる検体搬送装置3を備えている。血球分析装置5の3つの測定ユニット51,52,53の前方には、各別に検体搬送ユニット3a,3b,3cが配置されている。検体搬送ユニット3a,3b,3cのうちの隣り合う2つは互いに接続されており、検体ラックLを受渡しすることが可能である。また、最も右側の検体搬送ユニット3aは、上述した検体投入回収装置2に接続されており、検体投入回収装置2から搬出された検体ラックLを導入し、また検体投入回収装置2へ検体ラックLを送出することが可能となっている。
【0036】
図4は、検体搬送ユニット3aの構成を示す平面図である。ここでは、測定ユニット51の前側に配置されている検体搬送ユニット3aについて説明するが、測定ユニット52,53の前側に配置されている検体搬送ユニット3b,3cも同様の構成となっている。図4に示すように、検体搬送ユニット3aは、検体を搬送する搬送機構31と、搬送機構31を制御する制御部32とを備えている。搬送機構31は、分析前ラック保持部33と、分析後ラック保持部34と、検体を測定ユニット51に供給するために、検体ラックLを図中矢印X方向へ水平に直線移動させ、分析前ラック保持部33から受け取った検体ラックLを分析後ラック保持部34へ搬送するための搬送路である測定ライン3aM(取込ライン)と、搬送上流側の装置(検体投入回収装置2)から検体ラックLを搬入し、この検体ラックLに収容された検体を測定ユニット51に供給せずに、搬送下流側の装置(検体搬送ユニット3b)へと検体ラックLを搬出するための搬送路である飛び越しライン3aFと、搬送下流側の装置(検体搬送ユニット3b)から検体ラックLを搬入し、この検体ラックLに収容された検体を測定ユニット51に供給せずに、搬送上流側の装置(検体投入回収装置2)へと検体ラックLを搬出するための搬送路である帰還ライン3aR(第2搬送ライン)とを備えている。
【0037】
飛び越しライン3aFは、環状のベルト321a及びステッピングモータ321bを有するベルトコンベヤ321により構成されている。かかるベルトコンベヤ321は、ステッピングモータ321bの駆動力によってベルト321aを矢印X1方向へ回転させるように構成されている。これにより、ベルト321aの上に載置された検体ラックLをX1方向へ移動可能である。検体搬送ユニット3a,3b,3cのそれぞれの飛び越しライン3aF,3bF,3cF及び後述する検体搬送ユニット4の搬送ライン4Fもまた同様のベルトコンベヤにより構成され、これにより検体ラックLが搬送可能である。
【0038】
飛び越しライン3aFから所定距離隔てた前方には、飛び越しライン3aFと平行な帰還ライン3aRが設けられている。帰還ライン3aRは、環状のベルト331a及びステッピングモータ331bを有するベルトコンベヤ331により構成されている。かかるベルトコンベヤ331は、ステッピングモータ331bの駆動力によってベルト331aを矢印X2方向へ回転させるように構成されている。これにより、ベルト331aの上に載置された検体ラックLをX2方向へ移動可能である。検体搬送ユニット3a,3b,3cのそれぞれの帰還ライン3aR,3bR,3cR及び後述する検体搬送ユニット4の帰還ライン4Rもまた同様のベルトコンベヤにより構成されており、これにより検体ラックLが搬送可能である。
【0039】
また、分析前ラック保持部33の前側には、飛び越しライン3aF及び帰還ライン3aRに挟まれて分析前ラック保持部33に対向するようにラック送出部322が配置されている。かかるラック送出部322は、ステッピングモータ322aの駆動力により矢印Y1方向(後方)に水平に直線移動するように構成されている。これにより、搬送方向上流側の装置から飛び越しライン3aFによって検体ラックLが搬入され、分析前ラック保持部33とラック送出部322との間の飛び越しライン3aF上の位置323(以下、「分析前ラック送出位置」という。)に検体ラックLが到達した場合に、ラック送出部322を分析前ラック保持部33側に移動することによって、検体ラックLを押動させて分析前ラック保持部33内に移動することが可能である。なお、検体搬送ユニット3aには、分析前ラック送出位置323に到達した検体ラックLを検出するラックセンサ373が設けられている。ラックセンサ373は発光部373aと受光部373bとを備えている。
【0040】
分析前ラック保持部33は、平面視において四角形をなしており、横方向の長さは検体ラックLの長さより若干大きくなっている。また、分析前ラック保持部33の幅(前後方向の長さ)は、検体ラックLの2つ分の幅よりも若干大きくなっている。この分析前ラック保持部33は、周囲の面よりも一段低く形成されており、その上面に分析前の検体ラックLが載置される。つまり、分析前ラック保持部33は2つの検体ラックLを同時に保持可能である。分析前ラック保持部33は、飛び越しライン3aFに連なっており、ラック送出部322によって、飛び越しライン3aFから検体ラックLが送り込まれるようになっている。この分析前ラック保持部33の近傍には、ラックセンサ371が取り付けられており、分析前ラック保持部33に配置された検体ラックLはラックセンサ371によって検出される。ラックセンサ371は、光学式センサであり、発光部371aと受光部371bとを備えている。発光部371aは、分析前ラック保持部33の側方に設けられており、受光部371bは、発光部371aから分析前ラック保持部33を斜め前方へ横切る直線上に設けられている。発光部371aは、斜め前方へ向けて光を発するように配置されており、受光部371bはこの光を受けるように配置されている。したがって、飛び越しライン3aFから送り込まれた検体ラックLは、分析前ラック保持部33に位置し、発光部371aから発せられた光が当該検体ラックLによって遮られ、受光部371bの受光レベルが下がる。これにより、当該検体ラックLがラックセンサ371により検出される。また、分析前ラック保持部33の両側面からは、内側へ向けてラック送込部33bが突出している。ラックセンサ371により検体ラックLが検出されたときに、このラック送込部33bが後方(測定ライン3aMに近接する方向)へ移動することにより、ラック送込部33bが検体ラックLと係合し、検体ラックLが後方へと移送される。かかるラック送込部33bは、分析前ラック保持部33の下方に設けられたステッピングモータ33cによって駆動可能に構成されている。
【0041】
測定ライン3aMによる検体ラックLの搬送経路上には、検体容器センサ38によって検体容器が検出される検体容器検出位置35a、及び血球分析装置5の測定ユニット51へ検体を供給するための検体供給位置35c(検体取込位置)が存在する。測定ライン3aMは、検体容器検出位置35aを経由して、検体供給位置35cに検体が搬送されるために用いられる。検体供給位置35cは、検体容器検出位置35aから検体1つ分だけ搬送方向下流側の位置であり、測定ライン3aMにより検体供給位置35cに検体が搬送された場合には、後述する血球分析装置5の測定ユニット51のハンド部が当該検体の検体容器Tを把持し、検体ラックLから検体容器Tを取り出し、検体容器Tから検体の吸引を行うことによって、検体が測定ユニット51に供給される。検体搬送ユニット3aは、測定ライン3aMに沿ってかかる検体供給位置35cに検体容器を搬送した後、検体の供給が完了し、当該検体容器Tが検体ラックLへ戻されるまでの間、検体ラックLの搬送を待機する。
【0042】
また、測定ライン3aMは、それぞれ独立して動作可能な第1ベルト351及び第2ベルト352、並びに、第1ベルト351を駆動するステッピングモータ351e及び第2ベルト352を駆動するステッピングモータ352eを有するベルトコンベヤ353により構成されている。
【0043】
測定ライン3aMを挟んで後述する分析後ラック保持部34に対向するようにラック送出部39が配置されている。かかるラック送出部39は、ステッピングモータ39aの駆動力により矢印Y方向に水平に直線移動するように構成されている。これにより、分析後ラック保持部34とラック送出部39との間の位置391(以下、「分析後ラック送出位置」という。)に検体ラックLが搬送された場合に、ラック送出部39を分析後ラック保持部34側に移動することによって、検体ラックLを押動させて分析後ラック保持部34内に移動することが可能である。このようにして、分析が完了した検体ラックLが、測定ライン3aMから分析後ラック保持部34へ送出される。なお、検体搬送ユニット3aには、分析後ラック送出位置391に到達した検体ラックを検出するラックセンサ374が設けられている。ラックセンサ374は発光部374aと受光部374bとを備えている。
【0044】
分析後ラック保持部34は、平面視において四角形をなしており、その横方向の長さは検体ラックLの長さより若干大きくなっている。また、分析後ラック保持部34の幅(前後方向の長さ)は、検体ラックLの2つ分の幅よりも若干大きくなっている。この分析後ラック保持部34は、周囲の面よりも一段低く形成されており、その上面に分析が完了した検体ラックLが載置される。つまり、分析後ラック保持部34は2つの検体ラックLを同時に保持可能である。分析後ラック保持部34は、上記の測定ライン3aMに連なっており、上述したように、ラック送出部39によって、測定ライン3aMから検体ラックLが送り込まれるようになっている。この分析後ラック保持部34の近傍には、ラックセンサ372が取り付けられており、分析後ラック保持部34に配置された検体ラックLはラックセンサ372によって検出される。ラックセンサ372は、光学式センサであり、発光部372aと受光部372bとを備えている。発光部372aは、分析後ラック保持部34の側方に設けられており、受光部372bは、発光部372aから分析後ラック保持部34を斜め前方へ横切る直線上に設けられている。発光部372aは、斜め前方へ向けて光を発するように配置されており、受光部372bはこの光を受けるように配置されている。したがって、ラック送出部39から送り込まれた検体ラックLは、分析後ラック保持部34に位置し、発光部372aから発せられた光が当該検体ラックLによって遮られ、受光部372bの受光レベルが下がる。これにより、当該検体ラックLがラックセンサ372により検出される。分析後ラック保持部34の両側面からは、内側へ向けてラック送込部34bが突設されている。ラックセンサ372により検体ラックLが検出されたときに、このラック送込部34bが前方(飛び越しライン3aF及び帰還ライン3aRに近接する方向)へ移動することにより、ラック送込部34bが検体ラックLと係合し、検体ラックLが前方へと移送される。かかるラック送込部34bは、分析後ラック保持部34の下方に設けられたステッピングモータ34cによって駆動可能に構成されている。また、分析後ラック保持部34は、飛び越しライン3aF及び帰還ライン3aRと連なっており、ラック送込部34bは分析後ラック保持部34に配置された検体ラックLを飛び越しライン3aF及び帰還ライン3aRの何れかへ移送することができる。なお、ラック送込部34bは、分析後ラック保持部34に配置された検体ラックLを、分析後ラック保持部34の前側の飛び越しライン3aF上の位置3T(以下、「ラック搬出位置」という)に搬出するように構成されている。また、ラック送込部34bは、分析後ラック保持部34に配置された検体ラックLを、ラック搬出位置3Tを介して帰還ライン3aRに移送することができる。
【0045】
上記のような構成の搬送機構31は、主として制御部32によって制御される。制御部32は、CPU、ROM、及びRAM等(図示せず)から構成されており、ROMに格納された搬送機構31の制御プログラムをCPUで実行することが可能である。また、かかる制御部32は、Ethernet(登録商標)インタフェースを備えており、LANを介して情報処理ユニット54及びシステム制御装置8にそれぞれ通信可能に接続されている。
【0046】
搬送機構31のうち、ラック送込部33b、測定ライン3aMを構成するベルトコンベヤ353及びラック送出部39は、血球分析装置5の情報処理ユニット54により制御される。搬送機構31のその他の部分は、制御部32により制御される。
【0047】
上記のような構成とすることにより、検体搬送ユニット3a(3b,3c)は、検体投入回収装置2から搬送された検体ラックLを、飛び越しライン3aFに沿って分析前ラック送出位置323へ搬送し、ラック送出部322により分析前ラック保持部33へ移送し、この検体ラックLを分析前ラック保持部33から測定ライン3aMへと送出し、さらに測定ライン3aMに沿って搬送することにより、検体を対応する測定ユニット51(52,53)へと供給することができる。また、吸引が完了した検体を収容する検体ラックLは、測定ライン3aMにより、分析後ラック送出位置391へと移送され、ラック送出部39により分析後ラック保持部34へ送出される。分析後ラック保持部34に保持された検体ラックLは、保持する検体の全てについて再検が必要ない場合には、帰還ライン3aRへと移送され、帰還ライン3aRに沿って、前段(搬送方向上流側)の装置(検体投入回収装置2)へ搬出される。一方、再検が必要と判断された検体を保持する検体ラックLは、供給ライン3aS,3bS,3cS,4Sに沿って測定ユニット51,52,53及び塗抹標本作成装置6の何れかへ搬送され、搬送先の装置によって検体の再検(再処理)が行われる。
【0048】
また、搬送下流側の測定ユニット52,53又は塗抹標本作製装置6にて処理する検体を収容する検体ラックLを前段の装置から検体搬送ユニット3が受け入れた場合は、飛び越しライン3aFに沿ってこの検体ラックLが矢印X1方向へと搬送され、後段の検体搬送ユニット3bへそのまま搬出される。検体投入回収装置2によって回収される検体ラックLを後段の検体搬送ユニット3bから検体搬送ユニット3aが受け入れた場合は、検体搬送ユニット3aの帰還ライン3aRに沿ってこの検体ラックLが矢印X2方向へと搬送され、前段の検体投入回収装置2へそのまま搬出される。
【0049】
図1に示すように、塗抹標本作製装置6の前側には、検体搬送ユニット4が配置されている。この検体搬送ユニット4は、その右側端が、3つの検体搬送ユニット3a,3b,3cの内、最も搬送下流側(図中左側)に位置する検体搬送ユニット3cと接続されている。
【0050】
図5は、検体搬送ユニット4の構成を示す平面図である。検体搬送ユニット4は、検体を搬送する搬送機構41と、搬送機構41を制御する制御部42とを備えている。搬送機構41は、塗抹標本の作製が行われる前の検体を収容する検体容器Tを保持する検体ラックLを一時的に保持することが可能な処理前ラック保持部43と、塗抹標本作製装置6によって検体が吸引された検体容器Tを保持する検体ラックLを一時的に保持することが可能な処理後ラック保持部44と、検体を塗抹標本作製装置6に供給するために、検体ラックLをX1方向へ水平に直線移動させ、処理前ラック保持部43から受け取った検体ラックLを処理後ラック保持部44へ搬送するための搬送路である処理ライン4Mと、搬送上流側の検体搬送ユニット3cから検体ラックLを搬入し、当該検体ラックLをX1方向へ搬送するための搬送路である搬送ライン4Fと、検体の塗抹標本の作製が完了した検体ラックLを検体投入回収装置2に回収させるために、搬送上流側の検体搬送ユニット3cへと当該検体ラックLを搬出するための搬送路である帰還ライン4Rとを備えている。なお、検体搬送装置4は、構成部品の大きさ、形状及び位置が検体搬送ユニット3a,3b,3cと異なっているが、機能は同様であるので、その構成についての説明を省略する。
【0051】
検体搬送ユニット4は、上流側の検体搬送ユニット3cから搬出された検体ラックLを、搬送ライン4Fにより導入し、図示しないラック送出部により処理前ラック保持部43へ移送し、この検体ラックLを処理前ラック保持部43から処理ライン4Mへと送出し、さらに処理ライン4Mに沿って搬送することにより、検体を塗抹標本作製装置6へと供給することができる。また、吸引が完了した検体を収容する検体ラックLは、処理ライン4Mにより搬送され、図示しないラック送出部により処理後ラック保持部44へ送出される。処理後ラック保持部44に保持された検体ラックLは、帰還ライン4Rへと移送され、帰還ライン4Rに沿って、前段(搬送方向上流側)の検体搬送ユニット3cへ搬出される。
【0052】
検体搬送ユニット4の搬送ライン4Fの左端の位置、即ち処理後ラック保持部44の前側の位置は、供給ライン3aS,3bS,3cS,4S(第1搬送ライン)の終点3Eである。塗抹標本の作製が必要な検体を保持する検体ラックLは、検体搬送ユニット4の供給ライン4Sに沿って搬送され、その検体が塗抹標本作製装置6に供給された後、終点3Eを経由して処理後ラック保持部44を通過し、帰還ライン4Rへ移送されて、帰還ライン4Rに沿ってX2方向へ搬送され、検体回収ユニット23に回収される。
【0053】
<血球分析装置5の構成>
血球分析装置5は、光学式フローサイトメトリー方式の多項目血球分析装置であり、血液検体に含まれる血球に関して側方散乱光強度、蛍光強度等を取得し、これらに基づいて検体中に含まれる血球を分類し、且つ、種類毎に血球数を計数し、このように分類された血球が種類毎に色分けされたスキャッタグラムを作成し、これを表示する。かかる血球分析装置5は、血液検体を測定する測定ユニット51,52,53と、測定ユニット51,52,53から出力された測定データを処理し、血液検体の分析結果を表示する情報処理ユニット54とを備えている。
【0054】
血球分析装置5は、図1に示すように、3つの測定ユニット51,52,53と、1つの情報処理ユニット54とを備えている。情報処理ユニット54は、3つの測定ユニット51,52,53と通信可能に接続されており、これらの3つの測定ユニット51,52,53の動作をそれぞれ制御可能である。また、情報処理ユニット54は、3つの測定ユニット51,52,53の前側にそれぞれ配置された3つの検体搬送ユニット3a,3b,3cとも通信可能に接続されている。
【0055】
図6は、測定ユニット51の構成を示すブロック図である。図6に示すように、測定ユニット51は、検体である血液を検体容器(採血管)Tから吸引する検体吸引部511と、検体吸引部511により吸引した血液から測定に用いられる測定試料を調製する試料調製部512と、試料調製部512により調製された測定試料から血球を検出する検出部513とを有している。また、測定ユニット51は、検体搬送ユニット3aの測定ライン3aM上を搬送された検体ラックLに収容された検体容器Tを測定ユニット51の内部に取り込むための取込口(図示せず)と、検体ラックLから検体容器Tを測定ユニット51の内部に取り込み、検体吸引部511による吸引位置まで検体容器Tを搬送する検体容器搬送部515とをさらに有している。
【0056】
検出部513は、RBC(赤血球)検出及びPLT(血小板)検出をシースフローDC検出法により行うことが可能である。また、検出部513は、HGB(ヘモグロビン)検出をSLS−ヘモグロビン法により行うことが可能であり、WBC(白血球)の検出を、半導体レーザを使用したフローサイトメトリー法により行うことが可能であるように構成されている。RBC、PLT、HGB、及びWBCは、測定項目CBC(complete blood count)が指定されたときに測定される。
【0057】
また測定ユニット51は、白血球の5分類(測定項目DIFF)が可能である。さらに詳しくは、測定ユニット51の検出部513は、WBC(白血球)、NEUT(好中球)、LYMPH(リンパ球)、EO(好酸球)、BASO(好塩基球)、及びMONO(単球)の検出を、半導体レーザを使用したフローサイトメトリー法により行うことが可能であるように構成されている。
【0058】
さらに測定ユニット51の検出部513は、網状赤血球(RET)の測定も可能である。RETの測定は、RET測定用の試薬と検体とを混合して測定試料を調製し、検出部513のWBC/DIFF(白血球5分類)検出用の光学検出部に前記測定試料を供給することで行われる。
【0059】
測定ユニット52及び53は、測定ユニット51と同様の構成であり、測定ユニット51と同様に、CBC、DIFF、及びRETの測定がそれぞれ可能である。
【0060】
検体容器搬送部515は、検体容器Tを把持可能なハンド部515aを備えている。検体容器搬送部515は、ハンド部515aを上下方向及び前後方向(Y方向)に移動させることができ、検体ラックLに収容され、供給位置35cに位置した検体容器Tをハンド部515aにより抜き出し、抜き出した検体容器Tを検体容器セット部515bの穴部にセットする。かかる検体容器セット部515bは、吸引位置へ移動される。
【0061】
次に、情報処理ユニット54の構成について説明する。情報処理ユニット54は、コンピュータにより構成されている。図7は、情報処理ユニット54の構成を示すブロック図である。情報処理ユニット54は、コンピュータ54aによって実現される。図7に示すように、コンピュータ54aは、本体541と、画像表示部542と、入力部543とを備えている。本体541は、CPU541a、ROM541b、RAM541c、ハードディスク541d、読出装置541e、入出力インタフェース541f、通信インタフェース541g、及び画像出力インタフェース541hを備えており、CPU541a、ROM541b、RAM541c、ハードディスク541d、読出装置541e、入出力インタフェース541f、通信インタフェース541g、及び画像出力インタフェース541hは、バス541jによって接続されている。
【0062】
読出装置541eは、コンピュータを情報処理ユニット54として機能させるためのコンピュータプログラム544aを可搬型記録媒体544から読み出し、当該コンピュータプログラム544aをハードディスク541dにインストールすることが可能である。
【0063】
<塗抹標本作製装置6の構成>
塗抹標本作製装置6は、血液検体を吸引し、スライドガラス上に滴下して、その血液検体をスライドガラス上で薄く引き延ばし、乾燥させた上で、当該スライドガラスに染色液を供給してスライドガラス上の血液を染色することにより、塗抹標本を作製する。
【0064】
図8は、塗抹標本作製装置6の概略構成を示すブロック図である。図8に示すように、塗抹標本作製装置6は、検体分注部61と、塗抹部62と、スライドガラス搬送部63と、染色部64と、制御部65とを備えている。
【0065】
検体分注部61は、吸引管(図示せず)を備えており、この吸引管を検体搬送ユニット4の処理ライン4M上を搬送された検体ラックLの検体容器Tの蓋部CPに突き刺して、この検体容器Tから血液検体を吸引する。また、検体分注部61は、吸引した血液検体をスライドガラス上に滴下するように構成されている。塗抹部62は、スライドガラス上に滴下された血液検体を塗抹して乾燥させ、さらに、スライドガラスに印字するように構成されている。
【0066】
スライドガラス搬送部63は、塗抹部62によって血液検体が塗抹されたスライドガラスを図示しないカセットに収容させ、さらにそのカセットを搬送するために設けられている。染色部64は、スライドガラス搬送部63によって染色位置まで搬送されたカセット内のスライドガラスに対して、染色液を供給する。制御部65は、検体搬送装置3から与えられた標本作製指示にしたがって、検体分注部61、塗抹部62、スライドガラス搬送部63、及び染色部64を制御し、上記の塗抹標本作製動作を実行させる。
【0067】
<システム制御装置8の構成>
システム制御装置8は、コンピュータにより構成されており、検体処理システム1の全体を制御する。このシステム制御装置8は、検体投入回収装置2から検体ラックLの番号を受け付け、その検体ラックLの搬送先を決定し、搬送先を示す搬送指示データを検体搬送装置3へ送信する。
【0068】
図9は、本実施の形態に係るシステム制御装置8の構成を示すブロック図である。システム制御装置8は、コンピュータ8aによって実現される。図9に示すように、コンピュータ8aは、本体81と、画像表示部82と、入力部83とを備えている。本体81は、CPU81a、ROM81b、RAM81c、ハードディスク81d、読出装置81e、入出力インタフェース81f、通信インタフェース81g、及び画像出力インタフェース81hを備えており、CPU81a、ROM81b、RAM81c、ハードディスク81d、読出装置81e、入出力インタフェース81f、通信インタフェース81g、及び画像出力インタフェース81hは、バス81jによって接続されている。
【0069】
読出装置81eは、コンピュータをシステム制御装置8として機能させるためのシステム制御プログラム84aを可搬型記録媒体84から読み出し、当該システム制御プログラム84aをハードディスク81dにインストールすることが可能である。
【0070】
<検査情報管理装置9の構成>
検査情報管理装置9は、施設内における検査に関する情報を管理する装置、所謂LIS(Laboratory Information System)であり、血球分析装置5だけでなく、他の臨床検体検査装置にも接続されている。かかる検査情報管理装置9は、操作者から入力されたり、電子カルテシステム等の他の装置から送信された測定オーダを受け付け、測定オーダを記憶、管理する。さらに、検査情報管理装置9は、システム制御装置8からのオーダ要求を受け付け、要求された測定オーダをシステム制御装置8へ送信し、また、血球分析装置5から分析結果を受信し、この分析結果を記憶、管理する。
【0071】
検査情報管理装置9は、コンピュータにより構成されており、CPU、ROM、RAM、ハードディスク、通信インタフェース等を備えている。通信インタフェースは、上述したLANに接続されており、システム制御装置8、及び血球分析装置5の情報処理ユニット54と通信することが可能である。また、ハードディスクには、測定オーダが格納されている。測定オーダには、検体ID及び実施対象の測定項目の情報が含まれている。検査情報管理装置9は、他の装置から検体IDを含む測定オーダの要求データを受信したときには、この検体IDに対応する測定データをハードディスクから読み出し、要求元の装置へ送信するように構成されている。その他、検査情報管理装置9の構成は、上述した他のコンピュータの構成と同様であるので、その説明を省略する。
【0072】
[検体処理システムの動作]
次に、本実施の形態に係る検体処理システムの動作について説明する。ここでは検体搬送ユニット3aによる検体ラックの搬送動作の流れについて説明するが、検体搬送ユニット3b、3cによる搬送動作についても同様である。
【0073】
<搬送モード設定動作>
検体処理システム1は、システム制御装置8が搬送モード設定処理を実行することにより、搬送モードを設定する搬送モード設定動作を行う。図10は、システム制御装置8による搬送モード設定処理の手順を示すフローチャートである。この搬送モードの設定は、例えば検体処理システム1が施設に設置されたときに初期設定として実行される。オペレータ又はサービスマンは、搬送モードを設定する際に、システム制御装置8の入力部83を操作して、搬送モード設定画面の表示指示をシステム制御装置8に与える。システム制御装置8のCPU81aは、搬送モード設定画面の表示指示を受け付けると(ステップS101)、搬送モード設定画面(図示せず)を画像表示部82に表示する(ステップS102)。搬送モード設定画面は、第1搬送モード及び第2搬送モードの何れか一方を設定するための画面であり、第1搬送モードの設定指示、及び第2搬送モードの設定指示を受付可能である。第1搬送モードは、初検専用、即ち検体の最初の測定を行う測定ユニットと、再検専用、即ち初検を行った検体の2回目以降の測定を行う測定ユニットとを指定し、初検と再検とを別々の測定ユニットによって行うよう、検体ラックを搬送するモードである。第2搬送モードは、全ての測定ユニットを初検及び再検兼用とし、検体の初検を行った測定ユニットにより当該検体の再検を実施するよう、検体ラックを搬送するモードである。
【0074】
次にCPU81aは、搬送モードの設定指示を受け付け(ステップS103)、指示された搬送モードが第1搬送モードか第2搬送モードかを判定する(ステップS104)。第1搬送モードの設定が指示された場合には(ステップS104において「第1搬送モード」)、CPU81aは、第1搬送モードを設定し(ステップS105)、第2搬送モードの設定が指示された場合には(ステップS104において「第2搬送モード」)、CPU81aは、第2搬送モードを設定する(ステップS106)。この搬送モードの設定は、指示された搬送モードを示す情報を設定値としてハードディスク81dに記憶することにより行われる。つまり、第1搬送モードの設定が指示された場合には、第1搬送モードを示す情報が設定値としてハードディスク81dに記憶され、第2搬送モードの設定が指示された場合には、第2搬送モードを示す情報が設定値としてハードディスク81dに記憶される。このようにして搬送モードの設定をした後、CPU81aは処理を終了する。
【0075】
<第1搬送モードによる検体ラック搬送動作>
上述した第1搬送モードが設定されている場合の、検体処理システム1による検体ラックの搬送動作について説明する。ここでは、測定ユニット51,52が初検専用とされ、測定ユニット53が再検専用とされた場合について説明する。
【0076】
複数の検体容器Tを保持した検体ラックLが、オペレータにより検体投入ユニット21に投入される。この検体ラックLに保持されている検体のそれぞれについては、測定オーダが検査情報管理装置9によって記憶されている。測定オーダは、ハードディスク91dに設けられた測定オーダデータベースに格納される。図11は、測定される前の検体について、検査情報管理装置9が記憶している測定オーダの一例を示す模式図である。図11に示すように、測定オーダデータベースDBは、テーブル型のデータベースである。かかる測定オーダデータベースには、ラックIDのフィールドと、検体ラックLにおける保持位置のフィールドと、検体IDのフィールドと、測定項目としてCBC,DIFF,RET,及びSP(塗抹標本作製)のフィールドとが設けられている。かかる測定オーダデータベースDBに、測定オーダが検体毎にレコードとして登録される。本実施の形態においては、検体の初検においては、CBC及びDIFFの何れか一方又は両方が実施対象の測定項目とされ、検体の再検においては、初検の結果によって、RET及びSPの何れか一方又は両方が実施対象の測定項目とされることとして説明する。図11に示す測定オーダでは、各検体とも初検であるため、CBC,DIFFの何れか一方又は両方のセルにおいて、実施対象であることを示す情報「1」が格納されており、RET及びSPの両方のセルにおいて実施対象でないことを示す情報「0」が格納されている。
【0077】
検体ラックLが検体投入ユニット21に投入され、検体処理開始の指示がオペレータから与えられると、検体ラックLが検体投入ユニット21から前処理ユニット22へ搬出され、前処理ユニット22のバーコード読取部22bにより検体容器Tの検体バーコードラベルBLから検体IDが読み出され、検体ラックLのラックバーコードラベルからラックIDが読み出される。読み出された検体ID及びラックIDは、システム制御装置8を通じて検査情報管理装置9へ送信され、該当する測定オーダが要求される。検査情報管理装置9は、ハードディスク91dから当該検体IDに合致する測定オーダを読み出し、システム制御装置8へと送信する。システム制御装置8は、受信した測定オーダ及びその時点における測定ユニット51,52の動作状態に基づいて、検体ラックLの搬送先となる測定ユニットを決定し、決定した搬送先への搬送指示を検体搬送装置3へ与える。
【0078】
検体ラックLは、前処理ユニット22から検体搬送装置3へと搬出され、検体搬送ユニット3a,3bによって搬送先である測定ユニット51,52の測定ライン3aM又は3bMへと送られる。その後、検体容器Tが順次検体供給位置35cに送られ、測定ユニット51又は52の内部に検体容器Tが取り込まれる。また、システム制御装置8からは、当該検体ラックLの各検体に係る検体IDが情報処理ユニット54に与えられ、情報処理ユニット54は検査情報管理装置9へ検体IDを含む測定オーダ要求データを送信する。検査情報管理装置9は、測定オーダ要求データに含まれる検体IDに対応する測定オーダを測定オーダデータベースDBから読み出し、これを情報処理ユニット54へ送信する。測定ユニット51又は52においては、検体容器Tから検体が吸引されて、この検体に対応する測定オーダにしたがって検体の測定が実施される。検体の吸引が完了した後は、その検体容器Tが測定ユニット51又は52から排出され、検体ラックLの元の保持位置に戻される。検体の測定により得られた測定結果は、情報処理ユニット54に与えられ、情報処理ユニット54が当該測定結果を解析処理し、検体の分析結果を得る。情報処理ユニット54は、検査情報管理装置9へ検体の分析結果を送信し、検査情報管理装置9は当該分析結果を受信すると、測定オーダデータベースDBにおいてその分析結果に係る検体の測定オーダを、分析後のものに更新する。
【0079】
図12は、測定された後の検体について、検査情報管理装置9が記憶している測定オーダの一例を示す模式図である。図12に示す測定オーダでは、各検体とも初検が完了しているため、CBC,DIFF,RET,及びSPの全ての項目において実施対象でないことを示す情報「0」が格納されている。
【0080】
検査情報管理装置9は、受信した分析結果を処理して、再検の要否及び再検が必要な場合にはその測定項目を決定する。検査情報管理装置9は、決定した再検の要否及び再検の測定項目を測定オーダデータベースDBの当該検体に対応するレコードに登録する。図13は、分析結果を解析処理された後の検体について、検査情報管理装置9が記憶している測定オーダの一例を示す模式図である。図13に示す測定オーダでは、検体IDが「P121」の検体の測定オーダについては、RET及びSPのセルのそれぞれに再検の実施対象項目であることを示す情報「1」が格納されている。検体IDが「P122」の検体の測定オーダについては、RET及びSPのセルの両方に再検の実施対象でないことを示す情報「0」が格納されている。検体IDが「P129」の検体の測定オーダについては、RETのセルに「1」が、SPのセルに「0」が格納され、検体IDが「P130」の検体の測定オーダについては、RETのセルに「0」が、SPのセルに「1」が格納されている。
【0081】
検体ラックLに保持されている検体容器Tは、保持位置1から順番に測定ユニット51又は52に取り込まれ、検体の測定が行われる。保持している全ての検体容器Tが測定ユニット51又は52から戻された検体ラックLは、検体搬送ユニット3a又は3bにより、測定ライン3aM又は3bMの分析後ラック送出位置391まで移送され、分析後ラック送出位置391からラック送出部39により分析後ラック保持部34に押し出される。
【0082】
図14は、第1搬送モードにおける検体搬送ユニットによる検体ラックLの搬送制御処理の手順を示すフローチャートである。制御部32は、測定ライン3aM又は3bMから、分析後ラック保持部34に検体ラックLを受け取ったか否かを判定する(ステップS201)。この判定処理は、ラックセンサ372の出力信号を監視することにより行われる。分析後ラック保持部34において検体ラックLが検出されない場合には(ステップS201においてNO)、制御部32はステップS201の処理を検体ラックLが検出されるまで繰り返す。一方、分析後ラック保持部34において検体ラックLが検出された場合には(ステップS201においてYES)、制御部32はラック送込部34bを移動させて、検体ラックLを分析後ラック保持部34における飛び越しライン3aF又は3bFの手前の位置まで移送し(ステップS202)、そこで停止させて、当該検体ラックLに保持された各検体の検体IDを含む搬送指示要求データをシステム制御装置8へ送信する(ステップS203)。
【0083】
図15は、第1搬送モードにおけるシステム制御装置8による検体ラックLの搬送指示処理の手順を示すフローチャートである。システム制御装置8が検体搬送装置3から搬送指示要求データを受信すると(ステップS301)、CPU81aは、当該搬送指示要求データに含まれる検体IDにより、検査情報管理装置9へ測定オーダを問い合わせる(ステップS302)。検査情報管理装置9は、問い合わせデータに含まれる検体IDに対応する測定オーダを測定オーダデータベースDBから読み出し、システム制御装置8へと送信する。このとき送信する測定オーダは、既に初検が終了し、分析結果の解析処理が完了した後の検体についてのものであるため、図13に示すような再検の要否についての判断結果を含んでいる。
【0084】
CPU81aは、測定オーダの問い合わせから所定時間(120秒)が経過したか否かを判定し(ステップS303)、所定時間内の場合には(ステップS303においてYES)、検体ラックLに保持されている全検体についての測定オーダを受信したか否かを判定する(ステップS304)。受信していない測定オーダが存在する場合には(ステップS304においてNO)、CPU81aは、処理をステップS303へと戻す。
【0085】
一方、ステップS303において、測定オーダの問い合わせから所定時間が経過した場合には(ステップS303においてNO)、CPU81aは、検体ラックLの搬送先を検体回収ユニット23とする搬送指示データを検体搬送装置3へ送信し(ステップS305)、処理を終了する。
【0086】
ステップS304において、分析後ラック保持部34において待機している検体ラックLに保持されている全検体の測定オーダが受信された場合には(ステップS304においてYES)、CPU81aは、その測定オーダに基づいて、検体ラックLの搬送先を決定する(ステップS306)。この処理において、測定オーダの中に再検項目としてRET又はSPが含まれているものが存在する場合には、搬送先はその項目を実施可能な測定ユニット53又は塗抹標本作製装置6として決定される。例えば、図13の測定オーダが取得された場合においては、検体IDがP121とP129の検体についてRETの測定(再処理)が必要であり、検体IDがP121とP130の検体については塗抹標本の作製(再処理)が必要である。ここで、再検専用の測定ユニット53においてRETの測定が実施され、再検専用の塗抹標本作製装置6によって塗抹標本の作製が行われるため、当該検体ラックLは、測定ユニット53及び塗抹標本作製装置6の両方に搬送する必要がある。したがって、CPU81aは、当該検体ラックLの搬送先を、測定ユニット53及び塗抹標本作製装置6のうち、搬送方向上流側に位置する測定ユニット53として決定する。ステップS306において、受信した測定オーダの中に再検項目としてRETが含まれているものしか存在しない場合には、同様に搬送先が測定ユニット53として決定される。また、受信した測定オーダの中に再検項目としてSPが含まれているものしか存在しない場合には、搬送先が塗抹標本作製装置6として決定され、受信した測定オーダに再検項目としてRET及びSPのいずれも含まれていないものしか存在しない場合には、搬送先が検体回収ユニット23として決定される。
【0087】
CPU81aは、ステップS306の処理を実行した後、この処理によって決定された搬送先を指示する搬送指示データを送信し(ステップS307)、処理を終了する。
【0088】
図14に戻り、ステップS203の処理を行った制御部32は、搬送指示データの受信を待機し(ステップS204においてNO)、システム制御装置8から送信された搬送指示データを受信すると(ステップS204においてYES)、搬送指示データにおいて指示されている搬送先が搬送方向下流側の装置、即ち測定ユニット53又は塗抹標本作製装置6であるか否かを判定する(ステップS205)。搬送指示データにおいて指示されている搬送先が搬送方向下流側の装置である場合には(ステップS205においてYES)、制御部32はラック送込部34bを移動させて、検体ラックLを飛び越しライン3aF又は3bFへ移送し(ステップS206)、その後ベルトコンベヤ321を駆動して検体ラックLを下流側の検体搬送ユニットへと搬出し(ステップS207)、処理を終了する。この後、下流側の検体搬送ユニットにより検体ラックLが搬送され、搬送先の測定ユニット53又は塗抹標本作製装置6へと搬送され、再検が行われる。
【0089】
一方、ステップS205において搬送指示データにおいて指示されている搬送先が搬送方向下流側の装置でない場合、即ち、搬送先が検体回収ユニット23である場合には(ステップS205においてNO)、制御部32はラック送込部34bを移動させて、検体ラックLを帰還ライン3aR又は3bRへ移送し(ステップS208)、その後ベルトコンベヤ331を駆動して検体ラックLを上流側の検体搬送ユニット又は検体投入回収装置2へと搬出し(ステップS209)、処理を終了する。この後、回収ライン223,217,237によって検体ラックLが搬送され、検体回収ユニット23に回収される。
【0090】
測定ユニット53においてRETの再検が実施された後は、初検の場合と同様に、再検に係る分析結果が検査情報管理装置9へ送信され、再検の要否及び再検項目の決定が行われる。ここで、当該検体について塗抹標本の作製が必要であると判断されると、測定オーダデータベースDBにおいて当該検体の測定オーダのSPのセルに「1」が格納される。この場合においても、初検の場合と同様に、検体搬送ユニット3cの分析後ラック保持部34に検体ラックLが保持され、この状態でシステム制御装置8が測定オーダを検査情報管理装置9に問い合わせる。問い合わせの結果得られた測定オーダにおいて再検項目としてSPが指示されている場合には、搬送先が塗抹標本作製装置6として決定され、前記と同様に検体ラックLが塗抹標本作製装置6まで搬送される。塗抹標本作製装置6へと検体ラックLが搬送された場合は、塗抹標本の作製のために検体が吸引された後、帰還ライン4R,3cR,3bR,3aRにより検体ラックLが搬送され、検体回収ユニット23へと送られる。問い合わせの結果得られた測定オーダにおいて再検項目としてSPが指示されていない場合には、搬送先が検体回収ユニット23として決定され、検体ラックLが検体回収ユニット23まで搬送される。
【0091】
<第2搬送モードによる検体ラック搬送動作>
上述した第2搬送モードが設定されている場合の、検体処理システム1による検体ラックの搬送動作について説明する。第2搬送モードが設定されている場合、初検を行った測定ユニットが検体の再検項目の処理を実施可能であるときには、初検を行った測定ユニットに当該検体が搬送されて再検が行われ、初検を行った測定ユニットでは検体の再検項目の処理を実施できないときには、初検を行った測定ユニット以外の測定ユニット(又は塗抹標本作製装置)に当該検体が搬送されて再検が行われる。
【0092】
図16は、第2搬送モードにおける情報処理ユニット54のCPU541aによる検体ラックLの搬送制御処理の手順を示すフローチャートである。初検が行われた測定ユニットから全ての検体容器Tが検体ラックLに戻された後、CPU541aは、検体ラックLが分析後ラック送出位置391まで到達したか否かを判定し(ステップS401)、到達したと判定すると、そこで検体ラックLを停止させて、当該検体ラックLに保持された各検体の検体IDを含む搬送指示要求データを、検体搬送装置3を通じてシステム制御装置8へ送信する(ステップS402)。
【0093】
システム制御装置8は、第2搬送モードにおける検体ラックLの搬送指示処理を実行する。ここで、第2搬送モードにおける搬送指示処理では、検体ラックLの搬送先決定処理において、測定オーダの中に再検項目としてRET又はSPが含まれているものが存在する場合には、搬送先は、その検体の初検を行った測定ユニット51,52,若しくは53又はSPを実施可能な塗抹標本作製装置6として決定される。例えば、初検が測定ユニット51において実施され、図13の測定オーダが取得された場合においては、初検を行った測定ユニット51によってP121及びP129の検体についてRETの測定が実施され、塗抹標本作製装置6によってP121及びP130の検体について塗抹標本の作製が行われる必要がある。したがって、CPU81aは、当該検体ラックLの搬送先を、測定ユニット51及び塗抹標本作製装置6のうち、搬送方向上流側に位置する測定ユニット51として決定する。一方、受信した測定オーダの中に再検項目としてRETが含まれているものしか存在しない場合には、同様に搬送先が測定ユニット51として決定される。また、受信した測定オーダの中に再検項目としてSPが含まれているものしか存在しない場合には、搬送先が塗抹標本作製装置6として決定され、受信した測定オーダに再検項目としてRET及びSPのいずれも含まれていないものしか存在しない場合には、搬送先が検体回収ユニット23として決定される。
【0094】
第2搬送モードにおける搬送指示処理は、上述した搬送先決定処理以外の処理については、第1搬送モードにおける搬送指示処理と同様であるので、その説明を省略する。
【0095】
システム制御装置8から送信された搬送指示データは、検体搬送装置3により受信され、検体搬送装置3から情報処理ユニット54へ送信される。図16に戻り、ステップS402の処理を行ったCPU541aは、搬送指示データの受信を待機し(ステップS403においてNO)、搬送指示データを受信すると(ステップS403においてYES)、搬送指示データにおいて指示されている搬送先が、分析後ラック送出位置に待機している検体ラックLにより保持されている検体の初検を行った測定ユニット51,52,又は53であるか否かを判定する(ステップS404)。搬送先が、分析後ラック送出位置に待機している検体ラックLにより保持されている検体の初検を行った測定ユニット51,52,又は53である場合には(ステップS404においてYES)、CPU541aは、これらの検体の検体IDを含む測定オーダ要求データを検査情報管理装置9へ送信し、各検体の測定オーダを問い合わせる(ステップS405)。検査情報管理装置9は、ハードディスク91dから当該検体IDに合致する測定オーダを読み出し、情報処理ユニット54へと送信する。
【0096】
次にCPU541aは、検体ラックLに保持されている全検体についての測定オーダを受信したか否かを判定する(ステップS406)。受信していない測定オーダが存在する場合には(ステップS406においてNO)、CPU541aは、処理をステップS406へと戻す。当該検体ラックLに保持されている全検体の測定オーダが受信された場合には(ステップS406においてYES)、CPU541aは、ベルトコンベヤ353を逆方向に駆動して、検体ラックLを測定ライン3aM,3bM,又は3cMに沿ってX2方向(右方向)へ搬送する(ステップS407)。その後、再検が必要な全検体について順次、検体容器Tの取り込み、検体の吸引、検体の測定及び分析(再検)、並びに検体容器Tの排出が行われる。また、検査情報管理装置9へ検体の再検の分析結果が送信され、検査情報管理装置9の測定オーダデータベースDBにおいてその分析結果に係る検体の測定オーダが更新される。このとき、再検を行ったP121及びP129のRETのセルには「0」が登録される。このため、一度測定ユニット51,52,又は53により再検が行われた検体は、測定ユニット51,52,又は53により再度測定されることはなく、塗抹標本の作製に供されるか、検体回収ユニット23に回収されることとなる。
【0097】
一方、ステップS404において、指示された搬送先が、分析後ラック送出位置に待機している検体ラックLにより保持されている検体の初検を行った測定ユニット51,52,又は53でない場合、即ち、搬送方向下流側の装置(塗抹標本作製装置6)、又は、検体回収ユニット23である場合には(ステップS404においてNO)、CPU541aは、ラック送出部39を駆動して、分析後ラック送出位置391において待機している検体ラックLを分析後ラック保持部34へ移送する(ステップS408)。
【0098】
その後、上述したステップS201〜S209と同じ搬送制御処理が制御部32により実行される。すなわち、搬送先が搬送方向下流側の装置(塗抹標本作製装置6)である場合には、分析後ラック保持部34へ検体ラックLが送出されると検体搬送ユニット3a,3b,又は3cがラック送込部34bにより検体ラックLを飛び越しライン3aF,3bF,又は3cFへ移送し、その後ベルトコンベヤ321を駆動することにより検体ラックを下流側の検体搬送ユニット4へと搬出する。この後、検体搬送ユニット4により検体ラックLは搬送先の塗抹標本作製装置6へと搬送され、塗抹標本作製装置6により検体の塗抹標本の作製が行われる。塗抹標本の作製が必要な全ての検体について塗抹標本の作製のために検体が吸引された後、帰還ライン4R,3cR,3bR,3aRにより検体ラックLが搬送され、検体回収ユニット23へと送られる。
【0099】
また、搬送先が検体回収ユニット23である場合には、分析後ラック保持部34へ検体ラックLが送出されると検体搬送ユニット3a,3b,又は3cがラック送込部34bにより検体ラックLを帰還ライン3aR,3bR,又は3cRへ移送し、その後ベルトコンベヤ331を駆動することにより検体ラックを検体投入回収装置2へと搬出する。この後、回収ライン223,217,237によって検体ラックLが搬送され、検体回収ユニット23に回収される。
【0100】
上述したように、検体投入ユニット21と検体回収ユニット23とが測定ユニット51,52,53及び塗抹標本作製装置6に対して同一側に配置されているため、オペレータ(ユーザ)は、検体の投入作業及び回収作業を一箇所で容易に行うことが可能である。
【0101】
また、測定ユニット51,52,53において初検が行われた結果、再検が必要と判断された検体を保持する検体ラックLは、供給ライン3aS,3bS,3cS,4Sに沿って測定ユニット51,52,53及び塗抹標本作成装置6の何れかへ搬送される。すなわち、第1搬送モードが設定されている場合には、測定ユニット51,52において初検が行われた結果、再検が必要と判断された検体を保持する検体ラックLは、飛び越しライン3aF,3bF,3cF,搬送ライン4Fに沿ってX1方向へと搬送され、再検専用の測定ユニット53又は塗抹標本作成装置6によって検体の再検のための処理が行われる。一方、第2搬送モードが設定されている場合には、測定ユニット51,52,53において初検が行われた結果、初検を行った測定ユニット51,52,53において測定可能な項目についての再検が必要と判断された検体を保持する検体ラックLは、測定ライン3aM,3bM,3cMに沿ってX2方向へと搬送され、初検を行った測定ユニット51,52,53によって検体の再検(再測定)が行われる。さらに、第2搬送モードが設定されている場合に、測定ユニット51,52,53において初検が行われた結果、塗抹標本の作成が必要と判断された検体を保持する検体ラックLは、飛び越しライン3aF,3bF,3cF,搬送ライン4Fに沿ってX1方向へと搬送され、塗抹標本作成装置6によって検体の再検のための処理が行われる。このため、再検が必要と判断された検体を保持する検体ラックLは、即座に再検のために測定ユニット51,52,53又は塗抹標本作成装置6へと搬送され、検体の再検が実施されるので、検体の再検(再処理)を効率的に行うことができる。
【0102】
また、測定ユニット51,52,53において初検が行われた結果、再検が不要と判断された検体のみを保持する検体ラックLについては、供給ライン3aS, 3bS, 3cS, 4S(第1搬送ライン)の終点3Eを経由せずに、検体搬送ユニット3a、3b、3cの分析後ラック保持部34からラック搬出位置3Tを経由して帰還ライン3aR,3bR,3cRへ移送されるため、かかる検体ラックLを迅速に回収することができる。
【0103】
(その他の実施の形態)
なお、上述した実施の形態においては、供給ライン3aS,3bS,3cS,4Sが、測定ライン3aM,3bM,3cM及び処理ライン4M、飛び越しライン3aF,3bF,3cF,搬送ライン4F、分析前ラック保持部33及び処理前ラック保持部43、並びに分析後ラック保持部34及び処理後ラック保持部44を備える構成について述べたが、これに限定されるものではない。それぞれの検体搬送ユニットを通じて直線状に延びた供給ラインを設け、この供給ラインの途中に測定ユニット51,52,53及び塗抹標本作製装置6のそれぞれに検体を供給する検体供給位置を設ける構成としてもよい。この場合、供給ラインの途中から帰還ライン3aR,3bR,3cR,4Rの途中を接続する通路を設け、再検が必要ない検体のみを保持する検体ラックLを当該通路を通じて帰還ライン3aR,3bR,3cR,4Rの途中へ移送し、帰還ライン3aR,3bR,3cR,4Rに沿ってX2方向へ搬送して、検体回収ユニット23に回収させることとなる。
【0104】
また、測定ユニット51,52,53が、測定ライン3aM,3bM,3cM上の検体ラックLに保持されたままの検体容器Tから直接検体を吸引する構成としてもよい。
【0105】
また、上述した実施の形態においては、検体搬送装置3がそれぞれ独立した検体搬送ユニット3a,3b,3c,4によって構成されているものについて説明したが、これに限定されるものではない。一体不可分な構成の検体搬送装置が測定ユニット51,52,53及び塗抹標本作製装置6の前側に配置され、これによって各測定ユニット51,52,53及び塗抹標本作製装置6へ検体ラックLが搬送される構成としてもよい。
【0106】
また、上述した実施の形態においては、測定ユニット51,52,53の全てが同一の測定項目(CBC,DIFF,RET)について検体を測定可能な構成について述べたが、これに限定されるものではない。例えば、測定ユニット51,52においてCBC及びDIFFについて検体の測定が可能であるがRETについて検体の測定はできず、測定ユニット53においてCBC,DIFF及びRETについて検体の測定が可能な構成としてもよい。このとき、第1搬送モードのみならず、第2搬送モードが設定されている場合においても、再検の対象項目としてRETが含まれている検体については、初検の終了後に飛び越しライン3aF,3bF,3cFにより測定ユニット53へと搬送され、測定ユニット53において再検が行われる。
【0107】
また、上述した実施の形態においては、検体処理システム1が、検体に含まれる血球を分類し、また血球種毎に血球を計数する血球分析装置5を備える構成について述べたが、これに限定されるものではない。検体処理システムが、免疫分析装置、血液凝固測定装置、生化学分析装置、尿分析装置等の血球分析装置以外の検体分析装置を備え、かかる検体分析装置の測定ユニットへ血液検体又は尿検体を搬送する構成としてもよい。
【0108】
また、上述した実施の形態においては、第2搬送モードが設定されている場合に、再検が必要か否かの判定が行われるまで検体ラックLが分析後ラック送出位置391において待機され、再検が必要と判定されたときには当該検体ラックLが測定ライン3aM又は3bMに沿ってX2方向へ搬送されて、初検が行われた測定ユニット51又は52へ供給される構成について述べたが、これに限定されるものではない。第2搬送モードが設定されている場合に、再検が必要か否かの判定が行われるまで検体ラックLを分析後ラック保持部34において待機させ、再検が必要と判定されたときには当該検体ラックLをラック送込部34bによってY1方向へ移送し、測定ライン3aM又は3bMに沿ってX2方向へ搬送し、初検が行われた測定ユニット51又は52へ供給する構成としてもよい。この場合、分析後ラック保持部34において待機中の検体ラックLが保持する検体について、再検が不要と判定されたときには当該検体ラックLをラック送込部34bによってY2方向へ帰還ライン3aR又は3bRまで移送し、帰還ライン3aR,3bRに沿ってX2方向へ搬送し、検体回収ユニット23に回収させることとなる。
【0109】
また、上述した実施の形態においては、血球分析装置5が3つの測定ユニット51,52,53及び情報処理ユニット54を備えた構成について述べたが、これに限定されるものではない。測定ユニットは1つでも複数でもよく、測定ユニットと情報処理ユニットとが一体的に構成されていてもよい。また、情報処理ユニット54によって測定ユニット51,52,53の機構の制御を行うのではなく、それぞれの測定ユニットがCPU及びメモリ等からなる制御部を備え、これらの制御部によって各測定ユニットの制御が行われ、それぞれの測定ユニットによって得られた測定データを情報処理ユニットが処理して検体の分析結果を生成する構成であってもよい。
【0110】
また、上述した実施の形態においては、単一のコンピュータ8a,80aによりコンピュータプログラム84a,840aの全ての処理を実行する構成について述べたが、これに限定されるものではなく、上述したコンピュータプログラム84a,840aと同様の処理を、複数の装置(コンピュータ)により分散して実行する分散システムとすることも可能である。
【産業上の利用可能性】
【0111】
本発明の搬送装置は、検体処理システム及び検体搬送ユニットとして有用である。
【符号の説明】
【0112】
1 検体処理システム
2 検体投入回収装置
21 検体投入ユニット
22 前処理ユニット
23 検体回収ユニット
22a 制御部
217,223,237 回収ライン
22b バーコード読取部
222a バーコードリーダ
3 検体搬送装置
3a,3b,3c,4 検体搬送ユニット
3aS,3bS,3cS,4S 供給ライン
3aF,3bF,3cF 飛び越しライン
4F 搬送ライン
3aR,3bR,3cR,4R 帰還ライン
3aM,3bM,3cM 測定ライン
4M 処理ライン
31 搬送機構
32 制御部
33 分析前ラック保持部
34 分析後ラック保持部
35c 検体供給位置
5 血液分析装置
51,52,53 測定ユニット
511 検体吸引部
512 試料調製部
513 検出部
54 情報処理ユニット
541a CPU
541c RAM
541d ハードディスク
544a コンピュータプログラム
544 記録媒体
6 塗抹標本作製装置
8 システム制御装置
81a CPU
81c RAM
81d ハードディスク
84 記録媒体
84a システム制御プログラム
9 検査情報管理装置
L 検体ラック
T 検体容器
【特許請求の範囲】
【請求項1】
検体を収容した検体容器から検体を取り込み、取り込まれた検体を処理する第1及び第2検体処理ユニットと、
検体容器を投入するための検体投入ユニットと、
前記第1及び第2検体処理ユニットに対して前記検体投入ユニットと同一側に配置され、前記第1及び第2検体処理ユニットの少なくとも一方へ搬送された検体容器を回収する検体回収ユニットと、
前記検体投入ユニットに投入された検体容器を前記第1及び前記第2検体処理ユニットへ搬送するための第1搬送ラインと、前記第1搬送ラインの終点および当該終点に至るまでの所定位置から検体容器を受け取り、受け取った検体容器を前記検体回収ユニットへ搬送するための第2搬送ラインとを具備する搬送ユニットと、
前記第1検体処理ユニットによる処理の結果、再処理が必要と判断された検体を収容する検体容器を前記第1搬送ラインに沿って前記第1及び前記第2検体処理ユニットの何れかへ搬送し、前記第1検体処理ユニットによる処理の結果、再処理が不要と判断された検体を収容する検体容器を、前記第1搬送ラインの終点を経由することなく前記第2搬送ラインの途中へ移送し、前記第2搬送ラインに沿って前記検体回収ユニットへ搬送するよう前記搬送ユニットを制御する制御部と、を備える、
検体処理システム。
【請求項2】
前記制御部は、前記第1検体処理ユニットによる処理の結果、再処理が必要と判断された検体を収容する検体容器を、前記第1搬送ラインに沿って前記第2検体処理ユニットへ搬送するように前記搬送ユニットを制御する、
請求項1に記載の検体処理システム。
【請求項3】
前記第1搬送ラインは、
前記第1検体処理ユニットが検体容器から検体を取り込むための検体取込位置を経由して、検体容器を搬送するための取込ラインと、
前記検体取込ラインと並行に設けられ、前記検体取込位置を経由せずに、前記第1検体処理ユニットの搬送方向上流側から搬送方向下流側に検体容器を搬送するための飛び越しラインと、
前記取込ラインと前記飛び越しラインとの間に設けられ、前記取込ラインに沿って搬送された検体容器を受け入れる中継部とを有し、
前記搬送ユニットは、前記中継部に位置する検体容器を前記飛び越しライン及び前記第2搬送ラインへ振り分けるように移送する移送部を具備する、
請求項2に記載の検体処理システム。
【請求項4】
前記移送部は、前記中継部に位置する検体容器を前記第2搬送ラインの搬送方向に交差する方向へ移送することにより、前記第2搬送ラインの途中へ移送するように構成されている、
請求項3に記載の検体処理システム。
【請求項5】
前記移送部は、前記中継部に位置する検体容器を、前記飛び越しラインを横断して前記第2搬送ラインの途中へ移送するように構成されている、
請求項4に記載の検体処理システム。
【請求項6】
前記移送部は、前記中継部に位置する検体容器を押動して、前記第2搬送ラインの途中へ移送するように構成されている、
請求項4又は5に記載の検体処理システム。
【請求項7】
前記制御部は、前記取込ラインによって前記第1検体処理ユニットに搬送された検体容器内の検体の再処理の要否の判定結果を取得するように構成されており、前記判定結果を取得するまで、前記検体容器を前記中継部に待機させるように前記移送部を制御する、
請求項3乃至6の何れかに記載の検体処理システム。
【請求項8】
前記制御部は、取得した前記判定結果に基づいて、前記検体容器の搬送先を決定するように構成されており、検体容器を決定した搬送先へ搬送すべく、前記飛び越しライン及び前記第2搬送ラインへ振り分けるように前記第2移送部を制御する、
請求項7に記載の検体処理システム。
【請求項9】
前記第1検体処理ユニットは、所定の第1の測定項目について検体を測定するように構成され、
前記第2検体処理ユニットは、前記第1の測定項目とは異なる第2の測定項目について検体を測定するように構成され、
前記制御部は、前記第1検体処理ユニットによる処理の結果、前記再処理として、前記第2の測定項目について測定が必要と判断された検体を収容する検体容器を、前記第1搬送ラインに沿って前記第2検体処理ユニットへ搬送するように前記搬送ユニットを制御する、
請求項2乃至8の何れかに記載の検体処理システム。
【請求項10】
前記第1検体処理ユニットは、検体に含まれる所定の成分を検出するように構成され、
前記第2検体処理ユニットは、スライドガラスに検体を塗抹することにより塗抹標本を作製するように構成され、
前記制御部は、前記第1検体処理ユニットによる処理の結果、前記再処理として、塗抹標本の作製が必要と判断された検体を収容する検体容器を、前記第1搬送ラインに沿って前記第2検体処理ユニットへ搬送するように前記搬送ユニットを制御する、
請求項2乃至8の何れかに記載の検体処理システム。
【請求項11】
前記第1検体処理ユニットによる処理の結果、再処理が必要と判断された検体の再処理を、前記第2検体処理ユニットにより実行する第1モードと、前記第1検体処理ユニットによる処理の結果、再処理が必要と判断された検体の再処理を、前記第1又は第2検体処理ユニットにより実行する第2モードとの何れかに動作モードを設定可能な設定手段をさらに備える、
請求項1乃至10の何れかに記載の検体処理システム。
【請求項12】
検体を収容した検体容器から検体を取り込み、取り込まれた検体を処理する第1及び第2検体処理ユニットへ検体容器を搬送するための第1搬送ラインと、
前記第1搬送ラインの終点及び当該終点に至るまでの所定位置から検体容器を受け取り、受け取った検体容器を、検体容器を回収するための検体回収ユニットへ搬送するための第2搬送ラインと、
前記第1搬送ライン上の検体容器を前記第2搬送ラインに移送する移送部と、
前記第1検体処理ユニットによる処理の結果、再処理が必要と判断された検体を収容する検体容器を前記第1及び第2検体処理ユニットの何れかへ搬送するように前記第1搬送ラインを制御し、前記第1検体処理ユニットによる処理の結果、再処理が不要と判断された検体を収容する検体容器を、前記第1搬送ラインの終点を経由することなく前記第2搬送ラインの途中へ移送し、前記検体回収ユニットへ搬送するように前記移送部および前記第2搬送ラインを制御する制御部と、を備える、
検体搬送ユニット。
【請求項1】
検体を収容した検体容器から検体を取り込み、取り込まれた検体を処理する第1及び第2検体処理ユニットと、
検体容器を投入するための検体投入ユニットと、
前記第1及び第2検体処理ユニットに対して前記検体投入ユニットと同一側に配置され、前記第1及び第2検体処理ユニットの少なくとも一方へ搬送された検体容器を回収する検体回収ユニットと、
前記検体投入ユニットに投入された検体容器を前記第1及び前記第2検体処理ユニットへ搬送するための第1搬送ラインと、前記第1搬送ラインの終点および当該終点に至るまでの所定位置から検体容器を受け取り、受け取った検体容器を前記検体回収ユニットへ搬送するための第2搬送ラインとを具備する搬送ユニットと、
前記第1検体処理ユニットによる処理の結果、再処理が必要と判断された検体を収容する検体容器を前記第1搬送ラインに沿って前記第1及び前記第2検体処理ユニットの何れかへ搬送し、前記第1検体処理ユニットによる処理の結果、再処理が不要と判断された検体を収容する検体容器を、前記第1搬送ラインの終点を経由することなく前記第2搬送ラインの途中へ移送し、前記第2搬送ラインに沿って前記検体回収ユニットへ搬送するよう前記搬送ユニットを制御する制御部と、を備える、
検体処理システム。
【請求項2】
前記制御部は、前記第1検体処理ユニットによる処理の結果、再処理が必要と判断された検体を収容する検体容器を、前記第1搬送ラインに沿って前記第2検体処理ユニットへ搬送するように前記搬送ユニットを制御する、
請求項1に記載の検体処理システム。
【請求項3】
前記第1搬送ラインは、
前記第1検体処理ユニットが検体容器から検体を取り込むための検体取込位置を経由して、検体容器を搬送するための取込ラインと、
前記検体取込ラインと並行に設けられ、前記検体取込位置を経由せずに、前記第1検体処理ユニットの搬送方向上流側から搬送方向下流側に検体容器を搬送するための飛び越しラインと、
前記取込ラインと前記飛び越しラインとの間に設けられ、前記取込ラインに沿って搬送された検体容器を受け入れる中継部とを有し、
前記搬送ユニットは、前記中継部に位置する検体容器を前記飛び越しライン及び前記第2搬送ラインへ振り分けるように移送する移送部を具備する、
請求項2に記載の検体処理システム。
【請求項4】
前記移送部は、前記中継部に位置する検体容器を前記第2搬送ラインの搬送方向に交差する方向へ移送することにより、前記第2搬送ラインの途中へ移送するように構成されている、
請求項3に記載の検体処理システム。
【請求項5】
前記移送部は、前記中継部に位置する検体容器を、前記飛び越しラインを横断して前記第2搬送ラインの途中へ移送するように構成されている、
請求項4に記載の検体処理システム。
【請求項6】
前記移送部は、前記中継部に位置する検体容器を押動して、前記第2搬送ラインの途中へ移送するように構成されている、
請求項4又は5に記載の検体処理システム。
【請求項7】
前記制御部は、前記取込ラインによって前記第1検体処理ユニットに搬送された検体容器内の検体の再処理の要否の判定結果を取得するように構成されており、前記判定結果を取得するまで、前記検体容器を前記中継部に待機させるように前記移送部を制御する、
請求項3乃至6の何れかに記載の検体処理システム。
【請求項8】
前記制御部は、取得した前記判定結果に基づいて、前記検体容器の搬送先を決定するように構成されており、検体容器を決定した搬送先へ搬送すべく、前記飛び越しライン及び前記第2搬送ラインへ振り分けるように前記第2移送部を制御する、
請求項7に記載の検体処理システム。
【請求項9】
前記第1検体処理ユニットは、所定の第1の測定項目について検体を測定するように構成され、
前記第2検体処理ユニットは、前記第1の測定項目とは異なる第2の測定項目について検体を測定するように構成され、
前記制御部は、前記第1検体処理ユニットによる処理の結果、前記再処理として、前記第2の測定項目について測定が必要と判断された検体を収容する検体容器を、前記第1搬送ラインに沿って前記第2検体処理ユニットへ搬送するように前記搬送ユニットを制御する、
請求項2乃至8の何れかに記載の検体処理システム。
【請求項10】
前記第1検体処理ユニットは、検体に含まれる所定の成分を検出するように構成され、
前記第2検体処理ユニットは、スライドガラスに検体を塗抹することにより塗抹標本を作製するように構成され、
前記制御部は、前記第1検体処理ユニットによる処理の結果、前記再処理として、塗抹標本の作製が必要と判断された検体を収容する検体容器を、前記第1搬送ラインに沿って前記第2検体処理ユニットへ搬送するように前記搬送ユニットを制御する、
請求項2乃至8の何れかに記載の検体処理システム。
【請求項11】
前記第1検体処理ユニットによる処理の結果、再処理が必要と判断された検体の再処理を、前記第2検体処理ユニットにより実行する第1モードと、前記第1検体処理ユニットによる処理の結果、再処理が必要と判断された検体の再処理を、前記第1又は第2検体処理ユニットにより実行する第2モードとの何れかに動作モードを設定可能な設定手段をさらに備える、
請求項1乃至10の何れかに記載の検体処理システム。
【請求項12】
検体を収容した検体容器から検体を取り込み、取り込まれた検体を処理する第1及び第2検体処理ユニットへ検体容器を搬送するための第1搬送ラインと、
前記第1搬送ラインの終点及び当該終点に至るまでの所定位置から検体容器を受け取り、受け取った検体容器を、検体容器を回収するための検体回収ユニットへ搬送するための第2搬送ラインと、
前記第1搬送ライン上の検体容器を前記第2搬送ラインに移送する移送部と、
前記第1検体処理ユニットによる処理の結果、再処理が必要と判断された検体を収容する検体容器を前記第1及び第2検体処理ユニットの何れかへ搬送するように前記第1搬送ラインを制御し、前記第1検体処理ユニットによる処理の結果、再処理が不要と判断された検体を収容する検体容器を、前記第1搬送ラインの終点を経由することなく前記第2搬送ラインの途中へ移送し、前記検体回収ユニットへ搬送するように前記移送部および前記第2搬送ラインを制御する制御部と、を備える、
検体搬送ユニット。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
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【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【公開番号】特開2011−137749(P2011−137749A)
【公開日】平成23年7月14日(2011.7.14)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−298587(P2009−298587)
【出願日】平成21年12月28日(2009.12.28)
【出願人】(390014960)シスメックス株式会社 (810)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成23年7月14日(2011.7.14)
【国際特許分類】
【出願日】平成21年12月28日(2009.12.28)
【出願人】(390014960)シスメックス株式会社 (810)
【Fターム(参考)】
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