説明

検体分析装置

【課題】 迅速に保守サービス又は学術的アドバイスを受けることを可能とする検体分析装置を提供する。
【解決手段】
検体分析装置1は、表示部3に表示されている画面において所定のボタンの選択を受け付けると、その画面を取り込むと共に、保守メニュー画面に表示を切り替える。保守メニュー画面には、画面データの送信指示ボタンが設けられており、このボタンの選択を受け付けると、検体分析装置1は、取り込んだ画面データを添付ファイルとして含む電子メールを作成し、外部の保守サービスシステムへ送信する。当該電子メールの差出人メールアドレスには、その検体分析装置を識別するための装置IDが含まれている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、検体の分析を行う検体分析装置に関する。
【背景技術】
【0002】
検体を分析する検体分析装置を、保守サービスを行う保守業者の施設に設置された管理サーバに通信ネットワークを介して接続することが知られている。また、このような検体分析装置において、使用者からの送信指示に基づいて、表示されている画像とテンプレート画像との合成画像を生成し、生成された合成画像を管理サーバに送信することも知られている(例えば、特許文献1)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2008−20309号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
管理サーバの使用者である保守業者は、合成画像を受信すると、その画像を送信した検体分析装置がどの装置であるか、又は、どの施設に設置された装置であるかを確認した後に、施設の担当者と連絡を取る。しかしながら、上記特許文献1には、画像の送信元である装置又は施設を特定することについては一切記載されておらず、保守業者が施設の担当者と迅速に連絡を取ることが難しかった。このため、使用者が迅速に保守サービスを受けることが困難であるという問題があった。
また、上記特許文献1には、学術的アドバイスを受けるために画像を送信することについては一切記載されていない。
【0005】
本発明は斯かる事情に鑑みてなされたものであり、その主たる目的は、迅速に保守サービス又は学術的アドバイスを受けることを可能とする検体分析装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上述した課題を解決するために、本発明の一の態様の検体分析装置は、検体を分析する検体分析装置であって、検体を測定する測定部と、前記測定部による検体の測定に基づいて得られた分析結果を表示する表示部と、前記表示部によって表示された画面の送信指示を受け付ける制御部と、前記送信指示の対象となった画面を示す画面データを、前記検体分析装置又は前記検体分析装置が設置されている施設を特定するための特定情報とともに、外部へ送信する送信部と、を備える。
【0007】
この態様においては、前記送信部が、前記画面データが添付された電子メールを送信するように構成されていることが好ましい。
【0008】
また、上記態様においては、前記特定情報が、前記電子メールの送信元を示す送信元情報の一部として送信されることが好ましい。
【0009】
また、上記態様においては、前記電子メールの件名が、前記検体分析装置の機種名を含むことが好ましい。
【0010】
また、上記態様においては、前記検体分析装置が、外部から電子メールを受信する機能を備えていないことが好ましい。
【0011】
また、上記態様においては、前記特定情報が、前記検体分析装置が設置されている施設の連絡先を含む情報にリンクするためのアドレスを含むことが好ましい。
【0012】
また、上記態様においては、前記制御部が、前記検体分析装置の状態に関する状態情報を取得するように構成されており、前記送信部が、前記画面データ及び前記特定情報とともに、前記状態情報を送信するように構成されていることが好ましい。
【0013】
また、上記態様においては、前記検体分析装置が、前記表示部に付設されたタッチパネル式の入力部をさらに備え、前記制御部が、前記入力部により与えられた前記送信指示を受け付けるように構成されていることが好ましい。
【0014】
また、上記態様においては、前記制御部が、送信対象となる画面が前記表示部に表示された状態で、所定の入力を前記入力部により受け付けたときに、前記送信指示を受け付けるための受付画面へと前記表示部の表示を切り替えさせ、当該受付画面において前記送信指示を受け付けるように構成されていることが好ましい。
【0015】
また、上記態様においては、前記受付画面が、前記送信指示を受け付けるためのボタンと、前記送信指示以外の指示を受け付けるためのボタンとを有することが好ましい。
【0016】
また、上記態様においては、前記制御部が、前記所定の入力を受け付けるためのボタンを、表示されている画面の種類にかかわらず、前記表示部の所定の位置に表示させるように構成されていることが好ましい。
【0017】
また、上記態様においては、前記制御部が、送信対象となる画面が前記表示部に表示された状態で、前記所定の入力を前記入力部により受け付けたときに、前記画面を示す画面データを記憶すると共に、前記送信指示を受け付けるための受付画面へと前記表示部の表示を切り替えさせるように構成されており、前記送信部が、前記送信指示が受け付けられたときに、前記記憶された画面データを送信するように構成されていることが好ましい。
【0018】
また、上記態様においては、前記制御部が、前記所定の入力を前記入力部により受け付けて画面データを記憶した後に、他の画面が前記表示部に表示された状態で、再度前記所定の入力を前記入力部により受け付けたときに、前回記憶した画面データを消去して前記他の画面を示す画面データを記憶するように構成されていることが好ましい。
【0019】
また、上記態様においては、前記制御部が、前記表示部に画面が表示されている状態で所定の入力を受け付けたときに、前記画面を示す画面データを記憶し、その後他の画面が前記表示部に表示された状態で、再度前記所定の入力を受け付けたときに、前回記憶した画面データを消去して前記他の画面を示す画面データを記憶するように構成されており、前記送信部が、前記制御部に記憶された画面データを送信するように構成されていることが好ましい。
【0020】
また、上記態様においては、前記制御部が、前記測定部による検体の測定に用いられる検量線を記憶するように構成されており、前記表示部が、前記測定部による標準試料の測定に基づいて得られた検量線測定結果、及び前記測定部による精度管理用試料の測定に基づいて得られた精度管理結果をさらに表示するように構成されており、前記制御部が、前記表示部によって表示された分析結果画面、検量線測定結果画面、又は精度管理結果画面の送信指示を受け付けるように構成されていることが好ましい。
【0021】
また、上記態様においては、前記制御部が、送信指示を受け付けた画面において、図形及び文字の少なくとも一つの入力を受け付け、当該入力された図形及び文字の少なくとも一つを前記画面に描画するように構成されており、前記送信部が、前記制御部において前記図形及び文字の少なくとも一つが描画された画面を示す前記画面データを送信するように構成されていることが好ましい。
【0022】
また、上記態様においては、前記検体分析装置が、前記測定部、前記表示部、前記制御部、及び前記送信部を保持する筐体をさらに備えることが好ましい。
【発明の効果】
【0023】
本発明に係る検体分析装置によれば、迅速に保守サービス又は学術的アドバイスを受けることが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0024】
【図1】実施の形態に係る検体分析装置の外観を示す斜視図。
【図2】実施の形態に係る検体分析装置の一部を示す部分拡大斜視図。
【図3A】分析結果画面の一例を示す図。
【図3B】精度管理画面の一例を示す図。
【図3C】検量線画面の一例を示す図。
【図4】保守サービスシステムの概要を示す模式図。
【図5】実施の形態に係る検体分析装置の構成の一部を示すブロック図。
【図6】通信プログラムの機能を示すブロック図。
【図7】実施の形態に係る検体分析装置の保守サービス要求動作における制御部及び通信部の処理手順を示すフローチャート。
【図8】保守メニュー画面を示す図。
【図9】メール送信通知画面を示す図。
【図10A】送信完了通知画面を示す図。
【図10B】送信失敗通知画面を示す図。
【図11】クライアントコンピュータの表示部に表示された保守サービス又は学術的アドバイスの提供を要求するための電子メールの一例を示す図。
【図12】クライアントコンピュータの表示部に表示された保守サービスの提供又は学術的アドバイスを要求するための電子メールの他の例を示す図。
【図13】クライアントコンピュータに表示された施設情報の一例を示す図。
【発明を実施するための形態】
【0025】
以下、本発明の好ましい実施の形態を、図面を参照しながら説明する。
【0026】
[検体分析装置の構成]
図1は、本実施の形態に係る検体分析装置の外観を示す斜視図である。本実施の形態に係る検体分析装置1は、血液検体の凝固因子の活性を分析する血液凝固測定装置である。図1に示すように、検体分析装置1は、概ね直方体形状をなす組み込み型の装置として構成されている。検体分析装置1は、各構成部を保持する筐体2を備えている。筐体2の左上側の部分は窪んでおり、この部分に開閉可能なカバー21が設けられている。筐体2の右側前面には、液晶パネルからなる表示部3が設けられている。この表示部3は、前面にタッチパネル4(入力部)が付設されたタッチパネル式ディスプレイとして構成されている。表示部3の下方には、分析結果を印刷するためのプリンタ5が設けられている。また、筐体2の内部には、検体分析装置1の各構成部を制御する制御部6と、外部の装置と通信するための通信部7とが設けられている。
【0027】
図2は、カバー21を開いた状態における検体分析装置1の一部を示す部分拡大斜視図である。図2に示すように、カバー21によって覆われている筐体2の凹部の前側部分には、検体を収容する検体容器を載置するための検体容器保持部22が設けられている。ユーザはこの検体容器保持部22に、複数の検体容器を保持した検体ラックを載置することができ、このようにセットされた検体に対して、全自動で測定が実行される。検体容器保持部22の奥側には試薬保持部23が設けられており、試薬を収容する複数の試薬容器を保持する試薬ラックがこの試薬保持部23にセットされる。試薬保持部23のさらに奥側には、測定に用いられる複数のキュベット(透明な反応容器)を保持するためのキュベット保持部24が設けられている。このキュベット保持部24には、複数のキュベットを保持するキュベットラックを2つ載置することができる。キュベット保持部24の右側には検体の測定を行うための検出部25(測定部)が設けられている。また、検体容器保持部22、試薬保持部23、キュベット保持部24、及び検出部25の上方には、検体及び試薬を分注するための分注部26が設けられている。
【0028】
分注部26は、前後左右に移動可能であり、また昇降可能となっている。分注部26には、キュベットを把持するための把持部(図示せず)が設けられており、これによってキュベット保持部24にセットされているキュベットが把持され、移動される。検出部25には、キュベットを挿入するための複数の穴が設けられており、分注部26によって把持されたキュベットが当該穴に挿入される。また、分注部26によって、検体(血漿)及び試薬のそれぞれが吸引され、検出部25の穴に挿入されたキュベットに分注される。検出部25には、ヒータが設けられており、キュベット内に分注された検体及び試薬は一定温度に加温される。検出部25の各穴の近傍には、発光部及び受光部が設けられており(図示せず)、試薬が添加された検体に対して発光部により光が照射され、この散乱光又は透過光が受光部により受光される。カバー21は遮光性を有しており、カバー21が閉じられることによって、測定中に検出部25が外乱光の影響を受けることが防止される。このようにして得られた受光データを制御部6が解析し、血液凝固に関する分析結果が得られる。
【0029】
具体的には、検体の凝固する過程を散乱光量の変化で捉え、凝固時間を求める凝固時間法により、PT(プロトロンビン時間)、APTT(活性化部分トロンボプラスチン時間)、Fbg(フィブリノーゲン)等が測定され、合成基質法試薬を添加した検体を透過した光を捉え、1分間当たりの吸光度の変化量を求める合成基質法により、AT3(アンチトロンビンIII)等が測定され、ラテックス凝集法試薬を添加した検体を透過した光を捉え、1分間当たりの吸光度の変化量を求める免疫比濁法により、D−Dimer(Dダイマー)等が測定される。
【0030】
検体分析装置1は、ユーザの操作によって任意の一又は複数の測定項目(PT、APTT、Fbg、AT3、D−Dimer等)を設定することが可能であり、設定された測定項目について検体を測定し、分析結果を表示部3に表示することができる。図3Aは、分析結果画面の一例を示す図である。図3Aに示すように、分析結果画面D1には、測定した検体の検体番号と、各測定項目の測定データ(数値データ)が一覧表示される。検体番号は、図示しないバーコードリーダによって検体容器に貼布されたバーコードラベルから読み出されるか、ユーザのタッチパネル4の操作により指定されたものである。また、分析結果画面D1の左上隅には、後述する保守メニュー画面を呼び出すためのボタンB1が設けられている。
【0031】
検体分析装置1は、コントロール血漿又はプール血漿等の精度管理試料(例えば、シスメックス株式会社製「血液凝固試験用コントロール血漿N」)を測定することにより精度管理を行うことができる。この精度管理によって、ユーザは検体分析装置1が正確に検体の測定を行えているかを監視することができる。精度管理測定は、精度管理試料を検体容器保持部22にセットし、精度管理用検体番号(精度管理のときにのみ使用される検体番号)及び測定項目を入力し、精度管理測定の開始を指示することにより実行される。また精度管理測定が実行された後、精度管理測定の結果が表示部3に表示される。図3Bは、精度管理画面の一例を示す図である。図3Bに示すように、精度管理画面D2には、精度管理測定結果の履歴を示すグラフ、精度管理試料のロット番号、精度管理データの標準偏差、精度管理データの再現性等が表示される。また、分析結果画面D1と同様に、精度管理画面D2の左上隅には、後述する保守メニュー画面を呼び出すためのボタンB1が設けられている。
【0032】
検体分析装置1は、上述のようにして得られた精度管理測定データを、外部のサーバ(後述するメールサーバ101)へ送信することが可能である。これにより、複数施設に設置された同種の検体分析装置間におけるオンラインによる精度管理(外部精度管理)が可能となる。この精度管理測定データは、精度管理試料の測定の都度、メールサーバ101へ送信される。さらに検体分析装置1は、制御部6が検体分析装置1の状態情報、即ち、エラー履歴、消耗部品(発光部、分注部26に搭載されたシリンジ等)の動作回数、制御プログラムのバージョン情報、各種パラメータの設定値をメールサーバ101へ送信することができる。この状態情報の送信は、例えば電源投入後の初期化時、毎日所定時刻等に行われる。
【0033】
検体分析装置1は、制御部6に記憶されている検量線と測定結果の凝固時間等とを照合して、測定項目の分析結果を得ることができるようになっている。検量線は、キャリブレータ(標準試料)を測定することにより検体分析装置1が作成する。検量線作成は、キャリブレータを検体容器保持部22にセットし、設定したい項目の検量線データを表示させた後、キャリブレータの表示値等を入力し、測定開始を指示することにより実行される。検体分析装置1は、このようにして作成した検量線を表示部3に表示することが可能である。図3Cは、検量線画面の一例を示す図である。図3Cに示すように、検量線画面D3には、測定項目、検量線のグラフ、検量線の近似式、相関係数、傾き、及び切片等が表示される。また、分析結果画面D1及び精度管理画面D2と同様に、検量線画面D3の左上隅には、後述する保守メニュー画面を呼び出すためのボタンB1が設けられている。
【0034】
このような本実施の形態に係る検体分析装置1は、病院又は検査室等の検査施設に設置される。また、検体分析装置1は、通信ネットワーク(インターネット)を介して、保守サービス及び学術的アドバイスを提供する業者の施設に設置された保守サービスシステムにデータ通信可能に接続され、これによって業者による保守サービス及び学術的アドバイスの提供を受けることができる。
【0035】
図4は、保守サービスシステムの概要を示す模式図である。保守サービスシステム100は、メールサーバ101と、サービスマン及び学術スペシャリストが使用するクライアントコンピュータ102とを備えている。メールサーバ101は、SMTPサーバ及びPOPサーバの機能を有している。つまり、メールサーバ101は、SMTP(簡易メール転送プロトコル)を使用して、検体分析装置1から送信された電子メールを受け取り、メールサーバ101内のメールボックス(ハードディスク内の領域)に記憶する。また、メールサーバ101は、POP(ポストオフィスプロトコル)を使用して、クライアントコンピュータ102からの要求に応じて、メールボックス内の電子メールをクライアントコンピュータ102へ送信する。
【0036】
さらに、メールサーバ101は、Webサーバの機能を有している。メールサーバ101には、ユーザである各施設の情報(施設情報)が記憶された施設情報データベース101aが設けられており、メールサーバ101は、この施設情報データベース101aに記憶された施設情報をHTML形式のデータにしてクライアントコンピュータ102(又は通信ネットワーク110に接続された他のコンピュータ)へ送信することができる。これにより、クライアントコンピュータ102を使用するサービスマンは、Webブラウザプログラムによって施設情報を閲覧することができる。
【0037】
また、メールサーバ101は、精度管理試料の測定データを複数の検査施設から受信し、これらの統計的データを作成して各施設に統計的データをWebにより提供することができる(外部精度管理)。さらに、メールサーバ101は、各検査施設の検体分析装置から状態情報を受信し、過去の状態情報を装置毎に蓄積し、状態情報の管理を行うことができる。この状態情報は、サービスマンによる保守サービスの提供に利用される。
【0038】
検体分析装置1は、検査施設内に設置されたルーター10に接続されており、ルーター10を介して通信ネットワーク110に対するデータの送受信が可能である。ルーター10は、DNS(Domain Name System)サーバ及びDHCP(Dynamic Host
Configuration Protocol)サーバの機能を有している。検体分析装置1は、ルーター10に対してIPアドレス及びサブネットマスク等の付与を要求し、ルーター10によって割り当てられたIPアドレス及びサブネットマスクを自身(通信部6)のIPアドレス及びサブネットマスクとして設定する。また、検体分析装置1は、特定のホストへデータを送信する際、ルーター10に対してホスト名に対応するIPアドレスを要求し、ルーター10から通知されたIPアドレスに対してデータの送信を行う。
【0039】
図5は、本実施の形態に係る検体分析装置1の構成の一部を示すブロック図である。制御部6は、CPU61と、ROM62と、RAM63とを備えている。これらのCPU61,ROM62及びRAM63は、互いにバスによりデータ通信可能に接続されている。また、通信部7は、CPU71と、ROM72と、RAM73と、通信インタフェース74とを備えている。CPU71,ROM72,RAM73及び通信インタフェース74はバスによりデータ通信可能に接続されており、また制御部6のCPU61は、バスによってCPU71と接続されている。
【0040】
ROM62には、検体分析装置1の各部を制御するための制御プログラムが記憶されている。CPU61が当該制御プログラムを実行することにより、検体分析装置1は、上記のような検体の分析、精度管理、及び検量線の作成等の動作を行うことができる。またROM62は、書き換え可能なフラッシュメモリであり、各種の設定データが書き込こまれている。設定データとしては、後述するサービスマンのメールアドレス、検体分析装置ごとに設定された、該検体分析装置自身のメールアドレス、該検体分析装置が設置されている施設の連絡先を含むWebページへリンクするためのリンクアドレス、該検体分析装置の機種名、等が挙げられる。検体分析装置は、装置ごとに装置IDが割り当てられており、上記の該検体分析装置自身のメールアドレスは、その装置の装置IDを一部に含んでいる。
【0041】
通信部7は、後述するように、サービスマンに対して電子メールを送信することができる。これは、ROM72に記憶されている通信プログラムをCPU71が実行することにより行われる。また、通信インタフェース74は、Ethernet(登録商標)コントローラであり、この通信インタフェース74により外部に対してデータを送受信可能となっている。
【0042】
図6は、通信プログラムの機能を示すブロック図である。図6に示すように、通信プログラム71aは、シリアル制御ブロック711、コマンド解析ブロック712、パラメータ管理ブロック713、タスクブロック714、ソケット処理ブロック715、TCP/IPブロック716及び通信デバイスドライバブロック717の各機能ブロックを有している。シリアル制御ブロック711は、制御部6とのシリアル通信を制御し、制御部6とのデータの送受信を行う。コマンド解析ブロック712は、制御部6から受信したコマンドを解析し、制御部6への応答データを生成する。また、受信したコマンドに基づいてタスクブロック714にイベントを発行する。パラメータ管理ブロック713は、制御部6から受信したパラメータを管理する。タスクブロック714は、通信プログラム71aの状態(CPU71により実行されている各タスクの状態)を管理する。ソケット処理ブロック715は、DHCPクライアント機能、DNSクライアント機能、SMTPクライアント機能、及びPOPクライアント機能を有している。このソケット処理ブロック715は、タスクブロック714からの指示に応じて、DHCPクライアント機能、DNSクライアント機能、SMTPクライアント機能、及びPOPクライアント機能を実行する。実行された上記各機能は、タスクブロック714に処理結果イベントを発行する。TCP/IPブロック716は、ソケット処理ブロック715から与えられた送信データを分割してIPパケットを生成し、通信デバイスドライバブロック717へ渡し、通信デバイスドライバブロック717から受け取ったIPパケットからデータを再構成し、ソケット処理ブロック715へ渡す。通信デバイスドライバブロック717は、通信インタフェース74を駆動する。
【0043】
通信部7は、外部(特定の宛先)へ電子メールを送信する機能にのみ特化された構成とされている。つまり、インターネットを通じて電子メールを送信するために必要な機能である、DNSクライアント機能、DHCPクライアント機能、SMTPクライアント機能、及びPOPクライアント機能(POP before SMTPにおいて使用)を有しており、クライアントコンピュータ102から送信された、保守サービスを提供するためのデータ(例えば、質問に対する回答を含む電子メール、テレビ会議の開始要求データ、遠隔操作のコマンドデータ等)を受信する機能は有していない。
【0044】
[検体分析装置の動作]
次に、上記構成の検体分析装置1の動作について説明する。ユーザは、検体を収容する検体容器を検体ラックに挿入し、その検体ラックを検体容器保持部22にセットする。この状態で、ユーザは検体番号及び測定項目等必要な設定を行い、表示部3に表示されている測定開始ボタン(図示せず)を指で触れる操作を行うことにより、この位置の指示がタッチパネル4により検出され、操作開始の指示が検体分析装置1に与えられる。これにより、検体の測定が開始され、測定完了後、分析結果画面が表示される。また、上述したように、精度管理の測定が行われた後は、精度管理画面が表示され、検量線作成が行われた後は、検量線画面が表示される。これら、分析結果画面、精度管理画面及び検量線画面を含む任意の表示画面において、左上隅には保守メニュー画面を呼び出すためのボタンB1(図3A〜図3C参照)が表示される。ユーザは、表示画面中に不明な部分があるためその内容を理解できないとき、検体分析装置1に異常が生じた場合でその対処方法が不明なとき、検体の分析結果から推測される学術的な情報を知りたいとき等のように、保守サービス又は学術的アドバイスを利用したいときには、以下のようにして業者による保守サービス又は学術的アドバイスを要求することができる。
【0045】
図7は、本実施の形態に係る検体分析装置1の保守サービス要求動作における制御部及び通信部の処理手順を示すフローチャートである。ユーザは、問題となる表示画面中のボタンB1を指で触れる操作を行う。制御部6のCPU61は、この保守メニュー画面の表示指示を受け付けるイベントが発生すると(ステップS101)、以下の処理を実行する。まずCPU61は、その時点において表示されている画面、即ち保守メニュー画面の表示指示が与えられた画面をキャプチャして画像データ化し、その画像データ(画面データ)をRAM63に記憶する(ステップS102)。さらにCPU61は、表示されている画面を保守メニュー画面に切り替え、表示部3に表示させる(ステップS103)。
【0046】
図8は、保守メニュー画面を示す図である。図8に示すように、保守メニュー画面D4には、検体分析装置1のエラー履歴を表示するためのボタンB11と、検体分析装置1の内部温度を表示するためのボタンB12と、プリンタ5の紙送りを行うためのボタンB13と、取り込んだ画面データを保守業者へ送信するためのボタンB14とが設けられている。CPU61は、各ボタンB11〜B14の領域が指で触れられることにより、対応するボタンB11〜B14が選択されたと判定する。
【0047】
ここでCPU61は、ボタンB14が選択された、即ち取り込んだ画像データの送信の指示を受け付けたか否かを判定する(ステップS104)。このとき、CPU61は、他のボタンB11〜B13が選択されたか否かも判定し、これらのボタンが選択されたときには、対応する処理を実行する。即ちボタンB11が選択されたときには、過去に発生した検体分析装置1のエラー履歴がリスト表示され、ボタンB12が選択されたときには、検体分析装置1の内部の温度、例えば、ヒータにより一定温度に加温されている検出部25の温度、試薬を冷却するための冷却装置が設けられた試薬保持部23の温度等が表示され、ボタンB13が選択されたときには、プリンタ5において印刷用紙が送り出される。ステップS104において、何れのボタンも選択されない間は、CPU61はステップS104の処理を繰り返し(ステップS104においてNO)、入力を待機する。一方、ボタンB14が選択されたときには(ステップS104においてYES)、CPU61は、前記RAM63に記憶された画面データの編集を行うか否かを確認する画面を表示し、ユーザからの入力を待機する(ステップS105)。この画面には、画面データの編集画面の表示を指示するための第1ボタンと、画面データの編集を行わず、そのままの画面データの送信を指示するための第2ボタンとが設けられており、ユーザは、画面データの編集を行う場合には第1ボタンを選択し、編集を行わずに画面データの送信を指示する場合には第2ボタンを選択する。
【0048】
ステップS105において、ユーザから画面データの編集の指示を受け付けた場合、即ち第1ボタンの選択を検出した場合には(ステップS105においてYES)、CPU61は、画面データの編集画面(図示せず)を表示し、画面の編集処理を実行する(ステップS106)。この編集画面においては、RAM63に記憶した画面データに対して、文字若しくは図形又はその組合せを描画するための描画ツールが設けられている。ユーザは、この描画ツールを使用して、画面上に文字若しくは図形又はその組合せを描画し、説明を受けたい画面上の箇所を特定したり、質問事項を記載したりして、画面データを編集することができる。また、この編集画面には、画面データの編集の終了を指示するボタンが設けられており、このボタンをユーザが選択する操作を行うことにより、RAM63の画面データが編集後の画面データに書き換えられる。この後、処理はステップS107へ移る。
【0049】
一方、ステップS105において、ユーザから画面データの編集の指示ではなく、画面データの送信の指示を受け付けた場合、即ち第2ボタンの選択を検出した場合には(ステップS105においてNO)、CPU61は、処理をステップS107へ移す。
【0050】
CPU61は、ステップS107において、RAM63に記憶された画面データを添付ファイルとする電子メールを作成するためのデータを生成する(ステップS107)。
【0051】
ステップS107の処理を詳細に説明する。この処理では、電子メールの本文を作成する。この電子メールの本文には、RAM63に記憶している画面データが添付されるとともに、ROM62に記憶されている上述のリンクアドレス及び前回のシャットダウン後に発生したエラーに関するエラー履歴が書き込まれる。なお、制御部6のCPU61は、エラーが発生した都度、エラー履歴としてRAM63に蓄積しておく。
【0052】
次にCPU61は、上記のようにして生成したメール本文のデータ、及びROM62に記憶されているサービスマンのメールアドレスを含むメール送信指示データを通信部7へ送信し(ステップS108)、メール送信中であることを示す画面(メール送信通知画面)を表示部3に表示させる(ステップS109)。図9は、メール送信通知画面を示す図である。図9に示すように、メール送信通知画面D5では、「保守サービスシステムへデータ送信中…」のメッセージが表示される。また、メール送信通知画面D5には、中止ボタンB51が設けられており、この中止ボタンを指で触れる操作が検出されると、保守サービスシステムへの電子メール送信が中断される。
【0053】
一方、通信部7は、メール送信指示データを受信し(ステップS110)、CPU71が電子メールを作成する(ステップS111)。ここでステップS111の処理を詳細に説明する。CPU71は、受信したメール送信指示データに含まれるサービスマンのメールアドレスを宛先とし、ROM62に記憶されている機種名を読み出し、所定の文字列「DB−700 Screen Shot」を件名とするメールヘッダを生成する。また、前記メールヘッダにおいては、ROM62に記憶されている検体分析装置自身のメールアドレスが差出人アドレス(送信元情報)とされる。さらにCPU71は、このメールヘッダ、メール送信指示データに含まれるメール本文及び画面データによって、画面データを添付ファイルとする電子メールを作成する。
【0054】
CPU71は、通信インタフェース74を駆動して、作成した電子メールをメールサーバ101へ送信する(ステップS112)。本実施形態では、メールサーバ101のSMTPサーバ機能は、POP before SMTPによる認証を行い、認証が成功したときに電子メールを受信するようになっている。次にCPU71は、電子メールの送信が成功したか否かを判定し(ステップS113)、電子メール送信が成功した場合には(ステップS113においてYES)、制御部6へメール送信成功を通知する(ステップS114)。LANケーブルが接続されていない、IPアドレスが設定されていない、ルーター10が動作していない、DNSサーバが応答しない、メールサーバ101のPOP3又はSMTPポートに接続できない等の原因により、電子メール送信が失敗した場合には(ステップS113においてNO)、制御部6へメール送信失敗を通知する(ステップS115)。
【0055】
制御部6は、通信部7から送信されたメール送信の成否を示す通知データを受信する(ステップS116)。CPU61は、受信したデータがメール送信成功を通知するものである場合には(ステップS116において「送信成功」)、送信完了通知画面を表示部3に表示させ(ステップS117)、受信したデータがメール送信失敗を通知するものである場合には(ステップS116において「送信失敗」)、送信失敗通知画面を表示部3に表示させる(ステップS118)。図10Aは、送信完了通知画面を示す図であり、図10Bは、送信失敗通知画面を示す図である。図10Aに示すように、送信完了通知画面D6には、「送信完了しました」のメッセージが表示される。一方、送信失敗通知画面D7には、「送信失敗しました」のメッセージが表示される。また、送信完了通知画面D6及び送信失敗通知画面D7には、確認ボタンB61,B71が設けられており、確認ボタンを指で触れる操作が検出されると、保守メニュー画面D4に表示が切り替わり、保守サービス要求動作が終了する。なお、ユーザは、例えば電子メールの送信が失敗した場合には、保守メニュー画面D4において再度ボタンB14を選択し、同じ内容の電子メールの送信指示を与えることができる。
【0056】
また、ユーザは、送信した画面とは別の画面を新たに送信したい場合には、送信したい画面を表示部3に表示させた状態で、その画面の左上隅に設けられたボタンB1を選択して、保守メニュー画面に画面表示を切り替える。このとき、表示切り替え前の画面が送信対象としてRAM63に記憶される。ここで、新たな画面データは、RAM63において前回記憶された画面データに上書きされる。つまり、RAM63においては、送信用の画面データを記憶するための領域として、1画面分の記憶領域しか割り当てられておらず、保守メニュー画面を呼び出すためのボタンB1が選択される都度、その記憶領域のデータが書き換えられることとなる。このように、1画面分の記憶領域を設けるだけでよいので、RAM63の容量を小さくでき、製品コストを抑制することができる。ユーザは、この後保守メニュー画面D4において再度ボタンB14を選択することで画面データの送信指示を検体分析装置1に与え、これによってRAM63に新たに記憶された画面データが添付された電子メールが送信される。
【0057】
上記のようにして電子メールが送信されると、当該電子メールはメールサーバ101のメールボックスに格納される。サービスマンによってクライアントコンピュータ102のメーラーが起動され、POPによるメールサーバ101へのメール問い合わせが発生すると、メールボックス内に保存された前記電子メールがクライアントコンピュータ102へと送信され、クライアントコンピュータ102の画面にその内容が表示される。図11は、クライアントコンピュータ102の表示部に表示された保守サービス又は学術的アドバイスの提供を要求するための電子メールの一例を示す図である。図11に示すように、検体分析装置から送信されたメールの差出人メールアドレスは、検体分析装置毎に異なっており、その検体分析装置を識別するための装置IDを含んでいる。図11の例では、装置ID「07676」の検体分析装置のメールアドレスが「sysmex07676@sncs.sysmex.co.jp」とされている。したがって、サービスマンは、差出人メールアドレスを参照するだけで、どの検体分析装置から送信された電子メールであるのかを特定することができる。検体分析装置1から送信された電子メールの件名は、「DB−700 Screen Shot」とされる。DB−700は、検体分析装置1の機種名を表しており、これにより、サービスマンは、どの機種について電子メールが送信されたかを特定することができる。このように、装置IDが差出人情報に、機種名が件名にそれぞれ表示されるので、サービスマンは、電子メールを開封しなくても、どの装置から送信された電子メールであるかを特定することができる。
【0058】
また、メール本文には、当該検査施設の施設情報へのリンクL及びエラー履歴ELが含まれる。リンクL(リンクアドレス)は、検体分析装置ごとに設定されており、その検体分析装置が設置されている施設の情報へとリンクする。エラー履歴ELには、エラーが発生した日付、時刻、及びエラーの内容が含まれる。上述したように、検体分析装置1から送信された電子メールには、画面データが添付される。図11に示す例では、添付された画面Dがメール本文を表示する領域に表示されている。なお、この図11においては、ユーザによる画面の編集が行われなかった場合の電子メールを示している。
【0059】
図12は、クライアントコンピュータ102の表示部に表示された保守サービス又は学術的アドバイスの提供を要求するための電子メールの他の例を示す図である。図12には、ユーザによって画面の編集が行われた場合の電子メールを示す。図12に示すように、この電子メールに添付された画面データによって示される画面Dには、描画された図形Pが含まれている。サービスマンは、このような画面Dを参照することにより、図形Pによって示される箇所が、ユーザが説明を望んでいる箇所であると容易に判断することができる。
【0060】
サービスマンは、上記のような電子メールに添付された画面Dを参照することにより、どの画面についてユーザが保守サービス又は学術的アドバイスを受けたいかを容易に知ることができる。また、エラー履歴ELによって、検体分析装置1の状態を容易に知ることができる。さらに、サービスマンは、検査施設に電話等によって連絡を取る場合、検査施設へ赴く場合、施設IDを忘れている場合等、電話番号、住所、施設名等の検査施設の詳細な情報を知りたい場合には、クライアントコンピュータ102を操作して、マウス等の入力手段によってリンクLを指定する。これにより、クライアントコンピュータ102のWebブラウザが起動し、メールサーバ101に、当該検査施設の施設情報を含むHTMLデータが要求される。この要求に応じて、メールサーバ101が施設情報データベース101aから当該検査施設の施設情報を読出し、HTMLデータを作成して、このHTMLデータをクライアントコンピュータ102へ送信する。HTMLデータを受信したクライアントコンピュータ102においては、Webブラウザの画面中に施設情報が表示される。図13は、クライアントコンピュータに表示された施設情報の一例を示す図である。図13に示すように、クライアントコンピュータ102の表示部には、施設ID、施設名、担当部門、住所、電話番号、担当者、導入されている装置の機種名等を含む施設情報が表示される。サービスマンは、このようにして容易に施設情報を閲覧することができ、電子メールの送信元の検査施設に連絡を取って、保守サービスを提供することができる。例えば、サービスマンは、施設情報に含まれる電話番号に電話をかけ、電子メールに添付された画面について口頭で説明することができる。
【0061】
上述のように、検体分析装置1は、制御部6によって画面の送信指示を受け付け、通信部7によって送信指示の対象となった画面を示す画面データDを、装置ID及びリンクLとともにメールサーバ101に送信するので、サービスマンは、電子メールの送信元を迅速に特定することができる。これにより、ユーザが迅速に保守サービス又は学術的アドバイスの提供を受けることが可能となる。また、検体分析装置1は、通信部7が保守サービス又は学術的アドバイスの提供を受けるための電子メールを送信する機能のみを有し、電子メール(例えば、質問に対する回答を含む電子メール)を受信する機能を有していないので、製品コストを抑制しつつ、ユーザが迅速に保守サービス又は学術的アドバイスの提供を受けることが可能となる。また、電子メールには、ユーザが送信指示をした画面データが添付されるため、例えば電話による保守サービスの提供を受ける際に、その画面を両者が確認することで、ユーザは容易に画面中の不明な箇所を口頭で説明することができ、またサービスマン等は、その画面における対処方法(操作)を口頭で説明することができる。また、サービスマン等は、ユーザがその画面においてどのような保守サービス又は学術的アドバイスを受けたいかを容易に理解することができる。
【0062】
また、検体分析装置1における各表示画面において、左上隅の保守メニュー呼び出しボタンを指示する操作をすることにより、その操作を受け付けた画面データが送信対象として保存されるため、保守メニュー呼び出しボタンとは別に画面データの保存指示のためのボタン、アイコン、メニュー等を設ける必要がなく、画面領域を効率的に使用することができる。全機能が1つの筐体に収容された、本実施の形態1のような検体分析装置では、小型化及び低コスト化のために表示部が小さくされており、このような小型の表示部を有する検体分析装置においては、限られた表示スペースを効率的に使用することが望まれる。したがって、上記のような画面構成とすることは、かかる小型の検体分析装置においては、特に有効である。
【0063】
また、保守メニュー呼び出しボタンは、分析結果画面D1,精度管理画面D2,検量線画面D3等、表示されている画面の種類にかかわらず、表示部3の所定の位置に表示されているので、使用者は、ボタンの位置を容易に記憶することができる。
【0064】
また、検体分析装置1においては、保守サービスの提供を要求するためのデータを電子メールとして送信し、この電子データに画面データを添付する構成としたため、サービスマン等が使用するクライアントコンピュータは、汎用の電子メールクライアントソフトウェアを有するコンピュータであればよく、保守業者は画面データ受信専用に設計された装置を保有する必要がない。したがって、保守業者は、検体分析装置1から上記の画面データを受信するための保守サービスシステムを容易且つ安価に構築することができる。
【0065】
(その他の実施の形態)
なお、上述した実施の形態においては、保守メニュー画面の表示指示を受け付けた画面(RAM63に保存された画面)に、文字若しくは図形又はその組合せを描画し、その編集後の画面データを送信する構成について述べたが、これに限定されるものではない。画面データの編集機能を持たず、保守メニュー画面の表示指示を受け付けた画面をそのまま電子メールに添付して送信する構成としてもよい。
【0066】
また、上述した実施の形態においては、保守サービスの提供を要求するためのデータを画面データを添付した電子メールの形式としたが、これに限定されるものではない。保守サービスの提供を要求するためのデータを、画面データを含んだ独自形式のデータとする構成としてもよい。この場合、クライアントコンピュータには、この独自形式のデータを解釈し、画面データを表示する機能が必要となる。
【0067】
また、上述した実施の形態においては、検体分析装置1が1つの画面データを電子メールに添付して送信する構成について述べたが、これに限定されるものではない。複数の画面において画面取込指示を受け付け、複数の画面データを記憶し、これらの複数の画面データを電子メールに添付して送信する構成であってもよい。
【0068】
また、上述した実施の形態においては、保守メニュー画面D4を呼び出すためのボタンB1が選択されることによって、その時点における表示画面が取り込まれ、保守メニュー画面D4において画面送信指示のボタンB14が選択されることにより、取り込まれた画面データが添付された電子メールを送信する構成について述べたが、これに限定されるものではない。表示部3に表示されるソフトウェアキーではなく、筐体2にハードウェアのボタンスイッチを設け、このボタンスイッチが操作されることによって、その時点における表示画面が取り込まれ、取り込まれた画面が添付された電子メールを送信する構成としてもよい。
【0069】
また、上述した実施の形態においては、エラー履歴を本文に含む電子メールを送信する構成について述べたが、これに限定されるものではない。エラー履歴だけでなく、消耗部品(発光部、分注部26に搭載されたシリンジ等)の動作回数、制御プログラムのバージョン情報、各種パラメータの設定値、精度管理試料の測定データ、つまり、検体分析装置1の状態に関する状態情報を本文又は添付ファイルとして含む電子メールを作成し、送信することも可能である。
【0070】
また、上述した実施の形態においては、検体分析装置1が、ルーター10を介して、SMTPサーバ及びPOPサーバの機能を有するメールサーバ101に電子メールを送信し、メールサーバ101に設けられたメールボックスに当該電子メールが格納される構成について述べたが、これに限定されるものではない。メールサーバ101とは別に設けられたSMTPサーバに対して検体分析装置1が電子メールを送信し、このSMTPサーバから、メールサーバ101へと電子メールが送信されて、メールサーバ101のメールボックスに電子メールが格納される構成であってもよい。また、保守サービスシステム100の内部にメールサーバ101を設けず、保守サービスシステム100の外部に設けられたSMTPサーバに対して検体分析装置1が電子メールを送信し、この電子メールが保守サービスシステム100の外部に設けられたPOPサーバ内のメールボックスに格納される構成としてもよい。この場合、サービスマンが使用するクライアントコンピュータ102は、前記POPサーバにアクセスして電子メールを受信する必要がある。または、POPサーバではなく、IMAPサーバ又はWebメールサーバを利用することもできる。この場合、クライアントコンピュータは、メールサーバ内に格納された電子メールを、メールサーバ内に残したまま参照することとなる。
また、上述した実施の形態においては、ルーター10がDNSサーバ及びDHCPサーバの機能を有しているが、これらのサーバ機能をルーター10に設ける必要はない。DHCPサーバは、ルーター10よりもLAN側(検体分析装置1及びルーター10を含むLAN上)にルーター10とは別個に設けてもよく、DNSサーバは、上記LAN又は通信ネットワーク(インターネット)上にルーター10とは別個に設けてもよい。
【0071】
また、上述した実施の形態においては、制御部6及び通信部7のそれぞれにCPU61,71を設け、CPU61が画面データの保存及びメール本文の作成を行い、CPU71が電子メールの作成及びその送信を行う構成について述べたが、これに限定されるものではない。制御部6のCPU61により、画面データの保存、及びメール本文の作成を含む電子メールの作成を行い、通信部7のCPU71により、電子メールの送信を行う構成としてもよいし、通信部7にCPUを設けず、制御部6のCPU61により、画面データの保存、メール本文の作成を含む電子メールの作成、及び通信インタフェース74を駆動することによる電子メールの送信を全て行う構成としてもよい。
【0072】
また、制御部6又は通信部7は、ファイルを開くためのパスワードを添付ファイルである画面データに設定してもよい。これにより、被験者の個人情報を含む画面を安全に送付することが可能となる。
【0073】
また、上述した実施の形態においては、送信される電子メールの差出人メールアドレスには、装置IDが含まれているが、検体分析装置が設置されている施設を識別する施設IDが含まれていてもよい。また、施設名称を差出人メールアドレスに含ませてもよい。これにより、施設の特定がより容易になる。
【0074】
また、上述した実施の形態においては、装置IDは、差出人メールアドレスに含まれているが、件名に含ませてもよいし、電子メール本文に記載してもよい。
【0075】
また、上述した実施の形態においては、通信部7のCPU71がコンピュータプログラムを実行することにより電子メールを作成し、当該電子メールの送信を行う構成について述べたが、これに限定されるものではない。同等の処理を行える構成であれば、ASIC(Application Specific Integrated Circuit)又はFPGA(Field Programmable Gate Array)により、コンピュータプログラムを実行することなく、そのハードウェア自体によって、電子メールの作成及び送信処理を実行する構成としてもよい。
【0076】
また、上述した実施の形態においては、組み込み型の検体分析装置について述べたが、これに限定されるものではない。例えば、検体分析装置を、装置本体と、該装置本体に接続されたデータ処理装置(パソコン)とから構成してもよい。
【0077】
また、上述した実施の形態においては、検体分析装置1を血液凝固測定装置とした場合について述べたが、これに限定されるものではない。例えば、検体分析装置は、血球計数装置、生化学分析装置、免疫分析装置、又は尿分析装置等の臨床検体分析装置であってもよいし、工業用の検体分析装置であってもよい。
【産業上の利用可能性】
【0078】
本発明の検体分析装置は、検体の分析を行う検体分析装置として有用である。
【符号の説明】
【0079】
1 検体分析装置
2 筐体
21 カバー
22 検体容器保持部
23 試薬保持部
24 キュベット保持部
25 検出部
26 分注部
3 表示部
4 タッチパネル
5 プリンタ
6 制御部
61 CPU
62 ROM
63 RAM
7 通信部
71 CPU
71a 通信プログラム
72 ROM
73 RAM
74 通信インタフェース
10 ルーター
100 保守サービスシステム
101 メールサーバ
101a 施設情報データベース
102 クライアントコンピュータ
110 通信ネットワーク
D1 分析結果画面
D2 精度管理画面
D3 検量線画面
D4 保守メニュー画面
B1,B11〜B14 ボタン

【特許請求の範囲】
【請求項1】
検体を分析する検体分析装置であって、
検体を測定する測定部と、
前記測定部による検体の測定に基づいて得られた分析結果を表示する表示部と、
前記表示部によって表示された画面の送信指示を受け付ける制御部と、
前記送信指示の対象となった画面を示す画面データを、前記検体分析装置又は前記検体分析装置が設置されている施設を特定するための特定情報とともに、外部へ送信する送信部と、
を備える、検体分析装置。
【請求項2】
前記送信部は、前記画面データが添付された電子メールを送信するように構成されている、
請求項1に記載の検体分析装置。
【請求項3】
前記特定情報は、前記電子メールの送信元を示す送信元情報の一部として送信される、
請求項2に記載の検体分析装置。
【請求項4】
前記電子メールの件名は、前記検体分析装置の機種名を含む、
請求項2又は3に記載の検体分析装置。
【請求項5】
前記検体分析装置は、外部から電子メールを受信する機能を備えていない、
請求項2乃至4の何れかに記載の検体分析装置。
【請求項6】
前記特定情報は、前記検体分析装置が設置されている施設の連絡先を含む情報にリンクするためのアドレスを含む、請求項1乃至5の何れかに記載の検体分析装置。
【請求項7】
前記制御部は、前記検体分析装置の状態に関する状態情報を取得するように構成されており、
前記送信部は、前記画面データ及び前記特定情報とともに、前記状態情報を送信するように構成されている、
請求項1乃至6の何れかに記載の検体分析装置。
【請求項8】
前記表示部に付設されたタッチパネル式の入力部をさらに備え、
前記制御部は、前記入力部により与えられた前記送信指示を受け付けるように構成されている、
請求項1乃至7の何れかに記載の検体分析装置。
【請求項9】
前記制御部は、送信対象となる画面が前記表示部に表示された状態で、所定の入力を前記入力部により受け付けたときに、前記送信指示を受け付けるための受付画面へと前記表示部の表示を切り替えさせ、当該受付画面において前記送信指示を受け付けるように構成されている、
請求項8に記載の検体分析装置。
【請求項10】
前記受付画面は、前記送信指示を受け付けるためのボタンと、前記送信指示以外の指示を受け付けるためのボタンとを有する、
請求項9に記載の検体分析装置。
【請求項11】
前記制御部は、前記所定の入力を受け付けるためのボタンを、表示されている画面の種類にかかわらず、前記表示部の所定の位置に表示させるように構成されている、
請求項9又は10に記載の検体分析装置。
【請求項12】
前記制御部は、送信対象となる画面が前記表示部に表示された状態で、前記所定の入力を前記入力部により受け付けたときに、前記画面を示す画面データを記憶すると共に、前記送信指示を受け付けるための受付画面へと前記表示部の表示を切り替えさせるように構成されており、
前記送信部は、前記送信指示が受け付けられたときに、前記記憶された画面データを送信するように構成されている、
請求項9乃至11の何れかに記載の検体分析装置。
【請求項13】
前記制御部は、前記所定の入力を前記入力部により受け付けて画面データを記憶した後に、他の画面が前記表示部に表示された状態で、再度前記所定の入力を前記入力部により受け付けたときに、前回記憶した画面データを消去して前記他の画面を示す画面データを記憶するように構成されている、
請求項12に記載の検体分析装置。
【請求項14】
前記制御部は、前記表示部に画面が表示されている状態で所定の入力を受け付けたときに、前記画面を示す画面データを記憶し、その後他の画面が前記表示部に表示された状態で、再度前記所定の入力を受け付けたときに、前回記憶した画面データを消去して前記他の画面を示す画面データを記憶するように構成されており、
前記送信部は、前記制御部に記憶された画面データを送信するように構成されている、
請求項1乃至13の何れかに記載の検体分析装置。
【請求項15】
前記制御部は、前記測定部による検体の測定に用いられる検量線を記憶するように構成されており、
前記表示部は、前記測定部による標準試料の測定に基づいて得られた検量線測定結果、及び前記測定部による精度管理用試料の測定に基づいて得られた精度管理結果をさらに表示するように構成されており、
前記制御部は、前記表示部によって表示された分析結果画面、検量線測定結果画面、又は精度管理結果画面の送信指示を受け付けるように構成されている、
請求項1乃至14の何れかに記載の検体分析装置。
【請求項16】
前記制御部は、送信指示を受け付けた画面において、図形及び文字の少なくとも一つの入力を受け付け、当該入力された図形及び文字の少なくとも一つを前記画面に描画するように構成されており、
前記送信部は、前記制御部において前記図形及び文字の少なくとも一つが描画された画面を示す前記画面データを送信するように構成されている、
請求項1乃至15の何れかに記載の検体分析装置。
【請求項17】
前記測定部、前記表示部、前記制御部、及び前記送信部を保持する筐体をさらに備える、
請求項1乃至16の何れかに記載の検体分析装置。

【図1】
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【図2】
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【図3A】
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【図3B】
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【図3C】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10A】
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【図10B】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【公開番号】特開2011−153960(P2011−153960A)
【公開日】平成23年8月11日(2011.8.11)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−16436(P2010−16436)
【出願日】平成22年1月28日(2010.1.28)
【出願人】(390014960)シスメックス株式会社 (810)
【Fターム(参考)】